ここでは、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。しかしながら、装置の種々の特徴の代替実施形態も可能である。これらの実施形態の例について以下に示すが、本発明の範囲は、これらの特定の構成に限定されるものでない。
感知型フォーリーカテーテル
図1は、感知型フォーリーカテーテルとその特徴のうちのいくつかの一実施形態を示す。カテーテルは、被検体外部の近位部分、中央又は尿道留置部分、及び遠位又は膀胱留置部分等、ヒト被検体に挿入されたとき、その配置に応じて種々の区間を有すると理解されてもよい。
種々の内側管腔は、膀胱滞留バルーン104及び滞留バルーンポート118と連通した空気又は流体の管腔等、カテーテルの長さを横断する。排尿管腔は、カテーテルの膀胱部に留置される1つ又は複数の遠位開口106を有し、カテーテルの近位端114に開口を有する。排尿管腔は、尿を採集レセプタクルに送達する排尿チューブに接続されてもよい。排尿チューブは、感知型フォーリーカテーテルと分離されてもよく、又は一体化されてもよい。いくつかの実施形態において、膀胱内の排液管腔及び遠位開口はまた、これにより医薬品が注入されてもよいか、又はこれを通じて加熱流体又は冷却流体が注入されてもよい点滴導管として機能してもよい。検体センサ(図示せず)又は温度センサ(図示せず)は、カテーテルの尿道部分又は膀胱留置部分のいずれかにおいて、カテーテルに配されてもよい。電気リード線又は光ファイバリード線は、管腔内に配されてカテーテルの遠位に配されたセンサと近位部分との間で感知信号の通信を可能にし、またさらに、データ処理装置又はコントローラとの通信を可能にしてもよい。
膨張可能な感圧バルーン108(又は、開口を横切って配置された感圧膜)は、カテーテルの遠位端又は遠位端付近に配置されてもよい。感圧バルーン又は感圧膜の実施形態は、膀胱内からの圧力に晒される遠位対向面と、近位流体カラムに晒される近位対向面とを有する圧力インタフェースを備えるものとして理解されてもよい。感圧バルーン又は膜は、カテーテルの近位端又は近位端付近において圧力ポート116に流体連通した流体カラム又は管腔と流体連通する。流体カラム(流体、液体又は気体のいずれかが充填される)の実施形態は、専用の管腔を備えてもよく、又は共有の管腔を備えてもよい。
いくつかの実施形態において、温度センサは、カテーテルの遠位端又は遠位端付近に存在してもよい。温度ポート110は、温度センサをディスプレイ、コネクタ、及び/又はコントローラに接続する温度通信配線112を備えてもよい。
図1は、複数の別体ポートを備えるカテーテルの近位端を示しているが、これらのポートのうちの一部又は全部は、単一のポートに一体化されてもよく、又は排尿システム及び/又はコントローラへと進む排尿ライン内に一体化されてもよい。その他の管腔及び/又はポートもまた存在してもよい。
感知型フォーリーカテーテルシステムが感知されたパラメータに基づき、コントローラを介して感知及び/又は判定してもよい圧力基準生理的パラメータには、一例として、腹膜圧力、呼吸数、心拍数、相対的な肺の一回換気量プロファイル、心拍出量、相対的な心拍出量、及び絶対的な心臓ストローク量が含まれてもよい。フォーリータイプカテーテルのいくつかの実施形態にはさらに、温度センサ、1つ以上の検体センサ、電極、及び対をなす光源並びにセンサが装備されてもよい。このようにさらに装備された実施形態では、例えば、血圧、酸素飽和、パルスオキシメトリ、EKG、及び毛細血管充填圧等、その他の形態の生理的データを導出することができる。
感知型フォーリーカテーテルの実施形態は、以下の例に含まれるような複数の臨床的に関連性のあるパラメータのうちのいずれか1つ以上を感知することができてもよい。つまり、尿のpH、尿の酸素含量、尿の窒素含量、呼吸数、心拍、膀胱壁又は尿道壁の潅流圧、膀胱又は尿道内の温度、膀胱壁又は尿道に設けられたセンサを介した電気心電図、呼吸量、呼吸圧、腹膜圧力、尿グルコース、尿道粘膜及び/又は膀胱粘膜を介した血液グルコース、尿タンパク質、尿ヘモグロビン、血圧である。いくつかの実施形態において、カテーテルは、複数のパラメータを感知することができるが、いくつかの実施形態では、注目される適用のための単一のパラメータ(例えば、呼吸困難の患者における呼吸数)といった少ない数に限定されてもよい。
本開示の技術は、腹膜圧力、呼吸数、及び心拍数を含む、特定の生理的ソースに割り当て可能な個別の圧力プロフィールに変換及び処理可能な、膀胱内からの腹膜圧力の高分解能時系列プロファイル(時間の関数としての圧力)を獲得するものである。本技術によって提供される通り、十分に速いサンプリング速度で圧力プロファイルを追跡することにより、圧力プロファイルはさらに、相対的な肺の一回換気量、心拍出量、相対的な心拍出量、及び絶対的な心臓ストローク量にさらに分解及び/又は解析可能である。
従って、本開示の態様は、膀胱内の圧力の変化に応じて生成された圧力信号の忠実度及び分解能に関連するものであり、このような変化は、上述の生理的ソースからの累積的入力を含む圧力プロファイル等、腹膜腔内の圧力プロファイルを反映可能である。本技術の態様はさらに、圧力信号の高分解能電気信号への変換における忠実度及び分解能に関連する。本技術の態様はまたさらに、電気信号プロファイル全体、腹膜腔内の圧力プロファイルに対する代用を、生理的ソースに割り当て可能な構成要素プロファイルに処理することに関連する。
圧力センサとしての膨張バルーンの感度は、部分的に、ベースラインとして、バルーン膜に亘る圧力差分の関数である。バルーンは、ベースラインの圧力差分がゼロ付近であるとき、圧力に対する感度が最大となる。ベースライン圧力差分の増加に伴い、感圧バルーンの感度は低下する。従って、本開示の技術は、バルーンを膨張状態に維持するものの、圧力差分を最小とする自動プライミング方法を提供する。
生理的圧力プロファイルを効果的に獲得するために、これらのプロファイルは、プロファイル変化の固有頻度を十分に分解する割合でサンプリングされる必要がある。これを考慮することは、ナイキスト−シャノンのサンプリング定理によって教示されており、これは、B周期/秒の頻度で進行する事象を分解するには、少なくとも2Bのサンプル/秒が必要であることを述べている。生理的圧力周期に適用する通り、例えば、70回/分の心拍数では、この周期を効果的に得るには、少なくとも140サンプル/分のサンプリング率が必要とされる。この関係が、相対的な肺の一回換気量、心拍出量、相対的な心拍出量、及び絶対的な心臓ストローク量等、生理的圧力周期を獲得するのに特に必要とされるサンプリング率を特定する本開示の技術の態様の基礎となる。
本技術の実施形態は、柔軟性の膜又は非柔軟性の膜のいずれかを有するバルーンによって表されてもよい圧力インタフェースを含む。
本技術の実施形態によると、拡張可能な感圧バルーンは、柔軟性及び非柔軟性という少なくとも2つの基本形態のうちの1つ以上を想定してもよい。柔軟性バルーンの種別において、通常、従来のパーティーバルーンと類似していてもよく、この感圧バルーンは、柔軟性の膜から形成されるか、これを含む。従って、膜の表面積は、バルーンの拡張の関数として、拡張又は収縮する。膜の柔軟性は、全体として、異なる拡張レベルにおいて、バルーンの種々の特徴を判定する。バルーンは、拡張に際し、制約がなければ、バルーンの形成される主軸によって判定される通り、略一定又は好適な形態又は形状を維持する。バルーンの膜は、バルーンの最小質量から最大質量までの拡張に際し、張りレベルを維持する。柔軟性の膜の柔軟性の限度内において、膨張中の圧力増加が質量の連続的拡張を生じる。バルーンは、概して、その形状が拡張又は膨張に際して直面することのある空間的制約に応じるものの、バルーンは好適な本来の形状を有するという点で部分的に柔軟性を有すると考えられてもよく、このような形状の優先傾向が、非柔軟性のバルーンで現れるようなあるレベルでの形状柔軟性又は適合性を妨げる。
非柔軟性のバルーンにおいて、拡張可能な感圧バルーンは、非柔軟性の膜か、又は略非柔軟性の膜から形成されるか、又はこれを含む。従って、膜の表面積はバルーンの拡張/押圧レベルに応じて伸縮しない。非柔軟性の感圧バルーンは、通常、従来のMylar(登録商標)バルーンと類似するものであってもよい。膜の柔軟性の欠如により、全体として、異なる拡張レベルにおいてバルーンの種々の特徴を判定する。バルーンの膜は、最小質量からその最大質量に近いレベルまでバルーンが拡張する際、しなやかとなり、あるレベルの弛みを有する。非柔軟性のバルーンの拡張は、膜の皺及び折り畳みを外側に向かって伸ばすことによって生じる。非柔軟性バルーンの収縮又は圧縮は、通常、内側に向かって皺をつけ、折り畳むことによって生じる。非柔軟性のバルーンが空間に閉じ込められることなく完全に膨張(又は略完全に膨張)させられるとき、バルーンの膜又は遷移の外形によって決まる好適又は本来の形状を想定する。しかしながら、部分的に膨張した状態では、バルーンは、全体として、高度にしなやかであり、適合可能であり、空間に閉じ込められることによって強いられてもよい形状を幅広く採る。
本技術の実施形態によると、拡張可能な感圧バルーンもまた、柔軟性及び非柔軟性という少なくとも2つの基本形態の特徴を備えてもよい。これらの実施形態において、膜は、柔軟性の領域と非柔軟性の領域とを備えてもよい。このハイブリットタイプのバルーンは、全体として、上述の通り、柔軟性及び非柔軟性の双方のバルーンの挙動態様から導かれるように挙動する。さらに、柔軟性バルーンは、均一な組成又は厚さを備えていない膜で形成されてもよい。このような実施形態において、厚さ又は組成の異なる領域では、柔軟性の度合いが変動し得るため、バルーンの拡張中、これらの領域の挙動に影響する。さらに他の実施形態において、膜の柔軟性は、1つ以上の方向への柔軟性を許容する傾向にあり、且つ1つ以上の方向への柔軟性を許容しない傾向にある方向性又は極性を有してもよい。
感知型フォーリーカテーテルの実施形態は、空気送達のための非常に小さな圧力管腔を利用した装置を備える。3mm、1mm、及び0.5mmの管腔内径を使用した圧力読み取りが測定されてきた。空気管腔の直径が3mmから1mm及び0.5mmと小さくなるき、信号の劣化はほぼ見られなかった。
これらのデータは、4Fという小さなサイズまでの小径の小児用カテーテルにおいて、この圧力変換システムの実施形態を使用することが適切であることを示している。本実施形態においても、カテーテルの先端は、カテーテルの他の箇所に比べて小さなプロファイルであり、感圧バルーンを追加したとしても一貫して小さな直径を実現することができる。従って、本発明のカテーテルは、より適切且つより低侵襲のモニタリング方法を著しく必要とする小児の症状について独自に研究される。他の実施形態において、滞留バルーン自体は、管腔の必要数を最少化するために、圧力バルーンとして使用することができる。一実施形態において、滞留バルーンは、その完全膨張状態で使用され、IAPにおけるマクロなトレンドを追跡するためのみに使用される。他の実施形態において、滞留バルーンは、小さな圧力変化に対するバルーン感度を増加させるため、わずかにのみ膨張させられる。本実施形態により、心拍、相対的なストローク量、相対的な心拍出量、呼吸数、及び相対的な一回換気量等、ミクロなパラメータのより精密な測定を可能にする。より小さな圧力管腔はまた、センサ等のその他の技術のためのより大きなカテーテル内により多くの空間を確保することも可能にする。
滞留バルーンが圧力バルーンとして使用される感知型フォーリーカテーテルの実施形態において、滞留バルーン内で測定された圧力は、バルーンを滞留バルーンとして機能させるのに十分な大きさまで膨張させるのに必要な圧力によって相殺される。結果として、膨張圧力と、場合によっては滞留バルーンが膀胱の内面と接触することによって生じる圧力とが、圧力読み取りから差し引かれる必要がある。このように、別体の圧力バルーンによって測定されるのと同様に、より小さな圧力変化が追跡されてもよい。膨張圧力の相殺は、滞留バルーンが最初に患者に挿入されたときの滞留バルーン内の圧力を測定することにより、又は患者の外部における滞留バルーンの膨張圧力を測定することにより、又はその他の手段により判定されてもよい。滞留バルーンには、流体、空気、又はその他任意の適切な気体が充填されてもよい。
本開示の技術の実施形態は、圧力センサが、光ファイバ、歪ゲージ、磁気、共鳴、及び/又はその他の好適な技術を使用したもの等の機械的圧力センサである実施形態を含んでもよい。
図2は、感知型フォーリーカテーテルシステムの一実施形態によって提供される、ヒトの被検体からの呼吸数感知データの例を示している。試験期間中、被検体は、以下の通り、呼吸シーケンスを実施する。(1)呼気の最後に息を止める。(2)バルサルバ。(3)過呼吸。(4)バルサルバ。(5)呼気の最後に息を止める。
図3は、図2に示されるのと同様の呼吸プロファイルにおける正常呼吸期間の詳細部分を示す。なお圧力曲線は、呼吸のピークを明確に示しているため、呼吸数を判定することができ、心拍ピークと、引いては心拍を判定することができる。
図4は、感知型フォーリーカテーテルシステムの実施形態によって提供される、ヒトの被検体からの心拍数と相対的な心拍出量の感知データと、同時且つ独立に測定されたEKGトレースとの一例を示している。このグラフは、感知型フォーリーカテーテルによって測定された心拍ピークが心拍に沿っていることを明確に示している。
図5は、心拍の増加によって実証される、心拍出量の増加するヒトの脚上げ運動における相対的な心拍出量感知に関連したデータを示している。
図6及び図7に示されるデータは、IACUC認可プロトコルに基づき、ヨークシャーピッグで実施した研究から導出されたものである。図6は、感知型フォーリーカテーテルシステムの実施形態によって提供される、ピッグからの呼吸数に注目した腹膜感知データの一例を示している。図7は、腹腔内高血圧症を検出するための感知型フォーリーカテーテルシステムの実施形態の能力を実証するピッグによる研究の一例を示している。この研究において、腹膜腔には、5mmTenamianトロカールでアクセスした。そしてこのトロカールを、蠕動ポンプを介して5L袋の乳酸リンゲル液に取り付け、この乳酸リンゲル液を毎分約1Lの速度で注入した。約20mmHgの圧力が一旦得られると流体の流れは断絶し、その後は腔部を出入りする正味の流動はなかった。
図8は、圧力(対数尺度でmmHg)対周波数(Hz)の2次元プロットとして実質的に並べられた腹腔内圧、呼吸波圧、及び心臓圧力を示す。圧力と周波数との間には、反比例関係があり、種々の生理的圧力関連パラメータは、このように並べられたとき、独自のセクタを占有することが見てとれる。本開示の方法の実施形態は、単一の全体的な時系列圧力プロファイルを、これらの生理的原点に応じて個別のサブプロファイルに分解することができるのは、これらの圧力及び/又は周波数の双方の示差性によるものである。腹腔内圧の測定は、約0Hz〜約0.5Hzの周波数範囲で分解されてもよい。呼吸圧力の測定は、約0.25Hz〜約0.75Hzの周波数範囲で分解されてもよい。心臓圧力の測定は、約0.75Hz〜約3.0Hzの周波数範囲で分解されてもよい。腹腔内圧の測定は、約5mmHg〜約30mmHgの振幅範囲で分解されてもよい。呼吸圧力の測定は、約0.5mmHg〜約5mmHgの振幅範囲で分解されてもよい。心臓圧力の測定は、約0mmHg〜約0.5mmHgの振幅範囲で分解されてもよい。サンプリング周波数は、圧力測定の実施される周波数であるが、分解周波数の約2倍であることが好ましい。例えば、サンプリング周波数は、腹腔内圧の測定に対しては約0Hz〜1Hz、呼吸圧力の測定については0.5Hz〜1.5Hz、心臓圧力の測定については1.5Hz〜6Hzであってもよい。
図9は、膀胱内から検出される、腹腔内の変動する周波数及び振幅の波形として動的に生じる圧力のモニタリング方法の実施形態のフロー図を提供するものである。圧力インタフェースを通じて、高忠実度圧量プロファイルが生成され、流体カラムを通じて近位に送信される。より近位には、圧力トランデューサは高忠実度圧力波形を、圧力周波数及び振幅を知らせる高忠実度電気信号に変換する。生成された高忠実度電気信号は、その後、コントローラによって処理され、全体的な圧力プロファイル内の構成要素を反映可能なデータサブセットを生じるが、このようなサブセットは、腹膜圧力、呼吸数、心拍数、相対的な心拍出量、及び患者の動き又は活動等、特定の生理的ソースに起因する。
感知型フォーリーカテーテルシステム
図10Aは、エアロック洗浄機構及び流体採集解析システムの実施形態に伴って使用される感知型フォーリーカテーテルの実施形態を示している。排尿及び圧力読み取りの双方は、排尿ライン中のエアロックをなくすこと又は低減することにより達成される。
感知型フォーリーカテーテル1000は、図1に示される感知型フォーリーカテーテルと同様である。感知型フォーリーカテーテルは、膀胱1014内で使用される様子が示されている。図1に示されるカテーテルの近位端におけるポートのうちのいくつかは、図10Aに示される実施形態において組み合わせられる。排尿チューブ1001もここには示されている。排尿チューブは、感知型フォーリーカテーテルと組み合わせられてもよく、又は別体の構成要素であってもよい。排尿チューブ1001及び/又は感知型フォーリーカテーテルは、通気口かかり部1016も備えてよく、又は通気口かかり部は、別体の構成要素であってもよい。エアロック清浄機構及び流体採集解析システム1002もここには示されており、感知型フォーリーカテーテル1000と流体連通した排尿チューブ1001と流体連通している。エアロック清浄機構及び流体採集解析システムは、ベース/コントローラ1018と、流体採集袋1020と、容器又はカセット1022とを備える。感知型フォーリーカテーテル1000、排尿チューブ1001、及びエアロック清浄機構及び流体採集解析システム1002の組み合わせは、ここでは、感知型フォーリーカテーテルシステムとも称される。感知型フォーリーカテーテル、排尿ライン、及び容器/カセットは、廃棄可能であってもよく、ユニットとして販売されてもよい。この廃棄可能なアセンブリが図10Cに示されており、これには、感知型フォーリーカテーテル1000、排尿チューブ1001(通気口かかり部を含む)、及び容器/カセット1022が含まれる。
通気口かかり部1016は、1つ又は複数の通気口1016と、尿サンプリングポート1004とを備えてもよい。本実施形態において、通気口1006は、疎水性膜等、気体の透過は許容するものの液体の透過を許容しない膜で作成されることが好ましい。このような例示的通気口の一例として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ePTFE(圧伸PTFE)、又はVersapor(登録商標)(Pall Corporation of Port Washington、NYより入手)、膜が挙げられるが、他の材料が使用されてもよい。通気口により、排液チューブに負圧が付与されるときに空気をシステムに入れ、排液ライン内のエアロックによって陽圧が生じるときに空気をシステムの外に出してもよい。このような機構により、例えば、膀胱壁における吸引による外傷を防ぐ。通気口1006は、空気が排液ラインを出たり、又は排液ラインに入ったりすることを防ぐ一方向弁を組み込んでもよい。好適な実施形態においては、一方向弁が使用され、空気が排液ラインを出ることを防ぎつつも、通気口1006を介して空気が排液ラインに入れる。このように、弁もまた、尿が通気口1006と接触することを防ぐ。
排尿チューブ1001は、圧力管腔1010、温度管腔1008、及び尿管腔1012を含むいくつかの管腔を備えてもよい。圧力管腔1010は、感圧バルーン108と、コントローラ1018内の圧力トランスデューサインタフェース1026とに流体連通する。温度管腔1008は、感知型フォーリーカテーテル内の温度センサ(図示せず)と連通し、またコントローラ内の温度コネクタ1024とも連通する。尿管腔1012は、1つ又は複数の開口106と、尿容器又はカセット1022と流体連通する。
廃棄可能な測定管、採集管、チャンバ又はカセット構成要素1022は、カセットマウント、ベース、又はコントローラ1018内に収まるように設計され、コントローラの構成要素とインタフェースを取るように設計される。コントローラポンプインタフェース(カセットポンプインタフェース1148の後方)は、ポンプ1134と、廃棄可能なカセット構成要素上のカセットポンプインタフェース1148とに接続する。このポンプは、カセット構成要素内に真空を生じるように設計されてもよく、これはその後、排出ラインにおいて尿排出管腔に移送される。採集管/カセットは、ポンプが負圧を付与するとき、一定量を維持するために剛性であることが好ましい。付与される負圧のレベルは、圧力センサによってモニタリングされてもよい。エアロックの清浄中、圧量は、図59に示される特徴性質の曲線に従う。吸引が施されるにつれて圧力が低下し、最終的に、尿のメニスカスが排液配管内の最低点を通過するとき、変曲点に達する。この時点においては、エアロックの清浄を継続するために必要とされる吸引は少なくなり、エアロックが一旦完全に清浄されると、膀胱に伝えられる吸引量を最少化するために、ポンプのパワーを低減することができる。例えば、この感圧特徴を備えない、より大きな管の場合、エアロックが一旦清浄されると、管が雰囲気と平衡する時間を経過する前に、膀胱に実質的な負圧を伝えることとなろう。コントローラ圧力インタフェース(カセット圧力インタフェース1150の後方)は、圧力トランスデューサ等の圧力測定装置と、カセット圧力インタフェース1150と接続する。圧力測定装置は、圧力トランスデューサであってもよい圧力測定装置に課される圧力に基づき、尿又はその他の流体の量を測定するように設計される。超音波トランスデューサインタフェース1130も、尿量の測定を施す。超音波測定は、圧力測定とともに使用することができ、又は尿もしくはその他の流体の出量を判定するのに使用することができる。アクティブピンチ弁1132は、カセットの流出配管に接続するように設計される。ピンチ弁は、カセット管を空にする制御を行うためのものであり、ピンチ弁は、圧力及び/又は超音波測定により判定された、カセット内の尿量が特定量に達したとき、尿/流体を解放するようにコントローラによって制御される。カセット内の尿量が測定され、尿が特定量に達したとき、尿は、ピンチ弁を介して排尿袋1020内に移され、空にされる。例えば、カセット内の尿量が約50mlに達したとき、カセットが空にされてもよい。或いは、カセット内の尿量が約40mlに達したとき、カセットが空にされてもよい。或いは、カセット内の尿量が約30mlに達したとき、カセットが空にされてもよい。或いは、カセット内の尿量が約20mlに達したとき、カセットが空にされてもよい。或いは、カセット内の尿量が約10mlに達したとき、カセットが空にされてもよい。このように、尿量は時間経過に合わせて正確に測定することができる。
或いは、コントローラは、カセットを空にする間に設定した時間を利用し、空にする直前にカセット内の尿量を測定してもよい。或いは、コントローラは、ポンプ始動をトリガとするエアロック除去等のイベントに際して、カセットを空にしてもよい。例えば、コントローラは、カセットを空にするのに先立ち、カセット内の尿量を測定するのに先立って、周期的なエアロック清浄周期を設定してもよい。
例えば、コントローラは、尿量が約50mlに達したとき、容器/カセットを空にするようにピンチ弁を制御してもよい。或いは、コントローラは、カセット内の尿量を測定した後、毎時、容器/カセットを空にするようにピンチ弁を制御してもよい。或いは、コントローラは、ポンプの可動等の排尿事象中又は事象後に容器/カセットを空にするようにピンチ弁を制御してもよい。又は、コントローラは、これらのトリガの組み合わせを使用して容器/カセットを空にするようにピンチ弁を制御してもよい。
圧力及び/又は超音波技術に加え、又はこれに代わって、圧力、抵抗、容量、超音波、又は光学をベースとする技術を含む他の技術を使用して、尿量を測定してもよい。量測定の精度を向上するために、1つを上回る数の技術を使用し、これらの測定を互いに比較できるようにしてもよい。1つ以上の技術によって行われる1つを上回る数の量測定は、冗長性、又はバックアップのために使用されてもよく、より正確な尿量測定を得るために、ともに使用されてもよい。
ベッドフック1116は、必要に応じて、ベッド又はその他の装置にコントローラを引っ掛けるためのものである。これらは、患者輸送のための移動式装置にコントローラを引っ掛けるのにも使用することができる。採集袋フック/穴部1102は、尿/流体がピンチ弁を通過した後、最終的に採集される排液袋を搭載するためのものである。採集袋フック1102は、袋内の流体の重量が判定可能であり、これによって袋内の流体の量を判定する他の方法を提供することができるように、歪測定を行うように設計されてもよい。例えば、圧電トランスデューサが使用されてもよい。コントローラにより、比重判定も使用され、重量及び比重に基づく有用な量測定が判定されてもよい。
