JP2019004723A - 連続培養条件のスクリーニング方法および連続培養条件のスクリーニング装置 - Google Patents

連続培養条件のスクリーニング方法および連続培養条件のスクリーニング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】定常状態に達した後の細胞増殖が少なく、細胞増殖速度に対して生産物生成速度が高い連続培養用細胞株とこれに適した連続培養条件を選別することができる連続培養条件のスクリーニング方法および装置を提供する。【解決手段】本発明に係るスクリーニング方法および装置は、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用浮遊系細胞株を選別する。【選択図】なし

Description

本発明は、連続培養条件のスクリーニング方法および連続培養条件のスクリーニング装置に関する。
抗体医薬などのバイオ医薬品は、医薬品タンパクを産生する細胞を培養し、細胞から分泌された医薬品タンパクを精製することで製造される。医薬品タンパク製造用の細胞株の構築では、一般的に、対象となる医薬品タンパクをコードする遺伝子を細胞に導入し、増やして集めた細胞プールから、培養上清中に高効率で医薬品を放出する高効率産生細胞を選別している。
医薬品タンパクを製造する細胞の培養方法は、回分培養、流加培養(もしくは半回分培養)、連続培養(もしくは灌流培養)に分類される。
回分培養は、一回ごとに新たな培地を用意し、そこへ細胞株を植えて収穫まで培地を加えない培養法である。回分培養には、培養ごとに品質はバラつくが、コンタミネーションのリスクを分散・低減できるという特徴がある。
流加培養は、培養中に、培地自体や培地中の特定の成分を添加し、培養終了時までその生産物を抜き取らない培養方法である。
連続培養は、連続的に培養系に培地を供給すると同時に同量の培養液を抜き取る培養法である。連続培養には、培養環境を常に一定に保ちやすく、生産性が安定するという特徴がある。
培養に用いられる細胞株のスクリーニング(選抜・選別)は、実生産に用いられるそれぞれの培養法に合わせ、かつ実生産での培養装置をスケールダウンした培養スクリーニング装置を用いて行うことが望ましい。一般的に、細胞株のスクリーニングは、クローンライブラリーごとに培養試験を行い、それぞれの株の生育率と、目的生産物の産生能力とをあわせたトータルの生産性で評価し、決定される。
培養に用いられる細胞(細胞株)として、例えば、接着系培養細胞であるチャイニーズハムスター卵巣細胞がある。そして、このチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いた培養法が、例えば、特許文献1に記載されている。
具体的に、この特許文献1には、タンパク質の製造のためのチャイニーズハムスター卵巣細胞において、その増殖相と製造相とが互いに分離されていることを特徴とする旨が記載されている。また、この特許文献1には、前記細胞が担体表面を集密的に覆った後に遺伝物質の導入を実施する旨や、前記細胞は、特定の生産物の最大の分泌がG1相(G1期)に行われる点で優れている旨記載されている。さらに、この特許文献1には、細胞を多孔質の担体材料上に細胞周期のG1期で固定化することによってトラップした後に遺伝物質の導入を実施することが重要である旨記載されている。
一方、培養に用いられる細胞(細胞株)として、接着系培養細胞とは別に、浮遊系培養細胞も知られている。浮遊系培養細胞は、前記したような担体材料上に接着しないので、細胞を固定化させることによる細胞周期の制御はできない。浮遊系培養細胞を用いた培養系では、細胞培養を行って細胞を増殖させつつ特定の生産物の生成が行われる。そのため、浮遊系培養細胞を用いた培養系では一般的に、培養中に細胞を含む培養液をサンプリングし、生育率として細胞数および生存率の経時変化を測定し、生産物の生成能力として生産物の濃度の経時変化を測定している。そして、それぞれ細胞増殖速度、生産物生成速度に換算して指標とすることで細胞株の評価を行っている。
このような状況下、現在、接着系培養細胞および浮遊系培養細胞について、回分培養および流加培養に対応したスクリーニング用培養装置が各種開発され、広く使用されている。また、回分培養および流加培養では、細胞数密度の低い状態から高い状態まで細胞数を増殖させる。生産物生成速度が同じであれば、増殖が速い方が生産性を示す式1の値が大きくなるので、生産物生成速度および細胞増殖速度ともに高い細胞株が好まれる。そのため、回分培養および流加培養では、細胞増殖速度および生産物生成速度の指標を用いた式1の生産性が最大となる細胞株を選別している。

(生産性)=∫(生産物生成速度)×(細胞数)dt ・・・式1
特表2002−527057号公報
回分培養および流加培養は、細胞を増殖させながら一定の細胞密度に到達後、生産物を回収する。そのため、細胞株と培養条件のスクリーニングは上記培養期間内で行うことができる。一方、連続培養は、細胞増殖期が終わってから、細胞の状態および生産物の生成が定常状態となり(生産物生成期となり)、その後、生産物回収期が来る。従って、回分培養および流加培養と比較して、生産性のよい連続培養用細胞株と連続培養条件のスクリーニングに長期間を要していた。そのため、連続培養に好適に用いられる細胞株、すなわち、定常状態に達した後の細胞増殖が少なく、細胞増殖速度に対して生産物生成速度が高い細胞株のスクリーニング(最適化した細胞株の選別)は、事実上、困難であった。従って、連続培養の検討においては、前記細胞株の選別とこれに適した連続培養条件を選別する最適化は試みられていなかった。
なお、連続培養において定常状態に達した後の細胞増殖には、余剰細胞の分解によって不純物が増加するだけでなく、細胞分裂回数増加によって変異が発生する可能性があるという問題がある。また、細胞増殖のために必要以上の培地栄養成分と酸素供給が要求される一方で、老廃物と二酸化炭素を除去する必要があるという問題がある。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、定常状態に達した後の細胞増殖が少なく、細胞増殖速度に対して生産物生成速度が高い連続培養用細胞株とこれに適した連続培養条件を選別することができる連続培養条件のスクリーニング方法および連続培養条件のスクリーニング装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため本発明者等が鋭意検討した結果、生産物生成速度が最大で、かつ不要な細胞増殖を行わない性質を持つ連続培養用細胞株およびこれに適した連続培養条件を選別することで、連続培養による目的物質の生産において生産性が高く、かつ品質が安定している生産物を得ることができることを見出した。すなわち、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が大きいことや、細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いこと、代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないことなどをスクリーニング時の指標とすることで、連続培養による目的物質の生産において生産性が高く、かつ品質が安定している生産物を得ることができることを見出した。また、スクリーニングの際、定常状態となった後に上記指標を測定することで、製造で行われる培養でも同様の状態を再現させることが可能であることを見出した。本発明はこれらの知見を見出すことにより完成するに至ったものである。
本発明に係る前記課題は以下の手段により解決される。
