以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、以下の順序で説明を行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.第4の実施の形態
5.第5の実施の形態
6.第6の実施の形態
7.第7の実施の形態
8.第8の実施の形態
9.CSP固体撮像素子の構成について
10.電子機器への適用例
11.撮像装置の使用例
12.体内情報取得システムへの応用例
13.内視鏡手術システムへの応用例
14.移動体への応用例
15.本開示に係る技術を適用し得る積層型の固体撮像装置の構成例
<<1.第1の実施の形態>>
図1は本開示の固体撮像素子を適用した撮像装置の第1の実施の形態を説明する構造図である。図1は、図中の上部が、撮像装置の側面断面図であり、下部が、上部のAB’断面の上面図である。ただし、図1の上部の左半分は、下部のAA’断面であり、図1の上部の右半分は、下部のBB’断面である。
図1の撮像装置は、CSP(Chip Size Package)固体撮像素子(固体撮像装置とも称する)20、回路基板7、アクチュエータ8、スペーサ10、並びに、レンズ61,62より構成されている。図1の撮像装置におけるレンズは、レンズ61,62からなる2群に分離されており、上位層のレンズ61から光の透過方向に対して、最下位層のレンズ62を固体撮像素子1の直上に配置する構成とされている。
図1のCSP(Chip Size Package)固体撮像素子20は、固体撮像素子1、ガラス基板2、赤外カットフィルタ4、およびレンズ62が一体構造として形成された撮像素子である。
より詳細には、固体撮像素子1は、例えば、CCD(Charged Coupled Devices)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などからなるイメージセンサであり、レンズ61,62とが一体となって構成されるレンズ6を介して入射する光を、光量に応じて光電変換により電荷を発生し、対応する電気信号からなる画素信号を出力する。固体撮像素子1およびガラス基板2は、透明の接着剤31により接着されている。最下位層のレンズ62は、辺縁部に図中の下方向に突出した凸部62aを備えており、ガラス基板2と接着剤33により接着されている。また、最下位層のレンズ62の辺縁部の凸部62aを除いた光の透過方向に対して後段となる、図中の下部には、赤外光をカットするフィルタである赤外カットフィルタ4が透明の接着剤32により接着されている。赤外カットフィルタ4とガラス基板2との間には、キャビティ層5が設けられている。すなわち、レンズ62の辺縁部に設けられた凸部62aを除き、図中の上から、レンズ62、接着剤32、赤外カットフィルタ4、キャビティ層5、ガラス基板2、接着剤31、および固体撮像素子1の順序で積層されている。
CSP固体撮像素子20は、図1で示されるような構成により、組み立て工程においては、1部品として扱われる。
レンズ61は、レンズ6を構成するレンズ61,62からなる2群を1つの光学系としたときの1群を構成しており、被写体光を固体撮像素子1の撮像面に対して集光するための1枚以上のレンズから形成される。
アクチュエータ8は、レンズ61を固体撮像素子1に対向する方向に対して、図中の上下および水平方向に駆動させることで、オートフォーカスおよび手振れ補正機能の少なくともいずれか一つ以上の機能を備える。
回路基板7は、CSP固体撮像素子20の電気信号を外部に出力する。スペーサ10は、回路基板7、およびCSP固体撮像素子20の光を吸収する、例えば、黒色樹脂などからなる固定剤13により接続することで、固定する。また、スペーサ10は、図中の上面部分においてアクチュエータ8を搭載することでレンズ61、およびアクチュエータ8を固定する。
回路基板7やスペーサ10は、CSP固体撮像素子20の固体撮像素子1およびアクチュエータ8の駆動に必要なコンデンサやアクチュエータ制御LSI(Large-Scale Integration)などの半導体部品12が実装される。
さらに、CSP固体撮像素子20は、図2で示されるように、スペーサ10に設けられた固定部11−1乃至11−4により、4か所の角部が、はめ込まれる構成とされており、角部がはめ込まれるだけで回路基板7に対して固定剤13が注入される前の状態でも、重力の作用のみで、回路基板7上の略適切な位置に誘導し固定することができる。換言すれば、固定部11−1乃至11−4は、CSP固体撮像素子20が、スペーサ10の開口部にはめ込まれると、CSP固体撮像素子20の4か所の角部を回路基板7上の適切な位置に誘導するように、スペーサ10に形成されているものである。
尚、固定部11−1乃至11−4は、CSP固体撮像素子20がスペーサ10の開口部の適切な位置に配置されるとき、CSP固体撮像素子20との間には、交差が許容される範囲で、極僅かに隙間が生じるサイズに構成されている。しかしながら、固定部11−1乃至11−4は、CSP固体撮像素子20に反り、歪み、または、収縮などが生じるときには、CSP固体撮像素子20に当接して適切な位置に誘導し、CSP固体撮像素子20の反り、歪み、または、収縮による、傾きやずれの発生を防止する構造である。
したがって、CSP固体撮像素子20は、固定部11−1乃至11−4に、4か所の角部を合わせて、スペーサ10に対してはめ込まれるように載置されることにより、自重による重力の作用を受けて、固定部11−1乃至11−4により、回路基板7上の適切な位置に誘導されるように配置することが可能となる。
また、回路基板7上の適切な位置に誘導されて配置された後、CSP固体撮像素子20とスペーサ10との間の空間に固定剤13が注入されても、位置がずれないので、固定剤13が乾燥して固着(硬化)するまでの間に、固定剤13が変形するなどしても、回路基板7に対して、CSP固体撮像素子20の歪み、反り、および傾きを防止することができる。
尚、スペーサ10にも回路基板7と同様の回路構成を持たせるような構成としてもよい。また、回路基板7の材質は、固体撮像素子1の材質であるシリコンの線膨張率に近い(線膨張率が類似した)材質であることや、所定の弾性率よりも低い低弾性率の材質であることが望ましい。
さらに、アクチュエータ8は、オートフォーカスおよび手振れ補正機能のいずれか一つ以上を有したものでもよいし、オートフォーカスおよび手振れ補正のいずれも有しない、単焦点のレンズホルダでもよい。
また、オートフォーカスや手振れ補正に関してはアクチュエータ以外で実現してもよい。
コネクタ9は、回路基板7を介して、固体撮像素子1より出力される画像信号を外部に出力する。コネクタ9は、外部端子23と接続されており、ケーブル22を介して信号処理部21に画像信号を出力する。信号処理部21は、画像信号を必要に応じて補正すると共に、所定の圧縮形式に変換して出力する。
<赤外カットフィルタを上位層レンズに設け、キャビティ層を設けない場合の例>
図1の撮像装置における、レンズ62、接着剤32、赤外カットフィルタ4、キャビティ層5、ガラス基板2、接着剤31、および固体撮像素子1の順序で積層することにより生じる効果を説明するにあたって、赤外カットフィルタ4をレンズ61側に設け、かつ、キャビティ層5を設けない場合の例について説明する。
赤外カットフィルタ4は、上位層レンズ61側に設けられ、キャビティ層5が設けられない場合、図3の左上部で示される構成となる。尚、図3においては、赤外カットフィルタ4は、図示せぬ上位層レンズ61側に設けられている。また、最下位層のレンズ62の直下にガラス基板2が設けられ、ガラス基板2と固体撮像素子1とが透明の接着剤31により接着されている。
ここで、レンズ62、ガラス基板2、および接着剤31は、全て同一の屈折率であるものと仮定すると、固体撮像素子1の屈折率は、レンズ62、ガラス基板2、および接着剤31の屈折率より高いことは明らかである。
従って、図3の左下部で示されるように、上位層のレンズ61を通して、固体撮像素子1に入射された強い光の光束は、固体撮像素子1の屈折率と入射される直前の接着剤31の屈折率の違いから、全反射と称される反射が発生する。全反射の成分は、最下位層のレンズ62と空気の屈折率の違いから、さらに反射され、固体撮像素子1に再度入射される。ここで、入射光のうち、固体撮像素子1により全反射する成分を、以降において、入射光の全反射成分とも称し、最下位層レンズ62の上面で反射して、固体撮像素子1に再度入射する光を、入射光の全反射折り返し成分と称す。
ところで、レンズ62の厚さは、レンズ62の中心位置からの距離に応じて同心円状に変化する。このため、入射光のレンズ62の中心位置からの入射位置に応じて、対応する全反射折り返し成分の入射位置は変化する。
より詳細には、図3の左下部で示されるように、入射光L1は、固体撮像素子1に入射すると、その一部が、例えば、全反射成分RF1として反射し、レンズ62と空気層との境界で反射し、全反射折り返し成分RF2として再び固体撮像素子1に入射する。
一方、入射光L11は、固体撮像素子1に入射すると、その一部が、例えば、全反射成分RF11として反射し、レンズ62と空気層との境界で反射し、全反射折り返し成分RF12として再び固体撮像素子1に入射する。