スクリーン1110は、現在の尿/流体の量の状況、システムの状況等を含む情報を表示するためのものである。スクリーン1110は、タッチスクリーンであってもよく、設定、スクリーン表示変更、メニュー変更等を含む入力を受信してもよい。圧力ポート1026は、膀胱圧力ライン1010に接続し、感知型フォーリーカテーテルを使用する場合にはこれを使用して膀胱圧量を測定する。或いは、圧量ポートは、カセット1022の下方のカセットマウント内か、又はコントローラ/ベース内の他の箇所に配置されてもよい。温度入力ポート1024は、管腔1008を介し、且つ感知型フォーリーカテーテルを介するか、又は他の手段を介して、体温を測定するサーミスタ/温度センサに接続する。温度出力ポート1122は、任意の温度測定を外部装置及び/又はモニタに送信するためのものである。アダプタポート1124は、RFIDアダプタの場合等、他の装置にコントローラを適合させるためのものである。これを使用して、IAP、呼吸数、心拍、心拍出量、又は感知型フォーリーカテーテルによって測定されてもよい他の任意のパラメータ等、任意の追加的/発展的特徴を始動することができる。これにより、追加のパラメータが始動され、その情報が所望されるときのみ、病院によって支払いが行われる。発展的特徴の始動は、例えば、廃棄可能な異なる構成要素を使用して制御されてもよい。或いは、発展的特徴は、廃棄可能な部品の一部として、又は別体として購入された、ソフトウェアのアップグレードによって始動されてもよい。ソフトウェアのアップグレードは、無線、USBドングル、マイクロSDカード、EPROMカード、又はその他の好適な技術によって配信されてもよい。各患者及び/又は集団としての患者のデータもコントローラによって保存されてもよい。患者データは、メモリ、USB、マイクロSDカード、EPROMカード、ハードドライブ、又はその他の箇所に保存されてもよい。患者データは、インターネット又はイントラネット上のサーバ等、他の記憶装置との無線又は有線接続により転送されてもよい。患者データは、匿名であってもよい。患者ID等の患者データは、特定の患者に特有のデータがコントローラによって認識され、患者に使用される廃棄可能な構成要素と関連づけられるように、RFIDアダプタに記憶されてもよい。
パワーLED/インジケータ1114は、パワーのオン又はオフを示すものである。エラーLED/インジケータ1112は、何等かのエラーがシステム内に発生したか否かを示すものである。エラーの詳細はスクリーン1110上に表示可能であるが、インジケータ1112は、エラーが存在することをユーザに警告する。インジケータは、音声又はその他の警告も組み込んでもよい。
ポート1108は、ダウンロード、アップロード、ソフトウェアのアップグレード、EMR(電子医療記録)システムとの一体化等、他の装置との接続を行うものである。ポート1108は、USBポート又はその他の適切なポートであってもよい。SDポート1106は、データのダウンロードを行うものである。パワーポート1104は、コントローラを壁部又はその他の電源に接続し、コントローラに電源供給するものである。
尿/流体排液袋1020は、オーバーフロー配管1138及び流出配管1140に接続された一方向弁1136を備え、尿/流体が一旦採集された後に排液袋を出ることを防ぐ。これらの弁は、真空が排液配管に作用し、袋に作用しないように、ポンプ1134が真空を作っているとき、空気が採集管1022に入るのも防ぐ。好適な実施形態においては、オーバーフロー配管及び流出配管の双方に対して1つの弁が使用される。フック/穴部1102を搭載することにより、排液袋1020をコントローラ1018に対して脱着可能に取り付けるようにする。通気口1142は、疎水性又はその他の通気口であってもよく、空気又は気体を排液袋から出すものの、流体を袋から出さない。これにより、過剰な空気と、場合によって圧力とが袋内に生じることを防ぎ、排液袋を効率的に充填できるようにする。目盛付きマーキング1144は、採集された袋内の流体の量をある程度大まかに測定したものを示している。流出弁1146を使用して、流体/尿の袋を空にしてもよい。弁は、1人のヒトによって容易に操作可能であることが好ましい。採集袋フック1102は、歪測定要素として設計されるとき、袋が完全容量に達し、空にされる必要がある場合に音声によるアラームを出してもよい。アラームは、例えば、患者の移動に伴い、袋が引っ張られているか、又は障害物に引っかかっている場合、袋に過剰な力が不要に加わっていることを音声で知らせてもよい。
排液袋は、透明ビニル又はその他の好適な材料で作成されてもよい。一方向弁は、ビニル又はその他の好適な材料で作成されてもよい。疎水性通気口は、ePTFE、Versapor、又はその他の好適な材料で作成されてもよい。流出弁は、PVC、PC、又はその他の好適な材料で作成されてもよい。
感知型フォーリーカテーテルからの圧力読み取りを使用して、ポンプのトリガとしてもよく、引いては排液配管を空にするトリガとしてもよい。例えば、膀胱内で感知された圧力が事前に設定された数を超えたとき、ポンプが係合し、排液配管を通じてより速く尿を移動させてもよい。
コントローラ/ベース及び/又は容器/カセットは、加速度計又はその他のセンサを備え、コントローラ/カセットが水平に達しているか否かを判定してもよい。コントローラ/カセットが水平に達していないとき、音声アラームを鳴らしてもよい。或いは、尿量測定を調整し、システム内の異なる角度について示してもよい。
カセット内の尿容器の底部は、丸みを帯びた縁部を有してもよく、又はピンチ弁の開放時、尿がカセットから完全に空にされるように構成されてもよい。
図10Bは、エアロック清浄機構及び流体採集解析システム1002の詳細図である。スクリーン1110は、患者のパラメータを含むユーザインタフェースと、タッチスクリーン又はその他の制御機能を表示する。心拍領域1152は、感知型フォーリーカテーテルによって感知された膀胱内圧力測定に基づき、コントローラによって判定された患者の心拍を示す。呼吸数領域1154は、感知型フォーリーカテーテルによって感知された膀胱内圧力測定に基づき、コントローラによって判定された患者の呼吸数を示す。中核温度領域1156は、感知型フォーリーカテーテル又はその他の温度センサによって感知された患者の中核温度を示す。尿量領域1158は、圧力インタフェース1150及び/又は超音波トランスデューサインタフェース1130に接続された圧力測定装置によって測定された尿量測定に基づき、コントローラによって判定された患者の現在及び/又は平均の尿量を示す。敗血症指標領域1160は、収集及び/又は計算された1つ以上の患者パラメータに基づき、コントローラによって判定された患者の敗血症の可能性を示す。例えば、温度、心拍不正常、呼吸数不正常、及び/又は尿量その他の因子が、敗血症のリスクの判定において考慮されてもよい。これらのパラメータの傾向も、リスクの査定において使用されてもよい。例えば、尿量の減少、心拍の増加、中核温度の上昇又は低下は、敗血症のインジケータとなることもある。
敗血症指標に加え、又はこの代替として、他のリスク査定がコントローラによって判定され、表示されてもよい。これらには、急性腎障害、尿路感染、腹腔内高血圧症、腹部コンパートメント症候群、感染リスク、敗血症、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)、及びその他のリスク査定が含まれる。例えば、図58Aには、急性腎障害及び尿路感染のサンプルリスクアルゴリズムが示されている。図58Bには、急性腎障害、敗血症、及び急性呼吸窮迫症候群のサンプルリスクアルゴリズムが示されている。測定された尿パラメータには、コンダクタンス、比重、尿量、感染バクテリアの有無、白血球、酸素圧、及びその他が含まれてもよい。
グラフィックインジケータ1162は、これらの領域のうちのいずれかの履歴データを示す。例えば、ユーザは、スクリーンをタッチすることによってグラフィック表示を切り替え、尿量、温度、心拍、呼吸数、敗血症指標、急性障害のリスク、尿路感染、腹腔内高血圧症、腹部コンパートメント症候群、感染リスク、及びその他の患者の履歴、又はその他任意の関連パラメータを示すことができてもよい。履歴の時間フレームは、常時、日毎、時間毎、又はユーザにより設定された任意の期間であってもよい。範囲を逸した、リスクの上昇したリスク因子は、ディスプレイ上のこの箇所又はその他の箇所に自動的に示されてもよい。警告及び/又は範囲は、ユーザによって設定されてもよく、絶対値と経時的な傾向を含んでもよい。例えば、特定の時間フレームに亘って2度を超える中核温度の上昇は、視覚的に表示されてもよく、又は聴覚警告として音声で知らされてもよい。
図11は、通気口1180が通気口かかり部1182でなく、コントローラ1018又は容器/カセット1022上に配置された図10Aに示されたのと同様の感知不型フォーリーカテーテルシステム(エアロック清浄機構、流体排液、採集解析システム/コントローラを含む)の一実施形態を示している。本実施形態において、通気口1180は、かかり部1182において尿管腔1012と流体接続する通気口管腔1184を介して、排尿管腔1012に流体連通する。本実施形態において、かかり部の設計は、簡易化されており、排液配管は、単に図10Aに示される実施形態と比較して追加の管腔を有する。通気口は、システムの任意の箇所に配置されてもよく、尿管腔との流体との接触面もシステム内の任意の箇所であってもよい。
図12は、図10Aに示されるシステムとは対照的に圧力バルーンが利用されない、図10Aに示されるのと同様の感知型フォーリーカテーテルシステムの一実施形態を示している。代わりに、圧力は、感知型フォーリーカテーテル内の尿管腔(又はその他の管腔)を介して膀胱の内部で測定される。本実施形態において、圧力管腔1202は、通気口1204に接続されるか、又は患者の外部のシステムの他の箇所に接続され、少なくとも周期的にカテーテルの排液/尿管腔と流体接続する。本実施形態において、感知型フォーリーカテーテルシステムは、任意の標準フォーリーカテーテルとともに使用されてもよい。感知型フォーリーカテーテルシステムの任意の実施形態を標準フォーリーカテーテルとともに使用してもよい。図12に示されるシステムもまた、膀胱内の圧力測定が所望されない場合、圧力管腔1202を備えず、標準フォーリーカテーテルとともに使用されてもよい。
図13は、図12に示されるのと同様の感知型フォーリーカテーテルシステムの一実施形態を示している。本実施形態において、弁1302を利用して、排尿管腔に対して圧力管腔1202を周期的に閉鎖してもよい。弁は、圧力測定が実施されるときにコントローラ又は手動で開放することができ、膀胱圧力読み取りが不要であるとき、再びコントローラ又は手動で閉鎖することができる。
図10A、図10B、図11、及び図12は、排液チューブ内のサイフォン又はポンプ機構のいずれか、もしくはこれらの双方により、負圧が生じた場合、空気が排液チューブに入るようにするため排液チューブの患者端部付近に通気口を備える感知型フォーリーカテーテルシステムの実施形態を示している。通気口/フィルタがなければ、このような負圧は、膀胱の粘膜内層に生じる外傷等、吸引による外傷を引き起こし得る。なおこのような実施形態は、通気口が空気を退避させるものの排液チューブ内に入らせないようにする装置とは異なる。
排尿管腔は、管腔内の液体が管腔と周辺接触を維持し、封止を形成し、ポンプ機構の稼働時に液体を前進させるように、約0.25インチ未満の内径を有することが好ましい。ポンプ機構の不具合が生じた場合、流れの詰まりを防ぐために複数の排液管腔が設けられてもよい。これらの実施形態において、排液管腔は、通常、空とされることが好ましく、これにはポンプ機構の継続的可動が必要とされてもよい。或いは、ポンプ機構は、すべての液体が確実に排出されるようにするため、量の測定を行う前に稼働されてもよく、これによって装置の動力要件を下げる。
感知型フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態では、体内組織内の圧力が一定であるとき、排液ライン内の圧力上昇を検出することと、ポンプを使用して、排液ライン内の圧力が体内組織の圧力と等しくなるまで、排液ラインを通じて負圧を生じさせることとを備える。
一実施形態において、通気口は、患者からの液体の流れに対する抵抗より大きな気流に対する抵抗を有し、患者内の液体のいかなる発生も、空気が通気口を通じて入る前に排液ライン内へと押し進める。例えば、排尿の場合、通気口を通じた気流の抵抗が患者のカテーテルを通じて流れる尿の抵抗より大きい限り、空気が通気口を通じて入る前に、いっぱいとなった膀胱は排液ライン内に向けて空にされるであろう。しかしながら、通気口は、吸引による外傷を最少化するために、この要件を満たしつつ、気流に対して可能な限り小さな抵抗を有することが好ましい。
他の実施形態において、通気口は、膀胱がさらに吸引から保護されるように気流に対して非常に小さな抵抗を有し、コントローラポンプは、尿が排液ラインから清浄された状態を維持するために、例えば1分毎、5分毎、又は10分毎等、より頻度の高い間隔でエアロックを清浄するように稼働される。ポンプの稼働時、これ以上の尿が排出されていないこと、これは膀胱が完全に空にされたことを示すが、これを検出するまで作動を継続してもよい。或いは、ポンプは、例えば約30秒、約1分、約3分、約5分、又は約10分等の設定された期間、作動してもよい。
使用されるポンプ機構は、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、羽根ポンプ、インペラポンプ、遠心ポンプ、又はその他任意の好適なポンプを含むが、これに限定されない任意の好適な機構であり得る。このポンプは、壁のコンセント、バッテリ、人力、又はその他任意の好適な動力源で動力供給されてもよい。いくつかの実施形態において、真空は、約0〜−50mmHgの範囲内である。負圧は代替として、多くの場合に病室内に存在する壁部バキュームによって供給されてもよい。ポンプ機構は、蠕動様ポンプを含んでもよく、又は採集管に直接付与される吸引であってもよい。このポンプは、排液容器の患者側に配置されてもよく、又はこのポンプは、排液容器/カセットの非患者側に配置されることにより、容器が患者とポンプの間にくるようにしてもよく、好ましい。ポンプは、適正に機能するために、排液チューブ内の最高液体カラム高さに等しい負圧を生じることができなければならないことが好ましい。これは、排液チューブの長さの半分であってもよい。排尿チューブが60inの最大長さを有すれば、要求される最大負圧は、約30inH2Oすなわち56mmHgとなるであろう。
他の技術を使用して、排液ラインと内部の体液との動きのうちの少なくとも1つを生じるための拍動機械的刺激、振動音響刺激、熱的刺激、振動刺激、挟持刺激、回転刺激、又は電磁気刺激を含む配管及び/又はシステムを通じて尿を押し出してもよい。いくつかの実施形態において、回転刺激は、管腔が同時にすべて押圧されることがないように、複数の管腔を順次押圧することを備える。
他の実施形態において、エアロックは、より硬い捩れ耐性チューブに設けられる押し潰し可能な排液チューブによって取り除かれる。図14Aは、その押し潰されていない形態におけるこのような実施形態を示している。内側の押し潰し可能な排液チューブ1402は、外側の捩れ耐性チューブ1404の内側にある。図14Bは、内側の押し潰し可能なチューブが押し潰された様子の実施形態を示している。陽圧を押し潰し可能なチューブと捩れ耐性チューブとの間の空間に付与すること、又は押し潰し可能なチューブの内部に負圧を付与すること等により、排液チューブが周期的に押し潰される。排液チューブを押し潰すことで、患者から採集管へと尿を押し進める。
他の実施形態において、排液管腔清浄機構は、約0.25インチ未満の内径を有するチューブを備え、チューブの長さまでエアポケットが移動できないようにする。これは、より小さなチューブ内の表面張力によって可能となり、これは、チューブの一端が周辺に対して閉鎖されるとき(膀胱の場合のように)流体の移動を防ぐ。従って、排液チューブは常に、尿で満たされた状態に維持され、生じた尿量について、尿が圧縮不能であるため、同量の尿が排液チューブから出なければならない。他の実施形態において、内径は、0.125インチ未満である。他の態様において、上述の排液チューブは、サイフォンとして作用し、膀胱に小さく安全な量の真空を与える。或いは、小さな管腔排液チューブにより、通気口/弁を介して空気を周期的にチューブ管腔へと入れる。ポンプによって生じた負圧がこれを促進してもよい。尿は、ポンプによって生じさせた負圧により、採集容器内へと継続して流入することで、エアロックを防ぐように促進される。
小径配管の使用はまた、結果として、従来と比較して排液チューブ内の尿残量が少なくなる。患者の膀胱から採集管により迅速に尿を移動させるため、残留量が少ないほど好ましい。より直近に生成された尿の測定を行うためには、この輸送速度が重要である。これは、尿の生成率の低い患者について、膀胱から採集管まで尿を輸送するのにより時間が掛かるため、特に重要である。例えば、標準の排液チューブ(約40mLの残留量)で10mL/時間のみの尿を精製する患者については、採集管内の尿の測定は、真の尿生成から4時間遅延するであろう。一方、より小さな配管(約5mLの残留量の配管等)では、真の生成から30分しか遅延しないであろう。より小径の管腔を利用するいくつかの実施形態において、通気口/弁の有無を問わず、排液ラインに負圧を与えるポンプは必要とされない。
図15は、患者に一定の負圧を付与する胸部チューブ又はその他の排液チューブからの排出によく適した装置の一実施形態を示している。これらの実施形態は、膀胱からの尿又はその他の腔部からの流体を排出するのに適していてもよいが。胸部チューブ排液との関連で開示した特徴のいずれかを、膀胱排液又はその他の体腔排液にも適用してよい。液体は、患者から排液管腔1585を通じて排出され、これは採集管1582に接続する。採集管1582上で負圧を引くことにより、例えば、病院の壁部の吸引部に吸引チューブ1583を取り付けることによって排液が支援される。吸引は、本明細書中他の箇所に開示されるポンプ等、他の方法でも付与されてよい。空気は、弁1584を通じて排液管腔に入るが、これが所望の負圧に等しいクラック圧を有する。正しいクラック圧(例えば、−15〜0mmHg又は−10mmHg)を選択することにより、病院の壁部の吸引部/ポンプが採集管1582において十分な吸引を生じることができる限り、患者に付与される圧力がこの圧力に維持されるであろう。胸部チューブからの排出に使用される排液管腔は、サイフォンを維持しつつ、可能な限りの大きさを有する。好適な内径には、約1/4”、約5/16”、又は約3/8”が含まれるが、これらに限定されるものでない。
図16は、一定の負圧を患者に付与する胸部チューブ又はその他の排液チューブからの排出によく適した装置の他の実施形態を示している。液体は、排液管腔1688を通じて患者から排出され、負圧がポンプ機構1686を使用して付与される。圧力センサ1687は、患者端部にける排液チューブ内に設けられることにより、患者に付与される圧力を測定する。センサ1687によって得られた測定値は、ポンプ機構1686を制御するコントローラに送り返され、センサ1687(及び患者)における圧力を所望のレベルに保つために、ポンプ機構1686によって生成される圧力が調整される。圧力センサ1687はまた、システム内の他の箇所に配置されてもよい。このセンサはまた、臨床医に付与されている吸引のレベルについて情報を提供するために、チューブの患者端部における圧力の能動的モニタリングのために使用されてもよい。図16は排液容器の患者側にポンプを示しているが、このポンプは代替として、排液容器の他方側にあり、容器が患者とポンプとの間にくるようにしてもよい。
胸部チューブからの排出に使用される本発明の他の実施形態において、臨床医に胸部チューブの排液状況について情報提供を行うために、排出された流体の量が測定される。この測定は、任意の好適な手段により、特に、尿量の測定について記載したものによって達成することができる。
エアロックを取り除くことに加え、以上に詳述したエアロック清浄設計のうちのいくつかは、排尿ラインから堆積物及び血液の塊を効果的に清浄することが分かっている。これらの問題は、現行の排尿チューブ、特により小さな管腔排液チューブと排液袋におけるモニタリング技術において悩ましい問題であり、本発明は、排液を遮断するこれらの破片及び塊の清浄を自動化することにより、従来の状態に進歩をもたらす。この特徴は、フォーリーの先端におけるバルーン内の、又は膀胱と流体連通した圧力感知とともに使用されるとき、特に有用である。これにより、膀胱内の圧力及び真空をモニタリングできるようにし、塊/妨害物が清浄されるまで、実際の膀胱圧力に基づき、より積極的なポンプ動作ができるようにする。この圧力/真空感知を備えなければ、排液チューブ内の流体のポンプ動作は、膀胱粘膜を過度の真空に晒すことにより、吸引による外傷等、膀胱に臨床的続発症を生じることもある。
他の実施形態において、図17に示される通り、気体サンプリング管腔1790は、排液チューブの長さに及び、尿と接触を維持する、気体を透過するものの液体を透過しないフィルタ1791まで延び、そのメニスカス1792は、フィルタよりも患者から遠い。酸素、二酸化炭素、又はその他任意の気体の測定が必要とされるとき、気体サンプリング管腔1790内の空気が解析のために排液装置のベース1789内に引き込まれる。この構成により、図10〜図16に示されるもの等、排液ラインに空気を送る装置の実施形態でも正確な気体解析を行えるようにする。
図18に示される通り、アクティブ通気システムは、空気通気口1802と、排液ライン1804と、採集管1806と、ポンプ1808とを備える。排液ラインの通気側が患者に接続される。一実施形態において、排出される流体は尿であり、尿カテーテルと接続される。流体は、患者から排液ラインを通じて流れ、採集管で採集する。本実施形態におけるポンプは、排液ラインに直接作用するものでなく、採集管上に真空を引く。このポンプは、採集管上に負圧を引くことにより排液を促進し、これが排液ラインを通じて流体を押し進める。ポンプが負圧を付与するとき、一定の量を維持するために、採集管は剛性を有することが好ましい。排液チューブの患者側における通気口は、気体(好ましくは空気)を通過させるものの、液体の通過を防ぐ通気口であることが好ましい。従ってこの通気口は、周辺空気をシステムに入れることにより、実質的な負圧が患者に付与されることを防ぐ。このような機構は、例えば、膀胱壁部における吸引による外傷を防ぐ。
本システムにおけるポンプは、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、又は遠心ポンプを含むが、これらに限定されない、気体のポンプ動作に好適な任意のポンプとすることができる。このポンプは、適正に機能するために、排液チューブ内の最大液体カラム高さに等しい負圧を生成することができなければならないことが好ましい。これは、排液チューブの長さの半分であってもよい。排尿チューブが60inの最大長さを有すれば、要求される最大負圧は、約30inH2Oすなわち56mmHgとなるであろう。
図19に示される通り、体液を排出するアクティブ通気システムは、追加の通気口を有してもよい。このような通気口の1つである、通気口1962は、採集管状に配置され、空気を採集管から逃れさせてもよい。これにより、システムに入る各量の流体をシステムから出る同量の空気で相殺させることにより、新たな流体が管に入る際の圧力増大を防ぐ。このような通気口のうちの他の1つである、通気口1964は、採集管とポンプとの間に配置されてもよい。この通気口は、バクテリア又はウィルスが採集管及び排液チューブから出入りするのを防ぐために、気体(好ましくは空気)を通過させるものの、液体を通過させない。この通気口は、無菌グレードであることが好ましく、これを通過する空気が無菌と考えられることを意味する。通気口(ここには図示されない)は、排液ラインの患者端部に存在してもよく、又は存在しなくてもよい。
図20に示される通り、圧力相殺は、採集管上の単一の通気口で達成されてもよい。この場合、その通気口、すなわち通気口2072は、上述の通り、採集管とポンプとの間にあってもよいが、追加の弁2074が陽圧の存在下で空気を採集管から逃す。この弁は、システムから空気を出すもののシステムに空気を入れない一方向弁であることが好ましい。このポンプが稼働するとき、一方向弁は閉鎖し、空気が採集管から引き出されなければならず、これによって採集における負圧を生じ、排液ラインを通じた流体の流れを促進する。通気口は、排液ライン(ここには図示されない)の患者端部に存在してもよく、又は存在しなくてもよい。
感染の検出
図21は、UV/光/ラマン分光法を使用して尿中のバクテリア、血液、及び/又はその他の物質を検出するために、感知型フォーリーカテーテルシステムに含まれてもよい採集管、チャンバ、又はカセットの一実施形態を示している。カセット2100は、容器壁部2102を備え、これは剛性を有することが好ましい。尿2106は、カセット内に採集される。尿が過剰に迅速に採集されるか、又はカセットを空にする際に何等かの障害がある場合、オーバーフロー領域2104が過剰な尿をカセットから排出させるであろう。カセット2100は、カセットの外側壁部に組み込まれることが好ましい光学的透明部2110と、カセットの内側壁部上に設けられるか、又はこれに組み込まれることの好ましいリフレクタ部2112とを備えてもよい。ここで「光学的透明」とは、光学的透明部を通じて必要な解析波長で光を通過させることができることを意味する。光学的透明部は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、アクリル、石英等、UV光を通過させることのできる材料で作成されることが好ましい。壁部の厚さは、光学的透明部を通じて適切なUV波長を通過させるのに十分な薄さである必要があってもよい。例えば、光学的透明部の厚さは、約0.5mm〜約0.7mmの厚さであってもよい。或いは、光学的透明部の厚さは、約0.5mm〜約0.6mmの厚さであってもよい。或いは、光学的透明部の厚さは、約0.6mm〜約0.7mmの厚さであってもよい。或いは、光学的透明部の厚さは、約0.7mm未満の厚さであってもよい。
