本発明の第1の態様では、煙検出システムに対して煙が侵入する少なくとも1つの点を決定する方法が提供される。前記煙検出システムは、少なくとも1つの採取管と複数の採取口を含む採取管ネットワークを有し、該複数の採取口は、それらを通じて前記少なくとも1つの採取管に侵入する空気試料を粒子検出器により分析可能とするものである。
前記方法は、
所定事象が発生した後に前記煙検出システムの少なくとも一部を通過する試料空気の体積、または、前記体積に対応する値を決定するステップ、
少なくとも部分的に、決定された前記試料空気の体積または前記体積に対応する値に基づいて、前記複数の採取口のうちどの採取口を通じて煙が前記煙検出システムに侵入したかを決定するステップとを含む。
前記所定事象は、煙の検出、または、前記煙検出システムにおける空気試料の流量特性の変化であってもよい。
幾つかの実施形態で、前記方法は、前記煙検出システムの少なくとも一部を通過する空気試料の流量を連続的に決定するステップを含む。あるいは、前記方法は、前記所定事象が発生したときに、前記試料空気の体積または関連する値の決定を開始するステップを含む。
煙検出ネットワークの少なくとも一部を通過する空気試料の体積または関連する値は、流量の測定値を経時的に積算することにより決定されてもよい。好ましくは、前記流量の測定値は、体積流量の測定値である。好ましくは、前記流量の測定値は、超音波フローセンサを用いて決定される。
前記所定事象が発生した後に前記煙検出システムの少なくとも一部を通過する試料空気の体積、または、前記体積に対応する値を決定するステップは、
質量、長さ、圧力、温度、第2の体積、体積が関連する事象の積算値、または、前記所定事象が発生した後に前記煙検出システムの少なくとも一部を通過する試料空気の体積に関連する他のパラメータを決定することを含んでもよい。
前記方法は、前記所定事象が発生した後に前記煙検出システムの少なくとも一部を通過する試料空気の全部または一部を収集するステップを含んでもよい。
前記方法は、最初の煙検出事象に応じて空気試料の流量特性を変化させるステップを含んでもよい。例えば、前記煙検出システムにおいて前記空気試料の流量特性を変化させるステップは、
バルブを開くこと、
バルブを閉じること、
前記煙検出システムの少なくとも一部で空気試料の流れの方向を変化させること、
前記煙検出システムの少なくとも一部で空気試料の流量を変化させること、
吸引システムを作動させること、
吸引システムを停止させること、
のうちの1つ以上を含んでもよい。
本発明の第1の態様では、煙検出システムに対して煙が侵入する少なくとも1つの点を決定する装置が提供される。前記装置は、空気採取ネットワークに流体接続している粒子検出器と、前記空気採取ネットワークを介して前記検出器まで空気試料を吸引する吸引装置とを備え、前記空気採取ネットワークは少なくとも1つの採取管と複数の採取口を有し、該複数の採取口は、それらを通じて前記少なくとも1つの採取管に侵入する空気試料を前記粒子検出器により分析可能とするものである。
前記装置は、
所定事象が発生した後に前記煙検出システムの少なくとも一部を通過する試料空気の体積、または、前記体積に対応する値を決定する手段と、
決定された前記試料空気の体積または前記体積に対応する値に基づいて、粒子が前記空気採取ネットワークに侵入する少なくとも1つの点を特定する手段とを備える。
好ましくは、前記装置は、
前記煙検出システムに侵入するときに煙が通過したと決定された1つ以上の採取口を参照することにより、前記1つ以上の侵入点を特定する。
好ましくは、前記粒子検出システムの少なくとも一部を通過する試料空気の体積を決定する手段、または、前記体積に関連するバルブは、フローセンサを有する。好ましくは、前記フローセンサは、超音波フローセンサを含む。
好ましくは、前記装置は、本発明の第1の態様に係る方法を実施するように構成されている。
本発明の第3の態様では、
空気試料中の粒子を検出する粒子検出チャンバと、
空気採取ネットワークから到来する空気試料を受ける入口と
前記空気採取ネットワークを介して前記検出器まで空気試料を吸引する吸引装置とを備えた煙検出器が提供される。
前記空気採取ネットワークは、少なくとも1つの採取管と複数の採取口とを有し、該複数の採取口は、それらを通じて前記少なくとも1つの採取管に侵入する試料を前記粒子検出チャンバにより分析可能とするものであって、
前記煙検出器は、所定事象が起こってから該煙検出器の少なくとも一部または採取ネットワークを通過した試料空気の体積、または該体積に対応する値に少なくとも部分的に基づいて前記採取ネットワークへの煙の少なくとも1つの侵入点を特定するように構成されたプロセッサをさらに備える。
前記煙検出器は、該煙検出器の少なくとも一部を通過する試料空気の流量を検出するように構成されたフローセンサ(例えば超音波フローセンサ)を備えてもよい。
好ましくは、前記プロセッサは、前記煙検出器が本発明の第1の態様に係る方法を実施するように構成されている。
また、本明細書では、
粒子検出システムに対して粒子が侵入する点を決定する方法であって、前記粒子検出システムは、粒子検出器と、該粒子検出器に流体接続している採取ネットワークとを備え、該採取ネットワークは、吸引される流体が通過する複数の吸気口を有し、前記粒子検出システムは、前記採取ネットワークを介して流体を前記検出器まで吸引する手段をさらに備え、
第1の粒子検出プロファイルと第2の粒子検出プロファイルとを比較するステップと、
前記2つの粒子検出プロファイル間で、該プロファイルが所定の度合いに一致するオフセットを決定するステップと、
前記オフセットを基に、前記検出システムに粒子が侵入する位置を決定するステップとを含む方法を開示している。
幾つかの実施形態で、オフセットは時間オフセットである。他の実施形態でオフセットは体積オフセットである。
幾つかの実施形態で、比較するステップは、粒子検出プロファイル間で相互層間を計算するステップを含む。
幾つかの実施形態では、計算された相互相関の最大値が決定され、前記最大値に対応する粒子検出プロファイル間のオフセットが決定される。
幾つかの実施形態では、相互相関関数が決定され、所定値と比較される。
好ましくは、前記流体は空気であり、前記採取ネットワークを介して流体を前記検出器まで吸引する手段は吸引装置である。
一実施形態は、第1の粒子検出による粒子と第2の粒子検出による粒子との比較である第1の粒子検出プロファイルに基づいて、少なくとも所定の第1粒子検出基準が満たされたことを決定するステップを含む。
この方法は、第1の粒子検出プロファイルおよび/または第2の粒子検出プロファイルを連続的に記憶するステップを含んでもよい。あるいは、前記2つのプロファイルの一方は、少なくとも1つの所定基準が満たされて初めて記憶されてもよい。
この方法は、前記第1の粒子検出プロファイルと第2の粒子検出プロファイルの比較を開始する前に、前記粒子検出システムの少なくとも一部において気流の特性を変化させるステップを含んでもよい。
一形態で、前記粒子検出システムにおいて気流特性を変化させるステップは、
バルブを開くこと、
バルブを閉じること、
前記粒子検出システムの少なくとも一部において気流の方向を変化させること、
前記粒子検出システムの少なくとも一部において空気の流量を変化させること、
吸引システムを動作開始させること、
吸引システムを動作停止させること、
のうち1つ以上を含む。
さらに、本明細書では、空気採取ネットワークに流体接続している粒子検出器を有するタイプの粒子検出システムに粒子が侵入する点を決定する装置であって、前記空気採取ネットワークは、空気が該空気採取ネットワークに侵入するときに通過する複数の吸気口と、前記空気採取ネットワークを介して空気を前記検出器まで吸引する吸引装置とを備え、
前記粒子検出システムの少なくとも一部を通過する空気の体積を決定する手段と、
前記粒子検出システムの少なくとも一部を通過する空気の体積を表す信号を受信する手段と、
前記決定された体積に基づいて、粒子を搬送する空気が前記空気採取ネットワークに侵入した該ネットワークにおける位置を決定する手段とを備えた装置を開示している。
また、本明細書では、複数の吸気口のうち1つ以上を通じて、粒子が粒子検出システムに侵入する点を決定するデバイスについて説明している。このデバイスは、前記粒子検出システムの少なくとも一部を通過する空気の体積を決定する手段と、測定された体積に基づいて前記粒子が侵入する点を決定する手段とを備える。
好ましくは、前記粒子が粒子検出システム内に侵入する点を決定する装置は、粒子が侵入した可能性がある少なくとも1つの吸気口を参照することにより粒子源を特定する。
さらに好ましくは、前記粒子が検出システムに侵入する点を決定する装置は、前記空気採取ネットワークに沿った、粒子が該空気採取ネットワークに侵入した距離の指標を指標として、粒子源を特定する。
さらに、本明細書では、粒子が粒子検出システムに侵入する点を決定する方法であって、該粒子検出システムは、粒子が該システムに侵入するときに通過する採取点が複数設けられた採取管ネットワークを備えるような方法を開示している。この方法は、前記粒子検出システムの少なくとも一部を通過する空気の体積を決定するステップと、前記複数の採取点のうちどの採取穴を通じて粒子が粒子検出システムに侵入したかを決定するステップとを含む。
この方法は、第1粒子検出事象および第2粒子検出事象を検出するステップと、前記2つの粒子検出事象の間で粒子検出ネットワークの少なくとも一部を通過する空気の体積を測定するステップとを含んでもよい。
この方法は、前記粒子検出ネットワークの少なくとも一部を通過する空気の体積を連続的に測定するステップを含んでもよい。あるいは、この方法は、所定の状況に至ったときに、体積の測定を開始するステップを含んでもよい。
好ましくは、前記粒子検出ネットワークの少なくとも一部を通過する空気は、流量の測定値を経時的に積算することにより測定される。好ましくは、前記流量の測定値は、体積流量の測定値である。好ましくは、前記体積流量は、超音波フローセンサを用いて決定される。
さらに、本明細書では、粒子検出器と、該粒子検出器に流体接続している採取ネットワークと、前記採取ネットワークを通過する流体を前記検出器まで吸引する手段とを備える。前記採取ネットワークは、複数の位置グループに分けられて配列している吸気口を有する。各位置グループは、複数の採取管のそれぞれに接続された吸気口が存在することまたは存在しないことに応じて規定されるアドレスを有する。粒子検出器は、各採取管に沿って空気を吸引し、かつ、煙が検出された場合、各採取管において粒子が存在することおよび存在しないことの両方に基づいて、粒子が検出器に侵入するときに通った位置グループのアドレスを決定するように構成されている。
また、本明細書では、粒子が粒子検出システムに侵入する1つの点を決定する方法を開示している。この粒子検出システムは、少なくとも1つの粒子検出器と、該粒子検出器に流体接続している採取ネットワークと、前記採取ネットワークを通過する流体を前記検出器まで吸引する手段とを備える。採取ネットワークは、複数の試料輸送経路を有し、該試料輸送経路に沿って試料を吸引可能であって、該試料輸送経路内で複数の検出器の少なくとも1つにより独立して粒子の存在を検出可能である。ここで、各試料輸送経路は少なくとも1つの採取口を有する。各採取口は、該採取口の物理的位置により規定される複数の位置グループのうちの1つに属する。粒子検出システムは、各試料輸送経路から到来する空気試料において粒子が検出されたか否かを決定するように構成されている。
前記方法は、粒子が各試料輸送経路上で検出されたか否かに一意的に基づいて、どの採取口群の位置で粒子が粒子検出システム内に侵入したかを決定するステップを含む。
一実施形態で、採取ネットワークは、それぞれ試料輸送経路に対応する複数の管を有し、粒子が位置グループで検出されたことを決定するステップは、前記複数の管のそれぞれを通じて吸引される流体において粒子が検出されたか否かを決定するステップを含む。
さらに、本明細書では、採取ネットワークに流体接続している少なくとも1つの粒子検出器と、前記採取ネットワークを通過する流体を前記粒子検出器まで吸引する吸引手段とを有するタイプの粒子検出システムへの粒子の侵入点を決定する装置であって、前記採取ネットワークが、粒子を別々に検出可能とする複数の試料輸送経路を有するものを開示している。前記採取ネットワークは複数の採取口を有し、各採取口は複数の物理的位置の1つにある位置グループに含まれる。前記装置は、各試料輸送経路上で粒子が検出されたか否かに基づいて粒子が存在する位置を決定する手段をさらに備える。
また、本明細書では、
少なくとも1つの粒子検出器と、
複数の採取口が設けられた採取管を有し、分析対象の試料を、前記採取口を包囲する環境から前記採取管を介して前記少なくとも1つの粒子検出器まで送るように構成された採取システムと、
空気試料が前記採取システム内を前記少なくとも1つの粒子検出器まで流れるようにする流れ誘導装置とを備えた粒子検出システムにおける方法であって、
前記採取システムから到来する試料の第1粒子濃度を測定するステップと、
前記複数の採取口のサブセットで採取パラメータを変化させるステップと、
前記採取システムから到来する試料の第2粒子濃度を測定するステップと、
前記第1粒子濃度および前記第2粒子濃度に基づいて、前記採取システムから到来する試料の粒子濃度を測定するステップとを含む方法を開示している。
前記変化させる採取パラメータは、前記採取口の第1サブセットを通過する流量であってもよい。この変化は、バルブを開閉することにより、または、ファンもしくは他の流れ誘導装置を用いて前記採取口のサブセットを通過する流量を増加させる(減少させる)ことにより実現してもよい。この場合、前記採取システムから到来する試料の粒子濃度を決定するために用いられる変化後の採取パラメータは、前記採取口のサブセットを通過する流量であってもよい。
幾つかの実施形態で、前記変化させる採取パラメータは、前記採取口の第1サブセットを通じて吸引される粒子濃度である。この変化は、前記採取口の第1サブセットに適用されるフィルタリングパラメータを調節することにより(例えば前記採取口を通じて侵入する空気流路にフィルタを介在させ、あるいは取り除くことにより)実現してもよい。この場合、前記採取システムから到来する試料の粒子濃度を決定するために用いられる変化後の採取パラメータは、前記採取口のサブセットを通過する試料濃度であってもよい。
幾つかの実施形態で、前記採取口の第1サブセットは、前記採取口の第2サブセットと同じものである。採取口が複数存在する場合、第1サブセットまたは第2サブセットは1つの採取口であってもよい。
また、本明細書では、複数の吸気経路から到来する空気試料中の汚染物質を検出する方法であって、
前記複数の吸気経路のうちの1つ以上での流量を部分的に増減させることにより前記複数の経路間で流れのバランスを変化させ、複数の異なる流れパターンを形成するステップと、
前記複数の異なる流れパターンのそれぞれについて、一体化した前記吸気経路の汚染レベルを測定するステップと、
前記複数の異なる流れパターンについて、各吸気経路内での既知の所定(または測定された)流量を用いて、各吸気経路の汚染レベルを決定するステップとを含み、
形成された前記複数の流れパターンの数と、測定された汚染レベルの数とは、各吸気経路内での汚染レベルを決定するのに充分大きい方法を開示している。
好ましくは、流れのバランスを変化させることは、前記複数の吸気経路のそれぞれにおける流量を順に部分的に減少させることにより、複数の異なる流れパターンにわたって達成される。言い換えると、4つの吸気経路が存在する場合、汚染レベルが測定されている間、前記吸気経路の第1サブセット(例えば3つの経路)は部分的に閉じられ、残りの吸気経路は開いた状態を維持する。次に、前記吸気経路の第1サブセットが再度開かれ、別の吸気経路の第2サブセットが部分的に閉じられ、残りの吸気経路は開いた状態を維持し、汚染レベルの2回目の測定が行われる。これは、4つの異なる流れパターンが形成され、汚染レベルの測定が4回行われるまで継続される。
好ましくは、前記流量の部分的な減少は、前記吸気経路内のバルブを部分的に閉じることにより達成される。したがって、各バルブは順に部分的に閉じられて、各バルブは開いた状態を維持する。この構成では、各吸気経路を通過する流量を知ることができない。それゆえ、複数の異なる流れパターンのそれぞれについて、各吸気経路内での流量を測定することが必要である。
あるいは、流れのバランスを変化させるステップは、前記吸気経路内に可動式のバッフルを設けることにより達成してもよい。例えば、前記可動式のバッフルは、幾つかの選択可能位置へ移動可能な回転式ディスクの形をとってもよい。このディスクは、選択位置に応じて所定の流量を形成する開口部を有する。したがって、この構成で流量の測定は必要でない。
流れのバランスを変化させる第3の変形例による方法では、各吸気経路を順に換気し、他の管は換気しない状態を維持する。他の2つの方法と比較して、この方法では換気後の各吸気経路を通過する空気の流量が順に増加し、他の吸気経路での流量に影響を与える可能性がある。
好ましい形態では、吸気経路と同じ数だけ流れパターンが形成される。流れパターンと同じ回数だけ汚染レベルの測定が行われるとすると、汚染レベルの測定の回数は流路の数にも一致する。これにより、各流れパターンについて各吸気経路での流量が既知である/既定されている(または測定される)場合、各吸気経路の汚染レベルを決定するための充分な情報が得られる。
幾つかの構成では、各吸気経路で流量が測定される。好ましくは、これは、ある程度正確度の高い流量センサにより達成される。好ましい形態で、流量は、各吸気経路に1つずつ設けられた超音波流量センサにより測定される。
好ましくは、各流れパターンについて測定された汚染レベル、および、各流れパターンについて各経路において既知の/所定の(または測定された)流量に関して、一連の方程式を以下の通り解くことができる。
C
1 = X
1 F
11-/(F
11 + F
12 + … F
1n) + X
2F
12/(F
11 + F
12 + … F
1n) … + X
n F
1n/(F
11 + F
12 + … F
1n)
C
2 = X
1 F
21/(F
21 + F
22 + … F
2n) + X
2F
22/(F
21 + F
22 + … F
2n) + … X
n F
2n/(F
21 + F
22 + …F
2n)
C
n = X
1 F
n1/(F
n1 + F
n2 + … F
nn) + X
2F
n2/(F
n1 + F
n2 + … F
nn) + … X
nF
nn/(F
n1 + F
n2 + … F
nn)
X
1…X
n=吸気経路1〜nでの濃度
C
1…C
n=組み合わせた空気吸入経路について測定された汚染レベル
F
11…F
n1=流れパターン1〜nについて管1の流量
F
12…F
n2=流れパターン1〜nについて管2の流量
F
1n…F
nn=流れパターン1〜nについて管nの流量
好ましい形態で、前記吸気経路は空気採取管の形をとってもよい。各空気採取管は、検出器ユニット上の各吸気ポートに空気を送ってもよい。流れは、前記検出器に送られる前に、マニホールドで合流してもよい。
前記汚染レベルまたは前記流量を測定するステップは、複数の読み出しを行って平均化するステップを含んでもよい。あるいは、他の任意の統計的計算を行って、複数の読み出しの中心傾向を決定してもよい。
また、本明細書では、複数の吸気経路から到来する空気試料中の汚染物質を検出する検出システムであって、
前記複数の吸気経路のそれぞれにおいて流量制御手段を制御し、前記複数の吸気経路のうち1つ以上で流量を増加させ(または部分的に減少させ)、複数の異なる流れパターン形成する制御システムと、
前記結合した吸気経路の汚染レベルを測定する検出器とを備え、
前記制御システムは、前記検出器を制御して、前記複数の異なる流れパターンのそれぞれについて汚染レベルを測定し、
前記制御システムは、前記複数の異なる流れパターンのそれぞれについて、各吸気経路内の流量の、既知の、既定の、または測定された値を用いて、各吸気経路の汚染レベルを決定するよう動作可能であり、
前記制御システムは、充分な数の異なる流れパターンを形成すると共に、前記検出器を制御して充分な数の測定を行い、各吸気経路の汚染レベルを決定するよう動作可能である検出システムを開示している。
検出システムは、吸気経路の数に対応する吸気ポートを有する検出ユニットの形をとってもよい。各吸気ポートは各採取管に連結されてもよい。前記流量制御手段はそれぞれ、前記検出ユニット内に配置されてもよいし、各採取管内に配置されてもよい。
好ましくは、システムは流量の測定値を制御できる。
また、本明細書では、周壁により画定される細長い採取ダクトを少なくとも1つ有し、かつ、ダクトの長さ方向に沿って配置されると共に前記壁を貫通して延びて試料の侵入を可能とする複数の採取口を備えるタイプの環境採取システム用の採取点を開示する。前記環境採取システムは、前記採取口を介して環境から前記ダクト内に試料を吸引すると共に前記ダクトを通じて分析用デバイスまで試料を搬送するように構成されている。前記採取点は、前記ダクト内部を前記周壁の内方に向かって延びる試料噴射口を有する。
前記試料噴射口は、前記ダクトの周壁を通って延びる管を有していてもよい。好ましくは、前記管は、前記ダクトの中央部(または中央部付近)であって前記ダクトの周壁から離れた位置に出口を有する。
前記試料噴射口は、前記ダクトの流れ方向下流側に面する出口を有していてもよい。好ましい形態で、前記試料噴射口はL型の管である。第1の入口端は環境から試料を吸引するためのものであり、第2の出口端は前記ダクト内に位置すると共に、前記ダクトの流れ方向の下流側に面する出口を有する。また、周壁により画定される細長い採取ダクトを少なくとも1つ有し、かつ、ダクトの長さ方向に沿って配置されると共に前記壁に沿って延びて試料の侵入を可能とする複数の採取口を有するタイプの環境採取システムであって、前記採取口を介して環境から前記ダクト内に試料を吸引すると共に前記ダクトを通じて分析用デバイスまで試料を搬送するように構成されている環境採取システムにおける方法を開示している。
