JP2019019203A - インクジェットインク、インクカートリッジ、インクジェットプリンタ、インクジェット捺染方法及び着色布の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐洗濯性、耐汗性、及び乾摩擦堅牢度に優れ、かつ風合いに優れた着色布を提供することができるインクジェットインク等を提供すること。【解決手段】明細書に記載の特定の染料に由来する構造と、明細書に記載の一般式(a−1)で表される基とを有するポリマーの水分散液を含むインクジェットインクであって、上記ポリマーは、上記染料に由来する構造を有する単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の明細書に記載の一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合してなるポリマーである、インクジェットインク、上記インクジェットインクを含有するインクカートリッジ及びインクジェットプリンタ、並びに上記インクジェットインクを用いたインクジェット捺染方法及び着色布の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェットインク、インクカートリッジ、インクジェットプリンタ、インクジェット捺染方法及び着色布の製造方法に関する。
インクジェットインクは、インクジェット法に適用できるインクであり、種々の用途に広く用いられている。
たとえば、インクジェット捺染は、版を作製する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成でき、更に、形成画像として必要な量のインクのみを使用するため、廃液が少ないなどの環境的な利点を有する優れた捺染方法であると言える。
たとえば、インクジェット捺染は、版を作製する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成でき、更に、形成画像として必要な量のインクのみを使用するため、廃液が少ないなどの環境的な利点を有する優れた捺染方法であると言える。
特許文献1には、顔料を含むインクジェットインクを用いたインクジェット捺染方法が記載されている。この方法では、顔料と分散剤としての界面活性剤を水中で混合した後、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、又はステンレス球などと共にアトライター又はミル機等で微分散したものが着色剤として用いられている。そして、この着色剤を、顔料固着用のエマルジョン樹脂を配合したレジューサーにより希釈し、顔料インクを調製し、インクジェット方式により繊維に付着させ、加熱ローラーによって樹脂を融着させることで顔料を固着させる。
また、特許文献2及び3には、着色剤が結合したポリウレタンの水分散液を含むインクが記載されている。
特許文献4には、アゾメチン染料、インドアニリン染料又はアゾ染料が結合したアクリルポリマーの水分散液を含むインクジェットインクが記載されている。
特許文献4には、アゾメチン染料、インドアニリン染料又はアゾ染料が結合したアクリルポリマーの水分散液を含むインクジェットインクが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載された顔料を含むインクジェットインクによるインクジェット捺染は、得られる着色布の風合いは優れているとは言えないものである。
特許文献2には、アゾ色素が結合したポリウレタンの水分散液を含むインクしか具体的な開示がない。
特許文献3に具体的に開示されたインクは粘度が高く、インクジェットインクとして用いた場合には吐出が難しく、インクジェットヘッドが詰まり印画適性がないという問題がある。
また、特許文献4には、アゾメチン染料、インドアニリン染料又はアゾ染料が結合したアクリルポリマーの水分散液を含むインクジェットインクしか記載されていない。特許文献4では、カプラー成分を乳化重合した後にカップリング反応により水分散液を得ているが、この方法はカップリング反応により得られない染料には適用できない。
なお、特許文献2〜4には、捺染については具体的な開示はない。
特許文献2には、アゾ色素が結合したポリウレタンの水分散液を含むインクしか具体的な開示がない。
特許文献3に具体的に開示されたインクは粘度が高く、インクジェットインクとして用いた場合には吐出が難しく、インクジェットヘッドが詰まり印画適性がないという問題がある。
また、特許文献4には、アゾメチン染料、インドアニリン染料又はアゾ染料が結合したアクリルポリマーの水分散液を含むインクジェットインクしか記載されていない。特許文献4では、カプラー成分を乳化重合した後にカップリング反応により水分散液を得ているが、この方法はカップリング反応により得られない染料には適用できない。
なお、特許文献2〜4には、捺染については具体的な開示はない。
本発明の課題は、耐洗濯性、耐汗性、及び乾摩擦堅牢度に優れ、かつ風合いに優れた着色布を提供することができるインクジェットインク、上記インクジェットインクを含有するインクカートリッジ及びインクジェットプリンタ、並びに上記インクジェットインクを用いたインクジェット捺染方法及び着色布の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ね、下記の手段によって上記課題を解決できることを見出した。
<1>
スチルベン染料、トリアリールメタン染料、キノリン染料、キサンテン染料、二グロシン染料、オキサジン染料、チアジン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、キノフタロン染料、シアニン染料及びフタロシアニン染料からなる群より選択される少なくとも1種の染料に由来する構造と、下記一般式(a−1)で表される基とを有するポリマーの水分散液を含むインクジェットインクであって、
上記ポリマーは、上記染料に由来する構造を有する単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の下記一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合してなるポリマーである、インクジェットインク。
スチルベン染料、トリアリールメタン染料、キノリン染料、キサンテン染料、二グロシン染料、オキサジン染料、チアジン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、キノフタロン染料、シアニン染料及びフタロシアニン染料からなる群より選択される少なくとも1種の染料に由来する構造と、下記一般式(a−1)で表される基とを有するポリマーの水分散液を含むインクジェットインクであって、
上記ポリマーは、上記染料に由来する構造を有する単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の下記一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合してなるポリマーである、インクジェットインク。
一般式(a−1)中、Mは水素原子又はカチオンを表す。*は結合手を表す。
<2>
上記ポリマーが、アクリルポリマーである<1>に記載のインクジェットインク。
<3>
上記一般式(a−1)で表される基を含む単量体が下記一般式(a−1−1m)又は(a−1−2m)で表される単量体である、<2>に記載のインクジェットインク。
<2>
上記ポリマーが、アクリルポリマーである<1>に記載のインクジェットインク。
<3>
上記一般式(a−1)で表される基を含む単量体が下記一般式(a−1−1m)又は(a−1−2m)で表される単量体である、<2>に記載のインクジェットインク。
一般式(a−1−1m)及び(a−1−2m)中、Xaは水素原子又はメチル基を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。一般式(a−1−2m)中、kは1〜5を表す。
<4>
捺染用である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
<5>
<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェットインクを含有するインクカートリッジ。
<6>
<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェットインクを含有するインクジェットプリンタ。
<7>
<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェットインクをインクジェット方式で布帛に印捺する工程を有するインクジェット捺染方法。
<8>
更に、熱処理工程を含む<7>に記載のインクジェット捺染方法。
<9>
上記布帛として、凝集剤を含む水性処理液で処理された布帛を用いる、<7>又は<8>に記載のインクジェット捺染方法。
<10>
有機溶剤中で、上記染料に由来する構造を有する単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の下記式(a−1h)で表される基を含む単量体とを重合してポリマーを得て、水を添加して乳化させ、上記有機溶剤を除去することにより、上記ポリマーの水分散液を得る工程を有する<7>〜<9>のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
<4>
捺染用である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
<5>
<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェットインクを含有するインクカートリッジ。
<6>
<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェットインクを含有するインクジェットプリンタ。
<7>
<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェットインクをインクジェット方式で布帛に印捺する工程を有するインクジェット捺染方法。
<8>
更に、熱処理工程を含む<7>に記載のインクジェット捺染方法。
<9>
上記布帛として、凝集剤を含む水性処理液で処理された布帛を用いる、<7>又は<8>に記載のインクジェット捺染方法。
<10>
有機溶剤中で、上記染料に由来する構造を有する単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の下記式(a−1h)で表される基を含む単量体とを重合してポリマーを得て、水を添加して乳化させ、上記有機溶剤を除去することにより、上記ポリマーの水分散液を得る工程を有する<7>〜<9>のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
式(a−1h)中、*は結合手を表す。
<11>
<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェットインクをインクジェット方式で布帛に印捺する工程を有する着色布の製造方法。
<12>
更に、熱処理工程を含む<11>に記載の着色布の製造方法。
<11>
<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェットインクをインクジェット方式で布帛に印捺する工程を有する着色布の製造方法。
<12>
更に、熱処理工程を含む<11>に記載の着色布の製造方法。
本発明によれば、耐洗濯性、耐汗性、及び乾摩擦堅牢度に優れ、かつ風合いに優れた着色布を提供することができるインクジェットインク、上記インクジェットインクを含有するインクカートリッジ及びインクジェットプリンタ、並びに上記インクジェットインクを用いたインクジェット捺染方法及び着色布の製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一種を表し、「(メタ)アクリル酸エステル」はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくとも一種を表す。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一種を表し、「(メタ)アクリル酸エステル」はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくとも一種を表す。
本明細書において、「置換基群Aから選ばれる置換基」とは、国際公開第2015/199135号の[0012]〜[0051]に記載された置換基を示す。
また、本明細書において置換基群A1は下記の置換基を含むものとする。
また、本明細書において置換基群A1は下記の置換基を含むものとする。
(置換基群A1)
ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数3〜30)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30)、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜30)、アミノ基、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30)、アルキルスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30)、アリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数6〜30)、及びこれらを2つ以上組み合わせてなる置換基。
ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数3〜30)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30)、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜30)、アミノ基、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30)、アルキルスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30)、アリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数6〜30)、及びこれらを2つ以上組み合わせてなる置換基。
本発明において、スルホ基、カルボキシル基などのイオン性基は、カチオン又はアニオンを含む状態(「塩の状態」ともいう)であってもよい。たとえば、カルボキシル基、リン酸基、及びスルホ基は、カチオンを含む状態であってもよく、塩の状態を形成するカチオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
<染料に由来する構造を有するポリマー>
本発明に用いられる、スチルベン染料、トリアリールメタン染料、キノリン染料、キサンテン染料、二グロシン染料、オキサジン染料、チアジン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、キノフタロン染料、シアニン染料及びフタロシアニン染料からなる群より選択される少なくとも1種の染料に由来する構造を有するポリマー(以下、「染料ポリマー」とも呼ぶ。)において、染料に由来する構造とは、上記染料として用いられる有機化合物から任意の水素原子を1個以上取り除いてなる基(染料残基)であり、好ましくは染料として用いられる有機化合物から任意の水素原子を1個又は2個取り除いてなる基である。
染料ポリマーは、染料に由来する構造を含む色素多量体であり、線状のポリマーであっても良いし、網目状のポリマーであっても良い。線状のポリマーである場合は、染料に由来する構造はポリマーの主鎖に有していても良いし、側鎖に有していても良い。
染料ポリマーは、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有するポリマーであっても良い。
