JP2019043982A - アクリル系樹脂発泡体、及びその製造方法 - Google Patents

アクリル系樹脂発泡体、及びその製造方法 Download PDF

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博章 北出
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Abstract

【課題】品質を維持しながら、製法が簡素化されたアクリル系樹脂発泡体、及びその製造方法を提供すること。【解決手段】アクリル系樹脂と、光重合開始剤と、乾燥剤とを含むアクリル系樹脂発泡体であって、前記光重合開始剤の365nmにおける吸光係数が100〜5000である、アクリル系樹脂発泡体。アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分と、発泡剤と、光重合開始剤と、乾燥剤とを含む重合性溶液を重合して発泡性重合体とする重合工程と、前記発泡性重合体を加熱して発泡させる発泡工程と、を有するアクリル系樹脂発泡体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル系樹脂発泡体、及びその製造方法に関する。
アクリル系樹脂発泡体は、強度に優れるとともに光線透過性、軽量性、断熱性に優れていることから、貨物車両の保冷室の壁材、小型ボートの船体、風力発電の羽根、X線透過させるためのレントゲン写真機用台、機械部品収納用の容器等を構成するための部材として使用されている。
このようなアクリル系樹脂発泡体は、通常、以下の手順で製造される。まず、アクリル系モノマーに発泡剤と重合開始剤とを混合して、重合性溶液を作製する。重合性溶液を型枠に流し入れ、型枠ごと加熱してアクリル系モノマーを重合させる。その後、得られた発泡性重合体をさらに高温に加熱することによって発泡させる。
特許文献1では、アクリル系モノマーの重合反応をコントロールするために、ギ酸カルシウムと、カチオン界面活性剤とを重合性溶液に加え、これを加熱して発泡性重合体を得ている。その後発泡性重合体を加熱して発泡させてアクリル系樹脂発泡体を得ている。特許文献1の発明によれば、気泡径のばらつきを抑制することができる。
特開2015−67703号公報
しかしながら、重合反応を加熱して行う場合、アクリル系樹脂発泡体をバッチ式で製造する必要があり、製法が煩雑になるという問題がある。
アクリル系樹脂発泡体を連続生産するためには、重合方法を変える必要があるが、重合方法を変えると気泡のばらつきが大きくなるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、品質を維持しながら製法が簡素化されたアクリル系樹脂発泡体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の光重合開始剤を採用することで上記課題を解決できることを見出した。
本発明は以下の態様を有する。
[1] アクリル系樹脂と、光重合開始剤と、乾燥剤とを含むアクリル系樹脂発泡体であって、
前記光重合開始剤の365nmにおける吸光係数が100〜5000である、アクリル系樹脂発泡体。
[2] アクリル系モノマーを含む重合性モノマーと、熱分解型発泡剤を含む前記発泡剤と、前記光重合開始剤と、前記乾燥剤とを含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマーを重合させて前記アクリル系樹脂を含む発泡性重合体を得た後、前記発泡性重合体を発泡させて得られる、[1]に記載のアクリル系樹脂発泡体。
[3] 前記重合性モノマーは、重合性モノマーの総質量に対し、メタクリル酸メチルを10〜45質量%、(メタ)アクリル酸を30〜70質量%、スチレンを10〜20質量を含有する、[2]に記載のアクリル系樹脂発泡体。
[4] 前記熱分解型発泡剤は、尿素である、[2]又は[3]に記載のアクリル系樹脂発泡体。
[5] 前記乾燥剤は、硫酸ナトリウムである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂発泡体。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法であって、
アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分と、発泡剤と、前記光重合開始剤と、前記乾燥剤とを含む重合性溶液を重合して発泡性重合体とする重合工程と、
前記発泡性重合体を加熱して発泡させる発泡工程と、を有するアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
[7] 前記重合工程において、前記重合性溶液にエネルギー量500〜3000mJ/cmの光を照射して重合させる、[6]に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
本発明によれば、品質を維持しながら製法が簡素化されたアクリル系樹脂発泡体、及びその製造方法を提供することができる。
≪アクリル系樹脂発泡体≫
以下、本発明のアクリル系樹脂発泡体について説明する。
本発明のアクリル系樹脂発泡体は、アクリル系樹脂と、特定の光重合開始剤と、乾燥剤とを含む。
本発明のアクリル系樹脂発泡体は、熱機械分析における耐熱温度が170℃以上であり、180℃以上であることが好ましく、190℃以上であることがより好ましい。
なお、熱機械分析における耐熱温度は、以下のようにして測定する。
<耐熱温度の測定方法>
