本発明は、以下の本発明の詳細な記述及びそこに含まれる実施例を参照することによりさらに容易に理解され得る。
本発明の化合物、組成物、品目、システム、装置、及び/または方法が、開示されそして記述されるのに先立ち、それらは、特に明示しない限り、特定の合成方法または特定の試薬に限定されず、多様な形態をとりうることを理解されよう。本明細書に使用される用語は、ただ特定の態様を記述する目的のために使用され及び限定を意図しないこともまた理解されよう。本明細書の記述と類似または同等の任意の方法及び物質が、本発明の実践または試験に使用できるが、ここでは例示的な方法及び物質を記述する。
さらに、明示的に別段に定めない限り、本明細書に記載されるいかなる方法も、特定の手順で性能を発揮する工程を必要とすると解釈されることを、決して意図してはいない。したがって、1つの方法の請求項が1つの手順を実質的に繰り返さずに、その工程に従う場合、またはその請求項または記述において、その工程が特定の手順に限定されるという特に別段に定めないかぎり、いかなる関係においても、1つの手順が想定されることを、決して意図してはいない。本明細書は、工程または操作フローの修正に関するロジック事項、文法上の構成または句読点から誘導される明白な意味合い、及び本明細書に記載される態様の数またはタイプを含む解釈において、可能ないかなる非明示的事項をも包含する。
本明細書で触れる全ての公表文献は、それら公表文献の引用に関連して、当該方法及び/または物質を開示及び記述するために、援用によりここに組み込む。
A.定義
本明細書で使用する用語は、特定の態様を記述する目的のみのためであり、限定を意図してはいないことは理解されよう。本明細書及び本請求項に使用する用語「含有している」は、「から成る」及び「から本質的に成る」の態様を包含することができる。特に定義しない限り、本明細書に使用する全ての技術的及び科学的用語は、この発明が属する分野の当業者が通常に理解する意味合いを有する。以下の本明細書及び本請求項において、ここで定義されるべき多数の用語を参照として使用する。
本明細書及び本請求項において使用する、単数用語「ひとつの(a)」「ひとつの(an)」及び「その(the)」は、その文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「一同位体分子」は、2つ以上の同位体分子の混合物を包含する。
本明細書で使用する用語「組み合わせ」は、攪拌物、混合物、合金物、反応物などを含んでいる。
本明細書における範囲は、1つの特定の値から、及び/または他の特定の値までを表しうる。そのような範囲が表現される場合、他の態様は、その1つの特定の値から及び/またはその他の特定の値までを包含する。同様に、値がおおよそとして表現される場合、先行詞「約(about)」の使用によって、その特定の値が、他の態様を形成すると理解されよう。それぞれの範囲の終点は、その他の終点との関係において、及びその他の終点と独立した関係において共に重要であることは、さらに理解されよう。本明細書では多数の値が開示され、及び各値がまた、その値自身に加えて特定の値の「約」ある値として開示されることもまた理解されよう。例えば、仮に値「10」が開示される場合、その結果、「約10」もまた開示される。2つの特定の単位間の各単位もまた開示されると理解されよう。例えば、仮に10及び15が開示される場合、その結果、11、12、13及び14もまた開示される。
本明細書で使用する用語「約(about)」及び「その(at)または約(about)」は、問題にしている量または値が、ある他の値とおおよそまたはほぼ同じであることを示す値であり得る。本明細書での使用において、特に指示または推論がなされない限り、通常の値は±10%の変動を示す、と一般的に理解される。当該用語は、類似の値は、請求項において列挙される同等の結果または影響力を促すことを伝えようとしている。すなわち、量、サイズ、処方、パラメータ、ならびに他の量及び性質は、正確では無く及びその必要は無く、おおよそ及び/またはより大きくまたはより小さく、必要に応じ、公差、変換率、丸め、測定誤差などや当技術分野で公知の要因を反映することができることは理解されよう。一般的に、量、サイズ、処方、パラメータまたはその他の量または性質は、明示されない限り、「約(about)」または「おおよそ(approximate)」である。ここで「約」は、定量値の前に使用され、パラメータはまた、特に別段に定めない限り、特定の定量値それ自身を含む。
本明細書で使用する用語「第一の」、「第二の」、「第一部分の」、「第二部分の」などは、いかなる手順、量、または重要性をも意味せず、及び特に別段の定めない限り、一要素を多要素から区別するために使用する。
本明細書で使用する用語「任意の」または「任意で」は、その後記述される事象または状況が、起こり得るかまたは起こり得ないことを意味し、及びその記述が、事象または状況が起こる事例及び起こらない事例を含んでいることを意味する。例えば、表現「任意の凝固促進剤の存在下において」は、その凝固促進剤が、存在するかもしれないし存在しないかもしれないことを意味し、及びその記述が、凝固促進剤が存在している場合及び存在していない場合を含んでいることを意味する。
本明細書で使用する用語「水」または「純水」は、化学式H2Oを有する標準水または軽水を指す。
本明細書で使用する用語「重水素酸化物」は、化学式D2OまたはHDOを有する、水の水素関連同位体分子のいずれかを指す。
本明細書で使用する用語「トリチウム酸化物」は、化学式T2OまたはHTOを有する、水の水素関連放射性同位体分子のいずれかの形態を指す。
本明細書で使用する用語「汚染物質」は、トリチウム酸化物の任意の量を指す。
本明細書で使用する用語「汚染溶液」は、水及びトリチウム酸化物の任意の量を含む水から成る溶液または液体流を包含する。
本明細書で使用する用語「冷却された」または「冷却している」は、例えば汚染溶液を含む液体流から熱を除去することを包含する。
本明細書で使用する用語「供給物」は、ろ過器に送り込まれる冷却された汚染溶液を指す。
本明細書で使用する用語「ろ材」は、材料が少なくとも2種の同位体分子から成る液体混合物から、少なくとも1種の同位体分子を選択的に捕捉でき、そのためその捕捉された同位体分子の少なくとも一部が、そのろ過器に残り及びその他の同位体分子から成るろ液が、そのろ材を通り抜けることを指す。非限定的なろ材の例として、凍結水、凍結及び液体水のスラリー、凍結重水素酸化物、そして凍結及び液体の重水素酸化物のスラリーを包含する。
本明細書で使用する用語「ろ液」は、本明細書に記述するろ過装置を通過する液体流を指す。
本明細書で使用する用語「捕捉する」は、当該ろ材の一部または全体を使用して、その結晶格子の中に、凍結し、吸収し、核形成し、または閉じ込めて、汚染溶液から汚染物質の少なくとも一部を除去する化学的、物理的または機械的プロセスを指す。
本明細書で使用する用語「ろ過器」は、当該供給物を受け入れ、当該ろ材を含み、及び当該ろ液を産出する機能を有し、汚染物質を捕捉するよう設計された一連の操作を指す。
本明細書で使用する用語「氷」は、重水素酸化物及びトリチウム酸化物を含む、水及び水の同位体分子のいずれかの固相状態物質を指す。
本明細書で使用する用語「汚染氷」は、凍結したトリチウム酸化物の一定量からさらに成る、前述に定義した氷を指す。
本明細書で使用する用語「同位体分子」は、それらの同位体組成のみが異なる分子を指す。一化学種の同位体分子は、その親原子と異なる中性子数を伴う少なくとも1つの原子を有する。一例が水であり、その水素関連同位体分子のいくつかは、「軽水」(HOHまたはH2O)、プロチウムと同じ割合の重水素同位体である「半重水」(HDOまたは1H2HO)、1分子当たり水素の2つの重水素同位体を有する「重水」(D2Oまたは2H2O)、及び「超重水」またはトリチウム水(T2Oまたは3H2O)であり、ここでその水素原子は、トリチウム同位体と置き換えられる。
本明細書で使用する用語「塩水」は、本明細書の少なくとも1種の溶解塩の濃度を有する水を指す。
本明細書に記述の方法に使用する組成物それ自身と共に、本発明の組成物を作るために使用する成分を開示する。本明細書に開示するこれら物質及びその他の物質は、それらの組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどを開示する場合、それら化合物の互いに多様に独立した及び集合した組み合わせ及び組換えによる特定の参照が、明確に開示され得ないとしても、各参照を、特別に意図し記述していると理解されよう。例えば、ある特定の化合物を開示及び論議し、そしてその化合物を含む多数の分子を製造できる多数の修正変更を論議する場合、特に明示しない限り、その化合物及び可能な修正変更の各々及び全ての組み合わせそして組換えを意図している。したがって、仮に分子A、B、及びCのクラスを、分子D、E及びFのクラスと同様に開示し及び組み合わせ分子の例、A−Dを開示した場合、そして、たとえ仮に各組み合わせを独立して列挙しない場合でも、各々が独立した及び集合した組み合わせとして、A−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、C−Fの開示を考慮する。同様に、任意のサブセットまたは組み合わせを開示する。例えば、A−E、B−F、及びC−Eのサブセットの開示も考慮されるであろう。このコンセプトを、非限定的に、本発明の組成物を作り及び使用する方法における工程を含む本出願の全ての態様に適用する。このように、仮に実施され得る多様な追加工程が存在する場合、これら追加工程の各々が、本発明の方法の任意の特定の態様または態様の組み合わせにおいて実施され得る、と理解されよう。
一組成物または品目における特定の一要素または成分の重量部に対応した、本明細書及び最終の請求項における参照は、重量部での表現に対応した組成物または品目において、その要素または成分と任意の他の要素または成分間の重量的な関係性を表す。したがって、成分Xの2重量部及び成分Yの5重量部を含む化合物において、X及びYは、重量比が2対5であることを示し、及びその化合物に追加の成分が含まれているかどうかに関係のないそうした比率を示す。
ある成分の重量パーセント(「wt%」)は、特に明示の無い限り、その成分が含まれる処方物または組成物の総重量に基づいている。例えば、仮にある組成物または品目における特定の要素または成分が、8重量%を有するとされる場合は、このパーセントは、総組成物パーセントである100重量%に対する相対量であると理解される。
本明細書で使用する用語または表現「有効な」、「有効量」、または「〜に有効な条件」は、有効な量で表現される事柄に対する機能または性質を発揮できる量または条件を指す。以下に指摘するように、求められる正確な量または特定の条件は、採用された物質及び観察されたプロセス条件などの認識できる変数に応じて、1つの態様から他の態様に変動する。したがって、正確な「有効量」または「〜に有効な条件」を特定することが、常に可能であるとは限らない。しかしながら、適切な有効量は、日常的な実験だけを使用した当技術分野に一般的な技量の1つによって、容易に決定されるであろうと考えて良い。
本明細書に開示する各物質は、市販されているか及び/またはその物質の製造法が当技術分野において公知であるかのいずれかである。
