JP2019028047A - シンチレータパネルおよび放射線検出器 - Google Patents

シンチレータパネルおよび放射線検出器 Download PDF

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翼 濱野
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和樹 重田
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裕仁 内田
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Abstract

【課題】高い輝度と鮮鋭性を有し、ハンドリング性に優れたシンチレータパネルおよび放射線検出器を提供すること。【解決手段】支持体上に、蛍光体を含有するシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、前記支持体が、空隙率が5%以下である表面層と、空隙率が40〜80%である内部層との積層構造を有するシンチレータパネル。【選択図】図1

Description

本発明は、シンチレータパネルおよび放射線検出器に関する。
従来、医療現場において、フィルムを用いた放射線画像が広く用いられてきた。しかし、フィルムを用いた放射線画像はアナログ画像情報であるため、近年、コンピューテッドラジオグラフィ(computed radiography:CR)や平板放射線検出器(flat panel detector;以下、「FPD」)等のデジタル方式の放射線検出器が開発されている。
FPDにおいては、放射線を可視光に変換するために、シンチレータパネルが使用される。シンチレータパネルは、支持体上に、酸硫化ガドリニウム(以下、「GOS」)やヨウ化セシウム(以下、「CsI」)等の放射線蛍光体を含有するシンチレータ層を有し、照射された放射線に応じて、該蛍光体が可視光を発光して、その発光をTFTやCCDにより電気信号に変換することにより、放射線の情報をデジタル画像情報に変換する。ここで、シンチレータパネルの輝度向上のために照射する放射線のエネルギーを高めれば、蛍光体の発光強度も高まることとなる。しかしながら、一方で、被験者等の放射線による被爆量を低減するためには、照射する放射線のエネルギーを過度に高めることなく、蛍光体の発光光を高効率に利用することが求められる。
放射線を吸収することなく、かつ蛍光体層により変換された可視光の検出器への照射量を増加させる技術として、支持体と波長変換層と検出器とがこの順に積層された放射線画像検出器において、支持体が、多数の気泡を含有する有機物から形成され、無機物を含有しないものであり、波長変換層により変換された光を前記検出器に向けて反射するものである放射線画像検出器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−107198号公報
特許文献1に記載された技術は、支持体が一定の反射率を有するものの、蛍光体の発光光の一部は支持体内部に入り込み、空隙部分を介して光が広がることから、画像の鮮鋭性が低下する課題があった。また、光の広がりを抑えるために空隙部分を高めた支持体は、シンチレータ製造時や使用時におけるハンドリング時に、折れ・シワ・打痕がつきやすく、ハンドリング性に課題があった。
そこで、本発明は、高い輝度と鮮鋭性を有し、ハンドリング性に優れたシンチレータパネルおよび放射線検出器を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、主として以下の構成を有する。
支持体上に、蛍光体を含有するシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、前記支持体が、空隙率が5%以下である表面層と、空隙率が40〜80%である内部層との積層構造を有するシンチレータパネル。
本発明によれば、高い反射率と鮮鋭性を有し、ハンドリング性の高いシンチレータパネルおよび放射線検出器を提供することができる。本発明のシンチレータパネルおよび放射線検出器により、被験者等の放射線の被爆量を顕著に抑制することができる。
本発明の放射線検出器の構成の一例を模式的に表した断面図である。 本発明の隔壁を有する放射線検出器の構成の一例を模式的に表した断面図である。 本発明のシンチレータパネルに用いられる支持体の構成の一例を模式的に表した断面図である。 多層構成のシンチレータ層を有する本発明のシンチレータパネルの一例を模式的に表した断面図である。
本発明のシンチレータパネルは、支持体上に、蛍光体を含有するシンチレータ層を有する。以下、図面を用いて本発明のシンチレータパネルおよびそれを具備する放射線検出器の好ましい構成を説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
図1は、本発明の放射線検出器の構成の一例を、模式的に表した断面図である。放射線検出器1は、シンチレータパネル2、フォトダイオード基板3および電源部12からなる。シンチレータパネル2は、支持体4およびシンチレータ層8を有し、照射された放射線エネルギーを吸収して、波長が300〜800nmの範囲の電磁波、すなわち、可視光線を中心とする紫外〜赤外光に亘る光を発光する。
フォトダイオード基板3は、基板11上に、フォトダイオードとTFTとからなる画素が2次元状に形成された光電変換層および出力層10を有する。シンチレータパネル2の出光面と、フォトダイオード基板3の光電変換層および出力層10とは、隔膜層9を介して接着または密着されてなる。光電変換層に到達した蛍光体の発光光は、光電変換層および出力層10で光電変換され、出力される。
本発明のシンチレータパネルを構成する支持体は、空隙率が5%以下である表面層と、空隙率が40〜80%である内部層との積層構造を有する。内部層を2層以上有してもよい。内部層と表面層との積層構造を有することにより、画像の欠陥を抑制することができる。内部層の両面に表面層を有することが好ましい。表面層は、内部層の形態を保護し、支持体の強度を向上させる作用を有する。また、支持体を介した光拡散を抑制して鮮鋭性を向上させる作用を有する。表面層の空隙率が5%を超えると、支持体の強度が低下するため、シンチレータパネル製造工程において折れ・シワ・打痕などが発生し、画像の欠陥を生じやすく、ハンドリング性が低下する。また、支持体上にシンチレータ層や接着層を形成する場合、表面層から支持体内部へ塗布液が浸透しやすく、シンチレータパネルの製造安定性が低下する。表面層の空隙率は2%以下が好ましい。一方、内部層は、多数の空隙を含むことにより、支持体の材質と空隙の屈折率差やそれらの界面により、反射率を向上させ、輝度を向上させる作用を有する。すなわち、放射線から可視光に変換した発光光を、効率的に検出器側に送ることができる。内部層の空隙率が40%未満であると、輝度および鮮鋭性が低下する。内部層の空隙率は50%以上が好ましい。一方、内部層の空隙率が80%を超えると、内部層の強度が低下するため、支持体製造時において破れやシワが発生しやすく、ハンドリング性が低下する。また、熱収縮が大きくなることから、シンチレータパネルの反りが生じやすい。内部層の空隙率は70%以下が好ましく、65%以下がより好ましい。
ここで、表面層および内部層の空隙率とは、表面層および内部層の任意の断面における空隙部分の面積割合(%)を言う。表面層および内部層の空隙率は、表面層および内部層の断面をミクロトームやイオンミリングを用いて研磨した後に、走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、(株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)を用いて、倍率2000倍の条件で40μm×60μmの領域を観察し、観察領域に認められる空隙部分の表面層および内部層の断面積に占める面積割合を算出することにより求めることができる。
