JP2019033349A - 伝搬モード変換抑制回路およびその抑制方法 - Google Patents

伝搬モード変換抑制回路およびその抑制方法 Download PDF

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Yuichiro Okugawa
雄一郎 奥川
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Takeshi Okamoto
健 岡本
高谷 和宏
Kazuhiro Takatani
和宏 高谷
徹 松嶋
Toru Matsushima
徹 松嶋
修己 和田
Osami Wada
修己 和田
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Abstract

【課題】モード変換量の抑制、およびディファレンシャルモードの伝導妨害波の抑制により、通信品質の低下を防ぐことが可能な伝搬モード変換抑制回路を提供すること。
【解決手段】 第1インダクタンス(L1)を有する第1伝送線路と、第2インダクタンス(L2)を有し、前記第1伝送線路に平行する第2伝送線路と、前記第1伝送線路の電流経路の一端(N3)と、グラウンド(G)と、の間に接続された第1キャパシタンス(C1)と、前記第2伝送線路の電流経路の一端(N4)と、グラウンド(G)と、の間に接続された第2キャパシタンス(C2)と、を備え、前記第1キャパシタンス、および第2キャパシタンスの値は、当該第1インダクタンス、第2インダクタンス、第1キャパシタンス、および第2キャパシタンスで構成されるブリッジ回路の平衡条件に基づき設定される。
【選択図】図2

Description

本発明は、平衡伝送線路を伝搬する伝導妨害波の伝搬モードの変換量を抑制する伝搬モード変換抑制回路およびその抑制方法に関する。
一般的な通信機器は、電源差込口(以下、電源供給ポートと呼ぶ)と、外部電子機器との接続口(以下、通信ポートと呼ぶ)と、を備える。
電源供給ポートは、外部電源を供給するACアダプタのケーブル(以下、電源ケーブルと呼ぶ)と接続され、当該通信機器内へ電源電圧を供給することを目的とする。
通信ポートは、通信ケーブルと接続され、この通信ケーブルを介して複数の通信機器間でのデータ通信を目的とする。
前記通信機器の構成では、前記電源供給ポートに不要な伝導妨害波(コモンモードおよびディファレンシャルモードの2つの伝搬モード)が侵入し、当該通信機器内部の電源供給線として機能する平衡伝送線路を伝搬することがある。
前記コモンモードとは、対となる平衡伝送線路を同相の電圧波形が伝搬する伝導妨害波である。
前記ディファレンシャルモードとは、対となる平衡伝送線路を逆相の電圧波形が伝搬する伝導妨害波である。
コモンモードの伝導妨害波は、前記電源供給ポートを介して前記平衡伝送線路を伝搬する際に、その一部がこの平衡伝送線路にてディファレンシャルモードの伝導妨害波に変換され、その後、通信信号線を伝搬する。この通信信号線は、前記通信機器内部で前記通信ポートと接続される。このため、通信信号線を伝搬するディファレンシャルモードの伝導妨害波が、通信ポートを介して通信ケーブルを伝搬する。
また、前記電源供給ポートに侵入したディファレンシャルモードの伝導妨害波は、通信機器内部の平衡伝送線路を伝搬する。この場合も、ディファレンシャルモードの伝導妨害波が通信ポートを介して通信ケーブルを伝搬する。
このディファレンシャルモードの伝導妨害波は、前記通信信号線を伝搬する送信対象の信号に重畳し、通信品質に大きく影響を与える。
このため、電源供給ポートに侵入したディファレンシャルモードの伝導妨害波の抑制、およびコモンモードからディファレンシャルモードへの伝導妨害波の変換を抑制する方法として、前記電源供給線にコモンモードチョークコイルや、コンデンサ(以下、Xコンデンサと呼ぶ)を設置したり、電源供給線−グランドG間にコンデンサ(以下、Yコンデンサと呼ぶ)を設置するなどの手段が用いられてきた(例えば、非特許文献1参照。)。