本明細書に開示する組成物は、特定の機能を有すると理解される。本明細書では、開示された機能を発揮するために必要な特定の構造要件が開示され、及び当該開示機能と関連し同様の機能を発揮できる多様な構造が存在し、及びそれらの構造は、通常は同じ結果を達成すると理解される。
B.同位体分子の分離法
簡略に前述したように、1つの態様において、本開示は、同位体分子の混合物の分離法に関する。1つの態様において、本発明の方法は、多様な同位体分子の混合部を分離する手段として、多様な同位体分子間の凝固点または結晶化点における差異を利用する。この実施態様において、当該方法は、最初に、第一凝固温度を有する第一同位体分子及び第二凝固温度を有する第二同位体分子の混合物を含む液体流を第一に与えることから成り、ここで、当該第一同位体分子の凝固温度が、当該第二同位体分子の凝固温度より低い。次いで、その液体流が、当該第二同位体分子を選択的に凝固または結晶化させることができるろ過装置に送り込まれ、そのため当該第二同位体分子の少なくとも一部が凝固または結晶化してそのろ過器に残り、及び当該第一同位体分子を含有するろ液がそのろ過器を通り抜ける。いくつかの態様において、当該液体流はさらに、少なくとも1種の溶解塩の濃度を含有し、そのため当該第一同位体分子は、少なくとも1つの溶解塩の濃度の存在下において第一凝固温度を有し、及び当該第二同位体分子は、少なくとも1つの溶解塩の濃度の存在下において第二凝固温度を有し、ここで当該第一同位体分子の凝固温度が、当該第二同位体分子の凝固温度より低い。例えば、いくつかの態様において、当該第一同位体分子は、少なくとも1つの溶解塩の濃度の存在下において降下した凝固温度を有する。
このように、さらなる態様において、同位体分子の混合物の分離に対応し方法を本明細書で記述する。当該方法は、次のa)及びb)の工程から成り、a)混合物から成る液体流を与え、当該混合物が、i)少なくとも1つの溶解塩の濃度、ii)その少なくとも1つの溶解塩の濃度の存在下で、第一凝固温度を有する第一同位体分子、及びiii)その少なくとも1つの溶解塩の濃度の存在下で、第二凝固温度を有する第二同位体分子から成り、ここで、第一同位体分子の凝固温度が、第二同位体分子の凝固温度より低く、及びb)選択的に第二同位体分子を捕捉できるろ過器にその液体流を導き、そのため第二同位体分子の少なくとも一部が、そのろ過器に残り及び第一同位体分子を含有するろ液が、そのろ材を通り抜ける。
同位体分子の混合物の分離に対応した方法をさらに記述する。当該方法は、a)混合物から成る液体流を与え、当該混合物が、i)第一凝固温度を有する第一同位体分子、及びiii)第二凝固温度を有する第二同位体分子から成り、ここで、第一同位体分子の凝固温度が、第二同位体分子の凝固温度より低く、及びb)選択的に第二同位体分子を捕捉できるろ過器にその液体流を導き、そのため第二同位体分子の少なくとも一部がろ過器に残り及び第一同位体分子を含有するろ液が、そのろ材を通り抜け、ここでそのろ過器が、第一同位体分子の第一凝固温度と第二同位体分子の第二凝固温度の間の温度を維持するろ材から成り、及びここでそのろ材が、第一及び第二同位体分子の凍結及び液体の第三同位体分子のスラリーから成る。
いくつかの態様において、液体流を提供する工程が、少なくとも1種の塩の濃度を第一及び第二同位体分子の液体混合物に添加することから、さらに任意で成る。さらなる態様において、少なくとも1種の溶解塩を、液体流をろ過器に導く前に、その最中に、またはその後に、第一及び第二同位体分子の液体混合物に添加する。さらなる態様において、工程b)の後で、溶解塩の少なくとも一部を、第二同位体分子がろ過器により選択的に捕捉された後のろ液から除去する。
さらなる態様において、液体流に溶解した少なくとも1種の塩の濃度が、任意の望ましい濃度での任意の望ましい塩から成り得る。いくつかの態様において、少なくとも1種の塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウム、またはそれらの組み合わせを包含する。その他の態様において、少なくとも1種の塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、およびそれらの塩を包含する。さらなる態様において、少なくとも1種の溶解塩が、液体流にある濃度で存在し、そこでその液体流が、少なくとも1種の塩の存在下で、第一同位体分子の凝固温度を純水の凝固温度以下に降下させるのに十分な塩分濃度を有する。いくつかの態様において、当該液体流が、少なくとも約0.05%の塩分濃度を有する。さらなる態様において、当該液体流が、少なくとも約0.05%から約5%の範囲における塩分濃度を有する。なおもさらなる態様において、当該塩分濃度が、前述の例示値の任意の2つから導かれる範囲にあり得る。例えば、当該塩分濃度が、0.05%から3.8%の範囲にあり得る。
いくつかの態様において、当該ろ過器が、第二同位体分子部分の少なくとも一部を凝固させることにより選択的に捕捉することができる。他の態様において、当該ろ過器が、第二同位体分子部分の少なくとも一部に核形成することにより選択的に捕捉することができる。さらなる態様において、当該ろ過器の工程b)が、第一同位体分子の凝固温度と第二同位体分子の凝固温度の間の温度を維持するろ材から成る。さらなる態様において、第二同位体分子を選択的に凝固または結晶化させることができるろ過器またはろ過装置が、例えば、第一同位体分子の凝固温度と第二同位体分子の凝固温度の間の温度を維持する、任意の望ましいフロースルーろ過器またはろ材から成り得る。例えば、本開示の多様な態様において、当該液体流が温度制御されたろ過器を通過し、その液体流中の第二同位体分子の凝固温度が、ろ材が維持している温度より高いので、ろ材が、第二同位体分子の凝固及び結晶化に対応した核形成部分としての役割を果たす。さらなる態様において、当該ろ材が、第一同位体分子の凝固点または結晶化点より高い温度を維持しているので、第一同位体分子を含むろ液は、そのろ材で凝固せずに通過する。
多様な態様において、本発明の方法が、水とトリチウム酸化物から成る液体流からのトリチウム酸化物の分離に特に良く適応している。他の態様において、本開示の方法は、少なくとも1種の溶解塩の濃度、水、及びトリチウム酸化物の混合物から成る液体流からのトリチウム酸化物の分離に適している。当業者には理解されるであろうが、標準的な大気圧条件下では、水の凝固点は、おおよそ0.0℃であり及びトリチウム酸化物の凝固点は、おおよそ4.49℃である。さらなる態様において、当業者には理解されるであろうが、標準的な大気圧条件および少なくとも1種の溶解塩の存在下では、水の凝固点は、0.0℃未満である。したがって、1つの態様において、第一同位体分子としての水と第二同位体分子としてのトリチウム酸化物の混合物から成る液体流を、0℃を超えて高く4.49℃未満の範囲に温度を維持するろ材から成るろ過装置を通過させることにより、トリチウム酸化物の少なくとも一部は、液体流で核形成し、凝固し及び結晶化してろ過器に残る一方、水から成るろ液は、引き続きろ過器を通過する。他の態様において、少なくとも1種の溶解塩、第一同位体分子としての水、及び第二同位体分子としてのトリチウム酸化物の混合物から成る液体流を、少なくとも1種の溶解塩濃度の存在下で第一同位体分子の凝固温度を超えて高く、少なくとも1種の溶解塩濃度の存在下で第二同位体分子の凝固温度未満の範囲に温度を維持するろ材から成るろ過装置を通過させることにより、液体流のトリチウム酸化物の少なくとも一部は、核形成し、凝固し及び結晶化してろ過器に残る一方、水から成るろ液は、引き続きろ過器を通過する。例えば、第一同位体分子としての水の凝固点を降下せるために、第一及び第二同位体分子の液体混合物に溶解塩の濃度を利用することによって、その液体流に存在するトリチウム酸化物の少なくとも一部を選択的に捕捉することができるろ材としての純粋な凍結水の使用が可能になる。
本発明の特定の実施形態における以下の論議において、標準水または軽水を、第一同位体分子の例として取り上げ及びトリチウム水を、第二同位体分子の例として取り上げる。さらに、他の例示的な実施形態において、重水素酸化物を、ろ材としての使用に適した第三同位体分子として取り上げる。しかしながら、この用法は、簡便性のみに対応したものであり及び、少なくとも1種の溶解塩の存在の有無にかかわらず、本明細書に記述する本発明の方法が、水及びトリチウム酸化物から成る液体流からのトリチウム酸化物の分離に特に適しているという事実を反映している。したがって、これらの例示的な論議は、これら同位体分子の使用のみに、またはこれら同位体分子の分離法または濃縮法のみに発明を限定することを意図したものではない。
本開示のさらなる態様において、当該液体流中の第一及び第二同位体分子の第三同位体分子から成るろ材が特に有益であり得ることを見出した。例えば、第一同位体分子としての水及び第二同位体分子としてのトリチウム酸化物から成る液体流の例において再び、凝固した重水素酸化物または重水素酸化物の氷が、例示的なろ材として使用できる。当業者には理解されるであろうが、標準的な大気圧条件下では、重水素酸化物の凝固点は、おおよそ3.82℃である。したがって、第一同位体分子としての水と第二同位体分子としてのトリチウム酸化物の混合物から成る液体流を、0℃を超えて高く3.82℃未満の範囲に温度を維持するろ材としての重水素の氷から成るろ過装置を通過させることにより、液体流中のトリチウム酸化物の少なくとも一部は、その重水素氷に接触することで、核形成及び凝固する一方、水から成るろ液は、引き続きろ過器を通過する。
いくつかの態様において、本発明の方法は、当該液体流に存在する第一同位体分子または第一及び第二同位体分子の第三同位体分子から成るろ材を、利点として採用できることを見出した。例えば、少なくとも1種の溶解塩濃度、第一同位体分子としての水、及び第二同位体分子としてのトリチウム酸化物の混合物から成る液体流の例において、凍結水または純氷を、例示的なろ材として使用できる。当業者には理解されるであろうが、標準的な大気圧条件下では、水の凝固点は、おおよそ0℃である。したがって、少なくとも1種の溶解塩濃度、第一同位体分子としての水、及び第二同位体分子としてのトリチウム酸化物の混合物から成る液体流を、少なくとも1種の溶解塩濃度の存在下で第一同位体分子の凝固温度を超えて高く、少なくとも1種の溶解塩濃度の存在下で第二同位体分子の凝固温度未満の範囲に温度を維持する、ろ材としての凍結水または氷から成るろ過装置を通過させることにより、その液体流中のトリチウム酸化物の少なくとも一部は、その凍結水または氷に接触することで、核形成及び凝固する一方、溶解塩及び水から成るろ液は、引き続きろ過器を通過する。いくつかの態様において、当該ろ材は、塩の存在下で第一同位体分子の凝固点を超えて高く、約0℃未満の範囲の温度を維持する。さらなる態様において、当該ろ材は、−3℃を超えて高く、約0℃未満の範囲に温度を維持する。さらなる態様において、当該ろ材は、−2℃を超えて高く、約0℃未満の範囲に温度を維持する。さらなる態様において、当該ろ材は、−1℃を超えて高く、約0℃未満の範囲に温度を維持する。
同様に、少なくとも1種の溶解塩濃度、第一同位体分子としての水、及び第二同位体分子としてのトリチウム酸化物の混合物から成る液体流を、少なくとも1種の溶解塩濃度の存在下で第一同位体分子の凝固温度を超えて高く、約3.82℃未満の範囲に温度を維持するろ材としての凍結重水素酸化物または重水素酸化物の氷から成るろ過装置を通過させることにより、液体流中のトリチウム酸化物の少なくとも一部は、その重水素氷との接触により、核形成し及び凝固する一方、溶解塩及び水から成るろ液は、引き続きろ過器を通過する。
