以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の上部左右位置と下側には、全3個のスピーカが配置されている。上部に配置された2個のスピーカは、各々、左右チャネルR,Lの音声を出力し、下側のスピーカは重低音を出力するよう構成されている。
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、中央開口HOが設けられている。そして、中央開口HOの下方には、不図示の可動演出体が隠蔽状態で収納されており、可動予告演出時には、その可動演出体が上昇して露出状態となることで、所定の信頼度の予告演出を実現している。ここで、予告演出とは、遊技者に有利な大当り状態が招来することを不確定に報知する演出であり、予告演出の信頼度とは、大当り状態が招来する確率を意味している。
また、中央開口HOには、液晶カラーディスプレイで構成された一対の表示装置DS1a,DS1bが移動可能に配置されている。何ら限定されないが、一対の表示装置DS1a,DS1bは、その画素数が、各々、800×600ピクセルであり、12.1インチ程度の対角線寸法を有している。表示装置DS1a,DS1bの適所が特別図柄表示部として機能して、大当り抽選の抽選結果に関わる特別図柄が変動表示されるよう構成されている。
そして、図柄始動口15a,15bへの遊技球の入賞に起因して大当り抽選が実行されると、表示装置DS1a,DS1bに表示された背景画像の前面で、特別図柄の変動表示が開始され、変動表示の終了時の停止態様に基づいて、大当り抽選の抽選結果が報知される。なお、この変動表示の途中で、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されることがあり、また、適宜なタイミングで、各種のキャラクタが出現する画像演出によって、予告演出が実行されることもある。
次に、図2(b)及び図3に基づいて、表示装置DS1aと表示装置DS1bの可動機構STRについて説明する。図3(a)は、可動機構STRの主要部を背面側から見た斜視図であり、図3(b)は、可動機構STRを表面側から見た斜視図である。
図3(a)に示す通り、この可動機構STRは、連動して一体回転する2つの左右の駆動モータMOR,MOLと、各モータMOR,MOLに駆動され、回転ローラRO,ROを経由して周回するファンベルトBT,BTと、後方位置において左右のファンベルトBT,BTに保持される、左右一対の後方保持片HLb,HLbと、後方保持片HLb,HLbに固定される後方ベース板BSbと、前方位置において左右のファンベルトBT,BTに保持される、左右一対の前方保持片HLa,HLaと、前方保持片HLa,HLaに固定される前方ベース板BSaと、前後位置に離間して配置された合計4本の案内ポールGDa,GDa,GDb,GDbと、を有して構成されている。
表示装置DS1bは、後方ベース板BSbに固定され、一方、表示装置DS1aは、前方ベース板BSaで固定されることで保持される。また、前方保持片HLa,HLaと後方保持片HLb,HLbには、各々、案内ポールGDa,GDa,GDb,GDbを受け入れる受入穴が設けられており、表示装置DS1a,DS1bと一体化された各保持片HLa,HLbは、各々に対応する案内ポールGDa,GDbに案内されて上下方向に円滑に昇降移動するようになっている。
図2(b)は、2つの表示装置DS1a,DS1bの位置関係と、移動位置を示してものである。図2(b1)は、定常状態を示しており、上側に位置する表示装置DS1aと、下側に位置する表示装置DS1bとが、重合することなく上下方向に連続することで、12.1インチの2倍の表示画面を形成している。なお、表示装置DS1aの下方表示枠FMが、表示装置DS1bの上方表示枠の位置に一致するので、2つの表示装置DS1a,DS1bは、下方表示枠FMの部分を除いて一枚の表示画面を形成する。
ここで、2つの駆動モータMOR,MOLは、連動して一体回転するよう構成されているので、例えば、駆動モータMOR,MOLが、図示の反時計方向に一体回転を開始すると、上側の表示装置DS1aが降下することに対応して、下側の表示装置DS1bが上昇することになる。
そして、二つの表示装置DS1a,DS1bが前後方向に重合する図2(b2)の重合状態を経て、更に、表示装置DS1aが降下して限界位置に達すると、図2(b3)の状態になる。図示の通り、表示装置DS1aの降下限界は、表示装置DS1bの上昇限界であり、上側に位置する表示装置DS1bと下側に位置する表示装置DS1aによって、12.1インチの2倍の表示画面が形成される。
なお、図2(b3)の状態から、駆動モータMOR,MOLが、図示の時計方向に一体回転すると、図2(b2)の重合状態を経て、図2(b1)の定常状態に戻ることになる。
そこで、本実施例では、駆動モータMOR,MOLを、時計方向又は反時計方向に適宜量だけ回転させることで、定常状態である初期状態(b1)と重合状態(b2)とを含んだ演出動作Aや、重合状態(b2)と降下限界(b3)とを含んだ演出動作Bや、初期状態(b1)と降下限界(b3)とを含んだ演出動作Cなどによって、遊技者を盛り上げている。これらの可動演出は、好適には、予告演出として実行される。
以上の通り、表示装置DS1a,DS1bは上下移動するので、信号伝送線(破線参照)は、この上下移動を許容する長さとする必要となる。そこで、本実施例では、表示装置DS1a,DS1bに伝送すべきRGB画像信号や、同期信号などの制御信号を、LVDS信号(Low Voltage Differential Signaling)として伝送すると共に、演出制御基板23からほぼ同距離であって、各表示装置DS1a,DS1bの近接位置に、一対のLVDS中継基板27a,27bを設けている(図2(b)及び図4〜図5参照)。
ここで、演出制御基板23からLVDS中継基板27a,27bまでの伝送距離、及び、LVDS中継基板27a,27bから表示装置DS1a,DS1bまでの伝送距離は、各々、LVDS信号の正常伝送が実験的に担保される距離(例えば1m以内)に制限されている。
そして、LVDS中継基板27a,27bにおいてDe-serialize処理によりLVDS信号から復元されたRGB信号や制御信号を、再度Serialize 処理してLVDS信号を再生成して、各表示装置DS1a,DS1bに伝送している(図10)。そのため、本実施例では、LVDS中継基板27a,27bの位置に、演出制御基板23が位置するのと実質的に同一となって信号レベルの減衰が問題にならず、且つ、コモンモードノイズに強い差動信号(Differential Signaling)を使用しているので、ノイズなどの影響による表示装置DS1a,DS1bの異常動作を回避することができる。
但し、例え、LVDS中継基板27a,27bを経由するとはいえ、全体としてのLVDS信号の伝送距離が相当に長いので(例えば1m以上)、LVDS信号ラインにコモンモードノイズが重畳した場合には、LVDS信号ラインがアンテナとして機能して、有害レベルのEMI(Electro Magnetic Interference )ノイズが放射されることになる。
そこで、本実施例では、LVDS中継基板27a,27bにおいて、各LVDS信号ラインにコモンモードチョークコイルCH(図9)を配置することで、EMI対策を図っている。また、遊技球を使用する関係から、静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)も懸念されるので、ESD保護デバイスをLVDS中継基板27a,27bに配置して、電子素子の保護と、EMIノイズの発生を最小限に抑制している。なお、これらの点は、図9〜図11に基づいて、更に後述する。
図2(a)に戻って説明を続けると、一対の表示装置DS1a,DS1bの右側には、普通図柄表示部18が設けられており、当り抽選に関わる普通図柄が変動表示されるようになっている。
また、遊技球が落下移動する遊技領域には、第1図柄始動口15a、第2図柄始動口15b、第1大入賞口16a、第2大入賞口16b、及びゲート17が配設されている。これらの入賞口15〜17は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
第1図柄始動口15aの上部には、導入口INから進入した遊技球がシーソー状又はルーレット状に移動した後に、第1図柄始動口15aに入賞可能に構成された演出ステージ14が配置されている。そして、第1図柄始動口15aか第2図柄始動口15bに遊技球が入賞すると、表示装置DS1a,DS1bにおいて、特別図柄の変動動作が開始されるよう構成されている。
第2図柄始動口15bは、左右一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで開閉されるように構成され、普通図柄表示部18の普通図柄が所定態様で停止した場合には、所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで、開閉爪が開放されるようになっている。
なお、普通図柄表示部18では、ゲート17を通過した遊技球が検出されると、所定時間だけ普通図柄が変動し、遊技球のゲート17の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止する。
第1大入賞口16aは、前後方向に進退するスライド盤を有して構成され、第2大入賞口16bは、下端が軸支されて前方に開放する開閉板を有して構成されている。第1大入賞口16aや第2大入賞口16bの動作は、特に限定されないが、この実施例では、第1大入賞口16aは、第1図柄始動口15aに対応し、第2大入賞口16bは、第1図柄始動口15bに対応するよう構成されている。
すなわち、第1図柄始動口15aに遊技球が入賞すると、特別図柄の変動動作が開始され、その後、所定の特別図柄(大当り第1図柄)が整列すると、第1大当りたる特別遊技が開始され、第1大入賞口16aのスライド盤が、前方に開放されて遊技球の入賞が容易化される。
一方、第2図柄始動口15bへの遊技球の入賞によって開始された変動動作の結果、所定の特別図柄(大当り第2図柄)が整列すると、第2大当りたる特別遊技が開始され、第2大入賞口16bの開閉板が開放されて遊技球の入賞が容易化される。特別遊技(大当り状態)の遊技価値は、整列する大当り図柄などに対応して種々相違するが、何れの遊技価値が付与されるかは、遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて予め決定される。
