JP2018535031A - キャップ取り外しのためのシステム - Google Patents

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Abstract

本発明は、液体薬剤を送達するための自己注射デバイス(10)であって、注射器本体と、注射器本体に受け入れられるシリンジ(18)と、注射器本体の開口部へ延びるようにシリンジの第1の端部に配置された針(17)と、針を封入するようにシリンジに取り外し可能に取り付けられたニードルシールド(25)と、ニードルシールドを封入するように注射器本体の開口部に取り外し可能に受け入れられる注射器キャップとを含む、自己注射デバイスに関する。注射器キャップ(12)は、ニードルシールドと係合する少なくとも1つの係合要素を含み、ニードルシールドは断裂部分を含む。少なくとも1つの係合要素は、キャップが本体から取り外されるときに断裂部分を断裂させるように構成される。少なくとも1つの係合要素は、ニードルシールドの少なくとも一部と係合して、キャップが本体から取り外されるときにキャップ内にニードルシールドの少なくとも一部を保持するように構成される。

Description

本開示は、注射器型薬物送達デバイスに関する。注射デバイスは、正式な医学訓練を受けていない人による定期的な注射が行われる用途を有する。これは、自己医療により自身の疾患の効果的な管理が可能になる患者の間では一般的である。
そのようなデバイスは、薬剤を投薬するためのシリンジおよび針を収容する本体を含む。キャップが本体に取り付けられ、環境による損傷から針を保護し、かつ針による傷害から使用者を保護するように針を封入する。一般に、ニードルシールドは、針の汚染を防ぐために、針の密着カバーとしても提供される。従来は、注射前にキャップとニードルシールドの両方を別々に取り外して、針を露出させる。
器用さに乏しい高齢のまたは身体に障害のある患者によって注射デバイスがしばしば使用され、そのような患者がニードルシールドを取り外すのに困難を覚える場合があることを理解されたい。
本発明の目的は、上記の問題に対処し、改善された注射デバイスを提供することである。
本発明によれば、液体薬剤を送達するための自動注射デバイスであって、注射器本体と、注射器本体に受け入れられるシリンジと、注射器本体の開口部へ延びるようにシリンジの第1の端部に配置された針と、針を封入するようにシリンジに取り外し可能に取り付けられたニードルシールドと、ニードルシールドを封入するように注射器本体の開口部に取り外し可能に受け入れられる注射器キャップとを含み、ここで、注射器キャップは、ニードルシールドと係合する少なくとも1つの係合要素を含み、ニードルシールドは、断裂部分を含み、少なくとも1つの係合要素は、キャップが本体から取り外されるときに断裂部分を断裂させるように構成され、少なくとも1つの係合要素は、ニードルシールドの少なくとも一部と係合して、キャップが本体から取り外されるときにキャップ内にニードルシールドの少なくとも一部を保持するように構成された、自動注射デバイスが提供される。
従来の注射デバイスは、デバイスを注射準備完了にするために、使用者にキャップとニードルシールドとを別々に取り外して針を露出させることを必要とする。高齢者または身体障害者のような虚弱患者は、取り扱いを困難にするニードルシールドの小さなサイズ故に、キャップを取り外すことよりもニードルシールドを取り外すことがより困難であると思う可能性があることを理解されたい。本発明によれば、ニードルシールドは、キャップを取り外すのと同じ操作で取り外され、それにより、虚弱患者にとってデバイスの使用がより容易になる。
断裂部分は弱化線(line of weakening)を含むことができる。
したがって、ニードルシールドの少なくとも一部を取り外すのに必要な力は、虚弱患者のために低減される。
弱化線は、ニードルシールドの外側表面の周りに延びるノッチであり得る。
ノッチは、弱化線に沿ってニードルシールドの少なくとも一部を分離するために係合要素が接して位置できる縁部を提供する。
少なくとも1つの係合要素は、キャップの内側表面から垂下し、ニードルシールドの外側表面に対して付勢された一対のばねアームを含むことができるため、キャップが取り外されると、ばねアームの端部がノッチの縁部に接して位置し、前記縁部に対して反応し、ニードルシールドの少なくとも一部を弱化線に沿って分離させる。
ばねアームは、ニードルシールドの側面に対して付勢するため、キャップが取り外されると、ばねアームがノッチの前記縁部に接して位置するようにノッチ内へ付勢される。
少なくとも1つの係合要素は、キャップの内側表面から垂下し、ノッチの縁部と当接するように延びる壁を含むことができるため、キャップが取り外されると、壁の端部が前記縁部に反応して、ニードルシールドの少なくとも一部を弱化線に沿って分離させる。
係合要素は、キャップの内側表面から垂下し、ニードルシールドに向かって延びるブレードを含むことができる。
断裂部分は、シリンジの第1の端部に当接するように配置されたニードルシールドの端部を含むことができ、ブレードは、キャップが本体から取り外されると、前記端部の安定性が低下するようにブレードが前記端部に前記軸方向の切り込みを入れるように前記端部に向かって延びる。
ニードルシールドの安定性が低下することにより、虚弱患者のためにニードルシールドを取り外すのにより少ない力が必要とされる。
ニードルシールドはエラストマー材料で作られ、ニードルシールドの前記端部は、弾性張力によってシリンジの第1の端部に保持され、その結果、キャップが本体から取り外されるとき結果的に生じる軸方向の切り込みが前記弾性張力を解放し、その結果、ニードルシールドがシリンジの第1の端部からより容易に取り外されるようになっている。
