本開示は、分解デンプンを含有する紙および板紙用の水性表面処理組成物に関する。本開示はさらに、水性表面処理組成物を用いた紙および板紙の製造方法、およびこの紙から製造される段ボール紙に関する。
従来技術
ペーパーウェブ材料上でのデンプン表面処理は、様々な製品およびグレードで広範囲に使用されている。例えば様々な種類のサイズプレスまたは被覆装置により、紙表面処理で使用されるデンプンのかなりの割合は、変性デンプン(例えばエチル化デンプン、酸化デンプン)であり、これらは非変性デンプンに比べて、極めて高価である。例えば過硫酸アンモニウム酸化(または触媒作用のある過酸化物酸化)により行われる、高速糊炊き釜でのパールスターチ(Pearl starch)のその場での酸化デンプン変性もまた、デンプンベースの表面処理組成物を低コストでもたらすために、製紙産業で使用されてきた。しかしながら、デンプンをその場において酸化的加水分解で変性することにより、デンプンマクロ分子上で、また酸化により分解された炭水化物に由来する生成物上でも、不安定な酸化基が生じ、これらは全て、黄変または変色に敏感であり、表面処理された紙の明度および白色度を低下させる。この有害な作用は、紙表面で(またはペーパーウェブ内部で)蛍光光沢剤(OBA)を使用する場合に、特にコストが掛かる。アミラーゼによるデンプンの酵素変性もまた、表面にサイズ剤または被覆組成物をもたらすために、製紙産業で行われてきた。しかしながら、市販のアミラーゼ酵素の多くは、充分な熱安定性またはpH安定性の欠如が問題であり、これによって市販のアミラーゼ酵素の多くは、工業的なプロセス条件変化による不活性化に対して敏感になる。従来のアミラーゼに必要とされる酵素を投与すること、ならびに不活性化を避けるため、または不均一な粘度の発現によるプロセス失敗を回避するために、プロセス条件に関して注意深く制御する必要があることは、紙表面処理用途におけるアミラーゼのコスト、使用範囲または工業的な手法/装置に関して何らかの限界を設定している。コストを削減するため、および製品への酵素(タンパク質)の移行を減少させるために、アミラーゼ投与効果をさらに改善させる必要がある。また、改善されたプロセス安定性、均一な粘度制御、および表面処理法について拡大された範囲を有する、酵素変性デンプン表面処理組成物を提供する必要もある。
包装紙部分における重要な要求は、紙の強度である。それと言うのも、このような紙の重要な原料は再生繊維であり、再生繊維は再利用の結果、強度を失い、このため紙の強度における継続的な減少につながる。紙の質を強化するために、紙料にはしばしば助剤、例えば湿潤紙力増強剤および乾燥紙力増強剤、例えばカチオン性およびアニオン性のポリアクリルアミドまたはポリビニルアミン、歩留まり向上剤、ならびにサイズ剤が添加される。しかしながら、紙料におけるカチオン性増強剤の効果は、再生プロセスからのアニオン性化合物によって、完全には行われない。そこで、例えばサイズプレスにおいて紙のシートに助剤を添加することによりさらなる強度を得る試みがなされてきた。
表面サイズ剤では、被覆されるのは紙のシートである。用いられる表面サイズ剤はしばしば、ゼラチン、またはデンプン誘導体である。この種類のデンプンは同様に、表面サイズ剤として添加されると、強化作用を有する。しかしながら、デンプンによって強度を向上させることは、決してできない。サイジング目的のために使用可能なデンプン量について言えば、上限がある。従って本開示の目的は、紙(固体)1トンあたり60kg超の分解デンプンを添加可能にする表面処理組成物をもたらすことであった。本開示の別の目的は、同じ固体含分で、またはより高い固体含分で、デンプン含有表面処理について改善された含浸率(pick up)を実証することであった。
発明の概要
1.紙または板紙表面処理組成物を製造するための酵素調製物の使用であって、
(a)アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する酵素調製物を用意する工程、
(b)デンプンを用意する工程、および
(c)酵素調製物をデンプンと接触させ、これによってデンプンを加水分解して、質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である分解デンプンを含有する紙表面処理組成物を製造する工程、
を含む、前記使用。
2.紙製品を製造するための、実施形態1に記載の使用。
3.改善された表面品質を有する紙製品を製造するための、実施形態1に記載の使用。
4.前記紙製品の表面品質が、耐水性、水分、蒸気、酸素、油または脂肪に対する遮蔽性、耐毛羽立ち性、低減された摩耗性、印刷特性、表面荷電特性、インク/色/染料固定、および結合強度または表面強度から成る群から選択されている、実施形態3に記載の使用。
5.前記紙製品が、フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、厚紙、段ボール紙、紙に基づく包装材料、または紙に基づく印刷材料および筆記材料である、実施形態2から4までのいずれかに記載の使用。
6.前記酵素調製物が、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有する、実施形態1から5までのいずれかに記載の使用。
7.前記酵素調製物が、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有しない、実施形態1から5までのいずれかに記載の使用。
8.前記酵素調製物がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、実施形態1から7までのいずれかに記載の使用。
9.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを1〜40質量%含有する、実施形態1から8までのいずれかに記載の使用。
10.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、実施形態1から9までのいずれかに記載の使用。
11.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態1から10までのいずれかに記載の使用。
12.前記分解デンプンが、45未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態1から11までのいずれかに記載の使用。
13.前記分解デンプンが、40未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態1から11までのいずれかに記載の使用。
14.前記分解デンプンが、35未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態1から11までのいずれかに記載の使用。
15.前記分解デンプンが、30未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態1から11までのいずれかに記載の使用。
16.前記分解デンプンが、25未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態1から11までのいずれかに記載の使用。
17.前記分解デンプンが、20未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態1から11までのいずれかに記載の使用。
