JP2019013701A - リトラクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】内視鏡化手術の際の取り扱いが容易なリトラクタを提供する。【解決手段】展開体が、可動ワイヤおよび当該可動ワイヤの周囲に配置された複数本の固定ワイヤから構成され、当該可動ワイヤの遠位端と当該固定ワイヤの遠位端とが接続された圧排部と、遠位端が固定ワイヤの近位端に接続され、近位端が第2グリップ部と接続されており、かつ可動ワイヤが貫通する内挿管と、可動ワイヤの近位端に接続され、当該可動ワイヤの移動を規制する規制部材とを備え、第1グリップ部と第2グリップ部との相対的な移動により、規制部材が、第1グリップ部と当接した場合に可動ワイヤの移動を規制し、この状態で、第1グリップ部と第2グリップ部とが、接近する方向へ相対移動された場合に、第2グリップ部と接続された内挿管の遠位端と、移動が規制された可動ワイヤの遠位端とを近づけて固定ワイヤを撓ませ、圧排部を展開させる。【選択図】図6

Description

本発明は、リトラクタに関し、より詳細には、管腔臓器の内壁または体腔内の臓器を圧排するために使用される3次元方向に展開可能なリトラクタに関する。
従来の開腹手術では、手術の妨げとなる臓器を手で開排することができるが、内視鏡下手術では、臓器の開排は容易ではなく、手術に最適な視野を確保するのが難しいことが知られている。例えば、視野と操作空間とを確保するため、体腔内に気体を注入する方法があるが、この方法は全身麻酔を必要とするため、内視鏡化手術としては侵襲性が高いものとなってしまう。
この視野の問題などを緩和し、内視鏡下手術を容易にするために、治療対象臓器や治療中の視野の妨げとなる臓器などを圧排あるいは牽引するリトラクタと呼ばれる器具が開発されている。リトラクタには、基本的な機能として、これを体内へ挿入する際、挿入通路となるトロッカー(外套管)または小切開創のような小さな開口通路より器具が挿通できることが求められている。したがって、少なくとも挿入時は細径であり(例えば、トロッカーの場合10mm以下、小切開創の場合20mm以下が望ましい)かつ棒状の形態であることが必要であり、一方、体腔内挿入後は、対象物を幅広く効果的に圧排するために、圧排部がある程度大きな面積を有する形状に変形可能であることが要求される。
上述の相反する要求に応じて、種々に工夫されたリトラクタが知られている。例えば、特許文献1では、可動して箆を形成する開閉部と、ロッド部と、握持部とからなり、握持部を握り締めることで、その動きがロッド部内のインナーロッドを摺動させ、開閉部を開いて扇状の箆が形成される医療用圧排鈎(リトラクタ)が提案されている。
また、特許文献2では、剛直な穿孔管と、該穿孔管に対し、収容かつ延出可能な展開体と、該穿孔管および該展開体のそれぞれ近位端と接続されたグリップとを備えたリトラクタが提案されている。特許文献2のリトラクタは、展開体が、可動ワイヤおよび該可動ワイヤの周囲に配置された複数本の固定ワイヤから構成される圧排部、および該圧排部に延設されており、かつ該可動ワイヤが貫通する内挿管を備え、前記グリップが、遠位側から第1グリップ部、第2グリップ部および第3グリップ部を備え、前記穿孔管の近位端が該第1グリップ部に接続され、前記内挿管の近位端が前記第2グリップ部に接続され、前記可動ワイヤの近位端が前記第3グリップ部に接続されている。そして、特許文献2のリトラクタは、第1グリップに対し、第2グリップ部および第3グリップ部がそれぞれ遠位端側、すなわち第1グリップ部側に押し込まれることにより、第2グリップ部および第3グリップ部にそれぞれ接続された内挿管および可動ワイヤがそれぞれ遠位側に押し出され、穿孔管から展開体が延出される。この穿孔管から展開体が延出された状態において、第1グリップ部および第2グリップ部に対して、第3グリップ部のみを近位側(手元側)に引き出す、又は、第1グリップ部および第3グリップ部に対して、第2グリップ部のみを遠位側に押し出すことにより、固定ワイヤを外側に向けて湾曲させて、圧排部を展開させる。
このように、特許文献2のリトラクタでは、第1〜第3グリップ部を操作して圧排部を展開させることで、術野に干渉する組織の圧排を可能とするが、第1〜第3グリップ部をそれぞれ操作することになるため、更なる操作性の向上が望まれている。
特開平6−154152号公報 国際公開第2015/079719号
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、内視鏡化手術の際の取り扱いが容易なリトラクタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のリトラクタは、
管状の外管と、
前記外管に挿通される展開体と、
前記外管の近位端に接続された第1グリップ部と、
前記展開体に接続され、前記第1グリップ部との相対的な移動により、前記展開体と前記第1グリップ部とを相対的に移動させる第2グリップ部と
を備え、
前記展開体が、
可動ワイヤおよび当該可動ワイヤの周囲に配置された複数本の固定ワイヤから構成され、当該可動ワイヤの遠位端と当該固定ワイヤの遠位端とが接続された圧排部と、
遠位端が前記固定ワイヤの近位端に接続され、近位端が前記第2グリップ部と接続されており、かつ前記可動ワイヤが貫通する内挿管と、
前記可動ワイヤの近位端に接続され、当該可動ワイヤの移動を規制する規制部材とを備え、
前記第1グリップ部と前記第2グリップ部との相対的な移動により、前記展開体と前記第1グリップ部とが相対的に移動して、前記展開体に備えられた前記規制部材が、前記第1グリップ部と当接した場合に前記可動ワイヤの移動を規制し、
前記可動ワイヤの移動が規制された状態で、前記第1グリップ部と前記第2グリップ部とが、接近する方向へ相対移動された場合に、前記第2グリップ部と接続された内挿管の遠位端と、前記移動が規制された前記可動ワイヤの遠位端とを近づけて前記固定ワイヤを撓ませ、前記圧排部を展開させる。
