JP2019001760A - ギ酸生成デバイスの作成方法、ギ酸生成デバイス、ギ酸生成装置及び水素供給システム - Google Patents

ギ酸生成デバイスの作成方法、ギ酸生成デバイス、ギ酸生成装置及び水素供給システム Download PDF

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Abstract

【課題】酵素を必ずしも必要とすることなく、従来よりもさらに効率的に水素源をギ酸に変換して貯蔵することができるギ酸生成デバイスの作成方法、ギ酸生成デバイス、ギ酸生成装置及び水素供給システムを提供する。【解決手段】必ずしも酵素を必要とすることなく人工光合成によりギ酸を生成するためのギ酸生成デバイスの作成方法であって、酸化チタン微粒子と高分子ビーズの混合液を基板に塗布する塗布工程S1と、基板を乾燥させる乾燥工程S2と、基板を加熱して高分子ビーズを焼失させ、該基板の表面に酸化チタン微粒子による多孔質層を形成する加熱処理工程S3と、基板の表面の多孔質層に少なくとも色素及びビオローゲン化合物を担持させる担持工程S4とを有する。【選択図】図3

Description

本発明は、水素イオン、電子、及び二酸化炭素から人工光合成によりギ酸を生成するためのギ酸生成デバイスの作成方法、ギ酸生成デバイス、ギ酸生成装置及び水素供給システムに関する。
水素を燃料として利用する「水素社会」のアイデアは以前から提案されているが、水素を貯蔵・運搬することの難しさやエネルギー変換効率の点から現在でも普及するに至っているとは言い難い。
例えば、エネルギー密度の低い水素を自動車の燃料として持ち運ぶには、数百気圧もの高圧をかけなければならない。液体水素にする方法もあるが、超低温にする必要があるため、一般的ではない。
そこで、ギ酸(HCOOH)を水素源として生成し、貯蔵する技術が研究されている。ギ酸は常温で液体であり、エネルギー密度も高いため、貯蔵物質として優れている。
ギ酸の製造方法として、例えば、特許文献1には、水素ガスと二酸化炭素ガスを温度20〜250℃、圧力2〜35MPaの条件に維持し触媒存在下でギ酸を製造する方法が記載されているが、特許文献1に記載の方法では、高温、高圧にしたり、大規模な設備が必要となる。
そこで、光エネルギーにより、水を分解し、その際得られた電子を用いて酵素等により二酸化炭素と水からギ酸を生成する人工光合成による方法が研究されている。このとき、二酸化炭素からギ酸を合成する酵素(ギ酸脱水素酵素、FDH)は、天然の補酵素(NADH等)を使うと、同時に逆のギ酸を分解する方向にも反応し、反応効率が下がるという課題があった。
この問題点に関し、人工補酵素であるメチルビオローゲンを用いることで、ギ酸生成という一方向のみに反応を進めることが発見され、このメチルビオローゲンを用いたデバイスが開発されてきている。
例えば、特許文献2には、可視光照射によって、NADPHからクロリン-e6亜鉛錯体を通じてメチルビオローゲンに電子を与え、この電子を保持したメチルビオローゲンをアルデヒド脱水素酵素及びアルコール脱水素酵素の基質として、酢酸系化合物からアルデヒドを経由してエタノールを生成する、人工光合成によるエタノールの生産方法が記載されている。
また、特許文献3には、二酸化炭素の存在下、ギ酸脱水素酵素を触媒とした酵素反応を、ビオローゲン化合物又はビピリジニウム塩誘導体を電子伝達体として用いて行うことを特徴とする、二酸化炭素をギ酸に変換する方法が記載されている。
特開2001−192676号公報 特開2013−110996号公報 国際公開第2013/187485号
上述の通り、人工補酵素としてメチルビオローゲンを用いることで、ギ酸生成の一方向のみに反応を進めることができるため、効率的にギ酸を生成することができる。メチルビオローゲンや酵素は、例えば、シリカゲル等により形成された層に担持させて使用される。しかしながら、シリカゲル等による層に担持させた色素、人工補酵素及び酵素により人工光合成による反応を行う場合、光を吸収する色素分子の励起エネルギーがシリカゲル等に移動し、人工補酵素であるメチルビオローゲンへの電子移動の効率が下がる弊害があった。
特許文献2や特許文献3には、メチルビオローゲンやビオローゲン化合物を用いることについては記載されているが、上記弊害に対する対応策については記載されていない。
また、酵素は一般的に高価であり、基体に色素、人工補酵素及び酵素を最適な配置を取るように担持させるのも技巧を要するものであった。そのため、酵素の存在はギ酸生成を実用化、大規模化していく上での難点ともなっていた。
本発明は、このような状況を解決するためになされたものであり、酵素を必ずしも必要とすることなく、従来よりもさらに効率的に水素源をギ酸に変換して生成することができるギ酸生成デバイスの作成方法、ギ酸生成デバイス、ギ酸生成装置及び水素供給システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、必ずしも酵素を必要とすることなく人工光合成によりギ酸を生成するためのギ酸生成デバイスの作成方法であって、酸化チタン微粒子と高分子ビーズの混合液を基板に塗布する塗布工程と、基板を乾燥させる乾燥工程と、基板を加熱して高分子ビーズを焼失させ、該基板の表面に酸化チタン微粒子による多孔質層を形成する加熱処理工程と、基板の表面の多孔質層に少なくとも色素及びビオローゲン化合物を担持させる担持工程とを有する。