前記方法は、別々の試料部分が前記ダクトの下方に移動するときに、前記ダクトに沿って、前記試料部分の少なくとも前方の拡散を改善する構造を設けるステップを含む。
前記構造は、上記ダクトの内側に向けて延びる試料噴射口を有する採取点であってもよい。また、前記構造は、使用時の前記ダクト内で層流の生成を妨げて乱流を生成するように構成された構造であってもよい。例えば、前記構造は、起伏を付けられたまたは凹凸が形成されたダクトの壁(タービュレータ、受動的または能動的回転要素などであってもよい)。
また、本明細書では、周壁により画定される細長い採取ダクトを少なくとも1つ備え、かつ、ダクトの長さ方向に沿って位置すると共に前記壁を貫通して延びて試料の前記ダクト内への侵入を可能とする複数の採取口を有する環境分析システム用の採取システムを開示する。前記環境採取システムは、前記採取口を介して環境から前記ダクト内に試料を吸引すると共に前記ダクトを通じて環境分析用デバイスまで試料を搬送するように構成されている。前記採取システムは、前記試料部分が前記ダクトの下方に移動する際に、該ダクトに沿って、少なくとも別個の試料部分の前部の拡散を改善する手段をさらに備える。使用時の前記ダクト内で層流の生成を妨げて乱流を生成するように構成された構造であってもよい。例えば、前記構造は、起伏を付けられたまたは凹凸が形成されたダクトの壁(タービュレータ、受動的または能動的回転要素などであってもよい)。
前記構造は、前記ダクトの略長さ全体にわたって延びていてもよく、例えば前記複数の採取口のうちの1つまたはすべての位置(またはその近く)に局在していてもよい。
さらに、本明細書では、長さ方向に沿って一連の採取口が位置する細長い採取ダクトを少なくとも1つ備え、環境からの試料の侵入を可能にするタイプの環境採取システムにおける方法を開示する。前記環境採取システムは、前記採取口を介して環境から前記ダクト内に試料を吸引し、かつ、前記ダクトを介して試料を分析用デバイスまで搬送するように構成されている。前記方法は、前記ダクト内の気流特性を変化させて少なくとも1つの特定の採取口の位置(またはその近く)で局所的試料濃度を変化させ、該局所的試料濃度を、特定の採取口を包囲する大気中の試料濃度に向けて増加させるステップを含む。
気流の特性を変化させるステップは、前記特定の採取口に隣接する位置にある試料の一部が前記採取口から排出されるように前記ダクト内の流れを止めまたは流れの方向を逆にするステップを含んでもよい。また、この方法は、前記特定の採取口を介して環境から追加の試料を吸引するステップを含んでもよい。前記特定の採取口に隣接する位置にある試料の一部が前記採取口から排出されるように前記ダクト内の流れを止めまたは流れの方向を逆にするステップ、および、前記特定の採取口を介して環境から追加の試料を吸引するステップは、1回以上繰り返されてよい。
前記方法は、排出と再度の採取のプロセスが繰り返し行われるように、前記ダクト内の流れの方向を周期的に変化させる(oscillate)ステップを含んでもよい。
また、前記方法は、前記ダクトの内容物を前記分析用デバイスまで輸送するステップを含んでもよい。好ましくは、この輸送ステップは、前記ダクト内での試料の希釈度、または前記ダクトの長手方向に位置する試料部分の混合を最小にした状態で実施される。例えば、前記方法は、輸送ステップの前に前記複数の採取口のうちの1つ以上を閉じること、上流側に位置するダクトを開いて流れ抵抗を小さくすること、前記上流側の位置から前記ダクトに沿って試料を吹き込むこと、のうちの1つ以上を含んでもよい。
長さ方向に沿って少なくとも1つの採取口が位置する細長い採取ダクトを少なくとも1つ有し、環境からの試料の侵入を可能にするタイプの環境採取システムを開示する。前記環境採取システムは、各採取口を介して環境から前記ダクト内に試料を吸引し、かつ、前記ダクトを介して試料を分析用デバイスまで搬送するように構成されている。前記システムは、前記ダクト内の気流による試料の希釈度を改善する試料増幅構成をさらに備えてもよい。
前記試料増幅構成は、前記ダクトの少なくとも一部において流れ方向を逆にするデバイスを有してもよい。好ましくは、流れ方向を逆にするデバイスは、流れ方向を複数逆にして採取口の位置(または隣接する位置)で空気試料の混合を促進するように構成されている。流れを逆にするデバイスは、例えば可逆ファン、ベローズ、往復ピストン、振動膜などであってもよい。
また、本明細書では、長さ方向に沿って一連の採取口が位置する細長い採取ダクトを少なくとも1つ備え、環境からの試料の侵入を可能し、前記方法を実施するように構成されたタイプの環境採取システムを開示する。前記環境採取システムは、
前記ダクトに沿った、かつ/または前記複数の採取口のうちの1つ以上を通る流れを制御する1つ以上のバルブ、
前記ダクトに沿った、かつ/または前記複数の採取口のうちの1つ以上を通る流れを制御する、ファン、送風機または他の流れ誘導手段、のうちの一方または両方を含んでもよい。
また、複数の位置から到来する分析用の空気試料を搬送するために、上記タイプの環境採取システムを有する粒子検出システム(好ましくは煙検出システム)が設けられる。
好ましい形態では、上記粒子検出システムは、本発明の以下の態様に係る検出システムを備える。この場合、前記アクセサリは、採取口(または採取点)、バルブ、フィルタ、ダクト(またはダクトの一部)、流れ誘導デバイス(例えばファン、ピストン、ベローズ、ポンプ、振動膜など)、位置決定(localisation)モジュールのうちの1つ以上を有してもよい。
本発明の更なる態様に従って、空気の体積の異常状況を検出する検出システム(例えば、本明細書で説明しているいずれかのタイプの粒子検出システム)が提供される。前記検出システムは、前記空気の体積の異常状況を検出する検出器とアクセサリとを備える。前記検出器と前記アクセサリは、前記空気流路により互いに、さらに前記空気に流体接続しており、流体接続している。前記検出器は、前記空気流路を介して前記アクセサリと少なくとも一方向に通信するように動作可能である。
前記検出器は、前記採取された空気内での異常粒子レベルを検出するために用いられる粒子検出器の形をとってもよい。好ましくは、この種の粒子検出器は、吸引型煙検出器、すなわちファンや他種の流体駆動装置を有するものである。したがって、この好ましい実施形態では、前記検出器は、前記空気流路における気流特性を変化させることにより、前記空気流路を通じて信号を前記アクセサリまで送信できる。この好ましい実施形態では、流れの速度や方向を調節することにより、これを達成できる。好ましくは、前記気流特性の変化は、前記アクセサリにより検出される。前記アクセサリは、検出された前記変化に応答する。したがって、前記気流特性の変化は、前記検出器から前記アクセサリに伝わる信号として機能する。
好ましくは、前記空気流路は、本発明の複数の態様(または本明細書で説明している実施形態)のいずれかで説明している空気採取システムまたは環境採取システムを有する。
前記アクセサリは、空気の体積の異常状況を検出する検出器を有していてもよい。前記アクセサリの検出器は、粒子検出器、気体検出器、温度/熱検出器、湿度検出器のうちのいずれかであってもよい。あるいは、前記アクセサリは、フィルタを有してもよい。例えば、該フィルタは、粒子検出前に用いられるプレフィルタであってもよい。前記アクセサリは、前記空気流路内に設けられたバルブやファンの形をとってもよい。
好ましくは、前記空気流路は、管と吸気ポートが設けられた採取管ネットワークを有する。粒子検出器を利用する実施形態で、前記空気流路は、前記吸引装置(すなわちファンと検出チャンバ)を有する検出器を通過する流路を含んでもよい。前記検出器の排気管により、前記空気流路の一部が構成される。また、前記アクセサリを通過する流路は、前記空気流路の一部であるとわかる。
前記検出器と前記アクセサリは、前記空気流路に沿って設けられた分離ユニットとして存在する。前記アクセサリは、既在の検出システム(例えば、採取管ネットワークが設けられた煙検出器ユニットを既に有する煙検出システム)内に取り付けできるものであってもよい。
好ましくは、前記検出器は動作情報を前記アクセサリに送信する。例えば、前記検出器は、該検出器の動作に関する情報(例えば現在の動作モード)を送信してもよい。検出された前記情報に対するアクセサリの応答は、設定の調整、校正(または再校正)、または動作状態を変化させることであってもよい。
上記の通り、前記空気流路を通じた通信の1つのモードでは、前記検出器が気流特性を変化させ、これを前記アクセサリにより検出できる。前記気流特性の変化は、前記アクセサリにより検出可能な気流の異常を含んでもよい。前記気流特性の変化は、空気の流量または方向の変化を含んでもよい。あるいは、空気流路中に圧力上昇または波を含んでもよい。これは、検出器に制御される気流装置(例えば検出器内の吸引装置のファン)により構成されてもよい。好ましくは、前記吸引装置は、前記検出器内に設けられたプログラム可能なコントローラにより制御される。したがって、適切にプログラミングすることにより前記検出器は必要な信号を送信する。
前記空気流路の流れ特性の変化は、種々の信号が、前記アクセサリに対する種々の状況を示すように変化してもよい。例えば、流量の変化だけでなく、複数の変化、例えば流量の増加のパルス、特定の情報に対応する複数のパルスが存在してもよい。あるいは、前記流量または実際に測定した流れの変化の度合いを用いて種々の情報を表示してもよい。
好ましくは、前記アクセサリは、流れ特性の変化を検出するセンサが1つ以上設けられた検出システムを有する。
前記空気流路を通じた通信は、前記アクセサリにより検出可能な音声伝送であってもよい。例えば、信号送信用にファンノイズの変化を利用してもよい。あるいは、例えば音響、超音波またはインフラサウンドの音声信号を前記検出器により形成可能であり、また、前記アクセサリにより検出可能である。好ましくは、前記アクセサリは、マイク、または、こうしたノイズを検出システムの一部として検出する他のトランスデューサを有する。
本発明の変形例で、振動は、検出器により、例えば前記アクセサリ内に設けられた好適な振動センサを用いて前記管を叩くことにより、生成されてもよい。
あるいは、前記検出器は、前記アクセサリ上の光センサを用いて光信号を伝送してもよい。ただし、こうしたシステムには、前記空気流路を通る見通し線が必要となることがある。
上記説明では、前記検出器と前記アクセサリとの間の一方向通信に焦点を当ててきたが、双方向通信も可能である。前記検出器と前記アクセサリとの間の通信は、前記アクセサリ内のバルブの存在により構成され、前記気流特性への必然的な影響が前記検出器内のフローセンサにより検出されてもよい。また、幾つかのアクセサリにはファンが組み込まれる。このファンを用いて、前記検出器に検出される気流特性に影響を与えてもよい。
本発明の別の態様によれば、空気の体積の異常状況を検出する検出システム用のアクセサリが提供される。前記アクセサリは、前記検出システムと前記空気に空気流路により流体接続されている。ここで、前記アクセサリは、前記空気流路を通じて前記検出システムにより送信される通信を受信するように動作可能である。前記アクセサリは、本発明の第1の態様に従って説明した特徴のいずれかを含んでもよい。
本発明の別の態様によれば、空気の体積の異常状況を検出する検出システムが提供される。前記検出システムは、前記空気の体積の異常状況を検出する検出器と、アクセサリとを備える。前記検出器と前記アクセサリとは互いに流体接続し、前記検出器は、前記流体接続の気流特性の変化をもたらすことにより前記アクセサリと少なくとも一方向に通信するように動作可能であり、前記変化は前記アクセサリにより検出可能である。
本発明の別の態様によれば、空気の体積の異常状況を検出する検出システム用のアクセサリが提供される。前記アクセサリは、前記検出システムと前記空気に流体接続可能である。前記アクセサリは、前記検出システムによる気流特性の変化を検出するように動作可能である。好ましくは、前記アクセサリは、前記変化に対して動作応答する。ただし、前記アクセサリは、いずれかの変化が存在しない場合にも動作応答してもよい。
上記2つの態様における前記検出システムと前記アクセサリに、上記好ましい特徴のうちのいずれかが組み込まれてもよい。
本発明の別の態様によれば、空気の体積の異常状況を検出する検出システムを動作させる方法が提供される。前記検出システムは、前記空気の体積の異常状況を検出する検出器と、アクセサリとを備える。前記検出器と前記アクセサリとは空気流路により互いにおよび空気に流体接続している。前記方法は、前記空気流路を介して前記検出器から前記アクセサリへ信号を送信するステップを含む。ここで、前記アクセサリは、前記信号または信号の欠如を表す。
前記検出器は、前記気流特性の変化をもたらすことにより、前記空気流路を介して信号を前記アクセサリに送信してもよい。あるいは、前記信号は、本発明の上記態様に関連して説明した変形例の方法のいずれかに従って送信されてもよい。
前記アクセサリの信号または信号の欠如に対して、動作が停止されてもよく、フォルトモードに入ってもよく、動作特性が調節されてもよい。
本発明の別の態様によれば、空気の体積の異常状況を検出する検出システムを動作させる方法が提供される。前記検出システムは、前記空気の体積の異常状況を検出する検出器とアクセサリとを備える。前記検出器と前記アクセサリは、空気流路により互いに、さらに前記空気に流体接続している。前記方法は、アクセサリの位置で、前記空気流路を通る信号を受信するステップと、受信された前記信号に基づいて前記アクセサリを制御するステップとを含む。
前記信号を受信するステップは、流れパラメータ(例えば、前記アクセサリの位置にある空気流路の一部における流量、方向、圧力など)の変化を検出するステップを含んでもよい。
前記アクセサリを制御するステップは、受信された前記信号に応じて、少なくとも1つの動作パラメータまたは前記アクセサリの状態を変化させるステップを含んでもよい。好ましくは、前記動作パラメータを変化させるステップでは、前記空気流路内の流れ状態を変化させてもよい。
本発明の別の態様によれば、空気の体積の異常状況を検出する検出システムを動作させる方法が提供される。前記検出システムは、前記空気の体積の異常状況を検出する検出器とアクセサリとを備える。前記検出器と前記アクセサリは、空気流路により互いに、さらに前記空気に流体接続している。前記方法は、アクセサリの位置で、前記空気流路内の気流の変化を検出するステップと、検出された前記変化に基づいて前記アクセサリを制御するステップとを含む。
前記信号を受信するステップは、流れパラメータ(例えば、前記アクセサリの位置にある空気流路の一部における流量、方向、圧力など)の変化を検出するステップを含んでもよい。
前記アクセサリを制御するステップは、受信された前記信号に応じて、少なくとも1つの動作パラメータまたは前記アクセサリの状態を変化させるステップを含んでもよい。好ましくは、前記動作パラメータを変化させるステップでは、前記空気流路内の流れ状態を変化させてもよい。
上記実施形態で、前記アクセサリは、バルブ、ファン、流量制御デバイス、検出器フィルタのうちの1つ以上を含んでもよい。
本明細書で説明しているいずれかの実施形態において、システム、検出器および/またはアクセサリを有利に利用できる。特に、こうしたアクセサリや方法を利用すれば、前記アクセサリと他のシステムコンポーネントとの間を追加の通信ラインで接続する必要があるので、前記アクセサリの取り付けが複雑でなくなる。
また、本明細書では、長さ方向に沿って複数の採取口が位置する細長い採取ダクトを少なくとも1つ備え、環境からの試料の侵入を可能にするタイプの環境採取システムにおける方法を開示する。前記環境採取システムは、前記採取口を介して環境から前記ダクト内に試料を吸引し、かつ、前記ダクトを介して試料を分析用デバイスまで搬送し、前記試料内の脅威物質の存在を検出するように構成されている。
前記方法は、前記脅威物質の存在および/または濃度が監視される検出モードで動作するステップを含み、少なくとも1つの基準が満たされる場合には、前記システムは、位置決定モードで動作して、どの採取口を通じて前記脅威物質が該システムに侵入したかを決定する
前記方法は、前記位置決定モードにおいて複数の採取口のうちどの採取口を通じて脅威物質が侵入したかの決定を行うことができるようにトレーニングモードで動作させ、前記少なくとも1つの採取ダクトを通過して分析デバイスに至る試料の流れを特性付けるステップを含んでもよい。
前記位置決定モードは、試料増幅フェーズと輸送フェーズを含んでもよい。
前記位置決定モードは、パージフェーズを含んでもよい。
更なる態様で、粒子の存在を見出すために、一続きの物理的位置を監視するように校正された粒子検出システムが提供される。前記粒子検出システムは、粒子検出器と、前記一続きの物理的位置から到来する空気試料を分析のために前記粒子検出器に搬送するための採取管ネットワークとを備える。前記採取管ネットワークは、前記複数の物理的位置のそれぞれに、空気試料が前記採取管ネットワークに吸引されるときに通過する採取口構成が設けられるように構成されている。ここで、前記複数の採取口構成のそれぞれは、各採取接続位置で採取管に接続されている。また、前記採取管ネットワーク内の流路に沿って測定した場合、前記隣接する物理的位置にある採取口構成間の平均距離は、隣接する物理的位置にある採取接続位置間の平均距離よりも小さい。
採取口構成が複数の採取口を有する場合、前記複数の採取口の重心を用いて隣接する採取口構成までの位置を決定できる。同様に、物理的位置の採取接続位置が前記採取管の複数の接続点を含む場合、前記複数の接続点の中心を用いて前記流路に沿った隣接部までの距離を決定できる。
幾つかの実施形態で、前記採取管は、監視されている領域を通過して前記領域を利用可能とする。他の実施形態で、採取管は、前記領域の近くを延びる。ただし(例えば、前記採取管が部屋の天井の上方に延びて当該領域を利用可能とする場合、または、監視される戸棚の外側で延びて当該領域を利用可能とする場合、)該領域を貫通しない。
好ましい実施形態で、前記採取管は、該採取管により利用可能とされる領域を通過して延びる第1部分と、該第1部分により利用可能とされる少なくとも1つの領域を通過して延び、前記第1部分の上流側で前記採取管ネットワークに接続された第2部分とを有する。好ましくは、前記第2部分は、前記第1部分が通過する複数の領域を通過して延びる。好ましくは、前記第2部分は、前記第1部分が通過する複数の領域の大部分を通過して延びる。
幾つかの形態で、第1部分と第2部分は、隣り合って延び、好ましくは互いに平行に延びる。
好ましい形態では、前記第2部分は、前記第1部分により利用可能とされる複数の位置の間の位置を利用可能とする。好ましくは、互いに隣接する複数の位置は、前記管ネットワークの第1位置と第2位置により交互に利用可能とされる。こうした構成は、前記採取管ネットワークの流路に沿った複数の接続点が散開するように機能する。これは、粒子の位置決定において曖昧さを低下させるのに役立つ。
前記領域の採取口構成の接続点が前記採取管ネットワークの共通部分の所定部分に作成された場合、ある領域が、前記採取管ネットワークの共通部分の所定部分(第1部分または第2部分)のいずれかにより利用可能とされると考えるべきである。別の態様では、複数の領域において粒子を監視するように構成された粒子検出システムが提供される。前記粒子検出システムは、粒子検出器と、吸引されて分析のために前記検出器に輸送される粒子が通過する採取口を複数有する採取管ネットワークとを備える。前記採取口は、特定の領域から試料を吸引するように構成されている。ここで、前記採取管ネットワークは、一列に並んで直接に相互接続された複数の管を有してもよい。並んだ複数の管の長さ方向に沿って連続して隣接配置された少なくとも2つの領域に対応する前記採取口は、前記複数の管の種々のメンバに接続されている。前記複数の管が2本である場合、好ましくは、連続して隣接する領域に含まれる前記複数の採取口は、前記第1管と前記第2管とに交互に接続される。
本発明の別の態様では、位置を保護するように構成された粒子検出器に試験用物質を搬送する搬送システムと、
前記試験用物質を搬送するように前記搬送システムを駆動する駆動手段と、
前記搬送システムの駆動を、前記位置の画像を撮影するように構成された撮像システムにより自動検出できるように信号で伝える計器とを備えた装置が提供される。
前記装置は、駆動に関するデータを記憶用または伝送用の装置へ入力することを可能にするインタフェースをさらに備えてもよい。前記搬送システムは、試験用物質生成装置、前記試験用物質生成装置から前記粒子検出器へ試験用物質を搬送するダクト、前記装置を通じて前記粒子検出器まで前記試験用物質を移動させるファン、ポンプなどのうちの少なくとも1つを有してもよい。好ましくは、前記表示器は、画像内で捕捉用の放射線を放射するように構成された放射線エミッタを1つ以上有する。前記装置は、該装置への(かつ/または、該装置から、前記粒子検出システムや前記撮像システムのような外部装置への)データ転送を可能にする同期ポートを有してもよい。
別の態様では、本発明は、粒子検出システムにおいてアドレスを関連づける方法を提供する。前記アドレスは、撮像システムが監視する1つの物理的位置に対応する。前記撮像システムは複数の位置を監視する。前記方法は、粒子検出システムにおいて前記アドレスで粒子の検出を行うステップと、前記アドレスに対応する物理的位置を視覚的に表示するステップと、前記撮像システムにより撮影された少なくとも1つの画像において物理的位置の視覚的表示を特定するステップと、前記撮像システムにより監視される複数の位置に含まれる1つの位置にアドレスを関連づけるステップとを含む。
好ましくは、前記方法は、
視覚的表示が特定される少なくとも1つの画像を撮影したカメラ、