この構成により、本発明のリトラクタは、第2グリップ部を遠位側へ移動させた際、規制部材によって可動ワイヤの移動が規制され、この可動ワイヤの移動が規制された状態で更に第2グリップ部を第1グリップ部側へ移動させることで圧排部を展開させることができる。即ち、可動ワイヤを操作するグリップ部を第1グリップ部及び第2グリップ部と別に設ける必要がなく、第1グリップ部と第2グリップ部との2つで圧排部を展開させることができるので、圧排時の取扱いを容易にすることができる。
前記リトラクタは、前記展開体が前記外管に収容された状態で、前記第1グリップ部と前記第2グリップ部とが、接近する方向へ相対移動された場合に、前記第2グリップ部と接続された前記展開体と、前記第1グリップ部と接続された前記外管とが相対移動され、前記展開体が前記外管の先端から延出されてもよい。
この構成により、本発明のリトラクタは、第1グリップ部と第2グリップ部との2つで、展開体を外管から延出させる操作を行うことができる。
前記第1グリップ部と前記第2グリップ部とが、摺動可能に嵌合され、前記第1グリップ部と前記第2グリップ部との摺動により、前記第1グリップ部と前記第2グリップ部とが相対移動されてもよい。
この構成により、本発明のリトラクタは、第1グリップ部と第2グリップ部とを容易に相対移動させることができる。
前記リトラクタは、前記第2グリップが遠位側へ移動されて前記圧排部を展開させた位置で前記第2グリップを係止するロック機構を備えてもよい。
この構成により、本発明のリトラクタは、操作者が第2グリップ部の位置を保持しなくても圧排部が展開した状態を維持でき、更に容易に圧排を行うことができる。
前記リトラクタは、前記外管が、遠位側に向けて鋭角に突出した遠位端を有する穿孔管であってもよい。
この構成により、本発明のリトラクタは、直接穿孔して体内へ挿入することができる。
本発明によれば、内視鏡化手術の際の取り扱いが容易なリトラクタを提供できる。
図1は、リトラクタの一例を示す図であって、図1(A)は、展開体が穿孔管に収容された状態を示す図、図1(B)は、展開体が穿孔管の先端から延出された状態を示す図、図1(C)は、展開体の圧排部が開いた状態を示す図である。 図2は、リトラクタを構成する展開体の一例を模式的に表す図である。 図3は、リトラクタを構成する展開体の長軸と直交する方向における可動ワイヤおよび固定ワイヤの断面の一例を示す模式図である。 図4は、固定ワイヤの断面の例を模式的に表す図である。 図5は、実施形態のリトラクタにおいて、穿孔管から展開体を延出し、かつ展開した際の、当該リトラクタの遠位端側から見た模式図である。 図6は、リトラクタの模式断面図であって、図6(A)は、展開体が穿孔管に収容された状態を示す図、図6(B)は、展開体が穿孔管の先端から延出された状態を示す図、図6(C)は、展開体の圧排部が開いた状態を示す図である。 図7は、リトラクタの分解斜視図である。 図8は、内挿管及び可動ワイヤの近位端付近を示す図であって、図8(A)は、規制部材が可動ワイヤの移動を規制していない状態を示す図、図8(B)は、規制部材が可動ワイヤの移動を規制している状態を示す図、図8(C)は、図8(B)の状態から更に第2グリップ部を遠位側へ移動させた状態を示す図である。 図9は、第二の実施形態に係るリトラクタの一例を示す図であって、図9(A)は、展開体220が穿孔管110に収容された状態を示す図、図9(B)は、展開体220が穿孔管110の先端から延出された状態を示す図、図9(C)は、展開体220の圧排部222が開いた状態を示す図である。 図10は、第二の実施形態に係るリトラクタを構成する展開体の長軸に直交する方向における圧排部の断面図(可動ワイヤおよび固定ワイヤの断面図)の例を表す図である。 図11は、圧排部が開いた状態を示す詳細図である。 図12は、第二の実施形態に係るリトラクタにおいて、穿孔管から展開体を延出し、かつ展開した際の、当該リトラクタの遠位端先端部の例を模式的に表す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本発明は以下に説明する態様に限
定されない。
〈第一の実施形態〉
図1は、本実施形態に係るリトラクタ100の一例を示す図であって、図1(A)は、展開体120が穿孔管110に収容された状態を示す図、図1(B)は、展開体120が穿孔管110の先端から延出された状態を示す図、図1(C)は、展開体120の圧排部122が開いた状態を示す図である。
図1に示すように、リトラクタ100は、剛直あるいは硬質な穿孔管110と、穿孔管110に対し、収容かつ延出可能に挿通される展開体120と、穿孔管110の近位端と展開体120にそれぞれ接続されたグリップ160とを備えている。
ここで、本明細書中に用いられる用語「リトラクタ」とは、対象物(例えば、身体内の臓器あるいは視野を妨げるもの)を圧排、開排、牽引、または挙上するための医療器具をいい、トロッカーおよび外套管を包含してもよい。また、圧排、開排、牽引、または挙上の操作をまとめて「リトラクション」または「リトラクト」という場合がある。なお、単に本明細書中において「圧排」という場合は、圧排の操作のみでなく、開排、牽引、または挙上する操作を包含する(すなわち、リトラクションを意味する)場合がある。
さらに、本明細書に用いられる用語「遠位」とは、リトラクタを操作する者から遠い位置をいい、そして用語「近位」とは、「遠位」と比較してリトラクタを操作する者から近い位置をいう。このため、用語「遠位端」とは、本発明のリトラクタを操作する際に、操作する者から最も遠い(すなわち、遠位にある)端部を表し、用語「近位端」とは、当該操作する者から最も近い(すなわち、近位にある)端部を表す。
