JP2019026080A - 操舵制御装置 - Google Patents

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昭彦 西村
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昭彦 西村
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Abstract

【課題】トルクステアの発生に対してより早く対処することのできる操舵制御装置を提供する。
【解決手段】操舵制御装置50は、左右一対の駆動輪である各前輪を転舵させるように、操舵機構に付与するアシスト力の発生源であるモータ40の駆動を制御するマイコン51を備えている。そして、マイコン51は、モータ40に発生させるべきアシスト力を示すアシスト成分を演算し、各前輪を回転自在に支持し、当該各前輪に作用する力を検出する各前輪センサ62L,62Rを有する各ハブユニット17L,17Rによって取得する各前輪の上下方向に延びる軸線回りの各転舵モーメントMz(L),Mz(R)を取得し、当該取得した各転舵モーメントMz(L),Mz(R)を用いて、各前輪が回転駆動する際に当該各前輪の間で生じる駆動トルクの差であるトルク差を抑制するためのトルク差抑制力をモータ40に発生させるべく、アシスト成分を補償するようにしている。
【選択図】図3

Description

本発明は、操舵制御装置に関する。
車両が直進している場合において、左右一対の駆動輪の駆動トルクに差が生じると、各駆動輪を転舵させるように運転者が操舵していないにもかかわらず車両が直進に対して偏向する現象である、所謂、トルクステアが発生する。トルクステアが発生する場合、車両の偏向に伴ってはヨーイングモーメントが作用する。このようなヨーイングモーメントに着目したのが特許文献1である。
特許文献1には、車両を偏向させるような外乱が作用したときに車両の操舵機構にモータのトルクを付与することによって、車両の操舵を調整する方法が開示されている。具体的には、上記外乱が作用したときには、車両のヨーレートに基づいて、当該車両に作用するヨーイングモーメントを演算により推定し、このヨーイングモーメントを相殺するために必要なモータのトルクを演算により求めるようにしている。つまり、特許文献1と同様の方法を応用すれば、トルクステアが車両の挙動に与える影響を低減できると考えられる。
特開2001−97234号公報
ただし、車両のヨーレートに基づいて、ヨーイングモーメントを推定できるのは、車両が既に偏向している状況である。そのため、トルクステアが車両の挙動に与える影響を低減するために、上記特許文献1のように、車両に作用するヨーイングモーメントを推定する場合、トルクステアが車両の挙動に対して影響を既に与えている状況でしか効果を発揮することができない。この場合、トルクステアが車両の挙動に与える影響に対する対処が遅れてしまう懸念がある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、トルクステアの発生に対してより早く対処することのできる操舵制御装置を提供することにある。
上記課題を解決する操舵制御装置は、車両の操舵機構の左右一対の駆動輪を転舵させるように、前記操舵機構に付与するアシスト力の発生源であるモータの駆動を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記モータに発生させるべき前記アシスト力を示すアシスト成分を演算するとともに、前記車両が直進状態であることと、前記操舵機構に対する運転者の前記各駆動輪を転舵させる操舵がなされていない非操舵状態であることと、前記車両の走行状態が加速状態であることとを満たす状況で、前記各駆動輪を回転自在に支持し、当該各駆動輪に作用する力を検出するセンサを有する軸受装置によって取得する前記各駆動輪の上下方向に延びる軸線回りのモーメント荷重に関する情報を取得し、当該取得した前記モーメント荷重に関する情報を用いて、前記各駆動輪が回転駆動する際に当該各駆動輪の間で生じる駆動トルクの差であるトルク差を抑制するためのトルク差抑制力を前記モータに発生させるべく、前記アシスト成分を補償するように構成されている。
上記構成によれば、制御部は、各駆動輪を回転自在に支持し、当該各駆動輪に作用する力を検出するセンサを有する軸受装置を通じてモーメント荷重に関する情報を取得することができる。このように取得する情報からは、各駆動輪の駆動トルクに差が生じていることが原因で、車両を偏向させるように作用する力を検出することができるようになる。そして、車両が直進状態、操舵機構に対する運転者の操舵が非操舵状態、車両が加速状態を満たす状況で、車両を偏向させる力が検出されると、直進しようとする車両において、各駆動輪の駆動トルクに差が生じていること、すなわちトルクステアが発生する状況を検出することができる。これにより、制御部は、車両が直進状態、操舵機構に対する運転者の操舵が非操舵状態、車両が加速状態を満たす状況で、各駆動輪の間で生じる駆動トルクの差であるトルク差を抑制するようにアシスト成分を補償することができる。したがって、トルクステアの影響が車両の挙動に現れる前であっても、車両を偏向させる力が検出されるタイミングで、トルク差抑制力を発生させることができる。その結果、トルクステアの発生に対してより早く対処することができ、車両の偏向を抑制することができる。
上記操舵制御装置において、具体的には、前記制御部は、前記モーメント荷重に関する情報を用いて、前記アシスト成分を補償することによって、前記モータの制御量の目標値であるトルク指令値を演算するトルク指令値演算部を含み、前記トルク指令値演算部は、前記アシスト成分を演算するアシスト成分演算部と、前記トルク差抑制力を前記モータに発生させるように、前記アシスト成分を補償するための補償成分を演算する補償成分演算部と、を有し、前記補償成分演算部は、前記直進状態、前記非操舵状態、及び前記加速状態を満たす場合、前記モーメント荷重が前記操舵機構に及ぼす力成分に基づいて、前記補償成分を演算処理する補償量演算処理部を有していることが好ましい。
