以下、本発明の光導波路の製造方法について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<光導波路の製造方法>
まず、本発明の光導波路の製造方法の実施形態について説明する。
図1、2は、それぞれ本発明の光導波路の製造方法の実施形態を説明するための図である。なお、以下の説明では、図1、2の上方を「上」、下方を「下」という。
本実施形態に係る光導波路の製造方法は、光透過性を有するマスク付き基材7を用意する工程と、マスク付き基材7の上面側(一方の面側)に下側クラッド層11を形成する工程と、下側クラッド層11の上面側(マスク付き基材7側とは反対側)にコア形成層130を形成する工程と、下面側からコア形成層130に活性放射線を照射し、コア形成層130にコア部14および側面クラッド部15を形成しコア層13を得る工程と、コア層13の上面側に上側クラッド層12を形成する工程と、を有する。
[1]マスク付き基材7を用意する工程
まず、図1(a)に示すように、光透過性を有する基材71とマスク72とを備えるマスク付き基材7を用意する。
基材71は、光透過性を有するものであれば、特に限定されない。基材71の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような成分をベースポリマーとした各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラスのような各種ガラス材料等が挙げられる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料やポリマーアロイであってもよい。
このうち、基材71の構成材料はガラス材料であるのが好ましい。これにより、基材71は、優れた光透過性と十分な剛性とを両立するものとなる。このため、基材71の上面側にコア形成層130を形成しようとするとき、平面性の高いコア形成層130を形成することができるので、マスク72が投影されたとき、マスク72のパターンと投影領域のパターンとの一致性が高くなる。加えて、コア層13中に形成されるコア部14および側面クラッド部15の形状精度を特に高めることができる。
また、基材71の形状は、例えば平板状とされる。これにより、厚さ方向の光透過率が高くなるとともに、光の直進性も高くなる。このため、基材71側から後述するコア形成層130に活性放射線を照射するとき、照射パターンを精度よく制御することができる。
基材71の厚さは、基材71の構成材料に応じて適宜設定されるが、0.01〜5mm程度であるのが好ましく、0.05〜3mm程度であるのがより好ましく、0.10〜1mm程度であるのがさらに好ましい。このような範囲内に厚さを設定すれば、優れた光透過性と十分な剛性とを両立する基材71が得られる。
基材71の光透過率は、できるだけ高いことが好ましいが、波長550nmにおける全光線透過率が85%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。これにより、後述する工程において、短時間で効率よくコア部14および側面クラッド部15を形成することができる。
また、基材71は、後述する下側クラッド層11よりも曲げ弾性率が大きいものが好ましく用いられる。このような基材71は、基材71の厚さを薄くしたとしても、マスク付き基材7の平坦性を高めることができるので、マスク72のパターンの精度も高めることができる。これにより、形成しようとするコア部14のパターンの精度も高めることができ、他の光学部品との光結合効率が高い光導波路1を効率よく製造することができる。
なお、基材71の曲げ弾性率は、下側クラッド層11の曲げ弾性率の110%以上であるのが好ましく、120〜1000%程度であるのがより好ましい。
また、曲げ弾性率は、例えばJIS K 7171:2016に規定されたプラスチックの曲げ特性の求め方に準じて求められた25℃における測定値とされる。
マスク72は、基材71の上面のうち、コア形成層130に形成するコア部14や側面クラッド部15のパターンに応じた領域に設けられている。具体的には、コア部14を形成しようとする領域にマスク72を設けるようにしてもよく、側面クラッド部15を形成しようとする領域にマスク72を設けるようにしてもよい。
このようなマスク72は、光遮蔽性を有するものであれば、特に限定されない。具体的には、クロムマスク、エマルジョンマスク、フィルムマスクのような各種フォトマスク、メタルマスク、シリコンマスクのような各種ステンシルマスク等が挙げられる。
また、マスク72は、基材71と別体であってもよく、基材71の上面に成膜されたものであってもよい。このうち、マスク72は基材71の上面に成膜されたものであるのが好ましい。このようなマスク72は、精度よく比較的簡単に形成可能なため、寸法精度の高いコア部14を備える光導波路1を低コストで製造することに寄与する。
成膜法により形成されるマスク72の構成材料としては、光遮蔽性を有する材料であれば特に限定されないが、例えば、クロムやクロム合金、ニッケルやニッケル合金のような金属材料、酸化クロム、酸化ニッケルのような酸化物材料の他、各種窒化物材料、各種炭化物材料等が挙げられる。
このうち、マスク72は金属材料を含むことが好ましい。これにより、薄くても光遮蔽性の高いマスク72が得られるので、より薄型化が図られた光導波路1を製造することができる。また、高い光遮蔽性に伴ってマスク72の視認性が良好になるため、マスク72を後述するようにアライメントマークとして利用する際、その視認性が高くなる。
また、マスク72の厚さは、マスク72の構成材料に応じて適宜設定されるが、20〜2000nm程度であるのが好ましく、50〜500nm程度であるのがより好ましい。マスク72の厚さを前記範囲内に設定することにより、マスク72の光遮蔽性を十分に確保しつつ、マスク72の凹凸によるコア層13への影響を最小限に留めることができる。
なお、マスク72の成膜方法は、特に限定されず、例えば気相成膜法、液相成膜法、めっき法等が挙げられる。