[平成29年6月12日検索]、インターネット<URL:http://www.tdk.co.jp/techmag/power/200812/>
Xコンデンサを用いた場合、伝導妨害波の周波数が高くなるに従い、Xコンデンサが有する寄生インダクタンス(以下、等価直列インダクタンスESLと呼ぶ)を無視できなくなるため、当該Xコンデンサによる前記伝導妨害波の抑制効果が減少するものの、ディファレンシャルモードの伝導妨害波が電源供給ポートを介して通信機器に侵入するのを抑制する手段として、当該Xコンデンサを利用することは有効である。
しかし、このXコンデンサの配置に関する課題が生じていた。
例えば、前記通信機器内に設置されるICやLSIは、高周波で信号の送受信を行うため、当該ICやLSIの入出力部分においてインピーダンス整合をとって設計されている。したがって、このICやLSI内に前記Xコンデンサを配置すると、ICやLSIにてインピーダンス整合に不具合が生じ、動作に影響が及ぶ。
さらに、電源ケーブルの端子と接続される通信機器側の電源供給ポート(例えば、コネクタ端)にはXコンデンサが配置されることがあるが、このXコンデンサは高周波応答を考慮して設計されていないことが多い。
このような事情から、容易にICやLSI内部や、コネクタ端に前記Xコンデンサを配置できず、伝導妨害波に起因した送受信信号の通信品質の低下を回避できていなかった。
また、電源ケーブルから侵入する伝導妨害波はその殆どがコモンモードであるが、電源供給線として機能する平衡伝送線路間の、電位基準面(0[V])から見たインピーダンスの不平衡(アンバランス)によって伝導妨害波が当該コモンモードからディファレンシャルモードへとモードの変換(以下、モード変換と呼ぶ)が発生する。
前記モード変換により発生したディファレンシャルモードの伝導妨害波は、上述したように、通信ポートへ伝搬し、通信ケーブルを伝搬する送信対象の信号の通信品質に影響を与える。このため、伝導妨害波による通信品質への影響を回避するには、前記モード変換を抑制することが課題であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、第1に伝導妨害波のモード変換量の抑制、第2にディファレンシャルモードの伝導妨害波を抑制することにより、通信機器に伝導妨害波が侵入したことによる通信品質の低下を防止することが可能な伝搬モード変換抑制回路およびその抑制方法を提供することを目的とする。
本発明に係る伝搬モード変換抑制回路は、第1インダクタンスを有する第1伝送線路と、第2インダクタンスを有し、前記第1伝送線路に平行する第2伝送線路と、前記第1伝送線路の電流経路の一端と、グラウンドと、の間に接続された第1キャパシタンスと、前記第2伝送線路の電流経路の一端と、グラウンドと、の間に接続された第2キャパシタンスと、を備え、前記第1キャパシタンス、および第2キャパシタンスの値は、当該第1インダクタンス、第2インダクタンス、第1キャパシタンス、および第2キャパシタンスで構成されるブリッジ回路の平衡条件に基づき設定される。
本発明によれば、第1にモード変換量の抑制、第2にディファレンシャルモードの伝導妨害波の抑制により、通信品質の低下を防ぐことができる。
本発明の実施形態に係る伝搬モード変換抑制回路10を設けた通信機器1の電子回路の構成を示すブロック図。 本発明の第1の実施形態に係る前記伝搬モード変換抑制回路10Aの構成を示す回路図。 前記伝搬モード変換抑制回路10Aの構成をブリッジ回路10aとして見なした場合の回路図。 前記伝搬モード変換抑制回路10Aをブリッジ回路10aとして見なした場合にモード変換量の抑制を検証するために、各素子に設定した4パターンの数値を示す図。 前記伝搬モード変換抑制回路10Aによるモード変換量の抑制結果(モード変換抑制量[dB]−周波数[MHz])を示した図。 本発明の第2の実施形態に係る前記伝搬モード変換抑制回路10Bの構成を示す回路図。 前記伝搬モード変換抑制回路10Bをブリッジ回路10aとして見なした場合にモード変換量の抑制を検証するために、抵抗R1、R2の値をパターンI〜パターンVにしたがって変化させた図。 前記伝搬モード変換抑制回路10Bによるモード変換量の抑制結果(モード変換抑制量[dB]−周波数[MHz])を示した図。