本発明に係る連続培養条件のスクリーニング方法は、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用浮遊系細胞株を選別する。
また、本発明に係る連続培養条件のスクリーニング方法は、実生産に用いられる連続培養装置内で細胞培養するときの連続培養条件をスクリーニングする方法であり、前記連続培養条件を設定して細胞を培養する培養工程と、前記培養工程で培養している培養液をサンプリングし、生産物の濃度と培地成分を分析して分析値を得る分析工程と、前記分析値から細胞の培養状態が定常状態であるか否かを判別する判別工程と、前記培養状態が定常状態であるときに、前記分析値から生産物生成速度、細胞増殖速度、細胞周期、および代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析を行う解析工程と、を複数の培養細胞および連続培養条件で実施し、前記細胞増殖速度、前記細胞周期、および前記代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析結果に基づいて最適な連続培養条件を選定する選定工程と、前記最適な連続培養条件で培養された細胞を評価して、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用細胞株を選別する選別工程と、を含む。
本発明に係る連続培養条件のスクリーニング装置は、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用浮遊系細胞株を選別する。
本発明に係る連続培養条件のスクリーニング装置は、実生産に用いられる連続培養装置内で細胞培養するときの連続培養条件をスクリーニングする装置であり、前記連続培養条件を設定して細胞を培養する培養手段と、前記培養手段で培養している培養液をサンプリングし、生産物の濃度と培地成分を分析して分析値を得る分析手段と、前記分析値から細胞の培養状態が定常状態であるか否かを判別する判別手段と、前記培養状態が定常状態であるときに、前記分析値から生産物生成速度、細胞増殖速度、細胞周期、および代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析を行う解析手段と、前記細胞増殖速度、前記細胞周期、および前記代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析結果に基づいて最適な連続培養条件を選定する選定手段と、前記最適な連続培養条件で培養された細胞を評価して、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用細胞株を選別する選別手段と、を含む。
本発明によれば、定常状態に達した後の細胞増殖が少なく、細胞増殖速度に対して生産物生成速度が高い連続培養用細胞株とこれに適した連続培養条件を選別することができる連続培養条件のスクリーニング方法および連続培養条件のスクリーニング装置を提供することができる。
本実施形態に係る連続培養条件のスクリーニング装置の一例を示す概略図である。 培養手段を複数系統備えたスクリーニング装置を示す概略図である。 代謝フラックスの分析方法の概念を示す説明図である。 真核細胞の細胞周期の概念を示す説明図である。 生細胞のDNAをPI蛍光染色法で蛍光標識し、それを光学的に検出した結果を示す概念図である。 本実験による細胞の増殖曲線を示すグラフである。 培養2日目および培養4日目のフローサイトメータによる細胞周期の測定結果を示すグラフである。 細胞周期から推定した増殖細胞数の推定値と、実際に計数して求めた増殖細胞数の実測値を示すグラフである。 本実施形態に係る連続培養条件のスクリーニング方法の内容を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る連続培養条件のスクリーニング方法の詳細な手順の一例を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る連続培養条件のスクリーニング方法の詳細な手順の他の一例を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る連続培養条件のスクリーニング方法の詳細な手順の他の一例を説明するフローチャートである。
以下、適宜図面を参照して本発明に係る連続培養条件のスクリーニング方法および連続培養条件のスクリーニング装置の一実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、まず、連続培養で必要とされる細胞株の特性について説明し、次いで、連続培養条件のスクリーニング装置の実施形態について説明した後、連続培養条件のスクリーニング方法の実施形態について説明する。
[連続培養で必要とされる細胞株の特性]
前述したように、回分培養および流加培養では、細胞数密度の低い状態から高い状態まで細胞数を増殖させるので、生産物生成速度が同じであれば、増殖が速い方が生産性を示す前記式1の値が大きくなる。そのため、回分培養および流加培養では、生産物生成速度および細胞増殖速度ともに高い細胞株が好まれる。
連続培養は、添加培地槽から連続的に細胞培養槽に新鮮な培地を供給すると同時に、添加した新鮮な培地と同じ量の培養液を細胞分離装置から抜き取る培養法である点で、回分培養や流加培養と異なっている。細胞分離装置では、細胞と、目的とする生産物および老廃物と、が分離される。分離された細胞は細胞培養槽に戻され、生産物および老廃物などは培養液回収槽に回収される。そして、回収された生産物は精製装置で精製された後、製品となる。
目的とする生産物の品質は、培養槽内の栄養成分の濃度や細胞から分泌される老廃物の濃度に依存するため、連続培養における生産物生成期から生産物回収期にかけては、細胞数密度が一定であることが望ましい。つまり、連続培養における生産物生成期から生産物回収期にかけては、回分培養および流加培養と違って、細胞の増殖速度が小さいことが望ましい。その一方で当然のことながら、連続培養における生産物生成期から生産物回収期にかけては、生産性を高める観点から目的とする生産物の生成速度が高いことが望ましい。
そこで、連続培養用の細胞株を選別するための指標として、後記する式2を新たに定義した。スクリーニングした中で本指標Iが、細胞が集密的になって生産物生成期を迎えた後に最大となる細胞株を選別することで、従来と比較して連続培養における生産性が高く、かつ生産物の品質を安定させることができる。つまり、この指標Iによって、定常状態に達した後の細胞増殖が少なく、細胞増殖速度に対して生産物生成速度が高い連続培養用細胞株とこれに適した連続培養条件を選別できる。この指標Iは、接着系培養細胞を用いた連続培養系および浮遊系培養細胞を用いた連続培養系のいずれにおいても好適に適用できる。なお、この指標Iは、例えば、好ましくない副生産物を最小化するための連続培養条件や育種条件の選別に用いることもできる。この場合、「生産物生成速度」を「副生産物生成速度」に置き換え、指標Iが小さくなるように連続培養条件や育種条件を選別する。

I=(生産物生成速度)/(細胞増殖速度) ・・・式2
また、連続培養用の細胞株を選別するための指標として、細胞周期が挙げられる。具体的には、細胞が集密的になって生産物生成期を迎えた後の細胞周期において、細胞分裂を行わないG0期およびG1期の合計期間が長いことが挙げられる。細胞が集密的になって生産物生成期を迎えた後の当該合計期間が長いほど、生産物は生成するが、細胞増殖は行わないという状態を長く維持できることになる。つまり、この指標によっても、定常状態に達した後の細胞増殖が少なく、細胞増殖速度に対して生産物生成速度が高い連続培養用細胞株とこれに適した連続培養条件を選別できる。
