JP2019009620A - 電子制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】通信効率を向上することができる電子制御装置を提供する。【解決手段】上位ECU1(電子制御装置)は、少なくとも演算回路11、通信回路12、EPROM13(メモリ)を備える。通信回路12は、バス配線2(バス)に接続され、固有の識別子を示す固有IDを有する少なくとも1つの下位ECU31〜33(下位制御装置)と通信する。演算回路11は、下位ECU31〜33から固有IDを収集し、収集した固有IDをEPROM13に記憶する第1の動作モード及び固有IDより短い識別子を示すローカルIDを下位ECU31〜33に割り付ける第2の動作モードを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、電子制御装置に関する。
[省配線化への要求]
近年の自動車の高機能化は著しく、それに伴って車両に搭載されるアクチュエータやセンサの数が増加している。それに伴い、上位ECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)としての例えばエンジン制御ECUと、アクチュエータ(例えば燃料噴射用のインジェクタ)やセンサとの間を接続するワイヤハーネスの重量およびコストも増大している。これに対し、燃費改善等のための軽量化要求から、ワイヤハーネスを省配線化したいという要求が強まっている。以下、アクチュエータやセンサをアクチュエータ等と略して記述する。
上位ECUとアクチュエータ等との接続に用いられるワイヤハーネスの省配線化手法としては、従来は上位ECUとアクチュエータ等との間とを個別の配線で直結していたものを共通のバス配線で置き換え、さらに各アクチュエータ等に通信機能および制御機能を備える下位ECUを追加し、上位ECUから通信を介して伝達される指示をもとに下位ECUが制御動作を行う形式が有効である。
[バス配線と衝突回避の必要性]
上述の「バス配線」は、共通の配線に対して複数の電子制御装置を接続する接続形態である。本接続形態では、上位ECUが送信した信号は全ての下位ECUで受信されるという特徴がある。各下位ECUを区別するには、個別に割り当てられたIDを指定することでこれを行う。バス配線方式は、従来の直結方式と比べて配線の本数および構造が単純となるため、ワイヤハーネスの重量およびコストを軽減できるメリットがある。
一方で、バス配線方式にはデメリットも存在する。同一のバス配線の中でIDが重複してしまうと複数の下位ECUが同時に返信して信号が衝突しまい、通信が成立しないことがある点である。
[固有ID]
これを回避するには、同一のバス配線の中でのIDが重複しないように手段を講じる必要がある。これは、生産するすべての下位ECUに重複しない固有のID(以下、固有IDと記す)を割り付けることで実現できる。ただしこの固有IDは、その取り得る最大値を生産し得る下位ECUの数よりも多く確保する必要があるため、その桁数(固有IDを二進数で表す場合、bit数)を大きくする必要がある。一方で、このIDは通信のたびに宛先として送信する必要があるため、桁数が多いとそのぶん通信効率の低下につながってしまう。
[起動時間への要求]
次に、自動車用制御装置(以下、車載ECUと記す)における起動時間への要求について述べる。車載ECUでは、キーON(例えば、スタートスイッチON又はイグニッションスイッチON)時、すなわちユーザーが車両を起動する操作をしてからエンジン等が実際に起動するまでをある定められた時間以内に完了させる必要がある。このためには、上位ECUと下位ECUとの通信の立ち上げ時間も短くする必要がある。
[信頼性への要求]
一方で、車載ECUでは信頼性に対する要求も高い。具体的には、車両の休止期間中にネットワーク内に接続された下位ECUが故障していたり、配線が断線していた場合、そのまま起動しようとすると正しくエンジン等を動作させることができず、場合によってはエンジン等のシステム全体を故障させてしまうおそれがある。これを防ぐためには、全ての下位ECUが正しく接続されているかを診断する機能が必要となる。
[従来例]
