JP2019015821A - 反射鏡ユニット及びヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents

反射鏡ユニット及びヘッドアップディスプレイ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車両において虚像表示品位を確保するための反射鏡ユニットの提供。【解決手段】反射鏡ユニットは、長手方向Dlに幅をもって短手方向Dsに広がる凹面345を有した湾曲板状に樹脂成形されているベース体340と、凹面345の長手方向Dlの両側箇所に分離して接着されている1対の両面テープ341と、凹面345に沿う湾曲板状に形成されて両面テープ341の全てに接着されている反射体を備える。表示光像が反射体の変形により歪むと予測される割合を予測歪み率Rpと定義し、両面テープ341の各々における長手方向Dlの寸法をテープ幅Wtと定義し、ベース体340における長手方向Dlの中心位置Pbから、両面テープ341の各々における長手方向Dlの中心位置Ptまでの距離をテープ配置距離Δtと定義すると、Rp=0.0933・Wt+2.1167≦5[%]と、Rp=0.1167・Δt−0.5697≦5[%]とが成立する。【選択図】図4

Description

本発明は、反射鏡ユニット及びヘッドアップディスプレイ(以下、HUD(Head Up Display)という)装置に関する。
従来、投射ユニットから投射した表示光像を反射鏡ユニットにより反射して車両の投影部材に投影することで、車両の車室内にて乗員により視認可能に表示光像を虚像表示するHUD装置は、広く知られている。
このようなHUD装置の反射鏡ユニットとして特許文献1に開示されたものでは、車両に支持されることになる樹脂基材の凹面に、例えば蒸着等により反射膜が形成されている。これにより反射膜は、投射ユニットからの表示光像を投影部材側へと反射する。
特開2015−75510号公報
さて、特許文献1に開示された反射ユニットの如き樹脂基材は、一般に樹脂成形されることになる。しかし、車両における環境温度の変化に応じて樹脂基材が変形するのに追従して、凹面に密着した反射膜も変形し易くなる。こうして変形した反射膜により表示光像が反射されると、当該表示光像には歪みが生じるため、虚像表示品位を悪化させるおそれがあった。
以上より本発明の目的は、車両において虚像表示品位を確保するための反射鏡ユニットを、提供することにある。また、本発明の他の目的は、車両において虚像表示品位を確保するための反射鏡ユニットを含んで構成されるHUD装置を、提供することにある。
以下、課題を達成するための発明の技術的手段について、説明する。尚、発明の技術的手段を開示する特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、発明の技術的範囲を限定するものではない。
上述の課題を解決するために開示された第1発明は、
投射ユニット(20)から投射した表示光像(5)を車両(2)の投影部材(4)に投影することにより、車両の車室(2a)内にて乗員により視認可能に表示光像を虚像表示するヘッドアップディスプレイ装置(1)において、投射ユニットからの表示光像を投影部材側へ反射する反射鏡ユニット(3)であって、
長手方向(Dl)に幅をもって短手方向(Ds)に広がる凹面(345)を有した湾曲板状に樹脂成形されており、車両に支持されるベース体(340)と、
凹面において長手方向の両側箇所にそれぞれ分離して接着されている1対の両面テープ(341)と、
凹面に沿う湾曲板状に形成されて両面テープの全てに接着されており、投射ユニットからの表示光像を反射する反射体(342)とを、備え、
表示光像が反射体の変形により歪むと予測される割合を、予測歪み率Rpと定義し、
凹面に接着された両面テープの各々における長手方向の寸法を、テープ幅Wtと定義し、
ベース体における長手方向の中心位置(Pb)から、凹面に接着された両面テープの各々における長手方向の中心位置(Pt)までの距離を、テープ配置距離Δtと定義すると、
式Aとして Rp=0.0933・Wt+2.1167≦5[%] と、
式Bとして Rp=0.1167・Δt−0.5697≦5[%] とが、成立する。
また、上述の課題を解決するために開示された第2発明は、
投射ユニット(20)及び反射鏡ユニット(3)を含んで構成され、投射ユニットから投射した表示光像(5)を反射鏡ユニットにより反射して車両(2)の投影部材(4)に投影することにより、車両の車室(2a)内にて乗員により視認可能に表示光像を虚像表示するヘッドアップディスプレイ装置(1)であって、
反射鏡ユニットは、
長手方向(Dl)に幅をもって短手方向(Ds)に広がる凹面(345)を有した湾曲板状に樹脂成形されており、車両に支持されるベース体(340)と、