上記構成によれば、各駆動輪の駆動トルクに差が生じていることが原因で、車両を偏向させるように作用する力に対して、適切な補償成分を演算することができるようになる。これにより、トルクステアの発生に対して適切に対処することができる。
また、上記操舵制御装置において、前記補償成分は、前記モーメント荷重が前記操舵機構に及ぼす力成分に対して正負を反転させた成分として前記トルク指令値に反映されるように構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、車両を偏向させるように作用する力を抑制するように補償成分を作用させることができるようになる。これにより、車両が直進状態、操舵機構に対する運転者の操舵が非操舵状態、車両が加速状態を満たす状況で、車両を偏向させる力を抑制するようにアシスト成分をより的確に補償することができる。
また、上記操舵制御装置において、前記補償量演算処理部は、前記モーメント荷重が前記操舵機構に及ぼす力成分を入力とし、前記補償成分をマップ演算するように構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、補償量演算処理部は、各駆動輪の間で生じる駆動トルクの差であるトルク差を抑制するようにアシスト成分を補償する精度を高めるために、モーメント荷重が操舵機構に及ぼす力成分に応じた補償成分を最適化したマップを用意するのみでよい。これにより、補償成分の特性を変更しなければいけない場合であっても、適したマップを用意するのみでよく、制御上の変更部分を極力減らすことができる。
また、上記操舵制御装置において、前記補償成分演算部は、前記モーメント荷重に関する情報として、前記各駆動輪に関する情報を加算して得られる情報を演算する加算処理部を有しており、前記各駆動輪に関する情報を加算して得られる情報を用いて、前記補償成分を演算することが好ましい。
上記構成によれば、補償成分の演算において、各駆動輪に関する情報を得た場合に加算処理部で演算された情報を用いることができるので、補償成分としてより適切な成分を演算することができるようになる。これにより、トルクステアの発生に対してより適切に対処することができる。
また、上記操舵制御装置において、前記加速状態は、前記軸受装置によって取得する前記各駆動輪の車輪速に基づいて判定されるように構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、車両の加速状態についても上記軸受装置から取得する情報に基づいて、判定することができるようになる。この場合、モーメント荷重に関する情報を検出する対象である各駆動輪の状態に基づいて、トルク差抑制力を発生させるべき状況を判断することができるので、当該トルク差抑制力を発生させる状況を最適化するのに効果的である。
本発明によれば、トルクステアの発生に対してより早く対処することができる。
車両に搭載される電動パワーステアリング装置についてその概略を示す図。 同車両に搭載される軸受装置を具体化したハブユニットについてその仕様を説明する図。 同電動パワーステアリング装置についてその電気的構成を示すブロック図。 同電動パワーステアリング装置について第1実施形態の操舵制御装置におけるトルク指令値演算部の機能を示すブロック図。 同トルク指令値演算部についてその補償成分演算部の機能を示すブロック図。 第2実施形態の操舵制御装置が搭載される電動パワーステアリング装置についてその電気的構成を示すブロック図。 同操舵制御装置におけるトルク指令値演算部の機能を示すブロック図。 同トルク指令値演算部についてその補償成分演算部の機能の一部を示すブロック図。
(第1実施形態)
以下、操舵制御装置の第1実施形態を説明する。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置1は、運転者のステアリングホイール10の操作に基づいて左右一対の前方の車輪である転舵輪15(図1中、左側の左前輪15L及び右側の右前輪15R)を転舵させる操舵機構2、及び運転者の各前輪15L,15Rを転舵させる操舵であるステアリング操作を補助する操舵補助機構を備えている。
本実施形態において、電動パワーステアリング装置1は、前方(フロント)側に車載される内燃機関EGの動力により各前輪15L,15Rに回転駆動するための駆動トルクを発生させる、所謂、FF方式の車両(自動車)に搭載されている。つまり、各前輪15L,15Rは、車両が走行に必要な駆動力を発生させるように駆動される駆動輪である。そして、車載される内燃機関EGには、その動力を伝達可能にドライブシャフトDSが機械的に連結され、当該ドライブシャフトDSを介して、各前輪15L,15Rが回転駆動可能に連結されている。
操舵機構2は、ステアリングホイール10と、ステアリングホイール10と固定されたステアリングシャフト11とを備えている。ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール10と連結されたコラムシャフト11aと、コラムシャフト11aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト11bと、インターミディエイトシャフト11bの下端部に連結されたピニオンシャフト11cとを有している。ピニオンシャフト11cの下端部は、ラックアンドピニオン機構13を介して転舵軸としてのラックシャフト12に連結されている。なお、ラックシャフト12は、ラックハウジング16に支持されている。ラックシャフト12の両端には、タイロッド14を介して、各前輪15L,15Rが連結されている。なお、各前輪15L,15Rは、ドライブシャフトDSと連結される位置と異なる位置(図中、上方にずれた位置)においてタイロッド14と連結されている。したがって、ステアリングホイール10、すなわちステアリングシャフト11の回転運動は、ピニオンシャフト11c及びラックシャフト12からなるラックアンドピニオン機構13を介してラックシャフト12の軸方向(図1の左右方向)の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動が、ラックシャフト12の両端にそれぞれ連結されたタイロッド14を介して、各前輪15L,15Rにそれぞれ伝達されることにより、各前輪15L,15Rの転舵角が変化する。