すなわち、入射光L1の入射位置から全反射折り返し成分RF2としての再入射位置までの距離W1と、入射光L11の入射位置から全反射折り返し成分RF12としての再入射位置までの距離W2とでは、距離W2の方が距離W1より大きくなる。このため、入射光L1と全反射折り返し成分RF2とにより撮像される画像は、例えば、画像P1であるのに対して、入射光L2と全反射折り返し成分RF2とにより撮像される画像は、例えば、画像P2となる。結果として、同一の像に対して生じるずれに起因して、画像P1と画像P2との被写体の像の大きさが異なる。
すなわち、全反射成分RF1、および全反射折り返し成分RF2により生じる像と、全反射成分RF11、および全反射折り返し成分RF12により生じる像とでは、その光路の違いにより、生じる像のずれ幅が異なる。
したがって、撮像される画像に含まれる全反射折り返し成分により生じる像のずれを補正するにあたっては、信号処理部21は、レンズ形状とレンズの中心位置からの距離に応じて異なる処理が必要とされる。しかしながら、レンズ形状と、レンズ形状のばらつきなどを考慮した信号処理部21による補正処理は、補正に係る処理の煩雑さや、処理時間の増大を生じさせる原因となり得る。
また、図3の右上部で示されるように、入射光L21が、赤外カットフィルタ4を透過した後、レンズ62、ガラス基板2、および接着剤31を透過して、固体撮像素子1に焦点RFP1で入射すると、反射光の一部の全反射成分が、赤外カットフィルタ4の図中の下面4aと、上面4bとで、反射することにより、それぞれが全反射折り返し成分として焦点RFP2,RFP3において固体撮像素子1に再入射する。
結果として、例えば、画像P11で示されるように、本来の焦点RFP1で入射されることで結像される像ROに対して、焦点RFP2,RFP3において、再入射することにより、反射像RF31,RF32が生じてしまう。
さらに、図3の右下部で示されるように、近年の固体撮像素子1の小型化のために、最下位層のレンズ62に入る光の角度を大きくする手法が一般的であるが、赤外カットフィルタ4は、斜め光の入射に対して赤外カットの特性が低下してしまい、所定の角度以上では性能が確保できないため、小型化、特に低背化を妨げてしまう恐れがあった。
<図1の撮像装置の赤外カットフィルタを最下位層レンズの後段に配置し、キャビティ層を設けるようにした構成による効果>
次に、図4を参照して、図1の撮像装置における、図1の撮像装置の赤外カットフィルタを最下位層レンズの後段に配置し、キャビティ層を設けるようにした構成による効果について説明する。
図1の撮像装置における、最下位層のレンズ62の図中の下方向の面に接着剤31により接着された赤外カットフィルタ4と、ガラス基板2との間にキャビティ層(空隙)5が設けられることにより、CSP固体撮像素子20と最下位層レンズ62との間に距離の小さい空気層が確保される。
この空気層からなるキャビティ層5により、全反射成分が空気層からなるキャビティ層5とガラス基板2との境界において、全反射折り返り成分として反射され、固体撮像素子1に再入射される。
例えば、図4の左上部で示されるように、厚さd1のガラス基板2からなる撮像装置の場合、レンズ62の中心位置に近い入射光L51は、固体撮像素子1に入射すると、その一部が、例えば、全反射成分RF51として反射し、レンズ62と空気層であるキャビティ層5との境界で反射し、全反射折り返し成分RF52として再び固体撮像素子1に入射する。
また、レンズ62の中心位置から遠い入射光L61は、固体撮像素子1に入射すると、その一部が、例えば、全反射成分RF61として反射し、レンズ62と空気層からなるキャビティ層5との境界で反射し、全反射折り返し成分RF62として再び固体撮像素子1に入射する。
入射光L51の入射位置から全反射折り返し成分RF52としての再入射位置までの距離W11と、入射光L61の入射位置から全反射折り返し成分RF62としての再入射位置までの距離W12とは、光路がほぼ同一であるため、発生する像のずれがほぼ同一になる。
このため、入射光L51と全反射折り返し成分RF52とにより撮像される画像は、例えば、画像P31であるのに対して、入射光L52と全反射折り返し成分RF52とにより撮像される画像は、例えば、画像P32となる。結果として、同一の像に対して生じるずれが、画像P31と画像P32とでほぼ同一になる。
一方、例えば、図4の左下部で示されるように、厚さd2(>d1)のガラス基板2からなる撮像装置の場合、レンズ62の中心位置に近い入射光L71は、固体撮像素子1に入射すると、その一部が、例えば、全反射成分RF71として反射し、レンズ62と空気層からなるキャビティ層5との境界で反射し、全反射折り返し成分RF72として再び固体撮像素子1に入射する。
また、レンズ62の中心位置から遠い入射光L81は、固体撮像素子1に入射すると、その一部が、例えば、全反射成分RF81として反射し、レンズ62と空気層からなるキャビティ層5との境界で反射し、全反射折り返し成分RF82として再び固体撮像素子1に入射する。
入射光L71の入射位置から全反射折り返し成分RF72としての再入射位置までの距離W21と、入射光L81の入射位置から全反射折り返し成分RF82としての再入射位置までの距離W22とは、光路がほぼ同一であるため、発生する像のずれがほぼ同一になる。
このため、入射光L71と全反射折り返し成分RF72とにより撮像される画像は、例えば、画像P51であるのに対して、入射光L82と全反射折り返し成分RF82とにより撮像される画像は、例えば、画像P52となる。結果として、同一の像に対して生じるずれが、画像P51と画像P52とでほぼ同一になる。
すなわち、ガラス基板2における空気層からなるキャビティ層5との境界で全反射成分が折り返し、全反射折り返し成分として固体撮像素子1に入射される。固体撮像素子1への入射光と、全反射折り返し成分との差は、固体撮像素子の撮像面で一定のずれになるため、固体撮像素子1の入射光と、全反射折り返し成分との差は固体撮像素子1の撮像面内において、ほぼ一定であることから、信号処理部21の補正に係る処理負荷を低減させることが可能となる。
また、図4の左上部および左下部で示されるように、ガラス基板2の厚みd1における、全反射成分(RF51またはRF61)と全反射の折り返し成分(RF52またはRF62)との光路は、ガラス基板2の厚みd2における、全反射成分(RF71またはRF81)と全反射の折り返し成分(RF72またはRF72)との光路よりも短い。このため、ガラス基板2の厚みd1における、入射光L51またはL61の入射位置と全反射の折り返し成分(RF52またはRF62)の入射位置とのずれである距離W11またはW12は、ガラス基板2の厚みd2における、入射光L71またはL81の入射位置と全反射の折り返し成分(RF72またはRF82)の入射位置とのずれである距離W21またはW22よりも短い。
すなわち、ガラス基板2の厚みが薄くなるほど、すなわち、全反射の折り返し成分と全反射成分との光路差が小さくなるほど、入射光の入射位置と、全反射の折り返し成分の入射位置とのずれとなる距離を縮めることが可能となり、像のずれが見え難くなり、信号処理部21の補正に係る処理負荷を低減させることが可能となる。したがって、像のずれが所定値よりも十分に小さくなるほど、ガラス基板2の厚みを薄くできれば、信号処理部21による補正処理は、必要に応じて省略することも可能となる。
さらに、図4の右上部で示されるように、図1の撮像装置においては、赤外カットフィルタ4が最下位層のレンズ62と固体撮像素子1の間に配設されることで、点線で示されるように、赤外カットフィルタ4が、レンズ62の前段に設けられていた場合であれば、入射光L91が、焦点RFP11に入射した後、反射成分RF91として赤外カットフィルタ4により反射されるが、反射成分RF91の折り返し成分が生じないので、折り返し成分による像のずれが生じないので、画像P61で示されるように、図3の画像P11のような反射による影響が生じない。
また、図4の右下部で示されるように、撮像装置1の小型化、低背化のために光線入射が固体撮像素子1の垂直方向から鋭角に入射しても、最下位層のレンズ62で、入射角が補正されて角度が小さくなり、角度が小さくなった光が赤外カットフィルタ4を透過するため、入射角が小さくなり赤外カットフィルタ4の特性を落とすことなく、固体撮像素子1の小型化、および低背化に寄与することが可能となる。
<図1の撮像装置におけるフレアの発生を抑制する効果>
次に、図1の撮像装置におけるフレアの発生を抑制する効果について説明する。図1の撮像装置は、上述した像のずれにより生じるフレア現象を抑制するために、光を吸収する黒色樹脂などの光吸収材を含む固定剤13を、レンズ62の入射光の入射面の周辺部からレンズ62、赤外カットフィルタ4、固体撮像素子1、ガラス基板2、および接着剤31,32を含む、側面周辺の全体を覆うように用いている。このため、フレア現象による影響が低減される。
また、光を吸収する黒色などの固定剤13をCSP固体撮像素子20の側面周囲の全体を覆いつつ、スペーサ10までの空間を全て埋めるように用いることで、入射光がスペーサ10に反射されても吸収されることにより反射が抑制され、スペーサ10からの光の内乱によるフレア現象の発生も抑制することが可能となる。尚、光を吸収する黒色樹脂などの光吸収材からなる固定剤13は、例えば、反射率5%以下のものを使用することが好ましい。
