本発明に係る遊技機1を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
[遊技機1の主な内部構成]
図1は、本実施形態に係る遊技機1の主な内部構成の一例を示す図である。図1に示すように、遊技機1には、遊技の進行を制御する第1基板40、所定の演出を制御する第2基板90、および電気部品の駆動電源を生成する電源基板101が設けられている。
第1基板40には、記憶部41bおよび演算部41aが搭載されている。演算部41aは、遊技の進行に関する処理を行うとともに、第1基板40に接続された遊技情報表示器などの遊技部品の制御を行う。
また、第1基板40には、RTC(リアルタイムクロック)(図示なし)が設けられている。RTCは、現在時刻を計時し、出力するものである。演算部41aは、RTCが出力する日時情報を取得し、取得した日時情報に基づいて各種処理を実行する。たとえば、後述する初期化操作が行われたときには、演算部41aは、RTCが出力する日時情報に
基づき、初期化操作が行われた日時を生成する処理を行う。たとえば、後述する初期化操作が行われたときには、演算部41aは、RTCが出力する日時情報に基づき、初期化操作が行われた日時を生成する処理を行う。
記憶部41bは、バックアップ用電源に接続されている。このため、電断が発生したとしても記憶部41bの記憶情報が消去されることなく、電断中においても記憶部41bに記憶された所定情報はバックアップされる。所定情報には、遊技機の制御状態を復旧させるための情報が含まれる。所定情報には、識別情報および受信日時が含まれる。したがって、電断が発生したとしても、識別情報および識別情報の受信日時はバックアップされているため、その情報は保持される。また、初期化操作が行われた旨の情報と初期化操作が行われた日時についても所定情報に含まれ、同様にバックアップされる。
電源基板101には、記憶部41bの初期化を行うための初期化スイッチ37、および遊技機1の電源をon/offする際に操作される電源スイッチ39が接続されている。第1基板40には、電源基板101を介して初期化スイッチ37および電源スイッチ39などのスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
第2基板90には、記憶部91bおよび演算部91aが搭載されている。演算部91aは、演出を行うための各種の制御を行うとともに、第2基板90に接続された液晶表示器51などの遊技部品の制御を行う。
また、第2基板90には、RTC(図示なし)が設けられている。演算部91aは、RTCが出力する現在の日時情報を取得し、取得した日時情報に基づいて各種処理を実行する。たとえば、後述する識別情報が受信されたときには、演算部91aは、RTCが出力する日時情報に基づき、識別情報の受信日時を生成する処理を行う。なお、図1は、あくまで一例であり、遊技機1の内部にはその他の構成も設けられている。
[コマンド]
第1基板40に搭載された演算部41aは、遊技の進行に応じて各種コマンドを送信する処理を行う。第2基板90に搭載された演算部91aは、第1基板40から送信されたコマンドの制御情報に基づいて演出の制御を行う。
第1基板40から送信されるコマンドには、初期化操作コマンドがある。初期化操作コマンドとは、初期化操作が行われたことを特定可能なコマンドである。また、初期化操作コマンドは、初期化操作が行われた際に送信される。
ここで、初期化操作とは、初期化スイッチ37をon状態にする操作を言う。初期化スイッチ37をon状態にした状態で遊技機1の電源を投入すると、第1基板の起動処理において初期化処理が実行される。初期化処理とは、記憶部41bの所定領域に格納された情報が消去されることを言う。
演算部91aは、初期化操作コマンドを受信した場合には、記憶部91bに初期化操作が行われた旨の情報と、発生日時を記憶させる処理を行う。また、初期化操作が行われた旨の情報と発生日時は、液晶表示器51に表示可能である。
また、第1基板40から送信されるコマンドには、識別コマンドがある。識別コマンドとは、第1基板に割り当てられた識別情報を特定可能なコマンドである。具体的には、識別情報は、第1基板40に取り付けられた演算部41aおいて、演算部41aに割り当てられている固有の情報である。識別情報は、記憶部41bに格納されている。たとえば、演算部41aの識別情報として、識別情報「ABC」が割り当てられている。
不正な手段によって、演算部41aが交換された場合や、第1基板40自体が交換された場合は、識別情報が変わることになる。なお、識別情報は、演算部41aに割り当てられたものに限らず、第1基板40に割り当てられたものであってもよい。また、識別情報は、記憶部41bに格納されるものに限らず、第1基板40に搭載される別の記憶部に格納されるものであってもよい。
演算部41aは、記憶部41bに記憶異常が発生したとき、または、初期化操作がされたときに、識別コマンドを第2基板に送信する処理を行う。なお、記憶部41bの記憶異常については後述する。
演算部91aは、識別コマンドに基づいて、識別コマンドから特定可能な識別情報と、識別コマンドを受信した受信日時とを記憶部91bに記憶させる処理を行う。
演算部91aは、表示条件が成立すると、液晶表示器51に識別情報と受信日時とを特定可能な情報が表示させる。たとえば、液晶表示器51に「識別情報受信(ABC)」と「2017/5/1 20:00」とが表示される。
表示条件は、たとえば、遊技機1に設置された操作手段を操作されることによって成立するものであってもよい。また、遊技店の店員のみが確認可能な位置に設置されている7セグメント表示器に表示させるようにしてもよい。たとえば、遊技機1の扉を開いた筐体の内部に7セグメント表示器を設置する。このようにして表示を行う場合は、表示条件は常に成立するようにしてもよい。つまり、識別情報などは常に7セグメント表示器に表示されるようになる。
[記憶異常]
記憶部41bの記憶異常(以下、単に記憶異常とも称する)は、第1基板の記憶部41bに情報が正常に記憶されていないときに発生する。
たとえば、なんらかの不具合により記憶部41bの記憶情報が破壊されているか、記憶情報が消去された場合において、記憶部41bの記憶異常は発生する。
また、記憶部41bは、バックアップ用電源に接続されているため、電断が発生したとしても記憶部41bの記憶情報が消去されることがない。ただし、バックアップ用電源から電力が供給されなくなったような不具合が発生した場合は、記憶情報が消去されるため、記憶部41bの記憶異常が発生する。
また、工場出荷時においては、記憶部41bに情報が記憶されていない。たとえば、工場から出荷されて遊技店に遊技機が設置され、初めて電源を投入した場合には、記憶部41bに情報が記憶されていないため、記憶部41bの記憶異常が発生することになる。
[第1基板40の起動処理]
図2は、第1基板40に搭載された演算部41aが実行する起動処理の制御内容を示すフローチャートである。