支持体を構成する表面層および内部層の材質としては、例えば、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネートなどの高い放射線透過性を有する樹脂や、これらと炭素繊維を含む炭素繊維強化樹脂などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。中でも、耐熱性や製膜安定性の観点から、ポリエステルを主成分とする白色支持体が好ましい。ここで、本発明における「主成分」とは、50質量%以上の成分を意味する。表面層と内部層の材質は、同じでも異なってもよい。
ポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸との縮重合物である。ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラメチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)などが挙げられる。
表面層と内部層を有する支持体全体の反射率は、450〜670nmのいずれの波長においても90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。ここで、支持体の反射率は、硫酸バリウム白板の反射率を100%としたときの相対反射率を言う。支持体の反射率は、分光測色計(例えば、コニカミノルタ(株)製「CM−2002」)のSCIモードにより測定することができる。
表面層と内部層を有する支持体全体の厚さは、シンチレータパネルの軽量化の観点から、2.0mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。一方、支持体の弾性力を向上させる観点から、支持体全体の厚さは0.05mm以上が好ましい。本発明における支持体全体の厚さは、支持体の断面をミクロトームを用いて研磨した後に、走査型電子顕微鏡(例えば、(株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)を用いて、表面層は倍率2000倍(視野:40μm×60μm)で、内部層は倍率250倍(視野:500μm×300μm)で各10箇所観察し、各層の平均厚みを測定して合計することにより算出することができる。
X線発生源から放射された放射線は、被写体を介した後、支持体を透過し、シンチレータ層において可視光に変換されるため、支持体は、高い放射線透過性を有することが好ましい。具体的には、支持体中に化合物周期表の第6周期以上の元素を含まないことが好ましく、第5周期以上の元素を含まないことがより好ましい。特に、第4周期以下で構成される元素を成分とする支持体は、高い放射線透過性を有するため、好適である。なお、本発明において、高周期元素を含まないとは、支持体中の高周期元素含有量が0.1質量%未満であることを言う。
支持体は、シンチレータパネルの軽量化と放射線透過性の観点から、体積比重が小さいことが好ましい。具体的には、表面層と内部層を有する支持体全体の体積比重は1.2g/cm以下が好ましく、0.9g/cm以下がより好ましく、0.7g/cm以下がさらに好ましい。一方、支持体製造時における破れやシワの発生をより抑制し、ハンドリング性をより向上させる観点から、支持体全体の体積比重は0.3g/cm以上が好ましい。
支持体を構成する表面層は、樹脂を主成分とすることが好ましく、主成分である樹脂とは屈折率の異なる粉末を含有してもよい。主成分の樹脂としては、ポリエステルが好ましい。また、粉末には、シンチレータパネルの輝度をより向上させる観点から、発光光を吸収しない材料を選択することが好ましい。粉末としては、有機粉末や無機粉末などが挙げられる。内部層を保護して支持体の強度をより向上させる観点や、主成分である樹脂との屈折率差の観点から、無機粉末が好ましい。無機粉末としては、例えば、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ガドリニウム、酸硫化ガドリニウム、高屈折率ガラスなどの高屈折率材料からなる粉末;フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなどの低屈折率材料からなる粉末などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、酸化チタン粉末が高屈折率の観点から特に好ましい。
表面層に含まれる粉末の屈折率と、主成分である樹脂の屈折率との差(Δn)は、表面層の反射率をより向上させて支持体における光拡散をより抑制し、鮮鋭性をより向上させる観点から、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、1.0以上がさらに好ましい。一方、樹脂および粉末の屈折率を適度に小さくして着色を抑制する観点から、屈折率差Δnは1.4以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。表面層に含まれる粉末と樹脂の屈折率は、ミクロトームやイオンミリングを用いて表面層の断面を出した後、SEM/EDX(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)等により粉末と樹脂のそれぞれの物質を同定し、該当する物質のバルクの屈折率から算出することができる。
なお、鮮鋭性は、MTF(Modulation Transfer Function;レンズ性能を評価する指標の一つで、空間周波数特性)と呼ばれる鮮鋭度を指標として評価することができる。MTFは、シンチレータパネルを具備する放射線検出器に、放射線を透過しない鉛板を置き、管電圧70kVpの放射線をシンチレータパネルの支持体側から照射して得られた画像を基に、エッジ法により測定することができる。
表面層に含まれる粉末の平均粒子径は、分散性を向上させる観点から、0.1μm以上が好ましい。一方、粉末の平均粒子径は、支持体における光拡散をより抑制し、鮮鋭性をより向上させる観点から、1.5μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。ここで、本発明における粉末の平均粒子径とは、表面層の断面をSEM観察した2次元画像から無作為に選択した100個の粒子の粒子径の数平均値を言う。ただし、粉末の粒子径とは、粉末の外縁と2点で交わる直線のうち、最長となるものの長さを言う。粉末の平均粒子径は、表面層の断面をミクロトームやイオンミリングを用いて研磨した後に、走査型電子顕微鏡(例えば、(株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)を用いて、倍率5000倍の条件で25μm×15μmの領域を観察し、観察領域に認められる粉末(粒子)から無作為に100個を選択して粒子径を測定し、その数平均値を算出することにより求めることができる。
表面層中の粉末の含有量は、支持体における光拡散をより抑制し、鮮鋭性をより向上させる観点から、主成分である樹脂の総量100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。一方、粉末の含有量は、支持体の割れにくさ、などのハンドリング性を向上させる観点から、主成分である樹脂の総量100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
表面層の厚みは、内部層を保護し、支持体の強度をより向上させる観点から、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、6μm以上がさらに好ましい。一方、可視光やX線の透過率をより向上させ、シンチレータパネルの輝度をより向上させる観点から、表面層の厚みは、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。なお、複数の表面層のうち、シンチレータ層側の表面層の厚みTs、その反対面側の表面層の厚みTbは、同じでも異なってもよい。ここで、表面層の厚みは、支持体の断面を、ミクロトームを用いて研磨した後に、走査型電子顕微鏡(例えば、(株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)を用いて、倍率2000倍(視野:40μm×60μm)で10箇所観察し、その平均値を算出することにより求めることができる。
