本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
なお、以下の実施の形態は例示であって、本発明は実施の形態に示した構成に限定されないことは勿論である。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における移植装置1を示す斜視図である。以下の説明では、図1中の矢符により示す上下、前後、及び左右を使用する。
移植装置1は、栽培パネルTを保持するフレーム25、培地のホルダ40を移送するホルダ移送部4、移植アーム50を駆動する移植アーム駆動部5、ホルダ40の移送及び移植アーム50の駆動を夫々ホルダ移送部4及び移植アーム駆動5へ指示する移植制御部20(図1中では外箱を示す)を備える。
フレーム25は複数の支柱と、支柱間を上部及び下部で連結する複数の横架材とから構成される。フレーム25の中央部に前後及び左右方向にガイドフレームが架設されており、更にガイドフレームには支持板26が水平に取り付けられている。栽培パネルTは隣り合う2辺がガイドフレームに夫々沿うように、支持板26上に固定される。なお栽培パネルTは、支持板26上の所定位置への手動での取り付け及び取り外しが可能である。栽培パネルTについては詳細を後述する。
移植アーム駆動部5は、栽培パネルTの下方にあって移植アーム50、支持台51、駆動部52、走行ガイド53及び左右方向ガイド54を備える。走行ガイド53はフレーム25の下部に前後方向に架設されている。走行ガイド53の架設位置は、栽培パネルTの下である。走行ガイド53には、支持台51が走行可能に取り付けられている。支持台51には駆動部52が設けられており、駆動部52には移植アーム50が取り付けられている。走行ガイド53の長さは栽培パネルTの長手方向の長さと略等しく、移植アーム50は、栽培パネルTの長手方向に対応する距離を移動することが可能である。更に走行ガイド53は、左右方向ガイド54に沿って左右方向に動くことが可能に構成されている。これにより移植アーム50は、栽培パネルTの下方における栽培パネルTの大きさに対応する範囲内で、栽培パネルTの全ての孔T1の下部へ移動することが可能である。更に移植アーム50は、駆動部52の動作によって支持台51に対して上昇することが可能であり、移植アーム50の先端部に設けられている移植ハンド(図3参照)は、栽培パネルTよりも低い初期位置と、栽培パネルTに設けられている複数の孔T1を貫通して栽培パネルTよりも高い上昇位置との間で昇降可能である。
ホルダ移送部4は栽培パネルTの上方にあって、ホルダ40、左右方向ガイド41、及び前後方向ガイド42を備える。前後方向ガイド42は、栽培パネルTの上部中央後側の位置に、前後方向に架設されている。前後方向ガイド42には、左右方向に延びる左右方向ガイド41が取り付けられている。左右方向ガイド41の前面には、矩形枠状のホルダ40の一長辺側が取り付けられている。これによりホルダ40は、左右方向ガイド41に沿って左右方向に移動し、更に左右方向ガイド41と共に前後方向ガイド42に沿って前後方向に移動することが可能である。なお前後方向ガイド42の長さは、栽培パネルTの前後方向の長さよりも少し長く、左右方向ガイド41の長さも、栽培パネルTの幅(左右方向の長さ)よりも少し長い。ホルダ40は、栽培パネルTの上方で、栽培パネルTに対応する範囲から大きく外れない範囲内で移動することが可能である。ホルダ40とその移動範囲については詳細を後述する。
移植装置1における培地Bから栽培パネルTへの植物Pの移植について、図2及び図3を参照して培地B及び栽培パネルTの詳細と共に概要を述べる。図2は、植物の移植元の培地の一例を示す斜視図であり、図3は、実施の形態1における培地B、ホルダ40、栽培パネルT、及び移植アーム50を示す斜視図である。
培地Bは例えばウレタン製であって図2に示すように矩形平板状をなす。培地Bは縦横各複数列に並ぶ複数の苗床部に区分されている。培地Bの一面には、苗床部の夫々に、植物Pを育苗するための1つの孔B1が設けられている。培地Bの他面は、前記一面側に達しない程度に切り込まれている。図2に示す培地Bは、300(=12×25)個の苗床部に区分されている。苗床部の区分数についてはこれに限られないことは勿論である。
矩形枠状のホルダ40は、縦横各複数列に並ぶ孔が設けられた底板を有している。ホルダ40の矩形枠の内周は培地Bの外周に略等しく、培地Bがホルダ40内に収まるようにしてある。ホルダ40の底板に設けられた孔の大きさ及び数は、培地Bの苗床部の大きさ及び分割数に対応している。
栽培パネルTは例えば発泡スチロール製であって矩形平板状をなす。栽培パネルTには、複数の孔T1が縦横に並べて設けられている。各孔T1は円形であって、パネルの一面側から約半分の深さに至るまではテーパ状に縮径されている。孔T1の該一面側の直径は、培地Bの1つの苗床部の対角線の長さに略等しく、縮径された側の直径は、苗床部の一辺の長さと略等しいか少し短い。図3に示す栽培パネルTには例えば100(=10×10)個の孔T1が設けられている。栽培パネルTの孔T1の数についてはこれに限られないことは勿論であり、孔T1間の間隔は植物Pの種類に応じて生育に適した間隔となるように設計される。
移植装置1により、培地Bから栽培パネルTへ植物Pが移植される工程について図3を参照して説明する。作業者によって設置された培地Bを保持したホルダ40は、移植制御部20の制御により栽培パネルTの上方を前後左右に移動する。そして移植アーム50の支持台51は、移植制御部20の制御により栽培パネルTの下方を前後左右に移動する。培地Bの苗床部が栽培パネルTにおける空き孔T1の真上の位置に存在するとき、移植制御部20は移植アーム50がその真下に位置するように支持台51を移動させる。続けて移植制御部20は、移植アーム50の先端部の移植ハンドが上昇位置へ上昇するように駆動部52を動作させる。移植アーム50が移植ハンドごと、空いている孔T1及びホルダ40の底板の孔を貫通し、移植ハンドが苗床部へ到達する上昇位置へ上昇すると、移植ハンドは苗床部を掴持する。このとき移植制御部20は移植アーム50を下降させる。移植ハンドに掴持された苗床部は、移植アーム50と共に下降することによってホルダ40の底板に開けられている孔にて破断され、更に下降して栽培パネルTの孔T1に入り、孔T1の縮径された部分で保持される。移植制御部20は、苗床部が孔T1に保持されたところで各移植ハンドによる掴持を解除し、更に移植アームは下降して移植ハンドは初期位置に戻る。このように、移植制御部20の指示によってホルダ40、支持台51及び移植アーム50が前後左右及び上下に移動することで、培地Bの苗床部の栽培パネルTへの移植が実現する。
このような移植装置1の移植制御部20による植物Pの移植制御について詳細を説明する。図4は、実施の形態1における移植装置1の内部構成を示すブロック図である。移植装置1は、上述したようにホルダ移送部4及び移植アーム駆動部5と、これらを制御する移植制御部20とで構成されている。移植制御部20は、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller )である。移植制御部20は、マイクロプロセッサである制御部21と、フラッシュメモリ等を用いた記憶部22と、マンマシンインタフェースである操作部23と、ホルダ移送部4及び移植アーム駆動部5と接続される入出力インタフェース24とを備える。
制御部21は、記憶部22に予め記憶されてある移植プログラム2Pに基づき、操作部23にて受け付ける操作に従ってホルダ移送部4へホルダ40の移動及び停止を指示する。更に制御部21は、移植アーム駆動部5へ移植アーム50の支持台51の前後左右移動及び停止、及び移植アーム50の上下駆動を指示する。
記憶部22には、上述の移植プログラム2Pが記憶されている。移植プログラム2Pには、移植装置1に載置される栽培パネルTの孔T1の数及び大きさ、並びにホルダ40に収容される培地Bの苗床部の分割数に応じた移植の対応が組み込まれている。移植の対応とは例えば、移植先の栽培パネルTにおける孔T1の位置情報と対応付けられた移植元の培地Bの苗床部の位置情報である。対応付けられた孔T1の位置情報と培地Bの苗床部の位置情報とに、移植順序を示す番号(移植順)を付して記憶してもよい。具体的に移植の対応は、実施の形態1においては100(=10×10)個の孔T1を含む栽培パネルT、及び300(=12×25)個の分割数の培地B用に、所定のアルゴリズムに従って予め決定されている。またこの対応は、1つの培地Bから3枚の栽培パネルT夫々への対応である。培地Bと栽培パネルTとの間の移植の対応については詳細を後述する。移植の対応は移植プログラム2Pとは別途記憶部22に記憶され、制御部21により参照できるようにしてもよい。
移植プログラム2Pは、上述した制御部21による制御を実行させるプログラムである。移植プログラム2Pは記憶部21に予め記憶されているか、又は制御部21に組み込まれる。また移植プログラム2Pは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体27に記録されている態様でもよい。記憶部21は、図示しない読出装置によって記録媒体27から読み出された移植プログラム28を記憶する。記録媒体27はCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray (登録商標) Disc )等の光ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク、半導体メモリ等である。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから実施の形態1に係る移植プログラム28をダウンロードし、記憶部21に記憶させてもよい。
操作部23は、制御部21の外箱上面に設けられているスイッチ及びボタンを用いる。スイッチ及びボタンには、移植開始を指示するスタートボタンが含まれる。操作部23には液晶パネルが含まれ、操作内容及びエラーメッセージ等が表示されるとよい。制御部21は、操作部23における操作を検知し、操作内容に従って後述するような移植に係る各制御を実行する。
上述のように構成される移植装置1における移植の処理手順についてフローチャートを参照して詳細を説明する。図5は、実施の形態1における移植の処理手順の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートに示す処理手順は、作業者が、全ての孔T1が空き状態の栽培パネルTを支持板26上に載置し、育苗工程を経た植物Pの培地Bをホルダ40に嵌め込み、操作部23のスタートボタンを押下した場合、押下を検知した制御部21により開始される。
制御部21は、移植先の栽培パネルTも培地Bも新しいもの(栽培パネルTは空、培地Bは満)であるとして処理を開始する。なお以下の説明においては、栽培パネルTにおける孔T1の位置情報は、図1における手前側の行を1行目とし、最も左側の列を1列目とするx行y列で識別する(x=1〜10、y=1〜10)。同様にして培地Bにおける苗床部も図1におけるホルダ40の手前側を1行目とし、左側を1列目とするm行n列で識別する(m=1〜12、n=1〜25)。
実施の形態1における栽培パネルT及び培地Bの例では、1つの培地Bから3枚の栽培パネルTへの移植を1つの処理として実行する。したがってまず制御部21は、栽培パネルTが何枚目であるかを示す枚数k(=1〜3)を初期化(k=1)する(ステップS1)。
次に制御部21は、k枚目の栽培パネルTについての移植順i=1〜100を、移植先の孔T1の位置情報に割り当てる(ステップS2)。具体的には、栽培パネルTにおける孔T1をジグザグ状に進むように、各孔T1の位置情報(x,y)に移植順i=1〜100を割り当てる。図6は、栽培パネルTの孔T1に割り当てられる移植順iを示す説明図である。図6中の丸中の数字が移植順iを示している。そして制御部21は、移植順iを初期化する(ステップS3)。移植順1番目の孔T1の位置情報は(1,1)であり、移植順2番目の孔T1の位置情報は(2,1)であり、移植順10番目の孔T1の位置情報は(10,1)である。そして移植順11番目の孔T1の位置情報は(10,2)であり、移植順11番目の孔T1の位置情報は(9,2)である。移植順に従って位置情報を示すと(1,1),(2,1),…,(10,1),(10,2),(9,2),…,(1,2),(1,3),(2,3),…,(10,3),(10,4),(9,4),…となる。
制御部21は、k枚目の栽培パネルTにおける移植順iの孔T1の位置情報(x,y)に対応付けられている移植元の培地Bの苗床部の位置情報(m,n)を特定する(ステップS4)。k枚目の栽培パネルTの孔T1の位置情報(x,y)と、苗床部の位置情報(m,n)との対応は上述したように、記憶部22の移植プログラム2Pに組み込まれているか、又は記憶部22に記憶されてある。
制御部21は、特定した苗床部が、位置情報(x,y)で特定される移植先の孔T1の上へ来るようにホルダ40を移動させるべくホルダ移送部4へ指示する(ステップS5)。制御部21は同時的に、位置情報(x,y)で特定される移植先の孔T1の下へ、移植アーム50が来るように、支持台51を移動させるべく移植アーム駆動部5へ指示する(ステップS6)。
制御部21は、移植順iの移植先の孔T1に対し、移植アーム50による培地Bの苗床部の引き抜き及び孔T1への移植を実行する(ステップS7)。
次に制御部21は、移植順iに1を加え(ステップS8)、移植順iが移植順の最大値I(=100)に達したか否かを判断する(ステップS9)。最大値Iに達していないと判断された場合(S9:NO)、制御部21は処理をステップS4へ戻し、次の移植順iの移植先についての処理を続行する。
ステップS9にて最大値Iに達したと判断された場合(S9:YES)、制御部21は、音声又は操作部23の液晶パネル等への出力によって栽培パネルTの交換指示を出力させる(ステップS10)。制御部21は栽培パネルTの枚数kに1を加え(ステップS11)、kが最大値「3」に達しているか否かを判断する(ステップS12)。kが最大値「3」に達していないと判断された場合(S12:NO)、制御部21は処理をステップS2へ戻し、次の栽培パネルTへの移植処理を続行する。
