JP2019011279A - 下痢抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、生薬成分を有効成分とし、動物性油脂を含む食べ物の摂取によって生じる下痢の抑制効果を有する下痢抑制剤の提供を目的とする。【解決手段】ハンゲ、オウゴン、カンキョウ及び/又はショウキョウ、ニンジン、カンゾウ、タイソウ、並びにオウレンを含有する混合生薬の抽出物を含有する下痢抑制剤は、動物性油脂の摂取により生じる下痢を抑制することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、動物性油脂の摂取により生じる下痢を抑制する作用を有する医薬組成物に関する。
下痢は、糞便中の水分量が異常に増加し、水様性状の下痢便を排泄するようになる症状をいい、下痢便の排出とともに、腹痛や腹部不快感などの症状を伴う。下痢は、急性下痢と慢性下痢とに大別される。このうち、急性下痢としては、浸透圧性下痢、滲出性下痢、蠕動運動性下痢、及び分泌性下痢といった、それぞれ発生メカニズムの異なる病型が知られている。
浸透圧性下痢は、浸透圧(水分を取り込もうとする力)が高い食べ物を摂取することでその水分をうまく吸収できない結果、便が水分を多く含んだ状態で排出されることによって生じる。滲出性下痢は、腸の中で炎症を起こすことで腸管粘膜から血液や血漿、血清蛋白などの浸出液が出された結果、腸の中の水分が多くなることによって生じる。蠕動運動性下痢は、何らかの原因で腸の蠕動運動が活発になった結果、便の水分が十分に吸収されないまま排出されることによって生じる。分泌性下痢は、細菌の毒素やホルモンバランスの影響で腸内の分泌が高くなった結果、腸の中の分泌成分が多くなることによって生じる。
急性下痢が起こる要因としては非感染性のものと感染性のものとがある。非感染性要因としては、暴飲暴食や、アレルギー性の特定の食べ物、乳糖不耐症者にとっての乳製品、多量の人工甘味料、及びアルコールの摂取などが挙げられ、さらに、動物性油脂を含む食べ物の摂取も挙げられる。感染性要因としては、腸炎ビブリオ、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、カンピロバクターなどの細菌、腸管出血性大腸菌O-157、ボツリヌス菌、セレウス菌、コレラなどの毒素ノロウイルス、ロタウイルスなどのウイルスが挙げられる。
下痢を治療するための薬、つまり止瀉薬として、天然由来成分を有効成分とする止瀉薬が知られている。例えば木クレオソートは代表的な止瀉薬である。その他にも、カメガシワ(Mallotus japonicus)およびその抽出物からなる群より選択される少なくとも一種にオキセサゼインを含有した止瀉薬(特許文献1参照)、柴胡桂枝湯エキスに痛止め剤を含有した止瀉薬(特許文献2参照)等が挙げられる。
特開2007−145731号公報 特開2016−074658号公報
急性下痢のうち、動物性油脂を含む食べ物の摂取によって生じる下痢については、その要因となる食べ物が日常の食事に占め得る割合が高いため、アレルギー性の特定の食べ物、乳糖不耐症者にとっての乳製品、人工甘味料、及びアルコール等と異なり、要因の排除が困難である。そして、近年の、動物性油脂を含む食品の摂取傾向が高いことに鑑みると、その要因の排除はなおさら困難となっている。加えて、動物性油脂を含む食べ物の摂取によって生じる下痢がしばしば激しい腹痛症状を伴うことに鑑みると、当該下痢が招くQOLの著しい悪化の問題は非常に深刻である。
天然由来成分を有効成分とする従来の止瀉薬は、例えば木クレオソートの場合、下痢に伴って生じた腹痛症状を改善する効果が十分でない。したがって、木クレオソートでは上述の問題は十分に改善することはできない。また、特許文献1や特許文献2に記載の止瀉薬は、オキセサゼイン(局所麻酔剤)、痛み止めといった鎮痛作用のある合成薬を配合する必要があり、生薬成分そのものには上述の問題を十分に改善できる作用はない。
