JP2019001038A - ターポリン、その製造方法及びフレキシブルコンテナバッグ - Google Patents

ターポリン、その製造方法及びフレキシブルコンテナバッグ Download PDF

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Abstract

【課題】加工性に優れたターポリン用樹脂組成物から、非泡立ち性、高周波ウェルダー溶着性、高周波ウェルダー溶着剥離強度に優れたターポリンを提供する。【解決手段】ターポリン10は、基布2と、基布2の両面にそれぞれ形成された樹脂層1A、1Bとを有する。樹脂層1A、1Bが、日本工業規格JIS K7210によるMFRが190℃、負荷21.18Nという条件下において0.1〜30g/10minであるターポリン用樹脂組成物から形成されているターポリン10。このターポリン用樹脂組成物が、不飽和エステル単位を5〜30質量%含む不飽和エステル系樹脂100質量部に対し、滑剤を0.1〜3.0質量部含有し、滑剤として有機リン酸エステル65〜95質量%とポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテル5〜35質量%とを含有するものを使用するターポリン10。【選択図】図1

Description

本発明は、ターポリン、その製造方法及びフレキシブルコンテナバッグに関する。
ポリエステル平織布等の基布の両面に、ターポリン用樹脂組成物から形成された防水樹脂層を設けたターポリン(防水布)が様々な分野に適用されており、その重要な分野の一つとしてフレキシブルコンテナバッグへの適用がある。フレキシブルコンテナバッグに適用するターポリンに対しては、一般に、高周波ウェルダー溶着性、高周波ウェルダー溶着部の剥離強度(以下、高周波ウェルダー溶着剥離強度)が良好であることが求められている。また、ターポリン用樹脂組成物については、良好な加工性も求められている。このため、ターポリンの樹脂層を形成するためのターポリン用樹脂組成物の主要樹脂としてエチレン−不飽和エステル(酢酸ビニル)共重合体の使用が提案されている(特許文献1)。
ところで、フレキシブルコンテナバッグの主要用途の一つとして、食塩、岩塩等の保管・運搬が挙げられる。フレキシブルコンテナバッグで保管・運搬した食塩や岩塩等は、必要に応じてフレキシブルコンテナバックから取り出し、調味料等に使用する際に、水に溶解させている。
特開平10−77066号公報
しかしながら、エチレン−不飽和エステル共重合体ベースのターポリンから作成したフレキシブルコンテナバッグの場合、そのバッグで保管・運搬した食塩等を、水に溶解すると泡立つ場合があった。本来、食塩を水に溶解させても泡立ちが生じるものではないが、そのような泡立ちを生じさせた食塩等については、フレキシブルコンテナバッグから泡立ちの原因となる不純物の混入が疑われる。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決しようとするものであり、加工性に優れたターポリン用樹脂組成物から、良好な高周波ウェルダー溶着性や、溶着部に良好な剥離強度を示すターポリンであって、しかもそのターポリンから形成したフレキシブルコンテナバッグに食塩等を保管・運搬した場合に、その食塩等を水に溶解しても泡立ちを生じさせないターポリンを提供することである。
本発明者らは、ターポリンの樹脂層を形成するためのターポリン用樹脂組成物の設計に際し、ターポリン用樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)値を特定範囲に設定すると共に、ターポリン用樹脂組成物を構成する樹脂として所定量以上の不飽和エステル単位を含有する不飽和エステル系樹脂を使用し、しかもその不飽和エステル系樹脂に対し、特定の滑剤を特定量範囲で配合することにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、基布と、該基布の両面にそれぞれ形成された樹脂層とを有するターポリンであって、
該樹脂層が、日本工業規格JIS K7210によるメルトフローレート(MFR)が、190℃、負荷21.18Nという条件下において0.1〜30g/10minであるターポリン用樹脂組成物から形成されており、
該ターポリン用樹脂組成物が、不飽和エステル単位を5〜30質量%含む不飽和エステル系樹脂と、該不飽和エステル系樹脂100質量部に対し、0.1〜3.0質量部の割合で滑剤とを含有し、
該滑剤が、有機リン酸エステル65〜95質量%とポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテル5〜35質量%とを含有し、
該有機リン酸エステルが、アルキル単位と(アルキレングリコール)n単位とをそれぞれ少なくとも1個含む構造を有し、アルキル単位におけるアルキルは炭素数7〜9のアルキルであり、(アルキレングリコール)n単位におけるアルキレングリコールは炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、nは1〜7の自然数であり、
ポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルが、アルキル単位と(アルキレングリコール)m単位とを含む構造を有し、アルキル単位におけるアルキルは炭素数7〜9のアルキルであり、(アルキレングリコール)m単位におけるアルキレングリコールは炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、mは2〜7の自然数であるターポリンを提供する。
なお、本明細書において、数値範囲における「〜」は、その左側の数値以上であって、その右側の数値以下であることを意味する。