典型的な大当り状態では、大入賞口16の開閉板が開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板が閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄の変動後の停止図柄が特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態(確変状態)となるという特典が付与される。
図4は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図であり、図5はその一部を詳細に図示したものである。
図4に示す通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧や、電源異常信号ABN1、ABN2やシステムリセット信号(電源リセット信号)SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいて各種の演出動作を統一的に実行する演出制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD’に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板25と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板26と、を中心に構成されている。
主制御基板21と払出制御基板25には、各々、8ビットCPUを内蔵したワンチップマイコンが配置され、各々の制御動作を実行している。また、演出制御基板23には、内蔵CPU回路54とVDP回路56とを内蔵した複合チップ50が配置され、内蔵CPU回路54のCPU60が、ランプ演出、音声演出、画像演出、及び役物演出を含んだ演出動作を統一的に制御している。
本明細書では、これらの制御基板21,23,25と、その関連基板に搭載された回路によって実現される動作を機能的に総称して、主制御部21、演出制御部23、及び払出制御部25と言うことがある。なお、主制御部21に対して、演出制御部23、及び払出制御部25の全部又は一部がサブ制御部となる。
図4に示す通り、演出制御基板23には、上記した統一的な演出動作を制御する制御プログラムを記憶するプログラムメモリ53と、画像演出の素材データを記憶するCGROM53と、CPU60が作業領域として使用するDRAM52などが配置されている。
図示の通り、演出制御基板23には、主制御基板21が出力した制御コマンドCMDを転送する演出IF基板22と、VDP回路56が出力したLVDS信号を表示装置DS1a,DS1bに向けて転送する液晶IF基板24と、が配線ケーブルを経由することなく、雄型コネクタと雌型コネクタとを直結されて一体化されている。
そして、VDP回路56が出力する二系統のLVDS信号は、液晶IF基板24を経由してLVDS中継基板27a,27bに伝送され、そこで再生成された実質的に同一のLVDS信号が、表示装置DS1a,DS1bに伝送されている。
図5や図9に示す通り、表示装置DS1a,DS1bには、LVDS信号をDe-serialize処理する変換回路が内蔵されており、各8ビット長のRGB信号と、垂直同期信号VSYNCと、水平同期信号HSYNCと、イネーブル信号DE、ドットクロックに基づいて表示画面が構築される。実施例の場合、各表示装置DS1a,DS1bは、800×600ピクセルであり、垂直同期信号が60Hzであるので、ピクセルクロックは、40MHz程度である。
なお、液晶IF基板24には、現在時刻を計時可能な時計回路(リアルタイムクロック)RTCと、遊技実績情報を記憶するメモリ素子(Static Random Access Memory )SRAMが搭載されている。
一方、演出IF基板22には、内蔵CPU回路54のCPU60に制御されて、音声演出を実現する音声信号を再生する音声プロセッサ37と、音声演出の基礎データを記憶する音声ROM38と、音声プロセッサ37が出力する音声信号をD級増幅するデジタルアンプ39と、が配置されている。
図示の通り、演出IF基板22には、ランプ駆動基板28と、モータ駆動基板29が接続されており、内蔵CPU回路54のCPU60の制御に基づき、ランプ演出と、モータ演出(役物演出)と、が実現されるようになっている。
本実施例のモータ駆動基板29には、複数の演出モータMiや駆動モータMOL,MORが直列的に接続されており、駆動モータMOL,MORは、表示装置DS1a,DS1bの昇降移動を実現している(図3参照)。なお、各モータには、各々、原点センサが配置されており、各原点センサの出力であるセンサ信号SNiは、モータ駆動基板29を経由して、CPU60が取得するよう構成されている。
ところで、このパチンコ機GMは、図4の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図4の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板25と、発射制御基板26と、枠中継基板34と、ランプ駆動基板35と、モータ駆動基板36と、モータの原点センサ信号や、その他のボタン信号を受けるシフトレジスタを有するセンサ&スイッチ基板BDと、が含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。
一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板23が、表示装置DS1,DS2やその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。
電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板31に接続され、接続コネクタC3を通して、電源中継基板32に接続されている。電源基板20には、交流電源の投入と遮断とを監視する電源監視部MNTが設けられている。電源監視部MNTは、交流電源が投入されたことを検知すると、所定時間だけシステムリセット信号SYSをLレベルに維持した後に、これをHレベルに遷移させる。
また、電源監視部MNTは、交流電源の遮断を検知すると、電源異常信号ABN1,ABN2を、直ちにLレベルに遷移させる。電源異常信号ABN1,ABN2は、電源投入後に速やかにHレベルとなる。
ところで、本実施例のシステムリセット信号は、交流電源に基づく直流電源によって生成されている。そのため、交流電源の投入(通常は電源スイッチのON)を検知してHレベルに増加した後は、直流電源電圧が異常レベルまで低下しない限り、Hレベルを維持する。したがって、直流電源電圧が維持された状態で、交流電源が瞬停状態となっても、システムリセット信号SYSがCPUをリセットすることはない。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、交流電源の瞬停状態でも出力される。
主基板中継基板31は、電源基板20から出力される電源異常信号ABN1、バックアップ電源BAK、及びDC5V,DC12V,DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。一方、電源中継基板32は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出IF基板22に出力している。そして、演出IF基板22は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部23に出力している。
一方、払出制御基板25は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の電源異常信号ABN2や、バックアップ電源BAKを、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す電源リセット信号であり、この電源リセット信号によって演出制御部23の内蔵CPU回路54は、その他の回路素子やVDP56を含む内部回路と共に電源リセットされるようになっている。
但し、このシステムリセット信号SYSは、主制御部21と払出制御部25には、供給されておらず、各々の回路基板21,25のリセット回路RSTにおいて電源リセット信号(CPUリセット信号)が生成されている。そのため、例えば、接続コネクタC2がガタついたり、或いは、配線ケーブルにノイズが重畳しても、主制御部21や払出制御部25のCPUが異常リセットされるおそれはない。
なお、演出制御部23は、主制御部21からの制御コマンドCMDに基づいて、従属的に演出動作を実行することから、回路構成の複雑化を回避するために、電源基板20から出力されるシステムリセット信号SYSを利用している。
主制御部21や払出制御部25に設けられたリセット回路RSTは、各々ウォッチドッグタイマを内蔵しており、各制御部21,25のCPUから、定時的なクリアパルスを受けない限り、各CPUは強制的にリセットされる。
また、この実施例では、RAMクリア信号CLRは、主制御部21で生成されて主制御部21と払出制御部25のワンチップマイコンに伝送されている。ここで、RAMクリア信号CLRは、各制御部21,25のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチSWのON/OFF状態に対応した値を有している。
主制御部21及び払出制御部25は、電源基板20から電源異常信号ABN1,ABN2を受けることによって、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源BAKは、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部25のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部25は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