本開示のさらなる態様において、トリチウム酸化物を例示的な液体から除去するろ材は、そのろ材が、液体流中での第一同位体分子の相対凝固温度を超えて高く、液体流中での第二同位体分子の相対凝固温度未満の温度を維持し、トリチウム酸化物の凝固に対応した核形成部分を与え及びトリチウムの氷構造を容易に受け入れ得る結晶構造を与える、と規定される水の同位体分子以外の物質であり得る。例えば、少なくとも1種の溶解塩濃度、第一同位体分子としての水、及び第二同位体分子としてのトリチウム酸化物の混合物から成る液体流の例においてまた、トリチウム酸化物を例示的な液体から除去するろ材は、そのろ材が、−3℃から0℃未満の温度を維持し、トリチウム酸化物の凝固に対応した核形成部分を与え及びトリチウムの氷構造を容易に受け入れ得る結晶構造を与える、水の同位体分子以外の物質であり得る。
これを受けた実験結果は、ステンレスウールなどの素材は、トリチウム酸化物の氷の捕捉に適した結晶構造を示さないので、液体流組成物に関わらずろ材としての性能を発揮しないことを示している。少なくとも1種の溶解塩が無い場合には、標準(軽)水の氷を実験的に評価したが、4.49℃から0℃の間の温度に保持すると融解して、ろ材として十分に機能しない。
さらなる態様において、本明細書に記述するように、当該ろ材を望ましい温度に維持することは、例えば従来の冷凍技術などを含む公知の温度調整手段を使用して達成できる。1つの例示的な実施形態において、当該ろ過装置は、望ましい温度に維持されている氷浴に沈めることができる。
さらなる態様において、ろ過装置に液体流を導く前に、当該方法は任意で、そのろ材が維持する温度未満に液体流の温度を調整することを、さらに包含して良い。例えば、いくつかの態様において、当該液体流が水とトリチウム酸化物の混合物から成り及び当該ろ材が、0℃を超えて高く、3.82℃未満の範囲に温度を維持された重水素氷から成る場合の実施形態ではまた、ろ過器に当該液体流を導く前に、その液体流の温度を、同様に0℃を超えて高く、3.82℃未満の範囲で、随意に保証することは有益である。理解されることだが、重水素氷のろ材の融点より高い温度の液体流は、そのろ材で結晶化し集積したいずれものトリチウム酸化物とろ材の融解を引き続き起こす可能性がある。しかしながら、ろ材で核形成し及び結晶化した重水素氷またはトリチウム酸化物の氷のいずれかの凝固点より低い温度にその液体流を調整することにより、ろ過器を通過する液溶媒は、重水素酸化物の氷またはろ過器に残る捕捉されたトリチウム酸化物のいずれをも融解しないであろう。さらに、その液体流が、その液体流中の水の凝固点より温かい温度に維持されるので、水それ自体は凍結せず、ろ液としてろ材を通過する。
他の態様において、当該液体流が、少なくとも1種の溶解塩濃度、水、及びトリチウム酸化物の混合物から成り、及び当該ろ材が、少なくとも1種の溶解塩濃度の存在下で第一同位体分子の凝固温度を超えて高く、少なくとも1種の溶解塩濃度の存在下で第二同位体分子の凝固温度未満の範囲に温度を維持された標準(軽)水の氷から成る実施形態において、ろ過器に当該液体流を導く前に、その液体流の温度を同様に、少なくとも1種の溶解塩濃度の存在下で第一同位体分子の凝固温度を超えて高く、少なくとも1種の溶解塩濃度の存在下で第二同位体分子の凝固温度未満の範囲で、随意に保証することは有益である。理解されることだが、標準(軽)水の氷のろ材の融点より高い温度の液体流は、そのろ材で結晶化し集積したいずれものトリチウム酸化物とろ材の融解を引き続き起こす可能性がある。しかしながら、ろ材で核形成し及び結晶化した標準(軽)水の氷またはトリチウム酸化物の氷のいずれかの凝固点を下回って低い温度にその液体流を調整することにより、ろ過器を通過する溶液は、標準(軽)水氷またはそのろ過器に残る捕捉されたトリチウム酸化物のどちらも融解しないであろう。さらに、当該液体流が、その液体流中の少なくとも1種の溶解塩濃度の存在下で水の凝固点より温かい温度に維持されるので、水それ自体は凍結せず、ろ液としてろ材を通過する。
さらなる態様において、ろ材に対して同様な方法で、本明細書で記述する望ましい温度に液体流の温度を調整することは、例えば従来の冷凍技術などを含む公知の温度調整手段を使用して達成できる。1つの例示的な実施形態において、当該液体流は、液体流の供給ラインでの滞留時間が、その液体流を望ましい温度にするので、原位置から冷却された供給ラインを通して当該ろ過器に移動できる。さらなる例示的な態様において、当該供給ラインは、望ましい温度に維持された氷浴中に沈めることができる。
さらなる態様において、当該ろ過装置は、ろ液を通過させる一方で、同位体分子の液体混合物に存在する求められる同位体分子を選択的に凍結または結晶化することができる任意のろ過器であり得る。例えば、水とトリチウム酸化物の混合物から成る液体流に関連して前述したように、当該ろ過装置は、適切なろ材としての凍結した重水素酸化物から成り得る。当該重水素酸化物の氷は、任意の形状、サイズ、または形態から成り得る。いくつかの態様において、当該重水素酸化物の氷は、重水素酸化物を分割した微細な氷粒子を提供するように、従来の粉砕装置を使用して粉体化できる。例えば、粉体化は、非限定的に、粉砕、研磨、切削、噴霧凍結、低温急速凍結、断熱造雪機、及び小片化固化装置(scrapped wall crystallizer)を含む市販の機械的方法または微細な分割氷または汚染氷の結晶を生産する技術によって実施できる。いくつかの態様において、当該重水素酸化物の氷は、サイズに変動幅のある氷粒子の一群を形成するように、粉体化できる。他の態様において、当該重水素酸化物の氷は、均一な氷粒子の一群を形成するように、粉体化できる。1つの態様において、凍結重水素酸化物の表面を微細に分割することは、ろ材を通過する液体流と接触できるその表面積を非常に増加させ及び反応速度を非常に増加させる。例えば重水素酸化物の氷のようなろ材は、任意の望ましい粒度分布を与えるように、粉体化できる。本開示の観点から、当業者には理解されるであろうが、当該ろ材の粒子サイズの性質は、例えば、ろ材の望ましい表面積、供給量を受け入れ可能なろ材層内での望ましい細孔容積または空間容積、または望ましいろ過器の通過流速などの、多様な要因に応じて、容易に望ましい特注化ができる。いくつかの態様において、ろ材として使用する当該重水素酸化物の氷は、425μm未満の粒子サイズを有する微細に分割された氷粒子の一群を提供するように、粉体化できる。他の態様において、ろ材として使用する当該重水素酸化物の氷は、425μmより大きい粒子サイズを有する微細に分割された氷粒子の一群を提供するように、粉体化できる。さらなる態様において、当該重水素酸化物の氷は、角氷または塊氷を包含できる。
その他の態様において、例えば、少なくとも1種の溶解塩濃度、水、及びトリチウム酸化物の混合物から成る液体流に関連して前述したように、当該ろ過装置は、適切なろ材として凍結した標準水または凍結した重水素酸化物から成り得る。当該標準水または重水素酸化物の氷は、任意の形状、サイズ、または形態から成り得る。いくつかの態様において、当該標準水の氷または重水素酸化物の氷は、微細に分割された氷粒子を提供するように、従来の粉砕装置を使用して粉体化できる。例えば、粉体化は、非限定的に、粉砕、研磨、切削、噴霧凍結、低温急速凍結、断熱造雪機、及び小片化固化装置(scrapped wall crystallizer)を含む市販の機械的方法または微細な分割氷または汚染された氷結晶を生産する技術によって実施できる。いくつかの態様において、当該標準水の氷または重水素酸化物の氷は、サイズの変動幅を有する氷粒子の一群を形成するように、粉体化できる。1つの態様において、当該標準水の氷または重水素酸化物の氷は、均一な氷粒子の一群を形成するように、粉体化できる。他の態様において、凍結した重水素酸化物の表面を微細に分割することは、ろ材を通過する液体流と接触できるその表面積を非常に増加させ及び反応速度を非常に増加させる。例えば標準水の氷または重水素酸化物の氷のようなろ材は、任意の望ましい粒度分布を与えるように、粉体化できる。本開示の観点から、当業者には理解されるであろうが、当該ろ材の粒子サイズの性質は、例えば、ろ材の望ましい表面積、供給量を受け入れ可能なろ材床内での望ましい細孔容積または空間容積、または望ましいろ過器の通過流速を含む、多様な要因に応じて、容易に望ましい特注化ができる。いくつかの態様において、ろ材として使用する当該標準水または重水素酸化物の氷は、425μm未満の粒子サイズを有する微細に分割された氷粒子の一群を提供するように、粉体化できる。他の態様において、ろ材として使用する当該標準または重水素酸化物の氷は、425μmより大きい粒子サイズを有する微細に分割された氷粒子の一群を提供するように、粉体化できる。さらなる態様において、当該標準水の氷または重水素酸化物の氷は、角氷または塊氷を包含できる。
いくつかの態様において、当該ろ材は、少なくとも1種の追加の凍結促進剤または誘導剤を含有できる。1つの態様において、その凍結促進剤は、核形成剤を包含する。当業者には理解されるであろうが、核形成剤は、安定な六角形(6面)パターンに水分子を整えることによって氷形成を促進でき、氷の核生成を可能にする。さらなる態様において、当該凍結促進剤は、タンパク質、ミネラル、植物物質、微生物、有機物質、またはそれらの組み合わせを包含する。さらなる一態様において、当該凍結促進剤は、氷核生成タンパク質である。
さらなる態様において、例えば標準水の氷または重水素酸化物の氷などのろ材は、液体流をろ過器に導く前に、そのろ過器中で任意の望ましい形態になり得る。例えば、1つの態様において、液体流をろ過器に導く前に、当該ろ材は実質的に、凍結水から成る。他の態様において、液体流をろ過器に導く前に、当該ろ材は実質的に、凍結水の粒子及び液体水のスラリーから成る。その他の態様において、液体流をろ過器に導く前に、当該ろ材は実質的に、凍結した重水素酸化物から成る。さらなる態様において、液体流をろ過器に導く前に、当該ろ材は実質的に、凍結した重水素酸化物の粒子及び液体の重水素酸化物のスラリーから成る。
さらなる態様において、当該ろ材の固液比は、任意の望ましい比率から成り得る。例えば、当該ろ材の氷液比は、1:99から99:1になり得て、例示的な比率として5:95、25:75、50:50、75:25、及び95:5を包含する。さらなる態様において、その固液比は、前述の例示的な比率の任意の二つから誘導される範囲であり得る。例えば、ろ材の固液比は、5:95から95:5の範囲であり得る。
図1を参照して、例示的なろ過装置100を示す。描かれているように、当該ろ過装置は、管状の円筒ろ過器の例として、内部室112を定め及び近位端114と遠位端116を有する、導管または筐体110から成る。第一入口部118は、同位体分子の液体混合物を118から内部室へと導くための流体経路を与える、円筒の近位端に定めることができる。出口部120は、同様に円筒の内部室を出ていくろ液流に対応した流体経路を与える、円筒の遠位端に定めることができる。本明細書に記述される、例えば凍結した標準水の氷粒子の充填層122などの、任意の望ましいろ材は、内部室内に収められ、そのため入口部118を通して内部室に入り込む液体流は、円筒内のろ材に接触する。さらなる態様において、当該ろ材は、凍結した標準水の粒子及び液体水のスラリー122である。
