JP2019014993A - 製紙用シームフェルト基布 - Google Patents

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Abstract

【課題】丈方向の単位長さ当たりの緯糸の本数を減らしても、経糸の抜けを抑制できるとともに、シームマークを抑制できるシームフェルト基布を提供する。【解決手段】製紙用シームフェルト基布(10)は、1層の経糸(13)が、上緯糸(14a)及び下緯糸(14b)に織り込まれて形成されている。経糸(13)は、第1経糸(13a)と第2経糸(13b)とを含む。第2経糸(13b)が、第1経糸(13a)と異なるパターンかつ第1経糸と鏡像対称形をなすパターンで緯糸(14)に織り込まれることによって、上緯糸(14a)と下緯糸(14b)とが互いに上下に整合しないように配置される。【選択図】図2

Description

本開示は、軽量化可能な構造を有する製紙用シームフェルト基布に関する。
製紙用フェルトは、抄紙機のプレスパートで使用され、搾水される湿紙を運搬する。製紙用フェルトは、基布と、基布に短繊維シートをニードリングして形成したバット繊維層とを備える。基布の表面の凹凸が顕著であると、プレスロールによる加圧時に湿紙に作用する圧力が不均一となるため、製造される紙にマーク(圧力斑)が形成され、紙の表面性が低下する。両端部に形成されたループを互いに掛け入れ、掛け入れられたループの孔に芯線を通して両端部を接合するシームフェルトにおいては、シーム部と地部との間の厚みの差によって生じるマーク(シームマーク)が発生し易い。そのため、シーム部の強度を確保しつつ、シームマークを抑制することが望まれる。
例えば、特許文献1には、1層の経糸と1層の緯糸とを含むシームフェルト基布が記載されており、地部が平織りで構成され、シーム部に緯糸4本分のループ起立保持領域を設けることによりループを形成する部分において経糸を上下に配置させている。この構造によって、基布の厚さ及び空隙量を大幅に変えることなく基布の表面性を向上させている。
特許文献2には、1層の経糸と2層の緯糸とを含むシームフェルト基布が記載されており、1本おきの経糸にループが作成され、ループを有する経糸の一端側は所定の位置で切断されている。この構造によって、シーム部の強度が大きく低下することを防ぎながら、全ての経糸にループを設けた場合に比べてループの掛け入れの作業性を向上させている。
特許文献3及び4には、地部が2重織りで構成され、シーム部の地部側が1重織りを重ね合わせたラミネート構造から構成された基布が記載されている。このような構造によって、地部とシーム部との間の厚さの差が縮小され、シームマークや、振動、異音が抑制される。
特開2008−19521号公報 特開平4−73288号公報 特開2004−36021号公報 特開2009−144281号公報
特許文献1に記載のシームフェルト基布は、ループ起立保持領域によって、地部とシーム部との厚さの差によって生じるシームマークが緩和されているものの、地部が1重であるため、その厚さの差が大きく、シームマークの緩和が不十分であった。特許文献2に記載のシームフェルト基布は、シームマークは改善されるが、シーム部の強度が問題となる場合があった。
ところで、製紙用フェルトは、基布よりバット繊維での方が物性の調節を行いやすい。また、基布よりもバット繊維層の重量を増やした方がフェルトの耐摩耗性が高くなる。そのため使用するバットを増やしたいが、単純にバット繊維を増やすとフェルトが重くなり、動力負荷に影響する、又はフェルトが厚くなるため初期馴染み性が悪くなるなどの問題が発生する。そのため、基布の軽量化が望まれている。基布を軽量化するために、経糸又は緯糸の本数を減らすことが考えられる。しかし、シームフェルト基布において、経糸の本数を減らして基布を軽量化しようとすると、ループの数が減ってループ1つ当たりにかかる荷重が大きくなり、耐久性が低下する。よって、緯糸の本数を減らしてシームフェルト基布を軽量化することになるが、この場合、緯糸からの摩擦力が減るため、シームフェルトの使用中に経糸が抜けやすくなるという問題が生じる。
