JP2019049624A - 光変調素子および情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】再生光の入射角度を変化させることによって、再生像の少なくとも一部を、視認される状態と視認困難な状態(或いは全く視認不可能な状態)との間で推移させることができる光変調素子、およびそのような光変調素子を備える情報記録媒体を提供する。【解決手段】光変調素子11は、入射される再生光の位相を変調することで光像を再生する要素素子を備える。要素素子は、凹凸面1aを有する。要素素子についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方は、380nm以上600nm以下となる波長帯域および780nm以上1200nm以下となる波長帯域の少なくとも一方に、回折効率の極大値を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、入射される再生光の位相を変調して光像を再生する光変調素子、およびそのような光変調素子を備える情報記録媒体に関する。
原画像を再生可能なホログラム等の光変調素子として、様々なタイプの光変調素子が提案されている。
例えば特許文献1および特許文献2は、凹凸パターンを有する位相変調型の光変調素子であって、可視光波長帯域の全体にわたって光を回折して光像を再生する光変調素子を開示する。また特許文献3は、記録情報を機械的に読み取り可能な第1の光回折構造が形成されている領域と、記録情報を目視で読み取り可能な第2の光回折構造が形成されている領域とが重畳しないように設けられた光変調素子(情報記録媒体)を開示する。
特開2004−126535号公報 特開平10−153943号公報 特開平07−320014号公報
特許文献1および特許文献2の光変調素子はいずれも、可視光波長帯域の全体にわたってほぼ満遍なく光を回折するため、一般的な環境光である白色光が入射した場合、当該白色光を分光して波長毎に異なる位置に光像を再生し、全体として虹色の光像が再生される。このように虹色で光像が再生される場合、各種ライン(例えば輪郭ライン)が太るため、再生像の視認性が悪く、所望の光像を高精細に再生することができない。また再生像の色が虹色に限定されてしまうと、特定色(例えば赤や青などの単色)で光像を再生することができず、特定色によって特定の印象を観察者に与えることができない。
なお特定色で光像を再生する手法として、特定波長帯域の光のみを光変調素子に入射させたり、特定波長帯域の光のみを選択的に透過するカラーフィルターなどのフィルター層を光変調素子に付加したりすることが考えられる。しかしながら、特定波長帯域の光のみを光変調素子に入射させる場合には、使用可能な光源が限定されるため、光変調素子の用途が非常に限られる。またフィルター層を設ける場合には、製造コストが増大し、また光変調素子を通して観察する情景の色が特定波長帯域の色に限定されるため、観察者に違和感がもたらされる。
また特許文献3は、2種類の波長を回折する第1および第2の光回折構造が設けられているが、第1の光回折構造は機械的に読み取り可能な記録情報を再生するのに対し、第2の光回折構造は目視により読み取り可能な記録情報を再生する。したがって特許文献3の光変調素子も、上述の他の文献と同様に、白色光が入射した場合に所望の特定色を持った光像を視認可能に再生することができず、観察像の視認性は必ずしも良くない。
上述のように従来の光変調素子は、所望の視認性を持った光像を必ずしも適切に再生することができていなかった。特に、一般的に汎用されている白色光を再生光として用いることができ、原画像を工夫することなく、所望の光像を視認性良く再生することが可能な光変調素子の要望およびニーズは非常に高い。そのような視認性に優れた再生像は、意匠用途に適しているだけではなく、真贋判定などのセキュリティ用途にも適している。
特に、真贋判定に用いられる光変調素子には、観察者が再生像を観察することによって真贋を簡単且つ正確に判定できるようにすることが求められている。そのような真贋判定手法として、光変調素子に対する再生光の入射角度を変化させることにより、容易に視認可能な所定の変化を再生像が示すか否かに応じて真贋を判定する手法が挙げられる。そのような再生像の変化として様々な態様があるが、とりわけ、再生像の少なくとも一部を、再生光の入射角度の変化に応じて、視認可能な状態と視認が困難な状態(或いは全く視認ができない状態)との間で推移させる態様が、非常に有効であると考えられる。
しかしながら、従来のホログラム等の光変調素子はそのような再生像の変化を実現することができていなかった。また、そのような再生像の変化を実現する光変調素子を、真贋判定等のセキュリティ用途に用いることによって、信頼性に優れたセキュリティ性能を提供すること自体が考えられていなかった。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、再生光の入射角度を変化させることによって、再生される光像の少なくとも一部を、視認される状態と視認困難な状態(或いは視認不可能な状態)との間で推移させることができる光変調素子、およびそのような光変調素子を備える情報記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、入射される再生光の位相を変調することで光像を再生する要素素子を備え、要素素子は、凹凸面を有し、要素素子についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方が、380nm以上600nm以下となる波長帯域および780nm以上1200nm以下となる波長帯域の少なくとも一方に、回折効率の極大値を有する、光変調素子に関する。
1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方が含む回折効率の極大値に関する半値全幅は、200nm以下であってもよい。
要素素子についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの一方が、380nm以上600nm以下となる波長帯域および780nm以上1200nm以下となる波長帯域の少なくとも一方に、回折効率の極大値を有し、他方が600nmよりも大きく780nmよりも小さい波長帯域に回折効率の極大値を有してもよい。
本発明の他の態様は、入射される再生光の位相を変調することで光像を再生する要素素子を備え、要素素子は、凹凸面を有し、要素素子への再生光の入射角度を変化させることで、光像を再生する光の波長帯域を380nmよりも小さくまたは780nmよりも小さくすることができる、光変調素子に関する。
本発明の他の態様は、入射される再生光の位相を変調することで光像を再生する要素素子を備え、要素素子は、凹凸面を有し、要素素子への再生光の入射角度を変化させることで、光像を不可視化することができる、光変調素子に関する。
要素素子はフーリエ変換ホログラムである。
本発明の他の態様は、上記のいずれかの光変調素子を備える情報記録媒体に関する。
光像は、文字、記号および絵柄のうちの少なくともいずれか1つに基づく情報を表してもよい。
情報記録媒体は、所定サイズの開口部を有する基材を更に備え、光変調素子の少なくとも一部は、開口部に対応する位置に配置されてもよい。
本発明によれば、再生光の入射角度を変化させることによって、再生される光像の少なくとも一部を、視認される状態と視認困難な状態(或いは全く視認不可能な状態)との間で推移させることができる光変調素子、およびそのような光変調素子を備える情報記録媒体を提供することができる。
図1は、ホログラム保持体の典型例を示す概略平面図である。 図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。 図3は、反射型のホログラム構造体の概念図である。 図4は、透過型のホログラム構造体の概念図である。 図5は、ホログラム構造体の平面構造を示す概念図である。 図6は、凹凸面の段構造の一例の概略を示す要素素子の断面図である。 図7は、凹凸面の段構造の他の例の概略を示す要素素子の断面図である。 図8は、各要素素子の1次回折光の波長分布と回折効率との関係例を示すグラフである。 図9は、ホログラム構造体によって再生される光像を説明するための概略図である。 図10は、ホログラム構造体によって再生される光像を説明するための概略図である。 図11は、ホログラム構造体によって再生される光像を説明するための概略図である。 図12は、ホログラム構造体によって再生される光像を説明するための概略図である。 図13は、第1の実施モードに係る各要素素子の回折特性を示すグラフであり、各要素素子に対する再生光の入射角度が0°の場合を示す。 図14は、第1の実施モードに係る各要素素子の回折特性を示すグラフであり、各要素素子に対する再生光の入射角度が30°の場合を示す。 図15は、第1の実施モードに係る各要素素子の回折特性を示すグラフであり、各要素素子に対する再生光の入射角度が50°の場合を示す。 図16は、第1の実施モードに係る各要素素子を備えるホログラム構造体によって再生される光像の例を示し、各要素素子に対する再生光の入射角度が0°の場合の光像を示す。 図17は、第1の実施モードに係る各要素素子を備えるホログラム構造体によって再生される光像の例を示し、各要素素子に対する再生光の入射角度が30°の場合の光像を示す。 図18は、第1の実施モードに係る各要素素子を備えるホログラム構造体によって再生される光像の例を示し、各要素素子に対する再生光の入射角度が50°の場合の光像を示す。 図19は、第2の実施モードに係る各要素素子の回折特性を示すグラフであり、各要素素子に対する再生光の入射角度が0°の場合を示す。 図20は、第2の実施モードに係る各要素素子の回折特性を示すグラフであり、各要素素子に対する再生光の入射角度が30°の場合を示す。 図21は、第2の実施モードに係る各要素素子を備えるホログラム構造体によって再生される光像の例を示し、図21は各要素素子に対する再生光の入射角度が0°の場合の光像を示す。 図22は、第2の実施モードに係る各要素素子を備えるホログラム構造体によって再生される光像の例を示し、図22は各要素素子に対する再生光の入射角度が30°の場合の光像を示す。 図23は、第3の実施モードに係る各要素素子の回折特性を示すグラフであり、各要素素子に対する再生光の入射角度が0°の場合を示す。 図24は、第3の実施モードに係る各要素素子の回折特性を示すグラフであり、各要素素子に対する再生光の入射角度が30°の場合を示す。 図25は、第3の実施モードに係る各要素素子を備えるホログラム構造体によって再生される光像の例を示し、各要素素子に対する再生光の入射角度が0°の場合の光像を示す。 図26は、第3の実施モードに係る各要素素子を備えるホログラム構造体によって再生される光像の例を示し、各要素素子に対する再生光の入射角度が30°の場合の光像を示す。 図27は、第2の実施形態に係る透過型ホログラム構造体の平面構造の一例を示す概念図である。 図28は、図27の透過型ホログラム構造体によって再生される光像を説明するための概略図である。 図29は、第2の実施形態に係る透過型ホログラム構造体の平面構造の他の例を示す概念図である。 図30は、図29の透過型ホログラム構造体によって再生される光像を説明するための概略図である。 図31は、第2の実施形態に係る透過型ホログラム構造体の他の例によって再生される光像を説明するための概略図である。