また、本発明は、基布と、該基布の両面にそれぞれ形成された樹脂層とを有するターポリンの製造方法であって、
基布の両面に、ターポリン用樹脂組成物からカレンダー加工により樹脂層を形成する工程を有する製造方法を提供する。
この製造方法においては、該ターポリン用樹脂組成物として、不飽和エステル単位を5〜30質量%含む不飽和エステル系樹脂と、該不飽和エステル系樹脂100質量部に対し、0.1〜3.0質量部の割合で滑剤とを含有する樹脂組成物であって、日本工業規格JIS K7210によるメルトフローレート(MFR)が、190℃、負荷21.18Nという条件下において0.1〜30g/10minを示す樹脂組成物を使用し、
該滑剤として、有機リン酸エステル65〜95質量%とポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテル5〜35質量%とを含有する滑剤組成物を使用し、
該有機リン酸エステルとして、アルキル単位と(アルキレングリコール)n単位とをそれぞれ少なくとも1個含む構造を有し、アルキル単位におけるアルキルが、炭素数7〜9のアルキルであり、(アルキレングリコール)n単位におけるアルキレングリコールが、炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、nが1〜7の自然数であるものを使用し、
ポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルとして、アルキル単位と(アルキレングリコール)m単位とを含む構造を有し、アルキル単位におけるアルキルが、炭素数7〜9のアルキルであり、(アルキレングリコール)m単位におけるアルキレングリコールが、炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、mが2〜7の自然数であるものを使用する。
更に、本発明は、上述の本発明のターポリンからなるフレキシブルコンテナバッグを提供する。
本発明のターポリンにおいては、基布の両面を被覆している樹脂層が、特定範囲のMFR値を示すターポリン用樹脂組成物であって、不飽和エステル単位を所定量以上含む不飽和エステル系樹脂と特定の滑剤とをそれぞれ所定範囲の量で含有する、加工性に優れたターポリン用樹脂組成物から形成されている。このため、本発明のターポリンは、高周波ウェルダー溶着性と高周波ウェルダー溶着剥離強度とが損なわれていないものとなる。しかも、本発明のターポリンから形成したフレキシブルコンテナバッグで食塩等を、保管・運搬した後に水に溶解した場合であっても、塩水溶液に泡立ちが生ずることを抑制できる。
図1は、本発明のターポリンの構造を示す断面図である。 図2は、高周波ウェルダー溶着性及び高周波ウェルダー溶着剥離強度評価用の試験片作成のための溶着方法を示す断面図である。
以下、本発明を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<ターポリン>
図1に示したように、本発明のターポリン10は、基布2と、該基布2の両面にそれぞれ形成された樹脂層1A、1Bとを有する。ターポリン自体の厚みは、防水性や耐久性、柔軟性や製造コスト等の観点から、好ましくは0.2〜3.0mmである。
(樹脂層1A、1B)
樹脂層1A、1Bは、日本工業規格JIS K7210によるMFRが190℃、負荷21.18Nにおいて0.1〜30g/10minであるターポリン用樹脂組成物から形成されている。このターポリン用樹脂組成物は、不飽和エステル単位を少なくとも5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%含む不飽和エステル系樹脂と、滑剤とを含有する。必要に応じて、酸化防止剤や帯電防止剤等を含有してもよい。
樹脂層1A、1Bの層厚は、ターポリンの用途、ターポリンから作成したフレキシブルコンテナバッグに収納する物質の種類などに応じて異なるが、通常、それぞれ150〜500μm、好ましくは200〜300μmである。樹脂層1Aと樹脂層1Bの層厚は、同じであっても異なっていてもよい。
(ターポリン用樹脂組成物)
本発明においては、ターポリン用樹脂組成物として、日本工業規格JIS K7210によるMFR(190℃、負荷21.18N)が0.1〜30g/10min、好ましくは0.5〜20g/10minの樹脂組成物を使用する。この範囲であれば、加工性の低下や高周波ウェルダー溶着性の低下、更に高周波ウェルダー溶着剥離強度の低下等を防止できるという効果が得られる。
なお、ターポリン用樹脂組成物のMFRの調整は、不飽和エステル単位を含有する不飽和エステル系樹脂中の不飽和エステル単位の種類や含有量、あるいは不飽和エステル系樹脂の分子量を変更することにより、あるいは、そのような不飽和エステル系樹脂に他の樹脂を併用すること等により調整することができる。
また、ターポリン用樹脂組成物を構成する不飽和エステル系樹脂中の不飽和エステル単位の含有量を5〜30質量%とする理由は、良好な高周波ウェルダー溶着性を実現するためである。なお、この5〜30質量%という不飽和エステル単位の含有量は、樹脂組成物が複数の樹脂を含有している場合には、複数の樹脂全体における含有量である。例えば、不飽和エステル単位が50質量%のA樹脂と0質量%のB樹脂とを質量比で1:1で含有するターポリン用樹脂組成物を構成する不飽和エステル系樹脂中の不飽和エステル単位は、25質量%となる。
(不飽和エステル単位を含む不飽和エステル系樹脂)
不飽和エステル系樹脂における不飽和エステル単位としては、酢酸ビニル単位、酢酸アリル単位、プロピオン酸ビニル単位、プロピオン酸アリル単位、アクリル酸メチル単位、メタクリル酸メチル単位、アクリル酸エチル単位、メタクリル酸エチル単位等を挙げることができる。中でも、汎用性の点で酢酸ビニル単位が好ましい。