このような診断方法として、特許文献1に示されているような例が知られている。本特許文献では、上位の監視制御端末が下位の監視対象装置の識別情報を記憶し、対応する監視対象装置を呼び出すことで監視対象装置の接続等が正常であるかを監視する手法が提示されている。この手法を応用することで全ての下位ECUが正しく接続されているかを診断することができ、システム全体の信頼性を向上させることができる。
特開2005-284711号公報
一方で、特許文献1に示された手法は、通信効率や起動時間への要求に関する課題の解決には効果がない。
本発明の目的は、通信効率を向上することができる電子制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、バスに接続され、固有の識別子を示す固有IDを有する少なくとも1つの下位制御装置と通信する通信回路と、メモリと、前記下位制御装置から前記固有IDを収集し、収集した前記固有IDを前記メモリに記憶する第1の動作モード及び前記固有IDより短い識別子を示すローカルIDを前記下位制御装置に割り付ける第2の動作モードを有する演算回路と、を備える。
本発明によれば、通信効率を向上することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明に係る実施形態による電子制御装置の接続構成を表した回路ブロック図である。 本発明に係る実施形態による電子制御装置における、動作のタイミングを表したタイミングチャートである。 本発明に係る実施形態による電子制御装置における、下位ECUの構成情報を表した表である。 本発明に係る実施形態による電子制御装置(上位ECU)が下位ECUの順序を同定する動作を説明するためのブロック図である。 本発明に係る実施形態による電子制御装置(上位ECU)と下位ECUのシーケンス図である。 本発明に係る実施形態による電子制御装置(上位ECU)と下位ECUの別のシーケンス図である。
以下、図面を用いて、本発明の実施形態による電子制御装置の構成及び動作について説明する。各図において、同一符号は同一部分を示す。なお、本実施形態は自動車のエンジンや変速機等の制御を行うための電子制御装置(以下、「上位ECU」と記す)に関し、その配下に複数の下位の電子制御装置(以下、「下位ECU」と記す)を有し、前記下位ECUとの接続にバス状の配線を利用しているものであって、特に、前記下位ECUとの通信立ち上げ時間の短縮と通信効率の向上、および信頼性の確保を図るための手段を備えた上位ECUに関する。
[全体構成]
以下、本発明に係る実施形態による電子制御装置等の接続構成と動作について、図1、図2、および図3を用いて説明する。本実施形態による電子制御装置は図中で上位ECU1として記載しており、全体のシステムとしては上位ECU1の他にバス配線2、複数の下位ECU31〜33、複数のアクチュエータ等41〜43、および制御対象51〜53から構成される。
上位ECU1は、バス配線2と接続され、その内部は演算回路11、通信回路12、および不揮発性メモリ(以下、EPROMと記す)13から構成される。また、EPROM13には接続される下位ECUの構成情報14が格納されている。この構成情報は、各下位ECUについての固有IDやローカルID等(後述)の情報を集約したものである。
なお、EPROM13は具体的にはEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read-Only Memory)で実装されることがコスト面において好適であるが、バッテリバックアップ型のRAMや強誘電体メモリなど、他の形式での不揮発性メモリであってもよい。
バス配線2はバス状の配線形態となっており、上位ECU1のほか、下位ECU31〜33が論理的に平等に接続されている。
下位ECU31〜33は、バス配線2と接続され、その内部は演算回路301、通信回路302、不揮発性メモリ(以下、ROMと記す)303、および揮発性メモリ(以下、RAMと記す)305から構成される。下位ECU31〜33は図示しない通信手法により、上位ECU1の演算回路11からの指令を受け、演算回路301を通じて後述するアクチュエータ等41〜43へ制御出力を行うことができる。