いくつかの態様において、当該ろ材との接触で、例えばトリチウム酸化物などの液体流中に存在する第二同位体分子は、核形成及び結晶化し、そのためろ材に捕捉される一方、例えば水などの第一同位体分子から成るろ液は、当該ろ材を通過し、及びその後出口部120を出る。他の態様において、当該ろ材との接触で、例えばトリチウム酸化物などの液体流中に存在する第二同位体分子は、核形成及び結晶化し、そのためろ材に捕捉される一方、少なくとも1種の溶解塩濃度及び例えば水などの第一同位体分子から成るろ液は、当該ろ材を通過し、及びその後出口部120を出る。
少なくとも1つの態様において、ろ過装置を出ていく当該ろ液は、例えば、そのろ液中に残る第二同位体分子の種類、有無、量を決定するために集積され及び分析され得る。そのような分析は、手動で実施でき、または例えば液体シンチレーション計測法などを使用した、ろ液の自動試験または分析試験が可能である。例えば、水及びトリチウム酸化物の混合物から成る液体流について記述する前述の実施形態においてはまた、ろ過器を通過したろ液に残るトリチウム酸化物の種類、有無、量を決定するために、液体シンチレーション計測法を使用して、ろ液を分析できる。仮に、そのろ液に残る第二同位体分子の量が決定され、及びそのろ液に残る第二同位体分子の量が、あらかじめ設定した閾値を超える場合は、そのろ液を、ろ過器に戻してろ液を再導入し、再ろ過を実施できる。ろ液の再導入の工程は、随意で、まだそのろ過装置に投入していない追加の液体流と分析したろ過体を均質化したものからなり得る。
さらなる態様において、ろ液の分析において、仮にそのろ液中に残る第二同位体分子の量が、あらかじめ設定された閾値未満であると決定される場合、そのろ液は、直接廃棄できる。水の液体流からトリチウム酸化物を除去する例示的な実施形態を参照して、ろ液の「廃棄」は、そのろ液が、該当する管轄の法的許容範囲内である限り、トリチウム酸化物の濃度を一旦水路に出す従来の廃棄を包含できる。例えば、アメリカ合衆国の場合、トリチウムからの特定の活性が20,000pCi/リッター未満であれば、水流を水路に廃棄することが法的に許容される。したがって、いくつかの実施形態において、本開示の方法は、そのろ液の廃棄が可能な方法で、同位体分子の混合物からある同位体分子を捕捉し及び分離することができる。例えば、当該方法は、水の液体流に存在するトリチウム酸化物の濃度を、20,000pCiを超える閾値から、アメリカ合衆国でそのろ液の廃棄が許容される濃度の、20,000pCi閾値以下に低減することができる。
他の態様において、ろ過装置を出たろ液は、集積され及び、当該第二同位体分子が選択的にろ過器で捕捉された後、例えば、溶解塩の少なくとも一部が、そのろ液から除去される淡水化工程などの、さらなる随意の処理工程に供給される。そのような淡水化工程は、手動で実施可能でありまたは、例えば、逆浸透膜や真空蒸留などの方法を使用して自動化で実施可能である。例えば、当該液体流が、少なくとも1種の溶解塩濃度、水、及びトリチウム酸化物の混合物から成る前述の実施形態においてまた、そのろ液は、少なくとも1種の溶解塩濃度を除去するために、逆浸透膜や真空蒸留を使用して淡水化できる。この追加処理の工程において、そのろ液は、随意に、例えば原子炉冷却などの他の目的に使用できる。
さらなる態様において、当該ろ材は、必要に応じて、随意の処理工程に施すことができる。例えば、時間の経過と共に、ろ材を廃棄するため、ろ材に捕捉された同位体分子を廃棄するため、またはろ材をリサイクルするために、そのろ材を取り除くことは有益であろう。例えば、特定の重水素酸化物の氷から成る例示的なろ材を再び参照して、そのろ材はリサイクル可能である。このリサイクルプロセスは、ろ材に捕捉された任意のトリチウム酸化物と共に重水素酸化物の氷を取り除き、凍結した重水素酸化物のろ材及び凍結したトリチウム酸化物を共に融解し、複合した融解流を与え、及び続いてその均質化した融解流を再凍結して第二世代のまたはリサイクル化ろ材を与えることから成り得る。一度再凍結した、重水素酸化物とトリチウム酸化物の複合物は、ろ材としてのろ過装置への再投入に先立ち、本明細書に記述のように任意の望ましい粒子サイズ分布に粉体化できる。この任意のリサイクル工程は、微細に分割された重水素酸化物の氷の表面に捕捉され、均質化及び再凍結化によって、結晶格子に安全に組み込まれたトリチウム酸化物などの、分離された同位体分子に対して実施できる。この工程は、分離された同位体分子が液体流に再導入されてろ過器のろ材を通過することを防ぐ。この工程はまた、たとえ汚染氷の混入物レベルが、汚染溶液の混入物レベルより大きい場合であっても、そのろ材が、継続して効果的に同位体分子混入物を捕捉し及び分離することを可能にする。
その他の態様において、粒子状の標準(軽)水の氷から成る例示的なろ材の例を参照して、そのろ材はリサイクルできる。このリサイクルプロセスは、ろ材により捕捉された任意のトリチウム酸化物と共に標準(軽)水の氷を除去し、任意の塩水を排水し、凍結した標準(軽)水の氷のろ材と凍結したトリチウム酸化物を共に融解して複合した融解流を与え、その融解流を均質化し、及び続いてその均質化した融解流を再凍結して、第二世代またはリサイクル化ろ材を与えることから成り得る。一旦再凍結された、標準(軽)水及びトリチウム酸化物の複合物は再び、ろ材としてろ過装置に再投入する前に、本明細書に記述する任意の望ましい粒子サイズ分布に粉体化できる。この随意のリサイクル工程は、微細に分割された標準(軽)水の氷の表面に捕捉され、均質化及び再凍結化によって、結晶格子に安全に組み込まれたトリチウム酸化物などの、分離された同位体分子に対して実施できる。この工程は、分離された同位体分子が液体流に再導入されてろ過器のろ材を通過することを防ぐ。この工程はまた、たとえ汚染氷の混入物レベルが、汚染溶液の混入物レベルより大きい場合であっても、そのろ材が、継続して効果的に同位体分子混入物を捕捉し及び分離することを可能にする。
しかしながら、水からトリチウム酸化物を除去する例示的な実施形態において、それに続くトリチウム酸化物の高濃縮レベルを含むろ材の廃棄は、許可を受けた廃棄施設による特別なプロセスが必要であることは理解されるべきである。
当業者には理解されるであろうが、水の液体流からトリチウム酸化物を濃縮または分離しようとする場合、偶発的な放出またはトリチウムを含んだ漏れを起こさないことを保証する特別の配慮が要求される。本開示による方法に関連して、トリチウムの分離は、トリチウム酸化物の凍結及び再結晶化により実施でき、凍結トリチウム酸化物が昇華し及び周辺の大気中に漏れ出すというリスクを防ぎまたは最小化するために、随意の工程を取ることができる。そのために、本開示による方法のさらなる実施形態において、トリチウム酸化物のそのような昇華を防ぐために、当該ろ過装置を取り巻く環境状態を、外気環境または大気条件から変更できる。例えば、当該ろ過装置を水槽中に沈めることができる。必要ならば、その水槽を、前述のように、重水素酸化物のろ材及び融解からそこに集積されたトリチウム酸化物を防ぐのに十分な低い温度に改造できる。さらに、その水槽が、トリチウム酸化物の氷が昇華する可能性を最小化する。特定の実施形態において、少なくとも2.5インチの深さの水を入れた浴槽に当該ろ過装置を保持することが推奨されることを見出した。トリチウム酸化物の昇華を防ぐさらなる実施において、当該ろ過装置を、大気圧条件よりさらに非常に低い圧力下に保持することができる。例えば、圧力が6mm水銀圧以下である環境に当該ろ過装置を保持することは同様に、凍結したトリチウム酸化物が昇華するリスクを最小化するのに効果的であり得る。さらなる実施形態において、当該方法は、当該ろ過装置を、水槽に入れた上に前述の減圧下に保持することから成り得る。
本明細書に開示する方法は、液体水流からトリチウム酸化物を分離するなどの、同位体分子の連続的分離が可能である。図2を参照して、開示する方法の例示的な配列を図解したフローチャートを示す。そこに示すように、水及びトリチウム酸化物の混合物から成る汚染水または液体流200を、工程202で、例えば約1.0℃などの、あらかじめ設定した温度に冷却する。他の態様において、少なくとも1種の溶解塩濃度、水、及びトリチウム酸化の混合物から成る汚染水または液体流200を、工程202で、例えば約−0.3℃などの、あらかじめ設定した温度に冷却する。
いくつかの態様において、冷却工程に次いで、当該液体流を、微細に分割された標準(軽)水の氷粒子または重水素酸化物の氷粒子などのろ材から成るろ過器204に導入する。その他の態様において、冷却工程に次いで、当該液体流を、凍結及び液体の標準(軽)水のスラリーまたは凍結及び液体の重水素酸化物のスラリーなどのろ材から成るろ過器204に導入する。次いでろ液206は、工程208で回収され及び分析される。その時点で存在しているトリチウム酸化物のレベルの分析及び決定に次いで、工程210で、そのろ液は、供給流としてろ過プロセスに直接戻すか、さらなる処理工程に供するかのいずれかであり得、または後続の廃棄プロセス212に直送され得る。
図2をさらに参照し及び前述の工程200から212に記述されるろ過循環プロセスとの組み合わせにおいて、当該ろ材を、連続リサイクルまたは廃棄の循環に供することができる。図解のように、ろ液206の回収に次いで、捕捉したトリチウム酸化物を含有するろ材を、工程214において、ろ過器から除去し、融解し、及び均質化できる。均質化に次いで、その融解した均質な物質をリサイクル循環に送るか、またはその物質を工程218を介して廃棄するかどうかを、216で決定できる。仮に、その均質化された融解流をリサイクルする場合、液体標準水または重水素酸化物及びトリチウム酸化物の複合物は、工程220で再凍結する。次いでこの再凍結物質を、工程222の間で粉体化し及びこのろ過循環から液体供給流を再び受け取る準備がなされている工程224で、ろ過装置に再投入する。
C.同位体分子の分離に対応した装置及びシステム
さらなる一態様において、本発明はまた、液体混合物からの同位体分子の分離に対応した装置に関する。1つの態様において、少なくとも1種の溶解塩濃度、第一同位体分子、及び第二同位体分子から成る液体混合物からなる同位体分子を分離する装置をここに記述し、その装置は、a)遠位端及び近位端を有する内部室を定める筐体、b)その内部室に収められるろ材、ここでそのろ材が第一同位体分子から成り、c)その筐体の近位端に定められ、内部室に繋がり及び少なくとも1種の溶解塩濃度、第一同位体分子、及び第二同位体分子から成る液体混合物の供給源である入口部、及びd)内部室及びろ材に繋がる筐体の遠位端に定められる出口部から成り、ここで入口部を通して内部室に入った、液体混合物中に存在する、少なくとも第二同位体分子部分がそのろ材において凍結し及び残留し、そして溶解塩濃度及び第一同位体分子から成るろ液がその出口部を通過して内部室を出る。
さらなる態様において、溶解塩の存在下における第一及び第二同位体分子、ならびにろ材における第一同位体分子は互いに、異なる凝固温度を有し及びここでろ材に存在する第一同位体分子の凝固温度は、液体混合物中の溶解塩の存在下における第一同位体分子と第二同位体分子の凝固温度の間にある。いくつかの態様において、第一同位体分子は、水であり、及びここで第二同位体分子はトリチウム酸化物である。