演算部41aは、記憶異常が発生しているか否かを判断する(Sa1)。演算部41aは、記憶異常が発生していると判断した場合(Sa1でYES)、Sa2のステップに進む。
演算部41aは、Sa2のステップにおいて、識別コマンド送信処理を実行する(Sa
2)。識別コマンド送信処理において、演算部41aは、第1基板に割り当てられた識別情報を特定可能な識別コマンドを送信するための処理を行う。
次に、演算部41aは、異常処理を実行する(Sa3)。演算部41aは、異常処理において、記憶異常が発生している旨のエラーコードを生成する。そして、演算部41aは、エラーコードに基づき遊技の進行が不能化される異常状態に制御するとともに、表示機器にエラー状態を報知させる処理を行う。また、演算部41aは、記憶異常を報知した旨を示す記憶異常報知フラグをONにする。
一方、演算部41aは、記憶異常が発生していないと判断した場合(Sa1でNO)、初期化操作がされたか否かを判断する(Sa4)。
演算部41aは、初期化操作がされたと判断した場合(Sa4でYES)、初期化処理を実行する(Sa5)。初期化処理において、記憶部41bに記憶された所定領域の情報が初期化される。
次に、演算部41aは、識別コマンド送信処理を実行する(Sa6)。識別コマンド送信処理において、演算部41aは、演算部41aの識別情報を特定可能な識別コマンドを送信するための処理を行う。
次に、演算部41aは、初期化操作コマンド送信処理を実行する(Sa7)。初期化操作コマンド送信処理において、演算部41aは、初期化操作が行われたことが特定可能な情報を識別コマンドとして送信するための処理を行う。Sa7のステップの実行後、演算部41aは、Sa8のステップに進む。
一方、演算部41aは、Sa4のステップにおいて、初期化操作がされていないと判断した場合(Sa5でNO)、Sa8のステップに進む。Sa8のステップにおいて、演算部41aは、遊技の進行を制御する遊技制御処理を実行する。
このように、演算部41aは、記憶異常が発生しているときは、初期化処理を実行することなく、異常状態を報知させる異常処理を行う。また、演算部41aは、初期化操作が行われているときは、初期化処理を実行可能である。ただし、演算部41aは、初期化操作が行われていたとしても、記憶異常が発生しているときは、初期化処理を実行することなく、異常状態を報知させる異常処理を行う。
なお、記憶異常が発生し(Sa1でYES)、異常処理(Sa3)により異常状態の報知が行なわれた後に遊技機1の電源を切り、初期化操作が行われた状態で再度電源を投入した場合は、次の処理を行う。
たとえば、演算部41aは、図2の起動処理において、異常処理が行われた旨を示す記憶異常報知フラグをセットする。演算部41aは、再度の電源投入時に実行する起動処理において、記憶異常報知フラグがONであった場合には、記憶異常が発生していたとしてもSa2,Sa3の処理を実行することなく、Sa4のステップに進む。そして、演算部41aは、初期化操作が行われた状態であるため、Sa4でYESと判断し、初期化処理を実行する(Sa5)。このように、初期化操作が行われた状態で電源を投入した場合、最初の起動時には異常報知が行なわれる一方で、再度初期化操作が行われた状態で電源を投入した場合には初期化処理が行われる。なお、演算部41aは、初期化処理(Sa5)により記憶異常が解消されている場合は、遊技制御処理(Sa8)を実行する。一方、再度の電源投入時に実行する起動処理において、記憶異常が発生しているにも関わらず初期化操作が行われていない場合、Sa8の処理を実行することなく、再度異常処理(Sa3
)を実行する。
なお、本実施の形態においては、記憶異常が発生したときに(Sa1でYES)、初期化処理を行わせることなく、異常状態を報知させる異常処理(Sa3)を行わせるようにしたが、これに限らず、記憶異常が発生したときには(Sa1でYES)、初期化処理を行わせるとともに、異常状態を報知させる異常処理(Sa3)を行わせるようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、記憶部41bは、バックアップ用電源に接続されているため、通常の遊技機1の電源投入時(たとえば、営業開始時の遊技機1の電源投入など)においては記憶部41bの記憶異常が発生しない。しかし、記憶部41bがバックアップ用電源に接続されていないような場合は、通常の遊技機1の電源投入時においても、毎回記憶部41bの記憶異常が発生し、識別情報の送信処理が行われることになる。
なお、本実施の形態においては、上記第1基板40の起動処理(遊技機1の電源投入時)において、記憶異常が発生していると判断した場合に識別コマンドが送信される構成となっているが、遊技機1の電源がon状態である間にも、識別コマンドを送信させる処理を行わせるようにしてもよい。たとえば、一時間に一度、識別コマンドを送信させる処理を行わせてもよい。また、遊技機が有利状態に制御されるたびに、識別コマンドを送信させる処理を行わせてもよい。このようにすることで、たとえば、遊技機1の電源がon状態において識別情報が変化したような場合であっても、新たな識別情報を送信することができる。
[第2基板90の記憶処理および表示処理]
図3は、第2基板90に搭載された演算部91aが実行する記憶処理および表示処理の制御内容を示すフローチャートである。まず、図3(A)のフローチャートに基づき、第2基板90が実行する記憶処理について説明する。
演算部91aは、識別コマンドを受信しているか否かを判断する(Sb1)。演算部91aは、識別コマンドを受信していると判断した場合(Sb1でYES)、Sb2のステップに進む。一方、演算部91aは、識別コマンドを受信していないと判断した場合(Sb1でNO)、Sb5のステップに進む。
演算部91aは、記憶部91bに識別情報が記憶されているか否かを判断する(Sb2)。演算部91aは、記憶部91bに識別情報を記憶されていないと判断した場合(Sb2でNO)、Sb4のステップに進む。演算部91aは、記憶部91bに識別情報が記憶されていると判断した場合(Sb2でYES)、Sb3のステップに進む。
演算部91aは、記憶部91bに記憶されている識別情報と受信した識別情報とが一致するか否かを判断する(Sb3)。演算部91aは、記憶部91bに記憶されている識別情報と受信した識別情報とが一致しないと判断した場合(Sb3でNO)、Sb4のステップに進む。演算部91aは、記憶部91bに記憶されている識別情報と受信した識別情報とが一致すると判断した場合(Sb3でYES)、Sb5のステップに進む。
演算部91aは、受信した識別情報と受信日時を記憶部91bに記憶させる処理を行い(Sb4)、Sb5のステップに進む。
演算部91aは、初期化操作コマンドを受信したか否かを判断する(Sb5)。演算部91aは、初期化操作コマンドを受信していないと判断した場合(Sb5でNO)、記憶処理を終了する。一方、演算部91aは、初期化操作コマンドを受信していると判断した