[2]下側クラッド層11を形成する工程
次に、図1(b)に示すように、マスク付き基材7の上面に下側クラッド層11を形成する。
下側クラッド層11の形成は、例えばフィルムを貼り付ける方法、原料液を塗布する方法等により行うことができる。このうち、原料液を塗布する方法が好ましく用いられる。この方法では、マスク72を覆うように原料液を塗布することによって、マスク72の厚さの影響が下側クラッド層11の上面に及んでしまうのを防ぐことができる。その結果、後述する工程において形成されるコア形成層130の平坦化が図られ、コア部14の寸法精度をより高めることができる。
塗布方法は、特に限定されず、例えば、ドクターブレード法、スピンコート法、ディッピング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、ダイコート法、インクジェット法等の方法が挙げられる。
また、このような方法で形成された液状被膜を乾燥させる方法も、特に限定されないが、例えば、液状被膜を加熱したり、減圧下に置いたり、あるいは乾燥ガスを吹き付けたりする方法が用いられる。
その後、必要に応じて、乾燥膜を硬化させるプロセスを追加してもよい。
かかるプロセスは、例えば加熱処理であり、その条件は50〜230℃の温度で、1分〜3時間程度とされる。また、加熱処理は複数回に分けて行われてもよい。
下側クラッド層11の平均厚さは、特に限定されないが、2〜50μm程度であるのが好ましく、5〜40μm程度であるのがより好ましい。下側クラッド層11の平均厚さを前記範囲内に設定することにより、コア形成層130とマスク72との離間距離を十分に確保することができる。これにより、形成されるコア部14を伝搬する光がマスク72側に漏れ出る確率を十分に低下させることができ、伝搬効率の高い光導波路1の実現に寄与する。併せて、マスク72の凹凸の影響がコア層13に及んでしまうのを抑制することができる。また、下側クラッド層11が厚くなり過ぎるのを防止して、活性放射線の直進性の低下を防止するとともに光導波路1の厚膜化を防止することができる。
なお、下側クラッド層11の平均厚さとは、下側クラッド層11の厚さを任意の10点以上で測定したとき、それらの測定値の平均値のことをいう。
また、マスク72の構成材料によっても異なるが、下側クラッド層11の平均厚さは、マスク72の平均厚さの2〜200倍程度であるのが好ましく、3〜150倍程度であるのがより好ましい。これにより、下側クラッド層11の平坦化が十分に図られ、マスク72の凹凸の影響がコア層13に及んでしまうのを抑制することができる。また、下側クラッド層11が厚くなり過ぎるのを防止して、活性放射線の直進性の低下を防止し、寸法精度の高いコア部14を形成することができる。
また、マスク72とコア部14との離間距離を考慮すると、マスク72は、下側クラッド層11の下面側(コア層13側とは反対側)に設けられているのが好ましい。これにより、マスク72を他の部材に設けた後、下側クラッド層11に密着させる(下側クラッド層11を形成する)という製造プロセスをとることができる。このため、マスク72の寸法精度が特に良好になるとともに、マスク72の製造が容易になる。また、コア部14とマスク72との間にクラッド層を設けることで、コア部14との屈折率差の制御が容易となる。
また、マスク72は、基材71の少なくとも一方の面(本実施形態では基材71の上面)に設けられている。これにより、マスク72の形状保持性が良好になる。すなわち、比較的剛性が高い基材71の表面にマスク72が設けられることにより、マスク72のパターンが保持され易くなる。このため、マスク72の寸法精度が高くなり、コア部14の位置や形状をより正確に把握し易くなる。
なお、マスク72は、基材71の上面ではなく、下面に設けられていてもよく、内部に設けられていてもよい。
[3]コア形成層130を形成する工程
次に、図1(c)に示すように、下側クラッド層11の上面側(マスク付き基材7側とは反対側)にコア形成層130を形成する。
コア形成層130は、光や紫外線のような活性放射線が照射されることによって屈折率が変化する特性(屈折率変調能)を有する。このため、コア形成層130のうち、特定の領域に活性放射線が照射されると、照射領域と非照射領域との間に屈折率差が形成される。その結果、高屈折率側の領域がコア部14となり、低屈折率側の領域が側面クラッド部15となる。
屈折率変調の原理には、例えばモノマーディフュージョン、フォトブリーチング、光異性化、光二量化等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせた原理が用いられる。
このうち、モノマーディフュージョンでは、ポリマー中にこのポリマーと屈折率の異なる光重合性モノマーが分散してなる材料で構成された層に対して部分的に光を照射し、光重合性モノマーの重合を生起させるとともに、それに伴って光重合性モノマーを移動、偏在させることにより、層内に屈折率の偏りを生じさせてコア部14および側面クラッド部15を形成する。
このようなモノマーディフュージョンを生じる材料としては、例えば、特開2010−090328号公報に記載された感光性樹脂組成物等が挙げられる。
また、フォトブリーチングでは、光の照射によって材料中の分子構造が切断され、離脱性基が主鎖から離脱する。これにより材料の屈折率を変化させ、コア部14および側面クラッド部15を形成する。
フォトブリーチングを生じる材料としては、例えば、特開2009−145867号公報に記載されたコアフィルム材料等が挙げられる。
また、光異性化および光二量化では、それぞれ光の照射によって材料の光異性化または光二量化が生じる。これにより材料の屈折率を変化させ、コア部14および側面クラッド部15を形成する。
光異性化を生じる材料としては、例えば、特開2005−164650号公報に記載されたノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
