JP2019005700A - 液滴製造用マイクロ流体チップ - Google Patents
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Abstract
Description
チップ本体には、第1〜第3の液溜と、それぞれ第1〜第3の液溜の底部からのび一点で互いに連結する第1〜第3の管路とが設けられている。
しかしながら、1秒間に製造可能な液滴数が最大で10個程度であり、液滴の生産性が非常に低いという問題があった。
本発明の別の好ましい実施例によれば、前記網目状の微細な溝は、グリッド状の微細な溝からなっている。
次いで、脱気したマイクロ流体チップを大気圧下に置くと、第1および第2の液溜から第1〜第3の管路を通じて第3の液溜(微細構造空間を含む)に向けて空気が流入するが、このとき、第1および第2の液溜にそれぞれ連続相となる液体および分散相となる液体を注入すると、連続相となる液体が自律的に第1の管路を通って第3の液溜に向けて送液されると同時に、分散相となる液体が自律的に第2の管路を通って第3の液溜に向けて送液され、第1および第2の管路と第3の管路との連結部においてエマルションが形成されて、第3の液溜に分散相となる液体の液滴が連続相となる液体と共に捕集される。
ところで、減圧のレベルは、密閉空間内の空気のチップ本体内への溶解(吸蔵)速度が大きいほど高くなり、減圧のレベルが高いほど送液およびエマルション生成の速度が大きくなる。
図1は、本発明の1実施例による液滴製造用マイクロ流体チップの斜視図であり、図2は、図1の液滴製造用マイクロ流体チップを部分的に分解した斜視図である。図3Aは、図1の液滴製造用マイクロ流体チップの液溜および管路の配置を示す平面図であり、図3Bは、図3Aの一部を拡大した図である。また、図4は、図1の液滴製造用マイクロ流体チップの第3の液溜付近の縦断面図である。
この実施例では、第1〜第3の溝5〜7のそれぞれが、その全長にわたって同じ深さを有し、かつ、関係する穴2〜4から連結点Pの手前までのびる幅広の部分5a〜7aと、幅広の部分5a〜7aの先端に接続した次第に幅が狭くなるテーパー部分5b〜7bと、テーパー部分5b〜7bの先端から連結点Pまでのびる狭小な部分5c〜7cとからなっている。
なお、第1の基板8の形成材料はこの実施例に限定されず、第1の基板8をアクリル樹脂とは別の種類の合成樹脂またはチップ本体1を形成する樹脂と同じ種類の合成樹脂から形成してもよいし、第1の基板8としてガラス板を用いることもできる。
例えば、上記実施例では、マイクロ流体チップに第1〜第3の液溜m1〜m3を1組だけ設けているが、第1〜第3の液溜m1〜m3の組を複数組設けてもよい。
あるいは、チップ本体1に、2つの第1の液溜m1と、各1つの第2および第3の液溜m2、m3を設けるとともに、2つの第1の液溜m1からそれぞれのびる2本の第1の管路n1の組と、第2および第3の管路n2、n3の組を一点で互いに十字状に連結してもよい。
図2および図5A〜図5Cを参照して、チップ本体1の他方の面1bには、微細な溝9がグリッド状に形成されている。
この実施例では、グリッド状の微細な溝9は、レーザーマーカーによって、チップ本体1の他方の面1bに縦横方向の微細溝加工を施したものからなっている。なお、グリッド状の微細な溝9の形成方法は、この実施例に限定されない。
また、微細な溝9の2次元的な形成パターンは、特に限定されず、網目状となっておれば、どのような形状であってもよい。
この場合も、第1の基板8の場合と同様、チップ本体1を形成するPDMSの強い自己吸着性により、チップ本体1と第2の基板10を互いに接触させるだけで、両者を密着状態で接合することができる。
なお、第2の基板10の形成材料はこの実施例に限定されず、第2の基板10をアクリル樹脂とは別の種類の合成樹脂またはチップ本体1を形成する樹脂と同じ種類の合成樹脂から形成してもよいし、第2の基板10としてガラス板を用いることもできる。また、第2の基板10が第1の基板8とは異なる材料から形成されていてもよい。
まず、マイクロ流体チップが減圧下に置かれて、チップ本体1が脱気されるとともに、第1〜第3の液溜m1〜m3(微細構造空間fを含む)および第1〜第3の管路n1〜n3の内部からも空気が外部に放出される。
ところで、減圧のレベルは、密閉空間内の空気のチップ本体1内への溶解(吸蔵)速度が大きいほど高くなり、減圧のレベルが高いほど送液およびエマルション生成の速度が大きくなる。
例えば、上記実施例では、チップ本体1の他方の面1b上に形成したグリッド状の微細な溝9によってチップ本体1および第2の基板10間に微細構造空間fを形成したが、微細構造空間fは、チップ本体1の内部、またはチップ本体1および第2の基板10間、またはそれらの両方に形成され、第3の液溜m3に連通する閉じた空間でありさえすればどのような構成であってもよく、この場合、できるだけ大きなS/V比が得られるような構成であることが好ましい。
