JP2019011399A - アミド化合物水溶液、アミド系重合体およびアミド系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ニトリルヒドラターゼを含む菌体および/またはその菌体処理物等を触媒として、ニトリル化合物を水和して得られるアミド化合物水溶液、およびこのアミド化合物水溶液を用いて得られる、色相に優れ、水溶性と高分子量化が両立した、品質に優れたアクリルアミド系重合体およびその重合体の製造方法を提供する。【解決手段】電気伝導度が500μS/cm以下であるアミド化合物水溶液および電気伝導度が500μS/cm以下である、不飽和結合を有するアミド化合物水溶液中のアミド化合物を重合して得られるアミド系重合体およびその重合体の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用い、ニトリル化合物を水和して得られるアミド化合物水溶液およびアミド系重合体、ならびにその重合体の製造方法に関するものである。
アミド化合物の主要な製造方法の一つとして、ニトリル化合物を原料とする水和法は多くの場合に用いられており、アクリルアミド等のアミド化合物の工業的製法としては、ラネー銅等の金属銅を触媒として用い、アクリロニトリル等のニトリル化合物を水和する方法、あるいは近年ではニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物等を触媒として用い、ニトリル化合物を水和する方法が知られている。
菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いる方法は、アクリロニトリル等のニトリル化合物の転化率および選択率が高いことから工業的に注目を浴びている。
不飽和結合を有するアミド化合物は主としてアミド系重合体の原料として用いられる。近年、アクリロニトリルを水和して得られるアクリルアミドを原料として得られるアクリルアミド系重合体には、より一層の高品質化が求められている。例えば、アクリルアミド系重合体の用途には凝集剤があるが、凝集剤として用いられるアクリルアミド系重合体は、近年、性能向上の要求に伴い、水溶性を維持しながらより一層の高分子量化が求められている。またアクリルアミド系重合体には、製紙用添加剤等の用途があるが、この製紙用添加剤としては、得られる紙の品質をさらに向上させるために、より色相の優れた重合体が求められている。
ニトリルヒドラターゼを含む菌体および/またはその菌体処理物等を触媒として得られるアクリルアミドの品質、あるいはアクリルアミド系重合体の品質を改善する方法として、例えば、特許文献1には、ニトリル化合物中の青酸濃度を化学的方法により低減させた後、ニトリル化合物にニトリルヒドラターゼを作用させるアミド化合物の製造方法が提案されている。また、特許文献2には、オキサゾール濃度が5mg/kg以下、且つ青酸濃度が1mg/kg以下であるアクリロニトリルを、酵素法により水和してアクリルアミドとし、該アクリルアミドを含むモノマーを重合するアクリルアミド系ポリマーの製造方法が提案されている。さらに、特許文献3には、水性媒体中でニトリル化合物からアミド化合物を製造する方法において、水性媒体中のベンゼン濃度が4.0ppm以下であることを特徴とするアミド化合物の製造方法が提案されている。
しかしながら、これら従来技術においては、効率的でかつ高品質のアミド化合物の製造方法としては不十分であり、未だ検討の余地が残されている。
ニトリルヒドラターゼを利用してアミド化合物を効率的に製造するにあたって、アミド系重合体の品質向上という観点から、新たなアミド化合物が要望されている。
本発明の課題は、ニトリル化合物を水和して得られるアミド化合物水溶液およびアミド系重合体ならびにその重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、電気伝導度を特定以下に低減したアミド化合物水溶液において上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕電気伝導度が500μS/cm以下であるアミド化合物水溶液。
〔2〕アミド化合物が不飽和結合を有するアミド化合物である前記〔1〕に記載のアミド化合物水溶液。
〔3〕前記〔2〕に記載の水溶液中のアミド化合物を単独重合、またはアミド化合物と共重合可能な少なくとも1種の不飽和単量体と共重合して得られるアミド系重合体。
〔4〕前記〔2〕に記載の水溶液中のアミド化合物を単独重合、またはアミド化合物と共重合可能な少なくとも1種の不飽和単量体と共重合することを特徴とするアミド系重合体の製造方法。
本願発明においては、電気伝導度を特定以下に低減したアミド化合物を用いてアミド系重合体を製造することにより、色相に優れ、水溶性と高分子量化が両立した、品質の優れたアミド系重合体を得ることができる。
以下、本発明のアミド化合物水溶液ならびにアミド系重合体およびその重合体の製造方法について説明する。
〔アミド化合物水溶液〕
本発明のアミド化合物水溶液とは、アミド化合物を含有する水溶液であり、電気伝導度が500μS/cm以下であるものである。本発明のアミド化合物水溶液の電気伝導度は、好ましくは300μS/cm以下であり、より好ましくは200μS/cm以下である。アミド化合物水溶液の電気伝導度が500μS/cmより大きい場合は、アミド系重合体を製造する際に、得られるアミド系重合体の色相や水溶性が悪化する等、品質低下が起こり好ましくない。本発明のアミド化合物水溶液の電気伝導度の下限は、目的に応じて適宜変更してよく、例えば、0.1μS/cm以上、1μS/cm以上等であってもよい。
本発明のアミド化合物水溶液とは、アミド化合物を含有する水溶液であり、電気伝導度が500μS/cm以下であるものである。本発明のアミド化合物水溶液の電気伝導度は、好ましくは300μS/cm以下であり、より好ましくは200μS/cm以下である。アミド化合物水溶液の電気伝導度が500μS/cmより大きい場合は、アミド系重合体を製造する際に、得られるアミド系重合体の色相や水溶性が悪化する等、品質低下が起こり好ましくない。本発明のアミド化合物水溶液の電気伝導度の下限は、目的に応じて適宜変更してよく、例えば、0.1μS/cm以上、1μS/cm以上等であってもよい。
アミド化合物水溶液中のアミド化合物の濃度は特に限定はされず、好ましくは、1〜99wt%、より好ましくは、5〜90wt%、さらに好ましくは、10〜60wt%である。