UV/光の発光器/受光器2108は、光学的透明部2110を通じて、カセット内の尿を通じてカセット内のリフレクタ2112に適切な波長でUV又はその他の波長光を通過させる。UV/光の発光器/受光器は、感知型フォーリーカテーテルシステムのコントローラ構成要素に組み込まれてもよく、又はこれに接続されてもよい。この光は、収集したデータを信号解析のためにコントローラに送信するUV/光の受光器に反射して返される。1つを上回る数のUV/光波長が同時又は順次に解析されてもよい。UV範囲内の光に加え、UV範囲外の光が使用されてもよい。光の発光及び受光の間の物理的な尿量は、尿中の1つ以上の物質の濃度を反映する、より強い信号を得るために最大化されることが好ましい。発光器/受光器は、図21に示される通りに配置されてもよく、又はカセットの他の領域内に配置されてもよい。この受光器は、発光器以外の異なる箇所にあってもよく、リフレクタは、必要とされて存在してもしなくてもよい。カセット内の尿は頻繁に空にされるため、UV/光の吸収測定は、経時的に収集可能であり、尿中の1つ以上の物質のレベル増減を経時的に、基本的にリアルタイムで、又はほぼリアルタイムで追跡することができる。これは、尿路感染及びカテーテル関連の尿路感染(CAUTI)を含む、迅速な感染特定において特に重要である。UV/光検出はまた、排液配管、別体のサンプリング領域等を含む、感知型フォーリーカテーテルシステム内の他の箇所で実施されてもよい。
感染は、UV/光分光法を使用したバクテリア、赤血球、及び血漿、及び/又は白血球についての尿の解析によって特定されてもよい。図22は、尿中の大腸菌、赤血球、及び血漿の光に対する種々の吸収波長を示している。尿中の血漿/白血球及び/又はバクテリアの存在は、ともに感染のインジケータである。赤血球の存在は、感染を示すものでないこともある。従って、尿中の赤血球とバクテリア/血漿/白血球との間で区別が行われることが望ましい。赤血球に対する分光法の特徴的性質は、約414nmの波長において、バクテリア又は血漿/白血球のいずれかと著しく異なるため、赤血球に対する信号をバクテリア及び/又は血漿/白血球のものと分離することができ、この波長で光の吸収を解析することにより、感染を特定することができる。血漿及びバクテリアの特徴的性質は、260nm及び280nmの波長で互いに異なるため、これらの波長を使用して、結晶とバクテリアとを区別することができる。しかしながら、感染中には血漿及びバクテリアの双方が存在する可能性も高い。
その他の波長及びその他の技術を使用して、尿又は任意の採集/排出された体液中の種々の物質を検出してもよい。UV/光吸収を使用して、濁度を検出してもよい。染料又は薬剤又は反応性物質もシステムに導入されるか、又はシステム、カセット等の内面に塗布され、解析を支援するために尿中の物質と反応させてもよい。任意の種別のセンサを使用して、断続的又は連続的に、リアルタイムで任意の物質又は尿の採集量を感知してもよい。例えば、尿中のマグネシウムを検出するセンサを使用して、子癇前症又は子癇を診断してもよい。乳酸センサを使用して、尿中の乳酸(又は乳酸脱水素酵素)を試験してもよい。尿中の乳酸の特定は、敗血症の早期インジケータであることもある。乳酸センサには、酵素乳酸センサが含まれてもよい。例えば、乳酸センサは、Weber(Weber J.,Kumar A.,Kumar A.,Bhansali S.Novel lactate and pH biosensor for skin and sweat analysis based on single walled carbon nanotubes.Sens.Actuators,B,Chem.2006;117:308〜313)及び/又はMo(Mo,JW,Smart,W,Lactate biosensors for continuous monitoring.FrontBiosci.2004Sep1;9:3384〜91)に開示されており、これら双方は、参照としてその全体を援用するが、これらが使用されてもよい。
薬剤又は薬剤残差は、適切なセンサを使用して、採集された尿中に検出されてもよい。感知されてもよい、採集された尿のその他の物質又は特性には、色、透明度、臭い、比重、オスモル濃度、pHタンパク質、グルコース、クレアチニン、亜硝酸塩類、白血球エステラーゼ(WBCエステラーゼ)、ケトン類、赤血球又は白血球、円柱、結晶、バクテリア、酵母細胞、寄生虫、扁平上皮等が含まれる。
CAUTI又は感染は、分光法、光波長解析等を使用して尿を解析すること、汚染を早期に特定すること、吸引によって膀胱へ生じる外傷を低減すること、膀胱内の尿の滞留を低減すること、銀又はその他の材料等の抗菌コーティング又は埋め込み材料を使用することにより、バクテリア又は微生物の存在を低減することと、膀胱内の吸引を低減することによって膀胱内の圧力測定の精度を向上することと、システム内のエアロックと膀胱内の吸引とを低減することによって尿量測定の精度を向上することとを含むいくつかの方法により、特定及び/又は低減されてもよい。膀胱内の吸引によって生じる圧力スパイクは、約−20mmHgを下回る圧力読み取りで規定されてもよい。或いは、膀胱内の吸引によって生じる圧力スパイクは、約−10mmHg〜約−20mmHgを下回る圧力読み取りで規定されてもよい。或いは、膀胱内の吸引によって生じる圧力スパイクは、約−10mmHgを下回る圧力読み取りで規定されてもよい。
図23は、バッフル又はフラップ2302を含むカセットの一実施形態を示している。このバッフル/フラップは、点線矢印で示される通り、カセットの内壁に沿って尿が運ばれるのを防ぐことを意図されたものである。バッフルは、尿が測定容器内に落ちて戻るように、尿がバッフルの地点を超えて運ばれるのを防ぐであろう。
プライミング
特定の生理的ソース(腹膜圧力、呼吸数、及び心拍数、相対的な肺の一回換気量、心拍出力、相対的な心拍出量、及び絶対的な心臓のストローク量等)からの圧力プロファイルがモニタリングされてもよい高分解能信号を達成するのに特に好都合な本開示の技術の一態様は、感圧バルーンの膜によって表される圧力インタフェースのいずれかの側における圧力の均衡を調整及び維持することに関連する。この圧力均衡は、圧力差分と称されてもよい。いくつかの実施形態において、好適な圧力差分は、ゼロ又は約ゼロである。いくつかの実施形態において、好適な圧力差分は、異なる値であってもよい。バルーンの外面(膀胱の内面に対向する)に作用する圧力は、患者の生理に応じて変化に晒される。バルーンの内面(流体カラムと流体連通する)への圧力は、流体の漏れ及び不完全な封止による劣化に晒される。
感知型フォーリーカテーテルの最初の挿入に際して、外圧が、通常、流体カラムに付与され、膀胱内からの圧力インタフェースにかかっている圧力の第1の近似値への圧力インタフェースに対抗して付与される。圧力インタフェースに亘って測定される圧力信号は、圧力差分が約ゼロであるとき、最大振幅を有する。従って、圧力信号の振幅を使用して、流体カラムから圧力インタフェースに対抗して付与されている圧力を調節することができる。インタフェースに対して適切な量の圧力を付与するこのプロセスは、流体カラムのプライミング又はバルーンのプライミングと称されてもよい。しかしながら、上述の通り、圧力インタフェースのいずれかの側への圧力が変化することもあるため、流体カラムは、時々、再プライミング又は再調節される必要があることもある。再プライミングの必要性は、圧力信号プロファイルの最大振幅を達成するように小さな圧力変化を試験することによってモニタリング可能である。或いは、プライミングは、周期的にコントローラを介して自動発生可能である。
本開示のシステム及び方法の実施形態は、コントローラによる自動圧力調節を含む。従って、調節システムは、感知された圧力信号をモニタリングし、必要に応じて、空気又は流体の量を追加又は除去することにより、バルーンを膨張させる最適な目標圧力及び容積を検出することができる。例えば、カテーテルの挿入に際して、バルーンの容積及び圧力を規制する圧力調節回路は、生理的ソースの圧力率を検出するまで、バルーンを膨張させてもよい。その割合を感知するのに際し、圧力調節コントローラは、感知された波の振幅が最大となるまで、ルーチン化又はプログラム化されたシーケンスにおいて、少量の空気を増減してもよい。最適化して調節された圧力(バルーン圧力及び容積として現れる)と感知された生理的圧力プロファイルとの間の制御フィードバックループは、継続的に及び/又は必要に応じて反復し、確実に生理的データの高忠実度測定を行えるようにする。いくつかの実施形態において、自動圧力調節は、生理的データが送信及び表示されている間、明らかなバックグラウンドで実施されてもよい。他の実施形態において、システムは、圧力調節シーケンスの間、生理的データの送信を中止してもよい。
本開示の技術の実施形態は、プライミング動作において気体を送達可能な気体送達システムを含むことにより、圧力を圧力インタフェースの近位対向面の近位にある流体カラムに付与することができる。圧縮空気又は液体等の気体のソースは、貯蔵タンク内に保持される。例としてCO2を使用すると、CO2は、タンク内の圧力(例えば、約850psiの圧力)の段階を約1psi〜約2psiの範囲に下げることのできる圧力レギュレータを通じて、貯蔵タンクから制御可能に解放される。解放された気体は、フィルタと、約2.5psiに設定された圧力解放弁とを通過する。圧力解放弁は、上流レギュレータの不具合が生じた場合、2.5psiを上回るレベルでの気体の流れを防ぐ安全特徴部である。圧力解放弁を出たCO2は、次に、ソレノイド制御充填弁を通過し、カテーテルラインに入り、最終的に感圧インタフェースを備えるバルーンに充填される。バルーン内の圧力は、30mmHgという高いレベルまで上昇させられて、第1ソレノイド制御弁が閉鎖する。第2ソレノイド制御弁は、第1弁の遠位にあり、カテーテルからの圧力を目標圧力へと解放することのできる排出弁として動作する。或いは、排出弁は、バルーンが最適にプライミングされて、弁が閉鎖されるのに先立って呼吸波形が検出されるまで、排出弁は稼働されてもよい。排出弁は、電圧又はパルス幅変調(PWM)について作動可能に基づき、確率制御の対象とされてもよく、これにより、目標圧力が達成され、オバーシュートに先立って弁を閉鎖することができるように、排出率を十分低下させる。或いは、蠕動又はその他の空気ポンプを利用してバルーンに室内空気を充填してもよい。
図24は、いくつかの実施形態における圧力バルーンプライミング方法を表すグラフを示している。ここでは、少量の流体量のバースト(大まかに約0.3cc)が感圧バルーンに加えられ、バルーン内の圧力が測定される。少量の流体のバーストは、バルーン内の測定圧力が安定的な圧力2401に落ち着くまで導入される。この推移は、変曲点2402に示されている。量のバーストは、測定圧力が急激に増加し始めるまで(例えば、曲線のスロープ2404が約2mmHg/10mを上回る場合)、この時点を過ぎて導入される。この変曲点は、2406に示されている。この時点において、バルーン内の圧力はほぼ安定的な圧力2401又はこれをやや上回る圧力まで低減される。いくつかの実施形態において、この圧力は、主要圧力測定圧力を表す。このプロセスはまた、図27のフローチャートにも表されている。
或いは、圧力バルーンのプライミングには、圧力バルーンを0mmHgを上回るように加圧した後、少量の空気/気体/流体を除去し、圧力バルーンの圧力をモニタリングすることを含んでもよい。圧力バルーンの圧力は、最適なプライミング圧力に近づくにつれて安定化するか、又は横ばいとなるであろう。この最適な圧力を判定するために、圧力バルーンから少量の空気を除去しながら圧力測定が行われ、後続の圧力測定が基本的に同一である(互いに約2mmHgの範囲内である)とき、バルーンは最適なプライミング圧力にある。2度の後続の測定が基本的に同等とならない場合、圧力バルーンは、0mmHgを上回るまで再加圧され、このプロセスが繰り返される。少量の空気が圧力バルーンから除去されて行われる圧力測定は、圧力測定における呼吸の影響を補うために、約5秒〜約15秒に亘って行われてもよい。いくつかの実施形態において、圧力信号は、少量の空気/気体/流体が圧力測定の実施に先立って圧力バルーンから除去された後、短い安定化期間を必要としてもよい。
少量の流体のバーストは、約0.2cc〜約0.4ccであってもよい。少量の流体のバーストは、約0.1cc〜約0.5ccであってもよい。少量の流体のバーストは、約0.5ccまでであってもよい。少量の流体のバーストは、約1.0ccまでであってもよい。
図25は、いくつかの実施形態における圧力バルーンプライミング方法を表すグラフを示している。この方法は、図24に示されるバーストを伴うことなく、感圧バルーン内で圧力がよりスムーズに増加させられることを除いて、図24に示されるものと同様である。流体量が感圧バルーンに加えられ、バルーン内の圧力が測定される。バルーン圧力は、バルーン内の測定圧力が安定的な圧力2505に落ち着くまで増加させられる。この推移は、変曲点2506に示されている。バルーン圧力は、測定圧力が急激に増加し始めるまで(例えば、曲線のスロープ2510が約2mmHg/10msを上回る場合)、この時点を過ぎて増加させられる。この変曲点は、2508に示されている。この時点において、バルーン内の圧力はほぼ安定的な圧力2505又はこれをやや上回る圧力まで低減される。いくつかの実施形態において、この圧力は、最適又はプライミング圧力を表す。本プロセスについてもまた、図28のフローチャートに表されている。
図26は、本発明の特定の実施形態に係るバルーンプライミングのフローチャートを示している。本開示のシステム及び方法の実施形態は、コントローラによる自動圧力調節を含む。従って、調節システムは、感知された圧力信号をモニタリングし、必要に応じて空気の量を増減させることにより、バルーンを膨張させるのに最適な目標圧力及び容積を検出することができる。例えば、カテーテルの挿入に際し、バルーンの容積及び圧力を規制する圧力調節回路は、生理的ソースの圧力率を検出するまで、バルーンを膨張させるであろう。その割合の感知に際して、圧力調節コントローラは、感知された波の振幅が最大となるまで、ルーチン化されたシーケンスにおいて、少量の空気又は流体を(おおよそ0.3cc)増減してもよい。最適化して調節された圧力(バルーン圧力及び容積として現れる)と感知された生理的圧力プロファイルとの間の制御フィードバックループは、継続的に及び/又は必要に応じて反復し、確実に生理的データの高忠実度測定を行えるようにする。いくつかの実施形態において、自動圧力調節は、生理的データが送信及び表示されている間、明らかなバックグラウンドで実施されてもよい。他の実施形態において、システムは、圧力調節シーケンスの間、生理的データの送信を中止してもよい。
少量の空気又は流体は、約0.2cc〜約0.4ccであってもよい。少量の空気又は流体は、約0.1cc〜約0.5ccであってもよい。少量の空気又は流体は、約0.5ccまでであってもよい。少量の空気又は流体は、約1.0ccまでであってもよい。
ループコントローラ
感知型フォーリーカテーテルシステム又はその他の手段で測定を行った特定の患者パラメータは、医療処置装置を通じた患者の処置による影響を受け、及び/又は、これに影響を及ぼす。
ループコントローラは、感知型フォーリーカテーテルシステムのコントローラ(同一の装置であるか、又は別体の装置であるかを問わず)と一体化され、患者の医療処置を制御するための患者のパラメータを解釈することができる。
例えば、IAPを使用して、IV点滴速度を制御してもよい。IAPが高すぎる場合、IAPが許容可能な範囲に戻るまで、点滴速度を低下させるか、又は停止してもよい。IAPを相対的なストローク量及び/又はストローク量変動(呼吸周期中、膀胱等に見られる心拍の大きさ変動)と組み合わせることにより、追加の流体が必要であるというインジケータとしての、過剰な流体とストローク量変動の相対的増減とのインジケータとしてIAPを使用して、IV流体又は血液製剤の点滴の上位制御を可能にしてもよい。尿量の応答で流体の状況が復元されたことを示すインジケータを提供する制御ループに、尿量がさらに追加されてもよい。心拍を呼吸数と組み合わせて使用することにより、薬剤点滴(薬剤タイプ、点滴速度、頻度、投薬量等)の制御を行ってもよい。このように、薬剤を使用して、患者を、心拍及び呼吸数によって判定されるより安定的な状況にしてもよい。IAP及び呼吸数を使用して、機械的吸入器又は呼吸器を制御してもよい。IAPが上昇すると、機械的吸入器によって送達される終末呼気陽圧(PEEP)はまた、この圧力を超えて上昇するはずである。吸入が十分でないというインジケータは、組織酸素化及び/又は機械的吸入を基礎とする信号として見られてもよい自然呼吸数に見ることができる。この信号は、機械的吸入中に導出されてもよく、又は好ましくは、ループコントローラは、機械的吸入器を一時停止させることにより、基本となる呼吸数/呼吸の駆動をより精密且つ正確に検出してもよい。このIAP、組織酸素化、及び/又は呼吸数を使用して、患者の症状の悪化をもたらすものを警告してもよく、及び/又は、これを使用して、呼吸数、PEEP、吸入されたO2のパーセンテージ、及びその他の設定を含む吸入器設定の自動調整を提供してもよい。理想的なシナリオにおいては、ループコントローラによってこれらのパラメータが使用され、機械学習及びアルゴリズム調節によって報知されるように治療をモニタリング制御してもよい。これらはいくつかの単なる例であり、多くの組み合わせが存在する。1つ以上のパラメータを使用して、1つ以上の処置装置を制御することができる。
図29は、患者の環境におけるループコントローラの一実施形態を示している。本例において、ループコントローラは、感知型フォーリーカテーテル2902から入力された患者パラメータを受信している。感知型フォーリーカテーテルは、患者の膀胱2904内に設けられ、滞留バルーン2908と感圧バルーン2910とを備える。感知型フォーリーカテーテルは、本開示の通り、他のセンサを備えてもよい。
感知型フォーリーカテーテル2902は、滞留バルーン膨張管腔と、圧力バルーン感知管腔と、尿管腔とを備える。感圧バルーン2910は、コントローラ2928に組み込まれてもよい圧力トランスデューサ2920に接続される感圧管腔に接続される。尿管腔は、尿量チューブ2912に接続される。尿量チューブは、尿量S九艇装置2916に接続されてもよいか、又は本開示の通り、コントローラに組み込まれてもよい尿容器2914内へと空にされる。また尿量は、尿ポンプ2918によって制御されてもよく、これは、排尿配管上に配置されてもよく、又はコントローラに組み込まれてもよく、又は本明細書中の他の箇所に開示の通り、コントローラの非患者側に配置されてもよい。
この患者は、呼吸器マスク2922を装着して示されており、これには、呼吸器チューブ2924によって供給が行われる。呼吸気体の流れ及び組成は、呼吸器2926によって制御される。
ループコントローラ2928は、各々、コネクタ2930、2932、2934、及び2936を介して、尿量測定装置2916、尿ポンプ2918、圧力トランスデューサ2920、及び呼吸器2926に接続される。これらのコネクタは、有線であってもよく、又は無線であってもよい。或いは、本実施形態及び他の実施形態において、尿力測定装置2916、尿ポンプ2918、及び/又は圧力トランスデューサ2920のうちの一部又は全部がコントローラ2928に組み込まれてもよい。
本例において、ループコントローラ2928は、尿力測定装置2916及び圧力トランスデューサ2920から入力された患者のパラメータを受信し、これらのパラメータによって提供される情報を使用して、尿ポンプ2918及び呼吸器2926を制御することができる。ループコントローラが感知型フォーリーカテーテルから受信してもよいいくつかのパラメータには、IAP、呼吸数、心拍、ストローク量、組織酸素化、組織潅流圧、温度、尿検体、尿量率、及び本開示のものを含むその他のパラメータが含まれる。
例えば、ループコントローラが患者のIAPが上昇することを示すパラメータ情報を受信する場合、ループコントローラは、呼吸器潅流率、圧力、又はその他のパラメータを制御してもよい。ループコントローラは、1つ以上の入力パラメータからのデータを組み込んでもよく、1つ以上の治療用医療装置を制御してもよい。例えば、ループコントローラは、受信したIAPの上昇及び組織酸素化パラメータの異常に基づき、呼吸器2926の出力を制御してもよく、さらに尿ポンプ2918を制御して尿量率を制御してもよい。
ループコントローラは、患者のパラメータのモニタリングと、これに応じた治療用医療装置の調整を継続する。患者のパラメータが正規化すると、ループコントローラによって制御されるフィードバックループが閉鎖ループとなってもよいように、治療用医療装置の制御をこれに応じて調整する。ループが開放ループ又は半閉鎖ループであってもよい場合に、必要とされるとき、このループが手動によって調整されてもよい。
図30は、患者の環境におけるループコントローラの他の例を示している。本例において、患者は、腕の血管に静脈(IV)ライン3002を有する。IV流体袋3004が上昇されて、IV流体が滴下され、及び/又は、IVライン3002を介して患者に流入させられる。弁3006は、流体を自由に流れさせ、流れを規制し、又は流れを停止することにより、患者内へのIV流体の流量を制御する。ここで、弁3006は、接続3008を介してループコントローラ2928によって制御される。IV流体袋3004は、水分補給流体及び/又は医薬品を含有してもよい。1つ以上のIV袋が関与してもよく、1つ以上の弁がIV袋を制御してもよい。ループコントローラは、ループコントローラによって受信された患者のパラメータに基づき、患者へのIV流体の流れ及び内容を制御してもよい。
図31は、患者の環境におけるループコントローラの他の例を示している。本例において、患者は、腹部に挿入された流体排液ライン3102を有する。腹部からの流体は、患者からレセプタクル3104に流れてもよい。流体の流れは、接続3108を介してループコントローラ2928によって制御されるポンプ3106によって制御されてもよい。ループコントローラは、受信された患者のパラメータに基づき、ポンプ3106を介した患者からレセプタクル3104までの流れを制御してもよい。例えば、IAPが異常に高い場合、ループコントローラは、ポンプ3106を制御することにより、患者からの流体の除去率を増加させるか、又は流体除去を開始してもよい。
図32は、患者の環境におけるループコントローラの他の例を示している。本例において、患者は、腕の血管に静脈(IV)ライン3202を有している。薬剤点滴装置3204は、IVライン3202を介して患者への薬剤の流量を制御する。1つを上回る数の薬剤点滴装置が使用されてもよい。ここで、薬剤点滴装置は3204は、接続3206を介してループコントローラ2928によって制御される。薬剤点滴装置3204は、任意の適切な流体及び/又は医薬品を含有してもよい。ループコントローラは、ループコントローラによって受信された患者のパラメータに基づき、患者への1つ又は複数の薬剤の流れ及び内容を制御してもよい。
これらの例は、ループコントローラによって制御可能な医療処置装置の一部を示しているが、任意の医療処置装置を使用することができる。
図33は、ループコントローラの詳細図である。ループコントローラ2928は、感知型フォーリーカテーテル又はその他の装置からの1つ以上の患者のパラメータの入力を受信することができる。これらの入力には、尿の量及び割合、膀胱からの圧力プロファイル、及び感知型フォーリーカテーテル又はその他の装置からのセンサ情報が含まれるが、これに限定されるものでない。膀胱からの圧力プロファイルをさらに解析し、IAP、呼吸数、心拍、ストローク量、敗血症指標、AKI指標、及びその他の患者のパラメータを判定することができる。この解析は、ループコントローラ2928、もしくは有線接続又は無線接続のいずれかでループコントローラに接続された別体のコントローラにおいて実施されてもよい。この接続は、インターネット、イントラネット、WAN、LAN、又はその他のネットワークを介するものであってもよく、又はBluetooth、Wi−Fi等を介した局所的なものであってもよい。
ループコントローラは、1つ又は複数の入力を受信し、データを解析して医療処置装置が変更の必要性を制御するか否かを判定する。1つ以上の医療処置装置を制御して、患者のパラメータを目標範囲に収めるようにしてもよい。患者の目標範囲が一旦達成されると、ループコントローラは、制御された医療処置装置を標準状態に戻してもよい。標準状態は、各医療処置装置毎に異なり、各患者毎にも異なる可能性が高い。患者のパラメータの目標範囲もまた、患者毎に異なるであろうし、また患者の症状毎に異なるであろう。例えば、呼吸器速度の目標範囲は、患者が鎮静状態か否かに応じて異なってもよい。