以下、本発明の実施形態に係る通信機器1内に設けられる伝搬モード変換抑制回路10について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、実施形態に係る伝搬モード変換抑制回路10を設けた通信機器1(例えば、スイッチングハブ)の電子回路の構成を示すブロック図ある。
通信機器1は、伝搬モード変換抑制回路10、DC/DCコンバータ20A、電源分配回路20B、メディアアクセスコントローラ(以下、MACと呼ぶ)20C、LANトランシーバ20D、パルストランス20Eの他、RJ45コネクタ20Fを備える。通信機器1には、外部から供給される交流の電源電圧を直流電圧へ変換(以下、AC/DC電圧変換と呼ぶ)するACアダプタ30が接続される。
DC/DCコンバータ20Aは、ACアダプタ30から供給される電源電圧をDC電圧に変換する。
電源分配回路20Bは、前記電源電圧を、ICやLSIが設けられたMAC20C、およびLANトランシーバ20Dに分配する。
MAC20Cは、所定の信号処理を行う。
LANトランシーバ20Dは、送信対象となる信号を生成または信号を受信する。
パルストランス20Eは、通信ポートから侵入する過電圧から通信機器1を保護する。
RJ45コネクタ20Fは、8ピン式のコネクタ形状を有し、イーサネット(登録商標)やISDNのLAN通信ケーブルを前記通信ポートに接続するために用いられる。
そして、前記電源電圧を供給するための供給線として機能する平衡伝送線路(以下、電源供給線2と呼ぶ)が、ACアダプタ30から、前記DC/DCコンバータ20A、伝搬モード変換抑制回路10、電源分配回路20Bを介して、MAC20C、およびLANトランシーバ20Dに順次接続される。この電源供給線2は、第1伝送線路と、当該第1伝送線路に平行する第2伝送線路からなる。
また、データ信号線3が、前記MAC20Cから、LANトランシーバ20D、パルストランス20E、およびRJ45コネクタ20Fを介して導出され、外部電子機器に接続される。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る伝搬モード変換抑制回路10Aの構成を示す回路図である。
伝搬モード変換抑制回路10Aは、入力ポートIn1、In2、入力キャパシタンス(以下、キャパシタンスCxと呼ぶ)、インダクタンスL1、L2、キャパシタンスC1、C2、キャパシタンスCm、出力ポートOut1、およびOut2を備える。
なお、実際には、電源供給線2にインダクタンスL1、L2を有するコイルを介在させたのではなく、当該電源供給線2それ自体が有する寄生インダクタンスを加味した合成インダクタンスをインダクタンスL1、L2とし、これを説明の都合上、回路記号(コイル状)として表記している。なお、コイルを別途設けても良い。
また、説明の便宜上、前記電源供給線2上にノードNm(m:1〜4)を付して伝搬モード変換抑制回路10を構成する各素子の接続関係を述べる。
入力ポートIn1は、ノードN1を介してインダクタンスL1の電流経路の一端に接続される。このインダクタンスL1の電流経路の他端はノードN3を介して出力ポートOut1に接続される。
入力ポートIn2は、ノードN2を介してインダクタンスL2の電流経路の一端に接続される。このインダクタンスL2の電流経路の他端はノードN4を介して出力ポートOut2に接続される。これらインダクタンスL1、L2の相互インダクタンスをMとする。
前記入力ポートIn1、In2は、前記DC/DCコンバータ20A(図1参照)に接続され、出力ポートOut1、Out2は電源分配回路20B(図1参照)に接続される。