表面層は、空隙を有しないことが好ましい。
支持体を構成する内部層は、空隙率が40〜80%である。内部層は、ポリエステルを主成分とすることが好ましく、表面層の主成分と類似の樹脂を選択することにより、表面層と内部層の密着力を向上させ、支持体の強度をより向上させることができる。また、線膨張性係数差による支持体の変形を抑制し、支持体の信頼性を向上させることができる。支持体の内部層における空隙の形状を保持するため、さらに有機樹脂を含む有機粒子を含有することが好ましい。
内部層の空隙の形状としては、球状、楕円状、多角形状などが挙げられる。例えば、支持体の主成分となる材質と、非相溶である有機樹脂界面の界面剥離により空隙を生じさせ、延伸・配向させることにより空隙を層状に形成させる場合、実質的に空隙の形状は楕円状が多数となる。内部層の厚み方向に対して垂直方向に延伸・配向されるため、空隙の形状は、内部層の厚み方向に長さが短く、延伸・配向方向に長さが長い形状となる。本発明において、空隙の短径をr1、空隙の長径をr2としたとき、シンチレータパネルの輝度を向上させる観点から、r2のr1に対する比(r2/r1)は、2以上が好ましい。一方、内部層における支持体に対して平行方向への発光の拡散をより抑制して鮮鋭性をより向上させる観点から、比(r2/r1)は5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3.5以下がさらに好ましい。また、反射率をより向上させて輝度をより向上させる観点から、空隙の短径r1は0.3μm以上が好ましい。一方、空隙の総数を増大させて反射率をより向上させ、輝度をより向上させる観点から、短径r1は3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.7μm以下がさらに好ましい。
内部層の任意の断面における空隙の個数は、1個/100μm以上が好ましく、界面反射により支持体の内部層内部に入り込んだ発光光をより効率よく取り出し、シンチレータパネルの輝度をより向上させることができる。また、取り出した光の拡散を抑制し、鮮鋭性をより向上させることができる。一方、内部層の任意の断面における空隙の個数は、50個/100μm以下が好ましく、発光光に対する光反射性をより向上させ、シンチレータパネルの輝度をより向上させることができる。
内部層に有機粒子を含有する場合、有機粒子は、内部層の主成分であるポリエステルに対して非相溶であり、分散性に優れることが好ましい。主成分に対して非相溶の有機粒子を含有することにより、溶融成型後の延伸工程において、主成分と有機粒子界面の界面剥離により空隙を生じさせる効果がある。有機粒子を構成する材質としては、例えば、ポリ−4−メチルペンテン−1、セルローストリアセテート、非晶性環状オレフィン、結晶性ポリオレフィン、これらの共重合体などの樹脂が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。中でも、ポリエステルとの臨界表面張力差が大きく、延伸・配向時に変形しくいことから、エチレンとビシクロアルケンの共重合体である非晶性環状オレフィンが好ましい。非晶性環状オレフィンとは、JIS K7121−1987に準じ、示差走査型熱量計を用いて測定したガラス転移温度が120℃以下で、結晶化および融解のピークが見られない環状オレフィンを言う。
有機粒子の形状としては、球状、楕円状、多角形状などが挙げられる。有機粒子界面において、内部層の主成分となる材質と、安定的かつ効率的に界面剥離を生じさせるためには、接触面積を抑えることが好ましいことから、球状が好ましい。なお、支持体製造時の延伸・配向工程の応力により支持体に対して平行方向に変形した楕円状となる場合がある。
有機粒子の平均粒子径は、空隙の短径r1を前述の所望の範囲に容易に調整する観点から、0.3μm以上が好ましい。一方、有機粒子の平均粒子径は、シンチレータパネルの輝度をより向上させる観点から、3.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましい。なお、有機粒子が延伸・配向工程の応力により楕円状となる場合、楕円の短径を平均粒子径とする。また、楕円の扁平率fは下記(式1)により定義され、有機粒子の短径Daと長径Dbから算出される扁平率fは0〜0.5が好ましい。
f=(Db−Da)/Db ・・・(式1)
ここで、本発明における有機粒子の平均粒子径は、内部層の断面をSEM観察した2次元画像から無作為に選択した100個以上の粒子の粒子径の数平均値を言う。ただし、粒子の粒子径とは、粒子の外縁と2点で交わる直線のうち、最長となるものの長さを言う。有機粒子の平均粒子径は、内部層の断面をミクロトームやイオンミリングを用いて研磨した後に、走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、(株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)により倍率2000倍の条件で40μm×60μmの領域5箇所観察し、観察領域に認められる有機粒子から無作為に20個を選択して粒子径を測定し、その数平均値を算出することにより求めることができる。
内部層の任意の断面における有機粒子の個数は、5個/100μm以上が好ましく、界面反射により支持体の内部層内部に入り込んだ発光光をより効率よく取り出し、シンチレータパネルの輝度をより向上させることができる。また、取り出した光の拡散を抑制し、鮮明性をより向上させることができる。一方、支持体の破れにくさ、というハンドリング性の観点から内部層の任意の断面における有機粒子の個数は、50個/100μm以下が好ましい。。ここで、本発明における有機粒子の個数は、内部層の断面をSEM観察し、倍率2000倍の条件で40μm×60μmの観察領域の2次元画像から、球状または楕円状である粒径0.3μmの有機粒子の個数を計数することにより算出することができる。
内部層中の有機粒子の含有量は、5〜30質量%が好ましい。内部層中の有機粒子の含有量が5質量%以上であると、反射率をより向上させ、輝度をより向上させることができる。有機粒子の含有量は15質量%以上がより好ましい。一方、有機粒子の含有量が30質量%以下であると、支持体の強度および有機粒子の内部層中における分散性を向上させることができる。有機粒子の含有量は25質量%以下がより好ましい。
内部層の厚みTcは、反射率をより向上させてシンチレータパネルの輝度をより向上させる観点から、70μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。一方、内部層の厚みTcは、内部層によるX線の吸収を抑制してシンチレータパネルの輝度をより向上させる観点から、500μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましい。本発明における内部層の厚さは、支持体の断面を、ミクロトームを用いて研磨した後に、走査型電子顕微鏡(例えば、(株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)を用いて、倍率250倍(視野:500μm×300μm)で10箇所観察し、その平均値を算出することにより求めることができる。
