JP2019015227A - シリンダーブロックの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、本発明者らは、上述したような樹脂製部材を備えた従来のシリンダーブロックについて、高温条件下で長時間使用することを想定した場合、機械的強度という点において改善の余地があることを見出した。
前記成形空間に熱硬化性樹脂組成物を導入し、前記熱硬化性樹脂組成物と前記プリプレグと、を接合させて一体化された接合体を得る工程と、
前記接合体を硬化させることにより、樹脂層と、炭素繊維基材層とを有するシリンダーブロックを得る工程と、
を含み、
前記熱硬化性樹脂組成物が、レゾール型フェノール樹脂と、充填材と、を含み、
前記配置する工程において前記成形空間内に配置する前記プリプレグは、示差操作熱量計を用いて測定した前記プリプレグを構成する樹脂成分の硬化率が20%以上80%以下となるものである、シリンダーブロックの製造方法が提供される。
図1は、本実施形態に係るシリンダーブロック100の製造工程を示す工程断面図である。
本実施形態のシリンダーブロック100の製造方法において、熱硬化性樹脂組成物150が、レゾール型フェノール樹脂と、充填材と、を含むものである。また、上記配置する工程において、成形空間130内に配置するプリプレグ140は、示差操作熱量計を用いて測定したプリプレグ140を構成する樹脂成分の硬化率が20%以上80%以下となるものである。
カーボン繊維(PAN−12K(24ton)、綾織り、坪量(FAW):740g/m2)にフェノール樹脂を含浸させることにより、長方形のプリプレグ(フェノールCFPP、レジンコンテントRC:28%(固形分換算)、揮発成分VC:15%(測定条件:130℃×10分))を得た。続いて、得られた長方形のプリプレグを、筒状にプリフォームして、筒状のプリプレグ1(厚み:0.5mm、フェノール樹脂の含有量:28質量%)を得た。ここで、プリフォームとしては、バギングフィルムで密閉された空間を減圧し、密閉空間が減圧された後に、液状のフェノール樹脂を減圧された密閉空間に吸引し液状のフェノール樹脂をゲル化するまで放置、オーブンでアニールすることを行った。また、同様にして得られたプリプレグ1に対して、さらに熱処理165℃オーブン加熱を行い、加熱処理の時間に応じて硬化率が異なるプリプレグ2〜5を得た。
レゾール型フェノール樹脂を36.0質量%、ガラス繊維を55.0質量%、ワラストナイトを6質量%、天然カルナバワックスを1.5質量%およびステアリン酸マグネシウムを1.5質量%、それぞれ乾式混合し、これを90℃の加熱ロールで溶融混練、冷却したものを粉砕して顆粒状の熱硬化性樹脂組成物を得た後、径55mm、200gのタブレットを作製して成形に供した。
図1に示すような成形金型(金型110)中に、アルミニウム製筒状部材を配置した。金型110と筒状部材との間の成形空間130中に、上記の筒状のプリプレグを配置した。実施例1から5は、それぞれ、プリプレグ2から6を使用し、比較例1は、プリプレグ1を使用した。続いて、プリプレグとアルミニウム製筒状部材との間の成形空間130に、上記のタブレットを100℃に予熱して導入し、金型温度160℃、35MPa、500秒で、プリプレグと熱硬化性樹脂組成物を硬化させた。その後、金型110を取り外して、外層に、炭素繊維基材層142と樹脂層152とがこの順で形成されたアルミニウム製筒状部材(複合成形品)を得た。
得られたプリプレグ1〜6の表面におけるべたつきを評価した。べたつき(タック)がないときは○、タックがあるときは×とした。
実施例および比較例において、複合成形性(炭素繊維基材層142と樹脂層152との界面荒れ)および転写性(炭素繊維基材層142の金型側面との接触面の表面荒れ)の、いずれも抑制されており良好な外観を示す場合を◎とし、いずれも実用上問題ないレベルの場合を○とし、実用上問題ないが実施例1よりも劣る場合を△とした。実施例1の複合成形品の断面図を図3に示す。
実施例において、得られたプリプレグ1〜5と得られた熱硬化性樹脂組成物を用いて、180℃、3分間のコンプレッション成型により、板状の複合試験片(試験片厚み:4mmt、炭素繊維基材層142の厚み0.7mm)を作製した。
得られた複合試験片を用いて、下記の測定条件にて、JIS K6911に準じる3点曲げ試験により、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。結果を表2に示す。
試験速度:2mm/min
スパン:64mm
室温25℃
110 金型
112 側壁面
120 シリンダ部
122 ウォータージャケット
124 ボルト
130 成形空間
132 開口部
140 プリプレグ
142 炭素繊維基材層
150 熱硬化性樹脂組成物
152 樹脂層
Claims (8)
- フェノール樹脂と炭素繊維基材とを含むプリプレグを、成形金型の内部における成形空間内に配置する工程と、
前記成形空間に熱硬化性樹脂組成物を導入し、前記熱硬化性樹脂組成物と前記プリプレグと、を接合させて一体化された接合体を得る工程と、
前記接合体を硬化させることにより、樹脂層と、炭素繊維基材層とを有するシリンダーブロックを得る工程と、
を含み、
前記熱硬化性樹脂組成物が、レゾール型フェノール樹脂と、充填材と、を含み、
前記配置する工程において前記成形空間内に配置する前記プリプレグは、示差操作熱量計を用いて測定した前記プリプレグを構成する樹脂成分の硬化率が20%以上80%以下となるものである、シリンダーブロックの製造方法。 - 前記シリンダーブロックにおける前記樹脂層の厚みをXとし、
前記シリンダーブロックにおける前記炭素繊維基材層の厚みをYとしたとき、
前記樹脂層の厚みXと、前記炭素繊維基材層の厚みYとから算出されるX/Yの値が0.25以上80以下となる、請求項1に記載のシリンダーブロックの製造方法。 - 前記シリンダーブロックが、
前記X/Yの値が0.25以上3未満となる薄肉部と、
前記X/Yの値が3以上80未満となる厚肉部と、
を有する、請求項2に記載のシリンダーブロックの製造方法。 - 前記プリプレグが、常圧条件下、25℃以上300℃以下の温度範囲で10℃/分の昇温速度で昇温して示差操作熱量測定(DSC)を行った際の最大発熱量が25mJ/mg以上40mJ/mg以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシリンダーブロックの製造方法。
- 前記熱硬化性樹脂組成物全量に対する、前記レゾール型フェノール樹脂の含有量が、30質量%以上40質量%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシリンダーブロックの製造方法。
- 前記充填剤がガラス繊維またはワラストナイトを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシリンダーブロックの製造方法。
- 前記炭素繊維基材が織布である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシリンダーブロックの製造方法。
- 前記プリプレグ全量に対する前記フェノール樹脂の含有量が、10質量%以上50質量%以下である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシリンダーブロックの製造方法。
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