さらに、連続培養用の細胞株を選別するための指標として、代謝フラックスが挙げられる。具体的には、細胞が集密的になって生産物生成期を迎えた後の代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないことが挙げられる。細胞が集密的になって生産物生成期を迎えた後の代謝フラックスにおけるパスウェイが少ないほど、副生成物の生成量が少なくなる。そのため、生産物の生成が、副生成物による抑制等を受け難くなり、生産物生成速度が向上したり、生産物の生成量が多くなったりする(生産性が高くなる)。また、生産物の品質も安定する。つまり、この指標によっても、定常状態に達した後の細胞増殖が少なく、細胞増殖速度に対して生産物生成速度が高い連続培養用細胞株とこれに適した連続培養条件を選別できる。
[連続培養条件のスクリーニング装置]
図1は、本実施形態に係る連続培養条件のスクリーニング装置の一例を示す概略図である。
本実施形態に係る連続培養条件のスクリーニング装置(以下、単に「スクリーニング装置」ということがある)は、実生産に用いられる連続培養装置(図示せず)内で細胞培養するときの連続培養条件をスクリーニングする装置である。
図1に示すように、本実施形態に係るスクリーニング装置1は、培養手段2と、分析手段3と、判別手段4と、解析手段5と、選定手段6と、選別手段7とを含んでいる。
<培養手段>
本実施形態における培養手段2は、実生産に用いられる連続培養装置(図示せず)内で細胞を培養するときの連続培養条件を設定して(模擬して)、細胞培養を行う槽である。設定される連続培養条件としては、例えば、温度、溶存酸素濃度、培地組成、攪拌回転数などが挙げられる。培養手段2では、スクリーニングされる細胞株も設定(選定)される。培養手段2は、細胞培養に必要な設備として当該培養手段2に付随して、培地添加手段21、細胞分離手段22および回収手段23を有している。
培地添加手段21から培養手段2へは配管T1で、培養手段2から細胞分離手段22へは配管T2で、細胞分離手段22から回収手段23へは配管T3で、細胞分離手段22から培養手段2へは配管T4でそれぞれ接続されている。また、これらの配管のうち、配管T1、T2、T3の任意の箇所にポンプP1〜P3が設置されている。
ここで、前記した図示しない実生産に用いられる連続培養装置も、培地添加手段、培養手段、細胞分離手段および回収手段を有して構成されている。当該連続培養装置におけるこれらの構成要素は、スクリーニング装置1の培地添加手段21、培養手段2、細胞分離手段22および回収手段23にそれぞれ相当し、同様の構成とすることができる。
培養手段2には、細胞を攪拌するための攪拌翼24および攪拌動力25が設けられている。また、培養手段2には、液中通気のための散気管26、温度調整のためのウォータージャケット27と、pH、溶存酸素(DO)、溶存二酸化炭素(DCO)、温度等の培養環境をモニタリングするための各種センサ(図示せず)とを備えている。なお、センサは計測対象ごとに個別に備えられている。
また、図示はしないが、培養手段2は、pH、DOを所定の設定範囲に制御するためにアルカリ溶液添加用の配管や炭酸ガス、空気、純酸素、窒素などの(液面、液中)通気配管を備えている。また、同じく図示はしないが、培養手段2は、前記したセンサで得られた値に基づいて前記培養環境を所定の設定範囲に維持するためにアルカリ添加やガス通気を制御するための装置も備えている。
ここで、図2は、培養手段2を複数系統備えたスクリーニング装置1Aを示す概略図である。
図1は、培養手段2を1つだけ備えた1系統のスクリーニング装置1を図示している。一般的に、遺伝子組換えを行った細胞は複数の候補細胞株(細胞株プール)として保存される。従って、スクリーニングの効率を向上させるため、図2に示すように、培養手段2を複数系統備えたスクリーニング装置1Aとするのが望ましい。
図2に示すスクリーニング装置1Aは、例えば、容量が100mLである培養手段2(具体的には細胞培養槽)を8つ備えており、それぞれ培養手段2a〜2hとしている。なお、図2において図示はしないが、スクリーニング装置1Aは、スクリーニング装置1と同様、それぞれの培養手段2a〜2hに付随して、培地添加手段21、細胞分離手段22および回収手段23を有している。
また、培養手段2a〜2hは、いずれも図1に示す培養手段2の構成を有している。従って、培養手段2a〜2hはそれぞれが培養制御パラメータとして、攪拌回転数、温度、pH、DO、DCOなどが挙げられ、これらを測定して制御することが可能である。また、培養手段2a〜2hはそれぞれが培養制御パラメータとして、培養手段2から細胞分離手段22を経由して培養手段2に戻る循環速度、細胞分離手段22から回収手段23に送液する送液速度、培地添加手段21から培養手段2内に新鮮な培地を添加する添加速度および培地組成が挙げられ、これらを測定して制御することが可能である。
培養手段2a〜2hは、これらの培養制御パラメータを連続培養条件のスクリーニング対象とすることができる。生産性の高い細胞株を選別するには、候補細胞株とその細胞株に適した連続培養条件とをセットで検討する必要がある。そのため、本実施形態においては、培養手段2a〜2hは、1つの系統で1つの候補細胞株を種々の条件で培養することが望ましい。この点、図2に示すスクリーニング装置1Aは、培養手段2a〜2hのうちの1つの培養手段で1つの系統の細胞株を培養できるだけでなく、前記1つの系統の細胞株の連続培養条件の設定値を変えて種々の連続培養条件における細胞増殖速度や生産物生成速度などを計測できる。
<培地添加手段>
培地添加手段21は、培養手段2内において細胞が消費した液体培地中の栄養成分を補うため、新鮮な液体培地を一時的に貯留しておく槽である。培地添加手段21は、新鮮な液体培地を一時的に貯留しておくことができる槽であればどのようなものも用いることができる。培地添加手段21は、培養手段2に添加する新鮮な培地を貯留できればよく、槽の数は特に限定されない。培地添加手段21における槽の数は1つでもよいし、複数でもよい。培地添加手段21は、ポンプP1の出力とバルブVの開閉・開度によって新鮮な液体培地の添加速度を調節することができる。なお、新鮮な液体培地は、培養しようとする細胞に応じて適宜に選択・調製することができる。
<細胞分離手段>
細胞分離手段22は、培養手段2の培養液から培養細胞と、生産物および老廃物と、を分離する装置である。細胞分離手段22は、配管T4を通じて培養細胞を培養手段2に戻し、配管T3を通じて生産物および老廃物を回収手段23へ移送する。細胞分離手段22としては、例えば、重力沈降法、遠心分離法、超音波凝集法、ろ過分離法などが挙げられ、本実施形態ではいずれの手法を用いてもよい。なお、生産物としては、例えば、抗体タンパクや各種の生理活性物質などが挙げられ、老廃物としては、例えば、乳酸やアンモニアなどが挙げられる。
<回収手段>
回収手段23は、前記したように、細胞分離手段22で分離された生産物および老廃物を一時的に貯留しておく槽である。回収手段23は、生産物および老廃物を一時的に貯留しておくことができる槽であればどのようなものも用いることができる。
<分析手段>
