JP2019037970A - リン酸吸着剤及びその製造方法並びに下水処理剤 - Google Patents

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博喜 加来田
利章 大原
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Abstract

【課題】キトサンの吸着能を向上させることで、使い勝手の良いリン酸吸着剤及びその製造方法並びに下水処理剤を提供する。【解決手段】キトサンが混合されることで作成したキトサン含有酢酸溶液を加熱することでキトサンを重合化して固形化物とし、この固形化物から成るリン酸吸着剤及び下水処理剤とする。このリン酸吸着剤は、酢酸溶液にキトサンを混合して加熱することで重合化させる工程と、重合したキトサンを乾固させて固形化物を作製する工程と、固形化物を水で洗浄した後に加熱しながら乾燥させて浄化固形化物を作製する工程と、浄化固形化物を粉砕してリン酸吸着剤とする工程とによって製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、キトサンを用いたリン酸吸着剤及びその製造方法並びに下水処理剤に関する。
リンは、体内においてカルシウムと結合し、骨や歯の構築に寄与する。この場合のリンとはリン酸である。腎臓機能が低下すると、不要なリン酸を尿として排泄することが難しくなるため、血液中のリン酸濃度が上昇する。リン酸濃度の上昇、いわゆる高リン血症は骨からのカルシウムの溶出を促し、骨密度の低下を促す。また、高リン血症は血管壁におけるリン酸イオンとカルシウムイオンの結合による石灰化が見られる。そのため、とくに腎機能低下者は血中リン酸濃度が上昇しないよう、食餌からのリン酸吸収を阻害するリン吸着薬が医薬として処方されている。
腎機能低下者に処方されるリン吸着薬としては、カルシウム含有製剤である沈降炭酸カルシウム薬が知られる。また、非カルシウム含有製剤としては、金属タイプの希土類であるランタン(La)と鉄を含有する炭酸ランタン水和物、クエン酸第二鉄水和物、スクロオキシ水酸化鉄、またポリマータイプの非吸収性陰イオン交換樹脂であるセベラマー塩酸塩、ビキサロマーなどが知られる(非特許文献1参照。)。
沈降炭酸カルシウム薬は、腸管内にて形成されるリン酸との難溶性塩を糞便中に排泄することで食餌からのリン酸吸収を阻害するものである。安価かつ消化器症状も軽度であるものの、含有されるカルシウムイオンに起因した血管石灰化が報告されている(非特許文献1参照。)。
炭酸ランタン水和物も、腸管内にいてリン酸との難溶性塩を形成することでその効果を発揮する。しかしながら、国内での臨床試験において約27%に副作用が報告された。その主なものは、嘔吐、悪心、胃不快感などである(非特許文献1参照。)。
クエン酸第二鉄水和物、スクロオキシ水酸化鉄も、腸管内にいてリン酸との難溶性塩を形成することでその効果を発揮する。しかしながら、国内での臨床試験において約30%に副作用が報告されており、その主なものは、下痢、便秘などである(非特許文献1参照。)。
セベラマー塩酸塩、ビキサロマーなどは、4級アミノ基に由来する正電荷に対し、負電荷を有するリン酸イオンとの静電相互作用に基づく塩形成による。セベラマー塩酸塩は、血清炭酸水素イオン濃度が低下し、アシードーシスを生じることが報告されている(非特許文献2参照。)。
上述するように、各種リン吸着薬が上市されているが、いずれも課題が残る。
また、リン酸は一般家庭や工場等から排出される廃水にも含まれ、河川を汚染する原因物質として知られる。このリン酸を除去する方法も求められている。水中のリン酸を吸着する吸着剤として、鉄塩(特許文献1参照。)や、アルミニウム化合物(特許文献2参照。)が提案されている。
各種酸性物質の吸着能を有している物質として、キトサンが知られる。リン酸の吸着を目的として使用されることがあるが、鉄塩やアルミニウム化合物等と比較して優れた性能を有しているわけではなく、経済的な観点から一般的に使用されるには至っていない。なお、キトサンは毒性を有していないことから、体内のリン酸を吸着するための吸着剤として使用されている。
しかしながら、キトサン単独でのリン酸吸着力が低いことが知られている。
耳展 2015,58,6,312−314. 透析会誌 2006,39,1245−1250.