<アミド化合物>
アミド化合物としては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族アミド化合物、炭素数6〜20の芳香族アミド化合物が挙げられる。
アミド化合物としては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族アミド化合物、炭素数6〜20の芳香族アミド化合物が挙げられる。
脂肪族アミド化合物としては、例えば、炭素数2〜6の飽和または不飽和アミドが挙げられ;具体的には、アセトアミド、プロピルアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、ペンチルアミド、イソペンチルアミド、ヘキシルアミド等の脂肪族飽和モノアミド;マロンアミド、スクシンアミド、アジポアミド等の脂肪族飽和ジアミド;アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド等の脂肪族不飽和アミドが挙げられる。
芳香族アミド化合物としては、例えば、ベンズアミド、o−,m−またはp−クロロベンズアミド、o−,m−またはp−フルオロベンズアミド、o−,m−またはp−ニトロベンズアミド、o−,m−またはp−トルアミド、o−,m−またはp−ピリジンアミドが挙げられる。
アミド化合物の中でも、脂肪族不飽和アミド化合物が好ましく、アクリルアミド、メタクリルアミドがより好ましい。
<ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物>
本発明では、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物(以下、これらを単に「菌体触媒」ともいう。)をニトリル化合物のアミド化合物への水和触媒として用いる。
本発明では、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物(以下、これらを単に「菌体触媒」ともいう。)をニトリル化合物のアミド化合物への水和触媒として用いる。
ニトリルヒドラターゼとは、ニトリル化合物を加水分解して対応するアミド化合物を生成する能力(以下、「ニトリルヒドラターゼ活性」ともいう。)を有する酵素(たんぱく質)をいう。
ニトリルヒドラターゼを含有する菌体としては、ニトリルヒドラターゼを産生し、かつニトリル化合物およびアミド化合物の水溶液中でニトリルヒドラターゼ活性を保持している菌体であれば特に限定されない。ニトリルヒドラターゼを産生する菌体としては、ノカルディア(Nocardia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、バチルス(Bacillus)属、好熱性のバチルス属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ロドクロウス(rhodochrous)種に代表されるロドコッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属またはサーモフィラ(thermophila)種に代表されるシュードノカルディア(Pseudonocardia)属、バクテリジューム(Bacteridium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属する菌体等が挙げられる。これらは一種で用いても二種以上を併用しても良い。
また、これら菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体、および組換えDNA技術を用いて該ニトリルヒドラターゼの構成アミノ酸の一個または二個以上を他のアミノ酸で置換、欠失、削除もしくは挿入することにより、アミド化合物耐性やニトリル化合物耐性、温度耐性を更に向上させた変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体等も挙げられる。尚、ここでいう任意の宿主には、後述の実施例のように大腸菌(Escherichia coli)が代表例として挙げられるが、とくに大腸菌に限定されるものではなく枯草菌(Bacillus subtilis)等のバチルス属菌、酵母や放線菌等の他の菌株も含まれる。その様なものの例として、MT−10822〔本菌株は、1996年2月7日に茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許生物寄託センター)に受託番号FERMBP−5785として、特許手続き上の菌体の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいて寄託されている。〕が挙げられる。
これら菌体の中でも、高活性、高安定性のニトリルヒドラターゼを有するという点で、シュードノカルディア(Pseudonocardia)属に属する菌体、および該菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体、および変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体が好ましい。なお、上記形質転換体は、ニトリルヒドラターゼの安定性をより高め、菌体当たりの活性がより高い点で好ましい。
また、菌体内にニトリルヒドラターゼを高発現できる、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J−1、該菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体も同様に好ましい。上記ニトリルヒドラターゼを産生する菌体は、分子生物学・生物工学・遺伝子工学の分野において公知の一般的な方法により調製できる。