更に、前記ノードN1とN2との間にキャパシタンスCxを接続する。
このキャパシタンスCxは、電源供給ポートに侵入し電源供給線2を伝搬するディファレンシャルモードの伝導妨害波を抑制する機能を有する。以下、キャパシタンスCxによる抑制機能について説明する。
前記キャパシタンスCxのインピーダンスZxは下記(1)式で表すことができる。
Zx=1/ωCx 式(1)
ここで、ωは角周波数である。
前記式(1)の角周波数ω(=2πf)が高くなると、キャパシタンスCxのインピーダンスZxが小さくなる。その結果、このような高周波数成分についてはノードN1とN2とが単なる導線で接続(ショート)したように見なすことができる。
すると、例えば前記第1伝送線路を伝搬するディファレンシャルモードの伝導妨害波が、ノードN1を介して第2伝送線路へ伝搬し、また第2伝送線路を伝搬するディファレンシャルモードの伝導妨害波が、ノードN2を介して第1伝送線路へ伝搬することで、両者の電位差が解消する。これにより、ディファレンシャルモードの伝導妨害波を抑制することができる。
後述するキャパシタンスCmについても同様の機能を有する。
また、キャパシタンスC1、Cm、およびC2がノードN3、N4を介して直列接続される。キャパシタンスC1、C2の電極の一方が通信機器1にグラウンド(Gと表記)される。これにより、キャパシタンスC1、C2の電極の一方が等電位(通信機器1の外装の電位、例えば0[V])となる。
ここで、便宜上、前記伝搬モード変換抑制回路10Aの構成をブリッジ回路として見なすため、当該伝搬モード変換抑制回路10のキャパシタンスCxを廃し、入力ポートIn1とIn2とを短絡した回路構成を想定する。
これは、図2に示す伝搬モード変換抑制回路10Aが前記ブリッジ回路として機能し、平衡条件を満たせば、地上から見た電源供給線2間のインピーダンスZの不平衡を解消でき、前記モード変換量を抑制できるからである。
以下、この提案法の妥当性を検証する。
図3は、前記伝搬モード変換抑制回路10Aの構成をブリッジ回路(以下、ブリッジ回路10aと呼ぶ)としてみなした場合の回路図である。コモンモードの伝導妨害波を発生するノイズ信号発生源Snをブリッジ回路10aに接続する。
このとき、コモンモードからディファレンシャルモードへのモード変換量を抑制するためには、電位基準面からみたA点(ノードN3)、B点(ノードN4)に対する各インピーダンスZに差が生じないよう、ブリッジ回路10aにおけるA点、B点間の電位差を0[V]とする平衡条件を満たす必要がある。平衡条件を満足する条件式は下記式(2)で表すことができる。
(L1−M):(L2−M)=C2:C1 (2)
ここで、一例としてL1、L2の比をL2/L1=0.3に設定する。そこで、前記式(2)に従いC1/C2=0.3となるよう当該C1、C2を選択すれば、前記ブリッジ回路10aが平衡条件を満たすことになる。
前述したように、インダクタンスL1、L2の値は、電源供給線2の合成インダクタンスであることから、実装した場合とのインダクタンスの誤差は小さいと考えられる。このため、前記式(2)の算出に際し、別途寄生インダクタンスの存在を考慮しなくて済み、以下の実際の検証にて正確な結果を得ることができる。
図4は、前記伝搬モード変換抑制回路10Aをブリッジ回路10aとして見なした場合に、モード変換量の抑制を検証するために、各素子に設定した4パターンの数値を示す図である。ここでは、パターンA〜パターンDに分けて設定したインダクタンスL1、L2とキャパシタンスC1、C2との値を示している。
検証では、インダクタンスL1、L2の値がL2/L1=0.309に設定されているので、パターンA〜パターンD毎に、キャパシタンスC1、C2の比(C1/C2)を変化させた。パターンAにおいてC1/C2=0.1、パターンBにおいてC1/C2=0.303、そしてパターンCにおいてC1/C2=1とした。