凹面において長手方向の両側箇所にそれぞれ分離して接着されている1対の両面テープ(341)と、
凹面に沿う湾曲板状に形成されて両面テープの全てに接着されており、投射ユニットからの表示光像を反射する反射体(342)とを、備え、
表示光像が反射体の変形により歪むと予測される割合を、予測歪み率Rpと定義し、
凹面に接着された両面テープの各々における長手方向の寸法を、テープ幅Wtと定義し、
ベース体における長手方向の中心位置(Pb)から、凹面に接着された両面テープの各々における長手方向の中心位置(Pt)までの距離を、テープ配置距離Δtと定義すると、
式Aとして Rp=0.0933・Wt+2.1167≦5[%] と、
式Bとして Rp=0.1167・Δt−0.5697≦5[%] とが、成立する。
これら第1及び第2発明によると、長手方向に幅をもって短手方向に広がる凹面を有した湾曲板状に樹脂成形されるベース体と、当該凹面に沿う湾曲板状に形成されて投射ユニットからの表示光像を反射する反射体とを、反射鏡ユニットが備える。こうした反射鏡ユニットでは、ベース体の凹面における長手方向の両側箇所に1対の両面テープがそれぞれ分離して接着されることで、それら両面テープの全てに反射体がさらに接着されることとなる。このようにベース体と反射体とが長手方向両側の両面テープを介して間接的に接着されることによれば、車両に支持されるベース体が環境温度の変化に応じて変形しても、当該間接的接着状態の反射体では変形の追従性が低下するので、表示光像が歪み難くなる。しかも、両面テープの各々におけるテープ幅Wt及びテープ配置距離Δtが式A且つ式Bを成立させることによれば、反射体の変形により表示光像の歪むと予測される予測歪み率Rpは、5%以下に抑制される。以上のことから、虚像表示品位を確保することが可能となる。
さて、上述の課題を解決するために開示された第3発明は、
投射ユニット(20)から投射した表示光像(5)を車両(2)の投影部材(4)に投影することにより、車両の車室(2a)内にて乗員により視認可能に表示光像を虚像表示するヘッドアップディスプレイ装置(1)において、投射ユニットからの表示光像を投影部材側へ反射する反射鏡ユニット(3)であって、
長手方向(Dl)に幅をもって短手方向(Ds)に広がる凹面(345)を有した湾曲板状に樹脂成形されており、車両に支持されるベース体(340)と、
凹面において長手方向の両側箇所にそれぞれ分離して接着されている1対の両面テープ(341)と、
凹面に沿う湾曲板状に形成されて両面テープの全てに接着されており、投射ユニットからの表示光像を反射する反射体(342)とを、備え、
ベース体における長手方向の寸法を、ベース幅Wbと定義し、
凹面に接着された両面テープの各々における長手方向の寸法を、テープ幅Wtと定義し、
ベース体における長手方向の中心位置(Pb)から、凹面に接着された両面テープの各々における長手方向の中心位置(Pt)までの距離を、テープ配置距離Δtと定義すると、
式Dとして Wt≦0.1726・Wb と、
式Eとして Δt≦0.2666・Wb とが、成立する。
また、上述の課題を解決するために開示された第4発明は、 投射ユニット(20)及び反射鏡ユニット(3)を含んで構成され、投射ユニットから投射した表示光像(5)を反射鏡ユニットにより反射して車両(2)の投影部材(4)に投影することにより、車両の車室(2a)内にて乗員により視認可能に表示光像を虚像表示するヘッドアップディスプレイ装置(1)であって、
反射鏡ユニットは、
長手方向(Dl)に幅をもって短手方向(Ds)に広がる凹面(345)を有した湾曲板状に樹脂成形されており、車両に支持されるベース体(340)と、
凹面において長手方向の両側箇所にそれぞれ分離して接着されている1対の両面テープ(341)と、
凹面に沿う湾曲板状に形成されて両面テープの全てに接着されており、投射ユニットからの表示光像を反射する反射体(342)とを、備え、
ベース体における長手方向の寸法を、ベース幅Wbと定義し、
凹面に接着された両面テープの各々における長手方向の寸法を、テープ幅Wtと定義し、
ベース体における長手方向の中心位置(Pb)から、凹面に接着された両面テープの各々における長手方向の中心位置(Pt)までの距離を、テープ配置距離Δtと定義すると、
式Dとして Wt≦0.1726・Wb と、
式Eとして Δt≦0.2666・Wb とが、成立する。