また、これらの不飽和エステル単位を含む不飽和エステル系樹脂としては、前述の不飽和エステルのホモポリマーや、前述の不飽和エステルと共重合可能なモノマー(例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのアルケンやアルカジエン;アルキン;スチレン、ジビニルベンゼン等)との共重合体が挙げられる。中でも、ターポリン用樹脂組成物に良好な加工性を付与し、しかもターポリンに良好な高周波ウェルダー溶着性と高周波ウェルダー溶着剥離強度等を付与できる点からアルケンと不飽和エステルとの共重合体、特にエチレン−不飽和エステル共重合体を好ましく使用することができる。
(エチレン−不飽和エステル共重合体)
このようなエチレン−不飽和エステル共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸アリル共重合体、エチレン−プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン−プロピオン酸アリル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等を挙げることができる。中でも、高周波ウェルダー溶着性、溶着部の剥離強度、入手コスト等の点からエチレン−酢酸ビニル共重合体を特に好ましく使用できる。
エチレン−不飽和エステル共重合体の日本工業規格JIS K7210(190℃、負荷21.18N)によるMFRは、好ましくは0.1〜30g/10min、より好ましくは1.0〜5.0g/10minである。この範囲であれば、ターポリン用樹脂組成物の加工性の低下やターポリンの高周波ウェルダー溶着性の低下、更に高周波ウェルダー溶着剥離強度の低下等を防止できるという効果が得られる。
ターポリン用樹脂組成物に良好な加工性を付与し、且つターポリンに良好な高周波ウェルダー溶着剥離強度を実現するために、低MFR値の樹脂と高MFR値の樹脂とを併用することが好ましい。具体的には、後述するように、ターポリンの用途に応じて、MFR値の異なる2種類のエチレン−不飽和エステル共重合体を併用することができる。また、エチレン−不飽和エステル共重合体にそれと異なるMFR値を有する他の樹脂とを併用することもできる。
ターポリン用樹脂組成物が、エチレン−不飽和エステル共重合体を2種以上併用する場合、即ち、エチレン−不飽和エステル共重合体が、日本工業規格JIS K7210(190℃、負荷21.18N)によるMFRが互いに異なる2種類のエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する場合、一方のエチレン−酢酸ビニル共重合体のMFR[g/10min]は好ましくは0.5〜2.0であり、他方のエチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRは好ましくは2.0〜5.0である。この場合、一方のエチレン−酢酸ビニル共重合体と他方のエチレン−酢酸ビニル共重合体との配合割合は、質量部基準で好ましくは100〜0:0〜100であり、より好ましくは90〜50:10〜50である。このような異なるMFR値を持つ共重合体を併用することにより、共重合体混合物のMFR値の調整が容易になる。
以上説明したようなエチレン−不飽和エステル共重合体中の不飽和エステル単位の含有量は、共重合体中に好ましくは5〜30質量%である。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニル単位、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体におけるメタクリル酸メチル単位、及びエチレン−アクリル酸メチル共重合体におけるアクリル酸メチル単位は、それぞれ好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%である。これらの範囲であれば、良好な柔軟性と高周波ウェルダー溶着性だけでなく、フレキシブルコンテナに必要な性能である高周波ウェルダー溶着部の良好な耐熱クリープ性も得られる。
ターポリン用樹脂組成物において、不飽和エステル系樹脂としてエチレン−不飽和エステル共重合体に他の樹脂を併用する場合、そのような他の樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂やエラストマーを好ましく使用できる。これらをエチレン−不飽和エステル共重合体に併用することにより、ターポリン用樹脂組成物の加工性を向上させ、また、成型品の柔軟性を向上させることができる。
エチレン−不飽和エステル共重合体と併用することができる熱可塑性樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂の中から本発明の効果を損なわない種々の熱可塑性樹脂を挙げることができ、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン等を好ましく挙げることができる。中でも、加工性の点からポリオレフィン、特にポリエチレンを好ましく使用することができる。このようなポリエチレンとしては、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)、中低圧法高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン触媒直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)等を採用することができるが、風合や柔軟性に優れている点からメタロセン触媒を使用したポリエチレンを好ましく使用できる。
