JP2019000793A - 集塵機フィルター用濾過材 - Google Patents

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芳貴 田栗
Yoshitaka Taguri
芳貴 田栗
天野 整一
Seiichi Amano
整一 天野
一史 加藤
Kazufumi Kato
一史 加藤
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Abstract

【課題】耐熱性を有する不織布を使用した、高捕集性でありながら長寿命である集塵機フィルター用濾過材の提供。
【解決手段】濾過層として、平均繊維径が1〜15μmのポリフェニレンスルフィド長繊維から構成され、かつ、総目付が80〜600g/mである、プリーツ状に形成した単層又は複数層のスパンボンド不織布を含む集塵機フィルター用濾過材を提供することである。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた耐熱性を示し、捕集性が良好であり、低い圧力損失を維持することができる集塵機フィルター用の濾過材に関する。
特に、本発明は火力発電所や製紙工場、製鉄所等などで発生する高温気体中の煤塵等を集塵するために使用される集塵フィルター用の濾過材に関する。
特許文献1ではポリエステル製プリーツフィルターが開示されているが、ポリエステル製のフィルターでは、高温気体中の煤塵の集塵が必要とされる火力発電、製紙産業、製鉄産業などの分野では、耐熱性の観点からは使用することができない。そのため、耐熱繊維素材のフェルト製バグフィルターと呼ばれる、表面加工を施し、かつ、濾過作用を付与した厚手のフェルトが用いられている。
しかし、特許文献2に記載されるフェルト製バグフィルターは厚みが1.5mm以上もあるため、濾過面積を増やすためのプリーツ加工を行うことが困難で、また捕集精度を上げようとすると圧力損失が大きくなるため、結局捕集精度を上げることが難しい。
このように、耐熱性及び高い捕集性能を持ちながら、圧力損失の低い集塵機フィルター用の濾過材は提案されていないのが現状であった。
特開2007−237167号公報 特開2006−199043号公報
従って本発明は、耐熱性を有する不織布を使用した、高捕集性でありながら長寿命である集塵機フィルター用濾過材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、耐熱性を有するポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す。)長繊維不織布を使用し、捕集性及び一層でもプリーツ特性を満足する繊維径、フラジール通気度及び目付を設定した上で、濾過材の厚みを従来のものに比較して薄くすることにより、及び該不織布にプリーツ加工を行い有効濾過面積を増やすことで、長寿命の集塵機フィルター用濾過材及び集塵機用プリーツフィルターが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下の態様を有する。
[1]濾過層として、平均繊維径が1〜15μmのポリフェニレンスルフィド長繊維から構成され、かつ、総目付が80〜600g/mである、プリーツ状に形成した単層又は複数層のスパンボンド不織布を含む集塵機フィルター用濾過材。
[2]前記2層のスパンボンド不織布の間に、平均繊維径0.1〜5μmのポリフェニレンスルフィド極細繊維不織布をさらに配した、[1]に記載の集塵機フィルター用濾過材。
[3]前記スパンボンド不織布が、熱接着により積層一体化されたものである、[1]又は[2]に記載の集塵機フィルター用濾過材。
[4]JIS Z 8901−1で規定される集塵機ろ布試験における、初期30サイクルの吸引時間の合計が30,000sec以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の集塵機フィルター用濾過材。
本発明の集塵機用濾過材は、従来提案されているフェルト製濾過材と比較して、厚みが薄く、捕集性能に優れ、さらにプリーツ形態ゆえに捕集能のみならず剛性をも発現し、そして耐熱性にも優れる。そのため、本発明の集塵機用フィルター用濾過材を用いたプリーツフィルターは、既存のフェルト製バグフィルターと比較して有効濾過面積が大きくとれ、液体を流した際の圧力損失を小さくでき、設備の小型化や逆洗エアの削減による省エネルギー効果が期待される。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<集塵機フィルター用濾過材>