いくつかの態様において、当該ろ材は、当該塩の存在下での第一同位体分子の凝固点を超えて高く、約0℃未満の範囲に温度を維持する。さらなる態様において、当該ろ材は、−3℃を超えて高く、約0℃未満の範囲に温度を維持する。さらなる態様において、当該ろ材は、−2℃を超えて高く、約0℃未満の範囲に温度を維持する。さらなる態様において、当該ろ材は、−1℃を超えて高く、約0℃未満の範囲に温度を維持する。
いくつかの態様において、当該ろ材は、微細に分割された粒子の一群として与えられる凍結水である。さらなる態様において、当該微細に分割された粒子の一群は、約425μm未満の粒子サイズを有する粒子から成る。さらなる態様において、当該ろ材は、凍結水粒子及び液体の水のスラリーから実質的に成る。
多様な態様において、本発明はまた、液体混合物から同位体分子の分離に対応したシステムに関する。1つの態様において、第一同位体分子、第二同位体分子、及び溶解塩の濃度から成る液体混合物から同位体分子を連続的に分離するシステムをここに記述し、そのシステムは、a)遠位端及び近位端を有する内部室を定める筐体、b)その内部室の遠位端に繋がる経路に配置された粉砕機、c)ろ材の供給源、d)そのろ材に圧力をかける手段、ここで圧力をかける手段が液体を輸送でき、及びそのろ材がその粉砕機とその圧力をかける手段の間の内部室に配置され、e)内部室及び溶液に繋がる経路の筐体に定められる第一入口部、f)内部室及びろ材の供給源に繋がる経路の筐体に定められる第二入口部、及びg)その内部室と繋がる経路の筐体に定められる第一出口部、から成る。
さらなる態様において、同位体分子の一群の液体混合物から第一同位体分子を連続的に分離するシステムを本明細書に記述し、そのシステムは、a)同位体分子の一群を受け止めるよう構成された内部空間及びろ材を定める筐体、b)筐体の内部空間に流体経路の出口を定め、同位体分子の一群を受け止めるように構成された第一流体ライン、c)筐体の内部空間に流体経路の入口を定める第二流体ライン、d)筐体の内部空間の流体経路に出口を定める粉砕機、及びe)筐体の内部空間及び第二流体ラインの入口の流体経路にある流体ポンプから成り、ここで、その第二流体ラインは、同位体分子の一群の液体混合物から第一同位体分子を分離した後、その第一同位体分子を受け止めるよう構成される。
いくつかの態様において、当該ろ材の凝固点は、溶解塩の存在下における第一同位体分子の凝固点を超えて高く、ここでろ材の凝固点は、溶解塩の存在下における第二同位体分子の凝固点未満である。他の態様において、当該ろ材は、塩の存在下における第一同位体分子の凝固点を超えて高く、約0℃未満の範囲に温度を維持する。さらなる態様において、当該ろ材は、−3℃を超えて高く、約0℃未満の範囲に温度を維持する。さらなる態様において、当該ろ材は、−2℃を超えて高く、約0℃未満の範囲に温度を維持する。なおもさらなる態様において、当該ろ材は、−1℃を超えて高く、約0℃未満の範囲に温度を維持する。
さらなる態様において、第一入口部を通して内部室に入り、液体混合物に含有される第二同位体分子は、そのろ材に含まれて残り、及び第一同位体分子を含有するろ液は、第一出口部を通して内部室から出る。さらなる態様において、ろ材部分及びそのろ材に含まれた第二同位体分子は、粉砕機で粉砕される。なおもさらなる態様において、当該システムはさらに融解循環から成り、ここでその融解循環は、ろ材部分及び粉砕機で粉砕された第二同位体分子を融解及び均質化するように構成される。さらなる態様において、その粉砕されたろ材は、凍結され及び第二入口部を通して内部室に戻される。少なくとも1つの態様において、第一同位体分子が水、第二同位体分子がトリチウム酸化物及びろ材が凍結した純水から成る。
いくつかの態様において、当該圧力をかける手段は、ろ材を内部室の近位端から粉砕機に向かうよう促す。他の態様において、第一入口部は、内部室の遠位端から事前に設定された第一距離を保ち、ここで第二入口部は、内部室の遠位端から事前に設定された第二距離を保ち、及びその事前に設定された第二距離は、その事前に設定された第一距離より長い。
さらなる態様において、当該圧力をかける手段は、内部室の事前に設定された距離の近位端から二軸運動に対応するよう構成された位置から成る。さらなる態様において、当該圧力をかける手段は、内部室にろ材を投入するよう構成された回転供給部から成る。
さらなる態様において、当該システムはさらに、筐体の内部室に配置された攪拌機から成る。さらなる態様において、当該システムはさらに、筐体の内部室内で温度を選択的に調整する手段から成る。なおもさらなる態様において、筐体の内部室内で温度を選択的に調整する当該手段は、筐体の内部室内の温度を約0℃から約1℃の間で維持するよう構成される。
いくつかの態様において、当該システムはさらに、コンベアベルトから成り、そのコンベアベルトは、ベルトとモーター組み立て部を有し、そのコンベアベルトは、少なくとも部分的に筐体の内部室内に配置され、ここでそのコンベアベルトは、氷を筐体の内部室内から選択された筐体の外部位置に輸送するよう構成される。さらなる態様において、当該コンベアベルトの稼働に際して、稼働が連続運転に対応するよう構成される。さらなる態様において、当該コンベアベルトのベルトは、ふるいから成る。
さらなる態様において、当該システムはさらに、筐体の外部に配置された貯蔵部から成り、ここでその貯蔵部は、コンベアベルトにより運ばれる氷を受け取るように構成される。さらなる態様において、当該システムはさらに、その貯蔵部と繋がる流体経路に配置された冷凍庫から成り、そのため、貯蔵部内に置かれた氷の融解に次いで、融解した氷をその冷凍庫に排出する。
いくつかの態様において、当該システムはさらに、貯蔵部に繋がる操作経路に配置された加熱部から成り、この加熱部は、貯蔵部内に貯めた氷を融解するように構成される。さらなる態様において、当該冷凍庫は、粉砕機と繋がる流体経路に配置される。さらなる態様において、当該粉砕機は、冷凍庫から氷を受け取るように構成され、及びこのシステムは、冷凍庫から粉砕機まで氷を輸送する手段から成る。
その他の態様において、当該筐体は、底面及び少なくとも1つの側壁から成り、ここで少なくとも1つの側壁は、i)第一液体ラインの出口を受けるよう構成された第一開口部、及びii)第二流体ラインの入口を受けるよう構成された第二開口部を定める。
さらなる態様において、当該システムはさらに、第一流体ライン内に含まれる同位体分子の一群を冷却するための手段から成る。さらなる態様において、第一流体ライン内に含まれる同位体分子の一群を冷却するための当該手段は、第一流体ラインの温度を約0℃と約1℃の間に維持するように構成される。
いくつかの態様において、当該システムはさらに混合機から成り、その混合器は、筐体の内部空間に繋がる経路に位置する出口を有する。その他の態様において、当該システムはさらに混合器から成り、その混合器は、第一流体ラインに繋がる経路に出口を有する。
少なくとも1つの態様において、第一同位体分子は塩水から成り、ここで当該システムは、筐体の内部空間内に配置されたろ過器から成り、及びここでそのろ過器が、同位体分子の一群の液体混合物から第一同位体分子を分離し、次いで、第一同位体分子から塩を除去するよう構成される。
図3に示すように、溶液中に存在する同位体分子の混合物から一同位体分子を連続的に分離するシステム300を提供する。1つの態様において、分離される同位体分子は、純水または塩水の溶液中に存在するトリチウム酸化物である。しかしながら、当業者には理解されるであろうが、当該システムは、同位体分子の混合物から任意の同位体分子を分離するために改造できる。1つの態様において、システム300は、ろ材の供給源302、筐体304、そのろ材に圧力をかける手段306、及び粉砕機308の少なくとも1つから成る。他の態様において、当該筐体は、遠位端312及び近位端314を有する内部室310を定める。1つの態様において、当該筐体は、実質的に円形断面積を有する円筒形であり得、実質的に正方形及び実質的に長方形などの他の断面積も考えられる。他の態様において、筐体304の遠位端及び近位端は、開口部であり得、そのため、筐体の遠位端312及び近位端314は、周囲の環境と繋がる。
一群の入口部及び/または出口部は、筐体の内部室310と繋がる筐体304に定め得る。1つの態様において、第一入口部316は、筐体304に定め得る。この態様において、その第一入口部は、内部室及び溶液と繋がる経路にあり得る。他の態様において、第二入口部318は、内部室310及びろ材の供給源302に繋がる経路の筐体に定め得る。さらなる態様において、その第一入口部316は、内部室310の遠位端312から第一距離としての空間を保ち得て、及びその第二入口部は、内部室の遠位端312から第二距離としての空間を保ち得て、ここでその第二距離は、その第一距離より長くあり得る。あるいは、その第二距離は、その第一距離より短いかまたは等しくあり得る。他の態様において、第一入口部316及び第二入口部318は、筐体304に定められ、そのためその第一及び第二入口部は、圧力をかける手段306と粉砕機308の間の位置に定められる。他の第一出口部320は、内部室に繋がる経路の筐体304に定め得る。さらなる態様において、その第一出口部320は、筐体に定め得て、そのため圧力をかける手段306は、粉砕機308と第一出口部320の間に配置される。
当該粉砕機308は、内部室310の遠位端312に繋がる経路に配置できる。1つの態様において、当該粉砕機は、内部室の遠位端を密閉することができ、そのため内部室310の遠位端312に入る及び/または出るいかなる物質も、粉砕機308を通過せねばならない。その他の態様において、当該粉砕機は、氷の粉砕に対応して構成することができる。さらなる態様において、粉砕機308は、その粉砕機を望ましい速度で操作するよう構成されたモーター322と組み合わせることができる。
1つの態様において、当該圧力をかける手段306は、例えば非限定的に、ピストンから成り得る。他の態様において、当該圧力をかける手段は、内部室310の事前に設定された距離での近位端314から、二軸運動に対応して構成され得る。例えば、仮に、当該圧力をかける手段がピストンから成る場合、そのピストンは、内部室の近位端からあらかじめ設定された距離の遠位端312に向かい軸移動できる。事前に設定された距離またはその事前に設定された距離と内部室310の近位端314の間の任意の位置で、ピストンは内部室の近位端方向に軸移動できる。別の態様において、当該圧力をかける手段は、回転機などの供給物分離機構から成り得る。この回転機は、追加のろ材を内部室に投入するために構成され得、それにより内部室を加圧できる。
他の態様において、当該圧力をかける手段306は、流体輸送を可能にする。例えば、水などの液体及び/または蒸気などの気体は、圧力をかける手段を通りぬけることができるが、氷などの固体は、圧力をかける手段306の通り抜けを阻止され得る。さらなる態様において、当該圧力をかける手段は、内部室310の近位端314を密封できるので、そのため内部室の近位端に入る及び/または出るいかなる物質もこの圧力をかける手段を通過せねばならない。したがって、他の例において、水は、当該圧力をかける手段306を通して内部室の近位端312から出ていくことができるのに対して、氷は、内部室の近位端からの排出を阻止される。