また、ROM303には自らの固有ID304、RAM305には自らのローカルID306が格納されている。これらのID情報については後述する。なお、固有ID304は下位ECUが生産されたのちに書き換える必要が無いため、それを格納するROM303はヒューズ回路等でのワンタイムPROMで実装されることがコスト面および信頼性の面で好適であるが、EEPROM等の他の形式での不揮発性メモリであってもよい。
アクチュエータ等41〜43は、例えば燃料噴射用のインジェクタや油圧制御用のソレノイドバルブであり、演算回路301からの制御出力に応じ、後述の制御対象51〜53のそれぞれに対して制御動作を行う。なお、図1の例では、制御対象51〜53を別体として模式的に表しているが、一体であってもよい。例えば、アクチュエータ等41〜43がそれぞれインジェクタ、点火装置、温度センサ(冷却水の温度センサ等)である場合、制御対象51〜53は、エンジン(内燃機関)となり一体として表すことができる。
制御対象51〜53は、例えばエンジンや変速機であり、アクチュエータ等41〜43の制御動作により駆動され、動力の供給や変速などの機能を実現する。
なお、本実施例では下位ECU31〜33およびアクチュエータ等41〜43を3個ずつとした例で説明しているが、この個数は3以外の数でも同様に本発明を適用することができる。
このように、本実施形態の上位ECU1(電子制御装置)は、少なくとも演算回路11、通信回路12、EPROM13(メモリ)を備える。通信回路12は、バス配線2(バス)に接続され、固有の識別子を示す固有IDを有する少なくとも1つの下位ECU31〜33(下位制御装置)と通信する。演算回路11は、下位ECU31〜33から固有IDを収集し、収集した固有IDをEPROM13に記憶する第1の動作モード及び固有IDより短い識別子を示すローカルIDを下位ECU31〜33に割り付ける第2の動作モードを有する。
これにより、上位ECU1は、固有IDよりも短いローカルIDを用いて、下位ECU31〜33と通信を行うことができる。その結果、通信効率が向上する。
[固有ID]
次に、固有ID304について説明する。固有ID304は、下位ECUの製造時に一意に割りつけられたIDであり、すべての下位ECUにおいて重複しないよう一元的に管理された番号が割り当てられている。この固有ID304を宛先として通信を行うことで、ECUネットワーク全体(上位ECU、バス配線、および複数の下位ECU)の組立段階で下位ECUがどのような組み合わせでネットワークに組込まれたとしてもIDの重複を回避することができる。また、副次的な用途として、型式情報や製造情報と紐づけて管理しておくことで、出荷後を含めた製品管理(トレーサビリティ)に役立てることができる。
この固有ID304は有限の桁数で表わされるが、その桁数はその最大値が生産し得る下位ECUの数よりも多くなるよう設定する必要がある。例えば、年間1億台の自動車に100個の下位ECUが搭載された場合、100年間で一兆個の固有IDを用意する必要がある。これには2進数で表した時に40bitの桁数のID(2の40乗のID)が必要であり、また、実際にはIDを隙間なく発行することは困難であることから、余裕を持たせて48bit程度の桁数を用意することが必要となる。
[ローカルID]
前述の固有IDを用いることで通信を行うことができるが、桁数が多いために通信に時間がかかり、通信効率を高くすることができないという課題がある。本実施例ではECUネットワーク全体に接続された下位ECUの数は3つであるが、実際の応用でも通信容量等の問題から10個程度が上限となることが多い。この場合、ネットワーク内の識別という目的のために必要なID桁数は4bitと短い。このように、固有ID304をそれより短いID(以下、ローカルID306と記す)に置き換えることで通信時間を短縮し、通信効率を向上させることができる。
例を挙げると、固有IDの長さが48bit、ローカルIDの長さが4bit、下位ECU数が10個、通信速度が200kbpsである場合、上位ECUからすべての下位ECUへ個別通信を1回行うのにかかる時間差について考えると、固有IDを用いる場合とローカルIDを用いる場合とでの差は2msとなる。すなわち、ローカルIDを用いる場合は通信毎に2msの時間を短縮でき、通信効率を向上させることができる。
