JP2019036582A - ソレノイド駆動装置および自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異常検出時間を短縮できるようにしたソレノイド駆動装置および自動変速装置を提供する。【解決手段】自動変速機1のソレノイド2は、変速制御装置3により駆動される。変速制御装置3は、目標電流設定部9の基本設定部14によりエンジン等の状態を示す信号に基づいて基本電流Iaimが設定され、これにディザ設定部10によりディザ電流Idthが加算されて励磁電流が設定される。励磁電流をソレノイド2に通電するように、デューティ比が設定され、これに基づいてPWM信号が生成される。異常判定部13の異常検出部14は、ソレノイド2のディザ周期の平均電流を算出して判定し、異常が検出されるとディザ機能を禁止する。異常検出部14により、PWM周期で平均電流を算出して異常が確定されると異常時制御部19によりフェールセーフ処理が実施される。【選択図】図1
Description
本発明は、ソレノイド駆動装置および自動変速機の変速制御装置に関する。
車両の自動変速機をソレノイドで制御するものでは、ソレノイド駆動装置として、PWM信号にPWM周期よりも長い周期のディザ信号を重畳してソレノイドを制御することで応答精度を向上させる手法がある。この場合、ディザ機能を使用するソレノイド制御では、ソレノイド及び駆動回路等の異常検出をする際に、ディザによる電流変動を考慮する必要がある。このため、ディザ周期毎にソレノイドの電流検出値の平均値を計算し、その電流平均値に基づいてソレノイド及び駆動回路等の断線、地絡、天絡といった異常の検出をするといった手法を取る必要がある。しかし、ディザ周期で電流を検出するため、検出に時間がかかる課題がある。
一方、従来では、ソレノイドへの指令電圧を変えることで励磁電流を制御する方式において、指令電圧へのディザ機能の重畳を中止することで、ディザ機能による励磁電流の変動を抑えて一定レベルの励磁電流を検出することで、短時間で異常検出を行うことができるものが提案されている。
しかし、ソレノイドへの指令電圧ではなく、PWM制御方式を採用してソレノイドの励磁電流を制御する方式においては、次のような別の不具合がある。すなわち、異常検出のために、励磁電流の変動要因となるディザ機能とPWM信号の両方を止めてソレノイドの励磁電流を定電流にした状態では、異常検出については短時間で実施できるようになる。しかしその一方で、異常検出の動作中は、ソレノイドの励磁電流を単純に通電か非通電でしか制御できない状態となり、ソレノイドの動作を制御できない状態となる。
したがって、例えば自動変速機の油圧制御にソレノイドを用い、PWM制御方式でディザ機能を重畳させる方式では、上記した異常検出処理を実施する場合に、制御状態にある自動変速機に対してPWM制御を停止することになるため、走行中に意図しない変速ギアに切り替わる可能性があり、最悪の場合インターロックによる車両緊急停止という状況もありうる。そのため、これを回避するためには、駆動していないソレノイドに限定して実施するか、車両が完全に停止している時間に実施するといった制約を設ける必要があり、異常検出時間の短縮を行える状況が限定されてしまうという課題がある。
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、PWM制御にディザ機能を重畳させてソレノイドを駆動する方式において、制御動作を保持させながら、異常検出時間を短縮できるようにしたソレノイド駆動装置および自動変速機の変速制御装置を提供することにある。
請求項1に記載のソレノイド駆動装置は、ソレノイドに対してPWM信号に低周波のディザ機能を重畳した励磁電流を供給して駆動制御するソレノイド駆動装置であって、前記ソレノイドに流れる励磁電流を検出する電流検出部と、前記ソレノイドに対してディザ信号の重畳を停止して励磁電流を供給する状態で、前記電流検出部による検出電流の平均値を算出した電流平均値に基づいて前記ソレノイドの異常状態を判定する異常判定部とを備えている。