支持体の内部層の空隙は、溶融押出成型による支持体製造時に延伸・配向することにより、生産性よく安定的に形成することができる。内部層の空隙の個数や形状は、例えば、有機粒子の粒子径や充填個数、支持体製造時の延伸・配向条件などにより、所望の範囲に調整することができる。有機粒子の充填個数を増やすことによって内部層の空隙の個数を増やすことができる。また、支持体製造時の延伸倍率を増加させると空隙の長径r2/短径r1を大きくすることができる。
支持体は、シンチレータ層側の表面に接着層を有することが好ましく、シンチレータ層と支持体との密着性を向上させ、シンチレータパネルの信頼性を高めることができる。
接着層の材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。中でも、ポリエステルを主成分とすることが好ましい。ガラス転移温度が10〜80℃のポリエステルがより好ましい。例えば、支持体としてPETを用いる場合には、PETと類似の構造であるテレフタル酸やイソフタル酸などの残基を有する芳香族ポリエステルが好ましい。芳香族ポリエステルとしては、高分子量飽和共重合ポリエステルが好ましく、さらに非結晶性溶剤可溶型の高分子量飽和共重合ポリエステルが好ましい。非結晶性溶剤可溶型の高分子量飽和共重合ポリエステルとしては、例えば、日本合成化学(株)製の“ニチゴーポリエスター”(登録商標)の非結晶性溶剤可溶型を好適に用いることができる。
接着層には、主成分であるポリエステルと異なる屈折率を有する粉末を含有してもよい。粉末を含有することにより、支持体に対して平行方向への光拡散をより抑制することができる。ポリエステルと粉末の屈折率差Δnは0.2以上が好ましい。粉末として、接着層の主成分である樹脂との屈折率差の観点から、無機粉末が好ましい。無機粉末としては、前述の表面層における無機粉末として例示したものが挙げられる。高屈折率の観点から酸化チタン粉末が特に好ましい。
接着層の厚みは、シンチレータ層と支持体との密着性を向上させる観点から、0.03μm以上が好ましい。一方、接着層の厚みは、5.0μm以下が好ましい。
本発明のシンチレータパネルを構成するシンチレータ層は、蛍光体を含有する。さらにバインダー樹脂を含有することが好ましい。
蛍光体としては、例えば、放射線から可視光への変換効率が高い、タリウムをドープしたヨウ化セシウム(CsI:Tl)、テルビウムをドープした酸硫化ガドリニウム(GOS:Tb)などが好ましい。また、輝度をより向上させる観点から、蛍光体は金属化合物粒子で被覆されていることが好ましい。被覆率は5%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましい。金属化合物粒子が蛍光体の表面を完全に被覆(被覆率100%)していてもよい。
金属化合物粒子による蛍光体の被覆率は、シンチレータ層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM;例えば、(株)日立製作所製「S2400」)により観察した2次元画像から、無作為に20個の蛍光体粒子を選択し、それぞれについて周囲長を100分割し、蛍光体粒子表面から500nm以内の範囲に金属化合物が存在する領域の割合(%)を求め、その数平均値から算出することができる。なお、シンチレータ層の断面を観察する際には、例えば、機械研磨法、ミクロトーム法、CP法(Cross−section Polisher)、集束イオンビーム(FIB)加工法などにより研磨することが好ましい。
金属化合物としては、アルミニウム化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、ニオブ化合物が好ましい。より具体的には、例えば、アルミニウム、チタンまたはジルコニウムの酸化物、硫化物、水酸化物等が挙げられる。塗布膜および硬化膜の屈折率を所望の範囲に調整する観点から、ジルコニア、チタニアが好ましい。
金属化合物粒子の具体例としては、例えば、“オプトレイク”(登録商標)TR−502、TR−504、TR−520等の酸化スズ−酸化チタン複合粒子;“オプトレイク”(登録商標)TR−503、TR−527、TR−528、TR−529、TR−513等の酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子;“オプトレイク”(登録商標)TR−505等の酸化チタン粒子(以上、いずれも触媒化成工業(株)製);酸化ジルコニウム粒子((株)高純度化学研究所製);酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子(触媒化成工業(株)製);酸化スズ粒子((株)高純度化学研究所製)などが挙げられる。
金属化合物粒子は、グラフト化されていることが好ましく、シンチレータ層におけるクラックの発生を抑制することができる。また、シンチレータ層がバインダー樹脂を含有する場合には、バインダー樹脂への金属化合物粒子の分散性に優れるため、シンチレータ層の透明性が向上し、バインダー樹脂の屈折率と蛍光体との屈折率差を小さくすることができる。ここで、「金属化合物粒子がグラフト化されている」とは、粒子の表面に存在する水酸基等を介して、高分子化合物が金属化合物粒子表面に化学結合(グラフト)されている状態を言う。
金属化合物粒子をグラフト化する高分子化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、尿素樹脂、メラミン樹脂等の水溶性高分子化合物;ポリシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリn−ブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ乳酸等の非水溶性高分子化合物などが挙げられる。
金属化合物粒子のグラフト化は、例えば、金属化合物粒子、アルコキシシラン化合物、溶媒および酸触媒を混合することにより行うことができる。この場合、アルコキシシラン化合物を酸触媒により加水分解して得られるシラノール化合物を縮重合したポリシロキサンによって、金属化合物粒子がグラフト化されていると考えられる。
アルコキシシラン化合物としては、下記一般式(1)〜(3)で表されるアルコキシシラン化合物をそれぞれ含有することが好ましい。
Si(OR ・・・(1)
一般式(1)中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ナフチル基またはそれらの置換体を表し、Rはそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基を表す。RおよびRは、メチル基またはフェニル基が好ましい。
Si(OR ・・・(2)
一般式(2)中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ナフチル基またはそれらの置換体を表す。Rはそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基を表す。Rは、メチル基またはフェニル基が好ましい。
Si(OR ・・・(3)
一般式(3)中、Rはそれぞれ独立して、メチル基またはエチル基を表す。
一般式(1)で表される3官能性アルコキシシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが好ましい。
一般式(2)で表される2官能性アルコキシシラン化合物としては、ジメチルジアルコキシシラン、ジフェニルジアルコキシシラン、メチルフェニルジアルコキシシランが好ましい。
一般式(3)で表される4官能性アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
溶媒としては、例えば、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ベンジルアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、テルピネオール、ジアセトンアルコール、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。溶媒の量は、アルコキシシラン化合物100質量部に対して、80〜200質量部が好ましい。
