以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
図1を参照し、ガスコンロ1について説明する。ガスコンロ1は、ビルトインコンロである。ガスコンロ1は筐体2と天板3を備える。筐体2は上部が開口し、開口部分に天板3が設置される。天板3において、右手前には右バーナ4、左手前には左バーナ5、中央奥側には奥バーナ6が設けられる。天板3の後方部には、筐体2内に設置されたグリル装置(図示略)の排気口7が設けられる。
ガスコンロ1の前面の略中央には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は、グリル装置に設けられるグリル庫(図示略)の前側開口部分を開閉する。グリル扉8の右側の領域には、正面視円形状の2つの操作つまみ11、12が横方向に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域には、操作つまみ11、12と同じ高さ位置に、同一形状の2つの操作つまみ13、14が横方向に並んで設けられる。操作つまみ11〜14の夫々は、右バーナ4、グリル庫内のグリルバーナ(図示略)、奥バーナ6、左バーナ5の点火、消火及び火力調節を行う為に操作される。操作つまみ11〜14は、夫々、燃料供給装置20(図2参照)の前端部に取り付けられる。
図2〜図5を参照し、燃料供給装置20について説明する。ガスコンロ1は、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6、及びグリル装置にガスを供給する4つの燃料供給装置を備える。そのうち、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置20は公知のプッシュ・プッシュ機構24を備えた同一構成の装置である。また、グリル装置にガスを供給する燃料供給装置(図示略)は、燃料供給装置20と同様のプッシュ・プッシュ機構を備えるが、ガス流量の調節を電磁弁によって行うため、流量調節部(図示略)を別体に設ける。以下では、左バーナ5にガスを供給する燃料供給装置20を一例として説明し、右バーナ4、奥バーナ6、グリル装置にガスを供給する燃料供給装置については説明を省略する。なお、右バーナ4にガスを供給する燃料供給装置と、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置は、燃料供給装置20と同一構成であるので、便宜上、同一の符号を付して燃料供給装置20と呼ぶ。
図2〜図4に示すように、燃料供給装置20は、操作つまみ14の押込操作と回動操作により、左バーナ5の点火と消火、及び左バーナ5に供給するガス量の調節を行う装置である。押込操作は、操作つまみ14の前面を後方へ押圧し、ガスコンロ1の前面よりも奥側に押し込む操作である。回動操作は、操作つまみ14の側面を把持し、前後方向の軸(軸心AX)を中心に回転する操作である。燃料供給装置20は、操作部21、ガス流路部22、火力調節カム26、流量調節部31等を備える。
操作部21は操作つまみ14、プッシュ・プッシュ機構24、連結部材25、中火ガイド90を備える。連結部材25と中火ガイド90は後述する。操作つまみ14は略円柱状に形成される。操作つまみ14は、ガスコンロ1の後方へ向けて押し込む押込操作が行われる度に、待機位置から第一押込位置を経て操作位置に移動する動作と、操作位置から第二押込位置を経て待機位置に移動する動作とを交互に行う。図5(A)に示すように、待機位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面F(パネル装置9Bの前面)とほぼ面一となる位置である。待機位置において、操作つまみ14の先端面は、筐体2の前面Fよりも僅かに後側に位置してもよいし、僅かに前側に位置してもよい。なお、図2〜図4に示す燃料供給装置20は、操作つまみ14が待機位置に位置する。