7mm(長さ)×7mm(幅)×2mm(厚み)のアクリル系樹脂発泡体を試験片とする。熱機械分析装置を用い、圧子として先端がφ3mmの石英製プローブを使用する。圧縮試験モードで、試験片の厚み方向に荷重100mNの圧子を当てて、30℃から昇温速度5℃/minで試験片を昇温する。試験片の厚みが試験前の試験片の厚みに対して10%収縮した際の温度を測定する。
本発明のアクリル系樹脂発泡体は、以下の方法で測定される長径2mm以上の大きさの気泡の合計数が、面積10cm×10cmあたり2.0個以下であり、1.4個以下であることが好ましい。
<長径2mm以上の大きさの気泡の合計数の測定方法>
一辺が10cm以上のアクリル系樹脂発泡体を試験片とする。試験片における任意の方向の第一の断面と、前記第一の断面に直交する第二の断面と、前記第一の断面及び前記第二の断面に直交する第三の断面とについて、走査型電子顕微鏡で観察して長径2mm以上の大きさの気泡の合計数を求め、面積10cm×10cmあたりの平均値を求める。
具体的には、アクリル系樹脂発泡体から、10cm×10cm×10cmのアクリル系樹脂発泡体を切り出して試験片とする。該試験片を、任意の方向に切断した第一の断面と、前記第一の断面に直交する第二の断面と、前記第一の断面及び前記第二の断面に直交する第三の断面とを形成するように切断する。これらの3つの断面について、走査型電子顕微鏡で観察して長径2mm以上の大きさの気泡の合計数を求め、面積10cm×10cmあたりの平均値を求める。
本発明のアクリル系樹脂発泡体の平均気泡径は、0.05〜0.40mmであることが好ましく、0.20〜0.35mmであることがより好ましい。平均気泡径が上記下限値以上であると、アクリル系樹脂発泡体の良好な外観が得られやすくなる。平均気泡径が上記上限値以下であると、アクリル系樹脂発泡体の機械強度が向上しやすくなる。
なお、平均気泡径は、以下のようにして算出する。
アクリル系樹脂発泡体を切断して、走査型電子顕微鏡を用いて18倍に拡大して切断面を撮影し、撮影した切断面の画像を用紙上に印刷する。次に、用紙につき任意の線分(長さ60mm)を6箇所引き、この線分に重なる気泡の数から、各線分ごとの平均弦長を次式によって算出する。ただし、線分は、できる限り気泡が接点のみで接しないように引き、接してしまった場合には、気泡の数に含めることとする。
平均弦長(t) = 線分の長さ/(気泡の数×写真の倍率)
そして、次式により気泡径Dを算出する。
D = t/0.616
そして、各線分ごとに求めた気泡径Dの算術平均値を求め、この算術平均値をアクリル系樹脂発泡体の平均気泡径とする。
本発明のアクリル系樹脂発泡体の気泡径の変動係数は15%以下が好ましく、12%以下がより好ましい。気泡径の変動係数が上記上限値以下であると、発泡体の耐熱性を向上しやすくなる。
なお、気泡径の変動係数は以下のようにして算出する。
まず、アクリル系樹脂発泡体について、発泡体表面から発泡体厚みの1/10を除き、10mm×10mm×10mm角を切り出す。なお、アクリル系樹脂発泡体が、10mm×10mm×10mm角を切り出すことができない程小さい場合には、極力大きく切り出す。
そして、走査型電子顕微鏡(たとえば、日立製作所社製の「S−3000N」)を用いて、互いに平行し合わない3つの切断面のそれぞれの面を18〜100倍に拡大して撮影し、撮影した切断面の画像をそれぞれA4用紙上に印刷する。このとき、印刷した写真の気泡径の数が300個以上となる様に、前記の電子顕微鏡での拡大倍率を調整し、A4用紙上に印刷する。1つの切断面につき、気泡径の数が300個以上とならない場合は、該切断面を複数回撮影する。
次に、視野内で確認可能な独立した気泡を全て選択し、その選択した気泡の径(気泡径) を測定し、切断面ごとに算術平均値(切断面ごとの平均気泡径)を求める。なお、各気泡径については、気泡の断面形状の中心を求め、その中心を通る直線距離で最も長い部分の長さを気泡径とする。
そして、アクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(全体の平均気泡径)については、切断面ごとの平均気泡径から相乗平均値を求め、この相乗平均値をアクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(全体の平均気泡径)とする。
そして、次式(1)より測定した全ての気泡径から標準偏差を算出する。
Figure 2019043982
式(1)中、nは測定した気泡径の数、Sは測定した気泡径(mm)、mは全体の気泡径(mm)を表す。
次式(2)より気泡径の変動係数を算出する。
変動係数(%)=標準偏差/全体の平均気泡径×100 ・・・(2)
また、本発明のアクリル系樹脂発泡体は、見かけ密度が0.02〜0.2g/cmであることが好ましく、0.05〜0.15g/cmであることがより好ましい。見かけ密度が上記下限値以上であると、機械強度が向上しやすくなる。見かけ密度が上記上限値以下であると、アクリル系樹脂発泡体の良好な外観が得られやすくなる。
なお、見かけ密度は、JIS K 7222−1999記載の方法に準拠した方法により測定する。具体的には、元のセル構造を変えないように切断した10cm以上の試験片について、その質量を測定し、次式により見かけ密度を算出する。
見かけ密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
アクリル系樹脂発泡体中、光重合開始剤の含有量は、アクリル系樹脂発泡体の総質量に対して、0.001〜0.50質量%が好ましく、0.01〜0.10質量%がより好ましい。
アクリル系樹脂発泡体中、乾燥剤の含有量は、アクリル系樹脂発泡体の総質量に対して、0.50〜5.0質量%が好ましく、1.5〜3.0質量%がより好ましい。