このローカルIDは固有ID304を全て収集した後に上位ECUにて決定し、下位ECUへ割り当てる。このとき、上位ECU1の演算回路11は、固有ID304とローカルID306との関係を下位ECU構成情報14としてEPROM13に記録する。この下位ECU構成情報14は、図3に示すように各下位ECU31〜33について、固有ID304、ローカルID306、および後述するACKの情報を記憶することができる記憶情報である。
[第一の動作モード]
以下、本実施形態での上位ECU1の、通信立ち上げにおける動作について説明する。本実施形態での通信立ち上げは、図2に示すように第一および第二の2つのモードに分けて実施する。
第一の動作モードでは、上位ECU1は下位ECU31〜33の固有ID304を収集して下位ECU構成情報14の固有ID欄、およびローカルID欄へ収集した固有ID304、ユニークな8bitの数字であるローカルIDをそれぞれ記憶する(図3左)。なお、ローカルIDの決定方法については、後述する。
本動作モードはECUネットワークを組み立てた直後に行う。具体的な手法としては、上位ECU1から下位ECU31〜33へ同報通信にて固有ID304を要求する通信を行い、下位ECU31〜33はそれに応答して自らの固有ID304を返信する。ここで同報通信を用いる理由は、この段階では固有IDが不明で、1対1の通信は不可能であるためである。
[乱数利用による衝突抑制]
ここで、下位ECU31〜33は同一のバス配線2につながっているため、下位ECU31〜33が単純に固有IDの要求に応答するとその通信が衝突してしまい、通信が成立しない。これを回避するには、各下位ECUにおいて自らの固有IDをもとに乱数処理を行い、返信有無を決定する手法が有効である。この乱数値を固有IDの要求ごとに更新することで、上位ECU1が固有IDの要求を多数回繰り返すうちに1つの下位ECUだけが返信するタイミングが訪れ、衝突を回避して固有を収集できる。
このような乱数処理の手法としては、線形帰還シフトレジスタを用いる形式が必要な回路規模が小さくて済み、好適である。具体的には、下位ECU31の演算回路301は、固有IDの要求を受信した場合、ROM303に記憶される自らの固有ID304を線形帰還シフトレジスタ(不図示)に入力する。線形帰還シフトレジスタは入力された固有ID304をシードとして乱数を生成して出力する。下位ECU31の演算回路301は、例えば、乱数が所定の閾値以上の場合に、自身の固有ID304を、通信回路302を用いて上位ECU1に通知する。
なお、この手続きは全ての固有IDを収集するまでに、固有IDの数が10個程度である場合でも固有IDの要求を数百回繰り返す必要があり長い時間を要する。ただし、本動作モードは製品の組立段階であり、後述するキーON時と比べて比較的長い処理時間を許容することができる。
ここで、上位ECU1(電子制御装置)の演算回路11は、通信回路12を介してすべての下位ECU31〜33(下位制御装置)に同時に固有IDの取得要求を送信する。それぞれの下位ECU31〜33(下位制御装置)は、バス配線2(バス)に接続される通信回路302と、固有IDを記憶するROM303(メモリ)と、固有IDの取得要求に応答して、固有IDに基づいて算出されるタイミングに通信回路302を介して固有IDを上位ECU1に送信する演算回路301と、を備える。それぞれの下位ECU31〜33が固有IDを同時に送信することを抑制することができる。その結果、通信が衝突することを抑制することができる。
[ローカルIDの決定]
こうして収集した各固有ID304に対し、対応するローカルID306を決定する。割り振りの方法は全くのランダムでも良いが、各下位ECU31〜33が担当するアクチュエータ等41〜43の機能(例えば、何番目の気筒に設置されているか)に応じてローカルID306を割り振ることが望ましい。
すなわち、好ましくは、上位ECU1の演算回路11は、それぞれの下位ECU31〜33(下位制御装置)が制御するアクチュエータ等41〜43の機能に応じてローカルIDを決定する。
これは、上位ECU1から見てローカルID306と対応する機能が常に同じとなるため、動作の指示において特別な変換手処理を必要としないためである。
各下位ECU31〜33が担当するアクチュエータ等41〜43の機能を判定するには、バス配線2に下位ECU31〜33が接続されている順序を検出することで行う。具体的な手法としては、後述するように、例えば特定の下位ECUに検出用の電流を流させて、その検出用電流がバス配線2の配線抵抗により分流される比を用いて接続順序を検出することができる。