本発明の一態様によれば、酸化チタン微粒子と高分子ビーズの混合液を加熱処理することで、酸化チタン微粒子の多孔質層を形成することができるため、効率的にビオローゲン化合物への電子移動を達成することができるとともに、酸化チタンの作用により酵素を必要とすることなく水素源をギ酸に変換して生成することができるギ酸生成デバイスを作成することができる。
このとき、本発明の一態様では、担持工程において、ギ酸脱水素酵素を担持させてもよい。
従来のように、基板に酵素を担持させたとしてもギ酸生成デバイスとして同様に用いることができる。
また、本発明の一態様では、ビオローゲン化合物は下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるものを用いることができる。
Figure 2019001760
(R、Rは同じでも異なっていてもよく、CH、CHCHNH、CHCOOHから選択される。)
Figure 2019001760
(n=2〜4の整数である。)
Figure 2019001760
本発明の一態様では、酵素を必ずしも必要としないため、ビオローゲン化合物についてもメチルビオローゲンに限らず上記の化合物を用いて更なるギ酸生成量の向上を図ることが可能である。
また、本発明の一態様では、酸化チタン微粒子の平均粒径は20〜50nmであり、高分子ビーズの平均粒径は50〜100nmとすることができる。
少なくとも色素及びビオローゲン化合物を担持させ、ギ酸生成反応を行うため、多孔質層の多孔形成に際しては上記範囲の粒径の酸化チタン微粒子、及び高分子ビーズを用いることが好ましい。
また、本発明の一態様では、酸化チタン微粒子と高分子ビーズの混合割合は質量比で10:1とすることができる。
このような混合割合とすることで、高分子ビーズを焼失させたときに、好適な多孔質層を形成することができる。
本発明の他の態様は、必ずしも酵素を必要とすることなく人工光合成によりギ酸を生成するためのギ酸生成デバイスであって、基板の表面に形成した酸化チタン微粒子による多孔質層に少なくとも色素及びビオローゲン化合物を担持させてなるギ酸生成デバイスである。
本発明の他の態様では、金属酸化物微粒子として酸化チタン微粒子の多孔質層を形成しているため、効率的にビオローゲン化合物への電子移動を達成することができるとともに、酸化チタンの作用により酵素を必要とすることなく従来よりもさらに効率的に水素源をギ酸に変換して生成することができる。
このとき、本発明の他の態様では、多孔質層の厚さは1〜10μmとすることができる。
少なくとも色素及びビオローゲン化合物を担持させる多孔質層は上記厚さとすることが好ましい。
また、本発明の他の態様では、ビオローゲン化合物は上記一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるものを用いることができる。
本発明の他の態様によれば、酵素を必ずしも必要としないため、ビオローゲン化合物についてもメチルビオローゲンに限らず上記の化合物を用いて更なるギ酸生成量の向上を図ることが可能である。
本発明の他の態様は、水を分解して酸素を発生させるとともに、水素イオンと電子を得る水素イオン発生手段と、上述したギ酸生成デバイスを備えるギ酸生成手段とを備え、水素イオン発生手段により水を分解して得られる水素イオンと電子を利用して、ギ酸生成手段において、ギ酸生成デバイスにより、大気中の二酸化炭素及び/又は排気二酸化炭素から人工光合成によりギ酸を生成するギ酸生成装置である。
本発明の他の態様によれば、水の分解で生じた水素イオン及び電子と、空気中及び/又は他の機関から排出された二酸化炭素を有効利用することができ、また、酸化チタン微粒子により多孔質層を形成することで、色素分子の励起エネルギーを奪うことなく、効率的にビオローゲン化合物への電子移動を達成することができ、また、酵素を必ずしも必要とすることなく、従来よりもさらに効率的に水素源をギ酸に変換して貯蔵することができる。
本発明の他の態様は、上述したギ酸生成装置と、常温・常圧の脱酸素環境下で、ギ酸を触媒反応により水素と二酸化炭素に分解するギ酸分解装置とからなり、ギ酸分解装置は、ギ酸生成装置から供給されるギ酸を分解して得られる二酸化炭素をギ酸生成装置に供給することにより、二酸化炭素を循環させるとともに、ギ酸を分解して水素を外部装置に供給することを特徴とする水素供給システムである。
本発明の他の態様によれば、例えば、日中にギ酸生成装置を用いて人工光合成によって空気中及び/又は他の機関から排出された二酸化炭素を水素とともにギ酸に変換して貯蔵しておき、人工光合成のできない夜間にギ酸をギ酸分解装置により分解して水素を発生させてエネルギー源として用いることができる。
以上説明したように本発明によれば、必ずしも酵素を必要とすることなく、従来よりもさらに効率的に水素源をギ酸に変換して生成することができる。