1つの態様において、当該ろ材は、筐体304の内部室310における粉砕機308と圧力をかける手段306の間に配置され得る。他の態様において、当該ろ材は、個体物質であり得る。他の態様において、当該ろ材302は、例えば非限定的に、重水素酸化物の氷または標準軽水の氷であり得る。
当該システム300はさらに、少なくとも1つの加熱手段及びその加熱手段から目的の物質に至る熱伝達手段から成る融解循環324から成り得る。1つの態様において、この融解循環324は、従来の融解ヒーター326及び熱伝達ライン328から成り得る。当該融解循環は、物質の事前に設定された量の温度上昇に対応して構成され得る。例えば、当該融解循環は、分析、さらなる処理、及び/または廃棄などに共に対応して、ろ材により捕捉された任意のトリチウム氷と共にそのろ材を融解するように構成され得る。他の態様において、当該融解循環324は、氷混合物の事前に設定された量の温度上昇のために構成され得て、そのためその混合物のある物質が融解する一方で、その混合物のその他の物質は、凍結して残る。1つの態様において、当該融解循環は、粉砕機308により粉砕されたろ材302の部分を、その粉砕機により粉砕されたトリチウム氷から分離するように構成できる。
1つの態様において、当該システム300はさらに、筐体304を冷却する手段から成り得る。当業者には理解されるであろうが、この筐体を冷却する当該手段は、電気的な冷凍システム、低温流体、及び水槽などから成り得る。他の態様において、この筐体を冷却する当該手段はさらに、筐体304部分の少なくとも一部を取り囲む少なくとも1つの絶縁層から成り得る。1つの態様において、当該筐体304は、約−3℃から約3.7℃の間の温度を維持できる。他の態様において、当該筐体304は、約−1℃から約0.5℃の間の温度を維持できる。
使用に際して、ろ材を、第二入口部318を通してろ材の供給源から筐体304の内部室310に投入できる。1つの態様において、当該ろ材は、標準(軽)水の氷であり得る。他の態様において、当該ろ材は、重水素酸化物の氷であり得る。他の態様において、当該ろ材は、凍結及び液体の標準(軽)水のスラリーまたは凍結及び液体の重水素酸化物のスラリーである。前述のように、当該ろ材は、回転供給機構などの圧力をかける手段306によって、内部室310に強制的に投入できる。分離された同位体分子を含む溶液は、第一入口部316を通して内部室310に投入できる。他の態様において、当該分離された同位体分子は、トリチウム酸化物であり得、及びその溶液中のトリチウム酸化物の少なくとも一部は、凍結してトリチウム氷にできる。他の態様において、当該溶液は、内部室に入る前に、溶液中のトリチウム酸化物が凍結してトリチウム氷になる温度を有する。内部室310に入った、当該溶液に存在するいかなる水も、凍結せずに残り得て、及び圧力をかける手段306を通って及び筐体の出口部320から出て行く。トリチウム氷の少なくとも一部は、ろ材に含まれた状態になり得る。
当該圧力をかける手段306は、内部室310の事前に設定された距離の遠位端312方向に動くことができ、そのことによりろ材302及びそのろ材に含まれるいかなるろ液(例えば、トリチウム氷)をも粉砕機308の方向に推し進める。この粉砕機に接触することにおいて、そのろ材及びトリチウム氷の少なくとも一部は、粉砕機によってより小さな氷粒子に粉砕される。1つの態様において、熱を、融解循環324から粉砕機によって創出された粒子に送ることができ、及びこの熱が、その粒子温度を、粒子の融点以上に十分に上昇させ得る。融解後、当該粒子は、均質化され得て及び存在するトリチウム酸化物の濃度及び/または量を決定するために分析され得る。この分析の少なくとも一部に基づいて、その融解し均質化した粒子を再凍結するかどうかを決定し、及びその再凍結した均質化粒子物質を、追加の処理に対応した第二入口部318を通して内部室310に送ることができる。あるいは、他の態様において、熱を、融解循環324から粉砕機によって創出された粒子に送ることができ、及びこの熱が、その粒子温度を、粒子の融点以上に十分に上昇させ、そのためろ材は液体に融解できる一方で、トリチウム酸化物は、個体として残ることができる。当該ろ材を分離することができ、氷に再凍結でき、及び再利用のために内部室304へ戻すことができる。望ましくない物質を分析することができ、及び再処理または廃棄のために内部室に戻すことができる。
他の例示的な態様において、図4に略図で解説するように、溶液中に存在する同位体分子の混合物から一同位体分子を連続的に分離するためのシステム400を提供する。1つの態様において、分離される同位体分子は、標準水または塩水溶液中に存在するトリチウム酸化物である。しかしながら、当業者には理解されるであろうが、このシステムは、同位体分子の混合物から任意の同位体分子を分離するために、改造できる。1つの態様において、当該システム400は、筐体404、ろ材402、少なくとも1つ流体ライン416、粉砕機408、及び流体ポンプの少なくとも1つから成る。随意に、少なくとも1つ流体ライン416は、第一及び第二流体ラインから成り得る。他の態様において、当該筐体は内部空間410を定め、その内部空間410は、同位体分子の一群及びろ材402を受け取るように構成される。いくつかの態様において、当該筐体404は、実質的に円形断面積を有する円筒形であり得る。その他の態様において、当該筐体404は、実質的に正方形または実質的に長方形であり得、しかしながら、その他の形状も考えられる。別の一態様において、当該筐体404は、底面405及び少なくとも1つ側壁406から成り得て、ここで少なくとも1つの側壁が、少なくとも1つの流体ラインに相応している流体ライン416の出口を受け止めるように構成される少なくとも1つの開口部407を定める。
その他の態様において、流体ライン416の一群は、筐体404の内部空間410に繋がる経路に対応して、筐体404に配置され得る。例えば、1つの態様において、流体ライン416の一群の一番目は、筐体404の内部空間410に繋がる流体経路に出口418を定める。他の態様において、その第一流体ラインは、同位体分子の一群を受け取るように構成され得る。他の態様において、流体ライン416の一群の第二流体ラインは、筐体404の内部空間410に繋がる流体経路に入口を定める。他の態様において、流体ライン416の一群の第二流体ラインは、例えば、同位体分子の一群の液体混合物からの第一同位体分子の分離に次いで、第一同位体分子を受け取るように構成され得る。
1つの態様において、当該粉砕機408は、筐体404の内部空間410に繋がる経路に配置され得る。他の態様において、当該粉砕機408は、内部空間の端部を密閉でき、そのため内部空間410の端部に入る及び/または出るいかなる物質も、粉砕機408を通過せねばならない。他の態様において、当該粉砕機408は、氷の粉砕のために構成され得る。他の態様において、当該粉砕機408は、その粉砕機を望ましい速度で操作するように構成されたモーターに結合できまたはモーターを包含できる。
少なくとも1つの態様において、当該システム400は、筐体404の内部空間410に繋がる経路にある流体ポンプから成る。さらなる一態様において、当該流体ポンプは、筐体404の内部空間410に繋がる経路及び流体ラインの一群の少なくとも1つにある。1つの態様において、当該流体ポンプは、流体を内部空間410の事前に設定された距離から動かすように構成される。他の態様において、当該流体ポンプは、流体を内部空間410の事前に設定された距離へ動かすように構成される。さらなる一態様において、当該流体ポンプは、当技術分野で公知の流体を移動させる適切な任意の手段から成り得る。
1つの態様において、当該システム400は、熱436をシステム400から除去する手段から成る。さらなる一態様において、熱436を移動させる当該手段は、当技術分野で公知の熱を除去する適切な任意の手段から成り得る。さらなる一態様において、熱436を除去する当該手段は、システム400の任意の部分から発生するいかなる熱をも除去するように構成され得る。例えば、1つの態様において、熱436を除去する当該手段は、筐体404の内部空間410からの熱を除去するように構成され得る。他の態様において、熱436を除去する当該手段は、同位体分子の一群を受け取る流体ラインの一群のいずれかからの熱を除去するように構成され得る。他の態様において、熱436を除去する当該手段は、粉砕機408により発生する熱または混合部430により発生する熱を除去するように構成され得る。
1つの態様において、当該システム400は、筐体404の内部空間410において、内容物を緻密に混合するための混合部430から成る。他の態様において、当該システム400は、筐体404の内部空間410内に配置される攪拌機を包含する混合部430から成る。他の態様において、当該システム400は、混合器をさらに包含する混合部430から成る。他の態様において、当該混合器は、筐体404の内部空間410に繋がる経路に位置する出口を定める。他の態様において、当該混合器は、少なくとも1つの流体ラインに繋がる経路に位置する出口を有するように定め得る。
少なくとも1つの態様において、当該システム400は、氷を筐体404の内部空間410内から筐体404外の選択された位置に輸送する手段から成る。その他の態様において、当該システム400はさらに、筐体404の外部に配置された貯蔵部434から成り、ここでその貯蔵部434は、筐体404の外部に輸送された氷を受け取るように構成され得る。他の態様において、当該システム400はさらに、冷凍庫436から成りまたはそれを包含する。他の態様において、当該冷凍庫436は、貯蔵部434に繋がる流体経路に配置でき、それゆえ、貯蔵部434内での氷の融解に次いで、その融解氷を冷凍庫436に送り込む。他の態様において、当該冷凍庫436は、粉砕機408に繋がる経路に配置できる。他の態様において、当該粉砕機408は、冷凍庫436に繋がるかもしくはそれを包含できる。なおも他の態様において、当該粉砕機408は、冷凍庫からの氷を受け取るように構成できる。他の態様において、当該システム400はさらに、氷を冷凍庫436から粉砕機408に輸送する手段から成る。
少なくとも1つの態様において、当該システム400はさらに、加熱部426から成る。他の態様において、当該加熱部426は、貯蔵部434に繋がる操作経路に配置される。他の態様において、当該加熱部426は、貯蔵部434内で受け取られた氷を融解するように構成できる。1つの態様において、当該加熱部426は、貯蔵部434に繋がる操作経路にある従来の融解ヒーター及び熱伝達ラインから成り得る。他の態様において、当該加熱部426は、物質の事前に設定された量の温度を上昇するように構成できる。例えば、当該加熱部426は、分析、さらなる処理、及び/または廃棄に共に対応して、ろ材402によって捕捉された任意のトリチウム氷と共にろ材402を融解するように構成できる。他の態様において、当該加熱部426は、氷混合物の事前に設定された量の温度を上昇するように構成でき、そのためその混合物中のある物質は融解する一方、その混合物中のその他の物質は凍結して残る。