したがって、ニードルシールドの少なくとも一部を取り外すのに必要な力は、虚弱患者のために低減される。
キャップは、キャップの内側表面から垂下した止め具を含むことができ、ニードルシールドは、ニードルシールドの近位端に取り付けられた取り付け止め具を含み、その結果、キャップが本体から取り外されるとき、ニードルシールドをキャップ内に保持して針を露出させるように止め具と取り付け止め具とが当接する。
したがって、ニードルシールドは、虚弱患者のために、キャップを取り外す単一の工程でシリンジから取り外される。
また、本発明によれば、その針を封入するように自動注射デバイスのシリンジに取り外し可能に取り付けるためのニードルシールドと、ニードルシールドを封入するように自動注射デバイスの本体に取り外し可能に取り付けるための注射器キャップとを含む自動注射デバイスのためのキャップアセンブリが提供される。注射器キャップは、ニードルシールドと係合する少なくとも1つの係合要素を含み、ニードルシールドは断裂部分を含む。少なくとも1つの係合要素は、キャップが本体から取り外されるときに断裂部分を断裂させるように構成され、少なくとも1つの係合要素は、ニードルシールドの少なくとも一部と係合して、キャップが本体から取り外されるときにキャップ内にニードルシールドの少なくとも一部を保持するように構成される。
本発明によれば、液体薬剤のカートリッジを含む上述の自動注射デバイスが提供される。
本明細書では同じ意味で用いられる用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味する。
用語「薬物送達デバイス」は、薬物をヒトまたは非ヒトの体(獣医学的用途は本開示によって明確に企図される)に直ちに投薬するように設計された任意のタイプのデバイス、システムまたは装置を包含するものと理解される。「直ちに投薬する」とは、薬物送達デバイスからの薬物の放出とヒトまたは非ヒト体への投与との間に、使用者による薬物の任意の必要な中間操作の不在を意味する。限定するものではないが、薬物送達デバイスの典型的な例は、注射デバイス、吸入器、および胃管栄養システムにおいて見出される。再び限定するものではないが、例示的な注射デバイスとしては、例えば、シリンジ、自動注射器、注射ペンデバイス、および脊髄注射システムが挙げられる。
本発明が完全に理解されるように、本発明の実施形態を添付の図面を参照して説明する。
キャップが取り付けられた自動注射器を示す。 キャップが取り外された図1Aの自動注射器を示す。 本発明の一実施形態によるキャップが取り付けられた自動注射器の部分図を示す。 キャップが第1の位置まで部分的に取り外された図2Aの自動注射器の部分図を示す。 キャップが第2の位置まで部分的に取り外された図2Aの自動注射器の部分図を示す。 本発明の別の実施形態によるキャップが取り付けられた自動注射器の部分図を示す。 キャップが第1の位置まで部分的に取り外された図3Aの自動注射器の部分図を示す。 キャップが第2の位置まで部分的に取り外された図3Aの自動注射器の部分図を示す。
本明細書に記載の薬物送達デバイスは、患者に薬剤を注射するように構成されている。例えば、送達は、皮下、筋肉内、または静脈内であり得る。このようなデバイスは、患者または看護師もしくは医師のような介護者によって操作され、様々なタイプの安全シリンジ、ペン注射器、または自動注射器が挙げられる。このデバイスには、使用前に封止されたアンプルを穿孔することを必要とするカートリッジベースのシステムが含まれる。これらの様々なデバイスを用いて送達される薬剤の容量は、約0.5ml〜約2mlの範囲であり得る。さらに別のデバイスとしては、ある期間(例えば、約5分、約15分、約30分、約60分、または約120分)患者の皮膚に付着させて、(通常、約2ml〜約10mlの)「大量」の薬剤を送達するように構成された大容量デバイス(「LVD」)またはパッチポンプが挙げられる。
本明細書に記載されたデバイスは、特定の薬剤と組み合わせて、要求される仕様の範囲内で動作するようにカスタマイズすることもできる。例えば、デバイスは、一定期間内(例えば、自動注射器については約3〜約20秒、LVDについては約10分〜約60分)に薬剤を注射するようにカスタマイズすることができる。他の仕様としては、低レベルもしくは最小限のレベルの不快感、または人的要因、貯蔵寿命、有効期限、生体適合性、環境上の考慮事項等に関連する特定の条件が挙げられる。そのような変量は、例えば約3cP〜約50cPの粘度範囲にある薬物のように各種要因に起因し得る。結果として、薬物送達デバイスは、約25ゲージ〜約31ゲージの範囲の中空針を含むことが多い。一般的なサイズは27および29ゲージである。
本明細書に記載の送達デバイスは、1つまたはそれ以上の自動化機能を含むこともできる。例えば、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの1つまたはそれ以上を自動化することができる。1つまたはそれ以上のエネルギー源によって、1つまたはそれ以上の自動化工程のためのエネルギーが提供される。エネルギー源としては、例えば、機械的エネルギー、空気圧エネルギー、化学的エネルギーまたは電気的エネルギーが挙げられる。例えば、機械的エネルギー源としては、ばね、てこ、エラストマー、またはエネルギーを貯蔵または放出するための他の機械的機構が挙げられる。1つまたはそれ以上のエネルギー源を単一のデバイスに組み合わせることができる。デバイスとしてはさらに、歯車、弁、またはエネルギーをデバイスの1つまたはそれ以上の部品の運動に変換する他の機構が挙げられる。