上記構成を採用することにより、異常判定部は、ソレノイドに対してディザ信号の重畳を停止して励磁電流を供給する状態で、電流検出部による検出電流の平均値を算出した電流平均値に基づいて前記ソレノイドの異常状態を判定する。この場合、ディザ信号が重畳されていないので、励磁電流の平均値は、ディザ信号の周期よりも短い周期で算出することができる。例えば、PWM信号の周期を単位として、1回分もしくは複数回分の周期の励磁電流を平均することで得ることができる。これにより、ソレノイドの異常状態の判定をディザ周期よりも短い期間で平均電流を得ることで、迅速に異常状態の判定を行うことができるようになる。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
自動変速機1は、変速機構部1aを主体として構成されこの変速機構部1aをソレノイド2により制御力を与えて駆動制御する構成である。変速機構部1aは、ソレノイド2への通電制御によって複数の変速段あるいはニュートラルのいずれかの位置に切り替え設定可能に構成されている。変速制御装置3はソレノイド2への通電制御を行って自動変速機1の駆動制御をするものである。
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
自動変速機1は、変速機構部1aを主体として構成されこの変速機構部1aをソレノイド2により制御力を与えて駆動制御する構成である。変速機構部1aは、ソレノイド2への通電制御によって複数の変速段あるいはニュートラルのいずれかの位置に切り替え設定可能に構成されている。変速制御装置3はソレノイド2への通電制御を行って自動変速機1の駆動制御をするものである。
変速制御装置3において、ソレノイド2に通電するための構成として、MOSFET4が直流電源VDとソレノイド2の一方の端子との間に接続されている。ソレノイド2の一方の端子には還流電流を流すためのダイオード5がグランドとの間に接続されている。ソレノイド2の他方の端子は電流検出部6を介してグランドに接続されている。電流検出部6は、例えば電流検出抵抗などを用いることができる。電流検出部6は、ソレノイド2の電流を検出して検出信号Idetを出力する。MOSFET4は、駆動回路7を介して制御回路8からゲート駆動信号が与えられる。
制御回路8は、マイコンおよびROM、RAMなどのメモリなどを備えた構成で、メモリに予め記憶されているプログラムに基づいてソレノイド2の通電制御を行うものである。また、制御回路8は、図1に示しているように、上記の制御内容を機能ブロック構成で示すことができる。ここでは、制御回路8は、目標電流設定部9、デューティ比設定部10、PWM信号生成部11、平均電流算出部12および異常判定部13を備えた構成である。
目標電流設定部9は、基本設定部14およびディザ設定部15を備えている。基本設定部14は、車両の各部から入力される入力回転数信号Nin、エンジン回転数信号Ne、エンジントルクTqなどに基づいて基本電流Iaimを流すための信号を設定して出力する。ディザ設定部15は、油圧システムの油温信号Toilに基づいてディザ電流Idthを流すための信号を設定して出力する。ディザ電流Idthは、基本電流Iaimを基準として正負に所定周期Tdで振動する電流値である。
平均電流算出部12は、ディザ周期平均電流算出部16およびPWM周期平均電流算出部17を備え、電流検出部6から電流検出信号Idetが入力される。ディザ周期平均電流算出部16は、ディザ信号の周期Tdの期間で電流検出信号Idetの平均電流をディザ平均電流Iadとして算出している。また、PWM周期平均電流算出部17は、PWM信号の周期Tpの期間で電流検出信号Idetの平均電流をPWM平均電流Iapとして算出する。
平均電流算出部12は、目標電流設定部9にディザ平均電流Iadを出力し、デューティ比設定部10にPWM平均電流Iapを出力している。また、平均電流算出部12は、異常判定部13に対して、通常はディザ平均電流Iadを出力し、異常判定部13から検出信号Sdが与えられるとPWM平均電流Iapを出力する。
前述した目標電流設定部9は、基本設定部14にて設定された基本電流Iaimを、平均電流算出部12のディザ周期平均電流算出部16から入力されるディザ平均電流Iadと偏差を演算してその差分に応じて基本電流Iaimを補正する。そして、補正された基本電流Iaimとディザ電流Idthとを加算したものを目標電流Itとして出力する。
デューティ比設定部10は、目標電流設定部9から入力された目標電流Itと平均電流算出部12から入力されたPWM平均電流Iapとの偏差を演算し、フィードフォワード項を算出する。続いて、デューティ比設定部10は、フィードフォワード項とフィードバック項とを加算してデューティ比Rdを算出し、目標電流値ItがPWM平均電流Iapに一致するようにデューティ比Rdを調節する。
