JP2019049138A - 自由勾配側溝の敷設方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】側溝敷設期間の短縮化及び敷設費用の低廉化を図るとともに、安全かつ確実な側溝の高さ調整作業が行い得る自由勾配側溝の敷設工法を提供する。【解決手段】基礎砕石面敷設工程と、高さ調整部材6により正面視で門型の自由勾配側溝1の施工基準面高さを調整し、基礎砕石面5と自由勾配側溝の下端との間に所定の空間10を形成して自由勾配側溝を据付けるコンクリート製品据付工程と、前記空間に生コンクリートを流し込むコンクリート打設工程と、を含み、コンクリート打設工程は、空間にて基礎砕石面上に一体成形される基礎コンクリート部8aと、基礎コンクリート部上に一体成形されて所定勾配の水路底面11aを成形するインバートコンクリート部8bと、を同時に打設する。【選択図】図1

Description

本発明は、水路勾配をつけることが可能な自由勾配側溝(可変側溝)を道路脇などに敷設する施工方法の改良に関する。
発明者の一人は国土交通省(旧建設省)に30数年技官としての勤務経験があり、永い間、発注者の立場で施工現場の多くを見聞きした実体験と永年の経験を基に、構造物を設計、積算、監督、検査をしていく段階で次のような多くの課題に接してきている。
(1)安心かつ安全に働ける職場環境の構築と整備、つまり労働災害の防止を図る必要がある。
(2)構造物の費用対効果、つまり安価で耐久性のある構造物を作る為に、従来の施工方法が最善か、また改善、改良の余地が無いのかを考える必要がある(コスト削減)。
(3)利便性と利用者の安全を優先した構造物を作る必要がある。
(4)構造物を作る場合、工事時に起こる騒音、交通規制等により近隣住民、また道路を通行される方に大きな支障が出る。この支障となる工事期間を出来る限り短縮を図る必要がある。
(5)道路、河川、砂防施設等の構造物(公共施設)を作る場合には、狭い国土の中では出来る限り用地を有効的に利用する必要がある。
(6)設計された構造物を出来る限り、指示図面の寸法に従い正確に作る必要がある。
道路、河川堤防、砂防施設等の構造物(公共施設)を作る場合、雨水、排水路対策として、道路脇や河川堤防脇などに側溝(用水、排水等兼用の水路)を作る必要がある。特に、平坦な場所に水を流したい場合や、低所から高所に向けて水を流したい場合には、水路勾配をつける必要があり、このような場合には、水路底を現場にて施工可能な門型の側溝、すなわち自由勾配側溝(可変側溝)が利用されている。また、道路、河川堤防等の脇に設置される側溝は、蓋を掛け、歩道または車道、隣接家屋の出入り口として有効に利用されている。
自由勾配側溝を敷設する従来工法の一例として、特許文献1に開示の技術が提案されている。
ここで、従来工法の一例を図2(b)及び図9に示す。
従来工法は、[基礎砕石面敷設工程]→[基礎型枠設置工程]→[基礎コンクリート打設工程]→[表面仕上げ工程]→[基礎コンクリート養生工程]→[基礎型枠撤去工程]→[レイタンス除去工程]→[自由勾配側溝の据付工程]→[インバートコンクリート打設工程]→[インバートコンクリート養生工程]→[埋め戻し・転圧工程]の各工程によって構成されている。
[基礎砕石面敷設工程]
側溝を設置する前の作業として、施工面を掘削し、砕石を裏込め、転圧して基礎砕石面100を敷設する(図2(b)S1−S2、図9(a))。
すなわち、床堀を最初に行い、その後、基礎となる砕石を人力と機械で敷均し、タンパ−等の転圧機械を用いてしっかりと転圧を行う。
[基礎型枠設置工程][基礎コンクリート打設工程]
転圧が終わると、基礎型枠200を設置し、基礎型枠200で囲まれた領域内に生コンクリ−トを流し込み、バイブレ−タ−を使い締め固め、基礎コンクリ−ト300を作る(図2(b)S3−S4、図9(b)(c))。
[表面仕上げ工程]
基礎コンクリート部の上面部を丁寧かつ正確に仕上げないと、次の工程で自由勾配側溝(コンクリート二次製品)の据付けが困難となる。