視覚的表示が特定される少なくとも1つの画像を撮影したカメラのパン、チルトまたはズームパラメータのうちの1つ以上、のうちの一方または両方に前記アドレスを関連づけるステップを含む。
前記方法は、前記撮像システムに相関データを提供し、前記粒子検出システムにおけるアドレスに対応する画像の選択的な撮影、記憶または表示を、前記粒子検出システムにより前記アドレスで粒子が検出される場合に実現するステップを含んでもよい。
これにより、本明細書で説明しているように、粒子検出事象の映像照合が実現する。
前記アドレスに対応する物理的位置を視覚的に表示するステップは、前記撮像システムが撮影する画像において捕捉および特定可能な放射線を放射するステップを含んでもよい。このステップは、検出可能なパターンにおいて放射線源を選択的に駆動するステップ(例えば、光源のオンオフを調節するステップ)を含んでもよい。
を含んでもよい。
好ましくは、前記粒子検出システムにおいて粒子の検出を行うステップは、前記粒子検出器により前記アドレスで検出が行われるように、前記物理的位置(またはそれに近い位置)で粒子を放出するステップを含んでもよい。
好ましくは、前記粒子検出システムにおいて前記アドレスで粒子の検出を行うステップ、および、前記アドレスに対応する物理的位置を視覚的に表示するステップは、同時に行われて、前記撮像システムにより撮影される画像と前記粒子検出システムにおける粒子検出事象とを一時的に関連づけることを可能にする。
好ましくは、前記方法は、本発明の態様による装置を用いて実施される。
図1は、採取ネットワーク28に流体連結された粒子検出器11を備えた粒子検出システムを示す図である。採取ネットワークは吸気口29を複数個有する。この吸気口29を通じて空気が吸引される。吸引装置16は、採取ネットワーク28へ、そして入口21を介して粒子検出チャンバ14の中まで空気を吸引する。空気試料は、出口22を通って検出システムから出る。
検出器はフローセンサ24を有する。本発明の好ましい実施形態では、国際公開公報(WO 2004/102499)に記載されている超音波フローセンサが用いられる。このセンサにより、体積流量を測定できる。フローセンサ24は、単位時間当たりに採取ネットワーク28から粒子検出器10へ流入する空気の体積を表示する。フローセンサ24の出力を用いて、例えば採取ネットワーク28がブロックされ、あるいは吸引装置の性能が低下し、流れが止まったことを推測できる。
また、システム10は、検出器14の出力を基に空気試料中の粒子のレベルを決定するコントローラ40を備える。システム10は、アラーム・フォルト(fault)ロジックを検出器の出力に適用し、ユーザに粒子の存在やシステムの動作状態について警告を行う。この種のシステムの一例として、典型的にはXtralis Pty Ltd製のVesda煙検出器やICAM煙検出器が導入される。
こうした検出システムを本発明の実施形態に適用して、粒子が空気採取ネットワーク28に侵入する点をさらに決定できる。
図2は、2つの粒子検出器202,204を示す。各粒子検出器は図1に示すタイプのものである。各検出器は、採取ネットワーク203,205の管にそれぞれ接続されている。採取ネットワーク203,205は、実質的に並列であって同じ領域を監視するように構成されている。また、各検出器は、制御ユニット207(マイクロコントローラ209を含む)に接続されている。管203は、複数の吸気口206〜216を有する。同様に、管205は、複数の吸気口218〜230を有する。管203の吸気口はそれぞれ、管203に平行な管205の吸気口とペアにすることができる。設置の際、管203の各吸気口は、管205の対応する吸気口に隣接して配置される。それゆえ、吸気口はペアになって配列する。例えば、管203の吸気口206と管205の吸気口218は、近接配置されているので空気採取口ペア232となる(1つのラベルが付される)。例えば、各ペアは、一列に並んだオフィスの同じ部屋に位置してもよく、あるいは共通の採取点に設置されてもよい。
通常動作では、粒子検出器202の吸引装置は空気管203を通じて吸引を行う。粒子検出器204の吸引装置は空気管205を通じて吸引を行う。各粒子検出器が空気を吸引するときに散乱光または「煙レベル」が測定され、制御ユニット207に送信される。制御ユニット207のマイクロコントローラ209は、受信した煙レベルを内部メモリに保存する。
煙が空気採取口ペア232の位置で空気採取ネットワークに侵入する場合、吸気口206から粒子検出器202に到達するまでの煙の移動距離は、吸気口218から粒子検出器204に到達するまでの煙の移動距離よりも充分に小さい。したがって、空気採取口ペア232に煙が入ることによる煙レベルの増加は、粒子検出器204の前に粒子検出器202に記録されることになる。
粒子検出器202,204のうちどちらか(例えば煙検出器202)の煙レベルの検出値が所定の閾値(アラーム用閾値であってもなくてもよい)を超えたとき、マイクロコントローラは、一方または両方の検出器を通じて吸引される空気の体積を監視し始める。吸気口218で導入される煙は、検出器204により検出可能となる前に採取管205の長さ方向に沿って移動する必要があるので、粒子検出器204は、ある体積の空気を吸引した後に、粒子検出器202と同程度の煙レベルの増加を記録する。この煙レベルの増加が記録されると、マイクロコントローラ209は、検出器204により吸引される空気の体積の監視を終了する。監視終了時の体積を用いて、どの採取口(穴)を通じて煙が空気採取管に侵入したかを決定できる。
フローセンサ(例えば符号24)は体積流量を出力するので、検出器を通過する空気の体積は、フローセンサの出力を経時的に積算することにより決定される。例えば、流量は、センサにより1秒につき1回以上出力されてもよい。これらの体積は、検出器自体またはマイクロコントローラ209に蓄積され、通過した試料空気の全体積を決定するのに用いることができる。
次に、マイクロコントローラ209は、上記の通り決定した、検出器204により吸引された空気の体積を用いて、煙粒子が導入される際にどの採取口ペアを通過したかを推測する。一実施形態で、マイクロコントローラは、以下のようなルックアップテーブルを参照して推測を行う。
ルックアップテーブルは、測定された体積と、対応する採取穴ペアとの関係を示す。各体積は、粒子が第2検出器により検出される前にこの第2検出器により吸引される空気の体積に相当する。負の値と正の値は、検出器202,204のうちどちらの検出器が体積を測定するかを示す。この例では、負の値により、検出器202が体積を測定することが示されている。
例えば、マイクロコントローラ209は、検出器202による煙検出と、その後の、検出器204による煙検出との間の時間で、検出器204により吸引される空気の体積(112ml)を測定できる。ルックアップテーブルにて、上記体積に最も近い体積を有するのは、第4行であってペア4が対応する。ペア4は吸気口ペア238に対応する。測定した体積が−112mlであれば、最も近い列は、−100mlの列であって、煙がシステムに侵入する点はペア3(吸気口ペア236)であると決定されただろう。本発明の他の実施形態では、体積を直接に測定する代わりに、体積に対応する値を用いることができる。
例えば、システムを通過する空気試料の量は、体積流量以外のパラメータを測定することにより決定できる。例えば、検出器内にマスフロ−センサが存在する場合、こうしたセンサの出力を本発明の実施形態で用いることができる。なぜなら、当該出力は、温度や流体の密度を補正する補正係数により体積に関連付けられるからである。
他の物理的パラメータ(これに限定されないが、長さ、圧力、温度または体積に関連する事象の計数値)を用いてもよい。例えば、時間により変化する試料の流速を所定位置で(例えばms−1単位で)測定および累算(総和の計算や積分など)して、システムを通過する空気の量を「長さ」の形で決定してもよい。また、体積であれば、空気試料(またはその既知の割合)を用いてピストンを移動させることにより、「長さ」で表すことができる。収集した試料によるピストンの全変位(またはその一定の割合)は、システムを通過する空気量の測定値を表す。あるいは、シリンダが小さい場合、ピストンのサイクル数を数えて、システムを通過する空気試料の体積に対応する値を得ることができる。
システムを通過する空気の量を決定するために用いられる物理的パラメータが圧力または温度である例を挙げるために、空気試料(またはその一部(既知の割合))が閉鎖系の第1チャンバ内で捕捉されるシステムを考える。この空気の実際の体積V1(または体積一定の場合には圧力)を知ることはできない。ただし、捕捉試料の温度T1と圧力P1(または圧力一定の場合には体積)が測定される。次に、この捕捉試料を体積V2が既知の第2のチャンバに移動させ、ボイルの法則を用いて温度T2と圧力P2を最初の体積に関連させる。試料(または試料の一部)が第2チャンバに移動する間、圧力または温度が一定に保たれるよう制御を行うことにより、システムを通過する試料空気の体積に関連する量として、温度または圧力を用いることができる。
質量、圧力、温度および長さ、または、測定可能であって流量変化に耐性を有する他の物理的パラメータの測定値を体積の代わりに用いる場合、ルックアップテーブルにより、体積を計算するステップを挟まずに、上記他の物理的パラメータを直接に吸気口ペア番号に関連づけることができる。
吸気口ペア番号が決定すると、この数は火災警報コントロールパネル(FACP)のような第2のデバイスに連絡されてもよく、またはユーザに対して表示されてもよい。これにより、火災位置の特定が可能となる。
ルックアップテーブルは、システムの試運転中に、例えば各採取口ペアに煙を導入すると共に検出前に吸引された空気の体積を測定することにより作成できる。煙が採取口ペア232に侵入した場合、検出器202による検出後に検出器204により吸引される空気が大量に存在する。一方、検出器204は煙レベルの増加を検出するまで待機している。逆に、採取口ペア242を通じて煙がシステムに侵入した場合、検出器204は検出器202より前に煙レベルの増加を検出する。検出器202は、煙レベルの増加を検出するまでの間に大量の空気を吸引する。例えば煙が中央に向かって(例えば採取口ペア236で)採取ネットワークに侵入した場合、検出器202が最初に煙レベルの増加を検出するだろうが、検出器204による検出前に吸引される空気の体積は、第1例のいずれの場合よりも小さいだろう。なぜなら、検出器202による検出時点までに、煙は吸引されてすでに検出器204から充分に離れた位置にあるからである。
本発明の構成において、採取管ネットワークが長く、粒子の輸送時間が長い場合に、煙の位置を決定する前に煙の存在を検出できると当業者に理解されるだろう。例えば、図2の採取口ペア232に煙が導入される場合、採取穴206に侵入する煙は迅速に検出器202まで移動して検出される。検出器202は、検出器204が未だ煙を検出していなくても迅速にアラームを鳴らすことができる。したがって、採取穴に導入された煙をある時間までに検出する必要があることが規則により規定されている場合、この特定の構成により、煙粒子の検出の際に炎の存在を検出および報告できる。煙の位置決定は、アラームレベルでなく閾値レベルを用いた上記の方法により進めることができる。
したがって、好ましくは、各検出器についてアドレス指定事象を決定するのに用いられる閾値は、最低の警告(例えばプレアラーム)閾値よりも大きい。好ましい実施形態では、アドレス指定を試行する前により高いレベルの粒子が検出されるまで待機が行われる。
一実施形態で、ルックアップテーブルを用いる代わりに体積オフセットに定数を掛けて、煙粒子がシステムに侵入した(採取ネットワークに沿った)距離を決定する。別の実施形態で、関数の変数として体積オフセットが用いられる。関数が評価されると、粒子が侵入した(採取ネットワークに沿った)距離の推定値が得られる。別の実施形態では、ルックアップルテーブルを参照する指標として体積オフセットが用いられる。得られる参照値は、管に沿った距離の推定値である。好ましい実施形態で、増倍率、関数または上記ルックアップテーブルは、各採取穴ペアに煙を導入すると共に得られる体積オフセットを測定して校正データを得ることにより、試運転の時点で決定される。当業者が理解するように、採取穴の別のサブセットに煙を導入し、かつ採取ネットワークにおける採取口ペアの既知の分布に依存して、採取穴のサブセットについての結果を推測できる。
本発明の変形例では、例えば火災の広がりを決定できる。システムが伝送する情報は、粒子が侵入したと思われる採取ネットワークに沿った距離であってもよい。ただし、この距離は採取口ペアに対応していなくてもよい。
計算した距離または採取口は、エンドユーザに直接に提示されてもよい。また、計算された距離または採取口は、別のシステム、例えば火災警報コントロールパネル(FACP)に伝達されてもよい。採取点が複数設けられた1つの吸引型煙検出器でなくアドレス指定可能な点検出器のシステムからデータを受信するように火災警報コントロールパネルが設計されている場合、このシステムは、アドレス指定可能な点検出器のシステムを模倣するようにして、計算された距離または吸気口を火災警報コントロールパネルに伝達できる。これにより、アドレス指定可能な個別の点検出器を実際に用いることなく、FACPにより火災位置を把握できる。
図3は、空気採取ネットワークに設置された1つの粒子検出器を用いる本発明の別の実施形態であって、2つの管303,305とバルブ304を有するものを示す。通常動作で、空気は管303を通って吸引される。煙検出器202が所定の閾値を超える煙を検出した場合、管303を塞ぐように、かつ管305を空気が流れるようにバルブ304が移動し、マイクロコントローラ309は検出器302により吸引される空気の体積の記録を開始する。煙粒子が検出器302により検出された場合、マイクロコントローラ309は、検出器302により吸引される空気の体積の記録を終了する。次に、空気採取ネットワーク305を通過して粒子検出器302(再度粒子を検出する前の)に入る空気の体積を用いて、本明細書で説明している方法のいずれかにより煙粒子が管305に侵入する点を推測する。
図4は、1つの空気採取ネットワークに設置された2つの粒子検出器を用いる別のアプローチを示す。当初、煙検出器402が作動し、煙検出器404は作動していない。煙は、採取口408を通じてシステムに侵入する。煙は空気採取ネットワークにより吸引されて、煙検出器402により検出される。煙検出事象の決定により、煙検出器402は動作を停止し、煙検出器404は作動する。また、マイクロコントローラ409が、検出器404により吸引される空気の体積の記録を開始する。煙検出器404の吸引装置は、空気採取ネットワークに沿って、煙検出器402の吸引装置により生じる最初の流れ方向とは反対の方向に空気を吸引する。1つの採取口408のみを通って煙が侵入する場合、煙検出器404は、採取口408から煙が到達するまで煙を検出できない。本発明によれば、まず煙検出器402が煙を検出した後に検出器404が煙を検出するまでに検出器404が吸引する空気の体積を用いて、本明細書で説明している方法のいずれかにより、空気採取ネットワーク403に侵入する煙粒子がどの吸気口を通過するかが決定される。
本発明者らは、システムを通じて吸引される空気の体積またはこれに対応する値を用いて、空気採取システムに粒子が侵入する点を決定することが好都合であることを見出した。さらに、時間でなく体積を測定することにより、時間の測定値を用いた場合の不都合や問題を改善できる。例えば、使用時に採取口にごみが集まって狭窄し、これにより圧力が低下して気流が低下することが知られている。これは、システムの寿命にわたって空気試料の移動時間が変化することを意味する。ただし、検出器に送られる空気の体積は時間に対して比較的一定であり、これにより送られる空気の体積とアドレスとの間の関係が輸送時間よりも安定する。さらに、バルブを開く際または吸引装置を作動させる際に遅れが生じた場合、または、ファンが予想よりゆっくり動作を開始した場合、第2の時間に粒子が検出される前にシステムを通じて吸引される空気の体積は、時間測定に基づくシステムと比べて比較的不変である可能性が高い。好都合なことに、体積測定に基づくアドレス指定システムは、流量とは無関係に、または広範囲に変化する流速にわたって動作可能である。これにより、以下のように、システムがエンドキャップを抜いて、検出器へ向かう試料の流速を大きくする技術が実現する。
本発明の実施形態では、他種のフローセンサ(例えばマスフロ−センサ)を用いることができる。マスフロ−センサは、センサを通過する空気の質量を経時的に示す。しかし、マスフローセンサは測定する空気の密度には感度がないので、マスフローセンサを通過する空気の体積を決定するために他の情報(例えば空気の温度)が必要となる。
さらに、上記本発明や先行技術の実施形態を実施する際に困難となりうるのが、2つの等価な煙検出事象が生じたと確実に決定するのが難しいことである。例えば、アナログからデジタルへ信号が変換される前に導入されるノイズにより、検出器202または検出器204により煙がいつ検出されたかを決定するプロセスの実行が妨げられる可能性がある。本発明者らは、このような不利な点を避け、あるいは改善するプロセスを開発した。
図2に示すような煙検出システムにより、区別可能な2つのデータセットまたは「粒子検出プロファイル」が得られる。1つのデータセットは粒子検出器202から得られる。もう一方のデータセットは粒子検出器204から得られる。各データセットは測定された一連の煙レベルを含む。このデータセットには、検出器を通過する空気の体積に関する情報、または、粒子の煙レベルが測定された時間が含まれていてもよい。
以下の例では、経時的に煙レベルを監視するシステムについて説明する。当業者に理解されるように、この方法は、(上記)システムにより得られる空気の体積に比較される煙レベルを測定するように適合しているが、説明目的のため、種々の時刻に測定された一連の煙レベルに関連するシステムについて説明する。
図5は、粒子検出プロファイルを示す。縦軸は、検出された煙レベルを表す。横軸は、測定された時間を表す。煙レベルは、図2の検出器202により測定されたものである。図6は、第2の粒子検出プロファイルを示す。このグラフは、検出器204により測定されたものであることを除いて図5と同じである。
図面を比較して、検出器202が検出した煙レベルは時刻200で最大値に達した。この時刻200で検出器202は動作を停止し、出力はほぼ0に戻った。検出器204は、時刻300で最大煙レベルを検出する。検出器204に到達する煙が移動する(採取ネットワーク205に沿った)距離が、少なくとも部分的に種々の時間に寄与する。各最大値に至る時刻の差、または、各プロファイルが幾つかの所定の閾値(例えば縦軸の煙レベル150、これは使用時のアラーム用閾値とは異なっていてもよい)を超える時刻の差を用いて、煙がどの吸気口を通じて粒子検出システムに侵入するかを推定できるだろう。しかし、より好ましいことには、図5や図6に示すデータを用いて相互相関を計算可能である。
相互相関は、連続な実関数fとgについて、下記の式に従って計算される。
当業者に理解されるように、本発明のシステムにて検出される個々の測定値(例えば煙レベル)と一緒に用いるために、この式を適用できる。例えば、こうしたシステムは、各検出器のデータの粒子検出プロファイルを各バッファ(例えばリングバッファ)内に一時的に記憶することにより、ハードウェア内に実装可能である。このバッファは、システムにより測定可能な最長のオフセットを正確に計算できるようなデータを記憶するように選択できる。次に、上記式に示しているように、データ要素の各ペアを順に積算し、それらを加算することにより、ある点での相互相関を計算できる。次に、可能性のあるオフセットtに対してこのプロセスを繰り返し、全体の相互相関関数を決定する。次に、この相互相関関数を用いて、2つの粒子検出事象の間の時間オフセットを推定する。次に、これを用いて、どの採取口ペアを通じて粒子が採取管ネットワークに侵入したかを推測できる。幾つかの実施形態では、相互相関関数から得られる情報を用いて、煙がシステムに侵入したであろう位置が見出される。
一実施形態では、相互相関関数の複数のピークが特定される。各ピークの位置と対応する相互相関の値とに基づいて、時間オフセットの一覧が計算される。時間オフセットを用いて、煙発生源の位置が推測される。煙発生源の位置を用いて、火災が発生した位置として可能性のあるものを複数推測できる。
図7は、粒子検出器702を備える粒子検出システム700を示す。粒子検出器702は、管704,706,708,710の形をとる空気採取ネットワークと流体接続している。各管は、採取口群712〜740として構成された複数の吸引口を有する。各採取口群は、物理アドレス(例えば検出器が利用される部屋や位置)に対応する。各採取口群は、1個から4個の吸気口を有する。
粒子検出器は、各管に接続されており、各管を通じて吸引された流体内に粒子が検出されたか否かをコントローラに連絡するように構成されている。検出器702は、例えば4つのVESDA煙検出器(Xtralis Pty Ltd製)であってもよい。これらの検出器は、最大4つの管で煙を独立して検出可能な中央コントローラまたは検出器に連結されてもよい。
各採取口群712〜740は、1つ、2つ、3つまたは4つの別個の採取口を有する。採取口は、同じパターンが2つできないように群に分類されている。例えば、採取口群730では各管に採取口が設けられているが、他のどの群も各管にも採取口は設けられていない。採取口群712では管71にのみ採取口が設けられているところ、他のどの採取口群にも、管710にのみ穴を有するものは存在しない。図7の例で、採取口は、4ビットのグレイコードに対応する群に配置されている。