再び図1(A)を参照すると、穿孔管110は、遠位端側が鋭く尖った形状となるように切断されたストレートな管から構成されている。穿孔管110の遠位端先端部の角度は特に限定されないが、体内への穿孔が容易となる角度(例えば、20°〜50°)に加工されている。穿孔管110の外径は、好ましくは1.6mm〜3.6mmであり、より好ましくは2.2mm〜3mm、本実施形態では2.6mmである。さらに、穿孔管110の内径は、上記外径に対し、好ましくは1.3〜3.3mm、より好ましくは1.9mm〜2.7mmの範囲から選択され得、本実施形態では2.3mmである。なお、本発明において穿孔管110の遠位端先端部の形状は、必ずしも上記に限定されず、例えば、医療分野における外套管またはトロッカーに採用され得る任意の形状を有していてもよい。なお、穿孔管110は、厳密にストレートな形状とすることに限らず、必要に応じて曲線状に設計されてもよい。本実施形態の穿孔管110は、外管の一形態である。
このような穿孔管110は、剛性の高い材料、例えば、ステンレス、タンタル、コバルト合金、ナイチノール(ニッケル−チタン合金)などの金属から構成されていることが好ましい。ステンレスとしては、例えば、SUS304、SUS316、SUS316Lが挙げられる。さらに、穿孔管110は、手術中の他の器具との間のスパークの発生を防止するため、この表面に電気絶縁性を有するコーティング材料が付与されていてもよい。このようなコーティング材料には、医療器具のコーティングに通常用いられる素材が用いられ得る。例えば、多孔質ポリ四フッ化エチレン(ePTFE)膜、シリコーン膜、ポリウレタン膜、ポリエチレンテレフタラート(ダクロン(登録商標))膜などが挙げられる。コーティング材料により構成されるコーティング層の厚みは、特に限定されないが、例えば、19μm〜31μm、好ましくは23μm〜27μmであり、本実施形態では、25μmでコーティングが施されている。本発明のリトラクタ100はまた、このような剛性の高い材料で構成された穿孔管110を用いることにより、当該穿孔管の撓み、曲がり、折れなどを懸念することなく、所望の位置(例えば、腹腔)に確実に穿孔することができる。さらに、当該穿孔管110が剛直であることにより、後述する圧排部でのコクーン形
状の展開やリトラクトの際にも充分な強度を保持することができる。なお、本実施形態において、用語「コクーン形状」とは、展開体の圧排部において、後述する複数の固定ワイヤの湾曲によって生じた形状であって、例えば、繭状や楕円球体、ラグビーボール状の形状を包含して言い、後述する「部分的コクーン形状」と区別するために「完全コクーン形状」と言うこともある。
グリップ160は、遠位端側から順に上記第1グリップ部162部、第2グリップ部167の2つに分割されている。グリップ160を構成する材料の種類は特に限定されない。グリップ160は、例えば、ABS樹脂、ポリカードネート樹脂、アクリル樹脂などの樹脂や、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属およびこれらの組合せから構成されている。
本実施形態のリトラクタ100は、例えば、使用直前には、図1(A)に示すように、穿孔管110内に展開体120が収容されている。
本発明のリトラクタ100は、グリップ160における第2グリップ部167を第1グリップ部162に対して押し引きすることにより、穿孔管110内に収容されている展開体120を出し入れすることができる。例えば、図1(A)の状態から第2グリップ部167を遠位端側へ押し、第1グリップ部162に近づけることにより、展開体120の遠位部分である圧排部122が、図1(B)に示すように、穿孔管110の先端から延出する。
展開体120は、穿孔管110内に収容されている際(後述するような展開がなされていない状態)において、好ましくは、1mm〜3mm、より好ましくは1.4mm〜2.2mmの外径を有し、かつ穿孔管110内を自由にスライドし得る大きさに設計され、本実施形態では1.8mmである。本発明のリトラクタの全長は、必ずしも限定されないが、例えば、穿孔管110の遠位端から近位端までの距離(すなわち、穿孔管110の遠位端から第1グリップ部162の遠位端までの距離)は、好ましくは100mm〜300mmである。
本発明のリトラクタ100は、グリップ160における第2グリップ部167を第1グリップ部162に対して、図1(B)の状態からさらに押すことにより、図1(C)に示すように展開体120の圧排部122を展開することができる。展開体120は、圧排部122と当該圧排部122に延設された内挿管130を備え、そして圧排部122は、可動ワイヤ124や、該可動ワイヤ124の周囲に配置された複数本の固定ワイヤ126、該可動ワイヤ124と該固定ワイヤとを接続するキャップ132から構成されている。さらに、内挿管130は管状であり、その内部には可動ワイヤ124がスライド可能に貫通している。可動ワイヤ124の周囲に配置される固定ワイヤ126の数は、特に限定されないが、例えば、3本〜12本、好ましくは5本〜8本である。
内挿管130、可動ワイヤ124および固定ワイヤ126を構成する材料の例としては、それぞれ独立して、SUS304などのステンレス、ポリアミド、PTFEなどの樹脂、樹脂をコーティングしたステンレスなどが挙げられる。特に可動ワイヤ124は、圧排時に荷重に耐え得る充分な線強度、例えば、1750MPa以上、好ましくは2100MPa以上の線強度を有していることが好ましい。
圧排部122を構成するキャップ132や、可動ワイヤ124、固定ワイヤ126、内挿管130は、臓器の損傷を防ぐために平滑な表面を有していることが好ましい。さらに、手術中の他の器具との間のスパークの発生を防止するために、これらの表面に電気絶縁性を有するコーティング材料が付与されていてもよい。このようなコーティング材料には
、前記穿孔管110のコーティング材料と同様に、医療器具のコーティングに通常用いられる素材が用いられ得、コーティング層の厚みについても同様である。