従って、熟練したコンクリート仕上げ工と言われる職人により左官仕上げ(表面仕上げ)が行なわれる(図2(b)S5)。
[基礎コンクリート養生工程][基礎型枠撤去工程]
その後、養生を行い、所定の強度が発現してから、基礎型枠200を取り外し、側溝の基礎(基礎コンクリート300)が完成する(図2(b)S6−S7)。
[レイタンス除去工程]
基礎コンクリート部の養生後、新しくインバートコンクリートを打継ぐ前に、レイタンス(コンクリートの不純物)を除去する(図2(b)S8)。
[自由勾配側溝の据付工程]
次に、上記工程によって完成した基礎コンクリート300上に自由勾配側溝(コンクリート製品)400を設置する。このとき、自由勾配側溝400の高さ調整を図る(図2(b)S9、図9(d))。
[インバートコンクリート打設工程]
次に、基礎コンクリート300の上面と側溝400の側壁401によって囲まれた領域にインバートコンクリート500を打設する(図2(b)S10、図9(b))。
[インバートコンクリート養生工程]
その後、養生を行い、側溝400の底面、すなわち、水路底が完成する(図2(b)S11、図9(f))。
[埋め戻し・転圧工程]
そしてその後、埋め戻しを行い、しっかりと転圧を行い水路が完成する(図2(b)S12、図9(g))。
特許第4471211公報
[課題1]
このように、従来の敷設方法によって自由勾配側溝を敷設するには、上述の通りS1〜S12に示す多工程にわたる作業が必要であった。
しかし、このように工程が多く必要であると、必然的に工期が長引くばかりか掛かるコストも高騰してしまうという課題があった。
[課題2]
また、このような自由勾配側溝は、コンクリ−ト二次製品工場で作られた製品を施工現場にて敷設するのが一般的である。
コンクリ−ト二次製品工場で製作される自由勾配側溝は、セメント、骨材、水で練り混ぜた生コンクリ−トを鋼製型枠に流し込み、養生を行い、脱型枠を行い二次製品になる。
しかし、側溝製作時においてコンクリ−トを打ち込む面は型枠で拘束されないため、コンクリ−トが硬化するのにともない、沈下や収縮が発生しやすくなるため、寸法に誤差が生じやすくなる。
この為、二次製品(1個あたり長さ50cm〜200cm程度を考える)に許容誤差として、余裕を持たせてある。
また、毎回の型枠の組立による誤差もあり、型枠拘束面は、長さ方向と幅方向で±5mm、打ち込み面は深さ方向で±5mmから±7mmの余裕を持たせてある。
さらに、基礎(基礎コンクリート)の高さにも許容誤差として、±30mmの余裕を持たせてある。
従って、基礎の完成した後、側溝を個別に設置した場合において、隣接する側溝との間に±30mmの高さの違いがあったとしても、検査では合格とせざるを得ないものである。
しかし、このような状況下では、実際に水路が完成しても、求める勾配が得られず、水路を流れる水が滞ってしまったりするといった問題も生じている。
また上部に蓋を掛けて利用する場合には、段差が出来てしまうこともあり、この段差によって歩行時に躓いて転倒したり、車の走行時に異常な振動と蓋部分のガタガタ音が発生し、さらに破損の原因となってしまったりなどの問題も生じている。
そこで従来からこのような課題を解決するため、技術者の方が永年の経験を基に、基礎コンクリ−ト上に設置する側溝を、吊り上げ機械を利用して上げ下げ操作を何回も行い、モルタルで微妙な高さ調整を行いながら設置することにより、隣り合う側溝同士の高さに違いが出ないように微妙な調整を行っている。
この様に、苦労しながら側溝を設置されていくものであるが、技術者の経験、力量により、仕上がりに差がでてくるのが現状である。
さらに、「一人親方」と言われる技術者、技能者、作業員の方々がおり、これらの方々は、優秀な技能と経験を持っており、元気に仕事が出来る間は特に問題は少ない。しかし、職場で不慮の怪我等をした場合、たちまち仕事に従事出来ず、収入が途絶える事になる。側溝一個当たりの重量はかなり重く、据付時に、基礎コンクリ−トとの間に指が挟まれるという事故があった場合、骨折、捻挫、ヒビ等が考えられ、職場復帰に時間を要し収入が途絶える事につながってしまうといった業界特有の問題も抱えている。