特開昭56−152790号公報 特開昭61−71884号公報
本発明者は、キトサンの吸着能を向上させることで、リン酸吸着剤としての利用範囲を広めようとして研究開発を行い、本発明を成すに至ったものである。
本発明のリン酸吸着剤は、キトサン含有酢酸溶液を加熱することでキトサンを重合化させて成る固形化物であるリン酸吸着剤である。さらに、このリン酸吸着剤を食餌とともに食することで、食餌中のリン酸を吸着するものである。
また、本発明のリン酸吸着剤の製造方法では、酢酸溶液にキトサンを混合して加熱することで重合化させる工程と、重合したキトサンを乾固させて固形化物を作製する工程と、固形化物を水で洗浄した後に加熱しながら乾燥させて浄化固形化物を作製する工程と、浄化固形化物を粉砕してリン酸吸着剤とする工程とを有するものである。
また、本発明の下水処理剤では、キトサンを主成分とする下水処理剤であって、キトサンは、粉末状のキトサンを酢酸溶液と混合して加熱乾固させて粉末化している下水処理剤である。
本発明によれば、キトサンのリン酸の吸着能を向上させることができ、有効性の高いリン酸吸着剤、及び下水処理剤を提供できる。
本発明のリン酸吸着剤及びその製造方法並びに下水処理剤では、キトサンを酢酸溶液と混合することで作成されるキトサン含有酢酸溶液を加熱することでキトサンを重合化させるとともに固形化物とし、この固形化物から成るリン酸吸着剤であって、さらにはこのリン酸吸着剤を下水処理剤として使用するものである。
このリン酸吸着剤は、酢酸溶液にキトサンを混合して加熱することでキトサンを重合化させる工程と、重合したキトサンを乾固させて固形化物を作製する工程と、固形化物を水で洗浄した後に加熱しながら乾燥させて浄化固形化物を作製する工程と、浄化固形化物を粉砕してリン酸吸着剤とする工程とによって製造している。以下において具体的な製造方法を説明する。
<キトサンの重合化工程>
まず、酢酸溶液にキトサンを混合した混合溶液を作製する。酢酸溶液は2%酢酸溶液とし、キトサンは3%(w/v)としている。また、キトサンは乳鉢等であらかじめ十分に粉砕しておき、大きな粒子がない状態としておくことが望ましい。攪拌作業は室温で行ってよく、本実施形態では、4時間程度の攪拌を行って混合溶液を作製した。
混合溶液を適宜の鍋に入れて加熱する。混合溶液を加熱することでキトサンの重合化を生じさせている。
<乾固工程>
混合溶液がキャラメル程度の色になるまで鍋を加熱し、そのまま鍋を加熱し続けることで重合したキトサンを乾固させて固形化物とする。このとき、鍋を加熱する際の火力は、弱火から中火程度が望ましい。
この乾固工程において、混合溶液の鍋への焦げ付きが生じるが、このような焦げ付きに対しては、水を加えて煮沸することで海苔状となって剥がれるため、これも固形化物として回収した。
<浄化工程>
上述した方法で作製した固形化物には、溶媒が残留しているので、この溶媒の除去を目的として洗浄を行う。具体的には、水を用いた吸引濾過を行っており、本実施形態では、5gの固形化物に対して100mlの水を用いて行い、この洗浄作業を2回行った。
水による洗浄後、加熱吸引しながら乾燥させることで浄化固形化物を作製した。この乾燥処理は、3日間程度行って、完全に乾燥させた。
<粉砕工程>
上述した方法で作製した浄化固形化物を粉砕機を用いてパウダー状に粉砕してリン酸吸着剤とする。
以下の説明においては、このようにして作製されたリン酸吸着剤を「加工キトサン」と呼ぶこととし、酢酸溶液を用いた重合化を行っていないキトサンを「未加工キトサン」と呼ぶこととする。
<未加工キトサンと加工キトサンとの比較>
以下において、未加工キトサンと加工キトサンとの比較試験の結果について説明する。ここで、さらなる比較試験として、酢酸溶液の代わりに塩酸溶液を用いた場合の加工キトサンも作製し、試験を行った。
リン酸の吸着を評価するためにリン酸干渉生理食塩水(PBS)を用いた。未加工キトサンの溶液及び加工キトサンの溶液を作製し、PBSを1mlずつ加えて混和し、24時間室温にて静置した後、溶液をそれぞれ混和して、上清を採取してリン酸値を測定した。吸着率は、
吸着率(%)=(未反応サンプル水のリン酸値−反応後サンプル水のリン酸値)
/未反応サンプル水のリン酸値×100
としている。なお、リン酸値の測定には、プリンヌクレオシドホスホリラーゼを用いる酵素法を用いた。
試験結果を下表に示す。ここで、キトサン(−)は、未加工キトサンを用い、酢酸溶液あるいは塩酸溶液ではなく水で重合化工程及び乾固工程を行った場合である。また、加熱(−)は、混合溶液の乾固工程ではなく、単なる乾燥により酢酸溶液あるいは塩酸溶液を除去した場合である。それぞれ3〜4回の試験(n−1,n−2,n−3,n−4)を行って、平均処理をした。