本発明の集塵機フィルター用濾過材の一態様は、濾過層として、平均繊維径が1〜15μmのポリフェニレンスルフィド長繊維から構成され、かつ、総目付が80〜600g/mである、プリーツ状に形成した単層又は複数層のスパンボンド不織布を含む集塵機フィルター用の濾過材(以下、単に濾過材ともいう)である。
本実施形態に係る濾過材の濾過層にあたるスパンボンド不織布を構成する繊維としては、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSともいう)長繊維が使用される。PPSは、耐熱性に優れる点で有利であり、長繊維として好適に用いられる。また、PPSは、製糸性の観点から、パラ−フェニレンスルフィド繰返し単位を有することが好ましく、また、直鎖型PPSであることがより好ましい。
特に、PPSの全繰返し単位中、パラ−フェニレンスルフィドからなる繰返し単位が占める割合が85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
PPS長繊維は、実質的にパラーフェニレンスルフィドからなる繰返し単位のみで構成されるが、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば少なくとも芳香族スルフィドを有するコポリマー・混合物等の他の繰返し単位を少量(例えば、全繰返し単位の総質量に対して15質量%以下)含んでいてもよい。
また、PPS長繊維は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の繊維、着色剤、酸化チタン、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化紡糸剤等任意の添加剤成分を含んでいてもよい。
PPS繊維を製糸する際のメルトフローレートは、例えば、10〜700g/10minであることが好ましく、50〜500g/10minであることがより好ましい。該メルトフローレートが700g/10min以下である場合、集塵機フィルター用濾過材の耐熱性がより良好である点で有利であり、10g/10min以上である場合、製糸性等の加工性がより良好である点で有利である。尚、本明細書で記載するメルトフローレートは、ASTM−D1238−82法に準じて、荷重5kg、温度315.6℃の条件において測定される値である。
本発明では、スパンボンド法により製造されるPPS長繊維からなる不織布をフィルター用濾過材の濾過層として用いる。スパンボンド法によるPPS長繊維不織布は、繊維径の均一性が高く、強度及び硬さの点で優れている。該繊維の具体的な製造方法としては、例えば国際公開第2008/035775号パンフレットに記載(特に、段落[0043]〜[0053])される方法等の公知の方法で製造することが可能である。
本実施形態に係るスパンボンド不織布を構成するPPS長繊維の平均繊維径は、1〜15μmであり、好ましくは、2〜10μmである。該平均繊維径が1μm〜15μmであると、糸切れ等の製造時の問題が起こらず、かつ不織布強度の点から好ましく、さらに通気度及び目付の調整だけで粒径5μm程度の粒子が捕集できるので好ましい。
尚、本明細書で記載する平均繊維径は、後掲されるように、マイクロスコープを用いて測定される繊維の直径(断面が円以外の場合は最大径)の平均値(例えば50点の数平均値)である。
PPS長繊維の結晶化度としては、18%〜50%が好ましく、更に好ましい範囲は25〜50%である。該結晶化度が18%〜50%の範囲にあると、PPS繊維が熱収縮し難く、プリーツ加工時の収縮が回避できるだけでなく、フィルターとした際に高温気体を流してもリークし難くなる傾向がある。さらに、繊維間の熱接着力が維持され、強度低下や剥離が発生し難くなる傾向がある。
尚、本明細書で記載する結晶化度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される熱量から、下記式(1):
結晶化度[%]=100×[(融解部熱量)−(冷結晶部熱量)]
/(完全結晶の融解熱量) (1)
(式中、上記熱量の単位は、全て[J/g]である。)
に従って算出される値である。また、式中、完全結晶の融解熱量としては、ポリフェニレンスルフィドの完全結晶の理論的な融解熱量146.2J/gを用いる。