図5(B)に示すように、第一押込位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面Fよりも後方に押し込まれた位置である。操作つまみ14は、第一押込位置において待機位置よりも後方に位置する。図5(C)に示すように、操作位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面Fに対して突出する位置である。操作つまみ14は、操作位置において待機位置よりも前方に位置する。操作位置にあるとき、操作つまみ14は、前後方向に沿う軸心AXを中心に回転可能(回動操作可能)である。図5(D)に示すように、第二押込位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面Fよりも後方に押し込まれた位置である。操作つまみ14は、第二押込位置において、待機位置よりも後方且つ第一押込位置よりも前方に位置する。
図3に示すように、プッシュ・プッシュ機構24は、操作つまみ14を待機位置、第一押込位置、操作位置、第二押込位置の各位置において位置決めし、各位置に応じて後述するメイン弁39を開放状態又は閉鎖状態に維持する。プッシュ・プッシュ機構24の内部には、操作つまみ14の押込操作に合わせて前後方向に移動する2つのスライダ40、41と、スライダ40、41を夫々前方へ向けて付勢するバネ42、43が設けられる。スライダ40、41には夫々、カム機構44、45が設けられる。なお、カム機構44、45は何れも周知のものであるので、動作の詳細な説明は省略する。
スライダ40は、操作つまみ14が押込操作される度に、カム機構44によって、操作つまみ14を待機位置から第一押込位置を経て操作位置に移動する動作と、操作位置から第二押込位置を経て待機位置に移動する動作とを繰り返す。スライダ41はスライダ40と連動し、操作つまみ14が待機位置から第一押込位置に移動するときにメイン弁39と安全弁48を後方に押圧することで開放し、且つカム機構45によって、メイン弁39を開放状態に維持する。また、スライダ41は、操作つまみ14が操作位置から第二押込位置を経て待機位置に移動するときに、メイン弁39の押圧状態を解除する。
ガス流路部22は、プッシュ・プッシュ機構24の後側に連結される。ガス流路部22の内部には第一ガス通路46が形成される。第一ガス通路46は、下部に開口する導入口23に接続するガス供給管(図示略)から供給されるガスを、流量調節部31に流通する。第一ガス通路46にはメイン弁39と安全弁48が設けられる。メイン弁39は、バネ47によって第一ガス通路46を閉じる閉状態に弾性付勢される。上記したように、メイン弁39は、操作つまみ14の押込操作に応じて移動するスライダ40に連動するスライダ41によって押圧されると、第一ガス通路46を開放する。また、メイン弁39は、スライダ41による押圧が解除されると、バネ47により、第一ガス通路46を閉鎖する。安全弁48は、バネ49によって第一ガス通路46を閉じる閉状態に弾性付勢された電磁操作式の弁である。安全弁48は、操作つまみ14の押込操作に応じて移動するスライダ40に連動するスライダ41によってメイン弁39とともに押圧されると、第一ガス通路46を開放する。安全弁48は電磁操作式の弁であり、スライダ41によって開放されたときに、ガスコンロ1の制御装置(図示略)によって開放状態に維持される。なお、制御装置は、メイン弁39の閉鎖によって左バーナ5が消火すると、安全弁48の開放状態を解除する。この場合、安全弁48は、バネ49によって第一ガス通路46を閉鎖する。
図2〜図4に示すように、流量調節部31はプッシュ・プッシュ機構24とガス流路部22の上部に設けられる。流量調節部31の内部には第二ガス通路19(図3参照)が形成される。第二ガス通路19は、ガス流路部22から供給されるガスを流通し、上部に開口する流出口32に接続されるガス供給管(図示略)を介して左バーナ5に供給する。流量調節部31の前端部には第二ガス通路19に連通する穴部30が形成され、ニードル弁28が挿入される。ニードル弁28は、前端部側が穴部30から外部に露出され、後端部側が第二ガス通路19内において前後方向に移動可能に配置される。ニードル弁28の前端部には、上下方向に延びるピン29が設けられる。