例えば、図8(A)に示す基布は、2層の経糸1及び1層の緯糸2からなり、上層は、上経糸1aが1本の緯糸2の下を通った後、3本の緯糸2の上を通るように織り込まれ、下層は、下経糸1bが1本の緯糸2の上を通った後、3本の緯糸2の下を通るように織り込まれている。このような基布において単位長さ当たりの緯糸2の本数を減らすと、経糸1が抜けやすくなる。特許文献3及び4に記載のシームフェルト基布は、図8(A)に示す基布と同様に、地部が経2重組織であるため、単位長さ当たりの緯糸の本数を減らすと、経糸が抜けやすくなる。
図8(B)に示す基布は、単位長さ当たりの緯糸2の本数が少ない場合であっても、経糸1が抜け難い。この基布は、1層の経糸1と2層の緯糸2とからなり、上緯糸2aと下緯糸2bとが互いに上下に整合しており、経糸1が、上緯糸2aと下緯糸2bとの間、上緯糸2aの上、上緯糸2aと下緯糸2bとの間、下緯糸2bの下の順に通っている。また、この経糸1に隣接する他の経糸1は、上緯糸2a及び下緯糸2bのそれぞれ2本分ずれて織り込まれている。このような基布では、上下に整合した上緯糸2a及び下緯糸2bの間を経糸1が通る部分において、上緯糸2a及び下緯糸2bが互いに離反し基布が厚くなる。そのため、上下方向に圧縮されて経糸1の延在方向に伸びやすい、すなわち、寸法安定性が低いという問題があった。なお、図8(A)に示す基布の緯糸2に沿った断面図は、図8(B)において経糸1として示されている糸を緯糸2とし、かつ緯糸2として示されている糸を経糸1とした図に相当する。
図8(C)に示す基布では、上緯糸2aと下緯糸2bとが互いに上下方向に整合せず、経糸1が、1本の上緯糸2aの上、1本の下緯糸2bの上、1本の上緯糸2aの下、1本の下緯糸2bの下、1本の上緯糸2aの下、1本の下緯糸2bの上を順に通り、この経糸1に隣接する他の経糸1は、上緯糸2a及び下緯糸2bをそれぞれ1本分ずれた位置で織りこまれている。このような基布は、プレス時の上下方向の厚み変化が小さいため寸法安定性に優れるが、ループを形成するシーム部に比べて地部が薄くなり、シームマークが顕著になるという問題があった。また、経糸1が上緯糸2aの上側、下緯糸2bの下側に織り込まれる間隔が短いため、1重組織基布と同様に、打込み糸の経糸1の本数が入り難く、通常より経糸1の本数が少なくなってしまっていた。
このような問題を鑑み、本発明は、丈方向の単位長さ当たりの緯糸の本数を減らしても、経糸の抜けを抑制できるとともに、シームマークを抑制できるシームフェルト基布を提供することを目的とする。
また、1重組織(1層の経糸と1層の緯糸からなる組織)基布を使用したエンドレスのフェルトをシームフェルトに仕様を変更する場合、ループを形成する必要があるため、少なくともシームフェルトのシーム部では経糸が2重の組織になる。全体を経糸が2重の組織にすると、基布が厚くなり、更に重量も極端に増えるため、シームフェルトの物性が、元の1重組織基布を使用したフェルトの物性と大きく相違するという問題があった。シーム部を経糸2重、地部を経糸1重緯糸1重とすると、シーム部が凸状になり、シームマーク発生の要因となった。本発明は、このような問題をも解決するものである。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る製紙用シームフェルト基布は、経糸(13)の折り返しによって形成されたループ(16)を含むシーム部(17)と、前記経糸が緯糸に織り込まれた地部(15)とを備える製紙用シームフェルト基布(10)であって、1層からなる前記経糸は、前記緯糸に所定のパターンで織り込まれた第1経糸(13a)と、前記第1経糸とは異なるパターンで前記緯糸に織り込まれた第2経糸(13b)とを含み、2層からなる前記緯糸は、上緯糸(14a)と下緯糸(14b)とを含み、前記第1経糸の前記緯糸への一側から他側に向かう織り込みパターンが、前記第2経糸の前記緯糸への前記他側から前記一側に向かう織り込みパターンに一致することによって、前記上緯糸と前記下緯糸とが互いに上下に整合しないように配置されたことを特徴とする。
