JP2019028232A - 光変調素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】照明光の空間的なパターンの位相の切り替えに要する時間を短縮可能な光変調素子を提供する。【解決手段】光変調素子1は、第1の液晶層20を有し、第1の液晶層20に印加される電圧に応じて、第1の液晶層20を透過する第1の偏光方向に沿った偏光面を持つ直線偏光である光の偏光面を90°回転させるか否かを切り替える第1の液晶素子12と、第2の液晶層30を有し、第2の液晶層30を透過する、第1の液晶素子12から出射した光の偏光面を所定の周期方向に沿って所定の周期を持つ空間的なパターンにおける位置に応じた回転量だけ回転させ、かつ、第2の液晶層30に印加される電圧に応じて、パターンの位相をずらす第2の液晶素子13と、透過軸が第1の偏光方向と平行または直交するように配置され、第2の液晶素子13から出射した光のうちの透過軸と平行な成分を透過させる偏光子14とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、光に空間的なパターンを付与する光変調素子に関する。
対象物の形状を測定する技術の一つとして、位相シフト法が知られている。位相シフト法では、形状測定装置は、対象物に対して空間的に周期的なパターンを持つ照明光を照射し、かつ、そのパターンの位相を変えながら(すなわち、周期方向に沿ってパターンを移動させながら)対象物を複数回撮影することで、対象物に照射されたパターンの位相が異なる複数の画像を得る。そして形状測定装置は、その複数の画像から、対象物の表面上の各点の高さに応じたパターンの位相をもとめ、各点の位相から高さを求めることで、対象物の表面の形状を求める。
対象物に照射する照明光のパターンの位相の変化は、例えば、透過する光に対して周期的なパターンを与える格子を光源と対象物の間に配置し、格子をピエゾ素子などの機械的な機構を用いて移動させることにより行われる。しかし、このような機械的な機構を用いて対象物に照射するパターンの位相変化量を正確に設定するためには、その機構の動作を精密に制御する必要がある。そこで、機械的な機構を用いずに、光源と対象物の間に液晶素子を配置し、液晶素子に表示させる周期的なパターンの位置をずらすことで、対象物に照射するパターンの位相変化量を調節する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
特開2003−254733号公報 特開2006−275529号公報
対象物の測定に要する時間を短縮するためには、対象物に照射される周期的なパターンの位相の切り替えに要する時間を短縮することが求められる。しかし、液晶素子を用いて対象物に周期的なパターンを照射する上記の技術では、パターンの位相の切り替えに要する時間は、パターンを表示する液晶素子の応答速度に応じたものとなる。そのため、パターンの位相の切り替えに要する時間を短縮可能な技術が求められている。
そこで、本発明は、光に付与される空間的なパターンの位相の切り替えに要する時間を短縮可能な光変調素子を提供することを目的とする。
本発明の一つの側面によれば、光変調素子が提供される。この光変調素子は、第1の液晶層を有し、第1の液晶層に印加される電圧に応じて、第1の液晶層を透過する第1の偏光方向に沿った偏光面を持つ直線偏光である光の偏光面を90°回転させるか否かを切り替える第1の液晶素子と、第2の液晶層を有し、第2の液晶層を透過する、第1の液晶素子から出射した光の偏光面を所定の周期方向に沿って所定の周期を持つ空間的なパターンにおける位置に応じた回転量だけ回転させ、かつ、第2の液晶層に印加される電圧に応じて、パターンの位相をずらす第2の液晶素子と、透過軸が第1の偏光方向と平行または直交する方向となるように配置され、第2の液晶素子から出射した光のうちの透過軸と平行な成分を透過させる偏光子とを有する。
この光変調素子は、第1の液晶素子の第1の液晶層に印加する電圧と、第2の液晶素子の第2の液晶層に印加する電圧とを制御するコントローラをさらに有することが好ましい。そしてコントローラは、第1の液晶素子の第1の液晶層に印加する電圧を第1の時間周期で変化させ、かつ、第2の液晶素子の第2の液晶層に印加する電圧を第1の時間周期の2倍の第2の時間周期で変化させることが好ましい。
あるいは、この光変調素子は、第1の液晶素子の第1の液晶層に印加する電圧と、第2の液晶素子の第2の液晶層に印加する電圧とを制御するコントローラをさらに有することが好ましい。そしてコントローラは、第1の液晶素子の第1の液晶層に印加する電圧、及び、第2の液晶素子の第2の液晶層に印加する電圧を第1の時間周期で変化させ、かつ、第1の液晶素子の第1の液晶層に印加する電圧を変化させるタイミングと、第2の液晶素子の第2の液晶層に印加する電圧を変化させるタイミングとをずらすことが好ましい。
また、この光変調素子において、第1の液晶素子の応答速度は第2の液晶素子の応答速度よりも速いことが好ましい。
さらに、この光変調素子において、第2の液晶素子は、第2の液晶層を挟んで互いに対向する第1の透明電極及び第2の透明電極をさらに有することが好ましい。この場合において、第1の透明電極は、空間的なパターンの周期方向に沿って複数の第1の部分電極に分割され、コントローラは、複数の第1の部分電極のそれぞれと第2の透明電極間に印加される電圧を空間的なパターンの位相シフト量が第1の所定値となるように制御することが好ましい。
この場合において、第2の透明電極は、空間的なパターンの周期方向に沿って複数の第2の部分電極に分割され、コントローラは、複数の第2の部分電極のそれぞれと第1の透明電極間に印加される電圧を空間的なパターンの位相シフト量が第2の所定値となるように制御することが好ましい。