火力調節カム26は略半円筒状に形成され、プッシュ・プッシュ機構24の前端側上部を覆うようにして、軸心AXの回りを回転可能に設けられる。火力調節カム26は、前後方向への移動が規制される。火力調節カム26の外周部には、カム溝27が設けられる。カム溝27は、軸心AXを中心とする螺旋状に形成される。カム溝27にはニードル弁28に設けられたピン29の下端部が係合する。火力調節カム26が回転すると、カム溝27がピン29を案内し、ニードル弁28を前後方向に移動する。
火力調節カム26は前方に延びる延伸部34を備え、延伸部34の前端部分に内向きに突出する歯部35を有する。歯部35は操作つまみ14が操作位置(図5(C)参照)にあるときに連結部材25の歯部38(後述)に噛合し、連結部材25を介して火力調節カム26を操作つまみ14と共に軸心AXを中心に回転する。延伸部34は、途中で狭窄するテーパ部34Aを備える。操作つまみ14に対する押込操作がなされるときに、テーパ部34Aは中火ガイド90に係合し、中火ガイド90を回転する。
火力調節カム26の延伸部34の外周面には、略半円筒状のLED操作部材36が固定される。LED操作部材36は、化粧パネル80(図6参照)の火力表示部材(図示略)に連結する。火力表示部材は、LED光の遮蔽によって火力表示を行う。LED操作部材36は火力調節カム26と共に軸心AXを中心に回転し、火力表示部材による火力の表示をガスの流量に応じて行う。LED操作部材36は、下面に、前方から後方へ向けて狭窄する溝部36Aを有する。
操作部21の連結部材25は、プッシュ・プッシュ機構24のスライダ40から前方に延び、軸心AXを軸とする軸体37に係合する。連結部材25は軸体37の前端部に保持され、軸心AXを中心に軸体37の周囲を回転可能な状態で、スライダ40と共に前後方向へ移動可能に設けられる。操作つまみ14は連結部材25の先端部25Aに保持され、連結部材25と共に前後方向へ移動可能、且つ軸心AXを中心に回転可能に設けられる。連結部材25は、後端部外周面に、火力調節カム26の歯部35に噛合する歯部38を有する。操作つまみ14が操作位置にあるとき、連結部材25の歯部38は火力調節カム26の歯部35と噛合し、操作つまみ14と火力調節カム26を連結する。操作つまみ14が操作位置にない場合には、火力調節カム26の歯部35は連結部材25の歯部38の前方に位置して噛合せず、操作つまみ14と火力調節カム26の連結状態を解除する。
中火ガイド90は連結部材25の後側に配置される。中火ガイド90はスライダ40の軸体37に固定されて、スライダ40と共に前後方向へ移動可能に設けられる。中火ガイド90は、固定部91、半鍔部92、案内部93を有する。固定部91は筒状を呈し、中火ガイド90を軸体37に固定する。半鍔部92は固定部91の前端部のうち下側の部分から径方向外向きに鍔状に突出する。連結部材25は半鍔部92の前面に対して回転可能に設けられる。
案内部93は略筒状を呈し、下側部分の後端部内面が半鍔部92の外周部分に接続する。即ち案内部93は、連結部材25の径方向外側に張り出して設けられる。案内部93は、操作つまみ14との間に前後方向の間隙Gを有して配置される。案内部93の上側部分は下側部分よりも大径に設けられ、後端部内面と固定部91の前端部のうち上側の部分との間に開口部94が形成される。開口部94には、火力調節カム26の延伸部34が挿通される。下側部分の内径は、連結部材25の歯部38の最大径よりも大きい。また、案内部93の上側部分の上面には、案内突起95が設けられる。案内突起95は、LED操作部材36の下面に設けられる溝部36Aに係合する。
また、図4に示すように、案内部93の下側部分の左下角部には、左斜め下方に突出する傾斜部96が設けられる。傾斜部96には、前方左斜め下方を向く傾斜面97が形成される。なお、傾斜部96は左右対称に設けられ、右下角部にも同様のものが形成される。
