JP2019045761A - 赤外光定着装置用管状体、赤外光定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

赤外光定着装置用管状体、赤外光定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基材と該基材の外周面上に設けられた弾性層とのみを有し、赤外光の透過率の低下を抑制する赤外光定着装置用管状体を提供する。【解決手段】少なくとも外周表面を構成する層として、下記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する表面層110Cを有し、赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する赤外光定着装置用管状体110。【選択図】図1

Description

本発明は、赤外光定着装置用管状体、赤外光定着装置、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置(複写機、ファクシミリ、プリンタ等)では、記録媒体上に形成された未定着のトナー像を定着装置によって定着して画像が形成される。
例えば、特許文献1には、「管状の基材と、基材の外周面上に設けられた弾性層と、弾性層の外周面上に設けられ、フッ素含有樹脂を含む表面層と、を備え、760nm以上900nm以下のうち少なくとも一部における波長領域の赤外線に対して透過性を有する定着部材」が開示されている。
また、特許文献2には、「光吸収特性が異なる2種類の光定着トナーに対応するレーザ定着装置であって、レーザ光を発射するレーザ光発射部と、前記レーザ光が入射すると、該レーザ光とは波長が異なる出射光が出射する波長変換部とを備え、前記2種類の光定着トナーのうちの一方のトナーに対して前記レーザ光を照射し、他方のトナーに対して前記波長変換部から出射する出射光を照射するように構成されたレーザ定着装置」が開示されている。
特開2015−040897号公報 特許第4945651号公報
ところで、赤外光定着装置において画像定着の動作を繰り返すうちに赤外光定着装置用管状体の表面で摩耗が生じ、赤外光の透過率が徐々に低下することがあった。
そこで、本発明の課題は、基材と該基材の外周面上に設けられた弾性層とのみを有し、外周表面を構成する層として下記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する表面層を有しない構成の赤外光定着装置用管状体に比べ、赤外光の透過率の低下を抑制する赤外光定着装置用管状体を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
少なくとも外周表面を構成する層として、下記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する表面層を有し、
赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する赤外光定着装置用管状体。

(一般式(PCB)中、RP3、及びRP4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。XP1は、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、又はシクロアルキレン基を表す。)
請求項2に係る発明は、
前記ポリカーボネート樹脂が、前記一般式(PCB)で示される構造単位に加え、下記一般式(PCA)で示される構造単位を含むビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂である請求項1に記載の赤外光定着装置用管状体。

(一般式(PCA)中、RP1、及びRP2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。)
請求項3に係る発明は、
前記一般式(PCA)で示される構造単位が下記一般式(PCA−1)で示される構造単位であり、前記一般式(PCB)で示される構造単位が下記一般式(PCB−1)で示される構造単位である請求項2に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項4に係る発明は、
前記ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂は、前記一般式(PCA)で示される構造単位と前記一般式(PCB)で示される構造単位とを、共重合比(PCA:PCB(モル比))10:90乃至50:50で含むビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂である請求項2又は請求項3に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項5に係る発明は、
前記表面層のデュロメータA硬さが、75度以上90度以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項6に係る発明は、
前記表面層のナノインデンテーション法による弾性変形率が、0.30以上0.45以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項7に係る発明は、
前記表面層の接触角が、75°以上95°以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項8に係る発明は、
前記表面層の平均厚さが、10μm以上50μm以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項9に係る発明は、
基材と、
前記基材の外周面上に設けられた弾性層と、
前記弾性層の外周面上に設けられた前記表面層と、
を有する積層体で構成された請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項10に係る発明は、
前記表面層のデュロメータA硬さ〔H〕の、前記弾性層のデュロメータA硬さ〔H〕に対する比〔H/H〕が1.8/1.0以上2.1/1.0以下である請求項9に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項11に係る発明は、
前記表面層のナノインデンテーション法による弾性変形率〔E〕の、前記弾性層のナノインデンテーション法による弾性変形率〔E〕に対する比〔E/E〕が2.5/1.0以上3.4/1.0以下である請求項9又は請求項10に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項12に係る発明は、
700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項13に係る発明は、
700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過率が、90%以上である請求項12に記載の赤外光定着装置用管状体。
請求項14に係る発明は、
記録媒体上のトナー像と接触する管状体であって、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体と、
前記管状体の外周面に接触し、前記管状体との間に接触域を形成して設けられ、前記接触域にて前記管状体と共に回転して記録媒体を搬送する回転体と、
前記管状体の外周面側又は内周面側に設けられ、前記管状体と前記回転体との間の前記接触域内に向けて赤外光を照射する赤外光照射装置と、
前記管状体の内周面側に設けられ、前記接触域にて前記管状体を前記回転体と共に加圧する加圧部材と、
を備える赤外光定着装置。
請求項15に係る発明は、
前記赤外光照射装置が、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光を照射する装置である請求項14に記載の赤外光定着装置。
請求項16に係る発明は、
記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、
赤外光の照射により前記トナー像を前記記録媒体に定着する赤外光定着装置であって、請求項14又は請求項15に記載の赤外光定着装置と、
を備える画像形成装置。
請求項17に係る発明は、
前記トナー像形成装置は、トナー粒子と、前記トナー粒子の表面に外添された外添剤と、を含むトナーにより前記トナー像を形成する装置である請求項16に記載の画像形成装置。
請求項18に係る発明は、
前記外添剤の平均粒径が、10nm以上300nm以下である請求項17に記載の画像形成装置。
請求項19に係る発明は、
前記表面層の平均厚さ〔t〕の、前記外添剤の平均粒径〔s〕に対する比〔t/s〕が200/1以上700/1以下である請求項17又は請求項18に記載の画像形成装置。
請求項1、4、8、又は9に係る発明によれば、基材と該基材の外周面上に設けられた弾性層とのみを有し、外周表面を構成する層として前記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する表面層を有しない構成の赤外光定着装置用管状体に比べ、赤外光の透過率の低下を抑制する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項2に係る発明によれば、樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂のみを含有する表面層を有する赤外光定着装置用管状体に比べ、赤外光の透過率の低下を抑制する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項3に係る発明によれば、樹脂として後述の構造式1で示される構造単位及び構造式2で示される構造単位からなる共重合型ポリカーボネート樹脂のみを含有する表面層を有する赤外光定着装置用管状体に比べ、高い離型性を有する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項5に係る発明によれば、デュロメータA硬さが75度未満である赤外光定着装置用管状体に比べ、赤外光の透過率の低下を抑制する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項6に係る発明によれば、ナノインデンテーション法による弾性変形率が0.30未満である赤外光定着装置用管状体に比べ、赤外光の透過率の低下を抑制する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項7に係る発明によれば、接触角が75°未満である赤外光定着装置用管状体に比べ、高い離型性を有する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項10に係る発明によれば、表面層のデュロメータA硬さ〔H〕の、弾性層のデュロメータA硬さ〔H〕に対する比〔H/H〕が1.8/1.0未満である赤外光定着装置用管状体に比べ、赤外光の透過率の低下を抑制する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項11に係る発明によれば、表面層のナノインデンテーション法による弾性変形率〔E〕の、弾性層のナノインデンテーション法による弾性変形率〔E〕に対する比〔E/E〕が2.5/1.0未満である赤外光定着装置用管状体に比べ、赤外光の透過率の低下を抑制する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項12、又は13に係る発明によれば、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光によるトナー像の定着を実現する赤外光定着装置用管状体が提供される。
請求項14に係る発明によれば、基材と該基材の外周面上に設けられた弾性層とのみを有し、外周表面を構成する層として前記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する表面層を有しない構成の赤外光定着装置用管状体を適用した場合に比べ、定着強度の高い画像が得られる赤外光定着装置が提供される。
請求項15に係る発明によれば、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光によるトナー像の定着を実現する赤外光定着装置が提供される。
請求項16、17、又は18に係る発明によれば、基材と該基材の外周面上に設けられた弾性層とのみを有し、外周表面を構成する層として前記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する表面層を有しない構成の赤外光定着装置用管状体を適用した場合に比べ、定着強度の高い画像が得られる画像形成装置が提供される。
請求項19に係る発明によれば、表面層の平均厚さ〔t〕の、外添剤の平均粒径〔s〕に対する比〔t/s〕が200/1未満である画像形成装置に比べ、定着強度の高い画像が得られる画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る赤外光定着装置用管状体の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る赤外光定着装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る赤外光定着装置の他の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
[赤外光定着装置用管状体]
本実施形態に係る赤外光定着装置用管状体(以下、便宜上「透明管状体」とも称する)は、赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する管状体である。
そして、本実施形態に係る透明管状体は、少なくとも外周表面を構成する層として、下記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する表面層を有する。