なお、本実施形態では、目標電流設定部9が目標電流値Itを設定する周期は、デューティ比設定部10がデューティ比Rdを設定する周期と等しく、PWM周期Tpとなっている。つまり、目標電流値Itおよびデューティ比Rdは、PWM周期Tpが経過する度に設定され、1ディザ周期Tdが経過する間に複数回更新される。
異常判定部13は、異常検出部18および異常時制御部19を備えている。異常検出部18は、与えられた平均電流Iadの値から後述する処理手順に従って異常検出処理を実施し、異常が検出されると検出信号Sdを目標電流設定部9のディザ設定部15および平均電流算出部12に出力する。また、異常検出部18は、異常が検出された場合には、後述する処理手順に従って異常確定処理を実施し、異常が確定されると異常確定信号Scを異常時制御部19に出力する。異常時制御部19は、異常確定信号Scが与えられると、後述する処理手順に従って異常時に対応した自動変速機1の制御を実施する。
次に、上記構成の作用について、図2から図6も参照して説明する。
まず、変速制御装置3の概略的な動作について説明する。変速制御装置3においては、制御回路8に、入力回転数センサから回転数信号Nin、エンジン回転数センサからエンジン回転数信号Ne、エンジントルクセンサからエンジントルク信号Tq、油温センサから油温信号Toilなどから検出信号が入力される。制御回路8は、これらの信号に基づいて目標電流設定部9において、基本設定部14により基本電流Iaimを設定するとともに、ディザ設定部15によりディザ電流Idthを設定する。
まず、変速制御装置3の概略的な動作について説明する。変速制御装置3においては、制御回路8に、入力回転数センサから回転数信号Nin、エンジン回転数センサからエンジン回転数信号Ne、エンジントルクセンサからエンジントルク信号Tq、油温センサから油温信号Toilなどから検出信号が入力される。制御回路8は、これらの信号に基づいて目標電流設定部9において、基本設定部14により基本電流Iaimを設定するとともに、ディザ設定部15によりディザ電流Idthを設定する。
目標電流設定部9では、基本設定部14で設定された基本電流Iaimと、ディザ設定部15で設定されたディザ電流Idthとに基づいて、目標電流Itが設定され、デューティ比設定部10に出力される。デューティ比設定部10では、目標電流Itに相当する励磁電流を流すため、PWM信号のデューティ比Rdを設定する。PWM信号生成部11では、入力されるデューティ比Rdに従って、ディザ周波数よりも高周波となる所定のPWM周波数でPWM信号Spwmを生成して出力する。駆動回路7においては、入力されるPWM信号Spwmに従って、MOSFET4のゲートにオンオフの制御信号を出力する。
図5の上段には、励磁電流の変化を示しており、ディザ周期1周期Td分を示している。ここで、上記した基本電流Iaimは、図中破線で示すように平均的な電流値である。また、点線で示すディザ電流Idthは、ディザ振動を与えるために、基本電流Iaimに重畳する信号成分で、ディザ周期Tdで繰り返し変化するように設定されている。また、ディザ電流Idthで示されるレベルの励磁電流を流すために、PWM信号Spwmを図5の下段に示している。ディザ電流Idthが増大する期間では、デューティ比R1が大きく設定され、減少する期間ではデューティ比R2が小さく設定されている。
これにより、MOSFET4がオンオフ駆動制御されると、自動変速機1のソレノイド2に励磁電流が通電されるようになる。これによって、自動変速機1の変速機構部1aは所定のシフト位置に駆動制御される。
上記動作中において、制御回路8による自動変速機1の駆動制御が正常に実施されているか否かについて、異常判定部13は、異常検出部14において異常検出処理を実施している。次に、この異常判定部13による異常検出処理について図2を参照して説明する。
異常判定部13は、異常検出処理を開始すると、ステップA1で、平均電流算出部12のディザ周期平均電流算出部16からディザ周期Td毎に平均電流Iadを入力する。次に、異常判定13は、ステップA2で、異常検出部14に入力される平均電流Iadが上限値IaH以上のレベル(Iad≧IaH)であるか否かを判断する。すなわち、ステップA2では、異常に高い電流が流れているか否かを判断している。