図2に関連した説明と同様に、設置の際、各群の入口は互いに近接配置される。煙が特定の採取口で採取ネットワークに侵入する場合、複数の管のそれぞれ(当該管について、採取口が当該群内に存在する。)に煙が侵入する。例えば、煙が採取口群730の近くで採取ネットワークに侵入する場合、煙はその位置では4つの管704,706,708,710のそれぞれに侵入すると考えられるだろう。逆に、煙が採取口群712で採取ネットワークに侵入する場合、煙は管710のみに侵入すると考えられるだろう。なぜなら、その位置で、他の管には採取口が設けられていないからである。管704,706,708,710に吸引される試料に含まれる粒子を検出する際、粒子検出システムは、管704,706,708,710にわたる検出パターンに基づいて、煙が採取ネットワークに侵入する点を決定できる。
図7の表は、4つの管にわたって、粒子検出状態について可能性のある組み合わせと、対応する粒子検出位置とをより複雑に示している。はじめに、便利であるので、名称の付け方を定義して、示される煙レベルを表す。この目的のため、4つのバイナリビットを用いて、管704,706,708,710のそれぞれについて検出した煙レベルを対応させる。例えば、符号1111は、管704,706,708,710のそれぞれで吸引された空気中の、ある閾値レベルでの煙検出に対応する。符号1100であれば、管704,706のそれぞれで吸引された空気中の煙検出を指す。符号1010であれば、管704,708のそれぞれで吸引された空気中の煙検出を指す。したがって、位置に対応するアドレスとして、これら4ビット符号を用いることができる。15個のゼロでない4ビット数が存在する。したがって、これら15個の数字を用いて、別々の15個の位置を区別できる。図7の表には、15個のゼロでない二進数が「グレイコードアドレス」列に挙げられている。各二進数と並んで、15個の位置のうちの1つが「位置」列に記載されている。「煙検出」列には、管ごとに指定された閾値レベルで煙が検出されたか否かが示されている。
各位置にアドレスを割り当てる方法は多数存在する。例えば、幾つかの実施形態で、連続する1から15の各位置は、通常の数え方と同様に、順に数える二進数であってもよい。このスキームに従えば、位置1はアドレス0001(これは十進数の1を二進数で表したものである)を有し、位置2はアドレス0010(これは十進数の2を二進数で表したものである)を有する。このスキームでは、位置15には、十進数の15を二進数で表したものであるアドレス1111が与えられる。
しかし、図示した実施形態では、「グレイコード」と称される別のアドレス割り当て方法を用いている。図示した図7のグレイコードでは、位置1にアドレス0001が与えられ、位置2にアドレス0011(これは、十進数の3を二進数で表したものに相当する)が与えられている。位置3には、アドレス0010(これは、十進数の2を二進数で表したものに相当する)が与えられている。このナンバリングの順序には、各二進数表現を考えるときに特別な性質がある。特に、隣接位置にある各ペアの二進数表現は1ビットずつ異なる。例えば、位置4のアドレスは0110であり、位置5のアドレスは0111であり、4つめの数字のみが異なる。同様に、位置11のアドレスは1110であり、位置12のアドレスは1011であり、2つめの数字のみが異なる。
アドレスを選択する方法は、検出エラーに影響を与えることがある。特に、グレイコードのスキームを用いた場合、連続する位置が連続する二進数によりアドレス指定されるストレート「計数」アドレススキームよりもアドレス指定のエラーに対して強くなるだろう。これを説明するために、グレイコードによるナンバリングを採用するシステム(図7に示すような)では、決定した火災の位置が実際の煙の位置に隣接する位置である可能性はシングルビットエラーの場合には約50%である。なぜなら、隣接する各位置のアドレスはシングルビットだけ異なるからである。
当業者であれば理解するように、採取口群の選択を慎重に行い、検出器に接続される管の数を増加させることにより、位置の決定を目的として冗長度が増加する。実際の問題として、この冗長度は、例えば複数の採取口で同時に煙が侵入した場合にこれを区別できるように導入されてもよい。あるいは、こうしたシステムは、単にエラーに対する復元力を大きくするものであってもよい。
図8と図9は、図1で説明したタイプの吸引型粒子検出システムにアドレス指定能力を付与する機構を示す2つの実施形態である。
図8は、空気採取システム26に連結された粒子検出器11を備えた粒子検出システム800を示す。空気採取システム26は採取管28を有し、採取管28は5つの採取点29を有する。図1に関連して説明したように、粒子検出器11の吸引装置は採取口29を通じて空気試料を吸引する。空気試料は、管28を通って検出器11に入って分析される。この実施形態で、各採取穴29はバルブ802をさらに有する。各バルブ802は、各採取穴20への流れを個別に調整可能である。バルブは、検出器11の中央コントローラにより制御され、検出器11の制御により開閉するように構成されている。幾つかの実施形態で、バルブ802は、図28に関連してより詳細に説明する方法で、光の変化を検出器11からの信号として読み取ることにより状態を変化させる必要性を検知できる。
各採取口29にバルブ802を設けるのは、検出器11により、システムの採取パラメータの1つを変化させ、対象の粒子がどの採取口29を通じてシステム800に侵入したかを決定するのに役立つからである。検出器11により対象の粒子を所定の閾値レベルで初めて検出する際に、検出システム800は位置決定ルーチンを開始する。このルーチンでは、検出器11により、バルブ29が採取パラメータ(この例では、採取口に侵入する空気の流量)を変化させる。この変化は、基準となる採取口に近い位置にある採取口、または複数の採取口からなる群において行われてもよい。各流量変化の後、粒子濃度の測定が新たに行われる。最初の粒子濃度測定と、パラメータを変化させて行う第2の粒子濃度測定を用いて、対象の粒子がどの採取口を通じて侵入したかを決定できる。
これが機能するのは、検出器11により検出される粒子レベルが各採取口29での粒子濃度と試料の流量の加重和だからである。採取口を通る煙レベルや流量を変化させることにより、連立方程式を解いていずれか1つの採取口または採取口群に侵入する粒子レベルを決定できる。
簡単な例を説明するために、煙検出器と、採取口が2つ設けられた管を有する採取ネットワークとを備えた煙検出システムを考える。
この例では、全バルブが開いているときに検出される煙レベルは下記の式で与えられる。
ここで、DetectorSmokeAllValvesOpenは煙検出器が検出する全煙である。Smoke1は採取口1に侵入する試料の煙レベルである。flow1は、採取口1に侵入する試料の流量である。Smoke2は採取口2に侵入する試料の煙レベルである。flow2は、採取口2に侵入する試料の流量である。
第1の採取口がバルブにより閉じられた場合、検出器に到達する煙の加重和は下記の式で表される。
この加重和は、flow1=0であること以外は式1と同じである。なぜなら、採取口1のバルブは完全に閉じられているからである。
Smoke1についてこれらの式を解いて、採取口1を通じて侵入した煙の量を以下のように決定できる。
したがって、flow1, flow2および流れの変化がわかっていれば、式を解いて採取口1に侵入した煙レベルを決定できる。この原理は、各採取口29の位置で流量を決定できる限りにおいて、バルブ802が閉じられたときに、各採取穴を通過する流れが部分的にのみ制限される場合にも当てはまる。流量を検出するために、システム800は各採取口29の位置にフローセンサ804を備えていてもよい。フローセンサ804は、超音波フローセンサのような高感度フローセンサであってもよく、低コストの熱フローセンサであってもよい(これは当業者に知られるタイプのものである)。
幾つかの実施形態で、バルブ802は、各採取口を通過する流量を0に低下させず、ある割合だけ低下させるに過ぎない。下記の式は、上記例に関連して説明した、穴が2つのシステムにおいて、バルブを用いて各採取穴を通過する流量を元の流量の半分まで低下させる場合に、どのようにして採取口1を通過する煙レベル(Smoke1)を計算できるかを示す。
本発明の更なる実施形態では、採取口を通過する流量を変化させて連立方程式を解く代わりに、各採取口に侵入する煙レベルを変化させることができる。これは、各採取口29を通る流路にフィルタを選択的に介在させることにより達成できる。こうしたシステムの例を図9Aと図9Bに示している。図9Aに示すシステム900は、採取ネットワーク26に接続された検出器11を備える。採取ネットワーク26は採取管28を有する。空気試料は、複数の採取口29を通じて採取管28の中に吸引される。さらに、各採取口は選択式フィルタ構成902(図9Bにより詳細に示す)を有する。選択式フィルタ構成902の一端には空気試料の吸気口904(採取口29に相当する)が設けられ、他端には排気口906が設けられている。吸気口904は外部に開放されている。吸気口904により、外部からの空気試料が選択式フィルタ構成902内に吸引されるのを可能にする。排気口906は採取管28に接続されている。選択式フィルタ構成902内には2つの流路があり、一方の流路908はフィルタを有さず、他方の流路910はフィルタ912を有する。さらに、選択式フィルタ構成902はバルブ914を有する。バルブ914は第1位置と第2位置との間で移動可能である。第1位置では、フィルタが配置された流路910をバルブ914がブロックする。第2位置では、フィルタが配置されていない流路908をバルブ914がブロックする。煙がある閾値レベルで最初に検出器11に検出され、さらに、検出器が位置検出モード(このモードで、検出器は粒子がどの採取口29からシステムに侵入したかを決定しようとする)に入った後、バルブ914では、第1位置と第2位置との間で切替えが始まる。第1位置では、吸気口904を通じて吸引される粒子が通過して排気口906まで移動し、第2位置では、吸気口904に侵入するいずれの粒子もフィルタ912により排気口906から外に出る気流から除去される。好ましい形態で、フィルタ912は、HEPAフィルタ、または、気流からほぼ全粒子を除去する他の高効率フィルタである。
採取点29(この例では選択式フィルタ構成902)は、採取点29に侵入する流量を測定するフローセンサ916を有する。
選択式フィルタ構成902は、システム900の流路を介して検出器11につながるように構成されてもよい。このような例では、検出器11が用いる通信プロトコルは、各選択式フィルタ構成902が個々にアドレス指定可能であるように、または、各選択式フィルタ構成が同時に動作するようにプログラム可能であるように、信号を送信する必要がある。例示的な通信方法の詳細については、図28に関連して説明している。
第1の例に関連して説明したのと同様の式の組み合わせを、図9Aと図9Bに示すタイプのシステムに適用できる。
上記のような穴が2つあるシステムについて、全採取口への入力がフィルタリングされていない場合、検出器に到達する煙のレベルは下記の式で表される。
ここで、DetectorSmokeAllUnfilteredは、気流がフィルタリングされない場合の、検出器の位置での煙レベルである。他のすべての項については、式1から式4に関連して説明した通りである。
第1の採取穴の選択式フィルタ構成をフィルタモードへ移行した後、検出器の位置での煙レベルを表す加重和は下記の式で表される。
ここで、DetectorSmokeFiltered1は、採取口1が完全にフィルタリングされた場合の検出器の位置での煙レベルである。
これらの式を連立して解くことにより下記の式が得られ、これを基に採取口1に到達する煙のレベルを決定できる。
この種の位置決定プロセスの信頼性を変化させうる煙レベルの上昇または低下を扱うために、第1状態と第2状態での測定シーケンスを繰返し行うことができ、さらに多くのサイクルにわたって平均化された等価な状態で測定を行うことができる。例えば、全バルブが開いた状態で第1の測定を行い、続いてパラメータが変化した状態で煙レベルの測定を行い、続いて全バルブが開いた状態で等価な初期読み出しを行う。次に、バルブが開いた状態の2つの測定値を平均し、これを以降の計算に用いることができる。
本発明の更なる変形例では、各採取点を通過する流れを抑制する(流量を低下させる)のでなく、以下のようにして採取点での流量を増加させる。すなわち、バルブを開いて採取穴を大きくし、流れ抵抗(flow impedance)を低下させ、これにより当該採取点を通じて吸引されるシステムからの全気流の割合を増大させる。あるいは、各採取点にファンを設置して駆動させ、ファンを駆動し(または速度を変えて)採取点を通過する流れを既知の量だけ増加または減少させる。
上記実施形態では、単純な2つの吸気口システムを用いて説明が行われている。ただし、図8と図9Aに示しているように、システムは3つ以上の採取口を有していることが多い。こうしたシステムでは、複数の吸気口のそれぞれを通じて個々に走査を行うことができる、また一度に1つの吸気口のみで採取パラメータを変化させることができる。しかし、全吸気口からなるサブセットが各測定サイクルに適合した採取パラメータを有する(グループ化された)方法において、この変形例を実施することは有用だろう。幾つかの例では、差分量ごとに全採取口の採取パラメータを変化させ、各採取口の寄与分を決定できる。システム内に存在する吸気口の数が多いほど、採取パラメータを変化させかつ粒子濃度を再度測定し、所要組の方程式を解くための充分なデータを収集するプロセスをより多い回数実行する必要がある。
図8、図9Aおよび図9Bに関連して説明しているコンセプトは、複数の空気吸引経路から吸引される空気試料中の汚染物質を検出し、汚染レベルをそれぞれ決定する方法に拡張できる。例えば、この方法は、吸引型の粒子検出器であって、1つの検出器に空気を送る複数の空気採取管を有する採取ネットワークに連結されたものに適用できる。このとき、採取システムの各管(または分岐部)の貢献を決定できる。図7では、この種の「管ごとの」位置決定またはアドレス指定を用いるシステムについて説明している。
図7の例では、複数管型の空気採取システムにより、一度に1つの管の採取が必要となるような汚染物質検出器に試料を送り、どの管を流れる気流に汚染物質が存在するのかを決定できる。これは、複数の管のうち1つを除いてすべてを封止すると共に、検出器が汚染レベルを測定する間に1つの管から一度に試料が検出器に侵入するのを可能にすることにより達成できる。複数管型の空気採取ネットワークでは、各管についてこれが繰り返される。封止された管を気流に対して充分に封止して、開管の汚染レベルの正確な測定値を得る必要がある。しかし、低コスト(または手頃なコスト)のバルブを用いて完全な封止を達成するのは非常に難しい。しかし、図8、図9Aおよび図9Bに関連して説明しているのと同様の方法を用いることにより、完全な封止の必要性をなくすことができる。
図10Aは、全体が2つの採取管1012,1014からなる採取管ネットワーク1011を有する検出システム1010を概略的に示す。各採取管1012,1014により吸気経路が画定される。2つの吸気経路はマニホールド1016に連結されている。マニホールド1016は、気流を結合するのに役立つ好適なバッファを有していてもよい。ファン1018を用いることにより、検出システム101を通じて空気が吸引される。フィルタ1022と粒子検出器1024が供給される検出器ループ1020を通じて、結合した気流から副次的な試料が吸引される。気流が検出器ループ1020を通過すると、再結合してメイン流路1019となる。システム1010の排気口1028の前段に、フローセンサ1026が選択的に設けられてもよい。検出システム1010は、図1の検出器11に対応する。
採取管1012,1014はそれぞれ、バタフライバルブなどのバルブや他種の流れ変更部(flow modifier)1030,1032を有する。さらに、各採取管1012,1014は、超音波フローセンサ1013,1015を有する。
バルブ1030,1032、フローセンサ1013,1015およびマニホールド1016は、採取ネットワーク1011の一部を構成するように図示しているが、検出システム1010のハウジング内に配置されてその一部を構成し、本発明の動作が変化しないようにしてもよい。
図10Bから図10Dに関連して、本発明による方法について説明する。通常動作で、各バルブ1030,1032は、図10Bに示すように充分に開いている。採取された気流中の汚染物質の所定レベルでの存在を粒子検出器1024が検出する場合、本発明による走査方法が実施される。まず、図10Cに示すように第1の採取管1012を部分的に閉じる。この状況で、粒子検出器1024は汚染物質(C1)の測定を行う。さらに、採取管1012,1014内で流量(Fmp:Fは流れ、mは測定番号、pは管番号である)が測定される。したがって、フローセンサ1013,1015について流量の測定値はそれぞれF11、F12である。
次のステップでは、図10Dに示す位置までバタフライバルブを移動させることにより、他方の採取管14が部分的にブロックされる。この状況で、粒子検出器は汚染レベル(C2)を測定する。さらに、流量の測定値が取得される(F21,F22)。
汚染物質の量(または複数の管の間での汚染物質の相対的な量)が走査時間中に大きくは変化しないと仮定すると、管についての個々の汚染物質の測定値は、以下の連立方程式から計算できる。
C1=X1F11/(F11+F12)+X2F12/(F11+F12)
C2=X1F21/(F21+F22)+X2F22/(F21+F22)
ここで、X1は管1での実際の汚染、X2は管2での実際の汚染である。
好都合なことに、本発明の実施形態により、所定の汚染物質について、採取管の封止が不完全であることにより生じる複数の試料間の間でのクロストークを、バルブを高精度に動作させること(これはコスト高となる)なしに除去できる。その代わりに、低コストのバタフライバルブや他種の流れ変更部を用いて、クロストークを充分に除去し、管のアドレス指定を達成できる。
上記の通り、バルブを用いて部分的に管を閉じる代わりに、フィルタを管内に選択的に介在させて、各管内の汚染レベルを既知の量(好ましくは0)に一時的に低下させ、穴のアドレス指定のために上記汚染物質レベルを求めるように方法を適合させることができる。
本明細書で説明している種々の実施形態では、検出器での粒子の最初の検出、より具体的に言うと、採取システムの特定の採取口から到来する煙を受けたことを正確に特定する試みが、共通のステップとして実施される。特に、一般的に検出が試みられ、採取ネットワーク内の動作変化(バルブを開閉する、管ネットワークを清浄な空気で洗浄する、流れ方向を逆にするなど)の後に特定の採取口に煙が侵入したことを表す事象は、採取管を伝わる煙の前部(smoke front)の到達である。図11Aと図11Bにこのコンセプトを図示している。
図11Aは粒子検出システム1100を示す。粒子検出システム1100は、検出器1102と採取管ネットワーク1104とを備える。採取ネットワーク1104は、3つの採取口1106,1108,1110を有する。採取口1108に隣接して噴煙1112が位置する。例として、採取ネットワーク1104内の流れの方向が逆であり、検出器1102が採取穴1108からシステム内に侵入する煙の到達時刻を決定しようとする状況を考える。時刻に対する決定された煙濃度のグラフを図11Bに示す。最初、所定の時間1020に検出されるレベルは低い。これは、検出器に到達する試料流体が、採取口1106から到来する試料流体のみを含むからである。時刻T1で、煙の増加が検出される。次の時間1022経過して、採取口1108からの試料が到達し始めると、検出される煙レベルは時刻T2まで上昇する。時刻T2以降では、検出される煙レベルはほぼ一定である。図11Bのグラフでは、上昇1022は煙レベルの上昇には起因せず、採取穴1108に侵入する試料の前の煙のスミアリング(smearing)または拡散に起因する。環境から採取ネットワークへの粒子の侵入が均一にかつ瞬時に行われた場合、穴1108から到来する試料が検出器11に到達する時刻T1に、検出器1102が検出する煙レベルは大幅に変化するだろう。
本発明者らは、煙の前部の拡散に寄与するある範囲の要素が存在すると考えている。これらの要素は、採取システムに含まれる複数の採取口のうちの特定の1つを通じて吸引される空気試料を含む試料の一部が到来したことを表す。これらのうち最も重要なのは、空気採取ダクトの断面を横断する流速に勾配が存在することであると考えられる。図11Cは、空気採取用ダクト1130(例えば管1104)の断面図を示す。矢印1132は、ダクト1130の中央部の流量がダクトの壁付近の流量よりも大きいことを示す。
この考えでは、採取口(例えば符号1134)を通じて吸引される試料がダクト1130の中央領域を高速で流れ始めるのにある程度の時間がかかるため、煙の前部が検出器に到達するときにスミアリングが生じる。しかし、この機構には競合する要素が存在する。すなわち、試料は最初にダクト内で流れの遅い周縁部に導入され、検出器に到達するのが遅れる。ただし、時間の経過と共に、試料の一部は流れの速い中央領域に到達し、これにより検出器までの輸送時間が最小限に抑えられる。
本発明者らは、採取ネットワークのダクト内(すなわち、採取ネットワークの管内)に物理的構造を配置することによりこの問題を改善できることを提案している。本発明者らは、第1の解決手段で、試料の流れがより速い領域で試料を搬送するように、管1130の壁1131から内方へ(管1130の中央部1133へ向かって)延びる試料噴射口を提案する。こうした試料噴射口の3つの例を図12に示している。
図12では、管1200の形をとる空気採取システムの一部を構成するダクトを図示している。管1200は壁1202により画定されている。3つの試料噴射口1204,1206,1208についても図示している。第1の試料噴射口1204は、側壁から管1200内へ(中央部1212へ向かって)延びる短いチューブである。試料噴射口1206は吸気口1210と同様の構成を有するが、内側端部1214が面取りされている。この端部には、管内の流れに対して下流方向に排気口点1216を機能的に形成する効果がある。