本発明に係る組換えベクターは、ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を含有するものであり、ベクターにニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を連結することにより得ることができる。ベクターとしては、特に限定されるものではなく、例えばpET-21a(+)、pKK223-3、pUC19、pBluescriptKS(+)およびpBR322等に代表される市販の発現プラスミドに、ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を組み込むことにより、該ニトリルヒドラターゼの発現プラスミドを構築することができる。また、形質転換に使用する宿主生物としては、組換えベクターが安定、かつ自己増殖可能で、さらに外来のDNAの形質が発現できるものであれば良く、例えば大腸菌が好例として挙げられるが、大腸菌だけに限らず枯草菌、酵母等に導入することにより、ニトリルヒドラターゼの産生能を有する形質転換体を得ることができる。
上述のようなニトリルヒドラターゼを産生する菌体は、公知の方法により、適宜培養し増殖させ、ニトリルヒドラターゼを産生させても良い。この場合使用される培地としては炭素源、窒素源、無機塩類およびその他の栄養素を適量含有する培地であれば合成培地または天然培地のいずれも使用可能である。例えば、LB培地、M9培地等の通常の液体培地に、菌体を植菌した後、適当な培養温度(一般的には20℃〜50℃であるが、好熱菌の場合は50℃以上でも良い。)で培養させることにより調製できる。培養は前記培養成分を含有する液体培地中で振とう培養、通気攪拌培養、連続培養、流加培養等の通常の培養方法を用いて行うことができる。形質転換体の培養温度としては、15〜37℃が好ましい。培養条件は、特に限定されるものではなく、培養の種類、培養方法により適宜選択すれば良く、菌株が生育しニトリルヒドラターゼを産生することができれば良い。
本発明では上述のニトリルヒドラターゼを産生する菌体を、ニトリル化合物と反応させるために、遠心等による集菌や、破砕し菌体破砕物を作製する等、さまざまな処理を行っても良く、これらのなんらかの処理を施した菌体を菌体処理物と総称する。
ニトリルヒドラターゼを産生する菌体を含む培養液自体を菌体触媒として用いることは可能であるが、一般に培養液は無機塩などの成分を含有していることより電気伝導度が高くなる。そのため、菌体を含む培養液そのものを菌体触媒として用いた場合には、得られるアミド化合物水溶液の電気伝導度が高くなるために好ましくない。菌体触媒から培養液の成分を減ずるために、培養液を遠心分離して分離・回収された集菌体を用いることは、得られるアミド化合物水溶液の電気伝導度を低下することができ好ましい。この集菌体を純水や生理食塩水等で洗浄したものを菌体触媒として用いることは、得られるアミド化合物水溶液の電気伝導度をさらに低下することが可能となるためより好ましい。
<ニトリル化合物>
ニトリル化合物としては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族ニトリル化合物、炭素数6〜20の芳香族ニトリル化合物が挙げられ、一種で用いても二種以上を併用しても良い。
ニトリル化合物としては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族ニトリル化合物、炭素数6〜20の芳香族ニトリル化合物が挙げられ、一種で用いても二種以上を併用しても良い。
脂肪族ニトリル化合物としては、例えば、炭素数2〜6の飽和または不飽和ニトリルが挙げられ;具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、カプロニトリル等の脂肪族飽和モノニトリル;マロノニトリル、サクシノニトリル、アジポニトリル等の脂肪族飽和ジニトリル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル等の脂肪族不飽和ニトリルが挙げられる。
芳香族ニトリル化合物としては、例えば、ベンゾニトリル、o−,m−またはp−クロロベンゾニトリル、o−,m−またはp−フルオロベンゾニトリル、o−,m−またはp−ニトロベンゾニトリル、o−,m−またはp−トルニトリル、o−,m−またはp−シアノピリジンが挙げられる。
ニトリル化合物の中でも、脂肪族不飽和ニトリルが好ましく、アクリロニトリル、メタクリロニトリルがより好ましい。
<水(原料水)>
一般に自然界の水や水道水にはカルシウムやナトリウム等の塩類成分が微量溶解しており、主にそれらの成分はイオンの状態で溶解しているため、塩類成分が溶解している水は電気伝導度が高くなる。電気伝導度が高い水を原料水として用いた場合には、得られるアミド化合物水溶液の電気伝導度が高くなるために好ましくない。本発明で用いる水の電導度は1000μS/cm以下が好ましく、500μS/cm以下がより好ましい。
一般に自然界の水や水道水にはカルシウムやナトリウム等の塩類成分が微量溶解しており、主にそれらの成分はイオンの状態で溶解しているため、塩類成分が溶解している水は電気伝導度が高くなる。電気伝導度が高い水を原料水として用いた場合には、得られるアミド化合物水溶液の電気伝導度が高くなるために好ましくない。本発明で用いる水の電導度は1000μS/cm以下が好ましく、500μS/cm以下がより好ましい。
<pH調節剤>
pH調節剤は、反応液のpHを菌体触媒の活性を良好に保つための好適な範囲に調節するために用いられる。
pH調節剤は、反応液のpHを菌体触媒の活性を良好に保つための好適な範囲に調節するために用いられる。
反応に好適なpHが7よりも小さい場合には、pH調節剤として酸を用いることができる。
pH調節剤として用いる酸としては、無機酸、有機酸のいずれも用いることができる。無機酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素、沃化水素等のハロゲン化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、次亜臭素酸、亜臭素酸、臭素酸、過臭素酸、次亜沃素酸、亜沃素酸、沃素酸、過沃素酸等のハロゲン化オキソ酸、硫酸、硝酸、燐酸、硼酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、蓚酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、安息香酸等のカルボン酸やメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。pH調節剤として用いる酸は、気体、固体、液体いずれの状態でも用いることができるが、反応槽への供給の容易性を考慮すると、液体の状態のものを用いることは好ましく、気体あるいは固体の状態の酸は水溶液として用いることはより好ましい。反応槽のpH調節の制御性を考慮すると、液体の状態の酸も水溶液として用いることはより好ましい。水溶液として用いる場合の酸の濃度は、特に制限はないが、高濃度の水溶液を用いるとpH調節が困難となるため、好ましくは0.1wt%以上99wt%以下、より好ましくは1wt%以上90wt%以下、さらに好ましくは1wt%以上50wt%以下である。
