JP2019004678A - 鉄道車両用走行装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構造の軌道による磁気浮上式鉄道のための鉄道車両用走行装置を提供する。
【解決手段】2つの磁気ホイール100L,100Rは、車両を案内するための軌道3の短手方向に並べて配置され、車両の底面と交わる軸CL,CRを中心に電動機により各々回転駆動される。駆動制御部は、電動機の駆動制御を行う。2つの磁気ホイールの各々には、その回転軸を中心とする円周に沿って偶数個の永久磁石130A〜130Dが、磁化方向が交互に入れ替わるように埋設されている。駆動制御部は、磁気ホイールの回転速度および車両の走行速度と鉄道車両の走行状態を指示する指令から、指令により指示された走行状態を実現するための磁気ホイールの回転速度を決定し、決定した回転速度で磁気ホイールを回転駆動するように電動機を制御する。
【選択図】図7
【解決手段】2つの磁気ホイール100L,100Rは、車両を案内するための軌道3の短手方向に並べて配置され、車両の底面と交わる軸CL,CRを中心に電動機により各々回転駆動される。駆動制御部は、電動機の駆動制御を行う。2つの磁気ホイールの各々には、その回転軸を中心とする円周に沿って偶数個の永久磁石130A〜130Dが、磁化方向が交互に入れ替わるように埋設されている。駆動制御部は、磁気ホイールの回転速度および車両の走行速度と鉄道車両の走行状態を指示する指令から、指令により指示された走行状態を実現するための磁気ホイールの回転速度を決定し、決定した回転速度で磁気ホイールを回転駆動するように電動機を制御する。
【選択図】図7
Description
この発明は、鉄道車両の走行装置に関し、特に磁気浮上式鉄道の走行装置に関する。
次世代高速鉄道システムとして超伝導リニアやHSST(High Speed Surface Transport)、インダクトラックなどの磁気浮上式鉄道が注目を集めている(例えば、特許文献1参照)。
従来の磁気浮上式鉄道には、複雑な構造の軌道を用いるため、軌道の敷設に多大なコストを要する、といった問題がある。例えば超電導リニアでは、車両の浮上および推進用の超電導磁石(コイル)を並べて軌道を形成する必要がある。インダクトラックではコイルに代えて薄いアルミニウム膜と絶縁膜を交互に重ねた積層材を使用することが提案されており、コイルに比べて大幅なコストダウンを見込める。しかし、鉄道の営業運転を行うには数十〜数百キロメートルに亙って軌道を敷設する必要があり、数十〜数百キロメートルに亙る距離分の積層材の生産には多大なコストが発生し、そもそも技術的に可能であるのか疑問が残る。
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、簡素な構造の軌道で磁気浮上式鉄道を実現することを可能にする技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、車両を案内するための軌道の短手方向に並べて配置され、前記車両の底面と交わる軸を中心に電動機により各々回転駆動される2つの磁気ホイールと、前記電動機の駆動制御を行う駆動制御部と、を備える鉄道車両用走行装置を提供する。この鉄道車両用走行装置の2つの磁気ホイールの各々には、その回転軸を中心とする円周に沿って、磁化方向が交互に入れ替わるように偶数個の永久磁石が埋設されている。そして、駆動制御部は、前記磁気ホイールの回転速度および前記車両の走行速度と前記鉄道車両の走行状態を指示する指令から前記磁気ホイールの回転速度を決定し、当該決定した回転速度で前記磁気ホイールを回転駆動するように前記電動機を制御する。
本発明によれば、磁気ホイールの回転により軌道に渦電流が誘起される。この渦電流により形成される磁界と上記永久磁石の磁界との相互作用により、本鉄道車両用走行装置を備えた車両を軌道から浮上させる浮上力と当該軌道に沿って当該車両を走行させる推進力とが生み出される。ここで、上記軌道は、アルミ板などの非磁性金属板であれば良く、従来よりも簡素な構造の軌道で磁気浮上式鉄道を実現することができる。
