JP2019018353A - 積層材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物繊維を含む基部と、その一面側に接合された樹脂層とを備え、内部に気泡部等を含まず、外観性に優れる積層材及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、植物繊維を含む基部11と、該基部11の一面側に接合された樹脂層15とを備える積層材10であり、樹脂層15は、第1熱可塑性樹脂を含む第1樹脂部17と、該第1熱可塑性樹脂より低い融点を有する第2熱可塑性樹脂を含む第2樹脂部19とを備え、第2樹脂部19は、樹脂層15の一面側から他面側に形成された複数の孔に第2熱可塑性樹脂が充填されてなり、基部11及び樹脂層15は、第2熱可塑性樹脂により接合されている。【選択図】図1

Description

本発明は、植物繊維を含む基部と、その一面側に接合された樹脂層とを備える積層材及びその製造方法に関する。
近年、自動車の室内に配設される内装材として、コスト、成形性等に優れることから、植物繊維どうしが熱可塑性樹脂で結着されてなる基材の表面に、機能性材料、表皮材等が配設された積層材が用いられている。例えば、特許文献1には、植物性繊維を含むボード基材と、ボード基材における一方の面を覆う表皮材と、ボード基材と表皮材との間に介在される機能層と、機能層とボード基材との間に介在され、機能層とボード基材とを接着するボード基材側接着層と、機能層と表皮材との間に介在され、機能層と表皮材とを接着する表皮材側接着層と、を備え、ボード基材側接着層の融点は、機能層の融点よりも低く設定され、ボード基材側接着層には、揮発性有機化合物を吸着可能な吸着剤が含まれているボード部材が開示されている。そして、機能層は、防水層であってもよいことが記載されている。
このような積層部材を製造する方法としては、ボード基材の上に、接着層形成材料及び機能層形成材料が、順次、積層されてなる積層物を加熱プレス等により一体化させつつ賦形する方法が一般的である。しかしながら、植物繊維は、微量の水分を含むため、機能層形成材料が、防水層形成用樹脂シートである等、一面側から他面側に通気性又は通水性を有しない場合に、積層物を加熱すると、ボード基材に含まれる植物繊維から発生した、水蒸気、その他のガス成分等が外部に排出されず、内部に気泡部を含む積層材が形成されることがあった(図11参照)。
特開2014−83742号公報
内部に気泡部を含む積層材を内装材として用いることは、外観性だけでなく、各層のあいだの密着性が不十分であることから、機械物性が十分ではなく、また、長期に渡って形状安定性が保持されないこととなり好ましくない。そこで、各層の密着性に優れ、気泡部を有さない積層材を製造する方法が求められていた。
本発明の目的は、植物繊維を含む基部と、その一面側に接合された樹脂層とを備える積層材であって、内部に気泡部を含まず、外観性に優れる積層材を提供することである。また、他の目的は、植物繊維を含む基材と、接着材シートと、通気性を有する樹脂層形成用の樹脂シートとからなる積層物を加熱プレスするに際して、植物繊維に由来する水蒸気、その他のガス成分を内包させることなく、外観性に優れた積層材を効率よく製造することである。
本発明者らは、接着材シートとして、熱可塑性樹脂Rを含み、一面側から他面側に通気性を有する接着材シートを用い、樹脂シートとして、熱可塑性樹脂Rより高い融点を有する熱可塑性樹脂を含み、且つ、一面側から他面側に形成された複数の孔を有する樹脂シートを用いることにより、上記課題が解決されることを見い出した。本発明は、以下に示される。
1.植物繊維を含む基部と、該基部の一面側に接合された樹脂層とを備える積層材において、
上記樹脂層は、第1熱可塑性樹脂を含む第1樹脂部と、該第1熱可塑性樹脂より低い融点を有する第2熱可塑性樹脂を含む第2樹脂部とを備え、
上記第2樹脂部は、上記樹脂層の一面側から他面側に形成された複数の孔に上記第2熱可塑性樹脂が充填されてなり、
上記基部及び上記樹脂層は、上記第2熱可塑性樹脂により接合されていることを特徴とする積層材。
2.上記第2熱可塑性樹脂の融点が、上記第1熱可塑性樹脂の融点より20℃以上低い上記項1に記載の積層材。
3.上記樹脂層が、透明性を有する上記項1又は2に記載の積層材。
4.上記第第2樹脂部が、上記樹脂層の基部側から他面側に向かって幅狭となるテーパー形状を有する上記項1乃至3のいずれか一項に記載の積層材。
5.上記項1に記載の積層材の製造方法であって、
植物繊維を含む基材と、第2熱可塑性樹脂を含み、且つ、一面側から他面側に通気性を有する接着材シートと、上記第2熱可塑性樹脂より高い融点を有する第1熱可塑性樹脂を含み、且つ、一面側から他面側に形成された複数の孔を有する樹脂シートとが、この順に重ね合わされてなる積層物を、上記第2熱可塑性樹脂が溶融し、且つ、上記第1熱可塑性樹脂が溶融しない温度で加熱プレスする工程を備えることを特徴とする積層材の製造方法。
6.上記接着材シートが、上記第2熱可塑性樹脂を含む繊維を含有する不織布である上記項5に記載の積層材の製造方法。
7.上記樹脂シートに形成された上記孔が、上記樹脂シートの一面側の開口部を短径とし、他面側の開口部を長径とするテーパー形状を有し、
上記積層物において、上記接着材シートが、上記樹脂シートの上記他面側に面している上記項5又は6に記載の積層材の製造方法。