自動注射器の1つまたはそれ以上の自動化機能は、それぞれ起動メカニズムを介して起動される。このような起動機構は、ボタン、レバー、ニードルスリーブ、または他の起動部品のうちの1つまたはそれ以上が挙げられる。自動化機能の起動は、1段階または多段階プロセスであり得る。すなわち、使用者は、自動化機能を発揮させるために、1つまたはそれ以上の起動部品を起動する必要があり得る。例えば、1段階プロセスでは、使用者は、薬剤の注射を引き起こすために、ニードルスリーブを使用者の体に押し下げることができる。他のデバイスは、自動化機能の多段階起動を必要とし得る。例えば、使用者は、注射を引き起こすためにボタンを押し下げてニードルシールドを後退させることが要求される。
さらに、ある自動化機能の起動は、1つまたはそれ以上の後続の自動化機能を起動し、それによって起動シーケンスを形成することができる。例えば、第1の自動化機能の起動により、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの少なくとも2つを起動できる。また、いくつかのデバイスは、1つまたはそれ以上の自動化機能を実行するために、特定の工程のシーケンスを必要とする場合がある。他のデバイスは、独立した工程のシーケンスにより動作できる。
いくつかの送達デバイスは、安全シリンジ、ペン注射器、または自動注射器のうちの1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。例えば、送達デバイスは、(自動注射器に典型的に見られるような)薬剤を自動で注射するように構成された機械的エネルギー源と、(ペン注射器に典型的に見られるような)用量設定機構とを備えることができる。
本開示のいくつかの実施形態によれば、例示的な薬物送達デバイス10が図1Aおよび1Bに示されている。上述したように、デバイス10は、患者の体内に薬剤を注射するように構成されている。デバイス10は、典型的には、注射される薬剤を収容するリザーバ(例えばシリンジ)および送達プロセスの1つまたはそれ以上の工程を容易にするための必要な部品とを収容するハウジング11を備える。デバイス10はまた、ハウジング11に取り外し可能に取り付けられるキャップアセンブリ12を備え得る。典型的には、使用者は、デバイス10が操作される前にキャップ12をハウジング11から取り外さなければならない。
図示されるように、ハウジング11は、略円筒形であり、長手方向軸Xに沿って略一定の直径を有する。ハウジング11は、遠位領域20と近位領域21とを有する。用語「遠位」は、注射部位に比較的近い位置を指し、用語「近位」は、注射部位から比較的離れた位置を指す。デバイス10は、ハウジング11に連結されたニードルスリーブ13を備えて、ハウジング11に対してスリーブ13を動かすこともできる。例えば、スリーブ13は、長手方向軸Xに平行な長手方向に動かすことができる。具体的には、スリーブ13の近位方向への動きは、針17がハウジング11の遠位領域20から延びることを可能にし得る。
針17の挿入は、いくつかの機構を介して行うことができる。例えば、針17は、ハウジング11に対して固定して配置され、最初は延びたニードルスリーブ13内に位置する。スリーブ13の遠位端を患者の体に当てて、ハウジング11を遠位方向に動かすことによってスリーブ13が近位方向に動かすと、針17の遠位端が露出する。このような相対運動により、針17の遠位端が患者の体内へ延びる。このような挿入は、スリーブ13に対して患者が手でハウジング11を動かすことを介して針17が手動で挿入されるとき、「手動」挿入と呼ばれる。
別の形態の挿入は「自動化された」ものであり、それによって針17がハウジング11に対して動かす。このような挿入は、スリーブ13の動きによって、または例えばボタン22のような別の形態の起動によって引き起こされる。図1Aおよび図1Bに示すように、ボタン22は、ハウジング11の近位端に配置される。しかしながら、他の実施形態では、ボタン22は、ハウジング11の側面に配置される。
他の手動または自動化機能には、薬物注射または針後退、またはその両方が含まれる。注射は、栓またはピストン23をシリンジ(図示せず)内の近位位置からシリンジ内のより遠位の位置まで動かして、薬剤を針17を通してシリンジから押し出すプロセスである。いくつかの実施形態では、駆動ばね(図示せず)は、デバイス10が起動される前は圧縮されている。駆動ばねの近位端は、ハウジング11の近位領域21内に固定され、駆動ばねの遠位端は、ピストン23の近位面に圧縮力を加えるように構成される。起動後、駆動ばねに貯蔵されたエネルギーの少なくとも一部は、ピストン23の近位面に加えられる。この圧縮力は、ピストン23に作用して、ピストン23を遠位方向に動かす。そのような遠位運動は、液体薬剤をシリンジ内で圧縮し、針17から押し出すように作用する。注射後、針17はスリーブ13またはハウジング11内に後退される。使用者がデバイス10を患者の体から取り除くときにスリーブ13が遠位方向に動かすと、後退が起こり得る。これは、針17がハウジング11に対して固定して配置されたままであるときに起こり得る。スリーブ13の遠位端が針17の遠位端を越えて動き、針17が覆われると、スリーブ13がロックされる。このようなロックは、ハウジング11に対するスリーブ13の近位運動をロックすることを含み得る。