本技術の実施形態は、感知された心拍出量又は呼吸数からのフィードバックに基づき、静脈流体又は薬剤点滴速度を自動調整してもよい。このような一実施形態において、呼吸数が過剰に低く落ちると、患者制御鎮痛ンプが動作終了されてもよい。呼吸が落ちると、この群において致命的となり得るので、このセーフガードが過剰投与を防ぐこととなろう。自動化フィードバックシステムはまた、大量の蘇生手順において好都合となることもあり、流体点滴は、音声による警告を出し、腹腔内圧の上昇に合わせて点滴速度を下げることにより、腹部コンパートメント症候群を防ぐように、腹腔内圧に基づいて調節可能である。さらに他の自動化フィードバック特徴は、換気した気体の最適な圧力を提供するために、吸入器システムに直接フィードバックを提供してもよい。増加した異常圧力の設定においては、通常の吸入器設定では、患者に合わせた十分な呼吸を提供しない。本実施形態からの腹腔内圧フィードバックに基づく吸入器設定の自動調整により、最適な患者の吸入を可能にすることが好都合であってもよい。本技術の実施形態は、適用における補正として、又は他の診断測定の理解として適用されてもよい。例えば、中心静脈圧は、腹腔内圧を上昇させた設定において劇的に変形させられてもよい。中心静脈圧報告システムによるこれらのデータへの直接的なアクセスを提供することにより、この臨界の生理的パラメータの自動補正と正確な報告とを可能にする。本技術の実施形態はまた、心拍出量又はその他のパラメータの増減に応じて、昇圧薬又は利尿薬等の活性剤をさらに含んでもよい流体の点滴を含む自動治療に対する他の種々の方法で使用されてもよい。
ループコントローラ2928は、医療処置装置を直接制御することに加え、聴覚アラーム、電子メールアラーム、テキストアラーム、ポケベルアラーム等を含む音声アラームを行ってもよい。ループコントローラ2928はまた、電子カルテ又はその他のデータアーカイブシステム、又はその他のシステムへの出力情報等、システム一体化のために他のシステムに出力を提供してもよい。ループコントローラ2928はまた、種々のEHR、EMR、又はその他のシステムからの入力を受信してもよい。
医療処置は、感知型フォーリーカテーテルシステムによって収集及び/又は解析されたデータの結果として、患者に施されてもよい。この処置は、ループコントローラを介して自動的に施される医薬品であってもよく、又は従来の投薬方法、すなわち経口又は注射等によって手動で施されてもよい。
感知型フォーリーカテーテルシステムの結果に基づき、さらなる医療診断もまた実施されてもよい。
比重
尿比重は、感知型フォーリーカテーテルを使用した圧力及び超音波による測定を使用して測定されてもよい。図34は、液体の密度に応じて超音波及び圧力による量の測定がいかに変動するかを示すプロットを示している。測定される液体は、合成尿凝集物であり、その比重は約1.100である。
比重1.000の液体については、2つの測定技術が較正されて、同一量の測定が提供される。しかしながら、密度が増加するにつれて、これらは変動を始める。圧力においては、V=A*h及びP=ρ*g*h、又はV=A*ρ*g/Pであるため、密度の増加が読み取り量の増加を生じる。超音波においては、V=A*h、v=h*2/t、及びv=(E/p)^(1/2)であってV=A*(E/ρ)^(1/)*t/2であるため、密度の増加が読み取り量の低下を生じる。
V:量
A:断面積
h:液体の高さ
P:圧力
ρ:液体密度
g:重力
v:音速
t:音声反射速度
E:液体の体積弾性率
より簡易に述べると、液体の密度が増加すると、圧力は増加し、その測定が高く歪曲される。同時に、音声はより早く進み、超音波測定を低く歪曲する。これらがどの程度変動したかを測定することにより、液体の密度を判定することができる。これは、温度が変化していないことを想定しているが、温度をモニタリングして温度変動を補正することもできる。感知型フォーリーカテーテルでは、温度測定ができるように、超音波及び圧力による量の測定を実施することができる。このように、感知型フォーリーカテーテルをコントローラと組み合わせることにより、尿比重を判定することができる。
凝縮低下
バルーンカテーテル、特に、比較的長期間に亘ってヒト又は動物の体内に設けられるよう設計されたバルーンカテーテルは、経時的に漏れを生じることもある。例えば、空気又はその他の気体で膨張したバルーンは、経時的に、バルーンから空気が漏れることがある。或いは、液体の充填されたバルーンは、経時的に、液体が漏れることがある。この反対もまた真実である。尿、血液等の流体中に設けられた気体又は空気の充填されたバルーンは、経時的に、バルーン内への流体の漏れを経験することがある。これは、バルーンが比較的低い圧力で膨張させられた場合に特に該当する。
感知型フォーリーカテーテルは、比較的長期間に亘って、比較的低い圧力で膨張させられるように設計されたバルーンの一例である。本例において、バルーンは圧力を測定するように設計されるが、このバルーンは、比較的低い圧力で膨張されてもよく、結果として、比較的柔らかく薄い材料で製造されてもよい。膨張圧力が低く、バルーン材料が柔らかくて薄いため、液体が経時的にバルーン内に漏れることがある。圧力測定バルーン内の液体は、その液体が圧力測定を実施するカテーテル管腔内へと進入した場合、特に、非常に繊細な圧力測定に悪影響を及ぼし得る。
この問題を解決する1つの実施形態として、圧力測定バルーンとカテーテルの圧力測定管腔との間に非常に小さな細孔フィルタ又は疎水性フィルタを配置する。これにより、バルーンを膨張させ、その圧力を維持するために継続的にプライミングを行い、カテーテル管腔を介した圧力測定を実施する。空気又は気体はこのフィルタを通過することができるが、流体は通過できない。
他の実施形態は、低水分透過性材料でバルーンを作成することを備える。
他の実施形態は、代わりに1つの管腔又は1つを上回る数の管腔を通じてバルーンに真空及び圧力を付与することにより、バルーン内の気体を入れ替えることを備える。
他の実施形態は、バルーンに1つを上回る数の管腔アクセスを有することにより、バルーン内の気体を循環させることを備える。1つの管腔を使用してバルーン内に気体を導入し、他の管腔を使用してバルーンから気体を引き出してもよい。
他の実施形態は、バルーン、バルーン管腔、バルーンへの気体供給、又はこれらの任意の組み合わせ内に乾燥剤を使用することを備える。
図35は、凝集低下から恩恵を受けてもよいフォーリータイプバルーンカテーテルの遠位端を示している。本例において、バルーンカテーテルは、膀胱からの尿の排出を支援するたに患者の膀胱内に配置されるように設計される。カテーテルは、膀胱内にカテーテルを固定する滞留バルーン3506を有する。カテーテルシャフト3502は、カテーテルの管腔を含む。開口3504により、膀胱内の尿がカテーテルを通じて排出され、カテーテルの近位端(図示せず)をでるようにする。開口3508は、滞留バルーンを膨張及び収縮させるためのものである。感圧バルーン3510は、開口3512を介して膨張及び収縮される。感圧バルーン3510は、膀胱内からカテーテルシャフト内の圧力管腔を通じてカテーテルの近位端に近接した圧力トランデューサまで圧力信号を送信する。
特定の状況下では、経時的に、流体が圧力バルーン3510内に漏れることがある。また流体は、圧力バルーン3510内から開口3512を通じてカテーテルシャフト3502内に進入することがある。圧力管腔内の流体は、圧力バルーンからの圧力読み取りに悪影響を及ぼすことがある。結果として、流体が圧力バルーン内から開口3512を通じて進入するのを防ぐことが望ましく、又は可能であれば、圧力バルーン内に入る流体の量を低減することが望ましい。
図36は、バルーン内のフィルタの一実施形態を示している。フィルタ3602は、バルーン3510の内側と開口3512におけるカテーテル内部の圧力管腔との間に設けられる。フィルタ3602は、気体を通過させるものの流体を通過させない材料で作成されることが好ましい。例えば、フィルタは、Versapor、PTFE、ePTFE等の疎水性膜から作成されてもよい。このフィルタは、ナイロン等のポリマー又はその他任意の好適な材料から作成されてもよい。細孔サイズは約3ミクロンであってもよく、又は約5ミクロンであってもよく、又は約0.2ミクロン〜約5ミクロンの範囲であってもよく、又は約5ミクロン〜約10ミクロンの範囲であってもよい。このフィルタの厚さは、約6ミリ〜約12ミリの範囲であってもよい。或いは、このフィルタの厚さは、約1ミリ〜約6ミリであってもよい。細孔サイズは、バルーン感度に関連する。例えば、5ミクロンの細孔サイズのフィルタは、約5mmHg〜約20mmHgに膨張させられるバルーンに適切であってもよく、圧力差を感知する能力が0.01mmHgの分解能範囲となる。圧力バルーンを介して測定される圧力の感度がより低くてもよい場合、より小さな細孔のフィルタを使用してもよい。圧力バルーンを介して測定される圧力がより繊細でなければならない場合、より大きな細孔のフィルタを使用してもよい。
図36は、開口3512においてカテーテルシャフトを取り囲み、開口を完全に被覆している配管の形態のフィルタを示している。このフィルタは、任意の好適な接着剤又は熱収縮等のその他の手段を使用して、その端部においてカテーテルシャフトに接着されてもよい。フィルタとカテーテルとの間の封止は、開口3512を介してバルーン3510を出入りする気体がフィルタ3602を通過するように、気体不透過性であることが理想的である。
図37は、フィルタがバルーン内に取り付けられる、より小さなカテーテルシャフトを備えた本発明の他の実施形態である。バルーン内のカテーテルシャフト3704は、バルーン下にないカテーテルシャフト3706に比べて小径である。これにより、追加されたフィルタ3702の大部分が収縮されたバルーンの直径を増加させることを防ぐ。
図38は、バルーンが収縮された状態の図37に示す実施形態を示しており、バルーン領域下のカテーテルシャフトの直径が低減されることにより、バルーンカテーテルにおける著しい膨らみを防ぐのが見られる。
図39は、バルーン下におけるフィルタの他の実施形態を示している。本実施形態におけるフィルタ3902は、カテーテルのシャフト全体に亘るものでなく、代わりに接着剤又はその他の好適な手段を介してカテーテルシャフトに接着された平坦又は屈曲片としてのフィルタである。この接着剤は、バルーンの膨張/収縮/圧力測定開口3512に侵入することなく、その縁部全体に亘ってフィルタを封止することが好ましい。
図40は、フィルタの長さがより短いフィルタ4002の他の実施形態を示している。
図41は、フィルタを備えたバルーンカテーテルの他の実施形態を示している。本実施形態において、バルーンカテーテルは、バルーンと流体連通した2つの管腔を有する。フィルタ4102は、開口4104を被覆し、開口4106は被覆されない。本実施形態において、開口4104及び4106は、各々、カテーテルの別体の管腔又は同一の管腔にアクセスしてもよい。これらが別体の管腔にアクセスする実施形態において、バルーンの膨張、収縮、及び圧力測定は、いずれかの管腔を介して実施されてもよい。例えば、圧力測定は、管腔内の液体発生が圧力測定に悪影響を及ぼすまで、開口4106と流体連通した管腔を介して実施されてもよい。この時点において、圧力トランスデューサは、圧力測定が液体の入っていない管腔を通じて実施されてもよいように、開口4104と流体連通した管腔に切り替えられてもよい。
或いは、圧力測定は、管腔内の液体の発生が圧力測定に悪影響を及ぼすまで、開口4106と流体連通した管腔を介して実施されてもよい。この時点において、管腔から流体を取り除くために、開口4106と流体連通した管腔内に気体が導入されてもよい。同時に、この気体は、開口4104と連通した管腔を介してバルーンから引き出されてもよい。このようにして、開口4106と連通した管腔から液体を取り除くことができ、その管腔を通じて圧力測定を再開してもよい。このライン清浄手順は、周期的に発生するようにプログラム可能である。
図41は、フィルタ4104が開口のうちの一方のみを被覆した状態における、カテーテルの異なる側の2つのバルーン開口4102及び4106を示している。或いは、図42は、2つの開口4204及び4206が隣同士であってもよく、フィルタ4202が開口のうちの一方のみを被覆する以外は、図41と同様の実施形態を示している。
図43は、フィルタ4302がより大きな開口4304を被覆する本発明の一実施形態を示している。バルーンからより正確な圧力測定を得るには、より大きな開口が望ましいことがある。またフィルタと、場合によってはその接着手段とが開口4304周辺のカテーテル領域に与える過剰な一体性のために、フィルタ4304の追加によってより大きな開口が可能となることがある。
図44は、フィルタ4402が熱収縮配管セグメント4404を介してカテーテルシャフトに取り付けられる本発明の一実施形態を示している。これにより、カテーテル開口4406を確実に清浄に維持しつつ、フィルタとカテーテルとの間の気密封止を可能にする。
図45は、カテーテルシャフトがバルーン領域下で縮小された図44と同様の一実施形態を示している。これにより、フィルタが取り付けられるカテーテルに膨らみを生じることなく、バルーンを収縮させる。フィルタ4502は、熱収縮配管セグメント4504を介してカテーテルシャフトに取り付けられる。これにより、カテーテル開口を確実に清浄に維持しつつ、フィルタとカテーテルとの間の気密封止を可能にする。
図46は、フィルタ4602が開口においてカテーテルの内部に取り付けられた本発明の一実施形態を示している。
図47は、バルーンが2つのアクセス管腔4702及び4704を有する本発明の一実施形態を示している。本実施形態において、バルーンカテーテルは、バルーンと流体連通した2つの管腔を有する。本実施形態において、開口4702及び4704は、各々、カテーテルの別体の管腔か、又は同一の管腔にアクセスしてもよい。これらが別体の管腔にアクセスする実施形態において、バルーンの膨張、収縮、及び圧力測定は、いずれかの管腔を介して実施されてもよい。例えば、圧力測定は、管腔内の液体の発生が圧力測定に悪影響を及ぼすまで、又は設定された期間まで、開口4702と流体連通する管腔を介して実施されてもよい。この時点において、気体は、管腔から液体を取り除くために開口4702と流体連通した管腔内に導入されてもよい。同時に、開口4704と流体連通した管腔を介してバルーンから気体が引き出されてもよい。この逆も実施可能である。つまり、流体は、開口4704と流体連通した管腔内に導入され、開口4702と流体連通した管腔から取り除かれてもよい。このようにして、開口4702と流体連通した管腔から液体を取り除くことができ、その管腔を介して圧力測定を再開してもよい。このライン清浄手順は、周期的に発生するようにプログラム可能である。開口4702及び4704は、ここでは互いに対抗するように示されているが、これらの開口は、ずらして配置されてもよい。
図48及び図49は、2つの異なる圧力バルーンの設計を示しているが、任意の好適な設計及び/又は形状が使用されてもよい。バルーンは、バルーンの材料に応じて、異なる方法で製造されてもよい。ブロー成型により適した材料もあれば、浸漬成型により適したものもある。例えば、抵抗ヒートシーリング等、他の製造技術を使用してもよい。図48は、ブロー成型されたバルーンの一例を示している。図49は、浸漬成型されたバルーンの一例を示している。
バルーンが製造されてもよい材料のいくつかの例として、ウレタン、ポリウレタン、ポリエチレン、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン、又はその他任意の好適なポリマー、又はその他の材料、又はこれらの材料の任意の組み合わせが含まれる。
バルーンコーティングも利用して、バルーンの流体透過性を低減してもよい。このようなコーティングの例として、ポリ(p−キシレン)ポリマー又はパリレンがある。
いくつかの実施形態において、いかなる水分蒸発も圧力バルーン内に入るのを防ぐことが望ましい。これらの実施形態において、バルーンには、水又は流体に対して不透過性の材料が使用されてもよい。本明細書中で述べるいくつかの材料が好適である。また2軸配向ポリエチレンテレフタレート(BoPET))は、そのブランド名Mylarで呼ばれることが多いが、これが使用されてもよい。また金属化ポリマー又はその他任意の材料が使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、感知型フォーリータイプカテーテルは、空気の充填された管腔(圧力管腔等)における水の液滴又はその他の妨害物の存在を報告した後、その液滴に対処又はこれを解決するように構成される。低体温設定においては特に、空気管腔中の水分が凝結し、障害となる水の液滴を形成し得る。空気の充填された管腔中の水の液滴(又は水の充填された管腔中の気泡)は、水の表面張力のために圧力信号を妨害したり、又は複雑化し得る。従って、本開示の技術のいくつかの実施形態における圧量伝達管腔は、親水性特徴(管腔自体の壁部へのコーティング、又は管腔の長さに亘る親水性ファイバ等)を含み、連続的で中断されない空気流路を維持するために、管腔から水分を逃してもよい。いくつかの実施形態において、吸湿性組成(例えば、シリカゲル)を空気注入ラインに沿って、又は空気注入管腔内に使用して水又は湿気を捕捉してもよい。いくつかの実施形態において、吸湿性組成は、空気注入回路がこの材料の交換サービスを受ける必要がないように、カテーテル内に含まれてもよい。
いくつかの実施形態において、乾燥した空気又は気体を圧力管腔及び/又は圧力バルーン中で使用することにより、水分の蓄積を防いでもよい。
いくつかの実施形態において、疎水性又は親水性のコーティングを圧力管腔及び/又は圧力バルーン中に使用してもよい。
気体含有量
他の実施形態は、膀胱又は尿道の粘膜内層における尿とのインタフェースとして疎水性フィルタ又は膜を使用することにより、尿又は組織の酸素又はその他の気体の相対的な含有量を測定することを備える。
感知型フォーリーカテーテルのいくつかの実施形態において、気体含有組織及び/又は尿又は気体含有量の経時的な変化を測定することが望ましい。関心対象の潜在的気体として、酸素、二酸化炭素、窒素、麻酔に関連の気体、又はその他の気体が含まれる。いくつかの実施形態において、膜は、気体に対して透過性であるものの、液体に対しては不透過性であり、例えば、疎水性膜又はその他の好適な膜を使用してもよい。疎水性膜の細孔サイズは、約5ミクロンであってもよい。或いは、疎水性膜の細孔サイズは、約3ミクロン〜約7ミクロンであってもよい。
図50は、酸素透過膜を備えた感知型フォーリーカテーテルを示している。滞留バルーン5002は、膨張/収縮ポート5010と流体連通している。尿は、開口5004を通じ、カテーテルを通じて、開口5004と流体連通したポート5012から出るように流れる。感圧バルーン5006は、管腔5014と流体連通している。気体透過膜5008は、管腔5016と流体連通したカテーテルの遠位端において開口を被覆している。
図51は、膜5108が感圧バルーン5106と滞留バルーン5102との間にあることを除いて、図50に示したのと同様の酸素透過悪を備えた感知型フォーリーカテーテルを示している。尿のための開口5104は、滞留バルーン5102の遠位にある任意の箇所に配置されてもよい。
図52は、膜5204が気体感知バルーン5202内に組み込まれる感知型フォーリーカテーテルの一実施形態を示している。同図において、気体感知バルーン5202は、感圧バルーン5206の遠位にあるが、他の実施形態について図53に示しており、ここではこのケースが該当しない。気体感知バルーン5202は、シリコーン、ポリマー、又はその他任意の好適な材料で作成されてもよい。
膜の材料は、本明細書の他の実施形態中に記載の疎水性膜の材料と同様であってもよい。この膜は、気体に対して透過性であり、又は特定の気体に対して透過性であるものの、尿等の液体に対しては透過性でない。このように、気体は、膜を通過してカテーテル内に入って、組織及び/又は尿中の気体含有量及び/又は経時的な気体含有量の変化を測定することができる。測定される気体には、酸素、窒素、二酸化炭素、又はその他の気体が含まれる。
カテーテルは、膜が膀胱内又は尿道内のいずれかにくるように、患者に配置されてもよい。ここでは、この膜は、感圧バルーンを備えた感知型フォーリーカテーテル上に示されているが、気体透過膜は、血管又はその他の体腔に設けられるカテーテルを含む、任意の体内設置カテーテル上に配置されてもよい。この膜は、流体、気体、又は身体組織と直接又は関節に接触してもよい。
図54は、酸素又はその他の気体の測定を制御するコントローラを示している。コントローラは、通常、患者の外部にあり、例えば、ポート5016等のポートを介してカテーテルに接続するであろう。コントローラはまた、感知型フォーリーカテーテルの感圧機能又はその他の機能を制御してもよく、又はそれは、別体のコントローラであってもよい。
ここでは、気体測定コントローラ5402を、カテーテル5404及び気体輸送膜5406の表現とともに示している。気体測定コントローラ5402は、空気又は気体の入口5408、空気又はガスの排気口5410、ポンプ5412、酸素又はその他の種別のセンサ5414、及びチェック弁5416を備える。
本実施形態において、ポンプ5412は、配管を通してカテーテル内に少量の空気又はその他の気体を周期的に押し込む。空気は、膜「ウィンドウ」5406を通過し、空気の酸素含有量は、粘膜内層(気体輸送膜が尿道内にある場合)又は尿(気体輸送膜が膀胱内にある場合)の酸素含有量に基づき、変化する。さらに下流側(気体測定コントローラボックス5402の後方)では、空気の酸素パーセンテージが光ファイバ又はその他の種別の酸素センサを使用して測定される。ポンプは、短期間のみ作動し、システム時間中の空気を組織/流体と平衡させてもよい。
チェック弁5416は、システムを通過した空気を、外気又は先の測定時の空気と混合させることを限定するのに役立つ。
測定された酸素又はその他の気体の含有量は、非常に少量であってもよい。測定は、絶対的な気体レベル又は相対的な気体レベルのいずれかを示してもよい。例えば、気体測定コントローラの測定は、患者の症状の変化を示すために、患者の経時的な相対的酸素含有量を示してもよい。
図55は、患者の尿又は組織の気体含有量を測定するために気体測定コントローラがカテーテルといかに相互作用するかを示す概略図である。カテーテル5502は、尿排出管腔5504と、気体測定管腔5506及び5508を備え、これらは気体輸送膜5510と流体連通する。管腔5506は、カテーテルに入る空気又はその他の気体を含有し、管腔5508は、輸送気体が気体輸送膜を通過した後にカテーテルを出る空気又はその他の気体を含有する。流出する気体中の酸素又はその他の気体のレベルを測定し、患者の尿及び/又は組織中の酸素レベル又は酸素レベルの変化を判定する。到来気体測定管腔5506は、周辺空気又はその他のソースに対して開放されてもよく、又はそれは閉鎖システムであり、気体含有量の変化が経時的に容易に判定できるよう、管腔5506及び5508内の気体が連続的に循環するようにしてもよい。換言すると、図54における空気又は気体の入口5408及び空気又は気体の排気口5410は、互いに流体連通してもよい。
到来気体測定管腔5506が周辺に対して開放される場合、ポンプは、気体測定管腔内の気体が膜の表面に亘って平行するのにより長い時間が掛かるように断続的に作動されてもよい。これは、結果として、測定される気体の濃度をより断続的にし、引いては測定の感度を高くすることに繋がる。
このポンプは、システムの開閉を問わず、連続的又は断続的に稼働されてもよいが、結果としては、開放システムモードで断続的に稼働された場合、測定の感度が高くなる。閉鎖システムモードにおいては、システム内で測定される気体が尿、測定される尿、流体、又は組織の気体レベルと平衡するに連れて、傾向がより明らかになってもよい。
本実施形態において、尿管腔及び気体測定管腔は、別体である。しかしながら、気体輸送膜はまた、図56に示される通り、尿管腔と気体測定管腔との間に設けられてもよく、この場合、気体輸送膜5602が尿管腔と流体連通する。
図57A及び図57Bは、気体測定のための付加的構成要素の実施形態を示している。気体測定構成要素5702は、感知型フォーリーカテーテル1000又は任意のフォーリーカテーテルと排尿チューブ1001又は任意の排尿チューブとの間に挿入されてもよい。気体測定構成要素5702は、疎水性フィルタ5704を備え、これは、本明細書の他の箇所に開示の材料で作成されてもよい。気体入口管腔5706及び気体出口管腔5708は、気体を排液システム内の尿と気体連通したフィルタ5704に通過させる。フィルタ5704付近の空気又は気体は、排液システム内の尿中の気体と非常に迅速に平衡される。図57Bは、フィルタ5704に亘る気流の流路を示している。気体出口管腔5708は、1つ又は複数の関連気体について管腔内の気体を解析するコントローラ(ここでは図示せず)と流体連通する。気体入口管腔5706は、周辺又はその他の気体に対して開放されてもよく、又はコントローラ内の気体出口管腔5708と閉鎖ループの状態にあってもよい。コントローラは、本明細書中の他の箇所で述べた、尿量を測定するコントローラと同一であってもよく、又は別体のコントローラであってもよい。管腔5706及び5708は、排液チューブ1001内に組み込まれてもよく、又は別体であってもよい。気体測定構成要素5702は、ここで示す通り、別体の構成要素であってもよく、又は通気口かかり部1016に組み込まれてもよい。或いは、気体測定構成要素5702は、システム内の任意の箇所に配置されてもよい。
特定条件の検出/判定