kが最大値「3」へ達したと判断された場合(S12:YES)、制御部21は1回の移植の処理を終了する。
上述の処理手順の内、ステップS4において特定されるk枚目の栽培パネルTの孔T1の位置情報(x,y)と、苗床部の位置情報(m,n)との対応について、図面を参照して具体的に説明する。これらの対応は、栽培パネルTの大きさ、孔T1の数、及び並び方、並びに培地Bの大きさ及び苗床部の分割数に基づいて、所定のアルゴリズムにより予め決定される。
所定のアルゴリズムとは、端的に言えば、培地Bの移動範囲を可及的に、栽培パネルTに対応する範囲内に収めるためのアルゴリズムである。該アルゴリズムに従って、以下の(1)〜(3)の手順により、移植先の栽培パネルTの孔T1と移植元の培地Bの苗床部との間の対応が定められる。
(1)行方向の領域分別
栽培パネルTの孔T1の位置情報(x,y)と、培地Bの苗床部の位置情報(m,n)との対応はまず、栽培パネルT及び培地Bを夫々、行方向を同数で分ける。ここで同数とは、栽培パネルTの列数「10」、及び培地Bの列数「25」の公約数であるとよい。栽培パネルTの列数と、培地Bの列数とが互いに素であって公約数が「1」以外に存在しない場合、同数は夫々の列数のより小さい方の数字とする。実施の形態1では「5」で分ける。図7は、行方向の領域分別例を示す説明図である。図7の太線により、行方向を分けた第1〜第5領域の分別例を示している。
(2)列方向の領域分別
栽培パネルTと、培地Bとで夫々「5」つに分けられた領域毎に、更に列方向を((1)とは90°異なる方向で)同数で分ける。ここで同数とは、行数のより小さい方の数字とする。したがって列方向の分別数は「10」とする。図8は、領域分別例を示す説明図である。図8では、栽培パネルTにおける列方向の分別の境界は破線により示し、培地Bにおける列方向の分別の境界はハッチングによる区分けによって示している。そして列方向を分けた領域は領域A〜Jとして示している。図8に示すように、栽培パネルTの第1〜第5領域は夫々20個の孔T1を含む。したがって列方向を「10」個に更に分別することにより、各々孔T1を2つ有する領域へ分別される。また、培地Bの行方向を「5」つに分別した第1〜第5領域は、各々60個(12行5列)の苗床部を含む。したがって、列方向を「10」個に更に分別することにより、培地Bの1つの領域は苗床部を6つ有する領域へ分別される。なお12行5列の苗床部を6つずつに分別する際には、図8に示すように各領域内の端から、即ち行数m及び列数nが夫々小さい数から順に対応付けることとする。
(3)分別領域同士の対応付け
栽培パネルTと培地Bとの間で、分別された第1〜第5領域の領域A〜J同士で、孔T1と苗床部とを領域内の端から順に対応付ける。このとき各領域内の端からとは、x,y,m,nが夫々小さい数から順に対応付けることとする。なおこのとき、栽培パネルT上での移植順序が孔T1を列方向に沿うようにしてジグザグ状に進む場合(図6参照)、苗床部の第2及び第4領域については、栽培パネルTにおける順序同様に、行番号mが大きい数から順に、各行では列番号nの小さい順に対応付けるようにしてもよい。
図9は、栽培パネルTの孔T1と培地Bの苗床部との対応付けの例を示す説明図である。図9中の栽培パネルTにおける孔T1に対応する各丸印中の英字は列方向を分けた領域A〜Jを示し、数字は各領域の端からの数を示している。なお実施の形態1では1つの培地Bから3枚の栽培パネルTへ移植する。したがって図9に示すように、培地Bの各領域A〜Jの6つの苗床部は、3枚分の栽培パネルTの各領域に対応付けられている。
(3)の対応付けを図9を参照して具体的に示す。
1枚目の栽培パネルTの第1領域の「A1」の孔T1、即ち1行1列目の孔T1(k,x,y)=(1,1,1)には、培地Bにおける1行1列目の苗床部(m,n)=(1,1)が対応付けられる。
1枚目の栽培パネルTの第1領域の「A2」の孔T1、即ち1行2列目の孔T1(k,x,y)=(1,1,2)には、培地Bにおける1行1列目の苗床部(m,n)=(1,2)が対応付けられる。
1枚目の栽培パネルTの第1領域の「B1」の孔T1、即ち2行1列目の孔T1(k,x,y)=(1,2,1)には、培地Bにおけるハッチングで示される「B1」の苗床部、即ち2行2列目の苗床部(m,n)=(2,2)が対応付けられる。
1枚目の栽培パネルTの第1領域の「B2」の孔T1、即ち2行2列目の孔T1(k,x,y)=(1,2,2)には、培地Bにおけるハッチングで示される「B2」の苗床部、即ち2行3列目の苗床部(m,n)=(2,3)が対応付けられる。
同様にして1枚目の栽培パネルTの第1領域の「C1」の孔T1、即ち3行1列目の孔T1(k,x,y)=(1,3,1)には、培地Bにおけるハッチングで示される「C1」の苗床部、即ち3行3列目の苗床部(m,n)=(3,3)が対応付けられる。
このような位置情報間の対応付けが、移植プログラム2Pに組み込まれているか、又は記憶部22に記憶されている。
図10は、培地Bにおける1枚目の栽培パネルへの移植順iを示す説明図である。図5のフローチャート中、ステップS4の処理にて、制御部21は移植順iが割り当てられている孔T1に対応する培地Bの苗床部の位置情報を特定する。図10は、特定された苗床部に対応する箇所に、各苗床部の移植先の孔T1に割り当てられている移植順iを示したものである。1枚目の栽培パネルTへの培地B上での移植順iは図9に示したようになる。
上述の(1)〜(3)により、培地B及び栽培パネルTの領域の分別、及び領域同士で苗床部及び孔T1の間が対応付けられる。
図10の移植順iの割り当てから分かるように、栽培パネルTの1列目、2列目の孔T1への移植は、培地Bにおける1〜5列目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルTの1列目及び2列目の孔T1の上に、培地Bの6〜25列目の部分が位置することはない。同様にして栽培パネルTの9列目、10列目の孔T1への移植は、培地Bにおける21〜25列目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルTの9列目及び10列目の孔T1の上に、培地Bの1〜20列目の部分が位置することはない。したがって、培地Bが栽培パネルTの上方で、栽培パネルTに対応する範囲を行方向に大きく外れることはない。
また、栽培パネルTの1行目の孔T1への移植は、培地Bにおける1行目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルTの1行目の孔T1の上に、培地Bの2〜12行目の部分が位置することはない。同様にして栽培パネルTの10行目の孔T1への移植は、培地Bにおける11行目又は12行目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルTの1行目の孔T1の上に、培地Bの1〜10行目の部分が位置することはない。したがって、培地Bが栽培パネルTの上方で、栽培パネルTに対応する範囲を列方向に大きく外れることはない。
以下に栽培パネルTへの移植過程を、図面を参照して具体的に説明する。
図11〜図15は、培地Bから1枚目の栽培パネルTへ移植される際の培地Bと栽培パネルTとの位置関係を示す説明図である。図11は、移植順i=1における位置関係を示している。図11に示すように、移植順i=1において、培地Bは栽培パネルTに対応する範囲から行方向に苗床部2つ分程度外れるのみである。図12は移植順i=5における位置関係を示している。同様にして図13は移植順i=10における位置関係を示している。図12及び図13に示す位置関係は、行方向において培地Bが最も一端側(1列目側)に寄る。しかしながら図12に示すように、培地Bは栽培パネルTに対応する範囲から苗床部3つ分程度外れるのみである。同様にして図14は、移植順i=91における位置関係を示し、図15は移植順i=100における位置関係を示している。図14に示す位置関係は、行方向において培地Bが最も他端側(10列目側)に寄る。しかしながら図14に示すように、培地Bは栽培パネルTに対応する範囲から苗床部3つ分程度外れるのみである。更に、図11〜図15を参照すると列方向においては、培地Bは栽培パネルTに対応する範囲から外れない。
図16は、培地Bから2枚目及び3枚目の栽培パネルTへの移植順iを示す説明図である。図16は図10に対応し、ステップS4の処理にて特定された苗床部に対応する箇所に、各苗床部の移植先の孔T1に割り当てられている移植順iを示したものである。図6に示す移植順iが割り振られた栽培パネルTへ、図16に示す各苗床部からの移植を実行する場合、2枚目、3枚目の栽培パネルTについても図11〜図15に示したように、培地Bは栽培パネルTに対応する範囲から大きく外れることはない。
このように、実施の形態1にて説明した移植装置1では、栽培パネルTの上方の栽培パネルTに対応する範囲から培地Bが大きく外れない範囲内で移動させる方法で、培地Bの全ての苗床部からの栽培パネルTの全ての孔T1への移植を実現できる。これにより、移植装置1が占める空間を小さくすることが可能である。
実施の形態1に示した移植順では、図6に示したように、移植順iを列方向に沿ってジグザグ状に進むように割り当てたが、まず行方向に沿ってジグザグ状に割り当ててもよい。この場合、各苗床部の移植先の孔T1に割り当てられている移植順iは、図17のようになる。また栽培パネルTの孔T1にジグザグ状に移植順を割り当てたのは、固定された栽培パネルTに対する移植アーム50の移動を最小限とするためである。したがって移植順は、栽培パネルTの孔T1に、1列毎に、1行目から10行目の順に移植するようにしてもよい。同様に1行毎に、1列目から10列目の順に移植するようにしてもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2では、150(=15×10)個の孔を含む栽培パネルT2を用いる。培地Bの大きさ及び分割数は、実施の形態1と同一とする。したがって実施の形態2では、1つの培地Bから2枚の栽培パネルT2への移植が1つの処理として行なわれる。
実施の形態2における移植装置1による処理手順は、実施の形態1において図5のフローチャートに示した処理手順と同様である。実施の形態2では、栽培パネルT2が実施の形態1と異なるから、栽培パネルT2の孔の数及び大きさに応じて予め移植プログラム2Pに組み込まれている移植順序が実施の形態1と異なる。
実施の形態2における移植順序について具体的に説明する。図18は、実施の形態2における栽培パネルT2の孔に割り当てられる移植順iを示す説明図である。図18中の丸中の数字が移植順iを示している。図18に示すように、栽培パネルT2においても移植先の孔への移植順i=1〜150の割り当ては、孔をジグザグ状に進むように行なわれる。具体的には、移植順1番目の孔の位置情報は(1,1)であり、移植順2番目の孔の位置情報は(2,1)であり、移植順15番目の孔の位置情報は(15,1)である。そして移植順16番目の孔の位置情報は(15,2)であり、移植順17番目の孔の位置情報は(14,2)である。移植順に従って位置情報を示すと(1,1),(2,1),…,(15,1),(15,2),(14,2),…,(1,2),(1,3),(2,3),…,(15,3),(15,4),(14,4),…となる。
k(k=1,2)枚目の栽培パネルT2の孔の位置情報(x,y)と、苗床部の位置情報(m,n)との対応は、栽培パネルT2の大きさ、孔の数、及び並び方、並びに培地Bの大きさ及び苗床部の分割数に基づいて、実施の形態1同様に所定のアルゴリズムに基づいて以下のように決定される。
図19は、実施の形態2における行方向の領域分別例を示す説明図である。実施の形態2においても栽培パネルT2の列数「10」、及び培地Bの列数「25」の公約数である「5」で行方向に分別される。
図20は、実施の形態2における領域分別例を示す説明図である。実施の形態2においては、栽培パネルT2、及び培地Bを夫々、栽培パネルT2の孔の行数「15」で分別する。図20では、栽培パネルT2における列方向の分別の境界は破線により示し、培地Bにおける列方向の分別の境界はハッチングによる区分けによって示している。そして列方向を分けた領域は領域A〜Oとして示している。図20に示すように、栽培パネルT2の第1〜第5領域は夫々30個の孔を含む。したがって列方向を「15」個に更に分別することにより、各々孔を2つ有する領域へ分別される。また、培地Bの行方向を「5」つに分別した第1〜第5領域は、各々60個(12行5列)の苗床部を含む。これらの領域を夫々列方向を「15」個に更に分別することにより、培地Bの1つの領域は苗床部を4つ有する領域へ分別される。
図21は、実施の形態2における栽培パネルT2の孔と培地Bの苗床部との対応付けの例を示す説明図である。図21中の栽培パネルT2における孔に対応する各丸印中の英字は列方向を分けた領域A〜Oを示し、数字は各領域の端からの数を示している。実施の形態2では1つの培地Bから2枚の栽培パネルT2へ移植する。したがって図21に示すように、培地Bの各領域A〜Oに含まれる4つの苗床部は、2枚の栽培パネルT2の各領域に対応付けられている。
図22及び図23は、実施の形態2の培地Bにおける栽培パネルT2への移植順iを示す説明図である。上述のステップS4の処理にて、制御部21は移植順iが割り当てられている孔に対応する培地Bの苗床部の位置情報(m,n)を特定する。図22及び図23は、特定された苗床部に対応する箇所に、各苗床部の移植先の孔に割り当てられている移植順iを示したものである。1枚目の栽培パネルT2への培地B上での移植順iは図22に示したようになる。同様にして2枚目の栽培パネルT2への培地B上での移植順iは図23に示したようになる。
