JP2023149923A - 内視鏡用処置具 - Google Patents

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Abstract

【課題】容易な内視鏡操作で、体内組織の吊り上げ力やその状態の保持力を十分にかつ安定的に確保することのできる内視鏡用処置具を提供する。【解決手段】シース11と、これに挿通された操作線材13と、シース11の先端11a側に配置されたツール12と、基端11d側に連結されたハンドルボディ15と、ツール12に接続する操作線材13をハンドルボディ15に対しシース11の軸方向にスライドさせる操作部材14とを備える内視鏡用処置具1であって、ツール12が、先端11a側に収納された収納位置とシース11の先端11aから外方に突出した使用位置とに移動可能な複数の爪部材21、22を有しており、これら爪部材21、22のそれぞれが体内組織に穿刺可能な針形状を有するとともに、少なくとも一つが凹凸形状を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、内視鏡用処置具に関し、内視鏡下で体内組織を吊り上げるのに好適な内視鏡用処置具に関する。
胃等の消化管内に腫瘍ができた場合に、開腹手術よりも体表面に残る傷を小さくできる低侵襲な手術を行うために、従来、硬性腹腔鏡が使用されているが、近年、挿入部が曲がる経口挿入可能な軟性内視鏡を用いることで、より低侵襲な手術を可能にする医療技術が提案されている。以下、軟性内視鏡を単に内視鏡ともいう。
例えば、腫瘍摘出のために従来行われている開腹または腹腔鏡下の外科手術に対し、近年、腹腔鏡と内視鏡を併用した腹腔鏡・内視鏡合同手術いわゆるLECSが行われているが、より低侵襲にする医療技術として、内視鏡のみを用いる内視鏡的全層切除術いわゆるEFTR等の先進医療技術が提案されている。
EFTRは、内視鏡を用いて経口的に腫瘍を切除、回収して病理診断を実行可能にするもので、腫瘍が消化管組織の固有筋層に及んでいる場合、内視鏡の鉗子口から挿入した電気メスで病変周囲の粘膜切除を行った後、腫瘍の筋層付着部を露呈させ、筋層を切開して消化管組織の全層切除を行って病変部を切除する。
また、EFTRを行う場合に、内視鏡下で病変部を含む消化管組織を管腔内方に吊り上げておき、その根元部分において消化管組織を内反縫合してから、病変部を含む消化管組織を切除する術式が提案されている。この術式によれば、消化管の内外を通じさせることなく病変部を切除することができるので、消化液等の消化管内容物が腹膜側に漏れず、腹膜炎等の術後リスクを低減できるという利点がある。
この術式に適した内視鏡用処置具として、例えば特許文献1に、収容空間が設けられた前側アームと、一対の針状部材が設けられた後側アームと、両アームを接近・離間させるアーム移動手段と、両アームが接近するとき、収容空間内に収容された縫合糸付きの係合部材に針状部材が係合して、両アーム間に位置する組織を縫合する縫合装置が開示されている。この縫合装置によれば、管腔内方に吊り上げた消化管組織の根元部分を好適に縫合することが可能となる。
また、この特許文献1には、予め病変部を含む消化管組織を管腔内方に吊り上げておく手法として、病変部を含む消化管組織とそれに対向する消化管組織とを縫合糸によって連結する手法が開示されている。そして、その連結のためには、特許文献2に記載された別の縫合装置が使用できることも特許文献1に開示されている。
国際公開第2017/164359号 特許第5294181号公報
しかしながら、縫合装置を用いて対向する消化管組織を縫合糸で連結することによって消化管組織を管腔内方に吊り上げる手法では、消化管組織の連結のために比較的難易度の高い手技が必要になるという課題があるうえに、消化管組織の吊り上げとその根元部分の縫合とでそれぞれ別の縫合器を内視鏡に装着して用いる必要があることから、吊り上げと根元部分の縫合との間に内視鏡の抜去と再挿入が必要となり煩雑であるという課題もあった。
本発明は、そのような従来の未解決課題を解消するものであり、比較的簡単な操作で、体内組織を吊り上げることができる内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る内視鏡用処置具は、上記目的達成のため、チューブ状のシースと、前記シースに挿通された操作線材と、前記シースの先端側に配置されたツールと、前記シースの基端側に連結されたハンドルボディと、前記操作線材を介して前記ツールに操作可能に接続され、前記操作線材を前記ハンドルボディに対して少なくとも前記シースの軸方向にスライドさせる操作部材と、を備える内視鏡用処置具であって、前記ツールが、前記シースの前記先端側に収納された収納位置と前記シースの前記先端から外方に突出した使用位置とに移動可能な複数の爪部材を有しており、前記複数の爪部材のそれぞれが体内組織に穿刺可能な針形状を有するとともに、前記複数の爪部材のうち少なくとも一つが、凹凸形状を有することを特徴とする。
この構成により、本発明では、ツールが有するシースの軸方向に延びる複数の爪部材が、シースの先端から突出した使用位置で体内組織に穿刺可能であり、かつ、複数の爪部材のうち少なくとも一つが凹凸形状を有することで、体内組織に穿刺されたツールに抜け止め作用を生じさせることができ、体内組織を吊り上げて保持することが可能となる。しかも、本発明では、内視鏡用処置具を内視鏡の処置具通路に挿通可能に構成することが容易であることから、吊り上げた体内組織の根元部分を縫合するための縫合装置を装着した内視鏡を用い、その処置具通路に内視鏡用処置具を挿通して用いることによって、内視鏡の抜去と再挿入を行うことなく、体内組織の吊り上げとその根元部分の縫合とを完遂可能であり、操作が簡単である。