好ましい態様においては、前記駆動制御部は、前記指令に応じて加速または減速分を加味した前記車両の走行速度と前記磁気ホイールの回転速度の差が所定範囲に収まるように前記磁気ホイールの回転速度を決定する。磁気ホイールの回転速度が車両の走行速度に比較して早すぎると、車両を加減速させる推進力が低下するからである。
別の好ましい態様においては、前記2つの磁気ホイールの回転軸の間の距離は前記軌道の短手方向の距離よりも長いことを特徴とする。磁気ホイール全体が軌道を覆ってしまうと、車両を加減速させる推進力を生み出せなくなるからである。
より好ましい態様においては、前記駆動制御部は、前記鉄道車両の走行速度を計測する速度センサを備え、前記速度センサによる走行速度の計測値に応じて前記磁気ホイールの回転速度を決定することを特徴とする。また、別の好ましい態様においては、前記駆動制御部は、前記磁気ホイールの回転速度を計測する回転速度センサを備え、前記回転速度センサによる回転速度の計測値に応じて前記磁気ホイールの回転速度を決定することを特徴とする。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る鉄道車両であるポッド1を側面から見た透視図である。ポッド1は、ハイパーループと呼ばれる磁気浮上式鉄道の車両である。図2は、ポッド1が走行する様子を示す図である。ポッド1は、ガイドの役割を果たすチューブ2内を走行する。好ましい態様においては、ポッド1が走行する際の空気抵抗を低減するためにチューブ2内が減圧されていることが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る鉄道車両であるポッド1を側面から見た透視図である。ポッド1は、ハイパーループと呼ばれる磁気浮上式鉄道の車両である。図2は、ポッド1が走行する様子を示す図である。ポッド1は、ガイドの役割を果たすチューブ2内を走行する。好ましい態様においては、ポッド1が走行する際の空気抵抗を低減するためにチューブ2内が減圧されていることが好ましい。
図3は、ポッド1を図1におけるブロック矢印Aの方向から見た図、すなわちポッド1の底面図である。図3に示すように、ポッド1の底面には、ポッド1において走行装置の役割を果たす磁気ホイールユニット10が設けられている。図3に示すように、本実施形態のポッド1の底面には4つの磁気ホイールユニット10が設けられているが、磁気ホイールユニットの数は1〜3であっても良いし、5以上であっても良い。
図4(A)および図4(B)は、ポッド1を図1におけるブロック矢印Bの方向から見た図、すなわちポッド1の正面図である。図4(A)には、ポッド1のみが図示されており、図4(B)には、チューブ2内に敷設された軌道3がポッド1とともに図示されている。図4(B)に示すように、軌道3の短手方向(すなわち、軌道3の延在方向に直交する方向)の断面形状は扁平なI字形となっている。本実施形態における軌道3は、アルミニウムや銅などの非磁性金属で形成されている。
図3および図4に示すように、磁気ホイールユニット10は、各々扁平な円筒状に形成された磁気ホイール100Lと磁気ホイール100Rよりなる磁気ホイール対を有する。磁気ホイール100Lおよび磁気ホイール100Rは軌道3の上端面と対向するようにポッド1の底面に軌道3の短手方向に並べて配置される。以下では、磁気ホイール100Lと磁気ホイール100Rを区別する必要がない場合には、「磁気ホイール100」と表記する。詳細については後述するが、本実施形態では磁気ホイール100の中心軸を回転軸として回転駆動させることで、ポッド1を軌道3から浮上させる浮上力とポッド1を加速或いは減速させる推進力とが生み出される。
図5は、磁気ホイールユニット10の構成例を示す図である。なお、図5には、磁気ホイールユニット10に含まれる2つの磁気ホイール100のうちの1つと当該磁気ホイール100を回転駆動するための駆動制御部200とが図示されているが、実際には磁気ホイール100毎に駆動制御部200が設けられている。