本発明に用いられる、スチルベン染料、トリアリールメタン染料、キノリン染料、キサンテン染料、二グロシン染料、オキサジン染料、チアジン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、キノフタロン染料、シアニン染料及びフタロシアニン染料からなる群より選択される少なくとも1種の染料に由来する構造を有するポリマー(以下、「染料ポリマー」とも呼ぶ。)において、染料に由来する構造とは、上記染料として用いられる有機化合物から任意の水素原子を1個以上取り除いてなる基(染料残基)であり、好ましくは染料として用いられる有機化合物から任意の水素原子を1個又は2個取り除いてなる基である。
染料ポリマーは、染料に由来する構造を含む色素多量体であり、線状のポリマーであっても良いし、網目状のポリマーであっても良い。線状のポリマーである場合は、染料に由来する構造はポリマーの主鎖に有していても良いし、側鎖に有していても良い。
染料ポリマーは、染料に由来する構造を含む繰り返し単位を有するポリマーであっても良い。
染料ポリマーとしては、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合してなるポリマー(例えばアクリルポリマー、ビニルポリマー、スチレンポリマーなど)、又はウレタンポリマーが好ましく、アクリルポリマー又はウレタンポリマーがより好ましい。
本発明におけるアクリルポリマーとは、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する繰り返し単位からなる群のうち少なくとも1種の繰り返し単位を有するポリマーである。本発明におけるウレタンポリマー(「ポリウレタン」とも呼ぶ。)とは、ウレタン結合を有するポリマーのことであり、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物とイソシアネート基を2個以上有する化合物との重合反応により形成される。また、本発明におけるスチレンポリマーとは、スチレンに由来する繰り返し単位を有するポリマーのことをいう。
染料ポリマーを得るための方法は任意であるが、染料に由来する構造を含む単量体(「染料単量体」とも呼ぶ。)を重合若しくはその他の単量体と共重合させて染料ポリマーを得る方法、又は、予め染料に由来する構造を有さないポリマーを用意した後に、高分子反応などにより染料に由来する構造を導入して染料ポリマーとする方法が挙げられる。染料ポリマー又は染料に由来する構造を有さないポリマーの製造方法は、特に制限されないが、ラジカル重合、付加重合又は縮重合で合成したものが好ましく用いられる。
本発明におけるアクリルポリマーとは、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する繰り返し単位からなる群のうち少なくとも1種の繰り返し単位を有するポリマーである。本発明におけるウレタンポリマー(「ポリウレタン」とも呼ぶ。)とは、ウレタン結合を有するポリマーのことであり、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物とイソシアネート基を2個以上有する化合物との重合反応により形成される。また、本発明におけるスチレンポリマーとは、スチレンに由来する繰り返し単位を有するポリマーのことをいう。
染料ポリマーを得るための方法は任意であるが、染料に由来する構造を含む単量体(「染料単量体」とも呼ぶ。)を重合若しくはその他の単量体と共重合させて染料ポリマーを得る方法、又は、予め染料に由来する構造を有さないポリマーを用意した後に、高分子反応などにより染料に由来する構造を導入して染料ポリマーとする方法が挙げられる。染料ポリマー又は染料に由来する構造を有さないポリマーの製造方法は、特に制限されないが、ラジカル重合、付加重合又は縮重合で合成したものが好ましく用いられる。
染料に由来する構造としては、カラーインデックス(略称は「C.I.」)で分類されているような染料に由来する構造、又はその構造に本発明の効果を奏する範囲内で任意の置換基を置換させた構造、若しくはその構造から本発明の効果を奏する範囲内で任意の置換基を取り除いた構造であることが好ましい。
染料としては、スチルベン染料、トリアリールメタン染料、キノリン染料、キサンテン染料、二グロシン染料、オキサジン染料、チアジン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、キノフタロン染料、シアニン染料及びフタロシアニン染料からなる群より選択される少なくとも1種の染料であり、好ましくは、着色力の観点から、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アントラキノン染料、キノフタロン染料及びフタロシアニン染料からなる群より選択される少なくとも1種の染料であり、後述する一般式(M1)〜(M5)のいずれかで表される染料が特に好ましい。
染料としては、スチルベン染料、トリアリールメタン染料、キノリン染料、キサンテン染料、二グロシン染料、オキサジン染料、チアジン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、キノフタロン染料、シアニン染料及びフタロシアニン染料からなる群より選択される少なくとも1種の染料であり、好ましくは、着色力の観点から、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アントラキノン染料、キノフタロン染料及びフタロシアニン染料からなる群より選択される少なくとも1種の染料であり、後述する一般式(M1)〜(M5)のいずれかで表される染料が特に好ましい。
染料としては、水に溶解する染料であってもよいし、水に不溶な染料であってもよいが、染料ポリマーの耐水性及び耐洗濯性の観点から、水に不溶な染料であることが好ましい。また、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、及びこれらの塩、アンモニウム基などのイオン性基を有さない染料であることが好ましい。このような染料としては、特に限定されないが、例えば分散染料など水に不溶な染料を用いてもよいし、水に可溶な染料からイオン性基を除いたものを用いてもよい。
染料ポリマーとしては、下記一般式(1)で表される構造及び下記一般式(2)で表される構造の少なくとも1種を含むポリマー、又は、下記一般式(3)で表される構造を含むポリマーであることが好ましい。
下記一般式(1)で表される構造及び下記一般式(2)で表される構造の少なくとも1種を含むポリマーとしては、下記一般式(1)で表される構造を1種又は2種以上含むポリマー、下記一般式(2)で表される構造を1種又は2種以上含むポリマー、下記一般式(1)で表される構造を1種以上含み、かつ下記一般式(2)で表される構造を1種以上含むポリマー、下記一般式(1)で表される構造及び下記一般式(2)で表される構造の少なくとも1種とその他の構造を含むポリマーなどが挙げられる。
下記一般式(3)で表される構造を含むポリマーとしては、下記一般式(3)で表される構造を1種又は2種以上含むポリマー、下記一般式(3)で表される構造とその他の構造を含むポリマーなどが挙げられる。
下記一般式(1)で表される構造及び下記一般式(2)で表される構造の少なくとも1種を含むポリマーとしては、下記一般式(1)で表される構造を1種又は2種以上含むポリマー、下記一般式(2)で表される構造を1種又は2種以上含むポリマー、下記一般式(1)で表される構造を1種以上含み、かつ下記一般式(2)で表される構造を1種以上含むポリマー、下記一般式(1)で表される構造及び下記一般式(2)で表される構造の少なくとも1種とその他の構造を含むポリマーなどが挙げられる。
下記一般式(3)で表される構造を含むポリマーとしては、下記一般式(3)で表される構造を1種又は2種以上含むポリマー、下記一般式(3)で表される構造とその他の構造を含むポリマーなどが挙げられる。
一般式(1)中、X1及びX2は各々独立に−O−、−NH−又は−NR1−を表し、R1は置換基を表し、L1は3価の連結基を表し、L2は2価の連結基を表し、D1は染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表す。X1及びX2の一方が−NR1−を表し、他方が−NH−又は−NR1−を表す場合、X1とX2とは結合してもよい。
一般式(2)中、X3及びX4は各々独立に−O−、−NH−又は−NR1−を表し、R1は置換基を表し、L3及びL4は各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、L5は2価の連結基を表し、D2は染料から任意の水素原子を2個取り除いた染料残基を表す。X3及びX4の一方が−NR1−を表し、他方が−NH−又は−NR1−を表す場合、X3とX4とは結合してもよい。
一般式(3)中、R2〜R4は各々独立に水素原子又は置換基を表し、L6は単結合又は下記式(L6−1)若しくは(L6−2)で表される2価の連結基を表し、D1は染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表す。
式(L6−1)中、L7は単結合又は2価の連結基を表し、*4は、一般式(3)中の炭素原子と結合する位置を表し、*5は、一般式(3)中のD1と結合する位置を表す。
式(L6−2)中、L8は単結合又は2価の連結基を表し、*6は、一般式(3)中の炭素原子と結合する位置を表し、*7は、一般式(3)中のD1と結合する位置を表す。
式(L6−2)中、L8は単結合又は2価の連結基を表し、*6は、一般式(3)中の炭素原子と結合する位置を表し、*7は、一般式(3)中のD1と結合する位置を表す。
〔一般式(1)で表される構造〕
一般式(1)で表される構造について説明する。
一般式(1)中、X1及びX2は各々独立に−O−、−NH−又は−NR1−を表し、R1は置換基を表す。R1はアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることが好ましい。X1及びX2は−O−又は−NH−を表すことが好ましく、−O−を表すことがより好ましい。
一般式(1)で表される構造について説明する。
一般式(1)中、X1及びX2は各々独立に−O−、−NH−又は−NR1−を表し、R1は置換基を表す。R1はアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であることが好ましい。X1及びX2は−O−又は−NH−を表すことが好ましく、−O−を表すことがより好ましい。
一般式(1)中、L1は3価の連結基を表す。L1が表す3価の連結基としては、本発明の効果を奏しうる範囲であれば何ら限定されないが、炭素数1〜30の置換若しくは無置換の直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基(飽和脂肪族炭化水素基であっても不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい)、炭素数6〜30の置換若しくは無置換の芳香族基(芳香族炭化水素基であっても、芳香族複素環基であってもよい)、下記一般式(L−1)で表される連結基、下記一般式(L−2)で表される連結基、及びこれらを2個以上連結して形成される連結基が好ましい。これらが置換基を有する場合の置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基(好ましくは上記置換基群A1から選ばれる置換基)が挙げられる。また、上記連結基中には、更に、−O−、−S−、−NR−(Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)、−C(=O)−、−SO−、−SO2−などを有していてもよい。
一般式(L−1)及び(L−2)中、L11及びL12は各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。*1及び*2は、それぞれ一般式(1)中のX1及びX2と結合する位置を表し、*3は、一般式(1)中のD1と結合する位置を表す。
一般式(L−1)及び(L−2)中、L11及びL12は各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。L11及びL12が2価の連結基を表す場合の2価の連結基としては、本発明の効果を奏しうる範囲であれば何ら限定されないが、置換若しくは無置換のアルキレン基(直鎖状であっても分岐状であっても良く、炭素数は1〜30であることが好ましい。)、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基(炭素数は3〜30であることが好ましい。)、置換若しくは無置換のアリーレン基(炭素数は6〜30であることが好ましい。)、置換若しくは無置換のヘテロ環基(炭素数は2〜30であることが好ましい。)、−CH=CH−、−O−、−S−、−NR−(Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)、−C(=O)−、−SO−、−SO2−、又はこれらを2個以上連結して形成される連結基が好ましい。これらが置換基を有する場合の置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基(好ましくは上記置換基群A1から選ばれる置換基)が挙げられる。
一般式(1)中、L2は2価の連結基を表す。L2が表す2価の連結基としては、前述の一般式(L−1)及び(L−2)中のL11及びL12が2価の連結基を表す場合の2価の連結基の説明において記載したものと同様である。
一般式(1)中、D1は染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表す。D1は本発明の効果を奏する範囲であれば限定されないが、下記一般式(M1)〜(M5)のいずれかで表される染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表すことが好ましい。なお、一般式(M2)及び(M3)は、それぞれの共鳴構造も含むものとする。
一般式(M1)中、R101〜R110は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
一般式(M2)中、R201〜R215は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X201は一価の陰イオンを表し、n201は0又は1を表す。
一般式(M3)中、R301〜R317は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X301は一価の陰イオンを表し、n301は0又は1を表す。
一般式(M4)中、R501〜R508は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
一般式(M5)中、R811〜R818及びR821〜R828は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
一般式(M2)中、R201〜R215は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X201は一価の陰イオンを表し、n201は0又は1を表す。
一般式(M3)中、R301〜R317は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X301は一価の陰イオンを表し、n301は0又は1を表す。
一般式(M4)中、R501〜R508は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
一般式(M5)中、R811〜R818及びR821〜R828は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
一般式(M1)中のR101〜R110、一般式(M2)中のR201〜R215、一般式(M3)中のR301〜R317、一般式(M4)中のR501〜R508、並びに一般式(M5)中のR811〜R818及びR821〜R828が置換基を表す場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基(好ましくは上記置換基群A1から選ばれる置換基)が挙げられる。