このステップA2でNOの場合には、異常検出部14は、次のステップA3で、平均電流算出部12から入力されるディザ周期の平均電流Iadが下限値IaL以下のレベル(Iad≦IaL)であるか否かを判断する。すなわち、ステップA3では、異常に低い電流が流れているか否かを判断している。このステップA2でNOの場合には、異常判定部13は、異常が検出されていない状態であるとしてステップA1に戻り、以下、上述の処理を繰り返し実行している。
また、ステップA2あるいはA3においてYESとなった場合には、異常判定部13は、ステップA4に進み、ディザ機能の重畳を禁止する。異常判定部13は、平均電流Iadのレベルが、上限値IaH以上の場合、あるいは下限値IaL以下の場合には、平均電流Iaveのレベルが異常レベルである場合であり、PWM制御の元でデューティ比を設定しているにも拘らず異常であるから異常検出状態となる。
この場合には、異常判定部13は、目標電流設定部9のディザ設定部15に対してディザ機能の重畳を禁止させるために切替信号Sdを出力する。これにより、ディザ設定部15は、ディザ電流Idthの設定を停止し、ディザ電流Idthを加算することなく、そのまま基本電流Iaimの信号がデューティ比設定部10に入力される。
また、異常判定部13は、平均電流算出部12に対しても異常検出部14から切替信号Sdを与える。これにより、平均電流算出部12は、異常判定部13の異常検出部14に対してPWM周期平均電流算出部17により算出されるPWM周期Tpの平均電流Iapを入力するようになる。
なお、ステップA4で一定時間待機するのは、次の理由による。すなわち、前述のようにフィードバック制御によってソレノイド2への励磁電流を制御している状態でディザ機能の重畳を停止すると、直後においては電流検出値にディザ機能による電流変動が残るという事情がある。次の異常確定処理では、そのような電流変動を排除してPWM信号周期で電流検出値が安定して実施できるようにするためである。なお、この実施形態では、ディザ機能の重畳を停止できる状況に特に制限がないため、従来技術の問題点であった、ディザ機能の重畳を停止できる条件が限定的となる課題を解決している。
図6はディザ機能を禁止した場合の励磁電流の波形を示している。基本電流Iaimを流すためのPWM信号Spwmによりデューティ比RxでMOSFET4がオンオフ制御され、励磁電流が生成されている。励磁電流は、PWM信号Spwmの周期Tpで変化するパターンとなっている。なお、この場合のデューティ比Rxは、ディザ電流Idthを流す場合に設定されたデューティ比R1とR2の中間的な値になっている。
この後、異常判定部13は、ステップA5で、一定時間待機した後、異常確定処理に移行する。ステップA5で、処理動作を一定時間待機するのは、ディザ機能を禁止してディザ周期Tdによる振動成分が停止された状態が安定するのを待つためである。
次に、異常判定部13による異常確定処理について図3を参照して説明する。
異常判定部13は、異常確定処理を開始すると、ステップB1で、平均電流算出部12のPWM周期平均電流算出部17からPWM周期Tpの期間毎の平均電流値Iapを入力する。これは、異常判定部13が平均電流算出部12に異常検出信号Sdを出力したことにより切り替えられたものである。
異常判定部13は、異常確定処理を開始すると、ステップB1で、平均電流算出部12のPWM周期平均電流算出部17からPWM周期Tpの期間毎の平均電流値Iapを入力する。これは、異常判定部13が平均電流算出部12に異常検出信号Sdを出力したことにより切り替えられたものである。
次に、異常判定部13は、ステップB2で、異常検出部18において、入力される平均電流Iapが上限値IaH以上のレベル(Iap≧IaH)であるか否かを判断する。すなわち、ステップB2では、異常に高い電流が流れているか否かを判断している。異常検出処理で検出された異常状態で、ディザ周期Tdでの平均電流Iadが上限値IaH以上のレベルである場合には、異常確定処理でもPWM周期Tpでの平均電流Iadが上限値IaH以上のレベルとなる可能性が高い。
異常判定部13は、このステップB2でYESとなる場合には、ステップB3に進み、異常カウンタC1の値を「1」インクリメント(C1=C1+1)する。続いて、異常判定部13は、ステップB4で、異常カウンタC1の値が所定のカウント上限値C1xに達した(C1≧C1x)状態かどうかを判定する。達していない場合には、異常判定部13は、ステップB4でNOと判断してステップB1に戻り、ステップB2でYESとなる場合に上記のステップB1〜B4の処理を繰り返し実行する。
