JP2019044150A - エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂、感光性樹脂組成物、感光性ドライフィルム、積層体、及びパターン形成方法 - Google Patents

エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂、感光性樹脂組成物、感光性ドライフィルム、積層体、及びパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】幅広い波長で微細なパターン形成が可能であり、パターン形成後に高透明性、高耐光性かつ高耐熱性の皮膜を与えることができ、かつ、厚膜で微細なパターン形成を容易に行うことができ、耐クラック性や、基板、電子部品や半導体素子等、特には回路基板に使用される基材に対しての密着性等の各種フィルム特性に優れ、電気・電子部品保護用皮膜や、基板接合用皮膜等としての信頼性に優れる硬化物層を形成可能な、エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂、該変性シリコーン樹脂を含む感光性樹脂組成物、該組成物から得られる感光性ドライフィルム、これらを用いた積層体、及びパターン形成方法の提供。【解決手段】6個の特定の繰り返し単位(直鎖ポリシロキサン、1、4ービスシリルベンゼン、環状ポリシロキサンがアルキレン及び/又はイソシアヌル酸含有アルキレンで結合した構造)を含む、エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂、感光性樹脂組成物、感光性ドライフィルム、積層体、及びパターン形成方法に関する。
これまで、発光ダイオード(LED)、CMOSイメージセンサー等に代表される各種光学デバイスには、封止保護材料としてエポキシ樹脂が主に用いられてきた。中でも、高い透明性と耐光性を持つものとして、エポキシ変性シリコーン樹脂が数多く用いられてきており、シルフェニレン骨格に脂環式エポキシ基を導入したタイプ(特許文献1)も存在している。しかし、これらは10μm程度の微細加工が可能な材料ではない。近年では各種光学デバイスも微細加工が必要なものが多い。そのような微細加工を行う場合、エポキシ樹脂系材料に代表される各種レジスト材料が用いられてきたが、耐光性において従来のデバイスなら問題がなくても、近年のLEDを始めとする光学デバイスでは高出力化が進んできており、これらでは耐光性が十分でなく、発ガス、変色等の問題がある。両末端脂環式エポキシ変性シルフェニレンを架橋剤として導入したタイプ(特許文献2)も存在しているが、より高透明性を目標とした場合、耐熱性、耐光性について十分とは言えず、より厳しい条件にも耐え得る組成物が望まれていた。
また、従来、感光性を有する半導体素子保護膜や多層プリント基板用絶縁膜としては、感光性ポリイミド組成物や感光性エポキシ樹脂組成物、感光性シリコーン組成物等が利用されている。このような基板、回路保護用に適用される感光性材料として、それらの中で特に可とう性に優れる感光性シリコーン組成物が提案されている(特許文献3)。この感光性シリコーン組成物は低温で硬化可能であり、かつ、耐湿接着性等の信頼性に優れた皮膜を形成する一方、N−メチル−2−ピロリドンのような溶解力の強いフォトレジスト剥離液等への薬品耐性に劣るという問題があった。
それに対して、シルフェニレン骨格含有シリコーン型高分子化合物を主成分とした感光性シリコーン組成物が提案されている(特許文献4)。前記感光性シリコーン組成物は、フォトレジスト剥離液等への薬品耐性が向上するが、ヒートサイクル試験(−25℃で10分間保持、125℃で10分間保持を1,000サイクル繰り返す)時に基板から硬化物が剥離したり、硬化物にクラックが入る等の問題があり、信頼性の更なる向上が望まれていた。
特公平8−32763号公報 特開2012−001668号公報 特開2002−88158号公報 特開2008−184571号公報
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、幅広い波長で微細なパターン形成が可能でありながら、パターン形成後に高透明性、高耐光性かつ高耐熱性の皮膜を与えることができ、かつ、厚膜で微細なパターン形成を容易に行うことができ、耐クラック性や、基板、電子部品や半導体素子等、特には回路基板に使用される基材に対しての密着性等の各種フィルム特性に優れ、電気・電子部品保護用皮膜や、基板接合用皮膜等としての信頼性に優れる硬化物層(硬化皮膜)を形成することができる、エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂、該変性シリコーン樹脂を含む感光性樹脂組成物、該組成物から得られる感光性ドライフィルム、これらを用いた積層体、及びパターン形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、分子中にエポキシ基を有するイソシアヌル酸変性シリコーン樹脂を含む感光性樹脂組成物が、容易に皮膜を形成でき、該皮膜は、透明性、耐光性及び耐熱性に優れ、更に微細加工にも優れた性能を有し、そのため光学デバイスに用いた際に保護や封止用途において優れることを見出した。また、前記皮膜は、厚膜で垂直性に優れた微細なパターン形成を容易に行うことができ、基板、電子部品や半導体素子、特には回路基板に使用される基材に対する密着性、機械的特性及び電気絶縁性に優れ、その絶縁保護膜としての信頼性が高く、更に耐クラック性に優れた硬化物層を形成することができることを見出し、本発明をなすに至った。
したがって、本発明は、下記エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂、感光性樹脂組成物、及びパターン形成方法を提供する。
1.下記式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含む、エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂。
Figure 2019044150
(式中、R1〜R7は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基であるが、R5〜R7のうち少なくとも1つはエポキシ基含有有機基である。a1、a2、b1、b2、c1及びc2は、それぞれ0≦a1<1、0≦a2≦1、0≦b1<1、0≦b2≦1、0≦c1<1、0≦c2≦1、0<a2+b2+c2≦1、及びa1+a2+b1+b2+c1+c2=1を満たす数である。dは、0〜300の整数である。e及びfは、それぞれ0≦e≦300、0≦f≦300、及び0≦e+f≦300を満たす整数である。X1は、下記式(7)で表される2価の基である。X2は、下記式(8)で表される2価の基である。
Figure 2019044150
(式中、R8は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。j及びkは、それぞれ独立に、0〜7の整数である。pは、0〜300の整数である。)
Figure 2019044150
(式中、R9は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R10は、炭素数1〜8のアルキル基、アリル基、グリシジル基又は炭素数6〜10のアリール基である。q及びrは、それぞれ独立に、0〜7の整数である。)
2.R1〜R7が、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価炭化水素基、又は下記式(9)若しくは(10)で表されるエポキシ基含有有機基であって、R5〜R7のうち少なくとも1つが下記式(9)又は(10)で表されるエポキシ基含有有機基である1のエポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂。
Figure 2019044150
(式中、R11及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R12及びR14は、それぞれ独立に、単結合、又は炭素数1〜8のアルキレン基であり、該アルキレン基を構成するメチレン基の一部が、エーテル結合、スルフィド結合又はフェニレン基で置換されていてもよい。)
3.(A)1又は2のエポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂、及び(B)光照射によって分解し、酸を発生する光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物。
4.更に、(C)エポキシ基含有化合物を含む架橋剤を含む3の感光性樹脂組成物。
5.前記エポキシ基含有化合物が、1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有する化合物である4の感光性樹脂組成物。
6.更に、(D)溶剤を含む3〜5のいずれかの感光性樹脂組成物。
7.更に、(E)酸化防止剤を含む3〜6のいずれかの感光性樹脂組成物。
8.更に、(F)クエンチャーを含む3〜7のいずれかの感光性樹脂組成物。
9.(A)1又は2のエポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂及び(B)光照射によって分解し、酸を発生する光酸発生剤を含む感光性樹脂皮膜。
10.3〜8のいずれかの感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂皮膜。
11.支持フィルムと、その上に9又は10の感光性樹脂皮膜とを備える感光性ドライフィルム。
12.開口幅が10〜100μmであり、かつ深さが10〜120μmである溝及び孔のいずれか一方又は両方を有する基板と、その上に9又は10の感光性樹脂皮膜とを備える積層体。
13.(i)3〜8のいずれかの感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を、フォトマスクを介して露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を、現像液を用いて現像する工程
を含むパターン形成方法。
14.(i')11の感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付け、該基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を、フォトマスクを介して露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を、現像液を用いて現像する工程
を含むパターン形成方法。
15.露光後現像前に、加熱処理を行う工程を含む13又は14のパターン形成方法。
16.現像後、120〜300℃の範囲の温度で後硬化を行う工程を含む13〜15のいずれかのパターン形成方法。
17.前記基板が、開口幅が10〜100μmであり、かつ深さが10〜120μmである溝及び孔のいずれか一方又は両方を有するものである13〜16のいずれかのパターン形成方法。
18.13〜17のいずれかのパターン形成方法を含む、パターンが形成された感光性樹脂皮膜を備える光半導体素子の製造方法。
19.13〜17のいずれかのパターン形成方法を含む、パターンが形成された感光性樹脂皮膜を備える光学デバイスの製造方法。
エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂を含む本発明の感光性樹脂組成物を使用することにより、酸素障害を受けず容易に皮膜を形成することができ、また幅広い波長の光で露光でき、かつ微細なパターンを形成することができ、更に、この組成物から得られる皮膜は、透明性、耐光性及び耐熱性に優れ、光学デバイス等の保護、封止用途に好適に用いることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物又は感光性ドライフィルムによれば、厚膜で微細なパターン形成を容易に行うことができ、感光性材料として十分な特性を示すとともに、その硬化物は、フォトレジスト剥離液等への薬品耐性が高い。また、前記硬化物は、基板、電子部品や半導体素子、特には回路基板に使用される基材に対する密着性、機械的特性及び電気絶縁性に優れ、その絶縁保護膜としての信頼性が高く、更に保護膜のクラック発生を防止可能であるため、回路基板、半導体素子、表示素子等の各種電気・電子部品保護用皮膜の形成や基板接合用皮膜の形成の材料に好適に用いることができる。また、本発明の感光性樹脂組成物や感光性ドライフィルムを使用して製造した積層体は、硬化物層と基板との密着性に優れたものとなり、また、高い平坦性を有するものとなる。
[エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂]
本発明のエポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂(以下、単に変性シリコーン樹脂ともいう。)は、下記式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含むものである。
Figure 2019044150
式(1)、(3)及び(5)中、X1は、下記式(7)で表される2価の基である。
Figure 2019044150
(式中、R8は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。j及びkは、それぞれ独立に、0〜7の整数である。pは、0〜300の整数である。)
式(2)、(4)及び(6)中、X2は、下記式(8)で表される2価の基である。
Figure 2019044150
(式中、R9は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R10は、炭素数1〜8のアルキル基、アリル基、グリシジル基又は炭素数6〜10のアリール基である。q及びrは、それぞれ独立に、0〜7の整数である。)