図6は、磁気ホイール100の構成例を示す図である。図6に示すように、磁気ホイール100は、例えばアルミニウムなどの非磁性材料を扁平な円筒状に形成された本体120と、ヨーク110と、駆動制御部200に含まれる電動機の回転軸に本体120を固定するためのワッシャ140、ワッシャ150およびナット160とを有する。本体120には、回転軸を中心とする円周に沿って小径磁石130A、130B、130Cおよび130Dが埋め込まれている。以下では、小径磁石130A、130B、130Cおよび130Dの各々を区別する必要がない場合には、「小径磁石130」と表記する。小径磁石130は、一方の端面がN極となり、他方の端面がS極となるように磁化された円筒形永久磁石である。小径磁石130については例えばニオブ等の磁性金属で構成すれば良い。
図7は、磁気ホイール100における小径磁石130の配置および磁気ホイール100の回転方向を示す図である。図7は、磁気ホイールユニット10に含まれる磁気ホイール100Lおよび磁気ホイール100Rを、ポッド1の底面から軌道3の上端面に向かう方向に俯瞰した図である。磁気ホイール100に埋め込まれている4個の小径磁石130のうちの2つ(図7に示す例では小径磁石130Aおよび130C)は、N極とポッド1の底面とが対向するように磁気ホイール100に埋め込まれている。他の2つ(図7に示す例では小径磁石130Bおよび130D)はS極とポッド1の底面とが対向するように磁気ホイール100に埋め込まれている。以下では、N極とポッド1の底面とが対向するように磁気ホイール100に埋め込まれている小径磁石130を「第1の磁石」と呼び、S極とポッド1の底面とが対向するように磁気ホイール100に埋め込まれている小径磁石130を「第2の磁石」と呼ぶ。図7に示すように、磁気ホイール100には、その回転軸を中心とする円周に沿って第1の磁石と第2の磁石とが等間隔に交互に埋め込まれている。
図7に示すように磁気ホイール100Lおよび磁気ホイール100Rは、ポッド1の底面の短手方向に並べてポッド1の底面に配置される。図7に示すように、磁気ホイール100Lはポッド1の底面と直交する回転軸を中心として時計回りに回転駆動され、磁気ホイール100Rは反時計回りに回転駆動される。本実施形態では、磁気ホイール100Lおよび100Rの回転駆動により軌道3の上端面を横切る磁界に変化が発生し渦電流が誘起される。この渦電流により形成される磁界と磁気ホイール100に埋め込まれた小径磁石130の磁界との相互作用により、ポッド1は軌道3から約20mm浮上し、軌道3に沿って走行する。
上記にように磁気ホイール100Lおよび磁気ホイール100Rの各々が回転駆動されるため、図7に示すように、磁気ホイール100Lの回転軸CLと磁気ホイール100Rの回転軸CRの間の距離D2は磁気ホイール100の半径の2倍よりも長い。磁気ホイール100Lと磁気ホイール100Rとが互いに干渉しないようにするためである。加えて、本実施形態では、距離D2は軌道3の短手方向の巾D1よりも長い。D2をD1よりも長くした理由は次の通りである。
前述したように磁気ホイール100には、互いに隣り合う第1の磁石と第2の磁石とからなる磁石対が2組埋め込まれている。本実施形態では、上記2つの磁石対のうちの一方により生成される磁界のみが軌道3の上端面を横切り、他方により生成される磁界は軌道3の上端面を横切らない。例えば、図7に示す例では、小径磁石130BのN極から小径磁石130AのS極へ向かう磁界は軌道3の上端面を横切り上記浮上力および推進力を発生させるものの、小径磁石130DのN極から小径磁石130CのS極へ向かう磁界は軌道3の上端面を横切らず上記浮上力および推進力の発生には寄与しない。
仮に、D1の方がD2よりも長く、小径磁石130DのN極から小径磁石130CのS極へ向かう磁界も軌道3の上端面を横切るとする。この場合、小径磁石130DのN極から小径磁石130CのS極へ向かう磁界も上記浮上力および推進力を発生させるものの、その推進力は小径磁石130BのN極から小径磁石130AのS極へ向かう磁界が発生させる推進力とは逆向きであって互いに相殺される。このような非効率を避けるために、本実施形態ではD2をD1よりも長くしたのである。磁気ホイール100Lの回転軸CLと磁気ホイール100Rの回転軸CRの間の距離D2をどのような値にするかについては適宜実験を行って定めれば良い。
図8は、駆動制御部200の構成例を示す図である。
図8に示すように、駆動制御部200は、速度センサ210、速度増分決定部220、加算器230および240、主制御部250、ECS(Electrical Control System)260、電動機270、角速度センサ280、および回転速度演算部290を有する。