この場合、平均電流Iadが上限値IaH以上となる異常状態では、これが継続的に発生している可能性が高い。また、ノイズや誤検出などにより、たまたまステップB2でYESとなっていた場合には、2回目以降でNOとなる可能性が高く、カウンタC1の値がC1xに達することはなく、これによって異常の検出が誤検出であったことがわかり、異常状態の確定をすることはなくなる。
このようにして、処理が進み、異常カウンタC1の値がカウント上限値C1xに達した場合には、異常判定部13は、ステップB4でYESと判断し、異常が確定されたことで、この異常に対処するために後述するフェールセーフ処理を実行する。
また、異常判定部13は、このステップB2でNOとなる場合には、ステップB5に進み、異常検出部18において、入力される平均電流Iapが下限値IaL以下のレベル(Iap≦IaL)であるか否かを判断する。すなわち、ステップB5では、異常に低い電流が流れているか否かを判断している。異常検出処理で検出された異常状態で、ディザ周期Tdでの平均電流Iadが下限値IaL以下のレベルである場合には、異常確定処理でもPWM周期Tpでの平均電流Iadが下限値IaL以下のレベルとなる可能性が高い。
異常判定部13は、このステップB5でYESとなる場合には、ステップB6に進み、異常カウンタC2の値を「1」インクリメント(C2=C2+1)する。続いて、異常判定部13は、ステップB7で、異常カウンタC2の値が所定のカウント上限値C2xに達した(C2≧C2x)状態かどうかを判定する。達していない場合には、異常判定部13は、ステップB7でNOと判断してステップB1に戻り、上記のステップB1、B2、B5〜B7の処理を繰り返し実行する。
この場合、平均電流Iadが下限値IaL以下となる異常状態では、これが継続的に発生している可能性が高い。また、ノイズや誤検出などにより、たまたまステップB5でYESとなっていた場合には、2回目でNOとなる可能性が高く、これによって異常の検出が誤検出であったことがわかり、確定することはなくなる。
このようにして、処理が進み、異常カウンタC2の値がカウント上限値C2xに達した場合には、異常判定部13は、ステップB7でYESと判断し、異常が確定されたことで、この異常に対処するために異常時制御部19によりフェールセーフ処理を実行する。
そして、異常判定部13は、ステップB2およびB5のいずれにおいてもNOと判断したときには、異常検出処理においてノイズや誤検出などによってたまたま異常状態であると判断された場合などに該当する。この場合には、異常判定部13は、異常が発生していなかったとしてステップB8に進み、ディザ機能の重畳を再開した後、前述した異常検出処理に戻って実行するようになる。
次に、フェールセーフ処理について、図4を参照して説明する。
異常確定処理によって異常であることが確定すると、異常判定部13においては、異常検出部18から異常時制御部19に確定信号Scを出力する。これにより、異常時制御部19は、図4に示す流れでフェールセーフ処理を実行する。異常時制御部19は、まずステップC1で、車両が走行中であるか否かを判断し、YESの場合にはステップC2に進む。この場合、制御回路8においては、車両の速度信号を取り込んでおり、異常時制御部19は、この速度信号から走行中であるか否かを判断する。
異常確定処理によって異常であることが確定すると、異常判定部13においては、異常検出部18から異常時制御部19に確定信号Scを出力する。これにより、異常時制御部19は、図4に示す流れでフェールセーフ処理を実行する。異常時制御部19は、まずステップC1で、車両が走行中であるか否かを判断し、YESの場合にはステップC2に進む。この場合、制御回路8においては、車両の速度信号を取り込んでおり、異常時制御部19は、この速度信号から走行中であるか否かを判断する。
異常時制御部19は、ステップC2で、自動変速機1の変速段のうち、現在設定されている変速段以外の切替可能な他の変速段があるか否かを判断する。異常時制御部19は、ステップC2では、目標電流設定部9において制御されている変速段の情報に基づいて変速段の有無を判断している。