これら第3及び第4発明によると、長手方向に幅をもって短手方向に広がる凹面を有した湾曲板状に樹脂成形されるベース体と、当該凹面に沿う湾曲板状に形成されて投射ユニットからの表示光像を反射する反射体とを、反射鏡ユニットが備える。こうした反射鏡ユニットでは、ベース体の凹面における長手方向の両側箇所に1対の両面テープがそれぞれ分離して接着されることで、それら両面テープの全てに反射体がさらに接着されることとなる。このようにベース体と反射体とが長手方向両側の両面テープを介して間接的に接着されることによれば、車両に支持されるベース体が環境温度の変化に応じて変形しても、当該間接的接着状態の反射体では変形の追従性が低下するので、表示光像が歪み難くなる。しかも、両面テープの各々におけるテープ幅Wt及びテープ配置距離Δtがベース体のベース幅Wbとの間にて式D且つ式Eを成立させることによれば、反射体の変形が生じても表示光像の歪みが効果的に抑制され得ることが分かっている。以上のことから、虚像表示品位を確保することが可能となる。
実施形態によるHUD装置を示す構成図である。 実施形態による虚像表示状態を例示する正面模式図である。 実施形態による反射鏡ユニットを示す分解斜視図である。 実施形態による反射鏡ユニットを説明するための正面模式図である。 図4のV−V線断面における断面模式図である。 実施形態による反射鏡ユニットの変形例を説明するための正面模式図である。 図6のVII−VII線断面における断面模式図である。 実施形態によるL8直交表実験を説明するための因子表である。 実施形態によるL8直交表実験を説明するための直交表である。 実施形態によるL8直交表実験を説明するための側面模式図である。 実施形態によるL8直交表実験を説明するための正面模式図である。 実施形態によるL8直交表実験の結果を示すグラフである。 実施形態によるL8直交表実験の結果を示す評価表である。 実施形態によるテープ幅の最適化を示すグラフである。 実施形態によるテープ配置距離の最適化を示すグラフである。 実施形態によるテープ厚の最適化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態によるHUD装置1は、車両2に搭載されることで、車室2a内にて乗員により視認可能に表示光像5を虚像表示する。具体的にHUD装置1は、ハウジング10、投射ユニット20、光学系30、調整スイッチ80及び制御ユニット90を含んで構成されている。
ハウジング10は、硬質樹脂により中空形状に形成されている。ハウジング10は、車室2a内の運転席前方においてインストルメントパネル2bに設置され、HUD装置1の構成要素20,30等を収容している。ハウジング10は、車両2において運転席前方に設置されて「投影部材」となるウインドシールド4に対し、車両の上下方向にて対向する位置に透光性の出射窓14を有している。
投射ユニット20は、透過照明式の液晶パネル又は有機ELパネル等を主体に構成され、画面22を有している。画面22は、投射ユニット20に内蔵されるバックライトにより、透過照明される。画面22に実像表示される画像は、この透過照明を受けて発光することで、表示光像5として投射される。投射ユニット20から投射される表示光像5は、車両2に関連する車両関連情報を表している。表示光像5は、例えば図2に示す車両進行方向等のナビゲーション情報を表していてもよいし、それ以外にも車速、燃料残量、冷却水温度等の車両状態情報や、交通状況等の車外状況情報を表していてもよい。
図1に示すように光学系30は、反射鏡ユニット3を含む複数の光学ユニットから、構成されている。但し、図1では、光学系30のうち反射鏡ユニット3以外の構成要素については、図示を省略している。
図1,3に示すように反射鏡ユニット3は、支持体32、鏡本体34、駆動源36及び弾性部材38,39を備えている。支持体32は、硬質金属によりフレーム状に形成されている。支持体32は、固定部320及び軸受部321を有している。複数の固定部320は、ハウジング10においてそれぞれ対応する箇所に、固定される。1対の軸受部321は、車両の上下方向及び前後方向に沿って配置される。
鏡本体34は、ベース体340、両面テープ341、反射体342及び回転軸343を組み合わせてなる。ベース体340は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)等の高剛性硬質樹脂を材料とした樹脂成形により、輪郭が略長方形の湾曲板状に形成されている。
樹脂成形されたベース体340は、図3〜5に示すように片面の略全体にて凹状に湾曲する凹面345を、有している。凹面345は、車両の左右方向に沿う長手方向Dlに長い幅をもって、同方向Dlに直交する短手方向Dsへと当該幅よりも短い範囲に広がっている。凹面345は、長手方向Dl及び短手方向Dsの双方に直交する直交方向Doにおいて、ベース体340において上記片面とは反対の逆面側へと向かって、凹んでいる。特に本実施形態の凹面345は、自由曲面状等に湾曲することで、長手方向Dl及び短手方向Dsの双方にて曲率を有している。但し、長手方向Dl及び短手方向Dsのうち一方のみにて曲率を有するように、凹面345が当該一方のみで凹んでいてもよい。