本発明者は、上述の深刻な問題に対応するために、下痢及びそれに伴う腹痛症状等が生じた後ではなく、生薬成分を用いて下痢の発生を効果的に抑制することで、腹痛症状等の本来下痢に付随する症状も抑制する投薬技術に着目した。しかしながら、そのような優れた下痢抑制効果を有する生薬成分については知られていない。
そこで本発明は、生薬成分を有効成分とし、動物性油脂を含む食べ物の摂取によって生じる下痢の抑制効果を有する下痢抑制剤の提供を目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、動物性油脂を含む食べ物の摂取によって生じる下痢が、浸透圧性下痢、滲出性下痢、及び蠕動運動性下痢を生じるメカニズムが複合的に関与することにより生じることを見出した。そして、動物性油脂を含む食べ物の摂取によって生じる下痢の抑制が、ハンゲ、オウゴン、カンキョウ及び/又はショウキョウ、ニンジン、カンゾウ、タイソウ、並びにオウレンを含有する混合生薬の抽出物によって可能となることを見出した。本発明はこのような知見に基づいてさらに研究を重ねた結果完成されたものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 動物性油脂の摂取により生じる下痢を抑制するために使用される剤であって、
ハンゲ、オウゴン、カンキョウ及び/又はショウキョウ、ニンジン、カンゾウ、タイソウ、並びにオウレンを含有する混合生薬の抽出物を含有する、下痢抑制剤。
項2. 動物性油脂の摂取の前に服用する、項1に記載の下痢抑制剤。
項3. 前記混合生薬が、ハンゲ4〜6重量部、オウゴン2.5〜3重量部、ショウキョウ2〜3重量部、ニンジン2.5〜3重量部、カンゾウ2.5〜3重量部、タイソウ2.5〜3重量部及びオウレン1重量部を含有する、項1又は2に記載の下痢抑制剤。
項4. 前記混合生薬が、ハンゲ5重量部、オウゴン2.5重量部、カンキョウ2.5重量部、ニンジン2.5重量部、カンゾウ2.5〜3.5重量部、タイソウ2.5重量部及びオウレン1重量部を含有する、項1又は2に記載の下痢抑制剤。
項5、 前記混合生薬が、ハンゲ4〜8重量部、オウゴン1.8〜4重量部、カンキョウ0.6〜2重量部、ニンジン1.8〜4重量部、カンゾウ1.8〜4重量部、タイソウ1.8〜4重量部、オウレン0.6〜1重量部及びショウキョウ2〜4重量部を含有する、項1又は2に記載の下痢抑制剤。
本発明の下痢抑制剤によると、特定の混合生薬成分により、動物性油脂を含む食べ物の摂取によって生じる下痢を抑制することができる。
下痢抑制剤
本発明の動物性油脂の摂取により生じる下痢を抑制する下痢抑制剤は、ハンゲ、オウゴン、カンキョウ及び/又はショウキョウ、ニンジン、カンゾウ、タイソウ、並びにオウレンを含有する混合生薬の抽出物を含有する。以下、本発明の構成について説明する。
混合生薬の抽出物
混合生薬の抽出物は、ハンゲ、オウゴン、カンキョウ及び/又はショウキョウ、ニンジン、カンゾウ、タイソウ、並びにオウレンを含有する。混合生薬を構成する各生薬の混合比は、特に制限されないが、通常、原料生薬乾燥重量基準で、ハンゲ4〜8重量部、オウゴン1.8〜4重量部、カンキョウ0.6〜2.5重量部、ショウキョウ2〜4重量部、ニンジン1.8〜4重量部、カンゾウ1.8〜4重量部、タイソウ1.8〜4重量部、オウレン0.6〜1重量部が挙げられる。
混合生薬の好ましい例としては、ハンゲ、オウゴン、ショウキョウ、ニンジン、カンゾウ、タイソウ及びオウレンを含有する混合生薬が挙げられる。この場合において各生薬の混合比は、特に制限されないが、ハンゲ4〜6重量部、オウゴン2.5〜3重量部、ショウキョウ2〜3重量部、ニンジン2.5〜3重量部、カンゾウ2.5〜3重量部、タイソウ2.5〜3重量部及びオウレン1重量部が挙げられる。
混合生薬の好ましい他の例としては、ハンゲ、オウゴン、カンキョウ、ニンジン、カンゾウ、タイソウ及びオウレンを含有する混合生薬が挙げられる。この場合において各生薬の混合比は、特に制限されないが、通常、ハンゲ5重量部、オウゴン2.5重量部、カンキョウ2.5重量部、ニンジン2.5重量部、カンゾウ2.5〜3.5重量部、タイソウ2.5重量部及びオウレン1重量部が挙げられる。