前記炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられる。炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
式(1)、(2)、(5)及び(6)中、R1〜R7は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基であるが、R5〜R7のうち少なくとも1つはエポキシ基含有有機基である。前記1価の有機基としては、炭素数1〜8の1価炭化水素基、又は下記式(9)若しくは(10)で表されるエポキシ基含有有機基が好ましい。
Figure 2019044150
(式中、R11及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R12及びR14は、それぞれ独立に、単結合、又は炭素数1〜8のアルキレン基であり、該アルキレン基を構成するメチレン基の一部が、エーテル結合、スルフィド結合又はフェニレン基で置換されていてもよい。)
前記炭素数1〜8の1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。これらのうち、原料の入手の容易さの観点から、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましい。
前記炭素数1〜8のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基、シクロへキシレン基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基が挙げられる。
1〜R7としては、水素原子、炭素数1〜8の1価炭化水素基、又は式(9)若しくは(10)で表されるエポキシ基含有有機基が好ましいが、R5〜R7のうち少なくとも1つは式(9)又は(10)で表されるエポキシ基含有有機基であることが好ましい。また、全てのR1〜R7中、20モル%以上がエポキシ基含有有機基であることが好ましい。エポキシ基を含有する官能基が式(1)中に1個も存在しないと、(A)成分と(B)成分との架橋が進まない。
本発明の変性シリコーン樹脂は、少なくとも一方の末端が、式(9)又は(10)で表されるエポキシ基含有有機基で封止されていることが好ましい。
式(1)〜(6)中、a1、a2、b1、b2、c1及びc2は、それぞれ0≦a1<1、0≦a2≦1、0≦b1<1、0≦b2≦1、0≦c1<1、0≦c2≦1、0<a2+b2+c2≦1、及びa1+a2+b1+b2+c1+c2=1を満たす数であり、好ましくは0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.9、0≦b1≦0.8、0≦b2≦0.9、0≦c1≦0.8、0.1≦c2≦0.9、0.1≦a2+b2≦0.9、0.2≦a2+b2+c2≦1、及びa1+a2+b1+b2+c1+c2=1を満たす数であり、より好ましくは0≦a1≦0.6、0≦a2≦0.8、0≦b1≦0.6、0≦b2≦0.8、0≦c1≦0.6、0.2≦c2≦0.8、0.2≦a2+b2≦0.8、0.4≦a2+b2+c2≦1、及びa1+a2+b1+b2+c1+c2=1を満たす数である。
式(1)及び(2)中、dは、0〜300の整数であり、0〜200の整数であることが好ましく、0〜100の整数であることがより好ましい。
式(5)及び(6)中、e及びfは、それぞれ0≦e≦300、0≦f≦300、及び0≦e+f≦300を満たす整数であり、好ましくは0≦e≦100、0≦f≦100、及び0≦e+f≦100を満たす整数であり、より好ましくは0≦e≦10、0≦f≦10、及び0≦e+f≦10を満たす整数である。
式(1)で表される繰り返し単位としては、下記式で表されるものが好ましい。
Figure 2019044150
(式中、dは、前記と同じ。)
式(2)で表される繰り返し単位としては、下記式で表されるものが好ましい。
Figure 2019044150
(式中、dは、前記と同じ。)
式(3)で表される繰り返し単位としては、下記式で表されるものが好ましい。
Figure 2019044150
式(4)で表される繰り返し単位としては、下記式で表されるものが好ましい。
Figure 2019044150
式(5)で表される繰り返し単位としては、下記式で表されるものが好ましい。
Figure 2019044150
(式中、eは、前記と同じ。)
式(6)で表される繰り返し単位としては、下記式で表されるものが好ましい。
Figure 2019044150
(式中、eは、前記と同じ。)
本発明の変性シリコーン樹脂において、各繰り返し単位は、ランダムに結合していてもよく、ブロック重合体として結合していてもよい。また、本発明の変性シリコーン樹脂において、シリコーン(シロキサン単位)含有率は、30〜80質量%であることが好ましい。
本発明の変性シリコーン樹脂は、分子中にイソシアヌル基を含む。イソシアヌル基は耐熱性及び透明性に優れているため、これを含む本発明の変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び透明性に優れている。
本発明の変性シリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3,000〜500,000であることが好ましく、5,000〜200,000であることがより好ましい。なお、本発明においてMwは、テトラヒドロフラン(THF)を溶出溶剤として用いた、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
[エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂の製造方法]
本発明のエポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂は、下記式(11)〜(13)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種と、下記式(14)で表される化合物と、必要に応じて下記式(15)で表される化合物とを用いて、金属触媒存在下、付加重合させることにより製造することができる。
Figure 2019044150
(式中、R1〜R10、d〜f、j、k及びp〜rは、前記と同じ。)
前記金属触媒としては、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・xH2O、H2PtCl6・xH2O、NaHPtCl6・xH2O、KHPtCl6・xH2O、Na2PtCl6・xH2O、K2PtCl4・xH2O、PtCl4・xH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・xH2O(ここで、xは、0〜6の整数が好ましく、特に0又は6が好ましい。)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(例えば、米国特許第3,220,972号明細書に記載のもの);塩化白金酸とオレフィンとの錯体(例えば、米国特許第3,159,601号明細書、米国特許第3,159,662号明細書、及び米国特許第3,775,452号明細書に記載のもの);白金黒やパラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィン錯体;クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(いわゆるウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン(特に、ビニル基含有環状シロキサン)との錯体等を使用することができる。
前記触媒の使用量は触媒量であり、通常、前記付加重合反応において使用する溶剤以外の化合物の総質量中、白金族金属として0.001〜0.1質量%であることが好ましい。
前記付加重合反応においては、必要に応じて溶剤を使用してもよい。溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤が好ましい。
反応温度は、触媒が失活せず、かつ短時間で重合の完結が可能という観点から、40〜150℃が好ましく、60〜120℃がより好ましい。重合時間は、得られる樹脂の種類及び量にもよるが、重合系中に湿気の介入を防ぐため、およそ0.5〜100時間が好ましく、0.5〜30時間がより好ましい。反応終了後、溶剤を使用した場合はこれを留去することにより、本発明の変性シリコーン樹脂を得ることができる。
反応方法は特に限定されないが、例えば、式(11)で表される化合物と、式(12)で表される化合物と、式(13)で表される化合物と、式(14)で表される化合物と、式(15)で表される化合物とを反応させる場合、まず、式(11)、式(12)及び式(13)で表される化合物を混合して加熱した後、前記混合液に金属触媒を添加し、次いで式(14)及び式(15)で表される化合物を特に0.1〜5時間かけて滴下するのがよい。
各化合物の配合比は、式(14)及び式(15)で表される化合物が有するアルケニル基の合計に対し、式(11)、式(12)及び式(13)で表される化合物が有するヒドロシリル基の合計が、モル比で、好ましくは0.67〜1.67、より好ましくは0.83〜1.25となるように配合するのがよい
ここで、式(14)、式(15)で表される化合物の配合量は、モル比で、好ましくは、(14):(15)=100:0〜50:50、より好ましくは100:0〜70:30となるように配合するのがよい。
また、式(11)、式(12)及び式(13)で表される化合物の配合量は、モル比で、好ましくは、(11):(12):(13)=90:5:5〜50:25:25、より好ましくは90:5:5〜60:20:20となるように配合するのがよい。
変性シリコーン樹脂の末端をエポキシ基含有有機基で封止するため、前記化合物を重合させる際にエポキシ基及びアルケニル基を含む化合物を共に反応させてもよい。このとき、式(11)〜(13)で表される化合物において、R1〜R7の少なくとも1つが水素原子である場合、前記化合物を重合させる際にエポキシ基及びアルケニル基を含む化合物を共に反応させることで、エポキシ基をシリコーン樹脂に導入することもできる。
前記エポキシ基及びアルケニル基を含む化合物としては、下記式(16)又は(17)で表されるものが好ましい。
Figure 2019044150
(式中、R11〜R14は、前記と同じ。)
前記エポキシ基及びアルケニル基を含む化合物の配合量は、式(11)、式(12)及び式(13)で表される化合物が有するヒドロシリル基の合計に対し、モル比で、好ましくは0.1〜2.5、より好ましくは0.5〜2.5、更に好ましくは1〜2となるように配合するのがよい。
得られる変性シリコーン樹脂のMwは、o−アリルフェノールのようなモノアリル化合物、又はトリエチルヒドロシランのようなモノヒドロシランやモノヒドロシロキサンを分子量調整剤として使用することにより制御することが可能である。
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)前記エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂、及び(B)光照射によって分解し、酸を発生する光酸発生剤を含むものである。このような感光性樹脂組成物によれば、幅広い膜厚範囲で皮膜形成でき、後述するパターン形成方法により微細かつ垂直性に優れたパターンを形成することが可能である。また、このような感光性樹脂組成物から得られる皮膜は、透明性、耐光性、耐熱性、微細加工性及びパターン形成性に優れた皮膜となる。なお、(A)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[(B)光酸発生剤]
(B)成分の光酸発生剤としては、光照射によって分解し、酸を発生するものであれば特に限定されないが、波長240〜500nmの光を照射することによって酸を発生するものが好ましい。(B)光酸発生剤は、硬化触媒として用いられる。前記光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、β−ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミド−イル−スルホネート誘導体、オキシムスルホネート誘導体、イミノスルホネート誘導体、トリアジン誘導体等が挙げられる。
前記オニウム塩としては、下記式(18)で表されるスルホニウム塩又は下記式(19)で表されるヨードニウム塩が挙げられる。
Figure 2019044150
式(18)及び(19)中、R101は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基である。A-は、非求核性対向イオンである。
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
前記置換基としては、オキソ基、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜12のアルコキシ基、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数7〜25のアラルキル基、炭素数6〜24のアリールオキシ基、炭素数6〜24のアリールチオ基等が挙げられる。
101としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等の置換基を有していてもよいアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、o−、m−又はp−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、m−又はp−tert−ブトキシフェニル基、2−、3−又は4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ターフェニリル基、ビフェニリルオキシフェニル基、ビフェニリルチオフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の置換基を有していてもよいアラルキル基が好ましい。これらのうち、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基がより好ましい。