本発明の積層材は、内部に水蒸気等を含む気泡部を有さないので、膨れがなく、外観性に優れる。従って、この積層材をそのまま用いる場合や、樹脂層の表面に他の加飾層等を配設した場合に、各々、外観性又は意匠性を十分に発揮させることができる。
また、基部が、第1樹脂部及び第2樹脂部を含む樹脂層と接着することで、積層材は、この樹脂層により被覆された構造を有するため、植物繊維に由来する揮発性有機化合物が放出されることもない。
更に、樹脂層が透明性を有する場合には、樹脂層を通して基部に含まれる植物繊維を鮮明に認識することができ、意匠性を高めることができる。
本発明の積層材の製造方法によれば、一面側から他面側に通気性を有する接着材シートと、一面側から他面側に形成された複数の孔を有する樹脂シートとを用いているので、加熱プレスの際に、植物繊維に由来する水蒸気、その他のガス成分が排出され、これらが内部に残存されずに、密着性に優れた一体化物を効率よく製造することができる。そして、基材と樹脂シートとの接着において、気泡による非接着部の発生が抑えられたことにより、所期の機械物性を得ることができる。
以下において、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ、詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
本発明の積層材の一例を示す拡大断面図である。 本発明の積層材の他例を示す拡大断面図である。 本発明の積層材の他例を示す拡大断面図である。 図1の積層材を製造する原料を示す断面図である。 図4の製造原料を用いて作製された積層物を示す断面図である。 図2の積層材を製造する原料を示す断面図である。 図6の製造原料を用いて作製された積層物を示す断面図である。 図1の積層材を製造する原料を示す断面図である。 図8の製造原料を用いて作製された積層物を示す断面図である。 図1の積層材を製造する原料を示す断面図である。 公知の方法により得られた積層材の一例を示す拡大断面図である。
ここで示される事項は、例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の積層材は、好ましくはシート状を有する、植物繊維を含む基部11と、該基部11の一面側に接合された樹脂層15とを備える物品である。樹脂層15は、第1熱可塑性樹脂を含む第1樹脂部17と、該第1熱可塑性樹脂より低い融点を有する第2熱可塑性樹脂を含む第2樹脂部18とを備える(図1、図2及び図3参照)。第2樹脂部18は、樹脂層15の一面側から他面側に形成された複数の孔に第2熱可塑性樹脂が充填されてなる部分である。また、基部11及び樹脂層15の接合は、第2樹脂部18に含まれると同じ第2熱可塑性樹脂によるものである。図1、図2及び図3は、本発明において必須ではない接着層13により、基部11及び樹脂層15を接合する態様である。尚、「基部11及び樹脂層15の接合」とは、少なくとも、基部11に含まれる植物繊維と、樹脂層15とが第2熱可塑性樹脂により接着されて、一体化された積層材が形成されていることを意味するものであり、両者の接合は、図1、図2及び図3に示される接着層13によるものであってよいし、接着層13を有さず、第2熱可塑性樹脂を介した植物繊維と、樹脂層15との点接着(部分接着)によるものであってもよい。
上記樹脂層15は、本発明において、特殊な構造を有する層であり、図1及び図2に示すように、第1熱可塑性樹脂を含む第1樹脂部17と、第2熱可塑性樹脂を含む第2樹脂部18とを備える。また、上記樹脂層15は、第1樹脂部17の表面側に、1以上の他の部分を備えることができる。図3は、他の部分として、「第3樹脂部19」を1つ備える態様である。
上記第1樹脂部17に含まれる第1熱可塑性樹脂、及び、上記第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂は、互いに融点が異なるものであれば、特に限定されない。上記第1熱可塑性樹脂の融点は、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上であり、上記第2熱可塑性樹脂の融点は、好ましくは160℃未満、より好ましくは150℃未満である。尚、上記第1熱可塑性樹脂の融点と、上記第2熱可塑性樹脂の融点との差は、積層材の形状安定性の観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上である。但し、融点差の上限は、通常、80℃である。これらの樹脂は、融点が異なる限りにおいて、互いに異なる種類の樹脂であるか、あるいは、同じ種類の樹脂である。
上記第1樹脂部17に含まれる第1熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂等が挙げられる。これらのうち、樹脂層15の表面側において防水性を付与する場合に好適であることから、ポリアミド樹脂が好ましい。
上記ポリアミド樹脂としては、PA6、PA66、PA610、PA11、PA12等が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリピバロラクトンや、共重縮合ポリエステル等が挙げられる。
上記第1樹脂部17に含まれる第1熱可塑性樹脂は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。また、図1及び図2において、第1樹脂部17を、単一相として示したが、これに限定されず、上記第1樹脂部17は、積層材に対して垂直方向、斜め方向又は水平方向に2以上の部分に分割されて、互いに異なる種類の樹脂が含まれる構造を有してもよい。