この構成によれば、経糸が2層からなる組織に比べて、緯糸から経糸に加わる摩擦力が大きくなり、緯糸の単位長さあたりに本数を減らしても経糸の抜けを防止できる。また、上緯糸と下緯糸とが互いに上下方向に整合していないため、上緯糸と下緯糸とが互いに上下方向に整合している場合に比べて上下方向の厚さが薄く、かつ、1層の経糸及び1層の緯糸からなる基布に比べて上下方向の厚さが厚くなるため、地部の厚さがシーム部の厚さに近くなり、シームマークが抑制される。また、地部におけるマークが緯筋状になるため、紙の製造過程で緯筋状のマークが機械方向(経方向)に伸びてぼやけるため、紙に生じるマークが目立たない。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る製紙用シームフェルト基布は、上記構成において、完全組織中の前記第1経糸及び前記第2経糸が互いに同本数であることを特徴とする。
この構成によれば、経糸から緯糸に加わる力が全体として偏らないため、上緯糸と下緯糸とが互いに上下に整合しない配置が安定する。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る製紙用シームフェルト基布は、上記構成において、前記完全組織は、4本の前記第1経糸と、4本の前記第2経糸と、4本の前記上緯糸と、4本の前記下緯糸とから構成され、前記上緯糸及び前記下緯糸は、平面視で互いに交互に配置され、前記完全組織において、前記第1経糸は、1本の前記上緯糸を織り込み、かつ、織り込まれた当該上緯糸から一方の側に向かって3本目の前記緯糸に相当する1本の前記下緯糸を織り込み、前記第1経糸の各々は互いに異なる1本の前記上緯糸及び1本の前記下緯糸を織り込み、前記第2経糸は、1本の前記上緯糸を織り込み、かつ、織り込まれた当該上緯糸から他方の側に向かって3本目の前記緯糸に相当する1本の前記下緯糸を織り込み、前記第2経糸の各々は互いに異なる1本の前記上緯糸及び1本の前記下緯糸を織り込むことを特徴とする。
この構成によれば、各々の上緯糸及び下緯糸に加わる経糸からの力が全体として均等になり、互いに隣接する上緯糸と下緯糸との間隔が略一定になる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る製紙用シームフェルト基布は、上記構成において、前記第1経糸及び前記第2経糸は、平面視で4本ごとに交互に配置されたことを特徴とする。
この構成によれば、経糸が上緯糸を上から織り込むことによって製紙面側に生じる凹凸が分散するため、製造される紙に生じるマークを抑制することができる。
本発明によれば、丈方向の単位長さ当たりの緯糸の本数を減らしても、経糸の抜けを抑制できるとともに、シームマークを抑制できるシームフェルト基布を提供することができる。
実施形態に係るシームフェルトの斜視図 実施形態に係るシームフェルト基布の組織図 実施形態に係るシームフェルト基布の模式的断面図 実施例に係るシームフェルト基布の断面写真 実施例に係るシームフェルト基布のシーム部の圧力分布測定の結果を示す写真(A:比較例1(2重織り基布)、B:実施例、C:比較例2(1重織り基布)) 実施例に係るシームフェルト基布のシーム部の写真 実施例に係るシームフェルト基布の地部の圧力分布測定の結果を示す写真(A:比較例、B:実施例) 従来技術に係るシームフェルト基布の模式的断面図 経糸の引き抜き試験の様子を説明する図
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る製紙用シームフェルト基布10(以下、「基布10」と記す)を含む製紙用シームフェルト11の斜視図である。製紙用シームフェルト11は、基布10と、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂の短繊維シートを基布10にニードリングして形成したバット繊維層12とを備える。
図1及び図2に示すように、基布10は、経糸13が緯糸14に織り込まれた地部15と、経糸13が折り返されることによって形成されたループ16を含むシーム部17とを有する。製紙用シームフェルト11は、両端部に設けられたループ16を互いに掛け合わせて接合することにより無端状にされ、その内側(走行面側)表面が抄紙機のロール(図示せず)に支持され、その外側(製紙面側)表面が湿紙を支持する。