別の形式の針の後退は、針17がハウジング11に対して動く場合に起こり得る。このような動きは、ハウジング11内のシリンジがハウジング11に対して近位方向に動いた場合に起こり得る。この近位方向の動きは、遠位領域20に配置された後退ばね(図示せず)を使用することによって達成される。圧縮された後退ばねは、起動されると、十分な力をシリンジに供給してシリンジを近位方向に動かすことができる。十分な後退に続いて、針17とハウジング11との間の相対運動は、ロッキング機構によってロックされる。さらに、ボタン22またはデバイス10の他の部品は、必要に応じてロックされる。
図2Aおよび図3Aでは、本発明の第1および第2の図示した実施形態それぞれによる自動注射器が示される。図2Aおよび図3Aでは、それぞれの前記自動注射器はキャップ12を取り付けた状態で示される。両実施形態に共通する点として、ニードルシールド25が針17を封入するように提供されている。ニードルシールド25は、針17が受け入れられる開口端を備えた細長チューブである。ニードルシールド25の内側表面がシリンジ18の外側表面にしっかりと当接してそこにニードルシールド25を保持するように、ニードルシールド25の開口端はシリンジ18の遠位端上に受け入れられる。
キャップ12は、キャップ12の円筒壁121の外側表面がスリーブ13の内側表面にしっかりと当接してキャップ12をそこで保持した状態でスリーブ13内に受け入れられる。キャップ12が取り付けられた状態で、キャップ12の円筒壁121の内側表面は、ニードルシールド25の外側表面に面しており、そこからわずかに離間されている。ニードルシールド25とキャップ12とを合わせてキャップアセンブリと呼ぶ。
キャップ12の端壁122は、キャップ12を取り外すときに自動注射器の使用者が引っ張るための表面を提供するために、スリーブ13の周辺部を越えて外側に延びる延長部分123を有する。
注射が行われる前に、キャップ12およびニードルシールド25の少なくとも一部をデバイスから取り外して針17を露出させなければならない。本発明によれば、キャップ12は、キャップ12が取り外されると、係合要素が断裂部分を断裂させて、ニードルシールド25の少なくとも一部をシリンジ18から取り外すようにニードルシールド25の断裂部分に係合する係合要素を含む。ニードルシールドの少なくとも一部は、針17を露出させるために取り外されるときにキャップ内に保持される。
図2A〜図2Cに示す本発明の第1の図示した実施形態では、係合要素は、キャップ12の円筒壁121の内側表面から垂下し、内側表面から離れてニードルシールド25の外側表面と当接するように斜めに延びる一対の細長アーム30を含む。アーム30は、アーム30の先端32をニードルシールド25に向けて上に付勢するねじりばね31によって内側表面に取り付けられている。
本実施形態では、ニードルシールド25の断裂部分は、ニードルシールド25の外側表面の周囲に形成されたノッチ26を含む。ノッチ26は、ニードルシールド25の針を封入した部分27が、キャップ12が取り外されたときにシリンジ18から分離できるようにする弱化線として機能する。シリンジ18から分離されたニードルシールド25の前記部分27は、ここでは分離可能部分27と呼ばれる。分離可能部分27は、キャップ12が取り外されて針17を露出させるときにキャップ12内に保持される。
キャップ12を取り外すには、使用者がキャップ12の延長部分123を引っ張り、そうすることで軸方向の力がキャップ12に加えられ、キャップ12をスリーブ13から遠位方向に離れるように変位させる。キャップ12が取り外されると、アーム30の先端32は、図2Bに示すように、ノッチ26の遠位縁部と係合する係合位置に動かす。キャップ12に加えられた軸方向の力は、アーム30を通ってノッチ26の前記縁部に伝達され、ニードルシールド25の分離可能部分27と反応して弱化線を断裂させ、ニードルシールド25の分離可能部分27は弱化線に沿ってシリンジ18から分離する。
第1の実施形態の一例では、アーム30の先端32が互いに向かい合うように配置されるため、キャップ12が取り外されると、ニードルシールド25のノッチ26がアーム30の向かい合った先端32の間に挟まれる。この挟む動作は、弱化線において局所的な応力を増大させ、ニードルシールド25の分離可能部分27のシリンジ18からの分離を促すことを理解されたい。
図2Cに示されているようにニードルシールド25の分離可能部分27がシリンジ18から分離された状態で、アーム30はねじりばね31の動作により閉位置へ回転し、対応する止め具33に当接する。アーム30が閉位置に配置された状態では、アーム30は、キャップ12の開口部を部分的に塞ぐように、キャップ12の内側表面に対して直交して配置される。アーム30は、ニードルシールド25の分離可能部分27が、キャップ12の向きにかかわらず開口部を通過するのを防止する程度までキャップ12の開口部を横切るように延びる。
上述の第1の実施形態では、一対の細長アーム30が設けられているが、本実施形態の他の実施例では、3つ以上のアーム30が設けられることを理解すべきである。
上述した第1の実施形態では、アーム30がねじりばね31によって取り付けられているが、本実施形態の図示されていない別の実施例では、アームがキャップ12の内側表面に直接取り付けられている。例えば、アームは、キャップ12と一体形成される。このような例では、アームは弾性的に変形可能であり、ニードルシールド25に対して付勢されている。キャップ12が取り外されると、弾性アームの先端は、ノッチ26の遠位縁部と係合する係合位置へ動いて分離可能部分27を分離する。ニードルシールド25の分離可能部分27がシリンジ18から分離された状態で、弾性アームは、弾性アームがキャップ12の開口部を部分的に塞ぐように配置された閉位置へ動かす。弾性アームは、ニードルシールド25の分離可能部分27が、キャップ12の向きにかかわらず開口部を通過するのを防止する程度までキャップ12の開口部を横切るように延びる。