[課題3]
例えば、国土交通省中国地方整備局管内における土木工事では、国土交通省中国地方整備局監修の小構造物標準設計図集を基に自由勾配側溝などの構造物を設計するように決められている。
自由勾配側溝の基礎コンクリート部は、水路の大きさにより、構造物の重量に耐えるよう、最低厚さ5cm以上が考えられている。
ここで、基礎コンクリート部の上面部を丁寧かつ正確に仕上げないと、次の工程で自由勾配側溝(コンクリート二次製品)の据付けが困難となる。
従って、従来は、熟練したコンクリート仕上げ工と言われる職人により左官仕上げが行なわれているのが現状であった。そして、その後、決められたコンクリートの強度が出るまで養生を行わなければならない。
しかし、熟練した高度な技術者を確保する必要があるという課題とともに、仕上げ及び養生工程に多大な時間を要する必要があるという課題をも抱えていた。また、土木工事標準仕様書(案)によれば、硬化に必要な温度および湿潤状態に保ち、有害な作用の影響を受けないように、養生しなければならない、と記載されているため、養生工程においても十分な管理が求められ、管理手間が多大であった。
さらに、基礎コンクリート部の養生後、新しくインバートコンクリートを打継ぐ前に、レイタンス(コンクリートの不純物)を除去する必要がある。このことは、土木工事標準仕様書(案)に記載されている。
すなわち、レイタンスを除去しないで新しく打継ぎコンクリート(新コンクリート)を打設した場合には、始めに打設したコンクリート(旧コンクリート)と打継ぎ面との間で剥離が起こり、構造物としての耐久性に問題が生じるとともに、剥離部から漏水が生じ、不良、不適格な工事となる虞がある。
従って、従来は、このように不良、不適格な工事とならないようにするため、側溝の狭い空間を利用し、苦渋な体勢と粉塵を受け、苦労しながら、レイタンスを除去しているのが現状であり、大変な作業を強いられると共に作業環境も好ましいものではなかった。
本発明は、この問題を解決するためになされており、その目的は、側溝敷設期間の短縮化及び敷設費用の低廉化を図るとともに、簡単、安全かつ確実な側溝の敷設作業が行い得る自由勾配側溝の敷設工法を提供することにある。
このような目的を達成するために、第1の発明は、施工面を掘削し、砕石を裏込め、転圧して基礎砕石面を敷設する基礎砕石面敷設工程と、
前記基礎砕石面の上面所定位置に、高さ調整部材を介してコンクリート製品を配設するとともに、前記高さ調整部材により前記コンクリート製品の施工基準面高さを調整し、前記基礎砕石面と前記コンクリート製品の下端との間に所定の空間を形成して前記コンクリート製品を据付るコンクリート製品据付工程と、
前記基礎砕石面と前記コンクリート製品との間の空間に生コンクリートを流し込むコンクリート打設工程と、を含み、
前記コンクリート製品は、正面視形状で略門型を有する自由勾配側溝であって、
前記高さ調整部材は、逆ネジの第一の雌ネジ部と第二の雌ねじ部を内面に設けたナット部と、前記ナット部の第一の雌ねじ部に螺合して進退可能に配される第一の伸縮部材と、前記ナット部の第二の雌ねじ部に螺合して進退可能に配される第二の伸縮部材と、で構成され、ナット部の左右方向の回転作動によって第一の伸縮部材と第二の伸縮部材とが、同時に同一の進退動作を行うものであて、
前記コンクリート打設工程は、前記空間にて基礎砕石面上に一体成形される基礎コンクリート部と、前記基礎コンクリート部上に一体成形されて所定勾配の水路底面を成形するインバートコンクリート部と、を同時に打設することを特徴とする自由勾配側溝の敷設方法としたことである。
第2の本発明は、第1の本発明において、前記コンクリート製品の下端には、連結口を開放してコンクリート製品内に埋設されたインサート部材が備えられており、
前記高さ調整部材は、少なくとも基礎砕石面上に据付る前には、前記インサート部材に、前記第二の伸縮部材の遊端側を螺合して前記コンクリート製品の下端に一体に吊り下げ保持されていることを特徴とする自由勾配側溝の敷設方法としたことである。