スクリーニング装置1では、例えば、細胞の細胞増殖期(対数増殖期)中や、細胞増殖期が過ぎて生産物生成期に入った後(定常状態に達した後)など、適宜のタイミングで培養手段2から培養液をサンプリングし、分析手段3で生産物の濃度と培地成分を分析して、細胞の状態を分析する。具体的には、分析した細胞の状態を反映する生産物生成速度、細胞増殖速度、細胞周期、細胞内の代謝の流れ(代謝フラックス)、栄養基質消費速度、老廃物などの副生成物分泌速度などを少なくとも1つ分析する。分析手段3の分析対象として挙げたこれらの項目は任意に選択可能であり、少なくとも一つを分析すればよい。ただし、後記する選別手段8で{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}、細胞周期、代謝フラックスのうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用細胞株を選別することから、生産物生成速度および細胞増殖速度と、細胞周期と、代謝フラックスとのうちの少なくとも一つは分析しておくのが好ましい。分析手段3は、得られた分析値を解析制御手段8に送信する。分析手段3で分析され得るこれらの分析対象に関する分析方法等は以下のようなものである。
(分析対象1:生産物の濃度および生産物生成速度)
生産物生成速度を求めるために、まず培養手段2内の生産物の濃度を分析する。例えば、目的とする生産物がタンパク質である場合におけるタンパク質の濃度は以下のようにして分析することができる。
タンパク質の定量ではELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)法を用いることができる。ELISA法は、測定対象のタンパク質と抗原抗体反応を示す抗体を用い、結合した抗体の蛍光もしくは酵素活性により、測定対象のタンパクの濃度を算出する。ELISA法には、直接法、間接法、サンドイッチ法、競合法などの方法があるが、いずれの方法で測定しても構わない。
培養におけるタンパク質の濃度の経時変化を測定し、単位時間、単位細胞数あたりの生成量に換算することで、生産物生成速度を求めることができる。
(分析対象2:培地成分、栄養基質消費速度および副生成物分泌速度)
栄養基質消費速度および副生成物分泌速度を求めるために培地成分を分析する。具体的には、培養手段2内の栄養基質濃度および副生成物濃度を分析する。なお、栄養基質とは、培地成分のうち、細胞の成長や生産物の生成に必要なものをいい、例えば、無機成分、炭素源、ビタミン類、アミノ酸類などが挙げられる。また、副生成物とは、細胞が成長したり、生産物を生成したりする過程において、副産物として生成されるものをいい、例えば、炭酸ガス、乳酸、アンモニア、ピルビン酸、クエン酸などが挙げられる。
栄養基質濃度および副生成物濃度の測定は、例えば、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析計(LC/MS−MS)、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)、ガスクロマトグラフ−タンデム質量分析計(GC/MS−MS)等を用いて、細胞を除いた培養液中の成分を測定する。これらの分析法はいずれも、培養液中の多項目の成分を一度に測定することができる。
培養における培地成分、具体的には、栄養基質濃度および副生成物濃度の経時変化をそれぞれ測定し、単位時間あたりの消費量および生成量に換算することで、栄養基質消費速度および副生成物分泌速度をそれぞれ求めることができる。
(分析対象3:代謝フラックス)
代謝フラックスの分析方法の一例を以下に説明する。図3は、代謝フラックスの分析方法の概念を示す説明図である。図3に示すシミュレーションでは最初にランダムな代謝フラックスの値(代謝反応速度初期値(乱数))(図3のR1〜R8)を与え、代謝経路モデルを基に、定常状態での細胞内の各代謝物質に含まれる同位体炭素の数の比を計算する。この計算値と実験で測定した細胞内代謝物質の同位体炭素数比との比較を行う。そして、同位体比率分布について統計学的に有意差がない場合(一致する場合)は、推定代謝フラックスと決定される(代謝反応速度決定)。一方、同位体比率分布について統計学的に有意に差がある場合(不一致となる場合)は、シミュレーションによる代謝物質中の同位体数炭素比の値を実験による代謝物質中の同位体炭素数比の値との平均自乗誤差が最小となるようにシミュレーションによる代謝フラックスの値を補正する。この補正は、例えば、QP(Quadratic Programming)部分問題法を適用することにより行うことができる。QP部分問題法は、生成された特定の代謝物1〜3の同位体炭素数比と、シミュレーションによる特定の代謝物1〜3の同位体炭素数比と間に統計学的な有意差が生じる場合に、両者間の平均自乗誤差が予め設定された所定範囲内に収まり、最小となるように、先にシミュレーションにより得た代謝経路R1〜R8におけるそれぞれの代謝フラックスの値の中で、当該誤差に関係する代謝経路R1〜R8における代謝フラックスの値を補正するというものである。前記したように、シミュレーションによる結果が不一致となる場合、補正した代謝フラックスで同位体炭素比を計算し、同位体比率分布について統計学的な有意差がなくなるまで実験による代謝物質中の同位体炭素数比の値を比較するという操作を繰り返す。シミュレーションによる結果が一致する場合、その結果により代謝反応速度(代謝フラックス)を決定する。
同位体標識基質を用いた培養実験については、例えば、13Cで標識したグルコースを添加した液体培地で細胞培養を行う。そして、培養槽から細胞をサンプリングし、細胞を固定した後、分析に必要な中間代謝物を抽出し、2%methoxyamine hydrochlorideを加え、55℃で2時間反応させる。その後、MBTSTFA+1%TBDMCS((N-methyl-N-(tert-butyldimethylsilyl)trifluoroacetamide + 1% tertbutyldimetheylchlorosilane))溶液を45μLずつ加え、37℃で1時間反応させた後、GC/MSで分析する。GC/MSで用いるカラムとしては、例えば、30m DB−35MS キャピラリーカラムを使用することができ、分析条件はカラム温度を100℃から300℃に勾配3.5℃/minで昇温することが挙げられる。また、注入口温度を270℃とし、キャリアガスはヘリウムガス(流量1mL/min)で分析を行うことが挙げられる。
(分析対象4:細胞増殖速度)
細胞増殖速度を求めるために、まず培養手段2内の細胞数を分析(測定)する。細胞数の測定は、トリパンブルー染色法および血球計算盤を用いた顕微鏡観察により行うことができる。なお、細胞数の測定は、乾燥菌体重量法、濁度法、静電容量法、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)測定、フローサイトメトリー法等の他の方法を用いて行うこともできる。
ここで、生細胞数をX、比増殖速度をμ、時間をtとすると、式3の関係になる。

μX=dX/dt ・・・式3
異なる時間の2点の生細胞数が分かれば、式3を用いて比増殖速度を求めることができる。なお、異なる時間の2点のデータから比増殖速度を求めた際に、誤差の影響が無視できなくなった場合は、対数増殖している培養液を経時的にサンプリングし、より多くのデータを基に比増殖速度を推定してもよい。例えば、培養時間を横軸、生細胞数の対数値を縦軸として散布図にプロットし、その傾きを最小二乗法により計算する。このグラフが直線で得られない場合は、対象の細胞は指数増殖しておらず、培養期間中に何らかの制限因子が存在することを意味している。
(分析対象5:細胞周期)