本発明の他の側面によれば、光変調素子が提供される。この光変調素子は、第1の液晶層を有し、第1の液晶層を透過する、第1の偏光方向に沿った偏光面を持つ直線偏光である光の偏光面を所定の周期方向に沿って所定の周期を持つ空間的なパターンにおける位置に応じた回転量だけ回転させ、かつ、第1の液晶層に印加される電圧に応じて、パターンの位相をずらす第1の液晶素子と、第2の液晶層を有し、第2の液晶層に印加される電圧に応じて、第2の液晶層を透過する、第1の液晶素子から出射した光の偏光面を90°回転させるか否かを切り替える第2の液晶素子と、透過軸が第1の偏光方向と平行または直交するように配置され、第2の液晶素子から出射した光のうちの透過軸と平行な成分を透過させる偏光子とを有する。
本発明に係る光変調素子は、光に付与される空間的なパターンの位相の切り替えに要する時間を短縮できるという効果を奏する。
本発明の一つの実施形態に係る光変調素子及びその光変調素子を含む照明光学系の概略構成図である。 (a)は、位相反転用液晶素子を偏光子側から見た概略正面図であり、(b)は、(a)の矢印A、A’で示される線における、位相反転用液晶素子の概略側面断面図である。 (a)は、パターン表示用液晶素子を位相反転用液晶素子側から見た概略正面図であり、(b)は、(a)の矢印B、B’で示される線における、パターン表示用液晶素子の概略側面断面図である。 透明電極を構成する複数の部分電極の配置と表示されるパターンの関係の一例を示す図である。 透明電極及び透明電極間に印加される電圧と、表示されるパターンの関係の一例を示す図である。 コントローラによる各液晶素子の駆動状態と、得られるパターンとの関係の一例を示す図である。 コントローラによる、各液晶素子の駆動状態の時間変化の一例を示すタイミングチャートである。 変形例による、コントローラによる、各液晶素子の駆動状態の時間変化の一例を示すタイミングチャートである。 変形例に係る光変調素子の概略構成図である。 パターン表示用液晶素子の透明電極を構成する複数の部分電極の配置と表示されるパターンの関係の一例を示す図である。 上記の実施形態または変形例による光変調素子を用いたグレーティング干渉計の概略構成図である。
以下、図を参照しつつ、一つの実施形態による光変調素子について説明する。この光変調素子は、光源から発した照明光に空間的に周期的なパターンを付与するために、照明光の経路に沿って並べられる二つの液晶素子を有する。二つの液晶素子のうちの一方は、空間的に周期的なパターンを、透過する光の偏光面の回転量を変えることで付与する液晶素子であり、二つの液晶素子のうちの他方は、空間的に周期的なパターンを表示する液晶素子よりも光源側に配置され、透過する光全体の偏光面を90°回転させるか否かを切り替えることで、パターンの位相を反転させる液晶素子である。そしてこの光変調素子は、パターン表示用の液晶素子に位相シフト量が0のときのパターンを表示させた状態で、光源側に配置された位相反転用の液晶素子による偏光面の回転の有無を切り替えることで、照明光に付与するパターンの位相シフト量を0とπとで切り替える。この光変調素子は、次に、パターン表示用の液晶素子に位相シフト量がπ/2のときのパターンを表示させた状態で、位相反転用の液晶素子による偏光面の回転の有無を切り替えることで、照明光に付与するパターンの位相シフト量をπ/2と3π/2とで切り替える。そのため、この光変調素子は、パターン表示用の液晶素子の表示の切替周期の半分の周期で位相反転用の液晶素子を駆動することで、照明光に付与する空間的に周期的なパターンの位相の切り替え周期を短縮する。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る光変調素子及びその光変調素子を含む照明光学系の概略構成図である。図1に示されるように、光変調素子1は、例えば、照明光学系2のコリメータ3と投影レンズ4の間に配置され、光源5側から順に、照明光学系2の光軸OAに沿って、偏光子11と、位相反転用液晶素子12と、パターン表示用液晶素子13と、偏光子14とを有する。さらに、光変調素子1は、位相反転用液晶素子12及びパターン表示用液晶素子13を駆動するためのコントローラ15を有する。
光源5は、照明光を出力する。そのために、光源5は、例えば、発光ダイオードあるいはハロゲンランプを有する。あるいは、光源5は、半導体レーザといった直線偏光を持つ光を出力する発光素子を有していてもよい。光源5が直線偏光を持つ光を出力する発光素子を有する場合、偏光子11は省略されてもよい。
光源5から発した照明光は、照明光学系2のコリメータ3により平行光化されて偏光子11に入射する。
偏光子11は、光源5から発し、偏光子11に入射した照明光のうち、所定の透過軸に沿った偏光面を持つ偏光成分のみを透過させる。これにより、偏光子11を透過した照明光は、偏光子11の透過軸に沿った偏光面を持つ直線偏光となる。そして偏光子11を透過した照明光は位相反転用液晶素子12に入射する。
位相反転用液晶素子12は、位相反転用液晶素子12を透過する照明光の偏光方向を制御する。位相反転用液晶素子12は、パターン表示用液晶素子13の応答速度よりも速い応答速度を持つ液晶素子であり、例えば、強誘電性液晶(Ferroelectric Liquid Crystal, FLC)を用いた液晶素子である。
図2(a)は、位相反転用液晶素子12を偏光子11側から見た概略正面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印A、A’で示される線における、位相反転用液晶素子12の概略側面断面図である。
位相反転用液晶素子12は、第1の液晶素子の一例であり、コントローラ15により印加される電圧の向きに応じて、入射した照明光の偏光面を回転させずにそのまま入射光を透過させるか、あるいは、半波長板として動作して、透過する照明光の偏光面を90°回転させる。
そのために、位相反転用液晶素子12は、液晶層20と、光軸OAに沿って液晶層20の両側に略平行に配置された透明基板21、22を有する。また位相反転用液晶素子12は、透明基板21と液晶層20の間に配置された透明電極23と、液晶層20と透明基板22の間に配置された透明電極24とを有する。そして液晶層20のFLC分子25は、透明基板21及び22に挟まれ、シール部材26に囲まれる部分に封入されている。