また、エチレン−不飽和エステル共重合体と併用することができるエラストマーとしては、公知のゴム類や熱可塑性エラストマーを好ましく挙げることができる。ゴム類としては、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム(イソブチレン−イソプレンゴム)、エチレン−プロピレン系ゴム(エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、ウレタンゴム等を挙げることができる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。中でも加工性の点からスチレン系熱可塑性エラストマーやエチレン−プロピレン系ゴムを好ましく使用できる。
ターポリン用樹脂組成物において、不飽和エステル系樹脂としてエチレン−不飽和エステル共重合体に他の樹脂を併用する場合の他の樹脂(好ましくはポリエチレン等の熱可塑性樹脂やスチレン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー)のターポリン用樹脂組成物中の配合量は、樹脂分100質量%中の不飽和エステル単位の含有量が10質量%未満にならない量である。
(滑剤)
滑剤は、ターポリン用樹脂組成物の加工性を向上させるためのものであるが、本発明においては、特に、ターポリンから形成したフレキシブルコンテナバッグで食塩・岩塩・天日塩等を保管・運搬した場合でも、保管・運搬後に水に溶解した際に、塩水溶液に泡立ちが生ずることを抑制できる滑剤を使用する。
このような滑剤としては、有機リン酸エステルとポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルとを含有する滑剤組成物を使用する。必要に応じて公知の滑剤を含有してもよい。滑剤中の有機リン酸エステルの含有量は、65〜95質量%、好ましくは80〜90質量%である。また、ポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルの滑剤中の含有量は、5〜35質量%、好ましくは10〜20質量%である。ポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルの滑剤中の含有量が35質量%を超えるとターポリン中のポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルが表面にブリードし易くなり、高周波ウェルダー溶着性が低下することが懸念され、5質量%を下回るとターポリン用樹脂組成物をカレンダー加工する際に、加工ロールからターポリン用樹脂組成物が剥がれ難くなり、ターポリン用樹脂組成物の加工性が低下することが懸念される。
本発明で使用する滑剤を構成する有機リン酸エステルは、構造的にはリン酸とアルコール類とが縮合して形成されたものであり、アルコール類由来のアルキル単位と(アルキレングリコール)n単位とを、それぞれ少なくとも1個有する。(アルキレングリコール)n単位におけるアルキレングリコールは、炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、エチレングリコールが好ましい。nは、アルキレングリコールの重合度(酸化アルキレンの付加数)であり、1〜7の自然数であり、好ましくは1〜4の自然数、より好ましくは3である。一方、アルキル単位のアルキルは、炭素数7〜9のアルキルであり、オクチルが好ましい。ここで、アルキルは分岐であってもよいが、直鎖であることが好ましい。
他方、本発明で使用する滑剤を構成するポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルは、構造的にはアルキルアルコール類とポリアルキレングリコール類とが縮合して形成されたものであり、アルコール類由来のアルキル単位と(アルキレングリコール)m単位とを含む構造を有する。(アルキレングリコール)m単位におけるアルキレングリコールは、炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、エチレングリコールが好ましい。mは、アルキレングリコールの重合度(酸化アルキレンの付加数)であり、2〜7の自然数であり、好ましくは3〜6の自然数、より好ましくは4である。一方、アルキル単位のアルキルは、炭素数7〜9のアルキルであり、オクチルが好ましい。ここで、アルキルは分岐であってもよいが、直鎖であることが好ましい。
特に、有機リン酸エステルの(アルキレングリコール)n単位におけるアルキレングリコールと、ポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルの(アルキレングリコール)m単位におけるアルキレングリコールとが、共にポリエチレングリコールであることが好ましく、また、有機リン酸エステルのアルキル単位におけるアルキルと、ポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルのアルキル単位におけるアルキルとが、共にオクチルであることが好ましい。
以上の有機リン酸エステル及びポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルを含有する滑剤のターポリン用樹脂組成物中の含有量は、不飽和エステル系樹脂100質量部に対し、0.1〜3.0質量部、好ましくは0.3〜2.0質量部である。この範囲であれば、カレンダーロールへの貼り付きが生じ難く、良好な加工性が得られる。
(酸化防止剤)
ターポリン用樹脂組成物は、ターポリン用樹脂組成物を成形加工する際の加熱温度(通常140〜180℃)でターポリン用樹脂組成物が酸化劣化することを防止するために、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、熱可塑性樹脂に用いられる一般的な酸化防止剤を使用することができる。具体的には、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。中でも、フェノール系酸化防止剤を好ましく使用することができる。