上記第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、芳香族ビニル樹脂、アクリル樹脂、及び、これらの変性物等が挙げられる。これらのうち、樹脂層15の表面側において防水性を付与する場合に好適であることから、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン(ランダム)共重合体等のプロピレン系重合体;ポリエチレン等が挙げられる。これらのうち、プロピレン系重合体が好ましい。また、上記ポリオレフィン樹脂の変性物は、カルボキシル基又はその誘導体(無水物基等)、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、ニトリル基等を有する化合物によるものであり、好ましくは、カルボキシル基又はその誘導体(無水物基等)を有する化合物による酸変性物(酸変性ポリオレフィン)である。
上記第2樹脂部18は、図1、図2及び図3に示すように、上記樹脂層15の一面側から他面側に形成された複数の孔に第2熱可塑性樹脂が充填された部位である。上記孔(第2樹脂部18)は、長さ方向に、直線状、ジグザグ状、曲線状又はこれらの変形形状とすることができる。また、上記孔(第2樹脂部18)の長さ方向の断面形状は、円、楕円、多角形等とすることができる。
本発明において、上記第2樹脂部18は、図2に示すように、上記樹脂層15の基部11側から他面側(樹脂層15の表面側)に向かって幅狭となるテーパー形状を有することが好ましい。上記のように、基部11及び樹脂層15の接合は、基部11に含まれる植物繊維と、樹脂層15との点接着(部分接着)によるものとすることができるが、第2樹脂部18がテーパー形状を有する場合には、第2樹脂部18は第2熱可塑性樹脂を含むため、第2熱可塑性樹脂による、植物繊維と、樹脂層15を構成する第1樹脂部17との接着面積が広大化する。これにより、基部11及び樹脂層15の接着性を向上させることができる。
上記樹脂層15の基部11側表面における、第1樹脂部17及び第2樹脂部18の面積比は、特に限定されないが、両者の合計を100%とした場合に、好ましくは80〜99%及び1〜20%、より好ましくは80〜90%及び10〜20%である。
上記樹脂層15の表面における、第1樹脂部17及び第2樹脂部18の面積比もまた、特に限定されないが、両者の合計を100%とした場合に、好ましくは90〜99%及び1〜10%、より好ましくは95〜99%及び1〜5%である。
上記樹脂層15は、上記のように、1以上の他の部分を含むことができる。図3は、第3樹脂部19を備える態様である。この第3樹脂部19に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂及び硬化樹脂のいずれでもよく、熱可塑性樹脂である場合、特に限定されないが、第1熱可塑性樹脂より低い融点を有する樹脂、即ち、第2熱可塑性樹脂であることが好ましい。この場合、上記第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂、及び、上記第3樹脂部19に含まれる第2熱可塑性樹脂は、同一でも異なってもよい。また、上記第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂、及び、上記第3樹脂部19に含まれる第2熱可塑性樹脂は、同一の場合、第2樹脂部18及び第3樹脂部19が連続相を形成してもよい。上記第3樹脂部19の厚さは、特に限定されない。
他の部分が複数ある場合、樹脂の種類、隣り合う部分同士の物性等は、特に限定されない。
上記第1樹脂部17、上記第2樹脂部18、及び、上記第3樹脂部19等の他の部分は、それぞれ、所定の樹脂のみを含有してもよいが、目的、用途等に応じて、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、難燃剤、安定剤、耐候剤、光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、着色剤(顔料、染料等)等の添加剤を、更に含有することができる。
上記樹脂層15の厚さは、全面に渡って均一であっても不均一であってもよいが、好ましくは30〜150μm、より好ましくは50〜80μmである。
本発明の積層材10は、図1、図2及び図3に示すように、基部11と樹脂層15とを面接着させる接着層13を備えるものであってもよい。この場合、この接着層13の構成材料は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂系接着剤、熱硬化性樹脂系接着剤、石油系接着剤、天然高分子系接着剤等に由来するものとすることができる。これらのうち、熱可塑性樹脂系接着剤に由来する熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、積層材の剛性の観点から、第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂と相容性を有する樹脂を含むことがより好ましく、第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂と同じ樹脂を含むことが特に好ましい。上記接着層13を構成する樹脂、及び、第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂が相容性を有する場合、図1、図2及び図3に示すように、通常、第2樹脂部18及び接着層13が連続相を形成する。