(一般式(PCB)中、RP3、及びRP4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。XP1は、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、又はシクロアルキレン基を表す。)
本実施形態に係る透明管状体によれば、上記の構成を有することにより、赤外光の透過率の低下が抑制される。
その理由は、以下のように推察される。
トナーを用いて画像を形成する画像形成装置において、赤外光の光エネルギーに吸収をもつ赤外線吸収性色素を含む赤外線吸収性トナーを用い、かつトナー像に対して赤外光を照射することで画像を定着させる赤外光定着方式の技術が検討されている。例えば、透明管状体と回転体との接触領域に対して、赤外線吸収性トナーによる未定着のトナー像が形成された記録媒体を通過させることで加圧し、加えて透明管状体を通してトナー像に対し赤外光を照射することで、画像を定着させる技術が知られている。
ただし、トナーには外添剤等の非溶融物が含まれることがある。また、記録媒体上に形成された未定着のトナー像には、記録媒体の破片(例えば紙粉)などの非溶融物が含まれることがある。こうした非溶融物の存在により、赤外光定着方式においては、画像定着の動作を繰り返すうちに透明管状体の表面で非溶融物との摩擦による引っ掻き摩耗(アブレシブ摩耗)が生じ、赤外光の透過率が徐々に低下することがあった。
これに対し本実施形態に係る透明管状体は、前記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する表面層を外周表面に有している。上記のポリカーボネート樹脂を含むことで、透明管状体は、表面での微小な押しこみ変形に対して弾性変形し易くなる(つまり動的粘弾性の弾性項が大きくなる)と考えられる。ここで、透明管状体に接触し加圧された状態の非溶融物(外添剤等)は、記録媒体と透明管状体との間を転がりながら通過する。このとき、透明管状体が微小な押しこみ変形に対して弾性変形し易いと、非溶融物からの押し込み変形に対する戻り挙動が早くなり、透明管状体が微小変形する時間が短くなる。その結果、非溶融物の転がり距離が小さくなり、透明管状体の表面での引っ掻き摩耗(アブレシブ摩耗)が抑制され、赤外光の透過率の低下も抑制される。
また、本実施形態に係る透明管状体によれば、トナーに対する離型性が向上する。
その理由は、以下のように推察される。
赤外光定着方式では、例えば透明管状体に接触し加圧された状態の未定着トナー像に対し赤外光を照射して定着が行われる。その際、トナー像での赤外線吸収性色素の分布のムラにより、発熱及び溶融にばらつきが生じ、特に記録媒体とトナー像との界面での赤外線吸収性色素の量が少ない場合に、溶融したトナーが透明管状体側に固着することがあった。なお、トナー粒子の粒子径が小さくなる程、透明管状体への付着力が大きくなるため、上記の固着の発生が顕著となる。
これに対し本実施形態に係る透明管状体は、前記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する表面層を外周表面に有しており、表面での微小な押しこみ変形に対して弾性変形し易くなると考えられる。ここで、透明管状体に接触し加圧された状態のトナー粒子は、赤外光の照射によって溶融するまでの段階では、記録媒体と透明管状体との間を転がりながら通過する。このとき、透明管状体が微小な押しこみ変形に対して弾性変形し易いと、トナー粒子からの押し込み変形に対する戻り挙動が早くなり、透明管状体が微小変形する時間が短くなり、トナー粒子との接触時間が短くなる。よって、接触時間が短くなることによりトナーの固着が抑制され、つまりトナーに対して高い離型性が得られる。
そして、本実施形態では、高い赤外光透過率と高い離型性とが長期にわたって維持されることで、省エネルギーかつ定着強度の高い画像が得られる赤外光定着方式が実現される。
以下、本実施形態に係る透明管状体について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。
本実施形態に係る透明管状体110は、赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する透明管状体である。
本実施形態に係る透明管状体110は、例えば、図1に示すように、基材110Aと、基材110Aの外周面上に設けられた弾性層110Bと、弾性層110Bの外周面上に設けられた、外周表面を構成する層としての表面層110Cと、を有している。
そして、表面層110Cは、前記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する。
ここで、本実施形態に係る透明管状体110は、赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有するが、具体的には、赤外光定着装置に備える赤外光照射装置の光源(赤外光を照射する光源)が照射する照射波長の赤外光に対する透過性を有する。より具体的には、例えば、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有することがよい。
さらに具体的には、例えば、赤外光照射装置の光源として808nmの赤外光(赤外線レーザ光)を照射する半導体レーザを用いる場合は、808nmの赤外光に対して透過性を有していればよく、780nm以上820nm以下の波長領域の赤外光に対して透過性を有していてもよく、800nm以上810nm以下の波長領域の赤外光に対して透過性を有していてもよい。
そして、赤外光に対する透過性を有するとは、赤外光に対する透過率が80%以上(より好ましくは90%以上)を有することを意味する。
なお、透明管状体110を構成する各層における、赤外光に対する透過性も、透明管状体110における、赤外光に対する透過性と同様な性質を持つことがよい。つまり、透明管状体110を構成する各層における、赤外光に対する透過率は、80%以上(好ましくは90%以上)がよい。
赤外光に対する透過率は、次の方法により測定される。
透過率は、測定装置として紫外可視分光光度計(日本分光(株)製、型番:JASCO−V560)を用い、350nm以上950nm以下の領域での測定条件において測定し、対象とする波長領域(例えば700nm以上900nm以下の領域など)での透過率を求めることで、評価する。
なお、透明管状体における各層(例えば表面層)について透過率を測定する場合、その測定用試料は、該当する層を透明管状体から剥がして測定用試料とする。また、透明管状体からの剥離が容易でない場合には、該当する層の形成に用いた材料と同じ材料を用いて測定用試料を別途作製してもよい。
次に、本実施形態に係る透明管状体110の各構成の詳細について説明する。なお、符号は省略して説明する。
(表面層)
・ポリカーボネート樹脂
表面層は、下記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂(以下単に「特定ポリカーボネート樹脂」とも称す)を含有し、かつ赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する層である。