図4に示す通り、主制御部21は、主基板中継基板31を経由して、払出制御部25に制御コマンドCMD’を送信する一方、払出制御部25からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONや、動作開始信号BGNを受信している。
また、主制御部21は、遊技盤中継基板30を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜17に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動式チューリップなどのソレノイド類を駆動している。
先に説明した通り、演出IF基板22と演出制御基板23と液晶IF基板24とはコネクタ連結によって一体化されており、演出制御部23は、電源中継基板32を経由して、電源基板20から各レベルの直流電圧と、システムリセット信号SYSを受けている。
図5に示す通り、演出制御基板23の内蔵CPU回路54は、演出IF基板22の入力バッファ40を経由して、システムリセット信号SYSと、その他の信号とを受けている。具体的には、内蔵CPU回路54のパラレルポート(PIO)62は、入力バッファ40を経由して、制御コマンドCMDとストローブ信号STBとを受けている。
そして、演出制御部23の内蔵CPU回路54は、制御コマンドCMDに基づいて演出動作を実行している。具体的には、内蔵CPU回路54のシリアルポー(SIO)61は、ランプ駆動基板28,35に搭載されたドライバICに対して、クロック信号CKに同期して、ランプ駆動信号SDATAをシリアル伝送することで、多数のLEDランプや電飾ランプで構成されたランプ群を駆動して、制御コマンドCMDに基づくランプ演出を実現している。
同様に、内蔵CPU回路54のシリアルポート61は、モータ駆動基板29,36に搭載されたドライバICに対して、クロック信号CKに同期して、モータ駆動信号SDATAをシリアル伝送することで、制御コマンドCMDに基づく役物演出を実現している。
図5に示す通り、本実施例では、シリアルポート61の5チャンネル(CH0〜CH4)によって、五系統のシリアル回線(CK0〜CK4参照)を実現しており、出力バッファ43を経由して、モータ駆動基板36とランプ駆動基板35に対して、クロック信号CK0と、駆動信号SDATA0と、が伝送されている。なお、駆動信号SDATA0は、ランプ駆動信号とモータ駆動信号を連結したシリアル信号である。
そして、一連のシリアル信号SDATA0がクロック信号CK0に同期してシリアル伝送された後、パラレルポート62からラッチ信号LT0が出力され、これが出力バッファ43を経由して、全てのドライバICに一斉に伝送されることで、各ドライバICは、自らに伝送されたシリアル信号SDATA0を取得することになる。
また、出力バッファ43を経由して、モータ&スイッチ基板BDに対して、クロック信号CK1が伝送されており、センサ&スイッチ基板BDのシフトレジスタ(不図示)で取得されたセンサ信号やスイッチ信号が、クロック信号CK1に同期してシリアル伝送され、このシリアル信号SDATA1が入力バッファ41を経由して、シリアルポート61に伝送されるようになっている。
なお、一連のシリアル伝送に先行して、パラレルポート62からモータ&スイッチ基板BDに対して、ラッチ信号LT1が出力されるよう構成されており、このラッチ信号LT1に同期して、センサ&スイッチ基板BDのシフトレジスタは、センサ信号やスイッチ信号をシリアル変換する。
以上の点は、ランプ駆動基板28や、モータ駆動基板29についても同様である。すなわち、シリアルポート61は、出力バッファ44を経由して、ランプ駆動基板28に対して、クロック信号CK2と、駆動信号SDATA2とを伝送してランプ演出を実現している。なお、一連のシリアル伝送された後には、パラレルポート62からラッチ信号LT2がされる。
一方、シリアルポート61は、出力バッファ45を経由して、モータ駆動基板29に対して、クロック信号CK3と、駆動信号SDATA3と、を伝送して、必要な役物演出を実現している。この場合も、一連のシリアル伝送された後には、パラレルポート62からラッチ信号LT3がされる。
モータ駆動基板29は、ラッチ信号LT3に基づいて、モータ駆動信号を更新し、演出モータM1〜Miや、駆動モータMOL,MORを駆動している。先に説明した通り、各モータM1〜Mi,MOL,MORには、各々、原点センサが配置されており、各原点センサのセンサ信号SNiは、モータ駆動基板29に配置されたシフトレジスタのパラレル入力端子に伝送されるよう構成されている。
この構成に対応して、パラレルポート62が、出力バッファ45を経由して、モータ駆動基板29のシフトレジスタに対して、ラッチ信号LT4を出力した後、シリアルポート61は、出力バッファ45を経由して、モータ駆動基板29のシフトレジスタに対して、クロック信号CK4を伝送している。
ラッチ信号LT4に同期してシリアル変換されたセンサ信号SNiは、クロック信号CK4に同期してシリアル伝送され、このシリアル信号SDATA4は、入力バッファ42を経由して、シリアルポート61に伝送され、CPU60に取得される。
続いて、演出制御部23について図6〜図8を参照しつつ詳細に説明する。先ず、図6(a)は、演出制御部23を構成する複合チップ50について、関連する回路素子も含めて図示した回路ブロック図である。図示の通り、実施例の複合チップ50には、内蔵CPU回路54とVDP回路56とが内蔵されている。そして、内蔵CPU回路54とVDP回路56とは、互いの送受信データを中継するCPUIF回路55を通して接続されると共に、VDP回路56から内蔵CPU回路54に対して、Vブランク割込み信号(VBLANK)が供給されるようになっている。
ここで、Vブランク割り込み信号は、表示装置DS1aの垂直同期信号に対応するもので、表示装置DS1aの一フレーム分の画像データの出力が完了したタイミングを1/60秒毎に規定している。この実施例では、3つの表示回路74A/74B/74Cのうち、表示回路74A/74Bが定常的に機能するが、表示回路74Bと表示回路74Aは、同一構成であって、且つ、同期して動作するので、垂直同期信号(Vブランク割り込み信号)は、事実上、表示回路74A/74Bの出力動作が終わったことを意味する。
Vブランク割り込みに基づくシーケンス動作については後述するが、CPUIF回路55には、図6に示す通り、制御プログラムや、必要な制御データを不揮発的に記憶する制御メモリ(PROGRAM_ROM )51と、2Mバイト程度の記憶容量を有するワークメモリ(RAM)57とが接続され、各々、内蔵CPU回路54からアクセス可能に構成されている。
内蔵CPU回路54は、汎用のワンチップマイコンと同等の性能を有する回路であり、制御メモリ51の制御プログラムに基づき画像演出やその他の演出動作を統括的に制御するCPU60と、プログラムが暴走状態になるとCPUを強制リセットするウォッチドッグタイマ(WDT)58と、16kバイト程度の記憶容量を有してCPUの作業領域として使用されるRAM59と、CPUを経由しないでデータ転送を実現するDMAC(Direct Memory Access Controller )63と、複数の入力ポートSi及び出力ポートSoを有するシリアルポート(SIO)61と、複数の入力ポートPi及び出力ポートPoを有するパラレルポート(PIO)62と、を有して構成されている。
先に説明した通り、シリアルポート61の4チャンネル(CH0〜CH4)が、モータ駆動データのシリアル伝送(CH0,CH2)、ランプ駆動データのシリアル伝送(CH4)、及び、センサ信号のシリアル受信(CH1,CH4)に使用される。
なお、本明細書では、便宜上、シリアルポート61、及び、パラレルポート62との表現を使用するが、演出制御部23において、シリアルポート61、及び、パラレルポート62には、独立して動作する入力ポートと出力ポートとが含まれている。この点は、以下に説明する入出力回路64pや入出力回路64sについても同様である。
パラレル入出力ポート62は、入出力回路64pを通して外部機器(演出制御基板22)に接続されている。そして、図5に関して説明した通り、CPU60は、入力回路64p及びパラレル入力ポートPiを経由して、主制御部21が出力する制御コマンドCMDと割込み信号STBを受信する。
次に、VDP回路56について説明すると、VDP回路56には、画像演出を構成する静止画や動画の構成要素となる圧縮データを記憶するCGROM53と、4Gbit程度の記憶容量を有する外付けDRAM(Dynamic Random Access Memory)52と、一対の表示装置DS1a,DS1bとが接続されている。図示の通り、表示装置DS1a,DS1bは、LVDS中継基板27a,27bを経由して、LVDS信号LVDS1,LVDS2を受けている。
この実施例では、CGROM53は、62Gbit程度の記憶容量のNAND型フラッシュメモリで構成されたフラッシュSSD(solid state drive )で構成されており、シリアル伝送によって必要な圧縮データを取得するよう構成されている。そのため、パラレル伝送において不可避的に生じるスキュー(ビットデータ毎の伝送速度の差)の問題が解消され、極限的な高速伝送動作が可能となる。
なお、NAND型のフラッシュメモリは、ハードディスクより機械的に安定であり、且つ高速アクセスが可能である一方で、シーケンシャルアクセスメモリであるため、DRAMやSRAM(Static Random Access Memory )に比較するとアクセス速度に劣り、アクセス速度は、内蔵VRAM71>外付けDRAM52>CGROM53の順番に遅くなる。但し、一群の圧縮データ(CGデータ)を、描画動作に先行してDRAM52に読み出しておくプリロード動作を実行することで、描画動作時におけるCGデータの円滑なランダムアクセスを実現することができる。