本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスの一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスでの反応を示す概要図である。 本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスの作成方法の概略を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスの作成方法の各工程を示す模式図であり、(A)は塗布工程、(B)は乾燥工程、(C)は加熱処理工程、(D)は担持工程を示す。 本発明の一実施形態に係るギ酸生成装置の一例を表す模式図である。 本発明の一実施形態に係る水素供給システムの構成例を示す模式図である。 本発明を適用した家庭用エネルギー供給システムの一例を示す模式図である。 実施例1と比較例1の光照射時間とギ酸生成量の関係を示すグラフである。 実施例1と実施例2の光照射時間とギ酸生成量の関係を示すグラフである。 実施例2と実施例3の光照射時間とギ酸生成量の関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.ギ酸生成デバイス
2.ギ酸生成デバイスの作成方法
3.ギ酸生成装置
4.水素供給システム
<1.ギ酸生成デバイス>
まず、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスの作成方法により作成されるギ酸デバイスについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスの一例を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスは、基板11、酸化チタン微粒子12、色素13、ビオローゲン化合物14から構成される。本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスでは、ギ酸脱水素酵素は必須ではないが、このような酵素が含まれていても良い。以下、ギ酸生成デバイス10の各構成について説明する。
基板11は、その表面に酸化チタン微粒子12による多孔質層を形成し、多孔質層に少なくとも色素13、ビオローゲン化合物14を担持させるための固体基板である(さらに、ギ酸脱水素酵素が担持されていても良い)。基板の材質は特に限定はされないが、アルミニウム等の金属基板やガラス基板などが用いられる。例えば、無蛍光ガラスが好ましい。
酸化チタン微粒子12は、基板11上に多孔質層を形成する。後述するように、酸化チタン微粒子12をポリスチレンビーズ等の高分子ビーズとともに加熱処理することで、酸化チタン微粒子12のみが残り、多孔質層を形成する。多孔質層の厚さは1〜10μmとすることが好ましい。1μm未満では、色素13やビオローゲン化合物14(及び必要に応じてギ酸脱水素酵素)を担持するために十分な厚さではなく、また、10μmを超える厚さにすると、内部に担持した色素13やビオローゲン化合物14等が十分に働かない。
酸化チタン微粒子による多孔質層は絶縁体であり、従来用いられていたシリカゲル等による多孔質層に比べて色素分子の励起エネルギーを奪うことがないため、効率的にビオローゲン化合物への電子移動が達成できるメリットが創出される。また、後述するように、酸化チタン微粒子を用いることで、必ずしも酵素を必要とすることなく、従来よりもさらに効率的に水素源をギ酸に変換することができる。
色素13は、自らが吸収して得た光エネルギーを他の物質へ渡すことで、反応や発光プロセスを助ける役割を果たす光増感剤である。すなわち、色素13は、光照射された反応系内において、光エネルギーを吸収し、そのエネルギーで電子エネルギーへ変換し、電子輸送体(補酵素)へ電子を渡す機能(光電変換能)を有するものである。色素13としては、ポルフィリン誘導体、ルテニウムビピリジン錯体誘導体、ピレン誘導体などを挙げることができ、例えば、N197色素、テトラキス(4-メチルピリジル)ポルフィリン亜鉛(ZnTMPyP)、テトラフェニルポルフィリンテトラスルフォネート亜鉛(ZnTPPS)、ルテニウムトリスビピリジン、クロロフィルなどを用いることができる。
ビオローゲン化合物14は、色素から電子を受け取って他の物質へ電子を渡す電子輸送機能を有する人工補酵素である。すなわち、ビオローゲン化合物14は、光照射により光励起された色素から電子を受け取り、酵素へ電子を渡す還元機能を有するものである。酵素がない場合でも、水素イオンと二酸化炭素からギ酸が生成する反応に電子を供給する。ビオローゲン化合物14は、例えば、以下の化学式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物である。
Figure 2019001760
(R、Rは同じでも異なっていてもよく、CH、CHCHNH、CHCOOHから選択される。)
Figure 2019001760
(n=2〜4の整数である。)
Figure 2019001760