以下、本発明の実施形態に係る光変調素子について説明する。
以下の各実施形態の光変調素子は、入射される再生光の位相を変調して光像を再生する位相変調型のホログラム構造体によって構成されており、特にフーリエ変換ホログラムによって構成される要素素子を含む。フーリエ変換ホログラムは、原画像のフーリエ変換像の波面情報を記録することで作製されるホログラムであり、いわゆるフーリエ変換レンズとして機能する。特に位相変調型のフーリエ変換ホログラムは、フーリエ変換像の位相情報を多値化して深さとして媒体に記録することで作製される凹凸面を有するホログラムであり、媒体の光路長差に基づく回折現象を利用して再生光から原画像の光像を再生する。このフーリエ変換ホログラムは、例えば、所望の光像(すなわち原画像)を精度良く再生できる一方で、比較的簡単に作製することができる点で有利である。こうした位相変調型の光変調素子はキノフォームとも言われる。ただし、本発明を適用可能な光変調素子の要素素子は、フーリエ変換ホログラムには限定されず、他の方法で光像を再生するホログラムや他の構造を有する光変調素子に対しても本発明を適用することが可能である。
以下の説明では、ホログラム構造体に入射させる再生光として様々な波長を含む白色光を例として挙げているが、再生光は必ずしも白色光である必要はない。すなわち、ホログラム構造体によって再生される光像の色に対応する波長の光が含まれていれば、再生光に含まれる波長は特に限定されない。また以下の説明では、特に断りがない限り、ホログラム構造体に対する再生光の入射角度が0°(すなわちホログラム構造体の入射面の法線方向に沿った角度)の場合を想定している。また本明細書において示される屈折率の具体的な値は、特に断りがない限り、波長589.3nmの光を基準としている。また以下の説明では、ホログラム構造体11に関して示される屈折率や凹凸面の特性値は、特に断りがない限り、屈折率が1.0の空気環境下においてホログラム構造体11が使用される場合を想定して導き出された値である。
また本明細書において、「同一の形状を有する2以上の光像」の概念には、サイズが相互に同一であり且つ形状(全体の形)が同じ2以上の光像だけではなく、サイズが相互に異なり且つ形状が同じ2以上の光像も含まれる。すなわち、同一の形状を有する2以上の光像は、形状が同じであれば、サイズが互いに同じか否かは問われず、互いに相似の関係性を有する2以上の光像は「同一の形状を有する2以上の光像」に該当する。したがって、光像の構成波長が異なるために再生される大きさが相互に異なる2以上の光像は、全体の形が同じであれば、「互いに同一形状を有する2以上の光像」に該当する。
また本明細書において、「点対称」の関係を有する2つの光像の概念には、サイズが相互に同一であり且つ形状(全体の形)が同じ2つの光像だけではなく、サイズが相互に異なり且つ形状が同じ2つの光像も含まれる。すなわち、同一の形状を有する2つの光像は、形状が同じであり、且つ再生位置および再生向きが点対称性を有していれば、サイズが互いに同じか否かは問われない。そのため、例えば互いに相似の関係性を有する2つの光像であって、再生位置および再生向きが点対称性を有する2つの光像は「互いに点対称の関係を有する2つの光像」に該当する。したがって、光像の構成波長が異なるために再生される大きさが相互に異なる2以上の光像は、形状が同じであり、再生位置および光像の向きが点対称性を有していれば、「互いに点対称の関係を有する2以上の光像」に該当する。
[第1の実施形態]
図1は、ホログラム保持体10の典型例を示す概略平面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
図1および図2に示すホログラム保持体10は、ホログラム層1と、ホログラム層1の一方の面上に積層される反射層2と、ホログラム層1の他方の面上に積層された基材4とを備える。このホログラム保持体10の一部には反射型のホログラム構造体11が設けられている。このホログラム構造体11では、ホログラム層1の一方の面が凹凸面1aを形成し、この凹凸面1aを被覆する反射層2も凹凸形状を有する。ホログラム構造体11が有する凹凸面1aは、原画像のフーリエ変換画像に対応した凹凸パターンを有し、フーリエ変換画像の画素毎に対応の凹凸深さを有する。例えば、基材4(例えばPET:ポリエチレンテレフタラート)上にホログラム層1を構成する樹脂(例えばUV硬化樹脂や熱可塑性樹脂)を塗布などで形成し、当該ホログラム層1に対して、UV硬化処理や熱圧処理とともに原版の凹凸面を押し当てる凹凸賦形処理が行われ、その後、当該ホログラム層1の凹凸面1a上に反射層2(例えばAl、ZnS、或いはTiOなど)を形成することにより、図1および図2に示すホログラム保持体10を製造することができる。なお図示は省略するが、反射層2上に、粘着材、接着剤、および/またはヒートシール層等の他の部材が更に形成されてもよい。
このようなホログラム構造体11に対して点光源や平行光源から光が入射すると、凹凸面1aの凹凸パターンに応じた光像(すなわち原画像)が再生される。この種の光変調素子は、光像を投影するためのスクリーン等が不要であり、また点光源や平行光源等の特定の光源からの光が入射する場合にとりわけ良好に光像を再生するため、意匠用途、セキュリティ用途、或いはその他の用途に対して利便性良く広範に利用可能である。このような光変調素子によって再生可能な光像は特に限定されず、例えば文字、記号、線画、絵柄、模様(パターン)およびこれらの組み合わせ等を、原画像および再生可能な光像としうる。
上述のように光変調素子として機能するホログラム構造体11と、ホログラム構造体11を支持する基材4とを備える図1および図2に示すホログラム保持体10は、一例として、パスポート等の情報記録媒体を好適に構成しうる。例えば、ホログラム構造体11によって再生される光像が文字、記号および絵柄のうちの少なくともいずれか1つに基づく情報を表すようにホログラム構造体11を設計することで、ホログラム構造体11を真贋判定等のセキュリティ用途に好適に用いることができる。なお、図1および図2に示すホログラム保持体10では、透明の基材4が用いられているが、不透明な基材が代わりに用いられてもよい。その場合、例えば、基材に所定サイズの開口部4a(図2参照)を形成し、光変調素子として設けられるホログラム構造体11の少なくとも一部を当該開口部4aに対応する位置に配置することで、ホログラム保持体10はパスポート等の情報記録媒体を好適に構成することが可能である。なお、開口部4aには穴(空間)が設けられていてもよいし、穴(空間)とともに又は穴(空間)を設ける代わりに、開口部4aだけ透明体(すなわち透明な基材)によって構成してもよい。また透明な基材4を用いる場合であっても、例えば基材4のうち開口部4a以外の部分に光の透過を規制する印刷体を設けることによって、基材4のうち基本的に開口部4aのみを光が透過するようにホログラム保持体10が構成されてもよい。またパスポート等の情報記録媒体に開口箇所を形成し、当該開口箇所にホログラム保持体10が配置されてもよい。この場合、情報記録媒体の開口箇所には穴(空間)及び/又は透明体が設けられていてもよく、情報記録媒体のうち開口箇所以外の箇所に光の透過を規制する印刷体が設けられてもよく、情報記録媒体のうち開口箇所のみを光が透過するように情報記録媒体が構成されてもよい。
ホログラム構造体11は、図3に示すように観察者50および光源51aがホログラム構造体11に対して同じ側に配置される反射型ホログラム構造体と、図4に示すように観察者50および光源51bがホログラム構造体11を介して相互に異なる側に配置される透過型ホログラム構造体とに分類できる。反射型ホログラム構造体としては、例えば図2に示す反射層2のような再生光を反射するための追加の層が設けられる構造体の他に、追加の反射層を設けずにホログラム層1の凹凸面1aを空気に露出させて、UV硬化樹脂などのホログラム層1と空気との間の屈折率の差を利用して再生光を反射させる構造体がある。一方、透過型ホログラム構造体にはそのような反射層が設けられない。ただし、ホログラム層1に凹凸面1aが形成され、その凹凸面1aの光路長差に起因する回折現象によって所望の光像を再生する点で、反射型ホログラム構造体および透過型ホログラム構造体は共通する。なお凹凸面1aの具体的な凹凸深さについては、透過型ホログラム構造体および反射型ホログラム構造体のそれぞれに関して最適な値が存在する。以下において、反射型ホログラム構造体および透過型ホログラム構造体のいずれか一方についてのみ説明されている内容は、特に断りがない限り、基本的に反射型ホログラム構造体および透過型ホログラム構造体の両方に対して応用が可能である。
図5は、ホログラム構造体11の平面構造を示す概念図である。本実施形態のホログラム構造体11は、二次元的に規則的に配置された複数の要素素子(「ホログラムセル」とも呼ばれる)21を含む。各要素素子21は、上述の凹凸面1aを有するとともに、数nm〜数mm四方(例えば2mm四方)の平面サイズを有し、入射される再生光の位相を変調して光像を再生する。
凹凸面1aは多段形状(すなわち2段以上の段形状)を有し、凹凸面1aの段数は特に限定されない。複数色によって光像を再生する場合、凹凸面1aは3段以上の段数を有することが好ましく、特に4段以上の段数を有する凹凸面1aによれば複雑な構図を持つ原画像を高精細に再生することが可能である。図6および図7は、凹凸面1aの段構造の概略を示す要素素子21の断面図であり、図6は8段タイプの凹凸面1aを示し、図7は4段タイプの凹凸面1aを示す。なお図6および図7には、相互に同じ段形状の凹凸面1aを有する要素素子21が示されているが、実際の凹凸面1aは再生される光像(すなわち原画像)に応じた段形状を有する。なお凹凸面1aの凹凸パターンのピッチ(すなわち画素ピッチ(図6および図7に示す符合「P」参照))は、光像を精度良く再生する観点からは0.1μm〜80.0μmの範囲にあることが好ましく、通常は1μm以上であることが好ましい。