図58Aは、AKI(前腎、腎因性、及び閉そく性)の異なるインジケータに対するフィンガプリントすなわち特徴的性質(パラメータの組み合わせ)を与えるパラメータの組み合わせを一覧表示するテーブルを示している。またパラメータの変化のタイミングに対するフィンガプリントすなわち特徴的性質があってもよく、これらによってもAKIの原因を判定してもよい(例えば、何等かのパラメータが急性腎尿細管壊死によって生じる腎因性AKIに対して、糸球体腎炎で生じる腎因性AKIでより急速に変化する)。この複数パラメータによるアプローチはまた、AKIの異なる要因には異なる効果的治療がある(例えば、組換アルカリフォスファターゼは腎因性(伝染性)AKIの治療には有効であるものの、非伝染性AKIの治療には有効でない)。
図58Bは、敗血症、AKI、及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の異なるインジケータに対するフィンガプリントすなわち特徴的性質(パラメータの組み合わせ)を与えるパラメータの組み合わせを一覧表示するテーブルを示している。これらの特徴的性質には、尿量、心拍、呼吸数、温度、ストローク量、心拍出量、及び腹部潅流圧を含む、種々の患者のパラメータの増加、減少、又はこれらの双方が含まれる。腹部潅流圧は、平均動脈圧(MAP)から腹腔内圧(IAP)を減算したものである。平均動脈圧は、心臓拡張圧(DP)に脈圧(PP)の1/3を足したものに等しい(脈圧は、収縮期圧から心臓拡張圧を減算したものに等しい)。要するに、MAP=DP+1/3PPである。
その他の患者のパラメータも使用されてもよい。1つ、いくつか、又はすべての関連パラメータをコントロールによって使用することにより、診断及び/又はリスクについてユーザ又はその他の装置に通信してもよい。感知型フォーリーカテーテルシステムによって獲得された患者のパラメータは、単独で使用されてもよく、又はEKG、血圧測定装置、又はEMRからの情報等、他の箇所で得られたパラメータとともに使用されてもよい。
感知型フォーリーカテーテルシステムは、種々の医療条件の早期の検出のために、リアルタイムで自動的且つ精密な生理的パラメータのモニタリングを提供する。早期の敗血症(又はその他の医療条件判定)について高感度の生理的特徴を我々の機械学習駆動モデルに報知するためのこれらの高頻度データストリームのリアルタイムの多変数(点値)及び時期列(傾向)解析が開発されてもよい。これは、早期の診断及び介入を可能にすることにより、臨床的成果を向上するであろう。特定の医療条件の発病前及び/又は発病中に発生する生理的変化に関連したデータに関連の特徴的性質は、人工的神経ネットワークを介した機械学習を使用して連続的に向上され、関連パラメータを強化し、関連度の低いパラメータを弱め、接続を構築又は断絶することができる。これにより、コントローラが、医療条件を互いに区別したり、正常の病理学又はその他の病理学から区別するアルゴリズムを利用できるようにするであろう。
本発明のいくつかの実施形態では、患者に利尿薬が与えられた直後に尿量が測定されてもよい。この種の試験は、AKIを患う患者がより深刻な段階に至り、及び/又は死亡するか否かを示す強いインジケータとなり得る。利尿薬の投与後に患者の尿量が増加した場合、これは、患者がAKIのより深刻な段階への進行の可能性がより少ないことを示している。利尿薬の投与後に患者の尿量が著しく増加しない場合、これは、患者がAKIのより深刻な段階への進行の可能性がより高いことを示している。本発明により、リアルタイムで尿量を迅速かつ正確に測定することができる。従って、利尿薬に対する応答が、従来の尿測定技術よりも迅速に(数時間でなく数分で)検出可能である。
この試験は、制御された投与量の利尿薬を提供するコントローラで自動化可能であり、その後、数分又は数時間にわたって、好ましくは数分のみに亘って、尿量をモニタリングする。与えられる利尿薬は、フロセミド又はその他任意の好適なループ利尿薬又はその他の利尿薬であってもよい。利尿薬は、本明細書に参照として援用するChawla LS,Davison DL、Brasha−Mitchell E、Koyner JL、Arthur JM、Tumlin JA、Shaw AD、Trevino S、Kimmel PL、Seneff MG.Development and standardisation of a furosemide stress test to predict the severity of acute kidney injury.Crit Care.2013Sep20;17(5):R207に開示される通り、与えられたものであってもよく、収集されたデータであってもよい。
AKIの検出に加え、本発明により、酸素圧の低下、二酸化炭素レベル、比重の増加、及び比較的安定的な尿量及びコンダクタンスで示される通り、尿路感染(UTI)を検出することができる。UTIの検出は、UTIの独自のフィンガプリントについて尿マーカを組み合わせることにより、AKIの不存在下において達成可能であり、場合によってはAKIの存在下においても達成可能である。独自のUTIフィンガプリントにより、臨床医にUTIの存在を警告することができる。
前述のパラメータを使用してAKI及びUTIを検出することに加え、これらのパラメータは、腹腔内圧(IAP)、呼吸数(RR)、心拍(HR)、心拍出量(CO)、相対的なストローク量(RSV)、温度(Temp)、脈圧(PP)、尿コンダクタンス(UC)、尿量(UO)、及び/又はストローク量(SV)読み取りと組み合わせて使用されてもよく、これらは、腹腔内高血圧症(IAH)、腹部コンパートメント症候群(ACS)、及び敗血症等の症状を検出するために既に使用されている。本明細書に記述のアルゴリズムにIAP、RR、HR、CO、RSV、Temp、PP、UC、UO、及び/又はSVの測定を加えることにより、AKI又はUTIの検出の感度及び特異性を増加してもよい。他の臨床的適用には、外傷及び火傷の処置が含まれる。一方、本発明で得られた測定をIAP、RR、HR、CO、RSV、Temp、PP、UC、UO、及び/又はSVの測定アルゴリズムに追加することにより、IAH、ACS、又は敗血症の検出の感度及び特異度を上昇させてもよい。
IAP、RR、HR、CO、RSV、Temp、PP、UC、UO、気体濃度及び/又はSVの絶対的測定に加え、これらのパラメータの傾向データを使用して、IAH、ACS、敗血症、又はその他の症状を検出してもよい。例えば、これらのパラメータの値の経時的なスロープ及び/又はこれらのパラメータの値の経時的な変動も使用されてもよい。データ傾向を使用する他の例として、脈圧波形解析と脈拍波形速度(又は脈拍遷移時間)の使用が挙げられる。感知型フォーリーカテーテル及び/又は他の箇所からEKG等の心臓信号を獲得し、及び/又は、脈拍波圧信号が膀胱へと進行する時間を判定することにより、脈拍遷移時間を判定することができる。複数のパラメータ及び/又はパラメータの傾向を使用して、IAH、ACS、敗血症、又はその他の症状の存在を判定してもよい。
傾向データを使用するいくつかの例には、以下が含まれる。
・安定的なバイタル(その他)の設定におけるUOの低下は、急性腎障害を示してもよい。ストローク量が低下していると、腎臓が虚血症であることがある。安定的なバイタルの設定において尿量が急上昇した場合、それは中毒性の急性腎障害を示すことがある。
・ストローク量の低下に合わせた呼吸数の増加は、肺の塞栓症、出血、又はその他の量の喪失を示すことがある。
・安定的なバイタルの設定における呼吸数の増加は、差し迫った気道の詰まりを示すことがある。
・その他のパラメータにおける安定性の設定における呼吸数の低下は、麻酔薬の過剰投与を示すことがある。これは、鎮痛制御された患者にとって大きな問題である。
・安定的なストローク量の設定における腹腔内圧(IAP)の増加と、尿量の増加とは、差し迫った過剰輸液のインジケータであってもよい。
・UOの低下と心拍出量の低下とに伴うIAPの増加は、不十分な心配のインジケータであってもよい。これは、過剰輸液、敗血症等によるものであることがある。
本発明は、種々の病院設定(例えば、緊急治療室、手術室、集中治療室、病棟)において使用可能である。この装置は、任意のときに使用され、AKIの進行と、進行しているのか又は減退しているのかをモニタリングしてもよい。そのアルゴリズムは、臨床医に、AKIの新たな進行状況又はAKIの症状の変化を警告するように作用する。この装置は、AKIの発症を検出するために、腎臓への損傷が発生する前に(例えば、心臓手術を実施している患者について、腎臓への損傷が手術中に開始したか否かを検出する)配置されてもよい。それは、腎臓への負傷が既に存在するとき、その時点での損傷程度を検出するために、実施されてもよい。この装置を使用して、治療/治療介入(例えば、腎代替治療、流体蘇生)への応答をモニタリングしてもよい。
代替の実施形態
本技術の実施形態はまた、発作性疾患の検出又は診断における患者の動きの報告を行ってもよい。本実施形態において、圧力変動は、EEG又は記録装備のトリガとなって、発作であると疑われる発現中、モニタリングの集中期間を行わせてもよい。追加又は代替として、圧力センサ、音響センサ、又はその他のセンサを使用して、蠕動、患者の動き、発作活動、患者の震え、咳き込み頻度、咳き込みの深刻度、睡眠時間、睡眠の質、発話検出、患者の伸展性(動き又はその不足)を含む超活動を検出してもよく、患者が動いておらず、回したり又は転がしたりしなければならないことをヘルスケア提供者に警告してもよい。この動き関連情報はまた、低体温装置、薬剤送達装置、又はその他の装置に中継され、発作の活動、震え、及び/又は咳き込みを制御又は軽減してもよい。
いくつかの実施形態において、感知型フォーリータイプカテーテルは、空気の充填された管腔(圧力管腔等)における水の液滴又はその他の妨害物の存在を報告した後、この液滴に対処又はこれを解決するように構成される。低体温設定においては特に、空気管腔内の水分は、凝結し、障害となる水の液滴を形成し得る。空気を充填した管腔中の水の液滴(又は水を充填した管腔中の気泡)は、水の表面張力のために、圧力信号を妨害したり、又は複雑化し得る。従って、本開示の技術のいくつかの実施形態における圧力伝達管腔は、親水性特徴(管腔自体の壁部へのコーティング、又は管腔の長さに亘る親水性ファイバ等)を含み、連続的で中断されない空気流路を維持するために、管腔から水分を逃してもよい。いくつかの実施形態において、吸湿性組成(例えば、シリカゲル)を空気注入ラインに沿って、又は空気注入管腔内に使用して水又は湿気を捕捉してもよい。いくつかの実施形態において、吸湿性組成は、空気注入回路がこの材料の交換サービスを受ける必要がないように、カテーテル内に含まれてもよい。
本開示の技術のいくつかの実施形態において、以上にさらに詳述した通り、バルーンが最適にプライミングされる一定の状態となるように、空気は、感圧バルーンに対して断続的(且つ自動的)に注入及び抽出されてもよい。管腔内におけるウィキングファイバ又は親水性コーティングの場合、空気の抽出はまた、空気ラインからの水の除去及び捕捉にも貢献してもよい。液体が充填された管腔の例において、圧力管腔の内側における親水性ファイバ又は親水性コーティングは、この管腔によって気泡に対処させる際、同様の利点を提供するであろう。この例において、気泡は信号を変形させることがあるものの、空気と水のインタフェースにおける表面張力は、カテーテルの管腔における親水性コーティングによって和らげられる。
また、液体及び/又は空気が充填された管腔の場合、調整した押し出し及び管腔形状を使用して、妨害物を防いでもよい。例えば、本技術のいくつかの実施形態において、フォーリータイプカテーテルは、断面プロファイルが星形の管腔を有してもよい。このような管腔は、液滴がそれ自体に凝集し、疎水性壁部を押しやる傾向にあるため、通常、水の液滴による妨害物から守られる。この挙動は、断面空間の充填を許容しない傾向にあり、空気流路を水の液滴の周囲で開いたままとしてセンサと連通させる。同一の論理が親水性の星形水管腔における水中の気泡にも適用される。この場合、親水性の液滴は壁部にくっつき、気泡を管腔の中央に除外する連続水カラムを可能にするであろう。同じことが疎水性管腔における疎水性の液体にも当てはまる。いくつかの実施形態において、カテーテルは、空気流路と、カテーテル自体又はセンサに圧力を送り返すことのできる流体管腔内に組み込まれたセンサとを備えてもよい。
排液チューブは、排尿ライン、圧力管腔、及び熱電対のワイヤを備える多管腔チューブであり、一端においてかかり部に接続され、他端においてコントローラに接続される。
フォーリーカテーテルは、BaSO4で押し出されてもよく、又はX線不透過線マーカが取り付けられ、蛍光観察を行えるようにしてもよい。
カテーテルの先端に配置されたサーミスタは、多数の押し出しプロファイルとアセンブリの技術を使用して、定位置に固定されてもよい。
いくつかの実施形態において、感知型フォーリーカテーテルは、いくつかの形態のうちのいずれかを採ってもよい血圧感知要素を備えてもよい。一実施形態において、血圧感知要素は、膀胱又は尿道内の管が均衡となり、血流が停止する圧力を判定するために膨張させられるため、光学的に解析可能な圧力送達バルーン(別体の専用バルーン又は装置滞留バルーン又は感圧バルーンと流体連通したバルーン)を備える。このアプローチは、全身血圧と血管抵抗との双方を反映可能な読み取り等、圧力送達バルーンに当接する組織の潅流圧の読み取りを提供するものである。潅流圧装置の本実施形態を使用して、敗血症、ショック、出血等の種々の急性又は緊急の医療症状の早期の検出又はモニタリングを提供してもよく、またこれは、早期におけるこれらの症状の検出において特に有効とすることができる。敗血症の予測において、本発明の実施形態は、白血球数情報を受信して敗血症の予測を向上することができてもよい。
他の様式を使用して、組織が白化していること、又は虚血症を検出してもよいが、一般的な方法論的態様では、管腔、体腔、又は身体組織内の断続的膨張により、血管系の圧縮を提供するものである。本装置及び関連方法の実施形態を使用して、断続的に膨張可能な部材と血流又は血液の存在の光学的検出とにより、体の他の領域における潅流圧の検出を行ってもよい。
組織内潅流の情報は、カテーテルが定位置にあるとき、センサが尿道壁部と接触するように、カテーテルのシャフト上に配されたセンサによって提供されてもよい。これらの感知技術には、微小透析、ピルビン酸塩、乳酸、pO2、pCO2、pH、潅流指標、近赤外線分光法、レーザドップラ流量計、尿道カプノグラフィ、及び直交偏光分光法が含まれてもよい。これらの試験のうちのいずれかは、尿又は膀胱壁部自体で実施されることにより、組織内潅流の測定を生じてもよい。
感知型フォーリーカテーテルシステムの他の実施形態には、排液ラインの開始付近において正の気流を生じるための装置及び/又はポートを含む清浄機構の一実施形態が含まれる。正の気流により、尿を排液ラインを通じて流すことで、排液を促進する。正の気流装置は、尿を尿採集装置に向かってのみ流れさせて空気がカテーテル内に入るのを防ぐ、尿カテーテルの端部に設けられた一方向弁を備えてもよい。
いくつかの実施形態において、尿清浄機構は、排尿チューブの内側に設けられたコーティングを備え、表面張力を低減し、排液を促進する。一態様において、上記コーティングは、PTFE又はFEPを含むがこれに限定されない疎水性ポリマーである。
さらに他の実施形態において、清浄機構は、空気がその長さ全体に亘って退避させられるように、装置の排液管腔内に挿入可能な円筒形の疎水性通気口フィルタを備える。部分的疎水性通気口は、設定された間隔で組み込まれることにより、空気がこれらの領域を通過する際、チューブから確実に退避させることができる。本実施形態において、疎水性通気口は、最小で1〜2フィートの間隔で互いに間隔を置くことにより、通気口の尿への水没を防ぐであろう。冗長性を与えることにより、複数の通気口/フィルタは、水没によるいずれか1つのフィルタ/通気口の不具合を防ぐ。理想的な構成において、通気口は、PTFE又はePTFEの材料であり、かかり部で固定されるか、又は容易な製造性を得られる間隔でチューブ内にグルメット装着されるであろう。代替の実施形態において、通気口は、排液チューブの長さに及ぶスリット又はスパイラルの形態を採ることにより、任意の地点で空気をチューブから逃すようにする。これにより、エアロックを防止するか、及び/又はこれらを取り除くとき、排液チューブが位置的に依存そることを防ぐ。
代替実施形態において、エアロックは、伸張可能な排液チューブによって防止されるが、これは、チューブの高い部分に空気のポケットが形成されることを防ぎ、尿が低い部分に集まることを防ぐ。伸張可能なチューブは、尿カテーテルと採集袋との間で可能な限り真っ直ぐにチューブを保つことにより、この発生を防ぐ。一態様において、伸張可能な排液チューブは、患者から採集袋までの距離に合うように、伸張又は短縮可能な複数の伸縮式部分からなる。他の態様において、排液チューブには、プリーツが設けられてアコーディオンを形成するが、これらは、必要に応じて伸張可能であるか、押し潰し可能であるか、又は変形可能である。さらに他の態様において、チューブは、コイル化される。さらに他の態様において、排液チューブは、ホイール周辺に配管を巻くばねコイルによって格納可能であり、適切な長さを達成する。
相対的な心拍出量及び相対的な一回換気量はまた、圧力センサ及び/又はその他のフォースゲージの偏向に基づいて計算されてもよい。十分な周波数(例えば、1Hz以上)でサンプリングされる場合、呼吸偏位は、カテーテル配置の時点の偏位の振幅に対して相対的に定量化可能である。通常、偏移が大きいほど、より深い呼吸に関連し、又はベースラインにおける上方へのドリフトの設定においては、より高い腹膜圧力に関連する。心臓ポンピングによって生じた振動呼吸波の小さなピークは、より高いサンプリング率(例えば、5Hz以上)を使用して追跡されてもよく、この波の振幅を相対的に一定の腹膜圧力の設定において使用し、相対的な心拍出量と、既知の安定的腹膜圧力の設定においては絶対的なストローク量及び/又は心拍出量を判定してもよい。
本開示の技術の一実施形態によって感知される腹腔内圧又は膀胱圧力を使用して、患者の動きのレベル(例えば、実質的に動きがない状態とハイレベルの動きとの間で変動することがある)を判定し、動きのレベルをヘルスケア提供者に報告してもよい。膀胱圧力活動の山と谷の短いバーストは、膀胱圧力プロファイルが例えば患者が起き上がったりベッドから出たりするために腹部の筋肉を使用していることを示す強いインジケータとなるように、体の動きと近似としての役割を果たし得る。本実施形態は、転落のリスクがある患者にとって特に有益であってもよい。転落リスクのある患者においては、ヘルスケアの提供者は、患者が起き上がっていることを報知され、これに対応してもよい。或いは、この装置を使用して、患者の活動がないこと及び/又は患者の動きが不足していることを報告してもよい。
パルスオキシメトリ要素は、血液の酸素濃度又は飽和度を判定できるようにし、カテーテルの尿道の長さに沿った任意の箇所に配されてもよい。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のセンサは、装置の配管内に配され、尿道粘膜に確実に近似するようにしてもよい。ヘルスケアの提供者は、この技術により、尿カテーテルを付けた膀胱の圧力低下をすることが可能であり、反復的且つ正確にパルスオキシメトリデータを得ることができる。パルスオキシメトリの動力源は、尿採集レセプタクル又はカテーテル自体に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態において、脈拍酸素濃度計は再利用が可能であり、カテーテルインタフェースは廃棄可能である。この配置においては、脈拍酸素濃度計は、廃棄可能なカテーテルに対してリバーシブルに取り付けられ、酸素測定がこれ以上望まれないときに除去される。感知型フォーリーカテーテルの実施形態には、光ファイバケーブル、透明窓、再利用可能な酸素濃度計とのインタフェース等、酸素測定信号の光学的に透明又は十分に透明な流路が含まれてもよい。尿道パルスオキシメトリのための方法及び装置は、本明細書に詳述の他の実施形態のいずれかとともに使用されてもよく、又はスタンドアロン装置であってもよい。
抗菌コーティング又は抗菌化合物の埋め込まれた材料を感知型フォーリーカテーテル上に使用して感染を防いでよい。抗菌コーティング/材料の例として、銀、クエン酸銀、パリレン、又はその他任意の好適な材料が挙げられる。
心臓不調の存在又はリスクの査定支援において、感知型フォーリーカテーテルにより、肺血流量変動も判定されてもよい。左心室機能を低下させることにより、肺血流量(PBV)の増加を招くか、又は肺血流量変動の減少を招き得る。PBV変動は、心臓周期中の経時的なPBVの変化として規定される。PBVは、心拍出量と肺の遷移時間(PTT)との積として判定することができる。心拍出量は、ストローク量及び心拍の積として判定することができ、ここにおいてストローク量は、心臓の1つの周期における流動−時間曲線下の面積である。脈拍遷移時間は、EKGにおけるQRS群と膀胱内の信号出現との間の遅延を見ることによって得られてもよい。EKG信号は、別体のEKGリード、感知型フォーリーカテーテルに組み込まれたリード、カテーテル挿入キット内に組み込まれたリード、又はその他の箇所から得られてもよい。EKGはまた、尿中、システム内の任意の箇所からのEKG信号を読み取ることができてもよい。2つのリードを使用して、脈拍遷移時間をより正確に判定してもよい。
ストローク量、駆出率、及びPBV変動が心筋梗塞後に低減することと、最大の変化はPBVの変動において見られることが分かった。従って、PBV変動を判定し、PBV変動の減少を特定することは、心臓の不調又は心臓の不調のリスクを強く示すことがある。
感知型フォーリーカテーテルシステムによって収集されたデータは、データベースに記憶されてもよく、トレンド分析又はその他の用途のために解析されてもよい。例えば、データは、数名の患者から収集され未来の患者の挙動をよりよく取り扱い、モニタリングし、又は予測すべく匿名で使用されるように統合されてもよい。例えば、心拍、呼吸数、温度、感染等に関連して経時的に収集されたデータは、コントローラによって統合及び解析されて、種々のパラメータと結果との間の関係等の傾向を見出してもよい。例えば、温度のみ又は他のパラメータとの組み合わせにおける特定の傾向が、感染、敗血症、ARDS、及び/又はAKIの予測因子となってもよい。図58は、いくつかの既知の例を示しているが、他の現在未知である経口も統合された患者データから持ち上がってもよい。
感知型フォーリーカテーテルシステムによって収集されたデータは、電子健康レコード(EHR)又は電子医療記録(EMR)及び/又はその他のシステムと一体化されてもよい。感知型フォーリーカテーテルシステムのコントローラによって収集されたデータは、EMR/EHRシステムと直接又は間接のインタフェースを取ってもよい。EMR/EHRからの患者の人口動態又は医療履歴データ等のデータはまた、感知型フォーリーカテーテルシステムと一体化されてもよい。
データ処理システムの例
図60は、データ処理システムのブロック図であり、本発明の任意の実施形態とともに使用されてもよい。例えば、システム6000は
本明細書のいくつかの実施形態において示されるコントローラの一部として使用されてもよい。なお図60は、コンピュータシステムの種々の構成要素を示しているが、これは構成要素を組み込む任意の特定のアーキテクチャ又は方法を表すことを意図するものでなく、このような詳細については本発明と密接に関係するものでない。より少ない構成要素を有するか、恐らくはより多くの構成要素を有するネットワークコンピュータ、携帯コンピュータ、モバイル装置、タブレット、携帯電話、及びその他のデータ処理システムを本発明とともに使用してもよいことも理解されるであろう。
図60に示される通り、コンピュータシステム6000は、データ処理システムの形態であるが、1つ以上のマイクロプロセッサ6003と、ROM6007、揮発性RAM6005、及び非揮発性メモリ6006に連結されるバス又は相互接続6002を備える。マイクロプロセッサ6003は、キャッシュメモリ6004と連結される。バス6002は、これらの構成要素をともに相互接続し、またはこれらの構成要素6003、6007、6005、及び6006を表示コントローラ及び表示装置6008と、当分野で周知のマウス、キーボード、モデム、ネットワークインタフェース、プリンタ、及びその他の装置であってもよい入力/出力(I/O)装置6010に相互接続する。
通常、入力/出力装置6010は、入力/出力コントローラ6009を通じてシステムに連結される。揮発性RAM6005は、通常、メモリ内のデータをリフレッシュ又は維持するために、連続的に動力を必要とする動的RAM(DRAM)として実装される。不揮発性メモリ6006は、通常、システムから動力が除かれた後であってもデータを維持する磁気ハードウェア、磁気光学ドライブ、光学ドライブ、又はDVD RAM又はその他の種別のメモリシステムである。通常、不揮発性メモリ、ランダムアクセスメモリであろうが、必ずしもその必要はない。
図60は、不揮発性メモリがデータ処理システムにおける残りの構成要素に直接連結された局所装置であることを示しているが、本発明は、モデム又はイーサネットインタフェース等のネットワークインタフェースを通じてデータ処理システムに連結されたネットワーク記憶装置等、システムから遠隔に設けられる不揮発性メモリを利用してもよい。バス6002は、当分野で周知の通り、種々のブリッジ、コントローラ、及び/又はアダプタを通じて互いに接続された1つ以上のバスを含んでもよい。一実施形態において、I/Oコントローラ6009は、USB周辺機器を制御するためのUSB(Universal Serial Bus)を含む。或いは、I/Oコントローラ6009は、FireWire装置を制御するためのFireWireアダプタとしても知られているIEEE−1394アダプタを含んでもよい。