従来ビオローゲン化合物としては、メチルビオローゲン(上記一般式(1)において、R=R=CH)が用いられることが多かったが、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスでは酵素を必要としないため、デバイス作成の際のコストを低減できるとともに、より有効なビオローゲン化合物の検討を行うことも容易となった。したがって、後述する実施例で示されるように、メチルビオローゲンよりもさらに効率的にギ酸生成量を増加させることができるビオローゲン化合物が見出されている。なお、ビオローゲン化合物についても、同様の還元能力を持つ化合物であれば、上述したビオローゲン化合物に必ずしも限定されるわけではない。
本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイス10では、酵素を必ずしも必要としないことを特徴とするが、使用する状況等に応じて酵素を担持させておいても良い。酵素は、特定の化学反応の反応速度を速める物質であり、自身は反応前後で変化しない物質である。酵素は、光照射された反応系内において、電子輸送体から電子を受け取り、原料物質を還元して生成物質を生成するものである。本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスで酵素を担持させる場合には、ギ酸脱水素酵素(ホルメートデヒドロゲナーゼ、FDH)が用いられるため、原料物質は水素イオン及び二酸化炭素であり、生成物質はギ酸となる。本発明の一実施形態では、ギ酸の生成を目的としているため、酵素を使用する場合には、ギ酸脱水素酵素を用いるが、メタノール生成反応では、アルデヒドデヒドロゲナーゼ及びアルコールデヒドロゲナーゼを用い、リンゴ酸生成反応では、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(脱炭酸)を用いるといったように他の酵素を用いた生成デバイスに適用することも可能である。
図2に本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスでの反応を表す概要図を示す。例えば、電子供与体の共存下で光を照射することによって、色素が励起され、励起された色素からビオローゲン化合物(VC2+)へと電子(e)が移動し、電子を受け取ったビオローゲン化合物は還元され、還元型ビオローゲン化合物(VC)が生成する。還元型ビオローゲン化合物(VC)は、水素イオンと二酸化炭素からギ酸が生成する反応に電子を供給するが、従来酵素(ギ酸脱水素酵素(FDH))はこの化学反応の反応速度を速める役割を果たしていた。本発明の発明者らは、ギ酸生成デバイスに酸化チタン微粒子を用いることで、酸化チタン微粒子の作用により酵素を担持させなくても同等量又はそれ以上のギ酸が生成されることを発見し、本発明を完成させた。
なお、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスは、電子供与体を含有していてもよい。電子供与体は、電子を他の物質へ渡す機能、還元機能を有するものであり、そのものは酸化される。すなわち、電子供与体は、光照射された反応系内において、電子を失った色素13へ電子を渡す機能、還元機能を有するものをいう。電子供与体としては、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸塩、エチレンジアミン塩酸塩、トリエチルアミン、メルカプトエタノール等を挙げることができる。
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスは、水素イオン、電子、及び二酸化炭素から人工光合成によりギ酸を生成するためのギ酸生成デバイス10であって、基板11の表面に形成した酸化チタン微粒子12による多孔質層に少なくとも色素13及びビオローゲン化合物14を担持させてなる。
このように、酸化チタン微粒子で多孔質層を形成することにより、酸化チタン微粒子は色素分子の励起エネルギーを奪うことがないため、効率的にビオローゲン化合物への電子移動を達成することができ、また、必ずしも酵素を必要とすることなく、従来よりもさらに効率的に水素源をギ酸に変換して生成することができる。
<2.ギ酸生成デバイスの作成方法>
次に、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスの作成方法について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスの作成方法の概略を示すフロー図であり、図4は、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスの作成方法の各工程を示す模式図である。図3に示すように、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスは、塗布工程S1、乾燥工程S2、加熱処理工程S3、担持工程S4を経て作成される。以下、各工程について説明する。