図8は、各要素素子21の1次回折光の波長分布と回折効率との関係例を示すグラフである。図8において横軸は波長を示し、縦軸は回折効率を示す。回折効率は、ある方向へ回折する光の放射束を各要素素子21に入射する光の放射束で割った量で表され、ある方向への回折放射束をPで表し、入射放射束をP0で表した場合、回折効率ηは「η=P/P0」で表される無次元数である。各要素素子21は、波長に応じて特有の回折効率を示し、図8に示す例では、580nm付近の波長(図8の符合「H1」参照)を持つ光が1次回折光に関して極大値Dmaxを示す。なお図8は1次回折光の波長分布の一例を示すが、−1次回折光の波長分布も波長に応じた特有の回折効率を示すとともに特定の波長において回折効率の極大値を示す。
図9〜図12は、ホログラム構造体11によって再生される光像100を説明するための概略図である。なお図9〜図12の各々において反射型のホログラム構造体11で用いられる光源が符合「51a」で示され、透過型のホログラム構造体11で用いられる光源が符合「51b」で示されている。また以下の説明では、これらの光源51a、51bを符合「51」を使って集合的に表す。
一般に、回折現象において、入射光の波長が大きくなるほど、0次回折光以外の回折光の回折角は大きくなる。そのため、可視光波長帯域の全体にわたって同程度の回折効率を有する一般的なホログラム構造体11に対して光源51から白色光が入射した場合、ホログラム構造体11は図9に示すような虹色の光像100を再生する。一方、可視光の波長帯域に含まれる380nm以上且つ780nmよりも小さい波長帯域において、1次回折光および−1次回折光のいずれか一方が回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には0.15以上の回折効率を示す極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には0.3以上の回折効率を示す極大値)を1つのみ有するホログラム構造体11に対し、光源51から白色光が入射した場合、ホログラム構造体11は図10〜図12に示すような単色の光像100を再生する。
すなわち図10〜図12のホログラム構造体11(特に凹凸面1a)は、特定の波長およびその近傍の波長帯域の光に最適化された回折構造を有し、様々な波長を持つ光のうち特定の波長およびその近傍の波長帯域の光を選択的に使って特定色の光像100を再生する。例えば図10のホログラム構造体11は、一次回折光または−1次回折光の回折効率が青系の波長帯域において極大値を示し、青色の光像100を再生する。図11のホログラム構造体11は、一次回折光または−1次回折光の回折効率が緑系の波長帯域において極大値を示し、緑色の光像100を再生する。図12のホログラム構造体11は、一次回折光または−1次回折光の回折効率が赤系の波長帯域において極大値を示し、赤色の光像100を再生する。なお図10〜図12の光像100は相互に大きさが異なっているが、これは光像100を構成する光(すなわち1次回折光および/または−1次回折光)の波長の違いによってもたらされる回折角の相違に基づくものである。
このように380nm以上且つ780nmよりも小さい波長帯域において回折効率が極大値(とりわけ単一の極大値)を示すホログラム構造体11は、白色光が入射される場合でも単色の光像100を再生することができる。このようにして再生される光像100は、色分散によるボケが殆ど含まれず、鮮明な像となる。また特定色で光像100を再生できるため、観察者50に対して、色に基づく特定の印象を与えることも可能であり、例えば光像100によって表される具体的な概念に通念上合った色で光像100を再生し、観察者50に対して光像100が示す概念を明確に伝えることも可能である。さらに、特定の単色の光像100を再生するようにホログラム構造体11が構成されるため、例えば真贋判定では、判定の基礎として、再生される光像100の「絵柄」だけではなく、当該光像100の「色」を用いることができ、信頼性の高い真贋判定を可能にする。また以下に説明する本実施形態のホログラム構造体11は、特定波長帯域の光を選択的に透過または反射する層を追加する必要がないため、製造コストを低減できるとともに、観察者50がホログラム構造体11を通して周囲を観察しても観察像に違和感がない。
上述の特性を踏まえ、本実施形態のホログラム構造体11は、各要素素子21についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方が、380nm以上600nm以下となる波長帯域および780nm以上1200nm以下となる波長帯域の少なくとも一方に、回折効率の極大値を有する。すなわち本実施形態の各要素素子21の1次回折光および−1次回折光の両方が、或いは1次回折光および−1次回折光のうちのいずれか一方のみが、380nm以上600nm以下となる波長帯域および780nm以上1200nm以下となる波長帯域の少なくとも一方において、回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有することができる。具体的には、後述のように、凹凸面1aの段数および深さ、ホログラム構造体11(特にホログラム層1)を構成する材料の屈折率、および他の関連パラメータを調整することによって、各要素素子21に所望の回折特性を持たせることが可能である。このような回折効率の波長分布を持つホログラム構造体11によれば、各要素素子21に対する再生光の入射角度を変化させることにより、1次回折光および−1次回折光によって再生される光像の色を変化させることができ、光像の少なくとも一部を視覚上消失させたり、光像の少なくとも一部を視覚上出現させたりすることもできる。
各要素素子21に対する再生光の入射角度を0°から増大させるに従って、各回折光の回折効率の極大値を示す波長は短波長側にシフトする。したがって、1次回折光および−1次回折光のうちの少なくとも一方が、380nm以上600nm以下の波長帯域に回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有するホログラム構造体11において、各要素素子21に対する再生光の入射角度を増大させると、1次回折光および−1次回折光のうちの少なくとも一方の回折効率の当該極大値を示す波長を380nmよりも小さく(すなわち短く)することが可能である。この場合、再生光の入射角度を増大させる前には可視光波長帯域内(すなわち380nm以上600nm以下の波長帯域)で示されていた回折効率の極大値が、再生光の入射角度を増大させた後には可視光波長帯域外(すなわち紫外線波長帯域)で示される。そのため再生光の入射角度の増大に伴って、当該極大値を示す波長の光およびその近傍の波長帯域の光によって構成される光像は、視覚上見える状態から見えない状態(または認識が困難な状態)に変化する。
一方、1次回折光および−1次回折光のうちの少なくとも一方が、780nm以上1200nm以下の波長帯域に回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有するホログラム構造体11において、各要素素子21に対する再生光の入射角度を増大させると、1次回折光および−1次回折光のうちの少なくとも一方の回折効率の当該極大値を示す波長を780nmよりも小さくすることが可能である。この場合、再生光の入射角度を増大させる前には可視光波長帯域外(すなわち赤外線波長帯域)で示されていた回折効率の極大値が、再生光の入射角度を増大させた後には可視光波長帯域内(すなわち780nmよりも小さい波長帯域)で示される。そのため再生光の入射角度の増大に伴って、当該極大値を示す波長の光およびその近傍の波長帯域の光によって構成される光像は、視覚上見えない状態(または認識が困難な状態)から見える状態に変化する。
このように本実施形態のホログラム構造体11は、各要素素子21への再生光の入射角度を変化させることで、光像を再生する光の波長帯域を380nmよりも小さくまたは780nmよりも小さくすることができるように構成される。一般に、380nmよりも小さい波長帯域の光は紫外線に該当し、また780nm以上の波長帯域の光は赤外線に該当し、紫外線および赤外線はいずれも通常は視認されないまたは視認が困難である。したがって、各要素素子21への再生光の入射角度を変化させる前においては光像を構成する主たる光の波長帯域が380nm以上且つ780nmよりも小さく(特に380nm以上600nm以下と)なるようにしつつ、各要素素子21への再生光の入射角度を変化させた後においては光像を構成する主たる光の波長帯域が380nmよりも小さくなるように、各要素素子21の回折特性を設定してもよい。この場合、再生光の入射角度の変化に応じて、再生される光像を視認される状態から視認困難な状態(或いは全く視認不可能な状態)へ推移させることができる。このように、本実施形態のホログラム構造体11によれば、各要素素子21への再生光の入射角度を変化させることで、光像を不可視化することもできる。一方、各要素素子21への再生光の入射角度を変化させる前においては光像を構成する主たる光の波長帯域を780nm以上(特に780nm以上1200nm以下)となるようにしつつ、各要素素子21への再生光の入射角度を変化させた後においては光像を構成する主たる光の波長帯域を380nm以上且つ780nmよりも小さくなるように、各要素素子21の回折特性を設定してもよい。この場合、再生光の入射角度の変化に応じて、再生される光像を視認困難な状態(或いは全く視認不可能な状態)から視認される状態へ推移させることができる。
このような視覚上における光像の出現および消失の変化は、観察者によって非常に簡単且つ確実に認識可能である。そのため本実施形態のホログラム構造体11は、意匠用途だけではなく、真贋判定等のセキュリティ用途においても非常に有用である。例えば、ホログラム構造体11を意匠用途に使用し、特定のキャラクター等の図柄の光像をホログラム構造体11によって再生する場合、各要素素子21に対する再生光の入射角度を変化させる前後において、当該図柄の光像の一部を消失または出現させることで、動き(すなわち視覚上の変化)を伴う図柄を光像として再生することが可能である。またホログラム構造体11を真贋判定用途に使用し、所定の真贋判定用の図柄の光像をホログラム構造体11によって再生する場合、各要素素子21に対する再生光の入射角度を変化させて当該図柄の光像の一部を消失または出現させることで、そのような図柄の消失または出現に基づく真贋判定を簡単且つ確実に行うことが可能である。