場合(Sb5でYES)、初期化操作が行われた旨の情報と発生日時とを記憶部91bに記憶させて(Sb6)、記憶処理を終了する。
このように、演算部91aは、第1基板40から送信された識別コマンドなどのコマンドを受信し、受信したコマンドから特定可能な情報を、記憶部91bに記憶させるとともに、液晶表示器51に表示可能とする。
また、演算部91aは、記憶部91bに識別情報を記憶していない状況において、識別コマンドを受信したときに、識別コマンドから特定可能な識別情報と、識別コマンドを受信した受信日時とを、記憶部91bに記憶させる。また、演算部91aは、識別コマンドを受信したときに、受信した識別コマンドから特定可能な識別情報と記憶部91bが既に記憶している識別情報とが一致しないとき、識別コマンドから特定可能な識別情報とコマンドを受信した前記受信日時とを記憶部91bに記憶させる。
次に、図3(B)のフローチャートに基づき、演算部91aが実行する表示処理について説明する。
演算部91aは、表示条件が成立していると判断した場合(Sc1でYES)、表示処理を実行する(Sc2)。演算部91aは、表示処理において、識別情報および識別情報の受信日時、初期化操作および初期化操作の発生日時、現在時刻などを液晶表示器51に表示させる。Sc2のステップの終了後、演算部91aは、表示処理を終了する。
一方、演算部91aは、表示条件が成立していないと判断した場合(Sc1でNO)、記憶処理を終了する。
[識別情報などの情報を表示する画面]
図4は、識別情報などの情報が表示された画面を示す図である。演算部91aは、初期化操作が行われた旨の情報と発生日時とを記憶部91bに記憶させる。さらに、演算部91aは、識別情報と識別情報の受信日時に併せて、初期化操作が行われた旨の情報と発生日時を液晶表示器51に表示させる。
ここで、「情報」の項目には、表示情報として、「識別情報受信」、「初期化操作」が表示される。「日時」の項目には、情報の項目に対応して、識別情報受信日時、初期化操作発生日時がそれぞれ表示される。
図4の例では、1番目に2017年5月1日の20:00に識別情報「ABC」が受信された旨が表示されている。たとえば、工場出荷後に遊技店に遊技機1を設置し、初めて遊技機1の電源を投入したような場合が想定される。上述したように、最初に電源を投入した場合は、記憶部41bに情報が記憶されていないため記憶異常が発生し、記憶異常の発生により識別情報が送信される。なお、それ以降に電源を投入したとしても、記憶異常の発生などの識別コマンドの送信条件が成立していない限りは、識別情報は送信されない。
また、図4の例では、2番目に2017年5月1日の20:01に初期化操作がされた旨が表示されている。3番目に2017年5月2日の9:11に初期化操作がされた旨が表示されている。4番目に2017年5月3日の9:19に初期化操作がされた旨が表示されている。
識別情報および識別情報の受信日時と、初期化操作が行われた旨の情報および発生日時とは区別可能に表示される。たとえば、1番目に表示されている「識別情報受信(ABC
)」および「2017/5/1 20:00」の表示は背景色が灰色であるため、2番目に表示されている「初期化操作」および「2017/5/1 20:01」の表示と区別可能である。
[パチンコ遊技機への適用]
上述した遊技機1は、以下で説明するパチンコ遊技機であってもよい。
パチンコ遊技機は、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に打込んで遊技が行われる遊技機である。パチンコ遊技機は、縦長の方形状に形成された外枠と、外枠の内側に開閉可能に取付けられた遊技枠とで構成される。後述の遊技情報表示器はパチンコ遊技機の裏面に設置されているため、遊技店の店員などは、遊技枠を開いた状態で遊技情報表示器を視認可能である。
遊技領域の中央付近には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄を変動表示可能な表示手段としての液晶表示器51が設けられている。遊技球が始動入賞口を通過(入賞)した後、変動表示が開始され、変動表示時間が経過すると表示結果が導出表示される。変動表示の表示結果として特定表示結果が表示されたときには、遊技者にとって有利な価値が付与される有利状態としての大当り遊技状態に制御される。
大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置が開放状態と閉鎖状態とを繰返す繰返し継続制御が行われる。これにより、大入賞口への入賞が可能となり、所定個数の賞球が発生可能となる。入賞に応じた賞球には、上記の始動入賞口への入賞に応じた賞球と、大入賞口への入賞に応じた賞球と、始動入賞口および大入賞口とは異なる一般入賞口への入賞に応じた賞球とが含まれる。
また、遊技領域には、構造物が設けられている。当該構造物の形状を変化させると、一般入賞口、始動入賞口、および大入賞口などの入賞口への入賞率(発射球数に対する入賞球数)が変化する。
[遊技情報表示器]
第1基板40は、遊技情報表示器に遊技の履歴に基づく遊技情報を表示させる制御を行う。遊技情報表示器は、2桁の7セグメント表示器で構成される。
遊技の履歴としては、たとえば、発射球数、および発射球数に対する入賞に応じて賞球として払出される遊技球数(以下、「払出球数」と称する)が挙げられる。また、遊技情報としては、たとえば、払出比率が挙げられる。払出比率は、記憶部41bに蓄積された遊技の履歴に基づき算出される。演算部41aは、払出比率=発射球数/払出球数の算式によって、払出比率を算出する。たとえば、発射球数が100発であり、払出球数が70発である場合、払出比率は70%(70%=70発/100発)となる。
遊技情報表示器に表示される遊技情報の例としては、他にも次のようなものがある。たとえば、有利な状態において払い出された払出球数を遊技の履歴として記憶部41bに記憶させるようにして、総払出球数に対する有利な状態において払い出された払出球数の比率を遊技情報表示器に表示させてもよい。有利な状態とは、たとえば、大当り遊技状態である。また、始動入賞口、大入賞口、一般入賞口への入賞に応じた払出球数をそれぞれ遊技の履歴として記憶部41bに記憶させるようにして、総払出球数に対する各入賞口への入賞に応じた払出球数の比率を遊技情報表示器に表示させるようにしてもよい。また、遊技機1としてスロットマシンに適用した場合は、メダルの投入枚数に対する払出枚数の比率、総ゲーム数に対する有利な状態に制御されているゲーム数の比率、総払出枚数に対する入賞の種類に応じた払出枚数の比率などを遊技情報表示器に表示させるようにしてもよ
い。
遊技情報表示器は、パチンコ遊技機の裏面に設置されており、遊技店の店員などが所持する鍵により解錠して遊技枠を開いた状態で視認可能である。このため、遊技店の店員や管理者、検査を行う第三者機関などは遊技情報表示器で遊技情報を確認することが可能であるが、遊技者は遊技情報を確認することができない。払出比率は、パチンコ遊技機に設置された所定の操作手段を操作することで表示される。