前記非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン;トリフレートイオン、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルカンスルホネートイオン;トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4−フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン;メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルカンスルホネートイオン;トリフルオロメタンスルホンイミドイオン等のフルオロアルカンスルホンイミドイオン;トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン等のフルオロアルカンスルホニルメチドイオン;テトラキスフェニルボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のボレートイオン等が挙げられる
前記ジアゾメタン誘導体としては、下記式(20)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019044150
式(20)中、R102は、それぞれ独立に、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜12のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基である。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。前記ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
前記置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基;2−、3−又は4−メトキシフェニル基、2−、3−又は4−エトキシフェニル基、3−又は4−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;2−、3−又は4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基;フルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
前記グリオキシム誘導体としては、下記式(21)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019044150
式(21)中、R103及びR104は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基である。また、R104は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、環を形成する場合、各R104は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。
前記アルキル基、ハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及びアラルキル基としては、R102として例示したものと同様のものが挙げられる。前記直鎖状又は分岐状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
前記オニウム塩として具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、テトラキス(フルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルスルホニウム、テトラキス(フルオロフェニル)ホウ酸トリス[4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルスルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリス[4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウム等が挙げられる。
前記ジアゾメタン誘導体として具体的には、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロへキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−ペンチルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
前記グリオキシム誘導体として具体的には、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロへキシルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロへキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
前記β−ケトスルホン誘導体として具体的には、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等が挙げられる。
前記ジスルホン誘導体として具体的には、ジフェニルジスルホン、ジシクロへキシルジスルホン等が挙げられる。
前記ニトロベンジルスルホネート誘導体として具体的には、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等が挙げられる。
前記スルホン酸エステル誘導体として具体的には、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等が挙げられる。
前記イミド−イル−スルホネート誘導体として具体的には、フタルイミド−イル−トリフレート、フタルイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トリフレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−n−ブチルスルホネート、n−トリフルオロメチルスルホニルオキシナフチルイミド等が挙げられる。
前記オキシムスルホネート誘導体として具体的には、α−(ベンゼンスルホニウムオキシイミノ)−4−メチルフェニルアセトニトリル等が挙げられる。
前記イミノスルホネート誘導体として具体的には、(5−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−(4−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニルスルホニルオキシイミノ)−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)−アセトニトリル等が挙げられる。
また、2−メチル−2−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1−[(4−メチルチオ)フェニル]−1−プロパン等も好適に使用できる。
(B)成分の光酸発生剤としては、特に前記オニウム塩が好ましく、前記スルホニウム塩がより好ましい。
(B)成分の含有量は、光硬化性の観点から、(A)成分100質量部に対し、0.05〜20質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。前記光酸発生剤の配合量が0.05質量部以上であれば、十分な酸が発生して架橋反応が十分に進行し、20質量部以下であれば、酸発生剤自身の吸光度が増大するのを抑制することができ、透明性が低下するといった問題が生じるおそれがないために好ましい。(B)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[(C)架橋剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、更に(C)架橋剤を含んでもよい。(C)架橋剤は任意成分であるが、これを含むことで、パターンの形成をより一層容易になし得ることができ、また、該感光性樹脂組成物から得られる皮膜の強度を更に上げることができる。
(C)成分の架橋剤は、少なくとも1種のエポキシ基含有化合物を含むものである。前記エポキシ基含有化合物としては、1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。
(C)成分の1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂及びその重合物、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、(C)架橋剤としては、1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有有機ケイ素化合物も好ましく使用できる。このようなエポキシ基含有有機ケイ素化合物としては、両末端脂環式エポキシ変性シルフェニレン(特許文献2)等が挙げられる。
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0〜100質量部が好ましいが、含有する場合は、0.5〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。(C)成分の含有量が0.5質量部以上であれば光照射時に十分な硬化性が得られ、50質量部以下であれば感光性樹脂組成物中の変性シリコーン樹脂の割合が低下しないため、硬化物に十分な本発明の効果を発現させることができる。(C)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[(D)溶剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、その塗布性を向上させるために、(D)成分として溶剤を含んでもよい。(D)溶剤としては、前述した(A)〜(C)成分、及び後述する(E)成分やその他の各種添加剤を溶解することができるものであれば、特に限定されない。
(D)溶剤としては、有機溶剤が好ましく、その具体例としては、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−ペンチルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(D)溶剤としては、特に光酸発生剤の溶解性が優れている、乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン及びこれらの混合溶剤が好ましい。
(D)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の相溶性及び粘度の観点から、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対し、50〜2,000質量部が好ましく、50〜1,000質量部がより好ましく、50〜100質量部が更に好ましい。
[(E)酸化防止剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、(E)成分として酸化防止剤を含んでもよい。(E)酸化防止剤はこれを含むことで耐熱性を向上させ、組成物の透明性をより一層容易になし得ることができる。前記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、第1級脂肪族アミン類、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
前記ヒンダードフェノール系化合物としては、特に限定されないが、以下に挙げるものが好ましい。例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(商品名:Sumilizer BHT)、2,5−ジ−tert−ブチル−ハイドロキノン(商品名:Nocrac NS-7)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール(商品名:Nocrac M-17)、2,5−ジ−tert−ペンチルハイドロキノン(商品名:Nocrac DAH)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(商品名:Nocrac NS-6)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル(商品名:IRGANOX 1222)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(商品名:Nocrac 300)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)(商品名:Nocrac NS-5)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(商品名:アデカスタブAO-40)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(商品名:Sumilizer GM)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート(商品名:Sumilizer GS)、2,2'−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチル−シクロヘキシル)フェノール]、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)(商品名:シーノックス226M)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(商品名:IRGANOX 1520L)、2,2'−エチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX 1076)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン(商品名:アデカスタブAO-30)、テトラキス[メチレン−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン(商品名:アデカスタブAO-60)、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 245)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(商品名:IRGANOX 1098)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、3,9−ビス[2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(商品名:IRGANOX 3114)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム/ポリエチレンワックス混合物(50:50)(商品名:IRGANOX 1425WL)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX 1135)、4,4'−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)(商品名:Sumilizer WX-R)、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン(商品名:Sumilizer GP)等が挙げられる。
