JP2012082533A - 製紙用プレスフェルト - Google Patents

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勝也 小川
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Abstract

【課題】 フィラメントの撚り糸を含む製紙用フェルトの基布において、フィラメントの撚り糸のクリンプを抑制する。
【解決手段】 丈方向に沿って延在し、交互に配列された複数の上経糸6および下経糸7からなる経糸8に、幅方向に沿って延在する複数の緯糸9を交絡させた基布2を有し、基布の製紙面側および走行面側にバット繊維をニードリング一体化させた製紙用プレスフェルトであって、緯糸のそれぞれが、複数のフィラメントを撚り合わせた撚り糸であり、上経糸が、緯糸を連続して3本以上製紙面側に跨いだ後、その連続して跨いだ本数以下かつ2本以上の緯糸を連続して走行面側に潜る単位組織をもって緯糸に交絡され、下経糸が、緯糸を連続して3本以上製紙面側に潜った後、その連続して潜った本数以下かつ2本以上の緯糸を連続して走行面側に跨ぐ単位組織をもって緯糸に交絡されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、製紙用プレスフェルトに関する。
製紙用プレスフェルトにおいて、空隙量維持や汚れ防止の目的で、基布を構成する緯糸および経糸の両方にモノフィラメント糸を使用したものがある。しかしながら、モノフィラメント糸は、複数のモノフィラメント糸を撚り合わせた撚り糸(以下、フィラメントの撚り糸という)に比べて凹凸が小さいため、基布に交絡されるバット繊維層(不織繊維層)との引っ掛かりが弱く、バットの脱毛が発生する虞がある。そのため、緯糸または経糸にフィラメントの撚り糸を使用してバットの脱毛を抑制することが望まれる。
しかしながら、フィラメントの撚り糸はモノフィラメント糸よりも可撓性が高いため、緯糸または経糸にフィラメントの撚り糸を使用した場合には、フィラメントの撚り糸からなる緯糸または経糸がクリンプ(屈曲)し易くなる。緯糸または経糸がクリンプすると、基布表面の表面平滑性(表面性)が低下(凹凸の発生)するとともに、ロールプレス時や吸湿時に基布が幅方向または丈方向に長さが変化するという問題がある。また、緯糸にフィラメントの撚り糸を使用し、緯糸にクリンプが付き易い場合には、経糸が直線状になり易くなり、経糸抜けが発生し易くなるという問題がある。
このような問題に対して、緯糸にモノフィラメント糸、経糸に扁平化可能なフィラメントの撚り糸を使用し、緯糸を大部分において経糸の下側を通すとともに、経糸の上側を1本分だけ通して屈曲したナックル部を形成し、各ナックル部が経糸3本分以上の等間隔をおいて配置されるようにした製紙用プレスフェルトがある(例えば、特許文献1)。このような製紙用プレスフェルトは、基布の上面に現れる緯糸部分が少なく、またナックル部が離間して配置されることから緯糸の屈曲が緩やかになる。また、経糸が基布の上面の大部分を構成するとともに、扁平化可能であるため、ナックル部における凹凸を小さくすることができる。
特開2009−155747号公報
しかしながら、上記特許文献1の製紙用プレスフェルトでは、緯糸および経糸の交絡箇所が少なく経糸が直線状になることから、緯糸にモノフィラメント糸を使用すると、経糸抜けが発生し易くなる点に問題がある。
本発明は、以上の問題を鑑みてなされたものであって、フィラメントの撚り糸を含む製紙用プレスフェルトにおいて、フィラメントの撚り糸のクリンプを抑制するとともに、経糸抜けを抑制することができる製紙用プレスフェルトを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、丈方向に沿って延在し、交互に配列された複数の上経糸(6)および下経糸(7)からなる経糸(8)に、幅方向に沿って延在する複数の緯糸(9)を交絡させた基布(2)を有し、前記基布(2)の製紙面側、または製紙面側と走行面側との両面にバット繊維(3)をニードリングによって一体化させた製紙用プレスフェルト(1)であって、前記緯糸のそれぞれが、複数のフィラメントを撚り合わせた撚り糸であり、前記上経糸が、前記緯糸を連続して3〜8本分製紙面側に跨いだ後、その連続して跨いだ本数以下かつ2〜6本分の前記緯糸を連続して走行面側に潜る単位組織をもって前記緯糸に交絡され、前記下経糸が、前記緯糸を連続して3〜8本分走行面側に潜った後、その連続して潜った本数以下かつ2〜6本分の前記緯糸を連続して製紙面側に跨ぐ単位組織をもって前記緯糸に交絡されていることを特徴とする。