VDP回路56は、詳細には、VDPの動作を規定する各種の動作パラメータが設定されるレジスタ群70と、各表示装置DS1a,DS1bに表示すべき画像データの生成時に使用される48Mバイト程度のVRAM(Video RAM )71と、チップ内部の各部間のデータ送受信及びチップ外部とのデータ送受信を制御するデータ転送回路72と、プリロード動作を実行するプリローダ73と、VRAM71の画像データを読み出して、適宜な画像処理を並列的に実行する3系統(A/B/C)の表示回路74と、CGROM53から読み出した圧縮データをデコードするグラフィックスデコーダ75と、デコード後の静止画データや動画データを適宜に組み合わせて各表示装置DS1a,DS1bの一フレーム分の画像データを生成する描画回路76と、描画回路76の動作の一部として、適宜な座標変換によって立体画像を生成するジオメトリエンジン77と、シリアルデータ送受信可能なSMC部78と、3系統(A/B/C)の表示回路74の出力を適宜に選択出力する出力選択部79と、出力選択部79が出力する画像データをLVDS信号に変換する2系統のLVDS部80a,80bと、出力選択部79が出力する画像データをデジタルRGB信号のままパラレル出力するデジタルRGB部80cと、CPUIF回路55とのデータ送受信を中継するCPUIF部81と、CGROM53からのデータ受信を中継するCGバスIF部82と、外付けDRAM52とのデータ送受信を中継するDRAMIF部83と、VRAM71とのデータ送受信を中継するVRAMIF部84と、を有して構成されている。
特に限定されないが、この実施例では、3系統(A/B/C)の表示回路74のうち、表示回路74Aが第1のLVDS部80aに対応し、表示回路74Bが第2のLVDS部81bに対応し、表示回路74CがデジタルRGB部80cに対応している。そして、第1のLVDS信号LVDS1と、第2のLVDS信号LVDS2は、各々、LVDS中継基板27a,27bを経由して、表示装置DS1a,DS1bに伝送される。なお、第3の表示装置を配置する場合には、表示回路74CとデジタルRGB部80cが活用されるが(図14(c)参照)、図6に示す実施例では、これらを使用していない。
図6(b)には、CPUIF部81、CGバスIF部82、DRAMIF部83、及び、VRAMIF部84と、レジスタ群70、CGROM53、DRAM52、及びVRAM71との関係が図示され、特に、レジスタ群70については、その一部が具体的に記載されている。図示の通り、CGROM53とCGバスIF部82は、シリアル回線で接続されており、アドレス情報Txの送信に対応して、CGROM53がシーケンシャルアクセスされ、一群のCGデータ(圧縮データ)Rxが、順次読み出されるようになっている。
CGROM53から読み出されたCGデータは、プリローダ73を機能させない本実施例では、CGバスIF部82→VRAMIF部84を経由して、VRAM71に格納されるが、図7のタイミングT1+δの矢印は、この読出し動作を示している。図7に示す通り、VRAM71には、グラフィックスデコーダ75の作業領域として、静止画デコード領域と動画デコード領域とが確保されており、CGデータの種別に応じた位置に、CGデータが圧縮状態のまま格納される。また、図7や図8に示す通り、VRAM71には、デコード後の一フレーム分の画像データを配置するフレームバッファFB領域も確保されている。
一方、プリローダ73を機能させる場合では、CGデータは、デコード処理に必要なタイミングに先行して、CGバスIF部82→DRAMIF部83を経由して、DRAM52のプリロード領域に格納され、その後の必要なタイミングでランダムアクセスされて、VRAM71に転送される。但し、プリローダ73を機能させるか否かに拘らず、VRAM71の静止画デコード領域や動画デコード領域に格納されたCGデータは、グラフィックスデコーダ75によってデコードされた後、描画回路76によって、VRAM71のフレームバッファFB領域の適所に展開される。なお、図7のタイミングT1+δ’の矢印は、この動作を示している。
図6(a)に戻って説明を続けると、データ転送回路72は、VDP回路内部のリソース(記憶媒体)と外部記憶媒体を、転送元ポート又は転送先ポートとして、これらの間でデータ転送動作を実行する回路である。転送元ポートには、VRAM71の他、CPUバス、CGバス、外部DRAMバスに接続された記憶媒体(リソース)が含まれる。同様に、転送先ポートには、VRAM71の他、CPUバス、CGバス、外部DRAMバスに接続された記憶媒体が含まれる。また、データ転送回路72は、一群の描画コマンドによって一フレーム分の表示画像を特定するディスプレイリストDLを、描画回路76(必要時にはプリローダ73)に送信する動作も担当している。
プリローダ73は、データ転送回路72によって送信されたディスプレイリストDLを解釈して、その中で参照しているCGROM53上のCGデータを、予め指定されているDRAM52のプリロード領域に転送する回路である。また、このとき、プリローダ73は、CGデータの参照先を、転送後のアドレスに書換えたディスプレイリストDLを出力する。そして、書換えたディスプレイリストDLは、データ転送回路72によって描画回路76に送信される。
但し、この実施例では、プリローダ73を使用していない。一方、プリローダ73を使用する場合には、プリローダレジスタ(図6(b)参照)への設定値に基づき、外付けDRAM52に、十分な記憶領域のプリロード領域を設定している。そして、この場合には、プリロード領域として設定された記憶領域を使い切らない限り、プリロードされた圧縮データは、その後の圧縮データによって上書き消去されることなく維持される。そのため、プリロード処理を使用する第2実施例では、必要な圧縮データが、プリロード領域に存在しない場合に限り、CGROM53をアクセスすることになる。なお、プリロード領域に十分な記憶領域が確保されているので、複数フレーム分のCGデータを一気にプリロードしても何も問題が生じない。
描画回路76は、データ転送回路72によって、内蔵RAM59から外付けDRAM52に転送されたディスプレイリストDL(図7のタイミングT1’参照)の描画コマンドを順番に解析して、グラフィックスデコーダ75や、ジオメトリエンジン77などと協働して、VRAM71に形成されたフレームバッファFBに、表示装置DS1a,DS1bの一フレーム分の画像を描画する回路である。
すなわち、描画回路76は、ディスプレイリストDLの描画コマンドを解析するDisplaylist Analyzer(以下、DLアナライザという)と、頂点の座標変換や照明演算を実行するGeometry Pipeline と、トライアングル描画時のソースアドレスとデスティネーションアドレスを生成するTriangle Rasterizer と、テクスチャをサンプリングし、バイリニアフィルタリングを実行するTexture Sampler と、画素間演算用のフレームバッファとZバッファを取得するFramebuffer Sampler と、αブレンドなどの処理を施して、フレームバッファFBに書き込む画素データを生成するPixel Generator などを含んで構成されている。
ここで、ディスプレイリストDLは、描画する順番に記載された一群の描画コマンドで構成されており、一フレームのどの位置に、どのような画像を描画するかを規定するコマンドも含まれ、描画すべき画像のCGROMなどの記憶位置(ソースアドレス)も特定されている。そして、描画回路76のDLアナライザは、このようなディスプレイリストDLを解釈して、他のGeometry Pipeline 、Triangle Rasterizer 、Texture Sampler 、Framebuffer Sampler 、Pixel Generator と協働して、内蔵VRAM71に確保されたフレームバッファFBに、表示装置DS1a,DS1bの各一フレーム分の画像データを生成している(図8参照)。
なお、本実施例のディスプレイリストDLは、表示装置DS1a用の描画コマンド群と、表示装置DS1b用の描画コマンド群とに大別される。
図8に示す通り、本実施例のフレームバッファFBは、表示回路74A/74B/74Cに対応して、三区分(FBa,FBb,FBc)されているが、各フレームバッファFB(FBa,FBb,FBc)の描画位置は、ディスプレイリストDLに記載された所定の描画コマンドによって特定される。
フレームバッファFBaには、表示装置DS1aの一フレーム分(800×600ピクセル)の画像データが配置され、フレームバッファFBbには、表示装置DS1bの一フレーム分(800×600ピクセル)の画像データが配置される。
なお、本実施例では、表示回路74Cを使用しないので、フレームバッファFBcが機能することもない。そして、機能するフレームバッファFB(FBa,FBb)は、何れも、描画領域と表示領域に機能的に区分されたダブルバッファであり、2つの領域(領域0と領域1)を、交互に用途を切り換えて使用している。すなわち、描画回路76が、2つの領域の何れか一方の領域に、画像データが書込んでいるとき、表示回路74は、他方の領域の画像データを読み出して出力している。
特に限定されるものではないが、本実施例では、表示装置DS1a,DS1bの一フレームは、最大状態では、3種類又はそれ以上の画像(動画と静止画)で構成されている。すなわち、表示装置DS1a,DS1bでは、最大状態では、一又は複数の動画が再生される一方で、これに重ねて時間的に変化する静止画が背景画に重ねて表示されるよう構成されている。
静止画の基本形状は、スプライト画像として予めCGROM53に記憶されており、この基本形状を、適宜に拡大/縮小/回転/変形させると共に、配置位置を変更させることで、時間的な変化を実現している。一方、動画は、所定時間、滑らかに変化するいわゆるムービーであって、複数枚のフレームが、MPEG符号化方式などの動画圧縮手法で圧縮されてCGROM53に記憶されている。
特に限定されないが、本実施例の動画は、IフレームとPフレームとで構成されたIPストリーム動画である。ここで、Pフレームとは、過去フレームから予測したデータとの差分をエンコードするPピクチャ(Predictive Picture)で構成されたフレームを意味し、圧縮率が高いものの、順次再生が必須となる。一方、Iフレームとは、他のフレームに依存することなく、単独でエンコード可能なIピクチャ(Intra Picture )で構成されたフレームを意味する。