なお、図1の撮像装置では、CSP固体撮像素子20の傾き防止のためにスペーサのガラス基板2および固体撮像素子1の傾きを補正する固定部11が搭載されているが、CSP固体撮像素子20と傾きを補正する固定部11との間に光を吸収する黒色樹脂などの光吸収材からなる固定剤13を充填できない場合は傾きを補正する固定部11の壁(表面)に黒色の光吸収材からなるマスク(図5を参照して説明するマスク81と同一のもの)を塗っておく処理(マスク処理)をすることで同じ効果を得ることができる。
すなわち、スペーサ10のガラス基板および固体撮像素子の傾きを補正する固定部11の表面に黒色の光吸収材からなるマスクを塗布するマスク処理を行うようにしてもよい。このような構成により、フレア現象による影響が低減される。
CSP固体撮像素子20の側面周辺の全体を覆うように、光を吸収する黒色樹脂などの光吸収材からなる固定剤13を設ける、または、固定部11の壁(表面)に光を吸収する黒色の光吸収材からなるマスクを塗布する例について説明してきた。しかしながら、図1の撮像装置においては、さらに、固定剤13、およびマスクのいずれかの光吸収材が、CSP固体撮像素子20の側面周辺の全体のみならず、最下位層のレンズ62の入射光が入射する入射面の一部も遮光するように設けられている。
すなわち、図5の左部で示されるように、CSP固体撮像素子20の周囲に黒色樹脂などの光吸収材からなる固定剤13を埋め込む場合、レンズ62により集光される光の光路L111で示されるように、CSP固体撮像素子20に入射する入射光が有効画素エリアZ101内となる領域以外のマスクエリアZ102を覆うように、固定剤13は埋め込まれている(塗布されている)。
すなわち、有効画素エリアZ101に入射されるレンズ62からの光線は、CSP固体撮像素子20の有効画素エリアZ101の画素に対して外側から鋭角に入射されることが一般的であり、これによりフレア現象が発生する恐れがある。そこで、最下位層のレンズ62の外周部であるマスクエリアZ102には、図5の左部で図示されるように、最下位層レンズ62の外周部まで黒色樹脂などの光吸収材からなる固定剤13が埋め込まれている(塗布されている)。
尚、最下位層レンズ62の外周部を囲むマスクエリアZ102の大きさについては、上位層レンズ61や、CSP固体撮像素子20の画素のマイクロレンズの設計値から算出される。
また、固体撮像素子20の側面周辺およびレンズ62の外周部を含むマスクエリアZ102については、固定剤13ではなく、例えば、図5の右部で示されるように、黒色の光吸収材からなるマスク81により構成してもよい。このような構成においても、フレア現象の発生を抑制することができる。
さらに、図6の左部で示されるように、CSP固体撮像素子20の側面周辺については、固定剤13が埋め込まれるように構成され、レンズ62上のマスクエリアZ102については、マスク81が形成されるようにしてもよい。
ところで、固体撮像装置の生産時に、黒色樹脂などの光吸収材からなる固定剤13の塗布を塗布装置で最下位層レンズ62のマスクエリアZ102まで高精度で塗布する場合、塗布装置が高価のものとなる、または、高度な制御が必要になる可能性があり、いずれにおいてもコストを増大させる恐れがある。
そこで、図6の右部で示されるように、最下位層のレンズ62のマスクエリアZ102のみにマスク処理を施しておくことにより予めマスク81を形成しておくことで、固体撮像装置の生産時に黒色樹脂などの光吸収材からなる固定剤13の塗布の精度を軽減することができる。結果として、塗布装置に係る精度や制御の難易度を低減させることが可能となり、コストを低減させることが可能となる。
なお、最下位層のレンズ62へのマスク81の塗布は、予めCSP固体撮像素子20に形成する前の段階で、最下位層のレンズ62自体に直接するようにしてもよいし、最下位層のレンズ62をCSP固体撮像素子20に成形してから塗布するようにしてもよい。
<撮像装置の製造方法>
次に、図7のフローチャートを参照して、図1の撮像装置の製造方法について説明する。
ステップS11において、CSP固体撮像素子20が、回路基板7上に搭載される。
ステップS12において、赤外カットフィルタ4が、接着剤32によりレンズ62に接着された状態で、凸部62aに付された接着剤33を介して、CSP固体撮像素子20上に接着されて搭載される。すなわち、この処理により、赤外カットフィルタ4を含むレンズ62が、CSP固体撮像素子20上に、キャビティ層5を介して搭載される。換言すれば、赤外カットフィルタ4を内蔵する下位層のレンズ62が、CSP固体撮像素子20に搭載されて、凸部62aによりキャビティ層5が形成される。
ステップS13において、スペーサ10の固定部11−1乃至11−4が、赤外カットフィルタ4を含むレンズ62が搭載されたCSP固体撮像素子20の4か所の角部をそれぞれ回路基板7上の適切な位置に誘導するようにはめ込まれた状態で、スペーサ10が回路基板7に接着剤で搭載される。この結果、CSP固体撮像素子20は、自重の重力の作用により、固定部11−1乃至11−4により誘導されて、薄くたわみなどが発生し易い回路基板7上であっても、回路基板7上の電気的に接続が可能な適切な位置に配置される。
ステップS14において、CSP固体撮像素子20とスペーサ10との空間に光の内乱によるフレア現象を抑制するために、サイド(側面周辺)からの光の反射を抑制できるように光を吸収する黒色樹脂などの光吸収材からなる固定剤13が注入され、ステップS15において、固定剤13が硬化(固着)される。なお、固定剤13は、サイド(側面周囲)からの光の反射を抑制できるようにCSP固体撮像素子20の底辺部からレンズ62の外周部まで塗布される。固定剤13は、この結果、CSP固体撮像素子20、スペーサ10、および回路基板7が固定剤13を介して固着されることになる。固定剤13が注入された後、固定剤13が固着するまでの間も、CSP固体撮像素子20は、固定部11−1乃至11−4により適切な位置に配置された状態が維持されるので、歪み、反り、および傾きを発生させることなく、適切に固定される。
ステップS16において、スペーサ10に対して、アクチュエータ8が搭載される。
マスク81を用いる場合については、予め固定部11の壁(表面)にマスク81を塗布しておく工程が必要とされる。
さらに、最下位層のレンズ62の外周部にマスク81を塗布する場合には、最下位層のレンズ62の外周部にマスク81を塗布する工程が必要となる。
以上の一連の製造方法により、CSP固体撮像素子20が、薄くたわみやすい回路基板7に対して適切な位置に配置された状態で、固定剤13により固着させることが可能となる。
また、CSP固体撮像素子の前段に空気層からなるキャビティ層5が形成された状態で、赤外カットフィルタ4を含むレンズ62が形成されるので、入射光の入射位置と全反射折り返し成分の入射位置とのずれが、レンズ62の厚みとは無関係に、すなわち、レンズ62の中心位置からの距離は無関係に、ほぼ同一になるので、信号処理部21による入射光の入射位置と全反射折り返し成分の入射位置とのずれを補正する処理負荷を低減させることが可能となり、処理の高速化や低電力化を実現することが可能となる。
尚、ガラス基板2の厚さを薄くすることで、入射光と全反射折り返し成分とのずれをより小さくすることが可能となるので、信号処理部21の処理負荷をさらに低減させることが可能となる。また、入射光の入射位置と全反射折り返し成分の入射位置とのずれを、極僅かにできる程度にガラス基板2の厚さを調整できる場合については、信号処理部21における、入射光の入射位置と全反射折り返し成分の入射位置とのずれに対する補正処理を省略するようにしてもよい。
また、撮像装置の歩留まりや光学性能の低下を抑制することが可能となり、光の内乱によるフレア現象を抑制できる高性能な小型で、かつ、薄型の撮像装置を実現することが可能となる。
次に、図8のフローチャートを参照して、図1の撮像装置による撮像処理について説明する。
ステップS31において、CSP固体撮像素子20は、アクチュエータ8により所定の焦点位置に調整される、または、手振れ補正がなされたレンズ61、レンズ62、接着剤33、赤外カットフィルタ4、および空気層からなるキャビティ層5を介して入射する入射光の光量に応じた画素信号からなる画像信号を生成してコネクタ9、端子23、およびケーブル22を介して信号処理部21に出力する。
ステップS32において、信号処理部21は、CSP固体撮像素子20より供給された画像信号に補正処理や符号化処理を施して、外部に出力する。
この際、図4を参照して説明したように、キャビティ層5が設けられることにより、信号処理部21は、入射光の入射位置と全反射折り返し成分の入射位置とのずれに対する補正については、ガラス基板2の厚さにより固体された状態のずれを補正する処理を行うだけでよくなるので、処理負荷を低減させることができるので、補正処理の高速化や処理に係る消費電力を低下することが可能となる。
尚、図1のCSP固体撮像素子20に代えて、フリップチップ構造を有したフリップチップ固体撮像素子を用いるようにしてもよい。
