JP2019034456A - 成形金型及びプラスチック成形品の製造方法 - Google Patents

成形金型及びプラスチック成形品の製造方法 Download PDF

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Wataru Kohiyama
渉 小檜山
知彦 田川
Tomohiko Tagawa
知彦 田川
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Masanori Sato
正則 佐藤
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Abstract

【課題】外観不良を抑えることができ、成形サイクルタイムを増加させず、成形加工費を抑えることが可能な成形金型を提供すること。
【解決手段】成形金型40は、射出成形よって形成される製品MPに対応する製品型部61,71を構成する基材62,72の表面のうち少なくとも基準肉厚対応部5aの表面に断熱層63,73を設けたものであって、基準肉厚対応部5aよりも製品MPにおいて肉厚が薄い部分に対応する薄肉形状部5bは、基準肉厚対応部5aの断熱層の厚みよりも薄い断熱層63,73を有し、或いは断熱層を省略している。
【選択図】図1

Description

本発明は、射出成形によるプラスチック成形品の製造に適する成形金型及びプラスチック成形品の製造方法に関する。
プラスチック成形品の射出成形技術において、ウェルドラインの発生、鏡面性やシボ転写性の劣化、充填不足等の成形不良防止策として、金型表面に様々な手法で断熱層を設け、金型に奪われる溶融樹脂の温度低下を抑制しながら転写性を上げ、外観品位を確保する断熱金型技術がある。
この種の断熱金型技術では、断熱層の断熱効果から金型冷却が遅延し、例えばリブといった入り組んだ形状部で蓄熱することから、成形冷却時間が増加し成形サイクルタイムが伸びる傾向が見られる。また、複雑な形状を持つ金型形状部全体へ均一に断熱層を形成するには高い成膜技術が必要であり、製作期間や製作費の増加となる。このような問題を解決する手法として、例えば金型の一部に断熱層を設ける入れ子方式がある(特許文献1参照)。
しかし、入れ子方式の場合、構成部品が増え、従来の断熱金型技術と同様に、プラスチック成形品の製作費用が増加する問題が残る。
特開2000−25046号公報
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、外観不良を抑えることができ、成形サイクルタイムを増加させず、成形加工費を抑えることが可能な成形金型を提供することを目的とする。
また、本発明は、外観不良を抑えることができ、成形サイクルタイムを増加させず、成形加工費を抑えることが可能なプラスチック成形品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る成形金型は、射出成形によって形成される製品に対応する形状を有する製品型部を構成する基材の表面のうち少なくとも基準肉厚対応部の表面に断熱層を設けた成形金型であって、基準肉厚対応部よりも製品において肉厚が薄い部分に対応する薄肉形状部は、基準肉厚対応部の断熱層の厚みよりも薄い断熱層を有し、或いは断熱層を省略している。
上記成形金型によれば、基準肉厚対応部において、金型表面の熱伝導率を相対的に低くすることになり、製品において未充填やヒケなどの外観不良の発生を抑えることができる。一方、薄肉形状部において、基準肉厚対応部の断熱層の厚みよりも薄い断熱層を有し或いは断熱層を省略しているので、蓄熱影響を抑え成形サイクルタイムを同等若しくは短縮することが可能であり、かつ、金型製作費や製作期間を抑えることができる。
本発明の具体的な側面では、上記成形金型において、基準肉厚対応部の空間厚みをa1とし、薄肉形状部の空間厚みをa2としたとき、以下の関係式が成り立つ。
a2<0.8×a1
この場合、基準肉厚対応部の空間厚みと薄肉形状部の空間厚みとの差を十分大きくとることができ、未充填やヒケなどの成形不良を確実に抑制することができる。
本発明の別の側面では、薄肉形状部は、基準肉厚対応部から分岐した部分である。この場合、分岐することによって入り組んだ形状部分の蓄熱を抑え、サイクルタイムを抑えることができる。
本発明のさらに別の側面では、基準肉厚対応部に形成される断熱層の厚みをb1とし、薄肉形状部に形成される断熱層の厚みをb2としたとき、以下の関係式が成り立つ。
b2<0.8×b1
この場合、基準肉厚対応部の断熱層厚と薄肉形状部の断熱層厚との差を十分大きくとることができ、蓄熱影響を確実に抑えることができる。
本発明のさらに別の側面では、基準肉厚対応部に形成される断熱層と、薄肉形状部に形成される断熱層とは、0.2W/m・K未満の熱伝導率を有し、1.0mm以下の厚みを有する。0.2W/m・K未満といった比較的熱伝導率が低い断熱層を使用すると、断熱層の厚みを薄くすることが可能となり、製作費と工期を抑えることができる。
本発明のさらに別の側面では、薄肉形状部は、基準肉厚対応部から分岐し、薄肉形状部に設けた断熱層は、基準肉厚対応部から分岐して深くなるほど薄くなる。この場合、薄肉形状部の断熱層の成膜がしやすくなり、金型製作のコストを抑えることができる。