一般式(M1)中のR101〜R110、一般式(M2)中のR201〜R215、一般式(M3)中のR301〜R317、及び一般式(M4)中のR501〜R508が置換基を表す場合、その置換基のうち少なくとも2つは、互いに結合して5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環を形成していてもよい。形成される5員、6員、及び7員の環が、さらに置換可能な基である場合には、置換基をさらに有していてもよく、その置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基(好ましくは上記置換基群A1から選ばれる置換基)が挙げられる。
一般式(M2)におけるX201、及び一般式(M3)におけるX301として、好ましくは塩素イオン、アセテートイオン、トリフラートイオン、テトラフルオロボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、パークロレートイオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンが好ましい。
上記一般式(M1)〜(M5)で表される染料はカラーインデックスで分類されているものもあり、また従来公知の方法により合成することができる(例えば、特公平7−49583号公報、特許5715380号公報、国際公開第2010/110199号、特表2002−509957号公報など)。
本発明に用いることができる染料の具体例としては、PCT/JP2017/002788の[0126]〜[0128]に記載されている(M1−1)〜(M3−3)、特願2017−034066の[0096]〜[0098]の(M5−1)〜(M5−9)、[0100]に記載されているもの、及び特表2013−535558号公報の[0068]に記載されているものを参照することができる。
〔一般式(2)で表される構造〕
次に、一般式(2)で表される構造について説明する。
一般式(2)中のX3及びX4は一般式(1)中のX1及びX2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(2)中、L3及びL4は各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、L5は2価の連結基を表す。L3及びL4が2価の連結基を表す場合の2価の連結基、並びにL5が表す2価の連結基としては、前述の一般式(L−1)及び(L−2)中のL11及びL12が2価の連結基を表す場合の2価の連結基の説明において記載したものと同様である。
L3及びL4は単結合を表すことが好ましい。
次に、一般式(2)で表される構造について説明する。
一般式(2)中のX3及びX4は一般式(1)中のX1及びX2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(2)中、L3及びL4は各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、L5は2価の連結基を表す。L3及びL4が2価の連結基を表す場合の2価の連結基、並びにL5が表す2価の連結基としては、前述の一般式(L−1)及び(L−2)中のL11及びL12が2価の連結基を表す場合の2価の連結基の説明において記載したものと同様である。
L3及びL4は単結合を表すことが好ましい。
一般式(2)中、D2は染料から任意の水素原子を2個取り除いた染料残基を表す。D2は本発明の効果を奏する範囲であれば限定されないが、前述の一般式(M1)〜(M5)のいずれかで表される染料から任意の水素原子を2個取り除いた染料残基を表すことが更に好ましい。
一般式(2)のD2においても、一般式(M1)〜(M5)の好ましい範囲及び具体例は前述したものと同様である。
一般式(2)のD2においても、一般式(M1)〜(M5)の好ましい範囲及び具体例は前述したものと同様である。
本発明における染料ポリマーは、上記一般式(1)で表される構造及び上記一般式(2)で表される構造の少なくとも1種を含むポリマー(染料に由来する構造を有するポリウレタン)である場合、典型的には、イソシアネートと反応しうる染料単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体と、ジイソシアネートなどのイソシアネート基を2個以上有する単量体(ポリイソシアネート化合物)との重合反応により合成される。
(ポリイソシアネート化合物)
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、本発明においては、1分子中にイソシアネート基を2個有する化合物であることが好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、フェニレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、上記ジイソシアネートの多量体、ジオール1モルとジイソシアネート2モルとの反応生成物、を用いることができる。これらは、単独で用いても複数を組み合わせて用いても良い。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、本発明においては、1分子中にイソシアネート基を2個有する化合物であることが好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、フェニレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、上記ジイソシアネートの多量体、ジオール1モルとジイソシアネート2モルとの反応生成物、を用いることができる。これらは、単独で用いても複数を組み合わせて用いても良い。
染料単量体とポリイソシアネート化合物との反応においては触媒を用いることができる。触媒としては、スズ化合物、チタン化合物、ビスマス化合物、亜鉛化合物、有機塩基(第三級アミン化合物、又はジアザビシクロウンデセン(DBU)など)等を好適に用いることができる。
(その他の単量体)
本発明における染料ポリマーがポリウレタンである場合には、上記染料単量体、一般式(a−1)で表される基を含む単量体、及びポリイソシアネート化合物に加えて、更にこれら以外のその他の単量体を反応させて得られたポリマーであっても良い。
その他の単量体としては、ジオール、トリオール又はジアミンが好ましい。また、カルボキシル基を有するジオール又はカルボキシル基を有するトリオールも好ましい。
本発明における染料ポリマーがポリウレタンである場合には、上記染料単量体、一般式(a−1)で表される基を含む単量体、及びポリイソシアネート化合物に加えて、更にこれら以外のその他の単量体を反応させて得られたポリマーであっても良い。
その他の単量体としては、ジオール、トリオール又はジアミンが好ましい。また、カルボキシル基を有するジオール又はカルボキシル基を有するトリオールも好ましい。
本発明における染料ポリマーはポリウレタンである場合、更にウレア結合を有するポリマーであってもよい。ウレタン結合とウレア結合を有するポリマーを「ポリウレタン/ウレア」とも呼ぶ。
本発明における染料ポリマーの好ましい形態の1種として、染料に由来する構造及びウレタン結合を含む第1の部分構造と、ウレタン結合を含む第2の部分構造とがウレア結合により結合したポリウレタン/ウレアが挙げられる。
本発明における染料ポリマーの好ましい形態の1種として、染料に由来する構造及びウレタン結合を含む第1の部分構造と、ウレタン結合を含む第2の部分構造とがウレア結合により結合したポリウレタン/ウレアが挙げられる。
〔一般式(3)で表される構造〕
次に、一般式(3)で表される構造について説明する。
一般式(3)で表される構造を含むポリマーは、ビニルポリマー、アクリルポリマー、又はスチレンポリマーであることが好ましい。
一般式(3)中のR2及びR3は各々独立に水素原子又は置換基を表し、置換基を表する場合の置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基(好ましくは上記置換基群A1から選ばれる置換基)が挙げられる。R2及びR3は水素原子を表すことが好ましい。
一般式(3)中のR4は水素原子又は置換基を表し、置換基を表する場合の置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基(好ましくは上記置換基群A1から選ばれる置換基)が挙げられる。R4は水素原子又はメチル基を表すことが好ましい。
上記式(L6−1)中のL7及び上記式(L6−2)中のL8は各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、2価の連結基を表す場合の2価の連結基としては、前述の一般式(L−1)及び(L−2)中のL11及びL12が2価の連結基を表す場合の2価の連結基の説明において記載したものと同様である。
一般式(3)中のL6は、上記式(L6−1)で表される2価の連結基を表すことが好ましい。
一般式(3)中、D1は染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表す。D1は本発明の効果を奏する範囲であれば限定されないが、前述の一般式(M1)〜(M5)のいずれかで表される染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表すことが更に好ましい。
一般式(3)のD1においても、一般式(M1)〜(M5)の好ましい範囲及び具体例は前述したものと同様である。
次に、一般式(3)で表される構造について説明する。
一般式(3)で表される構造を含むポリマーは、ビニルポリマー、アクリルポリマー、又はスチレンポリマーであることが好ましい。
一般式(3)中のR2及びR3は各々独立に水素原子又は置換基を表し、置換基を表する場合の置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基(好ましくは上記置換基群A1から選ばれる置換基)が挙げられる。R2及びR3は水素原子を表すことが好ましい。
一般式(3)中のR4は水素原子又は置換基を表し、置換基を表する場合の置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基(好ましくは上記置換基群A1から選ばれる置換基)が挙げられる。R4は水素原子又はメチル基を表すことが好ましい。
上記式(L6−1)中のL7及び上記式(L6−2)中のL8は各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、2価の連結基を表す場合の2価の連結基としては、前述の一般式(L−1)及び(L−2)中のL11及びL12が2価の連結基を表す場合の2価の連結基の説明において記載したものと同様である。
一般式(3)中のL6は、上記式(L6−1)で表される2価の連結基を表すことが好ましい。
一般式(3)中、D1は染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表す。D1は本発明の効果を奏する範囲であれば限定されないが、前述の一般式(M1)〜(M5)のいずれかで表される染料から任意の水素原子を1個取り除いた染料残基を表すことが更に好ましい。
一般式(3)のD1においても、一般式(M1)〜(M5)の好ましい範囲及び具体例は前述したものと同様である。
本発明における染料ポリマーは、エチレン性不飽和基(好ましくはアクリロイル基又はメタクリロイル基)を有する単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合してなるポリマーである場合は、染料に由来する構造を有し、かつエチレン性不飽和基を有する化合物(染料単量体)と、一般式(a−1)で表される基を含み、かつエチレン性不飽和基を有する単量体とを重合して得られるポリマーであることが好ましい。
前述の染料(好ましくは一般式(M1)〜(M5)のいずれかで表される染料)が、エチレン性不飽和基を有する場合は、染料単量体として用いることができる。
また、前述の染料(好ましくは一般式(M1)〜(M5)のいずれかで表される染料)が、エチレン性不飽和基を有さない場合は、染料にエチレン性不飽和基を化学反応により導入することで染料単量体とすることができる。
前述の染料(好ましくは一般式(M1)〜(M5)のいずれかで表される染料)が、エチレン性不飽和基を有する場合は、染料単量体として用いることができる。
また、前述の染料(好ましくは一般式(M1)〜(M5)のいずれかで表される染料)が、エチレン性不飽和基を有さない場合は、染料にエチレン性不飽和基を化学反応により導入することで染料単量体とすることができる。
(その他の単量体)
本発明における染料ポリマーがエチレン性不飽和基を有する単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合してなるポリマーである場合には、上記染料単量体及び一般式(a−1)で表される基を含む単量体に加えて、更にその他の単量体を共重合させて得られたポリマーであっても良い。
本発明における染料ポリマーがエチレン性不飽和基を有する単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合してなるポリマーである場合には、上記染料単量体及び一般式(a−1)で表される基を含む単量体に加えて、更にその他の単量体を共重合させて得られたポリマーであっても良い。
(染料ポリマーの構造)
本発明における染料ポリマーは、一般式(a−1)で表される基を有するポリマーであり、少なくとも、上記染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合してなるポリマーである。
すなわち、別の言い方をすると、本発明における染料ポリマーは、全モノマー単位に対して、一般式(a−1)で表される基を含む単量体に対応するモノマー単位の含有量が1質量%以上20質量%以下である。
一般式(a−1)で表される基を含む単量体の含有量が、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下であると、染料ポリマーが低酸価(酸価が1〜50mgKOH/g)で分散できるので、水に非常に溶けにくくなる。そのため、着色布の耐洗濯性が向上すると考えられる。特に、凝集剤を含む水性処理液で前処理した布帛に、本発明における染料ポリマーを含むインクジェットインクで捺染すると、予想外に耐汗性が向上することがわかった。一般式(a−1)のカルボキシル基と水性処理液中の凝集剤とが相互作用することにより耐汗性が向上したものと推察している。
本発明における染料ポリマーは、一般式(a−1)で表される基を有するポリマーであり、少なくとも、上記染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合してなるポリマーである。
すなわち、別の言い方をすると、本発明における染料ポリマーは、全モノマー単位に対して、一般式(a−1)で表される基を含む単量体に対応するモノマー単位の含有量が1質量%以上20質量%以下である。
一般式(a−1)で表される基を含む単量体の含有量が、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下であると、染料ポリマーが低酸価(酸価が1〜50mgKOH/g)で分散できるので、水に非常に溶けにくくなる。そのため、着色布の耐洗濯性が向上すると考えられる。特に、凝集剤を含む水性処理液で前処理した布帛に、本発明における染料ポリマーを含むインクジェットインクで捺染すると、予想外に耐汗性が向上することがわかった。一般式(a−1)のカルボキシル基と水性処理液中の凝集剤とが相互作用することにより耐汗性が向上したものと推察している。
一般式(a−1)中、Mは水素原子又はカチオンを表す。*は結合手を表す。
Mがカチオンを表す場合、カチオンとしてはアルカリ金属イオン(好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオン)、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウムイオンであることが好ましい。