両面テープ341は、ポリエチレン(PE)フォーム等の軟質樹脂シート両面にアクリル系接着剤等の接着剤層を設けてなる。図4,5に示すように両面テープ341の片面は、ベース体340の凹面345において長手方向Dlの両側箇所にそれぞれ分離して、面接触状態で接着されている。特に本実施形態の両面テープ341は、長手方向Dlにおいてベース体340の中心位置Pbを挟んだ対称位置に互いに離間して、1対設けられている。但し、図6,7に示すように両面テープ341は、長手方向Dlの両側箇所にそれぞれ1枚ずつ配置されていれば、同方向Dlの中心位置Pbにさらに1枚配置されていてもよい。
各両面テープ341は、凹面345への接着前には互いに実質同一となる長方形の帯状を、呈している。そこで各両面テープ341は、図4(又は図6)に示す直交方向Doの投影視にて、長手方向Dlに短い幅Wtをもって短手方向Dsに長く延伸するように、凹面345に接着されている。この接着状態において、図5(又は図7)に示すように各両面テープ341は、長手方向Dlではベース体340の幅Wbよりも十分に短い幅Wtと、短手方向Dsではベース体340の両縁には至らない長さLtとを、現出させることとなる。
そこで直交方向Doの投影視にて、凹面345に接着の両面テープ341の各々における長手方向Dlの寸法は、テープ幅Wtと定義される。それと共に直交方向Doの投影視にて、ベース体340における長手方向Dlの寸法は、ベース幅Wbと定義される。さらに直交方向Doの投影視にて、ベース体340における長手方向Dlの中心位置Pbから、凹面345に接着された両面テープ341の各々における長手方向Dlの中心位置(即ち、テープ幅Wtの中心位置)Ptまでの距離は、テープ配置距離Δtと定義される。
図3,5(又は図7)に示すように反射体342は、環状オレフィンコポリマー(COC)等の透光性硬質樹脂により、輪郭が略長方形の湾曲板状に形成されている。樹脂成形されることで反射体342は、片面全体にて凹状に湾曲した表面346と、当該片面とは反対の逆面全体にて凸状に湾曲した裏面347とを、有している。表面346は、ベース体340の凹面345と実質同一となる曲面状に、湾曲している。一方で裏面347は、凹面345を補完する曲面状に、湾曲している。
図5(又は図7)に示すように裏面347は、ベース体340の凹面345に片面の接着された両面テープ341の全てにおける当該片面とは反対の逆面に対し、面接触状態で接着されている。これにより、両面346,347が凹面345に沿うこととなる湾曲板状の反射体342において裏面347は、凹面345との間に両面テープ341の全てを挟持する。そこで、両面テープ341の各々において凹面345及び反射体342に跨った厚さ方向となる直交方向Doの寸法は、互いに実質同一のテープ厚Ttと定義される。
以上の構成下、図1に示すように投射ユニット20から投射された表示光像5は、表面346へと直接的又は間接的に入射されることで、反射体342により拡大されてウインドシールド4側へと反射される。こうして反射された表示光像5は、出射窓14を透過することで、ウインドシールド4に投影される。その結果として表示光像5は、ウインドシールド4よりも前方に結像される虚像として、運転席上の乗員により知覚される。即ち、表示光像5が車室2a内の乗員に虚像表示されることとなる。
図1,3に示すように回転軸343は、ベース体340における長手方向Dlの両縁に、それぞれ1つずつ設けられている。各回転軸343は、ベース体340における短手方向Dsの中間部から長手方向Dlの相反側へ突出している。特に本実施形態の各回転軸343は、ベース体340と一体に形成されているが、ベース体340とは別体に形成されていてもよい。こうした各回転軸343は、図1に示すようにそれぞれ対応する軸受部321により、回転自在に軸受されている。これによりベース体340は、各回転軸343を軸受する支持体32の固定されたハウジング10を介して、車両2により支持されている。
駆動源36は、ステップモータ及び歯車減速機構を主体に構成されている。駆動源36は、一方の軸受部321により支持されている。駆動源36は、ステップモータへの通電により発生した回転トルクを、歯車減速機構により増幅して一方の回転軸343へと出力する。これにより一方の回転軸343が回転駆動されることで、反射体342の表面346により表示光像5の反射される方向は、当該回転軸343の回転位置に応じて変化する。その結果として表示光像5の虚像表示位置は、図2に実線で示す下限表示位置と、同図に破線で示す上限表示位置との間にて調整されることとなる。