次に、操作つまみ14の回動操作による点火及び消火と火力の調節について説明する。図2〜図4に示すように、左バーナ5の消火時、操作つまみ14は、待機位置にある。点火時、ユーザは操作つまみ14に対する押込操作を行う。操作つまみ14が待機位置から第一押込位置に移動する過程で、安全弁48とメイン弁39は開放される。また、左バーナ5はイグナイタ(図示略)によって点火される。中火ガイド90は、火力調節カム26の延伸部34のテーパ部34Aを開口部94の縁部で押圧することによって、火力調節カム26を左右の略中央の位置に回動する。また、案内突起95は、LED操作部材36の溝部36Aを押圧することによって、火力調節カム26が左右の略中央の位置に回動するように、火力調節カム26の回動を補助する。これにより、ガスの流量が中火相当となる位置にニードル弁28が移動するので、左バーナ5には点火に十分な量のガスが供給され、且つ点火時の炎あふれが防止される。
ユーザが操作つまみ14から手を離すと、操作つまみ14はスライダ40のバネ42の付勢力により、第一押込位置から操作位置に移動する。メイン弁39はスライダ41により開放状態に維持される。安全弁48は制御装置によって電磁操作され、開放状態に維持される。連結部材25の歯部38と火力調節カム26の歯部35が噛合することで、操作つまみ14は火力調節カム26に連結する。
操作つまみ14が操作位置にある状態で操作つまみ14が回動操作されると、火力調節カム26は操作つまみ14と共に軸心AXの回りを回転する。火力調節カム26が回転すると、ニードル弁28のピン29がカム溝27に案内されて、前後方向に移動する。これにより、ニードル弁28が前後方向に移動するので、ニードル弁28の位置に応じて第二ガス通路を流通するガスの流量が調節され、左バーナ5の火力が変更される。
消火時、ユーザは操作つまみ14に対する押込操作を行う。操作つまみ14が操作位置から第二押込位置に移動する過程で、連結部材25と火力調節カム26の噛合状態は解除される。よって、押込操作の過程で操作つまみ14が回転しても、火力調節カム26は回動しない。
ユーザが操作つまみ14から手を離すと、スライダ41による押圧状態が解除されるので、メイン弁39はバネ47の付勢力により閉鎖される。また、操作つまみ14は、スライダ40のバネ42と、スライダ41のバネ43と、メイン弁39のバネ47の付勢力により、第二押込位置から待機位置に移動する。なお、操作つまみ14が第二押込位置から待機位置に移動する途中でメイン弁39が閉鎖状態となるので、バネ47の付勢力は、操作つまみ14が第二押込位置から待機位置に移動する途中でなくなる。メイン弁39の閉鎖によって左バーナ5が消火されると、制御装置が安全弁48の電磁操作を解除するので、安全弁48は、バネ49の付勢力によって閉鎖される。
このように、燃料供給装置20は、操作つまみ14に対する押込操作がなされる度に、点火と消火を繰り返して行う。右バーナ4、奥バーナ6に夫々対応する操作つまみ11、13についても同様である。また、グリル装置の燃料供給装置は、操作つまみ12の回転位置に応じてオン・オフが切り替わる複数のスイッチ(図示略)を備える。グリル装置の流量調節部は、複数のスイッチのオン・オフの状態に応じて複数の電磁弁の開閉状態を切り替えることによって、グリルバーナの火力調節を行う。グリルバーナの点火と消火が操作つまみ12に対する押込操作によって行われる点は、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6の燃料供給装置20と同様である。
ガスコンロ1は、操作つまみ11〜14に対する誤操作や子どものいたずら等による意図しないバーナの点火を防止するため、操作つまみ11〜14が待機位置にあるときに押込操作ができないようにするチャイルドロック機能を備える。チャイルドロック機能は、筐体2の前部に取り付けるパネル装置9A、9Bに設けられロック部材60によって行われる。
図1に示すように、ガスコンロ1は、グリル扉8の右側の領域に、右バーナ4とグリル装置の火力表示を行うパネル装置9Aを備え、グリル扉8の左側の領域に、左バーナ5と奥バーナ6の火力表示を行うパネル装置9Bを備える。
図6、図7を参照し、パネル装置9Bについて説明する。なお、パネル装置9Aにおけるチャイルドロック機能のための構成は、パネル装置9Bにおけるチャイルドロック機能のための構成と同じである。よって、パネル装置9Aの構成は、パネル装置9Bの構成に準ずるものとして、説明を省略する。
