JP2018532742A - 免疫応答を誘導するための方法および手段 - Google Patents

免疫応答を誘導するための方法および手段 Download PDF

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Abstract

本発明は所定の時間枠内に危険シグナルを連続的に投与することを含む相乗的な方法でI型インターフェロン産生を呈する免疫応答を誘導するための方法に関する。本発明は特に免疫調節、免疫療法およびワクチン接種に有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は危険シグナル(具体的にはプロタミンおよびRNAを含む粒子)の2回の逐次投与を含む免疫応答を誘導するための方法、および当該方法を行うための手段に関する。本発明の方法は特に免疫調節およびワクチン接種に有用である。
免疫細胞は「危険シグナル」と呼ばれる分子または複合体により受容体(例えばToll様受容体または細胞質性受容体(例えばRIG−I))の誘発を介して刺激されることができる。これらの危険シグナルの一つはRNAである。それはTLR7、TLR8、TLR3およびTLR13、ならびにRIG−IおよびMDA−5によって認識されることができる。特定の条件下(すなわち低塩)で、プロタミンとRNAは細胞中でRNAを送達することができるナノ粒子を作り出すことができ、免疫性受容体を刺激して、それにより、免疫細胞の活性化、すなわち細胞の成熟、およびサイトカインの分泌を誘導することがこれまでに示された(Rettig L. et al., 2010, Blood 115, 4533-4541およびWO2009/144230)。これらの粒子は、例えば形質細胞様樹状細胞またはTLR8に取り込まれたとき、または、例えば単球に取り込まれたとき、TLR7を活性化することができる。
本発明はプロタミン−RNA粒子(特に450nm未満のもの)は一度静脈内に注入されると中程度の免疫応答を誘導するという知見に基づく。しかしながら、6時間未満の時間範囲内でそれらが2回注入されると、例えばI型インターフェロン(特にインターフェロンα)の高産生に映し出されるように、強力な免疫応答を誘導する。注目すべきは、炎症性サイトカイン(例えばTNFα)はこの注射プロトコルによっては相乗的には誘導されない。我々はさらに、この相乗的なインターフェロンαの誘導はインターフェロン−α/β受容体(IFNAR)に依存することを見出した。加えて、我々は、当該ダブル注射プロトコルはマウスにおける株化腫瘍を治療することができるが、プロタミン−RNA粒子の総投与量の単回注射では治療しないことを明かにした。加えて、別の危険シグナル(例えば二本鎖RNA(dsRNA、TLR3のリガンド)、イミキモド(TLR7のリガンド)、またはCpG DNA(TLR9のリガンド))の2時間後にプロタミン−RNA粒子が注入されたとき、インビボにおける高いインターフェロンα誘導が見られる。したがって、プロタミン−RNA粒子注射後の増強されたI型インターフェロン産生はプロタミン−RNA粒子または別の危険シグナルの注射を用いる6時間未満内の前処置によって達成される。
第1の態様において、本発明は、対象において免疫応答を誘導するための方法に関し、当該方法は、
該対象に第1組成物の投与後に第2組成物を投与することを含み、
第1組成物および第2組成物は各々、(i)危険シグナル;および(ii)医薬的に許容される担体を含み、
第1組成物および第2組成物は相乗的な免疫応答を誘導する時間の範囲内に投与される。
1つの実施形態において、第1組成物および第2組成物がその時間の範囲内で投与される時の該時間は、約7時間、好ましくは約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、または約30分である。1つの実施形態において、第2組成物は、第1組成物の投与から、7時間以内、6時間以内、5時間以内、4時間以内、3時間以内、2時間以内、または1時間以内に投与される。1つの実施形態において、第2組成物は第1組成物の投与から少なくとも15分後、少なくとも30分後、少なくとも1時間後、または少なくとも1.5時間後に投与される。1つの実施形態において、第2組成物は第1組成物の投与から0.5〜7時間後または1〜6時間後に投与される。
1つの実施形態において、危険シグナルはToll様受容体アゴニストであり、および/または該危険シグナルはI型インターフェロンを誘導する。1つの実施形態において、Toll様受容体アゴニストはRNA(一本鎖RNAおよび二本鎖RNAを含む);RNAを含む粒子(ここで該RNAはカチオン性ポリマーもしくは脂質、またはカチオン性ポリマーおよび脂質の両方と会合(associate)している);CpGモチーフを含有する非メチル化DNA;イミキモド;およびレシキモドからなる群から選択される。1つの実施形態において、該カチオン性ポリマーはプロタミン、ポリエチレンイミン、ポリ−L−リジン、ポリ−L−アルギニンおよびヒストンからなる群から選択される。1つの実施形態において、該粒子はRNAおよびプロタミンを含む。1つの実施形態において、該プロタミン−RNA粒子は約10nm〜約990nm、約10nm〜約750nm、約10nm〜約450nm、約50nm〜約450nm、約50nm〜約100nm、または約90nm〜約110nmの範囲のサイズを有する。1つの実施形態において、該プロタミン−RNAナノ粒子はプロタミン:RNAの質量比が約16:1〜約1:2、約8:1〜約1:2、または約4:1〜約1:2である。
第1組成物および第2組成物における危険シグナルは同一であっても異なってもよい。本発明の方法の1つの実施形態において、第1組成物および第2組成物における危険シグナルはToll様受容体(TLR)アゴニストである。本発明の方法の1つの実施形態において、第1組成物における危険シグナルはTLR3、7、8、9および/または13アゴニストであり、かつ、第2組成物における危険シグナルはTLR7および/または8アゴニストである。本発明の方法の1つの実施形態において、第1および/または第2組成物における危険シグナルはプロタミン−RNAナノ粒子である。
1つの実施形態において、該RNAはオリゴヌクレオチドまたはメッセンジャーRNAである。1つの実施形態において、該RNAは少なくとも1つのUヌクレオチドまたは少なくとも1つのGヌクレオチド、または少なくとも1つのUヌクレオチドおよび少なくとも1つのGヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、該RNAは修飾RNAである。
本発明の方法の1つの実施形態において、該誘導される免疫応答が、第1組成物および第2組成物の投与(逐次投与)の対象から得られた血清中のI型インターフェロン発現(該I型インターフェロンは好ましくはインターフェロンαである)において、これら組成物の一方のみの投与と比較して、および/または、両組成物の同時投与と比較して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍の増加として検出される。
本発明の方法の1つの実施形態において、該誘導される免疫応答は第1組成物および第2組成物(逐次投与)の両方の投与後の対象から得られた血清中に、両組成物の同時投与と比較して、TNFα発現の増加または減少を示さない。
1つの実施形態において、第2組成物は組換えまたは精製インターフェロンの注射の後に続く。
本発明の方法の1つの実施形態において、第1組成物および/または第2組成物は抗原をさらに含む。
さらなる態様において、本発明は第1容器および第2容器を含むキットに関し、
第1容器は(i)危険シグナル;および(ii)医薬的に許容される担体を含む第1組成物を含有し;および第2容器は(i)危険シグナル;および(ii)医薬的に許容される担体を含む第2組成物を含有し、および
好ましくは該キットは第1組成物および第2組成物が、相乗的な免疫応答が誘導される時間の範囲内に投与されるという指示をさらに含む。
さらなる態様において、本発明は対象における免疫応答の誘導における使用のための第1組成物および第2組成物に関し、第2組成物は第1組成物の投与後に投与され、第1組成物および第2組成物は各々(i)危険シグナル;および(ii)医薬的に許容される担体を含み、第1組成物および第2組成物は、相乗的な免疫応答が誘導される時間の範囲内に投与される。
さらなる態様において、本発明は治療的使用のための第1組成物および第2組成物の使用に関し、第2組成物は第1組成物の投与後に投与され、第1組成物および第2組成物は各々(i)危険シグナル;および(ii)医薬的に許容される担体を含み、第1組成物および第2組成物は、相乗的な免疫応答が誘導される時間の範囲内に投与される。1つの実施形態において、該治療的使用はがんの治療である。
本発明のキット、本発明の使用のための第1組成物および第2組成物、および本発明の使用の実施形態は、本発明の方法のために本明細書に記載した通りである。
本明細書に記載される組成物は医薬組成物であることができ、希釈剤、および/または賦形剤を適宜含んでもよい。該組成物は少なくとも1つのアジュバント(例えばオイルおよび/または少なくとも1つの抗原)をさらに含んでもよい。
適当な細胞の接触または対象への投与の後、本明細書に記載の危険シグナル(例えばプロタミン−RNA粒子)はインターフェロンαを誘導することができる。従って、本発明は免疫システムを刺激するのに有用であり、当該免疫システムの刺激は、好ましくはTLR7、TLR8およびTLR3の1つまたはそれ以上、好ましくはTLR7および/またはTLR8の刺激を伴う。
第1組成物および/または第2組成物の投与は、静脈内、皮下、筋肉内または腫瘍内であってよい。
本発明の他の目的、利点および新規な特徴は下記の詳細な説明を添付の図面と合わせて考慮されることで明らかになるであろう。