実施の形態2においても、図22から分かるように栽培パネルT2の1列目、2列目の孔への移植は、培地Bにおける1〜5列目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルT2の1列目及び2列目の孔の上に、培地Bの6〜25列目の部分が位置することはない。同様にして栽培パネルT2の9列目、10列目の孔への移植は、培地Bにおける21〜25列目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルT2の9列目及び10列目の孔の上に、培地Bの1〜20列目の部分が位置することはない。したがって、培地Bが栽培パネルT2の上方で、栽培パネルT2に対応する範囲を行方向に大きく外れることはない。
また、栽培パネルT2の1行目の孔への移植は、培地Bにおける1行目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルT2の1行目の孔の上に、培地Bの2〜12行目の部分が位置することはない。同様にして栽培パネルT2の15行目の孔への移植は、培地Bにおける12行目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルT2の15行目の孔の上に、培地Bの1〜11行目の部分が位置することはない。したがって、培地Bが栽培パネルT2の上方で、栽培パネルT2に対応する範囲を列方向に大きく外れることもない。
(実施の形態3)
実施の形態3では、98(=14×7)個の孔を含む栽培パネルT3を用いる。培地Bの大きさ及び分割数は、実施の形態1と同一とする。実施の形態3では、1つの培地Bで複数の栽培パネルT3における全ての孔への移植を満たすことはできない。しかしながら培地Bにおける苗床部の数は、栽培パネルT3の孔の数の約3倍であるから、実施の形態1同様に1つの培地Bから3枚の栽培パネルT3への移植が1つの処理として行なわれる。剰余分は他の栽培パネルT3へ利用するか、又は、生育不良の苗に代替して使用するとよい。
実施の形態3における移植装置1による処理手順は、実施の形態1において図5のフローチャートに示した処理手順と同様である。実施の形態2では、栽培パネルT3が実施の形態1と異なるから、栽培パネルT3の孔の数及び大きさに応じて予め移植プログラム2Pに組み込まれている対応が実施の形態1と異なる。
実施の形態3における移植順序について具体的に説明する。図24は、実施の形態3における栽培パネルT3の孔に割り当てられる移植順iを示す説明図である。図24中の丸中の数字が移植順iを示している。図24に示すように、栽培パネルT3においても移植先の孔への移植順i=1〜98の割り当ては、孔を列方向に沿うようにしてジグザグ状に進むように行なわれる。具体的には、移植順1番目の孔の位置情報は(1,1)であり、移植順2番目の孔の位置情報は(2,1)であり、移植順14番目の孔の位置情報は(14,1)である。そして移植順15番目の孔の位置情報は(14,2)である。移植順に従って位置情報を示すと(1,1),(2,1),…,(14,1),(14,2),(13,2),…,(1,2),(1,3),(2,3),…,(14,3),(14,4),(13,4),…となる。
k(k=1,2)枚目の栽培パネルT3の孔の位置情報(x,y)と、苗床部の位置情報(m,n)との対応は、栽培パネルT3の大きさ、孔の数、及び並び方、並びに培地Bの大きさ及び苗床部の分割数に基づいて、実施の形態1同様に所定のアルゴリズムに基づいて以下のように決定される。
図25は、実施の形態3における行方向の領域分別例を示す説明図である。実施の形態2においては、栽培パネルT3の列数「7」、及び培地Bの列数「25」は互いに素であるから、小さい方の数字である栽培パネルT3の列数「7」で行方向に分別される。培地Bの列数「25」は、分別数「7」では割り切れないので、同一列の苗床部を2つの隣り合う領域同士で分け合うようにしてある。なおこのとき第1〜第7領域に含まれる苗床部の数は「42」である。
図26は、実施の形態3における領域分別例を示す説明図である。実施の形態3においては、栽培パネルT3、及び培地Bを夫々、栽培パネルT3の孔の行数「14」で分別する。図26では、栽培パネルT3における列方向の分別の境界は破線により示し、培地Bにおける列方向の分別の境界はハッチングによる区分けによって示している。そして列方向を分けた領域は領域A〜Nとして示している。図26に示すように、栽培パネルT3の孔は14行である。したがって列方向を「14」個に更に分別することにより、第1〜第7領域は各々孔を1つ有する領域へ分別される。また、培地Bの行方向を「7」つに分別した第1〜第7領域は、各々「42」個の苗床部を含む。これらの領域を夫々列方向を「14」個に更に分別することにより、培地Bの1つの領域は苗床部を3つ有する領域へ分別される。
列方向の分別は図26には限られない。図24に示すように栽培パネルT3上での移植順序は、孔を列方向に沿うようにしてジグザグ状に進むから、苗床部の第2、第4及び第6領域については、行番号mが大きい数側から順に、各行において列番号nの小さい側から分別するようにしてもよい。図27は、実施の形態3における領域分別の他の例を示す説明図である。図27は、行番号mが大きい数側から順に、各行において列番号nの小さい側から分別した場合の例を示している。
図28は、実施の形態3における栽培パネルT3の孔と培地Bの苗床部との対応付けの例を示す説明図である。図28中の栽培パネルT3における孔に対応する各丸印中の英字は、列方向を分けた領域A〜Nを示し、数字は各領域の端からの数字(ここでは「1」のみ)を示している。実施の形態3では1つの培地Bから3枚の栽培パネルT3へ移植する。したがって図28に示すように、培地Bの各領域A〜Nに含まれる3つの苗床部は、3枚の栽培パネルT3の各領域に対応付けられている。
図29及び図30は、実施の形態3の培地Bにおける栽培パネルT3への移植順iを示す説明図である。上述のステップS4の処理にて、制御部21は移植順iが割り当てられている孔に対応する培地Bの苗床部の位置情報(m,n)を特定する。図29及び図30は、特定された苗床部に対応する箇所に、各苗床部の移植先の孔に割り当てられている移植順iを示したものである。1枚目の栽培パネルT3への培地B上での移植順iは図29に示したようになる。同様にして2枚目、及び3枚目の栽培パネルT3への培地B上での移植順iは図30に示したようになる。
実施の形態3においても、図29から分かるように栽培パネルT3の1列目の孔への移植は、培地Bにおける1〜4列目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルT3の一列目の孔の上に、培地Bの5〜25列目の部分が位置することはない。同様にして栽培パネルT3の7列目の孔への移植は、培地Bにおける22〜25列目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルT3の7列目の孔の上に、培地Bの1〜21列目の部分が位置することはない。したがって、培地Bが栽培パネルT3の上方で、栽培パネルT3に対応する範囲を行方向に大きく外れることはない。
また、栽培パネルT3の1行目の孔への移植は、培地Bにおける1行目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルT3の1行目の孔の上に、培地Bの2〜12行目の部分が位置することはない。同様にして栽培パネルT3の14行目の孔への移植は、培地Bにおける12行目の苗床部の中から行なわれる。したがって栽培パネルT3の14行目の孔の上に、培地Bの1〜11行目の部分が位置することはない。したがって、培地Bが栽培パネルT3の上方で、栽培パネルT3に対応する範囲を列方向に大きく外れることもない。
(変形例)
なお上述に説明した実施の形態3では、培地Bの300個の苗床部の内、偶数行25列目の6つの苗床部は使用せず、生育不良の苗に代替して使用するとよいとした。しかしながら全ての苗床部を用いるとしても、同様のアルゴリズムに従って領域を分別することによって、培地Bの栽培パネルT3の上方での移動範囲を栽培パネルT3に対応する範囲から大きく外れないようにすることが可能である。図31は、実施の形態3における領域分別の他の例を示す説明図である。図31に示すように、変形例では培地Bを行方向に、栽培パネルT3の列数「7」で分別する。図31では分別した領域同士は、1列分のみ重複している。この重複している列を隣り合う領域同士で相互に分け合って分別するとよい。なおこのとき、培地Bの1〜7行を用いて7行25列の175個の苗床部を25個ずつ有する等面積の領域に分別するとよい。8〜12行目の苗床部については、次の培地Bの1〜2行目を合わせて苗床部を25個ずつ有する等面積の領域に分別し、次の培地Bの3〜9行目を同様に等面積の領域に分別する。更に次の培地Bの10〜12行目の苗床部は、更に次の培地Bの1〜4行目の苗床部と合わせて同様に等面積の領域に分別し、これを継続させるとよい。
図31に示す領域分別の場合であっても、栽培パネルT3の1列目の孔への移植は、培地Bにおける1〜4列目の苗床部の中から行なわれ、2列目の孔への移植は、培地Bにおける4〜8列目の苗床部の中から行なわれることに限定される。3列目の孔への移植は、培地Bにおける8〜11列目の苗床部の中から行なわれ、4列目の孔への移植は、培地Bにおける11〜15列目の苗床部の中から行なわれ、5列目の孔への移植は、培地Bにおける15〜18列目の苗床部の中から行なわれるように限定される。6列目の孔への移植は、培地Bにおける18〜22列目の苗床部の中から行なわれ、7列目の孔への移植は、培地Bにおける22〜25列目の苗床部の中から行なわれるように限定される。したがって少なくとも行方向においては、培地Bが栽培パネルT3に対応する範囲を大きく外れることはない。
図31に示した分別例は培地Bの長手方向(行方向)を分別することとしたが、短手方向を分別するようにしてもよい。ただし、長手方向を分別する方が、栽培パネルT3に対応する範囲を外れる大きさを可及的に小さくすることが可能になり、移植装置1の省空間化を効果的に実現できる。
(実施の形態4)
実施の形態1〜3に示した移植手順により移植を行なうに際し、移植装置1は苗選別を同時的に行なう構成としてもよい。実施の形態4における移植装置1は、他装置からの通信媒体若しくは記憶媒体を介した受信、又は自身の操作部23での操作受付によって培地Bに含まれる苗床部の内の生育不良の苗の位置情報を特定する選別情報を取得し、選別情報に基づいて苗選別を行なう。移植装置1の構成は、他装置から通信媒体若しくは記憶媒体を介した受信を行なう場合に必要なハードウェア、及び以下に示す処理手順以外は、実施の形態1と同様であるから、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図32は、実施の形態4における移植の処理手順の一例を示すフローチャートである。図32のフローチャートに示す処理手順の内、実施の形態1の図5のフローチャートに示した処理手順と共通する処理手順には同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
実施の形態4において制御部21は、培地Bがホルダ40に収容され、且つ栽培パネルTが載置されて処理を開始するに際し、まず選別情報を取得する(ステップS1001)。選別情報は、培地Bの苗床部の位置情報(m,n)夫々に対応付けられた、優良/不良を示す情報である。選別情報は二値で示されていてもよいし、指標を示す数値であってもよい。
制御部21はステップS4において、k枚目の栽培パネルTにおける移植順iの孔T1の位置情報(x,y)に対応付けられている移植元の培地Bの苗床部の位置情報(m,n)を特定した場合(S4)、特定した苗床部の位置情報に対応する選別情報を参照する。制御部21は、培地Bの移動の指示(S5)、移植アーム50の移動の指示(S6)を行なう前に、参照した選別情報に基づいて特定した位置情報の位置の苗床部に生育している植物Pの苗が生育不良であるか否かを判断する(ステップS1002)。
ステップS1002にて生育不良でないと判断された場合(S1002:NO)、制御部21は、培地Bの移動の指示(S5)、移植アーム50の移動の指示(S6)を行ない、移植を実行させ(S7)、処理をステップS8へ進める。
ステップS1002にて生育不良であると判断された場合(S1002:YES)、制御部21は、S5〜S7を省略して処理をステップS8へ進める。なお処理終了後、栽培パネルTの孔T1に空き孔がある場合には、バッファされている他の培地Bの苗床部から順に移植されるように制御するとよい。
これにより、栽培パネルTの上方の栽培パネルTに対応する範囲から培地Bが大きく外れない範囲内で移動させる方法で、培地Bの苗床部からの栽培パネルTの孔T1への優良株の移植を実現することができる。
(実施の形態5)
実施の形態1から4では移植順iを、栽培パネルT,T2,T3に対して孔T1をジグザグ状に進むように順に割り当てた(図6、図17、図18、図24)。実施の形態5では、培地Bに対して苗床部をジグザグ状に進むように移植順iを割り当て、且つ培地Bが移植パネルに対応する範囲からできる限り外れないように苗床部と移植先の孔T1との対応関係を割り当てる。なお実施の形態5で使用する栽培パネルを符号T4で示す。
実施の形態5における移植装置1のハードウェア的な構成は、実施の形態1における構成と同様である。共通する構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。そして、実施の形態5における移植手順は、実施の形態1において図5のフローチャートに示した処理手順と同様である。ただし、実施の形態5では、予め決定される栽培パネルT4の孔T1と培地Bの苗床部との対応の決定の方法及び移植順iの割り当て方が実施の形態1から4と異なる。