混合生薬の好ましいさらに他の例としては、ハンゲ、オウゴン、カンキョウ、ニンジン、カンゾウ、タイソウ、オウレン及びショウキョウを含有する混合生薬が挙げられる。この場合において各生薬の混合比は、特に制限されないが、通常、ハンゲ4〜8重量部、オウゴン1.8〜4重量部、カンキョウ0.6〜2重量部、ニンジン1.8〜4重量部、カンゾウ1.8〜4重量部、タイソウ1.8〜4重量部、オウレン0.6〜1重量部及びショウキョウ2〜4重量部が挙げられる。
本発明における混合生薬の抽出物は、上記の生薬の混合物を抽出処理することにより得られる抽出液から溶媒留去して得られる濃縮液、若しくは抽出液又は濃縮液を乾燥処理に供して得られる乾燥エキス末である。混合生薬の抽出処理に使用される抽出溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水;エタノール、酢酸等の有機溶剤;及びこれらの混合液が挙げられる。
混合生薬の抽出条件としては、特に制限されないが、例えば、混合生薬の総重量(原料生薬乾燥重量換算)に対して、5〜25倍量、好ましくは10〜20倍量の抽出溶媒を加え、通常70〜100℃で30分〜2時間して加熱煎出する方法が挙げられる。
こうして得られた混合生薬の抽出液について、ろ過等により固形分を除去し、必要に応じて、濃縮した後に、乾燥処理に供される。漢方の抽出液又はその濃縮液の乾燥方法としては、特に制限されず、例えば、スプレードライ、減圧濃縮乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。これらの乾燥方法の中でも、スプレードライ法が好適である。
混合生薬の抽出液を乾燥処理(特に、スプレードライによる乾燥処理)に供する場合、混合生薬の抽出液に賦形剤を添加することが望ましい。このように賦形剤を添加することにより、乾燥時間を短縮すると共に、乾燥後の抽出物(エキス末)の吸湿性を低減させることも可能になる。混合生薬の抽出液の乾燥処理に際して添加される賦形剤としては、薬学的に許容されるものである限り、特に制限されず、例えば、無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、酸化チタン等の無機賦形剤;セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等のデンプン類、デキストリン、ゼラチン等が挙げられる。これらの賦形剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
混合生薬の抽出液の乾燥処理に際して添加される賦形剤の量(即ち、混合生薬の抽出物に含まれる賦形剤量)としては、特に制限されるものではないが、例えば、混合生薬の抽出液の乾燥重量100重量部当たり、賦形剤が5〜70重量部、好ましくは20〜50重量部が挙げられる。
また、本発明の錠剤組成物において混合生薬の抽出物の含有量は、本発明の効果が得られる限り限定されないが、本発明の下痢抑制剤中、抽出物の乾燥重量換算で10〜80重量%、好ましくは35〜80重量%、より好ましくは45〜80重量%である。なお、混合生薬の抽出物の含有量とは、混合生薬由来成分の量であり、例えば、混合生薬の抽出液の乾燥処理に際して賦形剤が添加された場合は、混合生薬の抽出物に含まれる賦形剤量を除いて換算される値である。
その他の含有成分
本発明の下痢抑制剤には、上述の混合生薬の抽出物以外に、必要に応じて、他の薬理成分を含んでいてもよい。このような薬理成分の種類については、特に制限されないが、例えば、制酸剤、健胃剤、消化剤、整腸剤、鎮痙剤、粘膜修復剤、抗炎症剤、収れん剤、鎮吐剤、鎮咳剤、去痰剤、消炎酵素剤、鎮静催眠剤、抗ヒスタミン剤、カフェイン類、強心利尿剤、抗菌剤、血管収縮剤、血管拡張剤、局所麻酔剤、生薬、生薬エキス末(上述の混合生薬の抽出物を除く)、ビタミン類、メントール類等が挙げられる。これらの薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの薬理成分の含有量については、使用する薬理成分の種類や下痢抑制剤の剤型等に応じて適宜設定すればよい。