塗布工程S1では、酸化チタン微粒子12と高分子ビーズ22の混合液を基板11に塗布する(図4(A))。基板11としては、例えば、無蛍光ガラスが用いられる。混合液としては、酸化チタン微粒子12を含むエタノールスラリーに溶液に高分子ビーズ22を分散混合させる。酸化チタン微粒子12の平均粒径は、20〜50nmが好ましく、高分子ビーズ22の平均粒径は、50〜100nmが好ましい。特に酸化チタン微粒子の平均粒径は25nmとすることが好ましい。酸化チタン微粒子の平均粒径が50nmを超えて大きくなると、ギ酸生成のための性能が低下してしまう。また、高分子ビーズ22は後の加熱処理工程S3で焼失させることができるものであることが望ましく、例えば、ポリスチレンビーズが好ましい。また、混合液中の酸化チタン微粒子と高分子ビーズの混合割合は、質量比で10:1とすることが好ましい。
乾燥工程S2では、混合液を塗布した基板11を乾燥させる(図4(B))。これにより、エタノールスラリー中の溶媒であるエタノールが蒸発し、基板11上には、酸化チタン微粒子12と高分子ビーズ22の混合物が残る。
加熱処理工程S3では、基板11を加熱して高分子ビーズ22を焼失させ、該基板11の表面に酸化チタン微粒子12による多孔質層を形成する(図4(C))。加熱温度は、高分子ビーズ22を焼失できる温度であればよく、およそ300〜500℃程度である。高分子ビーズ22がポリスチレンビーズの場合は、例えば、450℃で加熱焼成する。これにより、高分子ビーズ22が焼失するため、基板11上には、酸化チタン微粒子12のみが残り、酸化チタン微粒子12による多孔質層が形成される。
担持工程S4では、基板11の表面の多孔質層に少なくとも色素13及びビオローゲン化合物14を担持させる(図4(D))。必要に応じて、ギ酸脱水素酵素等の酵素を担持させても良い。基板11の表面の多孔質層に色素13及びビオローゲン化合物14(必要に応じてギ酸脱水素酵素)を担持させる方法としては、例えば、色素13及びビオローゲン化合物14(必要に応じてギ酸脱水素酵素)を含む溶液に、表面に多孔質層を有する基板11を浸漬させることにより、多孔質層中に色素13及びビオローゲン化合物14(必要に応じてギ酸脱水素酵素)を担持させる。
なお、ギ酸生成デバイス10は、使用する際には乾燥させず、反応媒体中で保存、使用することが好ましく、反応媒体としては、水性媒体が好適であり、水または水と混合可能な有機溶媒との混合媒体が挙げられる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、エチレングリコール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。水性媒体としてはリン酸カリウムなどによって緩衝能力を付与してもよい。
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスの作成方法は、必ずしも酵素を必要とすることなく、水素イオン、電子、及び二酸化炭素から人工光合成によりギ酸を生成するためのギ酸生成デバイスの作成方法であって、酸化チタン微粒子と高分子ビーズの混合液を基板に塗布する塗布工程S1と、基板を乾燥させる乾燥工程S2と、基板を加熱して高分子ビーズを焼失させ、該基板の表面に酸化チタン微粒子による多孔質層を形成する加熱処理工程S3と、基板の表面の多孔質層に少なくとも色素及びビオローゲン化合物を担持させる担持工程S4とを有する。
このように、酸化チタン微粒子と高分子ビーズの混合液を加熱処理することで、酸化チタン微粒子の多孔質層を形成することができるため、必ずしも酵素を必要とすることなく、従来よりもさらに効率的に水素源をギ酸に変換して生成することができるギ酸生成デバイスを作成することができる。
<3.ギ酸生成装置>
次に、本発明の一実施形態に係るギ酸生成装置について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るギ酸生成装置50の一例を表す模式図である。本発明の一実施形態に係るギ酸生成装置は、少なくとも、水を分解して水素イオンと電子を得る水素イオン発生手段20と、上述したギ酸生成デバイス10により、水素イオンと電子、及び二酸化炭素から人工光合成によりギ酸を生成するギ酸生成手段30とを備える。
ギ酸生成装置50は、光化学反応装置として使用される。使用時には、特にギ酸生成手段30中のギ酸生成デバイス10に光が照射される構造とすることが好ましい。ギ酸生成デバイスに光を照射する光源としては、太陽、人工光源等を用いることができる。
ギ酸生成装置50における光化学反応方法について説明する。図5に示すように、まず水素イオン発生手段20において下記反応式(1)に示すように、水が分解され酸素と水素イオンと電子が生成される。
2HO→O+4H+4e ・・・(1)
水素イオン発生手段20は上記反応が生じる手段であれば特に限定はされないが、例えば、光触媒を担持した基板のような水分解デバイスが用いられる。
次に、水素イオン発生手段20で生成した水素イオンと電子はギ酸生成手段30へと送られる。したがって、水素イオン発生手段20とギ酸生成手段30とは、例えば、水素イオンを選択的に透過するような半透膜で仕切られ、水素イオン発生手段20とギ酸生成手段30とが導線で接続される。
