図1を参照すると、垂直方向12と、垂直方向12に対して垂直な前後方向14と、垂直方向12及び前後方向14に対して垂直な横方向16とにおいて、ディスペンサー10を把握できる。垂直方向12は、ディスペンサー10を載せる平面に対して垂直である。また、横方向16及び前後方向14は支持面に対して平行である。
ディスペンサー10は、前後−垂直の平面内でC字形状のハウジング18を備える。さらに、ハウジング18は、上部20及びベース22を備え、上部20とベース22の間に、垂直方向の空隙が構成される。上部20は、貯蔵器26を受け入れる空洞24を構成する。貯蔵器26は、ネック28を備える。ネック28は、開口部30及びボディ32を構成し、これらはネック28に接続される。ネック28は、ボディ32を開口部に差し込むことができるように、より小さくてもよい。この開口部では、ボディ32が通過することができないか、又は、ボディ32が変形せずに通過することができない。空洞24は、貯蔵器26の取り外しを容易にするため、横方向16でボディ32よりも幅広である。開口部30は、感圧式の開口部である。開口部30は、ボディ32に圧力がかからなければ、閉じているが、その圧力がしきい値を超えると、流体を通過させる。例えば、開口部30は、技術的に既知の調味料ディスペンサーで使用されている、様々な「no−drip」システムのいずれかである。
上部20の一部を覆う蓋34を用いることによって、空洞24に容易にアクセスすることができる。蓋34は、上部20の垂直上方、上部20の垂直下方、又は上部20の外側面において、上部20に取り付けることができる。蓋34は、スナップフィット又は他の方法により、完全に、取り外したり、取り付けたりすることができる。また蓋34は、上部にヒンジ式に取り付けられるか、又は、横方向にスライドして閉位置から出し入れされてもよい。例えば、引き出し構造は、貯蔵器26を受け入れる空洞24の一部を構成し、スライドによって上部20の側面に出し入れするものでもよい。
押圧部材36は、空洞24の内外にスライドすることができる。これにより、押圧部材36は、貯蔵器26を圧縮することができる。さらに、押圧部材36は、格納することができ、これにより、元の貯蔵器26から抽出可能な量の流体を押し出した後に、詰替貯蔵器26を差し込むことができる。押圧部材36は、空洞24の壁面で構成される停止面40と対向する位置にある押圧面38を構成する。
図2を参照すると、押圧部材36は、ハウジング18にスライド可能に取り付けられる。例えば、押圧部材36は、1つ以上のスロット42を構成する。スロット42は、上部20に固定されたレール44を受け入れる。あるいは、押圧部材36に形成されたレールは、上部20によって構成されるスロット内に差し込まれてもよい。アクチュエータ46は、押圧部材36と係合する。これにより、アクチュエータ46が押圧部材36を貯蔵器26に向かって動かすと、流体が貯蔵器26から出る。アクチュエータ46は、電動スクリュー、ウォームギア、サーボ、回転カム等のリニアアクチュエータである。特に、アクチュエータ46は、電力供給のないときに、この状態を維持するのに有利である。アクチュエータ46は、1つ以上のアクチュエータ取付具50の内側に取り付けられる。アクチュエータ取付具50は、上部20、又はベース22を含むハウジング18の他の部分に固定される。図示する実施形態では、アクチュエータ46は、スプレッダ48によって押圧部材36と係合しており、これにより、押圧部材36のより広い範囲に、力が分散される。
ディスペンサー10は、近接センサー52を備える。近接センサー52は、上部20と下部22の間の空隙内で人間の手を感知するように構成される。近接センサー52が人間の手を感知する形態としては、反射光の検出、近接センサー52に入射する光の遮断、熱痕跡又は温度変化の検出、インダクタンス若しくは静電容量の変化、又は、その他の方式による手の動き、手の接近、手の存在の検出といった、様々な手段がある。近接センサー52は、上部20の下面54から下方に突出するか、下面54を通過して、上部20と下部22の間の空隙内で、光、空気、又は熱エネルギーにさらされる。近接センサー以外に、音声作動式のセンサーが用いられてもよい。さらに、デバイスの同じ部分又は別々の部分に、多数のセンサーが用いられてもよい。
いくつかの実施形態では、1つ以上の発光素子56が上部20に搭載され、上部20と下部22の間の空隙へ光を照射する。例えば、下面54又はその一部は、発光素子からの光が空隙に到達するように、半透明であるか、穴が開いている。発光素子56は、発光ダイオード(LED)、白熱電球、又は他の発光装置である。あるいは、発光素子は、底面又は側面から発光してもよい。
ハウジング18は、様々な構造又は形状で形成されてよい。図示する実施形態では、ハウジング18は、湾曲した外部58及び湾曲した内部60を備える。これらが係合すると、ディスペンサー10の部品を支持する、湾曲した空洞又はC字形状の空洞が形成される。湾曲部58,60の端は、平面であるか、又は平面を含む。特に、外側湾曲部58が備える下端は、平坦な面に設置するために平坦な下面を有するか、平坦な面に設置するための共通な平面内に位置する3つ以上の点を有する。
コントローラ62は、ハウジング18内に取り付けられ、例えばベース22内に取り付けられる。コントローラ62は、アクチュエータ46、近接センサー52、発光素子56の全て又はいくつかに対して、操作可能に接続される。コントローラ62は、これらの構成要素にワイヤーで接続される。また、コントローラ62は、バッテリ又は電源アダプタのような動力源(不図示)に接続される。コントローラ62は、電子部品を取り付けられた印刷回路基板として実施される。この電子部品は、コントローラ62の機能を発揮させるのに有効である。コントローラ62は、その機能を発揮するため、プロセッサ、メモリ、又はその他の演算能力を有する。
図3及び図4を参照すると、上部20の下面54は、貯蔵器26のネック28を受け入れる開口部66を構成する。図示するように、開口部30は、流体がユーザの手に向かわず、ディスペンサーのベース22以外の部分に向かわないように、自由に流体を吐出する。また、明らかなように、開口部30及びネック28は、押圧面38よりも、停止面40に近い場所に配置される。これにより、開口部30内に差し込まれたネック38は、貯蔵器26のボディ32がつぶされる際に、押圧面38の進行を妨げない。ネック28は、ボディ32のうちの停止面40と係合する表面にできる限り近づいた位置に配置される。開口部66上において、例えば、貯蔵器26を支持するハウジングの表面と平行に測定したときの、停止面40と押圧面38の間の距離を、例えばXと定義すると、停止面40と、ネック28のうちの停止面に最も近い側との間の距離は、Xの10%未満か、好ましくはXの5%未満である。
さらに、上部20の下面54は、近接センサー52の一部を支持したり、光、振動、熱エネルギー及びそれに類するものを近接センサー52に到達させたりする、開口部68を形成する。下面54はさらに、発光デバイス56からギャップに放射される光を通すための開口部を備える。あるいは、下面54は、光を通過させるために、半透明又は透明であるか、その一部に半透明又は透明な部分を備える。いくつかの実施形態では、開口部66の垂直下方に位置するベース22の上面には、マーカー70が形成される。マーカー70は、ディスペンサー10によって流体が吐出される場所を示し、例えば、くぼみ、ペイントマーク、又は他の視覚的指標である。
押圧部材36は、作動方向72で前後にスライドする。通常、作動方向72は、例えば20度以内で前後方向に略平行である。押圧面38は、作動方向72に対して略垂直である。例えば、押圧面38の垂線は、作動方向72に沿う軸に対して、プラスマイナス5度以内、好ましくはプラスマイナス1度以内である。また、停止面40も、作動方向に略垂直である。すなわち、停止面40の垂線は、作動方向に略平行である。しかし、図示する実施形態では、貯蔵器26の差し込みを容易にするため、停止面40は傾斜している。例えば、停止面の垂線は、作動方向72から上向きに傾いており、その角度は2度から10度の間か、0度以外の角度である。
いくつかの実施形態では、貯蔵器26は、発熱素子74によって直接的に、又は間接的に温められる。発熱素子74は、コントローラ62に動作可能に接続されるか、直接、電源に接続される。また、発熱素子74は、この温調制御を行うことができる熱センサーを備える。図示する実施形態では、発熱素子74は、押圧部材36に接続される。例えば、発熱素子74は、押圧面38に垂直である、押圧部材の図示する下面に接続される。発熱素子74は、押圧面38のすぐ反対の位置76aか、停止面40のすぐ反対の位置76bに取り付けてもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵器26の周りの空気を単に温めれば十分であり、貯蔵器26との熱接触や、貯蔵器26に面する構造は、問わない。したがって、発熱素子74は、上部20の都合の良い場所に設置したり、ハウジング18内の他の部分に設置したりしても良い。あるいは、他の温度制御素子は、流体を温めたり冷やしたり、流体の温度を維持したりするのに利用されてもよい。
コントローラ62により、押圧部材36は、図3に示す開始位置から、停止面40付近の終了位置に移動する。コントローラ62により、押圧部材36は、開始位置と終了位置の間において、互いに離間した位置に移動する。例えば、コントローラ62により、アクチュエータ46は、近接センサー52の出力に基づく動きの検出に応じ、押圧部材36をある位置から次の位置に動かす。押圧部材36が終了位置に到達し、その到達が検出されると、コントローラ62は、アクチュエータ46を動かすことにより、押圧部材36を開始位置に動かす。押圧部材36が開始位置から進んだ回数をカウントすることによって、終了位置への到達が検出される。例えば、コントローラ46は、押圧部材がN回進んだ時に、開始位置に押圧部材を戻す。好ましい実施形態では、押圧部材36の進行量を、ユーザがコントローラで調整してもよい。このようにして、個々のユーザは、開口部の下にあるユーザの手に吐出させる流体の量を、増やしたり減らしたりできる。このような目的のために、回転調節ノブ又は、上下矢印ボタンのような他のボタンが搭載されてもよい。
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、押圧部材36は、ローラー80として実施される。ローラー80は、貯蔵器26を横切るように付勢されたとき、貯蔵器26から流体を搾り出す。この操作を容易にするため、ボディ32は、平坦であり、ボディ32の長さ82及び幅84は、厚さ86よりも実質的に大きい。幅84の寸法は、空洞24の内部に配置されたローラー80の回転軸に平行であり、長さ82は、ローラー80の動作に応じた走行方向に平行である。厚さ86の寸法は、長さ82及び幅84の寸法の両方に垂直である。ネック28は、ボディ32の長さの寸法82において、ボディ32の端部又は端部付近に位置する。特に、貯蔵器26を差し込むことができるようにするため、ローラー80は、図5に示すような、開始位置に位置する。ローラー80が図に示す開始位置に位置する時、ネック28は、ボディ32のうち、ローラー80に近い端とは反対側の端に位置する。
図6及び図7を参照すると、ローラー80は、1つ以上の軸88の周りで回転し、軸88の端部は、ローラー80の外に突出している。軸は、ローラー80の作動方向72を規定するとともに、作動方向72に平行な上縁を有するリッジ部90に載る。さらに、軸88は、U字型カバー92により、リッジ部90に保持されている。カバー92は、カットアウト部94を備える。カットアウト部94は、パラレルエッジ96を有する。ローラー80は、パラレルエッジ96の間で走行する。カバー92のエッジ96又は他の部分は、軸88がスライドするスロットを形成するために、リッジ部90の反対側に位置する。カバー92は、カットアウト94から離れて上方に傾いた面98を有し、これにより空洞24の中へ貯蔵器26を導入できる。カバー92は、カットアウト部94の両側に通路100を構成したり、カットアウト部94の両側に延びるU字型の通路を構成したりする。
いくつかの実施形態では、通路100は、紐102を収容するためのスペースを有する。紐102は、エッジ96とリッジ部90との間で、軸をスロットに沿って引っ張る。図示する実施形態では、紐102は、軸88の端部に固定されており、棒104の周りに巻き付いている。さらに、紐102のそれぞれは、共通の滑車106又はスプールに接続される。滑車106又はスプールは、回転アクチュエータ108を含むアクチュエータ46によって駆動する。紐は、回転アクチュエータ108の回転に応じて滑車106に巻き取られ、これによりローラー80が棒104及び開口部66に向かって引っ張られる。開口部66には、貯蔵器26のネック28が通される。また、ローラー80を開始位置に戻すために、ばね110のような付勢部材が、ハウジング18と、ローラー80の両側の軸88とに接続される。回転アクチュエータ108によって作用する力を取り除くと、ばね110はローラーを開始位置に戻すように付勢する。あるいは、ばねは、ローラーを、貯蔵器を圧縮させる前方位置に向かって付勢する。そのような実施形態の他、紐102及びアクチュエータ108は、ばねを引っ張ることによりローラーを進行させる役目を持つ。さらに、紐102及びアクチュエータ108は、ばね圧に逆らって、ローラーを非圧縮の開始位置に引っ張る。
回転アクチュエータは、この状態を維持し、例えば、位置を変えないときにはロックされる。これにより、開始位置から、開口部66に最も近い終了位置までの間において、様々な位置にローラー80が移動することができる。図6で明示するように、支持面112は、貯蔵器26のボディ32を支持し、ボディ32は、ローラーが動いている間、ローラー80と支持面112の間に挟まれる。
図5から図7の実施形態では、図1から図4の実施形態と同様に構成された、コントローラ62、近接センサー52、及び発光素子56を有する。ここで開示される他の実施形態として、コントローラ62は、近接センサー52による検出に応じて、互いに離間した位置にローラー80を走行させる。同様に、コントローラ62は、ローラー80が終了位置に到達したときに、ローラー80を開始位置に戻すか、戻すことを許容する。図5から図7の実施形態は、図1から図4の実施形態と同様の発熱素子74を備え、発熱素子74は、支持面112と適合するような上部20内の位置に配置されたり、上部20内の空気を温めるような位置に配置されたりする。
図8を参照すると、実施形態では、貯蔵器カバー120は、下面54にヒンジによって固定されるか、又はスナップフィット若しくは他の方法により固定され、完全に取り外し可能である。貯蔵器26のネック28を受け入れる開口部66は、貯蔵器カバー120内に形成されている。したがって、使用時において、貯蔵器26のボディ32を座部122に載せたときに、ネック28(図9から図11参照)は、開口部66内に位置する。座部122は、凹面又はそれ以外の面を有する。そして、貯蔵器カバー120は下面54に取り付けられる。
図示する実施形態では、カバー120のうち、ヒンジで取り付けられた端部の反対側の先端部は、戻り止め機構と係合するリッジ部124又はリップ部124を備える。保持機構又は戻り止め機構は、カバー120を選択的に解除できる状態で保持するために利用されている。
図9から11を参照すると、いくつかの実施形態では、貯蔵器カバー120は、ヒンジ式かつ解除可能に、開口部126内に取り付けられ、図示する機構において、開口部126が覆われる。ハブ128は、その上面にレジストレーションボス130を備える。ハブ128は、フロントスプリングアーム132を有し、フロントスプリングアーム132は、前後方向14でハブ128から前方に延びる。また、フロントスプリングアーム132は、ハブ128から離れて側方に広がる。また、スプリングアーム132は、ハブ128から下方に曲がっており、フロントスプリングアーム132の先端部を繋ぐクロスバー134に固定される。図示するように、クロスバー134は、開口部126の一部に掛かる。また、クロスバー134は、カバー120を開口部126内に保持するため、リッジ部124と係合する。スプリングアーム132及びクロスバー134は、ばね鋼のような弾性素材であり、変形することにより、リッジ部がクロスバー134の上を通ることができる。上述したとおり、フロントスプリングアーム132は、ハブ128から下方に向かって曲がっており、ハブ128の底と、開口部128と、開口部126内に位置するカバー120の上面との間に、垂直空隙が存在する。
リアスプリングアーム136は、ハブ128に固定され、前後方向14でハブ128から後方に突出する。また、リアスプリングアーム136は、横方向16で互いに外方に広がり、垂直方向12でハブ128から下方に曲がっている。リアスプリングアーム136は、軸部138に、回転可能に取り付けられる。軸部138は、横方向16でカバー120から外方に突出する。軸部138は、横方向16で延びる軸を有する円筒である。リアスプリングアーム136は、軸部138内に差込可能な、屈曲端部を備える。リアスプリングアーム136は、リアスプリングアーム136の付勢力の結果、軸部138と係合する状態を保つ。いくつかの実施形態では、フロントスプリングアーム132、リアスプリングアーム134、及びクロスバー134は、図示するような形状に曲げられた単体金属のロッド又はワイヤーの一部である。
軸部138は、アーム140によってカバー120に固定され、アーム140は、上部20の外から上部20内へ延びる。図示する実施形態では、アーム140は、アーチ型であり、その凹型の下面は、開口部126の縁に掛かる。