この構成によれば、上経糸および下経糸が緯糸を1本だけ跨ぐ、或いは潜ることがないため、緯糸にクリンプが付き難く、緯糸にフィラメントからなる撚り糸を使用しても緯糸のクリンプを抑制することができる。また、緯糸にクリンプが付き難いことから、緯糸のクリンプ状態から展開状態への変化に伴う基布の伸長が抑制されるとともに、緯糸のクリンプに伴う基布表面の凹凸を抑制することができる。また、上経糸および下経糸は、緯糸に対して少なくとも2本以上跨ぎかつ潜るため、緯糸との交絡範囲が広く、上経糸および下経糸の抜けが抑制される。上経糸および下経糸の2つを用いて緯糸の製紙面側および走行面側の両側に経糸が配置される構造(両面ロングクリンプ)としたため、上緯糸または下緯糸のいずれか一方のみを用いた構造(片面ロングクリンプ)に比べて、基布の厚さを約1.5倍(経糸径×2+緯糸径)にすることができる。
上記の構成において、前記上経糸および前記下経糸が、直径が0.2mm〜0.5mmのモノフィラメント糸であり、前記緯糸の撚り糸を構成する繊維が、直径が0.15mm〜0.25mmのフィラメントであり、前記上経糸および前記下経糸は合わせて、前記幅方向に10〜30本/cmの密度で配列され、前記緯糸は、前記丈方向に5〜14本/cmの密度で配列されているようにするとよい。また、前記上経糸が前記緯糸を連続して製紙面側に跨ぐ本数と、前記下経糸が前記緯糸を連続して走行面側に潜る本数とが同一であり、前記上経糸が前記緯糸を連続して走行面側に潜る本数と、前記下経糸が前記緯糸を連続して製紙面側に跨ぐ本数とを同一とするとよい。
以上の構成によれば、モノフィラメント糸とフィラメントの撚り糸とを含む基布において、フィラメントの撚り糸のクリンプを抑制するとともに、モノフィラメント糸からなる上経糸および下経糸の抜けを防止することができる製紙用プレスフェルトを提供することができる。このような基布を用いた製紙用プレスフェルトは、基布の凹凸に起因する基布マークを抑制することができる、加圧脱水工程におけるプレス後においても空隙量を維持し、幅出を抑制することができる、バット繊維層の脱毛を抑制することができるといった効果を奏する。
第1実施形態に係るフェルトを丈方向に沿って見た模式的な断面図 第1実施形態に係る基布を製紙面側から見た平面図 第2実施形態に係る基布を製紙面側から見た平面図 第3実施形態に係る基布を製紙面側から見た平面図 第4実施形態に係る基布を製紙面側から見た平面図 第5実施形態に係る基布を製紙面側から見た平面図 サンプル2,3に係る基布を製紙面側から見た平面図 サンプル1〜3のマーク試験結果を示す像
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態に係る製紙用プレスフェルトは、抄紙機において抄紙を運搬する搬送手段として用いられ、抄紙の加圧脱水工程等に使用される。
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態に係る製紙用プレスフェルト(以下、単にフェルトという)1は、ニードリングによって基布2にバット繊維層3を積層一体化したものである。フェルト1の長手方向を丈方向といい、長手方向に直交する方向を幅方向という。フェルト1は、使用時において抄紙機のロールに巻き掛けられ、丈方向に走行する。図1において、フェルト1の上面は湿紙が載る製紙面4を構成し、下面は抄紙機のロール等に当接する走行面5を構成する。
基布2は、丈方向に沿って延在し、交互に配列された複数の上経糸6および下経糸7からなる経糸8と、幅方向に延在し、上経糸6および下経糸7の双方に交絡した複数の緯糸9とから構成される織布である。上経糸6は緯糸9の製紙面4側を通る部分の割合が大きい経糸であり、下経糸7は緯糸9の走行面5側を通る部分の割合が大きい経糸である。