図2及び図3に示すように、機械方向に延在する経糸13は1層からなり、機械横断方向に延在する緯糸14は、製紙面側に配置される上緯糸14aと、走行面側に配置される下緯糸14bとを含む。上緯糸14aと下緯糸14bとは、互いに同数であり、互いに上下に整合しないように、すなわち、互いに機械方向にずれた位置に、平面視で交互に配置される。基布10の完全組織は、8本の経糸13と8本の緯糸14とからなり、図2及び図3におけるNo.2,4,6及び8の緯糸14が上緯糸14aであり、No.1,3,5及び7の緯糸14が下緯糸14bである。
経糸13は、緯糸14に所定のパターンで織り込まれた第1経糸13aと、第1経糸13aとは異なるパターンで緯糸14に織り込まれた第2経糸13bとを含む。第1経糸13aと第2経糸13bとは、互いに同数であり、平面視で第1経糸13aが連続して4本配置され、それに続き、第2経糸13bが連続して4本配置される。図2及び図3におけるNo.5'〜8'の経糸13が第1経糸13aであり、No.1'〜4'の経糸13が第2経糸13bである。第1経糸13aの緯糸14への織り込み方と、第2経糸13bの緯糸14への織り込み方とは、機械方向に直交する所定の断面に対して鏡像対称形をなす。すなわち、第1経糸13aの緯糸14への進行方向の上流側(他方の側)から下流側(一方の側)に向かう織り込みパターンが、第2経糸13bの緯糸14への下流側(一方の側)から上流側(他方の側)に向かう織り込みパターンに一致する。なお、ここで、下流側とは進行方向に進む方を意味し、上流側とはその反対側を指す。
具体的には、No.5'の第1経糸13aは、No.8の上、No.1の上、No.2の下、No.3の下、No.4の下、No.5上、No.6の下、No.7の上を通るように、緯糸14に織りこまれる。No.1'の第2経糸13bは、No.8の上緯糸14aを通る機械方向に直交する断面に対してNo.5'の第1経糸13aの織り込みパターンと鏡像対称の織り込みパターンで緯糸14に織り込まれ、具体的には、No.8の上、No.7の上、No.6の下、No.5の下、No.4の下、No.3上、No.2の下、No.1の上を通るように、緯糸14に織りこまれる。
No.6'、7'及び8'の第1経糸13aは、それぞれ、No.5'の第1経糸13aに対して、6本分、2本分及び4本分の緯糸14(3本分、1本分及び2本分の上緯糸14a)だけ下流側(図2及び図3の進行方向側)にずれた位置で、No.5'の第1経糸13aと同じパターンで緯糸14に織り込まれている。No.2'、3'及び4'の第2経糸13bは、それぞれ、No.1'の第2経糸13bに対して、6本分、2本分及び4本分の緯糸14(3本分、1本分及び2本分の上緯糸14a)だけ下流側にずれた位置で、No.1'の第2経糸13bと同じパターンで緯糸14に織り込まれている。No.5'〜8'の第1経糸13aの位置は互いに入れ替えてもよく、No.1'〜4'の第2経糸13bの位置は互いに入れ替えてもよい。
第1経糸13aの織り込みパターン自体は、機械方向に直交する断面に対して鏡像対称形をなしていないため、第1経糸13aから緯糸14に加わる力が偏っており、第1経糸13aだけでは上緯糸14aと下緯糸14bとが互いに機械方向にずれた位置に安定することができない。そこで、第1経糸13aの織り込みパターンに対して鏡像対称形をなす織り込みパターンを構成する第2経糸13bを織り込み、第1経糸13aとは反対向きに偏った力を緯糸14に加えることにより、上緯糸14aと下緯糸14bとが互いに機械方向にずれた位置に安定する。換言すると、第1経糸13aと第2経糸13bとが互いに鏡像対称となる形状であることにより、上緯糸14a及び下緯糸14bが互いに上下に整合して配置される2重性が崩れる。第1経糸13a及び第2経糸13bとが互いに同本数であること、及び、No.5〜8の第1経糸13aが互いにずれて緯糸14に織り込まれ、No.1〜4の第2経糸13bが互いにずれて緯糸に織り込まれることにより、上緯糸14a及び下緯糸14b間のずれが略均等になる。