遊技者にとっての有利度は、払出比率の高低によって異なる。たとえば、払出比率が不当に低く調整されている場合は、遊技者は常に不利な状態で遊技をすることになってしまう。一方、払出比率が非常に高く調整されていると遊技者にとって著しく有利な状態になってしまう。
このように、遊技者が不当に不利な状態や有利な状態で遊技が行われないように、パチンコ遊技機は、払出比率が適正な範囲内になるように調整されて工場出荷されている。そのため、工場出荷時に調整されている払出比率と、遊技店に設置された状態での払出比率とが大きく乖離していると、払出比率を変えるなんらかの不正な調整があったものと考えられる。
不正な調整があったかどうかは、遊技情報表示器に表示される払出比率によって確認可能である。たとえば、第三者機関が立ち入り検査を行って、払出比率が工場出荷時において調整されている適正な範囲内であるかを確認することで、遊技機が正常に稼働しているか否かを確認することが可能である。
払出比率を変更する不正は、パチンコ遊技機を不正に改造することにより行われる。たとえば、入賞口への入賞率が変化するように、パチンコ遊技機の遊技領域に設けられた構造物の形状を変化させることで不正な調整が行われる。このような調整により、払出比率が不正に上がる、もしくは、不正に下がることになる。さらに、第三者機関による検査時に払出比率が適正な範囲内にあるように見せかけるために、遊技店が、営業時間外に不正な打ち込みを行って払出比率の調整を行うことが考えられる。
たとえば、営業時間中に払出比率が上がるように不正な調整が行われている場合は、営業時間外の不正な打ち込みによって払出比率を適正な範囲にまで下げようとする。たとえば、営業時間外に、入賞口への入賞が発生しないように遊技球を発射させる打ち込みを行うことで、払出比率を下げる。また、営業時間中に払出比率が下がるように不正な調整が行われている場合は、営業時間外の不正な打ち込みによって払出比率を適正な範囲にまで上げようとする。たとえば、営業時間外に、遊技球を入賞口に直接手で入れるなどして、払出比率を上げる。
以下、遊技の履歴の蓄積および遊技情報表示器への払出比率の表示について説明する。遊技の履歴には、遊技の履歴の蓄積を開始した日時、発射球数、払出球数が含まれる。遊技の履歴は、パチンコ遊技機の電源投入時に遊技の履歴が記憶部41bに記憶されていないことが検出されたとき(Sa1がYES(記憶部41bに記憶異常が発生しており、遊技の履歴が正常にバックアップされていないとき))に、蓄積開始条件が成立し、遊技の履歴の蓄積を開始する。
たとえば、遊技の履歴の蓄積が開始された後に、なんらかの不具合により記憶部41bの記憶情報が破壊されているか、記憶情報が消去されるなどして記憶異常が発生しない限りは、遊技の履歴は記憶部41bに蓄積され続ける。そして、上記のような記憶部41bの記憶情報の破壊や消去があったような場合には、蓄積開始条件が成立する。
また、工場出荷時において、記憶部41bに情報が記憶されていない場合も、遊技の履歴の蓄積開始条件が成立する。具体的には、工場から出荷されて遊技店にパチンコ遊技機が設置され、初めて電源を投入したような場合に、遊技の履歴の蓄積が開始される。
図2を用いて説明したように、記憶部41bに記憶異常が発生している場合、演算部41aが実行する起動処理において、識別コマンド送信処理が実行される。また、この場合、図3を用いて説明したように、演算部91aは、識別コマンドを受信したときに、識別情報と識別コマンドの受信日時とを、記憶部91bに記憶させるとともに、図4に示すように液晶表示器51には「識別情報受信」を表示するとともに受信日時が表示可能となる。図4の例では、2017年5月1日の20:00に識別情報「ABC」が受信された旨が表示されている。すなわち、遊技の履歴の蓄積開始日時が、2017年5月1日の20:00であることが示されている。
また、液晶表示器51には、現在時刻が表示されている。図4の例では、現在時刻として2017年5月4日の8:20が表示されている。遊技の履歴の蓄積開始日時が、2017年5月1日の20:00であり、現在時刻が2017年5月4日の8:20であることから、遊技の履歴の蓄積開始からの経過期間が、60時間20分であることが示されている。
演算部41aは、演算部41aが遊技球の発射を検出したときに、発射球数の更新処理を行う。具体的には、遊技の履歴として記憶部41bに記憶されている発射球数を読み出して、読み出した発射球数に1を加えた値を新たな発射球数として記憶部41bに記憶させる。また、演算部41aは、入賞に応じて賞球として払い出しがあった場合に、払出球数の更新処理を行う。具体的には、遊技の履歴として記憶部41bに記憶されている払出球数を読み出して、読み出した払出球数に新たに払い出された払出球数を加えた値を払出球数として記憶部41bに記憶させる。
発射球数または払出球数の更新があった場合は、遊技情報表示器の表示の更新処理を行う。具体的には、発射球数または払出球数の更新があった場合、演算部41aは、記憶部41bに記憶されている発射球数および払出球数を読み出す。次に、演算部41aは、発射球数および払出球数に基づき払出比率を算出する。
算出された払出比率は、遊技情報表示器に表示される。払出比率が70%である場合、2桁の7セグメント表示器の左側には「7」が表示され、右側には「0」が表示される。
また、図4に示すように、遊技の履歴の蓄積を開始した日時、遊技の履歴の蓄積を開始してからの経過期間を特定可能な情報に併せて、初期化操作が行われた旨の表示および初期化操作が行われた日時の表示を行う。また、図4に示すように、遊技の履歴の蓄積を開始した日時、遊技の履歴の蓄積を開始してからの経過期間を特定可能な情報の表示は背景色が灰色であるため、初期化操作が行われた旨の表示および初期化操作が行われた日時の表示と区別することが可能である。
ここで初期化操作を行った際の演算部41aの処理や、演算部91aの処理については、基本的には、第1実施形態で説明した通りであるので、説明を省略する。ただし、本実施の形態では、初期化処理(Sa5)において、記憶部41bに記憶された所定領域の情報が初期化されるが、遊技の履歴は初期化されないものとする。すなわち、パチンコ遊技機の電源投入時に初期化操作があった場合であっても、初期化処理において遊技の履歴は消去されないものとする。
[遊技情報表示器の表示例]
次に、遊技情報表示器の表示例について説明する。図5は、遊技情報表示器の表示の推移を示すタイミングチャートである。
図5(A)は、通常の営業において、遊技情報表示器の表示の推移を示すタイミングチャートである。横軸は遊技の履歴の蓄積開始からの経過期間を示している。