前記第1級脂肪族アミン類としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−ペンチルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
前記ヒンダードアミン系化合物としては、特に限定されないが、以下に挙げるものが好ましい。例えば、p,p'−ジオクチルジフェニルアミン(商品名:IRGANOX 5057)、フェニル−α−ナフチルアミン(商品名:Nocrac PA)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)(商品名:Nocrac 224、224-S)、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(商品名:Nocrac AW)、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac DP)、N,N'−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac White)、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac 810NA)、N,N'−ジアリル−p−フェニレンジアミン(商品名:Nonflex TP)、4,4'−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名:Nocrac CD)、p,p−トルエンスルフォニルアミノジフェニルアミン(商品名:Nocrac TD)、N−フェニル−N'−(3−メタクロリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン(商品名:Nocrac G1)、N−(1−メチルヘプチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン(商品名:Ozonon 35)、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン(商品名:Sumilizer BPA)、N−フェニル−N'−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(商品名:Antigene 6C)、アルキル化ジフェニルアミン(商品名:Sumilizer 9A)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(商品名:Tinuvin 622LD)、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]](商品名:CHIMASSORB 944)、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(商品名:CHIMASSORB 119FL)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 123)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 770)、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(商品名:TINUVIN 144)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:TINUVIN 765)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(商品名:LA-57)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(商品名:LA-52)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物(商品名:LA-62)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物(商品名:LA-67)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物(商品名:LA-63P)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物(商品名:LA-68LD)、(2,2,6,6−テトラメチレン−4−ピペリジル)−2−プロピレンカルボキシレート(商品名:アデカスタブLA-82)、(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−プロピレンカルボキシレート(商品名:アデカスタブLA-87)等が挙げられる。
(E)成分の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、含有する場合は、本発明の感光性樹脂組成物中、0.01〜1質量%が好ましい。
[(F)クエンチャー]
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、(F)成分としてクエンチャーを含んでもよい。前記クエンチャーは、光酸発生剤より発生した酸が後述する感光性樹脂皮膜内を拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物である。前記クエンチャーを配合することにより、解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制し、基板依存性又は環境依存性を小さくし、露光余裕度やパターン形状を向上させることができる。
前記クエンチャーとしては、第2級又は第3級脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等の塩基性化合物が挙げられる。
前記第2級脂肪族アミン類としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
前記第3級脂肪族アミン類としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
前記混成アミン類としては、ジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が挙げられる。
前記芳香族アミン類及び複素環アミン類としては、アニリン誘導体(例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えば、ピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えば、ピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えば、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチル−2−ピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリジン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えば、キノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が挙げられる。
前記カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えば、ニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン等)等が挙げられる。
前記スルホニル基を有する含窒素化合物としては、3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が挙げられる。
前記ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物及びアルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2'−イミノジエタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が挙げられる。
前記アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が挙げられる。
前記イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が挙げられる。
前記クエンチャーとして、下記式(22)で表される塩基性化合物を使用することもできる。
Figure 2019044150
式(22)中、zは、1、2又は3である。R105は、下記式(23)〜(25)で表される置換基から選ばれるいずれかの置換基である。R106は、水素原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基であり、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。また、R105が2以上存在する場合は、2つのR105が、互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。また、R105が2以上存在する場合は、これらは同一でも異なっていてもよく、R106が2以上存在する場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。
Figure 2019044150
式(23)〜(25)中、R107、R109及びR112は、それぞれ独立に、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルキレン基である。R108及びR111は、それぞれ独立に、水素原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合及び/又はラクトン環を1つ又は複数含んでいてもよい。R110は、単結合、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜4のアルキレン基である。R113は、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合及び/又はラクトン環を1つ又は複数含んでいてもよい。
式(22)で表される塩基性化合物としては、トリス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−メトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−エトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−エトキシプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、及びβ−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記クエンチャーの含有量は、感度の観点から(A)成分100質量部に対し、0〜3質量部が好ましいが、含有する場合は0.01〜1質量部が好ましい。
[その他の成分]
本発明の感光性樹脂組成物は、前述した各成分以外に、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、界面活性剤、シランカップリング剤が挙げられる。
前記界面活性剤は、非イオン性のものが好ましく、例えば、フッ素系界面活性剤、具体的にはパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、含フッ素オルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。これらは、市販されているものを用いることができ、例えば、Fluorad(登録商標)「FC−430」(スリーエム社製)、サーフロン(登録商標)「S−141」及び「S−145」(AGCセイミケミカル(株)製)、ユニダイン(登録商標)「DS−401」、「DS−4031」及び「DS−451」(ダイキン工業(株)製)、メガファック(登録商標)「F−8151」(DIC(株)製)、「X−70−093」(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。これらの中でも、Fluorad「FC−430」及び「X−70−093」が好ましい。前記界面活性剤を含むことにより、塗布性を向上させることができる。前記界面活性剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、含有する場合は、本発明の感光性樹脂組成物中、0.01〜1質量%が好ましい。