例えば、各要素素子21についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの一方が、380nm以上600nm以下となる波長帯域および780nm以上1200nm以下となる波長帯域の少なくとも一方に、回折効率の極大値を有し、且つ、他方が600nmよりも大きく780nmよりも小さい波長帯域に回折効率の極大値を有していてもよい。
すなわち、各要素素子21についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの一方が、380nm以上600nm以下となる波長帯域に回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有し、且つ、他方が600nmよりも大きく780nmよりも小さい波長帯域に回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有していてもよい。この場合、各要素素子21に対する再生光の入射角度を変化させる前は、1次回折光の光像および−1次回折光の光像の両方を視覚上認識可能な状態で再生することができ、各要素素子21に対する再生光の入射角度を変化させた後は、1次回折光の光像および−1次回折光の光像の一方を視覚上消失させて、他方を視覚上認識可能な状態を維持させることができる。
また各要素素子21についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの一方が780nm以上1200nm以下となる波長帯域に回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有し、且つ、他方が600nmよりも大きく780nmよりも小さい波長帯域に回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有していてもよい。この場合、各要素素子21に対する再生光の入射角度を変化させる前は、1次回折光の光像および−1次回折光の光像の一方のみを視覚上認識可能な状態で再生することができ、各要素素子21に対する再生光の入射角度を変化させた後は、1次回折光の光像および−1次回折光の光像の他方を視覚上出現させて、両回折光の光像を視覚上認識可能な状態で再生することができる。
なお上述の本実施形態のホログラム構造体11の各要素素子21において、1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方が含む回折効率の極大値に関する半値全幅FWHMは、200nm以下であることが好ましい。この場合、限定された波長帯域の光によって1次回折光および/または−1次回折光を構成することができ、再生される光像における混色を防ぎ、各要素素子21に対する再生光の入射角度の変化に伴う光像の消失または出現を、視覚上明瞭に認識することが可能である。なお、ここでいう半値全幅FWHMとは、回折効率の波長分布において、極大値Dmaxの半分の値(Dmax/2)を持つ位置での波長帯域(波長幅)を示す(図8参照)。
なお本実施形態のホログラム構造体11において、各要素素子21に対する再生光の具体的な入射角度は特に限定されないが、例えば0°以上80°以下の範囲に入射角度が設定されるのが一般的であり、例えば0°以上70°以下、60°以下、50°以下、或いは40°以下の範囲に入射角度を設定して使用上の利便性を向上させることも可能である。なお通常用途において、ホログラム構造体11に対する再生光の入射角度としては、0°若しくは0°近傍の角度(例えば0°〜45°の範囲の角度、0°〜30°の範囲の角度、或いは0°〜20°の範囲の角度)が想定されることが多い。そのため、これらの想定角度を「光像の少なくとも一部の消失または出現に必要な各要素素子21に対する再生光の入射角度の変化の前の角度」に設定してもよい。ここでいう「光像の少なくとも一部の消失または出現に必要な各要素素子21に対する再生光の入射角度の変化の前の角度」とは、光像の変化(消失または出現)の前後における再生光の入射角度(すなわち第1の入射角度および第2の入射角度)のうち、角度がより小さい入射角度(すなわち0°により近い入射角度)を意味する。また上述のような光像の少なくとも一部の消失または出現に必要な「各要素素子21に対する再生光の入射角度の変化角度(=|変化後の入射角度−変化前の入射角度|)」は特に限定されない。ただし光像の少なくとも一部の消失または出現に必要な「各要素素子21に対する再生光の入射角度の変化角度」は、通常は10°〜50°の範囲の角度が好ましく、20°〜40°の範囲の角度がより好ましく、30°の近傍の角度(例えば25°〜35°)が更に好ましい。なおこれらの角度の設定は、ホログラム構造体11の回折特性を適宜調整することによって実現可能である。
したがって、一例として、各要素素子21に対する再生光の入射角度が0°若しくは0°近傍の角度(例えば0°〜45°の範囲の角度、0°〜30°の範囲の角度、或いは0°〜20°の範囲の角度)の場合に、各要素素子21についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方が、380nm以上600nm以下となる波長帯域および780nm以上1200nm以下となる波長帯域の少なくとも一方に、回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有するように、本実施形態のホログラム構造体11が構成されてもよい。この場合、光像の少なくとも一部の消失または出現に必要な各要素素子21に対する再生光の入射角度の変化角度を、例えば40°以下、30°以下、20°以下、10°以下、或いは5°以下の角度に設定してもよい。
なお、上述のような光像の少なくとも一部の消失または出現は、各要素素子21に対する再生光の入射角度の増大に応じて生じさせてもよいし、各要素素子21に対する再生光の入射角度の低減に応じて生じさせてもよい。上述のように、各要素素子21に対する再生光の入射角度を増大させることで、各回折光の回折効率の極大値を示す波長を短波長側にシフトさせることができる。これは、各要素素子21に対する再生光の入射角度を低減させることで、回折光の回折効率の極大値を示す波長を長波長側にシフトさせることができることも意味する。
したがって例えば、各要素素子21についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方が、各要素素子21に対する再生光の入射角度を変化させる前において380nmよりも小さい波長帯域に回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有し、各要素素子21に対する再生光の入射角度を変化させた後において380nm以上600nm以下となる波長帯域に回折効率の当該極大値を有していてもよい。この場合、各要素素子21に対する再生光の入射角度の変化前には視覚上認識できなかった光像の少なくとも一部を、各要素素子21に対する再生光の入射角度の変化後に視覚上出現させることができる。また各要素素子21についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方が、各要素素子21に対する再生光の入射角度を変化させる前において780nmよりも小さい波長帯域に回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有し、各要素素子21に対する再生光の入射角度を変化させた後において780nm以上1200nm以下となる波長帯域に回折効率の当該極大値を有していてもよい。この場合、各要素素子21に対する再生光の入射角度の変化前には視覚上認識できた光像の少なくとも一部を、各要素素子21に対する再生光の入射角度の変化後に視覚上消失させることができる。
以下、様々な特徴的な回折特性を有するホログラム構造体11の代表例(実施モード)について例示する。
[第1の実施モード]
図13〜図15は、第1の実施モードに係る各要素素子21の回折特性を示すグラフであり、図13は各要素素子21に対する再生光の入射角度が0°の場合を示し、図14は各要素素子21に対する再生光の入射角度が30°の場合を示し、図15は各要素素子21に対する再生光の入射角度が50°の場合を示す。図13〜図15において、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は回折効率を示し、0次回折光の波長分布は「W0」で示され、1次回折光の波長分布は「W1」で示され、−1次回折光の波長分布は「W−1」で示されている。
図16〜図18は、第1の実施モードに係る各要素素子21を備えるホログラム構造体11によって再生される光像100の例を示し、図16は各要素素子21に対する再生光の入射角度が0°の場合の光像100を示し、図17は各要素素子21に対する再生光の入射角度が30°の場合の光像100を示し、図18は各要素素子21に対する再生光の入射角度が50°の場合の光像100を示す。すなわち図16に示す光像100は図13の回折特性を示す要素素子21によって再生される光像であり、図17に示す光像100は図14の回折特性を示す要素素子21によって再生される光像であり、図18に示す光像100は図15の回折特性を有する要素素子21によって再生される光像である。なお図16〜図18に示す光像100では、1次回折光像100bおよび−1次回折光像100cが同一の形状(図示の例では「F」形状)を有し且つ点対称に再生される。
本モードに係る各要素素子21では、図13に示すように、380nm以上780nmよりも小さい波長帯域において、再生光の入射角度が0°の場合に、0次回折光の極大値を示す波長が600nmに設定され、1次回折光の極大値を示す波長が533nmに設定され、−1次回折光の極大値を示す波長を685nmに設定されている。また本モードに係る各要素素子21では、図14に示すように、再生光の入射角度が30°の場合に、0次回折光の極大値を示す波長が519nm近辺に設定され、1次回折光の極大値を示す波長が457nmに設定され、−1次回折光の極大値を示す波長が601nmに設定されている。また本モードに係る各要素素子21では、図15に示すように、再生光の入射角度が50°の場合に、0次回折光の極大値を示す波長および1次回折光の極大値を示す波長が可視光波長帯域外(すなわち380nmよりも小さい波長帯域)に設定され、−1次回折光の極大値を示す波長が449nmに設定されている。