タイミングt0は遊技の履歴の蓄積開始条件の成立を示している。本実施の形態では、工場から出荷されて遊技店にパチンコ遊技機が設置され、初めて電源を投入したケースを想定している。この場合、遊技の履歴の蓄積がないため、遊技情報表示器には、払出比率が「0%」であることを示す「00」が表示されている。
また、液晶表示器51には、遊技の履歴の蓄積開始日時がタイミングt0時点での日時である旨の表示がされている。また、図示はしないが、本実施の形態においては、液晶表示器51に遊技の履歴である発射球数および払出球数を表示することが可能である。
タイミングt1は、遊技店にパチンコ遊技機が設置された後の、1日目の営業開始時刻を示している。このとき、遊技情報表示器には、払出比率が「0%」であることを示す「00」が表示されている。
タイミングt2は、1日目の営業終了時刻を示している。ここで、1日目の営業時間t1〜t2において、総発射球数が78000発であり、総払出球数が54600発であったとする。このとき、払出比率は70%(70%=54600発/78000発)となる。タイミングt2においては、遊技情報表示器には、払出比率が「70%」であることを示す「70」が表示されている。本実施の形態においては、70%の払出比率は不正が行われていない適正な範囲内の数字であるとする。
タイミングt3は、2日目の営業開始時刻を示している。このとき、遊技情報表示器には、前日の営業終了時と同じく払出比率が「70%」であることを示す「70」が表示されている。
タイミングt4は、2日目の営業終了時刻を示している。ここで、2日目の営業時間t3〜t4において、総発射球数が78000発であり、総払出球数が54600発であったとする。タイミングt0からt4まででは、総発射球数156000発(78000発+78000発)であり、総払出球数が109200発(54600発+54600発)となる。払出比率は70%(70%=109200発/156000発)となる。タイミングt4において、遊技情報表示器には、払出比率が「70%」であることを示す「70」が表示されている。なお、2日目の営業時間内の払出比率も70%(70%=54600発/78000発)である。
このように、遊技店や検査を行う第三者機関などは、遊技情報表示器を見ることで、払出比率が70%で推移していることが確認することができる。また、遊技店や第三者機関などは、液晶表示器51を見ることで、2日間の営業時間で合計発射球数として156000発が発射されたことがわかる。
パチンコ遊技機は、1分間に発射可能な球数が規定されている。本実施の形態においては、2日間の営業時間において、発射可能な最大球数は156000発であるとする。つまり、営業時間外に不正な打ち込みがあった場合は、156000発の発射球数を超えることがある。図5(A)で示した例においては、2日間の営業時間において発射された球数は156000発であるので、発射可能な最大球数の範囲内である。
次に、営業時間外に不正な打ち込みがあった場合について説明する。図5(B)は、図5(A)と同じく、遊技情報表示器の表示の推移を示すタイミングチャートである。横軸は遊技の履歴の蓄積開始からの経過期間を示している。
図5(B)の例では、営業時間内において、払出比率を不当に下げるような不正が行われているとする。そして、払出比率を適正な範囲に戻すために、営業時間外に払出比率を上げるような不正な打ち込みを行っているとする。
タイミングt0は遊技の履歴の蓄積開始条件の成立を示している。図5(A)と同様に、工場から出荷されて遊技店にパチンコ遊技機が設置され、初めて電源を投入したケースを想定している。この場合、遊技の履歴の蓄積がないため、遊技情報表示器には、払出比率が「0%」であることを示す「00」が表示されている。
また、液晶表示器51には遊技の履歴の蓄積開始日時がt0である旨の表示がされている。また、液晶表示器51に表示される現在時刻もt0であるので、遊技の履歴の蓄積開始からの経過期間が0であることを知ることができる。
タイミングt1は、遊技店にパチンコ遊技機が設置された後の、1日目の営業開始時刻を示している。このとき、遊技情報表示器には、払出比率が「0%」であることを示す「00」が表示されている。
タイミングt2は、1日目の営業終了時刻を示している。ここで、1日目の営業時間t1〜t2において、総発射球数が78000発であり、総払出球数が31200発であったとする。このとき、払出比率は40%(40%=31200発/78000発)となる。タイミングt2においては、遊技情報表示器には、払出比率が「40%」であることを示す「40」が表示されている。
ここで、本実施の形態においては、40%の払出比率は、払出比率が不正によって下げられ、遊技者が不当に不利な状態になる数字であるとする。そこで、払出比率を適正な範囲内に戻すため、営業時間外であるタイミングt3〜t4において不正な打ち込みが行われたとする。たとえば、入賞口に遊技球を直接手で入れるような不正を行うなどして、タイミングt3〜t4において払出比率が300%(300%=54000発/18000発)となる打ち込みを行ったとする。
これにより、タイミングt0からt4まででは、総発射球数96000発(78000発+18000発)であり、総払出球数が85200発(31200発+54000発)となる。タイミングt0からt4までの払出比率は89%(89%=85200発/96000発)となる。タイミングt4において、遊技情報表示器には、払出比率が「89%」であることを示す「89」が表示されている。
タイミングt5は、2日目の営業開始時刻を示している。このとき、遊技情報表示器には、タイミングt5と同じく払出比率が「89%」であることを示す「89」が表示されている。
タイミングt6は、2日目の営業終了時刻を示している。ここで、2日目の営業時間t5〜t6において、総発射球数が78000発であり、総払出球数が31200発であったとする(2日目の営業時間内の払出比率も40%(40%=31200発/78000発)である)。
タイミングt0からt6まででは、総発射球数174000発(78000発+18000発+78000発)であり、総払出球数が116400発(31200発+54000発+31200発)となる。払出比率は67%(67%=116400発/174000発)となる。タイミングt6において、遊技情報表示器には、払出比率が「67%」であることを示す「67」が表示されている。
本実施の形態においては、67%の払出比率は適正な範囲内の数字であり、40%の払出比率は遊技者が不当に不利な状態になる数字である。遊技者が不当に不利な状態になる払出比率を、営業時間外(タイミングt3〜t4)の不正な打ち込みによって適正な範囲内まで戻している。
本実施の形態においては、2日間の営業時間(タイミングt6の時点)において、発射可能な最大球数は156000発である。総営業時間は、遊技の履歴の蓄積開始日時(t0)または経過期間と、営業開始および営業終了時刻とから特定可能である。たとえば、総営業時間が26時間(13時間×2日)であった場合は、発射可能な最大球数は156000発(100発/1分×60分×26時間=156000発)であることが算出可能である。