酸触媒としては、蟻酸、酢酸またはリン酸の水溶液が好ましい。水溶液を構成する水は、イオン交換水が好ましい。水の量は、アルコキシシラン化合物1モルに対して、1.0〜4.0モルが好ましい。また、酸触媒の量(酸性化合物の水溶液の場合は、酸性化合物の量)は、アルコキシシラン化合物100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましい。
急激な加水分解を抑制する観点から、酸触媒を1〜180分間かけて添加することが好ましい。反応温度は40〜105℃が好ましく、反応時間は滴下終了後1〜180分間が好ましい。加水分解反応によりシラノール化合物を得た後、反応液をそのまま、50℃以上、溶媒の沸点以下で1〜100時間加熱し、縮重合反応させることが好ましい。なお、ポリシロキサンの重合度を上げるために、再加熱または塩基触媒の添加をしても構わない。
金属化合物粒子の表面がグラフト化されているか否かは、SEMまたは透過型電子顕微鏡(TEM)で金属化合物粒子の輪郭を観察することによって判断することができる。グラフト化されている場合は、金属化合物粒子の輪郭が不明瞭となるのに対し、グラフト化されていない場合は、金属化合物粒子の輪郭が明確であり、金属化合物粒子の粒子径に相当する大きさの粒子が明瞭に観察される。
グラフト化されている金属化合物粒子の屈折率は、蛍光体との屈折率差をより小さくして可視光の光散乱をより抑制する観点から、1.7以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。ここで、グラフト化されている金属化合物粒子の屈折率は、屈折率測定装置(例えば、プリズムカプラMODEL2010/M”;メトリコン社製)を用いて測定することができる。より具体的には、グラフト化されている金属化合物粒子の塗布膜を形成し、25℃における、塗布膜表面に対して垂直方向に照射した633nm(He−Neレーザー使用)の光の屈折率(TE)を測定することにより、グラフト化されている金属化合物粒子の屈折率を求めることができる。
グラフト化されている金属化合物粒子の平均粒子径は、1〜30nmが好ましい。ここで、グラフト化されている金属化合物粒子の平均粒子径は、シンチレータ層の断面をSEM観察した2次元画像から、無作為に200個の金属化合物粒子を選択し、それらの粒子径の数平均値を言う。各金属化合物粒子の粒子径とは、粒子の外縁と2点で交わる直線の内、最長となるものの長さを言う。
図4に示すように、平均粒子径が異なる多層構成のシンチレータ層の場合、支持体側のシンチレータ層の蛍光体平均粒子径Dbと、支持体と反対側のシンチレータ層の蛍光体平均粒子径Dtが、Db<Dtの関係を満たすことが好ましい。蛍光体の平均粒径が小さい方が光拡散をより抑制することができ、平均粒径が大きいほうが輝度をより向上させることができる。Db<Dtの関係を満たすことにより、光拡散をより抑制しつつ、輝度をより向上させることができる。
シンチレータ層に含まれる蛍光体の平均粒子径は、0.5〜30μmが好ましい。蛍光体の平均粒子径が0.5μm以上であると、放射線から可視光への変換効率が向上し、輝度をより向上させることができる。一方、蛍光体の平均粒子径が30μm以下であると、シンチレータ層表面の平滑性に優れ、画像への輝点の発生を抑制することができる。ここで、本発明における蛍光体の平均粒子径とは、シンチレータ層の断面をSEM観察した2次元画像から無作為に選択した100個の蛍光体の粒子径の数平均値を言う。ただし、蛍光体の粒子径とは、蛍光体の外縁と2点で交わる直線のうち、最長となるものの長さを言う。蛍光体の平均粒子径は、シンチレータ層の断面をミクロトームやイオンミリングを用いて研磨した後に、走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、(株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)を用いて、倍率2000倍の条件で40μm×60μmの領域を観察し、観察領域に認められる蛍光体から無作為に100個を選択して粒子径を測定し、その数平均値を算出することにより求めることができる。
バインダー樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴムまたはシリコーンゲル等のオルガノポリシロキサン硬化物(架橋物)を含む)、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、エチルセルロース樹脂などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
シンチレータ層の厚みTは、50〜1000μmが好ましい。シンチレータ層の厚みTが50μm以上であると、放射線を効率よく可視光に変換し、輝度をより向上させることができる。シンチレータ層の厚みTは80μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。一方、シンチレータ層の厚みTが1000μm以下であると、発光光を効率よく利用することができる。シンチレータ層の厚みTは350μm以下がより好ましく、230μm以下がさらに好ましい。ここで、シンチレータの厚みは、支持体の断面を、イオンミリングを用いて研磨した後に、走査型電子顕微鏡(例えば、(株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)を用いて、倍率250倍(視野:500μm×300μm)で10箇所観察し、各層の数平均厚みを算出することにより求めることができる。
平均粒子径が異なる多層構成のシンチレータ層の場合、支持体側のシンチレータ層の厚みTbと、支持体と反対側のシンチレータ層の厚みTtが、Tb<Ttの関係を満たすことが好ましい。
シンチレータ層の空隙率は、20〜60%であることが好ましい。空隙率が20%以上であると、輝度をより向上させることができる。一方、空隙率が60%以下であると、シンチレータ層内部の発光光の光拡散をより抑制し、鮮鋭性をより向上させることができる。ここで、シンチレータ層の空隙率とは、シンチレータ層の任意の断面における空隙部分の面積割合(%)を言う。シンチレータ層の空隙率は、シンチレータ層の断面をミクロトームやイオンミリングを用いて研磨した後に、SEMを用いて、倍率500倍の条件で200μm×150μmの領域を観察し、観察領域に認められる固形分部分(蛍光体、金属化合物およびバインダー樹脂等)と空隙部分を2階調に画像変換し、空隙部分のシンチレータ層の断面積に占める面積割合を算出することにより求めることができる。
シンチレータ層を形成する方法としては、例えば、支持体上に、蛍光体および必要に応じてバインダー樹脂を含有するペースト、すなわちシンチレータ層用ペーストを塗布する方法が挙げられる。シンチレータ層用ペーストの塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどが挙げられる。
シンチレータ層用ペーストは、有機溶媒を含有しても構わない。シンチレータ層用ペーストが有機バインダーを含有する場合、有機溶媒はその良溶媒であり、水素結合力が大きいことが好ましい。そのような有機溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テルピネオール、ベンジルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、ジヒドロターピネオール、γ−ブチロラクトン、ジヒドロターピニルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−メチルブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキシレングリコール、ブロモ安息香酸などが挙げられる。