パネル装置9Bは、パネル本体部50、化粧パネル80、ロック部材60を備える。パネル本体部50は、筐体2の前端部に組み付けられる。図6に示すように、パネル本体部50の下側部分51は箱型に形成され、操作パネル(図示略)が収容される。パネル本体部50の上側部分52は、下側部分51から上方へ向けて板状に突出する。上側部分52には、前後方向に貫通する2つの貫通穴53が左右方向に並んで形成される。貫通穴53の内径は、操作つまみ13、14の外径より大きい。左バーナ5と奥バーナ6の燃料供給装置20は、左右に並べた状態で、取付金具33を用い、パネル本体部50の上側部分52に後側から螺子で固定される。2つの燃料供給装置20の連結部材25と操作つまみ13、14は、夫々、2つの貫通穴53内に配置される。
上側部分52の後面には、火力表示を行う複数のLEDを搭載した電子基板(図示略)が設けられる。LEDは2つの貫通穴53の上側外周部分に円弧状に並んで配置される。LED操作部材36に係合する火力表示部材はLEDの前側に配置され、操作つまみ13、14の回転に応じてLED光を部分的に遮蔽し火力表示を行う。
化粧パネル80は、パネル本体部50の上側部分52の前側に組み付けられる板状体である。化粧パネル80は正面視略長方形状であり、上端部にスライドロック85を備える。化粧パネル80をパネル本体部50の上側部分52に組み付けたとき、スライドロック85を右側にスライドすると、化粧パネル80がパネル本体部50に固定される。化粧パネル80には、前後方向に貫通し、左右方向に並ぶ2つの開口部86が形成される。2つの開口部86の内径は、夫々、操作つまみ13、14の外径より大きい。2つの開口部86内には夫々、操作つまみ13、14が配置される。2つの開口部86夫々の上側外周部分には、LED光を透過する透光部87が設けられる。透光部87は、火力表示部材によって遮蔽されなかった部分はLED光によって明るく光り、遮蔽された部分は暗くなることによって火力を表示する。化粧パネル80の下部で2つの開口部86の間には、化粧パネル80を前後方向に貫通し、左右方向に長円状に延びる長穴88が形成される。
ロック部材60は、パネル本体部50の下側部分51の上壁上に配置され、左右方向にスライド可能に設けられる。ロック部材60は、土台部61、レバー62、ロック部66を備える。土台部61は、平面視略長方形状で左右方向に長い板状を呈し、下面に、左右方向に延びる4本のリブ63を有する。ロック部材60は、リブ63によって、下側部分51の上壁上面との接触面積を小さくすることができ、容易にスライドできる。レバー62は土台部61の前面中央に設けられ、前方に突出する。レバー62は、化粧パネル80下部の長穴88に後側から挿入され、先端部が前面Fよりも前方に突出する。ユーザはレバー62を操作し、ロック部材60をロック位置と解除位置に移動することができる。ロック位置は、レバー62が長穴88の右端に位置し、ロック部材60がチャイルドロックを機能させ、操作つまみ14を移動できなくする位置である。解除位置は、レバー62が長穴88の左端に位置し、ロック部材60がチャイルドロックを機能させず、操作つまみ14が移動可能となる位置である。
ロック部66は二組設けられ、土台部61の左右両端において夫々上方に突出する。ロック部66の前後方向の大きさWは、中火ガイド90と操作つまみ14の前後方向の間隙Gよりも小さい。ロック部66の上部には、右斜め上方を向く斜面65が形成される。更に、斜面65の上部には、連結部材25の外径よりも曲率が大きな円弧形状の弧面64が形成される。ロック部材60と燃料供給装置20がパネル本体部50に組み付けられた状態で、斜面65の上部と弧面64は、上下方向において、操作つまみ14と中火ガイド90の下端位置よりも上方に位置する。また、ロック部66には、斜面65と弧面64の後端に接続し、後方右斜め上方を向く傾斜面67が形成される。傾斜面67の後側にはロック部66を支えるリブ69が設けられる。そして、ロック部66の前面68は、前方を向く。