また、上記接着層13の厚さは、特に限定されないが、好ましくは30〜70μm、より好ましくは30〜50μmである。
次に、上記基部11は、積層材の製造前と比較して含水率の低い植物繊維を含む部位であり、繊維状材料として、植物繊維のみを含んでよいし、植物繊維及び樹脂繊維を含んでもよい。
上記植物繊維は、植物における、幹、茎、枝、葉、根等に由来する繊維であり、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、針葉樹(杉、檜等)、広葉樹、綿花等の植物繊維に由来する線状繊維体である。これらのうち、木質茎を有し、成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有し、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献するアオイ科植物であるケナフに由来する線状繊維体(ケナフ繊維)であることが好ましい。このケナフとしては、学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffaや、通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻、ボンベイ麻等が挙げられる。尚、上記基部11に含まれる植物繊維は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
上記樹脂繊維は、第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂の融点において、溶融、軟化、分解等を生じない樹脂を主とするものであれば、その構成材料は、特に限定されない。また、この樹脂繊維の構造も、特に限定されず、一般繊維、中空繊維、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維等とすることができる。
尚、上記基部11が、植物繊維及び樹脂繊維を含む場合、樹脂繊維の含有割合の上限は、植物繊維100質量部に対して、好ましくは7質量部、より好ましくは5質量部である。
上記植物繊維の繊維長及び繊維径は、特に限定されない。繊維長と繊維径との比は、本発明の積層材の剛性の観点から、好ましくは1000〜4000である。また、上記繊維長は、好ましくは50〜120mmであり、上記繊維径は、好ましくは30〜70μmである。これらの繊維長及び繊維径は、光学顕微鏡(マイクロスコープ)等を用いて、2点間距離測定にて算出した値である。
更に、上記植物繊維の平均繊維長及び平均繊維径も、特に限定されない。平均繊維長は、本発明の積層材の剛性の観点から、好ましくは60〜80mmである。この平均繊維長は、無作為に選出した植物繊維の繊維長を、光学顕微鏡(マイクロスコープ)を用い、2点間距離測定にて、合計200本について測定した平均値である。一方、平均繊維径は、好ましくは40〜60μmである。この平均繊維径は、無作為に選出した植物繊維の繊維径を、光学顕微鏡(マイクロスコープ)を用い、2点間距離測定にて、合計200本について測定した平均値である。
上記基部11が樹脂繊維を含む場合、この樹脂繊維の繊維長及び繊維径は、特に限定されず、上記植物繊維のサイズとして上記記載の範囲のものとすることができる。
上記基部11の構造は、特に限定されず、植物繊維の集積物若しくは植物繊維及び樹脂繊維の集積物、又は、繊維どうしが接着剤により結着され形状安定化された物に由来するものであって、一面側から他面側に通気性を有する構造を備えるものが好ましい。本発明においては、繊維どうしが接着剤により結着された物に由来することが好ましい。尚、上記接着剤は、植物繊維どうし、又は、植物繊維及び樹脂繊維を接着するものであれば、特に限定されず、熱可塑性樹脂系接着剤、熱硬化性樹脂系接着剤、石油系接着剤、天然高分子系接着剤等とすることができる。これらのうち、熱可塑性樹脂系接着剤が好ましい。従って、上記基部11は、繊維どうしが、熱可塑性樹脂系接着剤に結着されてなることが好ましい。
尚、上記熱可塑性樹脂系接着剤に含まれる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、及び、これらの変性物等が挙げられる。これらのうち、ポリオレフィン樹脂が好ましく、上記第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂である場合には、このポリオレフィン樹脂と相容性を有するポリオレフィン樹脂を含む熱可塑性樹脂系接着剤が特に好ましい。
上記基部11の目付は、積層材の用途等によるが、目付は、積層材の剛性、形状保持性等の観点から、好ましくは0.7〜1.8kg/m、より好ましくは1.0〜1.5kg/mである。また、本発明の積層材がシート状である場合、上記基部11の厚さは、好ましくは1.0〜4.0mm、より好ましくは1.5〜2.5mmである。
本発明の積層材がシート状である場合、その厚さは、特に限定されないが、積層材の剛性、形状保持性等の観点から、好ましくは1.0〜4.0mm、より好ましくは1.5〜2.5mmである。