光二量化を生じる材料としては、活性放射線によって二量化可能な官能基を有する化合物が挙げられる。すなわち、コア形成層130は、活性放射線の照射によって二量化可能な官能基を有する化合物を含んでいてもよい。このような官能基としては、例えば、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基のようなN=N基、マレイミド基、インデン基、クマリン基、シンナメート基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ−ル基、スチルバゾリウム基、シンナモイル基、シンナミル基、シンナミリデン基、ヘミチオインジゴ基、カルコン基、アントリル基のようなC=C基、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾン構造のようなC=N基、ベンゾフェノン基、アントラキノン基等のようなC=O基、アリルエステル基のようなエステル基、アシルフェノール構造等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1つが用いられる。
かかる化合物を含む組成物としては、例えば、特開2011−105791号公報に記載された感光性樹脂組成物等が挙げられる。
また、フォトブリーチング、光異性化および光二量化といった原理による屈折率変調の場合、照射する光の照射量(放射線の照射量)に応じて屈折率の変化量を調整することができる。照射位置に応じて光の照射量を徐々に変化させることにより、任意の屈折率分布、例えば滑らかな屈折率変化を伴う屈折率分布を形成することができる。これにより、グレーデッドインデックス型の屈折率分布を容易に形成することができる。
照射位置に応じて光の照射量を徐々に変化させる方法としては、例えば、グレイトーンマスクやハーフトーンマスクといった多階調マスクを用いる方法、光強度に分布がある光ビームを走査する方法、領域ごとの照射時間または照射強度を変化させつつ照射する方法等が挙げられる。
また、コア形成層130の形成は、例えばフィルムを貼り付ける方法、原料液を塗布する方法等により行うことができる。なお、塗布方法は、前述した方法から適宜選択される。
[4]コア形成層130に活性放射線Lを照射する工程
次に、図2(a)に示すように、下面側からコア形成層130に活性放射線Lを照射する。これにより、コア形成層130にコア部14および側面クラッド部15を形成する。
下面側、すなわちマスク付き基材7越しに活性放射線Lを照射すると、マスク72を介してコア形成層130に活性放射線Lが照射されることとなる。このため、マスク72が設けられている領域では、活性放射線Lが遮蔽される一方、マスク72が設けられていない領域では、コア形成層130に活性放射線Lが到達する。
活性放射線Lは、前述した屈折率変調能においてコア形成層130が反応する放射線の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、可視光のような光、赤外線や紫外線のような電磁波等が挙げられる。
本実施形態では、照射領域の屈折率が低下する屈折率変調能を有するコア形成層130を例として説明する。すなわち、本実施形態に係るコア形成層130は、活性放射線Lの照射によって屈折率が低下する。したがって、図2(a)に示すように、マスク72はコア部14を形成しようとする領域に設けられる。そして、このようなマスク72を介して活性放射線Lが照射されると、照射領域では屈折率が低下して側面クラッド部15が形成される。また、マスク72と重なる領域は、非照射領域となるため、コア部14が形成されることとなる。これにより、後述するように、マスク72を、マスクとしての機能のみでなく、コア部14の位置や形状と一致したパターンを示すアライメントマークとして利用することができる。
なお、コア形成層130は、照射領域の屈折率が上昇する屈折率変調能を有するものであってもよい。その場合、マスク72は、側面クラッド部15を形成しようとする領域に設けられることとなる。
その後、必要に応じて、コア形成層130を硬化させるプロセスを追加してもよい。
かかるプロセスは、例えば加熱処理であり、その条件は50〜230℃の温度で、1分〜3時間程度とされる。また、加熱処理は複数回に分けて行われてもよい。
以上のようにしてコア部14および側面クラッド部15を含むコア層13が形成される(図2(b)参照)。
なお、このようにして形成されたコア部14および側面クラッド部15は、その構成材料のベースポリマーを互いに同じにすることが可能である。ベースポリマーが互いに同じとは、双方の構成材料において配合比が最も多いポリマーに含まれる主要な繰り返し単位の構造が互いに同じであることをいう。これにより、コア部14と側面クラッド部15との間で、熱膨張率や弾性率等の物性が互いに近似することとなる。その結果、光導波路1が置かれる環境が変化したり、光導波路1が折り曲げられたりした場合でも、コア部14が変形したり、コア部14における伝送効率が低下したり、コア部14と他の光学部品との光結合効率が低下したりするのを抑制することができる。また、コア層13の製造が容易になり、コア部14の寸法精度を高め易いという利点もある。
また、このようなコア部14および側面クラッド部15は、光照射によって同時に形成される。このため、コア部14と側面クラッド部15との界面に異物が付着したり、隙間ができたりすることが抑制される。その結果、コア部14と側面クラッド部15との界面に起因する伝搬損失の増大が抑制され、伝搬効率の高い光導波路1が得られる。
[5]上側クラッド層12を形成する工程
次に、コア層13の上面側に上側クラッド層12を形成する。
上側クラッド層12の形成は、例えばフィルムを貼り付ける方法、原料液を塗布する方法等により行うことができる。具体的には、下側クラッド層11の形成と同様にして行うことができる。
以上のようにして、下側クラッド層11、コア層13および上側クラッド層12を含む光導波路1が得られる(図2(c)参照)。
