JP2019041272A - 振動板およびこれを用いたスピーカーユニット、ヘッドホン、並びにイヤホン - Google Patents

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Takeshi Fujitani
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Abstract

【課題】動電型のドーム部とエッジ部とが一体成形された振動板の変位対称性を改善して、振動板のローリングまたは異音の発生といった不具合が生じるのを防ぎ、再生音質に優れるヘッドホン並びにスピーカーユニットを提供する。【解決手段】振動板10は、ヘッドホンまたはイヤホンに用いる動電型のスピーカーユニット1を構成する。フィルム状部材を成形して、中央のドーム部11と、ドーム部11の外周囲に延設されて径方向の断面が凸状となるエッジ部12と、を一体に構成する。エッジ部12が、凸状面を凹ませて形成する凹状リブ13を、中心点Oを通過する径方向線に対してそれぞれ傾いた傾斜方向に複数本設けて回転対称に配置する。それぞれの凹状リブ13は、凸状面との境界を規定する稜線部が、内周側から外周側に至るまで小さな曲面で面取りされている。【選択図】図2

Description

本発明は、ユーザーの耳に装着されて音声再生するヘッドホン並びにイヤホンに用いられる動電型のスピーカーユニットの振動板に関する。
ヘッドホン並びにイヤホンに用いられる小型の動電型のスピーカーユニットにおいては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEI(ポリエーテルイミド)、等の樹脂を材料とするフィルム状部材を成形して、ドーム部と、このドーム部の外周囲に延設されるエッジ部と、を一体に構成した振動板が用いられる場合がある。この動電型スピーカーでは、一体に構成された振動板の中央のドーム部とエッジ部との結合部に背面側から音声信号電流が供給されるボイスコイルが取り付けられる。振動板のエッジ部の外周端側は、小型軽量な磁気回路と連結するフレームに固定され、ボイスコイルのコイルは、磁気回路の磁気空隙に配置される。
振動板の形状は、動電型のスピーカーユニットが再生する音声の品質並びに音圧周波数特性に影響を与える。特に、ドーム部とエッジ部とが一体成形された振動板では、凸状(ロール状)のエッジ部にリブ(突起または溝)を複数設けて、上下に振動して変形するエッジ部の振動特性を調整しようとするものが多くある。例えば、従来には、内周縁と、外周縁との間にあって、内周縁から非接触で、曲線に沿って等間隔に複数本のリブを形成したスピーカー振動板がある(特許文献1)。
また、従来には、ロール形状のエッジを有する音響再生用振動板において、エッジ内周からの接線とエッジ内周・外周との交点A,B、およびエッジ内周と外周の距離の2等分円周上で交点A,Bから等しく離れた点Cとの計3点を通る円弧状の溝又は突起を、エッジ全局面にわたって互いに重ならないように複数本設けたことを特徴とするものがある(特許文献2)。
特許文献1の図1または図2のような斜め方向の複数のリブを有するエッジ部を、タンジェンシャルエッジと呼ぶ場合がある。特許文献1の図2または図4に示されるこれらのリブの断面は、基材を直線的に角を設けるように折り曲げるようになっていて、振動板のエッジ部はリブにおいて鋭角に折り曲げられている。また、特許文献2でも述べられているとおり、振動板が上下に振動する際に、エッジ部の上方向および下方向への動き易さが異なる、つまり、エッジ部の変位対称性が異なって振動板の直線性が悪くなると、振動板のローリングまたは異音の発生といった不具合が生じやすくなる。エッジ部の変位対称性が異なれば、動電型のスピーカーユニットから放射される音波の偶数次歪みが増加する恐れが高くなり、再生音質が劣化するという問題がある。
実開昭57−200996号公報 実開昭62−139191号公報
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ヘッドホン並びにイヤホンに用いられる動電型のスピーカーユニットの振動板に関し、特にドーム部とエッジ部とが一体成形された振動板の変位対称性を改善して、振動板のローリングまたは異音の発生といった不具合が生じるのを防ぎ、再生音質に優れるヘッドホン並びにスピーカーユニットを提供することにある。