本発明のアクリル系樹脂発泡体は、アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分と、発泡剤と、特定の光重合開始剤と、乾燥剤とを含有する重合性溶液を重合し、発泡させて製造されるものである。特に、後述の≪アクリル系樹脂発泡体の製造方法≫の製造方法と同様の方法で製造されることが好ましい。
≪アクリル系樹脂発泡体の製造方法≫
以下、本発明のアクリル系樹脂発泡体の製造方法について説明する。
本発明のアクリル系樹脂発泡体の製造方法では、アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分と、発泡剤と、特定の光重合開始剤と、乾燥剤とを含有する重合性溶液を重合させて発泡性重合体を作製する(重合工程)。
次に、該発泡性重合体を発泡させてアクリル系樹脂発泡体(以下、「発泡体」ともいう。)を作製する(発泡工程)。
<重合工程>
重合性溶液は、アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分と、発泡剤と、光重合開始剤と、乾燥剤とを混合させることにより得られる。
以下、重合性溶液の構成成分について説明する。
[重合性モノマー成分]
本発明の重合性モノマー成分は、アクリル系モノマーを含む。アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分を重合させることにより、アクリル系樹脂が得られる。
(アクリル系モノマー)
前記アクリル系モノマーとしては、無水マレイン酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、マレイン酸アミド、マレイン酸イミドなどが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、無水マレイン酸、及び(メタ)アクリルアミドが好ましい。
なお、本明細書における“(メタ)アクリル”の用語は、“メタクリル”と“アクリル”の何れか又は両方を意味する。
アクリル系モノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性モノマー成分中、アクリル系モノマーの含有量は、重合性モノマー成分の総質量に対し、30〜90質量%であることが好ましい。アクリル系モノマーの含有量が上記下限値以上であると、アクリル系樹脂発泡体の加工適性を向上しやすくなる。アクリル系モノマーの含有量が上記上限値以下であると、光線透過性を向上しやすくなる。
重合性モノマー成分中、(メタ)アクリル酸の含有量は、重合性モノマー成分の総質量に対し、30〜70質量%であることが好ましく、35〜60質量%であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸の含有量が上記下限値以上であると、アクリル系樹脂発泡体の加工適性を向上しやすくなる。(メタ)アクリル酸の含有量が上記上限値以下であると、光線透過性を向上しやすくなる。
重合性モノマー成分中、(メタ)アクリル酸メチルの含有量は、重合性モノマー成分の総質量に対し、10〜45質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸メチルの含有量が上記下限値以上であると、アクリル系樹脂発泡体の加工適性を向上しやすくなる。(メタ)アクリル酸メチルの含有量が上記上限値以下であると、光線透過性を向上しやすくなる。
重合性モノマー成分中、無水マレイン酸の含有量は、重合性モノマー成分の総質量に対し、5〜10質量%であることが好ましい。無水マレイン酸の含有量が上記下限値以上であると、アクリル系樹脂発泡体の加工適性を向上しやすくなる。無水マレイン酸の含有量が上記上限値以下であると、光線透過性を向上しやすくなる。
重合性モノマー成分中、(メタ)アクリルアミドの含有量は、重合性モノマー成分の総質量に対し、1〜5重量%であることが好ましい。(メタ)アクリルアミドの含有量が上記下限値以上であると、アクリル系樹脂発泡体の加工適性を向上しやすくなる。(メタ)アクリルアミドの含有量が上記上限値以下であると、光線透過性を向上しやすくなる。
(スチレン)
重合性モノマー成分には、スチレンをさらに含有させることができる。
重合性モノマー成分中、スチレンの含有量は、重合性モノマー成分の総質量に対し、10〜20質量%であることが好ましい。スチレンの含有量が上記下限値以上であると、アクリル系樹脂発泡体の加工適性を向上しやすくなる。スチレンの含有量が上記上限値以下であると、光線透過性を向上しやすくなる。
(アクリル系モノマー及びスチレン以外の重合性モノマー)
なお、上記アクリル系モノマー及びスチレン以外の重合性モノマーとして、上記アクリ
ル系モノマーと共重合可能なモノマーをアクリル系樹脂発泡体の改質などを目的として重
合性溶液に少量含有させることも可能である。
なお、アクリル系モノマー、スチレン、並びにアクリル系モノマー及びスチレン以外の重合性モノマーの合計の含有量は、重合性モノマー成分の総質量に対し、100質量%を超えない。
[発泡剤]
発泡剤は、65℃以上で分解して気体を発生する化合物(熱分解型発泡剤)であることが好ましい。なかでも100〜220℃で分解して気体を発生する化合物が好ましい。
発泡剤としては、尿素、尿素誘導体、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アミドグアニジン、トリメチレントリアミン、パラトルエンスルホンヒドラジン、アゾジカルボンアミド、チオ尿素、塩化アンモニウム、ジシアンジアミド、ジオキサン、ヘキサン、抱水クロラール、クエン酸、ホルムアミド等が挙げられる。なかでも尿素が好ましい。