反応に好適なpHが7よりも大きい場合には、pH調節剤として塩基を用いることができる。
pH調節剤として用いる塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれも用いることができる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩、アンモニアが挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アニリン、ピリジンが挙げられる。pH調節剤として用いる塩基は、気体、固体、液体いずれの状態でも用いることができるが、反応槽への供給の容易性を考慮すると、液体の状態のものを用いることは好ましく、気体あるいは固体の状態の塩基は水溶液として用いることはより好ましい。反応槽のpH調節の制御性を考慮すると、液体の状態の塩基も水溶液として用いることはより好ましい。水溶液として用いる場合の塩基の濃度は、特に制限はないが、高濃度の水溶液を用いるとpH調節が困難となるため、好ましくは0.1wt%以上99wt%以下、より好ましくは1wt%以上90wt%以下、さらに好ましくは1wt%以上50wt%以下である。
〔アミド系重合体〕
本発明のアミド系重合体は、上述のようにして得られた不飽和結合を有するアミド化合物を単独重合、または、アミド化合物と共重合可能な少なくとも一種の不飽和単量体と共重合することにより製造できる。
本発明のアミド系重合体は、上述のようにして得られた不飽和結合を有するアミド化合物を単独重合、または、アミド化合物と共重合可能な少なくとも一種の不飽和単量体と共重合することにより製造できる。
<不飽和単量体>
不飽和結合を有するアミド化合物と共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸およびそれらの塩;
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸およびそれらの塩;
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキルアミノアルキルエステル、またはそれらの第4級アンモニウム誘導体;
N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、またはそれらの4級アンモニウム誘導体;
アセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミドなどの親水性アクリルアミド;
N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン;
ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート;
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン;
アクリルアミド;
メタクリルアミド;
N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ヘキシルアクリルアミド、N−n−ヘキシルメタクリルアミド、N−n−オクチルアクリルアミド、N−n−オクチルメタクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−n−ドデシルアクリルアミド、N−n−ドデシルメタクリルアミドなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体;
N,N−ジグリシジルアクリルアミド、N,N−ジグリシジルメタクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)アクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)メタクリルアミド、N−(5−グリシドキシペンチル)アクリルアミド、N−(6−グリシドキシヘキシル)アクリルアミドなどのN−(ω−グリシドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド誘導体;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート誘導体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
これら単量体は、一種単独で用いても良いが、二種以上併用しても良い。
不飽和結合を有するアミド化合物と共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸およびそれらの塩;
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸およびそれらの塩;
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキルアミノアルキルエステル、またはそれらの第4級アンモニウム誘導体;
N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、またはそれらの4級アンモニウム誘導体;
アセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミドなどの親水性アクリルアミド;
N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン;
ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート;
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン;
アクリルアミド;
メタクリルアミド;