ラックシャフト12の周囲には、操舵補助機構を構成する要素として、操舵機構2に対して付与する動力(アシスト力)の発生源であるモータ40が設けられている。例えば、モータ40は、表面磁石型同期電動機(SPMSM)であり、3相(U,V,W)の駆動電力に基づいて回転する3相ブラシレスモータである。モータ40は、ラックハウジング16に対してその外部から取り付けられている。また、ラックハウジング16の内部には、操舵補助機構を構成する要素として、ラックシャフト12の周囲に一体的に取り付けられたボールねじ機構20と、モータ40の出力軸40aの回転力をボールねじ機構20に伝達するベルト式減速機構30とが設けられている。モータ40の出力軸40aの回転力は、減速機構30及びボールねじ機構20を介して、ラックシャフト12を軸方向に往復直線運動させる力に変換される。このラックシャフト12に付与される軸方向の力が各前輪15L,15Rを上下方向の軸回りに転舵させる動力となり、左右の転舵輪15の転舵角を変化させる。
図1に示すように、モータ40には、当該モータ40の駆動を制御する操舵制御装置50が接続されている。操舵制御装置50は、各種のセンサの検出結果に基づき、モータ40の制御量である電流の供給を制御することによって、モータ40の駆動を制御する。各種のセンサとしては、例えば、トルクセンサ60、回転角センサ61、及びハブユニットセンサ62(図1中、左側の左前輪センサ62L及び右側の右前輪センサ62R)がある。トルクセンサ60は、ピニオンシャフト11cに設けられている。回転角センサ61は、モータ40に設けられている。左前輪センサ62Lは、左前ハブユニット17Lに設けられている。右前輪センサ62Rは、右前ハブユニット17Rに設けられている。トルクセンサ60は、運転者のステアリング操作によってステアリングシャフト11に変化を伴って生じる操作状態量である操舵トルクTrqを検出する。回転角センサ61は、モータ40の出力軸40aの回転角度θmを検出する。左前輪センサ62Lは、左前輪15Lの回転速度である車輪速を検出する他、路面と、左前輪15Lとの間に発生する力として、当該左前輪15Lに作用する力を検出する。右前輪センサ62Rは、右前輪15Rの回転速度である車輪速を検出する他、路面と、右前輪15Rとの間に発生する力として、当該右前輪15Rに作用する力を検出する。
ここで、一例として、ハブユニット(例えば、特開2009−133680号公報参照)に設けられる各前輪センサ62R,62Lについて詳しく説明する。
図1に示すように、ハブユニットセンサ62は、転舵輪15を、ドライブシャフトDSとともに車体に対して回転自在に支持する軸受装置としてのハブユニット17に内蔵されている。より詳しくは、左前輪センサ62Lは、左前輪15Lを支持する左前ハブユニット17Lに内蔵されている。右前輪センサ62Rは、右前輪15Rを支持する右前ハブユニット17Rに内蔵されている。つまり、本実施形態の各ハブユニット17L,17Rは、路面と、各前輪15L,15Rとの間に発生する力として、当該各前輪15L,15Rに作用する力を直接的に検出することができるセンサ機能付きのハブユニットである。
図2に、左前輪15Lについて、前後水平方向をx軸、左右水平方向をy軸方向、上下方向をz軸方向として示すように、左前輪センサ62Lは、左前輪15Lに作用する力に基づいて、x軸方向の荷重Fx、y軸方向の荷重Fy、z軸方向の荷重Fz、x軸回りのモーメント荷重Mx、z軸回りのモーメント荷重Mzをそれぞれ演算する。これは、右前輪センサ62Rについても同様であり、各前輪センサ62L,62Rの間で、各種荷重Fx,Fy,Fz,Mx,Mzの正負の方向が一致している。これら各種荷重Fx,Fy,Fz,Mx,Mz(単位:N(ニュートン))は、車両の車速等の走行状態に応じても変化するものであり、車速等の要素も含む成分である。
そして、本実施形態において、左前輪センサ62Lは、左前輪15Lにおいて検出される左前車輪速V(L)と、左前輪15Lにおいて検出されるz軸回りのモーメント荷重Mzに関する情報として左前転舵モーメントMz(L)(単位:N・m(ニュートン・メートル))とを操舵制御装置50に対してそれぞれ出力する。これと同様、右前輪センサ62Rは、右前輪15Rにおいて検出される右前車輪速V(R)と、右前輪15Rにおいて検出されるz軸回りのモーメント荷重Mzに関する情報として右前転舵モーメントMz(R)(単位:N・m(ニュートン・メートル))とを操舵制御装置50に対してそれぞれ出力する。
次に、電動パワーステアリング装置1の電気的構成について説明する。
図3に示すように、操舵制御装置50は、モータ制御信号S_mを生成するマイコン(マイクロコンピュータ)51と、そのモータ制御信号S_mに基づいてモータ40に電流を供給する駆動回路52とを有している。マイコン51は、トルクセンサ60、回転角センサ61、左前輪センサ62L(左前ハブユニット17L)、右前輪センサ62R(右前ハブユニット17R)の検出結果や、モータ40の実電流Iを取り込む。そして、マイコン51は、モータ制御信号S_mを生成し、PWM信号として駆動回路52に対して出力する。本実施形態において、マイコン51は制御部の一例である。
次に、マイコン51の機能について詳しく説明する。マイコン51は、図示しない中央処理装置(CPU(Central Processing Unit))及びメモリをそれぞれ備えており、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって、モータ40の駆動が制御される。
図3に、マイコン51が実行する処理の一部を示す。図3に示す処理は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することで実現される処理の一部を、実現される処理の種類毎に記載したものである。