本発明の振動板は、ヘッドホンまたはイヤホンに用いる動電型のスピーカーユニットを構成する振動板であって、シート状部材またはフィルム状部材を成形して、中央のドーム部と、ドーム部の外周囲に延設されて径方向の断面が凸状となるエッジ部と、を一体に構成し、エッジ部が、凸状面を凹ませて形成する凹状リブを、中心点を通過する径方向線に対してそれぞれ傾いた傾斜方向に複数本設けて回転対称に配置し、それぞれの凹状リブは、凸状面との境界を規定する稜線部が、内周側から外周側に至るまで小さな曲面で面取りされている。
好ましくは、本発明の振動板は、それぞれの凹状リブの稜線部の曲面は、傾斜方向と略直交する方向での断面における曲面を規定する半径寸法が、0.3mm以上で1.0mm以下の所定値に設定されている。
また、好ましくは、本発明の振動板は、それぞれの凹状リブの底部が、稜線部の曲面と同程度の小さな曲面で面取りされている。
また、好ましくは、本発明の振動板は、ドーム部の外周部に規定されるボイスコイル取付部に連結されるボイスコイルをさらに備える。
また、本発明のスピーカーユニットは、上記の振動板と、振動板のエッジ部の外周端部が固定されるフレームと、フレームに固定されてボイスコイルのコイルが接続される端子と、ボイスコイルのコイルが配置される磁気空隙を有してフレームに固定される磁気回路と、フレームの窓部の開孔を覆うように取り付けられる制動部材と、を備える。
また、本発明のヘッドホンまたはイヤホンは、上記のスピーカーユニットを備える。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明の振動板は、ヘッドホンまたはイヤホンに用いる動電型のスピーカーユニットを構成する振動板であって、シート状部材またはフィルム状部材を成形して、中央のドーム部と、ドーム部の外周囲に延設されて径方向の断面が凸状となるエッジ部と、を一体に構成する。また、本発明の振動板は、ドーム部の外周部に規定されるボイスコイル取付部に連結されるボイスコイルをさらに備えるようにしてもよい。本発明のスピーカーユニットは、この振動板と、振動板のエッジ部の外周端部が固定されるフレームと、フレームに固定されてボイスコイルのコイルが接続される端子と、ボイスコイルのコイルが配置される磁気空隙を有してフレームに固定される磁気回路と、フレームの窓部の開孔を覆うように取り付けられる制動部材と、を備え、ヘッドホンまたはイヤホンを構成することができる。
ここで、振動板のエッジ部は、凸状面を凹ませて形成する凹状リブを、中心点を通過する径方向線に対してそれぞれ傾いた傾斜方向に複数本設けて回転対称に配置し、それぞれの凹状リブは、凸状面との境界を規定する稜線部が、内周側から外周側に至るまで小さな曲面で面取りされている。したがって、鋭角に折り曲げられるような断面を有する従来のリブの場合に比較して、振動板のエッジ部の変位対称性を改善して、ほぼ対称にすることができる。その結果、振動板のローリングまたは異音の発生を抑制し、偶数次歪みを抑制して再生音質を優れたものにすることができる。
好ましくは、それぞれの凹状リブの稜線部の曲面は、傾斜方向と略直交する方向での断面における曲面を規定する半径寸法が、0.3mm以上で1.0mm以下の所定値に設定するのがよい。また、それぞれの凹状リブの底部が、稜線部の曲面と同程度の小さな曲面で面取りするのがよい。エッジ部の変位対称性をさらに改善することができる。
本発明のヘッドホン並びにイヤホンに用いられる動電型のスピーカーユニットの振動板は、ドーム部とエッジ部とが一体成形された振動板の変位対称性を改善して、振動板のローリングまたは異音の発生といった不具合が生じるのを防ぎ、再生音質に優れるヘッドホン並びにスピーカーユニットを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るヘッドホン並びにイヤホンに用いられる動電型のスピーカーユニットの外観図である。 本発明の一実施形態に係るスピーカーユニットの具体的な構造を示した説明図である。 