1つの態様において、当該システム400はさらに、筐体404の内部空間410内の温度を選択的に調整する少なくとも1つの手段から成り得る。その他の態様において、当該システム400は、筐体438の内部空間410を冷却する冷却部438からさらに成る温度を選択的に調整するための手段から成り得る。さらなる態様において、当該冷却部438は、流体ラインの一群内に含まれる同位体分子の一群を冷却するように構成できる。当業者には理解されるであろうが、当該冷却部438は、電気的な冷凍システム、低温流体、水槽などから成り得る。他の態様において、温度を選択的に調整するための当該手段はさらに、筐体404の少なくとも一部分を取り囲む少なくとも1つの絶縁層から成り得る。1つの態様において、当該筐体404は、約−3℃から3.7℃の間で温度を維持できる。他の態様において、当該筐体404は、約−2℃から0.5℃の間でその温度を維持できる。他の態様において、第一流体ライン内に含まれる同位体分子の一群の温度を選択的に調整するための手段は、第一流体ライン内の温度を約0℃から約1℃の間で維持するように構成される。
その使用に際して、ろ材402は、粉砕機408を通してろ材の供給源から筐体404の内部空間410に投入され得る。1つの態様において、当該ろ材402は、標準(軽)水の氷であり得る。他の態様において、当該ろ材402は、重水素酸化物の氷であり得る。さらなる他の態様において、当該ろ材402は、凍結及び液体の標準(軽)水のスラリーまたは凍結及び液体の重水素酸化物のスラリーである。前述のように、当該ろ材402は、粉砕機408により内部空間410に投入できる。分離された同位体分子を含む溶液は、少なくとも1つの流体ライン416の第一流体ラインを通して、内部空間410に投入できる。他の態様において、当該分離された同位体分子は、トリチウム酸化物であり得、及び溶液中に存在するトリチウム酸化物の少なくとも一部は、凍結され得てトリチウム氷になり得る。他の態様において、当該溶液は、内部空間410に入る前に、トリチウム酸化物が凍結されトリチウム氷になる温度を有し得る。内部空間410に入ると、その溶液中に存在するいかなる水も凍結せずに残り得て及び筐体404の出口部を出て行く。トリチウム氷の少なくとも一部は、ろ材402に含有され得る。
他の例示的な実施形態において、図5に示すように、溶液に存在する同位体分子の混合物から一同位体分子を連続的に分離するためのシステム500を提供する。1つの態様において、分離される当該同位体分子は、標準水または塩水溶液中に存在するトリチウム酸化物である。しかしながら、当業者には理解されるであろうが、当該システムは、同位体分子の混合物から任意の同位体分子を分離するように改造できる。1つの態様において、当該システム500は、筐体504、ろ材502、第一流体ライン516、第二流体ライン520、粉砕機508、及び流体ポンプの少なくとも1つから成る。他の態様において、当該筐体504は、内部空間510を定め、その内部空間は、同位体分子の一群及びろ材502を受け取るように構成される。いくつかの態様において、当該筐体504は、実質的に円形の断面積形状を有する円筒形であり得る。その他の態様において、当該筐体504は、実質的に正方形または実質的に長方形であり得、しかしながらその他の形状も考えられる。他の態様において、当該筐体504は、底面505及び少なくとも1つの側壁506から成り、ここで少なくとも1つの側壁506は、少なくとも1つの開口部507を定める。例示的な一態様において、その少なくとも1つの開口部507は、i)第一流体ライン516の出口518を受け止めるよう構成された第一開口部、及びii)第二流体ライン520の入口522を受け止めるよう構成された第二開口部、から成り得る。
多様な態様において、当該流体ラインは、筐体504の内部空間510に繋がる経路に対応した筐体504に配置できる。第一及び第二流体ラインから成ると記述したが、当該システム500は、任意の数の流体ラインから成り得ると考えられる。1つの態様において、当該第一流体ライン516は、筐体504の内部空間510に繋がる流体経路に出口518を定める。さらなる一態様において、当該第一流体ライン516は、入口517から成り、及び同位体分子の一群を受け取るように構成される。他の態様において、当該第二流体ライン520は、筐体504の内部空間510に繋がる流体経路に入口522を定める。さらなる一態様において、当該第二流体ライン520は、出口523から成り、及び例えば、同位体分子の一群の混合物から第一同位体分子を分離し、次いで、第一同位体分子を受け取るように構成され得る。
少なくとも1つの態様において、当該第一流体ライン516は、内部空間510及びその溶液に繋がる経路であり得る。他の態様において、当該第二流体ライン520は、内部空間510に繋がる経路において筐体504に配置できる。さらなる態様において、当該第二流体ライン520は、筐体504に配置でき、そのため流体ポンプは、筐体504の内部空間510及び第二流体ライン520の入口522に繋がる流体経路に配置できる。
1つの態様において、当該粉砕機508は、筐体504の内部空間510に繋がる流体経路に出口509を定める。他の態様において、当該粉砕機508は、筐体504の内部空間510に繋がる経路に配置できる。他の態様において、当該粉砕機508は、内部空間510の端部511を密封でき、そのため内部空間510の端部に入る及び/またはそこから出る任意の物質は、粉砕機508を通過せねばならない。他の態様において、当該粉砕機508は、氷を粉砕するために構成され得る。さらなる他の態様において、当該粉砕機508は、その粉砕機を望ましい速度で操作するために構成されるモーターと繋がりまたはそれを包含できる。
少なくとも1つの態様において、当該システム500は、筐体504の内部空間510に繋がる流体経路にある流体ポンプから成る。さらなる一態様において、当該流体ポンプは、筐体504の内部空間510に繋がる流体経路及び流体ラインの一群の少なくとも1つにある。1つの態様において、当該流体ポンプは、流体を内部空間510の事前に設定された距離から移動させるために構成できる。他の態様において、当該流体ポンプは、流体を内部空間510の事前に設定された距離へ移動させるために構成できる。さらなる一態様において、当該流体ポンプは、当技術分野で公知の、液体を適切に移動させる装置から成り得る。
1つの態様において、当該ろ材502は、筐体504の内部空間510に配置できる。他の態様において、当該ろ材502は、固体物質であり得る。他の態様において、当該ろ材502は、例えば、凍結物質と液体物質のスラリーであり得る。他の態様において、当該ろ材502は、例えば非限定的に、標準(軽)水の氷または重水素酸化物の氷であり得る。
1つの態様において、当該システム500は、筐体504の内部空間510において、その内容物を緻密に混合するための混合部530から成る。他の態様において、当該システム500は、筐体504の内部空間510内に配置される攪拌機531から成る混合部530から成る。他の態様において、当該システム500は、混合器からさらに成る混合部530から成る。他の態様において、当該混合器は、筐体504の内部空間510に繋がる経路に位置する出口529を定める。他の態様において、当該混合器は、第一流体ライン516に繋がる経路に位置する出口529を定める。
少なくとも1つの態様において、当該システム500は、コンベアベルト532から成る。他の態様において、当該コンベアベルト532は、ベルト533及びモーター組み立て部(図には示されず)から成る。他の態様において、当該コンベアベルト532は、筐体504の内部空間510内に少なくとも部分的に配置でき、ここでそのコンベアベルトは、氷を筐体504の内部空間510内から筐体504外の選択された位置へ輸送するために構成される。他の態様において、コンベアベルト532の当該ベルト533は、ふるいから成る。いくつかの態様において、コンベアベルト532の稼働に際して、当該コンベアベルト532は、連続運転に対応して構成され得る。
その他の態様において、当該システム500はさらに、筐体504の外部に配置される貯蔵部534から成り得て、ここでその貯蔵部534は、コンベアベルト532により輸送された氷を受け取るように構成される。他の態様において、当該システム500はさらに、冷凍庫536から成り得る。他の態様において、当該冷凍庫536は、貯蔵部534に繋がる流体経路に配置でき、そのため、貯蔵部534内に置かれる氷の融解に次いで、その融解氷を冷凍庫536に流し出す。他の態様において、当該冷凍庫536は、粉砕機508に繋がる流体経路に配置できる。なおも他の態様において、当該粉砕機508は、冷凍庫536から氷を受け取るように構成され得る。他の態様において、当該システム500はさらに、氷を冷凍庫536から粉砕機508に輸送する手段から成る。
少なくとも1つの態様において、当該システム500はさらに、実質的にシステム400に関連して記述される加熱部から構成される。他の態様において、当該加熱部は、貯蔵部534に繋がる操作経路に配置される。他の態様において、当該加熱部は、貯蔵部534内で受け取られた氷を融解するように構成できる。1つの態様において、当該加熱部は、従来の融解ヒーター及び貯蔵部534に繋がる操作経路における熱伝達ラインから成り得る。他の態様において、当該加熱部は、物質の事前に設定された量の温度を上昇させるように構成できる。例えば、当該加熱部は、分析、さらなる処理、及び/または廃棄に共に対応して、ろ材502により捕捉された任意のトリチウム氷と共にろ材502を融解するように構成できる。他の例において、当該加熱部は、氷混合物の事前に設定された量の温度を上昇させように構成でき、そのためその混合物中のある物質を融解する一方、その混合物中のその他の物質を凍結させて残す。
1つの態様において、当該システム500はさらに、筐体504の内部空間510内の温度を選択的に調整するための少なくとも1つの手段から成り得る。その他の態様において、当該システム500は、筐体538の内部空間510及び第一流体ライン516の少なくとも1つを冷却する冷却部538からさらに成る温度を選択的に調整する手段から成り得る。これらの態様において、当該冷却部538は、第一流体ライン516内に含まれる同位体分子の一群を冷却するように構成できる。当業者には理解されるであろうが、当該冷却部538は、電気的な冷凍システム、低温流体、水槽などから成り得る。他の態様において、その温度を選択的に調整する手段はさらに、筐体504の少なくとも一部を取り囲む少なくとも1つの絶縁層から成り得る。1つの態様において、当該筐体504は、約−3℃から3.7℃の間に温度を維持できる。他の態様において、当該筐体504は、約−2℃から0.5℃の間に温度を維持できる。他の態様において、第一流体ライン516内に含まれる同位体分子の一群の温度を選択的に調整する当該手段を、第一流体ライン516内の温度を、約0℃から約1℃の間に維持するように構成する。
使用に際して、ろ材502は、粉砕機508を通してろ材の供給源から筐体504の内部空間510に投入され得る。1つの態様において、当該ろ材502は、標準(軽)水の氷であり得る。他の態様において、当該ろ材502は、重水素酸化物の氷であり得る。さらなる他の態様において、当該ろ材502は、凍結及び液体の標準(軽)水のスラリーまたは凍結及び液体の重水素酸化物のスラリーである。前述のように、当該ろ材502は、粉砕機508により内部空間510に注入できる。分離される同位体分子を含む溶液は、第一流体ライン516を通して内部空間510に投入できる。他の態様において、分離される当該同位体分子は、トリチウム酸化物であり得、及びその溶液中に存在するトリチウム酸化物の少なくとも一部は、凍結されトリチウム氷になり得る。他の態様において、当該溶液は、内部空間510に入る前に、その溶液中においてトリチウム酸化物が凍結されトリチウム氷になる温度を有することができる。内部空間510に入ると、その溶液中に存在するいかなる水も凍結せずに残り得て及び筐体504の出口部を通過する。トリチウム氷の少なくとも一部は、ろ材502に含まれた状態になり得る。