図4は、真核細胞の細胞周期の概念を示す説明図である。細胞周期は、1つの細胞が分裂して2つの細胞になるために必要な期間であり、図4に示すように、細胞分裂期(有糸分裂期、M期)と、それ以外の細胞分裂間期(間期)からなる。間期は、G1期、S期、G2期からなる。真核細胞は細胞周期を繰り返すことで増殖する。典型的な動物の細胞では、1細胞周期にかかる時間は16〜24時間であり、M期は1時間、G2期は2〜6時間、S期は6〜8時間である。なお、G1期は細胞株の種類や連続培養条件によって相違する。M期、G1期、S期、G2期の時間比はおよそ1:5:7:3である。また、連続培養条件等の様々な要因により、G1期において、細胞周期から離脱し静止状態になることがある。これをG0期という。G0期の長さおよび含有比は不定である。従って、G0期の細胞を含む場合には、M期、G1期(およびG0期)、S期、G2期の時間比は不定である。
連続培養においては、細胞が集密的になって生産物生成期を迎えた後は、分裂をしないG0期およびG1期の割合が多い細胞を選別するのが好ましい。細胞周期の計測は、フローサイトメータを用いたPI蛍光染色法で行うことができる。PI蛍光染色法は、PI(ヨウ化プロピジウム:Propidium Iodide)を用いる蛍光染色法であり、細胞周期を計測する際によく用いられている手法である。
図5は、生細胞のDNAをPI蛍光染色法で蛍光標識し、それを光学的に検出した結果を示す概念図である。なお、図5の縦軸は細胞数を表し、横軸はPI蛍光強度(∝DNA量)を表している。縦軸は上にいくほど細胞数が多くなり、横軸は右にいくほどPI蛍光強度が高くなる。
図5中の曲線C11は、G0期とG1期の細胞を示す。G0期とG1期の細胞からは比較的強度が低い蛍光が検出される。曲線C12は、S期の細胞を示す。S期の細胞からは、広い範囲の強度の蛍光が検出される。曲線C13は、G2期とM期の細胞を示す。G2期とM期の細胞からは比較的強度が高い蛍光が検出される。
図5の3つの曲線C11、C12、C13は度数分布曲線である。従って、この曲線を所定の範囲について積分することによって、その範囲の細胞数が求められる。すなわち、これらの曲線の下側の面積は細胞数を示し、面積比は細胞数比を表す。例えば、曲線C13の下側の面積を測定することによって、G2期とM期の細胞数が得られる。また、曲線C13の下側の面積を他の曲線の下側の面積と比較することにより、G2期とM期の細胞数と他の期の細胞数の比が求められる。
細胞増殖速度の測定は、細胞の増殖を待つ必要があり、数日かかるのに対し、細胞周期の測定は1時間程度で解析できる。そのため、細胞周期を測定する場合、スクリーニングにおける時間短縮を図ることができる。
なお、細胞周期から細胞数を推定することもできる。細胞周期からの細胞数の推定は以下のようにして行う。
(細胞周期から細胞数を推定する方法)
細胞周期について、M期は1時間、G2期は2時間であると仮定する。ある時刻t=t0で培養液をサンプリングすると生細胞数N0が得られ、そのときのM期の細胞の割合をPMとする。M期の細胞は1時間後に分裂を完了するので、生細胞の増加数は、N0×PMとなる。従って、1時間後の生細胞数N1および細胞増殖速度μ1(h-1)はそれぞれ式4、式5で表すことができる。

1=N0+N0×PM=N0×(1+PM) ・・・式4

μ1=ln N1−ln N0 ・・・式5
一般的に、M期の細胞の割合PMのみを計測することは困難であるが、G2期の細胞とM期の細胞の合計の割合PM+G2は計測することが可能である。そこで、G2期の細胞とM期の細胞の合計の割合PM+G2を用いて、サンプリングから数時間後の生細胞数を算出する。ある時刻t=t0でサンプリングを行い、生細胞数N0が得られたとする。サンプリングした生細胞におけるG2期の細胞とM期の細胞の合計の割合をPM+G2とする。サンプリング時にM期およびG2期であった細胞は、3時間後には、全てM期およびG2期を経て分裂を完了する。従って、3時間後における生細胞の増加数は、N0×PM+G2である。すなわち、3時間後の生細胞数N2および細胞増殖速度μ2(h-1)はそれぞれ式6、式7で表すことができる。

2=N0+N0×PM+G2=N0×(1+PM+G2) ・・・式6

μ2=(ln N2−ln N0)/3=ln(1+PM+G2)/3 ・・・式7
なお、上記説明では、M期は1時間、G2期を2時間と仮定したが、より一般的にM期とG2期の合計の時間をTM+G2時間で表すと、細胞増殖速度μ3(h-1)は式8で表すことができる。

μ3=(ln N2−ln N0)/TM+G2=ln(1+PM+G2)/TM+G2 ・・・式8
以下にG2期の細胞とM期の細胞の合計の割合PM+G2の計測方法および導出方法の一例について説明する。
サンプリングした培養液中に含まれる細胞に対してPIで染色し、フローサイトメータで各細胞のPI蛍光強度を計測すると、前述した図5と同じ結果を得ることができる。前述したように、図5中の曲線C11はG0期とG1期の細胞を示し、曲線C12はS期の細胞を示し、曲線C13はG2期とM期の細胞を示す。3つの曲線C11、C12、C13は度数分布曲線であるため、この曲線を所定の範囲について積分することによって、その範囲の細胞数が求められる。すなわち、これらの曲線の下側の面積は細胞数を示し、面積比は細胞数比を表す。例えば、曲線C13の下側の面積を測定することによって、G2期とM期の細胞数が得られる。また、曲線C13の下側の面積を他の曲線の下側の面積と比較することによって、G2期とM期の細胞数と他の期の細胞数との比が求められる。
(生細胞数の推定実験)
前述した(細胞周期から細胞数を推定する方法)に基づいて、生細胞数の推定実験を行った。
Chinese Hamster Ovary(CHO)細胞の培養において、細胞周期測定により細胞増殖速度を推定した。CD−CHO培地(Gibco社製)を用い、CHO細胞をスピナーフラスコ(150ml)で培養した。培養2日目と培養4日目はサンプリングを3時間おきに行い、それ以外の日は一日一度サンプリングを行った。サンプリングした細胞について、生細胞数およびG2期+M期の細胞割合を測定した。生細胞数の計測には、製品名Vi−Cell(ベックマン・コールター社製)を用いた。G2期の細胞とM期の細胞の合計の割合の計測には、Cell Cycle Phase Determination Kitを用い、添付のプロトコルに従い細胞を蛍光色素で標識し、フローサイトメータ(ベックマン・コールター社製)により測定を行った。
図6は、本実験による細胞の増殖曲線を示すグラフである。図6の縦軸は、細胞数密度であり、単位は×10cells/mLである。横軸は培養時間(日)である。図6に示すように、培養時間の経過に伴い、細胞数密度も高くなった。
また、図7は、培養2日目および培養4日目のフローサイトメータによる細胞周期の測定結果を示すグラフである。図7の縦軸は細胞数を示し、横軸はPI蛍光強度(∝DNA量)を示す。破線の折れ線は、培養2日目の細胞数を示し、実線の折れ線は、培養4日目の細胞数を示す。これらの折れ線の左側の山はG0期とG1期の細胞を示し、中央部分の折れ線部分はS期の細胞を示し、右側の折れ線の山はG2期とM期の細胞を示す(図5参照)。図7の折れ線グラフから、培養2日目および培養4日目の単位時間あたりの増殖細胞数を推定した。
図8は、前記した細胞周期から推定した増殖細胞数の推定値と、実際に計数して求めた増殖細胞数の実測値を示すグラフである。培養2日目も培養4日目も、前記推定値と実際に計数して求めた増殖細胞数とは同等の値となることが確認された。つまり、細胞周期から増殖細胞数を推定可能であることが確認された。すなわち、前記した推定値を前記した式8に適用することで比増殖速度(細胞増殖速度)を求められることが確認された。
<解析制御手段>