ここで、タイミングt6において、液晶表示器51において、発射球数が174000発であること表示されている。つまり、発射可能な最大球数を18000発超過(18000発=174000発−156000発)していることが確認することができる。このようにして、営業時間外の不正な打ち込みを確認することができる。
[第1基板40の記憶領域とプログラム]
第1基板40には、上述した記憶部41bおよび演算部41aに加えて、プログラム記憶部が搭載されている。記憶部41bは、情報を一時的に記憶可能な記憶領域を有する。プログラム記憶部は、プログラムを記憶可能な記憶領域を有する。演算部41aは、プログラム記憶部に記憶されたプログラムに基づいて遊技の進行に関する処理を行う。
プログラム記憶部の記憶領域は、遊技の進行に係る遊技プログラムが記憶される遊技プログラム領域と、遊技プログラムによって呼び出されるプログラムであり、遊技の進行に係わらない非遊技プログラムが記憶される非遊技プログラム領域とを含む。
記憶部41bの記憶領域は、遊技の進行に係る遊技プログラムが用いる遊技データが読み出しおよび書き込み可能に記憶される遊技データ領域と、遊技の進行に係わらない非遊技プログラムが用いる非遊技データが読み出しおよび書き込み可能に記憶される非遊技データ領域とを含む。
演算部41aは、プログラム記憶部に記憶されたプログラムに基づいて遊技の進行に関する処理を行う。
演算部41aは、遊技プログラムからの1回の非遊技プログラムの呼出により非遊技プログラムにおいて複数種類の異常判定を行う。ここで言う異常とは、たとえば、遊技球の発射に関する異常、遊技球の払出に関する異常など、パチンコ遊技機に備えられた各種センサの異常などが挙げられる。
演算部41aは、非遊技プログラムにおいて、異常判定処理、外部機器へ出力される外部出力信号の出力制御(試験信号出力処理)、および遊技の履歴に基づく状態を遊技情報表示器に表示させる表示制御などを行う。
その際、演算部41aは、遊技プログラムからの1回の非遊技プログラムの呼出により、非遊技プログラムにおいて、上記異常判定、上記試験信号出力処理、および上記表示制御のうちの2つの処理、または全ての処理を行う。
また、演算部41aは、非遊技プログラムにおいて、上記異常判定、上記試験信号出力処理、および上記表示制御は、それぞれサブルーチンとして呼び出す処理を行う。
演算部41aは、遊技プログラムから非遊技プログラムを呼び出すときに、遊技プログラムにて用いていたデータ(レジスタの値)を退避する処理を行うとともに、非遊技プログラムから遊技プログラムに復帰するときに、退避したデータ(レジスタの値)を復帰する処理を行う。
演算部41aは、遊技プログラムからの1回の非遊技プログラムの呼出により、非遊技プログラムにおいて、一の種類の異常が判定されても他の種類の異常判定を続けて行う。たとえば、判定処理において一の種類のセンサ異常が判定されていたとしても、他の種類のセンサ異常判定処理を続けて行う。
演算部41aは、非遊技プログラムによる異常判定の結果は非遊技データ領域に記憶させる処理を行い、非遊技プログラムから遊技プログラムに復帰したときに、他の処理を行うことなく、非遊技データ記憶領域に記憶された異常判定の結果を参照する処理を行う。
演算部41aは、非遊技プログラムにおける試験信号出力処理において、遊技プログラムの処理ではオンデータが設定されることのない出力ポートを用いて外部出力信号(試験信号)の出力状態を設定する。
演算部41aは、非遊技プログラムにおける遊技の履歴に基づく状態を遊技情報表示器に表示させる表示制御で用いる表示情報と、遊技プログラムにおいて遊技の状態を表示させる表示制御で用いる表示データとが共通の表示態様を表示させる表示データものであっても、遊技プログラム領域と、非遊技プログラム領域とにそれぞれ記憶させる処理を行う。
[主な効果]
本実施の形態においては、図5に示したように、発射球数、払出球数などの遊技の履歴が記憶部41bに記憶されていない場合、記憶部41bに遊技の履歴の記憶を開始し、記憶部41bに記憶された遊技の履歴に基づいて払出比率が遊技情報表示器に表示される。また、表示条件が成立したときに、遊技の履歴の蓄積を開始した日時が液晶表示器51に表示される。このようにすることで、たとえば、遊技の履歴の蓄積を開始した日時と、現在時刻、営業開始時刻、営業終了時刻との関係から、営業時間内に打ち込み可能な発射球数の最大値が特定可能となる。そして、当該最大値を超える発射球数が記録されていたときに、営業時間外の不正な打ち込みがあったことが認識可能となる。すなわち、通常の遊技時間(営業時間内)では行われ得ない遊技の履歴の蓄積を認識可能になり、遊技の履歴の信憑性を高めることができる。
図5に示したように、発射球数、払出球数などの遊技の履歴が記憶部41bに記憶されていない場合、記憶部41bに遊技の履歴の記憶を開始し、記憶部41bに記憶された遊技の履歴に基づいて払出比率が遊技情報表示器に表示される。また、遊技の履歴の記録を開始した日時と現在時刻が液晶表示器51に表示されるため、遊技の履歴の蓄積を開始してからの経過期間が特定可能になる。このようにすることで、たとえば、経過期間、現在時刻、営業開始時刻、営業終了時刻との関係から、営業時間内に打ち込み可能な発射球数の最大値が特定可能となる。そして、当該最大値を超える発射球数が記録されていたとき
に、営業時間外の不正な打ち込みがあったことが認識可能となる。すなわち、通常の遊技時間(営業時間内)では行われ得ない遊技の履歴の蓄積を認識可能になり、遊技の履歴の信憑性を高めることができる。
図5(A),(B)のタイミングt0に示したように、記憶部41bに記憶された遊技の履歴が記憶部91bに正常にバックアップされていないとき、遊技の履歴の蓄積を開始するため、記憶部91bでのバックアップが正常に行われている間は継続して遊技の履歴の蓄積を行うことができる。
図4に示したように、初期化操作が行われた旨の情報と発生日時とが記憶部91bに記憶され、液晶表示器51に遊技の履歴の蓄積を開始した日時、遊技の履歴の蓄積を開始してからの経過期間を特定可能な情報が表示されるとともに、初期化操作が行われた旨の情報「初期化操作」および発生日時「2017/5/1 20:01」が表示されるため、初期化操作の発生履歴と併せて、遊技店の店員などは、遊技の履歴の蓄積開始に関連する情報を確認することができる。
図4に示したように、遊技の履歴の蓄積を開始した日時、遊技の履歴の蓄積を開始してからの経過期間を特定可能な情報の表示は背景色が灰色であるため、液晶表示器51に初期化操作が行われた旨の情報「初期化操作」および発生日時「2017/5/1 20:01」の表示と区別可能であり、遊技店の店員などは、遊技の履歴の蓄積開始に関連する情報を適切に確認することができる。