プロタミン−RNA粒子のダブル注射はI型インターフェロンの相乗的な産生を誘導するが、TNFαは誘導しない。 RNA(蛍ルシフェラーゼをコードするmRNA)およびプロタミンを純水で0.5mg/mlに希釈した。100μgのRNA(200μL)を100μgのプロタミンIPEX(200μL)と混合し、およそ100nmの粒子を得た。40%グルコースを最終5%グルコースに達するように加え、5%グルコースを、最終の注射可能溶液が10μgのRNA(および10μgのプロタミン)を70μL中に含むように加えた。マウスに70μLを静脈内投与し、6時間(「6h delay」)または5時間(「5h delay」)または4時間(「4h delay」)または2時間(「2h delay」)後に再び、70μLのプロタミン−RNAを投与した。血清を第2注射から3時間後に採取した。コントロールとして、マウスに140μLのプロタミン−RNA溶液を静脈内投与(1回)をした(「単回注射」)。ネガティブコントロールとして、マウスに100μLのグルコース5%(「Glucose 5%)を静脈内投与した。コントロールマウスに関し、血清を注射3時間後に採取した。3マウス/群。インターフェロンαを、血清中、Verikine(商標)ELISAキット(PBL)を用いて測定し、TNFαをeBioscienceELISAキットを用いて測定した。結果は、10μgのRNAをプロタミン粒子(10μgのプロタミン)に含むものの2回の注射は、第2注射が第1注射から2時間後または4時間後になされたとき、20μgのRNAをプロタミン粒子(20μgのプロタミン)に含むものの1回の注射と比べて、数倍のインターフェロンαをインビボでを誘導することを示した。注射間が6時間を超えると、インターフェロンαの誘導に対して相乗的な効果は提供されない。血清中のTNFαでは相乗効果はなく:TNFαの誘導については、20μgのRNAを含むプロタミン粒子(20μgのプロタミン)の単回注射は、10μgのRNAのプロタミン粒子(10μgのプロタミン)を2回注射(2時間または4時間または5時間または6時間をあける)する場合と比較して、実際により効果的である。 I型インターフェロンの誘導については、ダブル注射相乗効果はインターフェロン(アルファおよびベータ)受容体1(IFNAR1)に依存する。 RNA(蛍ルシフェラーゼをコードするmRNA)およびプロタミンを純水を用いて0.5mg/mlに希釈した。100μgのRNA(200μL)を100μgのプロタミンIPEX(200μL)と混合し、それによりおよそ100nmの粒子を得た。40%グルコースを最終5%グルコースとなるように加え、5%グルコースを、最終の注射可能溶液が10μgのRNA(および10μgのプロタミン)を70μL中に含むように加えた。野生型(「BALB/c」、3動物)またはIFNAR1 KO(「IFNAR KO」、2動物)マウスに70μLを静脈内に投与し、2時間後に、再び70μLのプロタミン−RNAを静脈内投与した。血清を第2注射から3時間後に採取した。ネガティブコントロールとして、我々は無処理マウス「Uninjected」の血清を使用した。インターフェロンαを血清中Verikine(商標)ELISAキット(PBL)を用いて測定し、TNFαをeBioscience ELISAキットを用いて測定した。結果は2回注射法によるインビボでのインターフェロンαの相乗的な誘導はIFNAR1を必要とすることを示し:当該相乗効果はIFNAR1 KOマウスでは見られないことを示す。従って、IFNAR1を介するフィードバックループにより、第1プロタミン−RNA粒子注射は免疫システムを増感させ、第2注射に対して強力に応答させる。 イミキモドおよびCpG DNAは後続の注射のプロタミン−RNA粒子に対して敏感にさせることができる。 DNAオリゴヌクレオチド「CpG 1585」(invivogen)(これはマウスTLR9アゴニストである)を0.5μg/マイクロリットル(PBS)に希釈した。イミキモド(invivogen)を0.1マイクログラム/マイクロリットル(PBS)に希釈した。RNA(蛍ルシフェラーゼをコードするmRNA)およびプロタミンを純水を用いて0.5mg/mlに希釈した。100μgのRNA(200μL)を100μgのプロタミンIPEX(200μL)と混合して、およそ100nm粒子を得た。40%グルコースを最終5%グルコースとなるように加え、5%グルコースを、最終の注射可能溶液が10μgのRNA(および10μgのプロタミン)を70μL中に含むように加えた。 マウスに100μLのCpG(50μgのDNA「CpG(2h)PR11」)または100μLのイミキモド(10μgのイミキモド「Imi(2h)PR11」)または70μLのプロタミン−RNA粒子(10μgのRNA「PR11(2h)PR11」)を静脈内投与し、2時間後に全てのマウスに70μLのプロタミン−RNA(10μgのRNA)を静脈内投与した。各群3マウス。血清をこの2回目の注射から3時間後に採取した。コントロールとして、マウスに100μLのCpG(50μg「CpG alone」)または100μLのイミキモド(10μg「Imi alone」)または70μLのプロタミン−RNA粒子(10μgのRNA「PR11 alone」)を静脈内投与した。各群3マウス。血清を注射から3時間後に採取した。インターフェロンαを血清中Verikine(商標)ELISAキット(PBL)を用いて測定した。結果はTLR9アゴニスト(CpG DNA)またはTLR7アゴニスト(イミキモド)の注射は免疫システムを増感させることができ、プロタミン−RNA粒子の注射後にはプロタミン−RNA単独の単回注射と比較して多量のインターフェロンαが産生されることを示す。 二本鎖RNA(dsRNA)は後続の注射のプロタミン−RNAに対して敏感にさせることができる。 二本鎖RNA(dsRNA、invivogen)(これはマウスTLR3アゴニストである)を0.02μg/マイクロリットル(PBS)に希釈した。一本鎖RNA(蛍ルシフェラーゼをコードするmRNA)およびプロタミンを純水を用いて0.5mg/mlに希釈した。100μgのmRNA(200μL)を100μgのプロタミンIPEX(200μL)と混合して、およそ100nmの粒子を得た。40%グルコースを最終5%グルコースとなるように加え、5%グルコースを、最終の注射可能溶液が10μgのRNA(および10μgのプロタミン)を70μL中に含むように加えた。 マウスに100μLのdsRNA(2μgのdsRNA「dsRNA(2h)PR11」)または70μLのプロタミン−RNA(10μgのRNA「PR11(2h)PR11」)を静脈内投与し、2時間後に、全てのマウスに70μLのプロタミン−RNA(10μgのRNA)を静脈内投与した。各群3マウス。血清を第2注射から3時間後に採取した。コントロールとして、マウスに100μLのdsRNA(2μgの「dsRNA alone」)または70μLのプロタミン−RNA(10μgのRNA「PR11 alone」)を静脈内投与し、血清を注射から5時間後または3時間後にそれぞれ採取した。インターフェロンαを血清中、Verikine(商標)ELISAキット(PBL)を用いて測定した。 プロタミン−RNA粒子のダブル注射スケジュールは株化腫瘍を治療するために必要である。 1本鎖RNA(蛍ルシフェラーゼをコードするmRNA)およびプロタミンを純水を用いて0.5mg/mlに希釈した。500μgのmRNA(1000μL)を500μgのプロタミンIPEX(1000μL)と混合し、およそ100nmの粒子を得た。40%グルコースを最終5%グルコースとなるように加え、5%グルコースを、最終の注射可能溶液が10μgのRNA(および10μgのプロタミン)を70μL中に含むように加えた。 Day0に、マウスに100万のCT26/ルシフェラーゼ細胞(蛍ルシフェラーゼを発現するマウス結腸腫瘍細胞株)を静脈内投与した。Day3およびDay10に、マウスに140μLのプロタミン−RNA粒子(20μgのRNA「1回注射」)、または70μLのプロタミン−RNA(10μgのRNA「PR11(2h)PR11」)を2時間内に2回(「2回注射」)を静脈内投与した。また別のマウス群にDay3および10に100μLの5%グルコースを投与した。時間と共に、マウスにより(肺で増殖している腫瘍細胞により)放出されたルシフェラーゼシグナルをインビボ画像システムを用いて定量した。各群10マウス。結果は、抗ガン性免疫を刺激し、かつ、腫瘍増殖の阻害を得るためには、ダブル注射スケジュール(6時間未満内の2回注射)が必要であることを示す。
本発明の詳細な説明
下記において、定義は提供され、本発明の全ての態様に適用される。
本発明は以下に詳細に記載されるが、本発明は本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル、および試薬限定されず、これらは変えることができると理解される。本明細書に記載される専門用語は特定の実施形態を記載する目的のためだけであり、請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないと理解される。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。
以下に本発明の要素は記載される。これらの要素は特定の実施形態とともに列記されるが、しかしながら、それらはあらゆる方法で組み合わされて更なる実施形態を作り出すことができると理解されるべきである。様々に記載された実施例および好ましい実施形態は、本発明を明確に記載された実施形態のみに限定すると解釈されるべきではない。本明細書は明確に記載された実施形態とあらゆる開示されたおよび/または好ましい要素と組み合わせる実施形態をサポートし包含すると理解されるべきである。さらに、コンテキストが別途示されていない限り、本願において記載された全ての要素のどんな並び替えおよび組み合わせも、開示されていると考えられるべきである。
好ましくは、本明細書で使用される用語は”A multilingual glossary of biotechnological terms:(IUPAC Recommendations)”, H.G.W. Leuenberger, B. Nagel, and H. Koelbl, Eds.,(1995)Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerlandに記載されるとおりに定義される。
本発明の実施は、別途示されない限り、当該分野の文献で説明される生化学、細胞生物学、免疫学、および組換えDNA技術の従来の方法を用いるであろう(cf.例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, J. Sambrook et al. eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor 1989)。
明細書および下記の請求の範囲を通して、コンテキストが別途必要としない限り、用語「comprise」、およびその変形(例えば「comprises」および「comprising」)は記載されるメンバー、整数または工程、または複数のメンバー、整数または工程の群の包含(他のメンバー、整数または工程、または複数のメンバー、複数の整数または複数の工程の群の除外ではなく)を暗示する、すなわち、発明の対象は記載されるメンバー、整数または工程、または複数のメンバー、複数の整数または複数の工程の群の包含に存在すると理解されるであろう(いくつかの実施形態では他のメンバー、整数または工程、または複数のメンバー、複数の整数または複数の工程の群は除外されているかもしれないが)。本発明を記載するコンテキストにおいて(特に請求項のコンテキストにおいて)使用される用語「a」および「an」および「the」および同様の言及は、本願に別途指示されない限りまたはコンテキストと明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方をカバーすると解釈されるべきである。本願における値の範囲の記載はその範囲内にある各別々の値を個別に言及する省略表現および方法として単に機能することが意図される。別途指示がない限り、各個別の値は本願に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
本願に記載される全ての方法は、別途指示がない限りまたはコンテキストと明確に矛盾しない限り、適切な順番で実行することができる。本願に提供されるありとあらゆる例、または例示の記載(例えば「such as」)の使用は、本発明をよりよく説明することを単に意図し、別途クレームされている本発明の範囲の限定を提起するものではない。本願明細書に無い記載は本発明の実行に必須であるクレームの要素はないと解釈されるべきである。
