JP2019031099A - 成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形型においてパーツ毎に成形するかしないかを任意に切替えることを可能とし、必要とする共通パーツのみを成形可能とする。【解決手段】成形型に成形材料を注入して、複数のパーツがランナーに接続されて構成される第1の成形物を成形する第1の成形工程と、前記成形型に成形材料を注入して、第2の成形物であって、前記第1の成形物を構成する前記複数のパーツの一部を含まない第2の成形物を成形する第2の成形工程とを選択的に実行して成形物を成形する成形方法であり、前記成形型は、前記複数のパーツの一部に対応する前記成形型の所定部分に対する前記成形材料の流入を、遮断また許容するように切替えるスイッチを備える、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、成形方法に関する。
一般に樹脂を用いて成形されたプラモデルのような成形物は、ランナーに組み立ての対象となる複数のパーツが接続されて構成されている(特許文献1を参照)。パーツを組み立てて出来上がる完成品の種類や形状に応じてそれぞれ異なるパーツの組み合わせが提供されることが一般的であるが、中には完成品として異なるものの、パーツは一部が異なるだけで共通のパーツを有するバリエーション製品も存在する。
特開2006−142578号公報
上記のようなバリエーション製品用のパーツを成形する場合、製品毎にそれぞれ専用の成形型(金型)を作ることもできる。また、元の製品の金型をそのまま転用し、バリエーション商品では使用されないパーツも含めて成形することもできる。前者の場合には、一部の不要なパーツのためだけに追加の成形型を造るためのコストが発生するので非効率であり、後者についてはバリエーション商品では使われないパーツが成形され、成形材料の無駄が発生する。
そこで、成形型においてパーツ毎に成形するかしないかを任意に切替えることを可能とすることで、必要とする共通パーツのみを成形可能とする技術が求められている。
本発明は、成形型においてパーツ毎に成形するかしないかを任意に切替えることを可能とする成形方法を提供する。
上記課題を解決する本発明は、
成形型に成形材料を注入して、複数のパーツがランナーに接続されて構成される第1の成形物を成形する第1の成形工程と、
前記成形型に成形材料を注入して、第2の成形物であって、前記第1の成形物を構成する前記複数のパーツの一部を含まない第2の成形物を成形する第2の成形工程と
を選択的に実行して成形物を成形する成形方法であって、
前記成形型は、前記複数のパーツの一部に対応する前記成形型の所定部分に対する前記成形材料の流入を、遮断また許容するように切替えるスイッチを備え、
前記第1の成形工程では、前記成形材料の流入が許容され、前記所定部分に対応する前記複数のパーツの一部を含む前記第1の成形物が形成され、
前記第2の成形工程では、前記成形材料の流入が遮断されて、前記所定部分に対応する前記複数のパーツの一部を含まない前記第2の成形物が形成されることを特徴とする。
本発明の成形方法によれば、成形型においてパーツ毎に成形するかしないかを任意に切替えることが可能とすることができる。
発明の実施形態に係る成形装置の断面を例示する図。 発明の実施形態に係るスイッチ部材の斜視図。 (a)はスイッチ部材が装着されていない状態を示すランナー溝の斜視図、(b)はスイッチ部材が開設定で装着された状態を示すランナー溝の斜視図、(c)はスイッチ部材が閉設定で装着された状態を示すランナー溝内の斜視図。 (a)は雄型底面に形成されたスイッチ部材挿入用の開口を示す斜視図、(b)はスイッチ部材挿入用の開口の形状を示す図、(c)はスイッチ部材が開設定でスイッチ部材挿入用の開口に挿入された状態を示す図、(d)はスイッチ部材が閉設定でスイッチ部材挿入用の開口に挿入された状態を示す図。 (a)はスイッチ部材の開設定における成形結果、(b)はスイッチ部材の閉設定における成形結果を、それぞれ示す成形型の断面図。 (a)はスイッチ部材を適用する前の成形型600の一例を示す図、(b)はスイッチ部材を適用後の成形型600Aの一例を示す図、(c)は600及び600Aを用いて成形した成形物610Aの一例を示す図。 (a)は一部のスイッチ部材を閉設定とした成形型600Bの一例を示す図、(b)は600Bを用いて成形した成形物610Bの一例を示す図。 (a)は一部のスイッチ部材を閉設定とした成形型600Cの一例を示す図、(b)は600Cを用いて成形した成形物610Cの一例を示す図。 (a)は一部のスイッチ部材を閉設定とした成形型600Dの一例を示す図、(b)は600Dを用いて成形した成形物610Dの一例を示す図。