図33は、実施の形態5にて培地Bの苗床部に割り当てられる移植順iを示す説明図である。培地Bの位置情報は、図1におけるホルダ40の奥側の行を1行目とし、最も左側の列を一列目とするn行p列で識別する(n=1〜12、p=1〜25)。同様にして栽培パネルT4における位置情報は、図1における奥側の行を1行目とし、最も左側の列を1列目とするs行u列で識別する(s=1〜13、u=1〜14)。したがって移植順1番目の苗床部の位置情報は(1,1)であり、移植順2番目の苗床部の位置情報は(2,1)であり、移植順12番目の苗床部の位置情報は(12,1)である。そして移植順13番目の苗床部の位置情報は(12,2)であり、移植順14番目の苗床部の位置情報は(11,2)である。移植順に従って位置情報を示すと(1,1),(2,1),…,(12,1),(12,2),(11,2),…,(1,2),(1,3),(2,3),…,(12,3),(12,4),(11,4),…となる。
図34は、実施の形態5における培地Bの苗床部と栽培パネルT4の孔T1との対応の決定手順の一例を示すフローチャートである。
移植制御部20の制御部21は、使用する培地Bの苗床部の配列の情報、栽培パネルT4の孔の配列の情報、及び未移植で残っている苗床部、空き孔T1の情報を入力する(ステップS301)。ステップS301における情報の入力は、作業者が操作部23にて数値を入力して実現されるか、又は栽培パネルT4及び培地Bの撮像画像から画像解析により実現されてもよい。また、栽培パネルT4が空き孔T1を残しているか、又は培地Bが未移植の苗床部を残している場合、前回の移植時の制御情報が記憶部22に記憶されているときには、制御部21は記憶部22から残っている苗床部及び空き孔T1の情報を入力するようにしてもよい。
制御部21は、入力した情報に基づいて培地B及び栽培パネルT4を夫々、培地Bの列方向を2つに分けるように分別し、2分された培地Bの領域毎の苗数、空き孔の数等の情報を定義する(ステップ302)。ステップS302において培地Bを分別した一方の領域を領域α、他方の領域を領域βとする。そして栽培パネルT4を分別した一方の領域を培地Bの領域αに対応するα´、他方の領域を培地Bの領域βに対応する領域β´とする。なおステップS302における分別の方向は行方向でもよい。なお栽培パネルT4を分別する方向は、培地Bを分ける方向に沿うようにする。
定義された情報に基づき制御部21はまず、移植する苗床部の列数p及び移植先の栽培パネルT4の孔T1の列数uを初期化する(ステップS303)。
培地Bのp番目の列に未移植の苗床部が存在するか否かを、ステップS302にて定義されているp番目の列の未移植の苗床部の数Npが1以上であるか否かにより判断する(ステップS304)。ステップS304にてp番目の列に未移植の苗床部が存在すると判断された場合(S304:YES)、制御部21は、移植先の栽培パネルT4のu番目の列に空き孔T1が存在するか否かを、ステップS302にて定義されているu番目の列における空き孔T1の数Suが1以上であるか否かを判断する(ステップS305)。
ステップS305にて移植先の栽培パネルT4のu番目の列に空き孔T1が存在すると判断された場合(S305:YES)、制御部21は、培地Bの領域αにおけるp番目の列(領域αp)の未移植の苗床部の数Npαと、栽培パネルT4の領域α´におけるu番目(領域α´u)の列の空き孔T1の数Suα´とを比較し、未移植の苗床部の数Npαが空き孔T1の数Suα´以下であるか否かを判断する(ステップS306)。
ステップS306にて未移植の苗床部の数Npαが空き孔T1の数Suα´以下であると判断された場合(S306:YES)、制御部21は、培地Bの領域αのp番目の列における苗床部を培地Bの端側から順に、栽培パネルT4の領域α´のu番目の列の空き孔T1へ栽培パネルT4の端側から順に苗床部の数Npα分だけ対応付け、記憶する(ステップS307)。次に制御部21は、処理をステップS309へ進める。
ステップS306にて未移植の苗床部の数Np αが空き孔T1の数Suα´よりも大きいと判断された場合(S306:NO)、制御部21は、培地Bの領域αのp番目の列における苗床部を培地Bの中央側から順に空き孔T1の数Suα´分だけ、栽培パネルT4の領域α´のu番目の列の空き孔T1へ栽培パネルT4の中央側から順に対応付け、記憶する(ステップS308)。次に制御部21は、処理をステップS309へ進める。
次に制御部21は、培地Bの領域βにおけるp番目の列(領域βp)の未移植の苗床部の数Npβと、栽培パネルT4の領域β´におけるu番目の列(領域β´u)の空き孔T1の数Suβ´とを比較し、未移植の苗床部の数Npβが空き孔T1の数Suβ´以下であるか否かを判断する(ステップS309)。
ステップS309にて未移植の苗床部の数Npβが空き孔T1の数Suβ´以下であると判断された場合(S309:YES)、制御部21は、培地Bの領域βのp番目の列における苗床部を培地Bの端側から順に、栽培パネルT4の領域β´のu番目の列の空き孔T1へ栽培パネルT4の端側から順に苗床部の数Npβ分だけ対応付け、記憶する(ステップS310)。次に制御部21は、処理をステップS312へ進める。
ステップS306にて未移植の苗床部の数Npβが空き孔T1の数Suβ´よりも大きいと判断された場合(S309:NO)、制御部21は、培地Bの領域βのp番目の列における苗床部を培地Bの中央側から順に空き孔T1の数Suβ´分だけ、栽培パネルT4の領域β´のu番目の列の空き孔T1へ栽培パネルT4の中央側から順に対応付け、記憶する(ステップS311)。次に制御部21は、処理をステップS312へ進める。
次に制御部21は、培地Bのp番目の列の未移植の苗床部の数Npがゼロとなったか否かを判断する(ステップS312)。ステップS312にてp番目の列の未移植の苗床部の数Npがゼロとなったと判断された場合(S312:YES)、制御部21は、培地Bのp番目の列は最大列数p max であるか否かを判断する(ステップS313)。
ステップS313にて培地Bのp番目の列は最大列数pmax であると判断された場合(S313:YES)、制御部21は培地Bの苗床部の栽培パネルT4の孔T1への対応付けを終了する。
ステップS312においてp番目の列の未移植の苗床部の数Npがゼロとなっていないと判断された場合(S312:NO)、制御部21は、栽培パネルT4の列数uを1つ増加させ(ステップS314)、処理をステップS305へ戻す。ステップS305にてSuが0(ゼロ)であると判断された場合も(S305:NO)、制御部21は列数uを1つ増加させ(S314)、処理をステップS305へ戻す。
ステップS313にて培地Bのp番目の列は最大列数pmax でないと判断された場合(S313:NO)、制御部21は培地Bの列数pを1つ増加させ(ステップS315)、処理をステップS304へ戻す。またステップS304にてNpが0(ゼロ)であると判断された場合も(S304:NO)、制御部21は列数pを1つ増加させ(S315)、処理をステップS304へ戻す。
以上の処理手順により、実施の形態5における培地Bの苗床部と栽培パネルT4の孔T1との対応が決定される。
そして制御部21は、図34のフローチャートに示した手順にて記憶された培地Bの苗床部と栽培パネルT4の孔T1との対応に基づき、培地Bの苗床部を端(1列目1行目)から栽培パネルT4へ移植する処理を開始する。このとき移植順iは、培地Bを列方向にジグザグ状に順に進むようにする。
次に、図34のフローチャートにて示した対応の決定手順について、具体例を挙げて説明する。図35及び図36は、培地Bの及び栽培パネルT4の領域分別例を示す説明図である。図35及び図36に示すように、制御部21はまず、培地Bの苗床部の配列の情報(n行p列)、及び栽培パネルT4の孔T1の配列の情報(s行u列)を入力する(S301)。更に制御部21は、未移植で残っている苗床部の情報及び、栽培パネルT4の空き孔T1の情報を入力する。図34及び図35の例では、培地Bの苗床部は全て未移植で残っており、栽培パネルT4の孔T1は全て空いている。
そして制御部21はステップS302において、培地Bの短手方向を2分するように1〜6行目の範囲を領域α、7〜12行目の範囲を領域βとして分別する。また制御部21は、領域α及び領域βを夫々列毎に分別し領域αp(p=1〜pmax 、培地Bではp=1〜25)及び領域βp(p=1〜pmax 、培地Bではp=1〜25)として栽培パネルT4の孔T1と対応付けられる。なお各領域αp及び領域βp夫々における未移植の苗床数は、いずれも「6」である。同様にして制御部21は、栽培パネルT4を培地Bの分別方向に合わせて2つに分別する。栽培パネルT4は行数が奇数であるから、基本的に栽培パネルT4の1〜6行目を領域α´、8〜13行目を領域β´として分別する。更に制御部21は、7行目の孔T1を列数の偶奇によって領域α´及び領域β´へ割り振る。つまり制御部21は、7行目の孔T1の内の奇数列の孔T1は領域α´の奇数列の領域へ、偶数列の孔T1は領域β´の偶数列の領域へ割り振る。これにより図36のように奇数行の栽培パネルT4でも上下に2分される。そして制御部21は、培地Bと同様に、栽培パネルT4の領域α´、β´を夫々列毎に、破線で示すように分別し領域α´u(u=1〜14)及び領域β´u(u=1〜14)とする。なお各領域α´u及び領域β´u夫々における空き孔T1の数は、「7」又は「6」である。
次にこのように分別された培地Bの領域αp、領域βpは、栽培パネルT4の領域α´u及び領域β´uへの対応付け、即ち図34のフローチャートにおける処理手順S303〜313について、具体例を挙げて説明する。図37は、培地B及び栽培パネルT4の各領域αp,βp,α´u,β´uの対応を示す説明図である。図37中における培地B中の数字、及び栽培パネルT4の各孔1中の数字は、対応付けが行なわれる順番を示しており、移植順iとは異なる。
制御部21は、ステップS303でまず、苗床部の列数p=1、孔T1の列数u=1とする。そして制御部21は、培地Bの1番目の列の未移植の苗床部の数Npは「12」であるから1以上であると判断し(S304:YES)、栽培パネルT4の1番目の列の空き孔T1の苗床部の数Suは「13」であるから1以上であると判断する(S305:YES)。
制御部21は、培地Bの領域α1の未移植の苗床部の数N1α「6」と、栽培パネルT4の領域α´1の列の空き孔T1の数S1α´「7」とを比較し、N1α「6」がS1α´「7」以下と判断する(S306:YES)。したがって制御部21は、領域α1の培地Bの端側即ち1行目からN1α「6」分の(n,p)=(1,1)〜(6,1)の苗床部を、領域α´1の栽培パネルT4の端側即ち1行目(s,u)=(1,1)〜(6,1)の孔T1へ順に対応付ける(S307、図37中の番号1で示す)。このとき、培地Bの(n,p)=(1,1)〜(6,1)には移植順i=1〜6が割り当てられているから、栽培パネルT4において(s,u)=(1,1)〜(6,1)には、移植順i=1〜6が割り当てられる。
制御部21は、培地Bの領域β1の未移植の苗床部の数N1β「6」と、栽培パネルT4の領域β´1の空き孔T1の数S1β´「6」とを比較し、N1β「6」がS1β´「6」以下と判断する(S309:YES)。したがって制御部21は、領域β1の培地Bの端側即ち12行目からN1β「6」分の(n,p)=(12,1)〜(7,1)の苗床部を、領域β´1の栽培パネルT4の端側即ち13行目(s,u)=(13,1)〜(8,1)の孔T1へ順に対応付ける(S310、図37中の番号2で示す)。このとき、培地Bの(n,p)=(12,1)〜(7,1)には移植順i=12〜7が割り当てられている(図33参照)。したがって栽培パネルT4において(s,u)=(13,1)〜(8,1)には移植順i=12〜7が割り当てられ、(i,s,u)=(7,8,1),(8,9,1),…,(12,13,1)となる。
次の制御部21は、ステップS312にて培地Bの1列目の苗床部は全て対応付けたので1列目の未移植の苗床部数N1=0(ゼロ)であると判断し(S312:YES)、p=1は最大値でないと判断するから(S313:NO)、処理をステップS304へ戻す。p=1列目の苗床部は「12」個全て対応付けたので残っておらず(S304:NO)、したがって制御部21は、pをp=2(列目)とする(S315)。
培地Bのp=2列目における未移植の苗床数N2は「12」であるから制御部21は、ステップS304にて1以上であると判断し(S304:YES)、栽培パネルT4のu=1列目の空き孔T1は(s,u)=(7,1)が「1」つ残っているから1以上であると判断する(S305:YES)。
次に制御部21は、培地Bの領域α2の未移植の苗床部の数N2α「6」と、栽培パネルT4の領域α´1の列の空き孔T1の数S1α´「1」とを比較し、N2α「6」はS1α´「1」より多いと判断する(S306:NO)。したがってこの場合、制御部21は、領域α2の培地Bの中央側即ち6行目からS1α´「1」分の(n,p)=(6,2)の苗床部を、領域α´1の栽培パネルT4の中央側即ち7行目(s,u)=(7,1)の孔T1へ対応付ける(S307、図37中の番号3で示す)。このとき領域β´における空き孔T1の数S1β´はゼロであるから、ステップS311の処理は省略される。このとき、培地Bの(n,p)=(6,2)には移植順i=19が割り当てられている(図33)。したがって栽培パネルT4において(s,u)=(7,1)の孔T1には移植順i=19が割り当てられ、(i,s,u)=(19,7,1)となる。
次に培地Bの2列目の未移植の苗床数N2は未だ「11」残っているのでステップS312においてN2はゼロでないと判断され(S312:NO)、制御部21は、p=2のまま、栽培パネルT4のu=1列目の空き孔T1の数S1は1以上であるか否かを判断する(S305)。制御部21は、この場合、S1は空いていないと判断するから(S305:NO)、栽培パネルT4における列数uをu=2(列目)とする(S314)。2列目の空き孔T1の数S2は「13」であって1以上であるから(S305:YES)、制御部21はステップS306へ処理を進める。