発泡剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性溶液中、発泡剤の含有量は、重合性モノマー成分100質量部に対し、0.5〜30質量部であることが好ましく、2.5〜10質量部であることがより好ましい。
発泡剤の含有量が上記数値範囲内であると、アクリル系樹脂発泡体の光線透過性を向上させやすくなる。
発泡剤が尿素である場合には、発泡剤の含有量は、重合性モノマー成分100質量部に対し、1〜15質量部であることが好ましく、3〜7質量部であることがより好ましい。
[光重合開始剤]
光重合開始剤の365nmにおける吸光係数は、100〜5000であり、300〜3000が好ましい。光重合開始剤の吸光係数が上記範囲内であると、重合性溶液を短時間で硬化させやすくなる。
光重合開始剤の吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができるが、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することができる。
光重合開始剤としては、ベンジルメチルケタール系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、分子内水素引き抜き型光重合開始剤、オキシムエステル系光重合剤、光重合開始剤ブレンド、カチオン系光重合開始剤等が挙げられる。
ベンジルメチルケタール系光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE(登録商標) 651)等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(IRGACURE TPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE 819)等が挙げられる。
分子内水素引き抜き型光重合開始剤としては、フェニル グリオキシリック アシッド メチル エステル(IRGACURE MBF)、オキシフェニル酢酸と2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルと2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルとの混合物(IRGACURE 754)等が挙げられる。
オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE 01)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)(IRGACURE OXE 02)等が挙げられる。
光重合開始剤ブレンドとしては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184)とベンゾフェノンとの混合物等が挙げられる。
カチオン系光重合開始剤としては、4−イソブチルフェニル(4−メチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート(IRGACURE 250)、トリアリールスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート(IRGACURE 270)、トリアリールスルフォニウム テトラキス−(ペンタフルオロフェニル)ボレート(IRGACURE 290)等が挙げられる。
なかでも、ベンジルメチルケタール系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましい。特に、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが好ましい。
光重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性溶液中、光重合開始剤の含有量は、重合性モノマー成分100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましい。
[乾燥剤]
乾燥剤としては、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、モレキュラーシ−ブ、シリカゲルなどが挙げられる。なかでも硫酸ナトリウムが好ましい。
乾燥剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性溶液中、乾燥剤の含有量は、重合性モノマー成分100質量部に対し、0.5〜5.0質量部であることが好ましく、1.5〜3.0質量部であることがより好ましい。
[その他の任意成分]
重合性溶液には、可塑剤、溶剤、連鎖移動剤、還元剤、金属イオン、塩化物イオン、重合抑制剤、気泡調整剤、他のアクリル系樹脂発泡体を含有させることができる。
可塑剤としては、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油、セバシル酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。なかでも、スルホン酸エステル、アジピン酸エステル、クエン酸エステルが好ましい。
スルホン酸エステルとしては、アルキルスルホン酸エステルが挙げられる。アルキルスルホン酸エステルにおいて、アルキル基の炭素数は12〜20が好ましい。エステル部分の炭素数は1〜20が好ましい。なかでもアルキルスルホン酸フェニルエステルが好ましい。スルホン酸エステルの市販品としては、LANXESS社のメザモール(Mesamoll)等が挙げられる。