N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ヘキシルアクリルアミド、N−n−ヘキシルメタクリルアミド、N−n−オクチルアクリルアミド、N−n−オクチルメタクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−n−ドデシルアクリルアミド、N−n−ドデシルメタクリルアミドなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体;
N,N−ジグリシジルアクリルアミド、N,N−ジグリシジルメタクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)アクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)メタクリルアミド、N−(5−グリシドキシペンチル)アクリルアミド、N−(6−グリシドキシヘキシル)アクリルアミドなどのN−(ω−グリシドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド誘導体;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート誘導体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
これら単量体は、一種単独で用いても良いが、二種以上併用しても良い。
<重合開始剤>
重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−アミジノプロパン)2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸ナトリウム)などのアゾ系遊離基開始剤;
上記過酸化物と重亜硫酸ナトリウム、トリエタノールアミン、硫酸第一鉄アンモニウム等の還元剤を併用するいわゆるレドックス系触媒が挙げられる。
上記過酸化物と重亜硫酸ナトリウム、トリエタノールアミン、硫酸第一鉄アンモニウム等の還元剤を併用するいわゆるレドックス系触媒が挙げられる。
上記した重合開始剤は一種単独で用いても良いが、二種以上併用しても良い。重合開始剤の量は、通常、単量体の総重量に対し、0.001〜5wt%の範囲である。
重合温度は単一重合開始剤の場合には、通常0〜120℃の範囲であり、より好ましくは5〜90℃の範囲である。また、重合温度は常に一定の温度に保つ必要はなく、重合の進行に伴い適宜変更しても良いが、通常は重合の進行に伴い、重合熱が発生して重合温度が上昇する傾向にあるため、必要に応じ、冷却する場合もある。
本発明のアミド系重合体の分子量は特に制限はないが、通常10万〜5,000万の範囲であり、好ましくは50万〜3,000万の範囲である。
この様にして得られたアミド系重合体は、水溶性と高分子量化が両立された重合体であり、しかも色相に優れたものであり、凝集剤、製紙用添加剤、石油回収剤、などとして好適に使用することができる。
〔アミド系重合体の製造方法〕
本発明のアミド系重合体の製造方法としては、例えば、水溶液重合、乳化重合などを用いることができる。
本発明のアミド系重合体の製造方法としては、例えば、水溶液重合、乳化重合などを用いることができる。
これらの中でも水溶液重合の場合は、通常、不飽和結合を有するアミド化合物と必要に応じて添加する不飽和単量体との合計濃度が5〜90重量%である。
重合時の雰囲気は特に限定はないが、重合を速やかに進行する観点からは、例えば窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で重合することが好ましい。
重合時間は特に限定はないが、通常1〜20時間の範囲である。
また重合時の水溶液のpHも特に限定はないが、必要に応じpHを調整して重合しても良い。その場合使用可能なpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどのアルカリ;
リン酸、硫酸、塩酸などの鉱酸;
蟻酸、酢酸等の有機酸などが挙げられる。
リン酸、硫酸、塩酸などの鉱酸;
蟻酸、酢酸等の有機酸などが挙げられる。
次に本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
〔ニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製〕
特開2001−340091号の実施例1に記載された方法に従い、特開平09−275978で得られたpPT−DB1プラスミドDNAを鋳型とし、特開平09−275978の実施例1表3に記載のNo.3クローン菌体を取得した。pPT−DB1プラスミドを保有する大腸菌は、MT−10822株(受託番号FERM BP−5785)として、前述のとおり特許生物寄託センターに寄託されている。
〔ニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製〕
特開2001−340091号の実施例1に記載された方法に従い、特開平09−275978で得られたpPT−DB1プラスミドDNAを鋳型とし、特開平09−275978の実施例1表3に記載のNo.3クローン菌体を取得した。pPT−DB1プラスミドを保有する大腸菌は、MT−10822株(受託番号FERM BP−5785)として、前述のとおり特許生物寄託センターに寄託されている。
高圧蒸気滅菌された0.1g/LのFeSO4、および0.05g/LのCoCl2を含むLB培地に0.1mg/Lとなるようにアンピシリンを添加した、前培養に用いる培地200mlを作製し、この培地に、上述のNo.3クローン菌体を一白菌耳植菌し、33℃の温度で前培養を行った。前培養の際の菌体の増殖量は、濁度測定法により把握をし、660nmにおける吸光度が3.0〜6.0の範囲となった時点で前培養を終了した。前培養で得られた培養液を高圧蒸気滅菌済みの表1に示す本培養に用いる培地5Lに植菌し、33℃の温度で、1.0vvmで空気を培養液内に通気しながら攪拌し、48時間本培養を行って培養液を得た。なお、本培養の培養開始より培養液のpHを監視し、pHが7.45以上となったときに500g/Lのグルコースを30分間で15ml添加している。
遠心分離(15000G×15分間)により菌体を培養液より分離し、続いて、電気伝導度10μS/cmの蒸留水5Lに該菌体を懸濁した後に、再度同条件で遠心分離を行って湿菌体を得た。
〔アクリルアミドの製造〕