一般式(PCB)中、RP3、及びRP4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。XP1は、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、又はシクロアルキレン基を表す。
なお、表面層に含まれるポリカーボネート樹脂は、前記一般式(PCB)で示される構造単位に加え、下記一般式(PCA)で示される構造単位を含むビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。

一般式(PCA)中、RP1、及びRP2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すアルキル基としては、炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数1以上3以下)の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが挙げられる。
一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、及びRP4が表すアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
一般式(PCB)中、XP1が表すアルキレン基としては、炭素数1以上12以下(好ましくは炭素数1以上6以下、より好ましくは炭素数1以上3以下)の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が挙げられる。
直鎖状のアルキレン基として具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、n−ウンデシレン基、n−ドデシレン基等が挙げられる。
分岐状のアルキレン基として具体的には、イソプロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基、イソヘキシレン基、sec−ヘキシレン基、tert−ヘキシレン基、イソヘプチレン基、sec−ヘプチレン基、tert−ヘプチレン基、イソオクチレン基、sec−オクチレン基、tert−オクチレン基、イソノニレン基、sec−ノニレン基、tert−ノニレン基、イソデシレン基、sec−デシレン基、tert−デシレン基、イソウンデシレン基、sec−ウンデシレン基、tert−ウンデシレン基、ネオウンデシレン基、イソドデシレン基、sec−ドデシレン基、tert−ドデシレン基、ネオドデシレン基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(PCB)中、XP1が表すシクロアルキレン基としては、炭素数3以上12以下(好ましくは炭素数3以上10以下、より好ましくは炭素数5以上8以下)のシクロアルキレン基が挙げられる。
シクロアルキレン基として具体的には、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロドデカニレン基等が挙げられる。
これらの中でも、シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基が好ましい。
なお、一般式(PCA)及び(PCB)中、RP1、RP2、RP3、RP4、及びXP1が表す上記各置換基は、さらに置換基を有する基も含む。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子)、アルキル基(例えば炭素数1以上6以下のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば炭素数5以上7以下のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば炭素数1以上4以下のアルコキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等)等が挙げられる。
一般式(PCA)において、RP1、及びRP2は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、RP1、及びRP2は、水素原子を表すことがより好ましい。
一般式(PCB)において、RP3、及びRP4は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1以上6以下のアルキル基を表し、XP1がアルキレン基、又はシクロアルキレン基を表すことが好ましい。
前記ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂は、前記一般式(PCA)で示される構造単位と前記一般式(PCB)で示される構造単位とを、共重合比(PCA:PCB(モル比))10:90乃至50:50で含むビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
一般式(PCA)で示される構造単位を10以上の共重合比で含む(つまり一般式(PCB)で示される構造単位を90以下の共重合比で含む)ことで、微小な押しこみ変形に対して弾性変形し易い(つまり動的粘弾性の弾性項が大きい)表面層とし易くなる。
一方、一般式(PCA)で示される構造単位を50以下の共重合比で含む(つまり一般式(PCB)で示される構造単位を50以上の共重合比で含む)ことで、表面層の割れの発生が抑制される。
前記ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂における、一般式(PCA)で示される構造単位と一般式(PCB)で示される構造単位との共重合比(PCA:PCB(モル比))は、さらに15:85乃至40:60の範囲が好ましい。
特定ポリカーボネート樹脂の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、例示化合物中、pm、pnは共重合比を示す。
特定ポリカーボネート樹脂としては、下記一般式(PCA−1)で示される構造単位及び下記一般式(PCB−1)で示される構造単位を含むビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂(つまり上記具体例(PC−1))であることが好ましい。