Figure 2019037970
上表に示すように、塩酸溶液ではなく酢酸溶液を加えて重合化させたキトサンが、リン酸の吸着率が最も高いことが確認できた。
<食品サンプル水を用いたリン酸の吸着試験>
上述した試験ではPBSを用いたが、一般的な食品から生じるリン酸の吸着能を確認するために、煮干しから抽出したリン酸を用いて試験を行った。
すなわち、煮干しを粉末状として2g秤量し、純水10mLを加えて混和し、1晩室温に置いた上澄みを2倍希釈して食品サンプル水とした。
食品サンプル水2mLに対して加工キトサンを100mg加えて反応させ、直後(0分)、15分後、30分後、60分後、120分後のリン酸値を測定し、吸着率を算出した。吸着率は、
吸着率(%)=(未反応食品サンプル水のリン酸値−反応後食品サンプル水のリン酸値) /未反応食品サンプル水のリン酸値×100
としている。なお、リン酸値の測定には、プリンヌクレオシドホスホリラーゼを用いる酵素法を用いた。サンプル数は、それぞれ3として、平均処理をした結果を下表に示す。
Figure 2019037970
上表に示すように、リン酸の吸着は即時的に生じていることがわかる。すなわち、本発明のリン酸吸着剤を食餌とともに食することで、食餌中のリン酸をリン酸吸着剤が吸着し、体内に取り込まれるリン酸を低減可能であることを示している。
<下水処理剤のリン酸吸着能の評価試験>
上述した方法で作製した下水処理剤のリン酸吸着能を、実際の下水サンプルを用いて試験した。
本試験では、エッペンチューブに下水サンプルを1mL入れて、本発明の下水処理剤を所定量添加して24時間静置して、その後、溶液の混合・遠心を行い、上清を採取してリン酸値を測定した。下水処理剤の添加量は、5mg、10mg、25mg、50mgとした。吸着率は、
吸着率(%)=(未反応サンプルンのリン酸値−反応後サンプルのリン酸値)
/未反応サンプルのリン酸値×100
としている。なお、リン酸値の測定には、プリンヌクレオシドホスホリラーゼを用いる酵素法を用いた。サンプル数は、それぞれ「3」として、平均処理をした結果を下表に示す。
下表に、第1サンプルの結果を示す。第1サンプルのリン酸濃度は、10.2〜10.6mg/dLであった。
Figure 2019037970
また、下表に、第2サンプルの結果を示す。第2サンプルのリン酸濃度は、26.4mg/dLであった。
Figure 2019037970
上表に示すように、サンプル水1mLに対して、50mgの下水処理剤を添加することで80%以上のリン酸を吸着除去可能であり、サンプル水のリン酸濃度が低ければ、より少ない添加量でも80%以上のリン酸を吸着除去可能であった。
上述した試験では、下水処理剤の添加量を評価したが、下水処理剤を添加した際のリン酸吸着率の時間変化の確認を行った。
第2サンプルの下水を用い、1mLの下水サンプルに50mgの下水処理剤を添加して、直後(0分)、15分後、30分後、60分後、120分後のリン酸値を測定し、吸着率を算出した。サンプル数は、それぞれ3として、平均処理をした結果を下表に示す。
Figure 2019037970
上表に示すように、リン酸の吸着は即時的に生じており、例えば、本発明の下水処理剤をフィルターなどに添着させて下水を通過させる構造するだけでも、リン酸の吸着除去を可能とすることができる。あるいは、本発明の下水処理剤は無害であることから、下水に本発明の下水処理剤を散布して、下水処理剤を濾別する構成とすることもできる。
このように、本発明の下水処理剤を用いることで、下水に含まれるリン酸を吸着・除去することが可能であるが、本発明の下水処理剤が用いられる下水は、水道水等の上水と比較してリン酸濃度が高い水を全て含むものである。

Claims (4)

  1. キトサン含有酢酸溶液を加熱することでキトサンを重合化させて成る固形化物であるリン酸吸着剤。
  2. 請求項1記載のリン酸吸着剤を食餌とともに食することで、前記食餌中のリン酸を吸着するリン酸吸着剤。
  3. 酢酸溶液にキトサンを混合して加熱することで重合化させる工程と、
    重合したキトサンを乾固させて固形化物を作製する工程と、
    前記固形化物を水で洗浄した後に加熱しながら乾燥させて浄化固形化物を作製する工程と、
    前記浄化固形化物を粉砕してリン酸吸着剤とする工程と
    を有するリン酸吸着剤の製造方法。
  4. キトサンを主成分とする下水処理剤であって、
    前記キトサンは、粉末状のキトサンを酢酸溶液と混合して加熱乾固させて粉末化している下水処理剤。
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