このブリッジ回路10aとしては前記キャパシタンスCxを考慮していないものの、前記伝搬モード変換抑制回路10Aに式(2)を適用したことが妥当であれば、パターンBのモード変換量の抑制が他のパターン(パターンA、C、及びD)と比べて改善されることになる。なお、パターンDにキャパシタンスC1、C2を付加しない場合を示す。
以下、前記提案法を採用した場合での伝搬モード変換抑制回路10Aによるモード変換量の抑制動作について説明する。
前記式(2)に基づいて得られたインダクタンスL1、L2とキャパシタンスC1、C2との関係式から、L2/L1と同じ値として前記キャパシタンスC1、C2の比をC1/C2=0.3に設定する。
すると、前述の通り、電位基準面からみたA点(ノードN3)、B点(ノードN4)に対する各インピーダンスZに差が生じないようにできるため、第1伝送線路と第2伝送線路とが平衡する。この結果、入力ポートIn1、In2から入力され第1伝送線路および第2伝送線路を伝搬する際に、モード変換量が抑制された伝導妨害波が出力ポートOut1、Out2へ出力される。
動作の検証について図5を用いて説明する。図5は、前記伝搬モード変換抑制回路10Aによるモード変換量の抑制結果(モード変換抑制量[dB]−周波数[MHz])を示した図である。ここで、キャパシタンスCx(図2参照)は等価直列インダクタンスESL(ここで、ESL=1nH以下の値)を有するものとして、当該キャパシタンスCxの値を1μFに設定する。
図示するように、前記式(2)から得られた前記パターンBの場合のキャパシタンスC1、C2を付加することにより、広帯域にて伝搬モード変換量[dB]の大幅な抑制の改善を確認することができた。
例えば、パターンCと比較した場合、高周波数側にて20[dB]以上抑制できている(抑制量[dB]の差を「S」と表記)。
なお、10MHz付近において、モード変換量[dB]が山成りとなり、その抑制効果が弱まるのは、付加したキャパシタンスC1とインダクタンスL1と、キャパシタンスC2とインダクタンスL2とが共振することにより、インピーダンスの比が大きく変動したことによるものと考えられる。ここで、前記山成り形状は、前記共振の鋭さQ(Quality factor)を表す。
したがって、前記構成の第1の実施形態に係る伝搬モード変換抑制回路10Aによれば、第1にインダクタンスL1の値を有する平行した電源供給線2の一方と、インダクタンスL2の値を有する平行した前記電源供給線2の他方と、これら平行した電源供給線2の電流経路の出力側にグランドGとの間でそれぞれ接続されたキャパシタンスC1、キャパシタンスC2と、を備え、前記キャパシタンスC1およびキャパシタンスC2の値を、当該電源供給線2のインダクタンスL1およびインダクタンスL2、ならびにキャパシタンスC1およびキャパシタンスC2で構成されるブリッジ回路10aの平衡条件に基づく値に設定する。
このように、前記インダクタンスL1、L2、キャパシタンスC1、C2が、前記式(2)を満たし、電源供給線2の平衡条件を満たすことで、この電源供給線2を伝搬しコモンモードからディファレンシャルモードへと変換される伝導妨害波の変換量を抑制できる。
また、第2に前記平行する電源供給線2の電流経路の入力側にキャパシタンスCxを接続する。
この当該キャパシタンスCxを設けることで、電源ケーブルから侵入したディファレンシャルモードの伝導妨害波をも抑制することができる。このため、前記MAC20CやLANトランシーバ20Dを構成するICやLSIの中に伝導妨害波を抑制するためのキャパシタンスCx(Xコンデンサ)を配置する必要がなくなる。
更に、前記構成の伝搬モード変換抑制回路10Aによれば、前記インダクタンスL1、L2の電流経路の出力側にキャパシタンスCmを接続する。
このキャパシタンスCmは、前記キャパシタンスCxにて低減できなかったディファレンシャルモードの伝導妨害波を抑制することができる。
[第2の実施形態]