このような構成に対応して、グラフィックスデコーダ75は、静止画デコーダと動画デコーダに区分され、所定の圧縮アルゴリズムでエンコード(圧縮)された静止画と動画を、各々に対応する伸張アルゴリズムでデコード(伸張)している。例えば、静止画は、1枚の静止画を構成する画像データ毎に所定のアルゴリズムで圧縮され、IPストリーム動画のPフレームは、一連の動画を実現する複数枚の静止画データが、フレーム間のデータ差分値などに基づいて圧縮されている。
次に、表示回路74は、フレームバッファFBの画像データを読み出して、最終的な画像処理を施した上で出力する回路である(図8参照)。図8に示す通り、表示回路74での画像処理には、スケーラが機能してフレーム画像を拡大/縮小するスケーリング処理と、微妙なカラー補正処理と、画像全体の量子化誤差が最小化するディザリング処理と、が含まれている。なお、スケーリング処理には、縦長縮小された動画データ(縦長縮小データ)について、動画デコード後のフレームデータの拡大処理が含まれている。
図8に示す通り、上記の動作を並列的に実行する3系統の表示回路74A/74B/74Cが設けられており、各表示回路74A/74B/74Cは、各々に対応するフレームバッファFBa/FBb/FBcの画像データを読み出して、上記の最終画像処理が実行可能に構成されている。そして、これらの画像処理を経たでデジタルRGBデータ(合計24ビット)が、水平同期信号HSYNCや垂直同期信号VSYNCと共に、出力選択回路79に向けて出力される。
出力選択部79は、表示回路74Aの出力信号をLVDS部80aに伝送し、表示回路74Bの出力信号をLVDS部80bに伝送している。そして、先に説明した通り、LVDS部80aとLVDS部80bは、画像データ(合計24ビットのデジタルRGBデータ)をLVDS信号に変換して、クロック信号を伝送する一対を加えた全五対の差動信号LVDS1,LVDS2を、LVDS中継基板27a,27bに出力している。
次に、SMC部78(Serial Management Controller)は、LEDコントローラとMotorコントローラとを内蔵した複合コントローラである。但し、本実施例ではシリアルポート(SIO)61を使用するので、SMC部78を使用していない。
上記したVDP回路56の内部回路及びその動作に関し、内部回路が実行すべき動作内容は、CPU60が、レジスタ群70に設定する動作パラメータ(設定値)で規定され、VDP回路56の実行状態は、レジスタ群70の動作ステイタス値をREADすることで特定できるようになっている。レジスタ群70は、CPU60のメモリマップ上、1Mバイト程度のメモリ空間(0〜FFFFFH)にマッピングされた多数のレジスタを意味し、CPU60は、CPUIF部81を経由して動作パラメータのWRITE(設定)動作と、動作ステイタス値のREAD動作を実行するようになっている(図6(b)参照)。
レジスタ群70には、割り込み動作などシステム動作に関する初期設定値が書込まれる「システム制御レジスタ」と、CPU60とVDP回路56の内部回路との間のデータ転送回路72によるデータ転送処理に関する設定値などが書込まれる「データ転送レジスタ」と、グラフィックスデコーダ75のエラー発生などを含む実行状況を特定可能な「GDECレジスタ」と、描画コマンドや描画回路76に関する設定値が書込まれる「描画レジスタ」と、プリローダ73の動作に関する設定値が書込まれる「プリローダレジスタ」と、三区分された表示回路A/B/Cの各動作に関する設定値が書込まれる「表示レジスタ」と、LEDコントローラ(SMC部78)に関する設定値が書込まれる「LED制御レジスタ」と、Motorコントローラ(SMC部78)に関する設定値が書込まれる「モータ制御レジスタ」とが含まれており、これらの制御レジスタは、各々複数バイト長で構成されている。
より詳細には、「プリローダレジスタ」には、(1) プリロード領域をDRAM52に設定するか、VRAM84に設定するかの設定、(2) プリロード領域の先頭アドレス、(3) プリロードデータ領域を、何フレーム分使用するかの設定、(4) 一フレーム当たりのデータサイズなどが設定される。また、「データ転送レジスタ」には、データ転送元やデータ転送先が設定され、「表示レジスタ」には、表示回路A/B/Cに対応して、フレームバッファFBa/FBb/FBcの開始位置及びバッファサイズや、各フレームバッファFBa/FBb/FBcにおいて、時間的に切り換わる描画領域と表示領域の切換指示や、スケーラの縦横拡大率などが設定される。また、「描画レジスタ」「プリローダレジスタ」「データ転送レジスタ」には、描画動作、プリロード動作、データ転送動作について、各動作の実行開始が指示される。
何れにしても、CPU60が、レジスタ群70の何れかに適宜な設定値を書込むことで、VDP回路56の内部動作が実現される。したがって、CPU60は、適宜な時間間隔で更新するディスプレイリストDLと、上記したレジスタ群70を構成するレジスタへの設定値に基づいて、ディスプレイリストDLに基づく画像演出を実現することになる。
続いて、図9〜図11に基づいて、LVDS中継基板27a,27bについて説明する。なお、2つのLVDS中継基板27a,27bは、回路構成及び回路動作が全く同一であるので、以下では、専ら、LVDS中継基板27aについて説明する。
図9に示す通り、VDP回路56(LVDS部80)と、LVDS中継基板27は、5対の差動信号ライン(LINE1〜LINE4+CLK)で接続されており、また、LVDS中継基板27と表示装置DS1も、5対の差動信号ラインで接続されている。
そして、表示装置DS1には、De-Serialize動作を実行するRGB変換部が内蔵されており、5対の差動信号ラインで伝送されたシリアル信号から、RGB信号、垂直同期信号VSYNC、水平同期信号HSSYC、及びデータイネーブル信号DEなどを復元して、表示画面を構築している。
LVDS中継基板27aには、図10(a)に内部構成を示す分配器(Repeater)85が配置されている。なお、図8では、作図上の都合により、差動信号ラインLINE3と、分配器のLVDS入力部RC1及びLVDS出力部TC1などの記載を省略しているが、他の部分と同一に構成されている。
図10(a)に示す通り、実施例の分配器85は、電源電圧3.3Vで動作しており、1stLink部と2ndLink部に区分されて、各々、LVDS受信部Rxと、LVDS送信部Txを有して構成されている。なお、各部は、電源電圧3.3VをリニアレギュレータLDO(Low Dropout )で安定的に降下させた低電圧で機能している。
特に限定されないが、本実施例では、1stLink部だけを使用しており、そのLVDS受信部Rxには、VDP回路56のLVDS部80a/80bから、図11(a)に示すLDVS信号LVDS1/LVDS2が供給されている(図10(b)参照)。図11(a)に示す通り、LVDS信号は、ピクセルクロックに対応するLVDSクロックCLK、及び、LINE1〜LINE4と表記した5対の差動信号ラインで伝送されており、それぞれ、LVDS受信部RxのRCLK1端子、及び、RA1〜RD1端子に供給されている。
本実施例の場合、VDP回路56が生成するRGB信号は、各8ビット長であるので(各ピクセル256階調)、LVDSクロックCLKの一サイクル(本実施例では1/40μS程度)において、LVDS部80aは、水平同期信号HSYNC、垂直同期信号VSYNC、DATAイネーブル信号DE、及び、リザーブ信号RSを、RGB信号24ビットに加えた合計28ビットを出力することになる。
ここで、DATAイネーブル信号DEは、RGB信号が有効(描画タイミング)か否か、つまり、水平帰線期間や垂直帰線期間か否かを示す信号であり、リザーブ信号RSは、本実施例では、活用されないダミー信号である。
これら28ビットを含んだ五対の差動信号は、LVDS受信部RxのRCLK1端子、及び、RA1〜RD1端子に供給されるが、図11(b)に示す通り、RE1端子は不使用となっている。すなわち、この分配器85では、各10ビット長(各ピクセル1024階調)のRGB信号を伝送可能であるが、その下位2ビットを削除した上位8ビットだけを扱っている。
これら合計28ビットデータは、LVDS受信部Rxにおいて、De-serialize処理されて、LVDSクロックCLKの一サイクル毎に、HSYNC信号1ビット、VSYNC信号1ビット、DE信号1ビット、R信号8ビット、G信号8ビット、及び、B信号8ビットに復元される。
そして、復元されたRGB信号その他は、この実施例では、Inter-Link Multiplex & De-Multiple部を、そのまま通過して、LVDS送信部Txに供給される(図10(b)参照)。そして、LVDS送信部Txでは、Serialize 処理によって、再度、LVDS信号を生成して、5対の差動信号ラインに出力している。
図11(c)は、この関係を図示したものであり、再生成されたLVDS信号が、TCLK1端子、及び、TA1〜TD1端子から出力される状態が示されている。なお、TE1端子は、RE1端子と同様に開放状態である。
このように、実施例の分配器85は、単なるバッファ回路のように、信号減衰を復活させるだけでなく、LVDS中継基板27aの位置において、敢えて、HSYNC信号、VSYNC信号、DE信号、R信号8ビット、G信号8ビット、及びB信号8ビットを敢えて復元させ、再度、LVDS信号を再生成している。
先に説明した通り、VDP回路56とLVDS中継基板27aとの伝送距離は、LVDS信号の正常伝送が実験的に担保される距離に制限されているので、表示装置DS1aから評価すると、LVDS中継基板27aの位置にVDP回路56が存在すると実質的に同一となる。
そして、LVDS中継基板27aと表示装置DS1aとの伝送距離も、LVDS信号の正常伝送が実験的に担保される距離に制限されているので、表示装置の表示トラブルが解消される。正常伝送が担保される距離は、遊技機の内部構成や遊技ホールの環境にも左右されるが、典型的には、1m以内、好ましくは、80cm以内、より好ましくは、60cm以内であり、LVDS中継基板27aを設けることで、LVDS伝送ラインの全長が2m〜1.2m程度まで可能となる。
以上、Inter-Link Multiplex & De-Multiple部を機能させない実施例について説明したが、Inter-Link Multiplex & De-Multiple部を機能させることで、1stLink部のLVDS受信部Rxに供給されるLVDS信号をストライプ分割して、ピクセルクロック周波数(例えば80MHz)が1/2に降下された分割LVDS信号を、1stLink部と、2ndLink部のLVDS送信部Tx,Txから出力させることもできる(図10(c)のSingle In / Dual OUT)。