本発明のさらに別の側面では、薄肉形状部は、基準肉厚対応部から分岐し、薄肉形状部に設けた断熱層は、基準肉厚対応部から分岐して深くなるほど厚くなる。この場合、薄肉形状部に流入させる溶融樹脂の流動性を奥まで維持することができ、薄肉形状部での転写性を高めることができる。
本発明のさらに別の側面では、断熱層の表面に表面保護膜が形成されている。この表面保護膜により、断熱層の剥離防止のほか、断熱層の強度、靭性、すべり性、耐磨耗性等を確保することができ、金型寿命を延ばすことができる。
本発明のさらに別の側面では、表面保護膜は、0.1mm以下の厚みを有する。0.1mm以下といった比較的薄い表面保護膜を用いることで、断熱効果の低下を抑制することができる。
本発明のさらに別の側面では、薄肉形状部は、基準肉厚対応部に断熱層を形成した後に加工される。この場合、金型加工がしやすくなり、金型製作のコストを抑えることができる。
本発明のさらに別の側面では、固定型及び可動型で構成され、固定型及び可動型において基準肉厚対応部を形成する部分に断熱層が形成されている。このような断熱層の存在により、溶融樹脂の固化速度を遅延させ、未充填を抑制することができる。
本発明のさらに別の側面では、断熱層は、ポリイミド、中空又は真空セラミックビーズ入り有機材料、及び多孔質構造を持つ有機材料のいずれかで形成される。ここで、セラミックには、ガラスも含まれる。ポリイミド等は、断熱層の熱伝導率を下げる効果が高いので、断熱層の断熱機能を高めることができる。
上記目的を達成するため、本発明に係るプラスチック成形品の製造方法は、成形金型を用いるプラスチック成形品の製造方法であって、成形金型において、製品に対応する形状を有する製品型部を構成する基材の表面のうち少なくとも基準肉厚対応部の表面に断熱層を設け、基準肉厚対応部よりも製品において肉厚が薄い部分に対応する薄肉形状部は、基準肉厚対応部の断熱層の厚みよりも薄い断熱層を有し、或いは断熱層を省略している。
(A)は、第1実施形態に係る成形金型を有する成形装置において、断熱金型の型開き状態を説明する側方断面図であり、(B)は、断熱金型の型閉じ状態を説明する側方断面図である。 (A)は、成形品の形状の具体例を説明する斜視図であり、(B)は、型板又は成形金型の具体例を説明する斜視図である。 (A)は、成形品の具体的形状を説明する部分拡大側面図であり、(B)は、成形品の具体的形状を説明する部分拡大裏面図である。 (A)は、型板又は成形金型の形状を説明する部分拡大断面図であり、(B)は、可動側の型板に設けた型面の形状を説明する部分拡大図である。 可動側の型板に設けた型面の状態を説明する全体図である。 型面周辺の断面構造を説明する概念的な部分拡大図である。 (A)及び(B)は、型板の加工方法の一例を説明する図である。 (A)は、流動長に関する実験例1について説明するための図であり、(B)及び(C)は、実験結果を示すグラフである。 図8(A)に示す実験例1についての試験結果を示す他のグラフである。 断熱層にパラキシリレンを適用し、射出成形を繰り返し行った実験例2について説明するためのグラフである。 断熱層の熱伝導率と厚みとの関係について一例を示したグラフである。 流動長に関する実験例3について説明するためのグラフである。 第2実施形態の成形金型を説明する図である。 (A)及び(B)は、図13に示す型板の加工方法の一例を説明する図である。 第3実施形態の成形金型を説明する図である。 第4実施形態の成形金型を説明する図である。 第5実施形態の成形金型を説明する図である。 (A)〜(C)は、断熱層の形成箇所を変えた場合の流動長を説明する図である。 (A)及び(B)は、成形金型の蓄熱影響を説明する図である。 (A)及び(B)は、断熱層の有無の影響を説明する図である。
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る成形金型及びこれを用いたプラスチック成形品の製造方法について説明する。
図1(A)に示すように、成形装置100において、本実施形態の成形金型40が設けられている。なお、成形装置100は、成形金型40のほか、成形金型40を支持しつつ型開きや型閉じ、さらには型締めを行う固定側支持部10及び可動側支持部20と、成形金型40に設けられた電気的ヒーターや熱媒体流路等である加熱冷却部を利用して成形金型40の温度調整を行う温度調整部30と、これらを統括制御する制御部90とを備える。
図1(A)及び1(B)等に示すように、本実施形態の成形金型40は、固定型である第1金型41と、可動型である第2金型42とで構成されており、成形装置100に設けられた固定側支持部10と可動側支持部20との間に挟持されて型締め等がなされ、両金型41、42間に成形空間CVが形成され、射出成形による樹脂成形品の製造が可能となっている。
成形金型40のうち、第2金型42は、AB方向(軸AXに平行な方向)に往復移動可能になっている。この第2金型42を第1金型41に向けて移動させ、両金型41,42を型締めすることにより、図1(B)に示すように、樹脂成形品を成形するための成形空間CVと、これに樹脂を供給するための流路である流路空間FCとが形成される。なお、流路空間FCは、樹脂の通り道としてのスプルーSPに続くランナーRN、さらにはランナーRNから成形空間CVにつながるゲートGTによって構成される。