尚、具体的な測定方法については後掲される。
上記したように、本発明において用いるスパンボンド不織布は、実質的にPPS長繊維からなるが、本発明の効果を損なわない範囲で例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、芳香族スルフィド等の他の繊維を少量(例えば15質量%以下)含んでいてもよい。また、スパンボンド不織布は、本発明の効果を損なわない範囲で、着色剤、酸化チタン、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化紡止剤、硬化剤等任意の添加剤成分を含んでいてもよい。
濾過層となる上記のスパンボンド不織布は、1枚(層状)の不織布であってもよいし、複数枚の不織布が積層されたものであってもよい。また、複数層の不織布はそれぞれ異なった不織布でもよい。さらに、該不織布には、後掲の平均繊維径が0.1〜5μmのPPS極細繊維から構成される不織布層を含むのが好ましい。
このような1層又は複数層のスパンボンド不織布には、必要に応じて熱エンボス加工又は熱カレンダー加工による熱接着を施すことにより、複数層の不織布を積層一体化することができる。これにより、目付量及び空孔率をフィルター用濾過材として求められる範囲に調整することができる。熱エンボス加工又は熱カレンダー加工における加工条件として、温度は160℃〜280℃、圧力は少なくとも50N/cm以上であることが好ましい。この場合の熱接着は短時間の瞬間的な熱付与であり、PPS極細繊維又はPPS長繊維の結晶構造に変化を生じさせるものではない。
各層の一体化接合方式としては、熱接着方式以外に、水流交絡法、ニードルパンチ法なども採用することができる。
濾過層となる、上記の単層又は複数層一体化されたスパンボンド不織布の総目付は、80〜600g/mであり、好ましくは100〜500g/mである。該総目付が80g/mを下回ると、捕集性が不足するだけでなく、プリーツ加工した際の保持性にも問題が出る可能性があり、好ましくない。一方、該総目付が600g/mを超えると、気体を流した際の圧力損失が大きくなり、ダストを払い落とす逆洗に使用するパルスエアーに影響し、使用エネルギーの点で問題になるだけでなく、濾過層の厚みが増えるためプリーツの山数が少なくなり、濾過面積が低下するため、寿命も短くなる。本明細書で記載する目付は、JIS L 1906 5.2「単位面積あたりの質量」項に準じて測定される値である。
濾過層となるスパンボンド不織布フラジール通気度は、2〜20cc/cm/秒が好ましく、より好ましくは10〜15cc/cm/秒である。該フラジール通気度が2〜20cc/sec/cmの範囲にあると、初期の圧力損失が低く抑えられ、濾過層内部に捕集される物質の量も多く、かつ寿命も長くなり好ましい。
一方、該空孔率が20cc/cm/秒を超えると、濾過層内部に捕集された粒子が再び流出しやすく、捕集性が低下するため好ましくない。
尚、本明細書で記載するフラジール通気性は、JIS L 1096 8.27.1「通気性」A法 フラジール形法に準じて測定される値である。
先述したように、本実施形態に係る濾過材は耐熱性にも優れる。たとえば後掲するように、該濾過材を用いて積層構造を有する集塵機用フィルターを作製し、このフィルターを使って熱時集塵機ろ布試験(JIS Z 8901−1)を行った際に、初期30サイクルの吸引時間の合計が30,000sec以上であり、さらに集塵率が99.0%以上であることが好ましい。
本発明の集塵機フィルター用濾過材は、フィルター寿命を向上させるためのプレフィルター層や更に細かい粒子を捕集するためのメルトブロウン法などによって得られるPPSの極細繊維層等を更に有することができる。
尚、本明細書では、濾過材とは、上記のPPS長繊維から構成され濾過層として機能する不織布を少なくとも含むものであり、該濾過層にこのようなプレフィルター層やPPS極細繊維層を含んだものもいう。
以下に、極細繊維から構成される不織布をさらに配した濾過材の一態様を示す。
例えば、2枚の平均繊維径が1〜15μmのPPS長繊維から構成される不織布の間に、平均繊維径が0.1〜5μmPPS極細繊維から構成される不織布をさらに配し、各層を熱接着により積層一体化したうえで、その一体化層をプリーツ加工したものを濾過層とする濾過材である。