なお、上側クラッド層12は必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。その場合、本工程も省略することができる。
このような製造方法では、その原理上、マスク72のパターンが忠実に反映されたコア部14が形成されることとなる。換言すれば、マスク72のパターンは、コア部14のパターンと実質的に一致することとなる。このため、マスク72は、活性放射線の照射領域を制御するというマスク本来の機能に加え、コア部14の位置や形状を把握するためのマーク(アライメントマーク)にもなり得る。
なお、実質的に一致するとは、製造誤差程度のずれは許容されることを指す。
また、マスク72は光遮蔽性を有しているため、光導波路1内において高い視認性を有する。
すなわち、原則的には、光導波路1のうち、基材71、下側クラッド層11、コア層13および上側クラッド層12は、それぞれ比較的高い光透過性を有している。このため、コア部14を視認しようとしても、その光透過性によって、視認することが困難な場合がある。
これに対し、本実施形態に係る光導波路1がマスク72を備えていることにより、光透過性の高い背景の中に、光遮蔽性を有するマスク72が存在することとなる。このため、例えば光透過性の差に基づいてマスク72の視認性を特に高めることができる。
そして、マスク72の位置や形状が容易に把握されることによって、間接的に、コア部14の位置や形状を容易かつ正確に把握することができる。すなわち、マスク72は、コア部14に対して高い位置精度を有するものとなる。これは、コア部14が製造される際、マスク72の領域に対応して形成されるため、必然的にコア部14の位置や形状はマスク72の位置や形状に対応することとなる。
したがって、マスク72は、コア部14の位置を他の光学部品に対して合わせるためのアライメントマークとして利用可能なものとなる。すなわち、光導波路1は、アライメントマークに対して位置精度の高いコア部14を備えるものとなる。そして、マスク72をアライメントマークとして利用することにより、光導波路1と他の光学部品との位置合わせをより正確に行うことができるので、光導波路1と他の光学部品との光結合効率を容易に高めることができる。
この他、マスク72をアライメントマークとして利用することにより、光導波路1におけるコア部14の形状や位置を容易に認識することができるので、製品種類の判別やコネクター等の取り付け作業も容易かつ正確に行うことができる。
<光導波路の製造方法の変形例>
次に、実施形態に係る光導波路の製造方法の変形例について説明する。
図3は、図1、2に示す実施形態に係る光導波路の製造方法の変形例を説明するための図である。なお、以下の説明では、図3の上方を「上」、下方を「下」という。
以下、図3に基づいて変形例を説明するが、以下の説明では図1、2に示す実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
本変形例では、コア部14や側面クラッド部15の形成方法が異なる以外、図1、2に示す実施形態と同様である。
すなわち、本変形例に係る光導波路の製造方法は、光透過性を有するマスク付き基材7を用意する工程と、マスク付き基材7の上面側に下側クラッド層11を形成する工程と、下側クラッド層11の上面側にコア形成層130を形成する工程と、下面側からコア形成層130に活性放射線Lを照射し、不要部分を除去することによりコア部14を得る工程と、コア部14を覆うように側面クラッド部15および上側クラッド層12を形成する工程と、を有する。
[1]マスク付き基材7を用意する工程
まず、前記実施形態と同様にして、図1(a)に示すように、光透過性を有する基材71とマスク72とを備えるマスク付き基材7を用意する。
[2]下側クラッド層11を形成する工程
次に、前記実施形態と同様にして、図1(b)に示すように、マスク付き基材7の上面に下側クラッド層11を形成する。
[3]コア形成層130を形成する工程
次に、前記実施形態と同様にして、図1(c)に示すように、下側クラッド層11の上面側にコア形成層130を形成する。
[4]コア形成層130に活性放射線Lを照射する工程
次に、図3(a)に示すように、下面側からコア形成層130に活性放射線Lを照射する。これにより、照射領域に対し現像液に対する溶解性が付与される。
次に、コア形成層130に現像液を接触させる。これにより、コア形成層130のうち、照射領域に対応する部分(不要部分)が溶解する。その結果、非照射領域に対応する部分が残存する。その後、必要に応じて、残存した部分に加熱処理を施す。
以上のようにしてコア部14(コア層13)が得られる(図3(b)参照)。なお、図3の例では、コア部14を形成しようとする部分のコア形成層130を残存させ、コア部14(コア層13)を得ている。
なお、コア形成層130は、上記のようなポジ型の感光性を有するものであってもよいが、ネガ型の感光性を有するものであってもよい。その場合、その感光性に応じてマスク72のパターンを反転させるようにすればよい。
[5]コア部14を覆うように側面クラッド部15および上側クラッド層12を形成する工程
次に、コア部14を覆うように、側面クラッド部15と上側クラッド層12とが一体化した部位を形成する(図3(c)参照)。
かかる部位の形成は、例えばフィルムを貼り付ける方法、原料液を塗布する方法等により行うことができるが、特に原料液を塗布する方法により行うのが好ましい。これにより、上側クラッド層12の上面の平坦化が図られ、取り扱い易い形状の光導波路1が得られる。
なお、かかる部位の形成は、下側クラッド層11の形成と同様にして行うことができる。
以上のような変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
<光導波路>
次に、本発明の光導波路の製造方法により製造される光導波路の一例について説明する。
図4は、本発明の光導波路の製造方法により製造される光導波路の一例を示す平面図である。また、図5は、図4に示す光導波路の断面図である。