前記シランカップリング剤としては、エポキシシランカップリング剤、芳香族含有アミノシランカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。シランカップリング剤を含むことにより、感光性樹脂組成物の被接着体への密着性を更に高めることができる。前記シランカップリング剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、含有する場合は、本発明の感光性樹脂組成物中、0.01〜5質量%が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、例えば、前記各成分を攪拌、混合し、その後必要に応じて固形分をフィルター等によりろ過する方法が挙げられる。
[感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法]
前記感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法は、下記工程を含むものである。この方法により微細パターンを得ることができる。
(i)前述した感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を、フォトマスクを介して露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を、現像液を用いて現像する工程。
工程(i)は、前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂皮膜を形成する工程である。前記基板としては、例えば、シリコンウエハー、ガラスウエハー、石英ウエハー、プラスチック製回路基板、セラミック製回路基板等が挙げられる。
塗布方法としては、例えば、ディップ法、スピンコート法、ロールコート法等が挙げられる。塗布量は、目的に応じ適宜選択することができるが、膜厚が0.1〜100μmとなる量が好ましい。
ここで、光硬化反応を効率的に行うため、必要に応じ予備加熱により溶剤等を予め蒸発させておいてもよい。予備加熱は、例えば40〜140℃で1分〜1時間程度行うことができる。
次いで、工程(ii)として、前記感光性樹脂皮膜を、フォトマスクを介して露光する。このとき、波長240〜500nmの光で露光することが好ましい。前記波長240〜500nmの光としては、放射線発生装置により発生された種々の波長の光、例えば、g線、i線等の紫外線光、遠紫外線光(248nm)等が挙げられる。露光量は、10〜5,000mJ/cm2が好ましい。
前記フォトマスクは、例えば所望のパターンをくり貫いたものであってもよい。なお、フォトマスクの材質は前記波長240〜500nmの光を遮蔽するものが好ましく、例えばクロムが好適に用いられるが、これに限定されない。
ここで、更に現像感度を高めるために、露光後に加熱処理(PEB)を行ってもよい。PEBは、例えば、40〜160℃で1〜15分間、好ましくは2〜10分間とすることができる。
工程(iii)は、露光後又はPEB後、感光性樹脂皮膜を現像液を用いて現像する工程である。前記現像液としては、溶剤として使用される有機溶剤系現像液、例えば、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。現像は、通常の方法、例えば、パターン形成物を前記現像液に浸漬すること等により行うことができる。その後、必要に応じ、洗浄、リンス、乾燥等を行い、所望のパターンを有する皮膜が得られる。なお、パターンの形成方法については前述したとおりであるが、パターンを形成する必要のない場合、例えば単なる均一皮膜を形成したい場合は、前記パターン形成方法における工程(ii)において、前記フォトマスクを介さずに、適切な波長の光で露光して皮膜形成を行えばよい。
更に、必要に応じ、得られたパターンを更にオーブン又はホットプレートを用いて120〜300℃で、10分〜10時間程度加熱することにより、架橋密度を上げ、残存する揮発成分を除去する処理(後硬化)をしてもよい。
[感光性ドライフィルム]
本発明の感光性ドライフィルムは、支持フィルムと、その上に本発明の感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂皮膜とを備えるものである。
本発明の感光性ドライフィルム(支持フィルム及び感光性樹脂皮膜)は固体であり、感光性樹脂皮膜が溶剤を含有しないため、その揮発による気泡が前記感光性樹脂皮膜の内部及び凹凸のある基板との間に残留するおそれがない。凹凸のある基板上での平坦性と段差被覆性あるいは基板積層間隔を考慮すると、適切な膜厚範囲は存在する。したがって、前記感光性樹脂皮膜の膜厚は、その平坦性及び段差被覆性、基板積層間隔の観点から、5〜200μm、特には10〜100μmが好ましい。
また、前記感光性樹脂皮膜の粘性率と流動性は密接に関係しており、前記感光性樹脂皮膜は適切な粘性率範囲において適切な流動性を発揮でき、狭い隙間の奥まで入っていったり、樹脂が軟化することにより基板との密着性を強くしたりすることができる。したがって、前記感光性樹脂皮膜の粘性率は、前記感光性樹脂皮膜の流動性の観点から、温度80〜120℃において10〜5,000Pa・sとすることができ、好ましくは30〜2,000Pa・s、特に好ましくは50〜300Pa・sである。
本発明の感光性ドライフィルムは、凹凸を持つ基板(例えば、開口幅が10〜100μmかつ深さが10〜120μmである溝及び孔のいずれか一方又は両方を有する基板)に密着させる際に、感光性樹脂皮膜が前記凹凸に追随して被覆され、高い平坦性を達成できる。特に、前記感光性樹脂組成物は低い表面張力が特徴であるため、より高い平坦性を達成できる。更に、前記感光性樹脂皮膜を真空環境下で前記基板に密着させると、それらの隙間の発生をより効果的に防止できる。
次に、本発明における感光性ドライフィルムの製造方法について説明する。前記感光性ドライフィルムの製造装置は、一般的に粘着剤製品を製造するためのフィルムコーターが使用できる。前記フィルムコーターとしては、例えば、コンマコーター、コンマリバースコーター、マルチコーター、ダイコーター、リップコーター、リップリバースコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、3本ボトムリバースコーター、4本ボトムリバースコーター等が挙げられる。
支持フィルムを前記フィルムコーターの巻出軸から巻き出し、前記フィルムコーターのコーターヘッドを通過させるとき、前記支持フィルム上に感光性樹脂組成物を所定の厚みで塗布した後、所定の温度と所定の時間で熱風循環オーブンを通過させ、前記支持フィルム上で乾燥させて感光性樹脂皮膜とすることで、感光性ドライフィルムを得ることができる。また、必要に応じて、感光性ドライフィルムを前記フィルムコーターの別の巻出軸から巻き出された保護フィルムと共に、所定の圧力でラミネートロールを通過させて前記支持フィルム上の前記感光性樹脂皮膜と保護フィルムとを貼り合わせた後、前記フィルムコーターの巻取軸に巻き取ることによって、保護フィルム付き感光性ドライフィルムを製造することができる。この場合、前記温度としては25〜150℃が好ましく、前記時間としては1〜100分間が好ましく、前記圧力としては0.01〜5MPaが好ましい。
本発明の感光性ドライフィルムにおいて使用される支持フィルムは、単一でも複数の重合体フィルムを積層した多層フィルムでもよい。材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムであるが、適度の可とう性、機械的強度及び耐熱性を有するポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、これらのフィルムについては、コロナ処理や剥離剤が塗布されたような各種処理が行われたものでもよい。これらは市販品を使用することができ、例えばセラピール(登録商標)WZ(RX)、セラピールBX8(以上、東レフィルム加工(株)製)、E7302、E7304(以上、東洋紡績(株)製)、ピューレックス(登録商標)G31、ピューレックスG71T1(以上、帝人フィルムソリューション(株)製)、PET38×1-A3、PET38×1-V8、PET38×1-X08(以上、ニッパ(株)製)等が挙げられる。
一方、本発明の感光性ドライフィルムを保護するための保護フィルムは、前述した支持フィルムと同様のものを用いることができるが、適度の可とう性を有するポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンが好ましい。これらは市販品を使用することができ、ポリエチレンテレフタレートとしてはすでに例示したもの、ポリエチレンとしては、例えばGF-8(タマポリ(株)製)、PEフィルム0タイプ(ニッパ(株)製)等が挙げられる。
前記支持フィルム及び保護フィルムの厚みは、感光性ドライフィルム製造の安定性及び巻き芯に対する巻き癖、所謂カール防止の観点から、いずれも好ましくは10〜100μm、特に好ましくは25〜50μmである。
[感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法]
感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法は、下記の工程を含むものである。
(i')前記感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付け、該基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を、フォトマスクを介して露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を、現像液を用いて現像する工程。
更に、(iv)現像によりパターン形成された皮膜を、100〜250℃の温度で後硬化する工程を含むことが好ましい。
まず、(i)においては、保護フィルムが積層されている場合には、感光性ドライフィルムから保護フィルムを剥がした後、感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付け、基板上に感光性樹脂皮膜を形成する。感光性ドライフィルムの基板への密着は、例えばフィルム貼り付け装置を用いて行うことができる。
前記基板としては、例えばシリコンウエハー、貫通電極用シリコンウエハー、裏面研磨により薄膜化したシリコンウエハー、プラスチックやセラミック基板、イオンスパッタリング法やめっき法などにより基板全面又は基板の一部にNi、Auなどの金属を有する基板等が挙げられる。開口幅が10〜100μmかつ深さが10〜120μmである溝や孔を有する基板が使用されることもある。前記フィルム貼り付け装置としては、真空ラミネーターが好ましい。例えば、前記感光性ドライフィルムの保護フィルムを剥離し、露出した前記感光性樹脂皮膜を所定真空度の真空チャンバー内において、所定の圧力の貼り付けロールを用いて、所定の温度のテーブル上で前記基板に密着させる。なお、前記温度としては60〜120℃が好ましく、前記圧力としては0〜5.0MPaが好ましく、前記真空度としては50〜500Paが好ましい。
必要な厚さの感光性樹脂皮膜を得るために、必要に応じてフィルムを複数回貼り付けてもよい。貼り付け回数は例えば1〜10回程度で、10〜1,000μm、特に100〜500μm厚程度の感光性樹脂皮膜を得ることができる。
前記感光性樹脂皮膜の光硬化反応を効率的に行うため、及び感光性樹脂皮膜と基板との密着性を向上させるため、必要に応じて予備加熱(プリベーク)を行ってもよい。プリベークは、例えば40〜140℃で1分間〜1時間程度行うことができる。基板に貼り付けた感光性樹脂皮膜は、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布する場合と同様に、(ii)露光、必要に応じてPEB、(iii)現像、必要に応じて基板接合、及び(iv)後硬化加熱処理をすることができる。なお、感光性ドライフィルムの支持フィルムは、プロセスに応じてプリベーク前又はPEB前に剥がすか、他の方法で除去する。
前記感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムから得られる硬化皮膜は、耐熱性、可とう性、電気絶縁性、機械的特性及び基板等との密着性に優れ、半導体素子等の電気・電子部品保護用皮膜や基板接合用皮膜として好適に用いられる。
[積層体]
本発明の積層体は、開口幅が10〜100μmであり、かつ深さが10〜120μmである溝及び孔のいずれか一方又は両方を有する基板に、本発明の感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂皮膜が形成されたもの、又は本発明の感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜が転写されて形成されたものである。
このような本発明の感光性樹脂組成物や感光性ドライフィルムを使用して感光性樹脂皮膜を形成した積層体は、感光性樹脂皮膜を光硬化させて得られる硬化物層と基板との密着性に優れたものとなり、また、基板がこのような凹凸を持つ場合にも高い平坦性を有するものとなる。
[光半導体素子、光学デバイス]