上緯糸14a及び下緯糸14bの2重性が崩れることにより、図8(A)及び(B)に示す上緯糸2a及び下緯糸2bの2重性が保たれた組織よりも、地部15が薄くなる。また、図8(C)に示す組織より、上下緯糸14a,14b間を通る経糸13が多いため、地部15は、図8(C)に示す組織よりも厚い。このため、地部15の厚さがシーム部17の厚さに近くなる。また、緯糸14を整経糸、経糸13を打ち込み糸として袋織りで基布10を作成する場合、図8(C)に示す組織よりも経糸13が上緯糸14aの上を通り、下緯糸14bの下を通る間隔が長くなることから、打ち込み糸が入りやすくなる。
地部15において、図8(A)に示す組織よりも、経糸13が上下緯糸14a,14bに挟まれる部分が多いため、緯糸14から経糸13に加わる摩擦力が大きく、経糸13の抜けが抑制される。従って、経糸13の単位長さ当たりの本数を減らさずとも緯糸14の単位長さ当たりの本数を減らして基布10を軽量化でき、ループ16の接合強度を維持しつつ、経糸13の抜けを抑制できる。
また、地部15において、上緯糸14aと下緯糸14bとが機械方向に対してずれて位置するため、図8(B)に示す組織に比べて上下方向の圧縮性が低くなる。そのため、機械方向への伸縮性も低くなり、寸法安定性に優れる。
また、平面視で、第1経糸13a及び第2経糸13bが4本ごとに交互に配置されることにより、経糸13が上緯糸14aを上から織り込むことによって製紙面側に生じる凹凸が分散するため、製造される紙に生じるマークを抑制することができる。
経糸13及び緯糸14として、モノフィラメントの単糸や撚糸を使用することができ、その素材は、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が好ましい。経糸13の直径は0.29mm〜0.39mmが好ましく、緯糸14の直径は0.29mm〜0.42mmが好ましい。経糸13の単位長さ当たりの本数は、18.1本/cm〜22.8本/cm(46本/インチ〜58本/インチ)が好ましい。経糸13の単位長さ当たりの本数がこのような場合、従来技術に係る基布の緯糸2の単位長さ当たりの本数は、概ね15.7本/cm〜23.6本/cm(40本/インチ〜60本/インチ)であるが、本実施形態に係る基布10の緯糸14の単位長さ当たりの本数は、11.8本/cm〜18.1本/cm(30本/インチ〜46本/インチ)とすることができる。地部15の厚さは、0.9mm〜1.4mmである。
直径0.35mmの経糸13及び緯糸14を用い、上記実施形態に相当する基布10(実施例)と、比較例として、図8(A)に相当する基布(経2重組織、比較例1)、1重組織の基布(比較例2)、及び図8(C)に相当する基布(比較例3)を作成した。実施例の厚さは、1.25mmであり、シーム部17の厚さに略等しかった。比較例1〜3の厚さは、それぞれ、1.35mm、0.8mm及び0.95mmであった。
上記実施例を機械横断方向に直交する断面で切断した写真を図4に示す。上緯糸14aと下緯糸14bとは、互いに機械方向にずれて配置された状態で安定していた。
比較例1の基布を有するフェルトの試験片、実施例の基布を有するフェルトの試験片、及び比較例2の基布を有するフェルトの試験片を作成し、それぞれ、両端部のループを互いに接合した状態におけるシーム部の圧力分布を測定した。図5は、その結果を示す写真である(A:比較例1、B:実施例、C:比較例2)。図中、紙面の上下方向の中央の左右に延びる部分がシーム部に相当し、色の濃い部分が圧力の高かった部分を示す。地部とシーム部との圧力差が高いほど、すなわち、図5における濃淡差が大きいほど、シームマークが強く生じることを示す。図5(A)に示す比較例1では、地部の厚さがシーム部の厚さよりも厚かったため、シーム部の圧力が低かった。図5(C)に示す比較例2では、逆に、地部の厚さがシーム部の厚さよりも薄かったため、シーム部の圧力が高かった。図5(B)に示す実施例では、地部15の厚さがシーム部17と略同じであったため、両者の圧力は略等しかった。図6は、実施例に係る基布10のシーム部17の写真である。