Mがカチオンを表す場合、カチオンとしてはアルカリ金属イオン(好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオン)、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウムイオンであることが好ましい。
染料ポリマーがアクリルポリマーなどのラジカル重合からなるポリマーである場合(特に好ましくはアクリルポリマーである場合)、一般式(a−1)で表される基を含む単量体が下記一般式(a−1−1m)又は(a−1−2m)で表される単量体であることが好ましい。
一般式(a−1−1m)及び(a−1−2m)中、Xaは水素原子又はメチル基を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。一般式(a−1−2m)中、kは1〜5を表す。
一般式(a−1−1m)又は(a−1−2m)で表される単量体は、ラジカル重合により、下記一般式(a−1−1)又は(a−1−2)で表される繰り返し単位になる。すなわち、染料ポリマーがアクリルポリマーなどのラジカル重合からなるポリマーである場合(特に好ましくはアクリルポリマーである場合)は、下記一般式(a−1−1)又は(a−1−2)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
一般式(a−1−1)及び(a−1−2)中、Xaは水素原子又はメチル基を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。一般式(a−1−2)中、kは1〜5を表す。
染料ポリマーがポリウレタンである場合には、一般式(a−1)で表される基を含む単量体は、下記一般式(a−1−3m)〜(a−1−7m)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
一般式(a−1−3m)〜(a−1−7m)中、Mは水素原子又はカチオンを表す。
すなわち、染料ポリマーがポリウレタンである場合には、下記一般式(a−1−3)〜(a−1−7)のいずれかで表される構造を有することが好ましい。
すなわち、染料ポリマーがポリウレタンである場合には、下記一般式(a−1−3)〜(a−1−7)のいずれかで表される構造を有することが好ましい。
一般式(a−1−3)〜(a−1−7)中、Mは水素原子又はカチオンを表し、*は結合手を表す。
本発明に用いることができる染料ポリマーがアクリルポリマーである場合、具体例としては、PCT/JP2017/002788の[0158]〜[0160]、[0162]〜[0165]に記載されている(Y−1−1)〜(Y−1−5)、(Y−2−1)〜(Y−2−5)、(R−1−1)〜(R−1−3)、(R−2−1)〜(R−2−2)、(B−1−1)〜(B−1−2)、(B−2−1)〜(B−2−2)、(B−3−1)〜(B−3−2)、(B−4−1)〜(B−4−3)等を参照することができる。
また、以下に示す一般式(Z−1)〜(Z−4)のいずれかで表されるポリマーも本発明に用いることができる染料ポリマーの好ましい具体例として挙げられる。
また、以下に示す一般式(Z−1)〜(Z−4)のいずれかで表されるポリマーも本発明に用いることができる染料ポリマーの好ましい具体例として挙げられる。
一般式(Z−1)〜(Z−4)中、Xaは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、Mは水素原子又はカチオンを表し、LDは下記式(LD−1)〜(LD−6)のいずれかで表される基を表す。一般式(Z−2)及び(Z−3)中、kは1〜5を表す。
式(LD−1)〜(LD−6)中、*は結合手を表す。式(LD−6)中、aは1〜4を表し、bは0〜4を表し、M1は水素原子又はカチオンを表す。
(染料ポリマーの酸価)
染料ポリマーの酸価は、1〜50mgKOH/gであることが好ましく、1〜40mgKOH/gであることがより好ましく、1〜30mgKOH/gであることが更に好ましい。染料ポリマーの酸価が1mgKOH/g以上であると、分散安定性を保持することができ好ましい。また、染料ポリマーの酸価が50mgKOH/g以下であると耐洗濯性が良好になり、洗濯しても色落ちしにくいため好ましい。耐洗濯性の観点からは、染料ポリマーの酸価は小さいほど好ましい。酸価は、JIS(日本工業規格) K 0070等の中和滴定法により求めることができる。
染料ポリマーの酸価は前述の一般式(a−1)で表される基を含む単量体の含有量により調整することができる。一般式(a−1)で表される基を含む単量体の含有量を全単量体の含有量に対して20質量%以下にすることにより、酸価50mgKOH/g以下で分散安定性が確保できるポリマーとすることができる。
染料ポリマーの酸価は、1〜50mgKOH/gであることが好ましく、1〜40mgKOH/gであることがより好ましく、1〜30mgKOH/gであることが更に好ましい。染料ポリマーの酸価が1mgKOH/g以上であると、分散安定性を保持することができ好ましい。また、染料ポリマーの酸価が50mgKOH/g以下であると耐洗濯性が良好になり、洗濯しても色落ちしにくいため好ましい。耐洗濯性の観点からは、染料ポリマーの酸価は小さいほど好ましい。酸価は、JIS(日本工業規格) K 0070等の中和滴定法により求めることができる。
染料ポリマーの酸価は前述の一般式(a−1)で表される基を含む単量体の含有量により調整することができる。一般式(a−1)で表される基を含む単量体の含有量を全単量体の含有量に対して20質量%以下にすることにより、酸価50mgKOH/g以下で分散安定性が確保できるポリマーとすることができる。
<染料ポリマーの水分散液>
染料ポリマーの水分散液(染料ポリマー水分散液)は、少なくとも、水、及び染料ポリマーを含んでおり、染料ポリマーは水に分散している。染料ポリマー水分散液は、水性有機溶剤を含有しても良い。また、染料ポリマーの水分散液の製造方法によっては、低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤を併用する場合と、併用しない場合(いわゆる自己分散)のいずれの形態であってもよい。
染料ポリマーは1種のみ用いることもできるし、2種以上を任意の割合で混合して用いることもできる。
染料ポリマーの水分散液(染料ポリマー水分散液)は、少なくとも、水、及び染料ポリマーを含んでおり、染料ポリマーは水に分散している。染料ポリマー水分散液は、水性有機溶剤を含有しても良い。また、染料ポリマーの水分散液の製造方法によっては、低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤を併用する場合と、併用しない場合(いわゆる自己分散)のいずれの形態であってもよい。
染料ポリマーは1種のみ用いることもできるし、2種以上を任意の割合で混合して用いることもできる。
本発明では、上述の染料ポリマーを、水に溶解した状態ではなく、水に分散した状態で用いる。
染料ポリマーが水に分散した状態では、水に溶解した状態とは異なり、実質的に水に溶けないポリマーになっているので、耐洗濯性、耐汗性などの耐水性の面で優れる。本発明のインクジェット捺染方法では、印捺後に、水で洗い流す工程が不要であるため、染料ポリマーは実質的に水に溶けないポリマーである。染料ポリマーの水分散液において、水に溶けない染料ポリマーは粒子として分散しており、その平均粒子径が50〜500nmであることが好ましい。染料ポリマーが水に溶けている場合には染料ポリマーは水中で粒子として存在しない。
水としては超純水を用いることが好ましい。
染料ポリマーが水に分散した状態では、水に溶解した状態とは異なり、実質的に水に溶けないポリマーになっているので、耐洗濯性、耐汗性などの耐水性の面で優れる。本発明のインクジェット捺染方法では、印捺後に、水で洗い流す工程が不要であるため、染料ポリマーは実質的に水に溶けないポリマーである。染料ポリマーの水分散液において、水に溶けない染料ポリマーは粒子として分散しており、その平均粒子径が50〜500nmであることが好ましい。染料ポリマーが水に溶けている場合には染料ポリマーは水中で粒子として存在しない。
水としては超純水を用いることが好ましい。
染料ポリマーは、水分散時において、染料ポリマー自体の性質として、又は併用する低分子型界面活性剤若しくは高分子型分散剤との吸着により、水となじみやすく(濡れやすく)、静電反発(斥力)又は立体反発により染料ポリマーの微粒子の再凝集を防止し、沈降生成の抑制の機能を有する。
染料ポリマーは水分散液中で粒子状になっている。染料ポリマーの水分散液における粒子状の染料ポリマーの平均粒子径は50〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがより好ましく、50〜200nmであることが特に好ましい。この範囲内であると、インクジェット法により布帛に印捺することができる。
本明細書における平均粒子径は、粒度分布測定装置(ナノトラックUPA EX150、日機装株式会社製、商品名)を用いて測定した値を用いた。
本明細書における平均粒子径は、粒度分布測定装置(ナノトラックUPA EX150、日機装株式会社製、商品名)を用いて測定した値を用いた。
染料ポリマー水分散液中の染料ポリマーの含有量は、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは1〜30質量%である。この範囲であるとインクジェットインクとしての貯蔵安定性を確保しつつ、印刷において高濃度の着色布を得ることができる。
染料ポリマー水分散液中の水の含有量は、好ましくは50〜95質量%であり、より好ましくは55〜90質量%であり、特に好ましくは60〜90質量%である。この範囲であると、染料ポリマー水分散液の安定性と、インクジェットインクとしての吐出安定性を付与することができるため好ましい。なお、染料ポリマー水分散液の安定性とは沈降などが起こりにくいことを示す。
染料ポリマー水分散液中の水の含有量は、好ましくは50〜95質量%であり、より好ましくは55〜90質量%であり、特に好ましくは60〜90質量%である。この範囲であると、染料ポリマー水分散液の安定性と、インクジェットインクとしての吐出安定性を付与することができるため好ましい。なお、染料ポリマー水分散液の安定性とは沈降などが起こりにくいことを示す。
(水性有機溶剤)
水性有機溶剤としては、25℃における水溶解度として10g/100g−H2O以上であるものが好ましく、20g/100g−H2O以上であるものがより好ましく、水と任意の割合で混和するものが特に好ましい。水性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、ニトリル系溶剤が挙げられる。
染料ポリマー水分散液中の水性有機溶剤の含有量は、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%であり、特に好ましくは、10〜30質量%である。この範囲であると、染料ポリマー水分散液の安定性と、インクジェットインクとしての吐出安定性を付与することができるため好ましい。
水性有機溶剤としては、25℃における水溶解度として10g/100g−H2O以上であるものが好ましく、20g/100g−H2O以上であるものがより好ましく、水と任意の割合で混和するものが特に好ましい。水性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、ニトリル系溶剤が挙げられる。
染料ポリマー水分散液中の水性有機溶剤の含有量は、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%であり、特に好ましくは、10〜30質量%である。この範囲であると、染料ポリマー水分散液の安定性と、インクジェットインクとしての吐出安定性を付与することができるため好ましい。
(低分子界面活性剤又は高分子型分散剤)
低分子界面活性剤又は高分子型分散剤としては、好ましくは、疎水基とイオン性基を有する低分子界面活性剤又は高分子型分散剤であり、染料ポリマーを分散させる際に添加されることで、低分子界面活性剤又は高分子型分散剤が染料ポリマー表面に吸着し水となじませ(濡れさせる)、機械的作用により摩砕させた染料ポリマー微粒子を静電反発(斥力)又は立体反発により微粒子の再凝集を防止し、沈降生成の抑制の機能を有する。
低分子界面活性剤又は高分子型分散剤としては、好ましくは、疎水基とイオン性基を有する低分子界面活性剤又は高分子型分散剤であり、染料ポリマーを分散させる際に添加されることで、低分子界面活性剤又は高分子型分散剤が染料ポリマー表面に吸着し水となじませ(濡れさせる)、機械的作用により摩砕させた染料ポリマー微粒子を静電反発(斥力)又は立体反発により微粒子の再凝集を防止し、沈降生成の抑制の機能を有する。
低分子界面活性剤の含有量は、染料ポリマー水分散液の全質量に対して、0.001〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲で水分散液の表面張力を任意に調整することが好ましい。
高分子型分散剤の含有量は、染料ポリマー水分散液の全質量に対して、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲で水分散液の表面張力を任意に調整することが好ましい。
(染料ポリマーの水分散液の製造方法)
染料ポリマーの水分散液の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の(i)〜(v)に示す方法が挙げられる。
(i)染料ポリマーの粉体又はペーストを、水中で混合した後に、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、又はステンレス球などとともにアトライター又はミル機で微分散する方法、
(ii)水と、染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを混合して染料単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合させて染料ポリマーを得て、染料ポリマーの水分散液を得る方法、
(iii)有機溶剤中で、染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合して染料ポリマーを合成し、又は有機溶剤中で合成した後に固体状態で取り出した染料ポリマーを有機溶剤に溶解し、水を添加し、有機溶剤を除去せずに、又は有機溶剤を除去して染料ポリマーの水分散液を得る方法、
(iv)有機溶剤と、染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを混合して、染料単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合させて染料ポリマー溶液を得て、染料ポリマー溶液に、水及び鎖延長剤を添加して乳化させ、ポリマーを鎖延長して染料ポリマーの水分散液を得る方法、
(v)染料に由来する構造を有し、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー1が有機溶剤に溶解した溶液、分散可能な構造を有し、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー2が有機溶剤に溶解した溶液を混合し、水を添加して乳化、その後プレポリマー1とプレポリマー2を反応させて、染料ポリマーの水分散体を得る方法
染料ポリマーの水分散液の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の(i)〜(v)に示す方法が挙げられる。
(i)染料ポリマーの粉体又はペーストを、水中で混合した後に、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、又はステンレス球などとともにアトライター又はミル機で微分散する方法、
(ii)水と、染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを混合して染料単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合させて染料ポリマーを得て、染料ポリマーの水分散液を得る方法、