(2)本発明の好ましい実施形態においては、前記複数の爪部材のそれぞれが、凹凸形状を有する構成とすることができる。このようにすると、ツールの抜け止め作用をさらに強化でき、体内組織の吊り上げ力やその吊り上げ状態の保持力をより十分に発揮させることが可能となる。
(3)本発明の好ましい実施形態においては、前記シースが、内視鏡に摺動可能に挿入される可撓性チューブを含んでいる構成とすることができる。このようにすると、内視鏡とその先端側に配置されたツールを保持するシースとを、軸方向や軸回り回転方向に自由に相対変位させることができ、ツールをシースと共に体内組織に対する穿刺方向におよび/または巻き込み方向に操作することができ、ツールの確実な操作と支持が可能となる。
(4)本発明の好ましい実施形態においては、前記ツールが、前記ハンドルボディに対する前記操作部材の軸方向操作入力に応じて前記シースの軸方向に変位する一方、前記操作部材または前記ハンドルボディの基端側からの回転操作入力に応じて軸回り方向に回転する構成とすることもできる。この場合、ツールのシース先端からの突出量を調整可能となり、ツールをシースから独立して体内組織に対する穿刺方向に操作可能となり、しかも、ツールをシースと共にあるいはシースから独立して巻き込み方向に回転操作することができ、ツールの軸方向および回転方向における位置調整が容易に可能となる。
(5)本発明の好ましい実施形態においては、前記ハンドルボディは、前記操作部材に対して、軸方向に相対変位可能である一方、軸回り方向の相対回転を規制するように係合しているものであってもよい。この場合、ハンドルボディは、ツールの操作部材とシースに連結されたハンドルボディとが、軸方向に相対変位可能であるから、ツールをシースから独立して体内組織に対する穿刺方向に操作可能となる。一方、ハンドルボディに対する操作部材の軸回り方向の相対回転は、ハンドルボディによって規制されるので、操作部材の軸回り方向の回転操作によってツールをシースと共に回転操作でき、操作の容易化が可能となる。
(6)本発明の好ましい実施形態においては、前記複数の爪部材が前記シースの先端から所定の突出量だけ突出する位置で、前記操作部材の前記ハンドルボディに対する軸方向の変位を規制可能な変位規制機構が設けられている構成とすることができる。このようにすると、操作部材のハンドルボディに対する軸方向の変位が変位規制機構によって規制されるとき、ツールの複数の爪部材のシース先端から突出量が固定されることになり、体内組織の穿刺、吊り上げ、巻き付けに適した突出量に設定することで、操作の容易化が可能となる。
(7)本発明の好ましい実施形態においては、前記ツールの前記複数の爪部材の基端側に、前記シースの先端側の内面に摺動可能なガイド部材が一体に設けられていてもよい。このようにすると、シースの先端側の内面にガイド部材が摺動可能に保持されることで、ツールの複数の爪部材をシース内に好適な姿勢で収納したり突出させたりすることができることになる。
(8)本発明の好ましい実施形態においては、前記ガイド部材は、前記複数の爪部材の先端から基端側に所定距離を隔てて前記複数の爪部材の周囲に配置され、前記複数の爪部材の少なくとも一つに固定されている構成とすることができる。このようにすると、ツールの先端から所定距離を隔てるガイド部材が複数の爪部材の少なくとも一つに固定されることで、穿刺時のストッパとして利用できることになる。
(9)本発明の好ましい実施形態においては、前記複数の爪部材は、前記シースの径方向に対面する帯板状をなすとともに、前記軸回り方向の一方側に対応する前記複数の爪部材のうち少なくとも一つの板幅方向の片側に前記凹凸形状をなす切欠きが形成されており、該切欠きに隣接する鉤形部分が形成されていてもよい。このようにすると、複数の爪部材の鉤形部分に対する体内組織の係止方向や体内組織の巻き込み方向となる板幅方向で、複数の爪部材の曲げ剛性が高くなり、体内組織の吊り上げ力やその吊り上げ状態の保持力を十分に高めることができる。
(10)前記複数の爪部材は、前記少なくとも一つの爪部材が有する凹凸形状がある部分よりも先端側で、該先端に近付くほど小径となっているものであってもよい。このようにすると、複数の爪部材を体内組織に穿刺し易く、かつ、穿刺後の抜けを生じ難くすることができる。
本発明によれば、消化管内の体内組織を吊り上げつつ、その根元を縫合装置等によって縫合する処置を、比較的容易な内視鏡操作によって行うことができ、しかも、体内組織の吊り上げ力やその吊り上げ状態の保持力を十分に発揮させることができる内視鏡用処置具を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の要部概略斜視図である。 図2(A)は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具を縫合装置が装着された内視鏡の処置具通路に挿通して組織に穿刺する段階の使用状態説明図であり、図2(B)は、その内視鏡用処置具で組織を吊り上げた状態に保持する段階の使用状態説明図である。 図3(A)は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具を消化管の組織に穿刺する段階の操作方向を示す要部側面図とその段階における内視鏡下の術野の状態図を紐付けた説明図であり、図3(B)は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具を消化管の組織に穿刺した後に巻き込み操作する段階の操作方向を示す要部側面図とその段階の内視鏡下の術野の状態図を紐付けた説明図であり、図3(C)は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具を消化管の組織に穿刺および巻き込み操作した後に管腔内方に吊り上げる段階の操作方向を示す要部側面図とその段階の内視鏡下の術野の状態図を紐付けた説明図である。 