特定ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量としては、例えば20,000以上80,000以下が好ましく、さらには30,000以上70,000以下がより好ましく、30,000以上60,000以下がさらに好ましい。
なお、特定ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、次の方法により測定される。樹脂1gをメチレンクロライド100cmに溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計により、その比粘度ηspを測定し、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕cの関係式(ただしcは濃度(g/cm)より極限粘度〔η〕(cm/g)をもとめ、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10−4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvを求める。
ここで、表面層における特定ポリカーボネート樹脂の含有量は、例えば、表面層の全固形分に対して、10質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上100質量%以下がより好ましく、50質量%以上100質量%以下が更に好ましい。
表面層では、特定ポリカーボネート樹脂に加えて、他の樹脂(透明管状体に用いられる公知の樹脂)を併用してもよい。ただし、他の樹脂は、全樹脂に対して10質量%以下(好ましくは5質量%以下)で併用することがよい。
表面層には、その他にも、酸化防止剤、レベリング剤等の周知の添加剤が含まれていてもよい。
・表面層の形成
表面層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた表面層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
表面層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
表面層形成用塗布液を塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
・表面層の物性
−硬度:デュロメータA硬さ−
表面層は、デュロメータA硬さが60度以上90度以下であることが好ましい。より好ましくは70度以上90度以下であり、さらに好ましくは75度以上90度以下である。
デュロメータA硬さが上記の下限値以上であることで、透明管状体の表面での引っ掻き摩耗(アブレシブ摩耗)が抑制され、赤外光の透過率の低下が抑制される。また、透明管状体の表面でのトナーの固着も抑制され、つまりトナーに対する高い離型性も得られる。
一方、デュロメータA硬さが上記の上限値以下であることで、表面層への衝撃による割れやクラックが抑制される。
また、表面層のデュロメータA硬さ〔H〕の、弾性層のデュロメータA硬さ〔H〕に対する比〔H/H〕が1.2/1.0以上3.0/1.0以下であることが好ましい。より好ましくは1.5/1.0以上2.5/1.0以下であり、さらに好ましくは1.8/1.0以上2.1/1.0以下である。
表面層と弾性層とのデュロメータA硬さの比〔H/H〕が上記の下限値以上であることで、透明管状体の表面での引っ掻き摩耗(アブレシブ摩耗)が抑制され、赤外光の透過率の低下が抑制される。また、透明管状体の表面でのトナーの固着も抑制され、つまりトナーに対する高い離型性も得られる。
一方、表面層と弾性層とのデュロメータA硬さの比〔H/H〕が上記の上限値以下であることで、表面層と弾性層のはがれが抑制される。
表面層及び弾性層のデュロメータA硬さは、MD1capa硬度計(アスカー社製)を用い、TypeA押針を用いて、JIS−K7215(1986年)に規定されるデュロメータA硬さを測定する。
なお、デュロメータA硬さの測定用試料は、表面層又は弾性層を透明管状体から剥がして厚さ2.0mmの試料を準備する。厚さが足りない場合には、複数の箇所から剥がしてそれらを積層し、上記厚さの測定用試料としてもよい。また、厚さが足りない場合や、透明管状体からの剥離が容易でない場合には、表面層又は弾性層の形成に用いた材料と同じ材料を用いて上記厚さの測定用試料を別途作製してもよい。
表面層及び弾性層の硬度(デュロメータA硬さ)の調整は、例えば、表面層及び弾性層のそれぞれの形成に用いる成分(樹脂等)を選択することで行われる。
−弾性変形率−
表面層は、ナノインデンテーション法による弾性変形率が0.10以上0.70以下であることが好ましい。より好ましくは0.20以上0.50以下であり、さらに好ましくは0.30以上0.45以下である。
弾性変形率が上記の下限値以上であることで、透明管状体の表面での引っ掻き摩耗(アブレシブ摩耗)が抑制され、赤外光の透過率の低下が抑制される。また、透明管状体の表面でのトナーの固着も抑制され、つまりトナーに対する高い離型性も得られる。
一方、弾性変形率が上記の上限値以下であることで、表面層への衝撃による割れやクラックが抑制される。
また、表面層のナノインデンテーション法による弾性変形率〔E〕の、弾性層のナノインデンテーション法による弾性変形率〔E〕に対する比〔E/E〕が1.2/1.0以上6.0/1.0以下であることが好ましい。より好ましくは2.0/1.0以上4.0/1.0以下であり、さらに好ましくは2.5/1.0以上3.4/1.0以下である。
表面層と弾性層との弾性変形率の比〔E/E〕が上記の下限値以上であることで、透明管状体の表面での引っ掻き摩耗(アブレシブ摩耗)が抑制され、赤外光の透過率の低下が抑制される。また、透明管状体の表面でのトナーの固着も抑制され、つまりトナーに対する高い離型性も得られる。
一方、表面層と弾性層との弾性変形率の比〔E/E〕が上記の上限値以下であることで、表面層と弾性層のはがれが抑制される。
表面層及び弾性層の弾性変形率は、ナノインデンター(フィッシャー・インスツルメンツ社製、PICODENTOR HM500)を用いて、ナノインデンテーション法により測定する。具体的には、サファイア針を0.5μmの深さまで一定荷重で押し込み、その荷重頂点までの変位量と、荷重を開放したのちの変位戻り量を測定し、その比を弾性変形率とすることで測定する。
なお、弾性変形率の測定用試料は、表面層又は弾性層を透明管状体から剥がして厚さ2.0mmの試料を準備する。厚さが足りない場合には、複数の箇所から剥がしてそれらを積層し、上記厚さの測定用試料としてもよい。また、厚さが足りない場合や、透明管状体からの剥離が容易でない場合には、表面層又は弾性層の形成に用いた材料と同じ材料を用いて上記厚さの測定用試料を別途作製してもよい。
表面層及び弾性層の弾性変形率の調整は、例えば、表面層及び弾性層のそれぞれの形成に用いる成分(樹脂等)を選択することで行われる。
−接触角−
表面層は、接触角が60°以上95°以下であることが好ましい。より好ましくは70°以上95°以下であり、さらに好ましくは75°以上95°以下である。
接触角が上記の下限値以上であることで、透明管状体の表面でのトナーの固着が抑制され、つまりトナーに対する高い離型性が得られる。
一方、接触角が上記の上限値以下であることで、未定着トナーの位置ずれに伴う濃度ムラが抑制される。
表面層の接触角は、接触角計(協和界面科学(株)製、型番:CA−X−FACE)を用い、20℃においてθ/2法に基づき、表面にイオン交換水の水滴を滴下した際の水滴と表面との接触角(°)を測定することで行われる。
表面層及び弾性層の接触角の調整は、例えば、表面層の形成に用いる成分(樹脂等)を選択することで行われる。
−厚さ−
表面層は、平均厚さが10μm以上50μm以下であることが好ましい。より好ましくは12μm以上30μm以下であり、さらに好ましくは15μm以上26μm以下である。
平均厚さが上記の下限値以上であることで、透明管状体の表面での引っ掻き摩耗(アブレシブ摩耗)が抑制され易くなり、赤外光の透過率の低下が抑制され易くなる。また、透明管状体の表面でのトナーの固着も抑制され易くなり、つまりトナーに対する高い離型性も得られ易くなる。
一方、弾性変形率が上記の上限値以下であることで、表面層への衝撃による割れやクラックが抑制される。
また、表面層の平均厚さ〔t〕の、トナー中に含まれる外添剤の平均粒径〔s〕に対する比〔t/s〕が30/1以上1200/1以下であることが好ましい。より好ましくは100/1以上1000/1以下であり、さらに好ましくは200/1以上700/1以下である。
表面層の平均厚さ〔t〕と外添剤の平均粒径〔s〕との比〔t/s〕が上記の下限値以上であることで、透明管状体の表面での引っ掻き摩耗(アブレシブ摩耗)が抑制され、赤外光の透過率の低下が抑制される。また、透明管状体の表面でのトナーの固着も抑制され、つまりトナーに対する高い離型性も得られる。
一方、表面層の平均厚さ〔t〕と外添剤の平均粒径〔s〕との比〔t/s〕が上記の上限値以下であることで、外添剤の衝撃による割れやクラックが抑制される。
透明管状体における各層の厚さ(平均厚さ)の測定は、(株)フィッシャー・インストルメンツ製の渦電流式膜厚計ISOSCOPE MP30により行う。
なお、透明管状体の軸方向(幅方向)における中央部と、両端部からそれぞれ中央部側に向かって30mmの箇所の3箇所について、それぞれ周方向に等間隔で4箇所、つまり計12箇所の測定を行い、その平均値を平均厚さとする。
(弾性層)
弾性層は、赤外光に対して透過性を有する層(例えば赤外線の透過率が80%以上の層)であれば、特に限定されない。
弾性層としては、例えば、シリコーンゴム層、ウレタンゴム層、及びオレフィンゴム層等が挙げられる。
シリコーンゴム層としては、例えば、付加重合型の2液ポリジメチルシロキサン類とその誘導体、及び光硬化型のアクリル変性シリコーンゴム等の層が挙げられる。
ウレタンゴム層としては、例えば、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステル系ウレタン類及びアクリル変性光硬化型のウレタンゴム等の層が挙げられる。
オレフィンゴム層としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリプロピレンゴム、ブチルゴム、シクロオレフィン類、ノルボルネンゴム等の層が挙げられる。
弾性層の厚さとしては、例えば、50μm以上500μm以下が好ましく、150μm以上450μm以下がより好ましい。
弾性層のデュロメータA硬さ〔H〕としては、30度以上60度以下が好ましく、35度以上50度以下がより好ましい。
弾性層のナノインデンテーション法による弾性変形率〔E〕としては、0.08以上0.20以下が好ましく、0.08以上0.15以下がより好ましい。
(基材)
基材は、赤外光に対して透過性を有する層(例えば赤外線の透過率が80%以上の層)であれば、特に限定されない。
基材としては、熱可塑性樹脂層(ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)層、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)層、ポリエチレンナフタレート(PEN)層、ポリエーテルサルフォン(PES)層、ポリアリレート(PAR)層、ポリエステル(PES)樹脂層、ポリカーボネート(PC)層等)、熱硬化性樹脂層(ポリイミド樹脂(PI)層、ポリアミドイミド(PAI)層、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)層等)が挙げられる。