図2に示したように、演算部41aは、記憶異常が発生したとき、または初期化操作が行われたときに、第1基板に割り当てられた識別情報を特定可能な識別コマンドを第2基板に送信し、演算部91aは、識別コマンドに基づいて、識別コマンドから特定可能な識別情報と、識別コマンドを受信した受信日時とを記憶部91bに記憶させる。また、図4に示したように、液晶表示器51に識別情報「識別情報受信(ABC)」と受信日時「2017/5/1 20:00」とが表示される。たとえば、不正な手段によって、第1基板40が交換された場合、識別情報は変更される。このような場合に、遊技店の管理者などは、遊技機1において第1基板に割り当てられた固有の識別情報を適切に確認することができるとともに、当該識別情報がどの時点で送信されたものかを確認することができる。
図3に示したように、記憶部91bが識別情報を記憶していない状況において、第2基板が識別コマンドを受信したときに、識別コマンドから特定可能な識別情報と、識別コマンドを受信した受信日時とが記憶部91bに記憶され、表示条件が成立したときに、当該識別情報と受信日時とが液晶表示器51に表示されるため、遊技店の管理者などは、遊技機1において第1基板に割り当てられた固有の識別情報を適切に確認することができる。
図3(A)に示したように、第2基板が識別コマンドを受信したときに、識別コマンドから特定可能な識別情報と記憶部91bに既に記憶している識別情報とが一致しない状況において、当該識別情報と受信日時とが記憶部91bに記憶される。このように、第1基板に割り当てられた情報である識別情報が一致しないことにより、遊技店の管理者などは、第1基板40が交換された可能性があることを知ることができる。
図4に示したように、識別情報は、第1基板に設置された演算部41aに割り当てられた演算部41a固有の情報であるため、演算部41aが交換された可能性があることを知ることができる。
図2に示したように、記憶部41bに記憶された情報が正常にバックアップされていな
いとき、識別コマンドが第2基板に送信される。たとえば、第1基板が工場出荷後初めて起動される場合は、記憶部41bに情報がバックアップされていない(記憶部41bに情報が格納されていない)ため、第1基板による制御が開始された時点での識別情報を確認することができる。
図4に示したように、初期化操作が行われた旨の情報と発生日時とが記憶部91bに記憶され、液晶表示器51に識別情報「識別情報受信(ABC)」および受信日時「2017/5/1 20:00」が表示されるとともに、初期化操作が行われた旨の情報「初期化操作」および発生日時「2017/5/1 20:01」が表示されるため、初期化操作の発生履歴と併せて、識別情報の受信に関する情報を確認することができる。
図4に示したように、識別情報「識別情報受信(ABC)」および受信日時「2017/5/1 20:00」の表示は背景色が灰色であるため、液晶表示器51に初期化操作が行われた旨の情報「初期化操作」および発生日時「2017/5/1 20:01」の表示と区別可能であり、識別情報とその受信日時を適切に確認することができる。
図2に示したように、遊技機1の電源投入時に記憶部41bに記憶された情報に記憶異常が発生していることが検出された場合、初期化スイッチ37をon状態にして遊技機1の電源を投入されていたとしても初期化処理が実行されず、異常処理を行う。このようすることで、異常処理において確実に記憶異常エラーを報知することができる。
本実施の形態においては、遊技の進行に係る遊技プログラムが記憶される遊技プログラム領域と、遊技プログラムによって呼び出されるプログラムであり、遊技の進行に係わらない非遊技プログラムが記憶される非遊技プログラム領域とが別個に割り当てられた構成において、遊技プログラムからの1回の非遊技プログラムの呼出により非遊技プログラムにおいて複数種類の異常判定が行われるため、遊技プログラムと非遊技プログラムとの行き来を極力減らすことができる。
また、遊技プログラムからの1回の非遊技プログラムの呼出により非遊技プログラムにおいて異常判定処理、試験信号出力処理、および遊技の履歴に基づく状態を遊技情報表示器に表示させる表示制御のうちの2つまたは全てが行われるため、遊技プログラムと非遊技プログラムとの行き来を極力減らすことができる。また、これらの処理がそれぞれサブルーチンとして設定されているため、プログラムの管理が容易となる。
遊技プログラムから非遊技プログラムを呼び出すときに、遊技プログラムにて用いていたデータを退避するとともに、非遊技プログラムから遊技プログラムに復帰するときに、退避したデータ(レジスタの値)を復帰するため、遊技プログラムから非遊技プログラムを呼び出すに際して、遊技プログラムにて用いていたデータが破損してしまうことを防止できる。
遊技プログラムからの1回の非遊技プログラムの呼出により非遊技プログラムにおいて、一の種類の異常が判定されても他の種類の異常判定を続けて行うため、いずれかの種類の異常が判定されたか否かに関わらず、他の種類の異常についても異常判定を行うことができる。
非遊技プログラムによる異常判定の結果を他の処理を行うよりも前に参照するため、異常判定の結果をいち早く遊技プログラムが行う処理に反映させることができる。
異常判定は、遊技球の投入に関する異常判定と、遊技球の払出に関する異常判定とを含むため、遊技球の投入に関する異常判定と、遊技球の払出に関する異常判定と、を1回の
非遊技プログラムの呼出により行うことができる。
非遊技プログラムにおける外部出力信号の出力制御では、遊技プログラムの処理ではオンデータが設定されることのない出力ポートを用いて外部出力信号の出力状態を設定するため、非遊技プログラムにおける外部出力信号の出力制御によって、遊技プログラムの処理によって出力状態が制御される信号が意図せずに出力してしまうことを防止できる。
非遊技プログラムにおける遊技の履歴に基づく状態を遊技情報表示器に表示させる表示制御では、非遊技プログラム領域に記憶された表示データを用い、遊技プログラムにおいて遊技の状態を表示させる表示制御では、遊技プログラム領域に記憶された表示データを用いることで、遊技プログラムと非遊技プログラムとの行き来を極力減らすことができる。
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
[遊技機について]
上述した遊技機1は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンであってもよい。上述した遊技機1は、各々が識別可能な複数種類の識別情報の変動表示の結果に応じて、遊技者にとって有利な大当り遊技状態に制御可能なパチンコ遊技機であってもよい。
[遊技情報表示器について]
本実施の形態においては、図5に示したように、発射球数を用いて、営業時間外の打ち込みを確認するようにしたが、これに限らず、次のようにしてもよい。たとえば、遊技の履歴として、営業開始時間および営業終了時間を記憶部41bに記憶させるようにする。さらに、開始時間および営業終了時間から、非営業時間中であるか否かを判定させ、非営業時間中の発射球数などの情報も記憶部41bに記憶させる。このようにすることで、営業時間外の不正な打ち込みを確認することができる。