図4(A)は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具における使用時のツール(処置具の要部)の一方の側面を示す図1中のIVA方向矢視図であり、図4(B)は、図4(A)に示す複数の爪部材を正面とする図1中のIVB方向矢視図であり、図4(C)は、図4(B)に示す複数の爪部材を有するツールの他方の側面を示す図1中のIVC方向矢視図である。 図5(A)は、内視鏡に装着された縫合装置を吊り上げ状態の組織の管腔内周方向の一方側の縫合位置付近に配置した段階の動作説明図で、図5(B)は、図5(A)に示す縫合装置の針部材を吊り上げ状態の組織に穿刺しつつ前進させて背面側で係合部材に嵌め入れる段階の動作説明図で、図5(C)は、図5(B)に示す縫合装置の針部材を後退させて組織から離脱しつつ係合部材と共に縫合糸を引き出す段階の動作説明図である。 内視鏡に装着される縫合装置を吊り上げ状態の組織の所定の縫合位置付近に配置し縫合する段階の先端側から見た状態説明図で、図中の左側に実線で示す縫合装置が図中左右に隣り合う3つの縫合位置のうち左端の縫合位置に対応する使用状態を例示し、図中の右側に仮想線で示す縫合装置が3つの縫合位置のうち中央左端の縫合位置に対応する使用状態を例示している。 内視鏡の処置具通路に挿通された縫合糸結紮装置で縫合糸を結紮する段階の一例の説明図である。 図8(A)は、内視鏡の別の処置具通路に挿通された切開用処置具で縫合箇所より上部の組織を切開する段階の一例の説明図であり、図8(B)は、図8(A)に示す切開用処置具で縫合箇所より上部の組織を切開した後に内視鏡の処置具通路に挿通された把持用処置具で組織を回収する段階の一例の説明図である。 図9(A)は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具におけるシースの先端から突出する複数の爪部材の先端側を拡開させる自由形状とした変形態様を示す要部上面図であり、図9(B)は、図9(A)に示す複数の爪部材の先端部を収納する際にシース先端の内縁部で複数の爪部材の広がり幅が制限された状態を示す要部上面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
(一実施形態)
図1ないし図4は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具を示しており、図5ないし図8は、その内視鏡用処置具で体内組織を吊り上げた後に行われる処置の例を示している。
まず、本実施形態の内視鏡用処置具の全体構成について説明する。
図1に示す本実施形態の内視鏡用処置具1は、例えば非穿孔式の内視鏡的全層切除術いわゆるNon-Exposed EFTRに使用されるもので、図2に示すように、軟性内視鏡である内視鏡2に挿通されて、消化管DT内に挿入され、消化管DT内の病変部を有する組織PPを管腔内方に吊り上げ、かつ、その吊り上げ状態を保持するように使用される処置具である。
図1ないし図4に示すように、内視鏡用処置具1は、内視鏡2の処置具通路2bに挿入可能なチューブ状の可撓性のシース11と、シース11の先端11a側に配置された吊り上げツール12と、シース11内に挿通された操作・駆動用ワイヤ等の操作線材13と、シース11の基端11d側に配置され、操作線材13を介して吊り上げツール12に操作可能に接続された操作部材14と、シース11の基端11d側に連結されつつ操作部材14を軸方向に相対変位可能に支持するハンドルボディ15と、を有している。なお、図1は、内視鏡用処置具1の先端部付近のみを拡大して示し、他の部分を縮小し概略図示するものである。
内視鏡2は、詳細構造を図示しないが、体外の操作部と体内に挿入される挿入部とを有しており、挿入部の先端側を手元側の操作で自在に曲げ得るようになっている。また、内視鏡2の先端部2aには、例えば管腔内を照らす照明レンズ付きのライトガイドと、対物レンズ付きのCCDカメラと、水や空気等の流体を管腔内に供給可能なノズルと、内視鏡用処置具を挿通するため等に内視鏡2に設けられた内腔である処置具通路2bの先端側開口部等が設けられている。
内視鏡2の先端部2aには、内視鏡装着用の嵌合筒部3aがアウターカバー3bに一体に結合された縫合装置3が装着されており、縫合装置3の嵌合筒部3aには、内視鏡2の先端部2aが差し込まれて嵌合固定されている。そして、この縫合装置3が装着された内視鏡2が先端部2a側から経口的に消化管DT内に挿入されるようになっている。
縫合装置3は、図2、図5および図6に示すように、段付き穴状の縫合針収容空間31a、31bが形成された前側アーム31と、縫合用の針部材32a、32bが設けられた後側アーム32と、両アーム31、32を接近・離間させるアーム移動機構33とを有するものである。
図示する一例の縫合装置3は、消化管DT内で病変部を有する組織PPを間に挟むように配置した前側アーム31と後側アーム32を相対的に接近させる操作を行うと、後側アーム32の針部材32a、32bが、組織PPの縫合対象部位ST1に刺さった後、予め前側アーム31の収容空間31a、31b内に収容されていた縫合糸34付きの弾性リングである係合部材35a、35bに対し押し込まれて、針部材32a、32bのくびれ部分32c、32dに係合部材35a、35bが保持されるようになっている。
また、前側アーム31と後側アーム32を相互に離隔させると、係合部材35a、35bに結合する縫合糸34の両端部34a、34bが、針部材32a、32bの後退に伴って係合部材35a、35bと共に縫合対象部位ST1の組織を貫通する方向に引き出され、縫合糸34の両端部34a、34bを結紮するだけで縫合対象部位ST1を縫い合わせ可能な状態となる。