軸部138は、座部142に配置され、座部142は、アーム140の両側に位置する。図9及び図10で明らかなように、座部142は、座部142に対して軸部138の差し込み及び取り外しが可能なように、開いた構造である。蓋34は、ハブ128に係合し、リアスプリングアーム136を下方に付勢する。この結果、軸部138は、座部142へと付勢される。図示する実施形態(図10参照)では、蓋34は、空洞24内でハブ138を適切な位置に保つために、ハブ128上に形成されたボス130を受け入れるレジストレーションホール144Aを備える。図示する実施形態では、レジストレーションホール144Aは、蓋124を完全に通過して延びる。いくつかの実施形態では、ホール144Aを通るレジストレーションボス130をユーザが押し込むことでハブ128が沈む。そして、クロスバー134が付勢されてリッジ124との係合が解除される。この結果、貯蔵器カバー120が開口部126の外に落ちる。いくつかの実施形態では、ハブ128は、1つ以上のレジストレーションホール144A、144Bを構成する。レジストレーションホール144A、144Bは、1つ以上の棒145を受け入れる(図11参照)。棒145は、蓋34の内面又は上部20の他のカバーに固定されている。
プランジャー146が略垂直方向12で作動すると、流体は、空洞24内の貯蔵器26から押し出される。特に、プランジャー146は、ハブ128とカバー120の座部122の間の空隙内で略垂直に動く(図12A及び12B参照)。例えば、プランジャーは開口部126の中心軸に略平行(例えば平行からプラスマイナス5度以内)に動く。いくつかの実施形態では、プランジャー146は、クロスバー148によって作動する。クロスバー148は、横方向16でプランジャー146に掛かっており、また、プランジャー146を過ぎて外側横方向に延びている。図示する実施形態では、クロスバー148は、プランジャー146の上面に形成される、立ち上がった棒150又はチューブを通過する(図14参照)。クロスバー148の端部は、垂直溝152の中でスライドする。垂直溝152は、上部20内で構成され、開口部126の両側においてそれぞれ構成されている。図9から図11で明らかなように、上部20は、例えば2から10度、水平からわずかに傾いている。溝152も、垂直から同様な角度で傾いている。溝152は、開口部126の中心軸又はプランジャー146の作動方向に平行である。例えば、溝152は、開口部126の両側に位置する棒154に形成される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスプリング156は、クロスバー148、プランジャー146の部位、又はプランジャー146に取り付けられた他の構造に係合する(図9及び図10参照)。スプリング156は、プランジャーを開口部126に向けて付勢する。スプリング156は、第一アーム160及び第二アーム162を備える。
図8及び図12Aに示すように、空洞24の中に貯蔵器26を差し込む際に、ユーザは、カバー120に貯蔵器26を設置し、その後、カバー120を上向きに付勢することによって、貯蔵器26を、プランジャー146に対抗して付勢することができる。図12Aの構成は、プランジャー146の開始位置である。図12Bに示すように、プランジャー146がカバー120に向かって圧縮されると、貯蔵器26のボディ32が圧縮されることにより、プランジャー146が図12Bに示す終了位置に到達するまで、開口部30から流体が出る。ここで明示される他の実施形態として、プランジャー146は、図示した開始位置と終了位置の間において、互いに離間した複数の位置に動かされる。これにより、個別の量の流体が貯蔵器126から放出される。
図示する実施形態では、スプリング156は、棒150から外側横方向に位置する座部158に設置されるが、他の位置を有効に利用することもできる。図12A及び図12Bで明らかなように、スプリング156の第一アーム160は、クロスバー134に対抗して押圧する。各スプリング156の第二アーム162は、アーム160でのねじりモーメントを打ち消すために上部20の一部に係合している。
図13及び図14は、プランジャー146を動かす作動機構の例を示す。ここで、スプリング156は、作動機構の一部と考える。作動機構はロッド164を備える。ロッド164は、通常、前後方向14で上部に沿って延びており、この上部は、上部20の上向きの角度と同様に上向きに傾いている。ロッド164は、その第一端部に固定される第一アーム166を備える。第一アーム166は、スプレッダ48によってリニアアクチュエータ46と係合し、スプレッダ48は、リニアアクチュエータ46によって上下に動く。ロッド164は、第一端部の反対側の第二端部に固定される第二アーム168を備える。ロッド164は、上部20によって構成されるスロット170内に設置することができる。
第二アーム168は、プランジャー146の上に延びており、アーム166の上昇に応じて上昇する。図示する実施形態では、アーム168はループであり、ループは、棒154の周りに延び、さらに、クロスバー134とプランジャー146の間で延びる。明らかなように、アクチュエータ46はアーム166のみを上昇させるように力をかけることができる。よって、アーム168は、スプリング156の付勢力を打ち消すように動作可能であり、これにより、貯蔵器26の差し込みが可能となる。流体を吐出するために、アクチュエータ46は、スプレッダ50を異なる位置に下げる。これにより、スプリング156の付勢力によって、貯蔵器26から流体を吐出させることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ46は、アーム166と接続され、アクチュエータ46は、アーム166とアーム168を、上昇及び下降させることができる。さらに他の実施形態では、スプリング156がプランジャー146を上方に付勢し、アクチュエータ46は、プランジャー146をカバー120に向かって下方に付勢するように動作可能である。図14に示すような、いくつかの実施形態では、ロッド164は、スプリング156のコイルを通過する。
図9から図14の実施形態は、図1から図4の実施形態と同様に、コントローラ62、近接センサー52、及び発光素子56を備える。ここで明示される他の実施形態として、コントローラ62は、近接センサー52による検出に応じて、互いに離間した位置にプランジャー146を動かす。同様に、コントローラ62は、終了位置に到達したプランジャー146を開始位置に戻すか、戻すことを許容する。図9から図14の実施形態は、同様に、貯蔵器26、空洞24、又は上部20の中の空気に熱接触する発熱体74を備える。
図15及び図16を参照すると、いくつかの実施形態では、上部20及び下部22は、図示するような構造である。特に、この構造はC字型でなく、上部20と下部22が両端で接合し、ユーザの手の一部を通すことができる開口部180を構成する。図15及び図16の実施形態では、図示する貯蔵器26が使用される。図示するように、貯蔵器26のボディ32は、その高さに沿って略一定な断面を有する。ハンドル182は、ボディ32のうち、ネック28とは反対側に取り付けられ、これにより、貯蔵器26の取り外しを容易に行うことができる。リップ又はショルダー184は、ハンドル182から突出して、ボディ32から外側に向かって延びる。
上部20は、貯蔵器26を受け入れる開口部186を構成し、開口部186を囲む斜面188を備える。これにより、貯蔵器26を開口部186に導入しやすくなる。座部190は、ショルダー184に係合するような形であり、開口部186に隣接する位置にある。
図17Aから図17Cを参照すると、いくつかの実施形態では、開口部186は、上部20に固定されたフレキシブルスリーブ192によって構成される。スリーブは、両端が開いており、貯蔵器26のネック28は、スリーブを通過して開口部66の中に差し込まれる。いくつかの実施形態では、ワッシャー194が開口部66の上方に位置しており、ワッシャー194を介してネック28が挿入される。
図示する実施形態では、フレキシブルスリーブ192の両側に位置するアーム196によって、流体が貯蔵器26から押し出される。スリーブの間では、角度198が構成される。スリーブは、スリーブ192の一方の側に位置するピボット200において、ハウジング18に対して回転可能に取り付けられる。さらに、スリーブは、スリーブ192を挟んでスリーブ192の反対側まで延びている。アーム196は、ピボット200を構成する直線部を含む図示するような形で曲がった単体金属ロッドの一部である。ピボット200の反対側では、リンク202は、ハウジング18内において両方のバーアーム196に取り付けられているクロスバー204によって、アーム196に回転可能に取り付けられている。アクチュエータ46は、アーム196とリンク202を連結する点と、リンク202とハウジング18を連結する点との間の点において、リンク202に回転可能に連結される。しかし、アクチュエータ46は、リンク202に沿うもう一つの点でリンク202に連結されてもよい。アクチュエータ46は、ハウジング18に回転可能に取り付けられ、これにより、アクチュエータ46は動作中において回転する。
図17A及び図17Bに示すように、アクチュエータ46は、縮むことにより、フレキシブルスリーブ192の上からアーム196を引き下げ、開口部30の外へ流体を押し出す。他の実施形態では、アクチュエータ46は、開始位置(図17A)から終了位置(図17B)までの間において、互いに離間した位置にアーム196を動かす。コントローラ62は、終了位置に到達したアーム196を開始位置に戻すように、アクチュエータ46を動かす。図示する実施形態では、コントローラ62は、空間180の下方に位置する。
図15から図17Cの実施形態は、図1から図4の実施形態と同様に、コントローラ62、近接センサー52、及び発光素子56を備える。ここで明示される他の実施形態において、コントローラ62は、近接センサー52による検出に応じて、互いに離間した位置にアーム196を移動させる。同様に、コントローラ62は、終了位置に到達したアーム196を開始位置に戻すか、戻すことを許容する。図15から図17Cの実施形態は、同様に、貯蔵器26、空洞24、又はハウジング18の中の空気に熱接触する発熱体74を備える。
図18は、ここで開示される実施形態に対応する、別の実施形態のディスペンサーの等角図である。蓋1834は、流体貯蔵器1850を露出するように開く。ディスペンサー1800は、流体貯蔵器1850を取り外し可能に受け入れる。ディスペンサー1800は、流体を吐出する前に、流体貯蔵器1850の中に収容された流体にエネルギーを与えたり、温めたりする。吐出する前に、流体を温めたり、加熱したり、別の方法で流体にエネルギーを与えたりすることで、ディスペンサー1800に対するユーザの満足感を高めることができる。
後述するように、ディスペンサー1800は発熱体を備え、発熱体が少なくとも流体貯蔵器1850の排出口に近接することにより、ディスペンサー1800は、吐出される流体に、効果的にエネルギーを与えることができる。近接の重要性は、粘性や熱伝導性など、加熱される流体の性質に依存する。流体は、吐出される前に貯蔵器全体にわたって実質的に加熱されることが好ましい。排出口の近くに発熱体を配置することにより、発熱体と干渉することなく、貯蔵器1850の中でピストンを動かすことができる。発熱構造は、熱的に流体と結合する。
種々の実施形態では、少なくとも図19A,図19B及び図20A,図20Bにおいて更に述べるように、加熱プロセスが誘導加熱プロセスであるため、ディスペンサー1800はエネルギー効率を高めることができる。誘導加熱により、流体を温めるのにより大きなエネルギーを利用することができる。例えば、流体の誘導加熱に付随してディスペンサー1800も温まることが少なくなる。誘導加熱は、ハウジングやディスペンサー1800の他の構成要素を温めるよりも、流体にエネルギーを集中させて温める。また、誘導加熱では、貯蔵器1850とディスペンサー1800の間の電気的接続の懸念がないため、貯蔵器をディスペンサー1800の中に容易に設置することで貯蔵器の中を加熱することができる。
さらに、貯蔵器1850を取り外したり、新しい流体貯蔵器に取り替えたりすることが必要となる前に、ディスペンサー1800は、貯蔵器1850に収容された流体を全て、又はほとんど全て使い果たす。これは、少なくとも、ディスペンサー1800が備えるアクチュエータと、貯蔵器1850が備える取替可能なピストンの間の相互作用によるものである。いくつかの実施形態では、貯蔵器1850は、剛体の貯蔵器である。剛体の貯蔵器により、完全に、又はほとんど完全に、貯蔵器1850の中身の流体をディスペンサー1800によって使い果たすことができる。さらに、ディスペンサー1800は、流体製品の無駄を減らす。種々の実施形態の貯蔵器1850は、少なくとも図19A,図19B及び図24A,図24Bにおいて説明する。また、以下で詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、モーターがアクチュエータを作動させる。
ディスペンサー1800のハウジングは空洞又は容器を備え、空洞又は容器は、流体貯蔵器1850を取り外し可能に受け入れる。好ましい実施形態では、空洞又は容器は、フィンガー溝1852又はくぼみを備える。フィンガー溝1852又はくぼみは、貯蔵器1850を挿入したり、ディスペンサー1800から貯蔵器1850を取り外したりするときにユーザの指を入れる場所である。フィンガー溝1852により、貯蔵器1850をディスペンサー1800に挿入したり、ディスペンサー1800から取り外したりすることがより容易となる。
図18に示されていないが、後述の図22A,図22B,及び図23Bで説明するように、ディスペンサー1800のハウジングは、貯蔵器1850の排出口を露出する開口を備えており、貯蔵器1850の排出口は、例えば図19A,図19Bの排出口1914である。ハウジングにおいて、開口は、ハウジングの下面に位置し、かつ、収納くぼみ1820の上方に位置する。収納くぼみ1820は、開口から吐出され、ユーザの手で受け止められなかったり、他の方法で捕まえられなかったりした流体を、適切に収納する。好ましい実施形態では、収納くぼみ1820は、ディスペンサー1800のハウジングの、くぼみ部、又は、凹部である。収納くぼみ1820は、円形、楕円形、又は他の適切な形状のくぼみ部又は凹部である。収納くぼみ1820により、ユーザの手で捕まえられずに吐出された流体を容易に洗うことができる。
ディスペンサー1800は、種々のユーザコントロールを備え、ユーザコントロールは、例えばスイッチ1802である。スイッチ1802は、ディスペンサー1800の種々の機能のオン・オフを切り替えることができ、好ましくは、後述するナイトライトのオン・オフを切り替えることができる。他の実施形態では、スイッチ1802は、電源ボタンであり、又は、加熱機能をコントロールするものである。いくつかの実施形態では、スイッチ1802は、押圧可能なボタンである。ユーザは、スイッチ1802を押圧したり押し下げたりする。少なくとも一つの実施形態では、ディスペンサー1800の現在の状態を示すために、スイッチ1802は、電磁エネルギー源を少なくとも一つ備え、電磁エネルギー源は、例えば発光ダイオードである。
スイッチ1802は、ディスペンサー1800のロック/アンロックを切り替える機能を果たす。例えば、スイッチ1802を、所定時間として例えば3秒間押圧すると、ディスペンサー1800はロックモードに移行する。ロックモードでは、ディスペンサー1800はロックされ、流体を吐出しない。スイッチ1802の前方又は後方には、備え付けのLED又は別のLEDが位置し、ユーザがディスペンサー1800をロックしているとき、周囲の環境を照らす。その後、電源スイッチ1802を所定時間押し下げると、ディスペンサー1800をアンロックすることができ、ディスペンサー1800は流体を吐出することができるようになる。
上述したように、図18は開位置における蓋1834を示す図である。ユーザは、貯蔵器1850を挿入したり、ディスペンサー1800から貯蔵器1850を取り外したりすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザがディスペンサーのハウジングに埋め込まれたレール上で、蓋1834を前後にスライドさせたり、平行移動させたりすることにより、貯蔵器1850を収容する区画が開閉する。そのような実施形態では、ユーザが蓋1834を開閉しているとき、蓋1834は、ディスペンサー1800のハウジングに埋め込まれたレールに取り付けられたままである。他の実施形態では、ユーザが蓋1834を開閉するとき、蓋1834はスナップオンしたり、スナップオフしたりする。このようなスナップは、触覚的及び/又は音声的なフィードバックを備える。他の実施形態では、蓋1834は、ヒンジ式に回転する蓋である。
少なくとも一つの実施形態では、磁力によって蓋1834が少なくとも部分的に固定される。ディスペンサー1800のハウジング又は蓋1834の少なくとも一方には、1以上の磁石が埋め込まれ、磁力を供給する。少なくとも一つの実施形態では、ユーザが蓋1834を開けたときに、磁力によって蓋1834がディスペンサー1800のハウジングに固定される。このような特徴により、ディスペンサー1800の使用寿命の間に蓋1834が失われる可能性が減少する。少なくとも一つの実施形態では、ディスペンサー1800は、蓋センサーを備える。蓋センサーは、ユーザにより蓋1834が開閉されるとき、開閉を検出する。このセンサーの動作は、磁気ホール効果に基づくものである。ユーザが蓋1834を開けると、蓋センサーは、ドライブシャフト、押圧部材、又はその他のアクチュエータ駆動部品のうち、少なくとも一つを格納する動作のきっかけとなり、例えば、図21Bのドライブシャフト2148が格納される。ディスペンサー1800により駆動部品が格納されると、ユーザはディスペンサー1800から貯蔵器1850を取り外すことができる。