第3の本発明は、第1の本発明において、前記高さ調整部材は、前記コンクリート製品の下端と前記基礎砕石面との間に配設されることを特徴とする自由勾配側溝の敷設方法としたことである。
第4の本発明は、第1乃至第3の本発明のいずれかにおいて、前記高さ調整部材は、第二の伸縮部材が長短交換可能であることを特徴とする自由勾配側溝の敷設方法としたことである。
本発明によれば、側溝敷設期間の短縮化及び敷設費用の低廉化を図るとともに、簡単、安全かつ確実な側溝の高さ調整作業が行い得る自由勾配側溝の敷設工法を提供し得る。
本発明の自由勾配側溝の敷設方法の第一実施形態に係る工程概略図である。 (a)は本発明の自由勾配側溝の敷設方法の第一実施形態に係る工程フロー図、(b)は従来の自由勾配側溝の敷設方法の一実施形態に係る工程フロー図である。 第一実施形態の自由勾配側溝の敷設方法において高さ調整を図った状態の部分拡大図である。 図3の実施形態と比して長い第二の伸縮部材に交換した実施の形態を示す部分拡大図である。 他の形態の自由勾配側溝を用いた場合の敷設方法に係る工程概略図である。 図5に示す形態の自由勾配側溝の敷設方法において高さ調整を図った状態の部分拡大図である。 図6の実施形態と比して長い第二の伸縮部材に交換した実施の形態を示す部分拡大図である。 他の自由勾配側溝を用いた敷設方法において高さ調整を図った状態の概略図である。 従来の自由勾配側溝の敷設方法に係る工程概略図である。
以下、本発明の一実施形態に係る自由勾配側溝の敷設方法について、添付図面を参照しつつ説明する。
なお、本実施形態は、本発明の一実施形態にすぎず、何等これに限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
「第一実施形態」
本実施形態にて用いられる自由勾配側溝(コンクリート製品)1は、例えば、図1に示す正面視形状で略門型の標準タイプが想定される。
自由勾配側溝1は、上壁2と、上壁2の両側からそれぞれ垂設される側壁3,3とで構成されており、上壁2には、側溝蓋を配設するための図示しない開口が設けられている。
図中、符号4は、隣り合う側溝同士を連結するボルト(図示しない)を固定するための穴であって、目地離れ防止に寄与する。また、図示はしていないが、側壁3の前端面3a部分に、側壁3の高さ(深さ)方向(図にて矢印Hで示す方向)にわたって架け渡されるゴム等のシール材を備えることも可能で、このシール材の採用によって目地処理が不要となる。なお、シール材を備える場合、成形時に、シール材を嵌め込むための長溝を前端面3aに同時に設ける。
本実施形態に示す自由勾配側溝1の側壁3の下端面3bには、連結口9bを開放して側壁3内にインサート部材9が埋設されている。
このインサート部材9は、後述する高さ調整部材(本実施形態の高さ調整部材を「ピタコン」とも称する)6の第二の伸縮部材6bの遊端側を螺合するためのもので、正ネジの雌ネジ部9aが内周に形成されている。
本実施形態では、それぞれの下端面3bの前後位置に一つずつ、計4個埋設されている。
なお、自由勾配側溝1は、側溝蓋配設用の開口を設けていない暗渠タイプの側溝であってもよい。
本発明の敷設方法において用いることが可能な自由勾配側溝は特に図示形態に限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内において適宜最適なものが用いられる。
本発明の自由勾配側溝の敷設方法は、図1及び図2(a)に示すとおり、[基礎砕石面敷設工程]→[コンクリート製品(自由勾配側溝)据付(仮置き)工程]→[型枠組み立て工程]→[コンクリート打設工程]→「コンクリート養生工程」→[型枠撤去工程]→「埋め戻し・転圧工程」によって構成されている。具体的には次の通りである。
[基礎砕石面敷設工程]
基礎砕石面敷設工程は、従来技術と同じく、施工面を掘削し、砕石を裏込め、転圧して基礎砕石面5を敷設する(図1(a)、図2(a)S1−S2)。
[コンクリート製品(自由勾配側溝)据付(仮置き)工程]