図1に戻って説明を続ける。解析制御手段8は、CPUやハードディスクドライブなどの記憶媒体を備えた汎用コンピュータやパーソナルコンピュータなどである。解析制御手段8は、当該記憶媒体に所定のプログラムを記憶させておき、これを読み出すことで解析制御手段8(コンピュータ)を所定の手段として機能させることができる。所定の手段としては、判別手段4、解析手段5、選定手段6、選別手段7が挙げられる。これらの手段については後述する。
また、解析制御手段8は、分析手段3から送られてきた前記情報に基づいて、攪拌翼24の回転数やウォータージャケット27の温度などを制御する。また、解析制御手段8は、前記情報に基づいて、ポンプP1〜P3の圧力を適宜調整して培地添加手段21から培養手段2への新鮮な培地を添加したり、培養手段2から細胞分離手段22に培養液を送ったり、細胞分離手段22から回収手段23に生産物や老廃物等を含む培養液(細胞分離手段22によって培養細胞が分離された培養液)を送ったりする。
<判別手段>
前記したように、解析制御手段8は、判別手段4として機能することで、分析手段3で得られた分析値から細胞の培養状態が定常状態であるか否かを判別する。前記した定常状態の判別指標としては、細胞の栄養基質消費速度、細胞の副生成物分泌速度、細胞の代謝フラックス、および細胞の細胞呼吸速度のうちのいずれか1つ、または2つ以上を組み合わせたものであることが好ましい。これらの指標は、前記したセンサと分析手段3によって、例えば、グルコースやグルタミンなどの特定の栄養成分、乳酸やアンモニアなどの特定の代謝分泌物、ピルビン酸やクエン酸などの特定の細胞内代謝物、培養手段2内のDOおよびDCOを適宜測定することで把握することができる。これらの判別指標を用いれば、細胞が定常状態であるか否か容易に且つ的確に判別することができる。
本実施形態においては、判別手段4で培養状態(細胞)が定常状態であると判別した後、すなわち、生産物生成期となった後に、前記{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間、または、前記代謝フラックスにおけるパスウェイの解析を行うのが好ましい。このようにすると、生産物を生成するのに好適な連続培養条件を選別することができる。
<解析手段>
解析制御手段8は、解析手段5として機能することで、細胞の培養状態が定常状態であるときに、前記分析手段3で分析され、送信されてきた分析値から、細胞増殖速度、細胞周期、および代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析を行う。培養状態が定常状態であるときの細胞についてこれらの解析を行うことで、生産物生成期における好ましい連続培養条件を選別することが可能となる。
<選定手段>
解析制御手段8は、選定手段6として機能することで、細胞増殖速度、細胞周期、および代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析結果に基づいて最適な連続培養条件を選定する。このように、スクリーニング装置1で設定した複数の細胞株とこれに関する連続培養条件について、これらの解析結果に基づいて最適な連続培養条件を選定するので、定常状態に達した後の細胞増殖が少なく、細胞増殖速度に対して生産物生成速度が高い連続培養用細胞株に適した連続培養条件を得ることが可能となる。
ここで、本実施形態では、選定手段6において、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて培地組成を決定するのが好ましい。前記したように、候補細胞株とその細胞株に適した連続培養条件とをセットで検討する必要があるので、このような決定を行うことによって、最適な連続培養条件を選定することができる。なお、この培地組成は、前記した培養手段2で設定した連続培養条件の中から決定される。
また、本実施形態では、選定手段6において、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて細胞代謝経路を決定することが好ましい。ここで、細胞代謝経路を決定するとは、細胞代謝経路に含まれる種々の代謝経路に対して適切な代謝フラックス群を決定することをいう。このようにすると、細胞増殖に関する代謝系に対して生産物の生成に関する代謝系が優位な細胞のスクリーニングが可能となるため、品質にばらつきが少なく、高い生産性で生産物を生成できる連続培養条件を得ることができる。
さらに、本実施形態では、選定手段6において、前記式2に示す(細胞増殖速度)が、指標として細胞周期を測定したものであることが好ましい。このようにすると、より確実に定常状態に達した後の細胞増殖が少ない細胞株を選別することができる。また、このようにすると、細胞周期の測定は1時間程度で解析できるため、スクリーニングにおける時間短縮を図ることができる。なお、細胞周期から細胞増殖速度を求めるには、前記したように式8などを用いるとよい。
<選別手段>
そして、解析制御手段8は、選別手段7として機能することで、最適な連続培養条件で培養された細胞の細胞増殖速度または細胞周期と、その生産物生成速度と、を評価して、連続培養用細胞株を選別する。具体的には、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用細胞株を選別する。このように、スクリーニング装置1で設定した複数の細胞株とこれに関する連続培養条件について、これらの解析結果に基づいて評価するので、定常状態に達した後の細胞増殖が少なく、細胞増殖速度に対して生産物生成速度が高い細胞株を選別することができる。
本実施形態では、この選別手段7において、スクリーニングを行った複数の系統の細胞株について求めた{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大となるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用細胞株を選別する。なお、この細胞株は、接着系細胞株であってもよいし、浮遊系細胞株であってもよい。このようにすると、定常状態に達した後の細胞増殖が少なく、細胞増殖速度に対して生産物生成速度が高い細胞株(例えば、浮遊系細胞株)を選別することができる。
また、本実施形態では、選別手段7において、前記式2に示す(細胞増殖速度)が遅い細胞株を選別するのが好ましい。このようにすると、定常状態に達した後の細胞増殖が少ないので、余剰細胞の分解による不純物、細胞分裂回数増加による変異、細胞増殖のための培地栄養成分と酸素供給、老廃物、二酸化炭素などを抑制できる。また、このようにすると、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が大きくなり易く、好適である。
[連続培養条件のスクリーニング方法]
次に、図9を参照して本実施形態に係る連続培養条件のスクリーニング方法(以下、単に「スクリーニング方法」ということがある)について説明する。なお、図9は、スクリーニング方法の内容を説明するフローチャートである。以下の説明において、スクリーニング装置1と同じ要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態に係るスクリーニング方法は、実生産に用いられる連続培養装置(図示せず)内で細胞培養するときの連続培養条件をスクリーニングする方法である。
本スクリーニング方法は、図9に示すように、培養工程S1と、分析工程S2と、判別工程S3と、解析工程S4と、を複数の培養細胞および連続培養条件で実施するものであり、選定工程S5と、選別工程S6と、を含んでいる。培養工程S1から選別工程S6はこの順で行うのが好ましい。
培養工程S1は、図示しない連続培養装置内で細胞を培養するときの連続培養条件を設定して細胞を培養する工程である。この培養工程S1は、前記した培養手段2で行われる。