マイコン51は、トルク指令値演算部53及び制御信号生成部54を有している。トルク指令値演算部53には、操舵トルクTrq、回転角度θm、各車輪速V(L),V(R)、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)がそれぞれ入力される。トルク指令値演算部53は、操舵トルクTrq、回転角度θm、各車輪速V(L),V(R)、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)に基づいて、モータ40に発生させるべきアシスト力に対応した電流量の目標値であるトルク指令値T*を演算する。
制御信号生成部54には、トルク指令値演算部53で演算されたトルク指令値T*、回転角度θm、及び実電流Iがそれぞれ入力される。制御信号生成部54は、トルク指令値T*、回転角度θm、及び実電流Iに基づき、モータ制御信号S_mを生成し、PWM信号として駆動回路52に対して出力する。
ここで、トルク指令値演算部53の機能についてさらに詳しく説明する。
図4に示すように、トルク指令値演算部53は、アシスト成分Ta*を演算(生成)するアシスト成分演算部70と、補償成分Tr*を演算(生成)する補償成分演算部71とを有している。また、トルク指令値演算部53は、アシスト成分演算部70で生成されたアシスト成分Ta*から、補償成分演算部71で生成された補償成分Tr*を減算して得られるトルク指令値T*を演算(生成)する減算処理部72を有している。
アシスト成分演算部70には、操舵トルクTrq及び各車輪速V(L),V(R)がそれぞれ入力される。アシスト成分演算部70は、操舵トルクTrq及び各車輪速V(L),V(R)に基づいて、モータ40に発生させるべきアシスト力を示すアシスト成分Ta*を演算して生成する。なお、アシスト成分演算部70は、各車輪速V(L),V(R)のうち、予め定めた何れかの車輪速を用いるようにし、各車輪速V(L),V(R)の二乗平均和の演算等に基づいて用いる車輪速の値についての妥当性を判定するようにしている。
補償成分演算部71には、操舵トルクTrq、回転角度θm、各車輪速V(L),V(R)、及び各転舵モーメントMz(L),Mz(R)が入力される。補償成分演算部71は、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)に基づいて、各前輪15L,15Rが回転駆動する際に当該各前輪15L,15Rの間で生じる駆動トルクの差であるトルク差を抑制するためのトルク差抑制力をモータ40に発生させるように、アシスト成分Ta*を補償する成分である補償成分Tr*を演算して生成する。
本実施形態において、車両が直進状態、且つ、運転者のステアリング操作がされていない非操舵状態の場合に、車両の走行状態が加速状態の状況では、各前輪15L,15Rの駆動トルクの高まりに基づいて、ドライブシャフトDSが撓む等する。これが原因となって、各前輪15L,15Rの間で駆動トルクの差であるトルク差が生じる。各前輪15L,15Rの間でトルク差が生じると、当該トルク差の向きと大きさに基づいて、各前輪15L,15Rのそれぞれにz軸回りのモーメント荷重Mzが発生し、当該モーメント荷重Mzが車両の進路を直進に対して偏向させる力として作用する、すなわちトルクステアが発生する。つまり、補償成分演算部71は、各前輪15L,15Rの間で生じるトルク差を抑制すべく、トルクステアの発生に起因する各前輪15L,15Rのz軸回りのモーメント荷重Mzを検出するようにしている。
具体的には、図5に示すように、補償成分演算部71は、左前輪15Lに作用するモーメント荷重に関する情報である左前転舵モーメントMz(L)と、右前輪15Rに作用するモーメント荷重に関する情報である右前転舵モーメントMz(R)とを加算して得られる合算転舵モーメントMztを演算(生成)する加算処理部80を有している。加算処理部80は、各前輪15L,15Rに作用する転舵モーメントの合算であって、車両を偏向させる力を演算するためのものである。
また、補償成分演算部71は、加算処理部80で生成された合算転舵モーメントMztをモータ40の出力軸40a回りの力成分、すなわちトルク成分であるトルクステア量Tr0(単位:N・m(ニュートン・メートル))に変換処理する変換処理部81を有している。変換処理部81は、合算転舵モーメントMztに1次換算係数を乗算することによって、各前輪15L,15Rの各転舵モーメントMz(L),Mz(R)をラックシャフト12の軸方向の力成分、すなわち軸力に変換する。1次換算係数は、ラックシャフト12の軸方向の移動量と、各前輪15L,15Rの転舵量との動作比に応じて定められている。また、変換処理部81は、ラックシャフト12の軸力に変換したものに、さらに2次換算係数を乗算することによって、ラックシャフト12の軸力をモータ40の出力軸40a回りのトルク成分に変換する。2次換算係数は、ベルト式減速機構30の減速比と、ボールねじ機構20のリードとに応じて定められている。
また、補償成分演算部71は、変換処理部81で変換処理されたトルクステア量Tr0に基づいて、モータ40に発生させるべきトルク差抑制力を示す補償成分Tr*を演算処理する補償量演算処理部82を有している。補償量演算処理部82には、直進判定処理部83を通じて上記直進状態であるか否かを示す情報である直進フラグFLG1と、非操舵判定処理部84を通じて上記非操舵状態であるか否かを示す情報である非操舵フラグFLG2と、加速判定処理部85を通じて上記加速状態であるか否かを示す情報である加速フラグFLG3とがそれぞれ入力される。