別の(図示されていない)実施形態では、係合要素は、キャップ12の内側表面から垂下する壁を含む。壁は、弾力的に変形可能であり、キャップの内側表面の周りに円周方向に延び得る。キャップ12が上述のように自動注射器に取り付けられた状態で、壁はノッチ26の遠位縁部に当接するように延びる。したがって、キャップ12が取り外されると、キャップ12に加えられた軸方向の力は、壁を通ってノッチ26の前記縁部に伝達され、ニードルシールド25の分離可能部分27と反応し、ニードルシールド25の分離可能部分27は弱化線に沿ってシリンジ18から分離する。壁は、ニードルシールド25の分離可能部分27が、キャップ12の向きにかかわらず開口部を通過するのを防止するようにキャップ12の開口部を部分的に塞ぐ。
別の(図示されていない)実施形態では、係合要素は、ニードルシールド25の分離可能部分27の外側表面から垂下する第1の止め具と、キャップ12の内側表面から垂下する第2の止め具とを含み、第1および第2の止め具はそれぞれ対向する表面を有する。第2の止め具は、第1の止め具よりも近位領域21の近くに配置されるため、キャップ12が取り外されると、止め具のそれぞれの対向する表面が当接して、キャップ12に加えられた軸方向の力をニードルシールド25の分離可能部分27に伝達し、ニードルシールド25の分離可能部分27は弱化線に沿ってシリンジ18から分離する。
このような実施形態では、第1の止め具と第2の止め具との境界面は、ニードルシールド25の分離可能部分27が、キャップ12の向きにかかわらずキャップ12の開口部を通過するのを防止することを理解されたい。
図3A〜図3Cに示す第2の図示した実施形態をここで参照すると、係合要素は、キャップ12の内側表面から垂下するブレード40を含む。ブレード40は、キャップ12が取り外されると、ニードルシールド25の断裂部分に軸方向の切り込みを入れるように構成された前縁41を有する。本実施形態では、断裂部分は、シリンジ18の遠位端の上に配置されたニードルシールド25の部分を含む。ブレード40の前縁41は、断裂部分に隣接して配置されるため、キャップ12が取り外されると、ブレード40の前縁41は、断裂部分に軸方向の切り込みを入れる。したがって、切り込みは、ニードルシールド25がシリンジ18の遠位端に当接しているニードルシールド25の外側表面を通って延びる。切り込みによって、シリンジ18の近位端と接触しているニードルシールド25の部分の安定性を低下させるため、取り外しが容易である。換言すれば、ニードルシールド25がより不安定な状態になることにより、ニードルシールド25を取り外すために必要な軸方向の力は低減される。
本実施形態の一例では、ニードルシールド25はエラストマー材料から作られ、ニードルシールド25は、弾性張力によってシリンジ18の遠位端としっかり当接するように保持される。このような実施形態では、断裂部分は、ニードルシールド25がシリンジ18に当接する壁厚が増大した領域であってもよい。キャップ12が取り外されると、ブレード40の前縁41は、図3Bに示されているように壁厚が増大した領域に軸方向の切り込みを入れる。軸方向の切り込みにより弾性張力が部分的に解放されるため、ニードルシールド25はわずかにのみシリンジ18に当接し、それによってニードルシールド25をシリンジ18から取り外すのに必要とされる軸方向の力を低減させる。
第2の図示された実施形態によれば、キャップ12の内側表面から垂下した止め具124を含むさらなる係合要素が設けられ、ニードルシールド25の外側表面から垂下している取り付け止め具24も設けられている。止め具124は、取り付け止め具24よりも近位領域21の近くに配置されるため、キャップ12が取り外されると、図3Cに示すように、止め具124と取り付け止め具24とが当接して、キャップ12に加えられた軸方向の力をニードルシールド25に伝達し、ニードルシールド25がキャップ12と共にシリンジ18から取り外される。したがって、キャップアセンブリ全体が取り外される。止め具124および取り付け止め具24は、ニードルシールド25がシリンジ18から取り外される前に安定性が低下するように、壁厚が増大した領域28の幅に少なくとも同等の距離だけ軸方向に離間しており、それによりニードルシールド25を取り外すために必要とされる力を低減する。
止め具124と取り付け止め具24との境界面は、ニードルシールド25が、キャップ12の向きにかかわらずキャップ12の開口部を通過するのを防止することにより、キャップ12が取り外されると、ニードルシールド25は、キャップ12に保持されて針17を露出させることを理解されたい。
用語「薬物」または「薬剤」は、本明細書において同意語として使用され、1つまたはそれ以上の医薬品有効成分または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物と、場合により、薬学的に許容される担体とを含む医薬製剤を示す。医薬品有効成分(「API」)とは、最も広範な言い方で、ヒトまたは動物に生物学的影響を及ぼす化学構造のことである。薬理学では、薬物または薬剤が、疾患の処置、治療、予防、または診断に使用され、またはそれとは別に、身体的または精神的健康を向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限られた継続期間、または慢性疾患では定期的に、使用される。