<<2.第2の実施の形態>>
以上においては、赤外カットフィルタ4が、レンズ62に対して透明の接着剤32により接着される例について説明してきたが、赤外カットフィルタ4をガラス基板2と固体撮像素子1との間に挟み込むようにすることで、安価な赤外カットフィルタ4を用いるようにしてもよい。
図9の撮像装置は、赤外カットフィルタ4の反りや歪みを軽減のため、赤外カットフィルタ4を反りや歪の小さいガラス基板2と固体撮像素子1に挟みこむことで、赤外カットフィルタ4の反りや歪みを低減したCSP固体撮像素子20を搭載している。
このような構成により、反りや歪みが比較的大きい、安価な赤外カットフィルタ4を用いても、反りや歪みの少ないガラス基板2と固体撮像素子1で挟み込む構成とすることにより、安価な赤外カットフィルタ4の反りや歪を物理的に抑制することができるので、光学的な反り、歪み、および傾きの少ない、小型で、かつ、薄型の撮像装置を、低コストで実現させることが可能となり、また、光の内乱によるフレア現象やゴースト現象を抑制できる。
また、ガラス基板2の前面にキャビティ層5が構成されることにより、レンズ62の中心位置からの距離に応じた、入射光の入射位置と全反射折り返し成分の入射位置とのずれをほぼ一定にすることが可能となるので、信号処理部21の処理負荷を低減させることが可能となる。
<<3.第3の実施の形態>>
以上においては、赤外カットフィルタ4をガラス基板2と固体撮像素子1との間に挟み込むようにすることで、コストを低減させる例について説明してきたが、赤外カットフィルタ4に代えて、ガラス基板2と同様の材質であって、赤外光を削減可能なものを利用するようにしてもよい。
すなわち、反りや歪みが小さい赤外カットフィルタ4は、図1,図9の撮像装置の基軸となるガラス基板2の代用物として利用することができる。
図10は、反りや歪みが小さい赤外カットフィルタ4に代えて、図1,図9の撮像装置の基軸となるガラス基板2と同様の材質からなる赤外光の削減が可能なガラス基板41を用いた撮像装置の構成例を示している。
このような構成により、反りや歪みが小さい高価な赤外カットフィルタ4を用いることなく、反りや歪を抑制することができるので、光学的な反り、歪み、および傾きの少ない、小型で、かつ、薄型の撮像装置を、低コストで実現させることが可能となり、また、光の内乱によるフレア現象を抑制できる。
また、赤外カットフィルタ4の前面にキャビティ層5が構成されることにより、レンズ62の中心位置からの距離に応じた、入射光の入射位置と全反射折り返し成分の入射位置とのずれをほぼ一定にすることが可能となるので、信号処理部21の処理負荷を低減させることが可能となる。
尚、図10の撮像装置におけるCSP固体撮像素子20は、図9のCSP固体撮像素子20の構成から赤外カットフィルタ4が除かれ、ガラス基板2に代えて、赤外光のカットが可能なガラス基板41が含まれた構成とされ、透明な接着剤32により固体撮像素子1と接着されている。赤外光のカットが可能なガラス基板41は、例えば、近赤外光を吸収する青板ガラスである。
<<4.第4の実施の形態>>
CSP固体撮像素子20の構成において、最下位層のレンズ62が2枚以上で成形されるようにしてもよい。
図11は、最下位層のレンズが2枚以上で成形されたCSP固体撮像素子20の構成例が示されている。図11の最下位層のレンズ111は、上位層のレンズ61と一体となるレンズ6の一部を構成しており、2枚以上のレンズにより構成されている。図11においては、図1,図9,図10における凸部62aに対応する構成が凸部111aとなる。
尚、撮像装置の生産時に最下位層レンズ111の一部であるマスクエリアZ102(図5,図6)に対して高精度に、黒色樹脂などの光吸収材からなる固定剤13、または、黒色の光吸収材からなるマスク81を塗布可能な塗布装置を用いることは、塗布装置として高価なものが必要になる、または、制御が高度になる可能性がある。
そこで、図11の撮像装置においては、最下位層のレンズ111の外周部となるマスクエリアZ102の黒塗りを予め処理しておくことにより、撮像装置の生産時に黒色樹脂からなる固定剤13またはマスク81の塗布の精度を軽減するようにしてもよい。結果として、塗布装置の装置コスト、および制御コストのいずれも低減させることが可能となる。
また、ガラス基板2の前面にキャビティ層5が構成されることにより、レンズ62の中心位置からの距離に応じた、入射光の入射位置と全反射折り返し成分の入射位置とのずれをほぼ一定にすることが可能となるので、信号処理部21の処理負荷を低減させることが可能となる。
なお、最下位層のレンズ111は、予め最下位層のレンズ111自体に黒塗りしてもよいし、または、最下位層のレンズ111をCSP固体撮像素子20に成形してから黒塗りしてもよい。また、最下位層のレンズ111の構成は、1枚以上であればよく、当然のことながら、2枚以上のレンズ群であってもよい。
ただし、レンズ111の中心付近が外周部よりも低い構成の場合、塗布した固定剤13が乾燥する前に重力の作用により中心に向かって流れ込む可能性があり、有効画素エリアZ101を狭くしてしまう恐れがある。そこで、レンズ111の中心付近が外周部よりも低い構成の場合には、マスクエリアZ102に対してマスク処理を施すことによりマスク81を形成することが望ましい。
また、図11で示されるようにレンズ62の外周部の方が低い構成の場合については、固定剤13がレンズ62の中心に流れ込む可能性は考慮する必要がないので、固定剤13でもマスク81でもよい。
<<5.第5の実施の形態>>
最下位層のレンズ62が2枚以上で成形されるようにする例について説明してきたが、CSP固体撮像素子20と最下位層のレンズ62の凸部62aとを接着剤33により接着し、回路基板7からガラス基板2の上面まで固定剤13で固定した後、レンズ62の、図6におけるマスクエリアZ102に対応する範囲に、黒色樹脂などからなるマスク81を形成するようにしてもよい。
図12は、CSP固体撮像素子20のガラス基板2と最下位層のレンズ62の凸部62aとを接着剤33により接着し、回路基板7からガラス基板2の上面までの範囲を固定剤13で固定した後、固定剤13の図中の上面の位置から、レンズ62の側面部と、図6におけるマスクエリアZ102に対応する範囲とのいずれにも、黒色樹脂などからなるマスク81を形成するようにした撮像装置を示している。
すなわち、図12の撮像装置においては、最下位層のレンズ62の側面部から、上面の外周部となるマスクエリアZ102とがマスク81によりマスクされるので、ゴーストやフレアの発生を低減させることが可能となる。
また、ガラス基板2の前面にキャビティ層5が構成されることにより、レンズ62の中心位置からの距離に応じた、入射光の入射位置と全反射折り返し成分の入射位置とのずれをほぼ一定にすることが可能となるので、信号処理部21の処理負荷を低減させることが可能となる。
<<6.第6の実施の形態>>
近年、市場のカメラ商品の多様化により、撮像装置の回路基板7の形状が商品毎に変更されることが知られている。そこで、図13で示されるように、コネクタ9に代えて、回路基板7上にACF(Anisotropic Conductive Film)機構91を設けるようにして、撮像装置としての生産方式を変更することなく、カメラ商品の多様化に応じた光学的な反り、歪み、および傾きを低減した小型で、かつ、薄型の撮像装置を実現し、さらに、キャビティ層5を設けることで、信号処理部21の処理負荷と低減できるようにしてもよい。尚、図13においては、ACF機構91に対応するコネクタ92を介してケーブル22が接続されて画像信号が信号処理部21に出力される。
また、以上においては、固定部11−1乃至11−4が、スペーサ10上のCSP固体撮像素子20の4か所の角部を適切な位置に誘導するように設けられる構成例について説明してきたが、それ以外の位置に設けられるように構成してもよい。
図13は、固定部11−1乃至11−4に代えて、固定部11−11乃至11−14が設けられる撮像装置の構成例が示されている。
すなわち、固定部11−11乃至11−14は、CSP固体撮像素子20の4辺のそれぞれの中央付近を適切な位置に誘導するようにスペーサ10上に設けられている。これに伴って、固定剤13は、CSP固体撮像素子20の4か所の角部付近に注入され、スペーサ10と固定される。
このように固定部11は、CSP固体撮像素子20の4辺のそれぞれを適切な位置に誘導するように設けられることで、CSP固体撮像素子20を回路基板7に対して高い精度で適切な位置に配置することができる。
固定部11の配置は、これ以外の配置であってもよく、例えば、図14の最上段で示されるように、スペーサ10上であって、CSP固体撮像素子20の各辺の端部に固定部11−21乃至11−24が設けられるようにしてもよい。この場合、固定剤13は、固定剤13−21乃至13−24に注入される。
同様に、例えば、図14の上から2段目で示されるように、スペーサ10上であって、CSP固体撮像素子20のいずれかの対角線上の角部に固定部11−31,11−32が設けられるようにしてもよい。この場合、固定剤13は、固定剤13−31,13−32に注入される。図14の上から2段目の例においても、固定部11−31,11−32により、CSP固体撮像素子20の4辺が固定される。