基礎砕石面5の上面所定位置に、高さ調整部材6を介してコンクリート製品である自由勾配側溝1を配設する(図1(b)、図2(a)S3)。
そして、高さ調整部材6により自由勾配側溝1の施工基準面高さを調整し、基礎砕石面5と自由勾配側溝1の側壁3の下端面3aとの間に所定の空間10を形成して自由勾配側溝1を据付ける(仮置きする)。
また、コンクリート製品据付工程は、自由勾配側溝(コンクリート製品)1と基礎砕石面5との間の空間10に、まずは所定のジャッキ(図示せず)を配し、該ジャッキによって自由勾配側溝(コンクリート製品)1の施工基準面高さを調整し、その後、高さ調整部材6で、基礎砕石面5の上面に据え置きした自由勾配側溝(コンクリート製品)1の施工基準面高さを調整するとともにその高さ位置を固定し、その後、ジャッキを取り外す工程を採用することも本発明の範囲内である。
[型枠組み立て工程][コンクリート打設工程]
次に、型枠7を配設するとともに、基礎砕石面5と自由勾配側溝1との間の空間10に生コンクリートを流し込む(図1(c)(d)、図2(a)S4−S5)。
この生コンクリートの打設工程では、空間10にて基礎砕石面5上に一体成形される基礎コンクリート部8aと、基礎コンクリート部8a上に一体成形されて所定勾配の水路11の底面11aを成形するインバートコンクリート部8bと、を同時に打設する。すなわち、本実施形態によれば、従来別工程によって打設していた基礎コンクリート部8aとインバートコンクリート部8bとが同時に一つの作業で打設し得るため、作業時間の短縮化が図れる。
「コンクリート養生工程」[型枠撤去工程]
その後、養生を行い、型枠を撤去すると、側溝の底面、すなわち、水路11の底面11aが完成する(図1(d)、図2(a)S6−S7)。
「埋め戻し・転圧工程」
そしてその後、埋め戻しを行い、しっかりと転圧を行い水路11が完成する(図1(e)、図2(a)S8)。
本実施形態によれば上述の通りS1−S8までの工程で完了であって、S1−S12までの長期の工程を強いられる従来工法と比しても、このように少ない工程で自由勾配側溝を敷設することが可能であるため、側溝敷設期間の短縮化及び敷設費用の低廉化を図ることができる。
すなわち、本実施形態によれば、基礎コンクリート部8aとインバートコンクリート部8bとを同時に一体に打設することができるため、従来のように、熟練した職人(コンクリート仕上げ工)による基礎コンクリート上面部の左官仕上げ(表面仕上げ工程)も不要となり、さらにコンクリートの養生工程も少なくて済むため、作業時間の多大な削減となる。
また、基礎コンクリート部8aとインバートコンクリート部8bとの間の打継ぎ面が存在しないため、従来のように、インバートコンクリートを打継ぐ前のレイタンス除去(レイタンス除去工程)の必要もない。従って、側溝内での狭く不健康な環境での作業が不要となるとともに、従来のように、打継ぎ面からの剥離・漏水の問題もなく、結果として不良・不適格な工事の発生もない。
さらに、上述の通り本実施形態によれば、自由勾配側溝1を高さ調整部材6で基礎砕石面5上から浮かせ、基礎コンクリート部8aとインバートコンクリート部8とを同時に打設でき、これにより、自由勾配側溝1の側壁3の下端面3bの外面3cを所定高さまで巻き込むように、連続して高さ方向Hに向けて立ち上げ形成された外側立ち上り壁8cを設けて打設されるため、水路11内からの漏水を防止することができる(図1(d)−(e)参照。)。また、土砂による埋め戻し、舗装等の横荷重に対しても移動、変動を防ぐ事ができる。
本実施形態では、外側立ち上り壁8cの頂面高さレベルと、水路11を構成する底面11aの高さレベルとが、略同一の高さとなるように設定されている。
なお、外側立ち上り壁8cの高さは水路11の底面11aよりも高く設定されるものであってもよく本発明の範囲内で設計変更可能である。
本実施形態で採用される高さ調整部材6は、逆ネジの第一の雌ネジ部6a1と正ネジの第二の雌ねじ部6a2を、それぞれ内面に設けたナット部6aと、ナット部6aの第一の雌ねじ部6a1に螺合して進退可能に配される第一の伸縮部材6bと、ナット部6aの第二の雌ねじ部6a2に螺合して進退可能に配される第二の伸縮部材6cと、で構成されている。