このように、再生光の入射角度が0°および30°の場合には、0次回折光、1次回折光および−1次回折光のいずれも、主に、可視光波長帯域に含まれる光によって構成されている。ただし再生光の入射角度が30°の場合には、再生光の入射角度が0°の場合と比べ、0次回折光、1次回折光および−1次回折光のそれぞれを構成する主たる光が全体的に短波長側にシフトしている。また再生光の入射角度が50°の場合には、0次回折光、1次回折光および−1次回折光のそれぞれを構成する主たる光が全体的に更に短波長側にシフトし、−1次回折光を構成する主たる光は可視光波長帯域に留まっているが、0次回折光および1次回折光を構成する主たる光は可視光波長帯域から外れて視認が不可能な紫外線の波長帯域にシフトしている。
したがって、本実施モードに係るホログラム構造体11によって白色光の再生光から再生される光像100は、図16〜図18に示すようになる。すなわち再生光の入射角度が0°の場合には、図16に示すように、黄系〜橙系の0次回折光像100aを中心に点対称に配置された緑色の1次回折光像100bおよび赤色の−1次回折光像100cが再生される。また再生光の入射角度が30°の場合には、図17に示すように、緑系の0次回折光像100aを中心に点対称に配置された青色の1次回折光像100bおよび黄色の−1次回折光像100cが再生される。また再生光の入射角度が50°の場合には、図18に示すように、青色の−1次回折光像100cが視認可能に再生されるが、0次回折光像100aおよび1次回折光像100bは視認可能な光像としては再生されない(すなわち視認不可能な紫外線の光像として再生される)。なお、実際には、可視光波長帯域外の光によって主に構成されるこれらの光像は、可視光波長帯域内の光を多少含むため、観察者によってはこれらの光像100a、100bを視認できる場合もあるが、そのような場合であっても非常に不鮮明な光像として認識される。
このように、各要素素子21に入射させる再生光の入射角度を0°から増大させるに従って、再生される光像100(すなわち0次回折光像100a、1次回折光像100bおよび−1次回折光像100cの各々)を構成する光の波長は短波長側にシフトする。そして、再生光の入射角度がある角度(本実施モードでは30°〜50°の間におけるある角度)よりも大きくなると、光像100の少なくとも一部が視認できなくなる。
このような回折特性は、例えば、ホログラム層1の屈折率が1.5であり、凹凸面1aにおける段数を8段にして、1段当たりの深さ(図6の符合「d」参照)を200nm、および最大深さ(図6の符合「D」参照)を1400nmにした反射型のホログラム構造体11(すなわち反射型の要素素子21)によって実現することができる。
また別の形態として、例えば、ホログラム層1の屈折率が1.5であり、凹凸面1aにおける段数を8段にして、1段当たりの深さを225nm、および最大深さを1575nmにした反射型のホログラム構造体11(すなわち反射型の要素素子21)によっても、上述のような回折特性を実現することができる。この形態によれば、再生光の入射角度が0°の場合に、0次回折光の極大値を示す波長が675nmに設定され、1次回折光の極大値を示す波長が600nmに設定され、−1次回折光の極大値を示す波長を771nmに設定され、0次回折光像100a、1次回折光像100b及び−1次回折光像100cは視認可能な光像としては再生される。一方、再生光の入射角度が50°の場合に、0次回折光の極大値を示す波長が432nmに設定され、1次回折光の極大値を示す波長が376nmに設定され、−1次回折光の極大値を示す波長を508nmに設定され、0次回折光像100a及び−1次回折光像100cは視認可能な光像としては再生されるが、1次回折光像100bは基本的には視認できない光像として再生される。
[第2の実施モード]
図19〜図20は、第2の実施モードに係る各要素素子21の回折特性を示すグラフであり、図19は各要素素子21に対する再生光の入射角度が0°の場合を示し、図20は各要素素子21に対する再生光の入射角度が30°の場合を示す。図19〜図20において、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は回折効率を示し、0次回折光の波長分布は「W0」で示され、1次回折光の波長分布は「W1」で示され、−1次回折光の波長分布は「W−1」で示されている。
図21〜図22は、第2の実施モードに係る各要素素子21を備えるホログラム構造体11によって再生される光像100の例を示し、図21は各要素素子21に対する再生光の入射角度が0°の場合の光像100を示し、図22は各要素素子21に対する再生光の入射角度が30°の場合の光像100を示す。すなわち図21に示す光像100は図19の回折特性を示す要素素子21によって再生される光像であり、図22に示す光像100は図20の回折特性を示す要素素子21によって再生される光像である。なお図21〜図22に示す光像100では、1次回折光像100bおよび−1次回折光像100cが同一の形状(図示の例では「F」形状)を有し且つ点対称に再生される。
本モードに係る各要素素子21では、図19に示すように、再生光の入射角度が0°の場合に、−1次回折光の極大値を示す波長が可視光波長帯域内の439nmに設定されるが、0次回折光および1次回折光の極大値(特に回折効率が0.3以上の極大値)を示す波長が380nmよりも小さい波長に設定されている。また本モードに係る各要素素子21では、図20に示すように、再生光の入射角度が30°の場合に、0次回折光、1次回折光および−1次回折光のいずれも極大値(特に回折効率が0.3以上の極大値)を示す波長が380nmよりも小さい波長に設定されている。
このように、再生光の入射角度が0°の場合には、0次回折光および1次回折光が主に可視光波長帯域外の光によって構成され、−1次回折光が主に可視光波長帯域内の光によって構成されている。一方、再生光の入射角度が30°の場合には、再生光の入射角度が0°の場合と比べ、0次回折光、1次回折光および−1次回折光のそれぞれを構成する主たる光が全体的に短波長側にシフトし、0次回折光、1次回折光および−1次回折光のいずれもが、主に可視光波長帯域外の光によって構成されている。
したがって、本実施モードに係るホログラム構造体11によって白色光の再生光から再生される光像100は、図21〜図22に示すようになる。すなわち再生光の入射角度が0°の場合には、図21に示すように、青色の−1次回折光像100cが視認可能に再生されるが、0次回折光像100aおよび1次回折光像100bは視認可能な光像としては再生されない(すなわち視認不可能な紫外線の光像として再生される)。また再生光の入射角度が30°の場合には、図22に示すように、0次回折光像100a、1次回折光像100bおよび−1次回折光像100cはいずれも視認可能な光像としては再生されず(すなわち視認不可能な紫外線の光像として再生され)、光像100は全体として視認されない。なお実際には、可視光波長帯域外の光によって主に構成されるこれらの光像は、可視光波長帯域内の光を多少含むため、観察者によってはこれらの光像を視認できる場合もあるが、そのような場合であっても非常に不鮮明な光像として認識される。
このように本実施モードにおいても、各要素素子21に入射させる再生光の入射角度を0°から増大させるに従って、再生される光像100(すなわち0次回折光像100a、1次回折光像100bおよび−1次回折光像100cの各々)を構成する光の波長は短波長側にシフトする。そして、再生光の入射角度がある角度(本実施モードでは0°〜30°の間におけるある角度)よりも大きくなると、光像100の全体が視認できなくなる(図22参照)。したがって、ホログラム構造体11に対する再生光の入射の傾きを変えることにより、光像100の少なくとも一部(本実施モードでは−1次回折光像100c)の視認可能な再生を実質的にON/OFFさせることができる。
このような回折特性は、例えば、ホログラム層1の屈折率が1.5であり、凹凸面1aにおける段数を8段にして、1段当たりの深さを128nm、および最大深さを896nmにした反射型のホログラム構造体11(すなわち反射型の要素素子21)によって実現することができる。
[第3の実施モード]
図23〜図24は、第3の実施モードに係る各要素素子21の回折特性を示すグラフであり、図23は各要素素子21に対する再生光の入射角度が0°の場合を示し、図24は各要素素子21に対する再生光の入射角度が30°の場合を示す。図23〜図24において、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は回折効率を示し、0次回折光の波長分布は「W0」で示され、1次回折光の波長分布は「W1」で示され、−1次回折光の波長分布は「W−1」で示されている。
図25〜図26は、第3の実施モードに係る各要素素子21を備えるホログラム構造体11によって再生される光像100の例を示し、図25は各要素素子21に対する再生光の入射角度が0°の場合の光像100を示し、図26は各要素素子21に対する再生光の入射角度が30°の場合の光像100を示す。すなわち図25に示す光像100は図23の回折特性を示す要素素子21によって再生される光像であり、図26に示す光像100は図24の回折特性を示す要素素子21によって再生される光像である。なお図25〜図26に示す光像100では、1次回折光像100bおよび−1次回折光像100cは同一の形状(図示の例では「F」形状)を有し且つ点対称に再生される。
本モードに係る各要素素子21では、図23に示すように、再生光の入射角度が0°の場合に、1次回折光の極大値を示す波長が642nmに設定され、0次回折光の極大値を示す波長が702nmに設定されるが、−1次回折光の極大値(特に回折効率が0.3以上の極大値)を示す波長が780nmよりも大きい波長(具体的には802nm)に設定されている。また本モードに係る各要素素子21では、図24に示すように、再生光の入射角度が30°の場合に、0次回折光の極大値を示す波長が606nmに設定され、1次回折光の極大値を示す波長が533nmに設定され、および−1次回折光の極大値を示す波長が705nmに設定されている。
このように再生光の入射角度が0°の場合には、0次回折光および1次回折光が主に可視光波長帯域内の光によって構成され、−1次回折光が主に可視光波長帯域外の光によって構成される。一方、再生光の入射角度が30°の場合には、再生光の入射角度が0°の場合と比べ、0次回折光、1次回折光および−1次回折光のそれぞれを構成する主たる光が全体的に短波長側にシフトし、0次回折光、1次回折光および−1次回折光のいずれもが、主に可視光波長帯域内の光によって構成される。