試料噴射口1208は、逆L字型チューブ1220の形をとる。チューブ1220の吸気口はダクト1200の外部にある。チューブ1220の排気口1222は、下流側に面すると共に、ダクト1200の中央部につながっている。これにより、採取口1208内に吸引された試料は、管の最も流速が大きい中央部分に注入される。これら3つの例には、採取口を通じて吸引される試料のスミアリングを最小化するために、管内の中央領域の流れを速くすることができるという利点がある。
この噴射法の変形例を図13Aから図13Dに示す。これらの例で用いられている構造では、採取システムのダクト内に乱流を作り出して、採取ダクト内の層流を妨げ、これにより図11Cに示すタイプの流れ勾配を最小化している。図13Aから図13Dは、それぞれダクト1300,1310,1320,1330の一部を示す。
図13Aでは、ダクト1300の内壁1302がタービュレータとして用いられている。壁1302は粗くされ、または、外形や質感がリブ状、ライン状、ボス状などとされて、交差する方向の流れを妨げる粗い表面が形成される。
図13Bでは、タービュレータは、管の壁1310から内方に延びた乱流生成突起部1312(連続して複数個設けられている)であり、管1310内の層流を妨げるように用いられる。
図13Cは、複数の乱流生成部材が管1320の全幅に広がる例を示す。この例では、タービュレータが目の荒いメッシュ(open mesh)エレメント1322の形をとる。このエレメント1322が有する穴は、時間の経過と共に詰まることはなく、管1320内に乱流を生成するようなサイズを有する。当業者が理解するように、採取ダクトの内側に広がるタービュレータであればあらゆる形状のものを用いることができる。
図13Dは、移動式の乱流生成エレメント1332が管1330の内側に配置された例を示す。この例では、一組のファン1334,1336が管1330内に支持されている。ファンは、能動的に駆動されてもよいし受動的に回転してもよいが、気流が通過するときに、空気を攪拌し、または乱流を生成する機能を有する。
この例では、説明しやすいことから、採取口に隣接するダクト領域内に乱流生成構造がある構成について説明したが、このようにすべき特別な理由はなく、乱流生成構造は採取口から離れた位置に配置されてもよい。
上記4つの例からわかるように、乱流生成構造を設ける目的は、採取口から侵入する空気が空気採取ダクトに沿って検出器まで(「塊」(packet)のように)移動するような(採取ダクトに対して交差する方向の)流れプロファイルをなくす(一部が他の部分に比べて高速(または低速)で移動し、これにより検出器の位置で試料の前部が到達したときにスミアリングが生じるのでなく)ことである。
あるいは、または上記技術に加えて、本発明者らは以下のことを見出した。すなわち、採取ネットワーク内に吸引される空気試料に与える希釈の影響を少なくとも部分的に改善することにより、複数の採取口のうちどの採取口から煙が侵入するかを検出する性能がさらに改善する。図11Aに示すタイプの粒子検出システムを考える。こうしたシステムでは、採取管1108内に吸引される空気試料は、採取管1104内に吸引され、採取点1110から吸引される試料と混合されて希釈される。同様に、採取口1106から吸引される空気試料は、上流側に位置する全採取口から吸引される試料により希釈される。したがって、検出される実際の粒子濃度は、空気試料が検出器1102の位置に到達するまでに、粒子が採取ネットワークに侵入した特定の採取口を包囲する大気内の試料濃度と比較して大きく希釈される。本発明者らは、本明細書で説明しているシステムに対してある変更を行うことによりこの問題を改善できることを見出した。ある変更とはすなわち、採取管内に吸引される試料濃度を増加させ、この採取点を包囲する大気内の実際の粒子濃度をより緊密に反映させる、かつ/または、更なる希釈を最小にしつつ、検出器まで試料を搬送する機構を設けることである。
図14は、こうした技術を実行する第1の例示的なシステム1400を示す。このシステムは、検出器11と空気採取ネットワーク26とを備える。空気採取ネットワーク26は、遠位端に5つの採取口29が設けられた空気採取管28を有する。検出システム1400は、駆動手段1406により駆動され、ベローズ(蛇腹)1404の形をとる試料増幅構成を備える。ベローズ1404は、以下で説明する方法で、採取管ネットワークに沿って(または採取管ネットワークから)空気を吹き出しまたは吸い込む機能を実行する。当業者に理解されるように、ベローズ構造に代えて広範囲のシステムを用いることができる。例えば、往復式空気圧ピストン、可逆ファンまたは可逆ポンプなどの空気移動型デバイスをベローズ1404の代わりに用いることができる。
次に、システム1400の動作について説明する。最初に、粒子が閾値レベルで検出器11により検出されると、システム1400は、システム内の粒子の位置を決定する位置決定モードに入る。このモードでは、第1の空気移動システム(例えば検出器11の吸引装置16)が停止し、システムは試料増幅フェーズに入って、コントローラが通信チャネル1408を介してベローズ1404の駆動デバイス1406と通信する。ファンが停止した状態で、あるいは、採取ネットワーク26の検出器側端部に位置するバルブが閉じた状態で、採取管28は一定の体積の空気を含む。使用時には、ベローズ1404を用いて採取管ネットワーク26内に含まれる空気の体積を増減させる。ベローズが膨張すると、体積が増加して更なる試料流体が各採取口29内へ吸引される。ベローズが収縮すると、採取ネットワーク26内の空気の一部が採取口29から排出される。採取管ネットワーク内の空気の体積を膨張・収縮させることにより、空気が繰り返し各採取口を出入りし、採取管28内で局在化した試料部分が生成して各採取口が包囲される。これにより、連続的に試料が吸引および希釈される場合に比べて、各採取口29に隣接する環境における対象の粒子のレベルがより緊密に反映される。
複数の採取口29のうちの1つで、採取口に吸引される空気試料が採取管ネットワークに侵入し、管28内の流れと混合される状況を考える。管内28内で採取口の後方を流れる空気により、試料は、上流側の全採取口から吸引される試料により希釈される。管28の検出器側端部でバルブ1410を閉じることにより、あるいは、検出器11の吸引装置を停止させることにより管28内の流れが停止した場合、ベローズ1404が収縮して、空気が採取管29に沿って押し出す力を受けると、採取点29を包囲する採取管28内の空気の一部が採取点29から排出される。しかし、各採取点から排出される空気は、上流側の採取点からの希釈試料を含む。ベローズ1404を膨張させることにより、管ネットワーク28が再度吸引され、更なる空気試料が各採取点内へ吸引される。また、採取点に隣接する採取管内に既に存在する流体により試料は希釈されているが、この希釈空気の一部は、対象の採取点内にそれ以前に吸引された空気試料である。それゆえ、第2の採取後の全濃度は、第1の採取に比べて増加する。採取口を介して排出と採取のサイクルを繰り返すと、採取口を包囲する試料の一部における管28内の空気の割合は増加し始め、その粒子レベルは、採取口を包囲する大気の粒子レベルに近づき始める。この方法を用いて、採取管29内に別々の試料部分が形成される。これは、詳しくは、採取口を包囲する環境を示す。希釈度が低下するので、煙(すなわち、煙の前部)レベルの上昇開始を検出して採取ネットワークに沿った粒子の侵入位置を決定することに基づいて上記方法を改善できる。試料増幅フェーズが終了すると、システムは輸送フェーズに入って、比較的局所化した試料の塊を含む採取空気を分析のために検出器まで移動させる。
図14Aから図14Eは、振動膜(例えばスピーカ)を用いて試料増幅を行う例示的なシステムを示す。システム1420は、空気採取ネットワーク26に連結された粒子検出器11を備える。空気採取ネットワーク26は、複数の空気採取管29が設けられた採取管28を有する。空気採取ネットワークは、試料増幅構成1422と吸引装置1424を介して検出器に連結されている。吸引装置1424は、以下でより詳細に説明する方法で、採取ネットワーク内に試料を吸引すると共に、分析のために試料を検出器11まで送るように動作する。試料増幅構成1422は、以下の点で図14のベローズと同様の動作を行う。すなわち、試料増幅構成1422により、空気採取システムにおける流れ方向の周期的な変化が、各採取口29を包囲する領域にある空気と、採取管28内の空気との混合を促進する。この例で、試料増幅構成1422は、ハウジング1428内に設けられてアクチュエータにより前後に往復運動するよう駆動される膜1426を有する。アクチュエータと膜は、拡声器(スピーカ)により構成されてもよい。好ましくは、膜は音速以下の周波数(好ましくは2Hzから10Hz)で振動する。
通常動作で、吸引装置1424は、試料輸送時間の要求を充分に満たす第1速度設定で動作し、空気試料を検出器11まで吸引する。試料の流れにおいて粒子が検出されると、システム1420は位置検出モードに入り、試料増幅フェーズから開始する。このフェーズでは、図14Aに示すように、ファンは低速動作を開始し試料増幅構成1422が駆動される。膜1426は、振動して管28内の空気を攪拌し、各採取口29に侵入する周囲の空気と混合させる。ファンは低速で動作しているので、混合された空気試料の粒子濃度は、採取ネットワーク26を包囲する空気中の実際の粒子濃度に充分に近づき、この空気試料が各採取口29に侵入すると共に、各採取口の下流側に空気の塊をゆっくり形成する。図14Bから図14Dでは、ファン1424が低速動作して攪拌が継続し、試料の塊1430が形成される。
図14Eでは、システム10が輸送フェーズに入る。このモードでは、ファン1424の速度が増加し、膜1426の動作が停止する。次に、ファンを高速モードで動作させつつ、試料の塊(例えば符号1430)を検出器12まで吸引する。上記の通り、種々の技術(例えば、採取口をブロックする、管の端を開口する)を用いて試料塊の混合またはスミアリングの程度を最小化し、これにより用いる位置決定技術の信頼性を向上させることができる。図15は、システム1500の第2の実施形態を示す。システム1500は、図14に関連して説明した方法と同様の方法を実施するものである。
図15では、図14および既に説明した実施形態と同様の構成には同一の符号を付しており、簡略化するために再度の説明を省略している。この例では、採取ネットワーク26の近位端1502にファン1504とバルブ1506が設けられている。選択的に、採取管28の(検出器11に最も近い)端部1508に、第2のバルブ1510が追加的に設けられてもよい。この例では、検出器11が通常動作を行う間、バルブ1506は常時閉じ、バルブ1510は開いている。しかし、検出器が位置決定モードに入ると、バルブ1510,1506の位置が変わり、バルブ1510は閉じてバルブ1506は開く。次に、ファン1504を用いて、図14のベローズ1404と同じ機能が実行される。これに関して、ファン1504は、採取点29から採取管26の内容物を幾らか吹き出すために、または、上記の通り採取点29内に試料を吸引するために用いられる。この試料の吸込みと吐出しの周期的な変化は、粒子検出器11の第1の吸引装置により実施できる。しかし、採取管ネットワーク28の遠位端にファン1504を配置することにより、以下の効果を高めることができる。すなわち、このプロセスの最後に、検出器11の吸引装置を用いて空気試料を採取管28に吸い込むのでなく、ファン1504を用いて採取管126の中身を検出器11まで押し込むことができる。採取管28の端部で送風機1504を用いる利点は、採取管28が正の圧力を受け、これにより、輸送フェーズ中に、採取点29を包囲する環境から追加の空気試料が全く吸引されないことである。このように、各採取口29に対応する試料空気の塊/部分を含む比較的希釈度の低い採取空気柱が検出器11に搬送されて、振動プロセスにより形成される試料の「塊」を検出器11により区別して検出できるようになっている。試料増幅中の試料の吸込みと吐出しの周期的な変化は、粒子検出器11の第1の吸引装置とファン1504とを用いることにより実施できる。例えば、両ファンは、同期して動作するように、すなわち、一方向に、続いて他の方向に空気を移動させ、各採取穴の周りに局在化した試料をより混合するように設定されてもよい。あるいは、ファンは、管26の各端部を交互に吸引して、管に沿って一方向に試料を吸引するように設定されてもよい。したがって、管26の一端からの試料の流れの中で蛇腹状のプッシュプル機構を用いるのでなく、管の両端からのプッシュプル機構が用いられる。引っ張り式でない端部では、バルブを閉じて(または部分的に閉じて)管26の端部に侵入する試料の流量を制御できる。好都合なことに、この機構により、システムはベローズの動作による濃縮効果を向上させる。また、この機構により、採取口の上流側と下流側の両方に試料の塊が形成される。また、濃度が上昇する影響により、このシステムは、一端側で動作するシステムと比較して、任意の濃度上昇または混合度の上昇について流れの振動サイクルの数を低下させることができる。また、このスキームにより、火災が検出器に近い側での生じた場合に塊の濃度がより高くなる影響が平均化される(場合によって無効にされる)。図18と図19に関連して説明するように、両端を同じ形態とした流れ変更部を用いて、試料増幅を選択的に行うことができる。
図15のシステムの変形例として、さらに図15Bに示すものがある。この例で、粒子検出システム1350は図15の空気採取システムと同様の空気採取システムを備えており、同様の構成には同じ符号を付している。さらに、このシステム1520は、2つの分岐管1522,1524を備える。これらにより、更なる動作モードが実現する。第1の分岐部1522は、管ネットワークの下流側端部であって、理想的には検出器11への入口と、最近接した採取点29との間の位置に設けられている。
分岐管1522は、
以下の方法で採取システム内をパージする(清浄化する)ために用いることが可能なファン1526と、
ファン1526により搬送されるパージ用空気を清浄にするために用いられるフィルタ1528(例えばHEPAフィルタなど)と、
分岐部1522を(必要に応じて)選択的に開閉するバルブ1530とを有する。
第2の分岐管1524は、バルブ1532を有し、以下で説明するようにパージ中に採取管28からの排気部として用いられる。
システム1520は、検出モードにおいて図15のシステムと同じように動作する。すなわち、検出器11のメイン吸引装置が、採取口29を通じて、分析のために採取管28に沿って検出器11まで空気試料を吸引する。検出モードでは、バルブ1530,1532.1502は閉じられており、採取口29に関係のない空気がシステム内に吸引されて空気試料を希釈するのを妨げる。バルブ1510は開いている。
粒子が充分に検出されると、システム1520は位置検出モードに入って以下のステップを実行する。
バルブ1510が閉じて、メイン検出器11のファンが採取管28への空気の吸引を停止する。
バルブ1530,1532(バルブ1502でもよい)を用いて採取管28からの試料空気のパージが実現する。
ファン1526が駆動され、フィルタ1528を通じて空気が分岐部1522内に吸引される。空気は清浄化されて採取管28内に入る。この清浄化された空気により、管28内がパージされて粒子を含む空気が追い出され、清浄化な空気に置き換えられる。
バルブ1530,1532,1502が閉じられ、バルブ1510が開かれ、そして、主な検出器11のファンを用いて新しい空気試料が採取口29内まで吸引される。このプロセスは、短い時間(例えば5秒から20秒)、あるいは、隣接する採取口29内に吸引される空気試料の混合を避けるようにできるだけ長い時間をかけて行われる。この方法では、管28内で粒子を含む空気の塊が大きくなる。このステップは、本明細書で説明している種々の濃縮技術のうちの1つを実施することにより説明できるところ、この実施形態では、このように複雑にせずに充分な感度を達成できる。上記の通り、プッシャファン1504を用いることにより、比較的希釈されていない採取空気柱の検出器11までの搬送が助勢される。これにより、幾つかの実施形態では、増幅段階の必要性がなくなることがある。
次に、検出器は輸送フェーズに入り、メイン検出器11の吸引装置が作動停止しバルブ1502が開く。バルブ1510は開いたままである。
プッシャファン1504が作動して、試料空気の塊は分析のために管28内に押し出される。
空気試料が分析され、体積に対する粒子の存在(または他の技術)を用いて、どの吸気口29を通じて粒子がシステムに侵入したかが決定される。この例で、位置決定フェーズでの試料空気の分析は、第2の粒子検出器1534により実施される。この検出器の応答は、検出器11と比べて速い。
この検出器1534は、検出器11ほど感度が高くなくてもよく、出力は安定していなくてもよい。しかし、粒子レベルが増加しそうなとき(例えば、火災がより激しくなって)には、位置検出プロセスを実施する際に、感度や正確度に対して検出速度を優先させてもよい。さらに、空気試料は直列に並んだ両検出器を通過するので、実際の粒子濃度のデータは、やはりメイン粒子検出器11により得ることができる。
メイン検出器11と高速検出器1534は、同じ粒子検出器の一部(例えば1つのデバイス内に設けられた2つの粒子検出チャンバ)であってもよいし、例えば直列配置された種々のデバイスであってもよい。さらに、メイン検出器11は単独で用いられてもよい。この場合、メイン検出器11は、選択的に、通常の検出モードと比べて応答速度が向上した高速モードで動作するように構成されてもよい。これは、検出器11のソフトウェアパラメータを一時的に変化させることにより(例えば、粒子濃度レベルを平均化する期間の閾値(下限)を低下させることにより)、あるいは検出チャンバの出力データなどを受信すると共に応答速度が最適化される第2のデータ処理経路を駆動することにより達成できる。
上記説明から明らかなように、分岐部1522,1524とそれらのコンポーネント、および応答が高速な検出器1534が、図15のシステム1500に対して選択的に追加される。上記方法を実行するために図15のシステム以外に必要なのは、管ネットワーク26にパージ用空気を搬送する機構と、パージモードから出入りするようにシステムのバルブを制御する機構だけである。
図16は、上記振動方法を実行するシステムと、希釈度が低下し、濃度が上昇した最終の空気試料を検出器に搬送する機構の更なる例を示す。システム1600は、検出器と、図14と図15に関連して説明した採取管ネットワーク26とを備えている。図14および図15と同様の構成には同じ参照符号を付している。この例では、試料の吸込みと吐出しとを周期的に変化させるプロセスが、検出器11の第1の吸引装置により実行される。採取ネットワーク26には、最終の採取口29の上流側に位置するバルブ1602が追加的に設けられる。上記の通り試料濃度が上昇した後、検出器11のメイン吸引装置を用いて、連絡チャネル1604により検出器11のコントローラに連結されたバルブ1602が開かれる。バルブ1602は、採取ネットワークの端部を大気に開放するように構成されている。これにより、バルブ1602は、どの採取口29よりも流れ抵抗が充分に小さい開管に接近する。次に、検出器11の吸引装置が採取ネットワークの吸引を行うとき、空気は採取管28の端部内へ優先的に吸引され、すでに管28内にある試料の塊は、検出器11に沿って吸引される。開管の端部の流れ抵抗は小さいので、各採取口29内に吸引される空気のレベルは大きく低下する。これにより、検出器11まで搬送されるときに試料の希釈度が大きく低下する。バルブ1602が開いたときに採取口29内へ吸引される空気の量が低下する傾向により、他の採取穴の位置(または近い位置)での環境における煙により試料の塊の改善の度合いが低下する。バルブ1602が開いたときに採取穴29内へ入る流れの低下により、煙発生源の位置の計算において採取穴での流れへの依存度が低下する。上記の通り、システムは、位置決定フェーズに入ったときに採取ネットワークを通じて吸引された空気の量に基づいて、最初にどの穴から試料の塊が到達したかを決定するように訓練される。しかし、採取穴は時間と共に変化するようにブロックできるので、最初のトレーニングに基づく体積または時間の測定値の信頼性は、時間と共に変化するだろう。バルブ1602を開くことにより、採取管28において採取口29が与える影響は小さくなり、その結果、採取口29の特異的な(differential)ブロックによる影響はシステムの寿命にわたって低下するだろう。最終的に、バルブ1602を開くことにより流れ抵抗が低下して、輸送フェーズは管の端が閉じているとき(110秒)よりも速く(例えば100mの管について50L/分で40秒)なる。
幾つかの実施形態では、最終の採取口29の向こう側にある採取ネットワーク28のバルブ1602には、フィルタ(例えば吸引される空気が通過するHEPAフィルタ)を設けることができる。これは、最終の採取口29から到来する試料の塊が、管の端部に吸引される空気(対象の粒子、更にはほこりを含む可能性がある)において突出するのに役立つ。HEPAフィルタをプッシャファンと併せて用い、システムにおいてバルブ1602とファンを好適に動作させることにより、図15に関連して説明したのと同様のパージフェーズが実行される。
本明細書で説明している例では、各採取口20にバルブを追加的に適用して、管の端部に適用される流れ制御機構(例えばベローズ、ファン、バルブおよび等価な構造)の効果をさらに高めることができる。例えば、各採取口29には、管の端部に設けられた流量制御システムに合わせて制御されるバルブを設け、性能を最適化することができる。