異常時制御部19は、ステップC2でもYESの場合には、ステップC3に進み、目標電流設定部9に対して、他の形成可能な変速段に移行するように移行信号Sfを出力して変速動作を行わせてフェールセーフ処理を停止する。これにより、異常が発生した状態で設定されていた変速段から制御可能な他の変速段に切り替えられるので、安全な位置に車両を移動させるための退避走行をすることができる。
一方、ステップC1でNOの場合あるいはステップC2でNOの場合には、異常時制御部19は、設定可能な変速段が存在しないので、目標電流設定部9に対して、変速段をニュートラル位置に設定するように移行信号Sfを出力する。これにより、異常が発生した状態で設定されていた変速段からニュートラル状態に切り替えられるので、停止中の場合にはそのまま停止状態を保持することができ、走行中の場合には惰性走行を利用してブレーキを使用しながら退避走行を行うことができる。
以上のようにフェールセーフ処理が実行されることで、自動変速機1のソレノイド2に異常が発生した場合には、車両の走行中では惰力走行による退避走行で安全な位置まで移動でき、停止中ではニュートラル状態とすることで不用意に走行させないようにすることができる。
このような本実施形態によれば、異常判定部13により、異常検出処理でソレノイド2の異常状態が検出されると、励磁電流へのディザ電流Idthの重畳を禁止してPWM周期Tpで平均電流Iapを検出するようにしたので、異常確定の処理に要する時間を大幅に短縮することができる。
また、異常が確定されると、異常判定部13の異常時制御部19により、フェールセーフ処理を実行して自動変速機1のシフト位置をソレノイド2で制御可能な変速段あるいはニュートラルに駆動することができるので、車両が走行中の場合でも迅速且つ安全に退避走行に移行することができるようになる。
(第2実施形態)
図7および図8は第2実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、異常判定部13による異常検出処理および異常確定処理において、平均電流値に加えて、基本電流Iaimを生成するためのPWM信号のデューティ比も判定項目に取り入れている。
図7および図8は第2実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、異常判定部13による異常検出処理および異常確定処理において、平均電流値に加えて、基本電流Iaimを生成するためのPWM信号のデューティ比も判定項目に取り入れている。
すなわち、図7に示す異常検出処理では、異常判定部13は、ステップA2aにおいて、現在のPWM信号Spwmのデューティ比Rxがデューティ比下限値RL以下(Rx≦RL)で、且つ、異常検出部17において、ディザ周期Tdでの平均電流Iadが上限値IaH以上(Iad≧IaH)となるレベルであるか否かを判断する。これは、デューティ比Rxが低いにもかかわらず、平均電流Iadが異常に高い場合をソレノイド2の異常として検出しようとするものである。
また、異常判定部13は、ステップA2でNOの場合には、次のステップA3aで、PWM信号Spwmのデューティ比Rxがデューティ比上限値RH以上(Rx≧RH)で、且つ、異常検出部17において、平均電流Iadが下限値IaL以下(Iad≦IaL)のレベルであるか否かを判断する。これは、デューティ比Rxが高いにもかかわらず、平均電流Iadが異常に低い状態についてソレノイド2の異常として検出しようとするものである。
そして、ステップA2aあるいはA3aにおいてYESとなった場合には、異常判定部13は、ステップA4、A5へと進み、以下第1実施形態と同様の処理を実施して次の異常確定処理に進む。
次の異常確定処理においても、図8に示すように、異常判定部13は、上記と同様に、ステップB2a、ステップB5aにおいて、デューティ比Rxを判定条件として設定している。すなわち、異常判定部13は、ステップB2aで、現在のPWM信号Spwmのデューティ比Rxがデューティ比下限値RL以下(Rx≦RL)で、且つ、異常検出部17において、入力される平均電流Iapが上限値IaH以上(Iap≧IaH)のレベルであるか否かを判断する。
また、同様に、異常判定部13は、ステップB2aでNOとなる場合には、ステップB5aに進み、PWM信号Spwmのデューティ比Rxがデューティ比上限値RH以上(Rx≧RH)で、且つ、異常検出部17において、入力される平均電流Iapが下限値IaL以下(Iap≦IaL)のレベルであるか否かを判断する。
他の処理動作については、第1実施形態とほぼ同じである。