次に、図5、図8〜図10を参照し、ロック部材60の動作を説明する。なお、以下説明では、便宜上、奥バーナ6の操作つまみ13は待機位置にあるものとする。図8(A)に示すように、ロック部材60が左右方向の左端の解除位置に位置するとき、ロック部66は、操作つまみ14よりも左方に位置する。操作つまみ14とロック部66は前後方向に重ならない。よって、操作つまみ14に対する押込操作が行われた場合、操作つまみ14はロック部66に接触せず、第一押込位置に移動することができる。
図5(A)に示すように、操作つまみ14が待機位置にあるとき、ロック部66は、前後方向において、操作つまみ14と中火ガイド90の間隙G内に位置する。前述したように、ロック部66の前後方向の大きさWは、間隙Gの大きさより小さい。故に操作つまみ14が待機位置にあるとき、図8(B)に示すように、ユーザがロック部材60のレバー62を操作すると、矢印M1で示すように、ロック部材60は右方のロック位置に移動し、チャイルドロックを機能させることができる。ロック部66はロック位置において、前後方向において操作つまみ14と重なる。この状態で操作つまみ14に対する押込操作が行われても、操作つまみ14の後面がロック部66の前面68に当接して移動が規制されるため、操作つまみ14は第一押込位置に移動できない。
図5(B)に示すように、点火時に、操作つまみ14は押込操作によって待機位置から第一押込位置に押し込まれる。操作つまみ14が第一押込位置にあるとき、ロック部66は、前後方向において、操作つまみ14の側方に位置する。故にユーザがロック部材60を解除位置からロック位置に移動させようとしても、ロック部66は操作つまみ14の側面に当接して移動が規制される。ロック部66がロック位置に移動することができないので、チャイルドロックは機能しない。
図9(A)に示すように、ユーザが押込操作をやめて操作つまみ14から手を離すと、矢印M2で示すように、操作つまみ14は第一押込位置から操作位置に移動する。図5(C)に示すように、操作つまみ14が操作位置にあるとき、ロック部66は、前後方向において、中火ガイド90の側方に位置する。よって操作つまみ14が操作位置にあるとき、図9(B)に示すように、ユーザがロック部材60を解除位置からロック位置に移動させようとしても、ロック部66は中火ガイド90の側面に当接して移動が規制される。なお、図9(B)では、ロック部66の前後方向の位置と、中火ガイド90の傾斜部96の前後方向の位置とが重なる様子を二点鎖線で示す。ロック部66がロック位置に移動することができないので、チャイルドロックは機能しない。ユーザは、操作つまみ14の回動操作を行い、左バーナ5の火力を調節できる。
図5(D)に示すように、消火時に、操作つまみ14は押込操作によって操作位置から第二押込位置に押し込まれる。操作つまみ14が第二押込位置にあるとき、ロック部66は、前後方向において、操作つまみ14の側方に位置する。故に操作つまみ14が第二押込位置にあるとき、ユーザがロック部材60を解除位置からロック位置に移動させようとしても、ロック部66は操作つまみ14の側面に当接して移動が規制される。ロック部66がロック位置に移動することができないので、チャイルドロックは機能しない。ユーザが押込操作をやめて操作つまみ14から手を離すと、操作つまみ14は第二押込位置から待機位置に移動する。操作つまみ14が待機位置に移動すれば、上記したように、ユーザはレバー62を操作し、チャイルドロックを機能させることができる。
ところで、点火時に、操作つまみ14が押込操作によって待機位置から第一押込位置に押し込まれた後、バネ42の付勢力により第一押込位置から操作位置に移動する過程で、操作つまみ14は待機位置を通過する。また、消火時に、操作つまみ14が押込操作によって操作位置から第二押込位置に移動する過程で、操作つまみ14は待機位置を通過する。図5(A)に示すように、操作つまみ14が待機位置を通過するとき、ロック部66は、前後方向において、操作つまみ14と中火ガイド90の間隙G内に位置する。故に図10(A)に示すように、操作つまみ14が待機位置を通過するとき、誤操作やいたずら等によってロック部材60のレバー62が操作された場合、ロック部材60は、矢印M3で示すように、解除位置からロック位置に移動することができる。ロック部66が間隙G内に進入するため、特に消火時においては、操作つまみ14を第二押込位置に押し込むことが一時的にできなくなる。