前記感光性樹脂組成物又は感光性ドライフィルムを用いて前記方法によって微細なパターン形成を行うことで、光半導体素子を製造することができる。また、前記感光性樹脂組成物から得られる皮膜は、透明性、耐光性及び耐熱性に優れ、該皮膜を備える光半導体素子は、発光ダイオード等の発光素子、フォトダイオード、光学センサー、CMOSイメージセンサー等の受光素子、光導波路等の光伝送デバイス等の光学デバイスに好適に用いられる。前記皮膜は、波長405nmの光の透過率が96.0%以上であることが好ましく、99.0%以上であることがより好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、重量平均分子量(Mw)は、溶剤としてTHFを用いたGPCにより測定したポリスチレン換算値である。また、実施例において使用した化合物S−1、S−2及びS−3は、それぞれ下記式(S−1)、(S−2)及び(S−3)で表される化合物(いずれも信越化学工業(株)製)である。
Figure 2019044150
[1]エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂の合成
[実施例1−1]樹脂A−1の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−2 55.3g(0.02モル)、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン4.8g(0.02モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン9.7g(0.05モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン7.4g(0.06モル)及び1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン8.9g(0.04モル)を20分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−1を75g得た。樹脂A−1のMwは、10,200であった。また、樹脂A−1の構造は、1H-NMRにより解析し、式(2)、(4)及び(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−2]樹脂A−2の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−1 12.3g(0.02モル)、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン16.9g(0.07モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン3.9g(0.02モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン19.8g(0.16モル)、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン11.2g(0.06モル)、1,3−ジアリル−5−グリシジル−1,3,5−トリアジン5.3g(0.02モル)及び1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン4.5g(0.02モル)を20分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−2を115g得た。樹脂A−2のMwは、9,900であった。また、樹脂A−2の構造は、1H-NMRにより解析し、式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−3]樹脂A−3の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−2 55.3g(0.02モル)、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン16.9g(0.07モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン3.9g(0.02モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン19.8g(0.16モル)、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン3.7g(0.02モル)、1,3−ジアリル−5−グリシジル−1,3,5−トリアジン15.9g(0.06モル)及び1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン4.5g(0.02モル)を20分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−3を115g得た。樹脂A−3のMwは、9,800であった。また、樹脂A−3の構造は、1H-NMRにより解析し、式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−4]樹脂A−4の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−2 83.0g(0.03モル)、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン14.5g(0.06モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン17.4g(0.14モル)、1,3−ジアリル−5−グリシジル−1,3,5−トリアジン8.0g(0.03モル)及び1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン11.2g(0.05モル)を20分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−4を121g得た。樹脂A−4のMwは、9,600であった。また、樹脂A−4の構造は、1H-NMRにより解析し、式(2)及び(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−5]樹脂A−5の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン19.3g(0.08モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン3.9g(0.02モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン22.3g(0.18モル)、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン3.7g(0.02モル)及び1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン15.6g(0.07モル)を20分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−5を58g得た。樹脂A−5のMwは、9,300であった。また、樹脂A−5の構造は、1H-NMRにより解析し、式(3)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−6]樹脂A−6の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン19.3g(0.08モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン3.9g(0.02モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン22.3g(0.18モル)、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン11.2g(0.06モル)及び1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン6.7g(0.03モル)を20分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−6を55g得た。樹脂A−6のMwは、9,800であった。また、樹脂A−6の構造は、1H-NMRにより解析し、式(3)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−7]樹脂A−7の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−2 55.3g(0.02モル)、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン4.8g(0.02モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン5.8g(0.03モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,3−ブタジエンモノエポキシド4.2g(0.06モル)、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン3.7g(0.02モル)及び1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン8.9g(0.04モル)を20分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−7を115g得た。樹脂A−7のMwは、9,700であった。また、樹脂A−7の構造は、1H-NMRにより解析し、式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−8]樹脂A−8の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−2 27.7g(0.01モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン5.8g(0.03モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,3−ジアリル−5−グリシジル−1,3,5−トリアジン10.6g(0.04モル)を20分かけて滴下した。続いて、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン4.8g(0.02モル)を20分かけて滴下した。最後に、内温を90℃にして1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン7.4g(0.06モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−8を75g得た。樹脂A−8のMwは、9,600であった。また、樹脂A−8の構造は、1H−NMRにより解析し、式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−9]樹脂A−9の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−1 18.5g(0.03モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン5.8g(0.03モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,3−ジアリル−5−グリシジル−1,3,5−トリアジン8.0g(0.03モル)20分かけて滴下した。続いて、1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン4.5g(0.02モル)を20分かけて滴下した。更に、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン4.8g(0.02モル)を20分かけて滴下した。最後に、内温を90℃にして1,3−ブタジエンモノエポキシド4.2g(0.06モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−9を75g得た。樹脂A−9のMwは、10,300であった。また、樹脂A−9の構造は、1H−NMRにより解析し、式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−10]樹脂A−10の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−1 49.2g(0.08モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン9.7g(0.05モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン8.9g(0.04モル)を20分かけて滴下した。続いて、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン4.8g(0.02モル)を20分かけて滴下した。最後に、内温を90℃にして1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン7.4g(0.06モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−10を80g得た。樹脂A−10のMwは、9,700であった。また、樹脂A−10の構造は、1H-NMRにより解析し、式(2)、(4)及び(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−11]樹脂A−11の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−1 12.3g(0.02モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン3.9g(0.02モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,3−ジアリル−5−グリシジル−1,3,5−トリアジン8.0g(0.03モル)及び1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン4.5g(0.02モル)及び1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン11.2g(0.06モル)をそれぞれ20分かけて滴下した。