いくつかの文献が本明細書において引用されている。本願で引用されている文献は各々(特許、特許出願、科学的公開、製造者の仕様書、説明書等を全て含む)、上記であろうと下記であろうと、その全ては引用することによって本願に組み込まれる。本発明が先行発明を理由に当該開示に先行する資格はないとの承認と解釈されるものは何も無い。
プロタミンとRNAを混合すると粒子は自然に生じ、それらの粒子の平均サイズは、プロタミンおよびRNAをフォームレートするためにそれらを混合する前に使用した溶液中の試薬濃度および塩濃度に依存して約50nm〜1000nm超えることができる。これらの粒子は、TLR7および/またはTLR8のようなToll様受容体を刺激し、それにより、例えばインターフェロンαまたはTNFαのようなサイトカインの産生の測定によってモニターすることができる、免疫活性化を誘導する。本発明者は、驚くべきことに、動物に静脈内注射された場合、該粒子が一定時間(例えば6時間未満)内に2回注入されない限り、血清中で検出可能なインターフェロンαの誘導が中程度であることを見出した。この増強されたインターフェロンα産生を、以下において「相乗的」と称する。他のサイトカイン(例えばTNFα)を見たとき相乗的効果は検出されない: なぜなら多くのTNFαがプロタミン−RNA粒子のシングルまたはダブル(6時間以内)注射によって誘導される。
別の方法として、本発明に従って、当該相乗的効果を得るために、プロタミン−RNA粒子以外の危険シグナル、特にTLRアゴニストを、プロタミン−RNA粒子の代わりにまたはこれと組み合わせて使用することができる。例えば、TLR3(dsRNA)またはTLR9(CpG DNA)またはTLR7(イミキモド)リガンドの注射は、後続の(2時間後になされる)プロタミン−RNAナノ粒子注射により誘導されるインターフェロンα産生を高める。危険シグナルの注射の代わりに、組換えまたは精製インターフェロンを、相乗的効果を得るためにプロタミン−RNA粒子の前に注射することができると仮定することもできる。
当該複数の注射は相乗的なインターフェロンα産生を誘導するので、本願に記載の組成物に(特に該プロタミン−RNA粒子に)会合されうる(associated)(添加されうるまたは結合されうる(added or linked))抗原に対する相乗的な適応免疫を誘導することも予想される。
用語「免疫応答」は、好ましくは疾患から守る生物内の応答を意味する。免疫応答は予防的および/または治療的であり得る。本発明によれば、「誘導される免疫応答」はインターフェロンαレベルの高まりに反映されうる。
「免疫応答を誘導する」とは免疫応答を誘導する前には免疫応答は無かったことを意味しうるが、免疫応答を誘導する前にはある程度の免疫応答があり、免疫応答の誘導後には前記免疫応答が増強していることもまた意味しうる。従って、「免疫応答を誘導する」には、「免疫応答を増強する」が含まれる。好ましくは、対象において免疫応答を誘導した後に、該対象は疾患(たとえばガン疾患)が発生することから保護されているか、または該疾患症状が免疫応答を誘導することにより改善されている。
本発明によれば、2つの組成物の逐次投与に関する用語「相乗的な免疫応答」は、当該2つの組成物の逐次投与に起因する免疫応答が、該2つの組成物の一方のみを投与した場合と比較しておよび/または両組成物を同時投与した場合と比較して、より強いという事実を意味する。
本発明による用語「危険シグナル」は、一般的に、免疫細胞(例えば樹状細胞(DC))を活性化することができ、それ故、免疫応答(自然免疫応答および適応免疫応答を含む)を開始または誘導することができる、物質または事象に関する。より具体的には、当該用語は感染および/または組織損傷および細胞ストレスの間に放出される分子に関する。用語「危険シグナル」には病原体に関連するか(病原体関連分子パターン;PAMP)、または組織傷害から直接的に生じるか(損傷関連分子パターン;DAMP)、または免疫活性化の増幅器として活性化された免疫細胞から分泌された分子種、組織損傷およびDAMPの放出および組織定常状態における撹乱(これらに限定されないが例えば、低酸素、酸性度、またはオスモル濃度(osmolarity)の変化、および代謝ストレス)を誘導することによって直接的にまたは間接的に免疫細胞を活性化する可能性を有する無機物質および人工の技術(例えば、ナノ物質)が含まれる。
「病原体関連分子パターン」または「PAMP」という用語は、免疫細胞(例えばDC)を活性化することができる、リポ多糖類(LPS)、フラゲリン、ペプチドグリカン、および通常ウイルスと関連する核酸(例えば二本鎖RNA(dsRNA)または非メチル化CpGモチーフ)のような、バクテリア、ウイルス、または他の微生物に共通する分子構造に関する。これらの分子は、免疫細胞および非免疫細胞の両方で発現されるToll様受容体(TLR)のようなパターン認識受容体(PRR)によって認識される。
用語「損傷関連分子パターン」または「DAMP」は、通常細胞内部に含まれていて、免疫システムからは隠され、および組織が損傷すると遊離する、内因性分子構造に関する。例として、ATP、HSP、およびHMGB1が挙げられる。これらの分子はPRRを含む多くの受容体によって認識され、感染の無い場合に炎症反応および免疫応答を誘導することができる。
危険シグナルとして、PAMPSのような外因性危険シグナルおよび内因性危険シグナルが挙げられる。内因性危険シグナルには、一次性内因性危険シグナルおよび二次性内因性危険シグナルが含まれる。
一次性内因性危険シグナルは、通常、細胞内部に含まれるか、または不活性な形態で存在し、免疫システムから隠され、ほとんどが非免疫機能を果たす、内因性分子である。それらは組織損傷により放出され、PRRを含む多くの受容体を誘発することによってDCなどの免疫細胞を活性化することができる。例として、核酸、ATP、ADP、アデノシン、尿酸、熱ショックタンパク質(HSP)、high mobility group box タンパク質1(HMGB1)、I型インターフェロン(I型IFN)、細胞外マトリクス(ECM)の分解産物、ミトコンドリアDNA、N−ホルミルペプチド、酸性度、オスモル濃度および低酸素が挙げられる。
二次性内因性危険シグナルは、オートクリンおよびパラクリンな方法で自然および適応免疫活性化を媒介するために、活性化後に免疫細胞によって活発に分泌される内因性分子である。二次性内因性危険シグナルには、CD40−Lおよびグラニュライシン等のリンパ球由来のDC活性化因子、好中球由来アラーミン、およびTNF−α、I型IFN、およびHMGB1等の炎症促進性サイトカインが含まれる。
1つの実施形態において、本発明による用語「危険シグナル」は、危険シグナルとして免疫システムによって認識される核酸(例えば非メチル化CG配列(CpG)を含有するDNA、未修飾一本鎖RNA(ssRNA)、および二本鎖RNA(dsRNA))に関する。細胞内区画に誤った場所に局在化したこのような核酸は、好ましくはエンドソーム常在Toll様受容体(TLR)(例えばTLR9、TLR7、TLR8、およびTLR3、これらはそれぞれ、関与すると、活性化シグナルを細胞に送達する)によって認識されることが好ましい。好ましい1つの実施形態において、本発明による用語「危険シグナル」は、TLR7およびTLR8を刺激するssRNA、特にU残基および/またはG残基を含有するssRNAに関する。1つの特に好ましい実施形態において、本発明による用語「危険シグナル」はプロタミン粒子中に配合されたssRNAに関する。
本発明によれば、危険シグナルがペプチドまたはタンパク質であるとき、当該危険シグナルは、対象に核酸(例えば、該ペプチドまたはタンパク質をコードするRNAであって、本願に記載されるような粒子中に適宜存在する)として、本対象の細胞内での該核酸の発現のために送達されうる。
本願に記載される該プロタミン−RNA粒子は、インビトロでこれまでに実証されたとおり(Rettig et al, 2010)、インターフェロンαを誘導するのに最も効果的であるため、好ましくは450nm未満である。それらは、例えば50mM未満の電解質を含有する溶液中にプロタミンおよびRNAを希釈し、等張性の注射可能な形態にするために適宜糖含有溶液を用いてさらに希釈希釈することによって形成することができる。プロタミン−RNA粒子は、例えばペグ化によってさらに修飾されていてもよい。プロタミン−RNA粒子によって誘導されるインターフェロンαの産生は、おそらく、形質細胞様樹状細胞(インターフェロン−αを産生するのに最も強力な細胞型の1つ)において顕著に発現するほとんどのTLR7の誘発に依存する。免疫賦活性粒子を生成するために、RNA分子は好ましくは少なくとも10残基の長さであり、かつ、U残基を含有する。RNAに対するプロタミンの質量比は、好ましくは少なくとも0.5(好ましくは、RNAはプロタミンの最大2倍まで)である。好ましい実施形態において、この比は1以上(最も好ましくは、同質量の総RNAとプロタミンが、または総RNAよりも多いプロタミンが使用される)、2以上、4以上、および好ましくは最大16、より好ましくは最大8である。
プロタミンをカチオン性剤(またはカチオン性ポリマー)として含有する本発明の粒子を調製するための好ましい方法は、
純水または低塩溶液(好ましくは50mM未満の電解質)を使用しておよそ5mg/ml未満、よくて1mg/ml以下の濃度にプロタミンおよびRNAを希釈する工程、
該2つの溶液を混合する工程、および
次いで適宜最終処方物が5%糖を含有するように(すなわちおよそ300mOsm/Lのオスモル濃度)糖含有溶液を加える工程、
を含む。
プロタミンをカチオン性剤として含有する本発明の粒子を調製するためのもう一つの好ましい方法は、
5%糖の塩フリーまたは低塩(好ましくは50mM未満の電解質)溶液を用いて、およそ5mg/ml未満、よくて1mg/ml以下の濃度にプロタミンおよびRNAを希釈する工程、および
該2つの溶液を混合する工程(最終処方物は5%糖を含有する。すなわちオスモル濃度はおよそ300mOsm/L)、
を含む。
本発明のコンテキストにおいて、用語「RNA」はリボヌクレオチド残基を含み、好ましくはリボヌクレオチド残基により全体または実質的に構成される分子に関する。「リボヌクレオチド」は、β−D−リボフラノシル基の2’位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドに関する。「RNA」という用語は、部分的または完全に精製されたRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、および組換え技術により生成されたRNAなどの単離されたRNAを含み、1以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換および/または変更により天然のRNAとは違う修飾RNAを含む。該変更は、例えばRNAの末端にまたは内部的に、例えばRNAの1つ以上のヌクレオチドにおいて、非ヌクレオチド物質の付加を含み得る。RNA分子中のヌクレオチドはまた、天然に存在しないヌクレオチドまたは化学的に合成されたヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドのような非標準的なヌクレオチドを含み得る。これらの改変されたRNAは、類似体または天然に存在するRNAの類似体と呼ぶことができる。