[バスに接続されるECUの順序の同定]
図4に示すように、上位ECU1の演算回路11は、バス配線2に電流I0を印加する指令を複数の下位ECU31〜33のそれぞれに送信する。ここで、電流検出抵抗器141、142、アンプ131、132、演算回路11は、電流センサCSを構成する。電流センサCSは、複数の下位ECU31〜33のそれぞれがバス配線2に電流I0を印加することによりポート111に流れる電流Is1及びポート112に流れる電流Is2をそれぞれ測定する。
一方、下位ECU31〜33において、負荷抵抗311、トランジスタ等のスイッチ312、演算回路301は、電流印加装置CAを構成する。負荷抵抗311及びスイッチ312は、配線21と配線22の間に直列接続される。演算回路301は、バス配線2に電流を印加する指令を上位ECU1から受信した場合、スイッチ312をオンする。
上位ECU1の演算回路11は、複数の下位ECU31〜33のそれぞれに対して測定された電流Is1と電流Is2に基づいて、複数の下位ECU31〜33のバス配線2上の順序を同定する。なお、図4では、配線抵抗23を模式的に表している。
例えば、上位ECU1の演算回路11は、複数の下位ECU31〜33のそれぞれに対して測定された電流Is1と電流Is2の差に基づいて、複数の下位ECU31〜33のバス配線2上の順序を同定する。詳細には、上位ECU1の演算回路11は、それぞれの下位ECU31〜33に対して測定された電流値の差分(Is1−Is2)を大きい順に並べることにより、下位ECU31〜33のバス配線2上の順序を同定する。
なお、上位ECU1の演算回路11は、複数の下位ECU31〜33のそれぞれに対して測定された電流Is1と電流Is2の差と、電流Is1と電流Is2の和との比に基づいて、複数の下位ECU31〜33のバス配線2上の順序を同定してもよい。
これにより、上位ECU1の演算回路11は、下位ECU31〜33のバス配線2上の順序を同定することができる。上位ECU1の演算回路11は、下位ECU31〜33のバス配線2上の順序からアクチュエータの機能を判定する。
例えば、上位ECU1は、ポート111から順に、エンジンに配設される#1気筒のインジェクタ〜#4気筒のインジェクタ、変速機に配設される#1電磁弁〜#n電磁弁、・・・、各種の#1センサ〜#nセンサがバス配線2に接続されていることを示す設計情報をEPROM13に記憶しておく。上位ECU1の演算回路11は、設計情報を参照することにより、同定された下位ECU31〜33の順序から下位ECU31〜33が担当するアクチュエータ等41〜43の機能を判定することができる。
上位ECU1の演算回路11は、例えば、設計情報として各機能に割り当てられたIDをローカルIDとする。なお、上位ECU1の演算回路11は、同定した下位ECU31〜33のバス配線2上の順番に所定の演算を行うことによりローカルIDを算出してもよい。
このように、上位ECU1の演算回路11は、下位ECU31〜33(下位制御装置)のバス配線2(バス)における接続順序を同定し、同定した接続順序に応じてそれぞれの下位ECU31〜33のローカルIDを決定する。
[第二の動作モード]
次に、第二の動作モードでの動作を説明する。第二の動作モードは図2に示すように車両の起動を指示するキーON操作により開始される。本動作モードではまず、上位ECU1は下位ECU31〜33へ、下位ECU構成情報14の固有ID欄およびローカルID欄に基づいて個別にローカルIDを割り当てる通信を行う。また、当該通信に対して下位ECU31〜33は肯定応答(以下、ACKと記す)を返信する。上位ECU1は各通信毎に、このACKの返信があったかどうかを下位ECU構成情報14のACK欄へ登録する(図3右)。
本動作モードはキーONのたびに毎回実施される。
具体的な手法としては、上位ECU1からまず下位ECU31の固有ID(図3では「8c7f0aac」)宛に、対応するローカルID(図3では「1」)を割り当てる。下位ECU31は受信したローカルIDの値を自らのRAM306へ記憶し、上位ECU1へACK信号を返信する。上位ECU1はACKを受信したら下位ECU構成情報14のACK欄へ「OK」を示す情報を、受信できなかったら「NG」を示す情報を記録する。