図20Aと図20Bは、本発明の2つの実施形態であって、上記実施形態の幾つかと比較して特に好都合なセットアップを与えるものを示している。これらの実施形態は、それぞれ図14のシステムと図15のシステムと同等の方法で用いることができる。図20A、図20Bでは、図14、図15と同様の構成には同じ符号を付している。
図20Aのシステム2010は、採取管部2012の上流側端部に接続されたリターン部2002が空気採取管28に設けられた点で、図14の実施形態と異なる。これにより、採取ネットワーク26の遠位端1402が検出器に近い位置まで戻ってくる。この例では、ベローズ1404とこれに関連する駆動手段1406(バルブ1510と連動する)が、共通モジュール2004内に搭載されている。好ましくは、当該モジュールは、機械的にかつ電気的に検出器11に接続される。同様に、図20Bのシステム2000は、採取管部2012の上流側端部に接続されたリターン管部2002が空気採取管28に設けられた点で、図15の実施形態と異なる。これにより、採取ネットワーク26の遠位端1502は検出器に近い位置にある。その結果、バルブ1506,1510と連動するファン1504を共通モジュール2004内に一緒に搭載できる。
位置決定モジュール(例えばモジュール2004)を用いて、本明細書で説明している本発明のいずれかの実施形態を好都合な方法で実行できる。こうしたモジュールは、当初位置決定を行うことを意図していなかった検出器システムに組み込むこともできるし、選択的なアドオンモジュールとして設けて、新規装置の購入者にこれらの特徴を有する検出器を購入するか否かの選択肢を与えるようにすることもできる。
例えば、
バルブ1532を有する分岐部1524と、
バルブ1506およびプッシャファン1504と、
ファン1526,1528を有する分岐部1522およびバルブ1510と連動するバルブ1530と、を収容することにより、図15Bのシステムを実装するモジュールを設けることができる。
同様に、バルブ1602と(必要に応じて)HEPAフィルタとを同じモジュール内に収容できる。
これらの実施形態では、管ネットワークについて管を余分に長くして、検出器11の近くまでループさせて戻す必要があるが、これにより以下のような利点がある。すなわち、採取管ネットワーク26の上流側端部1402/1502に搭載されたシステムのコンポーネントに対する電力供給、制御を行う電力供給用、電気通信用のラインを検出器11から離れた位置まで延ばす必要がない。これにより、システムの実装を容易にすることができる。さらに、試運転や試験が容易になる。なぜなら、複雑な複数のコンポーネントが容易に1つの位置に設けられるからである。
図8、図9A、図9B、図14から図20Bに示す実施形態では、説明しているシステムの種々のコンポーネントは、検出器11、または、図示している粒子検出システムの他の制御コンポーネントと通信する必要がある。上記の実施形態では、通常、通信は、配線で接続された通信チャネルを用いて、あるいは選択的に無線(例えばラジオ)通信チャネル(例えば図14に示す通信リンク)を介して行われる。本発明者らが見出したところでは、配線された通信経路が存在する必要はないが、検出器(または他の制御部)とシステムにおける別のコンポーネント(またはアクセサリ)との間の通信に、検出システムを通る空気流路を用いることができる。
多くの実施形態で、アクセサリは流れ制御デバイスを有する。流れデバイスの例は、バルブ、ファン、フィルタ、または、システムの他のエレメントであって、本明細書で説明している位置決定技術の実施に参加するものである。例えば、アクセサリは、図15の例で用いたようなバルブ1502および/またはファン1504を有することができる。バルブの形をとる例示的なアクセサリの詳細を図28に示す。
アクセサリ2800は、採取管28の一部に取り付けられており、採取管28内の空気流路2802に出入りできる。アクセサリ2800は、空気流路2802内の状態(例えば流れの速度、方向および/または圧力)を検出するように用いられる1つ以上のセンサ2804を有する。センサ2804は、コントローラ2806に接続され、センサが検出した状態を示す出力信号をコントローラに送信する。コントローラ2806は、受信した検出信号を処理し、必要に応じてアクセサリの動作を制御する。
この例では、アクセサリ2800は、コントローラ2806の制御により選択的に開閉するバルブ2808を有する。アクセサリ2800には、好ましくは、配線により電力供給を行うのでなく(これも可能であるが)、バッテリ2810により電力供給し、アクセサリについての配線要求および設置要求を低下させる。
使用時、アクセサリ2800により、センサ2804を用いて空気採取管28内の気流の変化を検出することにより、第1の粒子検出器の現在の状態が検出される。コントローラ2806は気流2802の変化を検出システムからの通信として読み取り、これに応じてこの例について検出システムがどの動作を行うべきかを決定する。
例えば、本明細書で説明している位置決定技術では、位置決定フェーズは、検出器11のメイン吸引装置の動作を一時的に停止させ、低速動作させ、または方向を変えることにより、あるいは、システムの検出器側端部で1つ以上のバルブの状態を変えることにより開始できる。これにより、採取管28内の気流2802が変化する。気流の変化は、管28内の気流の速度と圧力の変化として検出器2804により検出される。この変化は、検出器11からの制御信号としてコントローラ2806に読み取られ、検出された流れパターンの変化に応答して好適な制御ステップが開始される。例えば、気流2802の停止を検出することにより、検出システムが位置決定モードに入ったこと、バルブ2808を開く必要があることを示す信号がコントローラ2806に送られる。あるいは、空気流路2802を通じた制御信号の検出時に、より複雑な動作を実行してもよい。例えば、アクセサリ2800は、システムが位置決定モードに入ったことを検出したときに、その位置決定モードにおいて位置決定ルーチンを実行する。このルーチンによれば、例えば、アクセサリは第1時間だけ第1状態で動作し、続いて第2時間だけ第2条件で動作する。より具体的に言うと、バルブ2802は、粒子検出システムの他のエレメントが試料増幅ルートンを実行している状態で、所定時間(例えば1分)閉じた状態を維持するように制御されてもよい。所定時間経過後、コントローラにより、バルブ2808が開いて、検出器が位置決定プロセスの「輸送フェーズ」で動作し、濃度が増した試料「塊」の検出器11への搬送(分析のために)を可能にするようにしてもよい。
位置決定プロセスが試料増幅を行うための流れの周期的な変化を含む場合、センサ2804は振動を検出でき、コントローラはこれに応答し、バルブまたは他の流れ制御構造を好適な動作状態に確実に設定できる。
検出システムを用いて気流の一時的な変化のパターンを作り出すことにより、アクセサリに対する制御メッセージをコード化でき、あるいは、独立した制御を必要とする複数のアクセサリを有するシステムにおいて特定のアクセサリ(例えば、図8と図9Aに示すバルブ802,902)のアドレス指定を行うことができる。
例えば音波パルスなどの利用により他の方法で通信する検出器システムの空気採取システム26内で空気流路を用いるように動作原理が拡張される。こうした実施形態では、明らかに、これらの通信信号を検出するために、好適な音響変換器の形をとるセンサが必要とされる。
図29は、粒子検出器11、位置決定モジュール2004、採取管ネットワーク26、および、図28に関連して説明したものと同じアクセサリ2902を備えた粒子検出システム2900を示す。採取管ネットワーク26は、長さ方向に沿って互いに隔てて複数の採取口29が設けられた採取管28を有する。位置決定モジュール2004は、位置決定プロセスにおいて試料増幅構成として機能する往復ピストン2904を有する。
この例で、アクセサリ2900は、採取管28内でシステムの状態を示す信号を検出する(アクセサリの)センサ(図示しないフローセンサと圧力センサ)に応答して(アクセサリの)コントローラにより制御されるファン2908とバルブ2910とを有する。
アクセサリは、通常の検出モードで試料が採取口29を通じて吸引されるように閉じられるバルブ2910を有する。検出器11が所定のレベルで粒子を検出した場合、検出器11は位置決定モードに入る。位置決定モードでは、最初に、メイン吸引装置が逆の動作を行って空気が採取管28から吐き出されるパージフェーズが行われる。これにより、採取管内の圧力(それまではわずかに負圧であった)が増加する。これは、アクセサリ2900のセンサにより検出され、アクセサリのコントローラにより位置決定モードが開始したことを示す信号として解釈される。次に、コントローラはバルブを開いて、採取口でなく管28の端部を通じて空気が大気に排出されるようにする。
この流れにより、管の圧力と流量の低下がアクセサリ2900のセンサにより検出されると、これが信号として解釈されてバルブ2910が閉じられる。
次に、位置決定モジュール2004は、ピストンを用いて採取管内の試料の流れを上記方法で変動させることにより、試料増幅を行う。アクセサリ2900のセンサは、流れおよび/または圧力の変動を検出し、プロセッサがこれを信号として読み取って、試料増幅の間、バルブ2910を閉じた状態にする。
振動フェーズの停止を検出すると、アクセサリ2900は、これを輸送フェーズが開始したという指示として読み取り、バルブ2910を開き、プッシャファン2908を駆動して分析のために検出器18まで試料を移動させる。
輸送フェーズは、アクセサリ2900が位置決定モジュールの検出器または位置決定モジュールにより流れ変化が検出されたときに停止される。例えば、検出器11のメイン吸引装置を一時的に停止させ、低速動作させ、または逆向きに動作させ、バルブを閉じ、圧力変化を生じさせ、輸送フェーズの終わりにアクセサリ2900へ信号が送信される。プッシャファン2908を有する実施形態では、プッシャファンを動作させることにより、空気流路を介した検出器からの信号の受信において信頼性が低下する場合、輸送フェーズを所定時間続けてもよい。
輸送フェーズの終わりに、アクセサリはバルブ2910を閉じ、システムは通常の検出動作に戻る。
図21は、本発明の態様の更なる実施形態を示す。この実施形態は、図20Aと図20Bの実施形態と同様の実施形態で与えられる一組の管部分が存在することを利用する。粒子検出システム2100では、図20および図20Aのシステムと同様に、管ネットワーク26に沿った採取口の配置が位置決定プロセスに役立つように調節されている。これに関して、本明細書で説明している位置決定技術を実施する際、隣接する複数のアドレスを解明する能力についての問題が生じる。すなわち、複数の採取口が採取管において互いに非常に近接している場合、ある採取口から到来する空気試料が終了し、次の採取口から到来する空気試料が開始する時点を検出するのが非常に困難である可能性がある。本実施形態および図22、図23の実施形態では、複数の採取点が最小間隔よりは大きく隔てられるように採取点に沿った採取口の位置を調節することにより、試料を解明する能力が改善する。粒子検出器11、位置決定モジュール2004および採取管ネットワーク26を備えた粒子検出システムを示す図21に戻る。この採取管ネットワークは、長さ方向に沿って互いに隔てて採取口29が設けられた採取管28を有する。図20A、図20Bと同様に、採取管はループ構成を有し、または同様の経路に従う2つの管部分を有する(例えば2つの管28A,28Bが平行に、または隣り合わせて延びる)。しかし、図20A、図20Bの実施形態とは対称的に、システム2100の採取口29は、管部分28a,28bの両方に沿って互いに隔てて配置されている。これにより、上流側の管28bは、単に、管部分28Aの上流側端部を位置決定モジュール2004に接続しやすくするようには設けられない。複数の採取口29の幾つかは、上流側の管部分28Bに沿って配置され、また残りの採取口のうち幾つかは、下流側の管部分28A上に配置される。上流側の管部分28Bに沿って配置された採取口29を下流側の管部分28A上に配置された採取口で挟むことにより、採取管28は隣接する領域R1からR8を往来するので、採取口間隔を増加させることができる。幾つかの実施形態で、採取管28は、監視される領域R1〜R8を通って延び、採取口は、採取管に直接に連結されてもよい。さらに、採取口は、管壁に直接に形成された穴であってもよい。ただし、採取管28は、実際に領域R1〜R8を通過してこれらの領域を利用可能とする必要はない。実際、多くの設置例では、採取管は当該領域の傍を通過するが当該領域の外側、例えば粒子の監視が行われる部屋の天井パネルの上方、監視された一続きの戸棚のハウジングの外側を通過する。これらの設置例では、ある長さの管であって、採取点構成(監視される領域に流体接続している)に連絡されるメイン採取管に接続されたものを利用してもよい。
本発明のこの態様の実施形態では、管内の流路に沿って測定を行った場合、隣接する領域の採取点の配置間隔は、採取管ネットワークへの接続点間の距離よりもっと小さくなる。
図22、図23は、更なる実施形態を示す。図23は、空気採取ネットワーク26に接続された粒子検出器11を備えたシステム2300を示す。空気採取ネットワークは、(好ましくは平行に)3つ並んだ採取管部分2202,2204,2206を有する。下流側の採取管部分2202は、一端で粒子検出器11に接続され、他端で隣接する採取管部分2204に接続されている。また、採取管部分2204は、上流側の採取管部分2206に接続されている。複数の採取点29は、各採取点29が採取管部分を隣接する別の採取管部分に接続するように配列している。すなわち、採取点供給部R1は採取管部分2202に接続され、採取点供給部R2は採取管部分2204に接続され、採取点供給部R3は管部分2206に接続されている。このパターンは、採取点供給部R4が管部分2202に接続されて、といった具合に繰り返される。このように、採取管の流路の長さ方向に沿って測定された採取点20間の距離は、1つの採取管を用いたときの3倍の大きさである。接続点間をさらに分離することにより、ある採取口から別の採取口へ吸引される試料をより直接的に区別する。
管ネットワークに沿った採取点からの広がりに加えて、更なる利点は、管ネットワークへの接続順序を(相対的に)変化させることにより、位置決定の信頼性を向上させることができることである。幾つかの例では、採取管ネットワークでの試料の混合により、物理的に隣接する領域で粒子の存在が隠れる(または誤った情報が提示される)ことがある。採取管ネットワークにおいて1つの領域の空気採取点の接続点を隣接部から分離することにより(好ましくは、間に少なくとも1つの非隣接領域を与える採取点を接続することにより)、採取システム内の空気試料のレベル依存性をより高い度合いに維持できる。
したがって、複数の領域を監視する粒子検出システムのための空気採取システムが提供される。この複数の領域は、少なくとも1つの領域が、別の領域に物理的に隣接するように配列している。ここで、空気採取システムは、複数の採取管構成を有する採取管ネットワークを備える。各採取管構成は各領域を利用可能とし、少なくとも1つの領域の採取口構成が接続点(物理的に隣接する領域の接続点から分離した)を有するように採取管に接続されている。好ましくは、少なくとも1つの非隣接領域の採取点構成の接続点は、隣接する領域の採取口構成の接続点間に位置する。また、空気採取システムと少なくとも1つの粒子検出器とを備えた粒子検出システムを提供する。
図23は、このスキームを実施する別の実施形態を示す。この例で、粒子検出器11は、位置決定モジュール2004と採取管ネットワーク26に連結されている。採取管ネットワーク26は、互いに接続されて領域R1〜R8を通過して延びる4つの空気採取管部分2302,2304,2306,2308が設けられた1つの採取管28を有する。この例で、管28の上流側の遠位端は、上記の通り位置決定モジュール2004に接続されている。管28の下流側端部は、位置決定モジュール2004を介して検出器11に接続される。位置決定については、本明細書で説明している方法のいずれかを用いて行うことができる。
各領域R1〜R8の採取口は、次のように管部分2302〜2308に接続されている。
したがって、領域は、下流側から上流側へ向かって管ネットワークに以下の順序で接続されている(すなわち、検出器に最も近い位置の端部から、検出器から最も離れた端部まで)。
R1,R5,R7,R2,R4,R6,R8,R3
このように、どの領域についても、隣接領域に隣接した採取管28に接続された空気採取構成29を有しておらず、複数の接続点は、管ネットワークに沿って広く間隔を空けて配置されている。
他のすべての点で、この実施形態は、本明細書で説明している他のスキームに従って動作可能である。
上記管部分は、当業者に知られるように両端が器具で相互接続された管の個々の長さ部分であってもよく、あるいは、特殊用途の複数チャネル管が利用されてもよい。管部分の相互接続は、例えば管のチャネルの両端の上に(または中に)取り付け可能な相互接続用器具を用いて行われる。複数チャネル管を利用することにより、取り付けを行う技術者が複数の管を扱う必要がなく1つのエレメントのみで足りるという取り付け上の利点が得られる。
直線状に配置された領域R1〜R8のグループを参照してこの例を説明したが、このようにする必要はない。複数の領域は任意の配置をとってよい。さらに、複数の領域は、部屋のように物理的に分離している必要はなく、例えば大きい空間(または体積)内の複数の領域であってもよい。
上記技術がこの分野で信頼できる形で動作するように、例えば、各採取口に侵入する空気試料が検出器(または各検出器)に到達する前に移動した空気の体積に関して、システムを校正またはトレーニングし、これによりシステムを効果的に特徴付ける必要がある。例えば、図15に関連して以下で説明するシステムがプッシャファンの方法を利用する場合、プッシャファンが作動していないときに通常の検出動作を用いてシステムがトレーニングされた場合、重大な位置決定エラーが生じる可能性がある。システムが1つの空気移動デバイス(例えばファンなど)を有する形態、または、検出モードから位置決定モードへ変わるときに検出システムを通過する流れ抵抗または流路を大きく変化させる機構が存在しない形態では、トレーニングモードで比較的単純であるが時間のかかるプロセスを実行できる。この場合、システムは以下のように訓練できる。システムが通常動作を行っている状態で、システムは、試験用煙(例えば煙スプレー)が撒かれてから検出器に到達するまでに移動した空気の体積を測定する。この測定は、各採取口について行われる。しかし、この方法では、各採取口について別々にトレーニングシーケンスを実行する必要があると共に、各サイクル間で通常動作に戻すようにシステムを維持する必要がある場合があるので、時間がかかる可能性がある。好ましくは、トレーニングモードでは、挙動を変化させてトレーニング時間を短くする。
他の実施形態(例えば、輸送フェーズ中に、管の端部に、開いたバルブとフィルタとを有するシステム)で、トレーニングモードは、管の端部にあるバルブを所定時間開くことを伴う。次に、煙は、システムが穴を通じて煙を吸引するように、選択的に各採取穴に(または選択されたパターンで複数の穴に)投入される。
トレーニングモードでは、システムは以下のように動作する。
a:システムは、管の端部にあるバルブを開く。
b:次に、ユーザは、煙をいつ採取口に投入したかを入力する。
c:検出器は、各採取口について、提示された時間から煙が検出されるまで移動した空気の体積を測定する。
プッシャファン(および、好ましくは管の端部に設けられたバルブとフィルタ)を有する実施形態では、採取管に侵入する煙をシミュレートするのは難しい。例えば、プッシャファンが連続動作している状態で採取口内に煙を噴射できない。それゆえ、代替の方法が必要となる。例えば、
a:導入された煙で、標準のベローズ動作を再現する。
この方法は、以下のステップを含む。
i.システムを通常動作させる。
ii.校正プロセスを開始する。
iii.粒子が検出されたときのようにベローズを駆動し、ユーザにこのプロセスが開始したことを示す。
iv.ユーザは、試験用に、煙を採取口の位置で噴射する。
v.ベローズの動作を停止させ、通常の輸送フェーズでプッシャファンの動作を開始させ、煙が検出器に到達する前に輸送された空気の体積を記録する。
vi.システムは、穴が校正されたことを示す。
vii.システムは、バルブを閉じてプッシャファンの電源を切る。
viii.他の採取口を同様に校正する。
b:特別トレーニングモード
i.システムは通常動作する。
ii.ユーザはシステムにテストモードを開始させる。
iii.システムは、通常の方法で空気の吸引を続け、ユーザは、煙を穴の位置で噴射し、これをシステムに示す。
iv.システムは、直後にプッシャファンの電源を入れる。
v.システムは、「噴射開始」が表示される時点と煙が検出される時点との間に、フローセンサを通過する空気の体積を記録する。
vi.システムは、採取口が校正されたことを示す。
vii.システムは、バルブを閉じてプッシャファンの電源を切る。
viii.同じプロセスを用いて隣の穴を校正する。
c:特別な煙噴射器。
この方法は高速であるが、ユーザは特別な装置を必要とする。この方法には、管内が正の圧力となるように煙の採取口内への噴射を可能とする噴射デバイスの利用が伴う。これを行う1つの方法には、採取口の周囲を封止すると共に煙を採取口内に噴射する試験用煙発生装置の利用が伴う。例えば、煙発生装置は、フォームガスケットが設けられた排気口を有する。フォームガスケットは、空気が採取穴から出ないように採取口の周りを締める。取り付けられ、試料が採取口内に注入されると、ユーザは煙が噴射されたことをシステムに入力する。システムは、煙パルスが検出器に到達する前に移動した空気の体積を記録する。図27は、例示的なデバイスを示す。このデバイスは、映像照合システムと併せて有利に用いることができるアダプタを有する。ただし、このデバイスとして、必要に応じてこれらのアダプタを有しないものが用いられてもよい。