直進判定処理部83には、回転角度θmが入力される。直進判定処理部83は、回転角度θmに基づいて、当該回転角度θmの所定のサンプリング周期の変化幅(絶対値)が閾値θmthの範囲内にあるか否かを判定することによって、車両が直進状態であるか否かを判定する。回転角度θmは、各前輪15L,15Rの転舵角と相関があり、車両が直進しているときには決まった値を示す。閾値θmthは、車両が直進していると判断できるとして経験的に求められる範囲の値に設定される。そして、直進判定処理部83は、回転角度θmの変化幅が閾値θmthの範囲内にある場合に上記直進状態である旨を示す直進フラグFLG1を補償量演算処理部82に対して出力する。また、直進判定処理部83は、回転角度θmの変化幅が閾値θmthの範囲を逸脱する場合に上記直進状態でない旨を示す直進フラグFLG1を補償量演算処理部82に対して出力する。
非操舵判定処理部84には、操舵トルクTrqが入力される。非操舵判定処理部84は、操舵トルクTrqに基づいて、当該操舵トルクTrqの所定のサンプリング周期の変化幅(絶対値)が閾値Trqthの範囲内にあるか否かを判定することによって、運転者によるステアリング操作が非操舵状態であるか否かを判定する。操舵トルクTrqは、運転者がステアリングホイール10を保舵している状態で、運転者がステアリングホイール10を意図的に左右方向へ操舵している、すなわちステアリング操作している状態と比較して小さい値を示す。閾値Trqthは、運転者がステアリングホイール10を保舵しているが、運転者がステアリング操作していないと判断できるとして経験的に求められる範囲の値に設定される。そして、非操舵判定処理部84は、操舵トルクTrqの変化幅が閾値Trqthの範囲内にある場合に上記非操舵状態である旨を示す非操舵フラグFLG2を補償量演算処理部82に対して出力する。また、非操舵判定処理部84は、操舵トルクTrqの変化幅が閾値Trqthの範囲を逸脱する場合に上記非操舵状態でない旨を示す非操舵フラグFLG2を補償量演算処理部82に対して出力する。
加速判定処理部85には、各車輪速V(L),V(R)が入力される。加速判定処理部85は、各車輪速V(L),V(R)に基づいて、当該各車輪速V(L),V(R)の所定のサンプリング周期の増加幅が閾値Vthを超えているか否かを判定することによって、車両の走行状態が加速状態であるか否かを判定する。閾値Vthは、車両が加速状態のなかでも速度変化が比較的大きい発進時等の急な加速状態であると判断できるとして経験的に求められる範囲の値に設定される。そして、加速判定処理部85は、各車輪速V(L),V(R)の増加幅が閾値Vthを超えている場合に上記加速状態である旨を示す加速フラグFLG3を補償量演算処理部82に対して出力する。また、加速判定処理部85は、各車輪速V(L),V(R)の増加幅が閾値Vthを超えていない場合に上記加速状態でない旨を示す加速フラグFLG3を補償量演算処理部82に対して出力する。なお、加速判定処理部85は、アシスト成分Ta*を生成する際と同様、各車輪速V(L),V(R)のうち、予め定めた何れかの車輪速を用いる。
そして、補償量演算処理部82は、上記直進状態である旨を示す直進フラグFLG1と、上記非操舵状態である旨を示す非操舵フラグFLG2と、上記加速状態である旨を示す加速フラグFLG3との全てが入力されることを条件として、トルクステア量Tr0に基づいて、補償成分Tr*を演算して生成する。補償量演算処理部82は、トルクステア量Tr0と、補償成分Tr*との関係を定めたマップを備えており、トルクステア量Tr0を入力とし、補償成分Tr*をマップ演算する。本実施形態において、補償成分Tr*は、トルクステア量Tr0と同一方向の成分として算出され、トルクステア量Tr0の絶対値が大きい場合に小さい場合よりも絶対値が大きくなる。
なお、補償量演算処理部82は、上記直進状態でない旨を示す直進フラグFLG1、上記非操舵状態でない旨を示す非操舵フラグFLG2、及び上記加速状態でない旨を示す加速フラグFLG3の何れかが入力される場合、補償成分Tr*として零値を生成する。
そして、補償成分演算部71の処理を通じて生成された補償成分Tr*は、減算処理部72において減算されることによって、変換処理部81で変換処理して得られたトルクステア量Tr0に対して正負の符号を反転させた成分としてトルク指令値T*に反映される。
このように構成されるマイコン51は、モータ40の駆動を制御する間、補償成分演算部71において、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)を所定周期で繰り返し取得し、当該取得した各転舵モーメントMz(L),Mz(R)に基づいて、補償成分Tr*を所定周期で繰り返し生成する。つまり、マイコン51は、モータ40の駆動を制御する間、車両が直進状態、運転者のステアリング操作が非操舵状態、車両が加速状態を満たす状況で、各前輪15L,15Rの間で生じるトルク差を抑制するための処理を所定周期で繰り返し実行する。
以下、本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)本実施形態によれば、マイコン51は、各前輪15L,15Rを回転自在に支持し、当該各前輪15L,15Rに作用する力を検出する各前輪センサ62L,62Rを有する各ハブユニット17L,17Rを通じて各転舵モーメントMz(L),Mz(R)を取得することができる。このように取得する各転舵モーメントMz(L),Mz(R)からは、各前輪15R,15Rの駆動トルクに差が生じていることが原因で、車両を偏向させるように作用する力を検出することができるようになる。そして、車両が直進状態、運転者のステアリング操作が非操舵状態、車両が加速状態を満たす状況で、車両を偏向させる力が検出されると、直進しようとする車両において、各前輪15L,15Rの駆動トルクに差が生じていること、すなわちトルクステアが発生する状況を検出することができる。これにより、マイコン51は、車両が直進状態、運転者のステアリング操作が非操舵状態、車両が加速状態を満たす状況で、各前輪15L,15Rの間で生じる駆動トルクの差であるトルク差を抑制するようにアシスト成分Ta*を補償することができる。したがって、トルクステアの影響が車両の挙動に現れる前であっても、車両を偏向させる力が検出されるタイミングで、トルク差抑制力を発生させることができる。その結果、トルクステアの発生に対してより早く対処することができ、車両の偏向を抑制することができる。