前記第1の実施形態に係る伝搬モード変換抑制回路10Aでは前記キャパシタンスC1とインダクタンスL1、キャパシタンスC2とインダクタンスL2による共振の影響により、共振周波数(約10MHz)付近におけるモード変換量の抑制効果が弱まっていた(図5、パターンB参照)。そこで、第2の実施形態に係る伝搬モード変換抑制回路10Bでは、山成りの形状である前記共振の鋭さQを抑制する対策として、更に抵抗(後述するR1、R2)を付加する。
図6は、第2の実施形態に係る伝搬モード変換抑制回路10Bを構成する回路図である。
この第2の実施形態に係る伝搬モード変換抑制回路10Bの構成は、前記図2に示す第1の実施形態に係る伝搬モード変換抑制回路10Aの構成において、キャパシタンスC1とグランドGとの間に抵抗R1を付加し、キャパシタンスC2とグランドGとの間に抵抗R2を付加する。
すると、入力ポートIn1から見たインダクタンスL1、キャパシタンスC1、および抵抗R1の順にRLC直列共振回路が構成される。
この場合、前記共振の鋭さQは、抵抗R1の値に依存し、この鋭さQを小さくするには、抵抗R1の値を大きくすればよい。
なお、入力ポートIn2から見たインダクタンスL2、キャパシタンスC2、および抵抗R2の順に構成される直列RLC回路についても同様に、前記共振の鋭さQを小さくするため、抵抗値を大きくすればよい。しかしながら、単純に大きくするだけでは抵抗R1、R2のそれぞれが有するインダクタンス成分が影響することから、前記共振の鋭さQを小さくすることに繋がらなくなる。
この抵抗R1、R2を付加した点以外のその他の構成は共通するため、共通する構成については説明を省略する。
図7は、前記伝搬モード変換抑制回路10Bをブリッジ回路10aとして見なした場合にモード変換量の抑制を検証するために、抵抗R1、R2の値をパターンI〜パターンVにしたがって変化させた図である。
なお、インダクタンスL1、L2、キャパシタンスC1、およびC2の値には、前記第1の実施形態の前記パターンB(L2/L1=0.309、C1/C2=0.303)を採用している。
検証結果を図8に示す。
図8は、前記伝搬モード変換抑制回路10Bにおいて図7に示した前記パターンI〜パターンVにしたがって抵抗R1、R2の値を変化させた場合の、モード変換量の抑制結果を示した図である。
図示するように、パターンI(no−R1、R2)から抵抗R1、R2の値を変化(上昇)させると、徐々に10MHz付近でのモード変換抑制量[dB]が改善し、特に、パターンIII((抵抗R1=R2=1[Ω]))にて、その抑制量[dB]が最大となる。一方で、パターンIV、Vとさらに抵抗値を変化(上昇)させると、前述した通り単純に大きくするだけでは抵抗R1、R2のそれぞれが有するインダクタンス成分が影響することから、前記共振の鋭さQを小さくすることに繋がらなくなる。
したがって、前記構成の第2の実施形態に係る伝搬モード変換抑制回路10Bによれば、更に、キャパシタンスC1とグランドGとの間に抵抗R1を接続し、キャパシタンスC2とグランドGとの間に抵抗R2を接続した構成を備える。
そして、前記式(2)の条件を満たした上で、抵抗R1、R2を前記パターンIIIの値に設定することで、前記キャパシタンスCxによる共振の影響(図5参照)を低減させることができ、また、広帯域に亘って伝搬モードの変換量を抑制することが可能となる。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
1…通信機器(スイッチングハブ)、2…電源供給線、3…データ信号線、10、10A、10B…伝搬モード変換抑制回路、10a…ブリッジ回路、20A…DC/DCコンバータ、20B…電源分配回路、20C…MAC、20D…LANトランシーバ、20E…パルストランス、20F…RJ45コネクタ、30…ACアダプタ、L1、L2…インダクタンス、C1、C2、Cm…キャパシタンス、Cx…入力キャパシタンス、Sn…ノイズ信号発生源、M…相互インダクタンス、In1、In2…入力ポート、Out1、Out2…出力ポート、R1、R2…抵抗。