ステップS306では制御部21は、培地Bの領域α2の未移植の苗床部の数N2α「5」と、栽培パネルT4の領域α´2の列の空き孔T1の数S2α´「6」とを比較し、N2α「5」はS2α´「6」以下と判断する(S306:YES)。したがって制御部21は、領域α2の培地Bの端側即ち1行目からN2α「5」つ分の(n,p)=(1,2)〜(5,2)の苗床部を、領域α´2の栽培パネルT4の端側即ち1行目(s,u)=(1,2)〜(5,2)へ順に対応付ける(S307、図37中の番号4で示す)。このとき、培地Bの(n,p)=(1,2)〜(5,2)には移植順i=24〜20が割り当てられている(図33参照)。したがって栽培パネルT4において(s,u)=(1,2)〜(5,2)には移植順i=24〜20が割り当てられ、(i,s,u)=(20,5,2),(21,4,2),…,(24,1,2)となる。
同様にして制御部21は、培地Bの領域β2の未移植の苗床部の数N2β「6」と、栽培パネルT4の領域β´2の空き孔T1の数S2β´「6」とを比較し、N2β「6」がS2β´「6」以下と判断する(S309:YES)。したがって制御部21は、領域β2の培地Bの端側即ち12行目からN2β「6」分の(n,p)=(12,2)〜(7,2)の苗床部を、領域β´2の栽培パネルT4の端側即ち13行目(s,u)=(13,2)〜(8,2)へ順に中央側へ向けて対応付ける(S310、図37中の番号5で示す)。
このような処理を繰り返すことにより、図37に示すように培地Bの各苗床部と栽培パネルT4の孔T1とが対応付けられる。なお図37に示すように、栽培パネルT4の第52番目及び第53番目の対応順序の孔T1には、本来であれば図33に示す移植順i=186,187の苗床部が対応付けられる。しかしながら、他の新しい栽培パネルT4への入れ替えが不要となるよう制御部21は、これらの苗床部の移植順iをi=182,183と変更する。
図38は、培地B及び栽培パネルT4における移植順iを示す説明図である。図38では、栽培パネルT4の内、培地Bの同一の列の苗床部が移植される孔T1の範囲を、ハッチングの種別により区別して示している。図38に示すように、栽培パネルT4の領域α´の孔T1への移植は、培地Bにおける領域αの苗床部の中から行なわれる。したがって培地Bの領域αが栽培パネルT4の領域β´の上に位置することはない。逆も同様であって培地Bの領域βが栽培パネルT4の領域α´の上に位置することはない。更に注目すべきは、栽培パネルT4の列方向の端即ち1行目の孔T1へ移植される苗床部は、培地Bにおいて必ず1行目であり、栽培パネルT4の13行目の孔T1へ移植される苗床部は、培地Bにおいて必ず12行目である。同様にして栽培パネルT4の2行目の孔T1へ移植される苗床部は、培地Bにおいて2行目又は1行目であり、栽培パネルT4の12行目の孔T1へ移植される苗床部は、培地Bにおいて11行目又は12行目である。したがって、培地Bは列方向に栽培パネルT4から外れることがない。
更に、培地Bからの移植順iは図34で示したように、培地Bの1列目から順にジグザグ状に連続している(比較例:実施の形態1の図10、図16)。したがって、切り込みが入れられた苗床部の内の1つを移植アーム50の移植ハンドで掴持して引き抜く際、引き抜かれる苗床部の周辺の苗床部には、残り1つになるまで行方向又は列方向の少なくとも一方には必ず隣り合う苗床部が存在する。したがって、1つの苗床部が引き抜かれる際に周辺の苗床部が引っ張られて傾斜する可能性が低減される。
以下に栽培パネルT4への移植過程を、図面を参照して具体的に説明する。
図39〜図41は、培地Bから栽培パネルT4へ移植される際の培地Bと栽培パネルT4との位置関係を示す説明図である。図39は、移植順i=1における位置関係を示している。図39に示すように、移植順i=1において、培地Bは栽培パネルT4に対応する範囲から行方向に苗床部2つ分程度外れるのみであり、列方向には外れていない。図40は移植順i=12における位置関係を示している。図39及び図40に示した位置関係は、列方向において培地Bが栽培パネルT4の最も端(1行目又は13行目側)に寄る場合の例を示している。しかしながら図39及び図40に示すように、培地Bは栽培パネルT4から列方向には外れない。図38を見ても分かるように、栽培パネルT4における列方向の端の孔T1には、培地Bの列方向の端(1行目又は12行目)の苗床部が移植される。したがって培地Bは栽培パネルT4から列方向に外れることがない。
図41は、栽培パネルT4における最終箇所に対応する移植順i=182における位置関係を示している。最終箇所i=182では培地Bの中央側の苗床部を移植する。このとき、培地Bの行方向は苗床部10個分程度栽培パネルT4の範囲から外れているが、列方向には外れていない。
このようにして、少なくとも列方向には、培地Bが栽培パネルT4の範囲から外れないように苗床部と孔T1との対応を決定することが可能である。したがって、移植装置1の栽培パネルT4における列方向(図1中の前後方向)の大きさは、使用される栽培パネルの大きさ程度に省空間化することが可能となる。しかも実施の形態5においては、培地Bにおける移植順iはジグザグ状に順に連続しているから、1つの苗床部を引き抜く際に周辺の他の苗床部が引っ張られて傾斜する可能性が低減され、その後残ったこれらの苗床部が移植される際に移植ハンドにしっかりと掴持されるから移植失敗の可能性が低減される。即ち、生育不良へ繋がるような姿勢での植物Pの移植を防止することが可能となる。
上述の例では、分別した場合に培地Bの領域α及び領域βの行数と、領域α´及び領域β´の行数とが概ね等しくなる栽培パネルT4(培地Bの行数「12」に対して行数が「13」)を使用する例を示した。しかしながら、他の培地又は栽培パネルを使用しても同様である。図42は、培地B2及び栽培パネルT4における移植順iを示す説明図である。培地B2は250(=10×25)個の苗床部に区分されている点以外は、培地Bの構成と同様である。10行25列を使用する場合、行数が「10」であるから培地Bの領域αp及び領域βpにおける苗床数「5」は、領域α´u及び領域β´uにおける空き孔T1の数「6」又は「7」よりも少ない。この場合であっても、図42に示すように、栽培パネルTにおける列方向の端の孔T1には、培地Bの列方向の端(1,2行目又は11,12行目)の苗床部が移植される。したがって培地Bは栽培パネルT4から列方向に外れることがない。
実施の形態5では、培地B及び栽培パネルT4を短手方向に2分するように分別して領域毎に対応付けを行なうように制御した。しかも培地Bと栽培パネルT4とでは、分別した結果、分別後の領域の行数が概ね等しくなるように分別してある。これにより、行方向へ略均等に移植が進んでいくからである。分別する数は2つに限られず、3つ以上に分別するように制御してもよい。
(実施の形態6)
実施の形態6では、培地Bに含まれる苗床部の内の生育不良の苗の位置情報を特定する選別情報を取得し、選別情報に基づいて苗選別を行なう。また実施の形態6では、移植は複数のアームを用いて複数の苗床部を一度に移植する。
図43は、実施の形態6における移植装置の模式的斜視図であり、図44は、実施の形態6における植物の移植先の栽培パネルの一例を示す斜視図である。図43中の符号10は移植装置を示している。実施の形態6における培地Bは、実施の形態1で説明したものと同一のものを使用するため、詳細な説明を省略する。移植装置10は、図2中の符号Bで示す培地にて育成された植物Pを図43中の符号T5で示す栽培パネルへ自動的に移植する装置である。
実施の形態6で使用される培地Bは図2に示したように300(=12×25)個の苗床部に区分され、夫々が他面側に達しない程度に切り込まれている。そして実施の形態6において培地Bの大きさは例えば280mm×580mmであって、隣り合う苗床間の長手方向におけるピッチ(培地間隔)は例えば23.2mmである。培地Bの大きさ及び分割数についてはこれに限られないことは勿論である。
実施の形態6で使用される栽培パネルT5は例えば発泡スチロール製であって矩形平板状をなす。栽培パネルT5には、複数の孔T1が縦横に並べて設けられている。各孔T1は円形であって、パネルの一面側から約半分の深さに至るまではテーパ状に縮径されている。孔T1の該一面側の直径は、培地Bの1つの苗床部の対角線の長さに略等しく、縮径された側の直径は、苗床部の一辺の長さと略等しいか少し短い。図44に示した栽培パネルT5の大きさは890mm×590mmであって、153(=17×9)個の孔T1が設けられている。孔T1間の幅方向(短手方向)におけるピッチは58.0mmである。栽培パネルT5の大きさ及び孔T1の数についてはこれに限られないことは勿論であり、植物Pの種別毎の生育に適した間隔となるように設計される。
培地Bから栽培パネルT5へ植物Pを移植する移植装置10の構造について説明する。以下の説明では、図43中の矢符により示す上下、前後、及び左右を使用する。移植装置10は、移植部7及び撮像部3を備え、培地Bから栽培パネルTへ植物Pを移植するに際し、撮像部3にて培地Bを撮像して得られる画像に基づき後述の如く行なわれる選別結果から、優良な植物Pを移植部7にて移植する選別機能を有する。
移植部7は、栽培パネルTを保持するフレーム75、培地Bのホルダ80を移送するホルダ移送部8、移植アーム90を駆動する移植アーム駆動部9、ホルダ80の移送及び移植アーム90の駆動を夫々ホルダ移送部8及び移植アーム駆動部9へ指示する移植制御部70(図43中では外箱を示す)を備える。
フレーム75は複数の支柱と、支柱間を上部及び下部で連結する複数の横架材とから構成される。フレーム75の中央部には左右一対のレール76が前後方向に架設されている。栽培パネルT5は、長手方向の両縁辺をレール76,76に指示させ、フレーム75の中央部に水平に取り付けられる。また栽培パネルTは、レール76,76に沿って所定位置への手動での取り付け及び取り外しが可能である。
移植アーム駆動部9は、栽培パネルTの下方にあって移植アーム90、支持台91、駆動部92、及び走行ガイド93を備える。走行ガイド93はフレーム75の下部に前後方向に架設されている。走行ガイド93の架設位置は、栽培パネルT5の下である。走行ガイド93には、支持台91が走行可能に取り付けられている。支持台91は左右方向に長く、該支持台91の上には長手方向に複数の駆動部92が並設され、各駆動部92に移植アーム90が取り付けられている。走行ガイド93の長さは、栽培パネルT5の長手方向よりも少し長く、栽培パネルT5の長手方向の範囲を複数の移植アーム90が平行移動することが可能である。
図43に示す例では、駆動部92及び移植アーム90は5つ取り付けられている。また移植アーム90の並設間隔は、上述した培地Bにおける苗床部間のピッチ及び栽培パネルT5における孔T1間のピッチの最小公倍数である。具体的には、並設間隔は116.0mmであり、培地Bの苗床部間の長手方向におけるピッチ23.2mmの5倍であって、栽培パネルT5の孔T1間の幅方向(短手方向)における間隔58.0mmの2倍である。なお最小公倍数には限られず、公倍数に対応していればよい。
更に複数の移植アーム90は一体的に、左右方向に動くことが可能に構成されている。これにより複数の移植アーム90は、栽培パネルT5の下方における栽培パネルT5の大きさに対応する範囲内で、栽培パネルT5の孔T1に対応する位置へ移動することが可能である。更に複数の移植アーム90は夫々、駆動部92の動作によって支持台91に対して上昇することが可能であり、移植アーム90の先端部に設けられている移植ハンド(図示せず)は、栽培パネルT5よりも低い初期位置と、栽培パネルT5に設けられている複数の孔T1を貫通して栽培パネルTよりも高い上昇位置との間で昇降可能である。
ホルダ移送部8は栽培パネルT5の上方にあって、ホルダ80、左右方向ガイド81、及び前後方向ガイド82を備える。前後方向ガイド82は、栽培パネルT5の右上の位置に、前後方向に架設されている。前後方向ガイド82には、左右方向に延びる左右方向ガイド81の一端部が取り付けられている。左右方向ガイド81の前面には、矩形枠状のホルダ80の一長辺側が取り付けられている。これによりホルダ80は、左右方向ガイド81に沿って左右方向に移動し、更に左右方向ガイド81と共に前後方向ガイド82に沿って前後方向に移動することが可能である。なお前後方向ガイド82の長さは、栽培パネルT5の前後方向の長さよりも長く、左右方向ガイド81の長さは、栽培パネルT5の幅(左右方向の長さ)とホルダ80の長手方向の長さとを合わせた長さよりも少し長い。ホルダ80は、栽培パネルT5の上の移植位置から、左右方向には栽培パネルT5の左方に栽培パネルT5の幅相当分外れた位置まで移動し、前後方向には栽培パネルT5の前後にホルダ80の短手方向の長さ分外れた位置まで移動することが可能である。ホルダ80は、左前方の受け渡し位置において作業者によって設置される培地Bを保持する。
このように構成される移植部7においては、作業者によって設置された培地Bを保持したホルダ80は、受け渡し位置から、移植制御部70からの指示に従って右前方の移植開始位置に移動し、該移植開始位置を基準として左右方向に及び後方に、栽培パネルT5の上方を移動する。また支持台91は、移植制御部70からの指示に従って前方のスタート位置から、後方へ栽培パネルT5の下方を移動する。培地Bの苗床部が栽培パネルT5における空き孔T1の真上の位置に存在するとき、移植制御部70は移植アーム90がその真下に位置するように支持台91を移動させる。続けて移植制御部70は、移植アーム70の先端部の移植ハンドが上昇位置へ上昇するように駆動部92を動作させる。移植アーム90が移植ハンドごと空き孔T1を貫通し、移植ハンドが孔T1の真上の苗床部へ到達する上昇位置へ上昇すると苗床部を掴持し、そのまま移植アーム90は下降する。各移植アーム90の下降により、移植ハンドに掴持された苗床部は、ホルダ80に設けられている格子にて破断されて移植アーム90と共に下降して、栽培パネルT5の孔T1に入り、縮径された部分で保持される。各移植ハンドによる掴持を解除し、更に移植アーム90は下降して移植ハンドは初期位置に戻る。このように、移植制御部70の指示によってホルダ80、支持台91及び移植アーム90が前後左右及び上下に移動することで、苗床部の栽培パネルT5への移植が実現する。