したがって、本実施モードに係るホログラム構造体11によって白色光の再生光から再生される光像100は、図25〜図26に示すようになる。すなわち再生光の入射角度が0°の場合には、図25に示すように、0次回折光像100aおよび1次回折光像100bが視認可能な赤色の光像として再生されるが、−1次回折光像100cは視認可能な光像としては再生されない(すなわち視認不可能な赤外線の光像として再生される)。なお実際には、可視光波長帯域外の光によって主に構成されるこの光像は、可視光波長帯域内の光を多少含むため、観察者によってはこの光像を視認できる場合もあるが、そのような場合であっても非常に不鮮明な光像として認識される。一方、再生光の入射角度が30°の場合には、図26に示すように、0次回折光像100a、1次回折光像100bおよび−1次回折光像100cはいずれも視認可能な光像としては再生され、赤色の0次回折光像100aを中心とした点対称位置に同一形状を有する緑色の1次回折光像100bおよび赤色の−1次回折光像100cが再生される。
このように本実施モードにおいても、各要素素子21に入射させる再生光の入射角度を0°から増大させるに従って、再生される光像100(すなわち0次回折光像100a、1次回折光像100bおよび−1次回折光像100cの各々)を構成する光の波長は短波長側にシフトする。そして、再生光の入射角度がある角度(本実施モードでは0°〜30°の間におけるある角度)よりも大きくなると、光像100の全体が視認できるようになる(図26参照)。したがって、ホログラム構造体11に対する再生光の入射の傾きを変えることにより、光像100の少なくとも一部(特に−1次回折光像100c)の視認可能な再生を実質的にON/OFFさせることができる。
このような回折特性は、例えば、ホログラム層1の屈折率が1.5であり、凹凸面1aにおける段数を8段にして、1段当たりの深さを234nm、および最大深さを1638nmにした反射型のホログラム構造体11(すなわち反射型の要素素子21)によって実現することができる。
[ホログラム構造体11の製造方法]
次に、ホログラム構造体11(特に凹凸面1a)の製造方法の一例について説明する。以下に説明する方法は一例に過ぎず、所望の凹凸面1aを含むホログラム構造体11を適切に製造可能な他の方法を採用することが可能である。また反射型のホログラム構造体11(図3参照)および透過型のホログラム構造体11(図4参照)のいずれに対しても、以下に説明する製造方法は適用可能である。
まず、原画像の2次元画像がコンピュータによって読み込まれる(Step1)。そしてコンピュータは、読み込んだ2次元画像の各画素値を振幅値とするとともに、各画素に対して0から2πの間のランダムな値を位相値として割り当てることにより、2次元複素振幅画像を得る(Step2)。そしてコンピュータは、この2次元複素振幅画像の2次元フーリエ変換を行うことによって、2次元フーリエ変換画像を得る(Step3)。なおコンピュータは、必要に応じて、繰り返しフーリエ変換法や遺伝的アルゴリズムなどの任意の最適化処理を行ってもよい(Step4)。そしてコンピュータは、2次元フーリエ変換画像の各画素の位相値を、複数段階(例えば「0」、「π/2」、「π」および「3π/2」の4段階、或いは「0」、「π/4」、「π/2」、「3π/4」、「π」、「5π/4」、「3π/2」および「7π/4」の8段階)に離散化する(Step5)。
そして、離散化された対応の位相値に応じた深さを各画素が有するように、2次元フーリエ変換画像に対応するホログラム構造体11(特に凹凸面1a)が作製される(Step6)。例えば、上述のStep5において2次元フーリエ変換画像の画素値が4段階に離散化された場合には、Step6において4段階の深さを持つ凹凸面1a(図7参照)がホログラム層1に形成される。凹凸面1aの深さは、実現しようとする回折効率特性だけではなく、様々な他の関連パラメータ(例えばホログラム構造体11(特にホログラム層1)を構成する材料の屈折率)も考慮されてコンピュータにより決定される。例えば青色の光像を再生するための反射型ホログラム構造体11として、凹凸面1aの段数が4段であり、当該凹凸面1aが1段当たり330nmの光路長を持つホログラム構造体11を作製することができる。なお、反射型のホログラム構造体11および透過型のホログラム構造体11はそれぞれ特有の凹凸面1aの深さ構造を有し、例えば同様の回折特性を実現しようとする場合であっても、ホログラム構造体11の凹凸面1aの深さの具体的な値は反射型と透過型との間で異なる。
ホログラム構造体11の製造装置は特に限定されず、例えば上述のStep1〜5を実行するコンピュータによって制御される装置であってもよいし、当該コンピュータとは別個に設けられた装置であってもよい。また必要に応じて、上述のホログラム構造体11(特に凹凸面1a)の構造に対応する母型(すなわちマスター原版)を、フォトリソグラフィ技術に基づく露光装置や電子線描画装置等により作ってもよい(Step7)。例えば、母型に液状の紫外線硬化性樹脂を滴下し、基材フィルム(例えばPETフィルム(ポリエチレンテレフタラートフィルム))と母型とによって挟まれた状態の紫外線硬化性樹脂に対して紫外線を照射して硬化させ、その後、基材フィルムとともに紫外線硬化性樹脂を母型から剥離することによって、所望の凹凸面1aを有するホログラム構造体11を作製できる。他の方法として、例えば、熱可塑性の紫外線硬化性樹脂を用いる方法、熱可塑性樹脂を用いる方法、熱硬化性樹脂を用いる方法、および電離放射線硬化性樹脂を用いる方法が採用されてもよい。このように母型を使うことで、所望の凹凸面1aを有するホログラム構造体11を簡単且つ大量に複製することが可能である。
反射型のホログラム構造体11の場合、凹凸面1a上に反射層2(例えばAlによって構成される反射層或いはZnSやTiOによって構成される反射層(高屈折率層))が製造装置によって更に形成されてもよい。ただし、ホログラム層1と空気との間の屈折率の差を利用して再生光を反射させるホログラム構造体11の場合には、反射層2を追加的に設けることなく、ホログラム層1の凹凸面1aを空気に露出させたままでもよい。さらに必要に応じて、接着層等の他の機能層(例えばヒートシール層や隣接層間の密着性を高めるためのプライマー層など)がホログラム層1に対して形成されてもよい。また例えば、ホログラム層1の凹凸面1a上に反射層2を形成する場合、凹凸形状を有する反射層2の表面(ホログラム層1とは反対側の表面)上に接着層を形成し、当該接着層によって反射層2の表面の凹部を埋めるようにしてもよい。
[凹凸面の深さと回折光のピーク波長の関係]
ホログラム構造体11の凹凸面1aの段数をNで表し、凹凸面1aの1段当たりで変調される光路長をlで表し、自然数をmで表した場合、回折光のピーク波長λは、以下の式で表される。
λ=N・l/(mN±1)
例えば、任意の自然数mに対して、ホログラム構造体11の1次回折光および−1次回折光のいずれか一方が、可視光波長帯域の範囲においてピーク波長λを1つのみ有する場合、白色光が入射した場合であっても単色で光像を再生することができるホログラム構造体11を実現可能である。例えば光路長lが330nmであり、凹凸面1aの段数Nが4である場合、λ=1320/(4m±1)が成り立つ。したがって、m=1に対してはλ=440nmおよび264nm、m=2に対してはλ=188nmおよび146nm、m=3に対してλ=120nmおよび101nmとなる。mが4以上の場合のピーク波長λはさらに小さな値となる。これらのうち可視光波長帯域に含まれるピーク波長λは、m=1の場合のλ=440nmのみである。したがって、凹凸面1aの段数N=4であり、1段当たりの光路長がl=330nmであるホログラム構造体11を用いる場合、440nmの波長およびその近傍の波長の光によって、観察者50が視認可能な単色の光像を再生することができる。
なお上述のホログラム構造体11によって再生される光像の色(波長帯域)は、屈折率が1.0の空気環境下で使用される場合を想定している。また観察者が上述の反射型ホログラム構造体11によって再生される光像100を観察する場合、ホログラム層1の凹凸面1aが観察者とは反対側に配置され、観察者はホログラム層1を通して凹凸構造(すなわち凹凸面1a)を観察することになる。なお、ホログラム層1の凹凸面1aが観察者と同じ側に配置される場合、観察者が観察するホログラム構造体11からの反射像は、ホログラム層1を通過することなく表面で反射した光によって構成される。例えばカード型のホログラム保持体10の表面に凹凸面1aが形成される場合、ホログラム層1を通過することなく凹凸面1aで反射した光を観察者は観察することになる。このような場合、ホログラム層1の屈折率ではなく、ホログラム層1よりも観察者側の媒体の屈折率、例えば空気の屈折率1.0、に基づいた光路長で、凹凸面1aの1段当たりの深さを設定する必要がある。したがって、ホログラム層1(ホログラム構造体11)の屈折率を空気の屈折率1.0と仮定しつつ、凹凸面1aの構造を設計することで、観察者は所望像を観察することが可能である。具体的には、空気の屈折率を1.0として、凹凸面1aの1段当たりの深さを165nmとした場合、凹凸面1aの1段当たりの光路長は330nmとなる。この場合、凹凸面1aが4段の深さ構造を有することによって、ホログラム構造体11は青系の波長帯域において最大回折効率を示し、青色の光像を再生する。
[第2の実施形態]
ホログラム構造体11が少なくとも2種類以上の要素素子21を含み、これらの少なくとも2種類以上の要素素子21のうちの少なくとも1種類以上を、上述の第1の実施形態に係る要素素子21と同様に構成してもよい。
図27は、第2の実施形態に係る透過型ホログラム構造体11の平面構造の一例を示す概念図である。図28は、図27の透過型ホログラム構造体11によって再生される光像100を説明するための概略図である。図27および図28に示すホログラム構造体11は、市松模様状に配置された複数の第1の要素素子21aおよび複数の第2の要素素子21bを含む。例えば、複数の第1の要素素子21aは青色の「O」の文字の光像100を再生することを可能にする凹凸面1aを有し、複数の第2の要素素子21bは赤色の「K」の文字の光像100を再生することを可能にする凹凸面1aを有する。なお、これは再生光の入射角度が0°の場合を基準とする。この場合、ホログラム構造体11に白色光が入射角度0°で入射すると図28に示すようにホログラム構造体11は青色の「O」および赤色の「K」を再生する。このように本変形例のホログラム構造体11は、2種類の単色の光像100を視認可能に再生することができる。