穿孔管110内に収容された展開されていない状態の圧排部122の長さは、設計するリトラクタの大きさ等によって変動するため、必ずしも限定されない。1つの実施形態においては、当該穿孔管110内に収容された圧排部の長さは、例えば、20mm〜100mm、好ましくは40mm〜80mmであり、本実施形態では50mmである。さらに、当該穿孔管110内に収容された圧排部122の外径の大きさは、例えば、1mm〜3mm、好ましくは1.4mm〜2.2mm、であり、本実施形態では、1.8mmである。
さらに、圧排部122の最も展開した際の長さおよび幅(例えば直径)は、設計するリトラクタ全体の大きさ等によって変動するため、必ずしも限定されない。1つの実施形態においては、当該圧排部122の長さは、例えば、25mm〜80mm、好ましくは35mm〜55mmである。さらに、1つの実施形態において、当該圧排部122の最大幅は、例えば、10mm〜80mm、好ましくは15mm〜45mmであり、本実施形態では、30mmである。なお、圧排部122の幅とは、例えば可動ワイヤの長手方向と直交する方向において、圧排の対象物と接する長さである。図1に示すリトラクタでは、本実施形態では、可動ワイヤの長手方向と直交する断面において、各固定ワイヤがほぼ同一円周上に位置するように広がるため、この各固定ワイヤが成す円の直径を圧排部122の幅とする。また、圧排部122の直径が最も大きくなるように圧排部122を展開させたときの幅(直径)を最大幅(最大直径)とする。
図2は、本発明のリトラクタを構成する展開体120の一例を模式的に表す図である。図2(A)に示されるように、展開体120においては、圧排部122の遠位端(先端)に配置されたキャップ132によって、可動ワイヤ124の遠位端と固定ワイヤ126のそれぞれの遠位端とが接合されている。また、固定ワイヤ126のそれぞれの近位端は内挿管130と固定されており、内挿管130内を可動ワイヤ124が貫通する。図2(A)に示すように展開体120が穿孔管110内に収容されている場合、固定ワイヤ126は真っ直ぐに延びた状態を保持する。これにより、展開体120の圧排部122は、穿孔管110の径方向において最も萎んだ形状、本例では直線状となり、穿孔管110内を自由にスライド可能となる。
そして、図2(B)に示されるように、展開体120の圧排部122が穿孔管110先端から延出された状態において、内挿管130の遠位端がキャップ132に近づけられると、当該キャップ132と内挿管130の遠位端とに端部が固定されている各固定ワイヤ126がそれぞれ可動ワイヤ124の軸周りから離れた方向(半径方向)に撓みを生じ、圧排部122として複数本の固定ワイヤ126の全体によるコクーン形状の構造物を構築することができる。そして、当該コクーン形状に展開された圧排部122が、管腔臓器の内壁や体腔内の臓器等の目的物を圧排し、管腔または体腔内に所定の空間を形成することができる。
図3は、本実施形態のリトラクタ100を構成する展開体120の長軸に直交する方向における可動ワイヤおよび固定ワイヤの断面の一例を示す模式図であって、展開されていない圧排部122の断面を示す図である。
ここで、図3における可動ワイヤ124の直径Aおよび固定ワイヤ126の厚みBについては、固定ワイヤ126の展開のし易さと、各ワイヤ124、126に充分な強度を提供する目的の点から、長さの比(A/B)が、例えば、1〜10、好ましくは2〜7を満たしていることが好ましい。1つの実施形態として、比較的細い構成では、上記Aが0.8mmであり、上記Bが0.365mmである(A/Bは2.2)。また、これより太い
構成では、例えば上記Aが1.3mmであり、上記Bが0.365mmである(A/Bは3.6)。
図3において、圧排部122を構成する可動ワイヤ124は略円形の断面を有しているが、必ずしもこのような断面形状に限定されない。なお、固定ワイヤ126を展開する際に付加される力が均一に分散するとの理由から、円形、正多角形(正方形、正六角形、正八角形など)などの形状を有することが好ましい。可動ワイヤ124の周囲には、略同一の断面形状を有する複数の固定ワイヤ126が配置されている。各固定ワイヤ126が可動ワイヤ124と接する面は、当該可動ワイヤ124の外径に一致するような形状を有していることが好ましい。これにより、固定ワイヤ126と可動ワイヤ124との間に無用な空間が形成されることを避けて、収容時における圧排部122の全体容積が可能な限り小さくすることができる。
より具体的には、固定ワイヤ126の断面は、例えば、図4(A)〜図4(C)に示すような該断面の一部が上記可動ワイヤ124の断面外周の一部にほぼ一致する部分円環形を有している。すなわち、固定ワイヤ126の断面は、図4(A)に示すように、円環から円弧の一部をそのまま切り出したような形状を有していてもよく、図4(B)に示すように、例えば、圧排の際に周囲の組織の損傷を低減するために、上記図4(A)に示す部分円環形状のうち四隅に丸みを帯びさせた鈍い形状を有していてもよく、そして図4(C)に示すように、固定ワイヤ126のうち、圧排部の外縁側に相当する部分をさらに丸みを帯びさせた鈍い形状とすることにより、それぞれの断面が三日月状(crescent)である形状を有していてもよい。複数の固定ワイヤ126の断面は、均一な展開を行う場合、互いに同一のものを用いることが好ましい。
図5は、本発明のリトラクタ100において、穿孔管110から展開体120を延出し、かつ展開した際の、当該リトラクタの遠位端側から見た模式図である。
図5に示すように、展開体120を展開した場合、可動ワイヤ124を中心にして各固定ワイヤ126が互いに略等しい展開角度(θ)を有していることが好ましい。すなわち、この展開角度(θ)は、圧排部122を構成する固定ワイヤ126の数によって設定され得る。図5に示すように各固定ワイヤ126が互いに略等しい展開角度(θ)で展開することにより、可動ワイヤ124は反りが生じることなく軸方向においてストレートな形状を保持し得る。