そして、内視鏡2の処置具通路2bから内視鏡用処置具1を引き出して抜去してから、図7に示すように、縫合糸結紮具81を取り付けた連結フック82a付きの縫合糸結紮装置82を内視鏡2の処置具通路2bに挿通し、それらを用いて縫合装置3により縫合対象部位ST1の組織を通った縫合糸34の両端部34a、34bを、絞り込んでからげ状態に固定する、すなわち結紮することにより、縫合対象部位ST1を縫い合わせることができる。縫合糸結紮具81および縫合糸結紮装置82は、例えば特開2020-163011号公報に記載される縫合糸結紮具および結紮装置と同様のものである。そして、縫合糸34の結紮が完了したら、内視鏡2の処置具通路2bから縫合糸結紮装置82を抜去し、代わりに、内視鏡用電気メス等の縫合糸34を切断できる縫合糸切断用処置具を内視鏡2の処置具通路2bに挿入し、それによって、縫合装置3と縫合糸結紮具81との間に位置する縫合糸34を切断すれば、縫合装置3を縫合糸から切り離すことできる。
以上のような、縫合から縫合糸の切断までの手順を、縫合位置を変更しながら必要回数繰り返すことによって、組織PPの根元部分を液密になるように縫い合わせることができる。なお、図6に示されるような3箇所の縫合対象部位ST1、ST2、ST3を縫合する場合には、図2および図6に示すように、内視鏡2と縫合装置3の前側アーム31および後側アーム32との位置や姿勢を変化させたり、縫合装置3と縫合糸結紮具81および縫合糸結紮装置82とを作動させたりすることで、縫合位置を変更することができる。なお、縫合装置3のアーム移動機構33の詳細な構造は、特許文献1に記載されるものと同様である。
縫合対象部位(例えば、図6に示されるST1ないしST3の位置)は、予め内視鏡検査により位置が特定され、マーキングがなされた病変部を含む組織PPを、内視鏡用処置具1で消化管DTの管腔内方に吊り上げたとき、マーキングより根元側に位置するように設定すればよい。
また、複数の縫合対象部位の縫合および結紮が完了した後は、図8(A)に示すように、内視鏡2の処置具通路2bに挿通された内視鏡用電気メス等の切開用処置具71で縫合対象部位ST1ないしST3より上部で組織PPの根元部分を切開することによって組織PPを消化管DTから切り離す。そして、切開用処置具71を内視鏡2の処置具通路2bから引き出して抜去し、図8(B)に示すように、内視鏡2の処置具通路2bに挿通された内視鏡用把持鉗子等の回収用処置具72で切り離された組織PPを把持し、その回収用処置具72を内視鏡2の処置具通路2bを介して、あるいは処置具通路2bに挿通された状態のまま内視鏡2と共に体外に引き出すことで、組織PPを体外に取り出して回収することができることになる。
次に、本実施形態の内視鏡用処置具1の構成について説明する。
内視鏡用処置具1のシース11は、内視鏡2に摺動可能に挿入される可撓性チューブ11cを主要部として含んでおり、可撓性チューブ11cの先端には、先端外周縁および/または先端内周縁が面取りされた略円環状の口金部材11bが装着されている。
シース11の可撓性チューブ11cは、樹脂等からなるチューブでもよいが、本実施形態ではステンレス鋼等の金属製のコイルチューブ、例えば帯状の金属素材を螺旋状に巻回してなる平線コイルチューブで、あるいは丸線コイルチューブで構成されている。
内視鏡用処置具1は、吊り上げツール12を未露出状態にシース11内に後退させて収納し、双方の相対的な軸方向変位を規制した上で、シース11の先端11a側から内視鏡2内に挿入されるようになっている。したがって、可撓性チューブ11cは、経口的に消化管DT内に挿入される内視鏡2の先端部2aの自在な変形に十分に追従し得る可撓性と、吊り上げツール12を使用して後述する組織PPの吊り上げおよびその保持状態の保持を行う際の所要の曲げ剛性を両立させるように、そのコイルチューブの可撓性と曲げ剛性が最適設定されている。
吊り上げツール12は、内視鏡2の先端側に位置する操作線材13の先端部13aに連結部材24を介して連結されており、内視鏡2の図外の操作部側に位置する操作線材13の基端部13bは、略筒状のハンドルボディ15中に摺動自在に配置された不図示の金属製の摺動部材に固定されている。連結部材24は、吊り上げツール12と操作線材13の先端部13aを軸方向に略一体に拘束するものであれば、特に連結方式が問われるものではなく、溶接固定や機械的固定連結に限らず、ゴム弾性的な連結形態であってもよい。
操作部材14は、ハンドルボディ15が摺動可能に貫通する中央筒部14cの両側に指穴部14a、14bを有しており、操作部材14には、中央筒部14c一部をその半径方向に貫通するように変位規制機構であるねじ式の移動規制部材16が設けられている。
図1に示すように、操作部材14は、中央筒部14cの内周側の図示しない内凸部でハンドルボディ15に形成された段付き長穴部15bに摺動可能に係合しており、段付き長穴部15bを通して前述の摺動部材にねじ結合する移動規制部材16を締め付け操作することで、ハンドルボディ15に対する操作部材14の軸方向変位を選択的に制限もしくは規制したり、その制限もしくは規制を解除することで操作部材14およびハンドルボディ15の相対変位を許容したりすることができるようになっている。
吊り上げツール12は、金属製、例えばステンレス鋼製で、シース11の軸方向に延びるフォーク形状をなしている。この吊り上げツール12は、操作線材13に連結された基端側で相互に連結される一方、先端側では所定の径方向間隔を隔てる複数の爪部材21、22を有している。
また、吊り上げツール12は、複数の爪部材21、22がシース11の先端11aから突出せずにシース11内に収納される収納位置と、図1に示すように複数の爪部材21、22がシース11の先端11aから外方に突出した使用位置とに、移動可能である。この移動は、移動規制部材16を緩めた状態で、操作線材13を介して吊り上げツール12に接続された操作部材14を、シース11と連結されたハンドルボディ15に対して軸方向に変位させることによって操作することが可能であり、例えば、操作部材14の指穴部14a、14bに人差し指および中指を入れ、ハンドルボディ15の基端部に設けられた指穴部15aに例えば親指を入れて、術者が操作することができる。