以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、様々なタイプの製剤の少なくとも1つのAPI、またはその組み合わせを含むことができる。APIの例としては、分子量が500Da以下である低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(例えばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが含まれ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込まれる。1つまたはそれ以上の薬物の混合物もまた企図される。
用語「薬物送達デバイス」は、薬物または薬剤をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。それだけには限らないが、薬物送達デバイスは、注射デバイス(例えばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、潅流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(例えば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(例えば鼻用または肺用)、埋め込み型デバイス(例えば、薬物またはAPIコーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここで説明される薬物は、例えば24以上のゲージ数を有する、例えば皮下針である針を含む注射デバイスでは特に有用であり得る。
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含まれる。薬物容器は、例えば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つもしくはそれ以上の薬物の保存(例えば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の固体もしくは可撓性の容器とすることができる。例えば、場合によって、チャンバは、少なくとも1日(例えば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を収納するように設計される。場合によって、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計される。保存は、室温(例えば約20℃)または冷蔵温度(例えば約−4℃から約4℃まで)で行うことができる。場合によって、薬物容器は、投与予定の医薬製剤の2つまたはそれ以上の成分(例えばAPIおよび希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成される。例えば、2つのチャンバは、これらが(例えば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成される。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成される。
本明細書において説明される薬物送達デバイス内に含まれる薬物または薬剤は、数多くの異なるタイプの医学的障害の処置および/または予防に使用される。障害の例としては、例えば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症が含まれる。障害の別の例としては、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチがある。APIおよび薬物の例としては、例えば、それだけには限らないが、ハンドブックのRote Liste 2014、主グループ12(抗糖尿病薬物)または主グループ86(腫瘍薬物)、およびMerck Index、第15版などに記載されているものがある。
1型もしくは2型の糖尿病、または1型もしくは2型の糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、GLP−1類似体もしくはGLP−1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの任意の混合物が含まれる。本明細書において使用される用語「類似体」および「誘導体」は、元の物質と構造的に十分に類似しており、それによって同様の機能または活性(例えば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。特に、用語「類似体」は、天然のペプチドの構造、例えばヒトのインスリンの構造から、天然のペプチド中に見出される少なくとも1つのアミノ酸残基を欠失させるおよび/もしくは交換することによって、ならびに/または少なくとも1つのアミノ酸残基を付加することによって式上で得られる分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換されるアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基、または他の天然の残基もしくは完全に合成によるアミノ酸残基とすることができる。インスリン類似体は「インスリン受容体リガンド」とも呼ばれる。特に、用語「誘導体」は、1つまたはそれ以上の有機置換基(例えば、脂肪酸)が1つまたはそれ以上のアミノ酸に結合している、天然のペプチドの構造、例えばヒトのインスリンの構造から式上で得られる分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然のペプチド中に見出される1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失され、かつ/もしくはコード不可能なアミノ酸を含む他のアミノ酸によって置換されていてもよく、または、コード不可能なアミノ酸を含むアミノ酸が、天然のペプチドに付加されていてもよい。