このような酸化防止剤のターポリン用樹脂組成物中の含有量は、不飽和エステル単位を含む不飽和エステル系樹脂100質量部に対し、0.05〜0.3質量部、好ましくは0.1〜0.2質量部である。この範囲であれば、加工によるターポリン用樹脂組成物の熱劣化を防止できる。
(帯電防止剤)
ターポリン用樹脂組成物は、ターポリンの表面抵抗率を低減させ、ターポリンに帯電防止性を付与するために、帯電防止剤を含有することができる。特に、高分子型永久帯電防止剤を使用することにより、初期の帯電防止性だけでなく、フレキシブルコンテナバッグの水洗浄後にも初期の帯電防止性を維持することが可能となる。帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩等の公知の帯電防止剤を適宜使用することができる。
(その他の添加剤)
以上説明したターポリン用樹脂組成物には、高周波ウェルダー溶着性改善剤として、シリカ、水和アルミナ、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸マグネシウム等の無機粉体、好ましくはシリカ微粒子を配合することができる。高周波ウェルダー溶着性改善剤としての無機粉体のターポリン用樹脂組成物中の配合量は、その樹脂分100質量部に対し、好ましくは0.1〜15質量部である。
なお、ターポリン用樹脂組成物には、必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、難燃剤、着色剤等の公知の添加剤を配合することができる。また、本発明においては、帯電防止剤としてカーボンブラックを使用する必要はないが、着色料としてのカーボンブラックの使用は排除される訳ではない。
(ターポリン用樹脂組成物の調製)
ターポリン用樹脂組成物は、不飽和エステル単位を少なくとも10質量%含む樹脂分、滑剤、その他の添加剤を、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等により均一に混合した後、一軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等により溶融混練することにより調製することができる。
(基布)
本発明で用いる基布は、従来のターポリンにおいて用いられている一般的なものであり、例えば、基布の素材としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアクリル繊維等の合成繊維、木綿、麻等の天然繊維等が挙げられる。また、基布の構造としては、平織、綾織、朱子織等の織布、編布、不織布等が挙げられる。基布の素材は、強度やコスト等の観点から、ポリエステル繊維が好ましく、基布の構造は、経糸と緯糸との織りのバランスや寸法安定性等の観点から、平織布が好ましい。
基布に用いられる繊維の太さは、例えば、277〜1112dtex程度であり、経糸及び緯糸の打ち込み本数は、例えば平織の場合、(10〜30)×(15〜35)/インチ程度である。また、これらの基布の単位表面積中に占める空隙部分の比率(空隙率)は、ターポリンの柔軟性、基布の両面に積層される高分子層のブリッジ融着性、ターポリンの強度や寸法安定性等を考慮し、好ましくは5〜30%であり、また、基布の厚みは、ターポリンの柔軟性や強度等を考慮し、好ましくは0.2〜1.0mmである。なお、一般的に幅0.5〜3.0m程度の長尺巻物の形態で用いられる。
<ターポリンの製造>
基布の両面に樹脂層が形成されている図1のターポリンは、公知の方法により製造することができる。例えば、まず、ターポリン用樹脂組成物の構成成分を、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合装置により均一に混合した後、一軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等により溶融混練することによりターポリン用樹脂組成物を調製する。
次に、基布の両面に樹脂層を、ターポリン用樹脂組成物からカレンダー加工等により形成する。具体的には、調製されたターポリン用樹脂組成物を、カレンダー加工、又はTダイ若しくは環状ダイ等を備えた成形機、好ましくは逆L字型カレンダー加工成形機によりフィルム状又はシート状に溶融押出し、次に、このフィルム又はシートを基布の片面に積層し、次に他面にも積層する。これにより、基布の両面にターポリン用架橋性樹脂組成物の樹脂層が形成される。従って、基布の両面に形成された樹脂層は、好ましくはターポリン用樹脂組成物のカレンダー加工により形成されたものであり、換言すればカレンダー加工形成樹脂層と位置づけられる。なお、樹脂層の他の形成方法としては、カレンダーラミネート加工法、押出ラミネート加工法、ドライラミネート加工法及び含浸法等の公知の方法を採用することができる。