さらに、複数の爪部材21、22は、消化管DTの組織PP等の体内組織に穿刺可能な針形状を有しているとともに、長手方向の一部に凹凸形状を有している。
具体的には、複数の爪部材21、22は、シース11の径方向に対面する一対の帯板状をなすとともに、複数の爪部材21、22のそれぞれに、吊り上げツール12の板幅方向の片側で凹形状をなす切欠き21cまたは22cが形成されている。
例えば、複数の爪部材21、22の板幅方向の片側であってそれぞれの長手方向の所定範囲内に、吊り上げツール12の板幅方向の一方側に開くように凹形状をなす切欠き21c、22cが形成されている。これにより、複数の爪部材21、22は、吊り上げツール12の板幅の一方側で切欠き21c、22cに隣接しつつ略L字形の鉤型に縁部形状をなす、それぞれの鉤形部分21b、22bを有している。
また、複数の爪部材21、22は、それぞれの切欠き21c、22cおよび鉤形部分21b、22bを有する凹凸形状部分の先端21a、22a側で、それら先端21a、22aに近付くほど外径が小径となっている。
より具体的には、複数の爪部材21、22は、それらの先端側であって板幅方向の両側でそれぞれ平坦な傾斜面形状をなすとともに、板厚方向では外面側のみで平坦な傾斜面形状をなす矩形横断面の針形状をなしている。
したがって、複数の爪部材21、22は、消化管DTの組織PP等の体内組織に対して鉤形部分21b、22bが入り込むまで先端21a、22a側から穿刺されたとき、切欠き21c、22c内に入る体内組織を介して鉤形部分21b、22bにより組織PPを抜け止め状態に保持可能となる。
また、吊り上げツール12は、ハンドルボディ15に回転方向一体に係合する操作部材14によって、操作線材13を介して軸回り回転するよう回転操作されるとき、抜け止め状態に保持した組織PP等の体内組織を複数の爪部材21、22の周囲に巻き込むことで、その抜け止め状態の保持機能を高めることができるようになっている。
また、吊り上げツール12の複数の爪部材21、22の基端側には、シース11の先端11a側の内面に摺動可能な金属製、例えばステンレス鋼製のガイド部材23が一体に設けられている。このガイド部材23は、内視鏡2内に挿入されるシース11の湾曲を考慮し、外径に対して軸方向長さが比較的短い短円筒形状となっている。
図4(A)に示すように、ガイド部材23は、複数の爪部材21、22の先端21a、22aから基端21d、22d側に所定距離L2を隔てて両爪部材21、22の周囲に配置されており、複数の爪部材21、22に溶接等により一体に固定されている。ガイド部材23は、図4に示すように軸方向のいずれか一端側で面取りされてもよく、両端側で面取りされてもよい。所定距離L2は、穿刺時に組織を貫通しない長さである。
前述のように、ハンドルボディ15は、操作部材14に対して、軸方向に相対変位可能である一方、軸回り方向の相対回転を規制するように係合しているので、吊り上げツール12は、ハンドルボディ15に対する操作部材14の軸方向操作入力、あるいは操作部材14に対するハンドルボディ15の軸方向操作入力に応じて、シース11内を軸方向に変位するが、操作部材14またはハンドルボディ15の基端側からの回転操作入力に応じて、軸回り方向にはシース11と一体的に回転する。
勿論、操作部材14またはハンドルボディ15を、相互に軸回り回転可能な係合状態とすれば、吊り上げツール12は、ハンドルボディ15に対する操作部材14の軸回り方向の操作入力、あるいは操作部材14に対するハンドルボディ15の軸回り方向の操作入力に応じて、シース11内で相対的に回転変位させることができる。
例えば、ハンドルボディ15に軸方向の溝でなく径方向外側に開く複数の周方向溝を形成したり螺旋溝を形成したりすることで、そのような係合状態とすることができるし、操作部材14とハンドルボディ15を単に円筒面で嵌合させ、ねじ式の移動規制部材16で任意の方向の移動を規制することもできる。また、シース11に代えて、ハンドルボディ15に接続されたアウターシースと、操作部材14に接続されたインナーシースとを有する二重構造のシースを採用することもできる。
複数の爪部材21、22は、先端21a、22aがシース11の先端11aから図4(A)に示す所定の突出量L1だけ突出する位置で、操作部材14のハンドルボディ15に対する変位をねじ式の移動規制部材16により変位規制される。そして、それにより、シース11と吊り上げツール12の軸方向の相対変位が規制される。
したがって、吊り上げツール12は、シース11に対する軸方向変位をねじ式の移動規制部材16の締め付けにより収納位置に固定することができ、移動規制部材16の締め付けを解除することで、使用位置に移動させることが可能となる。
本実施形態では、操作部材14とハンドルボディ15が軸方向に摺動可能な係合状態であるので、吊り上げツール12の使用位置が操作部材14のハンドルボディ15の相対位置の手動操作に応じたもので、移動規制部材16の締め付けにより固定されるものとしたが、操作部材14とハンドルボディ15の軸方向位置を微調整可能な送りねじ機構等を設けることで、移動規制部材16を無くすか単なる係止機構程度にすることもできる。
なお、図1ないし図4には、複数の爪部材21、22は、径方向に対向する内面が互いに平行になっているが、図9(A)に示すように、吊り上げツール12の使用位置において複数の爪部材21、22の間隔が先端側ほど広くなるように、ガイド部材23より先端側で拡開する自由形状を有するようにしてもよい。この場合、吊り上げツール12が収納位置に後退する際に、図9(B)に示すように、複数の爪部材21、22の間隔が軸方向にわたって略同一な平行状態となり、使用開始時に図9(A)に示す拡開形状に復帰することになる。