RNAは細胞から単離することができ、DNA鋳型から作製することができ、または当技術分野で知られる方法を用いて化学的に合成することができる。好ましい実施形態において、RNAは、インビトロでDNA鋳型から合成される。1つの特に好ましい態様において、RNA、特にmRNAは、DNA鋳型からのインビトロ転写によって生成される。インビトロ転写方法論は、当業者に公知である。例えば、様々なインビトロ転写キットが市販されている。1つの特に好ましい態様において、RNAはインビトロで転写されたRNA(IVT RNA)である。
本発明によれば、「RNA」にはmRNA、tRNA、rRNA、snRNA、ssRNAおよびdsRNAが含まれる。
本発明によれば、好ましいRNAは、6〜100、好ましくは10〜50、特に15〜30または15〜20ヌクレオチドの合成オリゴヌクレオチド、または50ヌクレオチドより大きい、好ましくは50〜10,000、好ましくは100〜5000、特に200〜3000ヌクレオチドのメッセンジャーRNA(mRNA)である。
本発明によれば、用語「mRNA」は「メッセンジャーRNA」を意味し、DNA鋳型を用いて生成され、ペプチドまたはタンパク質をコードし得る「転写物」に関する。典型的には、mRNAは、5’−UTR、タンパク質コード領域、および3’−UTRを含む。本発明のコンテキストにおいて、mRNAは、DNA鋳型からのインビトロ転写によって生成され得る。
本発明によれば、「ssRNA」は一本鎖RNAを意味し、mRNA、tRNA、rRNA、snRNAおよび他のssRNAを含む。ssRNAは、該RNAの一部が折り畳まれ、それ自身で対になって二重らせんを形成することを可能にする、自己相補的配列を含み得る。
本発明によれば、「dsRNA」は二本鎖RNAを意味し、部分的にまたは完全に相補的な2つのストランドを有するRNAである。該ストランドのサイズは、6ヌクレオチド〜10000、好ましくは10〜8000、特に200〜5000、200〜2000、または200〜1000ヌクレオチドの範囲で多様であり得る。
本発明に適したRNA分子のための特定のリボヌクレオチド配列要件はない。しかしながら、所定のRNA配列が最良の生物学的活性を提供することを排除するものではない。
本発明によれば、必要に応じてRNAの安定性を改変することができる。例えば、RNAは、RNAに対する安定化効果を有する1つ以上の修飾によって安定化され得る。
本発明に従って使用されるRNAのコンテキストにおける「修飾」という用語は、RNA中に天然には存在しないRNAの任意の修飾を含む。
本発明の1つの実施形態において、本発明に従って使用されるRNAは、キャップされていない5’−トリホスフェートを有さない。このようなキャップされていない5’−トリホスフェートの除去は、RNAをホスファターゼで処理することによって達成することができる。
1つの実施形態において、用語「修飾」は、5’キャップまたは5’キャップアナログを有するRNAを提供することに関する。用語「5’キャップ」は、mRNA分子の5’末端に見出されるキャップ構造を意味し、一般に、普通でない5’〜5’三リン酸結合を介してmRNAに連結されたグアノシンヌクレオチドからなる。1つの実施形態において、このグアノシンは7位でメチル化される。「通常の5’キャップ」という用語は、天然に存在するRNA5’キャップ、好ましくは7−メチルグアノシンキャップ(mG)を指す。本発明のコンテキストにおいて、用語「5’キャップ」は、RNAキャップ構造に似ており、結合すると(好ましくはインビボおよび/または細胞中で)RNAを安定化する能力を有するように改変された5’キャップアナログを含む。
5’キャップまたは5’キャップアナログを持つRNAの提供は、該5’キャップまたは5’キャップアナログの存在下にDNA鋳型のインビトロ転写により達成されうる。ここで該5’キャップは該生成されたRNAストランドに同時転写的に組み込まれてもよく、または、RNAを例えばインビトロ転写によって生成し、および5’キャップをキャッピング酵素(例えばワクシニアウイルスのキャッピング酵素)を用いて転写後にRNAに結合してもよい。
RNAはさらなる修飾を含んでいてもよい。例えば、本発明で使用される該RNAの更なる修飾は、天然に存在するポリ(A)テールの伸長またはトランケーションであり得る。
RNAの「安定性」という用語は、RNAの「半減期」に関連する。「半減期」は、分子の活性、量または数の半分を除去するのに必要な時間に関する。本発明のコンテキストにおいて、RNAの半減期は、前記RNAの安定性の指標である。
当然ながら、本発明にしたがって、RNAの安定性を低下させることが望ましい場合、上記のようなRNAの安定性を増加させるエレメントの機能を妨げるようにRNAを改変することができる。
1つの実施形態において、本明細書に記載のRNAは、ペプチドまたはタンパク質をコードするRNA、特にmRNAである。本発明によれば、用語「ペプチドまたはタンパク質をコードするRNA」は該RNAが、適切な環境、好ましくは細胞内に存在する場合、翻訳の工程の間に、アミノ酸の組み立てを指揮して、ペプチドまたはタンパク質を産生、すなわち発現することができることを意味する。好ましくは、本発明によるRNAは、ペプチドまたはタンパク質の翻訳を可能にする細胞の翻訳機構と相互作用することができる。
用語「発現」は、最も一般的な意味で本発明に従って使用され、RNAおよび/またはペプチドまたはタンパク質の産生(例えば転写および/または翻訳による)を含む。RNAに関して、用語「発現」または「翻訳」は、特に、ペプチドまたはタンパク質の産生に関する。それは核酸の部分的な発現も含む。さらに、発現は一時的または安定的であり得る。
本発明のコンテキストにおいて、用語「転写」は、DNA配列中の遺伝子コードがRNAに転写されるプロセスに関する。続いて、RNAはタンパク質に翻訳されうる。本発明によれば、用語「転写」は、「インビトロ転写」を含み、この「インビトロ転写」という用語は、RNA、特にmRNAが無細胞系で、好ましくは適切な細胞抽出物を用いて、in vitroで合成されるプロセスに関する。好ましくは、転写産物の生成のためにクローニングベクターが適用される。これらのクローニングベクターは一般に転写ベクターと呼ばれ、本発明による用語「ベクター」に包含される。
本発明による用語「翻訳」は、メッセンジャーRNAのストランドがアミノ酸配列の構築を指示してペプチドまたはタンパク質を作製する、細胞のリボソームにおけるプロセスに関する。例えばRNAと複合体を形成することによって、またはRNAが封入または被包された小胞を形成することによって、該RNAが会合(associate)することができる物質またはビヒクル(好ましくは裸のRNAと比較して該RNAの安定性の向上をもたらす)を、本願記載のRNAと使用することが意図される。
本発明に有用な担体には、カチオン性脂質、リポソームおよびミセルなどの脂質含有担体、DEAEデキストランまたはポリエチレンイミンなどのカチオンポリマー、およびナノ粒子が含まれる。
カチオン性脂質は、負に荷電した核酸と複合体を形成し得る。いずれのカチオン性脂質も、本発明に従って使用することができる。カチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマーを用いて核酸を複合させ、いわゆるリポプレックス、ポリプレックスおよび/またはポリリポプレックスをそれぞれ形成させ得、これらの複合体は核酸を細胞に送達することが示されている。
リポソームは、しばしば、リン脂質のような小胞形成脂質の1つ以上の二重層を有し、薬物を被包することができる微視的な脂質小胞である。本発明のコンテキストにおいて様々なタイプのリポソームが使用されることができ、これらに限定されないが、多重膜小胞(MLV)、小型単層膜小胞(SUV)、大型単層膜小胞(LUV)、立体的に安定化されたリポソーム(SSL)、多小胞(multivesicular)(MV)、および大型多小胞(LMV)、ならびに当該技術分野で知られる他の2重層形態が挙げられる。リポソームのサイズおよびラメラリティーは調製方法に依存し、使用される小胞の種類の選択は好ましい投与様式に依存する。好ましい注射可能なリポソームは、直径が10〜500、20〜400、50〜200、50〜150、50〜120、50〜100、または50〜90nmの範囲のものである。カチオン性リポソームは正に荷電した脂質から作られる構築物であり、負に荷電した核酸および細胞膜との良好な相互作用により、遺伝子治療においてますます使用されている。カチオン性リポソームはカチオン性リポプレックスとしても知られている。リポソームは、単層からなるミセルおよび逆ミセルと混同されるべきではない。当該脂質アセンブリは、安定剤と組み合わせてもよい。安定剤の非限定的な例として、コレステロールおよび類似の膜活性ステロール、PEG化脂質などのリポポリマーが挙げられる。
リポソームの形成は自発的なプロセスではない。脂質小胞は、レシチンのようなリン脂質が水中に置かれ結果として1つの二重層またはそれぞれ水分子によって隔てられた一連の二重層を形成した時に、十分なエネルギーが供給されると、形成される。リポソームは、逆蒸発法(REV)、脱水−再水和法(DRV)、超音波処理または他の適切な方法などの標準的な方法を用いて形成することができる。リポソームは、例えば、リン脂質を水中で超音波処理することによって作製することができる。低せん断速度は、多数の層を有する多重膜リポソームを作り出す。継続的な高せん断超音波処理は、より小さな単層膜リポソームを形成する傾向がある。この技術では、リポソームの内容物は、水相の内容物と同じである。超音波処理は、封入される薬物の構造にダメージを与える可能性があるため、一般的に、「gross」な調製方法と考えられている。押出法やMozafari法などの新しい方法が、人使用のための材料の製造に採用されている。
リポソーム形成後、リポソームは、実質的に均質なサイズ範囲、典型的には約10〜500nmの範囲のリポソームの集団を得るためにサイズ分類されることができる。
本発明によれば、プロタミンはカチオン性担体剤として好ましい。「プロタミン」という用語は、アルギニンが豊富であり、様々な動物(魚のような)の精子細胞中で体細胞性ヒストンに代わって特にDNAと会合(associate)する、比較的低分子量の様々な強塩基性タンパク質を指す。特に、「プロタミン」という用語は、強塩基性であり、水に可溶性であり、熱によって凝固せず、主に加水分解されるとアルギニンを産出する、魚精子に見られるタンパク質を指す。精製された形態では、インスリンの長時間作用型製剤に用いられ、また、ヘパリンの抗凝固作用を中和するために使用される。
本発明によれば、本願で使用される「プロタミン」という用語は、天然源または生物源から得られたまたはに由来する任意のプロタミンアミノ酸配列(そのフラグメントおよび前記アミノ酸配列またはそのフラグメントの多量体形態を含む)を含むことを意味する。さらに、この用語は、人工的であり、特定の目的のために特異的に設計され、天然源または生物源から単離できない(合成された)ポリペプチドを包含する。