アジピン酸エステルにおいて、エステル部分の炭素数は1〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。具体的には、アジピン酸メチル、アジピン酸エチル、アジピン酸n−プロピル、アジピン酸イソプロピル、アジピン酸n−ブチル、アジピン酸イソブチル、アジピン酸t−ブチル等が挙げられる。なかでもアジピン酸イソブチルが好ましい。
クエン酸エステルにおいて、エステル部分の炭素数は1〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。クエン酸エステルにおいて、水酸基の水素原子は置換基で置換されていることが好ましい。置換基としてはアセチル基等が挙げられる。アセチルクエン酸エステルとしては、具体的には、アセチルクエン酸メチル、アセチルクエン酸エチル、アセチルクエン酸n−プロピル、アセチルクエン酸イソプロピル、アセチルクエン酸n−ブチル、アセチルクエン酸イソブチル、アセチルクエン酸t−ブチル等が挙げられる。なかでもアセチルクエン酸n−ブチルが好ましい。
重合抑制剤としては、ギ酸カルシウム、硝酸カルシウム4水和物等が挙げられる。気泡のばらつきを抑制する観点から、重合抑制剤の含有量は、重合性モノマー成分100質量部に対し、0.5質量部以下が好ましく、0.2質量部以下がより好ましく、重合抑制剤を含まないことがさらに好ましい。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。気泡のばらつきを抑制する観点から、界面活性剤の含有量は、重合性モノマー成分100質量部に対し、0.5質量部以下が好ましく、0.1質量部以下がより好ましく、界面活性剤を含まないことが好ましい。
重合性溶液に光照射して重合性モノマー成分を重合させる際、光のエネルギー量は、500〜3000mJ/cmが好ましく、1000〜2000mJ/cmがより好ましい。光のエネルギー量が上記範囲内であると、短時間で重合性溶液を硬化されやすくなる。
重合時間は、5〜30分が好ましく、10〜25分がより好ましく、15〜25分がさらに好ましい。重合時間が前記範囲の好ましい下限値以上であれば、重合反応が充分に進行しやすくなる。重合時間が前記範囲の好ましい上限値以下であれば、生産性が高くなる。
重合性溶液を型枠内で重合させる際、型枠は、所望の形状に合わせて適宜選択すればよい。
<発泡工程>
発泡工程では、前記重合工程で得られた発泡性重合体を発泡させて、アクリル系樹脂発泡体を得る。
かかる発泡工程は、任意の距離に離間した上下一対の熱プレートを有する金型の熱プレート間で、前記発泡性重合体を発泡させ、発泡体を上側の熱プレートに接触させて、上側の熱プレートで発泡体を押圧する。次いで、上側の熱プレートが発泡体を押圧する力を解除する押圧力解除操作を含んでもよい。
本発明に係る製造方法においては、平板状のアクリル系樹脂発泡体を製造する際、任意の距離に離間した上下一対の熱プレートを有する金型の熱プレート間に、平板状の発泡性重合体を入れ、前記熱プレートによって該発泡性重合体を発泡剤の熱分解温度以上に加熱する。
前記熱プレートによって発泡性重合体を加熱する際、発泡性重合体の表面に滑剤を存在させた状態で加熱してもよい。発泡性重合体の表面に滑剤を存在させた状態で加熱することで、アクリル系樹脂発泡体の表面に亀裂等が生じるのをより良好に防止できる。
滑剤の塗布方法は、特に限定されず、例えば、刷毛、布等を用いて手作業で塗布する方法が挙げられる。
滑剤としては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等が挙げられる。滑剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。滑剤の塗布量は、発泡性重合体の発泡倍率、又は滑剤の種類等を勘案して適宜決定される。
加熱発泡に用いる金型は、上下一対の熱プレートを有するものであれば特に限定されず、目的の発泡体の形状に応じて適宜選択すればよい。発泡性重合体の加熱発泡を、所望の内法を有する金型内で行うことで、所望の形状の発泡体を得ることができる。
発泡性重合体を加熱発泡させる際の加熱温度は、発泡性重合体が軟化する温度以上で、かつ、発泡性重合体に含有される発泡剤の熱分解温度以上とする。
加熱温度は、例えば、発泡剤が尿素(熱分解温度135℃)の場合、135℃以上が好ましく、145℃以上がより好ましい。加熱温度が高いほど発泡が効率良く進行する。また、加熱温度は、220℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。加熱温度が上限値以下であれば、発泡体が熱劣化し難い。
発泡性重合体は、発泡剤の熱分解温度以上に加熱されることで発泡する。発泡性重合体は発泡しつつ、下側の熱プレート上で膨張し続け、生成する発泡体が上側の熱プレートに接触するようになる。そして、発泡体は上下の各熱プレートで徐々に押圧される。
次いで、例えば、一対の熱プレート間の距離を広げることで、熱プレートが発泡体を押圧する力を解除する操作(押圧力解除操作)をすることが好ましい。押圧力解除操作により、得られる発泡体の密度ばらつきが少なくなる。
次いで、一対の熱プレート間に発泡体を挟み、熱プレートによって発泡体を押圧した状態で、該発泡体を発泡剤の熱分解温度以上に加熱し、発泡させる。
押圧力解除操作の後、熱プレートによって発泡体を押圧する力は、発泡体の発泡倍率等を勘案して適宜決定される。
発泡工程全体における発泡倍率は、アクリル系樹脂発泡体の用途等に応じて適宜決定される。
かかるアクリル系樹脂発泡体は、例えば、航空機のボディー、貨物車両の保冷室の壁材、小型ボートの船体、風力発電の羽、採光断熱材、X線を透過させるためのレントゲン写真機用台、機械部品収納用容器などを構成するための部材として好適なものである。