上経糸6および下経糸7はともに同一構成の糸であって、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等の合成樹脂材料から形成されたモノフィラメント糸からなる。上経糸6および下経糸7の直径は、上経糸6および下経糸7の強度や、幅方向における上経糸6および下経糸7の打ち込み本数、上経糸6および下経糸7のクリンプ(屈曲)のし易さ等を考慮して、0.2mm〜0.5mmであることが好ましい。上経糸6および下経糸7は合わせて、幅方向に10〜30本/cmの密度で配列するとよい。例えば、上経糸6および下経糸7の直径が0.2mmである場合には幅方向に30本/cmの密度で配置し、上経糸6および下経糸7の直径が0.5mmである場合には幅方向に10本/cmの密度で配置するとよい。
緯糸9は、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等の合成樹脂材料から形成された複数のモノフィラメント糸を撚り合わせた撚り糸からなる。撚り糸は、直径が0.15mm〜0.25mmであるフィラメントを3〜6本撚り合わせて形成したものが好ましい。撚り糸は、例えば、直径が0.15mmのフィラメントを2本撚り合わせたものの2組をさらに撚り合わせたものや、直径が0.25mmのフィラメントを3本撚り合わせたものであってよい。緯糸9は、丈方向に5〜14本/cmの密度で配置するとよい。
図1に示すように、第1実施形態においては、上経糸6は、緯糸9を5本連続して跨いだ後、緯糸9を3本連続して潜る単位組織(繰り返し単位)をもって緯糸9に交絡している。ここで、緯糸9を跨ぐとは緯糸9の製紙面側を通過することをいい、緯糸9を潜るとは緯糸9の走行面側を通過することをいう。一方、下経糸7は、緯糸9を5本連続して潜った後、緯糸9を3本連続して跨ぐ単位組織をもって緯糸9に交絡している。このような単位組織をもって上経糸6および下経糸7と緯糸9とが織り込まれた基布2を、上経糸5/3組織−下経糸3/5組織の基布2という。ここで、上経糸および下経糸について、スラッシュ「/」の前の数字が緯糸9を連続して跨ぐ本数を表し、スラッシュ「/」の後ろの数字が緯糸9を連続して潜る本数を表している。本数を隣り合う上経糸6および下経糸7の内で、上経糸6が緯糸9を跨ぐ位置と、下経糸7が緯糸9を潜る位置との相対位置は任意に設定してよい。
図2に、上経糸5/3組織−下経糸3/5組織の基布2の一例を示す。図2は、製紙面側から見た基布2の単位組織を示す図であって、例えば、上経糸6dについて見ると、上経糸6dは、5本の緯糸9a〜9eを連続して跨いだ後、3本の緯糸9f〜9hを連続して潜っている。図2に示すように、この上経糸5/3組織−下経糸3/5組織の基布2の一例では、各上経糸6a〜6hが各緯糸9a〜9hを跨ぐ位置が丈方向において互いに偏倚しているとともに、各下経糸7a〜7hが各緯糸9a〜9hを跨ぐ位置が丈方向において互いに偏倚している。また、上経糸6a〜6hおよび下経糸7a〜7hが、緯糸9a〜9hを跨ぐ部分同士、緯糸9a〜9hを潜る部分同士が分散されるように配置されている。
以上のように構成した基布2は、緯糸9にフィラメントの撚り糸を用いたため、緯糸9にモノフィラメント糸を用いた場合に比べて、バット繊維層3を構成する繊維の脱毛を抑制することができる。フィラメントの撚り糸は、モノフィラメント糸に比べて表面の凹凸が大きいため摩擦抵抗が大きく、バット繊維層3を構成する繊維と引っ掛かり易いため、バット繊維層3を構成する繊維と安定な結合状態を形成することができる。
フィラメントの撚り糸は、同一径のモノフィラメント糸に比べて可撓性が高いため、緯糸9にフィラメントの撚り糸を使用することで基布2の可撓性を高める、すなわちより柔軟にすることができる。基布2の可撓性が高くなると、基布2は屈曲することによって振動エネルギーを吸収することができ、基布2に振動が生じ難くなる。
上経糸6が、緯糸9を連続して5本跨いだ後に、緯糸9を連続して3本潜るようにしたため、上経糸6にクリンプが生じ、緯糸9にクリンプが生じ難くなる。これは、上経糸6が跨いだ全ての緯糸9をクリンプさせるよりも、1本の上経糸6をクリンプさせる方がより小さなエネルギーで達成されることに起因する。この効果は、経糸6が緯糸9を2本以上連続して跨ぐことによって発生し、3本以上連続して跨ぐことによってより確実に発生させることができる。同様に、下経糸7が、緯糸9を連続して5本潜った後に、緯糸9を連続して3本跨ぐようにしたため、下経糸7にクリンプが生じ、緯糸9にクリンプが生じ難くなる。