図1に示すように第1弾性部材38は、弾性金属によりコイルバネ状に形成されている。第1弾性部材38は、一方の軸受部321により支持されることで、一方の回転軸343を回転方向に付勢している。これに対して第2弾性部材39は、弾性金属により板バネ状に形成されている。第2弾性部材39は、一方の軸受部321により支持されることで、一方の回転軸343をスラスト方向に付勢している。
調整スイッチ80は、車室2a内の運転席周辺において乗員により操作可能に、設置されている。調整スイッチ80は、レバー式又はプッシュ式等といった操作部材82,83を有している。アップ操作部材82は、表示光像5の虚像表示位置を上方に変化させたい乗員により、操作される。この操作を受けて調整スイッチ80は、アップ調整指令を与える指令信号を、出力する。一方でダウン操作部材83は、表示光像5の虚像表示位置を下方に変化させたい乗員により、操作される。この操作を受けて調整スイッチ80は、ダウン調整指令を与える指令信号を、出力する。
制御ユニット90は、ハウジング10の外部又は内部に設置されている。制御ユニット90は、表示制御回路92及びスイッチング回路93を備えている。表示制御回路92は、マイクロコンピュータを主体に構成されている。表示制御回路92は、投射ユニット20と調整スイッチ80とに電気接続されている。スイッチング回路93は、トランジスタ等のスイッチング素子を主体に構成されて、表示制御回路92及び駆動源36に電気接続されている。スイッチング回路93は、調整スイッチ80からの指令信号に応じて表示制御回路92から入力される制御信号に従って、駆動源36のステップモータへと印加する通電信号を変化させる。
(両面テープの接着最適化)
次に、各両面テープ341の接着状態を最適化する接着最適化について、詳細に説明する。本実施形態では、図8,9に示すような8行7列の2水準L8直交表実験が予め実施されることで、その実験結果に基づき各両面テープ341の接着状態が最適化されている。
まず、2水準にて比較する因子としては、図8に示すa〜fの6因子が採用されている。ここで6因子とは、テープ幅Wt、テープ枚数、テープ厚Tt、テープ配置距離Δt、接着圧力及び接着温度である。尚、接着圧力とは、ベース体340の凹面345に接着させた各両面テープ341に反射体342をさらに接着させた鏡本体34をオートクレーブ内に20分放置する実験準備にて、ベース体340及び反射体342間に印加する圧力を、意味する。また接着温度とは、そうした実験準備にて保持するオートクレーブ内温度を、意味する。
次に6因子毎の水準としては、図8に示す2水準ずつが採用されている。即ち、テープ幅Wtについては、179mmのベース幅Wbに対して、10mm及び25mmの2水準が採用されている。テープ枚数については、図6,7の如き3枚及び図4,5の如き2枚の2水準が採用されている。テープ厚Ttについては、軟質樹脂シートとその両面の接着層を含めた厚さ方向の寸法として、0.4mm及び1.1mmの2水準が採用されている。テープ配置距離Δtについては、29.5mm及び44.5mmの2水準が採用されている。接着圧力については、0MPa(即ち、印加なしの自然放置)及び0.4MPaの2水準が採用されている。接着温度については、40℃及び80℃の2水準が採用されている。
このような6因子毎の2水準と共にダミー因子(第3列)の1水準が図9の如くL8直交表の7列に振り分けられ、同直交表の8行(No.1〜8)にそれぞれ従った実験準備が実施されることで、鏡本体34としてのサンプル100(図10参照)が8種類用意される。表示光像5の歪みを検出する本実験は、こうして用意された8種類のサンプル100毎に実施される。尚、図9に従う実験準備により用意されて本実験に採用される各サンプル100では、ベース体340がPPSにより形成され、各両面テープ341がPEフォーム及びアクリル系接着剤により形成され、反射体342がCOCにより形成されている。
図10に示すように本実験では、投射ユニット20としての実験用投射ユニット101を配置した実験用恒温槽102内の固定支持台102bに、サンプル100をセットする。このセット状態下、実験用投射ユニット101から表示光像5として投射した実験用矩形像103を、サンプル100の反射体342により反射させる。反射により実験用矩形像103は、実験用恒温槽102の透明側壁102aを外部へ透過することで、実験用カメラ104へと入射するようになっている。そこで−40℃〜90℃の範囲にて、常温(即ち、25℃)を含む複数温度となるように実験用恒温槽102内温度を変化させて、それら温度毎に実験用矩形像103を撮影する。