ナット部6aは、外面が略六角筒状に形成されている。なお、図面は概略であって詳細を省略している。また、六角筒状に限定されるものではなく他の角筒状、あるいは円筒状であってもよい。
第一の伸縮部材6bは、平頭ボルトが用いられている。第一の伸縮部材6bの外周には雄ネジ部(逆ネジ)6b1が設けられている。
すなわち、本実施形態の第一の伸縮部材6bは、一端側がナット部6aの第一の雌ねじ部6a1に螺合されるとともに、他端側は、基礎砕石面5の上面に当接する接地面部6b2が一体に形成されている。接地面部6b2は、本実施形態では所定厚みを有する円板状に形成されている。なお、接地面部6b2は、円板状に限定されない。又接地面部6b2を有していない形態であっても本発明の範囲内である。
第二の伸縮部材6cは、全ネジボルトが用いられている。第二の伸縮部材6cの外周には雄ネジ部(正ネジ)6c1が設けられている。
すなわち、本実施形態の第二の伸縮部材6cは、一端側がナット部6aの第二の雌ねじ部6a2に螺合されるとともに、他端側は、自由勾配側溝1の側壁3の下端面3bに埋設されているインサート部材9の雌ねじ部9aに螺合される。
すなわち、本実施形態によれば上述の通りに構成されているため、ナット部6aの左右いずれかの方向への回転作動によって、第一の伸縮部材6bと第二の伸縮部材6cとが、同時に同一の進退動作(伸長動作と短縮動作)を行うことができる。図中、符号E1は伸長方向、符号C1は短縮方向を示す。
このように本実施形態では上述の構成を有する高さ調整部材6を採用しているため、従来のように、技術者がモルタルで微妙な高さ調整を行うなど、高度な技術は全く不要となり、簡単かつ確実に自由勾配側溝の高さ調整が行い得る。
従って、実際に水路が完成しても、求める勾配が得られず、水路を流れる水が滞ってしまったりするといった問題も生じず、また上部に蓋を掛けて利用する場合であっても段差が生じないため、段差によって歩行時に躓いて転倒したり、車の走行時に異常な振動と蓋部分のガタガタ音が発生し、さらに破損の原因となってしまったりなどの問題も生じない。
高さ調整部材6は、少なくとも基礎砕石面5上に据付ける(仮置きする)前には、インサート部材9の雌ねじ部9a一杯に、第二の伸縮部材6cの遊端側を螺合して、自由勾配側溝1の下端面3bに一体に吊り下げ保持されている。
高さ調整部材6を、自由勾配側溝1の下端面3bに一体に吊り下げ保持させるのは、施工現場に運搬する以前であってもよく、あるいは、施工現場にて一体に吊り下げ保持させるものであってもよく、本発明の範囲内で適宜最適な方法を選択可能である。
このように自由勾配側溝1を基礎砕石面5上に置く際に、予め高さ調整部材6を自由勾配側溝1の下端面3bに一体に吊り下げ保持させていれば、この高さ調整部材6が安全筋としての機能を兼ねることにもなる。
すなわち、自由勾配側溝1を基礎砕石面5上に置く際に、誤って落下させてしまったような場合であっても、この高さ調整部材6によって基礎砕石面5との間で空間10を形成することができるため指等を挟んでしまう虞も少なく安全面での向上が図れる。特に、建築業界も高齢化・素人化が進む中、このような安全面に考慮した構成は大変有用である。
また、自由勾配側溝1を縦断方向(水の流れる方向)に据え付ける場合、水糸と呼ばれる、据付する際の基準となるものを張る。
本実施形態によれば、高さ調整部材6によって、自由勾配側溝1と基礎砕石5の上面との間に、隙間が(自由勾配側溝の大きさにより)5cm以上確保出来るため、この水糸を水の流れる方向に設置する際、技術者は目で確認しながら施工計画通りに水糸の設置が簡単、確実に行える。
さらに、本実施形態によれば、自由勾配側溝1を、高さ調整部材6により支える事が出来るため、基礎コンクリート部8aとインバートコンクリート部8bとを同時に打設した後に行うバイブレーターによる締固め時において、自由勾配側溝1の沈下(とも下り)を防ぐ効果がある。