次に、内視鏡用処置具1を用いるにあたっての内視鏡2の操作について説明する。
本実施形態では、内視鏡2に対して内視鏡用処置具1が軸回り回転可能であり、内視鏡2は消化管DT内で軸回り方向に回転操作可能であるから、内視鏡2の先端部2aに支持された縫合装置3と内視鏡用処置具1のシース11および吊り上げツール12とは、内視鏡2の回転操作によって消化管DT内での相対的な高さや径方向位置を変化させることが可能である。
また、内視鏡用処置具1と縫合装置3とは、それぞれの軸方向操作や軸回り回転操作によって、その姿勢を変化させることができる。
さらに、本実施形態では、シース11の先端11a側の所定の曲げ剛性が設定されているので、内視鏡2の先端部2aの径方向への傾き姿勢の変化や回転開度位置の変化に応じて、複数の爪部材21、22が穿刺された組織PP等の体内組織を、管腔内方に吊り上げたりその吊り上げ状態を保持したりすることが可能となる。
図2、図3および図6中には、内視鏡2の先端部2aの径方向への傾き姿勢と回転角度位置の変化に応じた吊り上げツール12の姿勢や高さの変化を例示したが、内視鏡2の先端部2aの起上操作によっても、吊り上げツール12による組織PP等の体内組織の吊り上げ姿勢や吊り上げ高さを変化させることができるのは勿論である。
また、内視鏡2の姿勢を固定したままで吊り上げツール12による組織PP等の体内組織の吊り上げ姿勢や吊り上げ高さを変化させるべく、内視鏡用処置具1のシース11の先端11a側をワイヤ駆動等で起上させるような手段を併用することも考えられる。
次に、作用について説明する。
上述のように構成され操作される本実施形態の内視鏡用処置具1においては、シース11の軸方向に延びる吊り上げツール12の複数の爪部材21、22が、シース11の先端11aから突出した使用位置で組織PP等の体内組織に穿刺可能であり、かつ、複数の爪部材21、22が凹凸形状を有しているので、組織PPに穿刺されたフォーク状の吊り上げツール12に抜け止め作用を生じさせることができ、組織PPを吊り上げ保持させることができる。
しかも、その吊り上げツール12を軸回り方向に回転操作すると、抜け止め作用を強化しつつ組織PPの巻き込み作用を生じさせることができるので、組織PPの吊り上げ力やその吊り上げ状態の保持力を十分に発揮させることができる。
本実施形態では、さらに、複数の爪部材21、22のそれぞれが、組織PPの吊り上げ時における吊り上げツール12の板幅方向の一方側に凹凸形状を有しているので、その凹凸形状による抜け止め作用を複数個所で生じさせるとともに、吊り上げツール12を軸回り方向の一方側に回転操作したときにそれぞれの抜け止め作用を強化することができ、組織PPの吊り上げ力やその吊り上げ状態の保持力をより十分に発揮させることが可能となる。
また、本実施形態では、シース11が、内視鏡2に摺動可能に挿入される可撓性チューブ11cを含んでいるので、内視鏡2とその先端側に配置された吊り上げツール12を保持するシース11とを、軸方向や軸回り回転方向に自由に相対変位させることができ、吊り上げツール12をシース11と共に組織PPに対する穿刺方向におよび/または巻き込み方向に適宜、的確に操作することができ、吊り上げツール12の確実な操作と支持が可能となる。
加えて、本実施形態では、吊り上げツール12が、ハンドルボディ15に対する操作部材14の軸方向操作入力に応じてシース11の軸方向に変位する一方、操作部材14またはハンドルボディ15の基端側からの回転操作入力に応じて軸回り方向に回転するので、吊り上げツール12のシース11の先端11aからの突出量L1を適量に調整可能となる。また、吊り上げツール12をシース11から独立して組織PPに対する穿刺方向に操作可能で、しかも、吊り上げツール12をシース11と共に巻き込み方向に回転操作することができるので、吊り上げツール12の軸方向および回転方向における位置調整が容易に可能となる。
すなわち、ハンドルボディ15は、操作部材14に対し軸方向に相対変位可能であるものの、軸回り方向には操作部材14の相対回転を規制することになる。したがって、ハンドルボディ15は、吊り上げツール12の操作部材14に対し軸方向に相対変位可能であり、吊り上げツール12をシース11から独立して組織PPに対する穿刺方向に操作可能となる。その一方で、ハンドルボディ15に対する操作部材14の軸回り方向の相対回転は、ハンドルボディ15によって規制されるので、操作部材14の軸回り方向の回転操作時に吊り上げツール12をシース11と共に回転操作でき、操作が容易でかつ安定したものとなる。
勿論、吊り上げツール12をシース11から独立して巻き込み方向に回転操作できるように、シース11に代えて、ハンドルボディ15に接続されたアウターシースと、操作部材14に接続されたインナーシースとを有する二重構造のシースを用いてもよい。
また、本実施形態では、複数の爪部材21、22がシース11の先端11aから所定の突出量L1だけ突出する使用位置で操作部材14のハンドルボディ15に対する変位を規制可能な移動規制部材16が設けられているので、操作部材14のハンドルボディ15に対する変位が移動規制部材16により規制されるとき、吊り上げツール12の複数の爪部材21、22のシース11の先端11aから突出量L1が、組織PPの穿刺、吊り上げ、巻き付け等の操作に適した突出量に固定されることになり、それらの操作を十分に容易化できることになる。
また、本実施形態では、吊り上げツール12の複数の爪部材21、22の基端側に、シース11の先端11a側の内面に摺動可能なガイド部材23が一体に設けられているので、シース11の先端11a側の内面11e側にガイド部材が摺動可能に保持されることで、吊り上げツール12の複数の爪部材21、22をシース11内に好適な姿勢で収納したり突出させたりすることができることになる。