さらに、CSP固体撮像素子20の4辺の全てを適切な位置に誘導する固定部11ではなくても、その一部を適切な位置に誘導する構成により、固定部11が存在しない状態よりも高い精度で適切な位置に配置することができる。
例えば、図14の下から2段目で示されるように、スペーサ10上であって、CSP固体撮像素子20の3辺を適切な位置に誘導するように固定部11−41乃至11−43が設けられるようにしてもよい。この場合、固定剤13は、例えば、固定剤13−41乃至13−43に注入される。この場合、CSP固体撮像素子20の3辺が固定されることになるが、少なくとも対辺が固定される方向に対しては、CSP固体撮像素子20を適切な位置に配置することができる。
また、例えば、図14の最下段で示されるように、スペーサ10上であって、CSP固体撮像素子20の対辺となる2辺に固定部11−51,11−52が設けられるようにしてもよい。この場合、固定剤13は、例えば、固定剤13−51,13−52に注入される。この場合、CSP固体撮像素子20の図中の上下方向の対辺の2辺のみが固定されることになるが、少なくとも対辺が固定される図中の上下方向に対しては、CSP固体撮像素子20を適切な位置に配置することができる。
すなわち、少なくとも方形状のCSP固体撮像素子20の対辺となる2辺を適切な位置に誘導するように固定部11が設けられるようにすることで、CSP固体撮像素子20の配置精度を向上させることが可能となる。
尚、図13の撮像装置においては、レンズ62、凸部62a、接着剤33、キャビティ層5、ガラス基板2、接着剤34、赤外カットフィルタ4、接着剤31、および固体撮像素子1の構成については、図9の撮像装置と同一の構成例が用いられているが、図1、図10乃至図12のいずれの構成でもよい。また、図14においては、コネクタ9が用いられているが、ACF機構91を用いるようにしてもよい。
結果として、図13の撮像装置においても、ガラス基板2の前面にキャビティ層5が構成されることにより、レンズ62の中心位置からの距離に応じた、入射光の入射位置と全反射折り返し成分の入射位置とのずれをほぼ一定にすることが可能となるので、信号処理部21の処理負荷を低減させることが可能となる。
<<7.第7の実施の形態>>
以上においては、入射光の入射方向に対して、レンズ62、赤外カットフィルタ4、キャビティ層5、ガラス基板2、および固体撮像素子1の順序で配置される場合、図1,図11,図12で示されるように、赤外カットフィルタ4は、レンズ62に対して接着剤32により接着されていた。しかしながら、赤外カットフィルタ4は、ガラス基板2に接着し、レンズ62と赤外カットフィルタ4との間にキャビティ層5を設けるようにしてもよい。
図15は、赤外カットフィルタ4を、ガラス基板2に接着し、レンズ62と赤外カットフィルタ4との間にキャビティ層5を設けるようにした撮像装置の構成例を示している。
図15の撮像装置においては、レンズ62の凸部62aと赤外カットフィルタ4の図中の上面における辺縁部とが接着剤33により接着され、レンズ62と赤外カットフィルタ4との間にキャビティ層5が形成される。
赤外カットフィルタ4は、図15の図中の下面とガラス基板2とが透明の接着剤35により接着される。
また、入射光の入射方向に対して、赤外カットフィルタ4の前面にキャビティ層5が構成されることにより、レンズ62の中心位置からの距離に応じた、入射光の入射位置と全反射折り返し成分の入射位置とのずれをほぼ一定にすることが可能となるので、信号処理部21の処理負荷を低減させることが可能となる。ただし、図15においては、全反射成分および全反射折り返し成分は、接着剤34を挟んで、ガラス基板2および赤外カットフィルタ4内を往復する。
<<8.第8の実施の形態>>
以上においては、レンズ62と赤外カットフィルタ4との間にキャビティ層5が形成される例について説明してきたが、レンズ62を形成するにあたって、凸部62aが設けられない場合については、凸部62aに対応するスペーサを別途設けるようにしてもよい。
図16は、レンズ62に、凸部62aを設けず、凸部62aに対応するスペーサが別途設けられ、キャビティ層5が形成されるようにした撮像素子の構成例を示している。
すなわち、図16の撮像装置は、図12の撮像装置におけるレンズ62の凸部62aに代えて、スペーサ131が設けられ、スペーサ131によりキャビティ層5が形成される。
より詳細には、レンズ62には、凸部62aが設けられていないので、レンズ62の図中の下面における辺縁部に接着剤33により、スペーサ131の図中の上面が接着されている。また、スペーサ131の図中の下面が、接着剤36によりガラス基板2の辺縁部に接着されている。さらに、スペーサ131は、図16の右部で示されるように、辺縁部の一部が接続されておらず、空気層の空気の通路としてエアパス131aが形成されている。エアパス131aは、キャビティ層5内の空気が、周囲の温度変化により膨張や収縮をする際に、空気の出入りを可能にすることで、密閉された空気の膨張収縮に起因する歪の発生を抑制する。尚、エアパス131aは、図16においては、左上部に設けられる例が示されているが、いずれかに設けられれば、位置は、その他の位置でもよい。また、エアパス131aは、複数個所に設けられていてもよい。
<<9.CSP固体撮像素子の構成について>>
CSP固体撮像素子20の構成のうち、回路基板7の接続部位については、図17の左上部で示されるBGA(Ball Grid Array)端子151、または、図17の右上部で示されるLGA(Land Grid Array)端子161のいずれの構成であってもよい。
また、CSP固体撮像素子20の構成のうち、ガラス基板2については、図17の左下部および右下部で示されるように、周囲にフレーム2aを設けて、固体撮像素子1とガラス基板2との間にキャビティ181が設けられる構成にしてもよい。
いずれの接続部位の構成であっても、上述した構成により、固体撮像素子1の入射光の入射位置と、全反射折り返し成分の入射位置とのずれは固体撮像素子1の撮像面内においてほぼ一定であることから、信号処理部21の補正処理に係る負荷を低減させることが可能となる。
<<10.電子機器への適用例>>
上述した撮像素子は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
図18は、本技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図18に示される撮像装置201は、光学系202、シャッタ装置203、固体撮像素子204、駆動回路205、信号処理回路206、モニタ207、およびメモリ208を備えて構成され、静止画像および動画像を撮像可能である。
光学系202は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの光(入射光)を固体撮像素子204に導き、固体撮像素子204の受光面に結像させる。
シャッタ装置203は、光学系202および固体撮像素子204の間に配置され、駆動回路205の制御に従って、固体撮像素子204への光照射期間および遮光期間を制御する。
固体撮像素子204は、上述した固体撮像素子を含むパッケージにより構成される。固体撮像素子204は、光学系202およびシャッタ装置203を介して受光面に結像される光に応じて、一定期間、信号電荷を蓄積する。固体撮像素子204に蓄積された信号電荷は、駆動回路205から供給される駆動信号(タイミング信号)に従って転送される。
駆動回路205は、固体撮像素子204の転送動作、および、シャッタ装置203のシャッタ動作を制御する駆動信号を出力して、固体撮像素子204およびシャッタ装置203を駆動する。
信号処理回路206は、固体撮像素子204から出力された信号電荷に対して各種の信号処理を施す。信号処理回路206が信号処理を施すことにより得られた画像(画像データ)は、モニタ207に供給されて表示されたり、メモリ208に供給されて記憶(記録)されたりする。
このように構成されている撮像装置201においても、光学系202、および固体撮像素子204に、上述した図1,図5乃至図13,図15乃至図16の撮像装置のCSP固体撮像素子20を適用することにより、固体撮像素子1の入射光の入射位置と、全反射折り返し成分の入射位置とのずれは固体撮像素子1の撮像面内においてほぼ一定にすることができるので、信号処理部21の補正処理に係る負荷を低減させることが可能となる。
<<11.撮像装置の使用例>>
図19は、上述の図1,図5乃至図13,図15乃至図16の撮像装置を使用する使用例を示す図である。
上述した撮像装置は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
<<12.体内情報取得システムへの応用例>>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
図20は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
体内情報取得システム10001は、カプセル型内視鏡10100と、外部制御装置10200とから構成される。