(iii)有機溶剤中で、染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合して染料ポリマーを合成し、又は有機溶剤中で合成した後に固体状態で取り出した染料ポリマーを有機溶剤に溶解し、水を添加し、有機溶剤を除去せずに、又は有機溶剤を除去して染料ポリマーの水分散液を得る方法、
(iv)有機溶剤と、染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを混合して、染料単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合させて染料ポリマー溶液を得て、染料ポリマー溶液に、水及び鎖延長剤を添加して乳化させ、ポリマーを鎖延長して染料ポリマーの水分散液を得る方法、
(v)染料に由来する構造を有し、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー1が有機溶剤に溶解した溶液、分散可能な構造を有し、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー2が有機溶剤に溶解した溶液を混合し、水を添加して乳化、その後プレポリマー1とプレポリマー2を反応させて、染料ポリマーの水分散体を得る方法
(i)は、染料ポリマーの粉体又はペーストに加えて、必要に応じて水性有機溶剤、低分子型界面活性剤又は高分子型分散剤を、水中で混合した後に、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、又はステンレス球などとともにアトライター又はミル機で微分散する方法、であってもよい。
(ii)は、水及び水性有機溶剤と、染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体と、必要に応じてその他の単量体、重合開始剤、有機溶剤、中和剤及び乳化剤(界面活性剤)を混合して染料単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合させて染料ポリマーを得て、有機溶剤を添加した場合には適宜有機溶剤を除去して染料ポリマーの水分散液を得る方法、であってもよい。
(iii)は、有機溶剤中で染料ポリマーを合成し、又は有機溶剤中で合成した後に固体状態で取り出した染料ポリマーを有機溶剤に溶解し、水、場合により中和剤、乳化剤(界面活性剤)及び有機溶剤を添加し、適宜有機溶剤を除去して染料ポリマーの水分散液を得る方法、であってもよい。
(iv)は、有機溶剤と、染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体と必要に応じてその他の単量体、重合開始剤を混合して、染料単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合させて染料ポリマー溶液を得て、染料ポリマー溶液に、水、鎖延長剤、場合により中和剤、乳化剤(界面活性剤)を添加して乳化させ、染料ポリマーを鎖延長した後に、適宜有機溶剤を除去して染料ポリマーの水分散液を得る方法、であってもよい。
(v)は、染料に由来する構造を有し、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー1が有機溶剤に溶解した溶液、分散可能な構造を有し、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー2が有機溶剤に溶解した溶液、場合により、乳化剤(界面活性剤)及び有機溶剤を混合し、水、場合により乳化剤(界面活性剤)を添加して乳化させ、適宜有機溶剤を除去して、染料ポリマーの水分散体を得る方法、であってもよい。
(ii)は、水及び水性有機溶剤と、染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体と、必要に応じてその他の単量体、重合開始剤、有機溶剤、中和剤及び乳化剤(界面活性剤)を混合して染料単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合させて染料ポリマーを得て、有機溶剤を添加した場合には適宜有機溶剤を除去して染料ポリマーの水分散液を得る方法、であってもよい。
(iii)は、有機溶剤中で染料ポリマーを合成し、又は有機溶剤中で合成した後に固体状態で取り出した染料ポリマーを有機溶剤に溶解し、水、場合により中和剤、乳化剤(界面活性剤)及び有機溶剤を添加し、適宜有機溶剤を除去して染料ポリマーの水分散液を得る方法、であってもよい。
(iv)は、有機溶剤と、染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の一般式(a−1)で表される基を含む単量体と必要に応じてその他の単量体、重合開始剤を混合して、染料単量体と、一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合させて染料ポリマー溶液を得て、染料ポリマー溶液に、水、鎖延長剤、場合により中和剤、乳化剤(界面活性剤)を添加して乳化させ、染料ポリマーを鎖延長した後に、適宜有機溶剤を除去して染料ポリマーの水分散液を得る方法、であってもよい。
(v)は、染料に由来する構造を有し、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー1が有機溶剤に溶解した溶液、分散可能な構造を有し、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー2が有機溶剤に溶解した溶液、場合により、乳化剤(界面活性剤)及び有機溶剤を混合し、水、場合により乳化剤(界面活性剤)を添加して乳化させ、適宜有機溶剤を除去して、染料ポリマーの水分散体を得る方法、であってもよい。
上記有機溶剤は、水性有機溶剤であっても、非水性有機溶剤であってもよい。
なお、非水性有機溶剤とは、有機溶剤のうち水性有機溶剤ではないものであり、好ましくは25℃における水溶解度として10g/100g−H2O未満である。
また、これらの染料ポリマーの水分散液には、必要に応じ湿潤剤としてグリコール溶剤、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールなど、及び、尿素、ヒアルロン酸、ショ糖などを添加することができる。その他に、分散助剤として、非イオン性界面活性剤又は陰イオン界面活性剤を添加することができるが、これらの界面活性剤は、分散安定性としての性能を低下させないように、少量配合することが好ましい。
なお、非水性有機溶剤とは、有機溶剤のうち水性有機溶剤ではないものであり、好ましくは25℃における水溶解度として10g/100g−H2O未満である。
また、これらの染料ポリマーの水分散液には、必要に応じ湿潤剤としてグリコール溶剤、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールなど、及び、尿素、ヒアルロン酸、ショ糖などを添加することができる。その他に、分散助剤として、非イオン性界面活性剤又は陰イオン界面活性剤を添加することができるが、これらの界面活性剤は、分散安定性としての性能を低下させないように、少量配合することが好ましい。
一般式(a−1)で表される基を含む単量体は、一般式(a−1−1m)又は(a−1−2m)で表される単量体であることが、安価に製造できる点で、好ましい。
一般式(a−1−1m)又は(a−1−2m)で表される単量体を重合して染料ポリマーを得るには、染料ポリマー水分散液を上記(iii)の方法で製造し、これらの方法で製造された染料ポリマー水分散液を用いてインクジェットインクを調製する方法が好ましい。
上記(iii)の方法における有機溶剤としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが好ましい。
一般式(a−1−1m)又は(a−1−2m)で表される単量体を重合して染料ポリマーを得るには、染料ポリマー水分散液を上記(iii)の方法で製造し、これらの方法で製造された染料ポリマー水分散液を用いてインクジェットインクを調製する方法が好ましい。
上記(iii)の方法における有機溶剤としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが好ましい。
<インクジェットインク>
本発明のインクジェットインクは、少なくとも、染料ポリマーの水分散液を含むものである。すなわち、本発明のインクジェットインクは、水を含む液体中に染料ポリマーが分散した分散液である。なお、インクジェットインク中で染料ポリマーは粒子状になっており、粒子状の染料ポリマーの好ましい平均粒子径は前述したものと同様である。
本発明のインクジェットインクは、少なくとも、染料ポリマーの水分散液を含むものである。すなわち、本発明のインクジェットインクは、水を含む液体中に染料ポリマーが分散した分散液である。なお、インクジェットインク中で染料ポリマーは粒子状になっており、粒子状の染料ポリマーの好ましい平均粒子径は前述したものと同様である。
(架橋剤)
着色布の耐摩擦性又は洗濯堅牢度を向上させる目的で、インクジェットインクは架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、ブロックイソシアネート架橋剤(例えば、メイカネートCX、同TP−10、同DM−35HC、SU−268Aなど、いずれも明成工業株式会社製、商品名)や、多官能エポキシ架橋剤(例えば、デナコールEX−313、同314、同322、411など、いずれもナガセケムテクス株式会社製、商品名)が挙げられる。
着色布の耐摩擦性又は洗濯堅牢度を向上させる目的で、インクジェットインクは架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、ブロックイソシアネート架橋剤(例えば、メイカネートCX、同TP−10、同DM−35HC、SU−268Aなど、いずれも明成工業株式会社製、商品名)や、多官能エポキシ架橋剤(例えば、デナコールEX−313、同314、同322、411など、いずれもナガセケムテクス株式会社製、商品名)が挙げられる。
(その他の成分)
本発明のインクジェットインクは、上記した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、たとえば、上記染料ポリマー以外の着色剤、有機溶媒、界面活性剤、pH調整剤、蛍光増白剤、表面張力調整剤、消泡剤、乾燥防止剤、潤滑剤、増粘剤、紫外線吸収剤、退色防止剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、比抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料、還元防止剤、防腐剤、防黴剤、及びキレート剤等が挙げられる。
本発明のインクジェットインクは、上記した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、たとえば、上記染料ポリマー以外の着色剤、有機溶媒、界面活性剤、pH調整剤、蛍光増白剤、表面張力調整剤、消泡剤、乾燥防止剤、潤滑剤、増粘剤、紫外線吸収剤、退色防止剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、比抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料、還元防止剤、防腐剤、防黴剤、及びキレート剤等が挙げられる。
インクジェットインク中の染料ポリマーの含有量は、2〜20質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。上記範囲であればインクジェット法で打滴した際にノズルに詰まりが生じにくく、連続印画適性に優れる。
インクジェットインク中の水の含有量は、40〜90質量%であることが好ましく、50〜85質量%であることがより好ましく、50〜80質量%であることが更に好ましい。
インクジェットインク中の水の含有量は、40〜90質量%であることが好ましく、50〜85質量%であることがより好ましく、50〜80質量%であることが更に好ましい。
インクジェットインクの調製方法は特に限定されないが、たとえば、染料ポリマーの水分散液と、必要に応じて水又はその他の成分とを混合することで調製することができる。
本発明のインクジェットインクは、捺染用であることが好ましい。
[インクジェット捺染方法]
本発明のインクジェット捺染方法は、本発明のインクジェットインクを用い、インクジェット方式で布帛に印捺する工程を有するインクジェット捺染方法であるが、好ましい態様として下記2つの態様がある。
第1態様:本発明のインクジェットインクを用い、インクジェット方式で布帛に直接印捺する工程を有するインクジェット捺染方法。
第2態様:凝集剤を含む水性前処理液を布帛に付与して、前処理された布帛を得る前処理工程、及び、本発明のインクジェットインクを用い、インクジェット方式で前処理された布帛に直接印捺する工程を有するインクジェット捺染方法。
なお、本発明において、インクジェット方式で布帛に「直接印捺する」とは、転写工程が不要であり、インクジェットインクが直接布帛に印捺されること、及び、捺染糊を付与する工程が不要でインクジェットインクが直接布帛に印捺されることの両方を指す。
本発明のインクジェット捺染方法は、廃水及び転写紙などの廃材を出さず、簡便な作業性で、着色布の品質(風合い)、画像鮮明性及び湿摩擦堅牢度に優れるという効果を奏する。
本発明のインクジェット捺染方法は、本発明のインクジェットインクを用い、インクジェット方式で布帛に印捺する工程を有するインクジェット捺染方法であるが、好ましい態様として下記2つの態様がある。
第1態様:本発明のインクジェットインクを用い、インクジェット方式で布帛に直接印捺する工程を有するインクジェット捺染方法。
第2態様:凝集剤を含む水性前処理液を布帛に付与して、前処理された布帛を得る前処理工程、及び、本発明のインクジェットインクを用い、インクジェット方式で前処理された布帛に直接印捺する工程を有するインクジェット捺染方法。
なお、本発明において、インクジェット方式で布帛に「直接印捺する」とは、転写工程が不要であり、インクジェットインクが直接布帛に印捺されること、及び、捺染糊を付与する工程が不要でインクジェットインクが直接布帛に印捺されることの両方を指す。
本発明のインクジェット捺染方法は、廃水及び転写紙などの廃材を出さず、簡便な作業性で、着色布の品質(風合い)、画像鮮明性及び湿摩擦堅牢度に優れるという効果を奏する。
(前処理工程)
上記第2態様における前処理工程は、凝集剤を含む水性前処理液を布帛に付与して、前処理された布帛を得る工程である。水性前処理液を布帛に付与する方法としては、特に限定されるものではないが、コーティング法、パディング法、インクジェット法、スプレー法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
水性前処理液に含まれる凝集剤としては、染料ポリマーを凝集させる作用を有するものであれば、特に限定されないが、有機酸、多価金属塩、及びカチオン性化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記第2態様における前処理工程は、凝集剤を含む水性前処理液を布帛に付与して、前処理された布帛を得る工程である。水性前処理液を布帛に付与する方法としては、特に限定されるものではないが、コーティング法、パディング法、インクジェット法、スプレー法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
水性前処理液に含まれる凝集剤としては、染料ポリマーを凝集させる作用を有するものであれば、特に限定されないが、有機酸、多価金属塩、及びカチオン性化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のインクジェット捺染方法は、更に、加熱工程を加えることにより、布帛の繊維に対して染料ポリマーが融着することで、繊維とより一体化し、風合いを損ねることなく、耐摩擦性などを更に付与できるという利点がある。
(熱処理工程)