分析工程S2は、培養工程S1で培養している培養液をサンプリングし、生産物の濃度と培地成分を分析して分析値を得る工程である。この分析工程S2は、前記した分析手段3で行われる。
判別工程S3は、前記した分析値から細胞の培養状態が定常状態であるか否かを判別する工程である。この判別工程S3は、前記した判別手段4で行われる。
解析工程S4は、培養状態が定常状態であるときに、前記分析値から生産物生成速度、細胞増殖速度、細胞周期、および代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析を行う工程である。この解析工程S4は、前記した解析手段5で行われる。
選定工程S5は、前記した細胞増殖速度、前記した細胞周期、および前記した代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析結果に基づいて最適な連続培養条件を選定する工程である。この選定工程S5は、前記した選定手段6で行われる。
選別工程S6は、前記した最適な連続培養条件で培養された細胞を評価して、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用細胞株を選別する工程である。この選別工程S6は、前記した選別手段7で行われる。
次に、図10を参照してスクリーニング方法の詳細な手順の一例を説明する。図10は、スクリーニング方法の詳細な手順の一例を説明するフローチャートである。
図10に示すように、スクリーニング方法は、最初に、調査すべき連続培養条件(温度、溶存酸素濃度、培地組成、攪拌回転数などの制御値)と培養試験を行う順番を設定する(培養条件設定、ステップS11)。そして、スクリーニング装置1に最初の連続培養条件を設定し(培養条件設定、ステップS11)、培養を開始する(ステップS12)。なお、培養開始直後は、細胞は非定常状態であるため、定刻ごとに細胞培養液のサンプリングを行う(ステップS13)。これらステップS11、12は培養工程S1で行い、ステップS13は分析工程S2で行う。
そして、生産物の濃度と培地成分を分析する。具体的には、細胞の状態を反映する生産物生成速度、細胞増殖速度、細胞周期、代謝フラックス、栄養基質消費速度、副生成物分泌速度などを少なくとも1つ分析する(生産物生成速度などの分析、ステップS14)。このステップS14も分析工程S2で行う。
ステップS14における分析値について経時変化等がなく、ほぼ一定値となったときを定常状態と見なす(ステップS15で“定常”)。一方、前回サンプリング時と比較して生産物生成速度、栄養基質消費速度、副生成物分泌速度、細胞内代謝フラックスなどの値が経時変化していれば、定常状態に達していないと判断する(ステップS15で“非定常”)。なお、ステップS14における分析値に関して、対数増殖期においては細胞数の増加に伴って栄養基質消費量や副生成物分泌量などが変化する。一方、対数増殖期を過ぎて定常状態となると、培地添加手段21からの新鮮な液体培地の添加と細胞分離手段22による老廃物の回収とにより、栄養基質消費量や副生成物分泌量などがほぼ一定となり、分析値について経時変化があまり生じない状態となる。そして、非定常の期間を分析し(ステップS16)、当該期間が所定値を超えている場合、例えば、設定したサンプリング回数(もしくは培養時間)を経過しても定常状態が得られない場合(ステップS16で“>設定値”)、アラートを表示する。この場合、手動もしくは自動で培養を中止してもよく、または、手動もしくは自動で計画された次の連続培養条件に移行してもよい(この場合、図示はしないが、ステップS11に戻る)。一方、非定常の期間を分析し(ステップS16)、当該期間が所定値以下である場合(ステップS16で“≦設定値”)ステップS12に戻って培養を継続する。これらステップS15、S16は判別工程S3で行う。
一方、定常状態である場合(ステップS15で“定常”)、生産物生成速度、細胞増殖速度、細胞周期、代謝フラックスなどを解析する(ステップS17)。このステップS17は解析工程S4で行う。
そして、解析結果を記録した後、実験条件の選定を行う。このとき、計画が未完であり、次の連続培養条件が計画されている場合には(ステップS18で“計画未完”)、連続培養条件の設定を変更して、再度、ステップS11から一連の手順を行う。
一方、解析結果を記録した後、計画が完了していたら培養を終了する(ステップS18で“計画完了”)。このステップS18も解析工程S4で行う。
次いで、例えば、最適な連続培養条件で培養された細胞を評価して、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大となるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて、連続培養条件の選定と、連続培養用細胞株の選別とを行う(ステップS19)。このステップS19は、選定工程S5および選別工程S6で行う。
他の候補細胞株がある場合、さらに他の候補細胞株での結果と比較し、最終的に生産性が最も良い細胞株および連続培養条件を選定・選別し、スクリーニングを完了する。
上記手順は一例である。ここで、図11は、スクリーニング方法の詳細な手順の他の一例を説明するフローチャートである。図11に示す他の一例では、細胞培養液のサンプリングを行った後に(ステップS13)、生産物生成速度、細胞増殖速度、細胞周期、代謝フラックスなどの解析を行う(ステップS17)。そして、このステップS17の後に、生産物の濃度と培地成分を分析し、具体的には、細胞の状態を反映する生産物生成速度、栄養基質消費速度、副生成物分泌速度、細胞内代謝フラックスなどをいずれか1つ以上の分析を行っている(ステップS14)。
つまり、図11に示す他の一例では、ステップS13とステップS14の間でステップS17を行っている点で、図10に示す一例とは相違している。このようにすると、非定常の期間の生産物生成速度、細胞増殖速度などの解析を行うことができるので、非定常の期間の連続培養条件での細胞状態を把握することができる。
また、図12もスクリーニング方法の詳細な手順の他の一例を説明するフローチャートである。図12に示す他の一例では、図10に示す例と同様にしてステップS17までを行い、生産物生成速度、細胞増殖速度、細胞周期、代謝フラックスなどを解析する。
そして、その後に、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大となるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養条件の選定と、連続培養用細胞株の選別とを行う(ステップS19)。
そして、その後、選定した連続培養条件と選別した連続培養用細胞株とが、目標条件の仕様を達成しているか否かを判断する(ステップS20)。これらが目標条件の仕様を達成していない場合(ステップS20で“未達”)、連続培養条件の設定を変更して、再度、ステップS11から一連の手順を行う。
一方、これらが目標条件の仕様を達成している場合(ステップS20で“達成”)、予め計画された実験計画を全て実行しなくともスクリーニングを終了する。
つまり、図12に示す他の一例では、実験条件の選定を行うステップS18(図10、図11参照)を省略している点で、図10に示す一例とは相違している。このようにすると、目標条件の仕様を達成し次第、スクリーニングを終了するので、時間とコストを削減することができる。