Claims (8)

  1. 第1インダクタンスを有する第1伝送線路と、
    第2インダクタンスを有し、前記第1伝送線路に平行する第2伝送線路と、
    前記第1伝送線路の電流経路の一端と、グラウンドと、の間に接続された第1キャパシタンスと、
    前記第2伝送線路の電流経路の一端と、グラウンドと、の間に接続された第2キャパシタンスと、
    を備え、
    前記第1キャパシタンス、および第2キャパシタンスの値は、当該第1インダクタンス、第2インダクタンス、第1キャパシタンス、および第2キャパシタンスで構成されるブリッジ回路の平衡条件に基づき設定される、伝搬モード変換抑制回路。
  2. 前記第1伝送線路の電流経路の他端と、前記第2伝送線路の電流経路の他端と、の間に接続されたキャパシタンスと、
    を更に備える請求項1に記載の伝搬モード変換抑制回路。
  3. 前記第1キャパシタンスと、グラウンドと、の間に接続された第1抵抗と、
    第2キャパシタンスと、グラウンドと、の間に接続された第2抵抗と、
    を更に備える、請求項2に記載の伝搬モード変換抑制回路。
  4. 前記第1伝送線路の電流経路の一端と、前記第2伝送線路の電流経路の一端と、の間に設けられたキャパシタンスと、
    を更に備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の伝搬モード変換抑制回路。
  5. 第1インダクタンスを有する第1伝送線路と、
    第2インダクタンスを有し、前記第1伝送線路に平行する第2伝送線路と、
    前記第1伝送線路の出力端と、グラウンドと、の間に接続された第1キャパシタンスと、
    前記第2伝送線路の出力端と、グラウンドと、の間に接続された第2キャパシタンスと、
    を備えた平衡伝送線路における伝導妨害波の伝搬モード変換抑制方法であって、
    前記第1インダクタンス、第2インダクタンス、第1キャパシタンス、および第2キャパシタンスで構成されるブリッジ回路の平衡条件に基づいて、前記第1キャパシタンスおよび第2キャパシタンスの値を設定することで、地上から見た前記第1伝送線路の出力端のインピーダンスと、前記地上から見た前記第2伝送線路の出力端のインピーダンスと、を平衡させ、
    前記第1、第2伝送線路を伝搬する前記伝導妨害波のモード変換量を抑制するようにした伝搬モード変換抑制方法。
  6. 前記第1伝送線路の入力端と、前記第2伝送線路の入力端と、の間にキャパシタンスを接続し、前記第1伝送線路の入力端と、前記第2伝送線路の入力端と、の間の高周波域におけるインピーダンスを低減させることで、前記第1伝送線路と第2伝送線路とを伝搬する前記伝導妨害波を抑制するようにした請求項5に記載の伝搬モード変換抑制方法。
  7. 前記第1キャパシタンスと、前記グラウンドと、の間に第1抵抗を接続し、前記第1インダクタンス、前記第1キャパシタンスおよび前記第1抵抗からなる第1RLC直列共振回路と、前記第2キャパシタンスと、前記グラウンドと、の間に第2抵抗を接続し、前記第2インダクタンス、前記第2キャパシタンスおよび前記第2抵抗からなる第2RLC直列共振回路と、における共振の鋭さを小さくすることで、前記伝導妨害波のモード変換量を抑制するようにした請求項6に記載の伝搬モード変換抑制方法。
  8. 更に、前記第1伝送線路の出力端と、前記第2伝送線路の出力端と、の間にキャパシタンスを接続し、前記第1伝送線路の出力端と、前記第2伝送線路の出力端と、の間の高周波域におけるインピーダンスを低減させることで、前記第1伝送線路と第2伝送線路とを伝搬する前記伝導妨害波を抑制するようにした請求項5乃至7のいずれか1項に記載の伝搬モード変換抑制方法。
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