本発明に従って使用されるプロタミンは、硫酸化プロタミンまたは塩酸プロタミンであり得る。好ましい実施形態において、本発明の粒子の製造に使用されるプロタミン源は、プロタミン 5000であり、これはプロタミンを等張性塩溶液中に10mg/ml(5000ヘパリン中和単位/ml)を超える濃度で含有し、上記の様に希釈される。
該粒子は好ましくは、プロタミン:RNAの重量比が16:1〜1:2、好ましくは8:1〜1:2、より好ましくは4:1〜1:2である。
本願に記載される粒子の平均「サイズ」は、一般に、確立されたプロセスに従って調製される粒子の「設計サイズ」または意図されるサイズである。サイズは、平均直径または最大直径などの直接測定された寸法であってもよく、または濾過スクリーニングアッセイのような間接的アッセイによって決定されてもよい。粒子サイズの直接測定は、典型的には、動的光散乱(光散乱分光法とも呼ばれる)によって行われる。サイズのわずかな変化が製造プロセス中に生じるので、記載された測定値の40%までの変動が許容され、および記載されたサイズすなわち50nm〜990nmまたは好ましくは50nm〜450nmの平均値内であると見なされる。あるいは、マイクロキャリアサイズは、濾過スクリーニングアッセイによって決定することができる。例えば、粒子の少なくとも97%が記載されたサイズの「スクリーンタイプ」フィルターを通過する場合、粒子調製物は記載されたサイズよりも小さい。
プロタミン−RNA粒子をポリエチレングリコール(PEG)でコーティングすることは、バイオアベイラビリティの向上、ひいてはナノ粒子の生物活性を高めるのに役立つ1つの方法である。
本発明の一実施形態によれば、本願に記載されるプロタミン−RNA粒子などの粒子は、その外面に、選択的にまたは好んで、標的細胞集団に、および/または標的器官または組織に該粒子を送達することができる、標的剤またはリガンド(例えば抗体)を含む。例えば、リガンドを持つリポソームは、罹患細胞上に発現される受容体を標的とすることができる。このリガンド結合は、細胞への効率的な薬物摂取を促進し、有効性を増強する。探索された1つの標的化手段は、共有結合的にまたは静電的相互作用によって粒子表面に結合した抗体を使用する。
投与されたとき粒子が疾患関連抗原を発現する細胞を特徴とするおよび好ましくは該疾患関連抗原とそれらの細胞表面との会合(association)を特徴とする(例えば疾患関連抗原は膜貫通タンパク質である)疾患器官または組織に蓄積するように、リガンドが疾患関連抗原に結合しうる。疾患関連抗原は腫瘍関連抗原であってもよく、好ましくは腫瘍細胞などの疾患細胞の表面と会合し、および、好ましくは健常細胞の表面とは会合しない。好ましくは、部位特異的標的化のためのリガンドは、疾患関連抗原の細胞外部分に結合する。
本発明の一実施形態によれば、本願に記載されるプロタミン−RNA粒子などの粒子は、適応免疫応答が誘発される抗原(例えば、ペプチド、タンパク質または糖)でコーティングされる。
一実施形態に従って、本発明は、プロタミン−RNA粒子などの本願に記載される粒子または注入製剤に含まれる任意の他の成分(例えば、遊離mRNA)のサイトゾル(cytosole)への送達を有利にすることができるエンドソーム不安定化剤(EDA)の使用を想定する。EDAは、例えば、pH反応剤(例えば特定のpHまたはpH範囲に曝されたときに構造的コンホメーションを変化させ得る、ポリマーおよびペプチド)、光増感剤(光増感剤のエンドソーム不安定化活性は光に曝されることで引き起こされる)、または外的刺激(例えば超音波)であることができる。
本発明の「ペプチド」という用語は、オリゴペプチドおよびポリペプチドを含み、ペプチド結合によって共有結合している2以上、好ましくは3以上、好ましくは4以上、好ましくは6以上、好ましくは8以上、好ましくは10以上、好ましくは13以上、好ましくは16より多く、好ましくは21以上であって、最大で好ましくは8、10、20、30、40または50、特に100個のアミノ酸を含む物質を意味する。用語「タンパク質」は、優先的には、大きなペプチド、好ましくは100を超えるアミノ酸残基を有するペプチドを意味するが、一般に「ペプチド」および「タンパク質」という用語は同義語であり、本願では互換的に使用される。
本発明によれば、RNAはペプチドまたはタンパク質をコードし得る。したがって、RNAは、ペプチドまたはタンパク質をコードするコード領域(オープンリーディングフレーム(ORF))を含み得る。例えば、RNAは抗原または薬学的に活性なペプチドまたはタンパク質(例えば免疫学的に活性な化合物(好ましくは抗原ではない))をコードして発現しうる。この点において、「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、開始コドンで始まり停止コドンで終わる一続きのコドンの連続である。
「薬学的に活性なペプチドまたはタンパク質」という用語は、ペプチドまたはタンパク質の発現が有益(例えば疾患または障害の症状を改善するのに有益)である対象の治療に使用することができるペプチドまたはタンパク質を含む。例えば薬学的に活性なタンパク質は、通常はタンパク質を発現しないかまたはタンパク質を過って発現する細胞において、タンパク質発現を置換または増強することができ、例えば、薬学的に活性なタンパク質は望ましいタンパク質を提供することによって変異を相殺することができる。さらに、「薬学的に活性なペプチドまたはタンパク質」は、対象において有益な結果を生み出すことができ、例えば、感染性疾患に対して対象をワクチン接種するタンパク質を産生するために使用され得る。好ましくは、「薬学的に活性なペプチドまたはタンパク質」は、治療上有効な量で対象に投与された場合に、対象の状態または疾患状態に対してポジティブなまたは有利な効果を有する。好ましくは、薬学的に活性なペプチドまたはタンパク質は、治癒的または緩和的な特性を有し、疾患または障害の1以上の症状の発症を寛解、軽減、緩和、逆行、遅延させるために、その重症度を和らげるために投与され得る。薬学的に活性なペプチドまたはタンパク質は、予防的特性を有してもよく、疾患の発症を遅らせるために、またはそのような疾患または病的状態の重症度を軽減するために使用され得る。用語「薬学的に活性なペプチドまたはタンパク質」は、タンパク質またはポリペプチド全体を含み、その薬学的に活性なフラグメントを指すこともできる。それはまた、ペプチドまたはタンパク質の薬学的に活性な類似体を含むことができる。用語「薬学的に活性なペプチドまたはタンパク質」には、抗原であるペプチドおよびタンパク質が含まれ、すなわち、ペプチドまたはタンパク質は、治療的または部分的または完全に防御的であり得る、対象における免疫応答を誘発する。
薬学的に活性なタンパク質の例には、これらに限定されないが例えば、サイトカインおよび免疫学的活性化合物のような免疫系タンパク質(例えば、インターロイキン、コロニー刺激因子(CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、エリスロポエチン、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロン、インテグリン、アドレシン、セレクチン(seletin)、ホーミング受容体、T細胞受容体、免疫グロブリン、可溶性主要組織適合複合体抗原、細菌性、寄生性、またはウイルス性抗原のような免疫学的に活性な抗原、アレルゲン、自己抗原、抗体)、ホルモン(インスリン、甲状腺ホルモン、カテコールアミン、ゴナドトロピン、栄養ホルモン、プロラクチン、オキシトシン、ドーパミン、ウシソマトトロピン、レプチン等)、成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン)、成長因子(例えば、上皮成長因子、神経成長因子、インスリン様成長因子など)、成長因子受容体、酵素(組織プラスミノーゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼ、コレステロール生合成または分解性、ステロイド産生(steriodogenic)酵素、キナーゼ、ホスホジエステラーゼ、メチラーゼ、脱メチル化酵素、デヒドロゲナーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アロマターゼ、チトクロム、アデニル酸シクラーゼまたはグアニル酸シクラーゼ(guanylaste cyclase)、ノイラミニダーゼ(neuramidase)など)、受容体(ステロイドホルモン受容体、ペプチド受容体)、結合タンパク質(成長ホルモンまたは成長因子結合タンパク質など)、転写および翻訳因子、腫瘍増殖抑制タンパク質(例えば、血管新生を阻害するタンパク質)、構造タンパク質(コラーゲン、フィブロイン、フィブリノゲン、エラスチン、チューブリン、アクチン、ミオシンなど)、血液タンパク質(トロンビン、血清アルブミン、第VII因子、第VIII因子、インスリン、第IX因子、第X因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター、プロテインC、ヴォン・ヴィレブランド因子、アンチトロンビンIII、グルコセレブロシダーゼ、エリスロポエチン顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)または改変第VIII因子、抗凝固薬等が挙げられる。
1つの実施形態において、本発明の薬学的に活性なタンパク質は、リンパ系ホメオスタシスの調節に関与するサイトカイン、好ましくはT細胞の発生、プライミング、増殖、分化および/または生存に関与、好ましくは誘導または増強するサイトカインである。1つの実施形態において、サイトカインはインターロイキンである。1つの実施形態において、本発明の薬学的に活性なタンパク質は、IL−2、IL−7、IL−12、IL−15およびIL−21からなる群から選択されるインターロイキンである。
「免疫学的に活性な化合物」という用語は、好ましくは免疫細胞の成熟を誘導および/または抑制する、サイトカイン生合成を誘導および/または抑制する、および/またはB細胞による抗体産生を刺激することによって、体液性免疫を変化させることにより、免疫応答を変化させる化合物に関する。免疫学的に活性な化合物は、強力な免疫賦活性活性(これらに限定されないが、例えば抗ウイルス活性および抗腫瘍活性)を有し、免疫応答の他の局面をダウンレギュレートすることもできる(例えば該免疫応答をTH2免疫応答からそらす、これは広範囲のTH2媒介疾患の治療に有用である)。免疫学的に活性な化合物は、ワクチンアジュバントとして有用であり得る。
1つの実施形態において、疾患関連抗原のような抗原をコードするRNAは、特に当該抗原に関わる疾患を有する哺乳動物を治療することが望まれる場合、哺乳動物に投与される。該RNAは、哺乳動物の抗原提示細胞(単球、マクロファージ、樹状細胞、または他の細胞)に取り込まれることが好ましい。該RNAの抗原性翻訳産物が形成され、該産物がT細胞による識別のために細胞の表面上に提示される。1つの実施形態において、当該抗原またはその任意の進行によって作られた産物が、MHC分子の状況下で、T細胞受容体を介してT細胞により識別されて活性化を引き起こすために細胞表面に提示される。