透明基板21、22は、例えば、ガラスまたは樹脂など、光源5が発する照明光に対して透明な材料により形成される。また透明電極23、24は、例えば、ITOと呼ばれる、酸化インジウムに酸化スズを添加した材料により形成される。
本実施形態では、透明電極23、24は、それぞれ、照明光が透過する領域全体を覆うように設けられる。そして液晶層20のFLC分子25は、例えば、入射側の透明電極23の電位が出射側の透明電極24の電位よりも所定の電圧だけ高い場合に、偏光子11の透過軸と、FLC分子25の長軸方向とが平行となるように配向される。したがって、この場合には、位相反転用液晶素子12を透過した照明光の偏光面は回転しない。
一方、出射側の透明電極24の電位が入射側の透明電極23の電位よりも所定の電圧だけ高い場合に、偏光子11が透過させる偏光方向に対してFLC分子25の長軸方向は45°傾く。したがって、この場合には、位相反転用液晶素子12は、半波長板として動作して、位相反転用液晶素子12を透過した照明光の偏光面は90°回転する。したがって、コントローラ15は、いわゆるバイナリ変調によって位相反転用液晶素子12の透明電極23と透明電極24間に印加する電圧の向きを変えることで、位相反転用液晶素子12を透過する照明光の偏光方向を制御できる。
位相反転用液晶素子12を透過した照明光はパターン表示用液晶素子13に入射する。
パターン表示用液晶素子13は、空間的に周期的なパターンを表示して、パターン表示用液晶素子13を透過する照明光をその周期的なパターンで変調することで、照明光にその周期的なパターンを付与する。そのために、パターン表示用液晶素子13は、液晶層を有し、液晶層を透過する照明光の偏光面をその周期的なパターンにおける位置に応じた回転量だけ回転させるとともに、液晶層に印加される電圧に応じて、その周期的なパターンの位相をずらす。例えば、パターン表示用液晶素子13は、空間的に周期的なパターンとして、所定の方向に沿った正弦波状のパターンを表示する。そのために、パターン表示用液晶素子13は、多階調表示可能な液晶素子、例えば、ツイストネマティック(Twisted Nematic, TN)液晶を用いた液晶素子とすることができる。
図3(a)は、パターン表示用液晶素子13を位相反転用液晶素子12側から見た概略正面図であり、図3(b)は、図3(a)の矢印B、B’で示される線における、パターン表示用液晶素子13の概略側面断面図である。
パターン表示用液晶素子13は、第2の液晶素子の一例であり、コントローラ15により印加される電圧に応じて、周期的なパターンを表示するとともに、そのパターンの位相をπ/2だけシフトさせる。すなわち、パターン表示用液晶素子13は、コントローラ15により印加される電圧に応じて、パターンの周期方向に沿って、パターンの1周期の1/4だけパターンの表示位置をシフトする。
そのために、パターン表示用液晶素子13は、液晶層30と、光軸OAに沿って液晶層30の両側に略平行に配置された透明基板31、32を有する。またパターン表示用液晶素子13は、透明基板31と液晶層30の間に配置された透明電極33と、液晶層30と透明基板32の間に配置された透明電極34とを有する。そして液晶層30の液晶分子37は、透明基板31及び32に挟まれ、シール部材38に囲まれる部分に封入されている。
透明基板31、32は、例えば、ガラスまたは樹脂など、光源5が発する照明光に対して透明な材料により形成される。また透明電極33、34は、例えば、ITOにより形成される。さらに、透明電極33と液晶層30の間に配向膜35が配置される。また透明電極34と液晶層30の間に配向膜36が配置される。これら配向膜35の配向方向と、配向膜36の配向方向とは、互いに直交し、かつ、配向膜35の配向方向が偏光子11の透過軸と平行となるように、配向膜35、36は形成される。これにより、液晶分子37は、パターン表示用液晶素子13の入射側から出射側に近づくにつれて、長軸方向が、偏光子11の透過軸と平行な方向から直交する方向にねじれるように配向される。
したがって、液晶層30に電圧が印加されない場合、すなわち、透明電極33と透明電極34間に電圧が印加されない場合には、照明光がパターン表示用液晶素子13を透過することで、照明光の偏光面が90°回転する。一方、透明電極33と透明電極34間に電圧が印加される場合には、印加された電圧に応じて液晶分子37の長軸方向が光軸OAと平行な方向に近づくよう傾くので、印加された電圧が高くなるほど、照明光の偏光面の回転角度が少なくなる。そして印加された電圧が一定値以上になると、照明光の偏光面は回転しなくなる。そこで、本実施形態では、パターン表示用液晶素子13が表示するパターンに応じて、透明電極33及び透明電極34は複数の部分電極に分割される。そして、各部分電極について、表示するパターンの対応する位置に応じた偏光面の回転を与える電圧が液晶層30に印加されるように、各部分電極と対向する透明電極間に印加される電圧が調整される。
図4は、透明電極33を構成する複数の部分電極の配置と表示されるパターンの関係の一例を示す図である。この例では、パターン表示用液晶素子13には、1次元の正弦波状のパターン400が表示される。そのため、透明電極33は、表示される正弦波状のパターンの周期方向に沿って複数の矩形状の部分電極33−1〜33−n(nは2以上の整数)に分割される。各部分電極は、隣接する部分電極と、同じ抵抗値を持つ抵抗により接続される。そして最も電位が高くなる部分電極33−k(1≦k≦n)と、最も電位が低くなる部分電極33−m(1≦m≦nかつm≠k)に、コントローラ15から電圧が印加される。したがって、表示される正弦波状のパターンの周期方向に沿って、ステップ状に印加される電圧が変化する。また、隣接する部分電極間の電位差は、部分電極の位置によらず一定となる。そのため、パターンの周期方向に沿った各部分電極の幅は、パターン400を近似的に表すように、パターンの対応位置における振幅の変化が緩やかなほど広くなるように設定される。したがって、パターンの周期方向に沿った、透明電極33に印加される電位のプロファイル401は、パターン400を近似的に表すようになる。その結果として、液晶層30を透過する照明光は、パターン400における位置に応じた回転量(ただし、0°≦回転量≦90°)だけ偏光面が回転するよう変調される。