本発明の一実施形態に係る振動板の形状を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る振動板の変位対称性を示すグラフである。 比較例の振動板の変位対称性を示すグラフである。 本実施例または比較例の振動板を用いた動電型のスピーカーユニットの音圧周波数特性を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態による振動板およびこれを用いたスピーカーユニット、ヘッドホン、並びにイヤホンについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1または図2は、本発明の好ましい実施形態によるヘッドホン並びにイヤホンに用いられる動電型のスピーカーユニット1について説明する図である。具体的には、図1は、スピーカーユニット1の外観を示す前面側からの斜視図であり、図2は、このスピーカーユニット1を前面側からみた図である。なお、スピーカーユニット1の形態は、本実施例の場合に限定されない。また、本発明の説明に不要なスピーカーユニット1の構成については、図示及び説明を省略する。
本実施例のスピーカーユニット1は、ユーザーの耳に近接させて配置するヘッドホン並びにイヤホンに用いられる呼び口径が40mmと小径の動電型スピーカーである。なお、スピーカーユニット1は、ヘッドホンのキャビティ又はイヤホンのボディに取り付けられて、ヘッドホンまたはイヤホンを構成する。ただし、このスピーカーユニット1を用いるヘッドホン又はイヤホンの具体的な形態については、図示及び説明を省略する。
スピーカーユニット1は、樹脂材料で形成されるフレーム2と、フレーム2に固定される磁気回路3と、フィルム状のPET(ポリエチレンテレフタレート)部材を成形した振動板10と、振動板10に連結してそのコイルが(図示しない)磁気回路3の(図示しない)磁気空隙に配置される(図示しない)ボイスコイルと、ボイスコイルのコイルの両端が接続される端子4と、フレーム2に取り付けられて振動板10から放射された音波が通過する(図示しない)制動部材と、を備える。なお、磁気回路3とボイスコイル、並びに、制動部材フレーム2の後述する開孔25を覆う制動部材は、図1および図2では振動板10の背面側に位置して隠れることになるので、外観視されていない。
振動板10は、球面の一部のようなドーム部11と、このドーム部11の外周囲に延設されるエッジ部12と、を一体に構成した振動板である。ドーム部11の外周部であってエッジ部12との結合部に、背面側から音声信号電流が供給されるボイスコイルが取り付けられる。振動板10のエッジ部12の外周端側は、フレーム2の振動板固定部21に固定され、小型軽量な磁気回路3は、フレーム2の(図示しない)磁気回路固定部22に固定される。磁気回路固定部22の内側には、磁気回路3の磁気空隙と連通してボイスコイルが通過する開孔が設けられる。振動板10と連結するボイスコイルのコイルは、磁気回路3の磁気空隙に配置される。
したがって、スピーカーユニット1では、強い直流磁界が発生する磁気回路3の磁気空隙中に配置されるボイスコイルに音声信号電流が供給されると、図示するZ軸方向に駆動力が発生し、ボイスコイルならびに振動板10から構成されるスピーカー振動系がZ軸方向に振動する。つまり、スピーカー振動系は、振動板10のエッジ12のみによって振動可能に支持されており、その結果、振動板10の前後に存在する空気に圧力変化を生じ、音声信号電流を音波(音声)に変換する。
フレーム2は、振動板10のエッジ部12の外周部を固定する略円環形状の振動板固定部21と、磁気回路3を固定する略円環形状の磁気回路固定部22と、振動板固定部21と磁気回路固定部22とを連結して複数の(図示しない)開孔25を規定する(図示しない)連結部23と、振動板固定部21の外周側に突出するように設けられて端子4を固定する端子固定部24と、を有する。フレーム2は、前面側に振動板10のドーム部11およびエッジ部12が露出するように取り付けて、振動板10の前面側から放射される音波が再生されるように構成されている。