PPS極細繊維の平均繊維径は上記のとおり0.1〜5μmが好ましいが、より好ましくは0.5〜3μmである。PPS極細繊維の平均繊維径が0.1〜5μmであると、より細かい粒子を捕捉でき、かつ所望するようなフラジール通気度を両立できるため好ましい。
このようなPPS微細極細繊維層を含む濾過材を積層する態様としては、上記のような態様以外に、平均繊維径が1〜15μmのPPS長繊維から構成されるスパンボンド不織布と平均繊維径が0.1〜5μmからなるPPS極細繊維から構成される不織布とを任意の順序で積層してなるものであってもよい。たとえば、平均繊維径が1〜15μmのPPS長繊維層からなる不織布を複数枚積層してから、平均繊維径が0.1〜5μmからなるPPS極細繊維からなる不織布を一層又は複数層積層してもよい。
本実施形態に係る集塵機フィルター用濾過材はプリーツ形状を有する。たとえば、プリーツ加工により濾過材の濾過表面を増大させることでき、より多くの被濾過物質を濾過することができるので好ましい。
上記プリーツ加工の方法については、特に限定されないが、例えば、ナイフ型加工機、ロータリー型加工機等を用いた加工方法が挙げられる。
<プリーツフィルター>
本発明の別の態様としては、上記のPPS長繊維から構成されるスパンボンド不織布又は上記のPPS極細繊維から構成される不織布の単層又は複数層が積層一体化され、さらにプリーツ加工されたものを濾過層とする濾過材を含む、集塵機用フィルターを提供することができる。
尚、本明細書においては、フィルターとは、濾過材を少なくとも含むものであり、後掲のプレフィルター層、メッシュ層はじめ不織布層のような副濾過層をさらに設けたものもいう。
このようなフィルターの一例としては、
平均繊維径が1〜15μmのPPS長繊維から構成され、かつ総目付が80〜600g/mである少なくとも一層のスパンボンド不織布をプリーツ状に形成したものを濾過層とする濾過材を含む集塵機用のプリーツフィルターである。
また、別の例としては、2層の平均繊維径が1〜15μmのPPS繊維から構成されたスパンボンド不織布の間に、平均繊維径0.1〜5μmのPPS極細繊維から構成された不織布をさらに配した、総目付が80〜600g/mであるスパンボンド不織布積層体を、熱接着により積層一体化したうえでプリーツ加工してなるものを濾過層とする濾過材を含む集塵機用のプリーツフィルターである。
上記したプリーツフィルターは、本実施形態に係る濾過材を用いているので、JIS Z 8901−1で規定される集塵機ろ布試験における、初期30サイクルの吸引時間の合計が30,000sec以上であり、集塵率が99.0%以上であるという特徴を有する。
プリーツフィルターの初期30サイクルの吸引時間の合計の上限は特に限定されない。このように該フィルターの初期30サイクルの吸引時間が30,000sec以上であると、実用上所望されるような長時間フィルターをして使用できるので好ましい。
本実施形態に係るプリーツフィルターには副濾過層を設けることができる。
この副濾過層としては、集塵機用フィルター用濾過材の捕集性及び寿命を高めるためのプレフィルター層に加え、プリーツ成形性及びプリーツ保持性を高めるためのメッシュ層又は不織布層、等を設けることができる。
これらの副濾過層は、プリーツ加工時に集塵機用フィルター用濾過材と重ね合わせる方法、フィルター用濾過材とエンボス複合等の公知手段で張り合わせる方法等によって設けることができる。
副濾過層の材質としては、耐熱性の高いものを選定する必要性があるため、例えばPPS樹脂やポリイミドやフッ素系樹脂等からなる不織布及びメッシュ及びフィルムが好ましい。
本発明を、次の実施例及び比較例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、集塵機フィルター用濾過材の物性値並びに実施例及び比較例において評価した特性値は以下の方法により測定したものである。
<各種特性測定>
(1)平均繊維径
試料の任意の10ヶ所を、2500倍のマイクロスコープ倍率にて撮影(1ヶ所あたり5点測定)して、50点の繊維の直径を測定し、それらの平均値(数平均)を平均繊維径とした。次いで、平均繊維径から、平均繊度[dtex]を計算により求めた。
(2)目付
JIS L 1906 5.2「単位面積あたりの質量」項に準じて測定した。
(3)フラジール通気性
JIS L 1096 8.27.1「通気性」A法 フラジール形法に準じて測定した。
(4)結晶化度
示差走査熱量計(TAインスツルメント社製:DSC2920)を用いて、5.0mgの試料を下記条件で測定し、下記式(1):