図19Aは、ここで開示される実施形態に対応する、流体貯蔵器1950の分解図である。ここで開示される、例えば図18のディスペンサー1800等の、種々の流体ディスペンサーは、流体貯蔵器1950を受け入れる。好ましい実施形態では、流体貯蔵器1950は、流体を収容する。ディスペンサーは、収容された流体にエネルギーを与え、吐出する。
流体貯蔵器1950は、貯蔵器ボディ1902を備える。好ましい実施形態では、貯蔵器ボディ1902は、剛性又は少なくとも半剛性のボディである。他の実施形態では、このように制約されるものではなく、貯蔵器ボディ1902は、柔軟性のあるボディでもよい。貯蔵器ボディ1902は、第1端部及び第2端部を備える。第1端部及び第2端部は、1本の軸で規定される。貯蔵器ボディ1902は、横断面を備える。軸は、横断面に対して略垂直である。好ましい実施形態では、横断面は、軸に沿って略均一である。軸は、平行移動軸である。
図19Aの実施形態では、貯蔵器ボディ1902は、シリンダー状のボディである。種々の実施形態では、シリンダー状のボディは、円筒シリンダー、楕円状シリンダー、パラボリックシリンダー、ハイパーボリックシリンダー、その他シリンダー表面が曲がったものに対応する。したがって、貯蔵器ボディ1902の横断面は、実質的に、円形、楕円形、パラボリック、ハイパーボリック、その他の曲がった形状になる。好ましい実施形態では、貯蔵器ボディ1902の第1端部及び第2端部は、シリンダーのベース又はシリンダーボディのエンドキャップである。平行移動軸は、シリンダーのベースとベースの間にあってもよい。
他の実施形態では、貯蔵器ボディ1902は、平行六面体形状を備えることができる。したがって、横断面は、実質的に平行四辺形の形状となり、例えば長方形や正方形となる。少なくとも一つの実施形態では、横断面は、4つよりも少ない又は多い数の側部を備えることができ、例えば、横断面は、三角形や八角形の形状である。この他、貯蔵器ボディ1902及び対応する横断面を他の形状にすることもできる。
貯蔵器ボディ1902は、光学的に透明なボディか、少なくとも光学的に半透明なボディである。このような実施形態では、ユーザは、貯蔵器1950の流体の残量を視覚的に調べることができる。他の実施形態では、貯蔵器ボディ1902は光学的に不透明である。少なくとも一つの実施形態では、貯蔵器ボディ1902は、貯蔵器1950の流体の残量を示す窓を除き、光学的に不透明である。
貯蔵器1950内に収容された流体は、光学特性を備える。例えば、光学的に透明な貯蔵器ボディ1902に電磁エネルギー源を照射すると、流体は、その光学特性によって、照射された電磁エネルギーの色又は周波数を発して、光を分散させる。少なくとも一つの実施形態では、ここで開示されるように、種々の流体ディスペンサーに含まれる電磁石エネルギー源によって、貯蔵器1950の中に収容された流体が照射されると、貯蔵器1950の中に収容された流体は、「蛍光」を発する。ここで開示されるように、種々のディスペンサーに埋め込まれた1以上の電磁エネルギー源は、貯蔵器1950及び/又は貯蔵器1950内に収容された流体の少なくとも一部を照射することができる。少なくとも一つの実施形態では、貯蔵器ボディ1902は、少なくとも一部の熱を断熱するボディである。このような実施形態では、貯蔵器1950の中に収容された流体は、効果的に熱エネルギーを保つ。したがって、これらの実施形態により、貯蔵器1950を受け入れるディスペンサーの熱効率が増加する。
いくつかの実施形態では、流体貯蔵器1950は、発熱構造1920を備える。図20A及び図20Bにおいて説明するように、誘導により、発熱構造を加熱したり温めたりするためのエネルギーが供給される。好ましい実施形態では、発熱構造1920は、導電性のヒーティングディスクである。発熱構造1920は、貯蔵器1950の中に収容された流体に熱的に接触する。いくつかの実施形態では、発熱構造は、流体に物理的に接触する。少なくとも一つの実施形態では、発熱構造1920は、バリアによって流体から物理的に隔離される。バリアは、例えば貯蔵器ボディ1902の中のチャンバーウォールである。このような実施形態では、貯蔵器1950は、発熱構造1920を受け入れるチャンバーを備える。チャンバーが発熱構造1920を受け入れて隔離するため、発熱構造1920は、収容された流体を汚染しない。
いくつかの実施形態では、発熱構造1920の横断面は、貯蔵器ボディ1902の横断面に略一致する。他の実施形態では、発熱構造1920の横断面は、貯蔵器ボディ1902の横断面から外れたものとなる。好ましい実施形態では、発熱構造1920は、貯蔵器ボディ1902の中に位置する。
流体貯蔵器1950は、排出口1914を備える。種々の実施形態では、排出口1914は、バルブ1910及びバルブ保持具1912を備える。バルブ1910は、例えば合成ゴム、プラスチック、ラテックスといった柔軟性のある材料から構成される。バルブ1910は、1以上のスリット、穴部、又はその他の開口部を備えており、貯蔵器に収容された流体は、バルブ1910を通って貯蔵器の外に流出することが可能である。図24Bは、バルブのスリットの構成の一例である。少なくともいくつかの実施形態では、排出口1914は、ノズルである。このような実施形態では、流体貯蔵器1950のノズルアセンブリが、排出口1914を備える。
バルブ保持具1912は、バルブ1910を保持する。好ましい実施形態では、バルブ1910は、バルブ保持具1912と同心である。バルブ1910の外周は、バルブ保持具1912の内周に隣接又は近接する。図23B、図24A及び図24Bで説明するように、バルブ1910の1以上のスリット又は開口部を通って流体が流れるときに、流れる流体がバルブ保持具1912の内部を含むバルブ保持具1912に接触しないように、バルブ1910及びバルブ保持具1912が構成及び配置される。
更に、流体貯蔵器1950はピストン1904を備える。ピストン1904は、平行移動可能な、又は、変位可能なピストンである。ピストン1904は、平行移動軸に沿って平行移動する。ピストン1904は、1以上の使用つまみ1906又は凸部を備える。図19Aに示すように、貯蔵器ボディ1902の第1端部は、1以上の溝、くぼみ、又は他のそのような構造を備える。これらの溝又はくぼみは、使用つまみ1906と噛み合う。以下の図19Bで説明するように、使用つまみ1906は、シグナルを供給する。このシグナルは、ピストン1904が少なくとも流体のいくらかの量を変位させたことを示すものである。少なくとも一つの実施形態では、ピストン1904は駆動構造1908を備える。駆動構造1908は、少なくともアクチュエータの一部と噛み合い、例えば、ここで開示される種々のディスペンサーが備える押圧部材と噛み合う。種々の実施形態では、押圧部材はドライブシャフトである。
以下で説明するように、ディスペンサーのアクチュエータは、ピストン1904を平行移動軸に沿って平行移動させるように動作する。ピストン1904の動作により流体貯蔵器1950の中の利用可能な貯蔵量が減るとき、流体貯蔵器1950に収容された流体は、排出口1914を通って貯蔵器1950の外に流れ出る。流体貯蔵器1950の中の利用可能な貯蔵量は、貯蔵器ボディ1902の横断面と、ピストン1904と貯蔵器ボディ1902の第2端部の間の距離とに依存する。好ましい実施形態では、第2端部は閉端部である。
すなわち、貯蔵器ボディ1902の第2端部に向かってピストン1904が平行移動することにより、利用可能な貯蔵量の減少が誘発される。ピストン1904を平行移動させる機械的作用により、収容された流体が変位し、流体の一部は、排出口1914を通って流される。
ピストン1904が平行移動しないとき、ピストン1904と貯蔵器ボディ1902の間の接触面が、貯蔵器1950の中に収容された流体を適切に保持するように、ピストン1904及び貯蔵器ボディ1902が構成及び配置される。ピストン1904の物理的寸法は、有効なピストンの横断面を含め、貯蔵器ボディ1902の横断面の少なくとも一つと、収容された流体の粘性とに依存する。このような実施形態では、ピストンの横断面、又は、少なくともピストンの外周が、貯蔵器ボディの横断面に略一致する。ガスケット、Oリング、その他これに類する構造により、変位可能なピストン1904と貯蔵器ボディ1902の内壁との間を密閉することができる。密閉により、収容された流体は適切に保持される。これにより、吐出力でピストン1904を平行移動させたり、変位させたりしても、貯蔵器1950は、収容された流体を貯蔵器ボディ1902の第1端部の外に漏らさない。
好ましい実施形態では、例えば吐出力などの力がピストン1904を貯蔵器ボディ1902の第2端部に向かって平行移動させたり、流体貯蔵器1950の利用可能な貯蔵量を減少させたりしない限り、バルブ1910は貯蔵器1950の中に流体を保持する。バルブ1910のスリット又は開口部は、例えば搾り出しケチャップボトルのような、調味料容器のスリットに似たものでもよい。バルブは、流体に向かう上向きのドーム形であることが好ましく、バルブが開いて吐出する前に、弾性のあるドームを下方に変位させる力が作用しなければならない。バルブ1910の1以上のスリット又は開口部は、物理的寸法及び構成が異なるものでもよい。このばらつきは、貯蔵器1950に収容された流体の粘性と、バルブ1910を構成する材料に依存する。スリットの物理的寸法及び構成を適切に選択することにより、吐出力がピストン1904を平行移動させたり、収容された流体を吐出させたりしない限り、流体は開口部を通って流れない。
バルブ1910は、弾性のあるゴムのような材料で構成される。このため、吐出力又は変位力で流体が開口部を通るまでは、スリット又は開口部は、実質的に閉じているか、自動的に塞がっている。吐出力によって変位すると、流体はスリット又は開口部を通って流れる。この効果は、乳児用ボトルのラバーニップルのセルフシールに類似するものである。ラバーニップルは、スリット又は穴を備える。乳児が真空又は吸引力を与えたり、圧力を与えてボトルが搾られたりしない限り、流体は、このようなラバーニップルのスリット又は穴を通って流れない。このように、吐出力が吐出力の閾値を超えない限り、バルブ1910は、流体の放出又は吐出に抵抗し、バルブ1910の抵抗に打ち勝つための圧力閾値よりも大きな圧力になるように、流体の内圧を増加させる。
図19Bは、ここで開示される実施形態に対応する、組み立てられた流体貯蔵器1950を示す図である。図19Bの好ましい実施形態では、組み立てられると、発熱構造1920は貯蔵器ボディ1902の内側に位置し、貯蔵器ボディ1902の第2端部に近接する。
したがって、図19Bに示すように、排出口1914は、貯蔵器ボディ1902の表面に位置する。排出口を備えるその表面は、貯蔵器ボディ1902の第1端部及び第2端部に位置しない。むしろ、排出口1914は、シリンダー状のボディの曲面に位置する。排出口1914の横断面は、貯蔵器ボディ1902の平行移動軸に対して横断するものであるか、略直交するものである。しかし、他の実施形態ではそれほど制限されず、排出口1914は、貯蔵器ボディ1902の第2端部に位置し、排出口1914の横断面は、平行移動軸に対して略平行となる。排出口1914は、バルブ1910とバルブ保持具1912を同心円状に配置して示される。1以上のスリット又は開口部を備えるバルブ1910の表面は、バルブ保持具1912の部分の上方で凹んでいてもよい。この構成により、バルブ1910を通って流れる流体に対し、追加のクリアランスを与えることができる。
好ましい実施形態では、収容された流体の増加分を排出口1914の外に確実に流れるようにするため、排出口1914は、貯蔵器ボディ1902の第2端部に近接して配置される。これにより、ピストン1904が平行移動し、ピストン1904が貯蔵器ボディ1902の第2端部に物理的に接触するまで、流体が排出口1914を通って流れ続ける。この時点では、収容されている流体の全て又は少なくともほとんどが、変位するピストン1904によって変位可能である。これにより、貯蔵器1950は、適切に使い果たされる。
図19Bは、収容された流体を吐出する前の、初期状態における流体貯蔵器1950を示す図である。ピストン1904の初期位置は、貯蔵器ボディ1902の第1端部に近接している。流体を保持する容積は、貯蔵器ボディ1902によって規定され、ピストン1904と、貯蔵器ボディ1902の第2端部との間に位置する。いくつかの実施形態では、ピストン1904の初期位置は、貯蔵器ボディ1902の中で使用つまみ1906が溝又は凹部と噛み合うような位置である。いくつかの実施形態では、使用つまみの代わりに、割れやすいか、脆いか、あるいは壊れやすい封止構造により、使用前であることを示すことができる。種々のディスペンサーアクチュエータは、ここで開示されるように、ピストン1904を平行移動させるときに作動荷重を感知することができる。荷重の感知により、ディスペンサーは、使用つまみ1906又は壊れやすい封止が損傷しているか否かを検出することができる。これにより、ディスペンサーは、貯蔵器1950が前に使用された経験があるものであるか、未使用のものであるかを判断することができる。
ディスペンサーのアクチュエータのドライブシャフトは、駆動構造1908と噛み合う。ドライブシャフトの平行移動により、ピストン1904は、貯蔵器ボディ1902の第2端部に向かって平行移動する。貯蔵器ボディ1902の第2端部に向かって平行移動するピストン1904により、使用つまみ1906と貯蔵器ボディ1902の溝又は凹部の間の係合力が誘発される。係合力により、使用つまみ1906は折れたり、壊れたり、曲がったり、変形したりする。
使用つまみ1906は、初期位置から外れると、変形する。使用つまみ1906が変形することにより、ユーザに対し、貯蔵器1950が、貯蔵器1950の中に収容された流体を、既にいくらかの量吐出したことを知らせる。例えば、変形した使用つまみ1906は、ピストン1904がその初期位置にないことを示す。衛生上又は安全上の理由から、ユーザは、既にいくらか使用された貯蔵器1950を捨てることや、あるいは使用しないことを望むかもしれない。変形した使用つまみ1906は、別の当事者が既に貯蔵器1950を使用したことを示す。衛生上の理由から、ユーザは、既に一部が使用された貯蔵器を捨てることを望むかもしれない。
図20Aは、ここで開示される実施形態に対応する、発熱構造2020における誘導電流を示す図である。いくつかの実施形態では、発熱構造2020は、導電性の加熱ディスクである。交流電源2030は、交流電流2040を発熱体2010に供給する。発熱体2010は、導電性素子である。図20Aに示すように、発熱体2010は、多重の導電コイルを備える。交流電流2040は、マクスウェルの電磁方程式に従って、変動磁場2050を生成する。さらに、マクスウェルの電磁方程式に従って、発熱構造2020のような導体が変動磁場2050に晒されるとき、交流電流2060のような電流が発熱構造2020に誘導される。交流電流2060が発熱構造2020に誘導されると、発熱構造2020の電気抵抗により、発熱構造2020が加熱される。
図19A及び図19Bの流体貯蔵器1950内に収容された流体に例示される物質が、発熱構造2020と熱的に接触したり、熱的に結合したりし、電流が発熱構造2020を通ると、発熱構造2020は、その物質にエネルギーを与えたり、その物質を加熱したりすることができる。ここで開示されるように、発熱構造2020の誘導加熱には、発熱体2010と発熱構造2020の間の物理的な接触が必要ない。したがって、ここで開示される種々のディスペンサーは、誘導加熱を用いることにより、間接的に又は距離をあけて、発熱構造2020を加熱したり、あるいは発熱構造2020にエネルギーを与えたりすることができる。このように、発熱体2010は、発熱構造2020や発熱構造2020によってエネルギーを与えられた物質と物理的に離れているため、発熱体2010は、エネルギーを与えられた物質と物理的に接触した状態にならない。したがって、経路の汚染や、加熱された要素にユーザが接触することが減る。
図20Bは、ここで開示される実施形態に対応する、発熱体2070の実施形態を示す図である。図20Bに示すように、好ましい実施形態では、発熱体2070は、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)技術を用いて印刷されたものである。発熱体2070は、印刷された複数の導電コイル2080を備える。導電コイル2080は、PCB技術を用いることにより、比較的安価に実装される。PCBは、公知の技術を用いて量産することができる。また、発熱体2070は、交流電流を複数の導電コイル2080に供給するためのターミナル2090を少なくとも一つ備える。したがって、物質を誘導加熱するアルゴリズム又は方法により、物質の特性に基づいて供給される電流の周波数を変化させることができる。
少なくとも一つの実施形態では、供給された交流電流は、導電コイル2080における高周波数の交流電流である。発熱体は、誘導加熱により、距離を開けた発熱構造にエネルギーを与えたり、加熱したりすることに用いることができる。発熱体は、例えば発熱体2070であり、発熱構造は、例えば20Aの発熱構造2020や、図19A及び図19Bの発熱構造1920である。種々のアルゴリズムは、供給される電流の周波数を変化させたり、交流電源を戦略的に制御したりする。交流電源は、例えば図20Aの交流電源2030である。また、種々のアルゴリズムは、発熱構造の温度やその加熱速度、及び、発熱構造と熱的に接触する物質の温度やその加熱速度を、選択的に制御することができる。