したがって、このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得る事ができるとともに、デューティ比Rxの設定条件によってもソレノイド2の異常状態を判定することができるようになる。
したがって、このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得る事ができるとともに、デューティ比Rxの設定条件によってもソレノイド2の異常状態を判定することができるようになる。
(他の実施形態)
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
上記実施形態では、異常検出処理のステップA4でディザ機能の重畳を禁止した後に、ステップA5で一定時間待機するようにしたが、これに限らず、ステップA5を省略してディザ機能の禁止直後から異常確定処理を実行することもできる。なお、この場合には、異常確定処理の精度は若干低下することがあるが、許容範囲が広い場合や処理速度を優先する場合には適用することができる。
上記実施形態では、PWM周期Tpでの平均電流を1周期毎に算出するようにしているが、これに限らず、ディザ周期Tdよりも短い範囲の複数周期で算出するようにしても良い。
上記実施形態では、異常確定処理において、平均電流値Iapが高電流異常あるいは低電流異常のいずれでも無い場合に、すぐにステップB8においてディザ機能を再開しているが、この場合についてもカウンタを設けて複数回異常がないことを検出した場合にステップB8に移行するようにしても良い。
上記実施形態では、異常確定処理において、平均電流値Iapが高電流異常状態を判定した後に、低電流異常状態を判定したような場合に、先に異常状態でカウントした異常カウンタをクリアするような処理を実施していないが、そのような場合に対応してカウンタをクリアする処理を実施することもできる。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
図面中、1は自動変速機、1aは変速機構部、2はソレノイド、3は変速制御装置、6は電流検出部、8は制御回路、9は目標電流設定部、10はデューティ比設定部、12は平均電流算出部、13は異常判定部、14は基本設定部、15はディザ設定部、16はディザ周期平均電流算出部、17はPWM周期平均電流算出部、18は異常検出部、19は異常時制御部である。
Claims (5)
- ソレノイド(2)に対してPWM信号に低周波のディザ機能を重畳した励磁電流を供給して駆動制御するソレノイド駆動装置(3)であって、
前記ソレノイドに流れる励磁電流を検出する電流検出部(6)と、
前記ソレノイドに対してディザ信号の重畳を停止して励磁電流を供給する状態で、前記電流検出部による検出電流の平均値を算出した電流平均値に基づいて前記ソレノイドの異常状態を判定する異常判定部(13)と、
を備えたソレノイド駆動装置。 - 前記異常判定部は、前記電流検出部による検出電流の電流平均値を前記PWM信号の周期で算出する請求項1に記載のソレノイド駆動装置。
- 前記異常判定部は、前記ディザ信号の重畳停止後に一定時間が経過してから前記電流検出部による検出電流の電流平均値を算出する請求項1または2に記載のソレノイド駆動装置。
- 前記異常判定部は、前記電流検出部による検出電流の平均値を算出した電流平均値に加えて、前記ソレノイドへの指令電流または指令デューティ比にも基づいて前記ソレノイドの異常状態を判定する請求項1から3のいずれか一項に記載のソレノイド駆動装置。
- 車両の走行制御をソレノイドにより変速段またはニュートラルに切り替えることで制御する自動変速機の変速制御装置であって、
前記ソレノイドを駆動制御する請求項1から4のいずれか一項に記載のソレノイド駆動装置(3)と、
前記ソレノイド駆動装置により前記ソレノイドの異常状態が検出されたときに、車両が走行中であって形成可能な変速段が存在するときには変速段に移行させ、車両が走行中であって形成可能な変速段が存在しないときにはニュートラルに移行させて惰性走行可能にし、車両が停止中であるときにはニュートラルに移行して停止状態を維持させる異常時制御部(19)と、
を備えた自動変速機の変速制御装置。
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2017
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