インスリン類似体の例としては、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置換されているヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンがある。
インスリン誘導体の例としては、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;Lys(B29)(N−テトラデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、Levemir(登録商標))、B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ω−カルボキシヘプタデカノイル−γ−L−グルタミル−des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標))、B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンがある。
GLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニストの例としては、例えば、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標)、エキセナチド(エキセンディン−4、Dyetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Victoza(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(Syncria(登録商標))、デュラグルチド(Trulicity(登録商標))、rエキセンディン−4、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、ラングレナチド/HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン(Eligen)、ORMD−0901、NN−9924、NN−9926、NN−9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、GSK−2374697、DA−3091、MAR−701、MAR709、ZP−2929、ZP−3022、TT−401、BHM−034、MOD−6030、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド−XTENおよびグルカゴン−Xtenがある。
オリゴヌクレオチドの例としては、例えば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセンナトリウム(Kynamro(登録商標))がある。
DPP4阻害剤の例としては、ビルダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンがある。
ホルモンの例としては、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストが含まれる。
多糖類の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、例えば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩が含まれる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、ハイランG−F20(Synvisc(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例には、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)フラグメントが含まれる。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(例えばネズミ)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。例えば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、これはFc受容体との結合を支持せず、例えば、突然変異した、または欠失したFc受容体結合領域を有する。用語の抗体はまた、四価二重特異性タンデム免疫グロブリン(TBTI)および/または交差結合領域の配向性を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗体結合分子を含む。
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(例えば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペプチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントは、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、単一特異性抗体フラグメント、または二重特異性、三重特異性、四重特異性および多重特異性抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの多重特異性抗体フラグメント、一価抗体フラグメント、または二価、三価、四価および多価抗体などの多価抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例が当技術分野で知られている。