本発明のコンテキストにおいて、用語「塩」および「電解質」は交換可能に使用され、水中でそれぞれの対イオンに少なくとも部分的に解離する化合物を意味する。
本発明によれば、用語「mM電解質」は、RNA原液を再懸濁または希釈するために使用される溶液中のおよびプロタミン原液を希釈するために使用される溶液中の全電解質(例えばNaCl、KCl、NaHPO、NaHPO、KHPO、KHPO、MgCl、MnCl、NaSO、KSO、MgSO等の無機塩、およびTris−HCl、EDTA、Hepes等の塩)の合計濃度10−3mol/Lを意味する。
一旦本発明の粒子が形成されると、粒子を調製するために使用される特定の塩(または電解質)の濃度条件は、それ以上維持される必要はないことに留意されるべきである。従って、該粒子はさらに処理されることが、例えば、最終的に遠心分離により回収され、および媒体、好ましくは医薬的に許容される賦形剤、ビヒクルおよび/または希釈剤中、特に等張性の媒体(例えば生理食塩水、リンガー液または乳酸リンゲル溶液)中に希釈、溶解、分散されることができる。
インターフェロンは、抗ウイルス活性、抗増殖活性および免疫調節活性を特徴とする重要なサイトカインである。インターフェロンは、制御される細胞の表面のインターフェロン受容体に結合することで、細胞内の遺伝子の転写を変更および調節するタンパク質であり、それにより当該細胞内でのウイルス複製は防止される。インターフェロンは、2つのタイプに分類することができる。IFN−γは唯一のII型インターフェロンであり;他はすべてI型インターフェロンである。I型およびII型インターフェロンは遺伝子構造(II型インターフェロン遺伝子は3つのエキソンを有し;I型は1つ)、染色体位置(ヒトにおいては、II型は染色体−12にあり;I型インターフェロン遺伝子は連結していて染色体−9にある)、およびそれらが産生される組織のタイプ(I型インターフェロンは広範囲に合成され、II型はリンパ球による)が異なる。I型インターフェロンは細胞受容体への結合を互いに競合的に阻害するが、II型インターフェロンは異なる受容体を持つ。本発明によれば、用語「インターフェロン」または「IFN」は、好ましくはI型インターフェロン、特にIFN−アルファおよびIFN−ベータに関する。
本発明は、特定の疾患状態において、特に慢性疾患(例えばガンまたは感染性疾患、特に持続性ウイルス感染症)の場合に、免疫を刺激する、活性化する、または強化するために有用である。したがって、本発明の方法は、前記疾患状態の治療に有用である。本発明の方法は、インターフェロン、特にインターフェロン−αおよび/またはインターフェロン−βの産生を誘導するのにまたはそのレベルを高めるのに特に適している。したがって、本発明の方法は、インターフェロンアルファ治療および/またはインターフェロンベータ治療を補うために、または対象においてインターフェロンアルファおよび/またはインターフェロンベータを増加させるために使用され得る。
本発明によれば、用語「疾患」はガン疾患を含む任意の病理学的状態を指す。ガン(医学用語:悪性新生物)は、一群の細胞が制御不能な増殖(正常限度を超える分裂)、浸潤(隣接組織への侵入および破壊)、および時には転移(リンパまたは血液を介した、体内の他の場所への拡散)を示す、疾患のクラスである。ガンのこれらの3つの悪性特性は、自己限定的であり、浸潤または転移しない良性腫瘍とそれらを区別する。大部分のガンは、腫瘍、すなわち、細胞(新生細胞または腫瘍細胞と呼ばれる)の異常増殖によって形成される腫脹または病変を形成するが、白血病のように、そうでないものもある。本発明において用語「ガン」には白血病、セミノーマ、メラノーマ、奇形腫、リンパ腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、直腸ガン、子宮内膜ガン、腎ガン、副腎ガン、甲状腺ガン、血液がん、皮膚ガン、脳のガン、子宮頸ガン、腸ガン、肝ガン、大腸ガン、胃ガン、腸ガン、頭頸部ガン、胃腸ガン、リンパ節ガン、食道ガン、結腸直腸ガン、膵ガン、耳、鼻、咽頭(ENT)ガン、乳ガン、前立腺ガン、子宮ガン、卵巣ガンおよび肺ガン、およびそれらの転移が含まれる。その例は、肺ガン、乳ガン(mamma carcinomas)、前立腺ガン、結腸ガン、腎細胞ガン、子宮頸ガン、または上記のガンタイプまたは腫瘍の転移である。本発明のガンという用語はまた、ガン転移を含む。
本発明で治療可能なガンの例として、悪性黒色腫、あらゆるタイプの癌腫(結腸、腎臓細胞、膀胱、前立腺、非小細胞肺ガン、小細胞肺ガンなど)、リンパ腫、肉腫、芽細胞腫、神経膠腫、ミエローマ等が挙げられる。
悪性黒色腫は深刻な種類の皮膚ガンである。これは、メラノサイトと呼ばれる色素細胞の無秩序な増殖によるものである。
本発明によれば、「癌腫」は上皮細胞に由来する悪性腫瘍である。このグループは、乳癌、前立腺癌、肺癌および大腸癌の一般的な形態を含む、最も一般的なガンを表す。
リンパ腫および白血病は、造血(血液形成)細胞に由来する悪性腫瘍である。
肉腫は、胚性中胚葉から発達する多数の組織のうちの1つにおけるトランスフォーム細胞から生じる癌である。したがって、肉腫には、骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、および造血組織の腫瘍が含まれる。
芽細胞腫瘍または芽腫は、未成熟または胚組織に似た腫瘍(通常は悪性)である。これらの腫瘍の多くは小児において最も一般的である。
神経膠腫は、脳や脊髄で始まる腫瘍の一種である。それはグリア細胞から生じるので、神経膠腫と呼ばれる。神経膠腫の最も一般的な部位は脳である。
「転移」とは、元の部位から身体の別の部位への癌細胞の伝播を意味する。転移の形成は非常に複雑な過程であり、原発腫瘍からの悪性細胞の剥離、該細胞外マトリクスの浸潤、内皮基底膜を通過しての体腔および血管への浸透、およびその後、血液で運搬された後の標的器官への浸潤に依存する。最後に、標的部位における新たな腫瘍、すなわち二次腫瘍または転移腫瘍の増殖は、血管新生に依存する。腫瘍転移は、原発腫瘍の除去後でさえもしばしば起こり、これは、腫瘍細胞または成分が残存し、転移能を発揮するためかもしれない。1つの実施形態において、本発明による用語「転移」は、原発腫瘍および局所リンパ節系から離れた転移に関する「遠隔転移」に関する。
本発明で治療可能な感染症の例には、ウイルス性感染性疾患(例えば、AIDS(HIV)、A型、B型またはC型肝炎、ヘルペス、帯状疱疹(水疱)、風疹(風疹ウイルス)、黄熱、デング熱等、フラビウイルス、インフルエンザウイルス、出血性感染性疾患(マールブルグウイルスまたはエボラウイルス));細菌性感染性疾患(例えばレジオネラ症(レジオネラ)、胃潰瘍(ヘリコバクター)、コレラ(ビブリオ)、E.coli、ブドウ球菌、サルモネラ、または連鎖球菌(tetanus)による感染);原虫病原体による感染(例えばマラリア、睡眠病、リーシュマニア症;トキソプラズマ症、すなわちマラリア原虫、トリパノソーマ、リーシュマニアおよびトキソプラズマによる感染);または真菌感染(例えば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ヒストプラズマ・カプスラーツム、コクシジオイデス・イミチス、ブラストミセス・デルマチチジスまたはカンジダ・アルビカンスによる感染)が挙げられる。
本発明は、アレルギーの治療にも有用である。
本発明の方法はまた、本発明に従って使用される組成物の投与前、投与と同時に、または投与後に投与され得る他の治療剤と組み合わせて使用されても良い。このような治療剤として、ガン患者のための化学療法剤、例えばゲムシタビン、エトポフォス、シスプラチン、カルボプラチン、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤または抗細菌剤が挙げられる。
特に、本発明は、免疫療法剤、好ましくは標的化された、すなわち特異的な免疫反応を誘導するか、または達成する免疫療法剤と組み合わせて使用されることもできる。このような免疫療法剤として、疾患関連抗原に対する剤(例えば、疾患関連抗原または疾患関連抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘導する治療的抗体または剤)が挙がれる。有用な免疫療法剤として、疾患関連抗原または疾患関連抗原を発現する細胞対するB細胞またはT細胞応答を誘導するタンパク質またはペプチドが挙げられる。これらのタンパク質またはペプチドは、疾患関連抗原またはその1以上のフラグメントの配列に本質的に対応するかまたは同一である配列を含み得る。1つの実施形態において、該タンパク質またはペプチドは、疾患関連抗原に由来するMHC提示ペプチドの配列を含む。該タンパク質またはペプチドを投与する代わりに、該タンパク質またはペプチドをコードする核酸(好ましくはmRNA)を投与することも可能である。したがって、本発明は、抗原またはそのフラグメントをコードする適切な核酸分子(DNAまたはmRNA)を対象に導入することによって免疫応答が刺激される遺伝子ワクチン接種に使用され得る。このmRNAは本願に記載の免疫賦活性粒子内に存在してもよく、免疫賦活性RNAまたは他のRNAであってもよい。
1つの実施形態において、疾患関連抗原は腫瘍関連抗原である。この実施形態では、本発明は、ガンまたはガン転移の治療に有用であり得る。好ましくは、罹患器官または組織は、疾患関連抗原を発現しているおよび/または疾患関連抗原とその表面との会合(association)を特徴とするガン細胞などの、罹患細胞を特徴とする。インタクトなまたは実質的にインタクトな腫瘍関連抗原またはそのフラグメント(例えばクラスIMHCおよびクラスIIMHCペプチド、または核酸(特にそのような抗原またはフラグメントをコードするmRNA))による免疫化は、MHCクラスIおよび/またはクラスII型を誘発することを可能にし、それにより、ガン細胞を溶解することができるCD8+細胞傷害性Tリンパ球および/またはCD4+T細胞などのT細胞を刺激する。そのような免疫化はまた、該腫瘍関連抗原に対する抗体の産生をもたらす体液性免疫応答(B細胞応答)を誘発しうる。さらに、樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞(APC)は、直接、またはインビトロで腫瘍抗原または腫瘍抗原ペプチドをコードする核酸によるトランスフェクションによってMHCクラスI提示ペプチドを負荷し、患者に投与されることができる。