最終製品として、水溶液中のアクリルアミド濃度が50重量%の製品を得るため、以下の条件で反応を行った。
最終製品として、水溶液中のアクリルアミド濃度が50重量%の製品を得るため、以下の条件で反応を行った。
第1反応器として攪拌器を備えた1Lガラス製フラスコ、第2反応器として内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブ20mを準備した。原料水の供給管、pH調節剤の供給管、アクリロニトリルの供給管および菌体触媒の供給管はそれぞれ第1反応器へ直接接続している。
第1反応器には、予め400gの電気伝導度10μS/cmの蒸留水を仕込んだ。上記菌体の調製で得られた湿菌体を電気伝導度10μS/cmの蒸留水に懸濁した。第1反応器内を撹拌しながら、この懸濁液を10g/hの速度で連続的に供給した。また、アクリロニトリルを32g/hの速度で、原料水として電気伝導度10μS/cmの蒸留水を38g/hの速度で連続的に供給した。反応中の反応液の温度は15℃となるように、第1反応器および第2反応器とも10〜20℃の温度の水浴中に浸漬し温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応pHが7.5〜8.5となるように供給量を調節し、第1反応器へ供給した。
第1反応器の液面レベルを一定に保つように、反応液を第1反応器から80g/hの速度で連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に供給して、第2反応器内でさらに反応を進行させた。
反応開始から50時間後に以下のHPLC条件にて分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10ppm以下)となった。
上記の方法で得られた反応液を、酸性下(pH=5)での活性炭処理により湿菌体を除去し、さらに、0.1M−NaOH水溶液を用いて中和を行い濃度50重量%のアクリルアミド水溶液を得た。
得られたアクリルアミド水溶液の電気伝導度を交流二電源法により測定したところ50μS/cmであった。また、第2反応器出口でのアクリルアミド濃度は53.5重量%であった。
ここで分析条件は以下のとおりであった。
・アクリルアミド分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長250nm、カラム温度40℃)
分離カラム :SCR−101H (株式会社島津製作所製)
溶離液 :0.05%(容積基準)−リン酸水溶液
・アクリロニトリル分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長200nm、カラム温度40℃)
分離カラム:Wakosil−II 5C18HG (和光純薬製)
溶離液 :7%(容積基準)−アセトニトリル、0.1mM−酢酸、
0.2mM−酢酸ナトリウムを各濃度で含有する水溶液
・アクリルアミド分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長250nm、カラム温度40℃)
分離カラム :SCR−101H (株式会社島津製作所製)
溶離液 :0.05%(容積基準)−リン酸水溶液
・アクリロニトリル分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長200nm、カラム温度40℃)
分離カラム:Wakosil−II 5C18HG (和光純薬製)
溶離液 :7%(容積基準)−アセトニトリル、0.1mM−酢酸、
0.2mM−酢酸ナトリウムを各濃度で含有する水溶液
〔アクリルアミド系重合体の製造〕
上記の方法で得られたアクリルアミド水溶液に水を加えて濃度20wt%の重合用アクリルアミドサンプルとした。この20wt%重合用アクリルアミドサンプル500gを1Lポリエチレン容器に入れ、18℃に保ちながら、窒素を通じて液中の溶存酸素を除き、直ちに、発泡スチロール製の保温用ブロックの中に入れた。
上記の方法で得られたアクリルアミド水溶液に水を加えて濃度20wt%の重合用アクリルアミドサンプルとした。この20wt%重合用アクリルアミドサンプル500gを1Lポリエチレン容器に入れ、18℃に保ちながら、窒素を通じて液中の溶存酸素を除き、直ちに、発泡スチロール製の保温用ブロックの中に入れた。
ついで、200×10-6mpm(アクリルアミドに対するモル比)の4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸ナトリウム)、200×10-6mpmのジメチルアミノプロピオニトリル、および80×10-6mpmの過硫酸アンモニウムを各々小量の水に溶解して、この順序に1Lポリエチレン容器中に素早く注入した。これらの試薬には、予め窒素ガスを通じておき、また、注入およびその前後には、上記ポリエチレン容器にも少量の窒素ガスを通じ、酸素ガスの混入を防止した。
試薬を注入すると、数分間の誘導期の後、ポリエチレン容器の内部の温度が上昇するのが認められたので窒素ガスの供給をとめた。約100分間、保温用ブロック中で、そのままの状態でポリエチレン容器を保持したところ、ポリエチレン容器の内部の温度が約70℃に達した。そこで、ポリエチレン容器を保温用ブロックから取り出し、97℃の水に2時間浸漬し、さらに重合反応を進めた。その後冷水に浸漬して冷却し、重合反応を停止した。
このようにして得られたアクリルアミドポリマーの含水ゲルをポリエチレン容器から取り出し、小塊にわけ、肉挽器ですりつぶした。このすりつぶしたアクリルアミドポリマーの含水ゲルを、100℃の熱風で2時間乾燥した後に、高速回転刃粉砕器で粉砕して乾燥粉末状のアクリルアミドポリマーを得た。得られた乾燥粉末状のアクリルアミドポリマーを篩にかけ、32〜42メッシュのものを分取し、以後の試験に供するポリマーサンプルとした。
[実施例2]