本発明の積層材が接着層13の存在に関わらず、例えば、図1、図2及び図3における基部11より上方側の樹脂層15等が透明性を有する場合には、樹脂層15を通して基部11に含まれる植物繊維を鮮明に認識することができ、意匠性を高めることができる。樹脂層15及び接着層13に適用する、透明性を有する樹脂は、従来、公知の熱可塑性樹脂とすることができる。
また、本発明の積層材は、上記樹脂層15が透明性を有する有さないに関わらず、必要に応じて、上記樹脂層15の表面に加飾層を備えることができる(図示せず)。本発明の積層材を用いて、車両、船舶、航空機等における内装材を形成する場合であって、加飾層を備えるようにする場合には、従来、公知の表皮材が樹脂層15の表面に接合される。
本発明の積層材は、樹脂層15を形成するための樹脂フィルムと、基部11を形成するための植物繊維含有基材とを、接着剤を用いて、加熱することなく、圧着することにより、製造することができる。しかしながら、上記のように、樹脂層15は特定の構造を有するため、樹脂層15を形成する樹脂フィルムを準備することは容易ではない。本発明では、樹脂層15及び基部11の間に、植物繊維に含まれる水分に起因して、気泡部等の、外観性を低下させる部分を形成させることなく製造するために、例えば、図4、図6及び図8に示される、植物繊維を含む基材110と、第2熱可塑性樹脂を含み、且つ、一面側から他面側に通気性を有する接着材シート120と、第2熱可塑性樹脂より高い融点を有する第1熱可塑性樹脂を含み、且つ、一面側から他面側に形成された複数の孔を有する樹脂シート130とを用いて、積層材を製造する。即ち、本発明における積層材の製造方法では、基材110、接着材シート120及び樹脂シート130を、この順に重ね合わせて、図5、図7又は図9に示される積層物100とした後、この積層物100を、第2熱可塑性樹脂を含む接着材シート120が溶融し、且つ、樹脂シート130に含まれる第1熱可塑性樹脂が溶融しない温度で加熱プレスを行う(以下、「加熱プレス工程」という)。この加熱プレス工程において、積層物100の加熱プレスを行うと同時に、基材110を構成する植物繊維から、水蒸気、その他のガス成分等が発生するため、接着材シート120及び樹脂シート130の通気性を利用して、これらを瞬時に排出し、接着材シート120に含まれた第2熱可塑性樹脂の溶融物が、基材110及び樹脂シート130を接着させるとともに、樹脂シート130の孔に充填されることにより、図1又は図2に示される、基部11と樹脂層15との間に気泡部の形成が抑制された積層材10を製造することができる。
上記基材110は、植物繊維を含む物品であり、その構成は、特に限定されない。即ち、上記基材110としては、植物繊維のみからなる繊維集積物(以下、「基材(M1)」という)、植物繊維及び樹脂繊維からなる繊維集積物(以下、「基材(M2)」という)、植物繊維どうしが樹脂により結着されてなる植物繊維結着物(以下、「基材(M3)」という)等を用いることができる。尚、上記基材に含まれる植物繊維は、本発明の積層材を構成する基部11に含まれる植物繊維として記載したものを適用することができる。上記植物繊維の繊維長及び繊維径、並びに、平均繊維長及び平均繊維径は、特に限定されず、本発明の積層材を構成する基部11に含まれる植物繊維のサイズとして上記記載の範囲のものとすることができる。上記基材110の含水率は、通常、5.0質量%以上である。
上記基材(M1)は、1種又は2種以上の植物繊維からなる繊維集積物とすることができる。
上記基材(M2)は、植物繊維及び樹脂繊維からなる繊維集積物であり、1種又は2種以上の植物繊維と、1種又は2種以上の樹脂繊維とからなるものとすることができる。樹脂繊維は、加熱プレス工程の際に溶融する樹脂繊維の1種又は2種以上であってよいし、溶融せずに残存する樹脂繊維の1種又は2種以上であってよいし、これらの組み合わせであってもよい。
上記基材(M2)は、植物繊維と、加熱プレス工程の際に溶融する樹脂を含む樹脂繊維とを含む繊維集積物であることが好ましい。この樹脂繊維は、一般繊維、中空繊維、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維等とすることができ、加熱プレス工程の際に溶融する樹脂は、好ましくは、本発明の積層材を構成する第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂であり、より好ましくはポリオレフィン樹脂、特に好ましくはプロピレン系重合体である。
上記繊維集積物は、原料繊維を、エアーレイ法、カード法等に供することにより得られたものとすることができる。
上記基材(M3)は、植物繊維どうしが樹脂により結着されてなる植物繊維結着物であり、この樹脂は、熱可塑性樹脂及び硬化樹脂のいずれでもよいが、好ましくは熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、本発明の積層材を構成する第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂であり、更に好ましくはポリオレフィン樹脂、特に好ましくはプロピレン系重合体である。
上記基材110の目付は、特に限定されないが、得られる積層材の剛性、形状保持性等の観点から、好ましくは0.7〜1.8kg/m、より好ましくは1.0〜1.5kg/mである。
上記接着材シート120は、第2熱可塑性樹脂を含み、且つ、一面側から他面側に通気性を有するシートである。この接着材シート120は、加熱プレス工程において溶融され、基材110及び樹脂シート130を接着させるとともに、樹脂シート130に形成されている孔135の内部に第2熱可塑性樹脂を充填し、本発明の積層材10を構成する第2樹脂部18を形成する作用を有する。