システムの動作について実験的に試験を行うのでなく、シミュレーションを用いて試験を行うことができる。シミュレータは、Aspire(Xtralis Pty Ltd製)と同様のものである。シミュレータは、輸送フェーズ中に、実際のシステムにおける穴の寸法や距離に基づいて、穴ごとに期待される体積を算出する。
上記試験方法で、ユーザは、検出器と直接に相互作用して入力を検出器に送信する(例えばトレーニングモードで動作開始させる)ことができ、あるいは、試験用の煙がいつ噴射されたかなどを提示することができる。しかし、好ましい実施形態で、検出器のシステムは、(好ましくは無線の)インタフェースを有し、これにより検出器とユーザ側デバイス(例えばポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)とが通信可能となる。また、ユーザ側デバイスが実行するアプリケ−ションにより、上記の通り動作するよう検出器を制御できる。
幾つかの粒子検出システムは、粒子検出システムを映像安全システム(映像監視システム)と連動させることにより機能を強化できる。こうしたシステムは、映像セキュリティシステムにより撮影された画像を利用して、(例えば映像解析を行って粒子検出を照合することにより)更なる粒子検出を行い、あるいは、監視ステーション(CMS)のオペレータである人が、粒子が検出される領域を見て粒子検出事象の照合を行うようにする。これは、脅威レベルを決定すると共に検出事象に対する適切な応答を決定する際に役立つ。図24に、粒子(特に煙)検出器と映像セキュリティシステムとを備えた例示的なシステムを示す。こうしたシステムの更なる詳細とその動作については、本出願人による係属中のPCT出願(2013年6月7日出願、発明の名称” Multi-Model Detection”)において説明されている。
図24は、複数の部屋を含む建物2400の間取り図である。各部屋は、各カメラに監視される領域に属するものとして示されている。領域1はカメラ2401に、領域2はカメラ2402に、領域3はカメラ2403に、領域4はカメラ2404に、領域5はカメラ2405に、領域6はカメラ2406に、領域7はカメラ2407に、領域nはカメラ2408に監視されている。
また、各領域には、粒子検出手段2410.1〜2410.nが設けられる。粒子検出手段はいずれのタイプであってもよいが、例えば、点検出器、吸引型検出器、ビーム型検出器、開口型の(open area)能動映像検出器などである。この例で、粒子検出手段2410.1〜2410.nは、粒子検出器2411に接続された空気採取管2413への入口(空気採取口)であり、本明細書で説明しているいずれかのタイプの粒子検出システムを構成する。粒子検出システムは、本明細書で説明しているようにどの採取点2410.1〜2410.nに粒子が侵入したかを決定し、各検出点2410.1〜2410.nについて粒子レベルまたは警告レベルを示すように構成されている。粒子検出器2411は、採取点2410.1〜2410.nに接続され、(FACPまたは中央コントローラ2412の形をとる)建物の火災警報システムに接続され、個々に各採取点を個々に特定するように構成されている。各採取点は当該システム上のアドレスを有しており、建物2400内の火災検出位置を火災警報システムにより示すことが可能となる。各カメラ2401〜2408は、中央制御システム2412に接続されている。中央制御システム2412は、複数のカメラからの映像を受信および解析する映像解析システムである。また、中央コントローラは、映像を記憶し、リアルタイムに(または事象が検出されたときに要求に応じて)中央監視ステーションに送信できる。コントローラ2412は、通信チャネルを介して中央監視ステーション(CMS)2414に接続され、ここで警告状態(火災に関連したものと安全性に関連したものの両方)を監視できる。代替の実施形態では、コントローラ2412とFACPの機能を1つのデバイスに統合してもよい。また、中央監視ステーション2414の機能は、コントローラ2412の位置で実施されてもよい。同様に、カメラと他のセキュリティシステム(図示せず)、ならびに火災および/または煙は、全監視と解析(すなわちコントローラ2412とFACPの全機能)を実行する遠隔CMSに直接に接続されてよい。
図24に示す建物2400の領域2で火災が発生する状況を考える。この場合、部屋の内部に位置する採取点2410.2により、プルーム2413内で煙粒子の存在を示す試料空気が吸引される。最初の検出が行われると、次に、検出器2411は上記位置決定を実行し、警告信号を火災警報コントロールパネル(FACP)に送信し、火災の発生場所として可能性のある位置を提示する。こうしたシステムでは慣習的であるように、検出器2411の出力信号は、検出された粒子のレベル、または、検出器の警告ロジックに従って決定された警告状態を示すことができる。火災警報コントロールパネルは、中央コントローラ2412を介してこの警告データを中央監視ステーション2414に送信する。このとき、スタッフが建物240の状況を監視できる。システムは映像照合機能を有するので、吸気口2410.2を介したゾーン2の粒子検出の際に、カメラ2402を用いて映像照合を開始する。カメラ2402は、画像を撮影し(以前に画像を撮影していなかった場合に)、または画像を解析して、画像を基に煙の存在を実証できるか否かを決定する。カメラ2402からの映像が中央コントローラ2412に送信される。中央コントローラ2412は、カメラ2402が撮影した一連のフレームに対して映像解析を行い、カメラ2402の視野2402.1内での煙の存在を示す画像またはフレームにおいて視覚的特徴が存在するか否かを決定する。映像解析は、コントローラ2412または中央監視ステーション2414で実施できる。中央監視ステーション2414で解析を行おうとすると、コントローラ2412から(解析のための)中央監視ステーション2414まで映像(圧縮されていてもよい)を送信する必要がある。カメラ2402が撮影した画像において煙や火災を検出した際、中央監視ステーション2414で動作する警告システムは、その出力を修正して、煙検出器2410.2が示す警告状態が映像解析システムにより照合されることを示すことができる。この照合により、ユーザは警告が誤りである可能性が低いことを推測できる。
中央監視ステーション2414を監視するユーザに、火災または煙のアラームが照合されたことを提示することにより、当該アラームの重要度が上がる。したがって、システムを監視する人は、警告に対してより迅速に行動するよう促される。図25、図26は、本発明の実施形態による中央監視ステーションに設けることが可能な代替のインタフェースを示す。図25を参照して、インタフェースは複数の映像ディスプレイ枠2501,2502,2503,2504を有する。各映像ディスプレイ枠は、監視されている建物2400内の種々のカメラが撮影した画像を表示する。大きい枠2501は、監視システムのユーザが位置をより詳細に見ることができるように設けられ、その結果、ユーザは、警告が発生したシーンを目で見て調べることができる。小さい方のディスプレイ枠2502〜2504は、好適なスキームに従って循環してもよく、あるいは対応するゾーンにおける警告レベルに応じた優先順位に従って並べられてもよい。インタフェース2500の下部には事象2507のリストがある。各事象について、事象データが表示され、システムのユーザは、ボタンの列2509を用いて特定の応答動作を実行させることができる。各事象について、以下のデータが表示される。事象の番号順のリストである事象番号2512。事象ID2514、これは、時間が経ってアクセスするための事象データのログの指標となるシステムワイドな(システム全体に及ぶ)一意識別子である。事象の性質を説明する事象説明部2516。事象の優先順位である事象レベル2518。事象の状態(例えば、事象が警報、故障、他種の警告)の表示器2520。動作ボタン列2522.1,2522.2,2522.3。
この例における事象番号5は、警告状態が最も高く、これについて以下でより詳細に説明する。事象番号5は、煙が領域2内で検出されたことを示すものである。この例では、煙は、警告を発すべきレベルで粒子検出器2410.2に検出される。映像解析システムがカメラ2402の出力を解析して煙や火災が存在すると決定するので、状況の列において事象は「アラーム照合済」(alarm verified)と表示される。システムのユーザに対する照合を表示するために、インタフェースでは、事象番号5に対応する状況の欄が強調され、アラームが「照合済」であることを示すテキストが表示されている。領域2の画像は、映像解析システムにより検出された煙と火災の位置の可視表示(visual indicator)2508を含む。これに関して、映像解析システムは、カメラ2402が撮影する一連の画像の解析を行い、煙を表していると決定される画像内の領域の周囲の境界(またはエッジ)を示す。さらに、画像2510内の領域は、火災を生じるフレームを表すものとして表示される。
図26は、図25の変形例によるインタフェースを示す。図25と図26のインタフェースの差は、図26のインタフェースでは、事象番号5の状態が「照合済」であるだけでなく、事象リストにおいて各事象をアラームレベルと照合レベルに従って並べている点である。さらに、システム内の他の事象と比較して優先度の高いものに事象番号5が付与されることがわかる。
事象が自動の映像照合システムにより検出および照合されると、システムのユーザに応じて、事象に対して実行される動作が決定される。ユーザは、事象を却下してもよく(2522.2)、または当該事象に対応する映像を見て(ボタン2522.1)更なる調査を行ってもよく、または、警察、消防署または他の適切な緊急応答サービスに電話するなどして外部アラームを発してもよい(2522.3)。これは、図示しているようにビュー(見る)ボタン(2522.1)、却下ボタン(2522.2)または電話ボタン(2522.3)により図25、図26のインタフェースを用いて実行可能である。
本発明の実施形態に加えて、映像解析システムが、ユーザによる継続中の事象の調査を支援することは利点である。これに関して、システムのユーザは、例えば事象がどこで発生したかを決定することによりアラームの原因を調査すること、あるいは、事象の真の原因(例えば、何が燃えていて、何に引火する可能性があって、何が煙検出事象を引き起こしているか)を調査することを望むだろう。こうした情報は、警告状況への対応案を決定する際に特に価値がある。例えば、何が燃えているのかが正確にわかると、消火を好適に行うことができる。さらに、炎を包囲するものを目で見て調査して、どのレベルの対応が必要かを決定できる。例えば、炎の上方領域を包囲する大事な装置や危険もしくは燃えやすいものがある場合には迅速な応答または避難が必要であり、一方比較的開けた領域や燃えにくいものがある領域では、応答はゆっくり(または少なくとも異なる対応)でも構わないだろう。
調査プロセスで役立つように、1つ以上のカメラと状況センサからのアラーム出力を解析すると共に、事象のソースまたは性質に関する調査の順序に関してユーザに推薦を行うソフトウェアを、中央監視ステーションに設けてもよい。例えば、ソフトウェアシステムは、監視される建物内の部屋やものの相対位置に関するマップまたは他の位置データを記憶してもよく、また、どの採取口から粒子が侵入したかを表すデータを用いて、火災が発生した中心位置として可能性の高いものまたは調査の優先度を決定してもよい。例えば、図25、図26で、照合されたアラームは領域2で検出され、照合されていないアラームは領域3で検出されている。また、プレアラームは領域1で検出されている。炎(図25に符号2510で示す)が存在することを実証できない状況では、中央監視ステーションは、領域2、領域3、領域1そして領域Nの順序で他の領域の手動解析順序を推薦することになる。これは、受信した、領域2,3,1、および、領域2,3,N,7の出入り口の近くの警告レベルと、領域1がこれらの間の通路であることとに基づいている。他の実施形態では、他の要素が調査順序を決定する役割を果たす。例えば、建物の空調用のリターンダクトが位置2420に配置される場合、点2410.12を介して検出された異常な粒子レベルは優先度が低い他の空気採取点と同様に扱うことができる。なぜなら、当該採取点は他の空気採取点より頻繁に煙を示す傾向があるからである。
したがって、煙は例えば領域2と領域1において採取点2410.12で検出され、領域2が煙発生源として可能性の高い位置となる。逆に、採取点2410.11,2410.12のみが煙を含む試料を吸引し、他の採取点が吸引しなかったと決定された場合、領域1は煙発生源である可能性が高い。
また、図25で事象5に適用される映像照合プロセスを実施しなければ、領域2,3のアラームレベルは同一であることに留意する必要がある。映像照合を実施しなければ物理的な調査をせず、領域3でなく領域2に炎が存在するという決定についての追加の情報は存在しない。これは、本明細書で説明している映像照合プロセスにより、炎が実際に存在する領域2でまず目標とする応答を実現することが可能になるので、明らかに応答戦略に役立つ。
図示しているセンサ(例えばカメラ)は、固定カメラであってもよいし、視野が可変であるもの(例えばパン・チルト・ズーム(PTZ)カメラ)であってもよい。PTZカメラを用いてパン、チルト、ズームをプログラムし、アラーム状態を引き起こしている可能性があると特定される位置を孤立させ、調査を行うことができる。あるいは、またはこれに加えて、PTZカメラを制御して、第1視野の画像を撮影させ、次に第2視野に移動させ、連続的に1つまたは複数の視野に移動させて各視野で一定時間停止させることができる。このシーケンスは無限に繰り返すことができる。
各視野では、他の視野と無関係に映像解析を行うことができる。一般的には、これは、種々のPTZセッティング(各PTZセッティングは時間枠に対応する)で1つのカメラを用いて撮影された画像の時分割多重化を実施するプロセスと考えることができる。映像解析は、連続する各PTZ時間枠で撮影される一連の画像に対して実施できる。対応するPTZ時間枠で撮影された画像は、「カメラ」として扱うことができる。また、映像解析は、カメラが1つである上記例において説明した技術を用いて実施できる。
このようなシステムは、複数の空気採取口の位置を、それらの物理的な位置とセキュリティシステムのカメラの視野とに関連づける必要がある点で、上記試運転/校正プロセスに特徴を追加する。幾つかの例では、特定のカメラのPTZパラメータを採取点と関連づけることが好ましいだろう。
次に、粒子検出システムにおいてアドレスを関連づける装置と方法について、図27に関連づけて説明する。このアドレスは物理的位置に対応する。物理的位置は、複数の位置を監視する映像撮影システム内で監視されている。図27は、粒子検出システムについて試運転、校正および/または試験を好都合に利用可能である例示的な装置2700を示す。以下の説明から明らかなように、非映像型の粒子検出システム(例えば既在の吸引型粒子検出システム)も利用可能である。
上記装置は、煙検出システムが煙の位置を学習可能であるような煙試験を実行する機構を提供するように構成される。警告の映像照合を行うシステムの場合、セキュリティシステムも同様に構成される。装置により、オペレータは、煙(または他の試験粒子)を空気採取用の粒子検出システム、点検出器または他の煙検出デバイス(好ましくはシーケンスに異常がない状態の)の各採取口に注入し、かつ、例えばタブレットコンピュータなどのコンピュータデバイス上に、吸気口または検出デバイスの物理的位置を記録する。データは、どの吸気口がどの物理的位置に対応づけられるかが粒子検出器に伝達されるように、リアルタイムに(または後段で)粒子検出器に送信されてよい。装置により、セキュリティシステムが、どのカメラ(および選択的にPTZパラメータ)が各吸気口のアドレス位置に関連づけられるかを特定できるようになることが好ましい(必須ではない)。吸気口またはセンサの位置と映像セキュリティにおける位置との関連は、視覚的手段により達成してもよい。煙が注入されたとき、例えば一定時間コードを点滅させることにより可視表示が駆動される。セキュリティシステムは、可視表示を検索すると共に、種々のカメラが撮影した画像において可視表示の画像を特定する。次に、セキュリティシステムは、右側のカメラと選択的にPTZ位置を空気採取口またはセンサの位置と関連付けることができる。したがって、好ましい実施形態による装置2700は、
煙を採取口まで搬送する(さらに、好ましくは煙を発生させる)機構と、
映像セキュリティシステムが撮影した画像において装置を検出する手段と、
(選択的に)この光学的手段を通じてデータを通信する手段と、
装置の動作を粒子検出システムおよび/またはセキュリティシステムと同期させる手段とを備える。
より具体的に言うと、例示的なデバイス2700は、
デバイス2700の動作を制御するコントローラ2702と、
電源2704(典型的にはバッテリ)と、
必要に応じて採取点に導入するための試験用煙を発生させる煙発生装置2706と、
煙を搬送点に送るファン2710とを備える。
デバイス2700は、煙発生装置2706が発生させた煙を搬送点に誘導するダクト2712をさらに備える。この例で、ダクト2712は、種々の高さに位置する複数の採取点の好適な利用と好適なデバイスの収納を実現する拡張可能な(例えば伸縮自在の)管である。ダクト2712の端部には、採取点に容易に結合できるように成型された出口ポート2714が設けられている。この例では、出口ポートは漏斗状であって、採取点に適合可能である。
デバイス2700は、ユーザインタフェース2716をさらに備える。この例で、ユーザインタフェース2716は、1つ以上の制御ボタン2718とタッチスクリーンディスプレイ2720とを有する。これらは、当業者に知られている方法で、装置2700の動作を制御すると共に以下のようにデータを入力するように構成できる。
デバイス2700は、外部デバイス(例えば煙検出システム、映像セキュリティシステムまたはこれらのシステムのエレメント)とのデータ通信を行う同期ポート2722(有線または無線の通信手段であってもよい)をさらに備える。ポート2722が無線の場合、ポート2722をリアルタイムの通信に利用できる。ポート2722が物理的な接続を行うのに適合している場合、通信をリアルタイムで行うことができ(例えば、使用中の他のシステムにプラグを差し込んで)、あるいは非同期的に行うことができる(例えば、保存されたデータの共有、および/または、使用後の煙検出システムと映像セキュリティシステムの一方または両方とのデバイスの同期により)。
デバイス2700は、画像通信システム2724をさらに備える。この例で、画像通信システム2724は、放射線エミッタ部2724.1,2724.2,2724.3を有する。上記方法により、装置2700の使用中に、画像通信システムを用いてセキュリティシステムと通信できる。画像通信システム2724は、可視光(または不可視光)の放射(受信および映像監視システムへの中継が可能である間)を行うことができる。好ましくは、光(放射線)はセキュリティシステムに受信されて領域の映像として撮影される。このようにして、装置2700の存在(および選択的にデータ)が、画像通信システム2724の状態により伝送される。
映像セキュリティシステムにより映像照合が行われる粒子検出システムの試運転に関連して、試験装置2700の例示的な利用について説明する。装置2700の目的は、煙検出システムと映像セキュリティシステムの一体化の設定(configuration)と照合を支援し、好ましくは自動化することである。具体的には、当該ツールは、煙検出システムと映像セキュリティシステムが保護されている同じ物理的位置を有するように支援する。
粒子検出器システムと映像セキュリティシステムは、トレーニングプロセスを開始する前に「トレーニング」モードに設定される。
粒子検出システムの各採取口では、技術者により装置2700を用いて煙を発生させる。装置2700は、始動すると、粒子検出システムが粒子を検出するのに充分な量の煙を発生させる。また、煙が発生し始めると、セキュリティシステムが撮影した画像の背景から区別可能な可視表示が作動する。「トレーニング」モードでは、映像セキュリティシステムは、撮影した画像を解析して画像内で可視表示2724を(周期的にまたは連続的に)検索する。映像セキュリティシステムは、可視表示2724を発見すると、その位置を記録し(カメラとPTZが必要に応じてセットされている)、どのビデオカメラの視野に採取穴を包囲する領域が入るのかを特定する。
煙を発生させる点で、技術者は、タッチスクリーンディスプレイ2720で、例えばキーボードインタフェースを用いて、物理的空間の名称(および選択的に説明も)を記録する。このテキストは、煙試験の開始時刻と終了時刻に記録され、これらのシステムにおいて検出された事象と関連づけるために煙検出器および/またはセキュリティシステムに選択的に送信される。システムの実際の利用中に採取穴が特定される場合、通常動作の間に、この点で入力されるテキストをCMSオペレータに送信可能である。
装置2700は、例えば新しい採取点に移動する際にどの動作を次に行うか、煙を導入する前に技術者が待つ必要があるか、煙発生装置の現在の穴の位置に技術者がいる必要がある時間、採取穴の名称についての技術者へのプロンプトなどに関して技術者を誘導するように構成される(例えばプログラムされる)。
通常、採取点は天井付近に位置する(例外はある)。発生した煙は、迅速かつ直接に採取穴に到達する。しかし、技術者は、天井の上方に設けられた採取穴に近接した位置に煙を導入し、全制御部がダクト2712の下部に位置し、ダクト2712が拡張可能であっても、地面の上に居続けることが望ましい。