(2)具体的には、マイコン51において、補償成分Tr*を演算する補償成分演算部71は、各前輪15L,15Rの各転舵モーメントMz(L),Mz(R)に基づいて、モータ40の出力軸40a回りのトルク成分に変換処理したトルクステア量Tr0に基づいて、補償成分Tr*を演算処理する補償量演算処理部82を有している。
すなわち、本実施形態によれば、各前輪15L、15Rの駆動トルクに差が生じていることが原因で、車両を偏向させるように作用する力に対して、適切な補償成分Tr*を演算することができるようになる。これにより、トルクステアの発生に対して適切に対処することができる。
(3)本実施形態において、補償成分Tr*は、変換処理部81で変換処理して得られたトルクステア量Tr0に対して正負を反転させた成分としてトルク指令値T*に反映されるようにしている。
すなわち、車両を偏向させるように作用する力を抑制するように補償成分Tr*を作用させることができるようになる。これにより、車両が直進状態、運転者のステアリング操作が非操舵状態、車両が加速状態を満たす状況で、車両の進路を変化させる力を抑制するようにアシスト成分Ta*をより的確に補償することができる。
(4)また、本実施形態において、補償量演算処理部82は、トルクステア量Tr0を入力とし、補償成分Tr*をマップ演算するようにしている。
すなわち、補償量演算処理部82は、各前輪15L,15Rの間で生じる駆動トルクの差であるトルク差を抑制するようにアシスト成分Ta*を補償する精度を高めるために、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)に基づいたトルクステア量Tr0に応じた補償成分Tr*を最適化したマップを用意するのみでよい。これにより、補償成分Tr*の特性を、例えば、車両の仕様や使用環境等に応じて変更しなければいけない場合であっても、適したマップを用意するのみでよく、制御上の変更部分を極力減らすことができる。
(5)また、本実施形態において、補償成分演算部71は、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)を加算して得られる合算転舵モーメントMztを演算(生成)する加算処理部80を有している。
これにより、補償成分Tr*の演算において、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)を得た場合に合算転舵モーメントMztを用いることができるので、補償成分Tr*としてより適切な成分を演算することができるようになる。これにより、トルクステアの発生に対してより適切に対処することができる。
(6)また、本実施形態において、上記加速状態は、各ハブユニット17L,17Rによって演算される各前輪15L,15Rの各車輪速V(L),V(R)に基づいて判定されるようにしている。
本実施形態によれば、上記加速状態についても各ハブユニット17L,17Rから取得する情報に基づいて、判断することができるようになる。この場合、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)を検出する対象である各前輪15L,15Rの状態に基づいて、トルク差抑制力を発生させるべき状況を判断することができるので、当該トルク差抑制力を発生させる状況を最適化するのに効果的である。
(第2実施形態)
次に、操舵制御装置の第2実施形態について説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成などは、同一の符号を付すなどして、その重複する説明を省略する。
本実施形態の電動パワーステアリング装置1は、ADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)などの運転者の運転を支援する運転支援装置を構築するものである。
図6に示すように、本実施形態の操舵制御装置50は、車載ネットワークを構成するCAN(Controller Area Network)等の通信回線Cを介して車載される運転支援制御装置90と通信可能に接続されている。
運転支援制御装置90は、例えば、車両が走行中の走行レーンを維持して走行したりするように設定される目標進路に沿った車両の走行を実現する運転支援制御を操舵制御装置50に対して指示する。運転支援制御装置90は、車載カメラや車載レーダ等の車載センサ91の検出結果である車両情報Cimに基づいて、運転支援制御に使用する目標進路(道路に対する車両の相対的な方向)を演算して生成する。なお、操舵制御装置50は、運転支援制御について、運転者のステアリング操作に応じた補助をするパワステ制御と並行して実行する。
具体的には、運転支援制御装置90は、車載センサ91の検出結果に基づいて生成した目標進路を示す情報として、角度指令値である運転支援指令値As*を操舵制御装置50に対して出力する。この場合、操舵制御装置50のマイコン51において、トルク指令値演算部53には、運転支援指令値As*が入力される。
本実施形態において、トルク指令値演算部53は、操舵トルクTrq、各車輪速V(L),V(R)、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)、運転支援指令値As*がそれぞれ入力される。トルク指令値演算部53は、操舵トルクTrq、各車輪速V(L),V(R)、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)、運転支援指令値As*に基づいて、モータ40に発生させるべきアシスト力に対応した電流量の目標値であるトルク指令値T*を演算する。
ここで、本実施形態のトルク指令値演算部53の機能についてさらに詳しく説明する。