上経糸6および下経糸7が、緯糸9を連続して2本以上跨ぐ、或いは潜るようにしたことによって、上経糸6および下経糸7が1本の緯糸9のみを跨ぐ、或いは潜ることによって生じるナックル部が上経糸6および下経糸7に生じない。そのため、基布2の表面の凹凸が小さくなる、すなわち基布2の表面平滑性が向上する。
緯糸9のクリンプが抑制されることによって、フェルト1はプレス時や吸湿時においても幅方向の長さの変化が抑制される。これは、緯糸9のクリンプが小さいため、緯糸9のクリンプが展開し、緯糸9が直線状に伸展しても緯糸9の両端間の距離に変化がほとんど生じないためである。
上経糸6および下経糸7にクリンプが生じることによって、上経糸6および下経糸7が基布2から抜け出し難くなる。これは、上経糸6および下経糸7のクリンプが緯糸9との摩擦抵抗を増大させるためである。
<第2〜第5実施形態>
第2〜第5実施形態に係る基布20,30,40,50は、第1実施形態に係る基布2と比較して、上経糸26,36,46,56および下経糸27,37,47,57の緯糸29,39,49,59に対する交絡態様の単位組織が異なるのみで、他の構成は同様である。第2〜第5実施形態に係る上経糸26,36,46,56、下経糸27,37,47,57および緯糸29,39,49,59は、第1実施形態の上経糸6、下経糸7および緯糸9と材質、形状、配置密度等は同様である。
図3は、製紙面側から見た第2実施形態に係る基布20の単位組織を示す図である。図3に示すように、基布20は上経糸6/2組織−下経糸2/6組織である。各上経糸26a〜26hは、緯糸29a〜29hを6本連続して跨いだ後、緯糸29a〜29hを2本連続して潜る単位組織をもって緯糸29a〜29hに交絡している。一方、各下経糸27a〜27hは、緯糸29a〜29hを6本連続して潜った後、緯糸29a〜29hを2本連続して跨ぐ単位組織をもって緯糸29a〜29hに交絡している。
図4は、製紙面側から見た第3実施形態に係る基布30の単位組織を示す図である。図4に示すように、基布30は上経糸4/4組織−下経糸4/4組織である。各上経糸36a〜36dは、緯糸39a〜39hを4本連続して跨いだ後、緯糸39a〜39hを4本連続して潜る単位組織をもって緯糸39a〜39hに交絡している。一方、各下経糸37a〜37hは、緯糸39a〜39hを4本連続して潜った後、緯糸39a〜39hを4本連続して跨ぐ単位組織をもって緯糸39a〜39hに交絡している。第3実施形態では、上経糸36および下経糸37の緯糸39を連続して跨ぐ本数および潜る本数が同数であるため、上経糸36および下経糸37に区別はなく、同一の構成となっている。このような基布30は、単に経糸4/4組織ともいう。
図5は、製紙面側から見た第4実施形態に係る基布40の単位組織を示す図である。図5に示すように、基布40は上経糸6/4組織−下経糸4/6組織である。各上経糸46a〜46jは、緯糸49a〜49jを6本連続して跨いだ後、緯糸49a〜49jを4本連続して潜る単位組織をもって緯糸49a〜49jに交絡している。一方、各下経糸47a〜47jは、緯糸49a〜49jを6本連続して潜った後、緯糸49a〜49jを4本連続して跨ぐ単位組織をもって緯糸49a〜49jに交絡している。
図6は、製紙面側から見た第5実施形態に係る基布50の単位組織を示す図である。図6に示すように、基布50は上経糸7/5組織−下経糸5/7組織である。各上経糸56a〜56lは、緯糸59a〜59lを7本連続して跨いだ後、緯糸59a〜59lを5本連続して潜る単位組織をもって緯糸59a〜59lに交絡している。一方、各下経糸57a〜57lは、緯糸59a〜59lを7本連続して潜った後、緯糸59a〜59lを5本連続して跨ぐ単位組織をもって緯糸59a〜59lに交絡している。
第2〜第5実施形態に係る基布20,30,40,50は、第1実施形態に係る基布2と同様の作用効果を奏する。
本願発明を適用したフェルト(サンプル1)と、比較対象としてのフェルト(サンプル2,3)とを以下に示すように構成し、各種試験を行った結果を以下に示す。
サンプル1に係る基布は、上経糸および下経糸が直径0.40mmのポリアミドからなるモノフィラメント糸であり、緯糸が0.20mmのポリアミドからなるモノフィラメント糸を2本を撚り合わせたものの2組を更に撚り合わせた撚り糸であり、上経糸4/4組織−下経糸4/4組織(経糸4/4組織)をなし(図4参照)、幅方向における上経糸および下経糸を合わせた経糸密度が17本/cmとなり、丈方向における緯糸密度が30本/cmとなるように構成されている。