本発明のインクジェット捺染方法は、更に、熱処理工程を含むことが好ましい。特に、布帛に印捺した後に、熱処理工程を行うことで、染料ポリマー粒子を溶融(もしくは軟化)させ、繊維との密着性を高めることができる(すなわち、熱処理することにより、溶融染着させることができる)。着色布は乾燥後、上記溶融染着させることを目的として熱処理を行うことが好ましく、通常100〜250℃で行うことが好ましく、より好ましくは100℃〜200℃であり、特に好ましくは120℃〜200℃である。熱処理時間としては、30秒〜3分間の熱処理を行うことが好ましい。また、染料ポリマーに反応性基(例えばブロックイソシアネート基)を導入した場合、又は添加剤として架橋剤(例えばブロックイソシアネート架橋剤又は多官能エポキシ架橋剤)を併用した場合は、この熱処理工程において、染料ポリマーに導入した反応性基(例えばブロックイソシアネート基)、又は添加剤として併用した架橋剤(例えばブロックイソシアネート架橋剤又は多官能エポキシ架橋剤)を用いて、架橋反応させることが耐摩擦性の観点で好ましい。
熱処理工程は上記の温度で行うことが好ましいため、染料ポリマーは200℃以下で溶融することが好ましく、180℃以下で溶融することがより好ましい。
染料ポリマーが特定の温度で溶融するかは、融点測定機により染料ポリマーを10℃/minで特定温度まで昇温し、染料ポリマーの状態を目視することで確認できる。
本発明のインクジェット捺染方法は、更に、熱処理工程を含むことが好ましい。特に、布帛に印捺した後に、熱処理工程を行うことで、染料ポリマー粒子を溶融(もしくは軟化)させ、繊維との密着性を高めることができる(すなわち、熱処理することにより、溶融染着させることができる)。着色布は乾燥後、上記溶融染着させることを目的として熱処理を行うことが好ましく、通常100〜250℃で行うことが好ましく、より好ましくは100℃〜200℃であり、特に好ましくは120℃〜200℃である。熱処理時間としては、30秒〜3分間の熱処理を行うことが好ましい。また、染料ポリマーに反応性基(例えばブロックイソシアネート基)を導入した場合、又は添加剤として架橋剤(例えばブロックイソシアネート架橋剤又は多官能エポキシ架橋剤)を併用した場合は、この熱処理工程において、染料ポリマーに導入した反応性基(例えばブロックイソシアネート基)、又は添加剤として併用した架橋剤(例えばブロックイソシアネート架橋剤又は多官能エポキシ架橋剤)を用いて、架橋反応させることが耐摩擦性の観点で好ましい。
熱処理工程は上記の温度で行うことが好ましいため、染料ポリマーは200℃以下で溶融することが好ましく、180℃以下で溶融することがより好ましい。
染料ポリマーが特定の温度で溶融するかは、融点測定機により染料ポリマーを10℃/minで特定温度まで昇温し、染料ポリマーの状態を目視することで確認できる。
(後処理)
本発明のインクジェット捺染方法により着色した布帛(着色布)は、風合いの柔軟性及び堅牢性(耐摩擦性)に優れるが、必要に応じて、着色布に後処理剤を全面にパディング処理することで、風合いの柔軟性及び堅牢性(特に耐摩擦性)が、更に向上した着色布を得ることができる。
本発明のインクジェット捺染方法により着色した布帛(着色布)は、風合いの柔軟性及び堅牢性(耐摩擦性)に優れるが、必要に応じて、着色布に後処理剤を全面にパディング処理することで、風合いの柔軟性及び堅牢性(特に耐摩擦性)が、更に向上した着色布を得ることができる。
(布帛)
本発明のインクジェット捺染方法を適用し得る布帛としては、以下のものがある。生地布帛(繊維種)としては、ナイロン、ポリエステル、アクリロニトリル等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合成繊維、綿、絹、毛等の天然繊維、及びこれらの混合繊維、織物、編み物、不織布等が挙げられる。
布帛としては、前処理した布帛を用いることもできる。前処理液は、コーティング法、パディング法、インクジェット法、スプレー法、スクリーン印刷法などにより、付与できる。前処理液は、染料ポリマーを凝集させる凝集剤を含み、水溶液であることが好ましい。凝集剤としては、例えば、有機酸、多価金属塩、及びカチオン性化合物などが挙げられる。
衣料品としては、Tシャツ、トレーナー、ジャージ、パンツ、スウェットスーツ、ワンピース、ブラウスなどが挙げられる。また、寝具、ハンカチ、クッションカバー、カーテンなどにも好適である。
本発明のインクジェット捺染方法を適用し得る布帛としては、以下のものがある。生地布帛(繊維種)としては、ナイロン、ポリエステル、アクリロニトリル等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合成繊維、綿、絹、毛等の天然繊維、及びこれらの混合繊維、織物、編み物、不織布等が挙げられる。
布帛としては、前処理した布帛を用いることもできる。前処理液は、コーティング法、パディング法、インクジェット法、スプレー法、スクリーン印刷法などにより、付与できる。前処理液は、染料ポリマーを凝集させる凝集剤を含み、水溶液であることが好ましい。凝集剤としては、例えば、有機酸、多価金属塩、及びカチオン性化合物などが挙げられる。
衣料品としては、Tシャツ、トレーナー、ジャージ、パンツ、スウェットスーツ、ワンピース、ブラウスなどが挙げられる。また、寝具、ハンカチ、クッションカバー、カーテンなどにも好適である。
本発明のインクジェット捺染方法は、有機溶剤中で、染料単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の下記式(a−1h)で表される基を含む単量体とを重合してポリマーを得て、水を添加して乳化させ、有機溶剤を除去することにより、染料ポリマーの水分散液を得る工程を有することが好ましい。
式(a−1h)中、*は結合手を表す。
上記方法において、ポリマーの重合の際に必要に応じてその他の単量体を加えてもよい。
上記方法は、前述の(iii)の方法と同様である。
上記方法は、前述の(iii)の方法と同様である。
[インクカートリッジ、及びインクジェットプリンタ]
本発明は、本発明のインクジェットインクを有するインクカートリッジ、及び本発明のインクジェットインクを有するインクジェットプリンタにも関する。
本発明は、本発明のインクジェットインクを有するインクカートリッジ、及び本発明のインクジェットインクを有するインクジェットプリンタにも関する。
[着色布の製造方法]
本発明は、本発明のインクジェットインクをインクジェット方式で布帛に印捺する工程を有する着色布の製造方法にも関する。インクジェット方式で布帛に印捺する工程の好ましい範囲は前述したものと同様である。着色布の製造方法についても前述の前処理工程を有していても良い。また、着色布の製造方法についても前述の熱処理工程を有していることが好ましい。
本発明は、本発明のインクジェットインクをインクジェット方式で布帛に印捺する工程を有する着色布の製造方法にも関する。インクジェット方式で布帛に印捺する工程の好ましい範囲は前述したものと同様である。着色布の製造方法についても前述の前処理工程を有していても良い。また、着色布の製造方法についても前述の熱処理工程を有していることが好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されない。
(染料単量体YM−2の合成)
YM−2は以下のスキームにより合成した。
YM−2は以下のスキームにより合成した。
三口フラスコにQ−1を66.7g、N−メチルピロリドン(和光純薬工業(株)製)を400mL、テトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成工業(株)製)を8.4g入れ、110℃で撹拌した。そこへ更に、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(東京化成工業(株)製)を46mL入れ、110℃で2.5時間撹拌した。そこへ更に、水4Lを入れ、沈殿物をろ過した。沈殿物をアセトニトリル400mLでリスラリーし、ろ取した後、乾燥し、Q−4を得た。
三口フラスコにQ−4を100g、テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)を1L入れ、溶解した後、0℃に保持した。そこへ更に、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルHO−MS)133gを入れ、更にトシルクロリド(東京化成工業(株)製)110gを入れ、N−メチルイミダゾール(東京化成工業(株)製)94.9gを入れた後、25℃、1時間撹拌した。得られた混合液を酢酸エチル/塩化ナトリウム飽和水溶液で分液し、有機相を炭酸水素ナトリウムで洗浄した後、純水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。上記洗浄及び脱水後の有機相に、p−メトキシフェノール(和光純薬工業(株)製)0.234gを入れ、エバポレーターで溶媒を除去し、YM−2を113g得た。
三口フラスコにQ−4を100g、テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)を1L入れ、溶解した後、0℃に保持した。そこへ更に、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルHO−MS)133gを入れ、更にトシルクロリド(東京化成工業(株)製)110gを入れ、N−メチルイミダゾール(東京化成工業(株)製)94.9gを入れた後、25℃、1時間撹拌した。得られた混合液を酢酸エチル/塩化ナトリウム飽和水溶液で分液し、有機相を炭酸水素ナトリウムで洗浄した後、純水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。上記洗浄及び脱水後の有機相に、p−メトキシフェノール(和光純薬工業(株)製)0.234gを入れ、エバポレーターで溶媒を除去し、YM−2を113g得た。
(染料ポリマー水分散液(ALx−1)の調製)
容器にYM−2を4.0質量部、こはく酸1−[2−(アクリロイルオキシ)エチル](東京化成工業(株)製)を1.0質量部(11質量%、酸価29mgKOH/gに相当)、アクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)を4.0質量部、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)を21.0質量部、V−65(和光純薬工業(株)製)を0.3質量部、トリエチルアミン(和光純薬工業(株)製)を0.6質量部入れて混合した。そこへ更に、純水35質量部と4質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液12質量部の混合溶液を添加し、14000回転/分で、12分撹拌し、乳化させて乳化液を得た。乳化液を窒素下、70℃、4時間撹拌した。その後、50℃で撹拌し有機溶媒を除去し、フィルターろ過により粗大粒子を除去し、最終固形分濃度が13質量%となるように水を加え、染料ポリマー水分散液(ALx−1)の調製を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−1)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は140nmであった。
容器にYM−2を4.0質量部、こはく酸1−[2−(アクリロイルオキシ)エチル](東京化成工業(株)製)を1.0質量部(11質量%、酸価29mgKOH/gに相当)、アクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)を4.0質量部、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)を21.0質量部、V−65(和光純薬工業(株)製)を0.3質量部、トリエチルアミン(和光純薬工業(株)製)を0.6質量部入れて混合した。そこへ更に、純水35質量部と4質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液12質量部の混合溶液を添加し、14000回転/分で、12分撹拌し、乳化させて乳化液を得た。乳化液を窒素下、70℃、4時間撹拌した。その後、50℃で撹拌し有機溶媒を除去し、フィルターろ過により粗大粒子を除去し、最終固形分濃度が13質量%となるように水を加え、染料ポリマー水分散液(ALx−1)の調製を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−1)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は140nmであった。
(染料ポリマー水分散液(ALx−2)の調製)
三口フラスコにメチルエチルケトン(MEK)8質量部、テトラヒドロフラン(THF)8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、染料単量体RDW R−13(和光純薬工業(株)製、商品名)8.5質量部、こはく酸1−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]1.5質量部(15質量%、酸価39mgKOH/g相当)、V−65(和光純薬工業(株)製、商品名)0.15質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、得られた混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内に滴下した。滴下後、2時間撹拌し、V−65を0.15質量部添加し、2時間撹拌した。その後、更にV−65を0.15質量部添加し2時間撹拌した。その後、65℃で4時間撹拌した後、室温(20℃)まで冷却し、染料ポリマー(R−1−2)のMEK/THF溶液を得た。
上記染料ポリマー(R−1−2)のMEK/THF溶液20質量部、MEK10質量部、超純水35質量部、トリエチルアミン(和光純薬工業(株)製)7.0質量部を混合し、更に14000回転/分で12分撹拌した後、50℃、100mbarで有機溶媒を留去した。フィルターで粗大粒子を除き、最終固形分濃度が13質量%となるように水を加え、染料ポリマー水分散液(ALx−2)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−2)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は120nmであった。
1barは100000Paである。
1barは100000Paである。
(染料ポリマー水分散液(ALx−3)の調製)
三口フラスコにMEK8質量部、THF8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、染料単量体BM−1(特開2016−75845号公報記載の方法で合成)6.0質量部、こはく酸1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]1.3質量部(13質量%、酸価32mgKOH/g相当)、アクリル酸ブチル2.7質量部、V−65(和光純薬工業製、商品名)0.1質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内フラスコに滴下した。滴下後、2時間撹拌し、V−65を0.1質量部添加し、2時間撹拌した。その後、更にV−65を0.1質量部添加し2時間撹拌した。その後、65℃で4時間撹拌した後、室温まで冷却し、染料ポリマー(B−1−2)のMEK/THF溶液を得た。
上記染料ポリマー(B−1−2)のMEK/THF溶液20質量部、MEK10質量部、超純水35質量部、トリエチルアミン(和光純薬工業(株)製)7.0質量部を混合し、更に14000回転/分で12分撹拌した後、50℃、100mbarで有機溶媒を留去した。フィルターで粗大粒子を除き、最終固形分濃度が13質量%となるように水を加え、染料ポリマー水分散液(ALx−3)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−3)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は150nmであった。
(染料ポリマー水分散液(ALx−4)の調製)