上位ECU1は以上の処理を構成情報14に記された下位ECUの数だけ繰り返す。ここで、例えば下位ECU33とバス配線2との間に断線(図1中の符号6)が生じていたとすると、下位ECU33はローカルID割り当ての通信を受け取ることができず、ACK信号を返信することもできない。結果として、下位ECU構成情報14のACK欄へ「NG」を示す情報が記録される。
[ローカルIDを用いた通信]
こうして下位ECU31〜33へローカルIDが割り当てられた後は、上位ECU1と下位ECU31〜33との間の通信はローカルIDを用いて行うことができる。前述のようにローカルIDは固有IDと比べて桁数が短いために通信時間を短縮でき、通信効率を向上させることができる。
[下位ECU接続構成の診断]
また、下位ECU構成情報14のACK欄により、下位ECU31〜33の接続構成の異常、すなわち、下位ECU31〜33の故障やバス配線2との間の断線(図1中の符号6)等の状態を診断することができる。本実施例では、下位ECU構成情報14において、下位ECU33のACK欄が「NG」であることから、下位ECU33との接続に異常が発生していることを判断できる。
換言すれば、上位ECU1の演算回路11は、第2の動作モードにおいて、通信回路12を介して下位ECU31〜33(下位制御装置)にローカルIDを送信し、通信回路12を介して下位ECU31〜33からローカルIDを受信したことを示すACK(肯定応答)を受信した場合、下位ECU31〜33と通信回路との間の通信が正常であると診断し、ACKを受信しない場合、下位ECU31〜33と通信回路12との間の通信が異常であると診断する。
なお、接続構成が正常でもノイズ等によりACKが受信できなかった可能性があるため、ACKが受信できなかった場合は複数回通信を試行することで単発ノイズと接続構成の異常を切り分けることができる。
接続構成の異常が検出された場合、当該下位ECUとの間の通信が行えない状態であり安全に車両を動作させることができない可能性が高いため、車両の起動を中止し、運転者にランプで知らせる等の措置を取る。例えば、上位ECUは、少なくとも1つの下位ECUからACKを受信できない場合、異常と判定し、例えば、警告灯を点灯させる。こうしてECU接続構成を診断することで、車載機器に必要な信頼性を向上することができる。
なお、下位ECU(下位制御装置)は複数あり、それぞれの下位ECUはアクチュエータを制御する。上位ECU1の演算回路11は、それぞれの下位ECU31〜33(下位制御装置)と通信回路12との間の通信がすべて正常であると診断した場合、下位ECU31〜33と通信回路12と間でアクチュエータの制御に用いられるデータの送受信を開始する。これにより、通信の信頼性を向上することができる。
[起動時間短縮効果]
以上、第二の動作モードにおける動作により、図5Aに示すように、ローカルIDの割り当ておよび下位ECU接続構成の診断を行うことができる。ここで、上位ECUにおける処理を単純化するためには、図5Bに示すように、ローカルIDの割り当てと下位ECU接続構成の診断を別々の通信で行うこともできる。しかしこの方法をとった場合、各下位ECUとの通信を2回ずつ行う必要があり、時間がかかってしまう。一般に、車載ECUではキーONからシステムの立ち上がり完了までを短い時間で行うことが求められる。これを実現するには下位ECUとの通信時間をできるだけ短くする必要があり、本実施例で述べたように、ローカルIDの割り当てと下位ECU接続構成の診断を同じ通信にて行うことが有効である。
すなわち、上位ECU1は、固有IDより短いローカルIDを用いて下位ECU31〜33と通信を行うため、通信データ量が小さくなり、通信時間が短くなる。その結果、システムの起動時間が短くなる。
以上説明したように、本実施形態によれば、通信効率を向上することができる。その結果、システムの起動時間が短くなる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサ(演算回路)がそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
なお、本発明の実施形態は、以下の態様であってもよい。
(1)固有のIDを有する複数の下位制御装置とバス状の配線で接続され、