少なくとも1つの態様において、ろ材502及びトリチウム氷の少なくとも一部は、加熱部から運ばれた熱により加熱され得て、及びこの熱が、ろ材502及びトリチウム氷の温度を、ろ材及びトリチウム氷の融点以上に適切に上昇させ得る。融解後、当該ろ材502及びトリチウム氷は、トリチウム酸化物の存在濃度及び/または存在量を決定するために、均質化され及び分析され得る。少なくともこの分析の一部に基づき、その融解し均質化した粒子を再凍結するか否か及びさらなる処理のために筐体504の内部空間510に再凍結した均質粒子物質を送るか否か、またはその融解した均質粒子を廃棄するか否かの決定がなされ得る。あるいは、他の態様において、熱を、加熱部からろ材502及びトリチウム氷に送り得て及びこの熱が、凍結粒子の温度を適切に上昇させ得て、そのためろ材502は融解して液体になり得る一方、トリチウム酸化物は、固体で残り得る。当該ろ材502を、分離し、氷に凍結し及び再利用のために内部空間510に戻すことができる。望ましくない物質を分析し、再処理または廃棄のために、内部空間510に戻すことができる。
少なくとも1つの態様において、当該システム500は、塩を除去する手段から成る。
さらなる一態様において、例えば、第一同位体分子が塩水を含む場合、当該塩を除去する手段は、筐体504の内部空間510内に配置されるろ過器から成り、及びここでそのろ過器は、同位体分子の一群の液体混合物から第一同位体分子を分離し、次いで、その第一同位体分子から塩を取り除くように構成される。
さらなる綿密な説明が無くても、当業者は、本明細書の記述を使用して、本発明を利用できると思われる。以下の実施例には、当請求項の発明を実践する当業者への追加のガイドラインの提供を含める。提供する実施例は単に、本発明の教授の役割及び貢献を代表している。したがって、これらの実施例は、いかなる方法によっても、本発明を限定する意図はない。
本発明の態様を、システムの法定部類などの特定の法定部類において記述し及び請求することができる一方、この対応は、簡便性のみのためであり及び当業者は、本発明の各態様を、任意の法定部類において記述し及び請求することができることを理解されよう。明示的に別段に定めない限り、本明細書に明記する任意の方法または態様は、その工程が特定の手順で実施されることを要求していると解釈されることを意図しない。したがって、一方法に関わる請求項が、その工程が特定の手順に限定される、とその請求項または記述において特に別段に定めない場合、任意の事項において、一手順が推測されるべきであることを意図しない。工程または操作フローの配置、文法的な機構または句読点、または本明細書に記述する態様の数またはタイプに関する理論的事項を含む解釈について、可能ないずれの非表現事項に対しても、この趣旨を保持する。
この出願全体において、多様な公開文献を参照する。これら公の開示の全体を、本出願が関連する技術内容をより完全に記述するために、本出願に参照として組み込む。開示する参照はまた、その参照が依存する文章に記述する事柄を含む物質に対して、援用により、個別に及び特別に本出願に組み込む。本発明が、先行発明に基づくそうした公開文献に先行する権利はないことを了解する、として解釈するものではない。さらに、本明細書に提供する公開文献の日付が、実際の公開日と異なる場合、個別の確認が必要である。
D.実施例
本明細書に請求する化合物、組成物、品目、装置及び/または方法がいかに作られ及び評価されたかの完全な開示及び記述を当業者に提供するために、以下の実施例を提示し、及び純粋に例示を意図し及び本開示の限定を意図しない。数字(例えば、量、温度など)に関して正確性を保証するように努めたが、しかしいくらかの誤差及び偏差を考慮すべきである。明示しない限り、部は、重量部であり、温度は℃または大気温であり、及び圧力は大気圧またはその近傍である。明示しない限り、組成物を示すパーセントは、wt%の単位である。
反応条件には多数の変動及び組み合わせがあり、例えば、成分濃度、望ましい溶媒、溶媒混合物、温度、圧力及びその他の反応範囲及び条件などは、望ましいプロセスから得られる製品の純度及び収量を最適化するために活用できる。そのようなプロセス条件を最適化するためには、合理的かつ日常的な実験のみが必要であろう。
液体混合物からのトリチウム水の分離または濃縮に対応したろ材として、微細に分割した重水素氷を使用し、複数の実験を行った。これらの実験において、ろ過器のカートリッジとして、単一の60mlの医療用プラスチックシリンジを使用した。従来のろ紙から成る詰め材を、ろ材がシリンジから出るのを防ぐために、シリンジの底に詰めた。次いで微細に分割した重水素氷を、そのシリンジに詰めた。次いで、いかなる時期尚早なろ材の融解も避けるために、そのシリンジを、水/水氷のスラリー中に保管した。トリチウム水及び標準水を含む液体供給物を、そのシリンジの先端に導く前に、約0.5℃で予備冷却した。冷却後、次いでその供給物をシリンジに導いた。次いでその液体供給物を、重力下でシリンジを通して流し出し及びその得られたろ液を集積した。これら実験の第一サブセット(実験1−5)においては、そのろ液を保持せずにシリンジから出した。実験6−9において、液体供給物を、シリンジ内に30秒または60秒間保持した後、そのろ液をシリンジから出した。
同様に、表2は、分離前(pre)及び分離後(post)のろ材の質量を報告している。表2はまた、分離後のろ材のトリチウム活性を、質量の増加と共に報告している。非汚染の重水素氷をろ材として使用した場合、事前測定では、非活性であることを記録した。
前述の表1及び表2を利用して、次いでろ材の効率を評価した。ろ過サイクル後のろ材に残るトリチウム活性を、初期の供給流で測定したその活性に対して平均で6.8倍に濃縮した。同様に、得られたろ液の分析は、そのろ液中のトリチウム活性が、初期の供給流における活性に対して平均16%減少していることを示した。
同様に表3は、表1に示された実験に対応した質量バランス及びトリチウム活性バランスが、プラスマイナス(+/−)6%以内であることを示している。このように、これらの実験は、前述のろ材として重水素氷を使用した実施形態における方法及びシステムが、汚染された標準水の供給物からのトリチウム水の分離および濃縮に効果的であることを示している。
次のろ材として、例えば、ステンレススチールウールの使用などの評価のために、追加実験を行った。これらの実験に対応して、銅管にステンレススチールウールを詰め及び1.9℃未満まで冷却した。この詰め材を入れた銅管に、トリチウム汚染水の液体供給物を通過させた後で、分離が起こらずまたはその結果としてのトリチウム活性の濃縮が起こらないことが確定した。理論に捕らわれることを望まないが、このことは、そのスチールウールのろ材が、トリチウム酸化物の氷を取り込んで核形成することも、また結晶化構造をつくることも無いためであると考えられる。
さらにまた、ろ材として凍結した軽水または標準水を使用した多数の実験を行い、初期の供給物の活性の濃縮または分離に至らない結果を得た。繰り返すが、理論に捕らわれることを望まないが、結果が悪かった一連の実験においては、供給物を、ろ材の凍結温度以上で送り込んだためであると考えられる。このため、ろ材の連続融解が起きて及びトリチウム酸化物のいずれの有益な核形成も拒まれてしまった。
次に、複数の一連のろ過器を使用した濃縮試験を行うために、一連の実験を行った。これらの実験では、以前のろ過器を通過したろ液を、次のろ過器の供給物として利用した。多数のデータは、良好な濃縮を与えたが、実験温度制御が比較的不十分であり、信頼性の低いデータとなった。
一連の実験において、塩の添加の有無によるトリチウム水を使用して、D2O氷のろ過性能の試験を行った。これらの試験においては、ろ過流量を、5mL/分に維持した。これら実験の結果を、以下の図6、7及び8、そして表4、5及び6に明らかにする。そこでは多様なパラメータを測定した。除染係数(DF)=初期のろ過に入った活性/(初期のろ過に入った活性−最終のろ過を出た活性)
1つの態様において、以下の図8及び表4は、ろ材としてのH
2O氷及び無塩のトリチウム水についての実験を示す。この実験において、冷却槽を+0.2℃に冷却した。ろ材として微細に粉砕したH
2O氷を含むろ過器を設置し及びトリチウムろ液で満たし始めた。ろ過器が満たされたので、そのろ液をさらに−0.5℃に冷却した。45分後に、そのろ過器は充満して及びろ過水を出し始めた。最初に、そのろ液を測定したところ、0.00119μCi/mLの活性を有していた。さらに40分を過ぎた時点で、その活性は、ゆっくりと0.00285μCi/mLまで上昇した。特定の理論に捕らわれることを望まないが、H
2O氷がろ過器に形成し続け、さらに互いに結合して氷を作り、氷の有効面積を減らし及び時間と共にろ過器の効率を落とすように、氷を通してろ液流の「チャネリング」を引き起こしたため、と考えられる。この方法では、除染係数(DF)が3.4であった。
他の態様において、図6及び表5は、ろ材としてD
2O及びろ液として無塩のトリチウム水使用した二回目の試験の結果を示す。この試験は、図6に表される前試験に比べ、0.0℃の少し温かい温度で、ろ材及びそれを取り囲む浴槽を使用して実施した。特定の理論に捕らわれることを望まないが、この温度近傍でのろ材の操作は、そのろ材にトリチウムを結合させるのに最適な性能に近い方法であった、と考えられる。この実験における方法は、除染係数2.6を示し、ろ過器の1パスにおいてトリチウム活性の39%を除去した。この方法の性能は、図7に表される試験期間中の全般において安定であった。
他の態様において、実施した三回目の試験を図7及び表6に示す。この試験において、トリチウム水に海塩の適切な量を添加し、汚染水を標準海水の塩分濃度の約25%に調整した。1つの態様において、この条件は、破損した日本の福島第一原子力発電所で処理されたと予想される汚染水のおおよその塩分濃度を表している。さらなる一態様において、原子力発電の破損した原子炉燃料を冷却するために、海水を新鮮な水流に添加した。
このデータが示すように、この三回目の試験は、除染係数3.1を示し、ろ過器への1パスにおいてトリチウム活性の32%を除去した。特定の理論に捕らわれることを望まないが、この試験期間中のろ材の性能低下は、この量の塩分濃度を含む水のおおよその凝固温度の−0.3℃でこの試験を実施する、とした決定の結果であろう。
1つの態様において、これら3試験の各々が、微細に粉砕した水またはD2Oの氷から成るろ材の、適度な安定性及び予測通りの性能を立証している。さらなる一態様において、この結果は、氷媒体の十分な表面積及びトリチウム水の十分な接触時間(低い流速)が、トリチウム分子を、氷のろ材に接触させ及び結合させ、そしてろ液から除去されるのを可能にしたことを立証している。
本発明の特許範囲は、請求項により定められ、及び当技術分野に起こるその他の事例を包含できる。そうしたその他の事例は、仮にそれら事例が、本請求項の字句と違わない構造的要素を有する場合でも、または仮にそれら事例が、本請求項の字句とごくわずかに異なっている等価の構造的要素を含んでいても、本請求項の範囲内であることを意図する。