このように、基布と、該基布の両面にそれぞれ形成された樹脂層とを有する本発明のターポリンは、基布の両面に、ターポリン用樹脂組成物からカレンダー加工により樹脂層を形成する工程を有する製造方法により製造することができる。ここで、ターポリン用樹脂組成物として、既に説明したように、不飽和エステル単位を5〜30質量%含む不飽和エステル系樹脂と、該不飽和エステル系樹脂100質量部に対し、0.1〜3.0質量部の割合で滑剤とを含有する樹脂組成物であって、日本工業規格JIS K7210によるメルトフローレート(MFR)が、190℃、負荷21.18Nという条件下において0.1〜30g/10minを示す樹脂組成物を使用することが好ましい。また、滑剤として、有機リン酸エステル65〜95質量%とポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテル5〜35質量%とを含有する滑剤組成物を使用することが好ましい。そして、有機リン酸エステルとして、アルキル単位と(アルキレングリコール)n単位とをそれぞれ少なくとも1個含む構造を有し、アルキル単位におけるアルキルが、炭素数7〜9のアルキルであり、(アルキレングリコール)n単位におけるアルキレングリコールが、炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、nが1〜7の自然数であるものを使用し、ポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルとして、アルキル単位と(アルキレングリコール)m単位とを含む構造を有し、アルキル単位におけるアルキルが、炭素数7〜9のアルキルであり、(アルキレングリコール)m単位におけるアルキレングリコールが、炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、mが2〜7の自然数であるものを使用することが好ましい。
<フレキシブルコンテナバッグ及びその製造>
以上説明した本発明のターポリンは、従来のターポリンと同様の用途に適用することができるが、中でも、高周波ウェルダー溶着剥離強度等が良好であるため、フレキシブルコンテナバッグに好ましく適用できる。
なお、このようなフレキシブルコンテナバッグは、従来のフレキシブルコンテナバッグと同様に製造することができる。例えば、本発明のターポリンを所望の形状の各部材に裁断し、次いで、高周波ウェルダーや超音波ウェルダーを使用する融着法、熱風融着法、熱板融着法等の公知の方法を用いて各部材を熱溶着し、その後工業用ミシンを用いて縫製することにより所望の形状のフレキシブルコンテナバッグを製造することができる。なお、高周波ウェルダーを使用する熱融着法を適用することが、立体的で複雑な構造であるフレキシブルコンテナバッグのような製品を効率的に生産することができるので好ましい。ここで、高周波ウェルダーによる熱融着は、通常、周波数10〜100MHzの範囲で、1〜60秒の溶着時間で行われる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、以下の実施例及び比較例において使用した原材料等を以下に示す。MFR[g/10min]は、メルトフローレイト測定機((株)東洋精機製作所)を使用し、日本工業規格JIS K7210(190℃、負荷21.18N)に準拠して測定した。
<エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)>
(実施例1〜4並びに比較例1、2及び5)
MFR=1.0[g/10min]
酢酸ビニル単位;15質量%
(比較例3及び4)
MFR=70[g/10min]
酢酸ビニル単位;42質量%
<メタロセン系ポリエチレン(PE)>
MFR=2.2[g/10min]
ビカット軟化温度=47℃
<滑剤1>
有機リン酸エステルとしてポリ(エチレングリコール(3EO))ジオクチルリン酸エステル85質量%と、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルとして(ポリ(エチレングリコール(4EO))オクチルエーテル15質量%との混合物
<滑剤2>
ステアリルアシッドホスフェート
<滑剤3>
有機リン酸エステルとしてポリ(エチレングリコール(3EO))ジオクチルリン酸エステル85質量%と、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルとしてポリ(エチレングリコール4EO)C12〜C15アルキルエーテル15質量%との混合物
<酸化防止剤>
テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン
<シリカ>
比表面積120m/gの含水微粉ケイ酸
<白顔料>
ルチル型二酸化チタン
実施例1〜4及び比較例1〜5
(ターポリン用樹脂組成物の調製)
表1(配合表)に記載の成分(質量部)を、加圧ニーダー及びバンバリーミキサーにて混練することにより、ターポリン用樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物の日本工業規格JIS K7210のMFR値(190℃、負荷21.18N)を表1に示す。
(ターポリンの製造)
このターポリン用樹脂組成物を、逆L字カレンダー装置の上部の二つのミキシングロールの間のトップバンクに供給し、4本のロールを使用して圧延し、ポリエステル平織基布(繊維径:833dtex、打ち込み本数:20本×21本/インチ)の片面に300μm厚で塗布することにより樹脂層を形成した。同様の操作にてポリエステル平織布の他面にも300μm厚のターポリン用樹脂組成物の樹脂層を形成した。これによりターポリンを得た。
(評価)
実施例及び比較例のターポリンについて、非泡立ち性、高周波ウェルダー溶着性、高周波ウェルダー溶着剥離強度を、以下に説明するように試験評価した。また、ターポリン用樹脂組成物の加工性を以下に説明するように評価した。得られた結果を表1に示す。
<非泡立ち性>
実施例及び比較例のターポリンを使用して、内容表面積が約3900cmになるように小袋を作成し、この小袋に食塩約4kgを入れ、60℃のオーブン中で28日間養生保管した。保管後、小袋の食塩を約3Lの純水に投入し、室温下で過飽和状態で撹拌溶解させ、そのときの泡の発生状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。実用上、A評価又はB評価であることが望まれる。
ランク: 評価基準
A: 泡が全く生じない場合
B: 泡がわずかに生ずるが、2分以内に消泡する場合
C: 泡が生じ、2分以内では消泡しない場合
<高周波ウェルダー溶着性>