本発明によれば、腫瘍関連抗原は、好ましくは、腫瘍またはガンならびに腫瘍またはガン細胞によって、タイプおよび/または発現レベルに関して特徴的な任意の抗原を含む。1つの実施形態において、用語「腫瘍関連抗原」は正常な状態(すなわち健常者において)では、限られた数の器官および/または組織で、または特別な発生段階で、特異的に発現(例えば、腫瘍関連抗原は、正常な状態では胃組織(好ましくは胃粘膜)、生殖器(例えば精巣)、絨毛性組織(例えば胎盤)、または生殖系細胞)において特異的に発現しうる)され、かつ、1以上の腫瘍またはガン組織で発現または異常発現しているタンパク質に関する。このコンテキストにおいて、「限られた数の」は、好ましくは、3以下、より好ましくは2または1以下を意味する。本発明のコンテキストにおいて腫瘍関連抗原には、例えば、分化抗原、好ましくは細胞型特異的分化抗原(すなわち正常な状態では特定の分化段階で特定の細胞型で特異的に発現するタンパク質)、ガン/精巣抗原(すなわち正常な状態では精巣および時々胎盤で特異的に発現するタンパク質)、および生殖細胞系特異的抗原が含まれる。本発明のコンテキストにおいて、腫瘍関連抗原は、好ましくは、ガン細胞の細胞表面と会合(associate)しており、好ましくは正常組織では発現しないか、またはまれにしか発現しない。好ましくは、腫瘍関連抗原または腫瘍関連抗原の異常な発現は、ガン細胞を同定する。本発明のコンテキストにおいて、対象(例えばガン疾患に罹患している患者)においてガン細胞によって発現される腫瘍関連抗原は、好ましくは前記対象における自己タンパク質である。好ましい実施形態において、本発明のコンテキストにおける腫瘍関連抗原は、正常な状態で非必須である組織または器官(すなわち免疫システムによってダメージを与えられたとき、損傷された場合に死に至らない組織または器官)において、または免疫システムではほとんどまたはまったく到達できない身体の器官または構造体において、特異的に発現される。腫瘍関連抗原のアミノ酸配列は、正常組織で発現される腫瘍関連抗原と、ガン組織で発現される腫瘍関連抗原または腫瘍組織で見られ得る変異との間で一致しうる。好ましくは、腫瘍関連抗原は、それが発現されるガン細胞によって、MHC分子のコンテキストにおいて提示される。
腫瘍免疫療法において、特に腫瘍ワクチン接種において標的構造として本発明により企図される腫瘍関連抗原の基準を理想的に満たす分化抗原の例は、CLDN6およびCLDN18.2などのクローディンファミリーの細胞表面タンパク質である。これらの分化抗原は、種々の起源の腫瘍において発現され、その選択的発現(毒性関連正常組織における発現なし)および原形質膜への局在化のために、抗体媒介性ガン免疫療法に関連する標的構造として特に適している。
本発明において有用であり得る抗原のさらなる例は、野生型または変異のp53、ART−4、BAGE、ベータ−catenin/m、Bcr−abL CAMEL、CAP−1、CASP−8、CDC27/m、CDK4/m、CEA、CLAUDIN−12、c−MYC、CT、Cyp−B、DAM、ELF2M、ETV6−AML1、G250、GAGE、GnT−V、Gap100、HAGE、HER−2/neu、HPV−E7、HPV−E6、HAST−2、hTERT(またはhTRT)、LAGE、LDLR/FUT、MAGE−A、好ましくはMAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、またはMAGE−A12、MAGE−B、MAGE−C、MART−1/Melan−A、MC1R、Myosin/m、MUC1、MUM−1、−2、−3、NA88−A、NF1、NY−ESO−1、NY−BR−1、p190minor BCR−abL、Pm1/RARa、PRAME、プロテイナーゼ3、PSA、PSM、RAGE、RU1またはRU2、SAGE、SART−1またはSART−3、SCGB3A2、SCP1、SCP2、SCP3、SSX、SURVIVIN、TEL/AML1、TPI/m、TRP−1、TRP−2、TRP−2/INT2、TPTEおよびWT、好ましくはWT−1である。
本発明に従って使用される組成物は、プロタミン−RNA粒子などの危険シグナルおよび少なくとも1つの抗原、例えば上述のような抗原またはその免疫原性フラグメント、または核酸(特にその抗原またはフラグメントをコードするmRNA)を含むワクチンの形態を取ることができる。
「抗原」は、抗体の形成および/または細胞性免疫応答の活性化を引き起こし得る任意の構造を意味すると理解されるべきである。抗原の例は、ポリペプチド、タンパク質、細胞、細胞抽出物、炭水化物/多糖、多糖複合体、脂質および糖脂質である。これらの抗原は、腫瘍抗原またはウイルス、細菌、真菌および原生動物の抗原またはアレルゲンであり得る。また、用語「抗原」には、抗原性となり−および形質転換(例えば、該分子において中程度に、体タンパク質の完成により)を介してのみ感作する二次物質として誘導体化された抗原、および原子団(例えば、イソシアネート、ジアゾニウム塩)の人工的な取り込みを通じて新しい恒常的特異性を示す合成抗原が含まれる。抗原は、適切な担体に結合したハプテンの形態で投与されうる。適切な担体は当業者に知られており、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、ポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。ハプテンは、従来技術でよく知られている方法、例えば、ポリペプチド担体の場合はLys残基へのアミド結合を介して、担体に結合しうる。該抗原はまた、プロタミン−RNA粒子上にコーティングされてもよい。
「治療する」とは、疾患を予防または排除するために本願に記載の化合物または組成物を対象に投与することを意味し、対象の腫瘍サイズまたは腫瘍の数を減少させる;対象の疾患を停止または遅延させる;対象における新たな疾患の発症を阻害または遅延させる;現在疾患に罹っているか、またはこれまでに疾患に罹ったことがある対象の症状および/または再発の頻度または重症度を減少させる;および/または対象の寿命を延ばす、すなわち増加することが含まれる。
特に、「疾患の治療」という用語は、治癒、持続時間の短縮、進行または悪化の改善、予防、減速または抑制、または疾患またはその症状の発症の予防もしくは遅延を含む。
用語「免疫療法」は、好ましくは特異的免疫反応および/または免疫エフェクター機能を伴う治療に関する。
用語「免疫化」または「ワクチン接種」は、治療上または予防上の理由で対象を治療するプロセスを記載する。
用語「対象」は、哺乳動物に関する。例えば、本発明のコンテキストにおいて哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、飼われている動物(例えばイヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ブタ、ウマなど)、実験動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、モルモットなど)ならびに動物園の動物のような捕獲された動物が挙げられる。本願で使用される”対象”にはまたヒトが含まれる。
本明細書に記載される組成物は、好ましくは滅菌され、有効量の有効成分(特に本願に記載の粒子などの危険シグナル)、および任意に、所望の反応または所望の効果を生じるための治療剤および抗原等の本願で記載された追加の剤を含む。
本願に記載の組成物は、モンタニド(Montanide)(登録商標)のような油を含有するエマルジョンとして処方することができる。
本願に記載の組成物は、抗CTL−A4または抗PD1または抗PDL1などのさらなる免疫調節剤または抗CD25抗体またはシクロホスファミドなどの抗制御性T細胞薬も含むことができる。有効性を増加、好ましくは免疫刺激の相乗効果を達成するために、本明細書に記載の組成物は1つ以上のアジュバントのような免疫増強物質を補充して一緒に投与することができ、また本明細書に記載の組成物は1つ以上の免疫増強物質を含んでいてもよい。
用語「アジュバント」は、免疫応答を延長または増強または促進する化合物に関する。この点において、様々なタイプのアジュバントに応じて、様々なメカニズムが可能である。例えば、DCの成熟を可能にする化合物、例えば、リポ多糖またはCD40リガンドは適切なアジュバントの第1クラスを形成する。一般に、「危険シグナル」(LPS、GP96、dsRNAなど)またはサイトカイン(GM−CSFなど)のタイプの免疫システムに影響を及ぼす剤は、免疫応答が制御された方法で強化されることおよび/または影響されることを可能にするアジュバントとして使用することができる。CpGオリゴデオキシヌクレオチド、二本鎖RNAおよびイミキモド/レシキモドこのコンテキストで使用することができる。特に好ましいアジュバントは、サイトカイン(例えばモノカイン、リンホカイン、インターロイキンまたはケモカイン)、例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、INFα、INF−γ、GM−CSF、LT−α、または成長因子(例えばhGH)である。さらに既知のアジュバントは、水酸化アルミニウム、フロイントアジュバントまたはオイル(例えば(Montanide)(登録商標))、最も好ましくはMontanide(登録商標)ISA51である。リポペプチド(例えばPam3Cys)も、本発明での使用に適している。
本願に記載の組成物は、通常、均一な剤形で提供され、それ自体公知の方法で調製することができる。該組成物は、例えば、溶液または懸濁液の形態であってもよい。
本明細書に記載の組成物は、塩、緩衝物質、防腐剤、担体、希釈剤および/または賦形剤を含み得、これらの全ては好ましくは医薬的に許容されるものである。用語「医薬的に許容される」は、医薬組成物の活性成分の作用と相互作用しない物質の非毒性を指す。
医薬的に許容されない塩は、医薬的に許容される塩を調製するために使用することができ、本発明に含まれる。この種の医薬的に許容される塩は、非限定的な方法で、以下の酸から調製されるものを含む:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸などから調製されるものを含む。医薬的に許容される塩はまた、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩として調製されうる。
本発明で使用するのに適した緩衝物質として、塩中の酢酸、塩中のクエン酸、塩中のホウ酸および塩中のリン酸が挙げられる。
本発明での使用に適した防腐剤として、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベンおよびチメロサールが挙げられる。
注射用処方物は、乳酸リンゲルのような医薬的に許容される賦形剤を含むことができる。
「担体」という用語は、適用を容易にする、増強する、または可能にするために活性成分がその中で組み合わされる、天然または合成の有機または無機成分を指す。本発明によれば、用語「担体」はまた、患者への投与に適している、1つ以上の適合性のある固体または液体の賦形剤、希釈剤またはカプセル化物質を含む。
非経口投与のための可能な担体物質は、例えば、滅菌水、リンゲル液、乳酸リンゲル液、滅菌塩化ナトリウム溶液、ポリアルキレングリコール、水素化ナフタレン、特に生体適合性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマーまたはポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリマーである。
本願で使用される場合、用語「賦形剤」は、本願に記載の組成物中に存在してもよい、例えば担体、結合剤、潤滑剤、増粘剤、界面活性剤、防腐剤、乳化剤、緩衝剤、着香剤、または着色剤のような、活性成分でないあらゆる物質を意味することを意図する。