基礎コンクリートのみ場合、完成後に自由勾配側溝の上に大型トラックや大型の積載車等の重量物が乗った場合、基礎コンクリートに異常な荷重が掛かり、基礎コンクリートの破損、沈下につながるとともに、自由勾配側溝も破損する事も考えられる。
しかし、本実施形態のように高さ調整部材6を採用していれば、自由勾配側溝1の上に大型トラックや大型の積載車等の重量物が乗った場合でも、基礎コンクリート部8aと一体となって支えることができるため、耐荷重が大幅に上昇し、自由勾配側溝1の破損を招く虞もない。
また、本実施形態によれば、自由勾配側溝1を高さ調整部材6で基礎砕石面5上から浮かせる事が出来るため、基礎砕石面5上に垂木、鋼管、ブロック等の挟まれ防止材を敷く事が可能となり、技術者、技能者、作業員等の方々が手足を挟まれる虞もなく、安全で安心して効率よく作業が出来る。なお、施工治具で高さ、位置、通り等の調整が終わったら垂木、鋼管、ブロック等の挟まれ防止材を取り除き基礎コンクリートとインバートコンクリートを同時に打設する。
高さ調整部材6は、第二の伸縮部材6cが長短交換可能であってもよい。
図4では、その一例を示し、第二の伸縮部材6cである全ネジボルトを、図3に示す全ネジボルト形態と比して長尺のものに交換している。
これにより、仮に、施工現場にて、空間10を広く取る必要が出たような場合であっても、自由勾配側溝の高さ調整を正確かつ迅速に対応可能である。
また、第二の伸縮部材6cのみを、長尺の全ネジボルトや短尺の全ネジボルトなどに適宜交換するだけで空間10の広狭に簡単に対応可能であるため、各空間高さに応じた高さ調整部材を揃えることと比しても大変コスト減となる。特に、全ネジボルトであり、かつ第二の伸縮部材6cが正ネジであるため部品単価も安価である。また管理手間もなく大変使用勝手が良い。
なお、図示はしないが、高さ調整部材6の第一の伸縮部材6bの接地面部6b2と基礎砕石面5との間に所定厚さの鉄板を介在させて、接地面部6b2の基礎砕石面5への埋没を防止することも可能である。
「第二実施形態」
図5乃至図7は本発明の第二実施形態を示す。
本実施形態では、本発明の工程中において使用される高さ調整部材6を、第一実施形態と異なる構成のものを採用した実施の一形態である。すなわち、本実施形態で採用される高さ調整部材(本実施形態の高さ調整部材も第一実施形態と同様に「ピタコン」とも称する)6は、自由勾配側溝1の下端に一体に吊り下げ保持される形態ではなく、自由勾配側溝1の下端面3bと基礎砕石面5との間に置くだけである。
なお、本実施形態で採用される自由勾配側溝1は標準型であるが、側壁3,3間にわたって鋼製のアングル12が架け渡されているタイプである。
本実施形態の工法の概略工程図を図5に示す。
本実施形態では、第一実施形態と同様、[基礎砕石面敷設工程]→[コンクリート製品(自由勾配側溝)据付(仮置き)工程]→[型枠組み立て工程]→[コンクリート打設工程]→「コンクリート養生工程」→[型枠撤去工程]→「埋め戻し・転圧工程」によって構成されている。
本実施形態の敷設方法は、第一実施形態と同様であって、図2(a)のフロー図を援用し、詳細な説明は省略する。
高さ調整部材6は、自由勾配側溝の据付(仮置き)工程(図2のS3工程、図5(b))において、基礎砕石面5の上面の所定位置に所定数配設する。
そして、それぞれの高さ調整部材6の第二の伸縮部材6cの上端の接地面6c2に、アングル12の下面が当接するように、自由勾配側溝1を配設する。
なお、自由勾配側溝1の下端面3bに高さ調整部材6の第二の伸縮部材6cの上端の接地面6c2が当接するように配設するものであってもよく本発明の範囲内である。
本実施形態で採用される高さ調整部材6は、第一の伸縮部材6bと第二の伸縮部材6cの何れもが、一端側に接地面部6b2と6c2を有する平頭ボルトが用いられている。
本実施形態では、自由勾配側溝1を載置したときの安定性から第二の伸縮部材6cにも平頭ボルトを採用しているが、第二の伸縮部材6cを、第一実施形態と同じく全ネジボルトで構成するものであってもよい。また、第一の伸縮部材6bを全ネジボルトで構成することも可能である。