図2に示すように、各実施例及び比較例のターポリンから幅3mm×長さ30mmの寸法に切り出したターポリン片(3A、3B)の2枚を2cm幅で重ね、幅2cm×長さ60cmのウェルダー刃を装着した高周波ウェルダー(商品名「YC7000F」、山本ビニター(株))を用いて、陽極電流を変化させ、溶着時間10秒、冷却時間8秒という条件でシート同士を、ウェルダー溶着部となる重ね合せ部4で溶着した。陽極電流の変化によるウェルダー溶着性のレベルを、得られた試験片のターポリン片3Aと3Bとを手で剥がして、剥がれ具合を以下の基準に従って評価し判定した。実用上、A評価又はB評価であることが望まれる。
ランク: 評価基準
A: 試験片は、陽極電流0.8Aで溶着しており、溶着部を手で簡単に剥がそうとしても剥がれない場合
B: 試験片は、陽極電流0.8Aでは溶着しないが、1.0Aで溶着しており、溶着部を手で簡単に剥がそうとしても剥がれない場合
C: 試験片は、陽極電流1.0Aでも溶着しない場合
<高周波ウェルダー溶着剥離強度>
各実施例及び比較例のターポリンから幅3mm×長さ30mmの寸法に切り出したターポリン片(3A、3B)の2枚を、図2のように、2cm幅で重ね、幅2cm×長さ60cmのウェルダー刃を装着した高周波ウェルダー(商品名「YC7000F」、山本ビニター(株))を用いて、陽極電流1.0A、溶着時間10秒、冷却時間8秒という条件でシート同士を、ウェルダー溶着部となる重ね合せ部4で溶着し、高周波ウェルダー溶着剥離強度評価用試験片を作成した。得られた試験片のターポリン片3Aと3Bとを標準的な成人男性が手で互いに引き剥がそうとしたときの状態を以下の基準に従って評価した。実用上、A評価またはB評価であることが望まれる。
ランク: 評価基準
A: 強く引っ張っても剥がすことができない場合
B: 強く引っ張ると剥がすことができるが、剥離強度が実用レベルである場合
C: 引っ張るとすぐに剥がれる場合
<加工性>
各実施例及び比較例で調製したターポリン用樹脂組成物の逆L字型カレンダー(加工温度165℃)での加工性を測定した。得られた結果を以下の基準に従って評価した。実用上、評価はA又はBであることが望まれる。
ランク: 評価基準
A: 加工ができ、生産性にも優れる場合
B: 加工はできるが、評価Aよりも生産性が低下しているものの、実用上問題のない加工性である場合
C: 加工ができない場合
Figure 2019001038
(評価結果の考察)
実施例1〜4のターポリンは、その樹脂層が、不飽和エステル単位を12質量%含む不飽和エステル系樹脂100質量部に対し、滑剤として有機リン酸エステル85質量%とポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル15質量%との混合物0.3〜2.0質量部を含有し、MFR(190℃)が1.0〜1.3g/10minであるターポリン用樹脂組成物から形成されているので、「非泡立ち性」、「高周波ウェルダー溶着性」、「高周波ウェルダー溶着剥離強度」、及び「加工性」について、実施例1のターポリンの高周波ウェルダー溶着性がB評価である他はすべてA評価であった。
それに対し、比較例1のターポリンは、滑剤としてステアリルアシッドホスフェート0.4質量部を使用したため、「非泡立ち性」がC評価であり、「加工性」がB評価であった。なお、「高周波ウェルダー溶着性」及び「高周波ウェルダー溶着剥離強度」については、それぞれB評価及びA評価であった。
比較例2のターポリンは、比較例1のターポリンに比べて、滑剤であるステアリルアシッドホスフェートの使用量を0.4質量部から2.4質量部に増大させたが、依然として「非泡立ち性」がC評価であった。なお、「高周波ウェルダー溶着性」及び「高周波ウェルダー溶着剥離強度」についてはA評価であり、「加工性」については、B評価であった。
比較例3及び4のターポリンは、MFR値が36又は70と大きかったため、「加工性」についてはC評価であり、実質的に加工ができない状況であった。そのため、ターポリンとしての評価(「非泡立ち性」、「高周波ウェルダー溶着性」及び「高周波ウェルダー溶着剥離強度」)は行わなかった(表中“評価不能”と記載)。
なお、比較例5のターポリンは、滑剤1のポリ(エチレングリコール4EO)オクチルエーテルをポリ(エチレングリコール4EO)C12〜C15アルキルエーテルに代えた滑剤3を使用したので、「非泡立ち性」についてはC評価であった。
本発明のターポリンは、基布の両面を被覆している樹脂層が、エチレン−不飽和エステル共重合体を主たる樹脂成分として含有しているターポリン用樹脂組成物であって、特定範囲のMFR値を示し、且つ特定の滑剤を所定範囲の量で含有する加工性に富んだターポリン用樹脂組成物から形成されている。このため、本発明のターポリンは、高周波ウェルダー溶着性のみならず、その溶着剥離強度性が損なわれていないものとなる。しかも、本発明のターポリンから形成したフレキシブルコンテナバッグで食塩、岩塩等の原料塩を保管・運搬した後、岩塩等を水に溶解した場合に塩水溶液に泡立ちが生ずることを抑制することができる。このため本発明のターポリンから形成したフレキシブルコンテナバッグは、物流資材、土木建築用資材、自動車用資材、工業資材、衣料資材、包装用資材等の広い分野において有用であるばかりでなく、特に食塩や岩塩などの水溶性無機塩類や水溶性糖類の保管・運搬に有用である。
1A,1B 架橋樹脂層
2 基布
3A,3B ターポリン片
4 重ね合せ部

Claims (14)

  1. 基布と、該基布の両面にそれぞれ形成された樹脂層とを有するターポリンであって、
    該樹脂層が、日本工業規格JIS K7210によるメルトフローレート(MFR)が、190℃、負荷21.18Nという条件下において0.1〜30g/10minであるターポリン用樹脂組成物から形成されており、