本発明のアクリル系樹脂発泡体は、特定の光重合開始剤を使用することにより、品質を維持しながら、簡便に製造することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
メタクリル酸メチル36.3質量%、メタクリル酸36.3質量%、スチレン15.5質量%、無水マレイン酸7.8質量%、メタクリルアミド4.1質量%からなる重合性モノマー成分100質量部に対して、発泡剤としての尿素5質量部を混合した。さらに、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(製品名:IRGACURE 819、BASFジャパン株式会社製、吸光係数:2309)0.2質量部、乾燥剤としての無水硫酸ナトリウム2.4質量部、可塑剤としてのメザモール1質量部を前記重合性モノマー成分に加え、これらを撹拌して重合性溶液を作製した。
その後、前記重合性溶液を、シリコーンコーティングされた厚さ50μmのPETフィルム(ベースフィルム)上に滴下した後、滴下した重合性溶液の上に、シリコーンコーティングされた厚さ50μmのPETフィルム(トップフィルム)を被せて重合性溶液を均一に押し広げて、2mmの厚さとなる様に固定した。そして、ケミカルランプを使用してエネルギー量1200mJ/cmの紫外線を20分間照射し、寸法:300mm×600mm×2mmの発泡性重合体を得た。この時、発泡性重合体が硬化していることが確認された。
その後、得られた発泡性重合体を650mm×1300mm×4.5mmの内寸を有する金型に入れ、発泡性重合体を金型ごと熱風循環炉に入れ、190℃で10分間加熱することによりアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.100g/cm)を得た。
[実施例2]
光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(製品名:IRGACURE 651、BASFジャパン株式会社製、吸光係数:361.3)を使用し、エネルギー量2000mJ/cmの紫外線を20分間照射した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.100g/cm)を得た。
[実施例3]
メタクリル酸メチル22.5質量%、メタクリル酸50.0質量%、スチレン15.6質量%、無水マレイン酸7.8質量%、メタクリルアミド4.1質量%からなる重合性モノマー成分100質量部に対して、発泡剤としての尿素5質量部及びホルムアミド3質量部を混合した。さらに、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(製品名:IRGACURE 819、BASFジャパン株式会社製)0.2質量部、乾燥剤としての無水硫酸ナトリウム2.4質量部、可塑剤としてのメザモール1質量部を前記重合性モノマー成分に加えてこれらを撹拌して重合性溶液を作製した。
その後、前記重合性溶液を、シリコーンコーティングされた厚さ50μmのPETフィルム(ベースフィルム)上に滴下した後、滴下した重合性溶液の上に、シリコーンコーティングされた厚さ50μmのPETフィルム(トップフィルム)を被せて重合性溶液を均一に押し広げて、2mmの厚さとなる様に固定した。そして、ケミカルランプを使用してエネルギー量1200mJ/cmの紫外線を重合性溶液に20分間照射し、寸法:300mm×600mm×2mmの発泡性重合体を得た。この時、発泡性重合体が硬化していることが確認された。
その後、得られた発泡性重合体を650mm×1300mm×4.5mmの内寸を有する金型に入れ、発泡性重合体を金型ごと熱風循環炉に入れ、190℃で10分間加熱することによりアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.100g/cm)を得た。
[実施例4]
開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(製品名:IRGACURE 651、BASFジャパン株式会社製)を使用し、エネルギー量2000mJ/cmの紫外線を20分間照射した以外は、実施例3と同様にしてアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.100g/cm)を得た。
[実施例5]
エネルギー量600mJ/cmの紫外線を20分間照射した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.100g/cm)を得た。
[比較例1]
メタクリル酸メチル36.3質量%、メタクリル酸36.3質量%、スチレン15.5質量%、無水マレイン酸7.8質量%、メタクリルアミド4.1質量%からなる重合性モノマー成分100質量部に対して、発泡剤としての尿素5質量部を混合した。さらに、熱重合開始剤としてのパーブチルH(製品名、日油社製)0.17質量部、触媒としてのステアリン酸銅を重合性溶液の総質量に対して650ng/g、乾燥剤としての無水硫酸ナトリウム2.4質量部、可塑剤としてのメザモール1質量部、重合抑制剤としてのギ酸カルシウム0.2質量部、界面活性剤としてのカチオン界面活性剤(製品名、日油社製「ニッサンカチオンPB−40」)0.1質量部を前記重合性モノマー成分に加えてこれらを撹拌して重合性溶液を作製した。
その後、前記重合性溶液を340mm×680mm×2mmの内法を有するガラス製の直方体状の型枠に入れた。そして、重合性溶液を型枠ごと恒温槽に入れ、40℃で5時間加熱することにより寸法:300mm×600mm×2mmの発泡性重合体を得た。この時、発泡性重合体が硬化していることが確認された。