こうしてサンプル100毎に複数撮影された実験用矩形像103を、図11に破線で例示する常温での撮影像103aと、同図に実線で例示する他温度での撮影像103bとの間にて、対比させる。このとき、常温での撮影像103aに対し像角部の位置ずれが最大となる温度での撮影像103bに関して、像中心から像角部までの距離Hbを抽出する。また、常温での撮影像103aに関しても、像中心から像角部までの距離Haを抽出する。さらに、これら抽出距離Ha,Hbの差分の絶対値が常温での抽出距離Haに対して占める割合を、実験用矩形像103のサンプル歪み率Rsとして算出する。即ちサンプル歪み率Rs[%]は、演算式 Rs=|Ha−Hb|/Ha・100 に従って算出される。
以上の如きL8直交表実験の結果、サンプル100毎に算出されたサンプル歪み率Rsの平均値を、6因子毎の各水準と、テープ幅Wt及びテープ枚数の各水準の組み合わせとで整理すると、図12に示す通りとなる。それと共に、図12の結果に基づくサンプル歪み率Rsへの寄与率(即ち、影響度)を、6因子毎と、テープ幅Wt及びテープ枚数の組み合わせとで評価すると、図13に示す通りとなる。
これら図12,13の結果から、寄与率が高く且つ両面テープ341の種類に影響され難い因子としてテープ幅Wt及びテープ配置距離Δtが選択され、それらの選択値が予測歪み率Rpを抑制するようにそれぞれ最適化される。ここで予測歪み率Rpとは、環境温度の変化に応じた反射体342の変形(熱変形)により表示光像5が歪むと予測される割合として、図12の結果であるサンプル歪み率Rsに基づき、図14,15に示すような直交多項式により定義される。即ち、予測歪み率Rpを定義する直交多項式は、テープ幅Wt及びテープ配置距離Δtに関する図12の結果として、それぞれ2点ずつのサンプル歪み率Rsを満たすように導出される。そこで、HUD装置分野の光学系にて従来の光反射要素(例えば特開2016−224461号公報参照)が到達している値よりも予測歪み率Rpが小さくなるように、特に本実施形態では予測歪み率Rpが5%以下となるように、最適化されるのである。
具体的に、予測歪み率Rpを抑制するテープ幅Wtの最適化では、図12の結果に基づく直交多項式として、図14に示す1次多項式 Rp=0.0933・Wt+2.1167 が導出される。そこで、予測歪み率Rpを5%以下に抑制するための式Aとして、
Rp=0.0933・Wt+2.1167≦5[%]
を成立させるように、テープ幅Wtが予め最適設定される。また、こうして最適設定されたテープ幅Wtは、ベース幅Wbとの相関を表す式Dとして、
Wt≦0.1726・Wb
を成立させることになる。その結果、例えば179mmのベース幅Wbでは、テープ幅Wtを30.9mm以下に設定することで、予測歪み率Rpに対する最適化が達成される。
また一方、予測歪み率Rpを抑制するテープ配置距離Δtの最適化では、図12の結果に基づく直交多項式として、図15に示す1次多項式 Rp=0.1167・Δt−0.5697 が導出される。そこで、予測歪み率Rpを5%以下に抑制するための式Bとして、
Rp=0.1167・Δt−0.5697≦5[%]
を成立させるように、テープ配置距離Δtが予め最適設定される。また、こうして最適設定されたテープ配置距離Δtは、ベース幅Wbとの相関を表す式Eとして、
Δt≦0.2666・Wb
を成立させることになる。その結果、例えば179mmのベース幅Wbでは、テープ配置距離Δtを47.7mm以下に設定することで、予測歪み率Rpに対する最適化が達成される。
さて本実施形態では、以上のテープ幅Wt及びテープ配置距離Δtに加えてさらに、上記寄与率が最も高いテープ厚Ttも選択され、当該選択値も予測歪み率Rpを抑制するように最適化される。このテープ厚Ttの最適化では、図12の結果に基づく直交多項式として、図16に示す1次多項式 Rp=−3.9286・Tt+6.6964 が導出される。そこで、予測歪み率Rpを5%以下に抑制するための式Cとして、
Rp=−3.9286・Tt+6.6964≦5[%]
を成立させるように、テープ厚Ttが予め最適設定される。尚、予測歪み率Rpを定義する式Cは、テープ厚Ttに関する図12の結果として、2点のサンプル歪み率Rsを満たすように導出されている。
(作用効果)
以上説明した本実施形態の作用効果を、以下に説明する。
本実施形態によると、長手方向Dlに幅をもって短手方向Dsに広がる凹面345を有した湾曲板状に樹脂成形されるベース体340と、当該凹面345に沿う湾曲板状に形成されて投射ユニット20からの表示光像5を反射する反射体342とを、反射鏡ユニット3が備える。こうした反射鏡ユニット3では、凹面345における長手方向Dlの両側箇所に1対の両面テープ341がそれぞれ分離して接着されることで、それら両面テープ341の全てに反射体342がさらに接着されることとなる。このようにベース体340と反射体342とが長手方向Dl両側の両面テープ341を介して間接的に接着されることによれば、車両2に支持されるベース体340が環境温度の変化に応じて変形しても、当該間接的接着状態の反射体342では変形の追従性が低下するので、表示光像5が歪み難くなる。