図4に示す光導波路1は、長尺状でかつシート状をなしている。この光導波路1では、長手方向の一端と他端との間で光信号を伝送することができる。
このような光導波路1は、図5に示すように、下側クラッド層11、コア層13および上側クラッド層12が下方からこの順で積層された積層体と、マスク付き基材7と、を備えている。なお、本明細書では、図5におけるコア層13の互いに表裏の関係にある2つの主面のうち、下面を「下面103」といい、上面を「上面104」ともいう。
コア層13には、図4に示すように、並列に設けられた8本の長尺状のコア部14と、各コア部14の側面に隣接する側面クラッド部15と、が含まれている。コア部14は、クラッド部(側面クラッド部15、下側クラッド層11および上側クラッド層12)で囲まれており、コア部14に光を閉じ込めて伝搬させることができる。すなわち、これらのコア部14が、光導波路1において光信号を伝送する伝送路として機能する。
一方、コア層13の上面104のうち、左端面101近傍の部分(以下、この部分を「左上面105」という。)には、上側クラッド層12が積層されていなくてもよい。この場合、左上面105は露出することとなり、他の光学部品に対してコア部14を近接させることができる。これにより、左上面105において、例えば、コア部14と光インターポーザー2との間でアディアバティック結合を形成させることができる。このアディアバティック結合とは、染み出し光(エバネッセント光)を介して光学的に接続されている結合のことをいう。
コア層13の横断面における屈折率分布は、いかなる分布であってもよい。この屈折率分布は、屈折率が不連続的に変化したいわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよいが、少なくともコア部14の幅方向の屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であるのが好ましい。これにより、多少の製造バラツキがあっても光結合損失に影響し難くなるため、製造条件によらずコア部14の光伝送効率が向上する。
また、光導波路1やその中に形成されているコア部14は、それぞれ平面視で直線状であっても曲線状であってもよい。さらに、光導波路1やその中に形成されているコア部14は、それぞれ途中で分岐または交差していてもよい。
また、コア部14の横断面形状は特に限定されず、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよいが、四角形(矩形状)であることにより、コア部14を形成し易い利点がある。
一方、コア部14の導波モードは、マルチモードであってもよいが、シングルモードであるのが好ましい。これにより、エバネッセント光を利用したアディアバティック結合にて、高効率で結合できる。また、導波モードがシングルモードである光学部品に対して良好な光結合効率での光接続が可能な光導波路1が得られる。
コア部14の幅および高さ(コア層13の厚さ)は、特に限定されないが、それぞれ1〜15μm程度であるのが好ましく、2〜12μm程度であるのがより好ましく、3〜10μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、伝送効率の低下を抑えることができる。また、コア部14の幅および高さを前記範囲内に設定することにより、コア部14の導波モードをシングルモードにし易くなる。
また、図4に示すように複数のコア部14が並列しているとき、コア部14同士の間に位置する側面クラッド部15の幅は、特に限定されないものの、0.5〜250μm程度であるのが好ましく、1〜200μm程度であるのがより好ましく、2〜125μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、コア部14同士の間で光信号が混在(クロストーク)するのを防止しつつコア部14の狭ピッチ化を図ることができる。
また、光導波路1中に形成されるコア部14の数は、特に限定されないが、1〜100本程度であるのが好ましい。
また、必要に応じて、光導波路1が多層化されていてもよい。具体的には、図5に示す上側クラッド層12の上に、さらにコア層とクラッド層とを交互に重ねることによって多層化することができる。
上述したようなコア層13の構成材料(主材料)としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような成分をベースポリマーとした各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのような各種ガラス材料等が挙げられる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料やポリマーアロイであってもよい。
また、下側クラッド層11および上側クラッド層12の構成材料としては、例えば、前述したコア層13の構成材料と同様の材料を用いることができるが、特に(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
なお、光導波路1は、樹脂材料で構成されているのが好ましい。これにより、光導波路1は、安価で、かつ、可撓性および軽量性に富んだものとなり、取り扱いや実装作業の容易化が図られる。
また、光導波路1は、上側クラッド層12の上面に積層されるカバー層(図示せず)を備えていてもよい。
カバー層の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂材料、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのような各種ガラス材料等が挙げられる。
カバー層の平均厚さは、特に限定されないが、5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜400μm程度であるのがより好ましい。これにより、カバー層は、適度な剛性を有するものとなるため、コア層13を確実に支持するとともに、外力や外部環境からコア層13および上側クラッド層12を確実に保護することができる。