図7に示すように、トルク指令値演算部53において、アシスト成分演算部70には、操舵トルクTrq、各車輪速V(L),V(R)、運転支援指令値As*がそれぞれ入力される。アシスト成分演算部70は、操舵トルクTrq及び各車輪速V(L),V(R)に基づきモータ40に発生させるべきパワステ制御用のアシスト力を示すアシスト成分と、運転支援指令値As*に基づきモータ40に発生させるべき運転支援制御用のアシスト力を示すアシスト成分とを加算して得られるアシスト成分Ta*を演算して生成する。パワステ制御用のアシスト力は、運転者のステアリング操作に応じた補助をするための動力である。運転支援制御用のアシスト力は、運転支援制御装置90が演算する目標進路を車両が追従するように運転者のステアリング操作を補助するための動力である。
また、補償成分演算部71には、操舵トルクTrq、各車輪速V(L),V(R)、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)、運転支援指令値As*がそれぞれ入力される。
図8に示すように、本実施形態の補償成分演算部71において、直進判定処理部83には、運転支援指令値As*が入力される。直進判定処理部83は、運転支援指令値As*が目標進路として直進を示す情報であり、当該運転支援指令値As*の所定のサンプリング周期の変化幅(絶対値)が閾値αの範囲内にあるか否かを判定することによって、車両が直進状態であるか否かを判定する。閾値αは、車両の進路が変化していないと判断できるとして経験的に求められる範囲の値に設定される。そして、直進判定処理部83は、運転支援指令値As*が目標進路として直進を示す情報であり、当該運転支援指令値As*の変化幅が閾値αの範囲内にある場合に上記直進状態である旨を示す直進フラグFLG1を補償量演算処理部82に対して出力する。また、直進判定処理部83は、運転支援指令値As*が目標進路として直進以外を示す情報であったり、当該運転支援指令値As*の変化幅が閾値αの範囲を逸脱したりする場合に上記直進状態でない旨を示す直進フラグFLG1を補償量演算処理部82に対して出力する。
以上に説明した本実施形態によれば、運転支援装置を構築する電動パワーステアリング装置1においても上記第1実施形態の(1)〜(6)と同様の効果を発揮することができる。
なお、上記各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・補償量演算処理部82では、マップ演算に替えて関数(数式等の演算式)を用いて補償成分Tr*を演算することもできる。また、補償量演算処理部82では、合算転舵モーメントMztを入力とし、補償成分Tr*をマップ演算したり、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)をそれぞれ入力とし、補償成分Tr*をマップ演算したりしてもよい。また、補償量演算処理部82では、上記加速状態における加速度を考慮した3次元マップを用いることで、補償成分Tr*の特性を調整したりしてもよい。また、補償量演算処理部82が備えているマップの具体的な特性については、車両の仕様や使用環境等に応じて適宜変更可能である。
・補償量演算処理部82では、トルクステア量Tr0に対して正負を反転させた成分として補償成分Tr*を生成するようにしてもよい。この場合、トルク指令値演算部53は、減算処理部72の替わりに、アシスト成分Ta*と、補償成分Tr*とを加算してトルク指令値T*を演算(生成)する加算処理部を有していればよい。
・補償成分演算部71は、トルクステア量Tr0に基づいて、アシスト成分Ta*に乗算するゲインを演算する構成としてもよい。この場合、トルク指令値演算部53は、減算処理部72の替わりに、アシスト成分Ta*に対して、補償成分演算部71で生成されたゲインを乗算してトルク指令値T*を演算(生成)する乗算処理部を有していればよい。
・加速判定処理部85は、各車輪速V(L),V(R)の替わりに、車両のアクセル開度や加速度センサ等、他の方法で上記加速状態であるか否かを判定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、加算処理部80を割愛し、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)のそれぞれに基づいて、補償成分Tr*を演算(生成)して後から加算する等するようにしてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・補償成分演算部71において、変換処理部81については、補償量演算処理部82の後の処理として設定してもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・補償成分演算部71では、変換処理部81において、各前輪15L,15Rのz軸方向回りのモーメント荷重をラックシャフト12の軸方向の力成分に変換処理された軸力に基づいて、補償成分Tr*を生成してもよい。
・各ハブユニット17L,17Rでは、各前輪15L,15Rに作用する力に基づいて、各転舵モーメントMz(L),Mz(R)を少なくとも出力することができるように構成されていればよい。このような条件を満たすのであれば、各ハブユニット17L,17Rにおいて、各前輪センサ62L,62Rは、超音波検出式や、磁気検出式や、歪みゲージを用いた接触式等、センサの仕様は問わない。
・各ハブユニット17L,17Rは、各前輪15L,15Rに作用する力に基づいて、各前輪15L,15Rに作用するモーメント荷重Mzを出力するものであってもよい。この場合、補償成分演算部71では、各前輪15L,15Rに作用するモーメント荷重Mzから直接的にトルク成分に変換処理するようにしたり、一旦、転舵モーメントを演算してからトルク成分に変換処理するようにしたりしてもよい。
・上記第1実施形態において、アシスト成分演算部70では、アシスト成分Ta*を演算する際、操舵トルクTrqを少なくとも用いていればよく、各車輪速V(R),V(L)を用いなくてもよい。その他、アシスト成分Ta*を演算する際は、操舵トルクTrq及び各車輪速V(R),V(L)と、これら以外の要素とを用いるようにしてもよい。これは、上記第2実施形態においてパワステ制御用のアシスト成分を演算する際も同様である。