シンチレータ層用ペーストは、その粘度を調整するため、さらに、増粘剤、可塑剤、沈降防止剤、消泡剤、分散剤などの各種添加剤を含有しても構わない。
本発明のシンチレータパネルは、シンチレータ層を区画する隔壁を有することが好ましい。隔壁により仕切られたセル(区画)と、格子状に配置された光電変換素子の画素の大きさおよびピッチを一致させることにより、蛍光体によって光が散乱されても、散乱光が隣のセルに到達することを防ぐことができる。これによって光散乱による画像のボケをより低減し、鮮鋭度をより向上させることができる。
次に本発明の放射線検出器について説明する。本発明の放射線検出器は、前述の本発明のシンチレータパネルと、受光センサー基板および画像出力回路を具備する。受光センサー基板は、シンチレータパネルの発光を検知する作用を奏する。
図2に、隔壁を有する放射線検出器の構成の一次を示す。シンチレータパネル2が隔壁5を有する場合、シンチレータ層8が隔壁5によって区画されたセル内に充填されていることになるため、シンチレータパネルのセルの大きさおよびピッチと、シンチレータパネルに対向するフォトダイオード基板3に配列された光電変換層の大きさおよびピッチとを一致させることにより、蛍光体によって光が散乱されても、その散乱光が隣のセルに到達することを抑制することができる。これによって光散乱による画像のボケが低減でき、より高精度の撮影が可能になる。また、必要に応じて、隔壁5の側面および支持体6の一部の表面に反射層7を有することにより、画質を調整することができる。
隔壁は、耐久性および耐熱性の観点から、ガラスを主成分とする材料により構成されることが好ましく、アルカリ金属酸化物を2〜20質量%含有する低融点ガラスを主成分とする材料により構成されることがより好ましい。かかる低融点ガラスを主成分とする材料は、適切な屈折率と軟化温度とを有し、細幅の隔壁を大面積に高精度に形成するために適している。ここで、低融点ガラスとは、軟化温度が700℃以下のガラスを言う。また、低融点ガラスを主成分とするとは、隔壁を構成する材料の50〜100質量%が低融点ガラス粉末であることを言う。
低融点ガラスの軟化温度は、示差熱分析装置(例えば、差動型示差熱天秤TG8120;(株)リガク製)を用いて得られるDTA曲線から、吸熱ピークにおける吸熱終了温度を接線法により外挿することにより算出することができる。より具体的には、アルミナ粉末を標準試料として、示差熱分析装置を用いて、室温から20℃/分の昇温速度で昇温したときの低融点ガラス粉末の標準資料との温度差を測定し、DTA曲線を得る。得られたDTA曲線より、吸熱ピークにおける吸熱終了温度を接線法により外挿して軟化点Tsを求めることにより、低融点ガラスの軟化温度を算出することができる。
低融点ガラスを主成分とする材料により隔壁を形成する方法としては、例えば、
(1)ガラス基板上に、低融点ガラス粉末と感光性有機成分とを含有する感光性ペーストを塗布し、感光性ペースト塗布膜を形成する塗布工程、
(2)得られた感光性ペースト塗布膜を所定の開口部を有するフォトマスクを介して露光する露光工程、
(3)露光後の感光性ペースト塗布膜の現像液に可溶な部分を溶解除去する現像工程、
(4)現像後の感光性ペースト塗布膜パターンを高温に加熱して有機成分を除去すると共に低融点ガラスを軟化および焼結させ、隔壁を形成する焼成工程、
(5)焼成後隔壁をガラス基板上から剥離させ、粘着剤が塗布された支持体上に接着する接着工程、
を備える方法などが挙げられる。なお、焼成工程における焼成温度は、500〜650℃が好ましい。
また、感光性ペーストの塗布工程において、ガラス基板の表面に剥離補助層を形成しておくことにより、後の剥離工程において基板から焼成後隔壁パターンを剥離することが容易となる。剥離補助層は、例えば、非焼結ペーストを塗布することにより得られる。ここで非焼結ペーストとは、焼成工程において焼結しない無機粉末(以下、「非焼結無機粉末」)を、無機成分中の主成分として含有するペーストを言う。
隔壁の表面に、波長550nmにおける光の反射率が90%以上の反射層が形成されていることが好ましい。反射層を形成することにより、蛍光体の発光光をフォトダイオード基板のフォトダイオードに効率的に導くことができ、輝度をより向上させることができる。隔壁の表面に反射率80%以上の反射層が形成されている場合には、蛍光体の発光光が隣のセルに到達する、いわゆるクロストークを抑制することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
まず、各実施例および比較例において用いた材料を以下に示す。
(シンチレータ層用ペーストの原料)
蛍光体1:GOS:Tb((株)日亜化学製;平均粒子径10μm)
蛍光体2:GOS:Tb((株)日亜化学製;平均粒子径4μm)
バインダー樹脂:KC−7000(共栄社化学(株)製;アクリルバインダー)
金属化合物粒子:酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子“オプトレイク”(登録商標)TR−527(触媒化成工業(株)製;平均粒子径15nm、屈折率2.50、酸化チタン粒子20質量%)
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)。
(調製例1)グラフト化金属化合物粒子
40gのメチルトリメトキシシラン、20gのフェニルトリメトキシシラン、20gのジメチルジメトキシシラン、20g(固形分)の金属化合物粒子および230gのPGMEAを反応容器に入れて撹拌しながら、1質量%リン酸水溶液30gを、反応温度が40℃を超えないように滴下した。滴下終了後、反応容器に蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して、加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、さらにバス温115℃で2時間加熱撹拌してから室温まで冷却し、ポリシロキサンでグラフト化されている金属化合物粒子(以下、グラフト化金属化合物粒子)を得た。
(調製例2〜4)シンチレータパネル層用ペーストの調製
表1に示す原料を、表1に示す調合比率となるように混合し、遊星式撹拌脱泡装置(“マゼルスター”(登録商標)KK−400;倉敷紡績(株)製)を用いて1000rpmで20分間撹拌脱泡して、シンチレータ層用ペースト1〜3を得た。
Figure 2019028047
(製造例1〜26)支持体の作製
支持体の内部層を構成する成分として、共重合化されたポリエステル樹脂と、共重合化されたポリエステル樹脂とは非相溶である樹脂からなる有機粒子との混合物からなる内部層用マスターペレットを使用した。また、支持体の表面層を構成する成分として、共重合化されたポリエステル樹脂に、表2〜3に示す添加物を所定量加えた表面層用マスターペレットを使用した。ただし、製造例18については、無機粒子を添加しなかった。
これらのペレットをそれぞれ280℃に加熱された2台の押出機に供給し、ダイにより、表2〜3に示す厚みのシート状に成形した。ただし、製造例23においては、内部層を形成しなかった。さらに、このシートを表面温度20℃の冷却ドラムにより冷却固化した未延伸フィルムを、90℃に加熱しながら長手方向に2.9倍延伸し、25℃のロール群により冷却した。続いて、支持体の両端をクリップで保持しながらテンターに導き、120℃に加熱された雰囲気中、長手に垂直な方向(幅方向)に3.7倍延伸した。その後、テンター内において190℃で熱固定を行い、室温まで冷却して、二軸延伸されたロール状支持体として巻き取った。
接着層を構成する成分として、テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール(25/25/25/25mol%)からなる共重合ポリエステル樹脂からなる塗液(接着層1)、前記樹脂に酸化チタン粒子(平均粒子径0.24μm)を15質量%加えた塗液(接着層2)を、それぞれ作製した。前記方法により得られたロール状支持体に、マイクログラビア版・キスコートにより接着層用の塗液を塗布し、温度100℃の条件で乾燥することにより、表2〜3に示す接着層を形成した。