第1金型41は、相対的に内側(つまり第2金型42側)に配置されるキャビティ部材71と、相対的に外側に配置され成形装置100の固定側支持部10に取り付けられる取付板74とを備える。また、第1金型41に付随して、樹脂の通り道としてのスプルーSPを形成するスプルーブッシュ又はスプルー形成部75が埋め込まれて設けられている。スプルー形成部75は、第1金型41を型開閉方向であるAB方向に略平行に延びた状態で貫通している。第1金型41と第2金型42とを型締めした状態において、スプルー形成部75の外側端部に接続された不図示のノズル等から溶融樹脂が所望のタイミング及び圧力で供給され、成形金型40の成形空間CV内に充填される。
第1金型41のうちキャビティ部材71は、金属製の板状の本体部材に局所的に断熱層を設けた構成となっている。より具体的に説明すると、キャビティ部材71は、金属製の板状の本体部材を構成する母型である基材72と、基材72上に設けられ成形金型40の型面MSの表層として形成される断熱層73とを有する。すなわち、断熱層73は、基材(母型)72の内側の一部を覆うものとなっており、型面MSとしての転写面TS等を含むキャビティ部材71の内表面の少なくとも一部を形成するものとなっている。断熱層73は、樹脂から熱移動又は放熱を抑制して固化を十分に遅延させるため、熱伝導率が0.2W/m・K未満の低熱伝導率の材料で作製されている。断熱層73の厚みは、具体的には例えば1.0mm以下であることが望ましい。なお、金属製の板状の本体部材である基材72については、鋼材等を用いることが考えられ、熱伝導率については、例えば20〜45W/m・K程度のものとなることが想定される。
熱伝導率を0.2W/m・K未満にするための断熱層73の材料としては、種々のものの適用が考えられ、1種の材料で構成する場合のほか、2種以上の材料で構成する場合も考えられる。具体的には、ポリイミドにより断熱層73を構成する場合のほか、例えば中空又は真空セラミックビーズ入りの塗料又は樹脂により断熱層73を構成することも考えられる。ここで、中空又は真空セラミックビーズには、中空又は真空ガラスビーズが含まれる。その他、発泡ウレタンのような多孔質構造を持つ有機材料により断熱層73を構成することも考えられる。また、パラキシリレン、シリカゲル、ヒュームドシリカ、ヒュームドシリカ入りの樹脂とすること、紙、及び、木材のいずれかを含む樹脂とすることも考えらえられる。上記のような材料からなる断熱層73を設けることにより、溶融樹脂の射出時において、溶融樹脂の熱が成形金型40の奥へ移動する程度を調整して樹脂の固化(樹脂固化速度)を遅延させることができ、特に後述する分岐前空間CV1での溶融樹脂の流動性を高めることができる。断熱層73は、例えば樹脂系の材料の場合、材料を基材72の表面に厚みを制御しつつスプレー等によって塗布した後、熱や光を利用して硬化又は焼成することで成膜される。ポリイミドの成膜方法としては、スプレー、ディップ、電着塗装、蒸着重合、刷毛などを用いることができる。また、パラキシリレンについては蒸着によって形成することができる。複合材料の場合、電着塗装、蒸着重合を除く手法を用いる。
取付板74は、金属製の板状の部材であり、キャビティ部材71を背後から支持している。すなわち、取付板74は、キャビティ部材71を型合わせ面や転写面TSの反対側から支持する。また、取付板74において、スプルー形成部75の端部であるノズルタッチ部の形状は、すり鉢状となっている。これにより樹脂の供給に際して、供給側のノズル先端が隙間なく嵌まるようになっている。
第2金型42は、相対的に内側に配置されるコア61と、相対的に外側に配置され成形装置100の可動側支持部20に取り付けられる取付板64とを備える。なお、図面では、第2金型42を構成する受板、スペーサーブロック、エジェクタープレート等の図示を省略している。
第2金型42のうちコア61は、第1金型41のキャビティ部材71と同様に、金属製の板状の本体部材に局所的に断熱層を設けた構成となっている。より具体的には、コア61は、金属製の板状の本体部材を構成する母型である基材62と、基材(母型)62上に設けられ成形金型40の型面MSの表層として形成される断熱層63とを有する。すなわち、断熱層63は、基材62の内側の一部を覆うものとなっており、型面MSとしての転写面TS等を含むコア61の内表面の少なくとも一部を形成するものとなっている。断熱層63は、樹脂から熱移動又は放熱を抑制して固化を十分に遅延させるため、第1金型41の断熱層73と同様に熱伝導率が0.2W/m・K未満の低熱伝導率の材料で作製されている。断熱層63の厚みは、具体的には例えば1.0mm以下であることが望ましい。なお、金属製の板状の本体部材である基材62については、鋼材等を用いることが考えられ、熱伝導率については、例えば20〜45W/m・K程度のものとなることが想定される。
取付板64は、金属製の板状の部材であり、コア61を背後から支持している。すなわち、取付板64は、コア61を型合わせ面や転写面TSの反対側から支持する。
なお、キャビティ部材71やコア61の内部には、樹脂の射出時に金型の温度を適切な温度に保つため、上記の他、例えば電気的ヒーターや熱媒体流路等である加熱冷却部のほかに、温度監視用の温度計等が必要に応じて設けられているが、説明の簡略化のため図示を省略している。これらの温度調節管理機構は、図1(A)に示す成形装置100の温度調整部30により制御部90の管理下で動作状態を制御されている。成形金型40に供給される樹脂温度は、例えば240〜280℃である。また、コア61周辺の金型温度は約40〜80℃とし、使用する樹脂のTgは例えば約100℃としている。