カプセル型内視鏡10100は、検査時に、患者によって飲み込まれる。カプセル型内視鏡10100は、撮像機能および無線通信機能を有し、患者から自然排出されるまでの間、胃や腸等の臓器の内部を蠕動運動等によって移動しつつ、当該臓器の内部の画像(以下、体内画像ともいう)を所定の間隔で順次撮像し、その体内画像についての情報を体外の外部制御装置10200に順次無線送信する。
外部制御装置10200は、体内情報取得システム10001の動作を統括的に制御する。また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信されてくる体内画像についての情報を受信し、受信した体内画像についての情報に基づいて、表示装置(図示せず)に当該体内画像を表示するための画像データを生成する。
体内情報取得システム10001では、このようにして、カプセル型内視鏡10100が飲み込まれてから排出されるまでの間、患者の体内の様子を撮像した体内画像を随時得ることができる。
カプセル型内視鏡10100と外部制御装置10200の構成および機能についてより詳細に説明する。
カプセル型内視鏡10100は、カプセル型の筐体10101を有し、その筐体10101内には、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、給電部10115、電源部10116、および制御部10117が収納されている。
光源部10111は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、撮像部10112の撮像視野に対して光を照射する。
撮像部10112は、撮像素子、および当該撮像素子の前段に設けられる複数のレンズからなる光学系から構成される。観察対象である体組織に照射された光の反射光(以下、観察光という)は、当該光学系によって集光され、当該撮像素子に入射する。撮像部10112では、撮像素子において、そこに入射した観察光が光電変換され、その観察光に対応する画像信号が生成される。撮像部10112によって生成された画像信号は、画像処理部10113に提供される。
画像処理部10113は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、撮像部10112によって生成された画像信号に対して各種の信号処理を行う。画像処理部10113は、信号処理を施した画像信号を、RAWデータとして無線通信部10114に提供する。
無線通信部10114は、画像処理部10113によって信号処理が施された画像信号に対して変調処理等の所定の処理を行い、その画像信号を、アンテナ10114Aを介して外部制御装置10200に送信する。また、無線通信部10114は、外部制御装置10200から、カプセル型内視鏡10100の駆動制御に関する制御信号を、アンテナ10114Aを介して受信する。無線通信部10114は、外部制御装置10200から受信した制御信号を制御部10117に提供する。
給電部10115は、受電用のアンテナコイル、当該アンテナコイルに発生した電流から電力を再生する電力再生回路、および昇圧回路等から構成される。給電部10115では、いわゆる非接触充電の原理を用いて電力が生成される。
電源部10116は、二次電池によって構成され、給電部10115によって生成された電力を蓄電する。図20では、図面が煩雑になることを避けるために、電源部10116からの電力の供給先を示す矢印等の図示を省略しているが、電源部10116に蓄電された電力は、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、および制御部10117に供給され、これらの駆動に用いられ得る。
制御部10117は、CPU等のプロセッサによって構成され、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、および、給電部10115の駆動を、外部制御装置10200から送信される制御信号に従って適宜制御する。
外部制御装置10200は、CPU,GPU等のプロセッサ、又はプロセッサとメモリ等の記憶素子が混載されたマイクロコンピュータ若しくは制御基板等で構成される。外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100の制御部10117に対して制御信号を、アンテナ10200Aを介して送信することにより、カプセル型内視鏡10100の動作を制御する。カプセル型内視鏡10100では、例えば、外部制御装置10200からの制御信号により、光源部10111における観察対象に対する光の照射条件が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、撮像条件(例えば、撮像部10112におけるフレームレート、露出値等)が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、画像処理部10113における処理の内容や、無線通信部10114が画像信号を送信する条件(例えば、送信間隔、送信画像数等)が変更されてもよい。
また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信される画像信号に対して、各種の画像処理を施し、撮像された体内画像を表示装置に表示するための画像データを生成する。当該画像処理としては、例えば現像処理(デモザイク処理)、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise
reduction)処理および/若しくは手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の信号処理を行うことができる。外部制御装置10200は、表示装置の駆動を制御して、生成した画像データに基づいて撮像された体内画像を表示させる。あるいは、外部制御装置10200は、生成した画像データを記録装置(図示せず)に記録させたり、印刷装置(図示せず)に印刷出力させてもよい。
以上、本開示に係る技術が適用され得る体内情報取得システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部10112に適用され得る。具体的には、図1,図5乃至図13,図15乃至図16の撮像装置のCSP固体撮像素子20は、撮像部10112に適用することができる。撮像部10112に本開示に係る技術を適用することにより、固体撮像素子1の入射光の入射位置と、全反射折り返し成分の入射位置とのずれを、固体撮像素子1の撮像面内においてほぼ一定にすることができるので、信号処理部21の補正処理に係る負荷を低減させることが可能となる。
<<13.内視鏡手術システムへの応用例>>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
図21は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図21では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
カメラヘッド11102の内部には光学系および撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100および表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率および焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保および術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度および出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれおよび白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光および/又は励起光を供給可能に構成され得る。
図22は、図23に示すカメラヘッド11102およびCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズおよびフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用および左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズおよびフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率および焦点が適宜調整され得る。
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率および焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能およびAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、および、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