なお、カバー層は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
また、マスク付き基材7と下側クラッド層11との間、および、カバー層と上側クラッド層12との間には、それぞれ、必要に応じて任意の層が介挿されていてもよい。
一方、コア層13の上面104に積層されている上側クラッド層12は、必ずしも設けられる必要はなく、省略されてもよい。しかしながら、上側クラッド層12が設けられることによって、例えば光導波路1の端面が光ファイバーと接続されるとき、光ファイバーとの結合効率が向上するとともに、コア部14を外力や外部環境から保護することができる。よって、光導波路1の信頼性をより高めることができる。
また、図5に示す光導波路1では、前述したように、コア層13の上面104のうち、左上面105には上側クラッド層12が積層されていない。すなわち、図5に示す光導波路1では、上側クラッド層12の左端面121が、コア層13の左端面101よりも右側に後退している。これにより、左上面105に他の光学部品を配置するとき、上側クラッド層12と光学部品との干渉が避けられるとともに、コア層13が露出することとなる。このため、光導波路1と光学部品とを配置し易くなり、左上面105以外では上側クラッド層12によってコア部14を確実に保護しつつ、光導波路1と光学部品との接続性を高めることができる。
なお、上側クラッド層12は、コア層13の上面104の全体を覆うように積層されていてもよい。
また、コア層13の上面104が露出することによって、コア部14も露出するため、コア部14と光学部品との距離を近づけることができる。これにより、両者の間での光結合効率をより高めることができる。
このような光導波路1は、前述したようにマスク付き基材7を備えている。このため、マスク72は、コア部14の位置を他の光学部品に対して合わせるためのアライメントマークとして利用可能なものとなる。その結果、光導波路1は、他の光学部品との位置合わせをより正確に行い得るものとなり、他の光学部品との光結合効率を高め得るものとなる。
<光導波路の変形例1>
次に、図4に示す光導波路の変形例1について説明する。
図6は、図4に示す光導波路の変形例1を示す平面図である。また、図7は、図6に示す光導波路の右端面を示す図である。なお、図6、7では、それぞれ光導波路の一部のみを図示している。
以下、変形例1について説明するが、以下の説明では図4に示す光導波路と異なる事項を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図6に示す光導波路1が備えるマスク付き基材7は、平面視でコア部14と重なる領域に設けられた前述のマスク72に加え、それ以外の領域に設けられたマスク73をさらに備えている。
具体的には、図6に示すマスク73は、光導波路1のうち、コア部14の一端が露出している右端面102に設けられている。より具体的には、図6に示す光導波路1は、平面視で長方形をなしているが、右側に位置する短辺の両端にマスク73が設けられている。これにより、コア部14の光入出射面が露出している右端面102、すなわち、図7に示す右端面に、2つのマスク73、73が露出している。その結果、マスク73は、例えば、コア部14の両端のいずれか一方のみが光入射に適した仕様になっている場合、あるいは、光出射に適した仕様になっている場合、その一方を容易に識別するための目印となり得る。すなわち、マスク73をアライメントマークとして利用することができる。このため、光結合効率の高い接続を容易に実現する光導波路1が得られる。
また、本変形例では、図6に示すように、コア層13の上面104を平面視した場合においてマスク73を視認することができる一方、図7に示すように、光導波路1の右端面102を平面視した場合においてもマスク73を視認することができる。このため、マスク73を視認するための自由度が高く、光導波路1と他の光学部品との接続作業をより容易に行うことができる。
なお、マスク73の個数は、特に限定されない。例えば、コア部14が複数本並列している場合には、それに応じてマスク73が増設されてもよいし、増設されなくてもよい。
また、マスク73の形状も、特に限定されない。図6に示すマスク73は、四角形をなしているが、円形であってもよく、多角形であってもよく、その他の形状であってもよい。
以上のような変形例1においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
<光導波路の変形例2>
次に、図4に示す光導波路の変形例2について説明する。
図8は、図4に示す光導波路の変形例2を示す平面図である。なお、図8では、光導波路の一部のみを図示している。
以下、変形例2について説明するが、以下の説明では前記変形例1と異なる事項を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図8に示す光導波路1が備えるマスク付き基材7は、マスク73の位置と形状が異なる以外、図6に示す光導波路1と同様である。
図8に示すマスク73は、コア部14の長手方向の中間点付近に設けられている。なお、マスク73の位置は、特に限定されず、これ以外の位置であってもよい。
一方、図8に示すマスク73の形状は、円環状をなしている。円環状のマスクは、それが画像認識される際、外縁のみならず、内縁についても、エッジ座標として認識させることができる。このため、より高精度な位置座標の取得が可能になり、この位置座標を利用して光導波路1と他の光学部品とをより高精度に接続することができる。すなわち、マスク73をアライメントマークとして利用することができる。
なお、マスク73の形状は、特に限定されず、図8に示す円環状以外の形状であってもよい。
以上のような変形例2においても、前記変形例1と同様の効果が得られる。
<光導波路接続体>
次に、図1、2に示す光導波路と光インターポーザーとを接続して得られる光導波路接続体の一例について説明する。