本発明の下痢抑制剤には、所望の剤型に調製するために、必要に応じて、薬学的に許容される基剤や添加剤等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、等張化剤、可塑剤、分散剤、乳化剤、溶解補助剤、湿潤化剤、安定化剤、懸濁化剤、粘着剤、コーティング剤、光沢化剤、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、低級アルコール類、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、矯味剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの基剤や添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの基剤や添加剤の含有量については、使用する添加成分の種類や下痢抑制剤の剤型等に応じて適宜設定すればよい。
なお、本発明の下痢抑制剤においては、副作用の観点及び/又は動物性油脂の摂取の前の服用が推奨される等の観点から、合成薬物、特に痛み止め作用を有する合成薬物を実質的に含まないことが好ましい。痛み止め作用を有する合成薬物は、痛みを伝える痛覚伝導路の少なくとも1カ所において、痛覚の伝導を遮断することによって、大脳皮質の知覚領の感受性を低下し痛みを抑える化学合成品である。本発明の下痢抑制剤に実質的に含まれないことが好ましい痛み止めの合成薬物としては、特に制限されないが、例えば、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェン、アスピリン、アスピリンアルミニウム、ジクロフェナク、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、ラクチルフェネチジン、サリチル酸、アミノピリン、アンチピリン、イソプロピルアンチピリン、ラクチルフェネジン、トルフェナム酸、メフェナム酸、オキシフェンブタゾン、クロフェゾン、スルピリン、フェニルブタゾン、メタミゾール、クロフェゾン、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、スルピリン、アセメタシン、トルメチン等の解熱消炎鎮痛薬;リドカイン、オキセサゼイン等の局所麻酔剤等が挙げられる。なお、上述の化合物には、塩、無水物、及び水和物の形態のものも挙げられる。
投与形態・剤型・用途
本発明の下痢抑制剤の投与形態としては、経口投与(内服)又は経腸投与が挙げられるが、好ましくは経口投与である。
本発明の下痢抑制剤の剤型については、前記投与形態に適用可能であることを限度として特に制限されず、固形状、半固形状、又は液体状のいずれであってもよい。具体的には、本発明の下痢抑制剤の剤型として、錠剤、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)、散剤、顆粒剤(ドライシロップを含む)等の固体状製剤;ゼリー剤等の半固形状製剤;液剤、懸濁剤、シロップ剤等の液体状製剤が挙げられ、これらの剤型の中でも、含有成分の安定性や携帯性等の観点から、好ましくは、錠剤、顆粒剤、散剤などの乾燥固形状製剤が挙げられる。
本発明の下痢抑制剤を前記剤型に調製するには、上述の混合生薬の抽出物、及び必要に応じて添加される薬理成分、基剤、及び添加剤を用いて、医薬分野で採用されている通常の製剤化手法に従って製剤化すればよい。