図21Aは、ここで開示される実施形態に対応する、上述したディスペンサーの分解図である。ディスペンサー2100は、ハウジングを備える。ハウジングは、フロントピース2122,アッパーピース2158,及びベースピース2156を備える。フロントピース2122は、少なくともユーザの片手を受け入れる空隙を備え、これにより、少なくともユーザの片手は、ディスペンサー2100から吐出される流体を捕らえる。いくつかの実施形態では、ディスペンサー2100のハウジングは、ベース部に取り付けられるラバーフット2132及びベースウェイト2130を備え、ラバーフット2132及びベースウェイト2130は、ナイトスタンドやテーブルのような表面に設置されているとき、ディスペンサー2100を安定させる。
また、ハウジングは流体貯蔵器2150を取り外し可能に受け入れる容器、空洞、又は区画を隠すための取り外し可能又はスライド可能な蓋2134を備える。ディスペンサー2100は、電力を供給するための、取り外し可能な電源コード2104を備える。発熱体2172は、貯蔵器2150の中に収容された流体に、誘導的にエネルギーを与えたり、加熱したりする。発熱体は、プリント回路基板2170を備える。プリント回路基板2170は、導電コイルを備える。導電コイルは、貯蔵器2150の中の発熱構造に誘導電流を供給する。発熱構造と貯蔵器2150に収容された流体は、熱的に結合される。
ディスペンサー2100は、回路板2162を備える。回路板2162は、ディスペンサー2100を動作可能にするための種々の電子デバイス及び/又は電子部品を備える。このようなデバイス及び/又は部品は、プロセッサデバイス及び/又はマイクロコントローラデバイス、ダイオード、トランジスタ、レジスタ、キャパシタ、インダクタ、電圧調整器、発振器、メモリデバイス、論理ゲート等を含んでもよいが、これらに限られるものではない。ディスペンサー2100は、スイッチ2102を備える。ディスペンサー2100は、ナイトライトを備える。少なくとも一つの実施形態では、ナイトライトは、スイッチ2102を通過する上方に可視光を発し、吐出モード又は他のユーザ選択のモードを示す。好ましい実施形態では、ナイトライトは、フロントピース2122における空隙の少なくとも一部を照らす。フロントピース2122における空隙は、ユーザが手を入れて吐出された量の流体を受け入れる場所である。図23Aで示されるように、いくつかの実施形態では、ナイトライトは、吐出開口の周りから可視光で下方を照らす。リングレンズ2156又は光ガイドは、望んだ照明効果を得るために光を収束したり、分光したりする。リングレンズ2156は、吐出開口の外周を囲んだり、包囲したりする。ディスペンサー2100は、アクチュエータを備える。種々の実施形態では、アクチュエータは、電気モーター2146を備える。しかし、他の実施形態ではそのような制限はない。
種々の留め具や連結器は、ディスペンサー2100の部品を連結する。種々の留め具や連結器は、留め具2134,2136,及び2138を含むが、これらに限られるものではない。ディスペンサー2100は、収納くぼみ2120を備える。収納くぼみ2120は、吐出され、ユーザの手で受け止められなかった流体を、阻止したり保持したりする。好ましい実施形態では、フロントピース2122が収納くぼみ2120を備える。
図21Bは、ここで開示される実施形態に対応するディスペンサーのもう一つの実施形態における上面図である。蓋2134は、図19A及び図19Bの流体貯蔵器1950に例示される流体貯蔵器を露出するように開く。ディスペンサー2100は、貯蔵器を取り外し可能に受け入れる。ディスペンサー2100のアクチュエータは、変位可能なピストンを平行移動させるためのドライブシャフト2148を備える。変位可能なピストンは、例えば、図19A及び図19Bのピストン1904である。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、電気エネルギーを機械的作用に変換するデバイスを備える。デバイスは、例えば電気モーターである。その機械的な平行移動により、ドライブシャフト2148及び/又はアクチュエータの他の部品が駆動する。他の実施形態では、ドライブシャフト2148を駆動させるメカニズムとして他のものを用いてもよい。少なくとも一つの実施形態では、ドライブシャフト2148を駆動させるための油圧装置が用いられる。
ディスペンサー2100は、発熱体2170を備える。発熱体2170は、対応する発熱構造に誘導電流を発生させたり、供給したりする。対応する発熱構造は、例えば、図19A及び図19Bの発熱構造1920であり、貯蔵器2150に埋め込まれるものである。誘導電流は、貯蔵器2150に収容された流体の少なくとも一部にエネルギーを与えたり、加熱したりする。好ましい実施形態では、ディスペンサー2100が貯蔵器2150を受け入れているとき、貯蔵器2150の中の発熱構造は、発熱体2170に近接する。しかし、発熱体2170は、発熱構造とは物理的に離れる。貯蔵器2150のボディの第2端部は、発熱体2170と発熱構造の間のバリアとして働く。同様に、貯蔵器2150のボディの第1端部は、ドライブシャフト2148と貯蔵器のピストンが備える駆動構造とが噛み合うように配置される。駆動構造は、例えば図19A及び図19Bの駆動構造1908であり、ピストンは、例えば19A及び図19Bのピストン1904である。
少なくとも一つの実施形態では、発熱体2170は、貯蔵器2150内に収容された流体の、流体タイプを検出するセンサーを備える。この検出により、受け入れられた貯蔵器2150の中に埋め込まれた、発熱構造の性質を決定することができる。発熱構造の性質は、例えば、導電率や磁気双極子の強さであるが、これらに限られない。決定された発熱構造の性質は、貯蔵器2150の中に収容された流体のタイプを示す。貯蔵器2150の中に収容された流体について、1以上の特性を決定するために、光学的及び/又は機械的な方法を含む他の方法を用いることができる。例えば、機械的な方法は、貯蔵器の形状や、貯蔵器2150でピストンを平行移動させるアクチュエータにかかる負荷を検出することに基づくものであり、流体の性質を決定するために用いることができる。検出された流体の性質に基づき、流体にエネルギーを与えるために用いられるアルゴルズムを変更することができる。
他の実施形態では、受け入れられた貯蔵器2150は、発熱構造を備えるものでなくてもよい。このような実施形態では、受け入れられた貯蔵器2150の中に収容された流体は、抵抗性の導電体によって加熱され、抵抗性の導電体は、貯蔵器2150を受け入れる容器又は空洞に埋め込まれたり、隣接したりするものである。そのような実施形態では、誘導的というよりも直接的な加熱で流体にエネルギーを与える。
少なくとも一つの実施形態では、ディスペンサー2100は、貯蔵器2150内の流体の温度を測定したり検知したりする温度センサーを備える。ディスペンサー2100は、発熱構造で検出された電流又は検出された流体の温度に基づいて発熱体2170の動作を変更することができる。例えば、流体が所定の最高温度に達すると、ディスペンサー2100が備えるコントローラ又はプロセッサデバイスは、発熱体2170の電源をオフにしたり、あるいは発熱体2170の動作を停止させたりすることができる。流体の温度が所定の最高温度を下回ると、ディスペンサー2100は発熱体2170の動作を再開することができる。ユーザは、ディスペンサー2100に含まれる種々のユーザコントロールで、流体の最低温度及び最高温度を選択することができる。少なくとも一つの実施形態では、ディスペンサー2100は、プログラム可能なサーモスタットを備える。
ディスペンサー2100は、電力供給装置及び/又は電源を備える。好ましい実施形態では、電源は、ディスペンサー2100に交流電流を供給する。他の実施形態では、制限はされないが、例えば内部バッテリのような、直流電源によって動作を行うことができる。電力供給装置は、電源コード2104を備える。電源コード2104は、外部供給源からディスペンサー2100へ電力を供給する。供給された電力は、ディスペンサー2100の種々の部品に利用される。例えば、供給された電力は、プロセッサデバイス、アクチュエータ、発熱体2170、埋め込まれたナイトライト、及び様々なユーザインターフェースやユーザ選択デバイスに利用されるが、これらに限られるものではない。電源コード2104は、北米、ヨーロッパ、アジア、又はその他の地域用のプロングに用いられるウォールプラグACアダプタを備える。フィンガー溝2152は、貯蔵器2152を挿入したり、ディスペンサー2100の流体貯蔵器の容器又は空洞から貯蔵器2152を取り外したりすることをアシストする。
ディスペンサー2100は、種々のユーザコントロール及び/又はユーザインターフェースを備える。コントロールの少なくとも一つは、タッチ感知式のコントロール又はセンサーである。タッチ感知式のコントロールは、容量式のタッチセンサーでもよい。タッチ感知式のセンサー、コントロール、又は部品は、ディスペンサー2100のハウジングの中に収容される。タッチ感知式の部品は、ハウジングを介して、ユーザの手の接触、近接、又は動きの少なくとも一つを感知する。好ましい実施形態では、吐出開口の下でユーザの手の近接又は動きを感知することにより、発熱体の電源がオンとなり、ディスペンサーを使用する準備が行われる。ディスペンサーが流体を適切に加熱すると、ユーザの手の第2の位置決めがトリガーとなり、一度の吐出が行われる。例えば、ユーザが吐出開口の下に手を置くと、近接センサーが吐出メカニズムのトリガーとなり、ある量の流体がユーザの手に吐出される。
吐出動作又は吐出トリガーは、ドライブシャフト2148を所定距離だけ平行移動させることにより、貯蔵器2150からディスペンサー2100を通して外に、所定量の流体を吐出する。所定距離は、所定量に対応する。少なくとも一つの実施形態では、ディスペンサー2100は、タイマーを備える。タイマーは、前の吐出動作からロックアウト時間が経過しない限り、吐出動作が起こることを防ぐ。このロックアウトモードは、ディスペンサー2100の吐出頻度を制限する。これにより、ユーザが誤って複数の吐出動作を引き起こす可能性が最小限に抑えられる。ロックアウト時間又は最大吐出頻度は、ユーザが種々のユーザコントロール又はユーザ選択を利用することによりプログラムすることができる。
他のタッチ感知式又は近接/動き感知式の、コントロール又はセンサーは、輝度セレクタ2118、カラーセレクタ2116、ボリュームセレクタ2112、及びエジェクタ2114を備える。いくつかのユーザコントロールは、インジケータ又はアイコンによって示されるものである。インジケータ又はアイコンは、例えば輝度アイコン2128、又はカラーアイコン2126であり、対応するユーザコントロールの機能を示すためのものである。いくつかのユーザコントロール又はアイコンは、ユーザの選択又は他の機能を示すために電磁エネルギー源で点灯することができ、電磁エネルギー源は、例えばLEDである。
例えば輝度セレクタ2118又はカラーセレクタ2116といったユーザコントロールの少なくとも一つは、タッチ感知式のスライドコントロールであり、タッチ感知式のスライドコントロールは、ユーザがスライドコントロールを横切って指をスライドさせると、ユーザ選択を連続して変更させる。例えば、埋め込まれたナイトライトは、複数の周波数又は複数の色の可視光を提供するために、様々な周波数の電磁エネルギー源を複数備える。好ましい実施形態では、電磁エネルギー源は、LEDである。いくつかのLEDは、異なる色で発光する。例えば、少なくとも一つの赤色LED、少なくとも一つの緑色LED、及び少なくとも一つの青色LEDがナイトライトに含まれ、光源を提供する。可視光の種々の色は、赤色、緑色、青色(RGB)の成分を混合することによって生成することができる。
このように、埋め込まれたナイトライトは、選択可能又は調整可能なRGBナイトライトや光源でもよい。ユーザは、カラーセレクタ2116に沿って指をスライドさせることにより、LEDの選択を連続的に混合して作動させることができる。例えば、1以上の異なる色のLEDの強度は、カラーセレクタ2116によって変更することができ、これにより、ナイトライトによって射出される様々な色の光が生成される。同様に、ナイトライトの全体的な輝度又は明度は、輝度セレクタ2118によって連続的に変更することで選択される。
他のユーザセレクタ又はユーザコントロールは、ボリュームセレクタ2112を備える。ユーザは、ディスペンサー2100によって吐出される1回分の流体の量を選択することができる。好ましい実施形態では、ユーザは、複数の所定の吐出量から1つを選択することができる。図21Bに示す実施形態では、例えば、ボリュームセレクタ2112のサイズの異なる3つの流体の雫のアイコンに示すように、小・中・大の3つの所定量を利用することができる。
ボリュームセレクタ2112は、タッチ感知式のユーザコントロールであるため、ユーザは、望みの量に対応する大きさの雫のアイコンをタッチすることができる。あるいは、アイコンをタッチする度に、1回分の量の選択が次の量へと変わり、点灯して選択状態を示す。小・中・大のそれぞれの雫のインジケータは、個々のLEDである。現在選択されている量は、適切なLEDを作動して、対応する雫アイコンを点灯することによって示されてもよい。他の実施形態では、吐出される量を連続的に選択することが可能である。このような実施形態では、ボリュームセレクタ2112は、スライドコントロールタッチ感知式セレクタである。
ドライブシャフト2048は、アクチュエータの動作により、流体貯蔵器2150の中でピストンを平行移動させる。この平行移動の距離が変化することにより、ディスペンサー2100が1回の吐出動作で吐出する量が変化する。好ましい実施形態では、貯蔵器2150の断面は均一であるため、1回の吐出動作で吐出される流体の量は、ピストンが平行移動する距離に線形比例する。すなわち、ディスペンサー2100は、ボリュームセレクタ2112でのユーザ選択に基づいて、1回の吐出動作でドライブシャフト2148が駆動される距離を変化させる。
エジェクタ2114は、タッチ感知式のコントロールである。エジェクタ2114が作動すると、ドライブシャフト2148は、貯蔵器2150の駆動メカニズムから離れるように平行移動して貯蔵器2150から後退し、ユーザは、ディスペンサー2100から貯蔵器2150を取り外すことができる。少なくとも一つの実施形態では、ディスペンサー2100は、ばね仕掛けのメカニズムを備え、ばね仕掛けのメカニズムは、ドライブシャフト2148が貯蔵器2150のボディを通過したとき、貯蔵器2150を自動的に外に出す。
いくつかの実施形態では、ドライブシャフト2148が貯蔵器2150のボディを通過したとき、エジェクタ2114に含まれるLEDが点灯し、ユーザが安全に貯蔵器2150を取り外すことができる旨を示す。他の実施形態では、受け入れ容器に埋め込まれたり、又は近接したりするLEDが作動し、貯蔵器2150を安全に取り外すことができる旨を示す。貯蔵器2150のボディが透明か半透明である場合、貯蔵器2150内に残っている流体は照射される。他の実施形態では、受け入れ容器に埋め込まれているこのLEDは、他の機能性を示すことができる。ユーザは、フィンガー溝2152を利用することにより、ディスペンサー2100から貯蔵器2150を取り外すことができる。
ディスペンサーに含まれる他のインジケータは、ディスペンサー2100の加熱モードが作動している状態を示す。例えば、ディスペンサーが貯蔵器2150の中の流体を加熱しているとき、1以上のLEDは、「点滅モード」又は緩やかなパルス発光モードで作動してよい。流体が所定の温度に到達すると、点滅又はパルス発光しているLEDは、「ソリッド」モードに切り替わる。また、その代わりに、光の色を変化させて準備ができたことを示してもよい。インジケータを操作する他の方法は、ディスペンサー2100のモード又は機能性を示すのに用いることができる。もう一つのインジケータは、貯蔵器2150が空の状態に近づいているため、補充又は交換する必要がある旨を示すことができる。他のインジケータは、ディスペンサー2100のエラー状態を示すことができる。埋め込まれたナイトライトは、1以上のインジケータとして用いることができる。
図22Aは、ディスペンサーのもう一つの実施形態の側面断面図であって、ここで開示される実施形態に対応する、受け入れられた状態の流体貯蔵器を示すものである。ディスペンサー2200は、取り外し可能電源コード2204を備える。ディスペンサー2200は、電源スイッチ2202を備える。図22Aは、ハウジングにおける空隙を示す。空隙は、吐出開口と収納くぼみ2220の中間のボリュームを規定する。空隙又はボリュームはユーザの手を受け入れ、吐出動作の間、ユーザの手は、ディスペンサー2200から吐出される流体を受け止めたり、あるいは捕まえたりすることができる。
ここで開示されるように、動き又は近接のセンサーは、ユーザの手がボリューム内に位置したり、ボリューム内で動いたりするのを検出する。図23Aに示すように、ディスペンサー2200に含まれるナイトライトは、ユーザの手を受け入れるボリュームを照らす。ユーザの手の第1の動きは、発熱体を作動させることができる。適切に加熱されると、空隙内に更にユーザの手を配置することで、流体を吐出するように作動する。流体がハウジングの下方のベース部にこぼれ落ちたり、ユーザの手で捕らえられなかったりする場合は、収納くぼみ2220の中で流体が収納される。
ディスペンサー2220のハウジングは、アクチュエータ空洞2209を備える。アクチュエータ空洞2209は、ディスペンサーのアクチュエータの種々の部品を受け入れ、例えば、図22Cのステッピングモーター2246を受け入れる。アクチュエータのドライブシャフト又は押圧部材は、受け入れられた貯蔵器2250が備えるピストン2204を駆動させる。ピストン2204が備える変形した使用つまみは、アクチュエータのドライブシャフトがピストンを平行移動させ、貯蔵器2250の中に収容された流体の少なくとも一部が吐出されたことを示す。ディスペンサー2200は、貯蔵器2250の中の流体にエネルギーを与えたり、加熱したりするための発熱体2270を備える。発熱体2270は、貯蔵器2250の中の発熱構造に電流を誘導する。