カメラヘッド11102およびCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、内視鏡11100や、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。具体的には、図1,図5乃至図13,図15乃至図16の撮像装置のCSP固体撮像素子20は、撮像部10402に適用することができる。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、固体撮像素子1の入射光の入射位置と、全反射折り返し成分の入射位置とのずれを、固体撮像素子1の撮像面内においてほぼ一定にすることができるので、信号処理部21の補正処理に係る負荷を低減させることが可能となる。
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
<<14.移動体への応用例>>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
図23は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図23に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、および統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、および車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、および、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声および画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図23の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062およびインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイおよびヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
図24は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
図24では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドアおよび車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101および車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101および12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
なお、図24には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、図1,図5乃至図13,図15乃至図16の撮像装置のCSP固体撮像素子20は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、固体撮像素子1の入射光の入射位置と、全反射折り返し成分の入射位置とのずれを、固体撮像素子1の撮像面内においてほぼ一定にすることができるので、信号処理部21の補正処理に係る負荷を低減させることが可能となる。
<<15.本開示に係る技術を適用し得る積層型の固体撮像装置の構成例>>
図25は、本開示に係る技術を適用し得る積層型の固体撮像装置の構成例の概要を示す図である。
図25のAは、非積層型の固体撮像装置の概略構成例を示している。固体撮像装置23010は、図25のAに示すように、1枚のダイ(半導体基板)23011を有する。このダイ23011には、画素がアレイ状に配置された画素領域23012と、画素の駆動その他の各種の制御を行う制御回路23013と、信号処理するためのロジック回路23014とが搭載されている。
図25のB及びCは、積層型の固体撮像装置の概略構成例を示している。固体撮像装置23020は、図25のB及びCに示すように、センサダイ23021とロジックダイ23024との2枚のダイが積層され、電気的に接続されて、1つの半導体チップとして構成されている。
図25のBでは、センサダイ23021には、画素領域23012と制御回路23013が搭載され、ロジックダイ23024には、信号処理を行う信号処理回路を含むロジック回路23014が搭載されている。
図25のCでは、センサダイ23021には、画素領域23012が搭載され、ロジックダイ23024には、制御回路23013及びロジック回路23014が搭載されている。
図26は、積層型の固体撮像装置23020の第1の構成例を示す断面図である。
センサダイ23021には、画素領域23012となる画素を構成するPD(フォトダイオード)や、FD(フローティングディフュージョン)、Tr(MOS FET)、及び、制御回路23013となるTr等が形成される。さらに、センサダイ23021には、複数層、本例では3層の配線23110を有する配線層23101が形成される。なお、制御回路23013(となるTr)は、センサダイ23021ではなく、ロジックダイ23024に構成することができる。
ロジックダイ23024には、ロジック回路23014を構成するTrが形成される。さらに、ロジックダイ23024には、複数層、本例では3層の配線23170を有する配線層23161が形成される。また、ロジックダイ23024には、内壁面に絶縁膜23172が形成された接続孔23171が形成され、接続孔23171内には、配線23170等と接続される接続導体23173が埋め込まれる。
センサダイ23021とロジックダイ23024とは、互いの配線層23101及び23161が向き合うように貼り合わされ、これにより、センサダイ23021とロジックダイ23024とが積層された積層型の固体撮像装置23020が構成されている。センサダイ23021とロジックダイ23024とが貼り合わされる面には、保護膜等の膜23191が形成されている。
センサダイ23021には、センサダイ23021の裏面側(PDに光が入射する側)(上側)からセンサダイ23021を貫通してロジックダイ23024の最上層の配線23170に達する接続孔23111が形成される。さらに、センサダイ23021には、接続孔23111に近接して、センサダイ23021の裏面側から1層目の配線23110に達する接続孔23121が形成される。接続孔23111の内壁面には、絶縁膜23112が形成され、接続孔23121の内壁面には、絶縁膜23122が形成される。そして、接続孔23111及び23121内には、接続導体23113及び23123がそれぞれ埋め込まれる。接続導体23113と接続導体23123とは、センサダイ23021の裏面側で電気的に接続され、これにより、センサダイ23021とロジックダイ23024とが、配線層23101、接続孔23121、接続孔23111、及び、配線層23161を介して、電気的に接続される。
図27は、積層型の固体撮像装置23020の第2の構成例を示す断面図である。
固体撮像装置23020の第2の構成例では、センサダイ23021に形成する1つの接続孔23211によって、センサダイ23021(の配線層23101(の配線23110))と、ロジックダイ23024(の配線層23161(の配線23170))とが電気的に接続される。
すなわち、図27では、接続孔23211が、センサダイ23021の裏面側からセンサダイ23021を貫通してロジックダイ23024の最上層の配線23170に達し、且つ、センサダイ23021の最上層の配線23110に達するように形成される。接続孔23211の内壁面には、絶縁膜23212が形成され、接続孔23211内には、接続導体23213が埋め込まれる。上述の図26では、2つの接続孔23111及び23121によって、センサダイ23021とロジックダイ23024とが電気的に接続されるが、図27では、1つの接続孔23211によって、センサダイ23021とロジックダイ23024とが電気的に接続される。
図28は、積層型の固体撮像装置23020の第3の構成例を示す断面図である。
図28の固体撮像装置23020は、センサダイ23021とロジックダイ23024とが貼り合わされる面に、保護膜等の膜23191が形成されていない点で、センサダイ23021とロジックダイ23024とが貼り合わされる面に、保護膜等の膜23191が形成されている図26の場合と異なる。
図28の固体撮像装置23020は、配線23110及び23170が直接接触するように、センサダイ23021とロジックダイ23024とを重ね合わせ、所要の加重をかけながら加熱し、配線23110及び23170を直接接合することで構成される。
図29は、本開示に係る技術を適用し得る積層型の固体撮像装置の他の構成例を示す断面図である。
図29では、固体撮像装置23401は、センサダイ23411と、ロジックダイ23412と、メモリダイ23413との3枚のダイが積層された3層の積層構造になっている。