結晶化度[%]=100×[(融解部熱量)−(冷結晶部熱量)]
/(完全結晶の融解熱量) (1)
により、結晶化度[%]を算出した。尚、式中、完全結晶の融解熱量として、ポリフェニレンスルフィドの完全結晶の理論的な融解熱量146.2J/gを用いた。また、上記熱量の単位は、全て[J/g]である。
尚、溶解部熱量及び冷結晶部熱量は、測定時に現れる各部に起因して観測される各カーブから求められた。
(測定条件)
測定雰囲気:窒素ガス150mL/min、昇温速度:20℃/min
測定範囲:30〜350℃
(5)集塵性能試験
VDI−3926 Part Iに規定される装置を用い、JIS Z 8901−1に規定される、以下の測定条件に従って集塵性能試験を行った。
ダスト:JIS Z 8901に規定される試験用紛体第10種
測定温度:180℃
入口ダスト濃度:5g/m
ろ過速度:2m/min
逆洗パルス用圧縮エアータンク圧力:500kPa
払落し時フィルター圧損:1000Pa
パルス噴射時間:50ms
(6)総吸引時間(秒)
上記(5)に示されたJIS Z 8901−1に規定された方法により、1,000Paの払落し制御のもとで30サイクル繰り返した際の吸引時間の合計を計測したものを初期30サイクルの吸引時間とした。
(7)圧力損失(KPa)
上記(5)に示されたJIS Z 8901−1に規定された方法により、フィルターへ2m/minで送風した際のフィルターの圧力損失を圧力損失とした。
(8)捕集効率(%)
上記(5)に示されたJIS Z 8901−1に規定された方法により、1000Paの払落し制御のもとで30サイクル繰り返した際に、フィルターを通過したダスト量を測定し、下記数式:
捕集効率(%)=100-((フィルターを通過したダスト量×60)/(ろ過風速×総吸引
時間×入口ダスト濃度))×100
より算出した。
(9)メルトフローレート
ASTM−D1238−82法に準じて、荷重5kg、温度315.6℃の条件において測定した。尚、単位は[g/10min]である。
[製造例1]
メルトフローレートが70g/10minである直鎖型(すなわちパラ−フェニレンスルフィド型)のポリフェニレンスルフィド(PPS)ポリマーを溶融し、ノズル径0.25mmの紡糸口金から単孔あたりの吐出量0.5g/minで押し出し、エジェクターで吸引しながら紡糸速度8×103(824)m/minで延伸し、移動する多孔質帯状体の上に捕集・堆積させて、結晶化度31%、平均繊維径7μmのスパンボンド不織布(a)を得た。
[製造例2]
メルトフローレートが70g/10minである直鎖型PPSポリマーを溶融し、ノズル径0.25mmの紡糸口金から単孔あたりの吐出量0.3g/minで押し出し、エジェクターで吸引しながら紡糸速度7×103(721)m/minで延伸し、移動する多孔質帯状体の上に捕集・堆積させて、結晶化度30%、平均繊維径5μmのスパンボンド不織布(b)を得た。
[製造例3]
メルトフローレートが70g/10minである直鎖型PPSポリマーを溶融し、ノズル径0.25mmの紡糸口金から単孔あたりの吐出量1.4g/minで押し出し、エジェクターで吸引しながら紡糸速度8×103m(824)/minで延伸し、移動する多孔質帯状体の上に捕集・堆積させて、結晶化度21%、平均繊維径12μmのスパンボンド不織布(c)を得た。
[製造例4]
メルトフローレートが70g/10minである直鎖型PPSポリマーを溶融し、ノズル径0.25mmの紡糸口金から単孔あたりの吐出量0.5g/minで押し出し、エジェクターで吸引しながら紡糸速度5×103(515)m/minで延伸し、移動する多孔質帯状体の上に捕集・堆積させて、結晶化度15%、平均繊維径12μmのスパンボンド不織布(d)を得た。
[製造例5]
メルトフローレートが670g/10minである直鎖型PPSポリマーを、紡糸温度340℃、加熱空気温度390℃の条件下でメルトブロー法により紡糸し、平均繊維径2μmの極細繊維を目付10g/mのランダムウェブとして、上記で作成したPPSスパンボンド不織布(a)に向けて垂直に噴出させ、PPS極細繊維の層及びPPS長繊維の層からなる積層ウェブを得た。なお、メルトブローノズルから長繊維ウェブの上面までの距離は、100mmとした。
得られたPPS極細繊維層とPPS長繊維層からなる積層ウェブ層の上に、更に、PPS長繊維ウェブ層を形成し、上記と同様にして開繊し、PPS長繊維の層/PPS極細繊維の層/PPS長繊維の層からなる三層積層ウェブ(e)を調製した。