なお、透明電極34も、透明電極33と同様に、パターンの周期方向に沿って複数の部分電極34−1〜34−nに分割されればよい。そして各部分電極は、隣接する部分電極と、同じ抵抗値を持つ抵抗により接続され、最も電位が高くなる部分電極34−kと、最も電位が低くなる部分電極34−mに、コントローラ15から電圧が印加されればよい。ただし、透明電極34により表されるパターンのピークの位置が、透明電極33により表されるパターンのピークの位置に対してパターンの1周期の1/4だけずれるように、透明電極34の各部分電極は配置されればよい。
図5は、透明電極33及び透明電極34間に印加される電圧と、表示されるパターンの関係の一例を示す図である。図5において、パターン500は、透明電極33の部分電極間の電位を変えることで表示されるパターン(位相シフト量0に相当)を表し、パターン501は、透明電極34の部分電極間の電位を変えることで表示されるパターン(位相シフト量π/2に相当)を表す。
この例では、パターン500が表示される場合、透明電極34全体の電位が同一となるように、コントローラ15は、透明電極34の各部分電極に印加される電位を調節する。一方、コントローラ15は、例えば、パターンの明るさの最大値に相当する部分電極(例えば、図4における部分電極33−k)と透明電極34との間の電圧がV2となり、パターンの明るさの最小値に相当する部分電極(例えば、図4における部分電極33−m)と透明電極34との間の電圧がV1(ただしV1<V2)となるように、透明電極33の各部分電極に印加される電位を調節する。さらに、透明電極33に印加される最低電位が透明電極34の電位よりも所定のオフセット電圧だけ高くなるように、コントローラ15は、透明電極33と透明電極34に印加される電位を制御する。
この場合、パターンの明るさの最大値に相当する部分電極に対応する位置にある液晶層30の部分では、例えば、液晶分子37は、その長軸方向が光軸OAと略平行になるように傾く。その結果、その部分を透過する照明光の偏光面は回転しない。一方、パターンの明るさの最小値に相当する部分電極に対応する位置にある液晶層30の部分では、液晶分子37はねじれ配向されたままとなる。その結果として、その部分を透過する照明光の偏光面は90°回転する。同様に、液晶層30の他の部分では、対応する透明電極33の部分電極の電位が低いほど、その部分を透過する照明光の偏光面が回転する。したがって、パターン表示用液晶素子13から出射した照明光の偏光面の向きは、パターン500に応じて空間的に周期的に変化する。そのため、その照明光が偏光子14を透過することで、周期的に明るさが変化するパターンが照明光に付与されることになる。
同様に、パターン501が表示される場合、透明電極33全体の電位が同一となるように、コントローラ15は、透明電極33の各部分電極に印加される電位を調節する。一方、コントローラ15は、例えば、透明電極34の各部分電極のうち、パターンの明るさの最大値に相当する部分電極と透明電極33との間の電圧がV3となり、パターンの明るさの最小値に相当する部分電極と透明電極33との間の電圧がV4(ただしV3<V4)となるように、透明電極34の各部分電極に印加される電位を調節する。さらに、透明電極34に印加される最高電位が透明電極33の電位よりも所定のオフセット電圧だけ低くなるように、コントローラ15は、透明電極33と透明電極34に印加される電位を制御する。
この場合も、パターンの明るさの最大値に相当する部分電極に対応する位置にある液晶層30の部分では、例えば、液晶分子37は、その長軸方向が光軸OAと略平行になるように傾く。その結果、その部分を透過する照明光の偏光面は回転しない。一方、パターンの明るさの最小値に相当する部分電極に対応する位置にある液晶層30の部分では、液晶分子37はねじれ配向されたままとなる。その結果として、その部分を透過する照明光の偏光面は90°回転する。同様に、液晶層30の他の部分では、対応する透明電極33の部分電極の電位が低いほど、その部分を透過する照明光の偏光面が回転する。したがって、パターン表示用液晶素子13から出射した照明光の偏光面の向きは、パターン501に応じて空間的に周期的に変化する。そのため、その照明光が偏光子14を透過することで、周期的に明るさが変化するパターンが照明光に付与されることになる。
パターン表示用液晶素子13を透過した照明光は偏光子14に入射する。
偏光子14は、パターン表示用液晶素子13を透過し、偏光子14に入射した照明光のうち、所定の透過軸に沿った偏光面を持つ偏光成分のみを透過させる。本実施形態では、偏光子14の透過軸が偏光子11の透過軸と平行となるように、偏光子14は配置される。
上記のように、パターン表示用液晶素子13を透過した照明光は、パターン表示用液晶素子13に表示された周期的なパターンに応じて、偏光面が空間的、かつ、周期的に変化する。したがって、その照明光が偏光子14を透過することで、その照明光は、パターン表示用液晶素子13に表示されたパターンに応じた、周期的に明るさが変化するパターンを持つ。
偏光子14から出射した照明光は、投影レンズ4により、例えば、位相シフト法による測定対象物上に照明光が持つパターンが結像するように照射される。
コントローラ15は、例えば、一つまたは複数のプロセッサと、不揮発性の半導体メモリ及び揮発性の半導体メモリと、位相反転用液晶素子12及びパターン表示用液晶素子13を駆動するための駆動回路とを有する。そしてコントローラ15は、位相反転用液晶素子12の液晶層20及びパターン表示用液晶素子13の液晶層30のそれぞれに印加する電圧を制御することで、光変調素子1を透過した照明光に付与される空間的なパターンの位相シフト量を変化させる。本実施形態では、コントローラ15は、光変調素子1を透過した照明光に付与される空間的なパターンの位相シフト量を、0、π/2、π、3π/2の何れかとする。