しかも、両面テープ341の各々におけるテープ幅Wt及びテープ配置距離Δtがベース体340のベース幅Wbとの間にて式D且つ式Eを成立させる本実施形態によれば、反射体342の変形が生じても表示光像5の歪みが効果的に抑制され得ることが分かっている。これは特に、両面テープ341の各々におけるテープ幅Wt及びテープ配置距離Δtが式A且つ式Bを成立させる本実施形態によれば、予測歪み率Rpが5%以下に抑制され得るからである。以上のことから本実施形態では、車両2において虚像表示品位を確保することが可能となる。
さらに本実施形態によると、両面テープ341の各々において凹面345及び反射体342に跨る厚さ方向としての直交方向Doでは式Cも成立するので、表示光像5の予測歪み率Rpを5%以下に抑制する機能の確実性が高められ得る。したがって、車両2において虚像表示品位を確保する効果の信頼度を、向上させることが可能となる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、当該実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
具体的に変形例1では、式A,Bの双方が成立している限りにおいて、式D,Eの双方が成立していなくてもよい。変形例2では、式A,Bの双方が成立している限りにおいて、式Cが成立していなくてもよい。変形例3では、樹脂成形された透光性硬質樹脂の反射体342に代えて、透光性硬質ガラスの反射体342が採用されてもよい。変形例4では、凹面345を補完する曲面状に反射体342の裏面347が湾曲している限りにて、凹面345とは異なる曲面状に反射体342の表面346が湾曲していてもよい。
変形例5では、光学系30が反射鏡ユニット3を複数備えていてもよい。変形例6では、表示光像5となるレーザ光を微小電気機械システムにより投射するレーザスキャナ、あるいは表示光像5となる可視光又はレーザ光をデジタルミラーデバイスにより投射する映像表示システム等が、投射ユニット20として採用されてもよい。変形例7では、車室2a内にてHUD装置1に専用に設置される「投影部材」としてのコンバイナ等へと向かって、表示光像5が投影されてもよい。
1 HUD装置、2 車両、2a 車室、3 反射鏡ユニット、4 ウインドシールド、5 表示光像、10 ハウジング、20 投射ユニット、30 光学系、34 鏡本体、100 サンプル、101 実験用投射ユニット、102 実験用恒温槽、103 実験用矩形像、103a,103b 撮影像、104 実験用カメラ、340 ベース体、341 両面テープ、342 反射体、345 凹面、346 表面、347 裏面、Dl 長手方向、Do 直交方向、Ds 短手方向、Ha,Hb 抽出距離、Pb,Pt 中心位置、Rp 予測歪み率、Rs サンプル歪み率、Tt テープ厚、Wb ベース幅、Wt テープ幅、Δt テープ配置距離

Claims (6)

  1. 投射ユニット(20)から投射した表示光像(5)を車両(2)の投影部材(4)に投影することにより、前記車両の車室(2a)内にて乗員により視認可能に前記表示光像を虚像表示するヘッドアップディスプレイ装置(1)において、前記投射ユニットからの前記表示光像を前記投影部材側へ反射する反射鏡ユニット(3)であって、
    長手方向(Dl)に幅をもって短手方向(Ds)に広がる凹面(345)を有した湾曲板状に樹脂成形されており、前記車両に支持されるベース体(340)と、
    前記凹面において前記長手方向の両側箇所にそれぞれ分離して接着されている1対の両面テープ(341)と、
    前記凹面に沿う湾曲板状に形成されて前記両面テープの全てに接着されており、前記投射ユニットからの前記表示光像を反射する反射体(342)とを、備え、
    前記表示光像が前記反射体の変形により歪むと予測される割合を、予測歪み率Rpと定義し、
    前記凹面に接着された前記両面テープの各々における前記長手方向の寸法を、テープ幅Wtと定義し、
    前記ベース体における前記長手方向の中心位置(Pb)から、前記凹面に接着された前記両面テープの各々における前記長手方向の中心位置(Pt)までの距離を、テープ配置距離Δtと定義すると、
    式Aとして Rp=0.0933・Wt+2.1167≦5[%] と、
    式Bとして Rp=0.1167・Δt−0.5697≦5[%] とが、成立する反射鏡ユニット。
  2. 前記両面テープの各々において前記凹面及び前記反射体に跨る厚さ方向(Do)の寸法を、テープ厚Ttと定義すると、
    式Cとして Rp=−3.9286・Tt+6.6964≦5[%] がさらに成立する請求項1に記載の反射鏡ユニット。