図8に示すように、駆動制御部200は、速度センサ210、速度増分決定部220、加算器230および240、主制御部250、ECS(Electrical Control System)260、電動機270、角速度センサ280、および回転速度演算部290を有する。
速度センサ210は、ポッド1の走行速度を計測し、計測した走行速度を示す走行速度データを出力する。速度センサ210としては周知のものを適宜用いるようにすれば良い。速度センサ210から出力される走行速度データは速度増分決定部220と加算器230に与えられる。
速度増分決定部220は、ポッド1の各種の走行速度に対応付けて、ポッド1の走行状態(加速、減速或いは停止)を指示する指令に応じてその走行速度に加算するべき速度増分を示す速度増分データを格納した速度増分テーブルを有する。速度増分決定部220は、速度センサ210から与えられた走行速度データの示す走行速度および外部(例えば、ポッド1の運行を管理する運行指令端末)から与えられる指令に応じた速度増分データを速度増分テーブルから読み出し、加算器230へ出力する。
加算器230は、速度センサ210から与えられた走行速度データに速度増分決定部220から与えられた速度増分データを加算して加算器240へ出力する。加算器230の出力データは、速度センサ210から与えられた走行速度データの表す走行速度に、速度増分決定部220から与えられた速度増分データの表す速度増分を加算した速度を表す。
加算器240には、加算器230の出力データの他に、回転速度演算部290の出力データが与えられる。詳細については後述するが、回転速度演算部290の出力データは磁気ホイール100の回転速度を表す。加算器240は、回転速度演算部290の出力データから加算器230の出力データを減算して主制御部250へ出力する。加算器240の出力データは、ポッド1の走行速度を基準とする磁気ホイール100の相対速度を表す。
主制御部250には、加算器240の出力データの他にポッド1の走行状態を指示する指令がポッド1の外部から与えられる。主制御部250は、磁気ホイール100の相対速度が所定の範囲に収まるように磁気ホイール100の回転速度を決定し、この回転速度が実現されるようにECS260の作動制御を行う。
図9は、磁気ホイール100の相対速度と磁気ホイール100の回転により生み出される推進力の実測結果を示す図である。図9は、50mm×50mm×10mmの大きさのニオブ製の小径磁石130を用いた試作機による実測結果である。図9では、横軸が磁気ホイール100の相対速度(単位:m/s)であり、縦軸が推進力(単位:kgf)である。推進力が正であれば、ポッド1を加速させることを意味し、推進力が負であればポッド1を減速させることを意味する。
図10は、磁気ホイール100の相対速度と磁気ホイール100の回転により生み出される推進力および浮上力の関係を示す図である。実測に用いた小径磁石130および図10における横軸、縦軸の単位は図9と同じである。また、図10では、実測された推進力の値が黒塗りの四角形でプロットされており、同実測された浮上力の値が白抜きのひし形でプロットされている。図9および図10を参照すれば明らかなように、磁気ホイール100の回転により生み出される推進力の絶対値は、相対速度の絶対値が大きくなるにつれて大きくなり、相対速度の絶対値が所定の範囲(図9にて点線で区画した範囲)を超えると減少に転じる。つまり、磁気ホイール100の回転速度は速ければ速い程良いという訳ではない。本実施形態において、磁気ホイール100の相対速度が所定の範囲に収まるように磁気ホイール100の回転速度を決定するのは、推進力を効率良く発生させるためである。
図8において、ECS260は、主制御部250による制御の下、電動機270の駆動制御を行う。電動機270は、ブラシレス直流モータである。本実施形態では、電動機270によって、磁気ホイール100が回転駆動される。角速度センサ280は、電動機270の回転軸の角速度(すなわち、電動機270により回転駆動される磁気ホイール100の角速度)を計測し、計測された角速度を示す角速度データを回転速度演算部290へ出力する。回転速度演算部290には、磁気ホイール100の半径を示す半径データが予め記憶されている。回転速度演算部290は、角速度センサ280から与えられる角速度データに上記半径データを乗算して加算器240へ出力する。回転速度演算部290の出力データは、電動機270により回転駆動される磁気ホイール100の角速度に当該磁気ホイール100の半径を乗算して得られる値、すなわち、磁気ホイール100の回転速度を表す。