以下、発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同じ参照符号は、同じ要素を示している。また、各図において、紙面に対する上下左右方向を、本実施形態における装置の上下左右方向として、本文中の説明の際に用いることとする。なお本発明は、以下に説明する実施形態おいて成形材料として樹脂材料を例示するがこれに限定されず、他の材質(ポリスチレン、ポリエチレン、ABS等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属等)も適用可能である。
図1に発明の実施形態に対応する成形装置の断面図を示す。本実施形態の成形装置は図1に示すように、成形材料を射出する射出装置の移動側に取り付けられる移動金型本体102と、射出装置の固定側に取り付けられる固定金型本体103とを有する。移動金型本体102と固定金型本体103とにはそれぞれ成形材料が流入される溝が形成されている。
移動金型本体102は、雄型106を取り付ける雄型取付板107と、雄型取付板107を固定する固定台108と、成形材射出装置に取り付けられる移動側取付板109と、固定台108と移動側取付板109との間に設けられたスペーサ110と、を有している。固定台108には空室111が形成され、空室111内には移動可能な押し出し板112が設けられている。押し出し板112は、固定台108に形成された開口部114、115に設けられた押圧軸116に固定されている。また、押し出し板112には、雄型取付板107及び雄型106を貫通するノックアウトピン113が形成されている。ここで、押し出し板112を移動することにより、ノックアウトピン113の先端がランナー溝内に突出するように形成されている。
また、雄型106には、貫通孔が形成され、当該貫通孔を貫通する部材として第1のスイッチ部材104、及び第2のスイッチ部材105が取り付けられている。第1のスイッチ部材104と第2のスイッチ部材105とは、それぞれ先端部に設けられた溝とランナー溝とが一致するように配置され、先端部の径はランナー溝の幅に応じて決定される。本実施形態では、幅の異なるランナー溝にそれぞれスイッチ部材を設ける。本実施形態では、幅の異なる2種類のランナー溝について説明する。具体的には、第1の幅(LW1)を有する主ランナー溝と、第2の幅(LW2)を有する副ランナー溝とがある。LW1>LW2であり、LW1は例えば7〜12mmの範囲をとり、LW2は例えば2〜3mmの範囲をとることができる。
主ランナー溝用の第1のスイッチ部材104は、主ランナー溝の幅LW1よりも大きい径SW1を有し、副ランナー溝用の第2のスイッチ部材105は、副ランナー溝の幅LW2よりも大きい径SW2を有する。SW1>SW2であり、例えば、SW1を9から14mmの範囲とし、SW2を3.5から4.5mmとすることができる。
本実施形態において、第1のスイッチ部材104及び第2のスイッチ部材105の径は、同種のスイッチ部材について共通とし、例えば、第1のスイッチ部材104の径は、使用する成形型において最短の主ランナー溝の長さよりも小さい値とする。同様に第2のスイッチ部材105の径は、使用する成形型において最短の副ランナー溝の長さよりも小さい値とする。これによりどの主ランナー溝、副ランナー溝に対しても適用することが可能となる。
また、雄型取付板107の第1のスイッチ部材104、第2のスイッチ部材105に対応する箇所には開口部が形成され、各スイッチ部材を押圧するための弾性部材121、122が収容される。第1及び第2のスイッチ部材104、105はそれぞれ弾性部材121、122により雌型取付板118方向に押圧される。弾性部材121、122として、コイルスプリング、ゴム、板バネ等の弾性を有する部品を用いることができる。
固定金型本体103は、成形材射出装置に取り付けられる固定取付板117と、雌型118が取り付けられる雌型取付板119と、固定取付板117と雌型取付板119との間に設けられるスペーサ120とを有している。
雌型118にも雄型106と同様に貫通孔が形成され、貫通孔内には第1のスイッチ部材104、及び第2のスイッチ部材105がそれぞれ取り付けられている。各スイッチ部材は、雄型106上に形成された位置と対応する雌型118上の位置に形成されている。このようにして雄型106と雌型118とにそれぞれ設けられたスイッチ部材が対となって動作する。スイッチ部材に関連する各構成は雄型106について説明したのと同様であるので、ここでの説明は省略する。