また、詳細を省略するが、例えば取付板64等は、プラスチック成形品としての製品MPを取り出すためのエジェクターピン等を備えている。
図2(A)及び2(B)を参照して、製品MP、並びに、キャビティ部材71及びコア61の形状の具体例について説明する。
図2(A)に示すように、成形装置100による成形品としての製品MPは、成形金型40の成形空間CVに対応する本体部分2aと、ゲートGTに対応するゲート部分2bとを有する。本体部分2aは、比較的厚肉で大きい第1部分3aと、比較的薄肉で小さい複数の第2部分3bとを含む。第1部分3aは、細長い板状体であり、第2部分3bは、矩形板状のリブであり、第1部分3a片面又は裏面から第1部分3aに対して直交する方向に延びる。複数の第2部分3bは、図示の例では、互いに平行で等間隔に配列されている。
図3(A)及び3(B)に部分的に拡大して示すように、肉厚が比較的厚い部分である第1部分3aは、全体が製品基準肉厚部4aとなっており、製品MPにおいて標準的な厚みを有する部分である。肉厚が比較的薄い部分である第2部分3bは、製品薄肉部4bとなっており、製品基準肉厚部4aよりも薄い部分である。つまり、製品薄肉部4bの厚みt2は、製品基準肉厚部4aの厚みt1よりも小さくなっている。
図2(B)に示すように、型閉じされた一対の製品型部であるキャビティ部材71及びコア61間には、製品MPの本体部分2aに対応する成形空間CVが形成されている。すなわち、キャビティ部材71及びコア61は、パーティング面PL側又は型面MS側において、射出成形によって形成される製品MPに対応する形状を有する製品型部である。
図4(A)に示すように、製品型部であるキャビティ部材71及びコア61は、製品MPの第1部分3a又は製品基準肉厚部4aに対応する基準肉厚対応部5aを有するとともに、製品MPの第2部分3b又は製品薄肉部4bに対応する薄肉形状部5bを有する。基準肉厚対応部5aは、成形空間CVの本流部分である分岐前空間CV1を画成し、薄肉形状部5bは、成形空間CVの支流部分である分岐後空間CV2を画成する。
コア(製品型部)61において、基材62の表面のうち少なくとも基準肉厚対応部5aの表面には、断熱層63aが設けられており、キャビティ部材(製品型部)71において、基材72の表面のうち少なくとも基準肉厚対応部5aの表面には、断熱層73が設けられている。一方、基材62の表面のうち少なくとも薄肉形状部5bの表面にも、断熱層63bが設けられているが、薄肉形状部5bの断熱層63bの厚みは、基準肉厚対応部5aの断熱層63aの厚みよりも小さくなっている。なお、基準肉厚対応部5aの断熱層63aと、薄肉形状部5bの断熱層63bとを合わせたものは、全体として可動側のコア(製品型部)61の断熱層63を構成している。
図4(B)及び図5に示すように、コア61の型面MSは、全体的に断熱層63aで覆われている。つまり、断熱層63aは、基準肉厚対応部5aにおいて分岐前空間CV1に対向して形成されている。なお、基準肉厚対応部5aの断熱層63aには、分岐後空間CV2の位置において開口が形成されているが、分岐後空間CV2に対向して、薄肉形状部5bの断熱層63bが形成されている。
図6を参照して、具体的な寸法関係について説明する。基準肉厚対応部5aの空間厚みをa1とし、薄肉形状部5bの空間厚みをa2としたとき、以下の関係式(1)が成り立つ。
a2<0.8×a1 … (1)
関係式(1)が成り立つ場合、基準肉厚対応部5aの空間厚みa1と薄肉形状部5bの空間厚みa2との差を十分大きくとることができ、未充填やヒケなどの成形不良を確実に抑制することができる。ここで、空間厚みa1は、1.5mm〜3.0mm程度の範囲を想定しており、空間厚みa2は、0.75mm〜2.4mm程度の範囲を想定している。つまり、空間厚みa2は、空間厚みa1の0.5〜0.8倍となっている。
また、基準肉厚対応部5aに形成される断熱層63aの厚みをb1とし、薄肉形状部5bに形成される断熱層63bの厚みをb2としたとき、以下の関係式(2)が成り立つ。
b2<0.8×b1 … (2)
関係式(2)が成り立つ場合、この場合、基準肉厚対応部5aの断熱層厚と薄肉形状部5bの断熱層厚との差を十分大きくとることができ、薄肉形状部5b等での蓄熱の影響を確実に抑えることができる。
ここで、基準肉厚対応部5aの特定について説明する。基準肉厚対応部5aは、製品MPの骨格となる形状部分である。すなわち、基準肉厚対応部5aは、製品MPの本体部分2aにおいて標準的な厚みを有する部分であり、成形空間CVのうち溶融樹脂の主たる流路となる部分に相当する。よって、成形空間CVが分岐した場合、分岐後の本流に対応する部分が基準肉厚対応部5aとなるのが原則であるが、成形空間CVが十分な流量で分岐した場合、分岐後の支流に対応する部分であっても基準肉厚対応部5aとなり得る。具体的には、例えば成形空間CVが複数段階で分岐した場合、最初の分岐後の本流に対応する部分が基準肉厚対応部5aとなるのが原則であるが、最初の分岐後の支流が十分な流量で分岐した場合、分岐後の支流に対応する部分であっても基準肉厚対応部5aとなり、次の分岐後の支流に対応する部分が薄肉形状部5bとなる。