このような構成は、図14(b)に示す実施例で採用されるが、単一のLVDS中継基板27で足りると共に、そこに配置する分配器85が1個で足りることになる。ここで、ストライプ分割とは、表示画面の水平方向に隣接する左右ピクセルについて、一方ピクセルのRGB画像データを1stLink部から出力させ、他方ピクセルのRGB画像データを2ndLink部から出力させる動作を意味する。
また、Inter-Link Multiplex & De-Multiple部を機能させることで、1stLink部と、2ndLink部の各LVDS受信部Rx,Rxに供給される一対のLVDS信号をストライプ連結して、ピクセルクロック周波数が2倍にされた連結LVDS信号を1stLink部のLVDS送信部Tx,Txから出力させることもできる(図10(d)のDual In / Single OUT)。
ストライプ連結とは、1stLink部の受信部で復元された1ピクセル分のRGB画像データと、同じタイミングで2ndLink部の受信部で復元された1ピクセル分のRGB画像データとを、互いに隣接させて左右ピクセルを生成して、1stLink部から出力させる動作を意味する。
このような分配器85の動作は、表示装置の近くまで、ドットクロックが比較的低い一対のLVDS信号LVDS1,LVDS2を伝送し、LVDS中継基板27の分配器85で連結されたLVDS信号を表示装置に供給する構成に好適である。
図9に戻って説明を続けると、図9に示す通り、LVDS中継基板27には、上記した分配器85に近接して、LVDS信号ラインの終端抵抗R(100Ω程度)と、コモンモードチョークコイルCHと、放電吸収素子ESDとが配置されている。
ここで、コモンモードチョークコイルCHとは、単一のコアに巻着した一対の導線の巻線方向が、逆方向となっているコイルを意味する。そのため一対の導線に同相の電流が流れた場合に、互いの磁束の向きが同一となり高いインダクタンスが生じることで、コモンモードノイズを効果的に抑制することができる。
LVDS信号ラインなどの差動信号ラインでは、コモンモードノイズなどの同相信号は、受信側で相殺されるので、受信素子に悪影響を与えないが、一方、伝送距離の長い差動信号ラインに大レベルのコモンモードノイズが流れると、差動信号ラインがアンテナとして機能して、高周波ノイズを発生して、表示装置その他の電子回路に悪影響を与えることになる。
かかる点を考慮して、本実施では、LVDS中継基板27に搭載された分配器85について、その入力側と出力側の全ての差動信号ラインに、コモンモードチョークコイルCHを配置するので、EMI(Electro Magnetic Interference )ノイズが効果的に抑制される。なお、本来のLDVS信号は、ノーマルモード(ディファレンシャルモード)信号であるので、コア内部で磁束が相殺されるので、コモンモードチョークコイルCHは、インダクタとして機能しない。
また、分配器85の入力側の全ての差動信号ラインには、放電吸収素子ESDが配置されている。放電吸収素子ESDは、静電気放電(Electro-Static Discharge)を素早く吸収する素子であれば、半導体ベース(ツェナーダイオード方式)であるか、バリスタタイプであるかを問わないが、本実施例では、セラミックを使用して、バリスタとは異なる電極間放電を実現している(電極間放電方式の素子)。
ここで、電極間放電方式の素子とは、内部電極を対向して絶縁状態で配置し、高電圧が印加されると、内部電極間で放電が生じる素子を意味する。このような素子を使用することで、ツェナーダイオード方式やバリスタタイプの素子より、端子間静電容量を小さくすることができ、また、繰り返し耐性にも優れた効果を発揮する。
この種の遊技機では、遊技球が巡回する関係から、高レベルの静電気が貯まる可能性があり、長いLVDS信号ラインにおいて、静電気放電が生じることが懸念されるが、万一、静電気放電が生じても、放電吸収素子ESDが瞬間的にON動作して、放電エレルギーを直ちに吸収するので、分配器85の破損や、EMIノイズの発生が防止される。
なお、遊技球などに帯電する静電気の電圧レベルは非常に高いが、一方、蓄積エネルギーそのものは低いので、放電吸収素子ESDの瞬間的なON動作によって、蓄積エネルギーを即座に消滅させることができる。また、ツェナーダイオード方式やバリスタタイプの素子より、端子間容量が低いので、伝送信号に対して悪影響を与えることはない。なお、図9では、放電吸収素子ESDを等価回路で示しているが、等価的な機能を示しているに過ぎず、ツェナーダイオードが内蔵されている訳ではない。
続いて、表示装置DS1a,DS1bを使用して実行される画像演出の制御動作について、図12(a)〜図12(d)のフローチャートと、図8や図13の動作説明図を参照しつつ説明する。これらの画像演出は、主制御部21から制御コマンドCMDを受ける演出制御部23のCPU60と、CPU60に指示されて機能するVDP回路56と、によって実現される。そして、CPU60からVDP回路56に対する指示は、レジスタ群70に書込まれる動作パラメータによって特定される。
図12に示す通り、画像演出動作は、CPU60によって所定時間毎に実行されるディスプレイリストDLの更新処理(図12(a)〜図12(b))と、CPU60から受けるディスプレイリストDLに基づいて動作する描画回路76、及び、表示回路74の各シーケンス動作(図12(c)〜図12(d))と、によって実現される。なお、描画回路76、及び、表示回路74が、以下に説明するシーケンス動作を実現するよう、CPU60は、電源リセット時やその後の必要なタイミングで、必要な動作パラメータをレジスタ群70に設定している。
以上を踏まえて説明すると、CPU60は、1/60秒毎のVブランク割込みで規定される一定時間δ(例えば1/30秒)毎に、ディスプレイリストDLの更新処理を開始し(ST1)、描画回路76、及び、表示回路74のシーケンス動作を開始させている(ST2)。図6(a)に関して説明した通り、Vブランク割り込みは、表示回路74Aの出力動作が終わったことを意味するが、ステップST2の処理に基づき、描画回路76と、表示回路74A,74Bは、間欠的に、自らの動作を並列的に実行する(図13参照)。
最初に、図13を参照して、描画回路76と表示回路74のシーケンス動作について概略的に説明する。先ず、T1から始まる実行周期で、CPU63が生成したディスプレイリストDLは、T1+δから始まる実行周期で、描画回路76に解釈され、描画回路76が生成した画像データが、フレームバッファFBa,FBbに作成される。なお、ディスプレイリストDLには、2個の表示装置DS1a,DS1bの表示画面を特定する一連の描画コマンド列が2区分されて記載されている。
そして、この実施例では、フレームバッファFBa,FBbには、描画回路76によって、各々、800×600ピクセル分の画像データが展開されている。そして、これらの画像データが、T1+2δから始まる実行周期で、表示回路74A,74Bによって出力される。したがって、本実施例では、3回の実行周期を経て、画像演出についての一単位動作が完了することになる。
以上の関係は、図7(a)にも記載の通りであり、T1’のタイミングでDRAM52に転送されたディスプレイリストDLに基づき、T1+δのタイミングで、CGROM53のCGデータがVRAM71に読み出され(但し必要時に限る)、同じ実行周期で、フレームバッファFBa,FBbに画像データが作成される(タイミングT1+δ’)。そして、この画像データは、T1+2δのタイミングで、図9に示す2系統の通信路(80a/80b,27a/27b)を通して、表示装置DS1a/DS1bに出力される。
以上、概略説明をしたので、続いて、図12(b)に基づいて、ステップST2の処理を具体的に説明する。CPU60は、表示回路74A,74Bの表示領域を切換えるべく、各表示回路74A,74Bに対応する所定の表示レジスタに、所定値を設定すると共に、表示動作の開始を指示する(ST10〜ST11)。
図7に示す通り、フレームバッファFBa,FBbはダブルバッファ構造(0/1)になっており、その一方が、描画回路76のアクセス対象となる描画領域であり、他方が、表示回路74のアクセス対象となる表示領域である。そして、ステップST10〜ST11の処理によって、描画領域と表示領域が入れ替わることになり、それまでに描画回路76がフレームバッファFBa,FBbに生成した一フレーム分の画像データが、この実行周期で、表示回路74A,74Bによって表示装置DS1a,DS1bに向けて出力されることになる。
なお、本実施例では、表示回路74A,74Bの動作周期が1/60秒に設定されているのに対して、CPU60の動作周期が1/30秒であるので、表示回路74A,74Bは、実際には、同一の画像データを2度出力して、同一フレームを連続して二回表示することになる。
表示回路74についての上記の処理(ST10〜ST11)と共に、CPU60は、描画回路76の動作を規定する所定の描画レジスタに、描画動作の動作開始を指示する(ST12)。その結果、描画回路76についても、1/30秒毎に所定の動作を開始することになる。なお、描画回路76や表示回路74が実行すべき動作内容は、電源リセット時やその後の必要なタイミングで、CPU60によって、描画レジスタや表示レジスタに設定されることは先に説明した通りである。
図12(b)から図12(a)に戻って説明を続けると、CPU60は、上記したステップST2の処理で、描画回路76や表示回路74のシーケンス動作を指示した後、画像演出シナリオに基づいて、次の一フレームについてのディスプレイリストDLを作成する。ここで、画像演出シナリオは、主制御部21から受けた制御コマンドCMDで特定される画像演出を具体化したものである。
すなわち、画像演出シナリオには、一定時間継続される一連の動画や、描画位置や配置姿勢や拡大縮小率が適宜に規定される静止画(背景画像や予告画像を含む)について、(1) 一連の動画演出の開始時刻や終了時刻、(2) どの静止画を、どの時刻に、どの位置に、どのように描くか、などが規定されている。なお、動画演出とは言っても、表示装置の描画画像が、迅速かつ円滑に変化するだけであり、一定時間毎に、同一又は異なる次の画像データ(フレーム画像データ)を、表示装置に描画する点では静止画と同じである。