図22Bは、流体貯蔵器2250の拡大図である。流体貯蔵器2250は、ここで開示される実施形態に対応する、ディスペンサー2200中に受け入れられる。好ましい実施形態では、ディスペンサー2200が貯蔵器2250を受け入れると、ディスペンサー2200の発熱体2270は、貯蔵器2250の中が備える発熱構造2220に近接して配置される。しかしながら、発熱体2270と発熱構造2220は、貯蔵器2250の第2端の壁が、その2つの導電性の部品を隔離しているため、物理的に接触していない。むしろ、発熱体2270における交流電流は、発熱構造2220に電流を誘導する。誘導電流は、貯蔵器2250内に収容された流体にエネルギーを与える。
ディスペンサー2200は、ディスペンサー2200の下側に吐出口2280を備える。吐出口2280は、ディスペンサー2200のハウジングのフロントピースに配置される。例えば、フロントピースは、図21Aのフロントピース2122である。貯蔵器2250の排出口は、ディスペンサー2200の吐出口の上方で凹んでいる。さらに、排出口2280の外周2256は、外周2256が貯蔵器2250の排出口のバルブに当接しないように、構成及び配置される。したがって、ある量の流体は、貯蔵器2250のスリット又は開口を通って流れ、ディスペンサー2200から吐出される。
しかしながら、吐出される量の流体は、おそらく収納くぼみ2220を除いては、ディスペンサー2200のどの部分にも接触しない。したがって、吐出された流体の洗浄が必要な部分は、ディスペンサー2200において唯一、収納くぼみ2220のみである。流体貯蔵器2250は、ディスペンサー2200の中に挿入される。さらに、流体貯蔵器2250は、複数回の吐出動作を通じることで、収容された流体を使い切ることができる。空の流体貯蔵器2250は、ディスペンサー2200から取り外すことができ、ディスペンサー2200によって吐出された流体の残留物又はその他の痕跡を残すことがない。
図22Cは、ここで開示される実施形態に対応する、アクチュエータが備えるステッピングモーター2246を示す図である。ステッピングモーター2246は、ここで開示される種々の実施形態のディスペンサーのアクチュエータが備えるものである。ステッピングモーター2246は、モーターハウジング2240を備える。モーターハウジング2240には、電気エネルギーを機械的作用に変換するための導電コイルが収容される。この機械的作用により、ドライブシャフト2248が駆動する。押圧部材又はドライブシャフト2248は、ディスペンサーから流体を吐出するために、貯蔵器においてピストンを平行移動させる。
種々の実施形態では、ステッピングモーター2246は、ドライブシャフト2248が前進する全距離又はステップの総数を累積することを可能にする。好ましい実施形態では、ドライブシャフト2248が前進する各ステップにおいて、ドライブシャフト2248は、流体貯蔵器に含まれるピストンを、貯蔵器のボディの第2端部に向かって所定の距離だけ平行移動させたり、変位させたりする。貯蔵器のボディの断面が平行移動軸に沿って均一である場合、貯蔵器の中に収容された流体は、ピストンの変位によって所定量吐出され、貯蔵器の排出口の外に押し出される。したがって、ドライブシャフトが変位する全距離又はステップの総数を累積することにより、ディスペンサーから吐出される流体の総量を決定することができる。流体貯蔵器の最初の貯蔵量が分かっている場合、図22A及び図22Bに例示されるディスペンサーは、貯蔵器にどの程度流体が残っているのか、決定することができる。
図23Aは、ここで開示される実施形態に対応するディスペンサー2300を示す図である。ディスペンサー2300の下側の表面は、吐出開口2380を備える。ディスペンサー2300に含まれるナイトライトは、空隙を照らす。空隙は、ディスペンサー2300によって吐出される流体を、ユーザの手で捕らえる場所である。多色LEDに例示される電磁エネルギー源、及び、図21Aのリングレンズ2156に例示される光ガイド及び/又は光収束デバイスは、ナイトライトの機能を可能にする。ユーザは、ナイトライトの色や明るさを変更することができる。
図23Bは、ここで開示される実施形態に対応する、ディスペンサー2300の実施形態のもう一つの図である。ディスペンサー2300の下側の表面は、吐出開口2380を備える。図23Bは、吐出開口2380の外周2356を示す。ディスペンサー2300に受け入れられた貯蔵器の排出口は、吐出開口2380を介して露出される。排出口のバルブ2310は、見えるように示されている。バルブ2310は、開口2380上で凹んでいる。排出口のバルブ保持具2312は、バルブ2310のスリット又は開口を吐出開口の外周2312から隔離する。したがって、バルブ2310を通過して流体が流れると、流体は、吐出開口2380の外周2356を含むディスペンサー2300から隔離される。すなわち、ディスペンサー2300は、ディスペンサー2300が吐出する流体から汚染されない。
図24Aは、ここで開示される実施形態に対応し、図19A及び図19Bの流体貯蔵器に例示される、流体貯蔵器の排出口2414の側面断面図を拡大したものである。図24Aは、貯蔵器ボディ2402を示す。排出口2414は、バルブ2410及びバルブ保持具2412を備える。バルブ2410及びバルブ保持具2412は、貯蔵器ボディ2402と噛み合う。バルブ2410は、バルブ保持具2412上で凹んでいる。貯蔵器の中に収容された流体は、吐出力によって吐出される。したがって、吐出される量の流体2470は、バルブ2419のスリット2490を通過して流れ出る。貯蔵器の中から貯蔵器の外側への移動の間、吐出量の流体2470は、貯蔵器ボディ2404にも、バルブ保持具2412にも接触しなかった。吐出される量の流体2470は、表面張力及び重力場により、雫の形状に形成される。
図24Bは、ここで開示される実施形態に対応し、図19A及び図19Bの流体貯蔵器1950に例示される、流体貯蔵器の排出口におけるバルブ2410の底面図である。バルブは、バルブ2410の第1サイドから第2サイドへ流体が流れるのを許容するスリット2490を備える。好ましい実施形態では、バルブ2410の第1サイドは、貯蔵器の内面である。第2サイドは、貯蔵器の外面である。
種々の実施形態では、複数のスリットがスリット2490を形成する。図24Bに示す実施形態は、交差する2つのスリットを備える。2つのスリットは、直交している。好ましい実施形態では、スリット2490は、そのスリット2490において、一方向スリットである。一方向スリットは、第1サイドから第2サイドへ流体が流れることを可能にするが、第2サイドから第1サイドへ流体が流れるのを妨害する。他の実施形態では、スリット2490は、双方向スリットであり、流体が各方向で自由に流れるのを許容する。
図25は、ここで開示される実施形態に対応する流体貯蔵器の別の実施形態における流体貯蔵器の底面図である。流体貯蔵器2514は、回転可能な流体貯蔵器であり、シングル流体供給部2580を複数備える。いくつかの実施形態では、各シングル流体供給部2580は、ブリスターパッケージ式のポッドに包装される。種々の実施形態のディスペンサーは、貯蔵器2514を回転させて、連続的に各シングル流体供給部2580をアクチュエータの押圧部材又はドライブシャフトと一列に並べることが可能である。ドライブシャフトは、各シングル流体供給部2580の中の流体を強制的に流れ出させたり、あるいは変位させたりすることができる。
いくつかの実施形態では、流体の変位により、シングル流体供給部2580を覆うホイル又は薄膜が破裂したり、断裂したりする。他の実施形態では、例えばニードルやピンといったアクチュエータの部品により、ホイル又は薄膜を破裂させる。破裂又は断裂が起こると、流体がディスペンサーの吐出開口の外に流れ出る。アクチュエータは、次の吐出動作を待機するために、流体貯蔵器2514を回転させることができる。各シングル流体供給部2580を使い切ると、ユーザは、貯蔵器2514を取り外し、ディスペンサーに新しい流体貯蔵器を供給することができる。
図26A及び図26Bは、もう一つの実施形態において、回転式流体貯蔵器アセンブリを備えるディスペンサー2600を示す図である。ディスペンサー2600は、ハウジングと、そのハウジングにおける開口を備える。種々の実施形態では、回転アセンブリは、ディスペンサーのハウジングの一部として含まれる。回転アセンブリは、容器を備え、容器は、例えば図27の容器2770である。容器は、例えば図26Bの流体貯蔵器2650のような流体貯蔵器を取外し可能に受け入れる。容器が貯蔵器を受け入れると、貯蔵器の排出口は、開口を介して露出される。他の実施形態でも説明したように、ディスペンサー2600は、アクチュエータを備え、アクチュエータは、例えば図22Cのステッピングモーター2246である。アクチュエータが作動すると、アクチュエータは、貯蔵器の中の所定量の流体が排出口を通過して流れることを誘発するとともに、流体が開口を通過して吐出されるように、吐出力を供給する。少なくともいくつかの実施形態では、ディスペンサー2600は、例えば図27の導電コイル2780のような発熱体を備える。発熱体は、貯蔵器内の流体の少なくとも一部を加熱する。
図26Aは、ディスペンサー2600の、回転式流体貯蔵器又は回転式容器アセンブリが、閉位置に回転した状態を示す。蓋2634が閉じているため、図26Aにおいて、流体貯蔵器はディスペンサー2600内に収容されて隠れている。図26Bは、ディスペンサー2600の回転式容器アセンブリが開位置に回転した状態である。開いているとき、ディスペンサー2600の蓋2634は上方に角度をつけて回転した位置となり、流体貯蔵器2650は、露出する。図26Bでは、ディスペンサー2600は、流体貯蔵器2650をスライド式に受け入れ、これにより、流体貯蔵器2650は、ディスペンサー2600に収容される。
図27は、ここで開示される種々の実施形態に対応する、回転式流体貯蔵器アセンブリ2760の分解図である。種々の実施形態では、回転式流体貯蔵器アセンブリ2760は、回転式容器アセンブリ、又は単純に回転式のアセンブリである。回転アセンブリ2760は、ここで開示される種々の実施形態のディスペンサーが備えるものであり、例えば、図26A及び図26Bのディスペンサー2600、及び、図31A及び図31Bのディスペンサー3100に含まれるものであるが、これらに限られるものではない。回転アセンブリ2760は、回転アセンブリボディ2790を備え、回転アセンブリボディ2790は、アクチュエータ2746及び流体貯蔵器用容器2770を受け入れる。アクチュエータ2746は、図2246のステッピングモーター2245に似たものでもよい。
流体貯蔵器2750が流体貯蔵器用容器2770に挿入されたり、あるいは受け入れられたりすると、アクチュエータ2746のドライブシャフトは、流体貯蔵器2750に係合する。例えば、図31Aに示すように、ディスペンサー3100は、貯蔵器3150を受け入れる。アクチュエータ3146は、ドライブシャフト3148を備える。ドライブシャフト3148は、開口3108を通過して、ピストン3150のピストン3104と係合する。この係合により、流体貯蔵器2750の中に収容された流体を吐出したり排出したりすることができる。アクチュエータ2746は、回転式アセンブリボディ2790の後方の、カップ状の部分に受け入れられる。流体貯蔵器用容器2770は、回転式アセンブリボディ2790の前方の、カップ状の部分に受け入れられる。このように、アセンブリボディ2790がその回転軸について回転したり、又は旋回したりするとともに、貯蔵器2750、容器2770、及びアクチュエータ2746のそれぞれも回転する。アクチュエータ2746は、アセンブリボディ2790と容器2770の両方における、開口、U字型チャネル、溝、又は、その他の開口を通過して、流体貯蔵器2750と係合する。アクチュエータ2746は、リニアアクチュエータでもよい。
容器2770は、導電コイル2780を備える。導電コイル2780は、ディスペンサーの発熱体に含まれるものでもよい。導電コイル2780は、流体貯蔵器2750の中に収容された流体に、誘導的にエネルギーを与えたり、加熱したりするために用いられる。導電コイル2780は、図20A及び図20Bで説明した誘導プロセスと同様にして、流体貯蔵器2750の中に収容された流体を誘導加熱してもよい。好ましい実施形態では、導電コイル2780は、容器2770の外面に位置するため、導電コイル2780は、流体貯蔵器2750の壁に物理的に接触しない。他の実施形態では、導電コイル2780は、容器2770の内面に沿って位置するか、容器2770の壁の中に埋め込まれる。図27に示すように、導電コイル2780は、流体貯蔵器2750のボディを囲む。導電コイル2780は、貯蔵器2750に含まれる発熱構造に電流を誘導する。この誘導電流により、流体貯蔵器2750内に収容された流体を均一に誘導加熱することができる。
回転アセンブリ2760は、導電コイル2780の間のノイズやクロストークを分離するためのチョークコイル2792と、アクチュエータ2746と、その他、回転アセンブリ2760を含む流体貯蔵器の中に収容される周波数感知式の電子部品とを備える。回転アセンブリ2734に含まれる蓋2734は、回転アセンブリが閉じると、図26Aに示す方法と同様にして流体貯蔵器2750を隠す。
発光回路基板2794は、回転するボディ2790の底部に配置される。発光回路基板2794は、例えばLEDのような発光体を少なくとも一つ備える。LEDは、ここで開示される種々の実施形態で説明した、ナイトライトとして使用されてもよい。発光回路基板2794は、モーションセンサーと、上方を向きつつ、開位置における容器2770の少なくとも一部を照らすもう一つのLEDと、種々のコントロールを照らすその他のLEDとのうち、少なくとも一つを備えてもよい。他の実施形態では、モーションセンサーは、ディスペンサーに含まれる他の回路基板に取り付けられる。モーションセンサーは、赤外線(IR)LEDであってもよい。発光回路基板2794は、対応する開口又はレンズと係合し、開口又はレンズは、回路基板2794による光の周波数に対して少なくとも一部は透明である。その構成は、図31A及び図31Bにおける発光回路基板3194及びレンズ3196と同様の構成でもよい。
留め金具又は連結器は、回転アセンブリ2760を閉位置で留めたり、固定したり、あるいは保持したりするために用いられる。種々の実施形態では、留め金具は、磁気素子である。留め金具は、ユーザが係合を解放するまで、回転アセンブリを閉位置で固定する。少なくともいくつかの実施形態では、ユーザは、蓋2734を簡単に押し下げることにより、留め金具の係合を解放することができる。留め金具は、係合/解放の動作において、ユーザに触覚的なフィードバックを提供することができる。留め金具は、蓋2734に一体化されていてもよい。
図28は、ここで開示される種々の実施形態の流体ディスペンサーとともに利用される流体貯蔵器の、もう一つの実施形態における分解図である。例えば、図26A及び図26Bのディスペンサー2600は、流体貯蔵器2850と同様に、流体貯蔵器から加熱された流体を受け取り、吐出する。流体貯蔵器2850は、ボトムキャップ2806、平行移動ピストン2804、貯蔵器ボディ2802、ポンプアセンブリ2820又はキャップアセンブリ2820、ノズルアセンブリ2814、及びオーバーキャップ2830を備える。貯蔵器2850は、バルブアセンブリ2832を備える。
好ましい実施形態では、流体貯蔵器2850は、エアレスポンプ式の貯蔵器又はボトルにカスタマイズされたものである。種々の実施形態では、バルブアセンブリ2832は、ポンプアセンブリ2820又はキャップアセンブリ2820に一体化される。ポンプアセンブリ2820は、上部がスナップ式でもよい。好ましい実施形態では、バルブアセンブリ2832は、バルブアセンブリにおいて、内部チャンバー、経路、又は空洞に通じるバルブアセンブリ下方開口2892を備える。さらに、バルブアセンブリ上方開口も備える。例えば、図29に示す流体貯蔵器2950のバルブアセンブリ上方開口2994は、バルブアセンブリ2832の上方開口と同様のものである。上方開口は、バルブアセンブリ2832の内部空洞を通過する流路である。この流路は、バルブアセンブリ2832の内部空洞の中に位置し、下方開口2892と上方開口の間に位置する。流路は、貯蔵器ボディ2802とノズル2812の間で流体の行き来を可能にする。この流路の中に配置された1以上のバルブは、流路を通る流れを選択的に遮断したり阻止したりする。バルブアセンブリ2832内の複数のバルブにより、貯蔵器ボディ2802から流体を上げ、ノズル2832を通して外に出すポンピング動作を行うことができる。バルブアセンブリの種々の実施形態は、図29及び図30を参照して詳細に説明する。
貯蔵器ボディ2802は、例えば5ミリリットルボトルのようなボトルである。貯蔵器ボディ2802は、第1端部、第2端部、横断面、及び長手方向軸を備える。種々の実施形態では、ピストン2804が長手方向軸に沿って平行移動するため、長手方向軸は平行移動軸である。好ましい実施形態では、横断面は、貯蔵器ボディ2802の長さの少なくとも一部の長さについて、平行移動軸に沿って略均一である。図28に示すように、ボディ2802の第1端部は、ピストン2804を受け入れる開端部である。貯蔵器ボディ2802は、シリンダー状のボディ、チューブ状のボディ、その他任意の貯蔵器やボトルのような構成であってもよい。