撮像部3は、移植部7に設置される前の培地Bを撮像する機構である。撮像部3は、カメラ30、載置台32、ガイド33及びフレーム34を備える。フレーム34は、前記移植部7のフレーム75の図1中の左側に並設されている。載置台32はフレーム34の上面に設けられており、大きさは培地Bよりも大きい。載置台32全体を撮像範囲とするように、載置台32の上方にカメラ30がフレーム34に設置されている。ガイド33は載置台32の縁辺に沿ってL字状に設けられおり、作業者が培地Bを載置台32上に載置するに際し、培地Bがカメラ30の撮像範囲内の適切な位置に載置されるように設けられている。
また、図43中の符号6は、作業者が操作するタブレット型PC(Personal Computer )である情報処理装置を示す。情報処理装置6は、表示部63及び操作部64を兼用するタッチパネル内蔵型のディスプレイを備え、更に、移植装置10の撮像部3及び移植部7と無線による通信が可能である。
実施の形態1における移植装置10及び情報処理装置6は、培地Bから栽培パネルT5へ植物Pを移植するために、以下のように使用される。作業者は、移植すべき植物Pが植えられている培地Bを撮像部3の載置台32に載置した後、撮像部のカメラ30による撮像を実行させる。撮像部3では、カメラ30での撮像により得られる画像の画像データを情報処理装置6へ送信する。情報処理装置6では撮像部3から送信された画像データに基づき培地Bの画像が表示部63に表示され、後述するような構成によって画像上で植物Pの各個体の選択が可能である。選択された個体の培地Bにおける位置の情報が選別情報として移植部7へ送信され、移植部7において選別情報に基づいて生育不良の植物Pを除く選別を行ないながら、移植制御部70の指示による上述した動作によって移植が行なわれる。
このような選別機能を実現する移植装置10及び情報処理装置6について夫々詳細を説明する。図45及び46は、実施の形態6における移植装置10及び情報処理装置6の内部構成を示すブロック図である。移植装置10を構成する移植部7は、上述したようにホルダ移送部8及び移植アーム駆動部9と、これらを制御する移植制御部70とで構成されている。移植制御部70は、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller )である。移植制御部70は、マイクロプロセッサである制御部71と、フラッシュメモリ等を用いた記憶部72と、無線又は有線による他装置との通信を実現する通信部73と、ホルダ移送部8及び移植アーム駆動部9と接続される入出力インタフェース74とを備える。
制御部71は、記憶部72に予め記憶されてある移植プログラム7Pに基づき、通信部73から受信した選別苗の情報を参照しながらホルダ移送部8へホルダ80の移動及び停止を指示すると共に、移植アーム駆動部9へ移植アーム90の上下駆動、移植アーム90の並設方向への移動、及びガイドレール76に沿った走行並びに夫々の停止を指示する。通信部73から受信した情報は一旦記憶部22に記憶されるようにしてもよい。
移植プログラム7Pは、上述した制御部71による制御を実行させるプログラムである。移植プログラム7Pは記憶部71に予め記憶されているか、又は制御部71に組み込まれる。また移植プログラム7Pは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体77に記録されている態様でもよい。記憶部71は、図示しない読出装置によって記録媒体77から読み出された移植プログラム78を記憶する。記録媒体77はCD−ROM、DVD−ROM、BD等の光ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク、半導体メモリ等である。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから実施の形態6に係る移植プログラム78をダウンロードし、記憶部71に記憶させてもよい。
通信部73は、Bluetooth(登録商標)若しくはWi-Fi (Wireless Fidelity )等を用いて無線により通信を実現する。通信部73は無線に限らず、LAN等を用いた有線により通信を実現するものであってもよい。制御部71は通信部73により、情報処理装置6から送信される選別された苗の情報を受信することが可能である。
撮像部3は、カメラ30にて撮影された画像の画像データを無線又は有線にて情報処理装置6へ送信する通信部31を備える。通信部31は、Bluetooth(登録商標)若しくはWi-Fi 等を用いて無線により通信を実現する。なお通信部31は、LAN(Local Area Network)若しくはUSB(Universal Serial Bus)等を用いた有線により通信を実現するものであってもよい。
情報処理装置6は上述したようにタブレット型PCであり、制御部60、記録部61、一時記憶部62、表示部63、操作部64、通信部65を備える。情報処理装置6は撮像部を備える構成であってもよい。なお情報処理装置6はタブレット型PCに限らず、所謂スマートフォンなどの携帯型端末装置でもよく、更には据置型のデスクトップPCであってもよい。
情報処理装置6の制御部60は、CPU(Central Processing Unit )を用いる。制御部60は、記録部61に記憶されている移植アプリプログラム6Pを含む各コンピュータプログラムを読み出して実行する。
記録部61は、フラッシュメモリを用いる。記録部61は、制御部60が読み出す移植アプリプログラム6Pを含むコンピュータプログラムを予め記憶している。また記録部61には、移植に使用される培地B及び栽培パネルT5を識別する情報が予め記録されている。培地Bを識別する情報には、苗床部(孔B1)の数(行数及び列数)及びピッチの寸法が対応付けて記録されている。栽培パネルT5を識別する情報には、孔T1の数(行数及び列数)及びピッチの寸法が対応付けて記録されている。区分けが異なる複数種類の培地B又は栽培パネルT5を用いる場合には、夫々の識別情報と、各識別情報に対応付けて数及びピッチの寸法とが記録されている。更に記録部61は、移植装置10の撮像部3から送信される画像データ6Iの記録領域としても用いられる。なお、記録部61は、フラッシュメモリ以外の記憶装置を用いてもよい。一時記憶部62は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のRAMを用いる。一時記憶部62は、制御部60の処理によって生成される情報を一時的に記憶する。
表示部63は、タッチパネル内蔵型液晶ディスプレイを用いる。制御部60は、表示部63へテキスト及びアイコン等の画像を含む各種操作画面を表示させる。なお、表示部63は、液晶ディスプレイ以外のものを用いてもよいし、タッチパネル内蔵型でなくともよい。操作部64は、表示部63のディスプレイに内蔵されるタッチパネル及び情報処理装置6の筐体に設けられるボタン群を用いる。操作部64は、タッチパネルにてユーザによる接触及び接触箇所の位置情報を制御部60へ通知する。また、操作部64は、ボタンの押下及び押下時間等の情報を制御部60へ通知する。
通信部65は、Bluetooth(登録商標)若しくはWi-Fiを用いた無線通信を実現する。制御部60は例えば通信部65により、アクセスポイント(図示せず)経由でWi-Fi により移植装置10の移植制御部20及び撮像部3と夫々通信することが可能である。通信部65は無線に限らず、USBを用いた有線通信を実現するものであってもよい。また情報処理装置6がデスクトップPCである場合、通信部65はLANを用いた有線通信を実現するネットワークカードを用いてもよい。
上述のように構成される移植装置10及び情報処理装置6間における移植の処理手順についてフローチャートを参照して詳細を説明する。図47は、実施の形態6における移植の処理手順の一例を示すフローチャートである。図47のフローチャートに示す処理手順は、撮像部3の載置台32上に、育苗工程を経た植物Pを含む培地Bが載置され、カメラ30による撮像が行なわれると移植装置10にて開始され、情報処理装置6では、移植アプリプログラム6Pに基づく移植アプリが起動されると開始される。
撮像部3において、カメラ30によって撮像された画像の画像データを通信部31から送信する(ステップS101)。その後移植装置10では、移植制御部70の制御部71が、撮像部3から送信された画像データに対応する選別情報を受信したか否かを判断し(ステップS102)、選別情報を受信しないと判断された場合(S102:NO)、制御部71は処理をステップS102へ戻し、受信したと判断されるまで待機する待機状態へ移行する。
情報処理装置6では、制御部60が通信部65により画像データを受信し(ステップS201)、受信した画像データに基づく培地Bの撮像画像を含む操作画面を表示部63に表示する(ステップS202)。
制御部60は、操作画面における撮像画像上にて苗床部の選別を受け付ける(ステップS203)。制御部60は、選別された苗に対応する苗床部の識別情報を一時記憶部62に記憶する(ステップS204)。苗床部の識別情報は、ステップS203において選別された苗床部の培地B上の撮像画像内における位置(行番号及び列番号)によって特定される。次に制御部60は、OKボタン641(図15参照)がタップされたか否かを判断し(ステップS205)、OKボタン641がタップされていないと判断された場合(S205:NO)、処理をステップS205へ戻してOKボタン641がタップされたと判断されるまで待機する。なおこの間に、CANCELボタン642がタップされた場合、制御部60は一時記憶部62に記憶している識別情報を消去する。
OKボタン641がタップされたと判断された場合(S205:YES)、制御部60は、一時記憶部62に記憶されている識別情報を取得した撮像画像の画像データと対応付けて記録部61に記録する(ステップS206)。そして制御部60は、一時記憶部62に記憶されている識別情報を選別情報として通信部65から移植装置10の移植制御部20へ送信する(ステップS207)。なお選別情報は具体的には、例えば12行25列の苗床部夫々における成長の優良及び不良を2値情報で表したデジタル情報(優良を「1」、不良を「0」とする)である。またこのとき制御部60は、培地Bを移植装置10のホルダ80へ設置するように指示するメッセージを表示部63に表示させるとよい。情報処理装置6における1つの培地Bに対する処理は終了する。
移植装置10では、移植制御部70の制御部71が通信部73から選別情報を受信したか否かを判断して待機している(S102)。ステップS102にて、情報処理装置6から送信された選別情報を受信したと判断された場合(S102:YES)、制御部71は、培地Bがホルダ80に設置され、栽培パネルT5も移植装置10のフレーム75内に設置されているか否かを確認する(ステップS103)。ステップS103の処理は、移植装置10側に設けられた移植開始ボタン等の押下によって確認するようにしてもよいし、センサ等を設けて収容されているか否かを制御部71が検知するようにしてもよい。
選別情報を受信し、且つ移植元の培地B及び移植先の栽培パネルT5の設置が完了していることが確認されると、制御部71は、所定の移植アルゴリズムにより定まる移植手順、及び選別情報に基づく移植を開始する(ステップS104)。ステップS104における移植の手順については詳細を後述する。
制御部71は、1つの培地Bに栽培されている苗の内、選別情報により選別された生育不良の苗以外の苗の移植を完了させ(ステップS105)、前記培地Bに対する移植処理を終了する。
次にステップS104における所定の移植アルゴリズムについて説明する。所定の移植アルゴリズムとは、端的に言えば、移植アーム90の動作回数を可及的に少なくするためのアルゴリズムであり、移植制御部70の制御部71は、複数の移植アーム90で可能な限り培地Bから苗床部を一度に引き抜いて栽培パネルT5へ移植させる。所定の移植アルゴリズムに基づく移植手順は以下のように、移植アーム90の本数NA 、栽培パネルT5における孔T1の配列(行列番号)、培地Bにおける苗床部の配列(行列番号)に基づき算出される。
なお以下に説明する移植手順において、栽培パネルT5における行列番号は、図43における右手前側を1行目とし、図43における右側を1列目とするx行y列で識別される。これに応じて培地Bにおける苗床部も、ホルダ80内に設置されている状態で図43における右手前側を1行目とし、図43における右側を1列目とするm行n列で識別される。
(1)最初に移植する移植先の最初の孔T1の行番号x及び列番号y、並びに移植元の苗床部の行番号m及び列番号nを、x=y=m=n=1と初期化する。
(2)第i番目(i=1,2,…)に移植する移植先の孔T1の数k及び位置(行番号x及び列番号y)を決定する。
具体的には、列番号yに対し、移植アーム90間の並設方向の間隔と栽培パネルT5の孔T1間の行方向におけるピッチに基づき、移植先の複数の孔T1をP個間隔で決定する。稼働させる移植アーム90の数は、移植先の孔T1の最初の列番号y、間隔P、及びx行目における孔T1の数(yの最大値Y)に応じてk=[(Y−y)/P]+1([]はガウス記号)且つk≦NA を満たすように定まり、移植先の孔T1は、行番号x=x、列番号y=y+j×P(j=0〜k−1)である。
(3)第i番目に移植する移植元の苗床部の位置(行番号m及び列番号n)を決定する。
具体的には、列番号nに対し、移植アーム90間の並設方向の間隔と培地Bの苗床部間の行方向における間隔に基づき、移植元の苗床部をp個間隔で決定される。移植元の苗床部の数は、移植先の孔T1の数kであって、移植元の苗床部は行番号m=m、列番号n=n+j×p(j=0〜k−1)である。
(4)移植先の孔T1の列番号yに1を加え、y=y+1とする。
このとき、移植先の孔T1の最初の列番号yが間隔Pを超えた場合、移植先を次の行としなければならないから、xに1を加えx=x+1、列を最初の列とすべくy=1とする。1を加えたxが行数の最大値Xを超えた場合、移植先は埋まっているので、移植先を次の栽培パネルとすべくx=y=1と初期化する。
(5)移植元の苗床部の列番号nに1を加え、n=n+1とする。