これらの中でも、基材としては、ポリフェニレンサルファイド樹脂層、ポリエーテルエーテルケトン層、ポリイミド樹脂層、又はポリアミドイミド樹脂層が好ましい。
基材は、赤外光に対する透明管状体の透過性を妨げない範囲で、赤外光に対して透過性を有する繊維やフィラー(フッ素樹脂粉末、ポリエステル、ポリアミド、ガラス繊維、シリカなどの無機粒子等)を含んでもよい。
基材の厚さは、例えば、20μm以上1000μm以下が好ましく、50μm以上200μm以下がより好ましく、60μm以上130μm以下がさらに好ましい。
(透明管状体の特性)
透明管状体全体の厚さとしては、例えば、80μm以上1550μm以下が好ましく、100μm以上1000μm以下がより好ましく、200μm以上500μm以下がさらに好ましい。
以上説明した透明管状体は、上記層構成に限られず、前記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する表面層を、外周表面を構成する層として有する管状体であればよい。
上記表面層を外周表面を構成する層として有する積層体としては、例えば、前記基材の内周面に、さらに内面層等の機能層を有する層構成、前記基材上に表面層のみを有する層構成、基材と弾性層との間に接着剤層を有する層構成、弾性層と表面層との間に接着剤層を有する層構成等が挙げられる。
<赤外光定着装置>
本実施形態に係る赤外光定着装置は、記録媒体上のトナー像と接触する管状体であって、上記本実施形態に係る透明管状体と、管状体の外周面に接触し、管状体との間に接触域を形成して設けられ、接触域にて管状体と共に回転して記録媒体を搬送する回転体と、管状体の外周面側又は内周面側に設けられ、管状体と回転体との間の接触域内に向けて赤外光を照射する赤外光照射装置と、管状体の内周面側に設けられ、接触域にて管状体を回転体と共に加圧する加圧部材と、を備える。
なお、本実施形態に係る赤外光定着装置において、赤外光照射装置は、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光を照射する装置であることがよい。
ここで、赤外光照射装置から照射される赤外光を、加圧部材を介して、透明管状体と回転体との接触域に到達させる場合、加圧部材における「赤外光に対する透過性」も、透明管状体における「赤外光に対する透過性」と同様な性質を持つことがよい。つまり、加圧部材における「赤外光に対する透過率」は、80%以上(好ましくは90%以上)がよい。
以下、本実施形態に係る赤外光定着装置について図面を参照しつつ説明する。
図2は、本実施形態に係る赤外光定着装置の一例を示す概略構成図である。
図2に示すように、本実施形態に係る赤外光定着装置60(以下「定着装置60」とも称する)は、透明管状体62と、回転体64と、赤外光照射装置70と、加圧部材80と、潤滑剤供給部材66と、を備えている。
(透明管状体)
透明管状体62は、軸方向両端部で、図示しない軸受により回転可能に支持されている。また、透明管状体62の軸方向の一端部には、図示しない駆動伝達部材(ギア等)が嵌め込まれている。そして、透明管状体62は、駆動伝達部材が図示しない駆動源(モータ等)により軸周りに回転されることに伴って、矢印R方向に回転するようになっている。さらに、透明管状体62は、透過した赤外光LBにより加熱される用紙K(記録媒体の一例)上のトナー像Tと、回転しながら接触するようになっている。
(回転体)
回転体64は、管状体の外周面に接触して設けられている。
回転体64は、一例として、樹脂製又は金属製であり、円筒状又は円柱状に形成されている。回転体64の外周面の一部は、図示しない軸受部材が弾性部材(バネ等)によって、透明管状体62を介して加圧部材80側に押し付けられている。それにより、回転体64と透明管状体62とは、接触域N(いわゆる、ニップ部)を形成している。すなわち、回転体64は、接触域Nにおいて、加圧部材80と共に、透明管状体62(つまり、用紙K及びトナー像T)を挟んで加圧する機能を有する。
回転体64の軸方向両端部には、図示しない嵌込部材(キャップ等)が嵌め込まれており、回転体64の径方向の外力に対する剛性が高められている。嵌込部材は、図示しない軸受部材によって軸回りに回転可能とされている。そして、回転体64は、透明管状体62が回転されることに伴って、従動回転するようになっている。それにより、接触域Nにて透明管状体62と共に回転して用紙Kを搬送する。
なお、回転体64の回転駆動により、透明管状体62が従動回転する構成であってもよい。
(赤外光照射装置)
赤外光照射装置70は、透明管状体62の外周面側に設けられている。なお、赤外光照射装置70は、透明管状体62の内周面側に設けられていてもよい。
赤外光照射装置70は、一例として、赤外光LB(赤外線レーザ光)を出射するレーザアレイ72と、出射された赤外光LBを平行光とするコリメートレンズ74とを有する。そして、赤外光照射装置70は、トナー像Tが加熱されるように、透明管状体62の外側から透明管状体62に赤外光LBを照射するようになっている。
レーザアレイ72は、用紙Kの搬送方向に対して直交する方向に沿って並んで複数設けられている。各レーザアレイ72は、配列された複数のレーザ光源72Aと、レーザ光源72Aを支持する本体部72Bと、本体部72Bに接触するヒートシンク72Cとを有する。
ここで、レーザアレイ72は、例えば、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光を照射する複数のレーザ光源72Aを有することがよい。
コリメートレンズ74は、レーザ光源72Aから照射された赤外光LBを平行光とする平凸レンズである。コリメートレンズ74は、透明管状体62の外周面に入射する赤外光LBの透明管状体62の周方向の幅が予め設定した幅となるように、位置が調整されている。
(加圧部材)
加圧部材80は、透明管状体62の内周面側に設けられている。
加圧部材80は、一例として、レンズパッド82(集光部材の一例)と、支持枠84A及び支持枠84Bとを有している。支持枠84A及び支持枠84Bは、透明管状体62の軸方向に伸びた部材であり、レンズパッド82を透明管状体62の径方向から挟んで支持する。レンズパッド82、支持枠84A及び支持枠84Bは、組み立てられた状態で全体が円柱状となっている。
加圧部材80は、回転体64が透明管状体62を介して加圧部材80側に押し付けられることにより、接触域Nにおいて、回転体64と共に、透明管状体62(つまり、用紙K及びトナー像T)を挟んで加圧する機能を有する。
加圧部材80において、赤外光照射装置70から透明管状体62に照射された赤外光LBは、レンズパッド82で集光され、再び透明管状体62を透過して、接触域Nに照射するようになっている。
なお、弾性部材(バネ等)によって、透明管状体を介して加圧部材80を回転体64側に押し付ける態様であってもよい。つまり、加圧部材80は、他の部材(回転体64等)から押し付けられて透明管状体62を加圧する部材、又は、自身を他の部材(回転体64等)へ押し付けて透明管状体62を加圧する部材のいずれの部材であってもよい。
また、加圧部材80は、赤外光の集光機能を有するパッド部材であってもよい。さらに、加圧部材80は、赤外光の集光機能を有さないロール部材、又は赤外光の集光機能を有さないパッド部材であってもよい。
(潤滑剤付与部材)
潤滑剤供給部材66は、一例として、液状の潤滑剤(シリコーンオイル等)を含浸したフェルト材で構成されている。潤滑剤供給部材66は、加圧部材80の支持枠84Aに形成された凹部86に嵌め込まれ、かつ透明管状体62の内周面に接触して設けられている。それにより、潤滑剤供給部材66は、透明管状体62の内周面に潤滑剤を塗布する。
なお、潤滑剤供給部材66は、固形の潤滑剤(脂肪酸金属塩等)と、固形の潤滑剤を支持する支持部材と、で構成されていてもよい。
ここで、赤外光照射装置から照射される赤外光を、加圧部材を介して、透明管状体と回転体との接触域に到達させる場合、潤滑剤における「赤外光に対する透過性」も、透明管状体における「赤外光に対する透過性」と同様な性質を持つことがよい。つまり、潤滑剤における「赤外光に対する透過率」は、80%以上(好ましくは90%以上)がよい。
(赤外光定着装置の動作)
赤外光定着装置60では、赤外光照射装置70から出射された赤外光LBが、透明管状体62の入射部62Aに入射する。そして、赤外光LBは、透明管状体62のレンズパッド82中で集光され、出射部である接触域Nから出射され、搬送中の用紙K上のトナー像Tに照射される。用紙K上のトナー像Tは、集光された赤外光LBを吸収することで加熱され溶融すると共に、回転体64及び加圧部材80から加圧力を受けることで、用紙Kに定着される。
以上説明した赤外光定着装置60は、上記構成に限られず、周知の構成が採用される。
例えば、赤外光定着装置60は、図3に示すように、接触域Nにおいて、加圧部材80(そのレンズパッド82)と、透明管状体62との間に介在したシート状の摺動部材68を有する態様であってもよい。
また、赤外光定着装置60は、透明管状体が複数の支持ロールにより張力を付与しつつ支持された態様であってもよい。
[画像形成装置]
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、赤外光の照射により前記トナー像を前記記録媒体に定着する赤外光定着装置と、を備える。そして、赤外光定着装置として、上記本実施形態に係る赤外光定着装置が適用される。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置において、トナー像形成装置は、例えば、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電装置と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、を備える。
トナー像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング装置を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電装置を備える装置;像保持体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための像保持体加熱部材を備える装置等の周知のトナー像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写装置は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写装置と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置において、赤外光定着装置は、画像形成装置に着脱するようにカートリッジ化していてもよい。つまり、本実施形態に係る画像形成装置は、プロセスカートリッジの構成装置として、本実施形態に係る赤外光定着装置を備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
この定着装置60が既述の本実施形態に係る赤外光定着装置60である。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
感光体11の周囲には、帯電装置の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、潜像形成装置の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体11の周囲には、現像装置の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