続いて、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン16.9g(0.07モル)を20分かけて滴下した。最後に、内温を90℃にして1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン7.4g(0.06モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−11を76g得た。樹脂A−11のMwは、9,900であった。また、樹脂A−11の構造は、1H-NMRにより解析し、式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−12]樹脂A−12の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−2 55.3g(0.02モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン3.9g(0.02モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン3.7g(0.02モル)、1,3−ジアリル−5−グリシジル−1,3,5−トリアジン15.9g(0.06モル)及び1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン4.5g(0.02モル)をそれぞれ20分かけて滴下した。続いて、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン12.1g(0.05モル)を20分かけて滴下した。最後に、内温を90℃にして1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン19.8g(0.16モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−12を111g得た。樹脂A−12のMwは、9,800であった。また、樹脂A−12の構造は、1H-NMRにより解析し、式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−13]樹脂A−13の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−2 83.0g(0.03モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,3−ジアリル−5−グリシジル−1,3,5−トリアジン13.3g(0.05モル)及び1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン11.2g(0.05モル)をそれぞれ20分かけて滴下した。続いて、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン12.1g(0.05モル)を20分かけて滴下した。最後に、内温を90℃にして1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン14.9g(0.12モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−13を130g得た。樹脂A−13のMwは、9,600であった。また、樹脂A−13の構造は、1H-NMRにより解析し、式(2)及び(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−14]樹脂A−14の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン11.2g(0.06モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン3.9g(0.02モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン15.6g(0.07モル)を20分かけて滴下した。続いて、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン19.3g(0.08モル)を20分かけて滴下した。最後に、内温を90℃にして1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン22.3g(0.18モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−14を58g得た。樹脂A−14のMwは、9,300であった。また、樹脂A−14の構造は、1H-NMRにより解析し、式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−15]樹脂A−15の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン11.2g(0.06モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン5.8g(0.03モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン11.2g(0.05モル)を20分かけて滴下した。続いて、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン19.3g(0.08モル)を20分かけて滴下した。最後に、内温を90℃にして1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン22.3g(0.18モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−15を70g得た。樹脂A−15のMwは、9,800であった。また、樹脂A−15の構造は、1H-NMRにより解析し、式(3)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[実施例1−16]樹脂A−16の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−2 30.8g(0.05モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン5.8g(0.03モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン3.7g(0.02モル)及び1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン8.9g(0.04モル)を20分かけて滴下した。続いて、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン7.2(0.03モル)を20分かけて滴下した。最後に、内温を90℃にして1,3−ブタジエンモノエポキシド5.6g(0.08モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂A−16を170g得た。樹脂A−16のMwは、9,700であった。また、樹脂A−16の構造は、1H-NMRにより解析し、式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含むことを確認した。
[比較例1−1]樹脂CA−1の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン7.8g(0.04モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に、及び1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン22.3g(0.12モル)を20分かけて滴下した。更に、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン16.9g(0.07モル)を20分かけて滴下した。最後に内温を90℃にして1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン19.8g(0.16モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂CA−1を60g得た。樹脂CA−1のMwは、9,600であった。
[比較例1−2]樹脂CA−2の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−1 49.2g(0.08モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン7.8g(0.04モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン22.3g(0.12モル)を20分かけて滴下した。更に、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン16.9g(0.07モル)を20分かけて滴下した。最後に、内温を90℃にして1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン19.8g(0.16モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂CA−2を115g得た。樹脂CA−2のMwは、10,000であった。
[比較例1−3]樹脂CA−3の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−2 138.3g(0.05モル)、化合物S−3 103.2g(0.24モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン7.8g(0.04モル)とトルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。
次に1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン27.9g(0.15モル)を20分かけて滴下した。更に、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン21.6g(0.09モル)を20分かけて滴下した。最後に内温を90℃にして1,3−ブタジエンモノエポキシド14g(0.2モル)を20分かけて滴下した。滴下終了後、90℃まで加熱し3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂CA−3を310g得た。樹脂CA−3のMwは、12,000であった。
[比較例1−4]樹脂CA−4の合成
攪拌機及び温度計を備えたフラスコに、化合物S−2 138.3g(0.05モル)、化合物S−3 51.6g(0.12モル)、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン7.8g(0.04モル)、トルエン500g及び塩化白金酸の2質量%エタノール溶液0.5gを入れ、オイルバスを用いて内温70℃で攪拌した。次に1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン4.8g(0.02モル)を20分かけて滴下した。最後に内温を90℃にし、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン7.4g(0.06モル)を15分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で3時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターを用いて溜分が出なくなるまで反応液を加熱減圧処理(50℃、1mmHg)し、樹脂CA−4を210g得た。樹脂CA−4のMwは、11,000であった。
[2]感光性樹脂組成物の調製、及びその評価
[実施例2−1〜2−11、比較例2−1〜2−5]
下記表1に記載した組成になるように、(A)樹脂A−1〜A−9又は樹脂CA−1〜CA−4、(B)光酸発生剤、(C)架橋剤、(D)溶剤、及び(E)酸化防止剤を混合し、その後攪拌、溶解し、テフロン(登録商標)製0.2μmフィルターで精密ろ過を行って、感光性樹脂組成物1〜16を調製した。
Figure 2019044150
表1中、B−1、C−1、C−2、E−1及びE−2は、以下のとおりである。
B−1:
Figure 2019044150
C−1:
Figure 2019044150
C−2:
Figure 2019044150
E−1:CHIMASSORB 119FL(BASF社製)
Figure 2019044150
E−2:IRGANOX 3114(BASF社製)
Figure 2019044150
[パターン形成評価]
ヘキサメチルジシラザンでプライム処理された6インチシリコンウエハー上に、スピンコーターを使用して、表2中に記載の膜厚で感光性樹脂組成物1〜16をそれぞれコートした。組成物から溶剤を除去するため、シリコンウエハーをホットプレートにのせ、100℃で2分間、加熱乾燥させた。
シリコンウエハーに塗布した組成物に対して、等幅のラインとスペースとからなる線幅1μmから50μmまでの組を有する石英製マスクを介して、波長365nmの光を表2記載の露光量で照射した。露光は、(株)ニコン製ステッパ型露光装置NSR-1755i7Aを用いて行った。光照射後、110℃で2分間、露光後加熱処理(PEB)を行い、その後冷却した。
更に、前記塗布基板をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に3分間浸漬して、現像を行った。このとき解像した線幅を表2に併記する。また、現像後の膜厚も表2に併記する。