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
抗体の例としては、アンチPCSK−9mAb(例えばアリロクマブ)、アンチIL−6mAb(例えばサリルマブ)、およびアンチIL−4mAb(例えばデュピルマブ)がある。
本明細書において説明される任意のAPIの薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける薬物または薬剤の使用に企図される。薬学的に許容される塩は、例えば酸付加塩および塩基性塩である。
当業者であれば、本明細書に記載のAPI、処方、装置、方法、システムおよび実施形態の様々な部品の改変(追加および/または削除)が、そのような改変およびあらゆる均等物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなくなされることを理解するであろう。

Claims (11)

  1. 液体薬剤を送達するための自動注射デバイスであって:
    注射器本体と、
    注射器本体に受け入れられるシリンジと、
    注射器本体の開口部に向かって延びるようにシリンジの第1の端部に配置される針と、
    該針を封入するようにシリンジに取り外し可能に取り付けられたニードルシールドと、
    該ニードルシールドを封入するように注射器本体の開口部に取り外し可能に受け入れられる注射器キャップとを含み、
    ここで、該注射器キャップは、ニードルシールドと係合する少なくとも1つの係合要素を含み、ニードルシールドは、断裂部分を含み、少なくとも1つの係合要素は、キャップが本体から取り外されるときに断裂部分を断裂させるように構成され、少なくとも1つの係合要素は、ニードルシールドの少なくとも一部と係合して、キャップが本体から取り外されるときにキャップ内にニードルシールドの少なくとも一部を保持するように構成された、前記自動注射デバイス。
  2. 断裂部分は弱化線を含む、請求項1に記載の自動注射デバイス。
  3. 弱化線は、ニードルシールドの外側表面の周りに延びるノッチである、請求項2に記載の自動注射デバイス。
  4. 少なくとも1つの係合要素は、キャップの内側表面から垂下し、ニードルシールドの外側表面に対して付勢された一対のばねアームを含み、その結果、キャップが取り外されるとき、ばねアームの端部がノッチの縁部に接して位置し、縁部に対して反応し、ニードルシールドの少なくとも一部を弱化線に沿って分離させる、請求項3に記載の自動注射デバイス。
  5. 少なくとも1つの係合要素は、キャップの内側表面から垂下し、ノッチの縁部と当接するように延びる壁を含み、その結果、キャップが取り外されるとき、壁の端部が前記縁部に反応して、ニードルシールドの少なくとも一部を弱化線に沿って分離させる、請求項3に記載の自動注射デバイス。
  6. 少なくとも1つの係合要素は、キャップの内側表面から垂下し、ニードルシールドに向かって延びるブレードを含む、請求項1に記載の自動注射デバイス。
  7. 断裂部分は、シリンジの第1の端部に当接するように配置されたニードルシールドの端部であり、ブレードは、キャップが本体から取り外されると、前記端部の安定性が低下するようにブレードが前記端部に軸方向の切り込みを入れるように前記端部に向かって延びる、請求項6に記載の自動注射デバイス。
  8. ニードルシールドはエラストマー材料で作られ、ニードルシールドの端部は、弾性張力によってシリンジの第1の端部に保持され、その結果、キャップが本体から取り外されるとき結果的に生じる軸方向の切り込みが前記弾性張力を解放し、その結果、ニードルシールドがシリンジの第1の端部からより容易に取り外されるようになっている、請求項7に記載の自動注射デバイス。
  9. 少なくとも1つの係合要素は、キャップの内側表面から垂下した止め具を含み、ニードルシールドは、ニードルシールドの近位端に取り付けられた取り付け止め具を含み、その結果、キャップが本体から取り外されるとき、ニードルシールドをキャップ内に保持して針を露出させるように止め具および取り付け止め具が当接する、請求項8に記載の自動注射デバイス。
  10. 自動注射デバイスのためのキャップアセンブリであって、
    その針を封入するように自動注射デバイスのシリンジに取り外し可能に取り付けるためのニードルシールドと、
    ニードルシールドを封入するように自動注射デバイスの本体に取り外し可能に取り付けるための注射器キャップとを含み、
    ここで、該注射器キャップは、ニードルシールドと係合する少なくとも1つの係合要素を含み、ニードルシールドは、断裂部分を含み、少なくとも1つの係合要素は、キャップが本体から取り外されるときに断裂部分を断裂させるように構成され、少なくとも1つの係合要素は、ニードルシールドの少なくとも一部と係合して、キャップが本体から取り外されるときにキャップ内にニードルシールドの少なくとも一部を保持するように構成された、前記キャップアセンブリ。
  11. 液体薬剤のカートリッジを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動注射デバイス。
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