さらに、フレーム2は、振動板10の前面側から放射される音波とは逆相の関係になる振動板10の背面側から放射される音波に関して、連結部23に規定されている複数の(図示しない)開孔25を通じてエッジ部12からの音波が背面側に再生されるように構成されている。連結部23には、開孔25を覆うように通気性を有する(図示しない)制動部材を取り付けることができる。スピーカーユニット1は、ヘッドホン又はイヤホンに適するように、開孔25および制動部材によってフレーム2の内部空間によるコンプライアンス(音響容量)を調整でき、コンプライアンスが調整されることによって周波数特性、特に低音域の周波数特性を調整することができる。
フレーム2の連結部23は、中心点Oを通過する径方向線に対してそれぞれ傾くように、磁気回路固定部22から振動板固定部21に至るまでそれぞれ12本が延設されている。したがって、本実施例の場合には、連結部23に12カ所の開孔25が周方向に規定されている。また、フレーム2の連結部23は、中心点Oを中心にして回転対称に配置されている。このフレーム2では、振動板固定部21の外周側に突出するように端子4を固定する端子固定部24を設けているので、フレーム2の連結部23において周方向に渡って一様に開孔25を設けることができる。
フレーム2は、ポリフェニレンエーテル系樹脂と、ポリスチレン系樹脂と、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1つのポリオレフィン系樹脂と、を含有する樹脂材料から形成されている。ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂の重量比は、90/10〜70/30の範囲であるのが好ましく、また、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂との合計100重量部に対して、ポリオレフィン系樹脂を、5〜20重量部含有するようにするのが好ましい。ポリフェニレンエーテル系樹脂と、ポリスチレン系樹脂と、はアロイ化されていてもよい。
本実施例のフレーム2は、上記樹脂材料を採用することにより、高い内部損失と優れた機械的特性をバランスよく有し、軽量で、かつ、優れた耐熱性およびS/N比を有することができる。より詳細には、ポリフェニレンエーテル系樹脂と、ポリスチレン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂とが特定の比率で含有されることにより、格段に高い内部損失と優れた機械的特性をバランスよく有し、かつ、これらの樹脂が本来有する優れた耐熱性、耐湿性、成形性、寸法安定性、軽量性を損なわずに振動特性に優れるフレーム2を得ることができる。
振動板10は、厚みが20μmのフィルム状のPET(ポリエチレンテレフタレート)部材を成形している。振動板10のエッジ部12は、径方向の断面が凸状となるロールエッジであり、図1または図2に示すように、凸状面を凹ませて形成する凹状リブ13が複数設けられている。また、図3は、図2のD−D断面を示す部分拡大図であり、振動板10のエッジ部12の凹状リブ13について説明する図である。
凹状リブ13は、中心点Oを通過する径方向線Rに対してそれぞれ角度φ(=15度)の方向に傾いた傾斜方向に設けられている。本実施例の凹状リブ13は、エッジ部12において、中心点Oを中心に回転対称に角度δ(=7.5度)の間隔で離れるようにして48本配置されている。凹状リブ13は、振動板10の変位対称性を改善して、振動板10のローリングまたは異音の発生といった不具合が生じるのを防ぎ、再生音質を改善する。
図3の断面図には、エッジ部12の凸状面を凹ませて形成される凹状リブ13の断面が示されている。図3では、エッジ部12の2つの凸状面の間とその両端側に3カ所の凹状リブ13の断面が出現している。例えば、中央の凹状リブ13のエッジ部12の凸状面から深さHは、このD−D断面の位置とエッジ部12の内周側端部または外周側端部に近い位置とでは異なるように変化し、このD−D断面の位置付近で最も深くなる。凹状リブ13は、凸状のエッジ部12の両端部を除く部分に長くて深い溝状の部分として設けられる。凹状リブ13の内側の端は、ドーム部11の外周部であってエッジ部12との結合部に至らず、また、凹状リブ13の外側の端は、フレーム2の振動板固定部21と固定される平面部にまでは至らない。