実施例1のアクリルアミドの製造において、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製で得られた湿菌体を電気伝導度10μS/cmの純水に懸濁する代わりに、電気伝導度180μS/cmの水道水に懸濁した以外は、実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。すなわち、実施例1と同様の反応装置を用い、第1反応器には、予め400kgの電気伝導度10μS/cmの蒸留水を仕込んだ。実施例1のニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製に記載の培養方法で得られた湿菌体を電気伝導度180μS/cmの水道水に懸濁した。第1反応器内を撹拌しながら、この懸濁液を10g/hの速度で連続的に供給した。また、アクリロニトリルを32g/hの速度で、原料水として電気伝導度10μS/cmの蒸留水を38g/hの速度で連続的に供給した。反応中の反応液の温度は15℃となるように、第1反応器および第2反応器とも10〜20℃の温度の水浴中に浸漬し温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応液のpHが7.5〜8.5となるように供給量を調節し、第1反応器へ供給した。
実施例1のアクリルアミドの製造において、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製で得られた湿菌体を電気伝導度10μS/cmの純水に懸濁する代わりに、電気伝導度180μS/cmの水道水に懸濁した以外は、実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。すなわち、実施例1と同様の反応装置を用い、第1反応器には、予め400kgの電気伝導度10μS/cmの蒸留水を仕込んだ。実施例1のニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製に記載の培養方法で得られた湿菌体を電気伝導度180μS/cmの水道水に懸濁した。第1反応器内を撹拌しながら、この懸濁液を10g/hの速度で連続的に供給した。また、アクリロニトリルを32g/hの速度で、原料水として電気伝導度10μS/cmの蒸留水を38g/hの速度で連続的に供給した。反応中の反応液の温度は15℃となるように、第1反応器および第2反応器とも10〜20℃の温度の水浴中に浸漬し温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応液のpHが7.5〜8.5となるように供給量を調節し、第1反応器へ供給した。
第1反応器の液面レベルを一定に保つように、反応液を第1反応器から80g/hの速度で連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に供給して、第2反応器内でさらに反応を進行させた。
反応開始から50時間後にHPLC条件にて分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が94%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。また、第2反応器出口でのアクリルアミド濃度は53.1重量%であった。
上記の方法で得られた反応液を、酸性下(pH=5)での活性炭処理により湿菌体を除去し、さらに、0.1M−NaOH水溶液を用いて中和を行い濃度50重量%のアクリルアミド水溶液を得た。
得られたアクリルアミド水溶液の電気伝導度を交流二電源法により測定したところ70μS/cmであった。
実施例1のアクリルアミド系重合体の製造と同様にしてアクリルアミド系重合体の製造を行った。得られたアクリルアミドポリマーの含水ゲルを実施例1と同様の処理を行い、以後の試験に供するポリマーサンプルとした。
[実施例3]
実施例1のアクリルアミドの製造において、原料水として電気伝導度10μS/cmの蒸留水を使用する代わりに、電気伝導度180μS/cmの水道水を使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。すなわち、実施例1と同様の反応装置を用い、第1反応器には、予め400kgの電気伝導度180μS/cmの水道水を仕込んだ。実施例1のニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製に記載の培養方法で得られた湿菌体を電気伝導度10μS/cmの蒸留水に懸濁した。第1反応器内を撹拌しながら、この懸濁液を10g/hの速度で連続的に供給した。また、アクリロニトリルを32g/hの速度で、原料水として電気伝導度180μS/cmの水道水を38g/hの速度で連続的に供給した。反応中の反応液の温度は15℃となるように、第1反応器および第2反応器とも10〜20℃の温度の水浴中に浸漬し温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応液のpHが7.5〜8.5となるように供給量を調節し、第1反応器へ供給した。
実施例1のアクリルアミドの製造において、原料水として電気伝導度10μS/cmの蒸留水を使用する代わりに、電気伝導度180μS/cmの水道水を使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。すなわち、実施例1と同様の反応装置を用い、第1反応器には、予め400kgの電気伝導度180μS/cmの水道水を仕込んだ。実施例1のニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製に記載の培養方法で得られた湿菌体を電気伝導度10μS/cmの蒸留水に懸濁した。第1反応器内を撹拌しながら、この懸濁液を10g/hの速度で連続的に供給した。また、アクリロニトリルを32g/hの速度で、原料水として電気伝導度180μS/cmの水道水を38g/hの速度で連続的に供給した。反応中の反応液の温度は15℃となるように、第1反応器および第2反応器とも10〜20℃の温度の水浴中に浸漬し温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応液のpHが7.5〜8.5となるように供給量を調節し、第1反応器へ供給した。
第1反応器の液面レベルを一定に保つように、反応液を第1反応器から80g/hの速度で連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に供給して、第2反応器内でさらに反応を進行させた。
反応開始から50時間後にHPLC条件にて分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が94%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。また、第2反応器出口でのアクリルアミド濃度は52.8重量%であった。