その後、得られた発泡性重合体を650mm×1300mm×4.5mmの内寸を有する金型に入れ、発泡性重合体を金型ごと熱風循環炉に入れ、190℃で10分加熱することによりアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.100g/cm)を得た。
[比較例2]
熱重合開始剤としてパーブチルZ(製品名、日油社製)0.1質量部を使用し、触媒としてのステアリン酸銅を使用せず、45℃で4時間加熱して発泡性重合体を得たこと以外は、比較例1と同様にしてアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.100g/cm)を得た。
[比較例3]
メタクリル酸メチル22.5質量%、メタクリル酸50.0質量%、スチレン15.6質量%、無水マレイン酸7.8質量%、メタクリルアミド4.1質量%からなる重合性モノマー成分100質量部に対して、発泡剤としての尿素5質量部及びホルムアミド3質量部を混合した。さらに、パーブチルH(製品名、日油社製)0.17質量部、触媒としてのステアリン酸銅を重合性溶液の総質量に対して650ng/g、乾燥剤としての無水硫酸ナトリウム2.4質量部、可塑剤としてのメザモール1質量部、重合抑制剤としてのギ酸カルシウム0.2質量部、界面活性剤としてのカチオン界面活性剤(製品名、日油社製「ニッサンカチオンPB−40」)0.1質量部を前記重合性モノマー成分に加えてこれらを撹拌して重合性溶液を作製した。
その後、前記重合性溶液を340mm×680mm×2mmの内法を有するガラス製の直方体状の型枠に入れた。そして、重合性溶液を型枠ごと恒温槽に入れ、40℃で5時間加熱することにより寸法:300mm×600mm×2mmの発泡性重合体を得た。この時、発泡性重合体が硬化していることが確認された。
その後、得られた発泡性重合体を650mm×1300mm×4.5mmの内寸を有する金型に入れ、発泡性重合体を金型ごと熱風循環炉に入れ、190℃で10分加熱することによりアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.100g/cm)を得た。
[比較例4]
熱重合開始剤としてパーブチルZ(製品名、日油社製)0.1質量部を使用し、触媒としてのステアリン酸銅を使用せず、45℃で4時間加熱して発泡性重合体を得たこと以外は、比較例3と同様にしてアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.100g/cm)を得た。
[比較例5]
メタクリル酸メチル36.3質量%、メタクリル酸36.3質量%、スチレン15.5質量%、無水マレイン酸7.8質量%、メタクリルアミド4.1質量%からなる重合性モノマー成分100質量部に対して、発泡剤としての尿素5質量部を混合した。さらに、熱重合開始剤としてのパーブチルH(製品名、日油社製)0.17質量部、触媒としてのステアリン酸銅を重合性溶液の総質量に対して650ng/g、乾燥剤としての無水硫酸ナトリウム2.4質量部、可塑剤としてのメザモール1質量部を前記重合性モノマー成分に加えてこれらを撹拌して重合性溶液を作製した。
その後、前記重合性溶液を340mm×680mm×2mmの内法を有するガラス製の直方体状の型枠に入れた。そして、重合性溶液を型枠ごと恒温槽に入れ、40℃で5時間加熱した。しかしながら、重合性溶液が硬化せず、発泡性重合体が得られなかった。
[比較例6]
光重合開始剤として1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(製品名:IRGACURE 2959、BASFジャパン株式会社製、吸光係数:48.93)を使用し、エネルギー量2000mJ/cmの紫外線を20分間照射した以外は、実施例1と同様にした。しかしながら、重合性溶液が硬化せず、発泡性重合体が得られなかった。
[比較例7]
光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(製品名:IRGACURE 369E、BASFジャパン株式会社製、吸光係数:7858)を使用し、エネルギー量2000mJ/cmの紫外線を20分間照射した以外は、実施例3と同様にした。しかしながら、重合性溶液が硬化せず、発泡性重合体が得られなかった。
[比較例8]
エネルギー量300mJ/cmの紫外線を20分間照射した以外は、実施例1と同様にした。しかしながら、重合性溶液が硬化せず、発泡性重合体が得られなかった。
[比較例9]
エネルギー量4000mJ/cmの紫外線を20分間照射した以外は、実施例4と同様にした。しかしながら、得られた発泡性重合体内に気泡が多数発生する異常反応が見られた。
各例のアクリル系樹脂発泡体について、重合体の硬度、発泡体の耐熱性、発泡体の平均気泡径、気泡径の変動係数を以下のように行った。
得られた結果を表1に示す。
<アクリル系発泡性重合体の硬度>
各例で得られたアクリル系発泡性重合体の硬度は、JIS K6253:1997に準じて測定した。型枠を破砕してアクリル系発泡性重合体を取り出した後、該アクリル系発泡性重合体を固い剛性のある平らな場所に静置させた。その後、該アクリル系発泡性重合体の表面に硬度計(古里精機製作所製 ゴム・プラスチック硬度計 型式KR−15D)の押針が測定面に対して直角になるように押しつけ、アクリル系発泡性重合体の抵抗力と硬度計の力が均等になった状態における押針の押込み深さを目盛で読み、硬度を測定した。
<アクリル系樹脂発泡体の耐熱性>
7mm(長さ)×7mm(幅)×2mm(厚み)のアクリル系樹脂発泡体を試験片とした。熱機械分析装置を用い、圧子として先端がφ3mmの石英製プローブを使用した。圧縮試験モードで、試験片の厚み方向に荷重100mNの圧子を当てて、30℃から昇温速度5℃/minで試験片を昇温した。試験片の厚みが試験前の試験片の厚みに対して10%収縮した際の温度を測定した。