本願に記載の剤および組成物は、任意の従来の経路、例えば、注射または注入を含む非経口投与によって投与されうる。投与は、好ましくは非経口的に、例えば、静脈内、動脈内、皮下、皮内または筋肉内である。
非経口投与に適した組成物は、通常、活性化合物の滅菌した水性または非水性調製物を含み、好ましくはレシピエントの血液と等張である。適合する担体および溶媒の例は、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、通常、滅菌した固定油が溶液または懸濁液媒体として使用される。
本願に記載の剤および組成物は、有効量で投与される。「有効量」は、所望の反応または所望の効果を単独でまたはさらなる用量と一緒に達成する量を意味する。特定の疾患または特定の状態の治療の場合、該所望の反応は、好ましくは、疾患過程の阻害に関する。これは、疾患の進行を遅くすること、特に、疾患の進行を中断または逆行させることを含む。疾患または状態の治療における該所望の反応はまた、前記疾患または前記状態の発症の遅延または発症の予防であり得る。
本願に記載される剤または組成物の有効量は、治療される症状、疾患の重症度、該患者の個人的なパラメーター(年齢、生理学的状態、サイズおよび体重、治療の期間、付随する治療のタイプ(もしあれば)、特定の投与の経路、および同様の因子が挙げられる)に依存する。従って、本願に記載の剤の投与量はこのような様々なパラメーターに依存しうる。患者における反応が初期投与量では不十分である場合、より高い用量(または異なるより局所的な投与経路によって達成される効果的により高い用量)が使用されうる。
下記の実施例は本発明の好ましい実施形態を説明することを意図するものであって、請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
実施例1:プロタミン−RNA粒子のダブル注射によるI型インターフェロン(TNFαではなく)の相乗的な産生。
RNAを合成し精製する。ついで生成物を凍結乾燥し、0.5mg/mlで純水に再懸濁させる。プロタミンIPEX 5000を純水で28倍に希釈し、およそ0.5mg/mlの低塩のプロタミンの溶液を得る。1体積のRNAを1体積のプロタミンと混合する。直ちに強力に混合する(例えばピペットでのアップダウンやボルテックス)。当該処方物を10分間室温に置き、ついで適量の40%グルコースで最終濃度5%グルコースとなるようにさらに希釈する。溶液を、RNA(およびプロタミンの)濃度が10μg/70μLになるように、5%グルコースでさらに希釈する。マウスに、140μLのプロタミン−RNA溶液の静脈内注射を1回行うか、または70μLの該溶液の静脈内注射を2回(2または4または5または6時間あけて)行う。
それらの条件において、図1に示すとおり、当該2回の注射が2または4時間あけて(最大5時間あけて)行われたときに、インターフェロンα(TNFαではなく)の相乗的な産生が該(最終)注射から3時間後に採取した血清中に検出される。
実施例2:インターフェロンα受容体1に対する依存性
実施例1と同一のプロタミン−RNAの処方物を用いて、70μLの静脈内投与を2時間あけて行い、第2注射から3時間後に血清を採取するダブル注射スケジュールにより、図2に示すとおり、インターフェロンαの相乗的な産生はIFNARに依存すると見られる(それはIFNAR−1欠損マウスでは認められない)。このことは精製または組換えI型インターフェロンと同様に機能性生物(機能性I型インターフェロン受容体を有する)におけるI型インターフェロンのインデューサー(弱くとも)は当該生物を(インターフェロン産生の観点から)プロタミン−RNA粒子の第2注射に対して強く反応するように感作させることができることを示唆する。
実施例3:危険シグナルは後続のプロタミン−RNA粒子注射に対して感作させることができる。
実施例1の70μLのプロタミン−RNA粒子は、同量のプロタミン−RNA粒子の第1注射、または他の危険シグナル:例えば非メチル化DNA(「CpG ODN」)またはイミキモド(図3において両方)またはdsRNA(図4);の注射の2時間後にそれらが投与されたとき、強力に(相乗的に)インターフェロン産生を誘導する。したがって、相乗的なI型インターフェロン産生を得るために、プロタミン−RNA粒子はもう一つの危険シグナルの後に(または前に)注射されることができる。
実施例4:プロタミン−RNA粒子のダブル注射スケジュールを用いる株化腫瘍の治癒
図5に示すとおり、株化肺転移を有するマウスは、「相乗的」注射プロトコル(2回、2時間あけて、実施例1のとおりに製造された70μLのプロタミン−RNA粒子の静脈内注射)を2サイクル(1週間あけて)行って治療した場合には、腫瘍形成の遅延を示した。「バルク」プロトコル(実施例1の140μLのプロタミン−RNA粒子の1回静脈内注射)2サイクル(1週間あけて)行って治療した場合には示さなかった。従って、プロタミン−RNA粒子による効果的な抗ガン性免疫を引き起こすためには数時間(6未満)のダブル注射スケジュールが必要である。
上記の説明および実施例は、単に本発明を説明するために記載され、限定されることを意図するものではない。本発明の精神および本質を組み込む開示された実施形態の変形は当業者に起こりうるため、本発明はクレームの範囲にある全てのバリエーションおよびその同等を含むものと広く解釈されるべきである。さらに、本願が引用する全ての文献の教示および開示は、参照することによりその全ては明確に組み込まれる。

Claims (20)

  1. 対象に第2組成物を第1組成物の投与後に投与することを含む、該対象において免疫反応を誘導するための方法であって、
    第1組成物および第2組成物は各々(i)危険シグナル;および(ii)医薬的に許容される担体を含み、
    相乗的な免疫反応が誘導される時間内に第1組成物および第2組成物が投与される、
    該方法。
  2. 該時間が約6時間である、請求項1に記載の方法。
  3. 該危険シグナルがToll様受容体アゴニストであり、および/または該危険シグナルがI型インターフェロンを誘導する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 該Toll様受容体アゴニストが、RNAを含む粒子(該RNAはカチオン性ポリマーまたは脂質またはカチオン性ポリマーおよび脂質の両方と会合(associate)する);二本鎖RNA;CpGモチーフを含む非メチル化DNA;イミキモド;およびレシキモドからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 該カチオン性ポリマーがプロタミン、ポリエチレンイミン、ポリ−L−リジン、ポリ−L−アルギニン、およびヒストンからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
  6. 該粒子がRNAおよびプロタミンを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 該プロタミン−RNA粒子が約10nm〜約990nm、約10nm〜約750nm、約10nm〜約450nm、約50nm〜約450nm、約50nm〜約100nm、または約90nm〜約110nmのサイズを有するプロタミン−RNAナノ粒子である、請求項6に記載の方法。
  8. 該プロタミン−RNAナノ粒子が約16:1〜約1:2、約8:1〜約1:2、または約4:1〜約1:2のポリカチオン:RNAの質量比を有する、請求項7に記載の方法。
  9. 第1組成物中および/または第2組成物中の該危険シグナルがプロタミン−RNAナノ粒子である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 該粒子中に含まれる該RNAがオリゴヌクレオチドまたはメッセンジャーRNAである請求項4〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 該粒子中に含まれる該RNAが、少なくとも1つのUヌクレオチドまたは少なくとも1つのGヌクレオチド、または少なくとも1つのUヌクレオチドおよび少なくとも1つのGヌクレオチドを含む、請求項4〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 該粒子中に含まれる該RNAが修飾RNAである、請求項4〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 該時間が約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、または約30分である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 該誘導される免疫反応が、第1組成物および第2組成物の両方の投与後に該対象から得られた血清中のI型インターフェロン発現において、該組成物の一方のみの投与と比較した、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍の増加として検出され、該I型インターフェロンは好ましくはインターフェロンαである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 該誘導される免疫反応が、該組成物の一方のみの投与と比較して、第1組成物および第2組成物の両方の投与後に該対象から得られた血清中のTNFα発現の増加および減少を示さない、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 第1組成物および/または第2組成物が抗原をさらに含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 第1容器および第2容器を含むキットであって、
    第1容器は(i)危険シグナル;および(ii)医薬的に許容される担体を含む第1組成物を含み;および
    第2容器は(i)危険シグナル;および(ii)医薬的に許容される担体を含む第2組成物を含み;および
    好ましくは該キットは相乗的な免疫反応が誘導される時間内に第1組成物および第2組成物が投与されるとの説明をさらに含む;
    キット。
  18. 対象における免疫反応の誘導における使用のための第1組成物および第2組成物であって、
    第2組成物は第1組成物の投与後に投与され、
    第1組成物および第2組成物は各々(i)危険シグナル;および(ii)医薬的に許容される担体を含み、
    相乗的な免疫反応が誘導される時間内に第1組成物および第2組成物が投与される、
    第1組成物および第2組成物。
  19. 治療的使用のための第1組成物および第2組成物の使用であって、
    第2組成物は第1組成物の投与後に投与され、
    第1組成物および第2組成物は各々(i)危険シグナル;および(ii)医薬的に許容される担体を含み、
    相乗的な免疫反応が誘導される時間内に第1組成物および第2組成物が投与される、
    使用。
  20. 該治療的使用がガン治療である、請求項19に記載の使用。
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