接着層を形成したロール状支持体を500mm角に裁断し、表2〜3記載の支持体1〜26を得た。
添加物の原料は以下のとおりである。
SiO:酸化ケイ素粒子(平均粒径0.25μm、屈折率1.46、密度2.2g/cm
TiO:酸化チタン(平均粒径0.25μm、屈折率2.70、密度4.3g/cm)。
次に、各製造例における評価方法について説明する。
1.支持体の表面層および内部層の空隙率
各製造例により得られた支持体の断面を、ミクロトームを用いて研磨して精密に断面を出した後に、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)を用いて、表面層は倍率5000倍(視野:25μm×15μm)、内部層は倍率2000倍(視野:40μm×60μm)の条件で観察した。空隙と、それ以外の材料由来の部分とを2階調に画像変換し、観察領域に認められる空隙部分の表面層および内部層の断面積に占める面積割合を算出した。表面層、内部層で各10箇所の面積割合を算出し、その数平均値を算出した。
2.支持体の表面層および内部層の厚み
各製造例により得られた支持体の断面を、ミクロトームを用いて研磨して精密に断面を出した後に、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)を用いて、表面層は倍率2000倍(視野:40μm×60μm)で、内部層は倍率250倍(視野:500μm×300μm)で観察し、各層の厚みを測定した。支持体面内の10箇所の厚みを算出し、その数平均値を算出した。
3.支持体の内部層に含まれる有機粒子の個数
各製造例により得られた支持体の断面を、ミクロトームを用いて研磨して精密に断面を出した後に、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)を用いて倍率2000倍(視野:40μm×60μm)の条件で観察した。得られた画像中に含まれる、球状または楕円状である粒径0.3μm以上の有機粒子の個数を計数した。
4.支持体の内部層に含まれる空隙の短径r1および長径r2
各製造例により得られた支持体の断面を、ミクロトームを用いて研磨して精密に断面を出した後に、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製電界放出形走査電子顕微鏡「S−4800」)を用いて倍率2000倍(視野:40μm×60μm)の条件で観察した。得られた画像を、空隙とそれ以外の材料由来の部分とを2階調に画像変換し、5箇所観察し、観察領域に認められる有機粒子から無作為に20個を選択して粒子径を測定し、その数平均値を算出した。
5.屈折率
グラフト化されている金属化合物粒子の屈折率は、グラフト化されている金属化合物粒子の薄膜を作製し、屈折率測定装置(プリズムカプラMODEL2010/M”;メトリコン社製)を用いて測定した。酸化チタン、酸化ケイ素などのセラミック材料は、ファインセラミックスハンドブック等を、蛍光体は蛍光体ハンドブック等のデータ値を参照した。製造例1〜26とその評価結果を表2〜3に示す。
Figure 2019028047
Figure 2019028047
次に、各実施例および比較例における評価方法について説明する。
7.シンチレータパネルの輝度および鮮鋭性
各実施例および比較例により得られたシンチレータパネルを、FPD(PaxScan2520V(Varian社製))にセットして、放射線検出器を作製した。国際電気標準会議(IEC)で定める規格IEC62220−1において、デジタル画像システムの画質を評価する線質RQA5に準拠した管電圧70kVpの放射線を、シンチレータパネルの基板側から照射して、シンチレータパネルの輝度、鮮鋭度をFPDで検出した。輝度は、入射線量と画像のデジタル値のグラフの傾きから算出した。また、鮮鋭度はエッジ法により算出し、2linepair/mmの値を用いた。比較例1の輝度、鮮鋭度をそれぞれ100%として、相対比較を行った。ただし、実施例25および比較例6は、比較例5との相対比較とした。輝度については、相対比較による輝度が100%を超えるものを良、107%以上のものを優良と評価した。鮮鋭性については、相対比較による鮮鋭度が100%を超えるものを良、105%以上のものを優良と評価した。
8.ハンドリング性
各実施例および比較例におけるシンチレータパネルの作製、シンチレータパネルの輝度および鮮鋭性評価において、特段の注意をしなくても折れ・シワ・打痕が発生しなかったものをA(優良)、特段の注意を必要としたものをB(良)、折れ・シワ・打痕が発生したものをC(使用不可)と評価した。
9.総合評価
輝度、鮮鋭度ともに優良、ハンドリング性がAであるものを総合評価◎(優良)、輝度、鮮鋭度のいずれか一つが良、またはハンドリング性がBであるものを総合評価○(良)、輝度、鮮鋭度の少なくともいずれか一つが100%以下であるか、ハンドリング性がCであるものを総合評価×(効果なし)とした。
(実施例1〜5、比較例1〜3)
表1記載のシンチレータ層用ペースト1を、表4記載の支持体上に、バーコーターを用いて、乾燥後のシンチレータ層の厚みが200μmになるように塗布し、80℃で120分間乾燥して、シンチレータパネルを作製した。得られたシンチレータパネルについて、前述の方法により評価した結果を表4に示す。
Figure 2019028047
(実施例6〜10、比較例4)
表1記載のシンチレータ層用ペースト1を、表5記載の支持体上に、バーコーターを用いて、乾燥後のシンチレータ層の厚みが200μmになるように塗布し、80℃で120分間乾燥して、シンチレータパネルを作製した。得られたシンチレータパネルについて、前述の方法により評価した結果を、実施例3の評価結果とともに表5に示す。
Figure 2019028047
(実施例11〜13)
表1記載のシンチレータ層用ペースト1を、表6記載の支持体上に、バーコーターを用いて、乾燥後のシンチレータ層の厚みが200μmになるように塗布し、80℃で120分間乾燥して、シンチレータパネルを作製した。得られたシンチレータパネルについて、前述の方法により評価した結果を表6に示す。
Figure 2019028047
(実施例14〜20)
表1記載のシンチレータ層用ペースト1を、表7記載の支持体上に、バーコーターを用いて、乾燥後のシンチレータ層の厚みが200μmになるように塗布し、80℃で120分間乾燥して、シンチレータパネルを作製した。得られたシンチレータパネルについて、前述の方法により評価した結果を、実施例3の評価結果とともに表7に示す。
Figure 2019028047
(実施例21〜22)
表1記載のシンチレータ層用ペースト1を、表8記載の支持体上に、バーコーターを用いて、乾燥後のシンチレータ層の厚みが200μmになるように塗布し、80℃で120分間乾燥して、シンチレータパネルを作製した。得られたシンチレータパネルについて、前述の方法により評価した結果を、実施例3の評価結果とともに表8に示す。
Figure 2019028047
(実施例23〜24)
表9記載のシンチレータ層用ペーストを、表9記載の支持体上に、バーコーターを用いて、乾燥後のシンチレータ層の厚みが200μmになるように塗布し、80℃で120分間乾燥して、シンチレータパネルを作製した。ただし、実施例23は、まずシンチレータ層用ペースト2を100μm塗布し、次いでシンチレータ層用ペースト1を100μm塗布し、2層構造とした。得られたシンチレータパネルについて、前述の方法により評価した結果を、実施例3の評価結果とともに表9に示す。
Figure 2019028047
(実施例25、比較例5〜6)
(隔壁用ペーストの作製)
原料は以下のとおりである。
感光性モノマーM−1:トリメチロールプロパントリアクリレート
感光性モノマーM−2:テトラプロピレングリコールジメタクリレート