三口フラスコにMEK8質量部、THF8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、6.0質量部の染料単量体BM−1、こはく酸1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]2.0質量部(20質量%、酸価49mgKOH/g相当)、アクリル酸ブチル2.0質量部、V−65(和光純薬工業製、商品名)0.1質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内フラスコに滴下した。その後は、(ALx−3)と同様にして、染料ポリマー水分散液(ALx−4)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−4)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は110nmであった。
三口フラスコにMEK8質量部、THF8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、6.0質量部の染料単量体BM−1、こはく酸1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]2.0質量部(20質量%、酸価49mgKOH/g相当)、アクリル酸ブチル2.0質量部、V−65(和光純薬工業製、商品名)0.1質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内フラスコに滴下した。その後は、(ALx−3)と同様にして、染料ポリマー水分散液(ALx−4)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−4)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は110nmであった。
(染料ポリマー水分散液(ALx−5)の調製)
三口フラスコにMEK8質量部、THF8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、6.0質量部の染料単量体BM−1、こはく酸1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]0.1質量部(1質量%、酸価2mgKOH/g相当)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートMPG−2(アルドリッチ社製、平均分子量2000)1.9質量部、アクリル酸ブチル2.0質量部、V−65(和光純薬工業製、商品名)0.1質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内フラスコに滴下した。その後は、(ALx−3)と同様にして、染料ポリマー水分散液(ALx−5)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−5)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は130nmであった。
三口フラスコにMEK8質量部、THF8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、6.0質量部の染料単量体BM−1、こはく酸1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]0.1質量部(1質量%、酸価2mgKOH/g相当)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートMPG−2(アルドリッチ社製、平均分子量2000)1.9質量部、アクリル酸ブチル2.0質量部、V−65(和光純薬工業製、商品名)0.1質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内フラスコに滴下した。その後は、(ALx−3)と同様にして、染料ポリマー水分散液(ALx−5)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−5)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は130nmであった。
(染料ポリマー水分散液(ALx−6)の調製)
こはく酸1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]をCH2=CHCOO(C5H10COO)kHで表されるω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(k≒2)モノアクリレート(東亜合成(株)製、商品名 アロニクッスM−5300)に変更した以外は、(ALx−3)と同様にして染料ポリマー水分散液(ALx−6)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−6)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は130nmであった。
こはく酸1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]をCH2=CHCOO(C5H10COO)kHで表されるω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(k≒2)モノアクリレート(東亜合成(株)製、商品名 アロニクッスM−5300)に変更した以外は、(ALx−3)と同様にして染料ポリマー水分散液(ALx−6)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−6)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は130nmであった。
(染料ポリマー水分散液(ULx−1)の調製)
200mL三ツ口フラスコに下記染料単量体D−1を5.0g、下記式(4)で表される化合物を1.0g(11質量%、酸価29mgKOH/g相当)、N−メチルピロリドン(NMP)を50.3g加え、内温を90℃に昇温した。ここへ、ネオスタンU−600(日東化成工業(株)製、商品名)134mg、及びイソホロンジイソシアネート3.4gを滴下して添加した。滴下終了後、90℃で4時間反応させた。反応液を20℃まで放冷し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液300mLに注ぎ入れた後、1mol/L塩酸水を100mLを加え、ろ過した。得られた残渣を0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に加え10分攪拌後、1mol/L塩酸水を加え、pH5.2に調整し、ろ過した。得られた残渣を水500mLに注ぎ入れ、10分攪拌後、ろ過した。得られた残渣を60℃の減圧乾燥機で3時間乾燥させ、染料ポリマー(UD−2)を得た。染料ポリマー(UD−2)はポリウレタンであった。
得られた固体状態の染料ポリマー(UD−2)0.5gをトリフルオロエタノール4.5gに溶解し、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.5になるように調製し、さらに水を水の全量が4.5gになるように添加し、よく撹拌し、濃縮して、水分散液4.7gを得た。フィルターで粗大粒子を除き、最終固形分濃度が10質量%となるように水を加え、染料ポリマー水分散液(ULx−1)を得た。染料ポリマー水分散液(ULx−1)中の染料ポリマーの平均粒子径は100nmであった。
200mL三ツ口フラスコに下記染料単量体D−1を5.0g、下記式(4)で表される化合物を1.0g(11質量%、酸価29mgKOH/g相当)、N−メチルピロリドン(NMP)を50.3g加え、内温を90℃に昇温した。ここへ、ネオスタンU−600(日東化成工業(株)製、商品名)134mg、及びイソホロンジイソシアネート3.4gを滴下して添加した。滴下終了後、90℃で4時間反応させた。反応液を20℃まで放冷し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液300mLに注ぎ入れた後、1mol/L塩酸水を100mLを加え、ろ過した。得られた残渣を0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に加え10分攪拌後、1mol/L塩酸水を加え、pH5.2に調整し、ろ過した。得られた残渣を水500mLに注ぎ入れ、10分攪拌後、ろ過した。得られた残渣を60℃の減圧乾燥機で3時間乾燥させ、染料ポリマー(UD−2)を得た。染料ポリマー(UD−2)はポリウレタンであった。
得られた固体状態の染料ポリマー(UD−2)0.5gをトリフルオロエタノール4.5gに溶解し、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.5になるように調製し、さらに水を水の全量が4.5gになるように添加し、よく撹拌し、濃縮して、水分散液4.7gを得た。フィルターで粗大粒子を除き、最終固形分濃度が10質量%となるように水を加え、染料ポリマー水分散液(ULx−1)を得た。染料ポリマー水分散液(ULx−1)中の染料ポリマーの平均粒子径は100nmであった。
(染料ポリマー水分散液(ALx−A1)の調製)
三口フラスコにMEK8質量部、THF8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、6.0質量部の染料単量体BM−1、こはく酸1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]2.5質量部(25質量%、酸価61KOH/g相当)、アクリル酸ブチル1.5質量部、V−65(和光純薬工業製、商品名)0.1質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内フラスコに滴下した。その後は、(ALx−3)と同様にして、染料ポリマー水分散液(ALx−A1)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−A1)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は100nmであった。
三口フラスコにMEK8質量部、THF8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、6.0質量部の染料単量体BM−1、こはく酸1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]2.5質量部(25質量%、酸価61KOH/g相当)、アクリル酸ブチル1.5質量部、V−65(和光純薬工業製、商品名)0.1質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内フラスコに滴下した。その後は、(ALx−3)と同様にして、染料ポリマー水分散液(ALx−A1)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−A1)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は100nmであった。
(染料ポリマー水分散液(ALx−A2)の調製)
三口フラスコにMEK8質量部、THF8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、6.0質量部の染料単量体BM−1、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートMPG−2(アルドリッチ社製、平均分子量2000)4.0質量部、V−65(和光純薬工業製、商品名)0.03質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内フラスコに滴下した。その後は、(ALx−3)と同様にして、染料ポリマー水分散液(ALx−A2)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−A2)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は150nmであった。
三口フラスコにMEK8質量部、THF8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、6.0質量部の染料単量体BM−1、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートMPG−2(アルドリッチ社製、平均分子量2000)4.0質量部、V−65(和光純薬工業製、商品名)0.03質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内フラスコに滴下した。その後は、(ALx−3)と同様にして、染料ポリマー水分散液(ALx−A2)を得た。染料ポリマー水分散液(ALx−A2)に含まれる染料ポリマーはアクリルポリマーであり、その平均粒子径は150nmであった。
(染料ポリマー水分散液(ALx−A3)の調製)
三口フラスコにMEK8質量部、THF8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、6.0質量部の染料単量体BM−1、メタクリル酸1.3質量部(13質量%、酸価85KOH/g相当)、アクリル酸ブチル2.7質量部、V−65(和光純薬工業製、商品名)0.1質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内フラスコに滴下した。滴下後、2時間撹拌し、V−65を0.1質量部添加し、2時間撹拌した。その後、更にV−65を0.1質量部添加し2時間撹拌した。その後、65℃で4時間撹拌した後、室温まで冷却し、染料ポリマー(B−1−A3)のMEK/THF溶液を得た。
三口フラスコにMEK8質量部、THF8質量部を入れ、窒素下、65℃に保持した。別途、6.0質量部の染料単量体BM−1、メタクリル酸1.3質量部(13質量%、酸価85KOH/g相当)、アクリル酸ブチル2.7質量部、V−65(和光純薬工業製、商品名)0.1質量部、MEK12質量部、THF12質量部を混合し、混合液を2時間かけて前述のMEK及びTHFが入っている三口フラスコ内フラスコに滴下した。滴下後、2時間撹拌し、V−65を0.1質量部添加し、2時間撹拌した。その後、更にV−65を0.1質量部添加し2時間撹拌した。その後、65℃で4時間撹拌した後、室温まで冷却し、染料ポリマー(B−1−A3)のMEK/THF溶液を得た。
上記染料ポリマー(B−1−A3)のMEK/THF溶液20質量部、MEK10質量部、超純水35質量部を混合し、更に14000回転/分で12分撹拌した後、50℃、100mbarで有機溶媒を留去した。留去している途中に、ポリマーが析出し、安定な水分散液は得られなかった。
(実施例1)
〔捺染用インクジェットインク(1)の調製〕
以下の成分を、20℃で混合し、15分間撹拌したのちに、フィルター(平均孔径0.8μm)でろ過して、捺染用インクジェットインク(1)を調製した。
染料ポリマー水分散液(ALx−1) 3.0質量部
トリメチロールプロパン 0.060質量部
超純水 0.892質量部
1,2−ヘキサンジオール 0.116質量部
グリセリン 0.579質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 0.119質量部
2−ピロリドン 0.157質量部
プロピレングリコール 0.040質量部
サーフィノール465(日信化学工業製、商品名) 0.060質量部
〔捺染用インクジェットインク(1)の調製〕
以下の成分を、20℃で混合し、15分間撹拌したのちに、フィルター(平均孔径0.8μm)でろ過して、捺染用インクジェットインク(1)を調製した。
染料ポリマー水分散液(ALx−1) 3.0質量部
トリメチロールプロパン 0.060質量部
超純水 0.892質量部
1,2−ヘキサンジオール 0.116質量部
グリセリン 0.579質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 0.119質量部
2−ピロリドン 0.157質量部
プロピレングリコール 0.040質量部