図6は、コントローラ15による各液晶素子の駆動状態と、得られるパターンとの関係の一例を示す図である。
位相反転用液晶素子12に対して、入射側の透明電極23の電位が出射側の透明電極24の電位よりも所定電圧だけ高くなるよう、電圧が印加された場合(以下、説明の便宜上、オフ状態と呼ぶ)、位相反転用液晶素子12を透過した照明光の偏光面は、矢印601で示されるように、偏光子11の透過軸と平行となる。このとき、パターン表示用液晶素子13に位相シフト量0のパターン611が表示されるようにパターン表示用液晶素子13の液晶層30に電圧が印加されると(以下、説明の便宜上、シフト無し状態と呼ぶ)、上記のように、パターン611において明るさが最大となる位置では照明光の偏光面は回転せず、パターン611において明るさが最小となる位置では照明光の偏光面は90°回転する。そのため、偏光子14を透過した照明光に付与されるパターン621は、パターン611と同様となる。
一方、パターン表示用液晶素子13がシフト無し状態で、位相反転用液晶素子12に対して、入射側の透明電極23の電位が出射側の透明電極24の電位よりも所定電圧だけ低くなるよう、電圧が印加された場合(以下、説明の便宜上、オン状態と呼ぶ)、位相反転用液晶素子12を透過した照明光の偏光面は、矢印602で示されるように、偏光子11の透過軸と直交するようになる。したがってこの場合、照明光がパターン表示用液晶素子13を透過することにより、パターン611において明るさが最大となる位置では照明光の偏光面は偏光子14の透過軸と直交し、パターン611において明るさが最小となる位置では照明光の偏光面は偏光子14の透過軸と平行となる。その結果、偏光子14を透過した照明光に付与されるパターン622は、パターン611を反転させたもの、すなわち、位相シフト量πを持つパターンとなる。
また、パターン表示用液晶素子13に位相シフト量π/2のパターン612が表示されるようにパターン表示用液晶素子13の液晶層30に電圧が印加された状態(以下、説明の便宜上、シフト有り状態と呼ぶ)で、かつ、位相反転用液晶素子12がオフ状態となる場合、偏光子14を透過した照明光に付与されるパターン623は、パターン612と同様に、位相シフト量π/2を持つパターンとなる。一方、パターン表示用液晶素子13がシフト有り状態で、かつ、位相反転用液晶素子12がオン状態となる場合、偏光子14を透過した照明光に付与されるパターン624は、パターン612を反転させたもの、すなわち、位相シフト量3π/2を持つパターンとなる。
図7は、コントローラ15による、各液晶素子の駆動状態の時間変化の一例を示すタイミングチャートである。図7において、横軸は時間を表す。駆動波形701は、位相反転用液晶素子12の駆動状態の時間変化を表す。駆動波形702は、パターン表示用液晶素子13の駆動状態の時間変化を表す。
本実施形態では、コントローラ15は、駆動波形701に示されるように、第1の時間周期T1にて、位相反転用液晶素子12のオン状態とオフ状態とを切り替えるよう、位相反転用液晶素子12の液晶層20に印加する電圧を制御する。また、駆動波形702に示されるように、コントローラ15は、パターン表示用液晶素子13のシフト無し状態(位相シフト量0)とシフト有り状態(位相シフト量π/2)とを、第1の時間周期T1の2倍の第2の時間周期T2で切り替えるよう、パターン表示用液晶素子13の液晶層30に印加する電圧を制御する。例えば、パターン表示用液晶素子13だけが用いられる場合、第2の時間周期T2の2倍の期間Pで、位相シフト量が0、π/2、π、3π/2となる4種類のパターンを持つ照明光が生成されるが、位相反転用液晶素子12とパターン表示用液晶素子13とを用いることで、時間周期T2で、位相シフト量が0、π/2、π、3π/2となる4種類のパターンを持つ照明光が生成される。したがって、その4種類のパターンを生成するために要する時間は、パターン表示用液晶素子だけが使用される場合の所要時間の半分となる。
以上説明してきたように、この光変調素子は、パターン表示用液晶素子に所定の時間周期で位相シフト量が0のパターンとπ/2のパターンとを交互に切り替えて表示させつつ、位相反転用液晶素子のオンとオフとを所定の時間周期の半分の時間周期で切り替えることで、パターン表示用液晶素子のパターン表示の切替周期で4種類のパターンにて照明光を変調することができる。そのため、この光変調素子は、照明光の空間的なパターンの位相の切り替えに要する時間を短縮することができる。さらに、液晶素子を高速で駆動するために、液晶層に印加する電圧を高くすると、透明電極のパターンにより生じる横電界または透明電極の有無による段差などの影響で液晶分子の配向異常が生じ易くなる。しかし、この光変調素子では、応答速度を速くすることが要求される位相反転用液晶素子については、透明電極は照明光が透過する領域全体に対して一様に設けられればよく、かつ、透明電極がパターンを持つパターン表示用液晶素子の駆動速度は相対的に低くてよい。そのため、この光変調素子は、液晶分子の配向異常を抑制できる。
なお、変形例によれば、偏光子11の透過軸と偏光子14の透過軸とが互いに直交するように偏光子11及び偏光子14が配置されてもよい。この変形例では、上記の実施形態において得られる照明光のパターンに対して反転したパターンが得られる。すなわち、位相反転用液晶素子12がオフ状態で、かつ、パターン表示用液晶素子13がシフト無し状態のとき、偏光子14を透過した照明光に付与されるパターンは、パターン表示用液晶素子13に表示されたパターンを反転させたもの、すなわち、位相シフト量πを持つパターンとなる。また、位相反転用液晶素子12がオン状態で、かつ、パターン表示用液晶素子13がシフト無し状態のとき、偏光子14を透過した照明光に付与されるパターンは、パターン表示用液晶素子13に表示されたパターンそのもの、すなわち、位相シフト量0を持つパターンとなる。同様に、位相反転用液晶素子12がオフ状態で、かつ、パターン表示用液晶素子13がシフト有り状態のとき、偏光子14を透過した照明光に付与されるパターンは、パターン表示用液晶素子13に表示されたパターンを反転させたもの、すなわち、位相シフト量3π/2を持つパターンとなる。また、位相反転用液晶素子12がオン状態で、かつ、パターン表示用液晶素子13がシフト有り状態のとき、偏光子14を透過した照明光に付与されるパターンは、パターン表示用液晶素子13に表示されたパターンそのもの、すなわち、位相シフト量π/2を持つパターンとなる。