図1に示す成形装置において、ランナー溝や各パーツを形成するための成形空間(キャビティ)に成形材料を流入させて成形物を形成した後、移動金型本体102を固定金型本体103から離し、押圧板116を押圧して押し出し板112を移動させると、押し出し板112に設けられたノックアウトピン113が移動金型本体102を構成する雄型106に付着した成形物を押し出し、成形物を容易に取り出すことができる。なお、図1は成形装置の構造を一例として示す図であって、成形装置の構造は図1に示すものに限定されず、様々な変更が可能である。
次に、図2を参照して、本実施形態に対応するスイッチ部材の構造について説明する。図2は、スイッチ部材の構造の一例を示す図である。図2では、スイッチ部材の構造の一例として第1のスイッチ部材104の構造を例示するが、第2のスイッチ部材105も同様の構造を採ることができ、両者の相違は主に寸法(径)である。それぞれの大きさは、主ランナー溝、副ランナー溝の幅(LW1、LW2)に応じて設定される。また、本実施形態では、スイッチ部材として大きさの異なる2種類を使用するが、スイッチ部材の種類は2種類に限定されることはない。ランナー溝の幅に応じて3種類以上のスイッチ部材を使用することもできる。また、以下では説明の簡単のため主に第1のスイッチ部材104について説明するが、第2のスイッチ部材105についても同一の説明が適用されるものである。
図2に示すように、第1のスイッチ部材104は上部材201と下部材202とを有し、下部材202の下側には弾性部材121が設けられており、下部材202を弾性部材121により矢印203の方向に押圧する構造となっている。上部材201の上端面には凹部204が形成されている。凹部204は成形型に形成されるランナー溝に対応する形状を有し、当該ランナー溝の幅に対応する幅wを有する。図2は、第1のスイッチ部材104の構造を示すので、幅wは主ランナー溝の幅LW1に対応した大きさとなる。第2のスイッチ部材105の場合は、副ランナー溝の幅LW2に対応した幅wを有する。下部材202の側面には凸状部材として突起205a、205b(以下、略して「突起205」という)が設けられている。突起205は、第1のスイッチ部材104を装着する際の凹部204の向きを決定するために用いられる。
次に図3を参照して、スイッチ部材と成形型上に形成されたランナー溝との位置関係について説明する。図3では、第1のスイッチ部材104と、雄型106に形成された主ランナー溝との関係で説明するが、第2のスイッチ部材105と雄型106上の副ランナー溝との関係、及び、各ランナー溝が雌型118に形成された場合の関係も内容は同様であるので説明を省略する。
まず、図3(a)は、第1のスイッチ部材104が挿入される前の状態の雄型106を示している。雄型106には主ランナー溝301が形成されており、当該主ランナー溝301の途中に第1のスイッチ部材104を挿入するための開口302が形成されている。主ランナー溝301は、当該開口302により接続が遮断されている。開口302は、雄型106に形成された貫通孔の開口のうちの一方である。
図3(b)は、開口302に対して第1のスイッチ部材104が挿入された状態の一例を示す。図3(b)では、第1のスイッチ部材104の凹部204が主ランナー溝301と沿うように、第1のスイッチ部材104が雄型106に対して位置決めされている様子を示している。これにより、開口302により遮断された主ランナー溝301が第1のスイッチ部材104を介して接続されることになる。よって、供給される成形部材は、第1のスイッチ部材104の凹部204を介して主ランナー溝301上を流れることができる。このような成形部材の流れを許容するスイッチ部材の成形型に対する設定のことを、本実施形態では「開設定」と呼ぶ。
図3(c)は、雄型106に対して第1のスイッチ部材104が挿入された状態の他の一例を示す。図3(c)では、第1のスイッチ部材104の凹部204が主ランナー溝301と交差するように、第1のスイッチ部材104が雄型106に対して位置決めされている様子を示している。これにより、開口302により遮断された主ランナー溝301は依然として遮断されたまま、第1のスイッチ部材104を介して主ランナー溝301が接続されることはない。よって、供給される成形部材は、第1のスイッチ部材104の凹部204よりも下流側に流れることができず、下流側への成形部材の流入が遮断される。このような成形部材の流れを遮断するスイッチ部材の成形型に対する設定のことを、本実施形態では「閉設定」と呼ぶ。
次に、図4を参照して、第1のスイッチ部材104を図3(b)や(c)で示したような開設定や閉設定の状態に位置決めするための構造について説明する。図4では、第1のスイッチ部材104と、雄型106に形成された主ランナー溝との関係で説明するが、第2のスイッチ部材105と雄型106上の副ランナー溝との関係、及び、各ランナー溝が雌型118に形成された場合の関係も内容は同様であるので説明を省略する。