詳細の記述に先立ついくつかの部分を、コンピュータメモリ内のデータビットに対する動作のアルゴリズム及び記号表現という点で示してきた。これらのアルゴリズム記述及び表現は、データ処理における当業者が当分野の他者に自らの作業の主題を最も効果的に伝達するために使用される方法である。アルゴリズムは、ここでは、また通常、所望の結果をもたらす一貫した動作シーケンスとして考えられる。この動作は、物理的量の物理的操作を必要とするものである。
しかしながらこれらの点及び同様の点のすべては適切な物理的量と関連付けられなければならず、またこれらの量に付与される単なる簡便なラベルであることを念頭に置いておかなければならない。以上の検討から明らかである通り、特段の指摘のない限り、説明全体を通じて、以下のクレームに記載の用語を利用した検討は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子的)量として表されたデータを、コンユータシステムメモリ又はレジスタ、又は他のこのような情報の記憶、送信、又は表示を行うシステム内の物理的量として同様に表された他のデータに操作及び変換するコンピュータシステム又は同様の電子演算装置の動作及びプロセスをいうものであることが理解される。
図面に示される技術は、1つ以上の電子装置上で記憶及び実行されるコード及びデータを使用して実装可能である。このような電子装置は、持続性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体等のコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、磁気ディスク、光学ディスク、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ装置、位相変化メモリ)及び非持続性のコンピュータ読み取り可能な送信媒体(例えば、電気、光学、音響、又は輸送波、赤外信号、デジタル信号等のその他の形態の伝搬信号)を使用して、コード及びデータを記憶及び(内部的に及び/又はネットワークを通じて他の電子装置と)通信する。
先行の図面に描かれたプロセッサ又は方法は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理等)、ファームウェア、ソフトウェア(例えば、持続性コンピュータ読み取り可能媒体上に実装される)、又はこれら双方の組み合わせを含む処理論理によって実施されてもよい。プロセス又は方法をいくつかのシーケンス動作という点で前述したが、説明した動作のうちの一部が異なる順に実施されてもよいことを理解しなければならない。さらに、いくつかの動作は順次行われるのでなく、並行して行われてもよい。
特段の規定のない限り、本明細書において使用したすべての技術的用語は、医療分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有している。特定の方法、装置、及び材料について本願で説明したが、本明細書に記載のものと同様又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実践において使用することができる。本発明の実施形態についてある程度詳細に且つ例として説明したが、このような例は明確な理解のみを目的とするものであり、限定を意図するものでない。本発明の理解を促すため、説明中では種々の用語を使用した。これらの種々の用語の意味は、これらの一般的な言語的又は文法的活用に及ぶことを理解するであろう。さらに技術の理解を促すためにいくつかの論理的思考について前述したが、本発明の添付クレームは、このような論理に拘束されるものでない。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の任意の実施形態の任意の1つ以上の特徴を本発明の他の任意の実施形態の他の任意の1つ以上の特徴と組み合わせることができる。さらに、本発明は、例示の目的で記載した実施形態に限定されるものでなく、本特許出願に添付のクレームを公正に読み取ることによってのみ規定されなければならず、その各要素に与えられたのと同等物の完全な範囲が包含される。
感知型フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態には、UV光又は適切な波長の光を使用して、採集チャンバ自体又はシステムの他の構成要素を殺菌することが含まれる。UV光源は、採集チャンバの壁部を通じてUV光を方向付けてもよく、或いは、UV光源が採集チャンバ内に配置されてもよい。UV光源を使用して、チャンバが空であるとき、又は充填されているとき、又は部分的に充填されているときに採取チャンバを殺菌してもよい。UV殺菌プロセスは、連続的又は断続的に発生してもよい。UV光源は、感知型フォーリーカテーテルシステムの任意の箇所に配置されてもよい。
分光法−分光測光法
感知型フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態には、約520nm〜約650nmの範囲内の光の波長を使用してバクテリア、赤血球、及び/又は血漿/白血球を特定することが含まれる。図61の楕円内の領域を参照のこと。
感知型フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態には、感染を特定するためのPO2の減少及び/又はCO2の増加の特定との組み合わせにおいて、白血球及びバクテリアを特定するための分光測光法を組み合わせることが含まれる。
感知型フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態には、利尿薬の投与の直後に尿量増加を補償するための尿量データをフィルタリングするコントローラが含まれる。尿量は、通常、利尿薬の投与直後に増加する。しかしながら、場合によっては、利尿薬の投与に関連した尿量データの増加を基本的には無視することが好都合となる。感知型フォーリーカテーテルシステムのコントローラは、利尿薬の投与に関連付けられた尿量曲線の形状を特定し、この増加に関連付けられたデータを減算及び/又は無視することにより、利尿薬の投与に関連付けられた尿量データを自動的に無視することができる。曲線形状の特定は、傾斜、増加の長さ、増加の振幅、形状等によって実施されてもよい。利尿薬によって誘発された尿量のデータを減算することは、AKIの発病の判定又は予測に好都合であることがある。図62を参照のこと。例えば、尿量が約2,000ml/時間(ピーク)を超えて上昇する場合、コントローラは、これを利尿薬が投与された状況として特定してもよい。
利尿薬の投与によって生じた尿量の増加は、排尿チューブ及び/又はフォーリーカテーテルの締め付け又はその他の閉塞によって生じた尿量の増加とは異なり得る。排液管腔が締め付けられた状況においては、増加前の尿量が基本的にゼロか、又は5ml/時間未満等、非常に少ないであろう。一方で利尿薬が投与された状況においては、利尿薬投与直前の尿量は非常に少ないこともあるが、ゼロより多いこと可能性が高く、例えば、約5ml/時間を上回るであろう。また排液管腔が締め付けられた状況においては、排液管腔の締め付けを解放した後の尿量の増加は、比較的短期に及ぶこととなり、例えば、約30秒〜約5分となるであろう。一方、利尿薬が投与された状況においては、尿量の増加はより長期に及ぶこととなり、例えば、約30分〜約2時間となるであろう。また排液管腔が締め付けられた状況においては、排液管腔の締め付けを解除した後の尿量が約1000ml未満となる可能性が高いであろう。一方、利尿薬が投与された状況においては、利尿薬の投与後の尿量は、約1000mlを上回る可能性が高いであろう。これらの因子のいずれか又はすべてをコントローラによって使用することにより、いつ利尿薬が投与されたかを判定する尿量経時曲線を解析し、利尿薬に起因する尿量増加をユーザに対して示された尿量から減算してもよい。
このように、コントローラは、いつ利尿薬が投与されたかを自動判定してもよい。或いは、コントローラのユーザインタフェースは、利尿薬が投与されたことを示すボタン又はその他のユーザ入力装置(タッチスクリーン、音声コントロール等)を備えてもよい。そしてコントローラは、尿量の増加を探し、利尿薬に起因する尿量の増加をユーザに対して示された尿量データから減算するであろう。
感知型フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態には、腹部潅流圧(APP)を判定するコントローラが含まれる。APPは、平均動脈圧と腹腔内圧(IAP)の差として規定される。平均動脈圧は、従来の方法で判定し、コントローラによるIAPの判定と組み合わせられて、APPを判定することができる。コントローラはさらに、流体及び/又は昇圧薬/昇圧剤を自動変更して血圧を昇降させてもよい。
フィルタ/通気口の濡れ防止
感知型フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態には、1つ以上の通気口及び/又はフィルタが含まれ、フォーリーカテーテル内に負圧が構築されるのを防ぎ、膀胱に吸引による外傷を引き起こすことを防ぐ。フィルタ/通気口は、フォーリーカテーテルと排液チューブとの接合部、又は後述の通り、採集管内部、排液チューブ又はフォーリーカテーテル自体の管腔内等他の箇所に配置されてもよい。
いくつかの実施形態におけるフィルタ/通気口は、流体をはじくように、すなわち疎水性材料から設計される。しかしながらフィルタ/通気口は、疎水性材料の使用にも関わらず、依然として流体、特に尿によって濡らされやすい。いくつかの実施形態には、より大きな管腔、又は管腔領域が含まれ、ここにフィルタ/通気口が配置されることにより、流体の表面張力によって流体が管腔を充填する可能性を低減する。図63Aは、より小径の管腔を示しており、図63Bは、通気口/フィルタ領域におけるより大径の管腔を示している。なお通気口/フィルタ6304が上方又は外側を向いているとき、より小径の管腔によっても依然としてフィルタ/通気口を流体6202で濡らしてしまい、ここではより大径の管腔がフィルタ/通気口の濡れの可能性を低減することがある。
フィルタ/通気口がフォーリーカテーテルと排液チューブとの接合点又はその付近に配置される実施形態において、フィルタ/通気口の下方又はその付近の領域は、患者の脚部にテープで留められて、一旦定位置に納められるとフォーリーカテーテルを安定化させてもよい。より大きな管腔チューブにより、特に通気口/フィルタが脚部から離れるように配向され、患者から離れるように配向された場合、この状況でフィルタ/通気口が濡れるのを防ぐのを助ける。いくつかの実施形態において、通気口かかり部は、かかり部又はかかり領域が患者の脚部にテープで留められたとき、通気口/フィルタが外側を向くように設計されてもよい。例えば、かかり部は、図64に示される通り、湾曲していてもよく、又は湾曲したベースに取り付けられてもよく、患者の脚部6402により良く取り付けられて配向されるようにしてもよい。
いくつかの実施形態において、かかり領域は、例えば6〜12インチの間で伸張してもよく、通気口/フィルタがさらに患者から離れて配置されるようにすることで、通気口/フィルタが濡れを防ぐ位置及び方法で容易に配置されるようにしてもよい。
いくつかの実施形態において、通気口/フィルタは、かかり部内又は他の箇所において排出管腔の直径付近の複数の位置に配置されてもよい。或いは、通気口は、管腔の周囲の全部又は大部分を取り囲んでもよい。これらの実施形態において、カフ又はその他の構造を強化することにより、通気口を包囲して管腔への構造的一体性を付与する。フィルタ/通気口は、排液チューブの長さに沿って配置されてもよい。
図65に示される実施形態もまた、通気口/フィルタの濡れを防ぐであろう。本実施形態には、かかり領域6506付近で排液管腔6504に接続する内側管腔を備えた通気口チューブ6502を備え、通気口チューブに沿って、及び/又は、他端付近において、1つ以上のフィルタ/通気口6508を介して大気又はその他の空気/気体/流体とに入れ替えられる。フィルタ/通気口は、図65に示される通り、採集管内に設けられてもよく、又は採集管からの遠隔箇所等の他の箇所に設けられてもよい。
通気口管腔は、排尿管腔に沿った部分か又は排尿管腔内のいずれかにおいて、排液管腔に組み込まれてもよい。或いは、通気口管腔は、排液管腔とは別体であり、例えば、かかり領域6506付近等、通気口チューブ/排液チューブの接合部において排液管腔と接続されてもよい。
図66に示される実施形態は、排尿管腔6604及びポンプ6606と流体連通した内側管腔を有する陽圧通気口チューブ6602を備えた感知型フォーリーカテーテルシステムを示している。陽圧通気口チューブは、その長さに沿って、直列に、又はその他の任意の箇所にフィルタ6612を備えてもよい。陽圧通気口チューブは、チューブのいずれかの端部において、チューブに沿ったいずれかの箇所において通気口を備えてもよく、又は複数の通気口を備えてもよい。
ポンプは排尿管腔上に負圧を引き出し、陽圧を大気にポンピングする代わりに、陽圧は陽圧チューブを介して排尿管腔内にポンピングして戻される。或いは、負圧及び陽圧について異なるポンプが使用されてもよい。このように、正確な負圧又は陽圧を排尿管腔と陽圧通気口チューブの接合部6608で制御することができる。接合部6608における圧力は、わずかに負圧であるか又は中立であり、流体の流れがフォーリーカテーテル内に戻ることを防ぐ。例えば、接合部における圧力は、約0mmHgに維持されてもよい。或いは、接合部における圧力は、約−2mmHgに維持されてもよい。選択的なレギュレータ6610が大きさ、タイミング等、陽圧に対して負圧を制御してもよい。例えば、レギュレータ(これはコントローラによって制御される)は、まず負圧が排尿ライン上に引かれ、設定された時間ほど後に、又は特定の負圧が達成されたとき、陽圧が陽圧チューブに付与され、最終的に陽圧チューブ/排液チューブの接合部に付与されるように僅かな遅延を実施してもよい。これにより、陽圧チューブ/排液チューブの接合的における正味の圧力が陽圧となることを防ぎ、尿を膀胱から出す代わりに膀胱に流入させることを防ぐであろう。選択的なレギュレータは、特定の寸法(抵抗を上げるためには、より表面積の小さくより密度の高いフィルタ材料を使用し、抵抗を下げるためには、より表面積の大きくより緩いフィルタ材料を使用する)の通気口の形態であってもよい。陽圧通気口チューブは、クラック圧力の設定されたアンブレラバルブ等の弁を介して排尿管腔に接続してもよい。
或いは、陽圧チューブは、圧縮殺菌流体/気体/空気によって押圧されてもよい。
また膀胱に付与される負圧を精密に制御することにより、膀胱の正常な充填及び排出を複製することを可能にする。例えば、膀胱が正常に充填されるように、中立又はゼロの圧力が維持されるか、又はわずかな陽圧が一定期間フォーリーのベースにおいて維持されてもよい。その後、設定された期間の後、又は特定の圧力(すなわち、フォーリーカテーテルのベースに中立の圧力を維持するのに必要な圧力)に達した後、この圧力を降下させて、膀胱を空にしたり、又は排出が行われるようにする。このプロセスは、このプロセスを反復して膀胱を正常に充填し、空にすることを模倣するように圧力レギュレータを制御するコントローラによって制御可能である。
いくつかの実施形態において、弁をフォーリーカテーテルのベースに使用することにより、膀胱に付与される圧力(負圧又は陽圧)を含む、その領域の圧力をより良く制御できるようにしてもよい。
なお陽圧チューブの実施形態は、本明細書に示すものとは異なるフィルタ/通気口構成を備えたものを含む、感知型フォーリーカテーテルシステムの実施形態のいずれかとともに使用されてもよい。またエアロック防止の実施形態のいずれかを、レギュレータ、すなわち非感知型フォーリーカテーテル又はその他のカテーテル又は排液チューブとともに使用してもよい。
図67〜図86は、図66のかかり領域Xの拡大図であり、この領域の異なる実施形態の例を示している。
図67に示される実施形態において、クラック圧力の設定されたアンブレラバルブ等の弁6702は、陽圧通気口チューブ6602の管腔と排尿管腔6604との間に示されている。この弁は、一方向弁であってもよい。通気口6704は、陽圧通気口チューブと大気との間に示されている。通気口のみ又は弁のみが存在する構成が存在してもよい。開口6706は、排尿管腔6604及びチャンバ6714と流体連通している(弁6702は、周期的にチャンバへの流体連通を断絶する)。チャンバ6714は、陽圧通気口チューブ6602の管腔と流体連通している。陽圧は、周期的又は連続的に、陽圧管腔6702を通じて付与され、及び/又は、負圧は、排尿管腔6604に付与される。弁6702のクラック圧力が過剰であるとき、流体、好ましくは気体が弁6702を通じて、開口6706を通じて、且つ排尿管腔6604の管腔を通じて流れる。これは、エアロック又は任意の妨害物のラインを清浄することと、チャンバ6714を任意の流体から清浄することとの双方として機能し、通気口6704が濡れる可能性を低減する。それはまた、通気口6704が濡れた場合にこれを清浄するように機能する。弁6702のクラック圧力とは、陽圧管腔6702と排尿管腔6604との間の圧力差分をいう。排尿管腔における圧力がクラック圧力ほど陽圧管腔における圧力を下回った場合、弁が開放して、陽圧管腔からチャンバを通り、開口6706を通り、且つ排液管腔を通って流体を流す。例えば、クラック圧力は、約1mmHg未満であってもよい。或いは、クラック圧力は、約2mmHg未満であってもよい。或いは、クラック圧力は、約3mmHg未満であってもよい。或いは、クラック圧力は、約4mmHg未満であってもよい。或いは、クラック圧力は、約5mmHg未満であってもよい。或いは、クラック圧力は、約10mmHg未満であってもよい。
排尿管腔における圧力は、周期的又は継続的に約−5mmHgであってもよい。或いは、排尿管腔における圧力は、周期的又は継続的に約−7mmHgであってもよい。或いは、排尿管腔における圧力は、周期的又は継続的に約−10mmHgであってもよい。或いは、排尿管腔における圧力は、周期的又は継続的に約−15mmHgであってもよい。或いは、排尿管腔における圧力は、周期的又は継続的に約−20mmHgであってもよい。或いは、排尿管腔における圧力は、周期的又は継続的に約−25mmHgであってもよい。或いは、排尿管腔における圧力は、周期的又は継続的に約−30mmHgであってもよい。
陽圧管腔における陽圧は、周期的又は継続的に、約5mmHgであってもよい。或いは、陽圧管腔における陽圧は、周期的又は継続的に約7mmHgであってもよい。或いは、陽圧管腔における陽圧は、周期的又は継続的に約10mmHgであってもよい。或いは、陽圧管腔における陽圧は、周期的又は継続的に約15mmHgであってもよい。或いは、陽圧管腔における陽圧は、周期的又は継続的に約20mmHgであってもよい。或いは、陽圧管腔における陽圧は、周期的又は継続的に約25mmHgであってもよい。或いは、陽圧管腔における陽圧は、周期的又は継続的に約30mmHgであってもよい。
通気口は追加又は代替として、陽圧通気口チューブに沿った他の箇所、例えば、ポンプ付近又は圧力レギュレータの一部として存在してもよい。第2の通気口/弁アセンブリ6708が図67のかかり部上に示されているが、この第2の通気口/弁アセンブリは、存在してもしなくてもよい。選択的なサーミスタ6710及び選択的な圧力管腔6712も示されている。或いは、陽圧通気口チューブが大気圧に晒されてもよい。
図68は、通気口6802、弁6804、及び空気/気体が通気口から排尿管腔に自在に流れるのに十分な大きさであるものの、液体が通気口に流れるのを防ぐのに十分な小ささである小断面領域6806を含むかかり領域の一実施形態を示している。例えば、狭められた部分6806は、直径が約1mm未満であってもよい。或いは、狭められた部分は、直径が約2mm未満であってもよい。或いは、狭められた部分は、直径が約3mm未満であってもよい。或いは、狭められた部分は、直径が約4mm未満であってもよい。或いは、狭められた部分は、長さが約1mm〜5mmであってもよい。或いは、狭められた部分は、長さが、5mm〜30mmであってもよい。図68に示した実施形態は、陽圧チューブを備えても、又は備えなくてもよいが、陽圧チューブを備えないものとして(すなわち、大気に晒されるものとして)示されている。本実施形態は、この弁を備えても、又は備えなくてもよい。
図69は、通気口6902と、通気口から排尿管腔に空気/気体を自在に流れさせるものの、液体が通気口に流れるのを防ぐのに十分な長さである長い通気口チューブ6904とを備えるかかり領域の一実施形態を示している。例えば、通気口チューブ部分6904は、直径が約1〜10mmであってもよく、長さが約1〜10cmであってもよい。例えば、通気口チューブ部分6904は、長さが約2cmを超えてもよい。或いは、通気口チューブ部分6904は、長さが約4cmを超えてもよい。或いは、通気口チューブ部分6904は、長さが約10cmを超えてもよい。図69に示される実施形態は、陽圧チューブを備えても、又は備えなくてもよいが、陽圧チューブを備えないものとして示されている。本実施形態は、この弁を備えても、又は備えなくてもよい。
図70は、通気口7002と、通気口から排尿管腔に空気/気体を自在に流れさせるものの、液体が通気口に流れるのを防ぐのに十分な蛇行を有する長い蛇行通気口チューブ7004とを含むかかり領域の一実施形態を示している。例えば、通気口チューブ部分7004は、コイルであってもよい。図70に示される実施形態は、陽圧チューブを備えても、又は備えなくてもよいが、陽圧チューブを備えないものとして示されている。本実施形態は、弁を備えても、又は備えなくてもよい。
図71は、通気口7102と、通気口から排尿管腔に空気/気体を自在に流れさせるものの、液体が通気口に流れるのを防ぐのに十分な蛇行を有するコンパクトな蛇行通気口チューブ7104とを含むかかり領域の一実施形態を示している。例えば、通気口チューブ部分7104は、内側管腔内における、バッフル又はメッシュを備えたチューブであってもよい。図71に示される実施形態は、陽圧チューブを備えても、又は備えなくてもよいが、陽圧チューブを備えないものとして示されている。本実施形態は、弁を備えても、又は備えなくてもよい。
図72は、通気口7202と通気口チューブ7204とを含むかかり領域の一実施形態を示している。本実施形態において、通気口チューブは、陽圧チューブ7206と流体連通しており、通気口7202は、陽圧管腔と並べられることにより、陽圧下の流体が通気口を通じて/横切り、開口7208を介して排液管腔内に入る。通気口チューブ7204は、ここではコイル状に示されており、通気口チューブ内への尿の逆流を防ぐのを助けているが、通気口チューブ7204は、真っ直ぐな配管又はかかり領域内に内蔵された管腔を含む、任意の構成であってもよい。通気口7202は、ここでは、通気口チューブ7204と陽圧チューブ7206との接合部付近に示されているが、通気口は、ポンプ/カセット付近又は排液管腔7208への開口付近を含む、陽圧管腔に沿った任意の箇所であってもよい。本実施形態は、弁を備えても、又は備えなくてもよい。
図73A及び73Bは、通気口7302と、通気口から排尿管腔まで空気/気体を自在に流れさせるものの、液体が通気口に流れるのを防ぐのに十分な蛇行を有するコンパクトな蛇行通気口チューブ7304とを含むかかり領域の一実施形態を示している。また通気口チューブ7304の通気口端部は、かかり領域が患者の脚部に固定された後、上方に配向可能となるように、構成可能、折り曲げ可能、又は変形可能であってもよい。通気口チューブの通気口端部を上方に配向することにより、通気口が液体に晒される機会を低減する。例えば、通気チューブ部分7304は、基本的には、平坦化コイルであってもよい。図73に示される実施形態は、陽圧チューブを備えても、又は備えなくてもよいが、陽圧チューブを備えないものとして示されている。本実施形態は、弁7306を備えても、又は備えなくてもよい。
図74は、複数の通気口7402と、選択的な弁7404とを含むかかり領域の一実施形態を示している。複数の通気口は、すべての通気口が尿で濡れてしまう機会を低減する。複数の通気口は、線、円形等を含む任意の好適な構成であってもよい。複数の通気口は、かかり部の一方側に設けられてもよく、又はかかり部を部分的又は完全に取り囲んでもよい。例えば、2個の通気口が含まれてもよく、又は例えば、3個の通気口が含まれてもよく、又は例えば、4個の通気口が含まれてもよく、又は例えば、5個の通気口が含まれてもよく、又は例えば、6個の通気口が含まれてもよく、又は例えば、7個の通気口が含まれてもよく、又は例えば、8個の通気口が含まれてもよく、又は例えば、9個の通気口が含まれてもよく、又は例えば、10個の通気口が含まれてもよい。図74に示された実施形態は、陽圧チューブを備えても、又は備えなくてもよいが、陽圧チューブを備えないものとして示されている。本実施形態は、弁を備えても、又は備えなくてもよい。