本実施形態のリトラクタ100において、穿孔管110からの展開体120の延出、当該展開体120の穿孔管110への収容、および展開体120における圧排部122の展開状態または展開していない状態への変更は、リトラクタ100の近位端側に設けられたグリップ160によって制御される。
図6は、リトラクタ100の模式断面図、図7は、リトラクタ100の分解斜視図、図8は、内挿管130及び可動ワイヤ124の近位端付近を示す図である。図6(A)に示すように、穿孔管110の近位端は、第1グリップ部162に接続されている。また、第1グリップ部162は、図7に示すように長手方向に沿って2分割された上部62Aと下部62Bとから構成されており、穿孔管110の近位端部分を上部62Aと下部62Bとで挟み、穿孔管110が第1グリップ部162に対して動かないように螺子(不図示)等で固定されている。
第1グリップ部162は、遠位側に把持部21を備え、近位側に把持部21より小径で柱状の基部22を備えている。把持部21は、遠位側端面210がテーパ状に形成され、長手方向のほぼ中央に他の部分と比べて縮径された括れ部211が形成されており、操作
者が把持する際、テーパ状の遠位側端面210や括れ部211に操作者の指がかかり、操作し易い構成となっている。また、第1グリップ部162は、その内部に、遠位端から近位端にかけて貫通する中空部23が形成されている。当該中空部23は、第1グリップの遠位側に取り付けられた穿孔管110の内空と連通しており、展開体120が中空部23から穿孔管110の内空に挿通されている。
第2グリップ部167は、図7に示すように長手方向に沿って2分割された上部67Aと下部67Bとから構成された筒状の部材であり、第1グリップ部162の基部22に外嵌され、基部22に沿って遠位端側又は近位端側へ摺動(進退動)可能となっている。このように本実施形態では、第1グリップ部162の近位側に第2グリップ部167が位置するため、操作者が、例えば小指(第五指)や薬指(第四指)で第2グリップ部167を保持し、人差し指(第二指)や親指(第一指)で第1グリップ部162を保持し、片手で操作を行うことができる。なお、本実施形態では、第1グリップ部162の外側に第2グリップ部167が嵌合した例を示したが、これに限らず、第2グリップ部167の外側に第1グリップ部162が嵌合して摺動可能とした構成であってもよい。また、第1グリップ部162の基部22の遠位側、即ち把持部21近傍には、係合爪24が設けられており、第2グリップ部167を把持部21に突き当たるまで遠位側へ移動させた場合、係合爪24と第2グリップ部167の内側に設けられた係合凹部(不図示)とが係合することにより、第2グリップ部167の移動を係止する。即ち、係合爪24は、第2グリップ部167の移動を規制するロック機構を構成している。そして、第2グリップ部167における嵌合凹部の外側には解除部73が設けられており、係合爪24と嵌合凹部が係合した状態で解除部73を内側へ押すことで、係合爪24が嵌合凹部から抜けて係合が解除され、第2グリップ部167の移動が可能になる。
内挿管130の近位端には、当該内挿管130の長手方向と直交する方向に張り出した鍔部31が接続され、当該鍔部31が第2グリップ部167の内壁72に固定されている。即ち、内挿管130は、近位端が第2グリップ部167と接続されており、第2グリップ部167が第1グリップ部162の基部22に沿って進退動された場合、第2グリップ部167と共に進退動される。
内挿管130を貫通して設けられた可動ワイヤ124の近位端には、第1グリップ部162の近位側端面25に当接することで可動ワイヤ124の移動を規制する規制部材166が設けられている。規制部材166は、第2グリップ部167の内空に収められ、当該第2グリップ部167内を進退動可能な円柱状の部材であって、遠位側に鍔部31を収容可能な溝部61を備えている。なお、規制部材166が可動ワイヤ124と接続し、可動ワイヤ124が固定ワイヤ126と接続し、固定ワイヤ126が内挿管130を介して第2グリップ部167と接続しているため、規制部材166は、第2グリップ部167の移動に伴って遠位側又は近位側へ移動される。図8(A)は、規制部材166の遠位側端部62が第1グリップ部162に当接しておらず、規制部材166が可動ワイヤ124の移動を規制していない状態を示している。この状態では、規制部材166の溝部(中空部)61に鍔部31、即ち内挿管130の近位端を収容しており、規制部材166の遠位側端部62が鍔部31及び内挿管130の近位端よりも遠位側に位置する。このため、図8(A)の状態から第2グリップ部167を遠位側へ移動させた場合、第2グリップ部167が最も遠位側へ位置する前に規制部材166の遠位側端部62が第1グリップ部162に当接し、可動ワイヤ124の移動を制限する。図8(B)は、規制部材166の遠位側端部62が第1グリップ部162に当接し、規制部材166が可動ワイヤ124の移動を規制している状態を示している。また、図8(B)では、鍔部31及び内挿管130の近位端が図8(A)と同じく溝部61の近位部分に位置した状態を示している。この状態では、後述のように圧排部122が展開していない状態となっている。この図8(B)の状態から更に、図8(C)に示すように鍔部31が第1グリップ部162の近位側端面25に
当接するまで第2グリップ部167を遠位側へ移動させることができる。なお、本実施形態では、規制部材166に鍔部31を収容する溝部61を設けたが、これに限らず、第1グリップ部162の近位端側に鍔部31を収容する溝部を設けてもよい。この場合、規制部材は、例えば遠位端の外形を円形とした円板状の部材であってもよく、鍔部31が第1グリップ部162の溝部に収容された際に第1グリップ部162の近位端に当接することで可動ワイヤの移動を規制する。また、第2グリップ部167の内側であって、規制部材166の近位側に、弾性部材32が設けられている。即ち、弾性部材32は、筒状の第2グリップ部167の閉塞された近位端の内壁67と、規制部材166の近位側端面66との間に設けられている。このため、第2グリップ部167を最も遠位側へ移動させた状態では、第2グリップ部167の内壁67と規制部材166の近位側端面66との間で弾性部材が押し縮められることになる。本実施形態の弾性部材32は、可動ワイヤ124の長手方向、即ち第2グリップ部の進退方向に弾性変形するコイルバネである。