なお、トナーの詳細については後述する。
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚さは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図4に示すB方向に目的に合わせた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、及び、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとの混合ゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRの混合ゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとの混合ゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に、二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が、中間転写ベルト15に対し接離自在に設けられている。
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写装置の一例に該当する。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送装置として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、及び、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送装置では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせて位置合わせロール(不図示)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55は、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって加圧されると共に赤外光が照射されて定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
−トナー−
次いで、本実施形態に係る画像形成装置に用いられるトナーについて説明する。
本実施形態に用いられるトナーは、トナー粒子と、必要に応じて、外添剤と、を含んで構成される。
(トナー粒子)
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、赤外線吸収剤と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
・結着樹脂
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
結着樹脂の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
・赤外線吸収剤
赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン化合物、メロシアニン化合物、ベンゼンチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、芳香族ジアミン系金属錯体、ジイモニウム化合物、アミニウム化合物、ニッケル錯体化合物、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフタロシアニン系化合物等を用い得る。
赤外線吸収剤の含有量としては、トナー粒子全質量に対して、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。
・着色剤
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
・離型剤
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
・その他の添加剤
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
・トナー粒子の特性等
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂及び赤外線吸収剤と、必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤と、を含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vと定義する。
トナー粒子の平均円形度としては、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA−3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理をおこなって外添剤を除去したトナー粒子を得る。
(外添剤)
本実施形態では、トナー粒子の表面に外添剤が外添されたトナーを用いてもよい。
・平均粒径
外添剤の平均粒径(数平均粒径)は、トナーの転写性(像保持体から記録媒体への転写性、像保持体から中間転写体への転写性、中間転写体から記録媒体への転写性等)、像保持体表面に残存した残留トナーのクリーニング性等の観点から、10nm以上300nm以下であることが好ましい。より好ましくは20nm以上250nm以下であり、さrない好ましくは30nm以上200nm以下である。
なお、外添剤としては、数平均粒径が上記範囲である粒子と共に、トナー流動性の確保等の理由から、数平均粒径が上記範囲を外れる粒子を併用してもよい。
外添剤の数平均粒径は、トナーから分離した外添剤を用いる場合は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)により測定される。
トナーを直接観察して用いる場合は、一次粒子100個を走査型電子顕微鏡SEM(Scanning Electron Microscope)装置((株)日立製作所製:S−4100)により観察して画像を撮影し、この画像を画像解析装置(LUZEXIII、(株)ニレコ製)に取り込み、一次粒子の画像解析によって得られた円相当径の数平均粒径として算出する。なお、電子顕微鏡は1視野中に外添剤が10個以上50個以下程度写るように倍率が調整され、複数視野の観察を合わせて一次粒子の円相当径が求められる。
・平均円形度
外添剤は、平均円形度が0.75以上1.0以下が好ましく、0.9以上1.0以下がより好ましく、0.92以上0.98以下がさらに好ましい。
ここで、外添剤の平均円形度は、次の方法により測定される。
まず、外添剤の円形度は、外添剤の一次粒子を、SEM装置により観察し、得られた一次粒子の平面画像解析から、下記式により算出される「100/SF2」として得られる。
・式:円形度(100/SF2)=4π×(A/I
〔式中、Iは画像上における一次粒子の周囲長を、Aは一次粒子の投影面積を表す。〕
そして、外添剤の平均円形度は、上記平面画像解析によって得られた一次粒子100個の円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
・材質
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
外添剤としては、上記に列挙したものの中でも、シリカ粒子が好ましい。
シリカ粒子としては、シリカ、すなわちSiOを主成分とする粒子であればよく、結晶性でも非晶性でもよい。また、シリカ粒子としては、水ガラス、アルコキシシラン等のケイ素化合物を原料に製造された粒子であってもよいし、石英を粉砕して得られる粒子であってもよい。
具体的には、シリカ粒子としては、例えば、ゾルゲルシリカ粒子、水性コロイダルシリカ粒子、アルコール性シリカ粒子、気相法により得られるフュームドシリカ粒子、溶融シリカ粒子が挙げられる。その中でも、シリカ粒子としては、下記特性を満たす観点から、ゾルゲルシリカ粒子が好ましい。
また、シリカ粒子は、単分散且つ球状であることが好ましい。単分散球状シリカ粒子は、トナー粒子表面に均一に近い状態で分散し、安定したスペーサー効果を得られる。
ここで、単分散の定義としては、凝集体を含め平均粒径に対する標準偏差で議論することができ、標準偏差として体積平均粒径D50×0.22以下であることが好ましい。また、球状の定義としては、後述する平均円形度で議論することができる。
・表面処理
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
・外添量
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
以上、本実施形態について説明したが、上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
以下、実施例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
〔定着ベルトの製造〕
−基材−
溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂溶液(東洋紡製、バイロマックスHR16NN、固形分率18質量%、溶剤:n−メチル−2−ピロリドン)を、フローコート法にてφ278mmのSUS製パイプの外周面に、乾燥後の膜厚が80μmとなるよう塗布し、155℃で30分回転乾燥後、260℃のオーブンに1時間入れて取り出し、基材Aを得た。
−弾性層−
二液型シリーコンゴム溶液(信越化学工業社製、X−34−1972−3A及びX−34−1972−3B)を1:1の比率で混合した混合物85質量%と、酢酸ブチル15質量%とにより作製した溶液を、得られた基材Aの外周面に、乾燥後の膜厚が400μmとなるよう塗布し、100℃のオーブンにて20分間乾燥したのち、続けて200℃のオーブンにて4時間硬化し、弾性層Aを得た。
−表面層−
バインダー樹脂として、下記構造式1及び下記構造式2の構造単位からなるポリカーボネート共重合体(重量平均分子量53000)6質量部、酸化防止剤兼レベリング剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1質量部を混合し、テトラヒドロフラン24質量部及びトルエン11質量部に混合溶解して表面層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を、前記弾性層A上に浸漬塗布法にて、乾燥後の膜厚が20μmとなるよう塗布して、115℃で25分間乾燥して表面層Aを形成した。
表面層形成後、フィルムを抜き取ることで、目的の定着ベルトAを得た。
<実施例2>
実施例1において、表面層の形成に用いたポリカーボネート共重合体を、下記構造式3及び下記構造式4の構造単位からなるポリカーボネート共重合体(重量平均分子量50000)に変更した以外は、同様に作製して定着ベルトBを得た。
<実施例3>
実施例1において、表面層の形成に用いたポリカーボネート共重合体を、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ユーピロン(重量平均分子量40000)に変更した以外は、同様に作製して定着ベルトCを得た。
<比較例1>
実施例1において、基材Aと弾性層Aのみを形成し、表面層Aを形成していないベルトを、定着ベルトDとした。