ボトムキャップ2806は、その中心に位置する、開口2808又は他の開口部を備える。開口2808は、ディスペンサーが備えるアクチュエータのドライブシャフトと、流体貯蔵器2850の平行移動可能なピストン2804との間の係合を可能にする。ドライブシャフトは、開口2808に受け入れられるとともに、開口2808を通過する。そして、ドライブシャフトは、ピストン2804の底部又は後部の噛合部と物理的に接触するとともに係合する。ピストン2804の底部又は後部は、駆動構造である。ピストン2804と噛み合ったり係合したりすると、ドライブシャフトは、ピストン2804を貯蔵器ボディ2802に対して平行移動させる。ピストン2804の平行移動は、流体を押し出して皮下注射針を通過させるプランジャーの平行移動と同様のものである。少なくとも図29及び図30で説明するように、ピストン2804の平行移動は、ボディ2802の上端又は上部に向かうものであり、これにより、流体貯蔵器2850に収容された流体の一部が吐出される。流体は、ノズル2812から吐出される。ノズル2812は、ノズルアセンブリ2814の側面に配置される。図28に示すようにノズル2812は、ノズルアセンブリ2814の側面又は外側面に配置される、突起部又は先端部を備える。
ノズル2812は、貯蔵器2850の排出口に含まれてもよい。排出口は、バルブ保持具を備える。バルブ保持具は、ディスペンサーの中の空洞や容器が貯蔵器2850を受け入れると、ディスペンサーの吐出開口と噛み合う。少なくとも一つの実施形態では、バルブ保持具は、保持具の外周を含み、これにより、流体が排出口を通過して流れ出すとき、流体はバルブ保持具の外周に接触することなく流れる。
ピストン2804の平行移動に加えて、ノズルアセンブリ2814の平行移動もまた貯蔵器ボディ2802の上端に向かうものであり、これにより、収容された流体の一部は、排出口又はノズル2812を通って吐出される。したがって、ユーザは、貯蔵器2850から流体を吐出させることができ、流体は、ノズルアセンブリ2814の上面にポンプ力を供給することにより吐出される。これにより、貯蔵器2850を手作業で取り扱うことができる。このように、ノズルアセンブリ2814を手作業で取り扱うか、ピストン2804を平行移動させるかのいずれかによって、流体が貯蔵器2850から吐出される。貯蔵器2850が使用されていないとき、あるいはディスペンサーに受け入れられてないときは、オーバーキャップ2830は、ノズルアセンブリ2814を手でポンピングする場合や、ノズルアセンブリ2814が動作する場合などの吐出動作における、不慮のトリガーを防止するために用いられる。以下で説明するように、好ましい実施形態では、オーバーキャップ2830は、ノズル2812が下向きの角度を構成するようにカスタマイズされる。
いくつかの実施形態では、貯蔵器2850は、最初に、シールを備える。シールは、例えば、薄膜フィルム、ラベル、又はその他壊れやすかったり脆かったりするもの等である。シールは、開口2808を覆う。貯蔵器2850の最初の使用の際、ディスペンサーのドライブシャフトは、このようなシールを破けさせたり、穴を開けたりする。ボトムキャップ2806においてシールに穴を開けることにより、貯蔵器2850がディスペンサーによって既に使用されたことを、ユーザに対して視覚的に示すことができる。種々の実施形態では、図19A及び図19Bの使用つまみ1906と同様な、一回限りの使用つまみを備えることができる。これらの使用つまみは、ピストン2804、ポンプアセンブリ2820、バルブアセンブリ2832、又は貯蔵器2850のその他の構造とともに含まれるものでもよい。使用つまみは、ピストン2894が、その初期位置から平行移動したかどうかを示すことができる。
ポンプアセンブリ2820又はバルブアセンブリ2832に含まれる使用つまみは、ピストン2804の平行移動やユーザの手作業でノズルアセンブリ2814を扱うことによる吐出動作が、トリガーされる前の状態である旨のシグナルを示すことができるため、特に有利である。ヒートシュリンク式のタンパーシールもまた、使用前の状態を示すために用いることができる。ここで開示される種々の実施形態では、ディスペンサーのアクチュエータは、ドライブシャフトにおける荷重や抵抗を感知することができる。これらの動作前においてシグナルを示すいずれのメカニズムも、アクチュエータに大きな負荷を与えることができる。したがって、ディスペンサーは、貯蔵器が吐出動作前に影響を受けているかどうかや、貯蔵器が未使用であるかどうかを自動的に検出することができる。さらに、ドライブシャフトが必要とする吐出力は、流体の粘性や他の特性によって異なる。また、必要な吐出力に影響を与える流体の粘性及び他の特性は、例えば貯蔵器2850のような貯蔵器に保存される流体ごとに異なる。例えば、粘性は、水系、オイル系、シリコーン系の潤滑剤で異なる。したがって、アクチュエータへの荷重を感知することにより、貯蔵器内に収容された流体を決定することができる。ディスペンサーは、ユーザに対し、流体貯蔵器2850が前の吐出動作及び/又は流体のタイプを受けたか否かを示すことができる。
好ましい実施形態では、ポンプアセンブリ2820は、ディスペンサーに挿入されたときに適切な位置調整や向きを保証するための調整部材2822又はピン部分を備える。調整部材2822は、図27の流体貯蔵器用容器2770に例示されるディスペンサーの流体貯蔵器の容器に対応する構造と噛み合ったり係合したりする、突起、ピン、又は、他の適切な構造を備える。このような実施形態では、調整部材2822がディスペンサーの容器におけるピン構造に対応して適切に位置調整されるときにのみ、流体貯蔵器2850を容器に挿入することができる。これにより、貯蔵器2850がディスペンサーに受け入れられると、貯蔵器2850がその長手方向軸について適切な向きで回転することが確実になる。適切な回転には、ノズル2812が下方位置を向くように配置するとともにディスペンサーの吐出開口と位置決めすることが必要である。
いくつかの実施形態では、ノズル2812は下方に傾斜する(貯蔵器2850が垂直方向に配置されているとき)。ディスペンサーが流体貯蔵器2850を受け入れると、例えば図26Aのディスペンサー2600のように、貯蔵器の長手方向軸は、ディスペンサーの吐出アーム内において、水平よりも上の角度を向く。例えば、図27の回転アセンブリ2760が閉位置に回転するときのように、ディスペンサー及び回転アセンブリの中に貯蔵器2850が収容されると、ノズル2812の下向きの角度は、ノズル2812を略垂直かつ下方を向く。
例えば、図31Aに示すように、貯蔵器3150は、ディスペンサー3100に受け入れられる。貯蔵器3150は、下向きに傾斜した(垂直位置に向くとき)ノズル3112を備える。上向きに傾斜したディスペンサーアーム3180に受け入れられると、傾斜したノズル3112は、略垂直の方向を向く。このノズル3112を垂直方向に向かせることにより、垂直で明確な視線において、吐出された流体をユーザの手に流すことが可能になる。明確な視線は、吐出された流体がディスペンサーの表面に接触することを防ぐので、例えば図23A及び図23Bの吐出開口2380のような、ディスペンサーの吐出開口を定期的に掃除する必要性を減らすことができる。好ましい実施形態では、流体貯蔵器2850が直立しているときにおいて水平よりも下向きに測定されたノズル2812の下方への傾斜角度は、水平よりも上向きに測定されたディスペンサーの吐出アームの角度と略同一である。ノズル2812は、バルブ保持具を備える。バルブ保持具は、例えば図27の容器2770のような空洞又は容器に貯蔵器が挿入されると、ディスペンサーの開口に噛み合う。ノズル2812の排出口は、貯蔵器2850の長手方向軸に対して略垂直の方向を向く。
貯蔵器ボディ2802は、貯蔵器2850に収容される流体の少なくとも一部を収容する容積を備える。流体を収容するのに利用可能な容積は、ピストン2804とボディ2802の他端の間の距離で実質的に規定される。好ましい実施形態では、貯蔵器ボディ2802は、誘導発熱構造2810を備える。図20A及び図20Bで少なくとも説明されるように、例えば図27の導電コイル2780のような発熱体は、このような発熱構造2810に誘導的に電流を発生させる。誘導発熱構造2810は、ボディ2802の外面の周りに配置される。いくつかの実施形態では、発熱構造2810は、内部構造である。
発熱構造2810は、導電性チューブである。好ましい実施形態では、貯蔵器2850が組み立てられたときに、発熱構造2810がバルブアセンブリ2832の下方チャンバー2824の少なくとも一部を囲むように、発熱構造2810が構成及び配置される。発熱構造2810の少なくとも一部は、貯蔵器ボディ2802に収容された流体に露出している。例えば、図29は、発熱構造2910の一部が貯蔵器2950の貯蔵器ボディ2902の容積に露出することを示すものである。他の実施形態では、発熱構造2810は、ポンプアセンブリ2820の下方チャンバー2824の外面の少なくとも一部を覆い隠す導電性チューブである。他の実施形態では、導電性チューブは、ボディ2802内の流体を収容する容積の少なくとも一部を含み、貯蔵器ボディ2802の内面の少なくとも一部を覆い隠す。発熱構造2810は、貯蔵器2850内に収容された流体と熱的に結合する。
発熱体2810は、銅、銀、金などの導電性材料で構成することができる。好ましい実施形態では、発熱体2810は、ステンレス鋼から構成される。発熱体2810は、ステンレス鋼のコイルである。ステンレス鋼は、腐食せず、ボディ2802内に収容されたいずれの流体も汚染しないため、有利な材料である。また、好ましい実施形態では、発熱体2810は磁気素子であることが好ましい。例えば図27の回転アセンブリ2760のような回転アセンブリが貯蔵器2850を受け入れると、例えば図27のコイル2780のような誘導コイルが発熱構造2810を囲む。導電コイルにより、貯蔵器2850の中に収容された流体を略均一に加熱することができる。さらに、発熱体2810のチューブのような構成により、加熱サイクルをより迅速なものにすることができる。少なくとも一つの実施形態では発熱体2810は、バルブアセンブリ2832に一体化される。
図29は、ここで開示される種々の実施形態の流体ディスペンサーとともに利用される流体貯蔵器の、もう一つの実施形態における側面断面図である。流体貯蔵器のノズルアセンブリは、圧縮されていない状態である。貯蔵器2950は、ボトムキャップ2906を備える。ボトムキャップ2906は、中心開口2908を備え、中心開口2908により、ドライブシャフトがピストン2904と係合することができる。
貯蔵器2950は、流体を収容する内部容積を規定する貯蔵器ボディ2902を備える。内部容積の少なくとも一部は、導電性のチューブ状の発熱構造2910に接触する。図29に示すように、好ましい実施形態では、発熱構造2910は、バルブアセンブリの下方チャンバー2924の外面を覆い隠す。バルブアセンブリは、例えば図28のバルブアセンブリ2832である。全体を通して説明したように、電流は発熱構造2910で誘導的に生成され、流体の内容物を加熱する。貯蔵器ボディ2902の内部容積において、バルブアセンブリ及びポンプアセンブリとともに流体のやり取りを行う。ポンプアセンブリは、例えば図28のポンプアセンブリ2820である。バルブアセンブリ又はポンプアセンブリの少なくとも一方は、ノズルアセンブリ2914と流体のやり取りを行い、特に、下向きに傾斜したノズル2912と流体のやり取りを行う。
図28でも説明したように、流路は、バルブアセンブリを通るように存在する。1以上のバルブは、流路を通る流れを選択的に阻止したり、流れることを可能にしたりする。バルブアセンブリの下方の吸入口は、貯蔵器ボディ2902から加圧流体を吸入する。バルブハウジング2952は、下方のバルブを収容する。下方のバルブは、例えば吸入口2996からバルブアセンブリの下方チャンバー2924の間における流体の流れを阻止したり、流れることを可能にしたりするボールバルブである。上方スプリングバルブ2918は、以下で説明するように、バルブアセンブリの下方チャンバー2924とノズルアセンブリ2914のフローボリューム2926の間における流体の流れを阻止したり、流れることを可能にしたりする。スプリングバルブは、復元スプリング2916、下方の吸入用のオリフィス又は吸入口2992、及び、上方の排出用のオリフィス又は排出口2994を備える。下方吸入オリフィス2992及び上方排出オリフィス2994は、スプリングバルブ2918の内部の空洞、又は流路を通過させ、流体を行き来させる。ワンウェイバルブは、バルブ2918の中に配置される。バルブアセンブリの流路を通ってノズルアセンブリのフローボリューム2926へと流れる流体は、傾斜したノズル2912を通って貯蔵器2950から吐出される。
ハウジング2952の中に収容される下方ボールバルブ及び上方スプリングバルブ2918は、吐出動作が引き起こされない限り、ノズル2912及びボディ2902の間における流体の行き来を防止する。吐出動作は、例えばピストン2904が上方に平行移動したり、ノズルアセンブリ2914が下方に平行移動したりするときに引き起こされる。図30は、貯蔵器3050のノズルアセンブリの下方への平行移動を示す図である。
吐出動作の間、ピストン2904が変位するため、ボディ2902内で流体の圧力が高まり、これによって下方ボールバルブ2952が変位する。ボールバルブ2952が変位すると、より高い圧力のボディ2902からバルブアセンブリの下方吸入口2926に流体が流れ込み、そして、ポンプアセンブリの中の、より低い圧力の下方チャンバー2924に流れ込む。
貯蔵器2950が、例えば図31Aのディスペンサー3100のようなディスペンサーの中に配置されたり、受け入れられたりすると、吐出部材は、ノズルアセンブリ2914が前方に平行移動することを防止する。図31Aに示すように、吐出部材3182は、貯蔵器3150のノズルアセンブリが平行移動することを防止する。ピストン2904が平行移動し続けると、下方チャンバー2924に流れ込む流体は、チャンバー2924の中で圧力を増し、圧力は、内部スプリング2916の復元力を超える。吐出部材がノズルアセンブリの平行移動を妨げているため、内部スプリング2916の復元力を超えると、ボディ2902がノズルアセンブリ2914に向かって平行移動する。
内部スプリング2916の復元力を超え、貯蔵器ボディ2902がノズルアセンブリ2914に向かって平行移動すると、スプリングバルブ2918は、下方チャンバー2924内へ深く平行移動する。例えば、図30に示すように、スプリングバルブは、下方チャンバー3024の中へ平行移動し、スプリングバルブの下方吸入口3092を、下方チャンバー3024における加圧流体に露出させる。加圧流体に押し込まれると、下方吸入口2992は、下方チャンバー3024の加圧流体の一部を吸入したり、受け入れたりする。圧力の差に起因して、流体は、スプリングバルブ2918の内部空洞を通り、ノズルアセンブリ2914の、上方のフローボリューム又はチャンバー2926に流れ込む。上方チャンバー2926から、流体が傾斜したノズル2912を通過して流れ出る。したがって、ピストン2904が上方に平行移動し、ボディ2902とノズルアセンブリ2914の間で相対的な平行移動が行われることにより、流体は、貯蔵器ボディ2902から流れ、ノズル2912を通過して貯蔵器2950の外に流れ出ることができる。
吐出される流体から減圧されたり、機械的な負荷が減少したり、又はこれらの組み合わせによって、ピストン2904から変位力が除去されると、内部スプリング2916は、スプリングバルブ2918を初期位置に復元し、ノズル2912から更に流体が流れるのを阻止する。チャンバー2924内の圧力が低下すると、ハウジング2952内のボールバルブは、再びその初期位置に戻り、チャンバー2924の中へ更に流体が流れるのを阻止する。このようにして、ノズル2912や排出口を通過して外に流れ出る流体が遮断される。したがって、吐出力が内圧を増加させても、内圧がバルブの抵抗を超えない限り、ハウジング2952内のボールバルブ、及び、スプリングバルブ2918は、ノズル2912を通る流体の吐出に対して抵抗を与える。
貯蔵器2950の手作業による取り扱いにおいても同様の原理で動作が行われるが、ノズルアセンブリ2914は、ボディ2902に向かって平行移動する。貯蔵器2950の手作業による取り扱いでは、1回の吐出動作で所定量の流体のみが吐出される。所定量の流体は、ノズルアセンブリ2914の1回のポンプで変位する流体の総量に基づくものである。さらに、貯蔵器2902の手作業による取り扱いでは、ハウジング2952の中のボールバルブは、下方チャンバー2924の加圧流体が貯蔵器ボディ2902の中へ逆流することを阻止する。ピストン2904の平行移動によって引き起こされる吐出動作においては、下方チャンバー2924からボディ2902の中への逆流がないため、下方のボールバルブは必要ない。したがって、いくつかの実施形態は、ボールバルブに例示される下方バルブを備えるものではない。
ピストン2904の平行移動によって引き起こされる吐出動作のもう一つの利点は、平行移動及び変位の力がピストン2904に加えられる限り、流体が吐出され続けることである。すなわち、ドライブシャフトがピストン2904に変位力や吐出力を加える吐出動作1回で、望んだ量や所定の量の流体を吐出することができる。好ましい吐出動作では、約0.1〜0.2mLを1回分の用量として流体を吐出する。しかし、ここで説明するように、他の実施形態はそのように限定するものではなく、ユーザは種々のディスペンサーで用量を選択することができる。さらに、貯蔵器2950は、貯蔵器2950が吐出ユニットの中へ挿入されているときの位置ずれを防止するための調整部材2922を備える。例えば、調整部材2922は、図28の調整部材2822と同様のものである。
図30は、ここで開示される種々の実施形態の流体ディスペンサーとともに利用される流体貯蔵器の、もう一つの側面断面図である。流体貯蔵器3050のノズルアセンブリは、圧縮された状態である。スプリング3016の圧縮により、スプリングバルブは貯蔵器ボディ3002に対して下方に平行移動し、吸入オリフィス3092は、下方チャンバー3024の加圧流体に露出する。上述したように、流体はスプリングバルブを通って上方チャンバーやノズルアセンブリのフローボリューム3026へと流れ込み、傾斜したノズル3012を通って流れ出る。