図75Aは、通気口上で中継を行わないものの、依然として1つ以上の通気口を備えてもよいかかり領域の一実施形態を示している。本実施形態において、陽圧チューブ7502は、開口7504を介して排尿管腔と流体連通している。また弁は、好ましくは感圧弁7506であり、開口7504と排液カテーテルとの間に設けられ、開口7510を介して陽圧源と流体連通している。弁7506は、環状バルーン(図75Bにも示される)等、膨張可能な弁として図75Aに描かれている。弁7506は、陽圧チューブ7502に接続される同一の圧力源又は別体の圧力源を介して膨張させられてもよい。弁7506は、本明細書において示される通り、陽圧チューブ7502の管腔と流体連通してもよく、又は別体の陽圧管腔を介して膨張させられてもよい。
本実施形態において、弁7506は、陽圧が陽圧チューブ7502を介して排液管腔に周期的に付与されるときに閉鎖する。弁を閉鎖することにより、空気又は陽圧が膀胱に達するのを防ぎ、正に押圧された流体(気体又は液体)に排液管腔を浄化させる。陽圧チューブ内の陽圧を低下させるとき、弁が開放され、膀胱からの尿の排出が再び許容される。わずかな陽圧が陽圧チューブ内に維持されることにより、排尿ライン内の負圧を相殺してもよい。エアロックのラインを清浄するのにより高い圧力が必要とされる場合、弁7506は、より高い圧力が一気に流れる間、閉鎖される。
図76は、図75に示されるのと同様の実施形態を示しているが、本実施形態において、弁7602は、受動機械的弁である。弁7602は、正常では平坦又は開放位置にある。陽圧チューブ内の陽圧が排液管腔内のいずれの負圧よりも高くなると、流体/陽圧が患者のフォーリーカテーテル/膀胱に移らないように、弁が自動閉鎖する。
或いは、ベンチュリを利用して、車両の気化器と同様に、かかり領域に向かって発散される負圧又は陽圧を制御してもよい。
図77A及び図77Bは、よりアクティブな弁システムを使用する他の実施形態を示している。本実施形態は、吸引チャンバ7702、柔軟性部分7704、患者側弁7706、排液側弁7708、排液管腔入口7710、及び圧力ライン7712、7714、7716、7718を備える。
患者側弁7706及び排液側弁7708は双方ともに、受動又は開放位置において、開放する。すなわち、バルーン/膀胱が膨張されず、尿が排液カテーテルからかかり部の排液管腔7720を通じて、且つ排液管腔7722を通じて自在に通過してもよいようにする。柔軟性部分7704は、開放位置において、中立位置にある。エアロック等の閉塞の事象の発生時、又は閉塞を防ぐために周期的に、圧力ライン7718を通じて加圧流体(気体又は液体)等、圧力を付与することにより排液側弁7708を閉鎖する。柔軟性部分7704は、圧力ライン7716を通じて負圧を付与することにより圧伸される。圧力ライン7714は、中立のままか、又は閉鎖されたままとされる。圧力ライン7712は、中立のままか、又は閉鎖されたままか、又は負の状態のままとされ、弁7706を完全に収縮させる。この構成は、排液ライン7724への流体の流れを閉鎖しつつ、柔軟性部分7704を拡張させることにより、排液カテーテルに負圧を効果的に付与する。本構成は、図77Aに示されている。
図77Aの構成は、短期間のみ、例えば、0.5〜1秒間、又は約1〜3秒、又は約3〜5秒間継続する。そして患者側弁7706は、圧量ライン7712に陽圧を付与することによって閉鎖され、排液側弁は、圧力ライン7716内の圧力を中立まで低減するか、又は負圧を圧力ライン7716に付与することによって開放される。柔軟性部分7704の容積は、圧力ライン7718内の圧力を中立まで上昇させるか、又は陽圧を圧力ライン7718に付与することによって低減される。陽圧は、圧力ライン7714にも付与されてもよい。この構成は、図77Bにも示されている。本構成において、排出管腔7720及び排液ライン7724内の流体は、圧力ライン7714を通じて及び/又は柔軟性部分7704の容積の低減によって付与される陽圧により、流体(気体/液体)で押し流され、排液ラインを通じて尿を効果的に押し流す。システムは、押し流した後、患者側弁7706及び排液側弁7708がともに開放され、柔軟性部分7704が中立位置にある。
図78は、図72に示したのと同様の実施形態を示しているが、陽圧通気口チューブ7802を備え、別体の通気口チューブを備えていない。通気口7804は、陽圧通気口チューブ7802の管腔と流体連通し、これと並ぶ。通気口7804もまた、排尿管腔7808のかかり領域と流体連通し、開口7806によって領域7808に接続される。陽圧下の流体/空気/気体は、通気口7804を横切り、開口7806を通じて、排液管腔と流体連通した領域7808内に入る。換言すると、正の圧力を付与された流体/空気/気体は、フィルタを横切ってかかり部の内部に入る。陽圧チューブ内の通気口7804を通る陽圧と、排液管腔の負圧とを制御することにより、通気口7804が濡れてしまうことを防ぐ。いくつかの実施形態において、排尿管腔7808のかかり領域内の圧力は、約ゼロに近い。通気口7804は、陽圧通気口チューブ7802の長さに沿った任意の箇所にあってもよい。図78に示される実施形態は、フィルタと開口との間に一方向弁を備えても、備えなくてもよい。正の加圧された流体/空気/気体は、継続的、断続的、散発的等に通気口を通過してもよい。正に加圧された流体/空気/気体は、ストリーム又は一吹き又はパルスとして通気口を通過してもよい。
図79は、排尿管腔と流体連通したかかり部内の領域がより大きな容積を有する一実施形態を示している。尿等の流体2902は。排液カテーテルから大きな容器7904内に流れた後、排尿管腔内へと流れる。容器7904は、液体で完全に充填される可能性が高くならないよう十分に大きい。液体の充填されていない容器の容積には、空気又は気体が充填されるであろう。一方向弁7908も存在してもよい。容器7904が内部に常に何等かの空気/気体を有しているため、通気口7906は、容器中の尿/流体とほぼ接触することがないように据え付けられてもよい。換言すると、通気口は、容器内の気泡の側にあってもよい。1を上回る数の通気口が存在し、少なくとも1つの通気口が常に容器内の気泡と流体連通した状態を確実にする。いくつかの実施形態において、容器7904の容積は、排液チューブの内側管腔の容積より大きくてもよい。
図80A及び図80Bは、通気口の面積が非常に大きい一実施形態を示している。ここでは通気口8002は、大きく平坦な円又は円盤として示されているが、通気口は任意の形状及びサイズであってもよい。通気口は、かかり領域の周囲にたわむ等、平坦又は湾曲していてもよい。ここで述べる実施形態は、1つの開口8004と、一方向弁8006とを備えるものとして示されているが、他の実施形態では、1つを上回る数の開口を有してもよく、弁を有しても有さなくてもよい。いくつかの実施形態では、約1cm2を上回るフィルタ面を有してもよい。いくつかの実施形態では、約cm2を上回るフィルタ面を有してもよい。いくつかの実施形態では、約3〜約4cm2のフィルタ面積を有してもよい。或いは、いくつかの実施形態では、約2〜約4cm2のフィルタ表面積を有してもよい。或いは、いくつかの実施形態では、約4〜約6cm2のフィルタ表面積を有してもよい。或いは、いくつかの実施形態では、約6〜約10cm2のフィルタ表面積を有してもよい。
図81は、交換可能な通気口を備えた一実施形態を示している。ここでは交換可能な通気口8102は、陽圧チューブ8104及び一方向弁8106を備えた実施形態中で示されているが、陽圧チューブ及び/又は弁の設けられない実施形態が存在してもよい。交換可能な通気口8102は、ルアーロック、スナップロック、スライドインロック、圧入、又はその他任意の好適な機構等の取付機構を介して存在してもよい。通気口の交換は、周期的に1日に1回、又は通気口がもはや適正に作動しないことをユーザに警告したとき、又は通気口がもはや機能していないことをユーザが報知したときなど、必要に応じて実施されてもよい。通気口は、尿又は尿の構成要素に対する化学的感度を有し、変色して濡れたことを示すものであってもよい。例えば、pH感度の高い、又はその他の化学的又は属性感度用紙を交換可能な通気口に使用してもよく、これは色を変えてユーザに視認できるようにする。交換可能な通気口は廃棄可能であってもよい。
図82A及び図82Bは、フィルタが柔軟性を有する一実施形態を示している。本実施形態において、フィルタ8202は、柔軟性を有するか、又は変形可能であってもよく、すなわち凸状/凹状であってもよく、そのハウジング内で緩められていてもよい。柔軟性フィルタ8202の移動により、フィルタが濡れたか又は汚染された場合にこれを取り除くのを助けてもよい。フィルタの移動は、陽圧チューブ8204を介した陽圧、排尿管腔を介した負圧、弁8206、又は上述のいずれか1つ又はその組み合わせによって制御されてもよい。いくつかの実施形態ではまた、フィルタ8202を攪拌、シェイク、振動、折り曲げ、及び/又は移動する機械的機構を備えてもよい。図82Aは、例えば、排尿管腔内の負圧がフィルタを凹状にする一実施形態の例を示している。図82Bは、陽圧が陽圧チューブ8204を介して通気口に付与された後の同一の例を示している。通気口ハウジング8208内の圧力は、一方向弁のクラック圧力、又は排尿管腔及び陽圧チューブ内の相対的な負圧及び陽圧とによって制御されてもよい。フィルタが柔軟性を有さないものの、同様の方法で通気口ハウジング8208内の圧力を制御することにより、フィルタを乾燥状態に保つ同様の実施形態も存在してよい。
或いは、(柔軟性を有するか、又はその他の)フィルタが、手動又は自動のいずれかで機械的に拭かれるか、又はこすられてもよい。或いは、フィルタは、酵素洗剤等、タンパク質の接着及び/又は増大を行わせない薬剤を含んでもよい。或いは、フィルタは、抗菌剤など、バイオフィルムを生成させない薬剤を含んでもよい。
図83は、複数層のフィルタを備えた一実施形態を示している。異なる細孔サイズのフィルタを積層して使用してもよい。例えば、より荒い細孔フィルタ8304が、精密な細孔フィルタ8302を保護してもよい。荒い細孔フィルタ8304は、流体/尿と精密な細孔フィルタ8302との間に配置されてもよい。この構成において、液体/尿は、より荒いフィルタ8304を通過して、精密なフィルタ8302と接触する必要があるであろう。段階的な細孔サイズを備えるか、同様の細孔サイズを備えるか、又は任意の細孔サイズを備えた2つを上回る数のフィルタをこのように積層することができる。例えば、より精密な細孔フィルタが尿/液体からより遠くなるように、非常に精密な細孔フィルタを積層してもよい。或いは、同一又は異なる細孔サイズの1つ以上のより荒い細孔フィルタが尿/液体と精密な細孔フィルタとの間に配置されてもよい。一方向弁は、存在してもしなくてもよい。より荒い細孔フィルタ8304の細孔サイズは、約10ミクロンであってもよい。或いは、より荒い細孔フィルタ8304の細孔サイズは、約10〜約20ミクロンであってもよい。或いは、より荒い細孔フィルタ8304の細孔サイズは、約10〜約30ミクロンであってもよい。
図84は、陽圧チューブ内の流体によって継続的な陽圧が掛かり領域に掛けられる一実施形態を示している。陽圧チューブは、流体(好ましくは、空気/気体)が継続的に開口8404を通過しているように、略一定の陽圧下にある。かかり部の内部8406において流体に掛けられる陽圧は、流体が排尿カテーテルに逆流することがないように制御される。換言すると、内部8406内の流体に掛けられる負圧は、常に、内部8406の流体に掛けられる陽圧以上である。陽圧は、コントローラで制御されてもよく、及び/又は、開口8404のサイズにより、例えば、開口8404のサイズを非常に小さくすることによって制御されてもよい。例えば、開口8404の直径は、約1mm未満であってもよい。或いは、開口8404の直径は、約2mm未満であってもよい。或いは、開口8404の直径は、約3mm未満であってもよい。或いは、開口8404の直径は、約4mm未満であってもよい。
図85は、アコーディオン形状の通気口を備えた実施形態を示している。本実施形態における通気口8502は、アコーディオン様の形状を有している。通気口は、2方向矢印の方向に圧縮されてもよい。この圧縮により、通気口を詰まり/濡れ等から守ってもよい。圧縮は、手動、自動/機械的、及び/又は、通気口領域内の圧力(負圧及び/又は陽圧)を使用して実施されてもよい。
図86は、単一の通気口と複数の開口とを備えた一実施形態を示している。本実施形態において、1つを上回る数の小さな開口8602が排尿管腔を通気口8604から分離している。小さな開口は、流体が通気口8604と接触するのを防ぐ。複数の開口は、冗長性として機能してもよく、1つ以上の開口が詰まった場合に他の開口が開放状態に維持されるようにする。開口を使用して、通気口8604を通じた空気/気体/流体の流路を制御してもよく、孔部の数が多いほど気流に対する抵抗が減り、孔部の数が少ないほど気流に対する抵抗が増す。
本明細書中の実施形態のいずれかは、生理的な圧力測定を含んでもよく、又は生理的な圧力測定を伴うことなく使用されてもよい。例えば、図67〜図86に示されるシステムと他の実施形態とには、サーミスタも圧力管腔も含まれなくてよく、標準のフォーリーカテーテルとともに使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、圧力は、陽圧チューブ/排液チューブの接合部において測定されてもよい。或いは、圧力は、感知型フォーリーカテーテル/排液チューブの接合部、又はかかり部の領域内で測定されてもよい。圧力は、一端において圧力チューブ/排液チューブの接合部又はかかり部の領域と流体連通し、他端において圧力センサ又はトランスデューサと流体連通する追加のチューブ又は管腔を組み込むことにより、これらの箇所のいずれかにおいて測定されてもよい。例えば、この圧力測定管腔は、一端(センサ端部)において圧力センサを収容するコントローラと流体連通してもよく、他端(感知端部)において陽圧チューブ/排液チューブの接合部と流体連通してもよい。感圧膜は、感知端部に存在することにより、管腔の尿による汚染を防いでもよい。
エアロックは、最適な清浄及び/又は回避が可能となるように検出されてもよい。本明細書中の実施形態のいずれかを使用することにより、コントローラは僅かな陽圧又は負圧を排尿管腔に付与し、その応答を感知してもよい。空気は尿よりも圧縮可能であるため、応答の減衰は、エアロックの存在を示し、応答の減衰が小さいほど、エアロックが少ないことを示してもよい。過剰なエアロックが検出された場合、コントローラは、例えば、負圧を排液管腔に付与することにより、エアロックの清浄を開始してもよい。
通気口チューブは、排液チューブからは別体のチューブであってもよく、排液管腔内又はフォーリーカテーテル内にも挿入されてよい。図87は、通気口チューブが排尿チューブ内にある感知型フォーリーカテーテルシステムの一実施形態を示している。この種の実施形態は、任意の標準排液チューブとともに使用可能であるという利点がある。排液チューブは、基本的に、排液チューブ内又はフォーリーカテーテル内のいずれかにおいて、排液管腔内のいずれかの箇所に通気口を配置する。通気口チューブは、排液チューブ及び/又はフォーリーカテーテル内にスライド可能に挿入されてもよく、随時移動されてもよい。
図87に示される実施形態において、通気口チューブ8704は、一端(「空気端部」8708)において採集容器内の通気口/フィルタ8702(大気圧に対して開放される)に対して開放されてもよく、排尿管腔8706内にある他端(「尿端部」8710)において開放してもよい。ここでは通気口チューブはフォーリーカテーテルのベースにおいてかかり部内まで延びる様子が示されているが、通気口チューブは、排液チューブ内又はフォーリーカテーテル内の任意の箇所を含む、排尿管腔内の任意の箇所まで延びてもよい。通気口チューブは、一か所に留まってもよく、又はシステム内を移動することにより、排尿を最大化し、エアロックと膀胱内の負圧によって生じる膀胱への損傷とを最少化してもよい。
図88は、通気口チューブ8802がチューブの「尿端部」において通気口/フィルタ8804を有し、チューブの「空気端部」8806において大気に開放される感知型フォーリーカテーテルシステムの他の実施形態を示している。両端にフィルタ/通気口が設けられてもよい。通気口チューブの「空気端部」は、yアームアダプタ、ストップコック、又はその他の標準の方法を介して排液管腔から出てもよい。通気口チューブの「空気端部」は、採集管内に組み込まれた流路又はポートを介して、採集管内からシステムを出てもよい。改めて、通気口チューブは、標準排尿チューブを含む任意の排尿チューブとともに使用されてもよい。
図89は、陽圧チューブ8902を追加した、図88に示すものと同様の実施形態を示している。
図90及び91は、感知型フォーリーカテーテルシステム内の異なる箇所に通気口チューブを示している。図90において、通気口チューブの「尿端部」9002は、排液チューブ内の部分的進路である。例えば、通気口チューブは、排液チューブの略半分を通じて挿入されてもよい。又は例えば、通気口チューブは、排液チューブの約1/3挿入されてもよい。又は例えば、通気口チューブは、排液チューブの約2/3挿入されてもよい。図91において、通気口チューブの「尿端部」9002は、フォーリーカテーテル内にある。通気口チューブの「尿端部」の位置は、排尿を最大化し、排液に対するエアロックの作用を最少化し、且つ膀胱内の負圧を最少化することに基づいて判定される。
通気口チューブは、1つ以上のフィルタ/通気口を組み込んでもよい。通気口チューブは、通気口チューブの内側管腔と流体連通し、採集容器内又は他の箇所のいずれかにおいて、通気口/フィルタと最終的に流体連通する1つ以上の切り込みを組み込んでもよい。複数のフィルタ/通気口又は複数の切り込みは、通気口チューブの周辺、又はこれに沿って、又はこの双方に設けられてもよい。また通気口チューブは、フィルタ、「尿端部」又はその他の箇所に方向付けられるUV光を含み、殺菌状態を維持する。
図92A及び92Bは、例えば、図10Aに示される排液管腔1012等の排液管腔について可能ないくつかの実施形態を示している。図92Aは、押し潰し可能/拡張可能な部分9202を備えた排液管腔を示している。部分9202は、排液管腔の他の箇所よりデュロメータの低い材料で製造されてもよく、内部の圧力に応じて押し潰し又は拡張を可能にする。管腔は、より低い圧力又は負圧において下方の内側領域/容積に押し潰され、より高い圧力又は陽圧において拡張するであろう。エアロックは、異なる圧力における管腔容積のこの変化により、低減されてもよい。この種の管腔は、本明細書の実施形態のいずれかに組み込まれてもよい。
図92Bは、2つの管腔を備える排液管腔の一実施形態を示している。同図に示される内側管腔は、負圧/排尿管腔9204である。外側管腔は、陽圧管腔9206である。これら2つの管腔の間には、開口9208が設けられる。開口は、フィルタ膜を備えてもよく、又は備えなくてもよい。2つの管腔は、同図に示される通り、同心であってもよく、又は隣接してもよい。陽圧管腔は、基本的に、本明細書中の他の箇所に示した陽圧通気口チューブと同一の役割を果たす。負圧が排液管腔9204に掛けられるのに際し、陽圧は、恒常的又は周期的に陽圧管腔9206に掛けられ、結果として排液管腔9204を除去する。
図93A〜図93Eは、排液管腔の他の実施形態を示している。本実施形態もまた、排液管腔9302と陽圧管腔9304とを備える。本実施形態において、陽圧管腔9304は、拡張可能であり、且つ押し潰し可能である。陽圧管腔の圧伸状態においては、排液管腔を部分的又は完全に遮蔽する。陽圧管腔の押し潰し状態においては、排液管腔は実質的に解放され、流体が排液管腔を通じて自在に流れるようにする。図93Aは、排液チューブの患者側付近において閉鎖状態にある排液管腔を示している。図93Bは、患者から離れたところで閉鎖状態にある排液管腔を示している。図93Cは、開放状態にある排液管腔を示している。
図93Dは、閉鎖状態にある排液管腔の長手方向の図を示している。図93Eは、開放状態にある排液配管の長手方向の図を示している。解放状態においては、図93C及び図93Eに示される通り、陽圧管腔9304は押し潰され、実質的に排液管腔9302を妨害することはなく、尿を体内から容器へと自在に流す。排液チューブにおいてエアロック又はその他の遮蔽物の除去を実施するとき、陽圧管腔が膨張させられて排液チューブを下って採集容器に向かって尿/液体を押し出す。陽圧管腔の患者端部9306は、陽圧管腔の容器端部9308に比べて大きな直径及び/又は低いデュロメータを有してもよい。これにより、陽圧管腔の患者端部を容器端部の膨張に先立って膨張させる。このようにして、排液管腔が患者の直近で最初に遮蔽された後、陽圧管腔の残りの部分の膨張で、排液管腔の略全部が充填されるか、又は排液管腔の一部が充填される。陽圧管腔は、排液チューブの患者端部又は容器端部のいずれかで膨張してもよい。1つ以上のフィルタが排液管腔の長さに沿って存在してもよい。
感知型フォーリーカテーテルシステムの実施形態は、フォーリーカテーテルに接続された圧力バルーンを介して、又は排液チューブ及び.又はフォーリーカテーテルの排液管腔内に挿入された圧力バルーン又はその他の圧力センサを介して、膀胱内の圧力を測定する能力を備えてもよい。例えば、図94A〜図94Cを参照のこと。
図94A〜図94Cは、圧力センサがフォーリーカテーテルの尿管腔と流体連通するものの、別体のカテーテル上に設けられてもよい、感知型フォーリーカテーテルシステムの実施形態を示している。フォーリータイプカテーテル9402は、尿管腔9404及び排尿開口9406を備えるものとして示されている。感圧バルーン9410を備えた小さな感圧カテーテル9408は、フォーリータイプカテーテルの排尿管腔内に示されている。感圧カテーテルの外径は、フォーリータイプカテーテルの排尿管腔内に収まるのに十分の小ささである。例えば、感圧カテーテルの外径は、約4mm未満であってもよく、或いは感圧カテーテルの外径は、約3mm未満であってもよく、或いは感圧カテーテルの外径は、約2mm未満であってもよく、或いは感圧カテーテルの外径は、約1mm未満であってもよい。
感圧カテーテル上の圧力センサは、感圧カテーテルの遠位端付近にあってもよく、又はカテーテルの長さに沿った任意の箇所にあってもよい。圧力センサは、感圧バルーンであってもよく、又は圧電センサ、機械センサ等の任意の種別の圧力センサであってもよい。感圧バルーンの場合、膨張させられたバルーンがフォーリータイプカテーテルの排尿管腔の内径よりも小さくてよく、又は膨張させられたバルーンがフォーリータイプカテーテルの排尿管腔を充填するのに十分な大きさであってもよい。
膨張させられた感圧バルーンは、フォーリータイプカテーテルの排尿管腔を充填することにより、より良い圧力測定が行えるようにしてもい。感圧バルーンは、周期的に収縮されるか、又は部分的に収縮されて、尿を膀胱からフォーリータイプカテーテルを通じて流れさせてもよい。感圧バルーンの膨張周期の制御は、本発明のコントローラによって制御される。
図94Bは、閉塞バルーン9424と感圧バルーン9426との双方を有する感圧カテーテルの一実施形態を示している。閉塞バルーンは、感圧カテーテルが閉塞バルーンと膀胱との間の圧力のみを感知するように排尿管腔を閉塞するものであり、これによって膀胱内の圧力をより正確且つ精密に測定してもよい。
膨張させられた感圧バルーンの外径は、約5mm未満であってもよく、或いは感圧カテーテルの外径は、約4mm未満であってもよく、或いは感圧カテーテルの外径は、約3mm未満であってもよく、或いは感圧カテーテルの外径は、約2mm未満であってもよく、或いは感圧カテーテルの外径は、約1mm未満であってもよい。
図94Cは、滞留バルーン9412、排尿開口9406、滞留バルーンポート9414、及び排尿ポート9416を備えた標準フォーリータイプカテーテルを示している。排尿ポート9416と接続されたアダプタ9418が示されている。アダプタ9418は、2つのポート、すなわち排尿ポート9420と二次尿管腔ポート9422とを有する。感圧カテーテル9408は、尿管腔ポート9422内に示されている。このように、感圧カテーテルは、フォーリータイプカテーテルの排尿管腔と流体連通している。感圧カテーテル9408の近位端は、本明細書中の他の実施形態と同様に、圧力トランスデューサ等の圧力センサに接続される。感圧カテーテル9408は、単一の管腔と、この感知バルーン管腔とのみを有してもよく、又は他の管腔を含んでもよい。感圧カテーテルの圧力センサが機械的圧力センサである場合、感圧カテーテルは、管腔を有さなくてもよく、又は感圧カテーテルは、フォーリータイプカテーテルの排尿管腔を封止するためのバルーンを有してもよい。
感圧カテーテルは、排液チューブの排尿管腔を通じて挿入されてもよい。
圧力測定は、感圧カテーテルを使用して経時的に実施し、本明細書に開示の方法のいずれかで解析可能である。圧力測定を向上するために、排液ポート9420は、周期的に閉鎖又は遮蔽されてもよい。排液ポート9420を遮蔽することは、ストップコック又は弁によって機械的に実施されてもよく、又は例えば、コントローラに接続されたソレノイド弁によって自動的に実施されてもよい。本実施形態の効果は、感圧カテーテル9408がフォーリーチアプカテーテルとともに使用されて圧力の測定が可能であるという点である。また感圧カテーテル9408は、フォーリータイプカテーテルが患者の膀胱内の定位置に既に収められた後に、フォーリータイプカテーテルから挿入及び除去が可能である。
感圧カテーテルは、他の図に示される通気口チューブと組み合わせられてもよい。このように、感知型フォーリーカテーテルシステムの感圧、排尿、エアロック防止、通気構成要素は、任意の標準フォーリーカテーテル及び排液チューブとともに使用可能である。或いは、感圧カテーテル/通気口チューブの組み合わせは、より特化されたフォーリーカテーテル及び/又は排液チューブとともに使用されてもよい。