図27および図28に示すホログラム構造体11において、第1の要素素子21aおよび第2の要素素子21bのうちの少なくとも一方は、上述の第1の実施形態において説明したホログラム構造体11の要素素子21と同様に構成されてもよい。すなわち、第1の要素素子21aおよび第2の要素素子21bのうちの少なくとも一方は、1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方が、380nm以上600nm以下となる波長帯域および780nm以上1200nm以下となる波長帯域の少なくとも一方に、回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有していてもよい。この場合、ホログラム構造体11に対する再生光の入射角度の増大に伴って、再生される光像100の少なくとも一部を消失または出現させることができる。
例えば、第1の要素素子21aおよび第2の要素素子21bのうちの一方のみを、上述の第1の実施形態において説明したホログラム構造体11の要素素子21と同様に構成してもよい。この場合、ホログラム構造体11に対する再生光の入射角度を変化させることによって、「O」の光像100および「K」の光像100のうちの一方の少なくとも一部を視覚上消失または出現させることができる。また第1の要素素子21aおよび第2の要素素子21bの両方を、上述の第1の実施形態において説明したホログラム構造体11の要素素子21と同様に構成する場合、ホログラム構造体11に対する再生光の入射角度を変化させることによって、「O」および「K」の光像100の両方の少なくとも一部を視覚上消失または出現させることができる。
なお第1の要素素子21aおよび第2の要素素子21bのうちの少なくとも一方は、上述の第1実施形態の要素素子21と同様に、1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布の一方のみが、380nm以上600nm以下の波長帯域および780nm以上1200nm以下の波長帯域の少なくとも一方に、回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有していてもよいし、1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布の両方が、380nm以上600nm以下の波長帯域および780nm以上1200nm以下の波長帯域の少なくとも一方に、回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有していてもよい。
なお図28に示す例では、第1の要素素子21aおよび第2の要素素子21bがそれぞれ独立した光像100を再生するが、第1の要素素子21aによって再生される光像と第2の要素素子21bによって再生される光像とが少なくとも一部において重なっていてもよい。この場合、重なり部分の光像は、第1の要素素子21aによって再生される光像の色と第2の要素素子21bによって再生される光像の色とが混ざった色を有する。
図29は、第2の実施形態に係る透過型ホログラム構造体11の平面構造の他の例を示す概念図である。図30は、図29の透過型ホログラム構造体11によって再生される光像100を説明するための概略図である。図29および図30に示すホログラム構造体11は、市松模様状に配置された複数の第1の要素素子21a、複数の第2の要素素子21bおよび複数の第3の要素素子21cを含む。例えば、複数の第1の要素素子21aは青色の光像100を再生することを可能にする凹凸面1aを有し、複数の第2の要素素子21bは赤色の光像100を再生することを可能にする凹凸面1aを有し、複数の第3の要素素子21cは緑色の光像100を再生することを可能にする凹凸面1aを有する。なお、これは再生光の入射角度が0°の場合を基準とする。この場合、ホログラム構造体11は、赤青緑の光像100だけではなく、これらの光像100のうちの2以上を重ね合わせることによって他の色の光像100を再生することも可能である。例えば図30に示すように、赤色円の光像100、緑色円の光像100および青色円の光像100を重ねて再生することによって、赤色円および緑色円が重なった部分は黄色の光像100となり、緑色円および青色円が重なった部分は水色の光像100となり、青色円および赤色円が重なった部分は紫色の光像100となり、赤色円、緑色円および青色円が重なった部分は白色の光像100となる。
図31は、第2の実施形態に係る透過型ホログラム構造体11の他の例によって再生される光像100を説明するための概略図である。各要素素子21は、任意の階調を持つ色によって光像を再生することも可能であり、赤色の光像を再生する第1の要素素子21a、青色の光像を再生する第2の要素素子21bおよび緑色の光像を再生する第3の要素素子21cの各々が、階調の異なる複数種類の要素素子を含むことができる。また任意の階調を持つ原画像に基づいて各要素素子21を設計する場合にも、任意の階調を持つ色によって光像を再生することが可能である。これらの場合、ホログラム構造体11は、白色光が入射した場合に図31に示すようなフルカラーの光像100を再生することも可能である。
図29〜図31に示すホログラム構造体11において、第1の要素素子21a、第2の要素素子21bおよび第3の要素素子21cのうちの少なくとも一種類は、上述の第1の実施形態において説明したホログラム構造体11の要素素子21と同様に構成されてもよい。すなわち、第1の要素素子21a、第2の要素素子21bおよび第3の要素素子21cのうちの少なくとも一種類は、1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方が、380nm以上600nm以下となる波長帯域および780nm以上1200nm以下となる波長帯域の少なくとも一方に、回折効率の極大値(例えばホログラム構造体11の凹凸構造の段数が2段の場合には回折効率が0.15以上の極大値、また当該凹凸構造の段数が3段以上の場合には回折効率が0.3以上の極大値)を有していてもよい。この場合、ホログラム構造体11に対する再生光の入射角度の増大に伴って、再生される光像100の少なくとも一部を消失または出現させることができる。
なお上述の図27および図29に示すホログラム構造体11は、縦方向および横方向の双方に関して隣接配置される要素素子21の種類が互いに異なっているが、複数種類の要素素子21の配置態様は特に限定されない。例えば、ホログラム構造体11は、ストライプ状に配置された複数種類の要素素子21を含んでいてもよく、縦方向および横方向のうちの一方に関しては隣接して配置される要素素子21の種類が異なっているが、他方に関しては隣接して配置される要素素子21の種類が同じであってもよい。また上述の市松模様状配置およびストライプ状配置が組み合わされた配置態様によって、複数種類の要素素子21が配置されてもよい。
[用途]
上述のホログラム構造体11(光変調素子)およびホログラム保持体10の使用形態や用途は特に限定されず、例えば、キャラクター像を再生するなどエンターテイメント用途および意匠用途として使用することが可能である。またセキュリティ用途では、例えば以下の対象に対してホログラム構造体11(光変調素子)を適用可能である。ホログラム保持体10を情報記録媒体として使用する場合、例えばパスポート、ID証、紙幣、クレジットカード、金券、商品券、その他のチケット、公的文書、個人情報や機密情報などの各種の情報を記録したその他の媒体、および金銭的価値のある他の媒体等に対し、本発明に係る光変調素子および情報記録媒体を応用することが可能であり、これらの偽造を防ぐことができる。ここでいうID証には、例えば国民ID証、免許証、会員証、社員証および学生証などが含まれる。ホログラム保持体10において、ホログラム構造体11を保持する基材(図2の符合「4」参照)は、例えば紙、樹脂、金属、合成繊維、或いはこれらの組み合わせによって構成可能である。また基材に開口部(図2の符合「4a」参照)が形成される場合、当該開口部の全域をホログラム構造体11で覆っていてもよいし、当該開口部の一部のみをホログラム構造体11を配置してもよい。このホログラム構造体11は、外観上は、透明部材として構成されうる。例えば、透過型のホログラム構造体11を保持するホログラム保持体10の裏面側に点光源を配置し、観察者がホログラム保持体10の表面側からホログラム構造体11を通して点光源を観察することで、観察者は、ホログラム構造体11に記録されたセキュリティ情報を視認することができる。このセキュリティ情報は、例えば、ホログラム保持体10の真贋判定などに利用できる。
また、上述のホログラム保持体10に対して本発明に係る光変調素子を任意の方法で適用することが可能であり、例えば、ホログラム保持体10の表面への凹凸形成、転写、貼付、挟み込み、或いは埋め込み等の技法を使って、本発明に係る光変調素子を任意の物(すなわちホログラム保持体10)に保持させることができる。したがって、ホログラム保持体10を構成する部材の一部を利用してホログラム構造体11を形成してもよいし、ホログラム保持体10に対してホログラム構造体11を付加的に設けてもよい。
また上述のホログラム構造体11は、単独で各種用途に利用されてもよいし、印刷層等の他の機能層と一緒に使用されて各種用途に利用されてもよい。
[ホログラム層の構成材料]
ホログラム層1を構成する材料は特に限定されないが、上述のように、各種樹脂によってホログラム層1を構成することが可能である。以下に、各種樹脂の具体例について列挙する。
ホログラム層1を構成する熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、ホログラム層1を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独重合体であっても2種以上の構成成分からなる共重合体であってもよい。また、これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂は、各種イソシアネート化合物、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の金属石鹸、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の有機過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルスルフィド等の熱或いは紫外線硬化剤を含んでいてもよい。