[評価方法]
−赤外光透過率−
透過率は、測定装置として紫外可視分光光度計(日本分光(株)製、型番:JASCO−V560)を用い、350nm以上950nm以下の領域での測定条件において測定し、700nm以上900nm以下の領域での透過率を求めることで、評価した。
なお、定着ベルト中の表面層についての透過率は、表面層の形成に用いた材料と同じ材料を用いて厚さ2.0μmの測定用試料を別途作製し、上記方法にて測定を行った。
−硬度:デュロメータA硬さ−
表面層及び弾性層のデュロメータA硬さは、MD1capa硬度計(アスカー社製)を用い、TypeA押針を用いて、JIS−K7215(1986年)に規定されるデュロメータA硬さを測定した。
なお、デュロメータA硬さの測定用試料は、表面層又は弾性層の形成に用いた材料と同じ材料を用いて厚さ2.0mmの測定用試料を別途作製し、測定を行った。
−弾性変形率−
表面層及び弾性層の弾性変形率は、ナノインデンター(フィッシャー・インスツルメンツ社製、PICODENTOR HM500)を用いて、ナノインデンテーション法により測定した。具体的には、サファイア針を0.5μmの深さまで一定荷重で押し込み、その荷重頂点までの変位量と、荷重を開放したのちの変位戻り量を測定し、その比を弾性変形率とすることで測定した。
なお、弾性変形率の測定用試料は、表面層又は弾性層の形成に用いた材料と同じ材料を用いて厚さ2.0mmの測定用試料を別途作製し、測定を行った。
−接触角−
表面層の接触角は、接触角計(協和界面科学(株)製、型番:CA−X−FACE)を用い、20℃においてθ/2法に基づき、表面にイオン交換水の水滴を滴下した際の水滴と表面との接触角(°)を測定することで行った。
−トナー離型性−
各例で得られた定着ベルトを、図2に示す構成と同じ構成の赤外光定着装置(ピーク波長808nmの赤外線レーザ光を照射する光源を有する装置)における透明管状体として組み込み、この赤外光定着装置を、DocuCentre−V C5575(富士ゼロックス社製)の定着装置として組み込んだ改造機を準備した。
なお、トナーには、トナー粒子100質量部に対して、外添剤として市販のヒュームドシリカRX50(日本アエロジル製、数平均粒子径:40nm)1.2質量部を外添したトナーを用いた。
トナー離型性の評価は、上記の画像形成装置により、低温低湿(10℃15%RH)環境にて、画像密度YMCK各100%、幅50mmの帯チャート画像を1000枚連続プリントし、画像形成範囲の定着ベルト表面を拡大観察し、残留トナー数をカウントすることで評価した。
A(◎):残留トナー無し
B(○):残留トナー10個以下
C(△):残留トナー10個超え100個以下
D(×):残留トナー100個超え
−維持性−
前記トナー離型性の評価試験で準備した改造機と同じ画像形成装置を準備した。
なお、トナーには、トナー粒子100質量部に対して、外添剤として市販のヒュームドシリカRX50(日本アエロジル製、数平均粒子径:40nm)1.2質量部を外添したトナーを用いた。
トナー離型性の評価は、上記の画像形成装置により、低温低湿(10℃15%RH)環境にて、画像密度5%のA4チャートを20万枚連続プリントした。
・粗さ変化
初期(プリント開始前)及び20万枚プリント後の、用紙通過範囲の定着ベルト表面について、最大高さ粗さRz(JIS B0601−2013年)を測定し、その差分を計測することで評価した。
A(◎):最大高さ粗さ変化無し
B(○):最大高さ粗さ変化量ΔRz0.1以下
C(△):最大高さ粗さ変化量ΔRz0.1超え1.0以下
D(×):最大高さ粗さ変化量ΔRz1.0超え
・透過率変化
初期(プリント開始前)及び20万枚プリント後の、用紙通過範囲の定着ベルトについて、前述の方法により赤外光透過率(700nm以上900nm以下の領域)を測定し、その差分を計測することで評価した。
A(◎):透過率変化無し
B(○):透過率変化量Δ3%以下
C(△):透過率変化量Δ3%超え10%以下
D(×):透過率変化量Δ10%超え