次に、上記構成を備えた本実施形態のリトラクタ100を使用する際の作用について説明する。リトラクタ100は、穿孔管110の遠位端が切開創に設けたトロッカーを通じてまたは直接穿孔することにより管腔臓器の内壁または体腔内の臓器に挿入される。
次いで、第1グリップ部162に対し、第2グリップ部167が遠位端側、すなわち第1グリップ部162側に押し込まれる。これにより、第2グリップ部167に接続された内挿管130が遠位側に押され、内挿管130の遠位端に接続された固定ワイヤ126と、固定ワイヤ126の遠位端に接続された可動ワイヤ124とが一体的に遠位側へ移動する。これにより図1(B)、図6(B)に示すように穿孔管110先端から展開体120の圧排部122が延出される。
ここで、図6(B)に示すように、可動ワイヤ124が所定位置まで押し出されると、規制部材166の遠位側端部62が第1グリップ部162の近位側端面25に当接し、可動ワイヤ124がこれ以上遠位側へ移動することが規制される。
この状態から、更に第2グリップ部167を遠位側に押し出すことにより、穿孔管110および可動ワイヤ124に対して内挿管130のみが遠位側にスライドする。これにより、キャップ132部分における可動ワイヤ124および固定ワイヤ126の位置関係は保持されたまま、内挿管130の遠位端に接合された固定ワイヤ126の近位端のみが遠位側にスライドすることで、固定ワイヤ126は外側に向けて湾曲する。結果として、圧排部122において複数の固定ワイヤ126が展開し、コクーン形状が形成される。そしてこの展開された圧排部122によって、対象物の圧排が達成される。
なお、図6(B)に示す規制部材166の遠位側端部62が第1グリップ部162の近位側端面25に当接した状態から、図6(C)に示す第2グリップ部167を最も遠位側へ移動させた状態までの間で、第2グリップ部167の位置を調整することにより、展開される圧排部122の大きさを自由に変化させることができる。
また、第2グリップ部167を所定位置、本実施形態では把持部21に突き当たる位置まで遠位側へ移動させた場合、係合爪24が第2グリップ部167の係合凹部と係合することにより、第2グリップ部167の進退動が止められ、圧排部122が展開した状態で維持される。これにより操作者が第2グリップ部167の位置を保持しなくても圧排部122が展開した状態に維持されるので、容易に圧排を行うことができる。なお、本実施形態では、係合爪24を1箇所に設けた例を示したが、係合爪24を複数箇所に設けて、展開された圧排部122を異なる大きさで維持できるようにしてもよい。
なお、図6(B)に示す状態から更に第2グリップ部167が遠位側に移動された場合
、弾性部材32が第2グリップ部167の内壁67と規制部材166の近位側端面66との間で押し縮められることになり(例えば図6(C))、弾性部材32の弾性力によって、第2グリップ部167が近位側に付勢された状態となる。このため、第2グリップ部167から手を離す等してユーザが移動させるのを止めると、第2グリップ部167が弾性部材32の弾性力によって遠位端へ移動され、図6(B)の状態に戻される。即ち、圧排部122が閉じた(窄んだ)状態とされる。これにより圧排部122を展開させた際、ユーザが積極的に第2グリップ部167を戻す操作を行わなくても、弾性部材32の弾性力によって圧排部122を閉じることができ、容易に操作を行うことができる。特に、係合爪24によって圧排部122が展開された状態に保持されている場合、解除部73が押されて係合爪24による係合が解除されると、弾性部材32の弾性力によって圧排部122が閉じられる。即ち、ユーザは、解除部73を押すだけの所謂ワンタッチ操作で、圧排部122を閉じることができる。なお、本実施形態では、弾性部材32が、筒状の第2グリップ部167の内壁67と、規制部材166の近位側端面66との間に設けられた例を示したが、弾性部材32の配置は、これに限定されるものではない。例えば、第1グリップ部162の近位側端面と鍔部31の遠位側端面との間など、図6(C)のように第2グリップ部167を第1グリップ部162へ近づけた状態から、図6(B)に示す状態、即ち圧排部122が閉じた状態となる位置まで第2グリップ部167を第1グリップ部162から遠ざけるように弾性部材32が配置されていればよい。
また、従来のリトラクタでは、例えば穿孔管が動かないように把持した状態で、可動ワイヤと内挿管とを遠位側へ移動させて、穿孔管から展開体を延出させ、穿孔管と可動ワイヤが動かないように把持した状態で内挿管を遠位側へ移動せることで展開体の圧排部を展開させる。このため、従来のリトラクタでは、穿孔管と可動ワイヤと内挿管といった3つの要素を操作する必要があり、片手で操作できるものではなかった。また、3つの要素が独立して動くため、これら3つの要素の位置関係を確認しながら操作する必要がある。例えば、展開体が穿孔管から充分に延出していない状態で圧排部を展開させようとしても圧排部を適切に展開させることができない。このため、これらの要素の位置関係を適宜手元で確認しながら手術を行っていた。
これに対し、本実施形態のリトラクタ100では、圧排部122を展開する際に可動ワイヤ124の移動を制限する動作を規制部材166が行うので、ユーザは第1グリップ部162と第2グリップ部167の2つを操作すればよく、片手での操作が可能になった。
特に、本実施形態のリトラクタ100では、第1グリップ部162と第2グリップ部167との距離を調整するだけで、展開体を延出させる操作と展開させる操作とを行うことができ、容易に圧排を行うことができる。更に、この第1グリップ部162と第2グリップ部167との距離は、第1グリップ部162と第2グリップ部167とを片手で握った際の感触で把握することができるので、これらの位置関係を手元を見て確認する必要が無く、内視鏡画面から目を離すことなく手術に集中することができる。