ここで、それぞれの凹状リブ13は、エッジ部12の凸状面との境界を規定する稜線部が、内周側から外周側に至るまで小さな曲面で面取りされているように形成されている。図3の断面図では、凹状リブ13の稜線部を面取りする曲面が、断面半径を示す寸法Rxで示されている。この半径寸法Rxは、例えば、0.3mm以上で1.0mm以下の所定値に設定するのがよい。また、それぞれの凹状リブ13の底部は、稜線部の曲面と同程度の小さな曲面で面取りされているように形成されている。図3の断面図では、凹状リブ13の底部を面取りする曲面が、断面半径を示す寸法Ryで示されている。
図4および図5は、本実施例の振動板10、並びに、比較例の(図示しない)振動板100のZ軸方向の変位対称性をそれぞれ示すグラフである。変位対称性を示すグラフは、振動板のボイスコイルが取り付けられる位置に加える駆動力を基準化した値(%)を横軸にとって、駆動力に対する振動板10のZ軸方向の変位量(Displacement [mm])の絶対値を縦軸にとって、上方向(Up:実線、前面方向)と下方向(Down:点線、背面方向)とを重ね書きしたグラフである。エッジ部のZ軸方向の変位対称性に優れる理想的な振動板の場合には、上方向の特性曲線と下方向との特性曲線が離れることなく近づいて、ほぼ一致するようになる。
比較例の(図示しない)振動板100は、本実施例の振動板10に対して、凹状リブ13のエッジ部12の凸状面との境界を規定する稜線部が内周側から外周側に至るまで小さな曲面で面取りされていない点と、凹状リブ13の底部が稜線部の曲面と同程度の小さな曲面で面取りされていない点で相違し、他の設定は共通するものである。つまり、比較例の振動板100のエッジ部に設けられる凹状リブは、基材を直線的にして角を設けるように折り曲げられて、形成されている。
図4および図5のグラフを参照すると、本実施例の振動板10は、比較例の振動板100と比較して、上方向の特性曲線と下方向との特性曲線とがかなり近づいて、エッジ部12のZ軸方向の変位対称性が優れている。したがって、振動板10を用いる動電型のスピーカーユニット1は、ボイスコイルおよび振動板10が構成するスピーカー振動系がローリングするなどして異音を発生することを抑制することができる。振動板10のZ軸方向の変位対称性が優れていれば、振動板10が上方向と下方向とで変位の絶対値が等しい場合に排出する空気量が等しくなる方向に近づくので、偶数次歪みの発生を抑制して再生音質を優れたものにすることができる。
図6は、本実施例の振動板10または比較例の振動板100を用いた動電型のスピーカーユニットの音圧周波数特性示すグラフである。横軸が入力音声信号の周波数(1kHz〜100kHz)であり、縦軸が再生される音圧レベルである。本実施例の振動板10の場合には、比較例の振動板100の場合に約20kHzに出現するピークが抑えられている。したがって、この本実施例の振動板10を用いる動電型のスピーカー1ユニットは、これを備えるヘッドホンまたはイヤホンの再生音質を優れるものにできる。
本実施例の振動板10を用いる動電型のスピーカーユニット1を備える(図示しない)ヘッドホンの場合には、比較例の(図示しない)ヘッドホンとの比較試聴の結果、比較例のヘッドホンに比べて再生音質の方が優れることが確認できる。本実施例の場合には、動電型のスピーカーユニット1の振動板10のローリングに起因する異音などの不要な音波の発生を抑えることができるからである。もちろん、この振動板10を用いる動電型のスピーカーユニット1は、ユーザーの耳にハウジングを直接支持させる(図示しない)イヤホンに用いてもよい。
なお、振動板10を構成する樹脂材料は、上記実施例のPETのフィルム状部材に限定されない。振動板10を形成する材料は、例えば、他のPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PI(ポリイミド)、PAR(ポリアリレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、等の軽量な樹脂材料のフィルム、もしくは、シートを熱プレスして形成したものであってもよく、また、エラストマーのシートをプレス成形したものであってもよい。また、振動板10を形成する材料は、セルロース等の天然繊維や合成繊維から構成された不織布、または、紙材であってもよい。