サンプル2に係る基布は、上経糸、下経糸および緯糸が実施例1の上経糸および下経糸と同じ構成のモノフィラメント糸であり、上経糸3/1組織−下経糸1/3組織(経糸3/1組織)をなし(図7参照、基布60、上経糸66a,66b、下経糸67a,67b、緯糸69a〜69d)、幅方向における上経糸および下経糸を合わせた経糸密度が17本/cmとなり、丈方向における緯糸密度が40本/cmとなるように構成されている。
サンプル3に係る基布は、上経糸および下経糸が実施例1の上経糸および下経糸と同じ構成のモノフィラメント糸であり、緯糸が実施例1の緯糸と同じ構成の撚り糸であり、上経糸3/1組織−下経糸1/3組織(経糸3/1組織)をなし(図7参照)、幅方向における上経糸および下経糸を合わせた経糸密度が17本/cmとなり、丈方向における緯糸密度が30本/cmとなるように構成されている。
サンプル1〜3のフェルトの各基布には、ポリアミド系の樹脂からなる太さ17dtexの繊維を、製紙面側に600g/m、走行面側に100g/mでニードリングし、バット繊維層を形成した。
サンプル1〜3のフェルトについて、各特性についての試験結果を以下の表1に示す。
表1の幅出率(%)は、各サンプルのフェルトをプレスした後の幅方向(緯糸が延在する方向)における長さの初期状態からの変化量をパーセンテージ(%)で表したものである。プレスは、直径30cmの1対のロール間に各フェルトを丈方向(経糸が延在する方向)に沿って送り込み、フェルトに線圧50kg/cmを加える処理を10万回行った。
表1に示すように、サンプル2とサンプル3との比較から、緯糸にフィラメントの撚り糸を使用した場合には、幅出率が0.90から1.87へと増大することが確認される。これは、撚り糸にクリンプが発生しやすいことに起因する。しかし、サンプル1とサンプル3との比較から、基布の組織(織り込み構造)を経糸3/1組織から経糸4/4組織に変更することによって、幅出率の増加を抑制できることが確認される。サンプル1では、緯糸に撚り糸を使用しつつ、緯糸に単糸を使用したサンプル2と概ね同等の幅出率(0.94)を実現することができる。これは、基布の単位組織を経糸4/4組織とすることで、撚り糸である緯糸のクリンプが抑制されたことを示唆している。
表1のプレス前後空隙量差は、各サンプルのフェルトについてプレス前後の空隙量の変化量を示している。プレスは、直径30cmの1対のロール間に各フェルトを丈方向(経糸が延在する方向)に沿って送り込み、フェルトに50kg/cmを加える処理を10万回行った。プレス前後のフェルトの空隙量を測定し、その差を求めた。
各サンプルのプレス前後空隙量差は、各フェルトが圧縮されることによってフェルト内の空隙体積が減少する程度を示している。表1に示すように、サンプル2とサンプル3との比較から、緯糸にフィラメントの撚り糸を使用した場合には、体積変化量が−55cmから−69cmへと増大している。これは、撚り糸が単糸に比べてクリンプし易く、クリンプした撚り糸が圧縮されることにより伸展することに起因する。しかし、サンプル1とサンプル3との比較から、基布の組織(織り込み構造)を経糸3/1組織から経糸4/4組織に変更することによって、体積変化量を抑制できることが確認される。これは、基布の単位組織を経糸4/4組織とすることで、撚り糸である緯糸のクリンプが抑制されたことを示唆している。また、サンプル1はサンプル2よりも体積変化量が小さく、サンプル1は緯糸に単糸を使用したサンプル2よりも基布のクリンプが抑制されていることが推定される。
表1の脱毛量は、各サンプルに対して脱毛(摩耗)試験を行った結果を示す。脱毛試験は、JISのL0849の5.1bに基づいて学振型摩耗試験機を用いて行った。摩擦子は2cm×2cmの摩擦用白面布であり、摩擦子の荷重が200g、摩擦子のストロークが10cm、ストロークは毎分30回往復の速度で2000往復である。詳細については、JISのL0849の5.1bを参照されたい。脱毛試験の前後で各フェルトの重量を測定し、その重量差から脱毛量を算出した。
表1に示すように、サンプル2とサンプル3との比較から緯糸に撚り糸を使用することで脱毛量が減少することが確認された。また、サンプル1もサンプル3と同様に、サンプル2よりも脱毛量が少ないことが確認された。これらの結果は、モノフィラメント糸に代えてフィラメントの撚り糸を緯糸に使用することで、バット繊維層と基布との絡合が促進されることに示唆している。