  3. 投射ユニット(20)及び反射鏡ユニット(3)を含んで構成され、前記投射ユニットから投射した表示光像(5)を前記反射鏡ユニットにより反射して車両(2)の投影部材(4)に投影することにより、前記車両の車室(2a)内にて乗員により視認可能に前記表示光像を虚像表示するヘッドアップディスプレイ装置(1)であって、
    前記反射鏡ユニットは、
    長手方向(Dl)に幅をもって短手方向(Ds)に広がる凹面(345)を有した湾曲板状に樹脂成形されており、前記車両に支持されるベース体(340)と、
    前記凹面において前記長手方向の両側箇所にそれぞれ分離して接着されている1対の両面テープ(341)と、
    前記凹面に沿う湾曲板状に形成されて前記両面テープの全てに接着されており、前記投射ユニットからの前記表示光像を反射する反射体(342)とを、備え、
    前記表示光像が前記反射体の変形により歪むと予測される割合を、予測歪み率Rpと定義し、
    前記凹面に接着された前記両面テープの各々における前記長手方向の寸法を、テープ幅Wtと定義し、
    前記ベース体における前記長手方向の中心位置(Pb)から、前記凹面に接着された前記両面テープの各々における前記長手方向の中心位置(Pt)までの距離を、テープ配置距離Δtと定義すると、
    式Aとして Rp=0.0933・Wt+2.1167≦5[%] と、
    式Bとして Rp=0.1167・Δt−0.5697≦5[%] とが、成立するヘッドアップディスプレイ装置。
  4. 前記両面テープの各々において前記凹面及び前記反射体に跨る厚さ方向(Do)の寸法を、テープ厚Ttと定義すると、
    式Cとして Rp=−3.9286・Tt+6.6964≦5[%] がさらに成立する請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  5. 投射ユニット(20)から投射した表示光像(5)を車両(2)の投影部材(4)に投影することにより、前記車両の車室(2a)内にて乗員により視認可能に前記表示光像を虚像表示するヘッドアップディスプレイ装置(1)において、前記投射ユニットからの前記表示光像を前記投影部材側へ反射する反射鏡ユニット(3)であって、
    長手方向(Dl)に幅をもって短手方向(Ds)に広がる凹面(345)を有した湾曲板状に樹脂成形されており、前記車両に支持されるベース体(340)と、
    前記凹面において前記長手方向の両側箇所にそれぞれ分離して接着されている1対の両面テープ(341)と、
    前記凹面に沿う湾曲板状に形成されて前記両面テープの全てに接着されており、前記投射ユニットからの前記表示光像を反射する反射体(342)とを、備え、
    前記ベース体における前記長手方向の寸法を、ベース幅Wbと定義し、
    前記凹面に接着された前記両面テープの各々における前記長手方向の寸法を、テープ幅Wtと定義し、
    前記ベース体における前記長手方向の中心位置(Pb)から、前記凹面に接着された前記両面テープの各々における前記長手方向の中心位置(Pt)までの距離を、テープ配置距離Δtと定義すると、
    式Dとして Wt≦0.1726・Wb と、
    式Eとして Δt≦0.2666・Wb とが、成立する反射鏡ユニット。
  6. 投射ユニット(20)及び反射鏡ユニット(3)を含んで構成され、前記投射ユニットから投射した表示光像(5)を前記反射鏡ユニットにより反射して車両(2)の投影部材(4)に投影することにより、前記車両の車室(2a)内にて乗員により視認可能に前記表示光像を虚像表示するヘッドアップディスプレイ装置(1)であって、
    前記反射鏡ユニットは、
    長手方向(Dl)に幅をもって短手方向(Ds)に広がる凹面(345)を有した湾曲板状に樹脂成形されており、前記車両に支持されるベース体(340)と、
    前記凹面において前記長手方向の両側箇所にそれぞれ分離して接着されている1対の両面テープ(341)と、
    前記凹面に沿う湾曲板状に形成されて前記両面テープの全てに接着されており、前記投射ユニットからの前記表示光像を反射する反射体(342)とを、備え、
    前記ベース体における前記長手方向の寸法を、ベース幅Wbと定義し、
    前記凹面に接着された前記両面テープの各々における前記長手方向の寸法を、テープ幅Wtと定義し、
    前記ベース体における前記長手方向の中心位置(Pb)から、前記凹面に接着された前記両面テープの各々における前記長手方向の中心位置(Pt)までの距離を、テープ配置距離Δtと定義すると、
    式Dとして Wt≦0.1726・Wb と、
    式Eとして Δt≦0.2666・Wb とが、成立するヘッドアップディスプレイ装置。
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