基準肉厚対応部5aに形成される断熱層63aや薄肉形状部5bに形成される断熱層63bは、型面MS又は転写面TSを全て覆うものである必要はなく、型面MS又は転写面TSの一部において基材62を露出させることができる。例えば、図6において、成形空間CVのうち分岐後空間CV2の底やその周辺を断熱層63bで覆わず、基材62を露出させることができる。
図7(A)及び7(B)を参照して、コア61の加工方法の一例について説明する。まず、基材62の材料を準備し、型面MSに対応する形状を有する下地面62iを加工する(図7(A)参照)。この際、分岐後空間CV2に対応する形状を有する凹部62jが形成される。その後、下地面62i上に断熱層63a及び断熱層63bを成膜することで型面MSを得る(図7(B)参照とおり)。つまり、基準肉厚対応部5a及び薄肉形状部5bが一括して形成される。この際、塗布工程の制御等によって断熱層63aよりも断熱層63bを薄くする。
〔実験例1〕
以下、図8(A)〜8(C)及び図9を参照して、断熱層63a,63bの熱伝導率や厚みに関する適正値を確認する実験例について説明する。図8(A)は、流動長実験の一実験例に用いたモデルの金型の構成を示す図である。また、図8(B)、8(C)及び図9は、その実験結果を示すグラフである。図8(A)に示すように、本実験例では、流動長を長くしたスパイラル形状の金型を用いている。このような形状のモデルの金型を利用して、成形品の厚さや、断熱層の熱伝導率に対する樹脂の流動長に関して測定を行い、その結果を各グラフに示している。なお、本実験例での射出成形における各仕様は、下記表1に示すとおりである。すなわち、例えば、モデルの金型のスパイラルの幅は、6mmとなっている。
Figure 2019034456
上記仕様において、スパイラル形状の金型に断熱層を設けない場合、図8(B)のグラフ及びこれに対応する表2に示されるように、グラフの横軸に示す成形品の厚み(板厚)と縦軸に示す流動長との関係については、例えば成形品の板厚を2.0mmから1.5mmに薄肉化(0.5mmの薄肉化)をしようとすると、約35%程度、流動長(樹脂の延び率)が下がってしまうことが分かる。
Figure 2019034456
これに対して、1.5mmに薄肉化する(すなわち2.0mmに比して0.5mmの薄肉化をする)場合において、種々の熱伝導率の断熱層を設けた場合の結果(シミュレーション結果)が、図8(C)のグラフに示されている。すなわち、図8(C)は、断熱層の熱伝導率(横軸)と流動長(縦軸)との関係について示すものである。なお、各仕様については、表3に示すとおりであり、グラフの数値は、表4に示すとおりである。グラフ等に示されるように、断熱層の熱伝導率と流動長との関係については、より好ましくは、断熱層の熱伝導率を0.1W/m・K程度まで小さいものにすればよいことが分かる。なお、本実施形態では、断熱層の熱伝導率を0.2W/m・K未満としていることで、成形品を薄肉化する場合において、射出時の樹脂の固化を遅延させ流動性を向上し、金型の成形空間の末端まで樹脂を流動させて未充填やヒケなどの発生を抑制し、外観不良をより抑えることができる。
Figure 2019034456
Figure 2019034456
図9は、断熱層に適用する材料の比熱(横軸)と流動長(縦軸)との関係について示すグラフ(シミュレーション結果)であり、グラフの数値は、表5に示すとおりである。グラフ等に示されるように、比熱が低いほど流動長が大きくなり(樹脂が延び)、好ましいものとなることが分かる。なお、同様に、断熱層の熱容量も低い方がより好ましいことになる。
Figure 2019034456
〔実験例2〕
図10は、既述の実施例1と同様のスパイラル形状の金型において、断熱層にパラキシリレンを適用し、射出成形を繰り返し行った実験例2について説明するためのグラフである。本実験例での射出成形における各仕様(実験条件)は、下記表6に示すとおりである。すなわち、例えば、モデルの金型のスパイラルの幅は、6mmとなっており、成形品の厚さは1.6mm、成形のサイクルタイムは60秒等となっている。また、金型に関する仕様は、表7に示すとおりである。すなわち、母型に用いる鋼材の厚みを17mmとし、断熱層であるパラキシリレンの厚みを0.2mmとしている。また、鋼材の熱伝導率は、41.3W/m・Kであるのに対し、断熱層であるパラキシリレンの熱伝導率は、0.08W/m・Kである。なお、本実験例(パラキシリレン有り)と同様の条件下において、スパイラル形状の金型に断熱層を設けないで成形を行うもの(パラキシリレン無し)を比較例として示している。表8は、図10に対応するものであり、上記条件において、本実験例と比較例とについて、合計4回の成形を行った実験の結果を示すものである。図10のグラフにおいて曲線C1に示す本実験例(パラキシリレン有り)では、曲線C2に示す比較例(パラキシリレン無し)の場合に比べて、流動長が1.4倍以上(1.44〜1.47倍、平均で1.45倍以上)となっており、断熱層にパラキシリレンを適用することで、必要に足る十分な流動性確保の効果が得られた。
Figure 2019034456
Figure 2019034456
Figure 2019034456