そして、CPU60は、このような構成の演出シナリオを参照して、各タイミング(T1,T1+δ,T1+2δ,・・・)で、表示装置DS1a,DS1b,の表示画像を特定する一群の描画コマンドを列記したディスプレイリストDLを生成する。ディスプレイリストDLは、動画については、時間的に進行する動画のどの部分を表示するかを、CGROM53の記憶位置を特定して規定し、スプライト画像などの静止画については、CGROM53の何処に記憶されている画像を、表示装置のどの位置に、どのように描くかなどを規定している。
ディスプレイリストDLを構成する描画コマンド列が、2個の表示装置DS1a,DS1bに対応して2区分(DL=DLi1+DLi2)されているが、このようなディスプレイリストDLは、CPU60に指示されたデータ転送回路72によって、内蔵RAM59から、外付けDRAM52に転送される(ST4)。図7のタイミングT1’の矢印は、この動作を図示したものである。なお、CPU60は、動作周期ごとに、各表示装置一フレームを特定する一のディスプレイリストDLを生成する必要はなく、複数タイミングでの表示内容を特定する複数のディスプレイリストDL1,DL2・・・を、一の動作周期でまとめて生成しても良い。
また、図13には、CPU60によるステップST13の処理が、CPU63から描画回路76へ向かう縦方向の矢印で示され、CPU60によるステップST10〜ST11の処理が、CPU63から表示回路74A,74Bに向う縦方向の矢印で示されている。
続いて、図12(c)〜(d)や図13を参照しつつ、描画回路76、グラフィックスデコーダ75、及びジオメトリエンジン77などが協働して実行する描画動作について確認的に説明する。図13に示す通り、この描画動作は、一定時間(δ)毎に繰り返されるが、便宜上、以下の説明では、書換え後のディスプレイリストDL1に基づいて実行されるタイミングT1+2δ以降の描画動作を説明する。
描画回路76は、外付けDRAM52に記憶されているディスプレイリストのうち、未処理で最古のディスプレイリストであるディスプレイリストDL1に記載されている描画コマンドを順番に解析して(図12(c)のSS20)、描画コマンドが指定する静止画や動画について、グラフィックスデコーダ75やジオメトリエンジン77を機能させる。
そして、グラフィックスデコーダ75によってデコードされた静止画データや動画データは、各々、内蔵VRAM71に確保されている静止画デコード領域や動画デコード領域に伸張展開される(SS22〜SS23)。次に、デコード後の静止画データや動画データが、描画コマンドによって規定される描画態様で、VRAM71のフレームバッファFB(FBa,FBb)の所定位置に書込まれることで描画処理が実行される(SS24)。なお、描画態様には、フレームバッファFB(FBa,FBb)における描画位置が含まれるが、スプライト画像などの場合には、更に、描画姿勢や拡大縮小率などが規定される場合があり、ジオメトリエンジン77が機能する。
なお、フレームバッファFBa,FBbは、各々、描画領域と表示領域に区分されたダブルバッファ構造であるので、描画動作(SS24)では、より正確には、フレームバッファFBa,FBbの描画領域に画像データが書込まれることになる。
このようにして、全ての描画コマンドについての描画処理が終われば、間欠的に開始される次回の描画動作まで待機状態となる(SS25)。なお、図7には、タイミングT1+δ’において、フレームバッファFB(FBa+FBb)に、必要な画像が描画されることが矢印で記載されている。
最後に、図12(d)に基づいて表示回路74の動作を説明する。この表示動作も、一定時間(δ)毎に繰り返されるが、便宜上、以下の説明では、図13に示すタイミングT1+2δ以降の表示動作を説明する。先に説明した通り、このタイミングでは、ディスプレイリストDL1に基づく画像データ(A1,B1)が、フレームバッファFBa,FBbの描画領域に確保されている。そして、この描画領域は、タイミングT1+2δ以降の表示動作では、表示領域として機能する。
図12(d)に示す通り、表示回路74A,74Bは、各々に対応するフレームバッファFBa,FBbの表示領域に格納されている画像データ(A1,B1)を読み出して、出力選択部79に出力する(SS30)。ここで、フレームバッファFBaの画像データ(A1)は、表示装置DS1aの一フレームを特定する画像データであり、フレームバッファFBbの画像データ(B1)は、表示装置DS1bの一フレームを特定する画像データである。
その後は、出力選択部79の動作に基づき、表示回路74Aが出力するフレームバッファFBaの画像データ(A1)が、LVDS部80aを経由してLVDS信号LVDS1として出力され、表示回路74Bが出力するフレームバッファFBbの画像データ(B1)が、LVDS部80bを経由してLVDS信号LVDS2として出力される。
図9に示す通り、LVDS部80aが出力する画像データ(A1)に関するLVDS信号LVDS1は、LVDS中継基板27aで再生成された上で表示装置DS1aに伝送されて、800×600ピクセルの表示画面を実現する。
同様に、LVDS部80bが出力する画像データ(B1)に関するLVDS信号LVDS2は、LVDS中継基板27bで再生成された上で表示装置DS1bに伝送されて、800×600ピクセルの表示画面を実現する。
以上の動作は、タイミングT1+2δから始まる表示動作だけでなく、タイミングT1+3δから始まる表示動作でも同じである。すなわちが、タイミングT1+3δから始まる表示動作では、表示回路74A,74Bが、画像データA2,B2を出力して、各表示装置DS1a,DS1bに表示されることになる。
以下、同じ動作を繰り返すので、表示装置DS1a,DS1bには、1/30秒毎に更新される画像データAi,Biが表示されることになる。なお、表示回路74A,74Bは1/60秒毎の動作するよう初期設定されているので、同一の画像データAi,Biが連続して二度出力されることは先に説明した通りである。そのため、表示装置DS1a,DS1bに表示される動画は、その再生速度が30fps(Frames Per Second )となる。
以上、2個の表示装置DS1a,DS1bの一フレーム分の画像データを、各々、フレームバッファFBa,FBbに生成し、表示回路74A,74Bを機能させる構成を説明したが、特に限定されるものではない。
図14(a)は、2個の表示装置DS1a,DS1bの一フレーム分の画像データ(ストライプ連結した画像データ)を、フレームバッファFBaに纏めて生成し、表示回路74Aの出力を、出力選択部79でストライプ分割して表示装置DS1a,DS1bの一フレーム分の画像データに分割する構成を示している。
ここで、ストライプ連結とは、2個の表示装置DS1a,DS1bの各ピクセルのRGB画像データを、水平方向に隣接させて複合ピクセルを生成することを意味する。また、ストライプ分割とは、表示画面の水平方向に隣接する複合ピクセルについて、一方ピクセルのRGB画像データをLVDS部80aに出力し、他方ピクセルのRGB画像データをLVDS部80bに出力する動作を意味する。
そして、出力選択部79の出力(RGBパラレル信号)を受けるLVDS部80a,80bから出力される一対のLVDS信号LVDS1,LVDS2は、LVDS中継基板27a,27bを経由して各表示装置DS1a,DS1bに伝送される。
このような動作を実現するためには、フレームバッファFBaには、表示装置DS1a,DS1bの一フレーム分の画像データをストライプ連結した画像データを確保する必要がある。
そこで、次に、表示装置DS1a用の800×600ピクセル分の画像データと、表示装置DS1b用の800×600ピクセル分の画像データとをスプライト連結する手法を図15に基づいて説明する。
図15(b)に示す通り、この実施例では、表示装置DS1a用の800×600ピクセルの画像データ(Ai)を一時記憶するための作業領域WK1と、表示装置DS1b用の800×600ピクセルの画像データ(Bi)を一時記憶するための作業領域WK2とが確保されている。
そして、ディスプレイリストDLiに記載されている表示装置DS1a用の描画コマンドに基づき生成された一フレーム分の画像データAiは、作業領域WK1に一時記憶され、一方、表示装置DS1b用の描画コマンドに基づき生成された一フレーム分の画像データBiは、作業領域WK1に一時記憶される。なお、図15(b)の左側は、この一時記憶状態を示している。
また、これらの画像データ(Ai,Bi)がスプライト連結されてフレームバッファFBaに格納される必要があるので、フレームバッファFBaとして、スプライト連結された画像データ(Ai+Bi)を記憶するべく、1600×600×2ピクセル分の記憶容量が確保されている。
このフレームバッファFBaには、1600×600個の各ピクセルP(i,j)について、RGBデータを特定する3バイトとは別に、α値を特定するαチャンネルを有して構成されている。ここで、α値とは、各ピクセル位置P(i,j)に設定された透過度情報であって、フレームバッファFBaに上書きする新規画像(source)と、フレームバッファFBaの元画像(destination )との透明度を規定するαブレンド処理を特定する値である。
特に限定されないが、α値を1バイト構成とすれば、各ピクセル位置P(i,j)の情報が、合計4バイトで特定されることになり、フレームバッファFBaは、合計、1600×600×4バイト長のデータ容量を有することになる。
以上を踏まえて説明を続けると、作業領域WK1,WK2に一次記憶された完成状態の画像データ(Ai,Bi)は、ディスプレイリストDLiの最終位置に記載されたストライプ連結処理JOINによって、ストライプ連結される。なお、ストライプ連結処理JOINを実現する描画コマンド列は、描画回路76(DLアナライザ)がアクセス可能なサブルーチンJOINとして、電源リセット時に、例えば、内蔵VRAM71や外付けDRAM54に記憶されている。