さらに、上記の実施形態では、偏光子11の透過軸の方向、すなわち、位相反転用液晶素子12に入射する照明光の偏光方向と、パターン表示用液晶素子13に表示される空間的に周期的なパターンの周期方向とは直交しているが、偏光子11の透過軸の方向と、空間的に周期的なパターンの周期方向の関係は任意であってよい。
また他の変形例によれば、コントローラ15は、位相反転用液晶素子12の駆動状態を切り替える時間周期T1と、パターン表示用液晶素子13の駆動状態を切り替える時間周期T2とを同一とすることもできる。
図8は、この変形例による、コントローラ15による、各液晶素子の駆動状態の時間変化の一例を示すタイミングチャートである。図8において、横軸は時間を表す。駆動波形801は、位相反転用液晶素子12の駆動状態の時間変化を表す。駆動波形802は、パターン表示用液晶素子13の駆動状態の時間変化を表す。この変形例では、時間周期T1と時間周期T2とは同一の長さを有する。ただし、コントローラ15は、位相反転用液晶素子12の駆動状態を切り替えるタイミングを、パターン表示用液晶素子13の駆動状態を切り替えるタイミングに対してずらすように(図8の例では、時間周期T2の半分だけずれる)、各液晶素子の液晶層に印加する電圧を制御する。この変形例でも、時間周期T2の間に、位相反転用液晶素子12の各状態とパターン表示用液晶素子13の各状態の組み合わせが得られる。したがって、この変形例でも、周期T2で、位相シフト量が0、π/2、π、3π/2となる、4種類のパターンを持つ照明光が生成される。
この変形例によれば、位相反転用液晶素子12の駆動状態の切り替え周期をパターン表示用液晶素子13の駆動状態の切り替え周期と同じとなるよう、長くすることができる。
またこの変形例によれば、位相反転用液晶素子12に要求される応答速度をパターン表示用液晶素子13に要求される応答速度と同じとすることができるので、位相反転用液晶素子12として、FLCよりも応答速度が低い液晶素子が用いられてもよい。例えば、位相反転用液晶素子12は、偏光子11の透過軸に対して45°をなす方向に沿って液晶分子がホモジニアス配向される液晶素子でもよい。この場合には、コントローラ15が、位相反転用液晶素子12の液晶層に電圧を印加しなければ、位相反転用液晶素子12は半波長板として動作し、照明光が位相反転用液晶素子12を透過することで照明光の偏光方向は90°回転する。一方、コントローラ15が、位相反転用液晶素子12の液晶層に電圧を印加することで、液晶分子の長軸方向が光軸OAと略平行となる。そのため、照明光が位相反転用液晶素子12を透過しても、照明光の偏光方向は変化しない。したがって、コントローラ15は、上記の実施形態と同様に位相反転用液晶素子12に印加する電圧を制御すればよい。
さらに、図8に示される駆動波形を用いて位相反転用液晶素子12とパターン表示用液晶素子13とが制御され、かつ、位相反転用液晶素子12として、偏光子11の透過軸に対して45°をなす方向に沿って液晶分子がホモジニアス配向される液晶素子が用いられる場合、位相反転用液晶素子12とパターン表示用液晶素子13の配置順序は入れ替えられてもよい。
図9は、この変形例に係る光変調素子の概略構成図である。この変形例による光変調素子1’も、光変調素子1’が組み込まれる光学系の光軸OAに沿って、偏光子11と、位相反転用液晶素子12と、パターン表示用液晶素子13と、偏光子14と、コントローラ15とを有する。ただし図9では、コントローラ15の図示は省略される。また光変調素子1’は、図1に示される光変調素子1と比較して、位相反転用液晶素子12とパターン表示用液晶素子13の配置順序が相違する。すなわち、光変調素子1’では、光軸OAに沿って、光源側から、パターン表示用液晶素子13、位相反転用液晶素子12の順序で配置される。
この変形例による光変調素子1’も、コントローラ15が図8に示される駆動波形を用いて位相反転用液晶素子12とパターン表示用液晶素子13とを制御することで、光変調素子1’は、周期T2で、位相シフト量が0、π/2、π、3π/2となる、4種類のパターンを持つ照明光を生成することができる。
さらに他の変形例によれば、パターン表示用液晶素子13も、FLCを用いた液晶素子であってもよい。ただしこの場合には、パターン表示用液晶素子13に表示されるパターンは2階調のパターンとなる。
図10は、パターン表示用液晶素子13の透明電極を構成する複数の部分電極の配置と表示されるパターンの関係の一例を示す図である。なお、図10では、位相反転用液晶素子12側から見た部分電極の配置が示される。この変形例でも、パターン表示用液晶素子13の透明電極33、34は、それぞれ、表示されるパターンの周期方向に沿って複数の部分電極に分割される。この例では、表示されるパターンは格子状のパターンであるため、パターンの周期方向に沿った各部分電極の幅は同一である。またこの例では、透明電極33、34の何れについても、表示されるパターンの1周期あたり、4個の部分電極が設けられるとともに、光軸OAに直交する面において、透明電極33と透明電極34とで、部分電極間の境界の位置は同一である。そしてこの例では、各部分電極は、互いに絶縁される。さらに、図10では、液晶層30のうち、オフ状態となる部分に相当する部分電極は黒で表され、オン状態となる部分に相当する部分電極は白で表される。