以上に説明した本実施形態に係る連続培養条件のスクリーニング方法および連続培養条件のスクリーニング装置によれば、連続培養における不必要な細胞増殖が少ない細胞株を選別することができる。これにより、余剰細胞の分解による不純物増加、細胞分解数増加による変異、細胞増殖のための必要以上の培地栄養成分、酸素供給、老廃物、二酸化炭素除去を低減することができる。本実施形態に係る連続培養条件のスクリーニング方法および連続培養条件のスクリーニング装置は、細胞周期の制御だけでなく、細胞増殖に関わる代謝系に対して生産物の生成に関わる代謝系が優位な細胞のスクリーニングが可能である。従って、本実施形態に係るスクリーニング方法および連続培養条件のスクリーニング装置で選別された細胞株を利用することで品質にばらつきが少なく、高い生産性で目的物質を得ることができる。
以上、本発明に係る連続培養条件のスクリーニング方法および連続培養条件のスクリーニング装置について実施形態により詳細に説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、それぞれの実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
さらに、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
S1 培養工程
S2 分析工程
S3 判別工程
S4 解析工程
S5 選定工程
S6 選別工程
1、1A 連続培養条件のスクリーニング装置(スクリーニング装置)
2 培養手段
3 分析手段
4 判別手段
5 解析手段
6 選定手段
7 選別手段

Claims (16)

  1. {(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用浮遊系細胞株を選別することを特徴とする連続培養条件のスクリーニング方法。
  2. 請求項1において、
    前記{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて培地組成を決定することを特徴とする連続培養条件のスクリーニング方法。
  3. 請求項1において、
    前記{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて細胞代謝経路を決定することを特徴とする連続培養条件のスクリーニング方法。
  4. 請求項1において、
    細胞が定常状態となった後に、前記{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間、または、前記代謝フラックスにおけるパスウェイの解析を行うことを特徴とする連続培養条件のスクリーニング方法。
  5. 請求項4において、
    前記定常状態の判別指標が、前記細胞の栄養基質消費速度、前記細胞の副生成物分泌速度、前記細胞の代謝フラックス、および前記細胞の細胞呼吸速度のうちのいずれか1つ、または2つ以上を組み合わせたものであることを特徴とする連続培養条件のスクリーニング方法。
  6. 請求項1において、
    前記(細胞増殖速度)が遅い細胞株を選択することを特徴とする連続培養条件のスクリーニング方法。
  7. 請求項1において、
    前記(細胞増殖速度)が、指標として細胞周期を測定したものであることを特徴とする連続培養条件のスクリーニング方法。
  8. 実生産に用いられる連続培養装置内で細胞培養するときの連続培養条件をスクリーニングする方法であり、
    前記連続培養条件を設定して細胞を培養する培養工程と、
    前記培養工程で培養している培養液をサンプリングし、生産物の濃度と培地成分を分析して分析値を得る分析工程と、
    前記分析値から細胞の培養状態が定常状態であるか否かを判別する判別工程と、
    前記培養状態が定常状態であるときに、前記分析値から生産物生成速度、細胞増殖速度、細胞周期、および代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析を行う解析工程と、
    を複数の培養細胞および連続培養条件で実施し、
    前記細胞増殖速度、前記細胞周期、および前記代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析結果に基づいて最適な連続培養条件を選定する選定工程と、
    前記最適な連続培養条件で培養された細胞を評価して、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用細胞株を選別する選別工程と、
    を含むことを特徴とする連続培養条件のスクリーニング方法。
  9. {(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用浮遊系細胞株を選別することを特徴とする連続培養条件のスクリーニング装置。
  10. 請求項9において、
    前記{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて培地組成を決定することを特徴とする連続培養条件のスクリーニング装置。
  11. 請求項9において、
    前記{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて細胞代謝経路を決定することを特徴とする連続培養条件のスクリーニング装置。
  12. 請求項9において、
    細胞が定常状態となった後に、前記{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間、または、前記代謝フラックスにおけるパスウェイの解析を行うことを特徴とする連続培養条件のスクリーニング装置。
  13. 請求項12において、
    前記定常状態の判別指標が、前記細胞の栄養基質消費速度、前記細胞の副生成物分泌速度、前記細胞の代謝フラックス、および前記細胞の細胞呼吸速度のうちのいずれか1つ、または2つ以上を組み合わせたものであることを特徴とする連続培養条件のスクリーニング装置。
  14. 請求項9において、
    前記(細胞増殖速度)が遅い細胞株を選択することを特徴とする連続培養条件のスクリーニング装置。
  15. 請求項9において、
    前記(細胞増殖速度)が、指標として細胞周期を測定したものであることを特徴とする連続培養条件のスクリーニング装置。
  16. 実生産に用いられる連続培養装置内で細胞培養するときの連続培養条件をスクリーニングする装置であり、
    前記連続培養条件を設定して細胞を培養する培養手段と、
    前記培養手段で培養している培養液をサンプリングし、生産物の濃度と培地成分を分析して分析値を得る分析手段と、
    前記分析値から細胞の培養状態が定常状態であるか否かを判別する判別手段と、
    前記培養状態が定常状態であるときに、前記分析値から生産物生成速度、細胞増殖速度、細胞周期、および代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析を行う解析手段と、
    前記細胞増殖速度、前記細胞周期、および前記代謝フラックスのうちの少なくとも1つの解析結果に基づいて最適な連続培養条件を選定する選定手段と、
    前記最適な連続培養条件で培養された細胞を評価して、{(生産物生成速度)/(細胞増殖速度)}が最大になるという指標、前記細胞周期のG0期およびG1期の合計期間が最も長いという指標、および、前記代謝フラックスにおけるパスウェイが最も少ないという指標のうちから選択される少なくとも一つの指標に基づいて連続培養用細胞株を選別する選別手段と、
    を含むことを特徴とする連続培養条件のスクリーニング装置。
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