上記から、断熱層としてパラキシリレンを適用し上記のような条件下で成形を行った場合、0.2mm程度の厚みを有していれば、意図した流動長での成形が可能であることが分かる。
図11は、一例として、断熱層を2.0mmから1.6mmに薄肉化した場合における先の例と同様の目標値(断熱層の有無による差が1.4倍となること)を達成するための断熱層の熱伝導率(横軸)とその厚み(縦軸)との関係を示したグラフ(シミュレーション結果)である。曲線C3が、断熱層の有無による差が1.4倍となるところを示している。なお、実際の断熱層に適用する実在する材料(断熱素材)としては、例えば、多孔質ポリイミドで、熱伝導率0.04W/m・Kのものが候補として考えられる。なお、この多孔質ポリイミドの一般特性は、
気孔率:70%
弾性率:600Mpa
となっている。この多孔質ポリイミドを適用した場合、グラフの曲線C3上の点PPに位置することになる。なお、上記説明で断熱層の有無による差の目標値として1.4倍としているが、これに限らず、例えば1.2倍以上を目標値として設計を行う等、必要とされる流動長に応じて種々の設定が考えられる。
〔実験例3〕
以下、断熱層上に表面保護膜を設けた成形金型の流動長を実験した実験例3について説明する。
図12は、表面保護膜の熱伝導率(横軸)と膜厚を変えた流動長(縦軸)との関係について示すグラフであり、グラフの数値は、表9に示すとおりである。グラフ等に示されるように、表面保護膜を0.05mmにすると、特に表面保護膜の熱伝導率の影響を受けにくく、断熱層による効果である流動長の低下抑制が維持されると考えられる。表面保護膜の厚みを0.1mm以下とすることで、断熱層による効果が低下することを回避できると言える。
Figure 2019034456
以上のように、第1実施形態の成形金型40等によれば、基準肉厚対応部5aにおいて、金型表面の熱伝導率を相対的に低くすることになり、製品MPにおいて未充填やヒケなどの外観不良の発生を抑えることができる。一方、薄肉形状部5bにおいて、基準肉厚対応部5aの断熱層63aの厚みよりも薄い断熱層63bを有しているので、蓄熱影響を抑え成形サイクルタイムを同等若しくは短縮することが可能であり、かつ、金型製作費や製作期間を抑えることができる。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る成形金型等について説明する。なお、第2実施形態の成形金型等は第1実施形態の成形金型等を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
図13を参照して、第2実施形態の成形金型等について説明する。第2実施形態の成形金型は、図4(A)等に示す製品型部61,71に関する変形例である。この場合、薄肉形状部5bに断熱層63bが形成されず省略されており、分岐後空間CV2において基材62が露出している。この場合も、薄肉形状部5b等での蓄熱の影響を確実に抑えることができ、成形サイクルタイムを同等若しくは短縮することが可能となる。
図14(A)及び14(B)は、図13に示すコア61の加工方法の一例を説明する図である。まず、基材62の材料を準備し、型面MSのうち基準肉厚対応部5a又は分岐前空間CV1に対応する部分の下地面162iを加工し、下地面162i上に断熱層63aを成膜する(図14(A)参照)。その後、型面MSのうち薄肉形状部5b又は分岐後空間CV2に対応する形状を有する凹部162jを形成する(図14(B)参照)。この場合、基準肉厚対応部5aが形成され、その後に薄肉形状部5bが形成されることになる。つまり、基準肉厚対応部5aに断熱層63aを形成した後に薄肉形状部5bが加工されることになる。
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る成形金型等について説明する。なお、第3実施形態の成形金型等は第1実施形態の成形金型等を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
図15を参照して、第3実施形態の成形金型等について説明する。この場合、コア61に設けた断熱層63の表面に表面保護膜65が形成されている。また、キャビティ部材71に設けた断熱層73の表面に表面保護膜75が形成されている。表面保護膜65,75は、例えばガラス、セラミックス、ニッケル、アルミ等の材料で形成され、0.1mm以下の厚みを有する。表面保護膜65,75を設けることにより、断熱層63,73の剥離防止のほか、断熱層63,73の強度、靭性、すべり性、耐磨耗性等を確保することができ、金型寿命を延ばすことができる。また、表面保護膜65,75を0.1mm以下に薄くすることで、断熱効果の低下を抑制することができる。
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態に係る成形金型等について説明する。なお、第4実施形態の成形金型等は第1実施形態の成形金型等を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