図4(a)は雄型106の裏側の構造の一例を示す図である。主ランナー溝301等が形成される面を雄型106の表面とすると、図4(a)に示す面は表面の反対側の雄型106の裏面となる。裏面には開口401が設けられている。開口401は、雄型106に形成された貫通孔の裏面側の開口であり、表面に形成された開口302と接続している。
図4(b)は、開口401を正面から見た様子を例示する。開口401は、第1のスイッチ部材104の下部材202を収容可能な円形の大きな開口に、突起205を収容可能な小さな開口(突出領域)が追加された形状を有している。図2に示すように、突起205は凹部204を挟むようにして下部材202の側面に配置されている。図4(c)は、開口401に第1のスイッチ部材104が挿入された例を示す。ここで示すように突起205は開口401の突出領域に収納され、凹凸の係合状態を形成するので第1のスイッチ部材104の位置が固定される。図4(d)は、開口401に第1のスイッチ部材104が挿入された他の例であって、図4(c)の状態から第1のスイッチ部材104を90度回転させて挿入した状態を示す。ここでも突起205は開口401の突出領域に収納され凹凸の係合状態を形成するので、第1のスイッチ部材104の位置が固定される。図4(c)及び図4(d)はそれぞれ、図3(b)、図3(c)の状態に対応している。
このようにして、第1のスイッチ部材104の突起205と開口401との形状とにより、第1のスイッチ部材104の位置を固定することができる。例えば、図4(c)の状態にある場合には、図3(b)に示すように、開口302により遮断された主ランナー溝301は開設定の第1のスイッチ部材104を介して接続され、かつ、突起205が開口の突出領域に収容されて位置が規制される。これにより成形中に第1のスイッチ部材104の状態が開設定から変わることなく、主ランナー溝301の接続状態を維持することができる。同様にして図4(d)の状態にある場合には、図3(c)に示すように、閉設定の第1のスイッチ部材104により主ランナー溝301は遮断されたままで、かつ、突起205が開口の突出領域に収容されて位置が規制されるので、成形中に第1のスイッチ部材104の状態が閉設定から変わることなく、主ランナー溝301の遮断状態を維持することができる。
また、図4(c)や図4(d)の状態では、第1のスイッチ部材104は弾性部材121により、雄型106の表面側に押圧(付勢)されているので、第1のスイッチ部材104が開口401から抜け落ちることもない。また、図2に示すように、第1のスイッチ部材104は、上部材201と下部材202との間に段差が形成されており、開口401内にも当該段差に対応する段差が設けられている。これにより、弾性部材121による押圧力は下部材202を開口401内の段差に押し付けるように働くため、第1のスイッチ部材104の高さ方向の位置も規制することができる。
次に、第1のスイッチ部材104の使用形態について図5を参照して説明する。図5は図1に示す破線部123の拡大図を示し、雄型106及び雌型118に設けられた貫通孔に第1のスイッチ部材104が挿入されている様子を示す。図5では、第1のスイッチ部材104と、雄型106及び雌型118に形成された主ランナー溝との関係で説明するが、第2のスイッチ部材105の関係も内容は同様であるので説明を省略する。
図5(a)は、第1のスイッチ部材104が開設定の状態にあり、凹部204が主ランナー溝301を接続するようにランナー溝の方向に沿っている状態の断面図を示す。図5(b)は、第1のスイッチ部材104が閉構成の状態にあり、凹部204が主ランナー溝301の接続を遮断するようにランナー溝の方向に沿わない状態の断面図を示す。
図5では、一点鎖線503を境として、一点鎖線503よりも左側を上流とし、上流側から成形材料が供給されるものとする。一点鎖線503よりも右側は、第1のスイッチ部材104の設定に応じた凹部204の向きに従って成形材料の流入が許容されるか、それとも遮断されるかが制御される。図5(a)では、図3(b)で示したように、第1のスイッチ部材104は開設定の状態にあり、凹部204は主ランナー溝301の方向に沿って位置しているので、成形材料の流入が許容される。よって、第1のスイッチ部材104が存在する領域を超えて成形物501が成形される。一方の図5(b)では、図3(c)で示したように、第1のスイッチ部材104は閉設定の状態にあり、凹部204は主ランナー溝301の方向に沿っていないので、主ランナー溝301に流入した成形材料は、第1のスイッチ部材104の上部材201の側面に衝突して、下流側への流入が遮断される。このように成形材料は第1のスイッチ部材104により堰き止められるため、成形物502は第1のスイッチ部材104を超えては成形されない。