すなわち、図30は、下方に傾斜したノズル3012(又は排出口)と貯蔵器ボディ3002の間における相対的な平行移動を示すものである。このような平行移動は、吐出動作によるものである。手作業による吐出動作では、ユーザは貯蔵器ボディ3002に対してノズルアセンブリを下方に平行移動させる。ピストン3004が上方のノズルアセンブリに向かって平行移動することにより引き起こされる吐出動作の場合、貯蔵器ボディ3002は、ノズルアセンブリに対して平行移動する。このようなピストン3004の平行移動により、ドライブシャフトは開口3008を通過して係合することができる。チューブ状の発熱構造3010は、流体貯蔵器3050、吸入ポート3096、及びバルブハウジング3052の中に保存された流体を加熱する。バルブハウジング3052は、図示されているように、内部の下方のボールバルブを収容する。また、調整部材3022又はピン部材3022は、ディスペンサーに挿入されたときに適切な位置調整を確実にする。
図31Aは、回転アセンブリを含むディスペンサーの側面断面図であり、回転アセンブリは、流体貯蔵器を受け入れ、閉位置に回転した状態である。図31Aのディスペンサー3100の図は、図22Aに示すディスペンサー2200の図と同様である。ディスペンサー3100は、図26A及び図26Bのディスペンサー2600及びここで開示される他の実施形態のディスペンサーと同様の特徴を備える。例えば、ディスペンサー3100は、ディスペンサーハウジングを備え、ディスペンサーハウジングは、上方に傾斜した吐出アーム3180を備える。ディスペンサー3100の回転アセンブリは、図27の回転アセンブリ2760と同様のものである。ディスペンサー3100は、回転アクチュエータ3146とドライブシャフトを備える。ドライブシャフト3148は、貯蔵器3150の中心開口3108を通って貯蔵器3150のピストン3104と係合する。
回転アセンブリは、導電コイル3180を備え、導電コイル3180は、貯蔵器3150の流体を収容するボディを囲む。貯蔵器3150のボディは、誘導発熱構造を備える。種々の実施形態では、導電コイル3180は、貯蔵器3150の一部を実質的に囲む。貯蔵器3150の一部は、発熱体に電流を誘導するための発熱構造を備える。例えば、図29の発熱構造2910又は貯蔵器2950の配置を参照されたい。誘導電流は、貯蔵器3150の、貯蔵器ボディ3102に保存された内容物である流体を温めたり加熱したりする。電気コイル3180は、発熱体を均一に囲むため、流体は均一に加熱される。回転アセンブリは、発光回路基板3194を備え、発光回路基板3194は、ディスペンサー3100のハウジングの少なくとも一部が透明な素子3196と一列に並ぶ。発光回路基板3194は、少なくとも一つの発光デバイスを備え、例えばLEDを備える。ここで開示されるように、留め金具は、回転アセンブリを閉位置で留めたり、あるいは回転アセンブリを閉位置で連結したりするために用いられる。留め金具は、図31Bの蓋3134に少なくとも部分的に埋め込まれた磁石製の留め金具でもよい。
回転アセンブリが閉位置に位置するとき、貯蔵器3150の傾斜したノズル3112は、略垂直の方向を向き、ディスペンサー3100の吐出開口の接触面から流体が吐出されることを阻止する。ノズル3112は剛性の吐出部材3182と隣接して位置するため、ノズル3112は、吐出動作で平行移動しない。むしろ、ディスペンサー3150のボディ3102が、ノズル3112に対して前方に変位する。図29及び図30における説明と同様、このようなボディの変位で貯蔵器3150から流体が流れ、吐出される。
発光回路基板3194に加え、ディスペンサー3100は、1以上の回路基板を備え、1以上の回路基板には、ディスペンサー3100の動作を制御するための電子部品が装着される。回路基板の少なくとも一つは、プリント回路基板(PCB)である。例えば、ディスペンサー3100は上方PCB3164、モーション/タッチセンサー、種々のLEDインジケータ、誘導加熱コイル3180、ユーザコントロール等を備える。上方PCB3164には、ディスペンサー3100のナイトライトを制御する電子部品が装着される。同様に、下方PCB3162は、アクチュエータ3146を制御するためのエレクトロニクスを収容する。電源コード3104は、上方PCB3164と、下方PCB3162と、アクチュエータ3146と、その他ディスペンサー3100の電気的な駆動要素に電力を供給する。好ましい実施形態では、電源コード3104は、交流電力(AC)による電力を供給する。
図31Bは、図31Aのディスペンサー3100の側面断面図であり、回転アセンブリが開位置へ部分的に回転した状態を示す図である。部分的に開いた状態であるとき、図31Bは、回転アセンブリが開閉するときにおいて、(図31Aの)傾斜したノズル3112と、傾斜した吐出アーム3180の吐出部材3182との適切な隙間を示すものである。いくつかの実施形態では、回転アセンブリは、留め金具が外れたときに回転アセンブリが自動的に回転するように、ばねで荷重されている。完全に開くと、貯蔵器3150をディスペンサー3100から取り外すことができる。アクチュエータ3146、ドライブシャフト3148、発光基板3194、貯蔵器3150、及び蓋3134は、回転アセンブリとともに回転する。開位置に回転すると、ドライブシャフト3148は、貯蔵器3150のピストン3104から自動的に後退する。
図32Aは、ここで開示される実施形態に対応する、もう一つの実施形態の流体貯蔵器の分解図である。流体貯蔵器3250は、折りたたみ可能な、又はアコーディオン型の貯蔵器である、流体貯蔵器3250は、剛性の貯蔵器ボディ3202を備え、貯蔵器ボディ3202は、流体貯蔵器3250のボディを形成するために、柔軟な貯蔵器ボディ3206を受け入れたり、あるいは噛み合ったりする。柔軟な貯蔵器ボディ3206は、柔軟なアコーディオン状のボディを備える。柔軟なボディ3206は、貯蔵器3250に保存された流体の量に対応して膨張したり収縮したりする。
流体貯蔵器3250は、排出口3214を備える。種々の実施形態では、排出口3214は、バルブ3210及びバルブ保持具3212を備える。排出口3214、バルブ3210、及びバルブ保持具3212は、それぞれ、図19A及び図19Bの排出口1914、バルブ1910、バルブ保持具1912と同様のものであるか、図24A及び図24Bの排出口2414、バルブ2410、バルブ保持具2412と同様のものである。流体貯蔵器3250は、平行移動可能なピストン3204を備える。好ましい実施形態では、ピストン3204は、柔軟な貯蔵器ボディ3206の先端部と噛み合う。柔軟なボディ3206は、流体貯蔵器のドライブシャフトと係合する溝又はくぼみ3208を備える。種々の実施形態では、ピストン3204は、柔軟なボディ3206の内部供給と係合し、ドライブシャフトがくぼみ3208と係合すると、ドライブシャフトはピストン3204を平行移動させる。
好ましい実施形態では、ピストン3204は、中心に配置された突起又はくぼみを備え、突起又はくぼみは、貯蔵器3208のくぼみ3208と係合する。ピストン3204が排出口3214に向かって平行移動すると、流体が吐出され、柔軟なボディ3206は、貯蔵器3250内に収容された流体の減少量に応じてつぶれる。好ましい実施形態では、発熱構造が含まれる。発熱構造は、例えば、図19A及び図19Bの発熱構造1920、図20A及び図20Bの発熱構造2020、図29の発熱構造2910、又は、ここで開示される他の発熱構造である。
図32Bは、図32Aの組み立てられた流体貯蔵器3250の底面図である。図32Cは、図32A及び図32Bの組み立てられた流体貯蔵器3250の側面図である。
図33は、ここで開示される種々の実施形態における流体ディスペンサーとともに利用される、流体貯蔵器の、別の実施形態の分解図である。流体貯蔵器3350は、図28における流体貯蔵器2850と同様の特徴を含み得る。すなわち、流体貯蔵器3350は、ボトムキャップ3306、貯蔵器ボディ3302、ポンプアセンブリ3320又はキャップアセンブリ3320、ノズルアセンブリ3314、オーバーキャップ3330、及びバルブアセンブリ3332を備える。ここで論じられる流体貯蔵器の種々の実施形態のうちいずれかは、流体運搬ポッド、又は単にポッドであってよい。
組み立てられた際に、貯蔵器3350は、図29及び図30にそれぞれ開示されている貯蔵器2950又は貯蔵器3050と同様の特徴を含み得る。このように、流体貯蔵器は、本明細書に開示されている種々のディスペンサーとともに使用することができる。例えば、貯蔵器3350は、図18、21A〜21B、22A〜22B、23A〜23B、26A〜26B、及び31A〜31Bにそれぞれ開示されている、流体ディスペンサー1800、2100、2200、2300、2600、又は3100のいずれかによって受け取られ得る。
貯蔵器2850と同様に、流体貯蔵器3350は、カスタマイズされたエアレスポンプ式の貯蔵器又はボトルである。したがって、貯蔵器3350は、ノズルアセンブリ3314と貯蔵器ボディ3302との間の圧縮力によって生じるポンピング作用を有する。この圧縮力の方向は、貯蔵器3350の長手方向軸に沿っている。
ポンピング作用を誘発させるために、バルブアセンブリ3332はバルブアセンブリ2832と同様であってよい。すなわち、バルブアセンブリ3332は下方バルブチャンバ―3324を備える。下方チャンバ―3324の底部に配置された下方バルブアセンブリ開口3392は、バルブアセンブリ3332における、内部チャンバ―、経路又は空洞に通じている。バルブアセンブリ3332には、上方開口が備えられている。この上方開口により、バルブアセンブリ3332の内部空洞を通じた流路の形成が可能となる。
この流路は、バルブアセンブリ3332の内部空洞内であって、下方開口3392と上方開口との間に形成されている。この流路は、貯蔵器ボディ3302とノズル3312との間の流体の行き来を可能にする。この流路の中に配置された1以上のバルブは、流路を通る流れを選択的に遮断したり阻止したりする。バルブアセンブリ3332内の複数のバルブにより、貯蔵器ボディ3302から流体を上げ、ノズル3312を通して外に出すポンピング動作を行うことができる。
図28の貯蔵器2850では、貯蔵器ボディ2802に沿って、ノズルアセンブリ2814に向かってピストン2804を平行移動させることによって、圧縮力が供給される。この圧縮力により、吐出現象が生じる。対照的に、貯蔵器3350は、平行移動可能なピストンを備えていない。むしろ、後述するように、吐出を生じさせる圧縮力は、ノズルアセンブリ3314の上面とボトムキャップ3308との間に供給され得る。
図31A〜31Bのディスペンサー3100のようなディスペンサー内に、ディスペンサー3100の吐出部材3182のような、ディスペンサーの吐出部材が配置されると、ディスペンサー3100に対してノズルアセンブリ3314が前方に平行移動することが、吐出部材によって阻害される。一方、貯蔵器ボディ3302はノズルアセンブリ3214に対して平行移動可能であり、ノズルアセンブリ3314はディスペンサー3100に対して前方に平行移動することを阻害されている。そのため、貯蔵器ボディ3302は、アクチュエータ3146のドライブシャフト3148を介して、前方に平行移動することができる。ドライブシャフト3148及び吐出部材3182によって、貯蔵器3350の上部及び底部に圧縮力が供給される。ノズルアセンブリ3314と貯蔵器ボディ3302との間の距離を短くすることにより、ポンピング作用が誘発され、流体がノズル3312の外へと吐出される。
このような吐出現象を可能とするために、ボトムキャップ3306は、中心に位置するくぼみ3308又は他の嵌合構造を備える。くぼみ3308は、ディスペンサー3100のドライブシャフト3148のような、ディスペンサー内に備えられたアクチュエータのドライブシャフトと、貯蔵器3350と、の間の係合を可能とする。このドライブシャフトは、ボトムキャップ3306の下面のくぼみ3308と物理的に接触して係合するために、くぼみ3308に受け取られて嵌合する。ボトムキャップ3306に嵌合した場合又はボトムキャップ3306に係合した場合、ドライブシャフトの平行移動により貯蔵器3350の底部に力が加わる。このような力により、貯蔵器ボディ3302の平行移動が誘発される。ノズルアセンブリ3314が前方に平行移動することが、吐出部材3182によって阻害されると、貯蔵器ボディ3302がノズルアセンブリ3314に対して平行移動する。この平行移動によって、ボディ3302とノズルアセンブリ3314との間の相対距離が短くなり、バルブアセンブリ3332のポンピング作用が引き起こされる。したがって、このような平行移動により吐出現象が引き起こされ、流体がノズル3312から流れる。
例えば、ノズルアセンブリ3314と貯蔵器ボディ3302との間の距離が減少することは、流体を押し出して皮下注射針を通過させるプランジャーが平行移動することと同様のものとなり得る。少なくとも1つの実施形態では、ノズルアセンブリ3314と貯蔵器ボディ3302との間の距離を減少させることは、貯蔵器2850のピストン2804が平行移動することと同様のものとなり得、これにより吐出現象が生じる。
ノズルアセンブリ3314と貯蔵器ボディ3302との間の相対的な平行移動をもたらし、これら2つの構成要素間の距離を短くする、任意の力によって、吐出現象が引き起こされ得る。したがって、ユーザは、ノズルアセンブリ3314の上面にポンプ力を付与することにより、貯蔵器3350から流体を吐出させることができる。これにより、貯蔵器3350の手作業が可能となる。したがって、貯蔵器2850と同様に、ノズルアセンブリ3314とボトムキャップ3306との対向する力(圧縮力)により、流体を吐出することができる。オーバーキャップ3330によって、吐出現象の不慮の発生が抑制される。吐出現象の不慮の発生とは、例えば、貯蔵器3350が使用されていない場合又は貯蔵器3350がディスペンサーによって受け取られていない場合における、ノズルアセンブリ3314の手押しや操作である。
いくつかの実施形態では、貯蔵器3350は、最初に、シールを備える。シールは例えば、薄膜フィルム、ラベル、又はその他壊れやすかったり脆かったりするもの等である。このシールは、ノズルアセンブリ3314及び貯蔵器ボディ3302に及ぶ。相対距離が事前に短くなっていた場合、シールは破ける。破けたシールにより、貯蔵器3350がディスペンサーによって既に使用されたこと、又は貯蔵器3350がユーザによって既に手動操作されたことを、ユーザに対して視覚的に示すことができる。
好ましい実施形態では、ポンプアセンブリ3320は、ディスペンサーに挿入されたときに適切な位置調整や向きを保証するための、調整部材3322又はピン部分を備える。調整部材3322は、図27の流体貯蔵器用容器2770に例示されるディスペンサーの流体貯蔵器の容器において対応する構造と噛み合ったり係合したりする、突起、ピン、又は、他の適切な構造を備え得る。このような実施形態では、調整部材3322がディスペンサーの容器におけるピン構造に対応して適切に位置調整されるときにのみ、流体貯蔵器3350を容器に挿入することができる。これにより、貯蔵器3350がディスペンサーに受け入れられると、貯蔵器3350がその長手方向軸について適切な向きで回転することが確実になる。適切な回転には、ノズル3312が下方位置を向くように配置するとともにディスペンサーの吐出開口と位置決めすることが必要である。貯蔵器2850と同様に、いくつかの実施形態において、(貯蔵器3350が垂直方向に配置されている場合)ノズル3312は下方に傾斜している。このように、ノズル3312が下方に傾斜していることにより、ディスペンサー内に貯蔵器3312が配置された場合にノズル3312の垂直配向が可能となる。
貯蔵器ボディ3302は、貯蔵器3350に収容される流体の少なくとも一部を収容する容積を備える。好ましい実施形態では、貯蔵器3350は誘導発熱体3310を備える。誘導発熱体3310は、部分的に貯蔵器ボディ内に配置されている。誘導発熱構造3310は、貯蔵器2850の発熱構造2810と同様のものであり得る。図27の導電コイル2780のような発熱体は、少なくとも図20A〜20Bの文脈において説明されているように、上述のような発熱構造3310に誘導的に電流を発生させることができる。
種々の実施形態において、貯蔵器3350のバルブ/発熱構造サブシステム3300は、発熱構造3310及びバルブアセンブリ3332の組み合わせを備える。好ましい実施形態では、貯蔵器3350が組み立てられたときに、発熱構造3310がバルブアセンブリ3332の下方チャンバ―3324の少なくとも一部を囲むように、発熱構造3310が構成及び配置される。発熱構造3310の少なくとも一部は、貯蔵器ボディ3302に収容された流体に露出している。発熱構造3310は、貯蔵器3350内に収容された流体と熱的に結合する。
種々の実施形態において、貯蔵器3350は、図28、29及び30にそれぞれ開示されている、貯蔵器2850、貯蔵器2950、及び貯蔵器3050のうち少なくとも1つと同様のものである。貯蔵器3350は、ピストン2804、2904及び3004のような、貯蔵器3350内の流体を吐出させるための平行移動可能なピストンを備えていない。むしろ、貯蔵器3350内の流体を吐出させるためには、貯蔵器3350の上部と底部との間に圧縮力が必要となる。この圧縮力により、ノズルアセンブリ3314と貯蔵器ボディ3302との間の距離が短くなる。この距離が短くなることにより、貯蔵器3350のポンピング作用が引き起こされ、貯蔵器3350内の流体が吐出する。貯蔵器2850、貯蔵器2950、及び貯蔵器3050においては、圧縮力は、対応するピストンを平行移動させることによって付与される。