図16を参照して、第4実施形態の成形金型等について説明する。この場合、薄肉形状部5bに形成される断熱層63bの厚みが、基準肉厚対応部5aから離れ分岐後空間CV2の奥に向かって深くなるほど薄くなっている。断熱層63bをスプレー塗布、焼成等によって形成する場合、分岐後空間CV2の奥で入り口同様に膜厚を維持することは容易でなくなる。したがって、断熱層63bの厚みが、基準肉厚対応部5aから離れ分岐後空間CV2の奥に深くなるほど薄くすることで、断熱層63bの成膜がしやすくなり、金型製作のコストを抑えることができる。
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態に係る成形金型等について説明する。なお、第5実施形態の成形金型等は第1実施形態の成形金型等を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
図17を参照して、第5実施形態の成形金型等について説明する。この場合、薄肉形状部5bに形成される断熱層63bの厚みが、基準肉厚対応部5aから離れ分岐後空間CV2の奥に向かって深くなるほど厚くなっている。つまり、薄肉形状部5bは、入り口よりも奥で断熱効果が高くなっている。この結果、薄肉形状部5bに流入させる溶融樹脂の流動性を奥まで維持することができ、薄肉形状部5bでの転写性を高めることができる。なお、成膜をディップによって行う場合、分岐後空間CV2の奥で断熱層63bの厚みが増す傾向がある。蒸着の場合も、分岐後空間CV2の奥で断熱層63bの厚みが増すことがある。さらに、予め断熱層を厚く成膜した後に形状加工することで深くなるほど厚くなる形状とすることができます。つまり、分岐後空間CV2の上面側の加工量を増やし、下部に向かって加工量を減らすことによっても、図示の形状を形成することができる。
〔具体例〕
断熱層のパターンを複数として、樹脂の流動長シミュレーションを行った。成形金型として、図2(B)に示すキャビティ部材71及びコア61と同様に、平板形状部分にリブを多数配置した構造を有するものを用い、その金型へ溶融樹脂を流入させた時の流動性(流動距離)についてシミュレーションを行った。断熱層の形成箇所については、(1)平板形状部分のみ断熱層を設けリブに断熱層がないもの、(2)平板形状部分及びリブの全体に断熱層を設けたもの、(3)平板形状部分及びリブの全体に断熱層を設けないものを想定した。
成形品の具体的形状について説明すると、基準肉厚対応部5aに相当する平板形状部分は、50mm×600mmの矩形状であり、厚さt=1.6mmであり、30mm間隔で薄肉形状部5bに相当する複数のリブを設けた構造となっている。リブは、50mm×20mmの矩形状であり、厚さt=1.12mmである。リブの厚さ(つまり薄肉形状部5bの空間厚み)は、平板形状部分の厚さ(つまり基準肉厚対応部5aの空間厚み)の7割とした。成形金型は、ゲートGTを設けずランナーRNから直接成形空間CVに溶融樹脂を供給するものとし、ランナー径をφ10mmとした。パターン(1)の平板形状部分のみ断熱層を設けリブに断熱層がないものにおいて、断熱層(つまり断熱層63a,73)の熱伝導率λを0.1W/m・Kとし、断熱層の厚さを2mmとした。また、パターン(2)の平板形状部分及びリブの全体に断熱層を設けたものにおいて、断熱層の熱伝導率λを0.1W/m・Kとし、断熱層の厚さを2mmとした。成形条件に関しては、樹脂としてPCとABS(TN7500 TEIJIN)とを混合したものを用い、加熱シリンダーのスクリュ径をφ71とし、型締め圧を350tとし、樹脂温度を250℃とし、金型温度を50℃とした。溶融樹脂の射出速度を20mm/secとし、V−P切り替え圧を80MPaとし、保圧を64MPa及び7secとし、成形サイクルを60secとした。
図18(A)〜18(C)は、パターン(1)〜(3)での溶融樹脂の流動状態をそれぞれ示す。平板形状部分又は基準肉厚対応部5aにおける流動長(キャビティ内)は、パターン(2)が最も長いが、パターン(1)とパターン(2)との流動長は2%程度しか相違しない。溶融樹脂は、基準肉厚の平板形状部分を主流として流入し、パターン(1)及び(2)で薄肉のリブも大分部が充填された。リブ充填距離D1/流動長D0は、パターン(1)で68%となり、パターン(2)で82%となり、パターン(3)で79%となった。本シミュレーションでは、流動長を確認するため、意図的にショートショットで成形を行ったが、成形条件の調整によって、リブ末端まで全て樹脂を流入させることができると考えられ、リブにおいて断熱層を設けなくても成形可能である。
金型の金型蓄熱影響についてもシミュレーションを行った。成形品の形状は、流動長シミュレーションが異なるが、平板形状部分及びリブを有するものとした。また、樹脂としてHIPSを用い、成形サイクルを60secとし、型温を室温として成形を開始し、100ショット後の温度分布(保圧完了時の成形品温度分布)を確認した。
図19(A)は、入り込んだ複雑な形状を有しない製品用の成形金型による成形後の温度分布を示し、全体が室温に近いものとなっている。図19(B)は、リブのような入り込んだ複雑な形状を有する製品用の成形金型による成形後の温度分布を示し、リブの存在により中央部分で温度が高くなっていることが分かる。
断熱層の意義についてもシミュレーションを行った。同じ冷却時間でパターン(1)及び(2)でのシミュレーションによる保圧完了時の成形品温度分布を比較すると、パターン(1)の成形金型では断熱層のないリブでの樹脂温度が金型温度まで下がっているのに対し(図20(A)参照)、パターン(2)の成形金型では樹脂の冷却が遅い(図20(B)参照)。リブ等の薄肉形状部5bに断熱層を設けることでより蓄熱しやすくなり、成形金型の冷却速度が遅くなって成形サイクルが伸びることが分かる。