次に、図6から図9を参照して、上記の第1のスイッチ部材104、105を成形型に適用して成形物を成形する方法について説明する。
まず、図6(a)は、第1のスイッチ部材104、105を適用する前の成形型の一例を示す。成形型600は、複数のパーツを形成するためのパーツ成形部分として複数の成形空間(キャビティ)603aから603e(以下、簡単のため「キャビティ603」という)を有する成形型であって、各キャビティ603は副ランナー溝602を介して主ランナー溝601と接続されている。成形材射出口604から溶融した成形材料が注入されると、主ランナー溝601から副ランナー溝602を介してキャビティ603に成形材料が流入する。全てのキャビティ603に成形材料が充填された後、冷却することにより成形物を作製することができる。
次に、図6(b)は、成形型600に第1のスイッチ部材104、及び、第2のスイッチ部材105を適用した成形型600Aの一例を示す。図6(b)の成形型600Aでは、第1のスイッチ部材104aから104eまでが主ランナー溝601上に設けられている。第1のスイッチ部材は、複数のパーツをまとめて成形対象から除外したい場合に、パーツと接続する副ランナーと接続している主ランナーを成形する主ランナー溝上に設けることが望ましい。また、第2のスイッチ部材105は、個々のパーツを成形するか否かを制御するために用いられるので、対象となるパーツと直接に接続しているランナー溝の全てに第2のスイッチ部材105が適用することが望ましい。
第2のスイッチ部材105が、第1のスイッチ部材104が配置された主ランナーの下流側で、当該主ランナーに接続する副ランナーを成形する副ランナー溝に適用されると、第1のスイッチ部材104を利用することで主ランナーの下流側のパーツを形成対象から除外可能とする一方で、第2のスイッチ部材104を個別に利用して個々のパーツ単位に形成対象を定めることができる。また、第2のスイッチ部材105の設置位置は、第1のスイッチ部材104が配置された主ランナーの下流側でなくてもよい。特定のパーツだけを形成対象から除外したい場合には、第1のスイッチ部材104を配置せず、第2のスイッチ部材105だけを配置すればよい。成形型は、第1のスイッチ部材104と第2のスイッチ部材105の少なくとも一方だけを含んでいてもよい。
図6(b)の例では、副ランナー溝602上でキャビティ603a、603eを囲むように第2のスイッチ部材105aから105fを設けられている。これにより、キャビティ603a、603eを個々に成形するか否かを制御することができる。また、第2のスイッチ部材105gは、キャビティ603cと接続する一部の副ランナー602上に設けられている。第2のスイッチ部材105gは、キャビティ603aから603cを成形しない場合に第1のスイッチ部材104aから104cと共に使用される。
図6(b)では、第1のスイッチ部材104及び第2のスイッチ部材105は全てランナー溝の溝に沿った向きとなるように開設定とされており、キャビティ603への成形材料の流入を許容する状態となっている。従って、図6(a)及び図6(b)の成形型600及び600Aを用いた成形結果は同一のものとなり、図6(c)に示す成形物610Aのようになる。
成形物610Aは、主ランナー611、副ランナー612、パーツ613aから613eで構成され、各パーツ613aから613eは、成形型600等のキャビティ603aから603eに対応する形状を有する。これらのパーツ613aから613eは副ランナー612を介して主ランナー611に接続される。
次に、図7から図9を参照して第1のスイッチ部材104及び第2のスイッチ部材105の設定を個々に変更することにより、成形物610Aに含まれる一部または全部のパーツの成形を行うか否かを制御する例を説明する。
まず、図7を参照して第1のスイッチ部材104及び第2のスイッチ部材105の設定を変更することにより、成形物610Aに含まれる一部のパーツの成形を行わない例を説明する。図7(a)は、キャビティ603a、603b、603cに成形材料が流入しないように各スイッチ部材を設定した場合の成形型600Bを示す。このとき、第1のスイッチ部材104a、104b、104cを、主ランナー溝601の接続(成形部材の流れ)を遮断するように閉設定とする。このとき第1のスイッチ部材104dは、キャビティ603d及び603eに成形材料を供給するために開設定となっている。このとき第1のスイッチ部材104dが設けられている主ランナー溝601と接続しているキャビティ603c用の副ランナー溝に成形材料が流入してしまう。そこで、第2のスイッチ105gは閉設定としておく。図7(a)に示す成形型600Bを用いた成形結果は図7(b)に示すようなものとなる。成形物610Bは、主ランナー611、副ランナー612、パーツ613d及び613eで構成され、パーツ613aから613cは成形されない。