このとき、移植元の苗床部の最初の列番号nが間隔pを超えた場合、移植元を次の行としなければならないから、mに1を加えm=m+1、列を最初の列とすべくn=1とする。1を加えたmが行数の最大値Mを超えるまでは、移植順の番号iに1を加えて(2)〜(5)を繰り返す。(1)〜(5)が第1の処理手順である。
(6)(5)において、1を加えたmが行数の最大値Mを超えた場合、苗床部の行番号m及び列番号nの内、移植元として決定されていない行番号m及び列番号nの組に、1行目1列目側から行方向に順に、移植順の番号iを割り振る。そして移植先の孔T1については、空き状態の孔T1を行番号x及び列番号yの小さい順に、移植順の番号iを割り振る。(6)は第2の処理手順とする。
培地B(図2参照)、及び図44に示した栽培パネルT5の例に対して、上述の(1)〜(6)により定められる手順について、移植手順の決定の経過を示す図面を参照しつつ具体的に説明する。図48〜54は、実施の形態6における移植アルゴリズムにより定まる移植順序の説明図である。図48〜54では、栽培パネルT5の孔T1及び培地Bの苗床部夫々に移植順の番号を割り振って移植順序を示している。
実施の形態6における移植アーム90の本数はN A であり、栽培パネルTは17行9列であり(X=17、Y=9)、培地Bは上述したように12行25列である(M=12、N=25)。栽培パネルT5における行方向の間隔Pは、実施の形態6における移植アーム90間の並設方向の間隔が孔T1間の行方向におけるピッチの2倍であるから、P=2である。培地Bにおける行方向の間隔pは、実施の形態6における移植アーム90間の並設方向の間隔が苗床部の行方向における間隔の5倍であるから、p=5である。
第1番目の移植における移植先はまず上述の(1)により、第1番目の移植における移植先の最初の孔T1の行番号x及び列番号y、並びに移植元の苗床部の行番号m及び列番号nを、x=y=m=n=1とする。そして(2)により、移植先の孔の数k=[(Y−y)/P]+1([]はガウス記号)且つk≦NA に、Y=9、y=1、P=2、NA =5を当てはめるとk=5となる。したがって5本の移植アーム90を用いて、x=1、y=1+j×2(j=0〜4)であるから(x,y)=(1,1)、(1,3)、(1,5)、(1,7)、(1,9)の5箇所の孔T1、即ち第1行目の奇数列が移植先として図48に示すように定められる。
第1番目の移植元の苗床部の行番号m及び列番号nは(3)により、m=1、列番号n=1+j×5(j=0〜4)であるから(m,n)=(1,1)、(1,6)、(1,11)、(1,16)、(1,21)と5箇所が図48に示すように定められる。
次に上述の(4)により、y=y+1、n=n+1がなされ、y=2、n=2でいずれも間隔P、pを超えないので(2)に戻り、第2番目の移植における移植先の孔の数k=[(9−2)/2]+1、且つk≦5によってk=4となる。そして移植先の孔T1は、x=1、y=2+j×2(j=0〜3)であるから(x,y)=(1,2)、(1,4)、(1,6)、(1,8)の4箇所、即ち第1行目の偶数列として図49に示すように定められる。そして、第2番目の移植における移植元の苗床部の行番号m及び列番号nは(3)により、m=1、列番号n=2+j×5(j=0〜3)であるから(m,n)=(1,2)、(1,7)、(1,12)、(1,17)と4箇所が図49に示すように定められる。
同様にして(4)(5)により、y=y+1、n=n+1がなされ、y=3、n=3で列番号yは間隔Pを超えるので行番号xに1を加えてx=x+1=2、y=1とされる。苗床部の列番号nはpを超えないので(2)に戻り、第3番目の移植における移植先の孔の数k=[(9−1)/2]+1、且つk≦5によってk=5となる。そして移植先の孔T1は、x=2、y=1+j×2(j=0〜4)であるから(x,y)=(2,1)、(2,3)、(2,5)、(2,7)、(2,9)の5箇所、即ち第2行目の奇数列として図50に示すように定められる。そして、第3番目の移植における移植元の苗床部の行番号m及び列番号nは(3)により、m=1、列番号n=3+j×5(j=0〜4)であるから(m,n)=(1,3)、(1,8)、(1,13)、(1,18)、(1,23)と5箇所が図50に示すように定められる。
(2)〜(5)の繰り返しが第34番目の移植については図51に示すように定められる。このとき、(4)において移植先の孔T1の列番号yに1を加え、y=y+1とした際に列番号y=3となって間隔Pを超える。したがってx=17に1を加えx=18とするが行数の最大値X=17を超えるので、移植先を次の栽培パネルとする。そしてx=y=1と初期化する。このように34回の動作で1つの栽培パネルT5への移植を完了させることができる。(5)においては移植元の苗床部はn=n+1=5としても間隔p=5を超えないので(2)に戻る。培地Bからの第35番目の移植における移植先の孔の数k=[(9−1)/2]+1、且つk≦5によってk=5となる。移植先の孔T1は、x=1、y=1+j×2(j=0〜4)であるから(x,y)=(1,1)、(1,3)、(1,5)、(1,7)、(1,9)の5箇所、即ち次のパネルの第1行目の奇数列に図52に示すように定められる。第35番目の移植における移植元の苗床部の行番号m及び列番号nは(3)により、m=7、列番号n=5+j×5(j=0〜4)であるから(m,n)=(7,5)、(7,10)、(7,15)、(7,20)、(7,25)と5箇所が図52に示すように定められる。
更に(2)〜(5)を繰り返して第60番目の移植について、図53に示すように定められる。このとき(4)においては、移植先の孔T1の列番号yに1を加え、y=y+1とした際に列番号y=3となって間隔Pを超えるのでx=13に1を加えてx=14とするが、最大値X=17を超えないのでx=14、y=1として次に進む。(5)においては移植元の苗床部の列番号nは、n=n+1=6となって間隔p=5を超え、したがってm=12に1を加えx=13とするが、行数の最大値M=12を超える。この場合(6)によって図54に示すように、移植順序が定められる。
1つの培地Bについては、上述のように説明した移植順序により全ての苗床部を栽培パネルT5へ移植することができる。図54に示すように移植先の栽培パネルT5には6つの孔T1が残るが、原則的には、新しい培地Bの行番号m及び列番号nとしていずれも初期化して同様に処理を行なう。これによって図54に示すように、次の培地Bにおける第1番目の移植元の(m,n)=(1,1)、(1,6)、(1,11)、(1,16)、(1,21)の5箇所の苗床部の内、埋まっている孔T1(x,y)=(17,1)、(17,3)を除く、(x,y)=(17,5)、(17,7)、(17,9)の3箇所に対応する(m,n)=(1,11)、(1,16)、(1,21)の5箇所が次の移植先として定められる。
ただし、実施の形態6における移植装置10においては、情報処理装置6から受信した選別情報と併せて移植が行なわれる。そこで上述の(1)〜(6)により定められる移植順序に加えて選別情報を参照して行なわれる詳細な移植手順について、フローチャートを参照して以下に説明する。
まず、上述の(1)〜(6)により定められる移植順序の内、(2)で決定できる移植先の複数の孔T1の数k及び間隔Pについては記憶部72に、移植先の孔T1の列番号yが1〜Pのときの移植アーム50の数kの組として記憶しておくとよい。具体的には、実施の形態6の例では、P=2、k=4(y=1のとき)、k=5(y=2のとき)として記憶される。また、(1)〜(6)により決定できる移植元に対する移植順について番号iに対応付けて記憶部72に記憶しておく。例えば、移植順を示す番号iに対応付けて、移植元の苗床部の行番号m及び列番号nにより、例えば(i,(m,n))=(1,((1,1),(1,6),(1,11),(1,16),(1,21))のように記憶される。培地B(図2参照)及び図44の栽培パネルT5の例では、図53及び図54に示したように、培地Bについてi=1〜60までの第1の処理手順による移植元の苗床部を示す行番号m及び列番号nと、i=61〜90までの第2の処理手順による移植元の苗床部を示す行番号m及び列番号nとが記憶される。
図55及び図56は、実施の形態6における移植手順の詳細について一例を示すフローチャートである。図55及び図56のフローチャートに示す処理手順は、図47のフローチャートに示したステップS104の手順に対応する。
制御部71はまず、移植先が新しい栽培パネルTか否かを判断する(ステップS401)。新しい栽培パネルTであると判断された場合(S401:NO)、移植先の位置情報をx=y=1と初期化し(ステップS402)、更に、栽培パネルT5における孔T1の空き情報を作成する(ステップS403)。ステップS403において具体的には、x行y列の孔T1夫々における空き状態を2値情報で表した(空き状態を「0」、埋まっている状態を「1」とする)デジタル情報であり、初期的にはx行y列全てが「0」である。
制御部71は、第i番目の移植先の孔T1の位置を決定する(ステップS404)。具体的には制御部71は、移植順iが1〜60(第1処理手順で移植できる順序)である場合は、行番号x及び列番号yからx=x、y=y+j×P(j=0〜k−1)として決定する。記憶部72には、P=2、k=4(y=1のとき)、k=5(y=2のとき)として記憶されているから、x=y=1のときには、x=1、y=1,3,5,7,9として移植先の位置が決定される。移植順iが61〜90である場合、制御部71は行番号x及び列番号yの1つに決定する。
制御部71は、第i番目の移植元の苗床部を決定する(ステップS405)。ステップS405において制御部71は、移植順iが1〜60(第1処理手順で移植できる順序)である場合、記憶部72に移植順iに対応付けて記憶されている苗床部の行番号m及び列番号nを参照して位置を決定する。第i番目の移植順には、(m,n)=(1,1)、(1,6)、(1,11)、(1,16)、(1,21)が対応付けられている。移植順iが61〜90である場合、対応する苗床部の内の培地Bに残存している優良な植物Pに対応する苗床部を1つずつ順に決定する。
制御部71は、ステップS405で決定した苗床部が夫々、ステップS404で決定した位置の孔T1の上へ来るようにホルダ80を移動させるべくホルダ移送部8へ指示する(ステップS406)。制御部71は、ステップS404で決定した位置の孔T1の下へ、移植アーム90が来るように、支持台91を移動させるべく移植アーム駆動部9へ指示する(ステップS407)。
制御部71は、移植先の行番号x及び列番号yの孔T1について、孔T1の空き情報が「0」であり、且つ、選別情報に基づいて、孔T1に対応する行番号m及び列番号nの移植元の苗床部の生育が良好であって「1」を示しているという条件を満たすものを特定する(ステップS408)。制御部71は、ステップS408にて条件を満たすと特定された孔T1に対応する移植アーム90による培地Bの苗床部の引き抜き及び孔T1への移植を実行する(ステップS409)。
次に制御部71は、移植元の培地Bの選別情報及び移植先の栽培パネルT5の空き情報を更新する(ステップS410)。具体的には制御部71は、ステップS409の移植の実行により埋められた孔T1に対応する情報が、埋まっている状態「1」を示すように栽培パネルT5の空き情報を更新し、培地Bの選別情報に対し、移植の実行により引き抜かれた苗床部に対応する情報を「0」に更新する。
次に制御部71は、移植先の孔T1の列番号yに1を加え(ステップS411)、x行の全列の孔T1への移植が完了したか否かを判断する(ステップS412)。ステップS412において制御部71は、移植順iが第1の処理手順に対応する1〜60の間である場合には、列番号yが間隔Pよりも大きいか否かにより判断でき、移植順iが第2の処理手順に対応する61〜90の間である場合には、yがYよりも大きいか否かにより判断できる。
ステップS412にて、x行の全列の孔T1への移植が完了していないと判断された場合(S412:NO)、制御部71は培地Bからの移植が完了したか否かを、培地Bの選別情報が全て「0」となったか否かにより判断する(ステップS413)。ステップS413にて、培地Bからの移植が完了していないと判断された場合(S413:NO)、制御部71は、移植順序の番号iに1を加えて(ステップS414)、ステップS404へ処理を戻す。
ステップS412にて、x行の全列の孔T1への移植が完了したと判断された場合(S412:YES)、制御部71は、行番号xに1を加えてx=x+1とし、yを先頭列としてy=1とする(ステップS415)。次に制御部71は、行番号xが最大値Xよりも大きいか否かを判断する(ステップS416)。ステップS416において、行番号xが最大値X以下であると判断された場合(S416:NO)、制御部71は処理をステップS413へ戻し、次のx行についての移植を続行させる。
ステップS416において、行番号xが最大値Xよりも大きいと判断された場合(S416:YES)、制御部71は、設置されている栽培パネルTへの移植が完了したか否か、空き情報に「0」が含まれているか否かによって判断する(ステップS417)。ステップS417において移植が完了していないと判断された場合(S417:NO)、制御部71は、空き孔T1の位置を特定し(ステップS418)する。ステップS418にて具体的には、制御部71は空き情報「0」に対応する行番号x及び列番号yを小さい順に特定する。そして制御部71は、第2の処理手順の対象となる苗床部(i=61〜90)又は培地Bにおける移植順i以下で、移植されずに残されている苗床部を対象にして、行方向に順に優良株を探索する(ステップS419)。制御部71は、ステップS419において探索された優良株を特定した孔T1に移植し(ステップS420)、処理をステップS417へ戻す。
ステップS417において、移植が完了したと判断された場合(S417:YES)、制御部71は、音声等によって栽培パネルの交換指示を出力させ(ステップS421)、移植順の番号iに1を加えてから(ステップS422)、処理をステップS402へ戻す。