比較例1の基布を有するフェルトの試験片、及び実施例の基布を有するフェルトの試験片の地部について圧力分布を測定した。図7は、その結果を示す写真である(A:比較例1、B:実施例)。紙面の上下方向及び左右方向が、それぞれ、経糸1,13及び緯糸2,14の延在方向である。比較例1のマークは、経筋状であった。一方、実施例のマークは緯筋状であった。製紙の過程で、製造される紙は機械方向に伸びて薄くなるため、経筋状のマークに比べて緯筋状のマークはぼやけて目立たなくなる。従って、実施例に係る基布を有するフェルトが使用されて製造される紙は、比較例1に係る基布を有するフェルトが使用されて製造される紙よりも、マークが目立たない。
実施例及び比較例1〜3について、経糸1,13の抜け易さを比較するため経糸引き抜き試験を行った。図9に示すように、予め1ヶ所で経糸1,13を切断した試験片を、引張試験機にセットして、1本の経糸1,13を100mm/cmのストローク速度で引っ張り、経糸1,13が引き抜けた又は切断された際の荷重を測定した。その結果を表1に示す。比較例1では、27.0N/本で経糸1が引き抜けたが、実施例並びに比較例2及び3では、経糸1,13は引き抜かれず、40.0〜43.0N/本で切断した。すなわち、実施例の経糸13は、比較例1の経糸1よりも抜け難く、比較例2及び3の経糸1と同等の抜け難さを示した。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、完全組織に含まれる緯糸の本数を増やし、経糸が上緯糸を上から織り込む位置と、経糸が下緯糸を下から織り込む位置との間の緯糸の本数を増やしてもよい。また、第1経糸と第2経糸は、1本ずつ又は2本ずつ交互に配置してもよく、完全組織に含まれる経糸の本数を増減してもよい。また、完全組織中の第1経糸と第2経糸の本数は、互いに相違してもよい。
10:製紙用シームフェルト基布
11:製紙用シームフェルト
12:バット繊維層
13:経糸
13a:第1経糸
13b:第2経糸
14:緯糸
14a:上緯糸
14b:下緯糸
15:地部
16:ループ
17:シーム部

Claims (4)

  1. 経糸の折り返しによって形成されたループを含むシーム部と、前記経糸が緯糸に織り込まれた地部とを備える製紙用シームフェルト基布であって、
    1層からなる前記経糸は、前記緯糸に所定のパターンで織り込まれた第1経糸と、前記第1経糸とは異なるパターンで前記緯糸に織り込まれた第2経糸とを含み、
    2層からなる前記緯糸は、上緯糸と下緯糸とを含み、
    前記第1経糸の前記緯糸への一側から他側に向かう織り込みパターンが、前記第2経糸の前記緯糸への前記他側から前記一側に向かう織り込みパターンに一致することによって、前記上緯糸と前記下緯糸とが互いに上下に整合しないように配置されたことを特徴とする製紙用シームフェルト基布。
  2. 完全組織中の前記第1経糸及び前記第2経糸が互いに同本数であることを特徴とする請求項1に記載の製紙用シームフェルト基布。
  3. 前記完全組織は、4本の前記第1経糸と、4本の前記第2経糸と、4本の前記上緯糸と、4本の前記下緯糸とから構成され、
    前記上緯糸及び前記下緯糸は、平面視で互いに交互に配置され、
    前記完全組織において、前記第1経糸は、1本の前記上緯糸を織り込み、かつ、織り込まれた当該上緯糸から一方の側に向かって3本目の前記緯糸に相当する1本の前記下緯糸を織り込み、前記第1経糸の各々は互いに異なる1本の前記上緯糸及び1本の前記下緯糸を織り込み、前記第2経糸は、1本の前記上緯糸を織り込み、かつ、織り込まれた当該上緯糸から他方の側に向かって3本目の前記緯糸に相当する1本の前記下緯糸を織り込み、前記第2経糸の各々は互いに異なる1本の前記上緯糸及び1本の前記下緯糸を織り込むことを特徴とする請求項2に記載の製紙用シームフェルト基布。
  4. 前記第1経糸及び前記第2経糸は、平面視で4本ごとに交互に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の製紙用シームフェルト基布。
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