しかも、ガイド部材23は、複数の爪部材21、22の先端21a、22aから基端21d、22d側に所定距離L2を隔てて複数の爪部材21、22の周囲に配置され、複数の爪部材21、22に溶接等により固定されているので、複数の爪部材21、22が組織PP等の体内組織に穿刺されるときにその刺し入れ深さを所定深さ内に制限するストッパとしても機能し得ることになる。なお、ガイド部材を設ける場合において、そのガイド部材は、複数の爪部材の全部に固定する必要は無く、複数の爪部材の少なくとも1つに固定されていればよい。
加えて、本実施形態では、吊り上げツール12の複数の爪部材21、22は、板幅方向の片側に凹凸形状を有するように、切欠き21c、22cとそれら切欠き21c、22cに隣接する鉤形部分21b、22bとが形成されているので、複数の爪部材21、22の鉤形部分21b、22bに対する組織PPの係止方向や組織PPの切欠き21c、22c内への巻き込み方向となる板幅方向で、複数の爪部材21、22の曲げ剛性が高くなり、組織PPの吊り上げ力やその吊り上げ状態の保持力を十分に高めることができる。
また、複数の爪部材21、22が、それぞれの鉤形部分21b、22bおよび切欠き21c、22cによって板幅方向の片側で凹凸形状を有する部分よりも先端側で、先端21a、22aに近付くほど小径となっているので、複数の爪部材21、22を組織PPの組織に穿刺し易く、かつ、穿刺後の抜けを生じ難くすることができる。
このように、本実施形態によれば、消化管DTの組織PPを管腔内方に吊り上げつつその根元の縫合箇所、例えば複数の縫合対象部位ST1ないしST3より上部の組織PPを切除する作業を、比較的容易な内視鏡操作によって行うことができ、しかも、組織PPの吊り上げ力やその吊り上げ状態の保持力を十分に発揮させることができる内視鏡用処置具1を提供することができる。
(他の実施形態)
図9は、本発明の他の実施形態に係る内視鏡用処置具の要部のみを例示している。
本実施形態は、吊り上げツール12の先端側の形状が前述の一実施形態とは相違するものの、他の構成について一実施形態と全く同様である。したがって、本実施形態の内視鏡用処置具の構成については、図1ないし図8に示した一実施形態の対応する構成要素の符号を用いつつ、以下、本実施形態の一実施形態との相違点について説明する。
図9(A)に示すように、本実施形態においては、吊り上げツール12の複数の爪部材21、22が、ガイド部材23よりそれらの先端21a、22a側で先端21a、22aに近付くほどそれらの間の離間距離が大きくなる自由形状を有している。
例えば、複数の爪部材21、22は、ガイド部材23の内方での径方向の離間距離d2に対し、先端21a、22aの間の離間距離d1が、所定の倍率d1/d2(例えば1倍から1.5倍程度)で大きくなる自由形状を有している。
そして、吊り上げツール12の複数の爪部材21、22がシース11の先端11aより内側にガイド部材23を収納させ、シース11の先端11aからの複数の爪部材21、22の突出量L1を所定距離L2未満に減少させるとき、複数の爪部材21、22の先端側の離間距離は、シース11によって離間距離d1未満に狭められる。なお、このとき、複数の爪部材21、22の先端21a、22aは、シース11の内周面に接触することはない。
すなわち、図9(B)に示すように、複数の爪部材21、22の先端側の離間距離は、シース11の先端11aから所定の突出量L1のときの先端21a、22aの間の離間距離d1よりもガイド部材23の内方での径方向の離間距離d2に近い収納側離間距離d3程度となる。
また、吊り上げツール12の複数の爪部材21、22がシース11の先端11aから再度突出して所定の突出量L1となるときには、複数の爪部材21、22が自由形状に弾性回復して、最大の離間距離d1に戻る。
本実施形態においても、シース11の軸方向に延びる吊り上げツール12の複数の爪部材21、22が、シース11の先端11aから突出した使用位置で組織PP等の体内組織に穿刺可能であり、かつ、複数の爪部材21、22が凹凸形状を有しているので、組織PPに穿刺された吊り上げツール12に抜け止め作用を生じさせることができ、組織PPを吊り上げ保持させることができる。
しかも、その吊り上げツール12を軸回り方向に回転操作すると、抜け止め作用を強化しつつ組織PPの巻き込み作用を生じさせることができるので、組織PPの吊り上げ力やその吊り上げ状態の保持力を十分に発揮させることができる。
さらに、本実施形態では、複数の爪部材21、22の離間距離が、先端21a、22a側ほど大きくなるよう、複数の爪部材21、22が先端側で拡開する自由形状を有するので、切欠き21c、22cおよび鉤形部分21b、22bによる抜け止め作用をさらに強化できるものとなる。
なお、上述の各実施形態においては、内視鏡用処置具1が非穿孔式の内視鏡的全層切除術に使用されるものとしたが、経管腔的内視鏡手術であるNOTESのうちの他の術式等においても組織を吊り上げる処置具として利用可能である。
また、上述の実施形態では、吊り上げツール12を2つの爪部材21、22を有するものとしたが、その数は2以上の任意の数とすることができる。
さらに、複数の爪部材21、22は切欠き21c、22cおよび鉤形部分21b、22bによって、それぞれ板幅方向一方側の凹凸形状を、軸方向の所定距離L2の範囲内の同一領域内に配置するものとしたが、板幅方向の両方側に凹凸形状を配置するものや、軸方向の所定距離L2の範囲内の異なる領域内に配置するものであってもよい。