上記接着材シート120における一面側から他面側への通気度は、特に限定されないが、好ましくは20〜100cm/(cm・秒)、より好ましくは30〜50cm/(cm・秒)である。この接着材シート120の通気度は、樹脂シート130の通気度より高いことが好ましい。
上記接着材シート120としては、第2熱可塑性樹脂を含む繊維を含有する織布、不織布、メッシュシートや、第2熱可塑性樹脂を含むシートに穿孔加工等を施したものであって、複数の孔を有する樹脂シート等を用いることができる。これらのうち、第2熱可塑性樹脂を含む繊維を含有する不織布が好ましい。上記第2熱可塑性樹脂は、好ましくは、本発明の積層材を構成する第2樹脂部18に含まれる第2熱可塑性樹脂である。そして、加熱プレス工程により形成される樹脂層15の表面側において防水性を付与する場合には、より好ましくはポリオレフィン樹脂、特に好ましくはプロピレン系重合体である。
上記接着材シート120の厚さ及び目付は、基材110の構造、樹脂シート130の孔のサイズ等により、適宜、選定され、特に限定されないが、厚さは、好ましくは0.2〜1.0mm、より好ましくは0.4〜0.6mmである。尚、上記基材110が、基材(M2)であり、この基材(M2)が、加熱プレス工程の際に溶融する樹脂繊維を含む場合には、基材(M1)の場合に比べて、薄肉化された接着材シート120を用いることができる。また、上記基材110が、基材(M3)である場合にも、基材(M1)の場合に比べて、薄肉化された接着材シート120を用いることができる。
上記樹脂シート130は、第2熱可塑性樹脂より高い融点を有する第1熱可塑性樹脂を含み、且つ、一面側から他面側に形成された複数の孔135を有する通気性シートである(図4、図6及び図8参照)。上記第1熱可塑性樹脂の融点と、上記第2熱可塑性樹脂の融点との差は、積層材の形状安定性の観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上である。但し、融点差の上限は、通常、80℃である。第1熱可塑性樹脂としては、融点が180℃以上のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂又はポリアリレート樹脂が好ましい。これらのうち、加熱プレス工程により形成される樹脂層15の表面側において防水性を付与する場合に好適であり、また、加熱プレス工程において溶融した樹脂が孔135に効率よく充填されることから、好ましくはポリアミド樹脂であり、特に好ましくはPA6である。
上記樹脂シート130としては、目的、用途等に応じて、単層型及び複層型のいずれを用いてもよい。
単層型の樹脂シート130は、図4及び図6に例示され、いずれも、第1熱可塑性樹脂を含む、孔135を有するシートである。樹脂シート130に含まれる第1熱可塑性樹脂、及び、接着材シート120に含まれる第2熱可塑性樹脂の種類によっては、両者の相容性が劣ることがあり、このような場合には、接着材シート120の溶融物(第2熱可塑性樹脂の溶融物)による樹脂シート130と、基材110との接着性の観点から、単層型の樹脂シート130として、第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂の両方に対して相容性に優れた材料により表面改質された樹脂シートを用いることが好ましい。そして、図5及び図7の積層物とする場合には、樹脂シート130の表面改質面を接着材シート120に接触させることが好ましい。
また、複層型の樹脂シート130は、図8に例示される。図8は、第1熱可塑性樹脂を含む樹脂層132と、他の樹脂(第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂のいずれでもよい)を含む樹脂層134とからなる2層型の樹脂シートであるが、複層型の樹脂シート130は、これに限定されず、3層型でも、それ以上でもよい。
上記樹脂シート130における孔135は、樹脂シート130の厚さ方向に対して、垂直(図4、図6及び図8参照)又は斜め(図示せず)に、直線状、ジグザグ状、曲線状又はこれらの変形形状(枝分かれ等)を有するものとすることができる。また、上記孔135の断面形状は、特に限定されず、円、楕円、多角形等とすることができる。図4及び図8の樹脂シート130は、厚さ方向に垂直に貫通する孔135を備えるシートを、図6の樹脂シート130は、孔135が、その一面側の開口部を短径とし、他面側の開口部を長径とするテーパー形状を有するシートを、それぞれ、示す。
尚、上記孔135のサイズ(表面積)は、特に限定されないが、孔の形状が円形である場合、好ましくは250〜1000μm、より好ましくは250〜500μmである。また、隣り合う孔135どうしの間隔(ピッチ)は、好ましくは1cm以下、より好ましくは2.5〜5.0mmである。
上記樹脂シート130は、第1熱可塑性樹脂に由来する色(無色を含む)を呈するだけでなく、着色剤等による有色シートであってもよい。
上記樹脂シート130の厚さは、特に限定されないが、表面耐久性の観点から、好ましくは30〜150μm、より好ましくは50〜80μmである。
上記加熱プレス工程では、基材110、接着材シート120及び樹脂シート130が、この順に重ね合わされて、図5、図7及び図9に示される積層物100が用いられる。尚、この積層物100は、樹脂シート130、接着材シート120及び基材110の順に積層されたものでもよい。