以上に説明した構成としたため、本実施形態によれば、ポッド1の走行速度に応じて磁気ホイール100の回転速度を制御することで、ポッド1の加速、減速或いは停止を実現できる。ここで注目すべき点は、本実施形態のポッド1の走行を案内する軌道3は非磁性金属により形成された構造物であって、超電導リニアにおける超電導磁石の配置等は必要ないという点である。このように、本実施形態によれば、従来よりも簡素な構造の軌道で磁気浮上式鉄道を実現することが可能になる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、この実施形態に以下の変形を加えても勿論良い。
(1)上記実施形態では、磁気ホイール100を回転駆動させる電動機270としてブラシレス直流モータを用いたが、誘導電動機や同期電動機などの交流電動機を用いても良い。電動機270として交流電動機を用いる場合にはECSに代えてインバータ等の電力変換器を用いるようにすれば良い。
(1)上記実施形態では、磁気ホイール100を回転駆動させる電動機270としてブラシレス直流モータを用いたが、誘導電動機や同期電動機などの交流電動機を用いても良い。電動機270として交流電動機を用いる場合にはECSに代えてインバータ等の電力変換器を用いるようにすれば良い。
(2)上記実施形態の磁気ホイール100には2つの磁石対が埋め込まれていたが、磁気ホイール100に埋め込まれる磁石対は1つであっても良く、また3つ以上であっても良い。
(3)上記実施形態では、磁気ホイール100の角速度をセンサにより計測したが、電動機270が交流電動機である場合には、磁気ホイール100の角速度を電動機の誘導電流から推定しても良く、この場合は角速度センサを省略可能である。また、走行速度についても運転指令所から走行速度を通知するようにすれば速度センサを省略可能である。このように、角速度センサと速度センサの一方、或いは両方を省略した構成であっても良い。
ここで、本発明の着想の元となったハイパーループについて説明する。このハイパーループは、減圧されたチューブ内に敷かれたガイドレール上において、ポッドと称する車両を走行させるものである。ガイドレールは、アルミニウム製の板により構成する。一方、ポッドの下面(走行時にガイドレールと対向する面)に、磁気ホイールユニットを設けている。図11は、磁気ホイールユニットの断面図である。磁気ホイールユニットは左側の磁気ホイールとこれを回転自在に支持する右側のモータとからなる。ポッドは、磁気ホイールユニットの下面(図11の左の端面)を下に向けてガイドレール上に置かれる。
図12は、図11の磁気ホイールユニットの磁気ホイールの組み立て図である。図12に示すように、磁気ホイールは、4個の永久磁石(ニオブの小径マグネット)を非磁性体のディスクの周に埋め込んだものである。磁気ホイールの4個の永久磁石は、磁気ホイールの回転中心を取り囲んでいる。4個の永久磁石は、隣り合うもの同士の極性が逆向きになっている。図13は、ポッドをガイドウェイ上に置いたときのガイドウェイと磁気ホイールユニットとの位置関係を示す図である。図13に示すように、ポッドは、左右1対の磁気ホイールユニットを有している。ポッドは、左右1対の磁気ホイールユニットの回転中心が、ガイドウェイの左右の側端よりも外側になるようにして、ガイドウェイ上に置かれる。この状態で、磁気ホイールユニットを図13の矢印方向に回転させると、渦電流が発生し、この渦電流の作用によってポッドが前方(図13の上の方向)に移動する。磁気ホイールユニットを図13の矢印方向と逆方向に回転させると、逆向きの渦電流が発生し、この渦電流の作用によってボッドが後方(図13の下の方向)に移動する。このような構成により、常温での動作が可能なうえ、ガイドウェイ側にコイルなどを敷設する必要もなく、インフラコストの面で有利になる。