Figure 2019044150
[光透過性試験1]
ヘキサメチルジシラザンでプライム処理された6インチガラスウエハー上に、スピンコーターを使用して、表2中に記載の膜厚で感光性樹脂組成物1〜16をそれぞれコートした。組成物から溶剤を除去するため、ガラスウエハーをホットプレートにのせ、100℃で2分間、加熱乾燥させた。
ガラスウエハーに塗布した組成物全面に対して、マスクを介さず、ズース・マイクロテック社のマスクアライナーMA8を用い、高圧水銀灯(波長360nm)を光源とする光を照射したのち、PEB、及びPGMEAへの浸漬を引き続き行った。この操作後に残った皮膜を更に180℃のオーブンで1時間加熱して、硬化皮膜を得た。この硬化皮膜について、分光光度計U-3900H((株)日立ハイテクサイエンス製)を用いて、波長405nmの光透過率を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2019044150
[光透過性試験2]
感光性樹脂組成物1〜16をそれぞれ光透過性試験1と同様にガラスウエハー上に塗布し、全面露光、PEB、及び現像操作を行った。その後、140℃のホットプレート上で塗布面にガラスウエハーを貼り付けた。この操作後に180℃のオーブンで1時間加熱して、ガラスウエハーで挟み込まれた硬化皮膜からなるサンプルを得た。得られたサンプルに120℃のオーブン中で、405nm、1Wのレーザーを当て続けて、初期を100%とした時の経時による波長405nmでの100時間後及び1,000時間後の光透過率の変化を調べた。結果を表4に示す。
Figure 2019044150
[耐熱性試験]
スピンコートにより感光性樹脂組成物1〜16をそれぞれ塗布し、全面露光及びPEBを行ったシリコンウエハーの試験片を用意し、試験前の質量を測定した。その後、試験片を200℃に加熱したオーブンに1,000時間放置したのち、試験片を取り出し、試験後の質量を測定した。試験後質量変化率が0.5質量%未満だった場合を良好、質量変化率が0.5質量%以上だった場合を不良として判定した。結果を表5に示す。
Figure 2019044150
以上の結果より、本発明の感光性樹脂組成物は、微細なパターン形成が可能で、膜減りのない皮膜を与え、感光性材料として十分な特性を示すとともに、その皮膜は、高い光透過性、かつ良好な耐光性及び耐熱性を有し、光学デバイス用材料として有用であるということがわかった。
[3]感光性樹脂組成物の調製及びドライフィルムの作製、並びにその評価
[実施例3−1〜3−12、比較例3−1〜3−5]
下記表6に記載した組成になるように、(A)樹脂A−8〜A−16又は樹脂CA−2〜CA−4、(B)光酸発生剤、(C)架橋剤、(D)溶剤、(E)酸化防止剤及び(F)クエンチャーを混合し、その後攪拌、溶解し、テフロン(登録商標)製0.2μmフィルターで精密ろ過を行って、感光性樹脂組成物17〜33を調製した。
Figure 2019044150
表6中、B−1、C−1、C−2、E−1及びE−2は、前記と同じである。F−1は、以下のとおりである。
F−1:
Figure 2019044150
[感光性ドライフィルムの作製]
フィルムコーターとしてダイコーター、支持フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を用いて、感光性樹脂組成物17〜33をそれぞれ前記支持フィルム上に塗布した。次いで、100℃に設定された熱風循環オーブン(長さ4m)を5分間で通過させることにより乾燥し、支持フィルム上に感光性樹脂皮膜を形成し、感光性ドライフィルムを得た。前記感光性樹脂皮膜の上から、保護フィルムとしてのポリエチレンフィルム(厚さ50μm)をラミネートロールで圧力1MPaにて貼り合わせ、保護フィルム付き感光性ドライフィルムを作製した。各感光性樹脂皮膜の膜厚は表7に記載した。なお、膜厚は光干渉式厚膜測定機により測定した。
[パターン形成評価]
各保護フィルム付き感光性ドライフィルムは、保護フィルムを剥離し、真空ラミネーターTEAM−100RF(タカトリ社製)を用いて、真空チャンバー内の真空度80Paに設定し、支持フィルム上の感光性樹脂皮膜をマイグレーション試験用基板(導電材料が銅、導電部間隔及び導電部幅が20μm、導電部厚み4μmの櫛形電極基板)に密着させた。温度条件は110℃とした。常圧に戻した後、前記基板を真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。次に、基板との密着性を高めるため、ホットプレートにより130℃で5分間プリベークを行った。得られた感光性樹脂皮膜に対してラインアンドスペースパターン及びコンタクトホールパターンを形成するためにマスクを介し、405nmの露光条件でコンタクトアライナ型露光装置を使用して露光した。光照射後、ホットプレートにより120℃で5分間PEBを行った後冷却し、PGMEAにて300秒間スプレー現像を行い、ホールパターンを形成した。
前記方法によりパターンを形成した基板上の感光性樹脂皮膜をオーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)により、形成した100μm、80μm、60μm、40μm及び20μmのコンタクトホールパターン断面を観察し、フィルム底部までホールが貫通している最小のホールパターンを解像性限界とした。更に得られた断面写真から、80μmの垂直性を評価し、垂直なパターンは◎、やや逆テーパー形状は○、逆テーパー形状は△、開口不良は×とした。結果を表7に示す。
[電気特性(絶縁破壊強さ)試験]
感光性樹脂組成物からなる硬化皮膜の絶縁破壊強さを評価するため、感光性樹脂組成物17〜33をそれぞれ13cm×15cm、厚さ0.7mmの鉄板上にバーコーターにて塗布し、180℃のオーブンで2時間加熱して、硬化皮膜を得た。感光性樹脂組成物は、硬化後の膜厚が0.2μmとなるよう塗布した。この硬化皮膜を利用して、絶縁破壊試験機TM−5031AM(多摩電測(株)製)により、それぞれの感光性樹脂組成物の硬化皮膜の絶縁破壊強さを測定した。結果を表7に示す。
[信頼性(密着性、耐クラック性)試験]
前記パターン形成評価においてパターンを形成した硬化後の感光性樹脂皮膜付き基板を、ダイシングブレードを備えるダイシングソー(DAD685、DISCO社製、スピンドル回転数は40,000rpm、切断速度は20mm/sec)を使用して10mm×10mm角の試験片を得た。得られた試験片(各10片づつ)をヒートサイクル試験(−25℃で10分間保持、125℃で10分間保持を1,000サイクル繰り返す)に供し、ヒートサイクル試験後の樹脂フィルムのウエハーからの剥離の有無及びクラックの有無を確認した。結果を表7に示す。
[耐熱性試験]
前記信頼性の評価と同様の方法で作製した試験片の試験前質量を測定し、その後、試験片を200℃に加熱したオーブンに1,000時間放置した後、試験片をオーブンから取り出し、試験後質量を測定した。試験前後の質量変化率が0.5質量%未満だった場合を良好、試験前後の重量変化率が0.5質量%以上だった場合を不良として判定した。結果を表7に示す。
Figure 2019044150
以上の結果より、本発明の感光性樹脂組成物は、良好な解像力を示し、感光性材料として十分な特性を示すとともに、その硬化膜は、絶縁耐圧といった電気特性や耐熱性を有し、更には、ヒートサイクル試験時における密着性や耐クラック性といった特性にも優れ、回路や電子部品の保護膜として有用であるという結果が得られた。これにより、より信頼性の高い感光性ドライフィルムの提供が可能となる。

Claims (19)

  1. 下記式(1)〜(6)で表される繰り返し単位を含む、エポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂。
    Figure 2019044150
    (式中、R1〜R7は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基であるが、R5〜R7のうち少なくとも1つはエポキシ基含有有機基である。a1、a2、b1、b2、c1及びc2は、それぞれ0≦a1<1、0≦a2≦1、0≦b1<1、0≦b2≦1、0≦c1<1、0≦c2≦1、0<a2+b2+c2≦1、及びa1+a2+b1+b2+c1+c2=1を満たす数である。dは、0〜300の整数である。e及びfは、それぞれ0≦e≦300、0≦f≦300、及び0≦e+f≦300を満たす整数である。X1は、下記式(7)で表される2価の基である。X2は、下記式(8)で表される2価の基である。
    Figure 2019044150
    (式中、R8は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。j及びkは、それぞれ独立に、0〜7の整数である。pは、0〜300の整数である。)
    Figure 2019044150
    (式中、R9は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R10は、炭素数1〜8のアルキル基、アリル基、グリシジル基又は炭素数6〜10のアリール基である。q及びrは、それぞれ独立に、0〜7の整数である。)
  2. 1〜R7が、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8の1価炭化水素基、又は下記式(9)若しくは(10)で表されるエポキシ基含有有機基であって、R5〜R7のうち少なくとも1つが下記式(9)又は(10)で表されるエポキシ基含有有機基である請求項1記載のエポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂。
    Figure 2019044150
    (式中、R11及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R12及びR14は、それぞれ独立に、単結合、又は炭素数1〜8のアルキレン基であり、該アルキレン基を構成するメチレン基の一部が、エーテル結合、スルフィド結合又はフェニレン基で置換されていてもよい。)
  3. (A)請求項1又は2記載のエポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂、及び(B)光照射によって分解し、酸を発生する光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物。
  4. 更に、(C)エポキシ基含有化合物を含む架橋剤を含む請求項3記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ基含有化合物が、1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有する化合物である請求項4記載の感光性樹脂組成物。
  6. 更に、(D)溶剤を含む請求項3〜5のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
  7. 更に、(E)酸化防止剤を含む請求項3〜6のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
  8. 更に、(F)クエンチャーを含む請求項3〜7のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
  9. (A)請求項1又は2記載のエポキシ基含有イソシアヌル酸変性シリコーン樹脂及び(B)光照射によって分解し、酸を発生する光酸発生剤を含む感光性樹脂皮膜。
  10. 請求項3〜8のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂皮膜。
  11. 支持フィルムと、その上に請求項9又は10記載の感光性樹脂皮膜とを備える感光性ドライフィルム。
  12. 開口幅が10〜100μmであり、かつ深さが10〜120μmである溝及び孔のいずれか一方又は両方を有する基板と、その上に請求項9又は10記載の感光性樹脂皮膜とを備える積層体。
  13. (i)請求項3〜8のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂皮膜を形成する工程、
    (ii)前記感光性樹脂皮膜を、フォトマスクを介して露光する工程、及び
    (iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を、現像液を用いて現像する工程
    を含むパターン形成方法。
  14. (i')請求項11記載の感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付け、該基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
    (ii)前記感光性樹脂皮膜を、フォトマスクを介して露光する工程、及び
    (iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を、現像液を用いて現像する工程
    を含むパターン形成方法。
  15. 露光後現像前に、加熱処理を行う工程を含む請求項13又は14記載のパターン形成方法。
  16. 現像後、120〜300℃の範囲の温度で後硬化を行う工程を含む請求項13〜15のいずれか1項記載のパターン形成方法。
  17. 前記基板が、開口幅が10〜100μmであり、かつ深さが10〜120μmである溝及び孔のいずれか一方又は両方を有するものである請求項13〜16のいずれか1項記載のパターン形成方法。
  18. 請求項13〜17のいずれか1項記載のパターン形成方法を含む、パターンが形成された感光性樹脂皮膜を備える光半導体素子の製造方法。
  19. 請求項13〜17のいずれか1項記載のパターン形成方法を含む、パターンが形成された感光性樹脂皮膜を備える光学デバイスの製造方法。
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