次に、図8を参照して第2のスイッチ部材105の設定を変更することにより、成形物610に含まれる一部のパーツの成形を行わない例を説明する。まず、図8(a)は、キャビティ603a及び603eに成形材料が流入しないように第2のスイッチ部材105aから105fを閉設定にした場合の成形型600Cを示す。このとき、第1のスイッチ部材104及び第2のスイッチ部材105gは全て開設定にしておく。これにより、第2のスイッチ部材104aから104fが設けられている副ランナー溝602と接続しているキャビティ603a及び603eに対する成形材料の流入が遮断される。図8(a)に示す成形型600Cを用いた成形結果は図8(b)に示すようなものとなる。成形物610Cは、主ランナー611、副ランナー612、パーツ613bから613dで構成され、パーツ613a及び613eは含まれない。
次に、図9を参照して第1のスイッチ部材104の設定を変更することにより、成形物610に含まれるパーツの成形を行わない例を説明する。まず、図9(a)は、キャビティ603aから603eに成形材料が流入しないように第1のスイッチ部材104a、104b、104d及び104eを閉設定にした場合の成形型600Dを示す。このとき、他の第1のスイッチ部材104c及び第2のスイッチ部材105aから105gの設定は特に問わない。これにより、第1のスイッチ部材104a、104b、104d及び104eが設けられている主ランナー溝601の各スイッチ部材よりも下流には成形部材が流入しないので、キャビティ603aから603eに対する成形材料の流入が全て遮断される。図9(a)に示す成形型600Dを用いた成形結果は図9(b)に示すようなものとなる。成形物610Dでは、成形材射出口604よりも左側にはパーツが全く含まれない。
以上の実施形態において、図6の成形型600Aを用いる場合と、成形型600BからDのいずれかを用いる場合とを切替えることにより、成形装置101を用いた成形方法を選択的に実行することができる。ここでは、元々の製品を成形型600Aを用いて作りつつ、バリエーション製品を成形型600Bから600Dのいずれかを用いて作ることもできる。
以上に説明した実施形態によれば、成形型に含まれる主ランナー溝と、副ランナー溝とに第1のスイッチ部材及び第2のスイッチ部材を設置することにより、成形物を構成する複数のパーツのうちの一部のパーツを個別に、或いは、一括に成形対象から除外するように制御することが可能となる。これにより、バリエーション商品が企画され、成形型に含まれるメインパーツのうちの1つを別の新規パーツに置き換えるような場合に、商品に使わないメインパーツは成形対象から除外することが可能となる。特に本実施形態によれば、第1のスイッチ部材を用いることでランナー枠単位、第2のスイッチ部材を用いることで個々のパーツ毎に成形する・しないを切り換えることができるので、バリエーション商品への対応が容易であり、かつ、バリエーション商品では使われないパーツが成形され、成形材料が無駄になることを未然に防止することができる。また、そのような不要パーツが仮に成形物に含まれている場合、商品購入者に対して当該パーツは不要である旨を通知しなければないが、本実施形態では当該パーツは成形対象から除外され商品には含まれないので、そのような手間を省略することができる。
また、本実施形態では、第1のスイッチ部材の径SW1は、使用する成型型に含まれる主ランナー溝の幅LW1より大きいが、使用する成形型において最短の主ランナー溝の長さよりも小さい値とされており、また、第2のスイッチ部材の径SW2は、使用する成型型に含まれる副ランナー溝の幅LW2より大きいが、使用する成形型において最短の副ランナー溝の長さよりも小さい値とされている。このことにより、第1のスイッチ部材は、成形型上のどの主ランナー溝にも適用可能であり、また、第2のスイッチ部材も、成形型上のどの副ランナー溝に対しても適用することが可能となっている。そのため、第1のスイッチ部材は成形型の所望の主ランナー溝に後から追加することが可能であり、第2のスイッチ部材は成形型の所望の副ランナー溝に後から追加することが可能であるので、バリエーション商品が企画された場合に、その商品の形態に応じて既存の成形型に任意に追加することができる。また、スイッチ部材は、開設定と閉設定という2つの状態を有しているので、あるバリエーション商品では不要なパーツであってスイッチ部材を追加した後に、更なるバリエーション商品で当該パーツが必要となった場合であっても、設定の変更のみで同一の成形型を再利用することができるので、スイッチ部材を追加する不利益もない。

Claims (12)