ギ酸生成手段30では、ギ酸生成デバイス10において、上述した図2に示す光反応(人工光合成)プロセスを経て水素イオンと電子、及び二酸化炭素からギ酸が生成される(下記反応式(2))。この時、水素イオン発生手段20で生成した水素イオンと電子が消費される。また、二酸化炭素は、大気中及び/又は他の機関からの排ガス中に存在するものを利用することができる。
CO+2H+2e→HCOOH ・・・(2)
このようにして生成されたギ酸は、例えば濃縮されたのち、貯蔵設備等に貯蔵できる構成としておくことが望ましい。貯蔵されたギ酸は、例えば、日光が得られず人工光合成を行うことができない夜間等において、貯蔵されたギ酸を分解して水素を発生、利用できるような機関により消費、発電等される。
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るギ酸生成装置は、水を分解して酸素を発生させるとともに、水素イオンと電子を得る水素イオン発生手段20と、上述したギ酸生成デバイス10により、水素イオンと電子、及び二酸化炭素から人工光合成によりギ酸を生成するギ酸生成手段30とを備え、水素イオン発生手段20により水を分解して得られる水素イオンと電子を利用して、ギ酸生成手段30において、ギ酸生成デバイス10により、大気中の二酸化炭素及び/又は排気二酸化炭素から人工光合成によりギ酸を生成するギ酸生成装置50である。
本発明に係るギ酸生成装置50によれば、水の分解で生じた水素イオン及び電子と、空気中及び/又は他の機関から排出された二酸化炭素を有効利用することができ、また、酸化チタン微粒子により多孔質層を形成することで、必ずしも酵素を必要とすることなく、従来よりもさらに効率的に水素源をギ酸に変換して貯蔵することができる。
<4.水素供給システム>
上述したギ酸生成装置50は、例えば、図6に示すような構成の水素供給システム100により実施される。
この水素供給システム100は、例えば、本発明の一実施形態に係る人工光合成によるギ酸生成装置50と、このギ酸生成装置50により生成されたギ酸を貯蔵するギ酸貯蔵タンク55と、このギ酸貯蔵タンク55から供給されるギ酸を水素と二酸化炭素に分解するギ酸分解装置60から構成される。なお、ギ酸貯蔵タンク55は、流路40を介してギ酸生成装置50とギ酸分解装置60に同時接続された据え置き型の構造となっているが、ギ酸生成装置50とギ酸分解装置60に同時接続される必要はなく、ギ酸生成装置50とギ酸分解装置60に個別に着脱自在に接続される構成としても良い。
ギ酸生成装置50は、水と大気中あるいは排気二酸化炭素から人工光合成によりギ酸を生成して、貯蔵タンク55に貯蔵する。ギ酸生成装置50は、例えば、水を分解して水素イオンと電子を得る水素イオン発生手段20と、水素イオンと電子、及び二酸化炭素から人工光合成によりギ酸を生成するギ酸生成デバイス10を用いたギ酸生成手段30とを備える。
ギ酸分解装置60は、常温・常圧の脱酸素環境下でギ酸を触媒反応により水素と二酸化炭素に分解するものであって、貯蔵タンク55から流路40を介して供給されるギ酸を分解して得られる水素を外部装置に供給する。ギ酸分解装置60は、例えば、白金微粒子を水溶性高分子ポリビニルピロリドンにより分散させてなる触媒等を有する。
そして、本発明の一実施形態に係る水素供給システム100では、貯蔵タンク55から流路40を介して供給されるギ酸をギ酸分解装置60により分解して得られる二酸化炭素をギ酸生成装置50に流路70を介して供給して循環させるとともに、ギ酸を分解して得られる水素を外部の例えば水素発電設備に供給に供給するようになっている。
このように、水素供給システム100では、日中は、水を酸素に光分解して得られる水素イオン・電子を利用して、固体基板の表面に形成した酸化チタン微粒子12による多孔質層に少なくとも色素13及びビオローゲン化合物を担持させてなるギ酸生成デバイス10を用いて、人工光合成によりギ酸を生成してギ酸貯蔵タンク55に貯蔵し、夜間にギ酸分解装置60により、貯蔵されたギ酸を分解して得られる水素を外部装置に供給することにより、太陽光エネルギーを有効に利用して、水素をエネルギー源として安全且つ効率よく供給することができるとともに、発生する二酸化炭素をギ酸生成装置50に戻すことにより循環させることができる。
次に、上記水素供給システム100の具体的な実装例について説明する。水素供給システム100は、例えば、図7に示すような構成のエネルギー供給システム200に適用される。
このエネルギー供給システム200は、一般住宅110において水素をエネルギー源とするエネルギー供給システムであって、水素を燃料として発電を行う燃料電池や水素を燃料とする水素エンジンにより駆動される水素発電機などの住宅用水素発電設備120を備え、住宅用水素発電設備120から電源供給を行うとともに、住宅用水素発電設備120の余熱を利用して貯湯タンク130から給湯を行うようになっている。