図13は、図12の磁気ホイールの回転制御に関わるシステムの構成を示すブロック図である。この図に示すように、ポッドは、機体速度(ポッドの速度)と磁気ホイールの回転速度を常時測定する。また、ポッドは、地上から、加速/制御/停止に関わる指令を受信する。ポッドは、機体速度に加えるべき速度増分を、表(TAB)を参照して選択し、この増分を期待速度に加えて磁気ホイールの回転速度を決定し、SW(スイッチ)により、駆動及び制御を切り替える。以上の処理の流れにより、ポッドは、走行中における磁気ホイールの回転速度を維持する。図15及び図16は、このパイパーループの効果を確認するための試験の結果を示す図である。
1…ポッド、2…チューブ、10…磁気ホイールユニット、100,100L,100R…磁気ホイール、110…ヨーク、120…本体、130,130A,130B,130C、130D…小径磁石、140,150…ワッシャ、160…ナット、200…駆動制御部、210…速度センサ、220…速度増分決定部、230,240…加算器、250…主制御部、260…ECS、270…電動機、280…角速度センサ、290…回転速度演算部。
Claims (6)
- 車両を案内するための軌道の短手方向に並べて配置され、前記車両の底面と交わる軸を中心に電動機により各々回転駆動される2つの磁気ホイールと、
前記電動機の駆動制御を行う駆動制御部と、を備え、
前記2つの磁気ホイールの各々には、
前記軸を中心とする円周に沿って、磁化方向が交互に入れ替わるように偶数個の永久磁石が埋設されており、
前記駆動制御部は、
前記磁気ホイールの回転速度および前記車両の走行速度と前記鉄道車両の走行状態を指示する指令から前記磁気ホイールの回転速度を決定し、当該決定した回転速度で前記磁気ホイールを回転駆動するように前記電動機を制御する
ことを特徴とする鉄道車両用走行装置。 - 前記駆動制御部は、
前記指令に応じた加速または減速分を加味した前記車両の走行速度と前記磁気ホイールの回転速度の差が所定範囲に収まるように前記磁気ホイールの回転速度を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用走行装置。 - 前記2つの磁気ホイールの回転軸の間の距離は前記軌道の短手方向の距離よりも長いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉄道車両用走行装置
- 前記駆動制御部は、
前記鉄道車両の走行速度を計測する速度センサを備え、前記速度センサによる走行速度の計測値に応じて前記磁気ホイールの回転速度を決定する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の鉄道車両用走行装置。 - 前記駆動制御部は、
前記磁気ホイールの回転速度を計測する回転速度センサを備え、前記回転速度センサによる回転速度の計測値に応じて前記磁気ホイールの回転速度を決定する
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の鉄道車両用走行装置。 - ガイドウェイの右側と左側に位置するように配された1対又は複数対の磁気ホイールユニットを有し、
前記磁気ホイールユニットは、磁気ホイールと、前記磁気ホイールユニットを回転させるモータとを有し、
前記磁気ホイールユニットは、偶数個の永久磁石を非磁性体のディスクに埋め込んだものであり、
前記磁気ホイールユニットの磁気ホイールを、当該ポッドの移動速度に合わせて制御する
ことを特徴とするハイパーループのポッド。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114734827A (zh) * | 2022-06-09 | 2022-07-12 | 西南交通大学 | 一种磁轮驱动装置及驱动方法 |
-
2017
- 2017-08-12 JP JP2017156275A patent/JP2019004678A/ja active Pending
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---|---|---|---|
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