次に、本発明の効果を確認すべく、実験を行ってその結果を評価した。
実験においては、マイクロ流体チップとして、図1〜図5に示したものと同様の構成のものを作成した。マイクロ流体チップの各部の寸法は次のとおりである。
(i)チップ本体1:縦50mm×横70mm×厚さ4mm
(一方の面1a側)
・第1の液溜m1の径:d1=6mm
・第2の液溜m2の径:d2=4mm
・第3の液溜m3の径:d3=8mm
・チップ本体横方向の、第1の液溜m1の中心および点P間の距離:L1=7mm
・チップ本体横方向の、第2の液溜m2の中心および点P間の距離:L2=7mm
・チップ本体縦方向の、第2の液溜m2(第1の液溜m1)の中心および点P間の距離L3=7.5mm
・チップ本体縦方向の、第3の液溜m3の中心および点P間の距離L4+L5=7.5mm
・チップ本体縦方向の、第3の液溜m3の中心および第3の管路n3との接続点間の距離:L5=1mm
・第1〜第3の管路n1〜n3の深さ:50μm
・第1〜第3の管路n1〜n3の幅広の部分5a、6a、7aのそれぞれの幅:d4=250μm
・第1〜第3の管路n1〜n3のテーパー部分5b、6b、7bのそれぞれの長さ:d5=300μm
・第1〜第3の管路n1〜n3の狭小な部分5c、6c、7cのそれぞれの幅:d6=50μm
・第1の管路n1の狭小な部分5cの長さd7=0.2mm
・第2の管路n2の狭小な部分6cの長さd8=0.2mm
・第3の管路n3の狭小な部分7cの長さd9=2mm
(他方の面1b側)
・グリッド状の微細な溝9の形成領域の大きさ(図5A参照)
L6=50mm、L7=34mm、L8=25mm、L9=25mm、L10=17mm、L11=17mm
・グリッド状の微細な溝9を構成する溝部分の幅d10=40μm
・グリッド状の微細な溝9を構成する溝部分の深さd11=5μm
・グリッド間の間隔d12=120μm
(ii)第1の基板8:縦52mm×横76mm×厚さ2mm
(iii)第2の基板10:縦50mm×横70mm×厚さ2mm
・第1の貫通穴11の径:6mm
・第2の貫通穴12の径:4mm
また、第3の液溜m3については、S/V=5.0cm−1となる。
よって、微細構造空間fによって拡張された第3の液溜m3のS/Vは、9.6cm−1である。
このとき、倒立型蛍光顕微鏡(WRAYMER、AXJ−5300TPHFL MODEL)に接続した高速度カメラ(DITECT、HAS−D71)を用いて、連結点Pにおける油中水滴の生成の様子を記録した。
結果を図6Aのグラフに示す。図6Aのグラフ中、縦軸は液滴生成速度(Hz)または液滴生成総数を示し、横軸は時間(min)を示している。また、曲線Iは液滴の生成速度を表し、曲線IIは液滴の生成総数を表している。
結果を図6Bのグラフに示す。図6Bのグラフ中、縦軸は液滴生成速度(Hz)または液滴生成総数を示し、横軸は時間(min)を示している。また、曲線Iは液滴の生成速度を表し、曲線IIは液滴の生成総数を表している。
1a 一方の面
1b 他方の面
2 第1の穴
3 第2の穴
4 第3の穴
5 第1の溝
6 第2の溝
7 第3の溝
8 第1の基板
9 グリッド状の微細な溝
10 第2の基板
11 第1の貫通穴
12 第2の貫通穴
f 微細構造空間
m1 第1の液溜
m2 第2の液溜
m3 第3の液溜
n1 第1の管路
n2 第2の管路
n3 第3の管路
P 連結点
Claims (3)
- 気体を吸蔵し得る合成樹脂から形成された板状のチップ本体と、
前記チップ本体の一方の面に密着状態で接合された第1の基板と、を備え、
前記チップ本体の他方の面に、連続相となる液体を貯める第1の液溜と、分散相となる液体を貯める第2の液溜と、液滴を捕集する第3の液溜とが開口し、
前記チップ本体には、それぞれ第1〜第3の液溜の底部からのびて一点で互いに連結する第1〜第3の管路が設けられ、さらに、
前記チップ本体の前記他方の面に密着状態で接合された第2の基板を備え、
前記第2の基板には、それぞれ前記第1および第2の液溜に整合する第1および第2の貫通穴が設けられ、さらに、
前記チップ本体の内部、または前記チップ本体および前記第2の基板間、またはそれらの両方に形成され、前記第3の液溜に連通する閉じた微細構造空間を備えたものであることを特徴とする液滴製造用マイクロ流体チップ。 - 前記微細構造空間が、前記チップ本体の前記他方の面上に網目状に形成された微細な溝から形成され、前記網目状の微細な溝は、前記第3の液溜に接続するが、前記第1および第2の液溜の開口縁および前記他方の面の外縁には達しないように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴製造用マイクロ流体チップ。
- 前記網目状の微細な溝は、グリッド状の微細な溝からなっていることを特徴とする請求項2に記載の液滴製造用マイクロ流体チップ。
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