このエネルギー供給システム200は、太陽光を利用した昼間用エネルギー供給システムとして、住宅110の屋上に設けられた太陽電池パネル140により太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して、水を電気分解することにより水素を発生する昼間用水素供給システム150を備える。そして、日中は、上記昼間用水素供給システム150から住宅用水素発電設備120に水素が供給されるようになっている。
また、このエネルギー供給システム200は、一般住宅110において水素を夜間にエネルギー源として供給する夜間用エネルギー供給システムとして、住宅110の屋上に設けられた人工光合成によりギ酸を生成するギ酸生成装置50と、このギ酸生成装置50により生成されたギ酸を貯蔵するギ酸貯蔵タンク55と、このギ酸貯蔵タンク55から供給されるギ酸を水素と二酸化炭素に分解するギ酸分解装置60とを有する本発明に係る水素供給システム100を備える。
すなわち、エネルギー供給システム200における水素供給システム100は、上述したギ酸生成装置50を備えているので、太陽光を利用できる日中に、水を酸素に光分解して得られる水素イオン・電子を利用して、ギ酸生成デバイス10により、大気中あるいは排気二酸化炭素から人工光合成によりギ酸を生成してギ酸貯蔵タンク55に貯蔵し、太陽光を利用できない夜間に、ギ酸分解装置60において、ギ酸貯蔵タンク55に貯蔵されたギ酸を常温・常圧の脱酸素環境下で水素と二酸化炭素に分解することにより、ギ酸生成デバイス10によりギ酸を生成するための原料としての二酸化炭素を得て上記ギ酸生成装置50に戻し循環させるとともに、ギ酸を分解して得られる水素をエネルギー源として安全且つ効率よく上記住宅用水素発電設備120に供給することができる。
したがって、上記エネルギー供給システム200では、水素供給システム100により、太陽光エネルギーを有効に利用して、ギ酸を生成・貯蔵し、太陽光を利用できない夜間に、ギ酸を分解して得られる水素をエネルギー源として安全且つ効率よく住宅用水素発電設備120に供給することができる。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、無蛍光ガラスから成る基板上に、酸化チタン微粒子(平均粒径20nm)とポリスチレンビーズとを質量比10:1の割合で混合したエタノールスラリーを塗布し(塗布工程S1)、乾燥させて溶媒であるエタノールを蒸発させた(乾燥工程S2)。
次に乾燥させた基板を約450℃で加熱焼成し、ポリスチレンビーズを焼失させて基板上に酸化チタン微粒子による多孔質層を形成した(加熱処理工程S3)。表面に多孔質層を形成した基板を0.3mMメチルビオローゲンのメタノール溶液と、0.3mMN197色素のメタノール溶液に浸漬し、最後にギ酸脱水素酵素を担持させてギ酸生成デバイスとした(担持工程S4)。デバイスサイズは2.5×3cmであり、反応体積は2ml(2×2×0.5cm)である。
このギ酸生成デバイスに、二酸化炭素(CO)を含む溶液中でソーラーシミュレーターを用いて光照射を行い、1時間後、2時間後のギ酸生成量をイオンクロマトグラフにより定量した。結果を図8に示す。
(比較例1)
比較例1では、酸化チタン微粒子の代わりに酸化アルミニウム微粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてギ酸生成デバイスを作成し、ギ酸の生成量を定量した。結果を図8に示す。
図8の結果に示されているように、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスでは、基板を構成する金属酸化物微粒子として半導体光触媒材料でもある酸化チタン微粒子を用いることにより、通常の金属酸化物である酸化アルミニウム微粒子の場合と比較して、約6倍以上のギ酸が生成されており、ギ酸生成デバイスとして優れていることが分かった。
(実施例2)
実施例2では、担持工程S4において、ギ酸脱水素酵素を担持させなかったこと以外は実施例1と同様にしてギ酸生成デバイスを作成し、ギ酸の生成量を定量した。結果を図9に示す。
図9の結果に示されているように、ギ酸脱水素酵素を担持させている実施例1と、ギ酸脱水素酵素を担持させなかった実施例2とでは、ギ酸の生成量がほとんど変わらなかった。したがって、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスでは、金属酸化物微粒子として酸化チタン微粒子を用いることにより、ギ酸脱水素酵素が必ずしも必要ではないことが分かった。
(実施例3)
実施例3では、ビオローゲン化合物として、メチルビオローゲン(上記一般式(1)において、R=R=CH)の代わりに1-Methyl-1’-carboxymethyl-4,4’-bipyridinium salt(上記一般式(1)において、R=CH、R=CHCOOH)を使用したこと以外は、実施例2と同様にしてギ酸生成デバイスを作成し、ギ酸の生成量を定量した。結果を図10に示す。
図10の結果に示されているように、実施例3で用いたビオローゲン化合物は、実施例2で用いたメチルビオローゲンの場合よりも約2倍以上のギ酸が生成されていることが分かった。