本実施形態のリトラクタは、胃、小腸、大腸、膣などの管腔臓器、ならびに肝臓、膵臓、腎臓、胆嚢、脾臓、子宮、肺などの他の臓器における種々の手術における圧排を行うために用いられる。
例えば、胃や食道の手術において、術野に干渉する肝左葉の下面に本発明のリトラクタを差し入れて腹側へ挙上させることにより、術野への干渉がなくなり当該手術をより安全かつ効率良く遂行することができる。同様に、骨盤底での操作において、本実施形態のリトラクタを用いて子宮を開排することにより直腸周囲の術操作を効率良く行うこともできる。
本実施形態によれば、自在に目的物を圧排することが可能なリトラクタを提供することができる。特に本実施形態によれば、特許文献2のように3つのグリップ部を操作するのではなく、2つのグリップ部162,167を操作することで、圧排部122を展開し圧排を行うことができ、取り扱いが容易なリトラクタを提供するができる。さらに、本発明によれば、体腔内に気体を注入しなくとも視野と操作空間とが確保できるので、例えば、ガスレス手術が可能となる点でも有用である。
〈第二の実施形態〉
前記第一の実施形態では、可動ワイヤの長手方向と直交する断面において、各固定ワイヤが、可動ワイヤを中心とする円周上に等間隔で配置され、各固定ワイヤが展開して完全コクーン形状を成す構成を示したが、本実施形態では、前記第一の実施形態と比べて固定ワイヤを一部省略した構成となっている。なお、その他の構成は同じであるため、同一の要素には同符号を付す等して再度の説明を省略する。
図9は、本実施形態に係るリトラクタ200の一例を示す図であって、図9(A)は、展開体220が穿孔管110に収容された状態を示す図、図9(B)は、展開体220が穿孔管110の先端から延出された状態を示す図、図9(C)は、展開体220の圧排部222が開いた状態を示す図である。図10は、本実施形態のリトラクタ200を構成する展開体220の長軸に直交する方向における圧排部222の断面図(可動ワイヤ124および固定ワイヤ126の断面図)の例を表す図、図11は、圧排部222が開いた状態を示す詳細図である。
図9〜図11に示すように、本実施形態のリトラクタ200では、可動ワイヤ124の周囲の一部にのみ固定ワイヤ126が配置され、残りの周囲には当該ワイヤが配置されていない。
可動ワイヤ124は、図10(A)に示すように略円形の断面を有していてもよく、図10(B)に示すように円弧と弦とを組み合わせた形状(例えば、弦月形状)からなる断面を有していてもよく、あるいは図10(C)に示すように円弧と弦とを組合せた形状のうち当該弦の一部に凸部を有する形状の断面を有していてもよい。その他の断面形状として、正多角形(正方形、正六角形、正八角形など)などの形状を有していてもよい。なお、可動ワイヤ124の周囲には、一部を除き、略同一の断面形状を有する複数の固定ワイヤ126が配置されている。図10(A)〜図10(C)では、5本の固定ワイヤ126が可動ワイヤ124を中心とする円周上に配置されている。また、固定ワイヤ126の一本あたりの当該円周方向の長さ(幅)が、当該円周の1/8となっており、当該円周の5/8の部分に固定ワイヤ126が配置され、固定ワイヤ126が配置されていない部分が、当該円周の3/8となっている。
このように本実施形態の展開体220は、図4の断面において固定ワイヤ126が非対称に配置されているため、展開体220を開いた際に、可動ワイヤ124の周囲のうち固定ワイヤ126が配置されていない部分に曲がる力が作用して、可動ワイヤ124は、穿孔管110の軸方向に沿って(より具体的には、可動ワイヤ124のうち圧排部222に相当する部分の全体にわたって)自ら撓んだ形状を構築することができる(図11)。さらにこのような撓みによって、圧排部222の近位側(すなわち、内挿管130の遠位端近傍)にて圧排部222が穿孔管110の軸方向に対して屈曲する。このような可動ワイヤ124の撓みおよび圧排部222の屈曲は、さらにリトラクションの規模(実質的な容積)を拡大することとなり、リトラクタの操作性を一層高めることができる。このような圧排部222が穿孔管110の軸方向に対して屈曲することのできるリトラクタは、例えば、図10(A)および図10(B)に示すような可動ワイヤ124の直径(特に、遠位側部分124Aと近位側部分124Bの直径)、材質、断面形状および固定ワイヤ126
の配置を選択することによって製造できる。
特に、本実施形態の可動ワイヤ124は、長手方向と直交する断面における直径が、遠位側部分124Aと、当該遠位側部分124A以外の近位側部分124Bとで異なっており、図11に示されているように、遠位側部分124Aが近位側部分124Bよりも細く形成されている。なお、本実施形態では、遠位側部分124Aの直径を0.8mm、近位側部分124Bの直径を1.3mmとしている。このように可動ワイヤ124の遠位側部分124Aを細く形成することで、圧排部222の屈曲の角度を大きすると共に、圧排部222の遠位側部分に、しなやかさを持たせ、太い近位側部分124Bで強度を担保して圧排時の負荷に耐える構造としている。このような直径の異なる可動ワイヤ124は、例えば直径の異なるワイヤの端部同士を溶接やロウ付け等で接続して作製することができる。また、これに限らず、スエージング等の塑性加工によって可動ワイヤ124の遠位側部分124Aを縮径することで作製してもよい。
本実施形態においては、圧排部222の屈曲角度θ0(図11)は、例えば、5°〜45°、好ましくは10°〜30°である。このような圧排部222の屈曲角度θ0の調整は、例えば、可動ワイヤ124を、固定ワイヤ126よりも低い強度を有するか、あるいは弾性を有するものを選択することにより実現可能である。
より具体的な例としては:
(1)可動ワイヤ124に撚り線を使用する;
(2)可動ワイヤ124の断面を、例えば図10(B)に示すような異形に加工する(例えば、圧排部222の屈曲を所望する方向を平線に加工する);
(3)可動ワイヤ124の断面積を固定ワイヤ126の断面積に対して小さく設定する(可動ワイヤ124に細いワイヤを使用する);
(4)可動ワイヤ124にNi−Ti合金などの低ヤング率の材料を使用する;
(5)圧排部222にて可動ワイヤ124が予め撓んだ線を使用する;
(6)近位側部分124Bの直径に対する遠位側部分124Aの直径の比を所定値以下とするように、遠位側部分124Aを近位側部分124Bよりも細く形成する;
(7)上記(1)〜(7)のうちの複数の組合せ;
が挙げられる。
あるいは、このような圧排部222の屈曲を回避するためには、例えば、図10(C)に示すような断面の一部に凸部を有する形状で構成されるワイヤを加工することにより、可動ワイヤ124の周囲のうち固定ワイヤ126が配置されていない部分への当該可動ワイヤ124の撓みを防止または低減させることもできる。
さらに、本発明においては、展開体が展開された際の圧排部における、隣接する2つの固定ワイヤの間で形成される展開角度のうち、1つの展開角度θ2が残りの展開角度θ1よりも大きく、かつ該展開角度θ2が所定の角度を有するように、可動ワイヤ124に対して固定ワイヤ126の数および配置が選択される。
本実施形態において、用語「展開角度」とは、リトラクタ200の展開体220を展開した際の圧排部222を、リトラクタ200の遠位端側から見た際に、1つの固定ワイヤ126とその隣の固定ワイヤ126との間で形成される角度を表して言う。
本実施形態のリトラクタ200において、このような展開角度θ2は90°〜240°、好ましくは120°〜240°、さらに好ましくは120°〜180°である。残りの展開角度(θ1)については、当該残りの展開角度θ1のすべて当該展開角度θ2よりも小さい角度である限り、それらの角度が互いに略同一に設定されていてもよく、あるいは
互いに異なる角度に設定されていてもよい。
複数の固定ワイヤ126と展開角度θ1およびθ2との関係について、より具体的な例を用いて説明する。
図12は、本実施形態のリトラクタ200において、穿孔管110から展開体220を延出し、かつ展開した際の、当該リトラクタ200の遠位端先端部の例を模式的に表す図である。
図12(A)に示す例では、リトラクタ200を構成する圧排部222の固定ワイヤ126は5本の固定ワイヤで構成されている。ここで、隣接する2つの固定ワイヤ126の間で形成される展開角度のうち、1つの展開角度θ2は略180°であり、かつ残りの展開角度θ1は略45°である。図12(B)に示す例では、リトラクタ200を構成する圧排部222の固定ワイヤ126は6本の固定ワイヤ126で構成されている。ここで、隣接する2つの固定ワイヤ126の間で形成される展開角度のうち、1つの展開角度θ2は略135°であり、かつ残りの展開角度θ1は略45°である。
本実施形態においては、展開角度θ2と他の展開角度θ1とが上記のような関係を満たすことにより、圧排部222のうち、展開角度θ2を有する2本の固定ワイヤの間で作業性の向上したリトラクションの領域を形成することができる。
100 リトラクタ
110 穿孔管
120 展開体
122 圧排部
124 可動ワイヤ
126 固定ワイヤ
130 内挿管
132 キャップ
160 グリップ
162 第1グリップ部
166 規制部材
167 第2グリップ部

Claims (5)

  1. 管状の外管と、
    前記外管に挿通される展開体と、
    前記外管の近位端に接続された第1グリップ部と、
    前記展開体に接続され、前記第1グリップ部との相対的な移動により、前記展開体と前記第1グリップ部とを相対的に移動させる第2グリップ部と
    を備え、
    前記展開体が、
    可動ワイヤおよび当該可動ワイヤの周囲に配置された複数本の固定ワイヤから構成され、当該可動ワイヤの遠位端と当該固定ワイヤの遠位端とが接続された圧排部と、
    遠位端が前記固定ワイヤの近位端に接続され、近位端が前記第2グリップ部と接続されており、かつ前記可動ワイヤが貫通する内挿管と、
    前記可動ワイヤの近位端に接続され、当該可動ワイヤの移動を規制する規制部材とを備え、
    前記第1グリップ部と前記第2グリップ部との相対的な移動により、前記展開体と前記第1グリップ部とが相対的に移動して、前記展開体に備えられた前記規制部材が、前記第1グリップ部と当接した場合に前記可動ワイヤの移動を規制し、
    前記可動ワイヤの移動が規制された状態で、前記第1グリップ部と前記第2グリップ部とが、接近する方向へ相対移動された場合に、前記第2グリップ部と接続された内挿管の遠位端と、前記移動が規制された前記可動ワイヤの遠位端とを近づけて前記固定ワイヤを撓ませ、前記圧排部を展開させるリトラクタ。
  2. 前記展開体が前記外管に収容された状態で、前記第1グリップ部と前記第2グリップ部とが、接近する方向へ相対移動された場合に、前記第2グリップ部と接続された前記展開体と、前記第1グリップ部と接続された前記外管とが相対移動され、前記展開体が前記外管の先端から延出される請求項1に記載のリトラクタ。
  3. 前記第1グリップ部と前記第2グリップ部とが、摺動可能に嵌合され、前記第1グリップ部と前記第2グリップ部との摺動により、前記第1グリップ部と前記第2グリップ部とが相対移動される請求項1又は2に記載のリトラクタ。
  4. 前記第2グリップ部が遠位側へ移動されて前記圧排部を展開させた位置で前記第2グリップ部を係止するロック機構を備えた請求項1〜3の何れか1項に記載のリトラクタ。
  5. 前記外管が、遠位側に向けて鋭角に突出した遠位端を有する穿孔管である請求項1〜4の何れか1項に記載のリトラクタ。
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