図8に各サンプルのマーク試験結果を示す。マーク試験は、圧力の大きさに応じて発色濃度が変化する圧力測定フィルム(富士フイルムのプレスケール)を使用し、この圧力測定フィルムを各サンプルのフェルトの製紙面に重ねてプレスロールにより加圧し、各サンプルのフェルト製紙面の凹凸に応じた像を圧力測定フィルム上に形成することによって行った。
図8の(A)はサンプル1、(B)はサンプル2、(C)はサンプル3のマーク試験結果を示す。図8の各像から明らかなように、サンプル2では、サンプル1および3に比べて、輪郭が明瞭な点状マークが像全体に形成されている。これは、サンプル2では、経糸および緯糸にフィラメントの撚り糸よりも可撓性が低いモノフィラメント糸を使用したため、緯糸のクリンプおよびナックル部が明確な凸部を形成したためと考えられる。これに対して、サンプル1および3では、緯糸にフィラメントの撚り糸を使用したため、緯糸のクリンプが明確な凸部を形成せず、表面平滑性が向上したと考えられる。また、サンプル1とサンプル3を比較すると、サンプル3よりもサンプル1の方がフェルトの表面平滑性が向上していることが確認される。これは、基布の組織を経糸3/1組織に代えて経糸4/4組織としたことによって緯糸のクリンプがより抑制されたことを示唆している。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記の実施形態および実施例について経糸と緯糸との関係を入れ替えてもよい。換言すると、経糸がフェルトの幅方向に延在し、緯糸がフェルトの丈方向に延在するようにしてもよい。また、上記の実施形態では、上経糸が緯糸を連続して跨ぐ本数と、下経糸が緯糸を連続して潜る本数とを同一にしたが、例えば上経糸6/4組織−下経糸3/3組織のように、相違させてもよい。また、1つの組織単位を構成する緯糸の本数を相違させて、例えば、上経糸6/4組織−下経糸3/5組織のようにしてもよい。
1…製紙用フェルト、2,20,30,40,50…基布、3…バット繊維層、4…製紙面、5…走行面、6,26,36,46,56…上経糸、7,27,37,47,57…下経糸、8…経糸、9,29,39,49,59…緯糸

Claims (3)

  1. 丈方向に沿って延在し、交互に配列された複数の上経糸および下経糸からなる経糸に、幅方向に沿って延在する複数の緯糸を交絡させた基布を有し、前記基布の製紙面側、または製紙面側と走行面側との両面にバット繊維をニードリングによって一体化させた製紙用プレスフェルトであって、
    前記緯糸のそれぞれが、複数のフィラメントを撚り合わせた撚り糸であり、
    前記上経糸が、前記緯糸を連続して3〜8本分製紙面側に跨いだ後、その連続して跨いだ本数以下かつ2〜6本分の前記緯糸を連続して走行面側に潜る単位組織をもって前記緯糸に交絡され、
    前記下経糸が、前記緯糸を連続して3〜8本分走行面側に潜った後、その連続して潜った本数以下かつ2〜6本分の前記緯糸を連続して製紙面側に跨ぐ単位組織をもって前記緯糸に交絡されていることを特徴とする製紙用プレスフェルト。
  2. 前記上経糸および前記下経糸が、直径が0.2mm〜0.5mmのモノフィラメント糸であり、
    前記緯糸の撚り糸を構成する繊維が、直径が0.15mm〜0.25mmのフィラメントであり、
    前記上経糸および前記下経糸は合わせて、前記幅方向に10〜30本/cmの密度で配列され、
    前記緯糸は、前記丈方向に5〜14本/cmの密度で配列されていることを特徴とする、請求項1に記載の製紙用プレスフェルト。
  3. 前記上経糸が前記緯糸を連続して製紙面側に跨ぐ本数と、前記下経糸が前記緯糸を連続して走行面側に潜る本数とが同一であり、
    前記上経糸が前記緯糸を連続して走行面側に潜る本数と、前記下経糸が前記緯糸を連続して製紙面側に跨ぐ本数とが同一であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の製紙用プレスフェルト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020090757A (ja) * 2018-12-07 2020-06-11 日本フエルト株式会社 製紙用フェルト基布

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