サーフィノール465(日信化学工業製、商品名) 0.060質量部
〔インクジェット捺染〕
捺染用インクジェットインク(1)を、インクカートリッジに装填し、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製カラリオPX−045A、商品名)を用いて、ポリエステル布帛(ポリエステルトロピカル(帝人株式会社製)、色染社製、商品コードA02−01019)、コットン布帛(綿ブロードシル付、色染社製、商品コードA02−01002)、及びポリエステル65%コットン35%混紡(混紡ポリエステル65/綿35ブロード、色染社製、商品コードA02−01030)にそれぞれ画像を印捺し、20℃で12時間乾燥させた。乾燥後、ヒートプレス(アサヒ繊維機械株式会社製、商品名:卓上自動平プレス機AF−54TEN型)を用いて、温度160℃、圧力0.20N/cm2、時間60秒間、熱処理を行うことで、にじみのない鮮明な画像を有する着色布を得た。
捺染用インクジェットインク(1)を、インクカートリッジに装填し、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製カラリオPX−045A、商品名)を用いて、ポリエステル布帛(ポリエステルトロピカル(帝人株式会社製)、色染社製、商品コードA02−01019)、コットン布帛(綿ブロードシル付、色染社製、商品コードA02−01002)、及びポリエステル65%コットン35%混紡(混紡ポリエステル65/綿35ブロード、色染社製、商品コードA02−01030)にそれぞれ画像を印捺し、20℃で12時間乾燥させた。乾燥後、ヒートプレス(アサヒ繊維機械株式会社製、商品名:卓上自動平プレス機AF−54TEN型)を用いて、温度160℃、圧力0.20N/cm2、時間60秒間、熱処理を行うことで、にじみのない鮮明な画像を有する着色布を得た。
(実施例2〜7)
染料ポリマー水分散液(ALx−1)を、染料ポリマー水分散液(ALx−2)〜(ALx−6)、(ULx−1)にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に捺染用インクジェットインク(2)〜(7)を調製した。また、捺染用インクジェットインク(1)を捺染用インクジェットインク(2)〜(7)に変更した以外は実施例1と同様にインクジェット捺染を行い着色布を得た。
染料ポリマー水分散液(ALx−1)を、染料ポリマー水分散液(ALx−2)〜(ALx−6)、(ULx−1)にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に捺染用インクジェットインク(2)〜(7)を調製した。また、捺染用インクジェットインク(1)を捺染用インクジェットインク(2)〜(7)に変更した以外は実施例1と同様にインクジェット捺染を行い着色布を得た。
(実施例8)
〔凝集剤を含む水性前処理液A(1)の調製〕
以下の成分を混合し、攪拌することにより、水性前処理液A(1)を調製した。
カチオマスターPD−7(含凝集剤;四日市合成製、固形分50質量%)
50g
BYK348(ビックケミー・ジャパン製) 5g
グリセリン 100g
水 845g
〔凝集剤を含む水性前処理液A(1)の調製〕
以下の成分を混合し、攪拌することにより、水性前処理液A(1)を調製した。
カチオマスターPD−7(含凝集剤;四日市合成製、固形分50質量%)
50g
BYK348(ビックケミー・ジャパン製) 5g
グリセリン 100g
水 845g
〔前処理工程〕
ポリエステル布帛(ポリエステルトロピカル(帝人株式会社製)、株式会社色染社製、商品コードA02−01019)、コットン布帛(綿ブロードシル付、株式会社色染社製、商品コードA02−01002)、及びポリエステル65%コットン35%混紡(混紡ポリエステル65/綿35ブロード、株式会社色染社製、商品コードA02−01030)にそれぞれ、上記調製した水性前処理液A(1)を、パディング法により付与し、絞り率70%で絞って24時間乾燥させた。なお、絞り率(%)は、水性処理液を含んだ布帛を絞った後の、布帛に対する水性処理液の残存量(質量比率)を表す。
ポリエステル布帛(ポリエステルトロピカル(帝人株式会社製)、株式会社色染社製、商品コードA02−01019)、コットン布帛(綿ブロードシル付、株式会社色染社製、商品コードA02−01002)、及びポリエステル65%コットン35%混紡(混紡ポリエステル65/綿35ブロード、株式会社色染社製、商品コードA02−01030)にそれぞれ、上記調製した水性前処理液A(1)を、パディング法により付与し、絞り率70%で絞って24時間乾燥させた。なお、絞り率(%)は、水性処理液を含んだ布帛を絞った後の、布帛に対する水性処理液の残存量(質量比率)を表す。
〔インクジェット捺染〕
布帛として上記の前処理された布帛を用いた以外は、実施例1と同様にインクジェット捺染を行い、着色布を得た。
布帛として上記の前処理された布帛を用いた以外は、実施例1と同様にインクジェット捺染を行い、着色布を得た。
(実施例9〜14)
布帛として上記の前処理された布帛を用いた以外は、実施例2〜7と同様にインクジェット捺染を行い、着色布を得た。
布帛として上記の前処理された布帛を用いた以外は、実施例2〜7と同様にインクジェット捺染を行い、着色布を得た。
(比較例1〜2)
染料ポリマー水分散液(ALx−1)を、染料ポリマー水分散液(ALx−A1)〜(ALx−A2)にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に捺染用インクジェットインク(R1)〜(R2)を調製した。また、捺染用インクジェットインク(1)を捺染用インクジェットインク(R1)〜(R2)に変更した以外は実施例1と同様にインクジェット捺染を行い着色布を得た。
染料ポリマー水分散液(ALx−1)を、染料ポリマー水分散液(ALx−A1)〜(ALx−A2)にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に捺染用インクジェットインク(R1)〜(R2)を調製した。また、捺染用インクジェットインク(1)を捺染用インクジェットインク(R1)〜(R2)に変更した以外は実施例1と同様にインクジェット捺染を行い着色布を得た。
(比較例3)顔料を用いたインクジェット方式の着色
(顔料分散液の調製)
スチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678、BASF社製、商品名)3質量部、ジメチルアミノエタノール1.3質量部、イオン交換水80.7質量部を70℃で撹拌し混合した。次いで、C.I.ピグメントブルー15:3を15質量部、粒径0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填し、サンドグラインダーミルを用いて分散し、シアン顔料の含有量が15質量%の顔料分散液を得た。
(顔料分散液の調製)
スチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678、BASF社製、商品名)3質量部、ジメチルアミノエタノール1.3質量部、イオン交換水80.7質量部を70℃で撹拌し混合した。次いで、C.I.ピグメントブルー15:3を15質量部、粒径0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填し、サンドグラインダーミルを用いて分散し、シアン顔料の含有量が15質量%の顔料分散液を得た。
(水性バインダーの調製)
三口フラスコにメチルエチルケトン(MEK)50質量部を入れ、窒素下、75℃に保持した。別途、メタクリル酸ブチル80質量部、アクリル酸20質量部、MEK50質量部、アゾイソブチロニトリル0.5質量部の混合物を3時間かけてフラスコに滴下した。滴下後、5時間加熱還流し、20℃まで冷却し、減圧加熱することで重合物の残渣を得た。そこへイオン交換水350質量部、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モルの水酸化ナトリウムを加えて溶解させた。全量が500質量部となるようにイオン交換水で希釈し、水性バインダーの20質量%水溶液を得た。
三口フラスコにメチルエチルケトン(MEK)50質量部を入れ、窒素下、75℃に保持した。別途、メタクリル酸ブチル80質量部、アクリル酸20質量部、MEK50質量部、アゾイソブチロニトリル0.5質量部の混合物を3時間かけてフラスコに滴下した。滴下後、5時間加熱還流し、20℃まで冷却し、減圧加熱することで重合物の残渣を得た。そこへイオン交換水350質量部、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モルの水酸化ナトリウムを加えて溶解させた。全量が500質量部となるようにイオン交換水で希釈し、水性バインダーの20質量%水溶液を得た。
(顔料インクの調製、及びインクジェット方式の着色)
上記顔料分散液46.6質量部、上記水性バインダーの20質量%水溶液15質量部、PDX−7664A(BASF社製、商品名)2.9質量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10質量部、1,2−ヘキサンジオール5質量部、ジエチレングリコール11.2質量部、オルフィン465(日信化学工業製、商品名)0.6質量部を混合し、ここへイオン交換水を加えて全量を100質量部に調製し、0.8μmのフィルターでろ過して比較用の顔料インク(R3)を得た。
得られた顔料インク(R3)を、インクカートリッジに装填し、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製カラリオPX−045A、商品名)を用いて、ポリエステル布帛(ポリエステルトロピカル(帝人株式会社製)、色染社製、商品コードA02−01019)、コットン布帛(綿ブロードシル付、色染社製、商品コードA02−01002)、及びポリエステル65%コットン35%混紡(混紡ポリエステル65/綿35ブロード、色染社製、商品コードA02−01030)にそれぞれ画像を印捺し、20℃で12時間乾燥させた。乾燥後、ヒートプレス(アサヒ繊維機械株式会社製、商品名:卓上自動平プレス機AF−54TEN型)を用いて、温度200℃、圧力0.20N/cm2、時間60秒間、熱処理を行うことで、顔料インクで印刷した着色布を得た。
上記顔料分散液46.6質量部、上記水性バインダーの20質量%水溶液15質量部、PDX−7664A(BASF社製、商品名)2.9質量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10質量部、1,2−ヘキサンジオール5質量部、ジエチレングリコール11.2質量部、オルフィン465(日信化学工業製、商品名)0.6質量部を混合し、ここへイオン交換水を加えて全量を100質量部に調製し、0.8μmのフィルターでろ過して比較用の顔料インク(R3)を得た。
得られた顔料インク(R3)を、インクカートリッジに装填し、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製カラリオPX−045A、商品名)を用いて、ポリエステル布帛(ポリエステルトロピカル(帝人株式会社製)、色染社製、商品コードA02−01019)、コットン布帛(綿ブロードシル付、色染社製、商品コードA02−01002)、及びポリエステル65%コットン35%混紡(混紡ポリエステル65/綿35ブロード、色染社製、商品コードA02−01030)にそれぞれ画像を印捺し、20℃で12時間乾燥させた。乾燥後、ヒートプレス(アサヒ繊維機械株式会社製、商品名:卓上自動平プレス機AF−54TEN型)を用いて、温度200℃、圧力0.20N/cm2、時間60秒間、熱処理を行うことで、顔料インクで印刷した着色布を得た。
上記実施例1〜14、比較例1〜3の評価結果を表2に示す。なお着色布の評価は以下の方法で実施した結果である。風合い、耐洗濯性、耐汗性及び乾摩擦堅牢度の評価では、3種類布帛のうち、コットン布帛を使用した。
(風合い)
染色前の未処理布と、染色後の着色布とを手で触り、着色布の風合いを官能評価した。着色布の風合いが未処理布に近い優れたものを10点、それ以外を0点とし、この評価を10人で行い、その総点の数値を下記表2に記載した。数値が大きい方が未処理布(100(点))に近い優れた風合いであることを示す。
染色前の未処理布と、染色後の着色布とを手で触り、着色布の風合いを官能評価した。着色布の風合いが未処理布に近い優れたものを10点、それ以外を0点とし、この評価を10人で行い、その総点の数値を下記表2に記載した。数値が大きい方が未処理布(100(点))に近い優れた風合いであることを示す。
(耐洗濯性)
「JISハンドブック 31 繊維」日本規格協会編集、2015年発行に従い、JIS L−0844 A−2号に基づいて評価した。数値が大きい方が堅牢性に優れることを示す。
「JISハンドブック 31 繊維」日本規格協会編集、2015年発行に従い、JIS L−0844 A−2号に基づいて評価した。数値が大きい方が堅牢性に優れることを示す。
(耐汗性(アルカリ性))
「JISハンドブック 31 繊維」日本規格協会編集、2015年発行に従い、JIS L−0848に基づいて、耐汗変退色を評価した。アルカリ性人工汗液での結果を表2に表す。数値が大きい方が堅牢性に優れることを示す。
「JISハンドブック 31 繊維」日本規格協会編集、2015年発行に従い、JIS L−0848に基づいて、耐汗変退色を評価した。アルカリ性人工汗液での結果を表2に表す。数値が大きい方が堅牢性に優れることを示す。
(乾摩擦堅牢度)
「JISハンドブック 31 繊維」日本規格協会編集、2015年発行に従い、JIS L−0849 学振型摩擦試験に基づいて評価した。数値が大きい方が堅牢性に優れることを示す。
「JISハンドブック 31 繊維」日本規格協会編集、2015年発行に従い、JIS L−0849 学振型摩擦試験に基づいて評価した。数値が大きい方が堅牢性に優れることを示す。
上記結果から明らかなように、本発明の実施例のインクジェットインクは耐洗濯性、耐汗性、乾摩擦堅牢度に優れ、かつ良好な風合いの着色布を与えることがわかる。顔料を用いた比較例3は着色布の乾摩擦堅牢度と風合いが劣っていた。
Claims (12)
- スチルベン染料、トリアリールメタン染料、キノリン染料、キサンテン染料、二グロシン染料、オキサジン染料、チアジン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、キノフタロン染料、シアニン染料及びフタロシアニン染料からなる群より選択される少なくとも1種の染料に由来する構造と、下記一般式(a−1)で表される基とを有するポリマーの水分散液を含むインクジェットインクであって、
前記ポリマーは、前記染料に由来する構造を有する単量体と、全単量体の含有量に対して1質量%以上20質量%以下の含有量の下記一般式(a−1)で表される基を含む単量体とを重合してなるポリマーである、インクジェットインク。
一般式(a−1)中、Mは水素原子又はカチオンを表す。*は結合手を表す。 - 前記ポリマーが、アクリルポリマーである請求項1に記載のインクジェットインク。
- 捺染用である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインクを含有するインクカートリッジ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインクを含有するインクジェットプリンタ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインクをインクジェット方式で布帛に印捺する工程を有するインクジェット捺染方法。
- 更に、熱処理工程を含む請求項7に記載のインクジェット捺染方法。
- 前記布帛として、凝集剤を含む水性処理液で処理された布帛を用いる、請求項7又は8に記載のインクジェット捺染方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインクをインクジェット方式で布帛に印捺する工程を有する着色布の製造方法。
- 更に、熱処理工程を含む請求項11に記載の着色布の製造方法。
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