メモリダイ23413は、例えば、ロジックダイ23412で行われる信号処理において一時的に必要となるデータの記憶を行うメモリ回路を有する。
図29では、センサダイ23411の下に、ロジックダイ23412及びメモリダイ23413が、その順番で積層されているが、ロジックダイ23412及びメモリダイ23413は、逆順、すなわち、メモリダイ23413及びロジックダイ23412の順番で、センサダイ23411の下に積層することができる。
なお、図29では、センサダイ23411には、画素の光電変換部となるPDや、画素Trのソース/ドレイン領域が形成されている。
PDの周囲にはゲート絶縁膜 を介してゲート電極が形成され、ゲート電極と対のソース/ドレイン領域により画素Tr23421、画素Tr23422が形成されている。
PDに隣接する画素Tr23421が転送Trであり、その画素Tr23421を構成する対のソース/ドレイン領域の一方がFDになっている。
また、センサダイ23411には、層間絶縁膜が形成され、層間絶縁膜には、接続孔が形成される。接続孔には、画素Tr23421、及び、画素Tr23422に接続する接続導体23431が形成されている。
さらに、センサダイ23411には、各接続導体23431に接続する複数層の配線23432を有する配線層23433が形成されている。
また、センサダイ23411の配線層23433の最下層には、外部接続用の電極となるアルミパッド23434が形成されている。すなわち、センサダイ23411では、配線23432よりもロジックダイ23412との接着面23440に近い位置にアルミパッド23434が形成されている。アルミパッド23434は、外部との信号の入出力に係る配線の一端として用いられる。
さらに、センサダイ23411には、ロジックダイ23412との電気的接続に用いられるコンタクト23441が形成されている。コンタクト23441は、ロジックダイ23412のコンタクト23451に接続されるとともに、センサダイ23411のアルミパッド23442にも接続されている。
そして、センサダイ23411には、センサダイ23411の裏面側(上側)からアルミパッド23442に達するようにパッド孔23443が形成されている。
本開示に係る技術は、以上のような固体撮像装置に適用することができる。
尚、本開示は、以下のような構成も取ることができる。
<1> 受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、
受光した光を集光する複数のレンズからなるレンズ群の一部からなり、前記固体撮像素子の前段であって、かつ、前記レンズ群の一部である上位層レンズよりも前記固体撮像素子に近い位置に配置される、前記レンズ群の前記一部と異なる他の一部である下位層レンズと、
前記下位層レンズと、前記固体撮像素子との間に、空気層からなるキャビティ層と
を含む撮像装置。
<2> 前記固体撮像素子を固定するガラス基板とを有し、前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP(Chip Size Package)固体撮像素子とをさらに含み、
前記下位層レンズは、前記光の入射方向に対向する面を表面とするときの裏面となる辺縁部に凸部を有し、前記凸部を除く範囲において、赤外光を削除する赤外カットフィルタを透明の接着剤で接着されており、前記ガラス基板の前記光の入射方向に対向する面である表面と、前記凸部とが透明の接着剤により接着され、
前記キャビティ層は、前記赤外カットフィルタと、前記ガラス基板との間に形成される
<1>に記載の撮像装置。
<3> 前記凸部は、前記下位層レンズとは別体のスペーサにより構成される
<2>に記載の撮像装置。
<4> 前記スペーサは、前記キャビティ層の空気の通路であるエアパスを有する
<3>に記載の撮像装置。
<5> 前記固体撮像素子を固定するガラス基板を有し、前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP(Chip Size Package)固体撮像素子をさらに含み、
前記下位層レンズは、前記光の入射方向に対向する面を表面とするときの裏面となる辺縁部に凸部を有し、前記ガラス基板の前記光の入射方向に対向する面である表面と、前記凸部とが透明の接着剤により接着され、
前記固体撮像素子と前記ガラス基板との間に、赤外光を削除する赤外カットフィルタが透明の接着剤により接着され、
前記キャビティ層は、前記下位層レンズと、前記ガラス基板との間に形成される
<1>に記載の撮像装置。
<6> 前記固体撮像素子を固定するガラス基板を有し、前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP(Chip Size Package)固体撮像素子をさらに含み、
前記下位層レンズは、前記光の入射方向に対向する面を表面とするときの裏面となる辺縁部に凸部を有し、前記ガラス基板の前記光の入射方向に対向する面である表面と、前記凸部とが透明の接着剤により接着され、
前記ガラス基板は、反りおよび歪みの小さい、赤外カットフィルタとしての機能を備え、
前記キャビティ層は、前記下位層レンズと、前記赤外カットフィルタとの間に形成される
<1>に記載の撮像装置。
<7> 前記ガラス基板は、青板ガラスである
<6>に記載の撮像装置。
<8> 前記固体撮像素子を固定するガラス基板を有し、前記固体撮像素子および前記ガラス基板が一体となったCSP(Chip Size Package)固体撮像素子をさらに含み、
前記下位層レンズは、前記光の入射方向に対向する面を表面とするときの裏面となる辺縁部に凸部を有し、赤外光を削除する赤外カットフィルタの前記光の入射方向に対向する面である表面と、前記凸部とが透明の接着剤により接着され、
前記赤外カットフィルタの前記光の入射方向に対向する面に対する裏面が、前記ガラス基板の前記光の入射方向に対向する面である表面と、透明の接着剤により接着され、
前記キャビティ層は、前記下位層レンズと、前記赤外カットフィルタとの間に形成される
<1>に記載の撮像装置。
<9> 前記下位層レンズは、複数のレンズより構成される
<1>に記載の撮像装置。
<10> 光を吸収する機能を有し、前記CSP固体撮像素子の側面を覆うように設けられる光吸収材をさらに含む
<2>に記載の撮像装置。
<11> 前記CSP固体撮像素子、および回路基板を固定するためのスペーサをさらに含み、
前記光吸収材は、光を吸収する機能を有し、前記CSP固体撮像素子とスペーサとを固定する固定剤である
<10>に記載の撮像装置。
<12> 前記光吸収材は、光を吸収する機能を有し、マスク処理されることで形成されるマスクである
<10>に記載の撮像装置。
<13> 前記固体撮像素子を実装する際に、前記固体撮像素子を、回路基板上の所定の位置に誘導する固定部をさらに含む
<1>乃至<12>のいずれかに記載の撮像装置。
<14> 前記固定部は、方形の前記固体撮像素子の少なくとも2辺以上の辺を前記回路基板上の所定の位置に誘導する
<13>に記載の撮像装置。
<15> 前記固定部は、方形の前記固体撮像素子の4か所の角部を前記回路基板上の所定の位置に誘導する
<13>に記載の撮像装置。
<16> 前記固体撮像素子において、光電変換された、受光した光の光量に応じた電気信号からなる画像信号を、前記固体撮像素子に入射した入射光と、前記入射光の前記固体撮像素子の撮像面において全反射することにより生じる全反射成分が前記キャビティ層との境界で反射することで、再度、前記固体撮像素子に入射する全反射折り返し成分との、双方の入射位置のずれを補正する処理をする信号処理部をさらに含む
<1>乃至<15>のいずれかに記載の撮像装置。
<17> 前記固体撮像素子に入射した入射光と、前記入射光の前記固体撮像素子の撮像面において全反射することにより生じる全反射成分が前記キャビティ層との境界で反射することで、再度、前記固体撮像素子に入射する全反射折り返し成分との、双方の入射位置のずれは、ほぼ一定である
<16>に記載の撮像装置。
<18> 受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、
受光した光を集光する複数のレンズからなるレンズ群の一部からなり、前記固体撮像素子の前段であって、かつ、前記レンズ群の一部である上位層レンズよりも前記固体撮像素子に近い位置に配置される、前記レンズ群の前記一部と異なる他の一部である下位層レンズと、
前記下位層レンズと、前記固体撮像素子との間に、空気層からなるキャビティ層と
を含む電子機器。
<19> 受光した光を光量に応じた電気信号に光電変換する固体撮像素子と、
受光した光を集光する複数のレンズからなるレンズ群の一部からなり、前記固体撮像素子の前段であって、かつ、前記レンズ群の一部である上位層レンズよりも前記固体撮像素子に近い位置に配置される、前記レンズ群の前記一部と異なる他の一部である下位層レンズと、
前記下位層レンズと、前記固体撮像素子との間に、空気層からなるキャビティ層とを含む撮像装置の製造方法であって、
前記固体撮像素子を回路基板に固定する工程と、
前記固体撮像素子上に、前記キャビティ層が形成されるように前記下位層レンズを搭載する工程とを含む
撮像装置の製造方法。