本明細書に開示されている貯蔵器のいずれかに収容され得る種々の流体タイプにおける比熱容量は、流体のタイプに応じて異なる。粘度の高い流体は、粘度の低い流体より大きな比熱容量を有する。例えば、水ベースの潤滑剤は、典型的に、シリコンベースの潤滑剤より粘度が高い。したがって、水ベースの潤滑剤は、典型的に、シリコンベースの潤滑剤より大きな比熱容量を有する。言い換えると、粘度の高い流体(水ベースの潤滑剤)の温度を所定値まで上昇させるために必要なエネルギーは、粘度の低い流体(シリコンベースの潤滑剤)に同じ温度変化をさせるために必要なエネルギーより、大きい。
図19A〜B、28、29、30及び33に記載の流体貯蔵器1950、2850、2950、3050、3350のいずれかのような貯蔵器で、誘導的に加熱される流体において、流体の温度を上昇させるために必要なエネルギー量は、誘導的に加熱される流体のタイプに基づいて異なる。したがって、より粘度の高い流体の方が、ディスペンサー内で加熱されるのに時間がかかり得る。いくつかの実施形態では、より大きな比熱容量を有する流体を収容することを意図した貯蔵器において、より効率的な発熱構造が使用され得る。これらの、より効率的な発熱構造によれば、貯蔵器内に収容された流体が、ディスペンサーによって、比熱容量がより小さい流体の加熱時間と概ね同じ加熱時間で加熱されることが、確実となる。
実質的には、種々の貯蔵器内に収容された流体の比熱容量の変動を補うために、複数の構成の発熱構造を使用することができる。特定の流体タイプに対して、特有の発熱構造を形成することができる。例えば、所与の比熱容量において、所定の時間内に所定値まで貯蔵器内の流体を加熱するための、所定量の誘導電流を流すように、発熱構造を形成することができる。
本明細書に開示される貯蔵器の中で使用される発熱構造の、種々の効率性を提供するために、貯蔵器内部の発熱構造の電気コンダクタンスや電気抵抗を、収容された流体のタイプに応じて変化させる。発熱構造を製造するときの材料を変化させることによって、コンダクタンスや抵抗を変えることができる。例えば、発熱構造は、収容される流体に応じて、銀、銅、金、ステンレス鋼、外科用鋼又はアルミニウムを含むことができる。
いくつかの実施形態において、発熱構造の表面積が変わることにより、収容された流体に移動する熱エネルギーの量が変化する。大きい発熱構造では、小さい発熱構造より多くの電流が誘導される。したがって、粘度の低い流体を収容する貯蔵器には小さい発熱構造が使用されるのに対して、粘度の高い流体を収容する貯蔵器には、より大きい発熱構造が使用される。さらに、広い表面積を有する発熱構造は、より広い表面積が流体と熱接触するため、より効率的に流体に熱を移動させる。
発熱構造2810、2910、3010、3310等のような、シリンダ状又はチューブ状の発熱構造において、シリンダ状の発熱構造の長さは、収容される流体のタイプに応じて変化し得る。長さが長い発熱構造は、広い表面積を有する発熱構造をもたらす。これらの発熱構造はより効率的となるが、これは、より多くの電流が誘導され、流体と熱接触する表面積がより広くなるためである。図27の導電コイル2780のような導電コイルの長さが、一定であるとすると、(さらに、導電コイルの長さが、同軸の発熱構造の長さより長いとすると、)より長い発熱構造により多くの電流が誘導される。発熱構造の長さがより短い場合、発生する電流はより小さくなる。いくつかの実施形態では、発熱構造の表面積は、シリンダ状の発熱構造の内径及び/又は外径が変化することによって変わる。
発熱構造の長さを変えることの他の利点は、発熱構造の長さのように、発熱コイルの構造を変えるだけで、異なる流体タイプを加熱するように貯蔵器を構成できることである。貯蔵器に含まれるその他の各構成要素は、貯蔵器にシリコンベースの潤滑剤が収容されるか水ベースの潤滑剤が収容されるかに関わらず、同一とすることができる。唯一の相違点は、発熱構造の長さである。したがって、その製造工程は、種々の流体タイプに応じて複数の貯蔵器タイプを製造する場合と比べて、単純化され、合理化され、さらに安価になる。さらに、ディスペンサーそれ自体が、異なる加熱時間にプログラミングされる必要がない。したがって、ディスペンサー装置の構造が単純化され、使用がより容易となる。
流体タイプに対して特有の発熱構造を形成するさらに他の利点は、加熱される流体のタイプを自動検知する能力である。例えば、図31のディスペンサー3100を少なくとも含む、本明細書に開示されている種々のディスペンサーのいずれも、受け取られた貯蔵器の発熱構造における誘導電流の量を検出してよい。ディスペンサーは、発熱構造に誘導される電流を特定するために、図27の導電コイル2780のような発熱コイルの電流に対応するエネルギー降下を、検出することができる。検出されたエネルギー損失から、発熱構造の長さ、ひいては収容される流体のタイプを決定することができる。ディスペンサーは、ユーザインタフェースを介して、受け取られた貯蔵器内の流体タイプを示すことができる。
図34は、本明細書で開示される種々の実施形態の流体貯蔵器に含まれ得る、バルブ/発熱構造サブシステム3400である。例えば、サブシステム3400は、図28、29、30及び33にそれぞれ開示されている、貯蔵器2850、2950、3050及び3350のうちいずれかに含まれ得る。
サブシステム3400は、図33のサブシステム3300と同様のものとなり得る。したがって、サブシステム3400は、バルブアセンブリ3432及び誘導発熱構造3410を備える。サブシステム3400は、発熱構造の種々の長さがサブシステム340に含まれ得る点において、モジュール式のサブシステムである。バルブアセンブリ3432は、貯蔵器2850及び貯蔵器3350がそれぞれ有する、バルブアセンブリ2832及びバルブアセンブリ3332と同様のものとなり得る。同様に、発熱体3410は、貯蔵器2850及び貯蔵器3350がそれぞれ有する、発熱体2810及び発熱体3310と同様のものとなり得る。後述するように、バルブ/発熱構造サブシステム3400のようなバルブ/発熱構造サブシステムは、発熱構造の表面積の変化を可能とすることにより、種々の流体タイプを効率的に加熱することを可能にする。
バルブ/発熱構造サブシステム3400において、バルブアセンブリ3432は、下方チャンバ―3424を備える。下方チャンバー3424は、バルブアセンブリ下方開口3492を備えるバルブ吸入ポート3496で終端する。バルブアセンブリ3432はさらに、バルブアセンブリトリガー3434を備える。バルブアセンブリ3432は、バルブアセンブリ下方開口3492と、トリガー3434の上部に位置するバルブアセンブリ上方開口と、の間の流体流路を備える。トリガー3434がトリガーされ又は圧縮されることにより、下方開口3492から流体流路を通過して上方開口の外へ流れるように、流体の流れを誘発する。種々の実施形態においては、トリガー3434をトリガーすることによって、流体を引き上げて流体流路を通過させるポンピング作用が誘発される。
図34に示すように、発熱構造3410は、発熱構造開口3426を備えた、導電性チューブ又は中空シリンダーとすることができる。発熱構造3410は、下方チャンバ―3424を覆って受け取られており、下方チャンバ―3424と同心又は同軸である。少なくとも1つの実施形態においては、発熱構造開口3426は、下方チャンバー3424の少なくとも一部を、摺動可能に受け入れる。発熱体3410は、チューブ構造を形成するためにチューブの長手方向縁部が重なり合う、重複領域3428を備える。いくつかの実施形態では、発熱体3410は重複領域を備えない。いくつかの実施形態では、チューブの長手方向縁部の間に空隙が生じてよい。すなわち、スプリットチューブであってよい。少なくとも1つの実施形態では、長手方向縁部は、縁部同士を接合するように溶接又は圧着される。
発熱構造3410は、長さがlとなり得る。さらに、発熱構造の外径及び内径はそれぞれ、R及びrによって特徴づけすることができる。したがって、チューブの厚み(t)はt≒(R−r)として近似される。発熱構造3410の外側表面積(A)はA≒lπR2として近似される。同様に、発熱構造3410の内側表面積はlπr2として近似される。l、R、rのいずれかは、貯蔵器に収容されている流体に対して特有の発熱構造、すなわち、収容された流体の比熱容量を補うようにカスタマイズされた発熱構造を製造するように、変更され得る。l、R、rを変更することにより、内部の流体を加熱する誘導電流が増減し、これによりディスペンサー内の加熱時間が増減する。
少なくとも1つの実施形態では、発熱構造3410は、下方チャンバ―3410の長さhをカバーするように(l≒h)、下方チャンバ―3424を覆って配置されている。下方チャンバ―3424のうち他の長さHは発熱体3410より上方に位置し、発熱体3410に覆われない。いくつかの実施形態では、下方チャンバ―3424の全長(L)は、L≒H+hとして近似される。他の実施形態では、下方チャンバ―3424の一部が発熱体3410より下方に位置する。発熱構造3410は、流体と接触する発熱構造3410の表面積の大きさに応じて、下方チャンバー3424に沿ってどこにでも配置してよい。少なくとも1つの実施形態では、発熱構造3410の一部は、下方開口3492の下方に延在している。
図35は、本明細書で開示される種々の流体貯蔵器内に統合され得る、バルブ/発熱構造サブシステムの3つの実施形態を示す。発熱構造の長さは、収容される流体のタイプ又は粘度に基づいて変化する。サブシステム3500、3540及び3580はそれぞれ、バルブアセンブリ3532、3572及び3592を備える。同様に、サブシステム3500、3540及び3580はそれぞれ、発熱構造3510、3550及び3590を備える。
発熱構造3510、3550及び3590はそれぞれ、長さl1、l2及びl3を有する。ここで、l1>l2>l3である。したがって、発熱構造3510は、(水ベースの潤滑剤など)粘性流体を収容する貯蔵器において使用され得る。発熱構造3590は、(シリコンベースの潤滑剤など)粘度の低い流体を収容する貯蔵器において使用され得る。発熱構造3550は、水ベースの潤滑剤とシリコンベースの潤滑剤との間のいずれかの比熱容量を有する流体を収容する貯蔵器において、使用され得る。引き出す誘導電流が少ない発熱構造は、バルブアセンブリの下方チャンバーへ過度に熱移動されることを防ぐために、粘度の低い流体に用いられることが望ましい。
種々の実施形態において、10mm<l1<20mmである。種々の好ましい実施形態において、13mm<l1<17mmである。特に好ましい実施形態において、l1≒15.2mmである。種々の実施形態において、1mm<l3<10mmである。好ましい実施形態において、3mm<l3<7mmである。特に好ましい実施形態において、l3≒5mmである。種々の実施形態において、5mm<l2<15mmである。好ましい実施形態において、7mm<l2<13mmである。いくつかの実施形態において、発熱構造3510、3550及び3590のうち少なくとも1つの外側直径は、6〜10mmの間である。好ましい実施形態では、この外側直径は、約8mmである。任意の発熱構造の長さや他の長さ寸法については、収容された流体のタイプや粘度に応じて他の値も取り得ることを、理解されたい。
いくつかの実施形態では、バルブアセンブリの下方チャンバ―の長さは、H及びhで表される2つの長さに細分される。ここで、発熱体は、hで表される長さの部分をカバーしており、Hで表される長さの部分をカバーしていない。図35において、各長さH1、H2及びH3と、これに対応する長さh1、h2及びh3とが、各バルブアセンブリ3532、3572及び3592に示されている。図35において、各発熱構造は、バルブアセンブリの下方チャンバーに対応した下端部に配置されている。しかしながら、他の実施形態はそれほどに制約されず、発熱構造は、対応する下方チャンバ―の任意の場所に配置されてよい。
少なくとも1つの実施形態においては、各バルブアセンブリ3532、3572及び3592は同一である。これにより、種々の流体タイプを収容するために変更する必要があるのは、バルブアセンブリ3532、3572及び3592のそれぞれに対応する発熱構造3510、3550及び3590の長さのみとなる。したがって、種々のタイプや粘度の流体を収容する貯蔵器の製造工程が、単純化及び/又は合理化される。ディスペンサーの製造工程も合理化されるが、これは、貯蔵器が配置され得るディスペンサーのプログラムを変更することなく、貯蔵器自体が有する発熱構造によって、異なる流体の加熱時間が構成されるためである。
図36は、3つの流体貯蔵器を示す。これらの貯蔵器は、各貯蔵器に収容された流体の比熱容量を補う種々の長さ及び種々の配置を有する発熱構造を備える。流体貯蔵器3600、3640及び3680のそれぞれは、図28、29及び30にそれぞれ開示されている、貯蔵器2850、2950及び3050のうちのいずれかと同様のものとなり得る。これは、流体貯蔵器3600、3640および3680のそれぞれが、ピストンを備えているためである。しかしながら、あるいは、流体貯蔵器3600、3640および3680のそれぞれが、ピストンを備えていなくてもよいことを理解されたい。したがって、貯蔵器3600/3640/3680は、図33の流体貯蔵器3350と同様のものとなり得る。流体貯蔵器3600/3640/3680のそれぞれは、図34及び35に記載のバルブ/発熱構造サブシステム3400、3500、3540及び3580と同様の、バルブ/発熱構造サブシステムを備える。
貯蔵器3600、3640及び3680においては、対応する発熱構造3610、3650及び3690の長さ及び配置のみが、異なっている。発熱構造3610は、長さl4を有しており、バルブアセンブリの下方チャンバ―の全長に亘って配置されている。発熱構造3650は、長さl5を有しており、バルブアセンブリの下方チャンバ―の底部に近接して配置されている。発熱構造3690は、長さl6を有しており、バルブアセンブリの下方チャンバ―の中央に近接して配置されている。ここで、l4>l5、l6である。発熱構造3610、3650及び3690のそれぞれの少なくとも一部は、貯蔵器ボディ内に配置されており、貯蔵器ボディ内に収容された流体と熱接触する。発熱構造の長さ並びに配置は、全体を通して議論された実施形態のそれぞれにおいて変更され得ることを、理解されたい。例えば、この長さ及び配置は、ピストンを備えた貯蔵器の実施形態(例えば、図28の流体貯蔵器2850)及びピストンを備えない貯蔵器の実施形態(例えば、図33の流体貯蔵器3350)において、貯蔵器内に収容される流体のタイプに応じて、変更することができる。
図37は、バルブ/発熱構造サブシステム3700を示す。このバルブ/発熱構造サブシステムにおいて、発熱構造の内径及び外径は、対応する貯蔵器内に収容される流体の比熱容量を補うために変更される。外径と内径の相違(R1、r1)、(R2、r2)及び(R3、r3)をそれぞれ示すために、各発熱構造3710、3750及び3790が底面図で示されている。各発熱構造の厚さ(t)は、対応する外径と内径との差に等しい。
上述のように、発熱構造の外径の違いによって、発熱構造の、流体と熱接触する表面積が増加する。したがって、より粘度の高い流体を加熱するために使用される発熱構造においては、外径の拡大が適用可能となり得る。発熱構造の厚さを変えることによって発熱構造の電気コンダクタンスが変化し、誘導電流の量に違いがもたらされる。すなわち、厚さは、異なる流体タイプを補うように変更され得る。発熱構造3710、3750及び3790のそれぞれの内径r1、r2及びr3における変化を補うように、バルブアセンブリ3732の下方チャンバ―の半径を変化させてよい。代替の実施形態では、発熱構造は、貯蔵器内の異なる流体を補うような異なるサイズを備え、上述のものとは異なる形状及びサイズのものであってよい。
図38は、特定の流体タイプを収容するようにカスタマイズされた流体貯蔵器を提供する方法を示す。スタートブロックの後、プロセス3800はブロック3802に進み、ブロック3802において、貯蔵器内に収容される流体タイプが決定される。例えば、ブロック3802において、水ベースの潤滑剤とシリコンベースの潤滑剤とのいずれが貯蔵器内に収容されるかが決定され得る。
ブロック3804において、流体のタイプに基づき、発熱構造の導電性材料のタイプが決定される。例えば、加熱される流体のタイプに応じて、銀、金、ステンレス鋼、又は外科用鋼、銅などの導線性材料が決定される。材料のタイプは、電気コンダクタンス又は電気抵抗に基づいたものであってよい。
ブロック3806において、流体タイプに基づき、発熱構造の物理的寸法が決定される。例えば、本明細書において論じたように、発熱構造の長さ、並びに内径及び/又は外径は、流体タイプの比熱容量を補うように決定され得る。ブロック3808において、バルブ/発熱構造サブシステムが統合される。サブシステム3500、3540及び3580と同様に、発熱構造は、バルブアセンブリの下方チャンバ―を覆って配置される。さらに、ブロック3808において、バルブアセンブリの下方チャンバ―における発熱構造の位置が決定され得る。例えば、図36には、流体タイプの比熱容量を補う、発熱構造の種々の配置が示されている。ブロック3810において、バルブ/発熱構造サブシステムが、図28及び33にそれぞれ記載されている貯蔵器2850及び3350のような貯蔵器内に、配置される。
前述のように、本発明の好ましい実施形態を図示及び説明したが、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいて、多くの変更が可能である。従って、本発明の範囲は、明示した好ましい実施形態に限定されない。代わりに、本発明は以下の請求項を参酌して全体的に決定される。