また、経過期間を液晶表示器51に表示された現在時刻および遊技の履歴の蓄積開始時刻から特定可能としたが、これに限らず、現在時刻および遊技の履歴の蓄積開始時刻から、経過期間を算出して表示させるようにしてもよい。また、経過期間は、遊技の履歴の蓄積開始時刻から現在時刻までを経過期間としてもよいが、遊技の履歴の蓄積開始時刻から現在時刻までのうち、パチンコ遊技機の電源が供給されている期間のみを経過期間としてカウントするようにしてもよい。
また、遊技の履歴として、遊技の履歴の蓄積を開始した日時、発射球数、払出球数を記憶部41bに記憶させるようにし、これらの遊技の履歴に基づき払出比率を算出して遊技情報表示器に表示させるようにしたが、これに限らず、遊技の履歴として、記憶部41bに払出比率を記憶させるようにしてもよい。
[設定変更状態について]
本実施の形態においては、図2に示したように、初期化操作を行ったとき(Sa1でYES)に、初期化処理が実行される(Sa5)ようにした。しかし、これに限らず、初期化操作を行ったとき(初期化スイッチ37をon状態としてから遊技機1の電源をonし
たとき、図2のSa1のYES)に、初期化処理が実行される(Sa5)とともに、有利度を変更可能な設定変更状態に移行させるようにしてもよい。ここで、設定変更状態とは、遊技機における遊技用価値の付与率に関わる設定値が変更可能な状態である。
また、遊技状態には、通常状態および有利状態が含まれる。通常状態は、たとえば、遊技機の設計として、遊技用価値の増加が望めない状態、または遊技の滞在率が有利状態よりも多い状態である。有利状態は、通常状態よりも遊技者にとって有利な状態である。有利状態は、たとえば、通常状態よりも遊技者の手持ちの遊技用価値が増えやすい状態、通常状態よりも遊技者の手持ちの遊技用価値が減りにくい状態、または通常状態よりも遊技者の手持ちの遊技用価値が増えやすい状態に移行しやすい状態である。なお、有利状態は、通常状態よりも遊技者にとって有利な状態であれば、いずれの状態であってもよい。
設定変更状態に制御可能とした場合は、図2のフローチャートにおいて、初期化処理を実行した(Sa5)後に、設定変更状態への移行処理を行うようにする。所定の操作により設定値を変更した後、設定変更状態を終了し、Sa6のステップに進む。
このようにした場合、遊技機1の電源投入時に記憶部41bに記憶された情報に記憶異常が発生していることを検出したとき、初期化スイッチ37をon状態にして遊技機1の電源を投入されていたとしても設定変更状態に制御されない。図2のフローチャートにおいて、遊技機1の電源投入時に記憶異常が発生していた場合(Sa1でYES)は、識別コマンド送信処理を実行し(Sa2)、異常処理(Sa3)を行うが、Sa4のYESのステップに進まないからである。
なお、この場合において、再度初期化スイッチ37をon状態にして遊技機1の電源を投入した場合は、初期設定状態に移行する。上述したように、記憶異常報知フラグがONであるため、Sa1のステップにおいてYESとなり、初期化操作がされている(初期化スイッチ37をon状態になっている)ためSa4のステップでYESとなる。このため、次のSa5の初期化処理が実行された後に、設定変更状態へ移行することになる。
このように、遊技機1の電源投入時に記憶部41bに記憶された情報に記憶異常が発生していることが検出された場合、初期化スイッチ37をon状態にして遊技機1の電源を投入されていたとしても設定変更状態に制御されず、異常処理を行う。このようすることで、異常処理において確実に記憶異常エラーを報知することができる。
なお、記憶異常が発生している状態で、初期化スイッチ37をon状態にして遊技機1の電源を投入したときであっても、設定変更状態に移行するようにしてもよい。
[コマンドについて]
本実施の形態においては、図2に示したように、記憶異常が発生した場合と、初期化操作がされた場合とにおいて、識別コマンドを送信し、それ以外の場合には識別コマンドを送信しないようにしている。しかし、識別コマンドの送信条件はこれに限らない。たとえば、遊技機1の電源が投入されたときには常に識別コマンドを送信するようにしてもよい。すなわち、Sa4でNOであったときも、識別コマンド送信処理を実行するようにしてもよい。
この場合において、たとえば、不正な手段によって演算部41aが交換され、演算部41aの識別情報が「ABC」から「DEF」に変更されたとする。そして、遊技機1の電源が投入された場合、識別コマンドが送信される。受信した識別コマンド(DEF)は、記憶部91bに記憶されている識別情報(ABC)と一致しないため(Sb3でNO)、識別情報と識別情報の受信日時が記憶部91bに記憶されるとともに、液晶表示器51に
表示可能になる。図4に示した状態を例にすれば、5番目に「識別情報受信(DEF)」と受信日時が表示されることになる。
識別情報が変更されず、「ABC」のままである場合(Sb3でYES)は、記憶部91bへの記憶および液晶表示器51への表示がされることはない。ただし、記憶部91bの記憶異常が発生するなどして識別情報が消去されてしまったような場合(Sb2でNO)は、新たに受信した識別情報「ABC」は、記憶部91bに記憶されるとともに、液晶表示器51に表示可能となる。
また、本実施の形態においては、初期化操作が行われた旨の情報と、初期化操作が行われた日時が記憶部91bに記憶されるとともに液晶表示器51に表示されるようにしたが、これに限らず、初期化操作が行われた旨の情報と、第2基板90が初期化操作コマンドを受信した受信日時が、記憶部91bに記憶されるとともに液晶表示器51に表示されるようにしてもよい。
また、本実施の形態において、図2に示したように、初期化操作があったときに、演算部41aは初期化操作コマンドを送信するようにしたが、これに限らず、演算部41aは動作試験実施コマンドを送信するようにしてもよい。ここで、動作試験実施コマンドとは、遊技機の動作確認をする試験を実施したときに送信されるコマンドである。演算部91aは、動作試験実施コマンドを受信した場合には、記憶部91bに動作確認をする試験を実施した旨の情報と発生日時を記憶させるようにしてもよい。また、演算部91aは、動作確認をする試験を実施した旨の情報と発生日時は、液晶表示器51に表示させるようにしてもよい。
[識別情報などの表示について]
本実施の形態においては、識別情報および識別情報の受信日時と、初期化操作が行われた旨の情報および発生日時とを、背景色を異ならせることで区別して表示するようにしたが、これに限らず、表示させる文字の大きさや文字の太さを異ならせることで区別して表示するようにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。