このように、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスでは、金属酸化物微粒子として酸化チタンを用いることにより、比較例1のような酸化アルミニウムと酵素の組み合わせの場合よりも、約12倍のギ酸生成量の向上を達成することができた。すなわち、本発明の一実施形態に係るギ酸生成デバイスでは酵素を必要としないため、デバイス作成の際のコストを低減できるとともに、より有効なビオローゲン化合物の検討を行うことも容易となっており、今後さらなるギ酸生成量の向上も実現可能である。
10 ギ酸生成デバイス、11 基板、12 酸化チタン微粒子、13 色素、14 ビオローゲン化合物、20 水素イオン発生手段、22 高分子ビーズ、30 ギ酸生成手段、40,70 流路、50 ギ酸生成装置、55 ギ酸貯蔵タンク、60 ギ酸分解装置、100 水素供給システム、110 一般住宅、120 住宅用水素発電設備、130 貯湯タンク、140 太陽電池パネル、150 昼間用水素供給システム、200 エネルギー供給システム

Claims (10)

  1. 必ずしも酵素を必要とすることなく人工光合成によりギ酸を生成するためのギ酸生成デバイスの作成方法であって、
    酸化チタン微粒子と高分子ビーズの混合液を基板に塗布する塗布工程と、
    前記基板を乾燥させる乾燥工程と、
    前記基板を加熱して前記高分子ビーズを焼失させ、該基板の表面に前記酸化チタン微粒子による多孔質層を形成する加熱処理工程と、
    前記基板の表面の前記多孔質層に少なくとも色素及びビオローゲン化合物を担持させる担持工程と
    を有するギ酸生成デバイスの作成方法。
  2. 前記担持工程において、ギ酸脱水素酵素も担持させる請求項1に記載のギ酸生成デバイスの作成方法。
  3. 前記ビオローゲン化合物は下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される請求項1又は請求項2に記載のギ酸生成デバイスの作成方法。
    Figure 2019001760
    (R、Rは同じでも異なっていてもよく、CH、CHCHNH、CHCOOHから選択される。)
    Figure 2019001760
    (n=2〜4の整数である。)
    Figure 2019001760
  4. 前記酸化チタン微粒子の平均粒径は20〜50nmであり、前記高分子ビーズの平均粒径は50〜100nmである請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のギ酸生成デバイスの作成方法。
  5. 前記酸化チタン微粒子と前記高分子ビーズの混合割合は質量比で10:1である請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のギ酸生成デバイスの作成方法。
  6. 必ずしも酵素を必要とすることなく人工光合成によりギ酸を生成するためのギ酸生成デバイスであって、
    基板の表面に形成した酸化チタン微粒子による多孔質層に少なくとも色素及びビオローゲン化合物を担持させてなるギ酸生成デバイス。
  7. 前記多孔質層の厚さは1〜10μmである請求項6に記載のギ酸生成デバイス。
  8. 前記ビオローゲン化合物は下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される請求項6又は請求項7に記載のギ酸生成デバイス。
    Figure 2019001760
    (R、Rは同じでも異なっていてもよく、CH、CHCHNH、CHCOOHから選択される。)
    Figure 2019001760
    (n=2〜4の整数である。)
    Figure 2019001760
  9. 水を分解して酸素を発生させるとともに、水素イオンと電子を得る水素イオン発生手段と、
    請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のギ酸生成デバイスを備えるギ酸生成手段と
    を備え、
    前記水素イオン発生手段により水を分解して得られる水素イオンと電子を利用して、前記ギ酸生成手段において、前記ギ酸生成デバイスにより、大気中の二酸化炭素及び/又は排気二酸化炭素から人工光合成によりギ酸を生成するギ酸生成装置。
  10. 請求項9に記載のギ酸生成装置と、
    常温・常圧の脱酸素環境下で、ギ酸を触媒反応により水素と二酸化炭素に分解するギ酸分解装置と
    からなり、
    前記ギ酸分解装置は、前記ギ酸生成装置から供給されるギ酸を分解して得られる二酸化炭素を上記ギ酸生成装置に供給することにより、二酸化炭素を循環させるとともに、ギ酸を分解して水素を外部装置に供給することを特徴とする水素供給システム。
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WO2021145267A1 (ja) * 2020-01-14 2021-07-22 飯田グループホールディングス株式会社 蟻酸生成方法及び蟻酸生成システム
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