この場合、図10(B)に示すように、点火時であれば、矢印M4に示すように、中火ガイド90がバネ42の付勢力で操作つまみ14と共に前方へ移動しようとする。また、消火時であれば、ユーザが操作つまみ14の押込操作を取りやめることで、点火時と同様に、中火ガイド90がバネ42の付勢力で、矢印M4に示すように、操作つまみ14と共に前方へ移動しようとする。中火ガイド90が前方へ移動することによって、中火ガイド90の傾斜部96の傾斜面97が、ロック部材60のロック部66の傾斜面67に当接する。中火ガイド90が、前方左斜め下方を向く傾斜面97で、後方右斜め上方を向く傾斜面67を前方に押圧することで生じた分力によって、ロック部66は、矢印M5で示すように、左方に押圧される。これにより、ロック部材60はロック位置から解除位置に移動するので、チャイルドロックが解除され、ユーザは、点火動作又は消火動作を再び行えるようになる。
なお、ロック部材60は、いたずらによる操作の抑制のため、左右方向への移動において負荷が付与される場合がある。この場合、バネ42の付勢力の分力だけでは、ロック部材60が左方に移動しない可能性がある。しかし、バネ42の付勢力の分力がロック部材60にロック位置から解除位置へ向けて移動する押圧力を加えた状態となるため、ロック部材60に付与された負荷は軽減される。従って、ユーザはロック部材60のレバー62を、より軽い負荷で操作でき、チャイルドロックを容易に解除し、点火動作又は消火動作を再び行うことができる。
上記説明では操作つまみ14の位置に応じたロック部材60の動作について説明したが、ロック部材60は、操作つまみ11〜13の位置に応じて同様に動作する。特に、操作つまみ13に対する押込動作を規制するロック部66と、操作つまみ14に対する押込動作を規制するロック部66は、1つのロック部材60において組をなして設けられている。従って、2つのロック部66が夫々の対応する間隙G内に進入するには、操作つまみ13と操作つまみ14が共に待機位置に位置する必要がある。よって、一方の操作つまみが例えば操作位置にある場合、他方の操作つまみに対する押込操作の過程で、誤操作やいたずら等が行われても、ロック部材60がロック位置に移動することはできない。
以上説明したように、バーナの点火時、操作つまみ14は、押込操作によって待機位置から第一押込位置に押し込まれた後、待機位置を経て操作位置に移動する。バーナの消火時、操作つまみ14は、押込操作によって操作位置から待機位置を経て第二押込位置に押し込まれた後、待機位置に移動する。待機位置を通過するとき、ロック部材60の操作によって、操作部21の間隙Gにロック部66が挿入される可能性がある。操作つまみ14はバネ42によって前方に付勢されており、中火ガイド90がロック部66を押圧する。ロック部66は、後面に傾斜面67を有する。中火ガイド90が傾斜面67を前方に押圧すると、その分力によって、ロック部材60を解除位置へ向けて移動する応力がロック部66に作用する。これにより、ロック部材60はロック位置から解除位置に移動しやすくなるので、ロック部66が間隙G内から離脱し、操作つまみ14がロックされた状態から移動できるようになる。よって、ガスコンロ1は、誤操作によりロック部66が間隙G内に挿入され、操作部21がロックされても、容易にロックを解除することができる。また、ロック部材60は、例えば子どものいたずらによる操作が容易とならないように、移動方向への移動に負荷をかける場合がある。この場合、中火ガイド90が傾斜面67を押圧する分力がロック部材60に作用しても、ロック部材60が解除位置へ移動しない可能性がある。しかし、ロック部材60に、解除位置へ向かう方向の応力が働くことによって、ロック部材60を手動でロック位置から解除位置に容易に移動させることができ、ロック状態を解除することができる。
操作つまみ14が操作位置にある場合に、中火ガイド90は操作つまみ14及び連結部材25と共に前後方向に移動し、ロック部66と連結部材25の間に位置する。即ち、操作つまみ14と中火ガイド90の間隙Gは、ロック部66の移動方向にない。このため、ロック部材60がロック位置に移動しようとしても、ロック部66は中火ガイド90に当接して連結部材25に接近できず、間隙G内に移動することもできない。故にガスコンロ1は、操作つまみ14が操作位置にありバーナが燃焼しているときに、誤操作等により、ロック部材60がロック位置に移動することを防止できる。