上記結果から、本実施例の透明管状体は、比較例の透明管状体に比べ、赤外光の透過率の低下が抑制されることがわかる。
60 赤外光定着装置
62 透明管状体
62A 入射部
64 回転体
66 潤滑剤供給部材
68 摺動部材
70 赤外光照射装置
72 レーザアレイ
72A レーザ光源
72B 本体部
72C ヒートシンク
74 コリメートレンズ
80 加圧部材
82 レンズパッド
84A 支持枠
84B 支持枠
86 凹部
100 画像形成装置
110 透明管状体
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層

Claims (19)

  1. 少なくとも外周表面を構成する層として、下記一般式(PCB)で示される構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有する表面層を有し、
    赤外域のうち少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する赤外光定着装置用管状体。


    (一般式(PCB)中、RP3、及びRP4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。XP1は、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、又はシクロアルキレン基を表す。)
  2. 前記ポリカーボネート樹脂が、前記一般式(PCB)で示される構造単位に加え、下記一般式(PCA)で示される構造単位を含むビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂である請求項1に記載の赤外光定着装置用管状体。


    (一般式(PCA)中、RP1、及びRP2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。)
  3. 前記一般式(PCA)で示される構造単位が下記一般式(PCA−1)で示される構造単位であり、前記一般式(PCB)で示される構造単位が下記一般式(PCB−1)で示される構造単位である請求項2に記載の赤外光定着装置用管状体。
  4. 前記ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂は、前記一般式(PCA)で示される構造単位と前記一般式(PCB)で示される構造単位とを、共重合比(PCA:PCB(モル比))10:90乃至50:50で含むビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂である請求項2又は請求項3に記載の赤外光定着装置用管状体。
  5. 前記表面層のデュロメータA硬さが、75度以上90度以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
  6. 前記表面層のナノインデンテーション法による弾性変形率が、0.30以上0.45以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
  7. 前記表面層の接触角が、75°以上95°以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
  8. 前記表面層の平均厚さが、10μm以上50μm以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
  9. 基材と、
    前記基材の外周面上に設けられた弾性層と、
    前記弾性層の外周面上に設けられた前記表面層と、
    を有する積層体で構成された請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
  10. 前記表面層のデュロメータA硬さ〔H〕の、前記弾性層のデュロメータA硬さ〔H〕に対する比〔H/H〕が1.8/1.0以上2.1/1.0以下である請求項9に記載の赤外光定着装置用管状体。
  11. 前記表面層のナノインデンテーション法による弾性変形率〔E〕の、前記弾性層のナノインデンテーション法による弾性変形率〔E〕に対する比〔E/E〕が2.5/1.0以上3.4/1.0以下である請求項9又は請求項10に記載の赤外光定着装置用管状体。
  12. 700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過性を有する請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体。
  13. 700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光に対する透過率が、90%以上である請求項12に記載の赤外光定着装置用管状体。
  14. 記録媒体上のトナー像と接触する管状体であって、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の赤外光定着装置用管状体と、
    前記管状体の外周面に接触し、前記管状体との間に接触域を形成して設けられ、前記接触域にて前記管状体と共に回転して記録媒体を搬送する回転体と、
    前記管状体の外周面側又は内周面側に設けられ、前記管状体と前記回転体との間の前記接触域内に向けて赤外光を照射する赤外光照射装置と、
    前記管状体の内周面側に設けられ、前記接触域にて前記管状体を前記回転体と共に加圧する加圧部材と、
    を備える赤外光定着装置。
  15. 前記赤外光照射装置が、700nm以上900nm以下の赤外域の少なくとも一部の波長領域の赤外光を照射する装置である請求項14に記載の赤外光定着装置。
  16. 記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、
    赤外光の照射により前記トナー像を前記記録媒体に定着する赤外光定着装置であって、請求項14又は請求項15に記載の赤外光定着装置と、
    を備える画像形成装置。
  17. 前記トナー像形成装置は、トナー粒子と、前記トナー粒子の表面に外添された外添剤と、を含むトナーにより前記トナー像を形成する装置である請求項16に記載の画像形成装置。
  18. 前記外添剤の平均粒径が、10nm以上300nm以下である請求項17に記載の画像形成装置。
  19. 前記表面層の平均厚さ〔t〕の、前記外添剤の平均粒径〔s〕に対する比〔t/s〕が200/1以上700/1以下である請求項17又は請求項18に記載の画像形成装置。
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