例えば、パターン表示用液晶素子13が位相シフト量0のパターン1001を表示する場合、1周期分の4個の部分電極33−1〜33−4のうち、左側から二つの部分電極33−1、33−2に対応する液晶層30の部分がオフ状態となり、右側から二つの部分電極33−3、33−4に対応する液晶層30の部分がオン状態となるように、コントローラ15は、電圧を印加すればよい。そしてパターン表示用液晶素子13が位相シフト量0のパターン1001を表示している状態で、位相反転用液晶素子12がオフ状態であれば、照明光の偏光面はパターン1001に従って変調され、その結果として、照明光にパターン1001が付与される。一方、パターン表示用液晶素子13が位相シフト量0のパターン1001を表示している状態で、位相反転用液晶素子12がオン状態であれば、照明光の偏光面は、パターン1001を反転したパターン1003(すなわち、位相シフト量π)に従って変調され、その結果として、照明光にパターン1003が付与される。
また、パターン表示用液晶素子13が位相シフト量π/2のパターン1002を表示する場合、1周期分の4個の部分電極33−1〜33−4のうち、中央の二つの部分電極33−2、33−3に対応する液晶層30の部分がオフ状態となり、両端の二つの部分電極33−1、33−4に対応する液晶層30の部分がオン状態となるように、コントローラ15は、電圧を印加すればよい。そしてパターン表示用液晶素子13が位相シフト量π/2のパターン1002を表示している状態で、位相反転用液晶素子12がオフ状態であれば、照明光の偏光面はパターン1002に従って変調され、その結果として、照明光にパターン1002が付与される。一方、パターン表示用液晶素子13が位相シフト量π/2のパターン1002を表示している状態で、位相反転用液晶素子12がオン状態であれば、照明光の偏光面は、パターン1002を反転したパターン1004(すなわち、位相シフト量3π/2)に従って変調され、その結果として、照明光にパターン1004が付与される。
なお、パターン1001及びパターン1002を比較して分かるように、部分電極33−2に対応する液晶層30の部分は常にオフ状態となり、かつ、部分電極33−4に対応する液晶層30の部分は常にオン状態となるように電圧が印加されればよい。したがって、コントローラ15は、照明光に付与するパターンの位相シフト量に応じて、4個の部分電極のうちの二つのみ、印加する電圧を変更すればよい。したがって、コントローラ15と透明電極33とを接続する信号線は、パターンの一周期において2本有ればよい。そのため、この変形例によれば、パターン表示用液晶素子13の構造を簡単化できる。
さらに他の変形例によれば、パターン表示用液晶素子13がTN液晶を用いた液晶素子である場合、透明電極33と透明電極34の一方は、表示するパターンの周期方向に沿って互いに同じ幅を持つ複数の部分電極に分割され、かつ、部分電極同士は互いに絶縁されてもよい。そして透明電極33と透明電極34の他方は、照明光が透過する領域全体を覆うように形成されていてもよい。この場合、コントローラ15は、表示する周期的なパターン及びそのパターンの位相シフト量に応じて、透明電極ごとに、対向する透明電極との間に印加する電圧を制御すればよい。したがって、この変形例によれば、表示するパターンの形状及び位相シフト量の自由度が向上する。例えば、パターン表示用液晶素子13は、正弦波状のパターンを表示する代わりに、ステップ状のパターンまたはノコギリ波状のパターンを表示することもできる。また、パターン表示用液晶素子13は、位相シフト量0とπ/2のパターンだけでなく、例えば、位相シフト量0、π/3、2π/3のパターンを表示させることができる。そして位相シフト量のそれぞれごとに、その位相シフト量のパターンが表示されている間に、位相反転用液晶素子12のオン状態とオフ状態とを切り替えることで、その位相シフト量のパターンが付与された照明光が得られるだけでなく、そのパターンに対して反転したパターンが付与された照明光が得られる。
さらに他の変形例によれば、透明電極33と透明電極34の一方は、2次元格子状に複数の部分電極に分割され、かつ、部分電極同士は互いに絶縁されてもよい。そして透明電極33と透明電極34の他方は、照明光が透過する領域全体を覆うように形成されていてもよい。この場合も、コントローラ15は、表示する周期的なパターン、そのパターンの周期方向及びそのパターンの位相シフト量に応じて、透明電極ごとに、対向する透明電極との間に印加する電圧を制御すればよい。この変形例によれば、表示するパターンの周期方向も任意に変更することができる。
さらに他の変形例によれば、パターン表示用液晶素子13は、反射型の液晶素子により構成されてもよい。この場合には、例えば、位相反転用液晶素子12とパターン表示用液晶素子13の間にビームスプリッタ(図示せず)が配置される。そして偏光子14は、光軸OAと直交し、かつ、パターン表示用液晶素子13及びビームスプリッタにより反射された照明光が通る経路上に配置されればよい。
さらに他の変形例によれば、位相反転用液晶素子12の代わりに、電気光学結晶素子が用いられてもよい。この場合、電気光学結晶素子は、LiNbO3結晶といった電気光学結晶と、電気光学結晶を光軸に沿って挟むように設けられる二つの透明電極を有する。そしてコントローラ15は、二つの透明電極間に印加する電圧を制御することで、透過する光の偏光面を90°回転させるか否かを制御してもよい。
上記の実施形態または変形例による光変調素子は、位相シフト法を用いた計測装置以外にも用いられてもよい。例えば、上記の実施形態または変形例による光変調素子は、グレーティング干渉計の回折格子として利用されてもよい。あるいは、上記の実施形態または変形例による光変調素子は、構造化照明顕微鏡の照明光学系に用いられてもよい。
図11は、上記の実施形態または変形例による光変調素子を用いたグレーティング干渉計の概略構成図である。グレーティング干渉計100は、光源101と、光変調素子102と、二つのミラー103−1、103−2と、ビームスプリッタ104と、検出器105と、コントローラ106とを有する。
光源101は、例えば、ガスレーザ、固体レーザまたは半導体レーザを有する。そして光源101から発した、直線偏光である照明光は、光変調素子102へ入射する。