[実施例1]
濾過層形成用に、スパンボンド不織布(a)を、目付が200g/mとなるように4枚積層し、次いで、260℃に加熱した長方形柄エンボス(圧着面積率11.4%)ロールとフラットロールとの間で、線圧50N/mmで部分的に熱圧着し、濾過材(1)を得た。この平膜状の濾過材(1)の物性を表1に示す。次に、濾過材(1)をプリーツ加工機((有)東洋工機社製)で山高さ1cmに加工してプリーツ形状が形成された濾過材を得た。
[実施例2]
スパンボンド不織布(b)を用い、目付を100g/mに変更した以外は実施例1と同様にして、濾過材(2)を得た。この濾過材(2)の物性を表1に示す。
[実施例3]
製造例3において得られたスパンボンド不織布(c)を、目付が240g/mとなるように調整し、260℃に加熱した長方形柄エンボス(圧着面積率11.4%)ロールとフラットロールとの間で、線圧50N/mmにより、スパンボンド不織布(c)の内部を部分的に熱圧着し、濾過材(3)を得た。この濾過材(3)の物性を表1に示す。
[実施例4]
製造例5において得られたこの三層積層ウェブ(e)を、PPS長繊維層の目付が90g/m、PPS極細繊維層の目付が10g/mにとなるように調整し、250℃に加熱した織目柄エンボス(圧着面積率14.4%)ロールとフラットロール間で線圧300N/cmにて部分熱圧着し、多層構造の耐熱性濾過材を得た。この濾過材の物性を表1に示す。
[比較例1]
製造例4において得られたスパンボンド不織布(c)を、目付が650g/mとなるように調整し、260℃に加熱した長方形柄エンボス(圧着面積率11.4%)ロールとフラットロールとの間で、線圧200N/mmにより、スパンボンド不織布(c)の内部を部分的に熱圧着し、濾過材(4)を得た。この濾過材(4)の物性を表1に示す。
[比較例2]
日本フェルト(株)社製PPSフェルト(品番FLR−455C)を用いてプリーツ加工機((有)東洋工機社製)で山高さ1cmになるような加工を試みたが、プリーツフィルターを得ることはできなかった。
[比較例3]
東レ(株)社製ポリエステルスパンボンドアクスター(品番G2260−1S)を用いて集塵試験を実施したところ、測定中に濾材が溶融してしまった。
実施例1〜4については、粒径5μm粒子の捕集性が99%以上であり、流量圧損及び寿命のバランスに優れたフィルターであることが判る。
比較例1では、目付を高め、空孔率を低くしたことにより捕集性はやや高くなったが、空孔が少ないために流量圧損が高く、寿命の短いフィルターになってしまうことが判る。また、比較例2の濾過材では厚みが厚くプリーツを折ることができなかった。比較例3ではポリエステルであるため測定中に濾材が融解し測定できなかった。
Figure 2019000793
本発明の濾過材を用いた耐熱プリーツフィルターは、特に耐熱性を必要とする発電所、廃棄物処理場、ボイラーなどで使用される集塵機用のフィルターとして極めて有用である。

Claims (4)

  1. 濾過層として、平均繊維径が1〜15μmのポリフェニレンスルフィド長繊維から構成され、かつ、総目付が80〜600g/mである、プリーツ状に形成した単層又は複数層のスパンボンド不織布を含む集塵機フィルター用濾過材。
  2. 前記2層のスパンボンド不織布の間に、平均繊維径0.1〜5μmのポリフェニレンスルフィド極細繊維不織布をさらに配した、請求項1に記載の集塵機フィルター用濾過材。
  3. 前記スパンボンド不織布が、熱接着により積層一体化されたものである、請求項1又は2に記載の集塵機フィルター用濾過材。
  4. JIS Z 8901−1で規定される集塵機ろ布試験における、初期30サイクルの吸引時間の合計が30,000sec以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の集塵機フィルター用濾過材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114797491A (zh) * 2022-06-23 2022-07-29 杭州科百特过滤器材有限公司 一种过滤膜包及其制备方法
WO2024018828A1 (ja) * 2022-07-20 2024-01-25 東レ株式会社 極細ポリフェニレンスルフィド繊維及び不織布、並びにそれらの製造方法

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