    該ターポリン用樹脂組成物が、不飽和エステル単位を5〜30質量%含む不飽和エステル系樹脂と、該不飽和エステル系樹脂100質量部に対し、0.1〜3.0質量部の割合で滑剤とを含有し、
    該滑剤が、有機リン酸エステル65〜95質量%とポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテル5〜35質量%とを含有し、
    該有機リン酸エステルが、アルキル単位と(アルキレングリコール)n単位とをそれぞれ少なくとも1個含む構造を有し、アルキル単位におけるアルキルは炭素数7〜9のアルキルであり、(アルキレングリコール)n単位におけるアルキレングリコールは炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、nは1〜7の自然数であり、
    ポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルが、アルキル単位と(アルキレングリコール)m単位とを含む構造を有し、アルキル単位におけるアルキルは炭素数7〜9のアルキルであり、(アルキレングリコール)m単位におけるアルキレングリコールは炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、mは2〜7の自然数であるターポリン。
  2. 該有機リン酸エステルの(アルキレングリコール)n単位におけるアルキレングリコールと、ポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルの(アルキレングリコール)m単位におけるアルキレングリコールとが、共にポリエチレングリコールである請求項1記載のターポリン。
  3. 該有機リン酸エステルのアルキル単位におけるアルキルと、ポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルのアルキル単位におけるアルキルとが、共にオクチルである請求項1記載のターポリン。
  4. 不飽和エステル系樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のターポリン。
  5. エチレン−酢酸ビニル共重合体の日本工業規格JIS K7210によるMFRが190℃、負荷21.18Nという条件下において0.1〜30g/10minである請求項4記載のターポリン。
  6. エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有量が、10〜25質量%である請求項5記載のターポリン。
  7. 該樹脂が、更にポリエチレンを含有する請求項1〜6のいずれかに記載のターポリン。
  8. ポリエチレンが、メタロセン系ポリエチレンである請求項7記載のターポリン。
  9. 該ターポリン用樹脂組成物が、更に、酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤を該樹脂100質量部に対し0.05〜0.3質量部含有している請求項1〜8のいずれかに記載のターポリン。
  10. 該ターポリン用樹脂組成物が、更に、高周波ウェルダー溶着性改善剤として、シリカ微粒子を樹脂分100質量部に対し0.1〜15質量部含有している請求項9記載のターポリン。
  11. 該基布が、277〜1112dtexのポリエステル繊維からなる平織布である請求項1〜10のいずれかに記載のターポリン。
  12. 該基布の両面に形成された樹脂層が、該ターポリン用樹脂組成物のカレンダー加工により形成されたものである請求項1〜10のいずれかに記載のターポリン。
  13. 基布と、該基布の両面にそれぞれ形成された樹脂層とを有するターポリンの製造方法であって、
    基布の両面に、ターポリン用樹脂組成物からカレンダー加工により樹脂層を形成する工程を有し、
    該ターポリン用樹脂組成物として、不飽和エステル単位を5〜30質量%含む不飽和エステル系樹脂と、該不飽和エステル系樹脂100質量部に対し、0.1〜3.0質量部の割合で滑剤とを含有する樹脂組成物であって、日本工業規格JIS K7210によるメルトフローレート(MFR)が、190℃、負荷21.18Nという条件下において0.1〜30g/10minを示す樹脂組成物を使用し、
    該滑剤として、有機リン酸エステル65〜95質量%とポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテル5〜35質量%とを含有する滑剤組成物を使用し、
    該有機リン酸エステルとして、アルキル単位と(アルキレングリコール)n単位とをそれぞれ少なくとも1個含む構造を有し、アルキル単位におけるアルキルが、炭素数7〜9のアルキルであり、(アルキレングリコール)n単位におけるアルキレングリコールが、炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、nが1〜7の自然数であるものを使用し、
    ポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルとして、アルキル単位と(アルキレングリコール)m単位とを含む構造を有し、アルキル単位におけるアルキルが、炭素数7〜9のアルキルであり、(アルキレングリコール)m単位におけるアルキレングリコールが、炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、mが2〜7の自然数であるものを使用する製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載のターポリンからなるフレキシブルコンテナバッグ。
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