図15(a)は、このストライプ連結処理JOINを説明するフローチャートである。ストライプ連結処理JOINでは、最初に、奇数列ピクセルを特定するαチャンネルに、α値=0を書込む一方、偶数列ピクセルを特定するαチャンネルに、α値=255を書込んでいる(SS51)。
次に、作業領域WK1に格納されている完成状態の表示装置DS1aの画像データAi(800×600ピクセル分)を、横方向に拡大して、1600×600ピクセル分の画像データとして、フレームバッファFBaに書込む(SS52)。
この2倍拡大処理は、作業領域WK1からフレームバッファFBaに画像データを転送させる描画コマンドにおいて、source側の画像領域(作業領域WK1)と、destination 側の画像領域(横方向に大きいフレームバッファFBa)を指定するだけで足りる。すなわち、destination 側のフレームバッファFBaが、source側と比較して横方向に2倍であることから、描画回路(Pixel Generator )において自動的に横方向の拡大処理が実行される。
なお、この2倍拡大処理では、作業領域WK1の1列目の画像データが、フレームバッファFBaの1列目と2列目にコピーされ、作業領域WK1の2列目の画像データが、フレームバッファFBaの3列目と4列目にコピーされるよう構成されている。以下同様であり、作業領域WK1のN列目の画像データが、フレームバッファFBaの2*N−1列目と、2*N列目にコピーされてdestination 画像となる。
次に、作業領域WK2に格納されている完成状態の表示装置DS1bの画像データBi(800×600ピクセル分)を、横方向に2倍拡大して、1600×600ピクセル分の画像データとして、フレームバッファFBaの画像データとの間でαブレンド処理を実行する(SS53)。この場合も、拡大処理によって、作業領域WK2のN列目の画像データが、フレームバッファFBaの2*N−1列目と2*N列目に作用し、その位置のdestination 画像との間でαブレンド処理がされる。
αブレンド処理では、例えば、図15(b)に記載の式1に示すように、Cr=Cd*(1−α/255)+Cs*α/255の演算が実行される。この演算式において、Cdは、フレームバッファFBaの各ピクセル位置P(i,j)に書込まれた元画像(Destination )のRGB情報、つまり、ステップSS52の処理で、フレームバッファFBcに書込まれた作業領域WK1の画像データ(横拡大された表示装置DS1aの1600×600ピクセル分)である。
一方、Csは、横拡大された作業領域WK2のSource画像(表示装置DS1bの1600×600ピクセル分)のRGB情報であり、Crは、αブレンド処理後のフレームバッファFBcのRGB情報である。なお、αブレンド処理式において、255は、1バイト構成(n=8)のα値の上限値であり、データ構成に対応して変化する(2n−1)。
先に説明した通り、α値は、ステップSS51の処理によって、図15(b)に示す奇数ピクセル列では0、偶数ピクセル列では255であるので、結局、奇数ピクセル列に対応するフレームバッファFBaでは、Cr=Cdの関係より、元画像(Destination )、つまり、サブ表示装置DS1a用の画像データが、そのまま残ることなる。
一方、偶数ピクセル列に対応するフレームバッファFBaでは、Cr=Csの関係より、元画像(Destination )が消滅して、上書きされる新規画像(Source)、つまり、サブ表示装置DS1b用の画像データだけが記憶されることになる。
そして、これらの結果、フレームバッファFBaには、表示装置DS1aと表示装置DS1bの画像データがストライプ連結されて格納されることになる。
なお、以上説明したαブレント処理では、横拡大されたサブ表示装置DS1bの画像をSource画像としたが、これに代えて、横拡大されたサブ表示装置DS1aの画像をSource画像としても良いのは勿論である。また、奇数ピクセル列に、サブ表示装置DS1aの画像を残すか、サブ表示装置DS1bの画像を残すかも任意であり、これに対応して、LVSD中継基板や表示装置の回路接続を変更すれば良い。また、ステップSS51の処理は、電源投入時の一回だけに限定しても良い。
何れにしても、このようにスプライト連結された画像データは、出力選択部79においてスプライト分割され、表示装置DS1a用の画像データ(Ai)を特定するLDVS1信号と、表示装置DS1b用の画像データ(Bi)を特定するLDVS2信号として、LDVS中継基板27a,27bに伝送される。
そして、LDVS中継基板27a,27bにおいて再生成されたLDVS信号が、各表示装置DS1a,DS1bに伝送されることで、ノイズの影響を排除した各々の表示画面を表示される。
なお、図14(a)の構成では、出力選択部79においてスプライト分割処理を実行したが、図14(b)に示すように、LVDS中継基板27において、スプライト分割しても良い。図14(b)の構成の場合にはVDP回路から出力されるLVDS信号のクロック周波数が例えば、80MHzとなるが、LVDS中継基板27においてLVDS信号が再生成されるので、レベル降下などに伴うノイズトラブルが生じることがない。
先に説明した通り、図10(c)は、LVDS中継基板27に配置される分配器85の動作を説明したものであり、ドットクロックの周波数が、分配器85において、80MHzから40MHzに降下される。
これら図14(a)や図14(b)の構成を採る場合には、空き状態のフレームバッファFBb,FBcや、表示回路74B,74Cを使用して他の表示装置の画像データを生成することができる。
図14(c)は、6個の表示装置DS1a,DS1b,DS2〜DS5を配置する実施例を示しており、各フレームバッファFBa,FBb,FBcには、スプライト連結された画像データが生成される。そして、スプライト連結された画像データを含んだLVDS信号は、LVDS中継基板27a〜27cにおいてスプライト分割されて各表示装置DS1a,DS1b,DS2〜DS5に伝送される。
なお、表示回路74Cの出力は、RGBパラレルデータであるので、液晶IF基板にLVDS変換回路を配置して、LVDS信号として、LVDS中継基板27cに伝送される。
ところで、ここまでの説明では、前枠3に、ガラス扉6や前面板7が枢着される構成の遊技機GMについて説明したが、ある程度の期間、遊技ホールで永続的に使用可能な共通部材(汎用部材GER)を確保する一方で、遊技機を、より個性豊かにするためには、図16に示す機器構成を採るのが好適である。
この遊技機GMでは、木製外枠1に枢着される前枠3が、第1前枠3Aと第2前枠3Bに分解可能に構成されると共に、第2前枠3Bに、扉枠4Aと、意匠枠4Bとが装着されるよう構成されている。
そして、第1前枠3Aに遊技盤5が装着され、遊技盤5の前方に、第2前枠3Bと、扉枠4Aと、意匠枠4Bとが配置される。この機器構成では、木製外枠1と、第1前枠3Aと、第2前枠3Bとが、遊技ホールに配置される共通部材GERであり、遊技盤5と、扉枠4Aと、意匠枠4Bとが、機種毎に変更可能な変更部材CHGとなる。但し、扉枠4Aや意匠枠4Bは、必ずしも、遊技盤5の交換に対応して、毎回、交換される必要はない。
なお、図16に示す機器構成を、図4の構成図に対応させると、図4の枠側部材GM1は、共通部材GER(木製外枠1+第1前枠3A+第2前枠3B)と、扉枠4Aと、意匠枠4Bとを合わせたものとなり、盤側部材GM2が遊技盤5となる。
ところで、扉枠4Aは、汎用的に使用可能な汎用枠4A1と、各機種の遊技コンセプト毎に大別された個性枠4A2とに大別されている。個性枠4A2としては、例えば、ボクシング映画をモチーフにした一連の遊技機で使用されるゴング枠4A2Gや、アニメ主人公(〇〇少女)をモチーフした一連の遊技機で使用される〇〇少女枠4A2Sなどが用意されている。
そして、扉枠4Aに配置された回路基板には、上記した扉枠の種類(4A1,4A2,・・・)を特定する判別コードが記憶されており、電源投入時に、扉枠4Aの種類が判別できるよう構成されている。そして、万一、遊技盤5に対して不合理な扉枠4Aが装着している場合には、その旨が報知される。
一方、意匠枠4Bは、扉枠4Aの種類ごとに、複数個が用意されており、例えば、〇〇少女枠4A2Sに対応する意匠枠4Bとしては、主人公の衣服の色やデザインが相違する複数種類が用意されている。
このように本実施例では、第2前枠3Bに装着する扉枠4Aが複数個用意されている上に、扉枠4A毎に、複数の意匠枠4Bが用意されているので、遊技盤5が意図するゲーム性に合わせて、遊技盤5の周囲を最適に装飾することができる。
この実施例では、扉枠4Aに、3個のフォトインタラプタPI0〜PI2が配置される一方、意匠枠4Bには、遮光板MKが配置されていて、意匠枠の組付け時には、遮光板MKが各フォトインタラプタPIiの隙間に突入するよう構成されている(図17(a)参照)。
図17(a)に示す通り、各フォトインタラプタPIiは、検査光を発光するフォトダイオードDと、検査光を受けるフォトトランジスタTRとを、適宜な隙間GPを介在させて対面させて構成されている。
また、遮光板MKは、意匠枠4Bに固定された基部MK1と、突出部MK2とで、断面視が略T字状に形成された透明プラスチック材である。そして、透明な突出部MK2に、マスクシートSHを貼着させることで遮光性能を実現している。
図示の通り、突出部MK2は、フォトインタラプタPI0〜PI2に対応して三分されており、その適所が、マスクシートSHによって遮光部となっている。そのため、各フォトインタラプタPIiの出力Diは、検査光の遮光状態では、0(=L)となり、透光状態では1(=H)となる。
特に限定されないが、本実施例では、三分された突出部MK2の3箇所のうち、1又は2箇所が遮光部となっており、フォトインタラプタPI2〜PI0の出力D2〜D0は、図17(b)の通りであり、最高5種類の意匠ユニット6(意匠A〜意匠F)を特定できるようになっている。
そして、電源投入時に、フォトインタラプタPI0〜PI2のデータが取得されることで、意匠枠4Bの種類が判別され、意匠枠4Bの種類に対応した画像演出が実行される。例えば、表示装置に出現する主人公の衣服の色やデザインは、意匠枠4Bのデザインに合わせたものとなる。
以上、この明細書では、各種の実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は、何ら本発明を限定するものではない。