少なくとも2つの動作モードを有し、第一の動作モードにおいて下位制御装置の固有IDを収集してこれを記憶する電子制御装置において、第二の動作モードでは記憶している前記固有IDを備えた下位制御装置に対して固有IDより短いローカルIDを割り付けることを特徴とする電子制御装置。
(2)(1)に記載の電子制御装置において、前記ローカルIDを割り付ける通信の返信有無をもとに、記憶している前記固有IDを備えた下位制御装置がすべて接続されているかを診断し、正常である場合に下位制御装置との通常通信を開始することを特徴とする電子制御装置。
(3)(1)に記載の電子制御装置において、前記ローカルIDを、各々の前記下位制御装置に接続されたアクチュエータ等の担当機能に応じて決定することを特徴とする電子制御装置。
(4)(1)に記載の電子制御装置において、前記ローカルIDを、各々の前記下位制御装置の前記バス状の配線における接続順序に応じて決定することを特徴とする電子制御装置。
上記(1)〜(4)によれば、信頼性の向上に加えて通信効率の向上や起動時間の短縮を実現し、車載用途に適した電子制御装置を提供することができる。
1:上位ECU
2:バス配線
31〜33:下位ECU
41〜43:アクチュエータ等
51〜53:制御対象
6:断線箇所
11:演算回路
12:通信回路
13:不揮発性メモリ
14:下位ECU構成情報
301:演算回路
302:通信回路
303:不揮発性メモリ
304:固有ID
305:揮発性メモリ
306:ローカルID

Claims (6)

  1. バスに接続され、固有の識別子を示す固有IDを有する少なくとも1つの下位制御装置と通信する通信回路と、
    メモリと、
    前記下位制御装置から前記固有IDを収集し、収集した前記固有IDを前記メモリに記憶する第1の動作モード及び前記固有IDより短い識別子を示すローカルIDを前記下位制御装置に割り付ける第2の動作モードを有する演算回路と、
    を備えることを特徴とする電子制御装置。
  2. 請求項1に記載の電子制御装置であって、
    前記演算回路は、
    前記第2の動作モードにおいて、前記通信回路を介して前記下位制御装置に前記ローカルIDを送信し、前記通信回路を介して前記下位制御装置から前記ローカルIDを受信したことを示す肯定応答を受信した場合、前記下位制御装置と前記通信回路との間の通信が正常であると診断し、前記肯定応答を受信しない場合、前記下位制御装置と前記通信回路との間の通信が異常であると診断する
    ことを特徴とする電子制御装置。
  3. 請求項2に記載の電子制御装置であって、
    前記下位制御装置は複数あり、それぞれの前記下位制御装置はアクチュエータを制御し、
    前記演算回路は、
    それぞれの前記下位制御装置と前記通信回路との間の通信がすべて正常であると診断した場合、前記下位制御装置と前記通信回路と間で前記アクチュエータの制御に用いられるデータの送受信を開始する
    ことを特徴とする電子制御装置。
  4. 請求項1に記載の電子制御装置であって、
    前記演算回路は、
    それぞれの前記下位制御装置が制御するアクチュエータの機能に応じて前記ローカルIDを決定する
    ことを特徴とする電子制御装置。
  5. 請求項1に記載の電子制御装置であって、
    前記演算回路は、
    前記下位制御装置の前記バスにおける接続順序を同定し、
    同定した前記接続順序に応じてそれぞれの前記下位制御装置の前記ローカルIDを決定する
    ことを特徴とする電子制御装置。
  6. 請求項1に記載の電子制御装置と複数の下位制御装置を含むシステムであって、
    前記電子制御装置の前記演算回路は、
    前記通信回路を介してすべての下位制御装置に同時に前記固有IDの取得要求を送信し、
    それぞれの前記下位制御装置は、
    前記バスに接続される通信回路と、
    固有IDを記憶するメモリと、
    前記固有IDの取得要求に応答して、前記固有IDに基づいて算出されるタイミングに前記通信回路を介して前記固有IDを前記電子制御装置に送信する演算回路と、を備える
    ことを特徴とするシステム。
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