勿論、一方の爪部材21は、切欠き21cおよび鉤形部分21bによる凹凸形状のみならず、軸方向の異なる箇所に一方側の別の凹凸形状を併有するものであってもよく、同様に、他方の爪部材22は、切欠き22cおよび鉤形部分22bによる一箇所の凹凸形状のみならず、軸方向の異なる箇所に他方側の別の凹凸形状を併有するものであってもよい。また、同一の爪部材21または22に形成される複数の凹部の深さや形状、凸部の高さや形状が相違していてもよいし、同一であってもよい。また、軸回り回転方向の一方側と他方側で凹凸形状の数や大きさ、形状を相違させて、抜け止め作用に回転操作方向による強弱をつけてもよい。さらに、爪部材に凹凸形状を有させる場合において、全部の爪部材に凹凸形状を有させる必要は無く、少なくとも1つの爪部材に凹凸形状を有させればよい。
また、各爪部材21、22は、ガイド部材23より先端側で略真直ぐな板状の部材としたが、板厚方向に湾曲したものであってよく、板幅方向の両側面が湾曲面をなすように板幅が変化するものであってもよい。
以上の説明のように、本発明は、比較的容易な内視鏡操作で、体内組織の吊り上げ力やその吊り上げ状態の保持力を十分にかつ安定的に確保することのできる内視鏡用処置具を提供することができるものであり、内視鏡下で体内組織を吊り上げるための内視鏡用処置具として有用である。
1 内視鏡用処置具
2 内視鏡
2a 先端部
2b 処置具通路
3 縫合装置
3a 嵌合筒部
3b アウターカバー
11 シース
11a 先端
11b 口金部材
11c 可撓性チューブ
11d 基端
11e 内面
12 吊り上げツール
13 操作線材
13a 先端部
13b 基端部
14 操作部材
14a、14b、15a 指穴部
14c 中央筒部
15 ハンドルボディ
15b 段付き長穴部
16 移動規制部材(変位規制機構)
21、22 爪部材(複数の爪部材)
21a、22a 先端
21b、22b 鉤形部分
21c、22c 切欠き
21d、22d 基端
23 ガイド部材
31 前側アーム
31a、31b 収容空間
32 後側アーム
32a、32b 針部材
32c、32d くびれ部分
33 アーム移動機構
34 縫合糸
34a、34b 両端部
35a、35b 係合部材
71 切開用処置具
72 回収用処置具
81 縫合糸結紮具
82 縫合糸結紮装置
d1、d2 離間距離
d3 収納側離間距離
DT 消化管
L1 突出量
L2 所定距離
PP 組織(病変部を有する組織、体内組織)
ST1、ST2、ST3 縫合対象部位

Claims (10)

  1. チューブ状のシースと、
    前記シースに挿通された操作線材と、
    前記シースの先端側に配置されたツールと、
    前記シースの基端側に連結されたハンドルボディと、
    前記操作線材を介して前記ツールに操作可能に接続され、前記操作線材を前記ハンドルボディに対して少なくとも前記シースの軸方向にスライドさせる操作部材と、を備える内視鏡用処置具であって、
    前記ツールが、前記シースの前記先端側に収納された収納位置と、前記シースの前記先端から外方に突出した使用位置とに移動可能な複数の爪部材を有しており、
    前記複数の爪部材のそれぞれが体内組織に穿刺可能な針形状を有するとともに、前記複数の爪部材のうち少なくとも一つが、凹凸形状を有することを特徴とする内視鏡用処置具。
  2. 前記複数の爪部材のそれぞれが、凹凸形状を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用処置具。
  3. 前記シースが、内視鏡に摺動可能に挿入される可撓性チューブを含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡用処置具。
  4. 前記ツールが、前記ハンドルボディに対する前記操作部材の軸方向操作入力に応じて前記シースの軸方向に変位する一方、前記操作部材または前記ハンドルボディの基端側からの回転操作入力に応じて軸回り方向に回転することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。
  5. 前記ハンドルボディは、前記操作部材に対して、軸方向に相対変位可能である一方、軸回り方向の相対回転を規制するように係合していることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡用処置具。
  6. 前記複数の爪部材が前記シースの先端から所定の突出量だけ突出する位置で、前記操作部材の前記ハンドルボディに対する軸方向の変位を規制可能な変位規制機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。
  7. 前記ツールの前記複数の爪部材の基端側に、前記シースの先端側の内面に摺動可能なガイド部材が一体に設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。
  8. 前記ガイド部材は、前記複数の爪部材の先端から基端側に所定距離を隔てて前記複数の爪部材の周囲に配置され、前記複数の爪部材の少なくとも一つに固定されていることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡用処置具。
  9. 前記複数の爪部材は、前記シースの径方向に対面する帯板状をなすとともに、前記軸回り方向の一方側に対応する前記複数の爪部材のうち少なくとも一つの板幅方向の片側に前記凹凸形状をなす切欠きが形成されており、該切欠きに隣接する鉤形部分が形成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。
  10. 前記複数の爪部材は、前記少なくとも一つの爪部材が有する凹凸形状がある部分よりも先端側で、該先端に近付くほど小径となっていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。
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