ホログラム層1を構成する電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等が挙げられ、中でもウレタン変性アクリレート樹脂が好ましく、特に特開2007−017643号公報で示される化学式で表されるウレタン変性アクリル系樹脂が好ましい。
上記電離放射線硬化性樹脂を硬化させる際には、架橋構造、粘度の調整等を目的として、単官能または多官能のモノマー、オリゴマー等を併用することができる。上記単官能モノマーとしては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、2官能以上のモノマーとしては、骨格構造で分類するとポリオール(メタ)アクリレート(例えば、エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、ホスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、紫外線、電子線硬化性である種々のモノマー、オリゴマー、ポリマーが利用できる。
更に詳しくは、2官能のモノマーやオリゴマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。3官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。4官能のモノマーやオリゴマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。5官能以上のモノマーやオリゴマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、ホスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。官能基数は特に限定されるものではないが、官能基数が3より小さいと耐熱性が低下する傾向があり、また、20を超える場合には柔軟性が低下する傾向があるため、特に官能基数が3〜20の範囲内のものが好ましい。
上記のような単官能または多官能のモノマーやオリゴマーの含有量は適宜調整可能だが、通常、電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して50重量部以下とすることが好ましく、中でも0.5重量部〜20重量部の範囲内が好ましい。
また、ホログラム層1には必要に応じて、光重合開始剤、重合禁止剤、劣化防止剤、可塑剤、滑剤、染料や顔料などの着色剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、およびチクソトロピー性付与剤等の添加剤が適宜加えられてもよい。
ホログラム層1の膜厚は、ホログラム層1が自己支持性を有する場合、0.05mm〜5mmの範囲内が好ましく、中でも0.1mm〜3mmの範囲内であることが好ましい。一方、ホログラム層1が自己支持性を有さずに基材上に形成される場合、ホログラム層1の膜厚は、0.1μm〜50μmの範囲内が好ましく、中でも2μm〜20μmの範囲内とすることが好ましい。また、ホログラム層1のサイズ(例えば平面視サイズ)は、ホログラム構造体11の用途に応じて適宜設定可能である。
[他の変形例]
上述の各実施形態および各変形例で用いられるホログラム構造体11は、図5に示すように複数の要素素子21から構成されているが、単一の要素素子21によってホログラム構造体11が構成されていてもよい。
また各要素素子21の平面視サイズおよび平面視形状も特に限定されず、各要素素子21は任意のサイズおよび形状を有しうる。例えば、各要素素子21の平面視形状を、正方形、長方形、台形等の四角形、他の多角形状(例えば三角形、五角形、六角形等)、真円、楕円、他の円形、星型形状、或いはハート型形状等であってもよく、ホログラム構造体11は2種類以上の平面視形状の要素素子21を有していてもよい。
またホログラム構造体11には、任意の機能層が付加されてもよく、例えば透明蒸着層によってホログラム構造体11を覆ってもよい。特に光沢を持たない透明蒸着層を設けることによって、ホログラム構造体11が光沢を持つことを防いで、ホログラム構造体11を隠蔽することもできる。ホログラム構造体11を隠蔽する観点から、そのような透明蒸着層の全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、とりわけ90%以上であることがより好ましい。また反射型のホログラム構造体11では反射性の蒸着層(図2の反射層2参照)によってホログラム構造体11を覆うことができる。反射性蒸着層の構成材料として、例えばMg、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Se、Rb、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Au、Pb、若しくはBi等の金属が挙げられる。また、透明蒸着層の構成材料として、例えば、ZnSやTiOなどをはじめとする上記金属の酸化物及び硫化物が挙げられる。これらの材料を単独で用いて蒸着層が構成されてもよいし、2以上の材料が組み合わされて蒸着層が構成されてもよい。
ホログラム層1上(特に凹凸面1a上)に設けられる蒸着層の厚みは、所望の反射性、色調、デザインおよび用途等の観点から適宜に設定でき、例えば50Å〜1μmの範囲内であることが好ましく、中でも100Å〜1000Åの範囲内であることが好ましい。特に、蒸着層の透明性を優先する場合には蒸着層の厚みは200Å以下であることが好ましい一方で、蒸着層の隠蔽性を優先する場合には蒸着層の厚みは200Åを超える厚みであることが好ましい。また蒸着層の形成方法としては、蒸着層の一般的な形成方法を採用でき、例えば真空蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法等が挙げられる。
本発明は、上述の実施形態および変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態および変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また、上述の構成要素および/または方法以外の構成要素および/または方法を含む形態も、本発明の実施形態に含まれうる。また、上述の構成要素および/または方法のうちの一部の要素が含まれない形態も、本発明の実施形態に含まれうる。また、本発明のある実施形態に含まれる一部の構成要素および/または方法と、本発明の他の実施形態に含まれる一部の構成要素および/または方法とを含む形態も、本発明の実施形態に含まれうる。したがって、上述の実施形態および変形例、および上述以外の本発明の実施形態の各々に含まれる構成要素および/または方法同士が組み合わされてもよく、そのような組み合わせに係る形態も本発明の実施形態に含まれうる。また、本発明によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本発明の技術的思想および趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書および図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
1 ホログラム層
1a 凹凸面
2 反射層
4 基材
4a 開口部
10 ホログラム保持体
11 ホログラム構造体
21 要素素子
50 観察者
51 光源
51a 光源
51b 光源
100 光像
100a 0次回折光像
100b 1次回折光像
100c −1次回折光像

Claims (9)

  1. 入射される再生光の位相を変調することで光像を再生する要素素子を備え、
    前記要素素子は、凹凸面を有し、
    前記要素素子についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方が、380nm以上600nm以下となる波長帯域および780nm以上1200nm以下となる波長帯域の少なくとも一方に、回折効率の極大値を有する、光変調素子。
  2. 前記1次回折光の回折効率の波長分布および前記−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの少なくとも一方が含む前記回折効率の極大値に関する半値全幅は、200nm以下である、請求項1に記載の光変調素子。
  3. 前記要素素子についての1次回折光の回折効率の波長分布および−1次回折光の回折効率の波長分布のうちの一方が、380nm以上600nm以下となる波長帯域および780nm以上1200nm以下となる波長帯域の少なくとも一方に、前記回折効率の極大値を有し、他方が600nmよりも大きく780nmよりも小さい波長帯域に回折効率の極大値を有する請求項1又は2に記載の光変調素子。
  4. 入射される再生光の位相を変調することで光像を再生する要素素子を備え、
    前記要素素子は、凹凸面を有し、
    前記要素素子への再生光の入射角度を変化させることで、前記光像を再生する光の波長帯域を380nmよりも小さくまたは780nmよりも大きくすることができる、光変調素子。
  5. 入射される再生光の位相を変調することで光像を再生する要素素子を備え、
    前記要素素子は、凹凸面を有し、
    前記要素素子への再生光の入射角度を変化させることで、光像を不可視化することができる、光変調素子。
  6. 前記要素素子はフーリエ変換ホログラムである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光変調素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光変調素子を備える情報記録媒体。
  8. 前記光像は、文字、記号および絵柄のうちの少なくともいずれか1つに基づく情報を表す請求項7に記載の情報記録媒体。
  9. 所定サイズの開口部を有する基材を更に備え、
    前記光変調素子の少なくとも一部は、前記開口部に対応する位置に配置される請求項7又は8に記載の情報記録媒体。
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鈴木等・高田聡: "回折光学素子を用いた光学設計", 光学, vol. 25巻/12号, JPN6021007405, 1996, pages 684 - 689, ISSN: 0004457676 *

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