光変調素子102は、上記の実施形態または変形例による光変調素子であり、コントローラ106からの制御に従って、所定の方向に沿って周期的なパターン(例えば、正弦波状のパターン)を表示させることで、照明光を回折させる。また光変調素子102は、コントローラ106からの制御に従って、パターンの位相シフト量を変化させる(すなわち、パターンの位置を周期方向に沿ってシフトする)。これにより、+1次の回折光と−1次の回折光間にパターンの位相シフト量に応じた光波の位相シフトが生じる。
ミラー103−1は、光変調素子102による+1次の回折光をビームスプリッタ104へ向けて反射するように配置される。同様に、ミラー103−2は、光変調素子102による−1次の回折光を測定対象物110へ入射させ、ビームスプリッタ104へ向けて反射するように配置される。ビームスプリッタ104は、+1次の回折光を検出器105へ向けて反射し、−1次の回折光を検出器105へ向けて透過させる。
検出器105は、例えば、フォトダイオード(PhotoDiode, PD)あるいは光電子増倍管(PhotoMultiplier Tube, PMT)といった光検出素子を用い、+1次の回折光と−1次の回折光との間で生じる干渉縞に応じた光強度分布を検出する。そして検出器105は、その光強度分布をコントローラ106へ向けて出力する。
コントローラ106は、例えば、上記の実施形態または変形例による光変調素子のコントローラと同様の構成を有し、光変調素子102を制御する。またコントローラ106は、検出器105から受信した干渉縞の光強度分布を解析することで、測定対象物110の屈折率変化などの光学特性を測定する。
以上のように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
1、1’ 光変調素子
2 照明光学系
3 コリメータ
4 投影レンズ
5 光源
11、14 偏光子
12 位相反転用液晶素子
13 パターン表示用液晶素子
15 コントローラ
20、30 液晶層
21、22、31、32 透明基板
23、24、33、34 透明電極
35、36 配向膜
25 FLC分子
37 液晶分子
26、38 シール部材
33−1〜33−n 部分電極
100 グレーティング干渉計
101 光源
102 光変調素子
103−1、103−2 ミラー
104 ビームスプリッタ
105 検出器
106 コントローラ

Claims (7)

  1. 第1の液晶層を有し、前記第1の液晶層に印加される電圧に応じて、前記第1の液晶層を透過する第1の偏光方向に沿った偏光面を持つ直線偏光である光の偏光面を90°回転させるか否かを切り替える第1の液晶素子と、
    第2の液晶層を有し、前記第2の液晶層を透過する、前記第1の液晶素子から出射した前記光の偏光面を所定の周期方向に沿って所定の周期を持つ空間的なパターンにおける位置に応じた回転量だけ回転させ、かつ、前記第2の液晶層に印加される電圧に応じて、前記パターンの位相をずらす第2の液晶素子と、
    透過軸が前記第1の偏光方向と平行または直交するように配置され、前記第2の液晶素子から出射した前記光のうちの前記透過軸と平行な成分を透過させる偏光子と、
    を有する光変調素子。
  2. 前記第1の液晶素子の前記第1の液晶層に印加する電圧と、前記第2の液晶素子の前記第2の液晶層に印加する電圧とを制御するコントローラをさらに有し、
    前記コントローラは、前記第1の液晶素子の前記第1の液晶層に印加する電圧を第1の時間周期で変化させ、かつ、前記第2の液晶素子の前記第2の液晶層に印加する電圧を前記第1の時間周期の2倍の第2の時間周期で変化させる、
    請求項1に記載の光変調素子。
  3. 前記第1の液晶素子の前記第1の液晶層に印加する電圧と、前記第2の液晶素子の前記第2の液晶層に印加する電圧とを制御するコントローラをさらに有し、
    前記コントローラは、前記第1の液晶素子の前記第1の液晶層に印加する電圧、及び、前記第2の液晶素子の前記第2の液晶層に印加する電圧を第1の時間周期で変化させ、かつ、前記第1の液晶素子の前記第1の液晶層に印加する電圧を変化させるタイミングと、前記第2の液晶素子の前記第2の液晶層に印加する電圧を変化させるタイミングとをずらす、請求項1に記載の光変調素子。
  4. 前記第1の液晶素子の応答速度は前記第2の液晶素子の応答速度よりも速い、請求項2または3に記載の光変調素子。
  5. 前記第2の液晶素子は、前記第2の液晶層を挟んで互いに対向する第1の透明電極及び第2の透明電極をさらに有し、
    前記第1の透明電極は、前記周期方向に沿って複数の第1の部分電極に分割され、
    前記コントローラは、前記複数の第1の部分電極のそれぞれと前記第2の透明電極間に印加される電圧を前記パターンの位相シフト量が第1の所定値となるように制御する、請求項2〜4の何れか一項に記載の光変調素子。
  6. 前記第2の透明電極は、前記周期方向に沿って複数の第2の部分電極に分割され、
    前記コントローラは、前記複数の第2の部分電極のそれぞれと前記第1の透明電極間に印加される電圧を前記パターンの位相シフト量が第2の所定値となるように制御する、請求項5に記載の光変調素子。
  7. 第1の液晶層を有し、前記第1の液晶層を透過する、第1の偏光方向に沿った偏光面を持つ直線偏光である光の偏光面を所定の周期方向に沿って所定の周期を持つ空間的なパターンにおける位置に応じた回転量だけ回転させ、かつ、前記第1の液晶層に印加される電圧に応じて、前記パターンの位相をずらす第1の液晶素子と、
    第2の液晶層を有し、前記第2の液晶層に印加される電圧に応じて、前記第2の液晶層を透過する、前記第1の液晶素子から出射した前記光の偏光面を90°回転させるか否かを切り替える第2の液晶素子と、
    透過軸が前記第1の偏光方向と平行または直交するように配置され、前記第2の液晶素子から出射した前記光のうちの前記透過軸と平行な成分を透過させる偏光子と、
    を有する光変調素子。
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