感光性ポリマー:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン=40/40/30の質量比からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応させたもの(重量平均分子量43000、酸価100)
光重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(IC369;BASF社製)
重合禁止剤:1,6−ヘキサンジオール−ビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])
紫外線吸収剤溶液:スダンIV(東京応化工業(株)製)のγ−ブチロラクトン0.3質量%溶液
熱重合開始剤:1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)
バインダーポリマー:エチルセルロース(ハーキュレス社製)
粘度調整剤:“フローノン”(登録商標)EC121(共栄社化学(株)製)
溶媒:γ−ブチロラクトン
低融点ガラス粉末A:
SiO 27質量%、B 31質量%、ZnO 6質量%、LiO 7質量%、MgO 2質量%、CaO 2質量%、BaO 2質量%、Al 23質量%、屈折率(ng)1.56、軟化温度588℃、熱膨張係数68×10−7、平均粒子径2.3μm
高融点ガラス粉末A:
SiO 30質量%、B 31質量%、ZnO 6質量%、MgO 2質量%、CaO 2質量%、BaO 2質量%、Al 27質量%、屈折率(ng)1.55、軟化温度790℃、熱膨張係数32×10−7、平均粒子径2.3μm
4質量部の感光性モノマーM−1、6質量部の感光性モノマーM−2、24質量部の感光性ポリマー、6質量部の光重合開始剤、0.2質量部の重合禁止剤および12.8質量部の紫外線吸収剤溶液を、38質量部の溶媒に、温度80℃で加熱溶解した。得られた溶液を冷却した後、9質量部の粘度調整剤を添加して、有機溶液1を得た。有機溶液1の塗布膜の屈折率(ng)は、1.555であった。
60質量部の有機溶液1に、30質量部の低融点ガラス粉末Aをおよび10質量部の高融点ガラス粉末Aを添加したて、3本ローラー混練機にて混練し、隔壁用ペーストを得た。
(非焼結ペースト1の作製)
60質量部の有機溶液1に、40質量部の高軟化点ガラス粉末を添加した後、3本ローラー混練機にて混練し、非焼結ペースト1を作製した。
(反射層用コーティング剤の作製)
40質量部のチタニア粒子R550(石原産業(株)製;平均粒子径0.24μm)を、3質量部のエチルセルロース(日進化成(株)製、100mPa・s)、6質量部のテトラプロピレングリコールジメタクリレート、1質量部の熱重合開始剤V−40(和光純薬工業(株)製)および50質量部のテルピネオールに混合し、遊星式撹拌脱泡装置を用いて1000rpmで20分間撹拌脱泡して、反射層用コーティング剤を得た。
(隔壁を備えたシンチレータパネルの作製)
500mm×500mmのガラス基板(PD−200;旭硝子(株)製;熱膨張係数83×10−7、厚み1.8mm)上に、非焼結ペーストを乾燥厚みが50μmとなるようにダイコーターで塗布して乾燥し、剥離補助層を形成した。剥離補助層の表面に、隔壁用ペーストを、乾燥後の厚みが300μmになるように、ダイコーターで塗布し、乾燥して、隔壁用ペースト塗布膜を形成した。次に、所望の隔壁パターンに対応する開口部を形成したフォトマスク(縦横ともピッチ127μm、線幅20μmの格子状開口部を有するクロムマスク)を介して、隔壁用ペースト塗布膜を超高圧水銀灯(400mJ/cm)で露光した。露光後の隔壁用ペースト塗布膜を、0.5質量%のエタノールアミン水溶液中で現像し、未露光部分を除去して、格子状のパターンを形成した。さらに585℃で15分間、空気中でパターンを焼成した後、ガラス基板上から隔壁を剥離することにより、隔壁ピッチ127μm、隔壁頂部幅25μm、隔壁底部幅35μm、隔壁高さ200μmの格子状隔壁を有する部材を得た。
支持体の表面に接着剤を塗布し、剥離した格子状の隔壁パターンを載置した後、接着し、支持体上に格子状の焼成後隔壁パターンを固設した。
支持体に固設された隔壁の表面に、反射層用コーティング剤を塗布して、厚みが10μmの反射層(反射率89%)を形成した後、表1に示すシンチレータ層用ペースト1を、隔壁によって区画された空間すなわちセル内に充填し、シンチレータパネルを作製した。得られたシンチレータパネルについて、前述の方法により評価した結果を、比較例5〜6の評価結果とともに表10に示す。
Figure 2019028047
1 放射線検出器
2 シンチレータパネル
3 フォトダイオード基板
4 支持体
5 隔壁
6 接着層
7 反射層
8 シンチレータ層
9 隔膜層
10 光電変換層および出力層
11 基板
12 電源部

Claims (14)

  1. 支持体上に、蛍光体を含有するシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、前記支持体が、空隙率が5%以下である表面層と、空隙率が40〜80%である内部層との積層構造を有するシンチレータパネル。
  2. 前記表面層の厚みが1〜20μmである、請求項1に記載のシンチレータパネル
  3. 前記内部層の厚みが70〜500μmである、請求項1〜2いずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  4. 前記内部層が有機粒子を含有し、内部層の断面における有機粒子の個数が5.0〜50.0個/100μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  5. 前記内部層に含まれる空隙の短径をr1(μm)、長径をr2(μm)としたとき、r2/r1の値が2〜5であり、r1が0.3〜3μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  6. 前記表面層が樹脂と無機粉末を含有し、当該樹脂と当該無機粉末との屈折率差が0.2以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  7. 前記表面層の一方が接着層を介してシンチレータ層と接着してなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  8. 前記接着層が芳香族ポリエステル樹脂を主成分とする、請求項7に記載のシンチレータパネル。
  9. 前記接着層が無機金属化合物を含有する、請求項7〜8のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  10. 前記シンチレータ層が、蛍光体の平均粒子径が異なる積層構造を有し、当該積層のうち、前記支持体側に形成される層の蛍光体の平均粒子径をDbμm、前記支持体と反対側に形成される層の蛍光体の平均粒子径をDtμmとしたとき、Db<Dtの関係を満たす、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  11. 前記シンチレータ層の空隙率が20〜60%である、請求項1〜10記載のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  12. 前記シンチレータ層に含まれる蛍光体が、金属化合物粒子で被覆されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  13. 前記支持体上に前記シンチレータ層を区画する隔壁を備える、請求項1〜12のいずれか一項記載のシンチレータパネル。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のシンチレータパネル、受光センサー基板および画像出力回路を具備する、放射線検出器。
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