  1. 成形型に成形材料を注入して、複数のパーツがランナーに接続されて構成される第1の成形物を成形する第1の成形工程と、
    前記成形型に成形材料を注入して、第2の成形物であって、前記第1の成形物を構成する前記複数のパーツの一部を含まない第2の成形物を成形する第2の成形工程と
    を選択的に実行して成形物を成形する成形方法であって、
    前記成形型は、前記複数のパーツの一部に対応する前記成形型の所定部分に対する前記成形材料の流入を、遮断また許容するように切替えるスイッチを備え、
    前記第1の成形工程では、前記成形材料の流入が許容され、前記所定部分に対応する前記複数のパーツの一部を含む前記第1の成形物が形成され、
    前記第2の成形工程では、前記成形材料の流入が遮断されて、前記所定部分に対応する前記複数のパーツの一部を含まない前記第2の成形物が形成される
    ことを特徴とする成形方法。
  2. 前記成形型は、前記ランナーを形成するためのランナー溝に前記スイッチが設けられ、
    前記第2の成形工程では、前記スイッチよりも下流側の前記ランナー溝を含む前記所定部分に対する前記成形材料の流入が遮断されることを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
  3. 前記成形型は、前記複数のパーツを成形するための複数のパーツ成形部と、前記複数のパーツ成形部それぞれに前記成形材料を供給するための主ランナー溝と、前記主ランナー溝と前記パーツ成形部とを接続し、前記主ランナー溝からの前記成形材料を前記パーツ成形部に供給するための副ランナー溝とを含み
    前記スイッチは、前記主ランナー溝に設けられる第1のスイッチと、前記副ランナー溝に設けられる第2のスイッチとのうち、少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項2に記載の成形方法。
  4. 前記第1のスイッチの径は、前記第2のスイッチの径よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の成形方法。
  5. 前記第2のスイッチの径は、前記成形型が有する最短の副ランナー溝の長さよりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の成形方法。
  6. 前記第2のスイッチの径は4.5mmであることを特徴とする請求項4または5に記載の成形方法。
  7. 前記第2のスイッチは、前記第1のスイッチの下流側に設けられることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の成形方法。
  8. 前記第2のスイッチは、前記成形材料の流入を遮断しようとするパーツ成形部と接続する全ての副ランナー溝に設けられることを特徴とする請求項3から7のいずれか1項に記載の成形方法。
  9. 前記スイッチは、前記成形型の前記ランナー溝を遮断するように設けられた貫通孔を貫通する貫通部材を含み、
    前記成形型の前記ランナー溝が形成された第1の面側に位置する前記貫通部材の第1の端部には、前記ランナー溝に対応する溝が形成され、
    前記第1の成形工程では、前記貫通孔により遮断された前記ランナー溝を、前記第1の端部に形成された前記溝が接続する第1の位置に前記貫通部材が位置決めされることにより、前記成形材料の流入が許容され、
    前記第2の成形工程では、前記第1の端部に形成された前記溝が前記貫通孔により遮断された前記ランナー溝を接続しない第2の位置に前記貫通部材が位置決めされることにより、前記成形材料の流入が遮断される
    ことを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載の成形方法。
  10. 前記成形型の前記第1の面とは反対側の第2の面側の、前記貫通部材の第2の端部は、前記第2の面との係合により前記貫通部材を前記第1の位置と前記第2の位置とにそれぞれ位置決めするための位置決め手段を有することを特徴とする請求項9に記載の成形方法。
  11. 前記位置決め手段は、凸状部であって、
    前記成形型の前記第2の面には、前記凸状部と係合して前記貫通部材を前記第1の位置及び前記第2の位置とにそれぞれ位置決めするための凹状部が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の成形方法。
  12. 前記凸状部と前記凹状部とが係合している状態で前記貫通部材は前記第1の面の方向に押圧されていることを特徴とする請求項11に記載の成形方法。
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