振動板10は、ドーム部11の外周部に規定されるボイスコイル取付部にボイスコイル3を連結して、動電型のスピーカーユニット1を構成するスピーカー振動系の組み立て部品として取り扱うことができる。なお、ボイスコイル3の直径寸法と、振動板10を構成する樹脂材料の厚み寸法とに応じて、ドーム部11並びにエッジ部12の形状寸法は、凹状リブ13の稜線部を面取りする曲面の寸法を含めて変更可能である。また、本実施例の振動板10のドーム部11は、上記実施例のように球面の一部のような形状であればよいが、ドーム部11にも補強を図る凹状または凸状の溝であるリブを設けてもよい。
本実施例のフレーム2は、上記のようなポリフェニレンエーテル系樹脂と、ポリスチレン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂とを特定の比率で含有する樹脂材料を採用することにより、高い内部損失と優れた機械的特性をバランスよく有し、軽量で、かつ、優れた耐熱性およびS/N比を有することができるようにしているが、比率の異なる他の樹脂材料または金属材料でフレーム2を構成してもよい。
また、本実施例のフレーム2の振動板固定部21と磁気回路固定部22とを連結する連結部23は、本実施例の場合には中心点Oを通過する径方向線に対して同一方向に傾いた12本が形成されているが、連結部23の数は複数であれば奇数であってもよく、径方向線に対して左右に異なる方向に傾いた連結部23の組を含むものであってもよい。本実施例のフレーム2は、連結部23に周方向に渡って一様に開孔25を設けるので、動電型のスピーカーユニット1は、振動板10のローリングまたは異音の発生といった不具合が生じるのを抑制することができる。
本発明の振動板は、図示するような動電型のスピーカーユニットに限らず、さらにダンパーを備えてスピーカー振動系を構成するスピーカーユニットであってもよい。また、動電型のスピーカーユニットに限らず、圧電型のスピーカーユニットにも適用が可能である。
1 スピーカーユニット
2 フレーム
21 振動板固定部
22 磁気回路固定部
23 連結部
24 端子固定部
25 開孔
3 磁気回路
4 端子
10 振動板
11 ドーム部
12 エッジ部
13 凹状リブ

Claims (6)

  1. ヘッドホンまたはイヤホンに用いる動電型のスピーカーユニットを構成する振動板であって、
    シート状部材またはフィルム状部材を成形して、中央のドーム部と、該ドーム部の外周囲に延設されて径方向の断面が凸状となるエッジ部と、を一体に構成し、
    該エッジ部が、凸状面を凹ませて形成する凹状リブを、中心点を通過する径方向線に対してそれぞれ傾いた傾斜方向に複数本設けて回転対称に配置し、
    それぞれの該凹状リブは、該凸状面との境界を規定する稜線部が、内周側から外周側に至るまで小さな曲面で面取りされている、
    振動板。
  2. それぞれの前記凹状リブの前記稜線部の前記曲面は、前記傾斜方向と略直交する方向での断面における該曲面を規定する半径寸法が、0.3mm以上で1.0mm以下の所定値に設定されている、
    請求項1に記載の振動板。
  3. それぞれの前記凹状リブの底部が、前記稜線部の前記曲面と同程度の小さな曲面で面取りされている、
    請求項1または2に記載の振動板。
  4. 前記ドーム部の外周部に規定されるボイスコイル取付部に連結されるボイスコイルをさらに備える、
    請求項1から3のいずれかに記載の振動板。
  5. 請求項4に記載の前記振動板と、該振動板の前記エッジ部の外周端部が固定されるフレームと、該フレームに固定されて前記ボイスコイルのコイルが接続される端子と、該ボイスコイルの該コイルが配置される磁気空隙を有して該フレームに固定される磁気回路と、該フレームの窓部の開孔を覆うように取り付けられる制動部材と、を備える、
    スピーカーユニット。
  6. 請求項5に記載のスピーカーユニットを備えるヘッドホンまたはイヤホン。
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