・上記第1実施形態において、例えば、ステアリングシャフト11の回転に基づき変化する操舵角を検出する舵角センサが車載されている場合、直進判定処理部83では、回転角度θmの替わりに、舵角センサの検出結果を用いて上記直進状態であるか否かを判定するようにしてもよい。
・上記第2実施形態において、アシスト成分演算部70では、運転支援制御用のアシスト成分を演算する際、運転支援指令値As*を少なくとも用いていればよく、各車輪速V(R),V(L)を用いたり、それ以外の要素を用いたりしてもよい。
・上記第2実施形態において、運転支援制御が実行されておらず、パワステ制御のみが実行されている場合、直進判定処理部83では、上記第1実施形態と同様、回転角度θmを用いて上記直進状態であるか否かが判定されるようにしてもよい。この場合、運転支援制御が実行されているか否かに関係なく、アシスト成分Ta*を補償成分Tr*によって補償することができるようになる。
・上記各実施形態は、ドライブシャフトDSが左右で分割されて構成される車両に対して適用することもできる。この場合、ドライブシャフトDSの左右の間で長さに差があったとしても、これが原因で発生するトルクステアに対して、上記各実施形態と同様により早く対処することができる。
・上記各実施形態は、出力軸40aがラックシャフト12の軸線に対して平行に配置されたモータ40により操舵機構2にアシスト力を付与するラックアシスト型の電動パワーステアリング装置1に限らず、例えば、コラム型やピニオン型等の電動パワーステアリング装置であっても適用可能である。
・上記各実施形態は、FF方式の車両の他、転舵輪である各前輪15L,15Rが駆動輪として機能する四輪駆動方式の車両に適用する場合にも上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。四輪駆動方式の車両では、FF方式をベースとし、各前輪15L,15Rの重量配分が大きくなる四輪駆動方式の場合に特に効果的である。
・上記各変形例は、互いに組み合わせて適用してもよく、例えば、ドライブシャフトDSが左右で分割された構成とすることと、その他の変形例の構成とは、互いに組み合わせて適用してもよい。
1…電動パワーステアリング装置、2…操舵機構、10…ステアリングホイール、12…ラックシャフト、15…転舵輪、15L…左前輪、15R…右前輪、17…ハブユニット、17L…左前ハブユニット、17R…右前ハブユニット、40…モータ、40a…出力軸、50…操舵制御装置、51…マイコン、53…トルク指令値演算部、62…ハブユニットセンサ、62L…左前輪センサ、62R…右前輪センサ、70…アシスト成分演算部、71…補償成分演算部、80…加算処理部、81…変換処理部、82…補償量演算処理部、83…直進判定処理部、84…非操舵判定処理部、85…加速判定処理部、Fx,Fy,Fz…荷重、FLG1…直進フラグ、FLG2…非操舵フラグ、FLG3…加速フラグ、Mx,Mz…モーメント荷重、Mz(L)…左前転舵モーメント、Mz(R)…右前転舵モーメント、T*…トルク指令値、Ta*…アシスト成分、Tr*…補償成分、Tr0…トルクステア量、Trq…操舵トルク、V(L),V(R)…車輪速。

Claims (6)

  1. 車両の操舵機構の左右一対の駆動輪を転舵させるように、前記操舵機構に付与するアシスト力の発生源であるモータの駆動を制御する制御部を備え、
    前記制御部は、前記モータに発生させるべき前記アシスト力を示すアシスト成分を演算するとともに、前記車両が直進状態であることと、前記操舵機構に対する運転者の前記各駆動輪を転舵させる操舵がなされていない非操舵状態であることと、前記車両の走行状態が加速状態であることとを満たす状況で、前記各駆動輪を回転自在に支持し、当該各駆動輪に作用する力を検出するセンサを有する軸受装置によって取得する前記各駆動輪の上下方向に延びる軸線回りのモーメント荷重に関する情報を取得し、当該取得した前記モーメント荷重に関する情報を用いて、前記各駆動輪が回転駆動する際に当該各駆動輪の間で生じる駆動トルクの差であるトルク差を抑制するためのトルク差抑制力を前記モータに発生させるべく、前記アシスト成分を補償するように構成されている操舵制御装置。
  2. 前記制御部は、前記モーメント荷重に関する情報を用いて、前記アシスト成分を補償することによって、前記モータの制御量の目標値であるトルク指令値を演算するトルク指令値演算部を含み、
    前記トルク指令値演算部は、
    前記アシスト成分を演算するアシスト成分演算部と、
    前記トルク差抑制力を前記モータに発生させるように、前記アシスト成分を補償するための補償成分を演算する補償成分演算部と、を有し、
    前記補償成分演算部は、前記直進状態、前記非操舵状態、及び前記加速状態を満たす場合、前記モーメント荷重が前記操舵機構に及ぼす力成分に基づいて、前記補償成分を演算処理する補償量演算処理部を有している請求項1に記載の操舵制御装置。
  3. 前記補償成分は、前記モーメント荷重が前記操舵機構に及ぼす力成分に対して正負を反転させた成分として前記トルク指令値に反映されるように構成されている請求項2に記載の操舵制御装置。
  4. 前記補償量演算処理部は、前記モーメント荷重が前記操舵機構に及ぼす力成分を入力とし、前記補償成分をマップ演算するように構成されている請求項2又は請求項3に記載の操舵制御装置。
  5. 前記補償成分演算部は、前記モーメント荷重に関する情報として、前記各駆動輪に関する情報を加算して得られる情報を演算する加算処理部を有しており、前記各駆動輪に関する情報を加算して得られる情報を用いて、前記補償成分を演算する請求項2〜請求項4のうちいずれか一項に記載の操舵制御装置。
  6. 前記加速状態は、前記軸受装置によって取得する前記各駆動輪の車輪速に基づいて判定されるように構成されている請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の操舵制御装置。
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