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、製品MPや成形空間CVの形状は単なる例示であり、製品MPの目的や用途に応じて適宜調整される。ただし、最近の樹脂製品の軽量化に対する要求は高まっており、樹脂製品の表装部の裏面に補強用のリブを設けることは多くなっており、このような樹脂製品の成形で本願成型金型が有用になる。
基準肉厚対応部5aや薄肉形状部5bは、製品型部61,71において、はめ込み部材として形成されるものであっても、支持用の型板、取付板、又は受板にはめ込むことなく固定されるものであってもよい。
2a…本体部分、 2b…ゲート部分、 3a…第1部分、 3b…第2部分、 4a…製品基準肉厚部、 4b…製品薄肉部、 5a…基準肉厚対応部、 5b…薄肉形状部、 10…固定側支持部、 20…可動側支持部、 40…成形金型、 41,42…金型、 61…コア(製品型部),71…キャビティ部材(製品型部)、 62,72…基材、 63,73…断熱層、 63a,63b…断熱層、 65,75…表面保護膜、 71…型板、 72…基材、 100…成形装置、 AX…軸、 CV…成形空間、 CV1…分岐前空間、 CV2…分岐後空間、 MP…製品、 MS…型面

Claims (13)

  1. 射出成形によって形成される製品に対応する形状を有する製品型部を構成する基材の表面のうち少なくとも基準肉厚対応部の表面に断熱層を設けた成形金型であって、
    前記基準肉厚対応部よりも前記製品において肉厚が薄い部分に対応する薄肉形状部は、前記基準肉厚対応部の前記断熱層の厚みよりも薄い断熱層を有し、或いは断熱層を省略していることを特徴とする成形金型。
  2. 前記基準肉厚対応部の空間厚みをa1とし、前記薄肉形状部の空間厚みをa2としたとき、以下の関係式が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の成形金型。
    a2<0.8×a1
  3. 前記薄肉形状部は、前記基準肉厚対応部から分岐した部分であることを特徴とする請求項1及び2のいずれか一項に記載の成形金型。
  4. 前記基準肉厚対応部に形成される前記断熱層の厚みをb1とし、前記薄肉形状部に形成される前記断熱層の厚みをb2としたとき、以下の関係式が成り立つことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形金型。
    b2<0.8×b1
  5. 前記基準肉厚対応部に形成される前記断熱層と、前記薄肉形状部に形成される前記断熱層とは、0.2W/m・K未満の熱伝導率を有し、1.0mm以下の厚みを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形金型。
  6. 前記薄肉形状部は、前記基準肉厚対応部から分岐し、前記薄肉形状部に設けた前記断熱層は、前記基準肉厚対応部から分岐して深くなるほど薄くなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の成形金型。
  7. 前記薄肉形状部は、前記基準肉厚対応部から分岐し、前記薄肉形状部に設けた前記断熱層は、前記基準肉厚対応部から分岐して深くなるほど厚くなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の成形金型。
  8. 前記断熱層の表面に表面保護膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の成形金型。
  9. 前記表面保護膜は、0.1mm以下の厚みを有することを特徴とする請求項8に記載の成形金型。
  10. 前記薄肉形状部は、前記基準肉厚対応部に前記断熱層を形成した後に加工されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の成形金型。
  11. 固定型及び可動型で構成され、前記固定型及び前記可動型において前記基準肉厚対応部を形成する部分に前記断熱層が形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の成形金型。
  12. 前記断熱層は、ポリイミド、中空又は真空セラミックビーズ入り有機材料、及び多孔質構造を持つ有機材料のいずれかで形成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の成形金型。
  13. 成形金型を用いるプラスチック成形品の製造方法であって、
    成形金型において、製品に対応する形状を有する製品型部を構成する基材の表面のうち少なくとも基準肉厚対応部の表面に断熱層を設け、
    前記基準肉厚対応部よりも前記製品において肉厚が薄い部分に対応する薄肉形状部は、前記基準肉厚対応部の前記断熱層の厚みよりも薄い断熱層を有し、或いは断熱層を省略していることを特徴とするプラスチック成形品の製造方法。
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