図9は、図1、2に示す光導波路と光インターポーザーとを接続して得られる光導波路接続体の一例を示す斜視図であり、図10は、図9に示す光導波路接続体と光ファイバーとを接続する様子を示す斜視図であり、図11は、図9に示す光導波路接続体の断面図であり、図12は、図11に示す光導波路接続体の部分拡大図である。また、図13は、図1、2に示す光導波路と光インターポーザーとを接続する様子を示す断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図11、12の上方を「上」、下方を「下」として説明する。
図9に示す光導波路接続体10は、光導波路1と、光導波路1の右端部に設けられた光コネクター5と、光導波路1の接続対象である光インターポーザー2と、実装基板3と、を有している。
また、図9に示す光導波路1は、図10に示すように、光コネクター91を伴う光ファイバー9と接続されるようになっている。すなわち、光導波路1の右端面102は、光信号を入出射させるための光入出射面であり、光コネクター5と光コネクター91とを互いに締結することにより、光ファイバー9の光入出射面と光学的に結合される。
一方、光インターポーザー2は、インターポーザー基板21と、導光部22と、導電部23と、バンプ24と、半導体素子25と、受発光素子26と、を備えている。
そして、光導波路1のコア層13の上面104のうち、左端面101近傍の部分(以下、この部分を「左上面105」という。)には、上側クラッド層12が積層されていない(図12参照)。そして、この左上面105上には、図12に示すように、光インターポーザー2が接するように設けられている。これにより、左上面105において、コア部14と光インターポーザー2との間でアディアバティック結合が形成される。このアディアバティック結合は、染み出し光(エバネッセント光)を介して光学的に接続されていることをいう。その結果、光導波路1と光インターポーザー2との間で光信号を相互に伝送させることができる。
このような光導波路接続体10を製造するには、図13に示すように、光導波路1のコア部14の幅の中心と光インターポーザー2の導光部22の幅の中心とが一致するように双方を配置する。これにより、光結合効率を高めることができる。この際、光導波路1では、マスク72によってコア部14の視認性が間接的に高められているため、光導波路1の位置決めを行い易い。その結果、位置合わせの精度が高くなり、光結合効率を高めることができる。
(光コネクター)
光コネクター5は、図11に示すように、コネクター本体51と、コネクター本体51に形成された貫通孔50と、を備えている。
光導波路1は、接着剤等を介して貫通孔50の内壁面に接着されている。これにより、光導波路1の端部に対して光コネクター5が固定される。この光コネクター5は、例えば図10に示すような光コネクター91と係合するように構成されている。これにより、光コネクター5が装着されている光導波路1と光コネクター91が装着されている光ファイバー9とを光学的に接続することができる。
コネクター本体51の外形状は、特に限定されず、図9〜11に示すような直方体に準じた形状であっても、それ以外の形状であってもよい。
なお、光コネクター5は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。その場合、光コネクター5を介することなく光ファイバー9に接続されていてもよく、図示しない受発光素子や光インターポーザーに接続されていてもよい。
(実装基板)
実装基板3は、光導波路1、光コネクター5および光インターポーザー2を搭載するための基板である。このような実装基板3を用いることにより、光導波路1や光インターポーザー2を安定して保持することができる。それとともに、実装基板3には、LSI(Large-Scale Integration)、IC(Integrated Circuit)、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の能動部品、コンデンサー、コイル、抵抗、ダイオード等の受動部品のような電子部品、発光ダイオード、レーザーダイオード、受光センサーのような光部品を混載することができる。これにより、より高機能な光導波路接続体10を構築することができる。
実装基板3は、絶縁基板31と導電層32(電気配線)とを備えている。
このうち、絶縁基板31としては、絶縁性とハンドリングに適した剛性とを有する基板であれば、いかなるものでも用いられる。具体例としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、各種ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられる。この他、紙、ガラス布、樹脂フィルム等を基材とし、この基材に、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シアネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂材料を含浸させたもの、具体的には、ガラス布・エポキシ銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板等のコンポジット銅張積層板に使用される絶縁性基板の他、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板等の耐熱・熱可塑性の有機系リジッド基板や、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板等のセラミックス系リジッド基板等が挙げられる。
また、導電層32は、絶縁基板31の内部や表面に設けられる。導電層32の構成材料としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、錫、金、銀のような金属単体、またはこれらの金属元素を含む合金等が挙げられる。