各採取穴についての煙発生の開始事象と終了事象は、粒子検出システムと映像セキュリティシステムに同期している。この同期は、無線ネットワークによりリアルタイムに行うことができる。選択的に、または代替として、装置2700は、オフラインモードで無線ネットワークをリアルタイムに利用することなく、同じ機能を果たすことができる。この場合、試運転プロセスの完了時に、装置2700を粒子検出システムと映像セキュリティシステムに接続して、物理的空間の名称を含む記録データを同期させる必要がある。これは、任意の通信媒体または通信チャネル(これに限定されないが、USB、イーサネット、WiFiなど)を用いて実施できる。
図24の例では、試験装置、煙検出システムおよびセキュリティシステムにより、「トレーニングモード」においてそれぞれ以下のデータ列が生成する。
試験装置2700、煙検出器システムおよびセキュリティシステムによりトレーニングデータが記録されると、映像照合システムと煙検出システムが実際の煙検出事象において協働するようにこのデータを関連づける必要がある。各表の開始時刻と終了時刻を用いて、煙試験データを煙検出器データとセキュリティシステムデータに関連づけることができる。
使用時、煙検出システムにより煙が検出される事象において、煙検出システムはシステム内のどの位置で煙が検出されたかを決定する。システムが1つ以上の点検出器を備える場合、「アドレス指定」すなわちどの位置で事象が検出されたかの決定は、比較的容易であって、どの検出器が煙を検出したかを知ることだけが必要となる。システムが、空気採取ネットワークを有する吸引型の粒子検出システムを備える(または当該吸引型の粒子検出システムである)場合、システムは、本出願人によるオーストラリア出願(2012904516, 2012904854, 2013200353)のいずれかの位置決定方法または他の位置決定技術を実行して、粒子源の位置を特定できる。出力は位置、名称(例えば試運転中に技術者が付与する名称)、部屋のアドレスまたは煙位置決定パラメータ(例えば、位置決定フェーズにおける検出事象間に検出器を通過した空気試料の体積)であってもよい。位置決定フェーズでは、本明細書で説明しているいずれかの方法を用いて、どの採取穴を通じて煙が煙検出システムを通過したかが特定される。この出力は、セキュリティシステムに送信される。識別子または位置決定パラメータという名称に基づいて、セキュリティシステムは、決定した空気採取点の視野をどのカメラが与えるのかを決定できる。
この場合、セキュリティシステムは、煙検出事象が発生した領域の視野を示すことになるカメラとしてカメラ2405を特定することになる。
煙や火災が検出された場合の好適な動作を決定するときに、試運転中に追加の情報を集めてCMSオペレータを支援できる。
また、装置2700の幾つかの実施形態で、追加の特徴が含まれてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、他の方法を用いて装置2700の位置を決定し、当該位置と採取口の特定を支援し、または自動化できる。例えば、衛星測位(例えばGPSやDGPS)または電磁放射に基づく三角測量を用いて、装置がどの部屋にあるのかを決定し、これによりシステムにデータを入力する必要性をなくし、または最小化できる。採取点には短距離通信機構(例えばRFIDタグ)が設けられてもよい。これは、ダクト2712の端部付近に取り付けられたリーダにより読み取られて、各ステップでどの採取点が試運転を行っているかを特定できる。また、当該採取点についての試験手続きを開始するトリガとしてこの通信を用いることができる。
図17は、図14Aから図14Eのシステムの変形例を示す。システム1700は、試料増幅構成1702が採取管28の上流側端部に位置することを除いて、図14Aから図14Eのシステムと同一であり、同じように動作する。これにより、採取ネットワーク26の検出器側端部が単純化され、元々搭載されていた(こうした機能を有しない)従来の検出システムに対する試料増幅構成1702の据付が容易になる。
図18は、複数の振動膜が設けられた試料増幅構成を有する空気採取ネットワークを備えた粒子検出システムを示す。基本的に、このシステム1800は、図14Aから図14Eおよび図17のシステムにおいて両端を同じ形態としたものである。この実施形態において、2つのピストン1802,1804(拡声器の振動膜により構成される)は協働して試料増幅構成を構成する。これらは、図15に示す対向するファンに関連して説明したように、一斉に動作可能である。しかし、これらのピストン1802,1804は、拡声器(または迅速に気流を振動させることが可能な他の空気移動デバイス)であるので、採取管28に沿った1つ以上の採取口29の位置で試料増幅を選択的に行うことが新たに可能となる。これは、選択された位相差を有する複数のピストンを振動させることにより達成できる。これにより、採取管28に沿った種々の位置で、試料増幅動作の選択的な強化または解除が生じる。
図19は、分岐した採取管を有し、複数の振動膜が設けられた試料増幅構成を有する空気採取ネットワークを備えた別の粒子検出システムを示す。システム1900は、空気採取システム26に連結された粒子検出器11を有する。空気採取システム26は分岐して採取管28A,28Bを有し、これらの採取管はそれぞれ複数の採取口29A,29Bを有し、これらの採取口は長さ方向に沿って並べて配置されている。管28A,28Bの上流側端部には、ピストン1902,1904が配置されている。採取ネットワーク26の下流側端部には、共通のピストン1906が配置されている。ピストン1902,1904,1906を有する試料増幅構成は、試料増幅フェーズにあるこれらのピストンの振動の間に好適な位相差を設定することにより、振動の影響を選択的に排除した形で動作させることができる。例えば、下流側ピストン1906は、管28A上の上流側ピストン1902と同相で動作し、管28B上の上流側ピストン1904と逆相で動作する。その結果、試料増幅は採取口29A上でのみ生じ、採取口29Bでは生じない。
このプロセスを拡張して、図18に関連して説明した方法と結び付けることができる。これに関して、管28A上の上流側ピストン1902に対して選択された位相差で下流側ピストン1906を動作させ、ピストン1904を振動させないことより、選択性を大きくすることができる。好ましくは、振動パターンの節の位置が管28Aと管28Bとの間の接合部の位置に一致する場合、管28Bでの試料増幅は最小化され(なくなる可能性もある)、管28Aの長さ方向に沿った選択的な試料増幅を達成できる。
図18と図19に関連した説明した、両端を同じ形態とした試料の振動技術を、他種の気流移動用デバイス(例えばベローズ、図15に示すようなファンなど)を用いて実装できる。
図17から図19のシステムは、端部に検出器が設けられたモジュール(例えば上記モジュール2004)内に位置決定ハードウェアが設けられるように実装可能である。これにより、リターン管部分を利用して、管28の下流側端部に物理的に近接する上流側コンポーネント(例えばピストン1702,1804,1902)の位置を調節し、これらをモジュール内に一緒に収納できるようにする必要があるかもしれない。
図15Bの例に関連してのみパージステップを説明しているが、パージフェーズは、本明細書で説明している全実施形態で選択的に用いて、位置決定の正確度を向上させることができる。一般的に、パージステップは、空気採取ネットワークを清浄な空気(または、少なくとも試料空気と区別可能な空気)で充填することを伴う。これにより、一般的には、上記空気を提供する手段(例えばシステム内に選択的に挿入して清浄な空気を搬送することが可能なフィルタ構成)を提供する手段が必要となる。それゆえ、利用可能であれば、本明細書で説明しているシステム内にこうした手段を設けることができる。
先の説明からわかるように、本明細書で説明している幾つかの技術により、集中型の検出器と、空気採取システムのダクトまたは管に沿って配置された複数の採取口とを有する吸引型粒子検出システムにおけるアドレス指定能力を向上させることができる。当業者にとって明らかなことだが、システムの各エレメントを組み合わせてシステムの性能をさらに向上させることができる。一例を挙げると、図14、図15または図16の管ネットワークシステムを用いて管ネットワーク内の煙濃度を上昇させ、図5と図6に関連して説明した相互相関の方法で使用するための検出器に入る前の煙濃度をより明確なものにすることができる。さらに、上記の通り、時間ベースの相関の代わりに体積ベースの相関を用いることもできる。当業者には他の組み合わせも明らかである。
煙検出に関連して本発明を説明しているが、本発明は、採取システムが通常検出可能な他の任意の材料(気体、粉末、蒸気、生物学的材料など)にも適用可能である。
図30は、本明細書で説明しているいずれかの実施形態において位置決定モジュール2004として利用可能な位置決定モジュール3000の更なる実施形態を示す。位置決定モジュール3000は、次のメインエレメントを含む。
メイン流路3002は、一端(位置決定モジュール3000への入口3004)側の採取管28から、他端(位置決定モジュール3000からの出口3006)側の検出器11まで延びる。メイン流路3002は、追加の粒子検出器3010を示す。粒子検出器3010は、メイン粒子検出チャンバ14と同じ(または異なる)、あるいは異なる種類の粒子検出チャンバであってもよい。好ましくは、第2の粒子検出器により、メインの検出チャンバ14よりも粒子に対する応答が速くなる。ただし、これは全実施形態で必要な訳ではない。また、以下で詳細に説明するように、メイン流路3002は、メイン流路3002を閉鎖して第1の分岐流路3014へ入るすべての流れの向きを変えることが可能なバルブ3012を有する。
第1の分岐流路3014は、試料増幅デバイス3018に連絡される第1分岐部3016を有する。好ましくは、試料増幅デバイス3018は、採取管内で少量の空気の吹込みと吸込みの切替えを迅速に行うことが可能な往復ピストンの形をとる。第1の分岐流路3014は、ピストンへのアクセスを遮断すると共に第1の分岐流路3014から第2の分岐流路3022への流れの向きを変えることが可能な第2のバルブ3020を有する。
第2の分岐流路3022は、システムの外側から第2の分岐流路3022内へ空気を吸引できるようにし、吸引した空気をフィルタリングし、以下で説明する方法で追加の粒子検出器3010へと送るように構成されたファン3024とフィルタ3026とを有する。
図31は、複数の空気採取管28.2,28.2を有する空気採取ネットワーク26と一緒に動作するように拡張された位置決定モジュール2004を示す。位置決定モジュール2004は、上記コンポーネントを複製することにより、複数の採取管を扱うように拡張できる。しかし、部品点数を減らし、原価を低下させるために、特定のコンポーネントについては共有してもよい。この実施形態では、独立したメイン流路3002.1,3002.2が設けられる。この場合、バルブ(3012.1,3012.2)は、一緒に動作し、第1の分岐流路の各分岐部に接続されると共に互いに連携して動作する。多くの複数管システム(例えば、共にXtralis Pty社から販売されているVesda Laser ScannerまたはVesda Laser industrial)では、メイン粒子検出器には検出チャンバが1つだけ設けられ、各管から到来する空気試料は、検出チャンバでの分析の前にマニホールド内で混合される。
他のすべての点で、複数管位置決定モジュールは図30に示すものと同一であり、参照符号についても対応させている。複数管位置決定モジュールは、必要とされる幾つかの採取管を扱うように構成できる。
図32、図33は、アクセサリ2800についての2つの追加の実施形態を示す。アクセサリ2800は、採取管28の上流側の遠位端に取り付けられた管のエンドキャップとして利用できる。ただし、アクセサリ2800は、採取ネットワーク内の他の点、例えば分岐管の上流側端部や採取管の中間点に位置するT字状接合部の外側に配置されて、アクセサリ流路を選択的に開放することにより採取管内へ空気が侵入することを可能にしてもよい。図32の実施形態は、ファン3202とバルブ3204(図28のバルブ2808に相当する)とを有する。これらは、位置決定モジュールの制御下で駆動できる。通常の煙検出動作では、バルブ3204は閉じられてファン3202は作動しない。バルブ3204は駆動されると開き、ファン3202は、駆動されると管28の端部に空気を吸引して検出器11に向けて採取管内を移動させる。また、アクセサリ2800は選択的にフィルタ(例えばHEPAフィルタ)を有し、管に侵入する空気と、採取点から吸引されてシステム内に入る試料空気とをよりよく区別するようになっている。
図33のアクセサリ2800は、図28の実施形態と非常に類似しており、同様の構成には同一の符号を付している。アクセサリは、選択的に管を開くことができるバルブ2802を有するが、ファンを有しない。また、アクセサリはフィルタ3302を有する。バルブ2802は、採取管内で低圧または逆流を検出したときにコントローラ2806により駆動される。高い負圧が検出された場合、エンドキャップが開いて空気を管の端部内に吸引できる。
好ましい実施形態では、使用時に、図30と図31のいずれかに示されたタイプの位置決定モジュールと、図32と図33のいずれかに示されたアクセサリとを用いる粒子検出システムは、他の実施形態(例えば図29)に示された、メイン粒子検出器、位置決定モジュール2004、複数の採取管28が設けられた採取ネットワーク26、および、位置決定モジュールの上流側に取り付けられた少なくとも1つのアクセサリを有する構造と概略的に同じ構造を有する。図32のアクセサリを利用することを仮定して、こうしたシステムの動作について説明する。
概略的に言って、検出器11は、空気試料を吸引すると共に連続的に解析する通常の粒子モードで動作する。しかし、トレースレベルを超えて粒子が検出されると、システムは位置決定モードに入って位置決定モジュール2004を駆動する。次に、メイン検出器11の動作を停止させる。メイン検出器11による空気試料の吸引は中止される。次に、位置決定モジュール2004は、上記のように試料増幅ルーチンを実行する。上記の通り、「増幅」により、管内の空気が、各採取穴を包囲する局所的な大気と混合され、各採取穴に隣接する採取管内で空気の塊が形成される。これらの塊は、採取点を直接に包囲する大気に類似した組成を有する。先の説明からわかるように、安定した通常の状態では、各採取穴を通じて吸引された空気試料は、他のすべての採取穴内に吸引される空気により、当該空気が採取ネットワーク26を通過するときに希釈される。しかし、この実施形態では、増幅により少量の空気がシステムに吸引され、吹き出されて出入りするだけなので、このように塊は希釈されない。
次に、ファンを有するアクセサリ(図32のアクセサリ)を用いて「塊」を含む採取管の内容物をアクセサリのファンで移動させる場合、メイン検出器のメインファンを再度駆動することにより、上記内容物が分析のために追加の粒子検出器3010まで吸引される。この「輸送」プロセス中、体積(または関連する値)が測定される。追加の粒子検出器3010が煙の塊を検出する場合、吸引される体積は読み取られてルックアップテーブルと比較され、どの採取穴が検出された煙の塊に対応するかが決定される。
第2の分岐流路は、この位置決定プロセスにまったく関与しない。第2の分岐流路は、校正のために追加の粒子検出器3010を清浄な空気で満たすためにのみ用いられる。このプロセスは周期的に(例えば1日に一度)行われる。
以下の通り、表形式でこのプロセスを示す。
バルブ3012
「開」:メイン流路は開いており、第1の分岐部の流路はブロックされている。
「閉」:メイン流路はブロックされ、第1の分岐部の流路は開いている。
バルブ3020
「開」:第1の分岐部の流路が開いているので採取管が開き、増幅が行われる。
「閉」:第2の分岐部の流路が開いているので採取管が開き、送風とフィルタリングが行われる。
次に、メイン検出チャンバにより検出される煙レベルが微量であれば、通常検出を中断して増幅モードに入る。
(増幅)
この状態で、位置決定モジュール2004は増幅モードに入り、この例では、試料増幅デバイス(例えばピストン3018)が繰り返し空気の吸引と吹き込みを行って試料増幅を行う。このプロセスで移動する空気の体積は、空気採取システムの全体積と比較して小さく、好ましくは、隣接する採取口間での採取管の体積の半分より小さい。
所定時間経過後または所定回数の振動が行われた後、増幅は停止されてシステムは輸送フェーズに移行する。
(輸送)
このモードで、システムは、増幅された試料の塊を、分析のために追加の粒子検出器3010まで移動させる。例えば流量を積算することにより、輸送が開始してからシステムを通過した試料空気の体積または体積に関連する値が測定される。この値は、追加の粒子検出器3010における検出事象と関連づけられて、煙の侵入点が決定される。
本明細書の複数の箇所で説明しているように、好ましくは、輸送は高速で行われる。
これは、大きいポートを採取管内へ通じさせることにより、(例えばバルブ3204を空けることにより、また、プッシャファン3202が存在する場合にはプッシャファン3202を駆動することにより)支援される。管28の端部を開放すると共に管の端部に吹き込むことにより、管の少なくとも一部(ファン3202に最近接した部分)で正圧が生じ、システムのメイン吸引装置に近い位置で負圧の大きさが最小化する(吸引力が低下する)。これにより、採取管の採取口の位置で吸引力が最小化され、その結果、輸送中に採取口に吸引される追加の空気の量が最小化され、これにより試料の塊は、分析のために粒子検出器に送られるときの希釈が最小化される。
また、好ましくは、吸引は充分高速で行われて採取管内で確実に乱流が生じる様になっている。これにより、管に沿った塊からのスミアリングが最小化される(本明細書の複数の箇所で説明している)。輸送中に高速で吸引する更なる利点は、採取管28の遠位端から検出器までの塊の輸送時間を低下させ、これにより応答を速くすることができることである。
吸引の完了後、システムは通常動作に戻る。このプロセスは、位置決定データを周期的に更新し、さらに煙の進展を監視するように繰り返すことができる。
(第2の分岐流路3022の利用)
上記説明からわかるように、第2の分岐流路3022は通常の検出フェーズ、増幅フェーズまたは輸送フェーズに関与しない。第2の分岐流路は、主として、メイン検出チャンバ14または追加の粒子検出器3010の一方(または両方)を、周期的に(または必要に応じて)、校正する(またはゼロに設定する)ために用いうる清浄な空気の供給源を提供するために用いられる。これは、少なくとも追加の粒子検出器3010がフィルタリングされた清浄な空気で満たされるまで、フィルタリングされた空気が第2の分岐流路を通じてメイン流路内に吹き戻される、ゼロ設定モードに入ることにより実施される。ゼロ設定フェーズでは、システムの構成は以下の通りである。
必要なことは、充分な量の清浄な空気を位置決定モジュール2004内に吹き込んで、追加の粒子検出器3010を充填することである。これは、例えば、基準を満たす量の清浄な空気をシステム内に吹き込むのに充分なプリセット時間、ファン3024を動作させることにより行うことができる。あるいは、比較的安定した最小の粒子の読み出しが追加の粒子検出器3010により検出されるまで追加の粒子検出器3010内に清浄な空気を吹き込んでもよい。
更なる実施形態では、少なくとも1つの空気採取管と複数の空気採取点が設けられた空気採取ネットワークと流体接続している粒子検出器を有する粒子検出システムを提供する。一般に、この方法は、複数の空気採取口を有する少なくとも1つの空気採取管を校正用物質(例えば試験用煙、または、FM200など粒子検出器が検出可能な他の物質)であって粒子検出システムが検出可能なもので充填するステップを含む。
前記空気採取管は、粒子検出システムにより検出可能なレベルで前記物質により充填される。次に、この方法は、空気試料を採取管内に吸引して、少なくとも1つの空気採取口の周りにある物質の希釈を局在化させるステップを含む。好ましくは、この希釈プロセスは、採取管内での流れ方向を変化させるステップを伴う。好ましくは、この希釈プロセスは、本明細書の複数の箇所で説明している試料増幅と類似のものである。次に、採取システムの内容物を検出器へ移動させつつ空気採取システムの内容物での校正用物質のレベルを検出し、さらに採取システムの内容物の移動に関連づけることが可能な量(例えば体積、体積に関連する量、または、好ましくはないが時間)を監視する。採取管の内容物に含まれる物質において前記希釈の局在化を検出するとともに前記検出を監視される量と関連付けることにより、希釈が局在化した採取穴に対応する前記量の値が決定される。採取管の内容部に含まれる物質における前記希釈の局在化を検出するステップは、システムの粒子検出器による粒子レベルの低下を検出するステップを含んでもよい。
この方法は、試運転プロセスの一部を校正可能であって、本質的に典型的な位置決定技術の逆であり、試料を増幅して試料の塊を形成する場合、物質を搬送する(例えば煙で充填された)採取管内では、「増幅」プロセスにより、希釈された塊が形成される。管全体を校正用物質および物理的に分離した複数の希釈塊で同時に満たすことができるので、非常に多数の採取穴に対して同時に校正を行うことができる。
こうした方法を実行するために、採取管は、採取口を介して手動で充填してもよい。より好ましくは、採取ネットワークに、蛇口(例えばアクセサリ2800または位置決定モジュール2004の一部として)のような入口が取り付けられる。これは、複数管型の実施形態ではすべての管を一度に校正できるので、より好都合である。当該入口は、出力が調整された校正用物質源に流体接続されている。当該校正用物質源は、一時的に(校正中に)または永続的に入口に接続でき、周期的な校正および自己診断を可能とする。
本明細書で開示または規定されている発明は、明示的に記載され、または文章もしくは図面から明らかである複数の特徴のうち2つ以上のすべての組合せまで拡張される。これらの組合せのすべてが、本発明の種々の変形例を構成する。