ステップS413にて、培地Bからの移植が完了したと判断された場合(S413:YES)、制御部71は培地Bに対する移植処理を終了し、図47のフローチャートにおけるステップS105へ処理を戻す。
図55及び図56のフローチャートを参照した説明では、上述の(1)〜(6)に示した移植アルゴリズムに基づく移植元の苗床部の移植順序については記憶部72に記憶しておくこととした。しかしながら、(1)〜(6)の移植順の決定手順を図55及び図56のフローチャートに示した手順の中で行なうようにしてもよい。
選別情報を考慮した移植順序で移植される過程について、具体的に説明する。図57は、実施の形態6における情報処理装置6にて表示される操作画面の一例を示す説明図である。図57は、図47のフローチャートにして示した処理手順の内、ステップS202において制御部60が表示させる操作画面の例を示している。図57に示すようにこのときの操作画面には、培地B全体の撮像画像が所定の枠に一致させて表示され、更に、移植をスタートさせるOKボタン641及び、苗の選別をキャンセルさせるCANCELボタン642が表示される。培地B全体の画像が一度に撮像された表示されることで、作業者は複数の苗を同時に、相対的に選別することが可能である。なお、操作画面中の培地Bの撮像画像は拡大表示が可能であるとよい。これにより、作業者は拡大して目視し、苗を選別することが可能になる。
そして操作画面における培地Bの画像が表示される所定の枠(図57中の太線枠)内の範囲は、各苗床部を夫々選択できるように区分けされており、作業者が表示部63上の任意の苗床部に対応する箇所をタップすると、タップされた箇所が図57中のハッチングに示すように、選択箇所として識別可能に表示される。表示態様は色、ハッチング又は○×等の記号によって重畳して表示されるようにしてある。色、ハッチング情報及び記号情報は記録部61に記録されている。制御部60は、記録部61に記録されてある苗床部の数の情報に基づき、培地Bの画像上の区分けされた範囲を12行25列の行番号m及び列番号nで識別し、タップにより選択された苗床部を行番号及び列番号で一時記憶部62に記憶する。図57の説明図に示す例では、5行11列目及び6行11列目の苗床部が選択されており、したがって制御部60は、(05,11)及び(06,11)と記憶する。なお、苗床部の識別情報は、区分けされた範囲を図15における左上から行方向に順に、例えば通し番号(1,2,3,…)で識別するようにしてもよい。
次に、図57の例で示したような操作画面にて生育不良の苗床部が選択された場合に、情報処理装置6から移植装置10へ送信される選別情報の具体例について説明する。図58は、選別情報の例を示す説明図である。図58に示す例では説明を容易にするために、選別情報を図48〜54の説明図における培地Bの移植順序を示す図に対応させて表している。図58に示す例では、各4〜7行目の11列目、6行目の12列目、7行目の5〜9列目、8行目の10列目、9行目の10〜11列目、10行目の10〜11列目の苗床部が選別されたものとして選別情報が移植装置10へ送信される。選別情報は苗床部夫々における成長の優良及び不良を2値情報で表したデジタル情報であるから、図58のような行列情報とは限られないことは勿論であり、例えば300(=12×25)ビットのビット列で表すことができる。
図59は、図58の選別情報に基づく移植例を示す説明図である。図59では、移植元の培地B及び移植先の栽培パネルTにおいて、移植済みの苗をハッチングで示している。図58の選別情報に基づき、新しい栽培パネルTへの最終行x=17までの移植が完了した時点では、図58の選別情報と、図51に示した移植手順の説明図とを照らし合わせると、培地B上で太枠内で示されている苗床部に対応する計9つの孔T1が、図59の下部に示すように複数の空き孔となる。例えば4行目11列の生育不良の苗床部の栽培パネルT5における8行目6列目の孔T1への移植が実行されず、該孔T1は空き孔となる。この場合制御部21は、図55及び図56のフローチャートにおけるステップS418にて、空き孔T1の行番号x及び列番号yを小さい順に特定し、第2の処理手順の対象となる苗床部(i=61〜90)又は培地Bにおける第34番目の移植順以下で、移植されずに残されている苗床部を対象に、行方向に順に優良株を探索する(S419)。この場合制御部71は、培地Bにおける第34番目の移植順以下で、移植されずに残されている優良株の苗床部は存在しないので、第2の処理手順の対象となる苗床部を行方向に順に探索する。栽培パネルT5における空き孔T1には、i=61〜69に対応する9つの苗床部が移植される。
次に新しい栽培パネルT5に交換されたときには、培地Bの次の移植順序i=35に対応する苗床部からの移植を新しい栽培パネルT5のx=y=1から順次開始する。
このようにして実施の形態6に示した移植装置10では、画像に基づく選択操作によって選択された選別情報の情報と併せ、できる限り少ない回数で生育不良の株を除いた移植を実現することが可能となる。情報処理装置6は無線により移植装置10と通信が可能であるから、移植装置10の設置場所から離れた場所で作業する作業者による操作が可能となる。
(変形例1)
生育不良であって移植から除外すべき植物Pを作業者が選択し易いように、図57に示した操作画面に、選択基準とする等級見本を共に表示するようにしてもよい。図60は、変形例1における操作画面の一例を示す説明図である。変形例1における操作画面には、培地Bの撮像画像のとなりに、等級見本の画像643が含まれて表示部63に表示されている。等級見本の画像643は、情報処理装置6の記録部61に記録されている。制御部60は、撮像部3から培地Bの撮像画像の画像データを受信した場合、撮像画像と共に等級見本の画像643を記録部61から読み出して表示部63へ表示させる。なお等級見本の画像643は移植制御部20の記憶部22に記憶されており、情報処理装置6へ制御部21によって送信される構成としてもよい。これにより作業者は、培地Bにおける植物Pの状態と等級見本とを見比べながら、移植させない植物Pを選別することが可能であるから、作業者による判断基準を同レベルへ統一化させることができ、植物Pの品質の均質化を図ることが可能である。
(変形例2)
また実施の形態6においては、タブレット型PCである情報処理装置6が備えるカメラを撮像部3のカメラ30として用いる構成としてもよい。この場合、図47のフローチャートに示した処理手順の内、ステップS101も情報処理装置6側で実行される。つまり情報処理装置6で移植アプリプログラム6Pに基づく移植アプリが起動され、移植アプリによって起動されたカメラ機能によってカメラ30による撮像が行なわれると開始される。このとき、ピントずれなど撮像に不具合があった場合にはCANCELボタン642の押下によって撮像から再開される。そして移植装置10側では、移植制御部70において選別情報を受信したか否かを判断するステップS102から処理が開始される。
(実施の形態7)
図61は、実施の形態7における移植装置10の模式的斜視図である。実施の形態7においては、実施の形態6における撮像部3のカメラ30がホルダ80を俯瞰する位置に設置されており、共に移動する。またカメラ30は動画を撮影して撮像部3の通信部31からは動画の画像データが情報処理装置6へ送信される。実施の形態7における移植装置10及び情報処理装置6における構成は、上述したカメラ30及び以下に示す処理手順以外は、実施の形態7における構成と同様であるから、共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図62は、実施の形態7における移植の処理手順の一例を示すフローチャートである。図62のフローチャートに示す処理手順は、情報処理装置6において移植アプリプログラム6Pに基づく移植アプリが起動されると開始される。
情報処理装置6において制御部60は、動画の画像データの送受信用の通信を接続すべく移植装置10へ接続し(ステップS211)、これにより移植装置10が処理を開始する。
移植装置10は、情報処理装置6と通信接続を確立させてカメラ30による動画の撮影を開始すると共に画像データの通信部31から送信を開始する(ステップS111)。
情報処理装置6において制御部60は、画像データの受信を開始し(ステップS212)、受信した画像データに基づき培地Bの動画を枠内に含む操作画面を表示部63に表示させる(ステップS213)。制御部60は、操作画面内に表示されている培地Bの苗床部が選択(タップ)されたか否かを判断する(ステップS214)。選択されたと判断された場合(S214:YES)、制御部60は、操作画面内の培地Bの動画像内における選択箇所(行番号p及び列番号q)を特定する(ステップS215)。制御部60は、選択箇所の行番号p列番号q−1までの苗床部を優良株とし、行番号p及び列番号qの苗床部を生育不良とする選別情報を送信する(ステップS216)。したがって作業者は、培地Bの撮像画像中の1行1列目から順に目視で選別する。
移植装置10においては、移植制御部70の制御部71が選択された苗床部までの選別情報を選択操作の都度受信し(ステップS112)、培地B及び栽培パネルTが設置されていることを確認すると(ステップS113)、受信した選別情報に基づいて、選択された箇所に対応する苗床部までの移植を開始する(ステップS114)。移植の手順は実施の形態1にて説明した図55及び図56のフローチャートに示した手順と同一である。
情報処理装置6において制御部60は、生育不良の苗の苗床部が選択される都度ステップS214〜S216の処理を実行する。ステップS214にて苗床部の選択がされていないと判断された場合(S214:NO)、制御部60は、OKボタン641のタップによって選別が完了したか否かを判断する(ステップS217)。ステップS217において完了していないと判断された場合(S217:NO)、制御部60は、ステップS214へ処理を戻す。ステップS217にて完了したと判断された場合(S217:YES)、制御部60は、直近の選択箇所以降の行番号及び列番号の苗床部を全て優良株とする選別情報を送信する(ステップS218)。選別情報の送信を完了させると制御部60は、画像データの受信を停止して(ステップS219)、動画データ受信用の通信接続を切断させ(ステップS220)、必要に応じて選別情報と画像データを記録部61に記録して(ステップS221)、1つの培地Bに対する移植アプリの処理を終了する。
移植装置10において制御部71は、選別情報を培地Bの最終行の最終列まで全て受信したか否か判断する(ステップS115)。全て受信していないと判断された場合(S115:NO)、制御部71は処理をステップS112へ戻して次の選別情報を受信する。
ステップS115において全て受信したと判断された場合(S115:YES)、制御部71は培地Bの最終行の最終列までの移植をステップS114同様にして開始し(ステップS116)、撮像部3におけるカメラ30による撮像及び画像データの送信を停止する(ステップS117)。制御部21は、開始していた最終箇所までの移植が完了したか否かを判断し(ステップS118)、完了していないと判断された場合は(S118:NO)、処理をステップS118へ戻し、完了したと判断されるまで待機する。ステップS118において完了したと判断された場合(S118:YES)、1つの培地Bに対する移植処理を終了する。
このように、情報処理装置6側で全ての植物Pについての選別の操作を終えなくとも、選別が完了した位置の苗床部までの移植を同時並行的に開始させることができ、より高速化及び効率化を図ることが可能となる。なお、実施の形態7ではカメラ30は動画を撮影する構成としたが、静止画を撮像して出力する構成でもよい。例えば、情報処理装置6から送信される選別情報を移植制御部70側で受信する都度(S112)、カメラ30にて撮像して画像データを情報処理装置6へ送信すればよい。更に例えば、最初に撮像した画像のみでも同時並行的に移植を開始可能である。図63は、実施の形態7における静止画を使用した場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。図63中の処理手順については、図47に示した実施の形態6における処理手順及び図62のフローチャートに示した処理手順と同一のステップ番号を付して詳細な説明は省略する。図63のフローチャートに示すように、移植装置10側で、撮像部3にて撮像した静止画の画像データを送信した後(S101)、情報処理装置6側で選別操作を受け付ける都度(S214:YES)、選別情報を送信する(S216)。これにより、スタート時にカメラ30(又は情報処理装置6に備えられるカメラ)で培地Bを撮像した画像データが得られた後は、作業者がその場にいなくとも順次選別操作を進めつつ移植が可能である。なお情報処理装置6側では、送信された画像データに基づく培地Bの画像の内、それまでの処理で選択済みの苗床部に対応する箇所については色付けし、選択済みであることを示すようにしてもよい。
実施の形態1から7及びそれらの変形例、特に、実施の形態1から5に示した移植順に基づく移植と、実施の形態6及び7にて示した選別情報に基づく選別の手順とは、適宜組み合わせることが可能である。複数の移植アームを用いる構成についても実施の形態1から5に示した移植元の苗床部と移植先の孔T1との間の対応の決定方法と同様の趣旨にて移植手順を決定し、複数の移植アームで同時的に移植を実行させるようにしてもよい。
なお、上述のように開示された本実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
符号の説明
1,10 移植装置
2,7 移植部
20,70 移植制御部
21,71 制御部
22,72 記憶部
23 操作部
25,75 フレーム
26 支持板(第2保持部)
4,8 ホルダ移送部(移動部)
40,80 ホルダ(第1保持部)
5,9 移植アーム駆動部
50,90 移植アーム
3 撮像部
30 カメラ
31 通信部
6 情報処理装置
60 制御部
61 記録部
73 通信部
76,76 レール(第2保持部)
B,B2 培地
P 植物
T,T2,T3,T4,T5 栽培パネル
T1 孔