中火ガイド90の前面に傾斜面97を設けることで、中火ガイド90からロック部66に効率よく押圧力を加えることができ、ロック部材60にかかる解除位置へ向かう方向の応力を、より大きくすることができる。これにより、ロック部材60はロック位置から解除位置に、より移動しやすくなる。また、ロック部材60を手動でロック位置から解除位置に移動させる場合でも、より小さい力で、ロック部材60を解除位置に移動させることができる。
ロック部材60は2つのロック部66を備え、夫々のロック部66は、2つの燃料供給装置の夫々の間隙Gに対応する。故に、2つのロック部66が夫々の対応する間隙G内に進入するには、2つの燃料供給装置の操作つまみが夫々の待機位置に位置する必要がある。即ち、一方のバーナが使用中の場合、そのバーナに対応する燃料供給装置の操作つまみは操作位置にあり、間隙G内にロック部66を挿入できないので、ロック部材60をロック位置に移動できない。よってガスコンロ1は、誤操作によりロック部66が間隙G内に挿入され、操作部21がロックされてしまう可能性を減らすことができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。本発明に係る張出部の一例として中火ガイド90を説明したが、張出部は中火ガイド90に限らない。例えば、グリルバーナ用の燃料供給装置の場合、点火時に中火に変更する部材は不要である。故に、単に軸部の周囲において張り出して設けられ、操作つまみ12との間に間隙Gを形成する部材であればよい。
中火ガイド90の傾斜面97はなくてもよい。或いは、ロック部材60の傾斜面67はなくてもよい。傾斜面97と傾斜面67は、いずれか一方があればよい。ロック部材60はロック部66を二組備えるが、一組のみを備え、操作つまみ11〜14のチャイルドロックを夫々独立に機能させてもよい。操作つまみ14が第一押込位置から操作位置へ移動するとき、又は操作位置から第二押込位置へ移動するときに、操作つまみ14に加えられる付勢力はスライダ40のバネ42による付勢力であるが、その他のバネ等による付勢力も付与されてもよい。
ロック部材60のレバー62は、化粧パネル80の長穴88を介して筐体2の前面Fよりも前方に突出するが、これに限らず、先端部が前面Fよりも後方に位置し、例えば長穴88内にあってもよい。また、レバー62を、筐体2、パネル装置50、化粧パネル80、天板3等の正面側、天面側、側面側、底面側など、任意の部分において操作できるようにしてもよい。また、レバー62は、非操作時に隠蔽できる構成としてもよい。例えば、レバー62の先端部を下方に屈曲して設け、化粧パネル80の底面においてレバー62を操作できるようにする。この場合、パネル本体部50の下側部分51に設けられる操作パネル(図示略)を操作のために開いた場合にレバー62を操作でき、操作パネルを閉じた場合(下側部分51に収容した場合)には、レバー62を操作パネルで下側から覆い隠すことができる。なお、化粧パネル80の底面に凹部を形成し、レバー62の先端部を凹部内に配置すれば、操作パネルの開閉に対してレバー62が干渉することを防止できる。
上記説明において、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6、グリルバーナが本発明の「バーナ」の一例である。第一ガス通路46、第二ガス通路19が本発明の「ガス流路」の一例である。メイン弁39が本発明の「開閉弁」の一例である。ニードル弁28が本発明の「調節弁」の一例である。バネ42、43、47が本発明の「付勢部材」の一例である。ガス流路部22が本発明の「弁開閉機構」の一例である。連結部材25が本発明の「軸部」の一例である。中火ガイド90が本発明の「張出部」の一例である。レバー62が本発明の「移動部」の一例である。傾斜面67が本発明の「逃し傾斜面」の一例である。傾斜面97が本発明の「押出し傾斜面」の一例である。