なお、実装基板3は、必要に応じて設けられればよく、例えば光導波路1と光インターポーザー2との接続体のみで十分な剛性を有する場合には省略されてもよい。
(光インターポーザー)
光インターポーザー2は、インターポーザー基板21と、導光部22と、導電部23と、バンプ24と、半導体素子25と、受発光素子26と、を備えている。
インターポーザー基板21は、導光部22と導電部23とを混載し得る基板であれば、いかなる基板であってもよい。例えば、前述した絶縁基板31として挙げた基板やガラス基板、セラミック基板、化合物半導体基板等であってもよいが、好ましくはシリコン基板(シリコンウエハー)やSOI(Silicon On Insulator)基板、炭化ケイ素基板が用いられる。
導光部22は、受発光素子26と光導波路1とを光学的に接続する。すなわち、導光部22は、受発光素子26の近傍から光導波路1に当接する領域まで延在するように設けられる。
導光部22の幅は、特に限定されないが、光導波路1のコア部14の幅より狭いのが好ましい。具体的には0.1〜3μm程度であるのが好ましく、0.2〜2μm程度であるのがより好ましい。このような導光部22は、高密度に形成可能であるため、光インターポーザー2の小型化に寄与する。また、光導波路1との間で良好な光結合効率を実現する。
なお、導光部22には、必要に応じて、光信号を分配する分岐部、合波する合流部、共振器等が含まれていてもよい。
また、導光部22は、その幅が徐々に変化している部分が含まれていてもよい。例えば、導光部22の長手方向の一端に向かうにつれて幅が徐々に減少している部分(テーパー形状部分)が含まれていてもよい。このようなテーパー形状部分を含むことにより、導光部22とコア部14との光結合効率をより高めることができる。
また、導光部22は、前述したように、その幅の中心とコア部14の幅の中心とが一致するように配置されるのが好ましい。このように配置されることで、平面視において双方が重なる面積を最大限に確保し易くなる。これにより、光導波路1と光インターポーザー2との光結合効率をより高めることができる。
なお、導光部22の幅の中心とコア部14の幅の中心とが一致しているとは、位置ずれがコア部14の幅の20%以下である状態を指す。
さらに、導光部22の光軸およびコア部14の光軸は、互いに平行であるのが好ましい。このように配置されることで、平面視において双方が重なる面積を最大限に確保し易くなる。これにより、光導波路1と光インターポーザー2との光結合効率をより高めることができる。
なお、導光部22の光軸とコア部14の光軸とが互いに平行であるとは、角度ずれが1°以下である状態を指す。
導電部23は、半導体素子25や受発光素子26とバンプ24とを電気的に接続する。すなわち、導電部23は、半導体素子25や受発光素子26の近傍からバンプ24まで延在するように設けられる。導電部23の構成材料は、前述した導電層32の構成材料と同様のものから選択可能である。
バンプ24は、インターポーザー基板21の下面に設けられ、光インターポーザー2と実装基板3とを電気的および機械的に接続する。バンプ24としては、例えば金バンプやはんだバンプ等が挙げられる。
半導体素子25としては、例えば、ドライバーIC、トランスインピーダンスアンプ(TIA)、リミッティングアンプ(LA)、またはこれらの素子を複合したコンビネーションIC、LSI、CPU、RAM、ROM、センサー素子等のような能動素子が挙げられる。
また、光インターポーザー2には、その他に、コンデンサー、コイル、抵抗、ダイオード、圧電素子等のような受動素子が搭載されていてもよい。
なお、半導体素子25は、好ましくはベアチップとして搭載される。これにより、光インターポーザー2のさらなる小型化を図ることができる。
受発光素子26としては、例えば、発光ダイオード、レーザーダイオードのような発光素子、フォトダイオードのような受光素子、またはこれらを複合した複合素子等が挙げられる。
なお、半導体素子25や受発光素子26の実装方法は、特に限定されず、図示したフェイスダウンでのフリップチップ実装以外の実装方法であってもよい。
また、半導体素子25および受発光素子26は、それぞれ個別の素子である必要はなく、両者が複合された複合素子であってもよい。
以上のような光インターポーザー2を備える光導波路接続体10は、例えば実装基板3に搭載されたLSI等の制御素子によって制御され、光信号を送信または受信する光トランシーバーとして機能する。すなわち、制御素子と光ファイバー9との間に介挿され、電気・光変換を担うことにより、例えばチップ間、ボード間、サーバー間の光通信の構築に寄与する。
<電子機器>
上述したような光導波路接続体10は、前述したように、光導波路1と光インターポーザー2とが高い光結合効率で接続され、信頼性の高いものである。したがって、光導波路接続体10を備えることにより、高品質の光通信を行い得る信頼性の高い電子機器が得られる。
かかる電子機器としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM(Wavelength Division Multiplex)装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類が挙げられる。これらの電子機器では、いずれも、例えばLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間で、大容量のデータを高速に伝送する必要がある。したがって、このような電子機器が光導波路接続体10を備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消され、その性能の飛躍的な向上が期待できる。
また、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
以上、本発明の光導波路の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前記実施形態には任意の工程が付加されていてもよい。