任意の種別のエアロック清浄機構を備えた実施形態のいくつかにおいて、エアロック清浄は、継続的に、周期的に、要求に応じて、又はエアロック条件が感知されたときに実施されてもよい。エアロック清浄機構は、エアロックを防止又は低減する。例えば、エアロック清浄機構は、エアロックが少なくとも60分毎に除去されるように、エアロックを低減してもよい。或いはエアロックは、少なくとも45分毎に除去されてもよい。或いはエアロックは、少なくとも30分毎に除去されてもよい。或いはエアロックは、少なくとも20分毎に除去されてもよい。或いはエアロックは、少なくとも10分毎に除去されてもよい。或いはエアロックは、少なくとも5分毎に除去されてもよい。或いはエアロックは、少なくとも1分毎に除去されてもよい。
かかり領域又は排液チューブの一部として通気口又はフィルタ又は通気口チューブを備える実施形態のいずれかにおいて、通気口/フィルタ/通気口チューブを介して排液管腔内に導入される気体/空気のために、流体(すなわち尿)波形は、非連続的であってもよく、すなわち、中断されてもよい。換言すると、排液管腔は、液体(すなわち尿)と気体とを交互にしてもよい。
尿量をリアルタイムで測定することを備える実施形態のうちのいずれかにおいて、リアルタイムとは、報告される尿量の測定が、約1分以内の精度であることを意味する。或いは、リアルタイムとは、報告される尿量の測定が約5分以内の精度であることを意味する。或いは、リアルタイムとは、報告される尿量の測定が約10分以内の精度であることを意味する。或いは、リアルタイムとは、報告される尿量の測定が約20分以内の精度であることを意味する。或いは、リアルタイムとは、報告される尿量の測定が約30分以内の精度であることを意味する。或いは、リアルタイムとは、報告される尿量の測定が約60分以内の精度であることを意味する。
尿中の気泡は、気泡を防ぎ、及び/又は測定への影響を防ぐ。
場合によっては、尿中のタンパク質又はその他の成分が排液管腔及び/又は採集管内の尿中に過剰な気泡を生じることがあり、通気口/フィルタを濡らすこと、尿が採集管のオーバーフロー領域に入ること、測定が不正確になることなどの問題を引き起こすことがある。感知型フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、気泡防止機構を組み込む。
いくつかの実施形態において、陽圧チューブを組み込んだもの等、排尿内の圧力を精密に制御することができる。排液システム(すなわち、排液管腔及び/又は採集チャンバ)内に僅かな陽圧を時々付与することにより、存在する任意の気泡を潰し、気泡の形成を防ぐことができる。
シリコーン等の表面活性剤をシステムに添加してもよい。例えば、低速溶解シリコーンカプセルを採集容器に添加してもよい。或いは、表面活性剤コーティングを、排液管腔内部及び/又は採集管内部に使用してもよい。
気泡は、排出配管及び採集管の接合部において消されるか、又は低減されてもよい。いくつかの実施形態を図95A〜図95Cに示している。例えば、排液配管のベースは、S排出型(シンク下の排水溝のように)であってもよく、排液配管の内径は、採集管又はその他の箇所との接合部付近まで拡張してもよい。排液配管は、電球型又は円錐型であってもよい。排出管腔は、図95Cに示される通り、環状となってもよい。本実施形態において、流体は、ビールがグラスの中央でなくグラスの側方から流れ落とされてビール発泡を低減するのと同様に、傾斜した円錐面の側方を流れ落とされる。ここでは、気泡低減特徴が排液チューブのベースに示されているが、排液チューブ又はシステムの任意の部分にあってもよい。いくつかの実施形態において、排液管腔は、尿を再び表面と接触させるように平坦化されてもよい。例えば、排尿管腔は、約1mm未満まで平坦化されてもよい。排尿管腔は、約2mm未満まで平坦化されてもよい。排尿管腔は、約3mm未満まで平坦化されてもよい。
尿はまた、図96Aにおいて逆円錐の実施形態とともに示される通り、頂点まで流れさせられてもよい。この円錐は、同図で示される通り、角度を有してもよいが、より湾曲していてもよい。円錐形状は、通常、小さい面積から大きい面積へと推移し、及び/又は、大きい面積から小さい面積へと推移する。この気泡低減機構及び他の気泡低減機構は、採取管内にあってもよい。例えば、図96B〜図96Dに示される通り、角度を有するバッフルが採集容器内に組み込まれて、流体を角度を有する表面から流れ落とさせてもよい。角度を有する表面は、採集管の底部までの全域に亘って伸びてもよく、又は採集管内まで部分的に伸びてもよい。異なる角度が使用されてもよく、例えば、約10度〜約80度の角度であってもよい。
角度を有するバッフルは、図96C及び図96Dにおける実施形態に示される通り、患者の尿量が少なく、AKI、敗血症、又はその他の症状に対する患者の脆弱性を診断するためには、継続的な尿量(ml/分又はml/秒)の測定が望ましい、特に臨界的なケア状況下における、尿量測定の精度を向上するために好適であってもよい。少量の尿の正確な測定には、平底バッフル又はカセットに比較して与えられた尿量に対して尿カラムの高さが高くなるため、円錐又は角度を有するバッフルにおいてはよりよい測定ができる。コントローラ上の超音波トランスデューサ又は同様のトランスデューサにより、高さをより容易に測定することができ、特に患者の腎臓が損傷していてほとんど尿を生成できないときに、尿量と尿量の割合とを正確に測定できるようにする。また角度を有する/バッフル又はカセット(尿採集チャンバ)は、コントローラの傾斜角度の変化に対する感度が低くてもよく、少量の尿に対して、平坦面を有するカセットと比較して測定誤差を低減してもよい。
図97Aは、流体が通常、流体レベルの下方で採集流体内に排出されるように、排液管腔が採取管/カセット内に伸びる感知型フォーリーカテーテルシステムの一実施形態を示している。排液管腔の排液端部は、ある角度で切断されることにより、配管がカセット底部に当接し、流体の流れを遮蔽することを防ぐ。角度切断9724は、約45度であってもよく、約10〜80度であってもよく、又は任意の好適な角度であってもよい。その他の形状が排液管腔の排液端部において使用されることにより、同一の結果を達成してもよい。例えば、図97Bは、排液管腔を示しており、この配管は、排液端部にてキャスタレーションとされている。このキャスタレーション9726は、丸、四角、三角、貝状等を含む任意の形状であってもよい。
図97Cは、排液管腔がカセット内に伸び、平坦化領域9728を備える感知型フォーリーカテーテルシステムの一実施形態を示している。本実施形態において、排液管腔の断面積は、同一に維持されてもよく、平坦領域内で増減してもよいが、少なくとも1つの寸法で増加して流体の流れと接触するよう表面積を増加させることが望ましい。平坦化領域は、図97Cに示される通り、下方に流れを向けてもよく、又は平坦部は、流体を管腔の内面の少なくとも一方側に接触して流れさせるような角度を有してもよい。代替又は追加として、図97Dに示されるバッフル9730等の角度を有するバッフルが使用されてもよい。バッフル9730の角度は、約45度であってもよく、約10〜80度であってもよく、又は任意の好適な角度であってもよい。角度を有するバッフル又は平坦な領域は、本明細書に示される排液配管/管腔の設計のいずれかとともに使用されてもよい。
図98Aは、排液管腔領域が増減する感知型フォーリーカテーテルシステムの一実施形態を示している。電球形状部9832は、カセット上方、図98Dに示される通り、カセット内部、又は排液管腔に沿った任意の箇所において排液配管に組み込まれてもよい。電球形状部の上下の面積は、基本的に同一であってもよく、又は電球形状部下方の面積は、図98Bに示される通り、電球形状部上方の面積より小さくてもよい。排液管腔面積低減部分9834は、比較的短くてもよく、例えば、部分9834は、約1mm〜10mmの長さであってもよい。或いは、部分9834は、約10mm〜20mmの長さであってもよい。或いは、部分9834は、約10mmの長さであってもよい。図98Cは、狭くなった区間9836が1つを上回る面積低減流体排液管腔を備える一実施形態を示している。これにより、排液管腔の面積を著しく低減することなく、排液管腔の表面接触を増加させる。狭くなった区間9836は、電球形状部9832とともに使用されてもよく、又は電球形状部を伴うことなく使用されてもよい。
なお本明細書に開示の気泡を低減する実施形態のいずれかは、カセット外部の排液配管及びカセット内の排液配管/管腔を備える、排液管腔内のいずれかの箇所において使用されてもよい。例えば、図98Dは、バルブがカセット内に設けられる図98Bに示したのと同様の一実施形態を示している。
図99Aは、排液管腔のうちの少なくとも一部が気泡を分散及び/又ははじけさせる感知型フォーリーカテーテルシステムの一実施形態を示している。
図99B及び図99Cは、その他の気泡低減実施形態を示している。本実施形態において、格子又はハチの巣状物又はメッシュが排液チューブのベース内に設けられる。このメッシュは、気泡が壊れるのを助け、周期的に押圧された流体の領域を清浄してもよく、また気泡が壊れるのを助ける。
代替又は追加として、平坦なメッシュがシステム内のいずれかの箇所、例えば、排液チューブ/採集管の接合部に挿入されてもよい。
いくつかの実施形態において、カセット及び/又は排液管腔は、連続的又は断続的に振動され、気泡を壊れさせるようにしてもよい。
図100A〜図100Cは、浮遊又は非浮遊を問わず、プレートを組み込み、採集管の尿の表面における、またはその付近において気泡を押圧してこわれさせる実施形態を示している。プレートは、簡易に表面上に浮遊していてもよく、管中の尿の量によって受動的に昇降するか、又はプレートは能動的に上下に移動してもよい。このプレートはまた、定位置に固定されてもよい。このプレートは多孔性であってもよく、又は固形であってもよい。プレートが流体の表面上にくる実施形態において、このプレートはまた、尿量の測定のために使用されてもよい。プレートの位置は、超音波、視覚的手段(カメラ等のように)、レーザ、又はその他の技術によって特定されてもよい。採集管内の流体の量は、流体のレベルから直接判定されてもよく、これは、プレートの位置から判定可能である。
カセットの内部は、四角形又はその他の形状であってもよい。例えば、カセットの内側は、カセットの尿の量に対して尿の上面がより大きくなるように、下方に近づくにつれて内側にテーパ状を有してもよい。
いくつかの実施形態には、例えば50ml等、設定された量のマークに容積バッフルを備えてもよい。容積バッフルは、それが所定の容積位置にあるであろうことを除いて、図23に示されるバッフル2302と同様であってもよい。カセット内の尿量の上面が容積バッフルにあるとき、又はこの付近にあるとき、そうでないときに比べて、超音波信号はより強くなる。例えば、容積バッフルは、尿の容積の上面が約50ml(又はその他の設定容積)であるとき、尿容積の上面が容積バッフルにくる、又はその付近にくるように配置されてもよい。2つの表面(尿及び容積バッフル)が互いに接近する又は互いに接触する際、超音波信号が最強となる。
図101Aは、排液ポート10102と進入点10104との双方において弁を備える感知型フォーリーカテーテルシステムの一実施形態を示しており、ここでは排液配管は、採集管に接続する。これにより、コントローラに気泡を低減してもよい採集管を周期的に押圧させる。これはまた、結果として、採集管への尿の流入が尿を空にする間にコントローラによって停止可能であるため、尿量の測定をより正確にする。
図101Bは、尿のオーバーフロー流路がより長く、及び/又は、回旋状/蛇行性、及び/又は、狭い採集管の一実施形態を示している。この構成により、気泡をオーバーフロー流路に流入するのをより困難にし、結果として尿量の測定を不正確にする。オーバーフロー流路には、45度を超える1つ以上の流路角度が含まれてもよい。
いくつかの実施形態は、より管腔径の小さな排液チューブを備える。例えば、いくつかの実施形態において、管腔内径は、約2mmである。いくつかの実施形態において、管腔内径は、約1mmである。いくつかの実施形態において、管腔内径は、約3mmである。いくつかの実施形態において、管腔内径は、約2mm未満である。いくつかの実施形態において、管腔内径は、約1mm未満である。いくつかの実施形態において、管腔内径は、約3mm未満である。
いくつかの実施形態において、排出された尿を使用して、排液チューブ又は採集容器内の気泡を「洗浄」することができる。尿は、循環して排液チューブに戻り、排液チューブ内の量を増加させ、配管及び/又は容器内の気泡の「洗浄」を助ける。コントローラは、尿の容積計算において、循環する尿を補償する。
いくつかの実施形態において、加圧された空気が排液チューブ及び/又は採集管内に導入されてもよい。押された空気は気泡を弾き、及び/又は圧縮し、尿をシステムの表面に押し付けて、気泡の形成を減少させる。排液チューブが平坦化部分に推移する際、排液チューブの断面積は減少するか、同一のまま留まるか、又は増加してもよい。
水平化
超音波を使用して採集管内の尿量を測定する実施形態において、超音波が超音波センサから約90度である面(すなわち、尿の容積の面)を有することが重要である。システムが数度でも傾いていれば、超音波センサは、尿の表面を感知することができず、引いては尿量の正確な測定を行うことができないことがある。これを補償するため、取付時に重力が自動的にベースの水平化を行うように、例えばローラ上に設けられた取付具等の自動水平化取付具を介して、採集管又はベース/コントローラがベッドに取り付けられてもよい。
いくつかの実施形態において、採集容器内の尿の容積に「大まかな」表面を生じさせることにより、システム内のわずかな角度を取り扱う。「大まかな」表面は、超音波反射の複数の角度を与えるものであり、そのうちの一部は、超音波センサ/トランスデューサから約90度となるであろう。この大まかは、空気又はその他の気体を使用して尿を発泡させることにより、採集容器及び/又は尿を振動させることによって生じさせてもよい。振動は、機械、超音波等によって達成可能である。大まかな下方面と、凹状の下方面又は凸上の下方面を有する、尿の表面に浮遊する浮遊プレートを使用してもよい。尿の排出時、直径が多き過ぎて容器から出ることのできない浮遊ビーズを容器内に設けることにより、これらが尿の排出の際にも容器に残るようにしてもよい。メッシュで狭められた小径の開口又はその他の機構を使用して、ビーズがオーバーフロー領域に入るのを防いでもよい。また上述の通り、角度の付けられたバッフル又は角度が付けられた壁部を有するか又はテーパ状の壁部を有するカセット(又は尿採集チャンバ)を使用して、正確に尿量を測定してもよい。
圧力バルーンプライミング
圧力バルーンの圧力を調整し、それを最適な感圧測定にプライミングするには、非常に少量の空気又は流体が必要とされてもよい。このため、空気/気体/流体レギュレータがプライミング流体と圧力バルーンとの間に利用されてもよい。このレギュレータは、より精密な圧力バルーンプライミングのためにより少ない量の空気でプライミングポンプを動作させる。このレギュレータは、発泡を挿入すること、流体管腔を狭めること、又はその他任意の好適なレギュレータを含んでもよい。
通常の改良
いくつかの実施形態において、ベッド、患者、感知型フォーリーカテーテルシステム内、又はその他の箇所におけるセンサは、患者が仰臥位にあるとき、又は仰臥位にないときを感知する。膀胱内で測定された圧力は、患者が仰臥位にないときに増加するであろうし、コントローラによる解析のためのデータに悪影響を及ぼすことがある。結果として、コントローラは、患者が仰臥位にない間に収集された圧力データを無視してもよく、又はこの間に圧力データの収集を停止してもよい。或いは、圧力測定自体を使用して、患者が仰臥位にないときを感知してもよい。圧力の急激な増加又は特定の閾値を上回る増加は、患者が起き上がったり、移動したり、関をしたり等を示すことがある。異なる圧力プロファイルは、異なる事象を示すことがある。床ずれを防ぐために転がる患者は、このように追跡されてもよい。
いくつかの実施形態において、EKG測定は、感知型フォーリーカテーテルシステムに取り付けられたリードを通じて得られるか、又は独立して得られるかを問わず、これを使用して、膀胱における心拍を介して測定された心拍をEKGと同期する。
いくつかの実施形態において、コントローラにより、IAP又はAPP等の計算の結果に対する入力パラメータとして、ベッドの角度が使用されてもよい。例えば、体の角度を増加させること(患者の頭部のレベルを上げること)により、結果としてIAPを増加させることとなろう。より健康な患者にとってこの増加は、より健康でない患者のものとは異なることがある。結果として、異なるベッド角度でIAPを判定することにより、患者の健康に関する追加情報を提供してもよい。またIAPは、高いIAPで患者を一時的に安定化してもよい頭部のレベルを下げることにより、低下させられてもよい。
いくつかの実施形態において、感知型フォーリーカテーテルは、外部の圧力センサと流体連通した少なくとも1つの圧力センサ又は管腔を有するであろう。この圧力センサは、管腔内での圧力を迅速又は高頻度(理想的には、1Hzを上回る)に感知して、管腔内の生理的信号のモニタリングを可能にするであろう。いくつかの実施形態において、圧力管腔は、圧力が継続的又は断続的にモニタリングされる間、手動又は自動で押圧及び/又は押圧解除されてもよい。圧力管腔が圧力バルーンを備える実施形態において、身体によって圧力バルーン上にかけられる圧力がモニタリングされる間、バルーンが膨張及び/又は収縮されてもよい。圧力管腔は、体腔から圧力波を送達することができ、このうちの1つが内腔臓器及び/又は周辺組織への血液の流入によって生じる心臓の脈動である。心臓の脈動及び/又は呼吸の偏位からの脈動圧力を使用して、肺の圧力及び心血管の圧力を判定することができる。また、圧力管腔/バルーン内の圧力を、閾値(すなわち、100mmHg)を上回って増加させた後、感知範囲を通じて徐々に低下させ、脈圧の原点、脈圧の消滅点、及び/又は圧迫脈の大きさの相対的増減を判定してもよい。圧力センサによって検出された圧力脈動の原点/消滅又は相対的な増加/現象は、血圧、潅流圧、平均動脈圧、ストローク量、ストローク量変動、呼吸努力、肺の圧力伝達、及びその他の肺、胃腸、腎臓、又は心血管のパラメータと相互に関連付けることが可能である。このプロセスは、血圧カフと同様であってもよく、この場合には、カフにおいて圧力が血圧を上回って増加させられた後、血圧波形(心拍)が現れるか又は消えるまで、カフにおける圧力を徐々に低下させる。
図102は、圧力バルーンの膨張の際の圧力波形及びその消滅を示している。なお平均動脈圧を上回ると、心臓の脈動は小さくなり、及び/又は消滅する。相対的な圧力点における消滅の程度を平均動脈圧と相互に関連付けるのに十分なデータがあれば、この相対的な圧力波形から平均動脈圧を導出することができる。同じことが体の管腔内で感知可能な肺の圧力及びその他の圧力についても使用可能である。
いくつかの実施形態において、圧力センサ/管腔は、外部トランスデューサを使用して圧力をモニタリングしつつ、徐々に膨張又は充填可能なカプセル、バルーン、又は容器である。いくつかの実施形態において、圧力センサは、フォーリーカテーテル等の尿カテーテルと関連付けられる。或いは、圧力センサは、経鼻胃チューブ、経口胃チューブ、又は直腸チューブと関連付けられてもよい。さらに他の実施形態において、圧力センサ装置及び関連圧力上昇装置は、完全に移植可能であってもよい。組織内潅流の実施形態において、感圧は、尿道内で膨張されるか、又は内腔面に対して膨張されてもよく、パルスオキシメトリを実施して各圧力における内腔組織の白化及び/又は潅流を検出し、組織の潅流圧を判定してもよい。
いくつかの実施形態において、カテーテルは、データ解析の質を向上するために、複数の測定パラメータを相乗的に使用することができる。一実施形態において、カテーテルは、尿道又は膀胱を介するなど内側で、又は脚部又は臀部に配置されたセンサを介してなど外側で、ECG信号を取得するために組み込みセンサを有する。この信号を使用して、心臓周期(ストローク量等)と同期した他の測定パラメータを、電気信号と同期することができ、多くの個々のサンプルから平均又は中央信号を取ることにより、ノイズを取り除くことができる。他の実施形態においては、呼吸信号を使用して、解析実施前に現れるモデル波形を待機することにより、ストローク量変動解析にいずれの心臓圧力信号を使用すべきかを案内する。
図103は、解析のためにきれいな信号を得るために、心臓性信号(付近の腹部大動脈の脈拍によって生じる膀胱内の圧量のブレ等)を同期する方法を示している。ECGが関心対象の他の心臓信号と同期して取得されたとき、例えば、ECGのR波を使用して個々のサンプルを同期することができる。同図においては、配列のためのECGのR波を使用して、服須の圧力サンプルが取得された後に重畳される。その後、心臓の周期中、同時にすべての圧力サンプルの中央値をとることにより、中央信号を計算する。平均を使用することもできる。このようにして、1つのサンプル中のノイズのために無関係に高い値が他の同様に無関係に低い値で相殺されるため、ランダムノイズがフィルタで取り除かれる。より多くのデータポイントが加えられると、基礎となる信号がより強くなり、解析のために使用可能となる。例えば、図示の圧力信号において、信号のピーク間の振幅を使用して相対的なストローク量を導出することができる。
図104は、ストローク量変動(SVV)を判定するために、心臓の圧力信号解析を報知する呼吸圧力信号を使用する方法を示している。この方法は、吸入の行われない患者、すなわち吸入器を付けていない患者において特に価値を発揮する。熱希釈法又は脈拍輪郭解析等の従来のストローク量測定技術では、呼吸サイクルについて把握できないため、ストローク量変動(吸気点と呼気との間のストローク量の変動)の測定を実施する能力が限定的であった。膀胱内のフォーリーカテーテル等、本明細書に記載の内腔圧を使用すれば、呼吸及び心臓の信号を(よりゆっくり動く腹腔内圧とともに)同時に獲得できるようにするという点で有効である。このように、本装置は、特定の性質が適正な解析(呼吸の速度及び大きさ等)により好適であるため、ストローク量変動の解析にいずれの呼吸サイクルを使用するかを明確に選択することができる。同図において、膀胱から得られたサンプル圧力信号が示されている。上方の圧力生信号において、大きなブレは呼吸によるものであり、例えば、波の幅、振幅、又はピーク値に基づいて解析のために選択される。図示されない他の特性を使用して、傾斜、曲線下の領域、形状、頻度、パターン、又は反復性等を含む好適な波を規定してもよい。曲線振幅フィルタを使用してもよく、この場合、特定値を上回る振幅を伴う曲線が使用され、これを下回るか又は他の特定値を下回る曲線については」SVV計算では使用されない。下方の図面は、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタを通過後の同一の信号について占めHしている。ハイパスフィルタは、基礎となる心臓信号(ダッシュ線)を残し、ローパスフィルタは、基礎となる呼吸信号(実線)を残す。本例において、呼吸信号の山と谷との間の心臓信号(ピーク間の値)の強度の違いを使用して、ストローク量変動を計算することができる。
呼吸数及びその他のパラメータは、感知型フォーリーカテーテルを介して感知されてもよく、もしくは従来又は非従来の任意の手段で得られてもよい。収集されてもよい他のパラメータとして、一回換気量、肺活量測定、呼吸流動パラメータ、肺活量測定を介して収集されたデータ、呼気努力、吸気努力等が挙げられる。これらのパラメータのうちのいずれかを使用して、ストローク量変動及び/又はその他の心臓のパラメータを計算するのに役立ててもよい。
いずれの圧力ピークがSVV計算に使用されるかの判定に使用されるフィルタは、本開示の圧力曲線パラメータのいずれかに基づいてもよい。またSVV計算自体を使用して、いずれの圧力曲線ピークを計算に使用するかを判定してもよい。例えば、SVVは、通常、約10%の範囲内である。本開示のシステムは、結果として得られたSVV計算が約10%等の特定の値の範囲内であることに基づき、圧力曲線データを含めたり、又は除外してもよい。
SVV計算は、患者に特有であってもよい。例えば、圧力曲線ピークフィルタは、振幅に基づいてもよいが、カットオフ振幅は、患者に特有のものであってもよく、又はその患者の圧力曲線の平均又はその他のパラメータに基づいていてもよい。或いは、フィルタは、複数の患者に基づいてもよく、特定の病状等、特定のカテゴリ内の複数の患者に基づいてもよい。
信号及び/又はSVV計算もまた、咳き込み、移転、鼻すすり等、患者の動き及び/又はその他の作為に対してフィルタを掛けてもよい。
また非常に低いか又は存在しないSVVの計算結果が過剰輸液を示すものであってもよく、適切な処置が示されてもよい。
本開示のシステムのいくつかの実施形態において、患者は、特定の方法で呼吸を促されてもよい。例えば、システムは、圧力曲線形状(ピーク振幅、頻度等)に基づき、患者がより深く呼吸をするように、よりゆっくり呼吸をするように、正常に呼吸をするようになどと促してもよい。その後、結果として得られた呼吸圧力曲線をSVV計算の因子とすることができる。この種の促進は、圧量曲線がSVV計算の提供に不十分であるとき、又はその他任意の理由により、システムによって実施されてもよい。