本発明の下痢抑制剤は、動物性油脂の摂取により生じる下痢を抑制する(予防する)目的で使用される。本発明の下痢抑制剤によると、含有されている混合生薬の抽出物による複数の作用が働き、当該下痢を抑制することができる。本発明の下痢抑制剤は、特に下痢の発生を抑制することに優れ、例えば、摂取した脂肪分の消化を促進するために胆汁分泌等を促進し、それによって腸内で浸透圧上昇を抑え、また腸内での水分吸収を亢進し、その結果、浸透圧性下痢の症状の発生を抑える。また、腸粘膜を保護することで炎症を抑えるとともに過度の蠕動運動を抑制し、その結果、滲出性下痢の症状の発生及び蠕動運動性下痢の症状の発生を抑える。これらの下痢の症状の発生を予め抑えることで、当該下痢に伴って本来的に生じる腹痛等の症状も抑制することができる。
下痢を生じさせる動物性油脂としては、 動物の体内に主に含まれている脂肪であれば特に限定されず、牛脂、豚脂、鶏脂、魚脂等が挙げられる。動物性油脂の摂取態様としては特に限定されず、牛、豚、鶏、魚などの各種部位の焼肉、煮込み肉、蒸肉等の肉料理食品の摂取、豚骨系ラーメン、動物性油脂を用いた揚げ物、動物性油脂を調味料とする食品等の油脂料理食品の摂取等が挙げられる。
本発明の下痢抑制剤は、食前又は食間であれば、特に制限されず、いずれのタイミングで服用することもできるが、動物性油脂の摂取により生じる下痢が発生する前であることが好ましい。当該下痢が発生する前としては、動物性油脂の摂取を行う前及び動物性油脂の摂取を行った後のいずれも問わないが、本発明の下痢抑制効果をより良好に得る観点から、動物性油脂の摂取を行う前が好ましい。
本発明の下痢抑制剤の投与量については、使用する生薬混合物の抽出物の種類、剤型、患者の年齢、想定される下痢症状の程度等に応じて適宜設定されるが、例えば、1回当たりの投与量(大人一人(体重60kg)に対する1回あたりの投与量)として、前記の生薬混合物の抽出物の原料生薬乾燥換算量で200〜5000mg、好ましくは
500〜3000mgとなる量が挙げられる。また、1日当たりの投与回数としては、動物性油脂の摂取を行う毎に投与すればよく、例えば1回以上、好ましくは1〜3回が挙げられる。
以下に試験例及び処方例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
試験例
混合生薬の抽出物
混合生薬の抽出物として、以下の混合生薬エキスを用意した。混合生薬エキスは、原料生薬乾燥重量に換算して、ハンゲ5重量部、オウゴン2.5重量部、ショウキョウ2.5重量部、ニンジン2.5重量部、カンゾウ2.5重量部、タイソウ2.5重量部及びオウレン1重量部を、水20倍重量(560重量部)を用いて約100℃で1時間抽出し、遠心分離して抽出液を得、減圧下で濃縮してスプレードライを用いて乾燥したものである。なお、スプレードライヤーによる乾燥は、抽出液を回転数10000rpmのアトマイザーに落下させ、150℃の空気の熱風を供給して行った。
下痢抑制剤等
表1に示す組成の製剤(錠剤)を調製した。実施例1は、本発明の混合生薬の抽出物を有効成分として含む下痢抑制剤、比較例1は有効成分を含まないプラセボ、比較例2は木クレオソート有効成分として含む止瀉薬である。
被験者
普段、豚骨ラーメンや焼肉などの動物性脂質を多く含む物を食べると、下痢をする人9名に協力を得た。これら被験者に、普段であれば下痢になる程度の動物性脂質を含む食事をしてもらった。
試験方法
表1に示す各製剤について、それぞれの用法に従い服用し、食事後24時間以内における下痢症状(下痢およびそれに伴う腹痛症状)を評価した。なお、用法としては、実施例1の製剤(下痢抑制剤)及び比較例1の製剤(プラセボ)は食事の30分前に服用し、比較例1の製剤(木クレオソート剤)は食後すぐに服用するものとした。
評価方法
食事後24時間以内の下痢の症状の如何について、以下の評価基準に基づいて5点満点で採点し、被験者9名による評価点の合計点を求めた。
1点 つらい
2点 ややつらい
3点 どちらともいえない
4点 ほとんどつらくない
5点 つらくない