図5の積層物100は、図4で示される、厚さ方向に垂直に貫通する孔135を備える樹脂シート130が、接着材シート120の上に載置された態様を示す。図7の積層物100は、図6で示される、孔135が、その一面側の開口部を短径とし、他面側の開口部を長径とするテーパー形状を有する樹脂シート130を、その他面側が接着材シート120に面するように載置した態様を示す。また、図9の積層物100は、図8で示される、樹脂層132及び樹脂層134からなり、厚さ方向に垂直に貫通する孔135を備える樹脂シート130が、接着材シート120の上に載置された態様を示す。
上記加熱プレス工程では、所望の温度に設定可能な上型及び下型を備える、固定型又は移動型(コンベア方式等)のプレス装置を用いて、積層物100を、接着材シート120に含まれる第2熱可塑性樹脂が溶融し、且つ、樹脂シート130に含まれる第1熱可塑性樹脂が溶融しない温度で加熱プレスする。上記積層物100は、植物繊維を含有する基材110を含むため、加熱プレスと同時に植物繊維から水蒸気、その他のガス成分等が発生するが、これらのガス成分は、接着材シート120の通気孔及び樹脂シート130の孔135から瞬時に排出され、接着材シート120の溶融物、即ち、第2熱可塑性樹脂の溶融物が基材110及び樹脂シート130を接着し、樹脂シート130における孔135を満たす。この結果、気泡部を含まない積層材を得ることができる。
上記のように、樹脂シート130としては、図4に示す樹脂シート及び図6に示す樹脂シートが挙げられるが、単位面積当たりの孔135の総数及び総体積が同じ場合、図6に示す樹脂シートを用いると、基材110に含まれる植物繊維に由来するガス成分の排出効率が高い傾向にある。そして、孔135の内表面の面積は、図6の樹脂シート130の方が大きいため、図7の積層物100を加熱プレスすることにより得られる積層材では、図2に示すように、基部10と、これに面する樹脂層15における第1樹脂部17との接着面積が大きくなり、密着性により優れた一体化物となる。
図8の樹脂シート130を用いた場合であって、樹脂層134が第2熱可塑性樹脂を含む場合には、加熱プレス工程により、この樹脂層134及び接着剤シート120が溶融し、これらに含まれた第2熱可塑性樹脂の溶融物が、樹脂シート130における孔135を満たすとともに、樹脂シート130における非溶融の樹脂層132と、基材110とを接着し、気泡部を含まない積層材を得ることができる。
上記プレス装置を構成する上型及び下型が平面である場合には、板状の積層材が得られるが、これに限定されず、上型及び下型の内表面を曲面等として、所望の形状を有する積層材を製造することができる。尚、植物繊維から発生する水蒸気、その他のガス成分等を接着材シート120の通気孔及び樹脂シート130の孔135から効率よく排出させるために、上型及び下型の少なくとも一方における、樹脂シート130に面する内表面に、排気用の通気孔を備えるプレス装置を用いることが好ましい。
上記加熱プレス工程におけるプレス時間は、特に限定されないが、好ましくは20〜180秒間、より好ましくは50〜70秒間である。
本発明では、加熱プレス工程で得られた積層材を最終製品としてよいし、更に、端部を除去する等のトリミング工程を行って、最終製品とすることもできる。
また、本発明の積層材は、車両、船舶、航空機、建築等の分野において広く利用され、これらの分野における内装材、外装材、構造材や、これらの前駆体、即ち、加工用原料として好適である。従って、所定形状に賦形された製品を得る場合には、通常、本発明の積層材を加熱して軟化させ、その後、冷間プレスする方法が適用される。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
初めに、積層材の製造原料を示す。
(1)基材(繊維マット)
ポリプロピレン樹脂及び酸変性ポリプロピレン樹脂を含む混合樹脂を溶融紡糸して得られた樹脂繊維(繊度:6dtex、平均繊維長:50mm)と、ケナフ繊維(繊度:20dtex、平均繊維長:70mm)とを、質量比50:50で混綿した後、エアーレイ装置を用いて、繊維集積体を作製した。次いで、ニードリングを行って、目付が1.43kg/m、厚さが約10mmの繊維マットを得た。
(2)接着材シート(スパンボンド不織布)
ポリプロピレン樹脂を溶融紡糸して、そのまま網体の上に開繊・堆積させた後、シート状に結合させて、厚さが約1.0mm、目付が70g/m、通気度が30cm/(cm・秒)のスパンボンド不織布を得た。
(3)樹脂シート
PA6を主とする厚さ20μmの樹脂層(以下、「ポリアミド樹脂層」という)と、ポリプロピレンを主とする厚さ30μmの樹脂層(以下、「ポリプロピレン樹脂層」という)とが接着されてなる、合計厚さが80μmである透明複合シート(以下、「樹脂シートQ」という)の一面側に穿孔加工を行い、円形の孔を2.5mm間隔で形成し、一面側表面の孔径が250μm、他面側表面の孔径が150μmの樹脂シートPを得た。この樹脂シートPを実施例1及び2で用い、樹脂シートQを比較例1で用いた。
実施例1
繊維マットからなる基材の上に、スパンボンド不織布からなる接着材シート及び樹脂シートPを、順次、載置し、積層物を得た。尚、樹脂シートPは、接着材シートにポリプロピレン樹脂層が面するように載置した。