なお、第一実施形態で採用されている高さ調整部材6を、アングルに取り付けることも可能であって本発明の範囲内である。すなわち、インサート部材9に代えて、アングル12の所定位置に雌ねじ部を形成しておけば、高さ調整部材6の第二の伸縮部材6cが螺合して高さ調整部材1が吊り下げ保持される。
「第三実施形態」
図8は本発明の第三実施形態を示す。
本実施形態は、本発明の敷設方法に用いられる自由勾配側溝の他の形態を概略図示したものであって、いわゆる土留用の自由勾配側溝の一形態である。
本実施形態の場合、第二実施形態で採用されている高さ調整部材6が採用されているが、第一実施形態で採用された高さ調整部材6を採用することも可能であって本発明の範囲内である。本実施形態では、高さ調整部材6を図8に示すように、自由勾配側溝1の下端面の前後両端にそれぞれ3個ずつ、計6個置くようにしている。高さ調整部材6の配設箇所や個数などは本発明の範囲内で設計変更可能である。
具体的な敷設方法は第一実施形態と第二実施形態と同様であるためその詳細な説明は省略する。
本発明は、本実施形態で示す形態の自由勾配側溝以外にも利用可能である。
1 自由勾配側溝(コンクリート製品)
2 上壁
3 側壁
5 基礎砕石面
6 高さ調整部材
6a ナット部
6a1 第一の雌ネジ部
6a2 第二の雌ねじ部
6b 第一の伸縮部材
6c 第二の伸縮部材
8a 基礎コンクリート部
8b インバートコンクリート部
9 インサート部材
10 空間
11 水路
11a 底面
S1,S2 基礎砕石面敷設工程
S3 コンクリート製品(自由勾配側溝)据付工程
S4 コンクリート打設工程
S5 コンクリート養生工程

Claims (4)

  1. 施工面を掘削し、砕石を裏込め、転圧して基礎砕石面を敷設する基礎砕石面敷設工程と、
    前記基礎砕石面の上面所定位置に、高さ調整部材を介してコンクリート製品を配設するとともに、前記高さ調整部材により前記コンクリート製品の施工基準面高さを調整し、前記基礎砕石面と前記コンクリート製品の下端との間に所定の空間を形成して前記コンクリート製品を据付るコンクリート製品据付工程と、
    前記基礎砕石面と前記コンクリート製品との間の空間に生コンクリートを流し込むコンクリート打設工程と、を含み、
    前記コンクリート製品は、正面視形状で略門型を有する自由勾配側溝であって、
    前記高さ調整部材は、逆ネジの第一の雌ネジ部と第二の雌ねじ部を内面に設けたナット部と、前記ナット部の第一の雌ねじ部に螺合して進退可能に配される第一の伸縮部材と、前記ナット部の第二の雌ねじ部に螺合して進退可能に配される第二の伸縮部材と、で構成され、ナット部の左右方向の回転作動によって第一の伸縮部材と第二の伸縮部材とが、同時に同一の進退動作を行うものであって、
    前記コンクリート打設工程は、前記空間にて基礎砕石面上に一体成形される基礎コンクリート部と、前記基礎コンクリート部上に一体成形されて所定勾配の水路底面を成形するインバートコンクリート部と、を同時に打設することを特徴とする自由勾配側溝の敷設方法。
  2. 前記コンクリート製品の下端には、連結口を開放してコンクリート製品内に埋設されたインサート部材が備えられており、
    前記高さ調整部材は、少なくとも基礎砕石面上に据付る前には、前記インサート部材に、前記第二の伸縮部材の遊端側を螺合して前記コンクリート製品の下端に一体に吊り下げ保持されていることを特徴とする請求項1に記載の自由勾配側溝の敷設方法。
  3. 前記高さ調整部材は、前記コンクリート製品の下端と前記基礎砕石面との間に配設されることを特徴とする請求項1に記載の自由勾配側溝の敷設方法。
  4. 前記高さ調整部材は、第二の伸縮部材が長短交換可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自由勾配側溝の敷設方法。
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