上記の方法で得られた反応液を、酸性下(pH=5)での活性炭処理により湿菌体を除去し、さらに、0.1M−NaOH水溶液を用いて中和を行い濃度50重量%のアクリルアミド水溶液を得た。
得られたアクリルアミド水溶液の電気伝導度を交流二電源法により測定したところ150μS/cmであった。
実施例1のアクリルアミド系重合体の製造と同様にしてアクリルアミド系重合体の製造を行った。得られたアクリルアミドポリマーの含水ゲルを実施例1と同様の処理を行い、以後の試験に供するポリマーサンプルとした。
[比較例]
実施例1のニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製において、本培養により得られた培養液から遠心分離により菌体を分離し、続いて、電気伝導度10μS/cmの純水5Lに該菌体を懸濁した後に、再度同条件で遠心分離を行う代わりに、本培養により得られた培養液から菌体を分離することなく培養液をそのまま菌体の懸濁液をして使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。すなわち、実施例1と同様の反応装置を用い、第1反応器には、予め400gの電気伝導度10μS/cmの蒸留水を仕込んだ。第1反応器内を撹拌しながら、実施例1のニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製に記載の培養方法で得られた培養液を菌体の懸濁液として10g/hの速度で連続的に供給した。また、アクリロニトリルを32g/hの速度で、原料水として電気伝導度10μS/cmの蒸留水を38g/hの速度で連続的に供給した。反応中の反応液の温度は15℃となるように、第1反応器および第2反応器とも10〜20℃の温度の水浴中に浸漬し温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応液のpHが7.5〜8.5となるように供給量を調節し、第1反応器へ供給した。
実施例1のニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製において、本培養により得られた培養液から遠心分離により菌体を分離し、続いて、電気伝導度10μS/cmの純水5Lに該菌体を懸濁した後に、再度同条件で遠心分離を行う代わりに、本培養により得られた培養液から菌体を分離することなく培養液をそのまま菌体の懸濁液をして使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。すなわち、実施例1と同様の反応装置を用い、第1反応器には、予め400gの電気伝導度10μS/cmの蒸留水を仕込んだ。第1反応器内を撹拌しながら、実施例1のニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製に記載の培養方法で得られた培養液を菌体の懸濁液として10g/hの速度で連続的に供給した。また、アクリロニトリルを32g/hの速度で、原料水として電気伝導度10μS/cmの蒸留水を38g/hの速度で連続的に供給した。反応中の反応液の温度は15℃となるように、第1反応器および第2反応器とも10〜20℃の温度の水浴中に浸漬し温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応液のpHが7.5〜8.5となるように供給量を調節し、第1反応器へ供給した。
第1反応器の液面レベルを一定に保つように、反応液を第1反応器から80g/hの速度で連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に供給して、第2反応器内でさらに反応を進行させた。
反応開始から50時間後にHPLC条件にて分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が92%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。また、第2反応器出口でのアクリルアミド濃度は52.4重量%であった。
上記の方法で得られた反応液を、酸性下(pH=5)での活性炭処理により湿菌体を除去し、さらに、0.1M−NaOH水溶液を用いて中和を行い濃度50重量%のアクリルアミド水溶液を得た。
得られたアクリルアミド水溶液の電気伝導度を交流二電源法により測定したところ700μS/cmであった。
実施例1のアクリルアミド系重合体の製造と同様にしてアクリルアミド系重合体の製造を行った。得られたアクリルアミドポリマーの含水ゲルを実施例1と同様の処理を行い、以後の試験に供するポリマーサンプルとした。
<アクリルアミドポリマーの試験法>
上記実施例1〜3および比較例で得られたポリマーサンプルの水溶性の評価および色調の評価を以下の方法で行った。
上記実施例1〜3および比較例で得られたポリマーサンプルの水溶性の評価および色調の評価を以下の方法で行った。
水溶性:水溶性は、1Lビーカーに水600mlを入れ、定められた形状の攪拌羽根を用いて25℃で攪拌しながらポリマーサンプル0.66g(純分0.6g)を添加し、400rpmで2時間攪拌を行い、得られた溶液を150メッシュの金網で濾過し、不溶解分の多少と濾過性から、水溶性を判断した。即ち、完溶のものを◎、完溶に近いものを○、不溶解分があるが、それを濾別する事ができるものを△、濾液の通過が遅く、不溶解分の濾過が事実上できないものを×とした。
色調:ポリマーの色調についてはポリマー粉体を目視で評価した。
色調:ポリマーの色調についてはポリマー粉体を目視で評価した。
評価結果を表2に示した。
Claims (4)
- 電気伝導度が500μS/cm以下であるアミド化合物水溶液。
- アミド化合物が不飽和結合を有するアミド化合物である請求項1に記載のアミド化合物水溶液。
- 請求項2に記載の水溶液中のアミド化合物を単独重合、またはアミド化合物と共重合可能な少なくとも1種の不飽和単量体と共重合して得られるアミド系重合体。
- 請求項2に記載の水溶液中のアミド化合物を単独重合、またはアミド化合物と共重合可能な少なくとも1種の不飽和単量体と共重合することを特徴とするアミド系重合体の製造方法。
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