次いで、平板熱プレス装置を用いて、240℃で50秒間加熱プレス工程し、厚さが約3.0mmの積層材を得た。得られた積層材の厚さは、全体に渡って均一であり、内部に気泡部を含まないことが分かった。また、積層材の樹脂層は透明であり、この樹脂層を通して基部に含まれる植物繊維を鮮明に認識することができた。
実施例2
繊維マットからなる基材に、水をスプレーして、基材の含水率を10質量%とした。そして、実施例1と同様にして、この基材の上に、スパンボンド不織布からなる接着材シート及び樹脂シートPを、順次、載置し、積層物を得た。
次いで、平板熱プレス装置を用いて、240℃で50秒間加熱プレス工程し、厚さが約3.0mmの積層材を得た。得られた積層材の厚さは、全体に渡って均一であり、内部に気泡部を含まないことが分かった。また、積層材の樹脂層は透明であり、この樹脂層を通して基部に含まれる植物繊維を鮮明に認識することができた。
比較例1
樹脂シートPに代えて、樹脂シートQを用いた以外は、実施例1と同じ操作を行って、積層材を得た。得られた積層材は、部分的に気泡部による膨れが見られ、厚さは、全体に渡って不均一であった。また、樹脂層の全面を目視観察したところ、膨れがあるために、樹脂層を通して基部に含まれる植物繊維を鮮明に認識することができなかった。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許上記の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は、添付の特許上記の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明の積層材は、車両、船舶、航空機、建築等の分野において広く利用され、これらの分野における内装材、外装材、構造材や、これらの前駆体として好適である。また、本発明の積層材を加熱して軟化させた後、冷間プレスを行って得られた賦形物もまた、車両、船舶、航空機、建築等の分野において広く利用され、これらの分野における内装材、外装材、構造材や、これらの前駆体として好適である。
車両の分野では、自動車用で、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クォーターパネル、アームレストの芯材、ドアトリム、シート構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等が挙げられる。
船舶又は航空機の分野では、パッケージトレー、アームレストの芯材、シート構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、各種インストルメントパネル等が挙げられる。
また、建築の分野では、家具用で、机、椅子、棚、箪笥等の表装材、構造材や、住宅用で、ドア表装材、ドア構造材等が挙げられる。
その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材、パーティション部材等として用いることもできる。
10:積層材、11:基部、13:接着層、15:樹脂層、17:第1樹脂部、18:第2樹脂部、19:第3樹脂部、30:積層材、31:基部、33:接着層、35:樹脂層、37:気泡部、100:積層物、110:基材、120:接着材シート、130:樹脂シート、132:第1熱可塑性樹脂含有樹脂層、134:他の樹脂含有樹脂層、135:孔

Claims (8)

  1. 植物繊維を含む基部と、該基部の一面側に接合された樹脂層とを備える積層材において、
    前記樹脂層は、第1熱可塑性樹脂を含む第1樹脂部と、該第1熱可塑性樹脂より低い融点を有する第2熱可塑性樹脂を含む第2樹脂部とを備え、
    前記第2樹脂部は、前記樹脂層の一面側から他面側に形成された複数の孔に前記第2熱可塑性樹脂が充填されてなり、
    前記基部及び前記樹脂層は、前記第2熱可塑性樹脂により接合されていることを特徴とする積層材。
  2. 前記第2熱可塑性樹脂の融点が、前記第1熱可塑性樹脂の融点より20℃以上低い請求項1に記載の積層材。
  3. 前記樹脂層が透明性を有する請求項1又は2に記載の積層材。
  4. 前記第2樹脂部が、前記樹脂層の基部側から他面側に向かって幅狭となるテーパー形状を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層材。
  5. 請求項1に記載の積層材の製造方法であって、
    植物繊維を含む基材と、第2熱可塑性樹脂を含み、且つ、一面側から他面側に通気性を有する接着材シートと、前記第2熱可塑性樹脂より高い融点を有する第1熱可塑性樹脂を含み、且つ、一面側から他面側に形成された複数の孔を有する樹脂シートとが、この順に重ね合わされてなる積層物を、前記第2熱可塑性樹脂が溶融し、且つ、前記第1熱可塑性樹脂が溶融しない温度で加熱プレスする工程を備えることを特徴とする積層材の製造方法。
  6. 前記接着材シートが、前記第2熱可塑性樹脂を含む繊維を含有する不織布である請求項5に記載の積層材の製造方法。
  7. 前記第1熱可塑性樹脂の融点と、前記第2熱可塑性樹脂の融点との差が20℃以上である請求項5又は6に記載の積層材の製造方法。
  8. 前記樹脂シートに形成された前記孔が、前記樹脂シートの一面側の開口部を短径とし、他面側の開口部を長径とするテーパー形状を有し、
    前記積層物において、前記接着材シートが、前記樹脂シートの前記他面側に面している請求項5乃至7のいずれか一項に記載の積層材の製造方法。
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