<平均気泡径の測定>
各例のアクリル系樹脂発泡体を切断して、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S−3000N」)を用いて18倍に拡大して合計4つの切断面を撮影し、撮影した切断面の画像をそれぞれA4用紙上に印刷した。
次に、各A4用紙につき任意の線分(長さ60mm)を6箇所引き、この線分に重なる気泡の数から、各線分ごとの平均弦長を次式によって算出した。ただし、線分は、できる限り気泡が接点のみで接しないように引き、接してしまった場合には、気泡数に含めることとした。
平均弦長(t) = 線分の長さ/(気泡数×写真の倍率)
そして、次式により気泡径Dを算出した。
D = t/0.616
そして、各線分ごとに求めた気泡径Dの算術平均値を求め、この算術平均値をアクリル系樹脂発泡体の平均気泡径とした。
<気泡径の変動係数>
まず、アクリル系樹脂発泡体について、発泡体表面を発泡体厚みの1/10を除き、10mm×10mm×10mm角を切り出した。なお、アクリル系樹脂発泡体が、10mm×10mm×10mm角を切り出すことができない程小さい場合には、極力大きく切り出した。
そして、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製の「S−3000N」)を用いて、互いに平行し合わない3つの切断面のそれぞれの面を18〜100倍に拡大して撮影し、撮影した切断面の画像をそれぞれA4用紙上に印刷した。このとき、印刷した写真の気泡径の数が300個以上となる様に、前記の電子顕微鏡での拡大倍率を調整し、A4用紙上に印刷した。1つの切断面につき、気泡径の数が300個以上とならない場合は、該切断面を複数回撮影した。
次に、視野内で確認可能な独立した気泡を全て選択し、その選択した気泡の径(気泡径) を測定し、切断面ごとに算術平均値(切断面ごとの平均気泡径)を求めた。なお、各気泡径については、気泡の断面形状の中心を求め、その中心を通る直線距離で最も長い部分の長さを気泡径とした。
そして、アクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(全体の平均気泡径)については、切断面ごとの平均気泡径から相乗平均値を求め、この相乗平均値をアクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(全体の平均気泡径)とした。
そして、前記式(1)から標準偏差を算出し、前記式(2)から気泡径の変動係数を算出した。
Figure 2019043982
以上の結果から、本発明を採用した実施例1〜5では、気泡径のばらつきが少なく、簡単な方法でアクリル系樹脂発泡体を製造することができた。
熱重合開始剤を用いた比較例1〜4では、気泡径のばらつきが確認された。また、重合に要する時間が実施例1〜5よりも長かった。
重合抑制剤、及びカチオン界面活性剤を使用しないで熱重合した比較例5では、発泡性重合体が得られなかった。
吸光係数が100未満の光重合開始剤を使用した比較例6では、発泡性重合体が得られなかった。
吸光係数が5000超の光重合開始剤を使用した比較例7では、発泡性重合体が得られなかった。
エネルギー量500mJ/cm未満の光を照射した比較例8では、発泡性重合体が得られなかった。
エネルギー量3000mJ/cm超の光を照射した比較例9では異常反応が起こり、発泡性重合体内に気泡が多数発生してしまった。

Claims (7)

  1. アクリル系樹脂と、光重合開始剤と、乾燥剤とを含むアクリル系樹脂発泡体であって、
    前記光重合開始剤の365nmにおける吸光係数が100〜5000である、アクリル系樹脂発泡体。
  2. アクリル系モノマーを含む重合性モノマーと、熱分解型発泡剤を含む発泡剤と、前記光重合開始剤と、前記乾燥剤とを含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマーを重合させて前記アクリル系樹脂を含む発泡性重合体を得た後、前記発泡性重合体を発泡させて得られる、請求項1に記載のアクリル系樹脂発泡体。
  3. 前記重合性モノマーは、重合性モノマーの総質量に対し、メタクリル酸メチルを10〜45質量%、(メタ)アクリル酸を30〜70質量%、スチレンを10〜20質量を含有する、請求項2に記載のアクリル系樹脂発泡体。
  4. 前記熱分解型発泡剤は、尿素である、請求項2又は3に記載のアクリル系樹脂発泡体。
  5. 前記乾燥剤は、硫酸ナトリウムである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂発泡体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法であって、
    アクリル系モノマーを含む重合性モノマー成分と、発泡剤と、前記光重合開始剤と、前記乾燥剤とを含む重合性溶液を重合して発泡性重合体とする重合工程と、
    前記発泡性重合体を加熱して発泡させる発泡工程と、を有するアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
  7. 前記重合工程において、前記重合性溶液にエネルギー量500〜3000mJ/cmの光を照射して重合させる、請求項6に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
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