結果を表1に示す。混合生薬エキスを含まないプラセボ(比較例1)によると、ほとんどの被験者がつらい下痢及びそれに伴う腹痛症状に見舞われ、合計点がわずか12点であった。また、下痢に対し有効とされている木クレオソート剤(比較例2)によると、下痢症状の多少の緩和がみられるもののその程度は不完全であって効果的とはいえず、わずか20点にとどまった。これに対し、混合生薬エキスを含む下痢抑制剤(実施例1)によると、9名全員でほぼ下痢症状が無く、合計点が42点となった。つまり、下痢の症状が発生する前に下痢抑制剤を服用することで、下痢及びそれに伴う腹痛症状を効果的に抑制できたことが示された。
Figure 2019011279
製剤例
表2に示す処方の下痢抑制剤を調製した。混合生薬エキスAは、混合生薬の抽出物であり、原料生薬乾燥重量に換算して、ハンゲ5重量部、オウゴン2.5重量部、ショウキョウ2.5重量部、ニンジン2.5重量部、カンゾウ2.5重量部、タイソウ2.5重量部及びオウレン1重量部を、水20倍重量(560重量部)を用いて約100℃で1時間抽出し、遠心分離して抽出液を得、減圧下で濃縮してスプレードライを用いて乾燥したものである。なお、混合生薬エキスA調製時のスプレードライヤーによる乾燥は、抽出液を回転数10000rpmのアトマイザーに落下させ、150℃の空気の熱風を供給して行った。混合生薬エキスBは、混合生薬の抽出物であり、原料生薬乾燥重量に換算して、ハンゲ5重量部、オウゴン2.5重量部、カンキョウ2.5重量部、ニンジン2.5重量部、カンゾウ3.5重量部、タイソウ2.5重量部及びオウレン1重量部を、水20倍重量(560重量部)を用いて約100℃で1時間抽出し、遠心分離して抽出液を得、減圧下で濃縮してスプレードライを用いて乾燥したものである。なお、混合生薬エキスB調製時のスプレードライヤーによる乾燥は、抽出液を回転数10000rpmのアトマイザーに落下させ、150℃の空気の熱風を供給して行った。混合生薬エキスCは、混合生薬の抽出物であり、原料生薬乾燥重量に換算して、ハンゲ5重量部、オウゴン2.5重量部、ニンジン2.5重量部、カンゾウ2.5重量部、タイソウ2.5重量部、オウレン1重量部、カンキョウ1.5重量部、及びショウキョウ2重量部を、水20倍重量(560重量部)を用いて約100℃で1時間抽出し、遠心分離して抽出液を得、減圧下で濃縮してスプレードライを用いて乾燥したものである。なお、混合生薬エキスC調製時のスプレードライヤーによる乾燥は、スプレードライヤーによる乾燥は、抽出液を回転数10000rpmのアトマイザーに落下させ、150℃の空気の熱風を供給して行った。いずれの処方例の下痢抑制剤によっても、下痢症状を効果的に抑制することができた。
Figure 2019011279

Claims (5)

  1. 動物性油脂の摂取により生じる下痢を抑制するために使用される剤であって、
    ハンゲ、オウゴン、カンキョウ及び/又はショウキョウ、ニンジン、カンゾウ、タイソウ、並びにオウレンを含有する混合生薬の抽出物を含有する、下痢抑制剤。
  2. 動物性油脂の摂取の前に服用する、請求項1に記載の下痢抑制剤。
  3. 前記混合生薬が、ハンゲ4〜6重量部、オウゴン2.5〜3重量部、ショウキョウ2〜3重量部、ニンジン2.5〜3重量部、カンゾウ2.5〜3重量部、タイソウ2.5〜3重量部及びオウレン1重量部を含有する、請求項1又は2に記載の下痢抑制剤。
  4. 前記混合生薬が、ハンゲ5重量部、オウゴン2.5重量部、カンキョウ2.5重量部、ニンジン2.5重量部、カンゾウ2.5〜3.5重量部、タイソウ2.5重量部及びオウレン1重量部を含有する、請求項1又は2に記載の下痢抑制剤。
  5. 前記混合生薬が、ハンゲ4〜8重量部、オウゴン1.8〜4重量部、カンキョウ0.6〜2重量部、ニンジン1.8〜4重量部、カンゾウ1.8〜4重量部、タイソウ1.8〜4重量部、オウレン0.6〜1重量部及びショウキョウ2〜4重量部を含有する、請求項1又は2に記載の下痢抑制剤。
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