18.前記分解デンプンが、15未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態1から11までのいずれかに記載の使用。
19.前記分解デンプンが、10未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態1から11までのいずれかに記載の使用。
20.前記分解デンプンが、7.5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態1から11までのいずれかに記載の使用。
21.前記分解デンプンが、5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態1から11までのいずれかに記載の使用。
22.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)に対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態1から21までのいずれかに記載の使用。
23.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態1から21までのいずれかに記載の使用。
24.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、実施形態1から21までのいずれかに記載の使用。
25.(a)アミラーゼ活性を有するポリペプチドを用意する工程、
(b)デンプンを用意する工程、および
(c)(a)のポリペプチドを(b)のデンプンと接触させ、これによってデンプンを加水分解して、質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である分解デンプンを含有する紙表面処理組成物を製造する工程、
を含む、紙または板紙表面処理組成物を製造する方法。
26.前記紙表面処理組成物が、フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、厚紙、段ボール紙、または紙に基づく包装材料を処理するためのものである、実施形態25に記載の方法。
27.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを1〜40質量%含有する、実施形態25または26に記載の方法。
28.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、実施形態25から27までのいずれかに記載の方法。
29.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態25から28までのいずれかに記載の方法。
30.前記分解デンプンが、45未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態25から29までのいずれかに記載の方法。
31.前記分解デンプンが、40未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態25から29までのいずれかに記載の方法。
32.前記分解デンプンが、35未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態25から29までのいずれかに記載の方法。
33.前記分解デンプンが、30未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態25から29までのいずれかに記載の方法。
34.前記分解デンプンが、25未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態25から29までのいずれかに記載の方法。
35.前記分解デンプンが、20未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態25から29までのいずれかに記載の方法。
36.前記分解デンプンが、15未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態25から29までのいずれかに記載の方法。
37.前記分解デンプンが、10未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態25から29までのいずれかに記載の方法。
38.前記分解デンプンが、7.5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態25から29までのいずれかに記載の方法。
39.前記分解デンプンが、5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態25から29までのいずれかに記載の方法。
40.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)に対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態25から39までのいずれかに記載の方法。
41.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態25から39までのいずれかに記載の方法。
42.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、実施形態25から39までのいずれかに記載の方法。
43.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、デンプンの質量を基準として0.01ppm〜1000ppmで用意する、実施形態25から42までのいずれかに記載の方法。
44.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、デンプンの質量を基準として0.05ppm〜500ppmで用意する、実施形態25から42までのいずれかに記載の方法。
45.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、デンプンの質量を基準として0.1ppm〜250ppmで用意する、実施形態25から42までのいずれかに記載の方法。
46.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、デンプンの質量を基準として0.15ppm〜150ppmで用意する、実施形態25から42までのいずれかに記載の方法。
47.前記方法がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせの使用を含む、実施形態25から46までのいずれかに記載の方法。
48.前記方法がさらに、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素の使用を含む、実施形態25から47までのいずれかに記載の方法。
49.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、実施形態48に記載の方法。
50.前記デンプンが、コメ、トウモロコシ、大麦、小麦、豆果、ジャガイモ、タピオカ、大豆、燕麦、ライ麦、ビーツ、またはサトウキビ由来である、実施形態25から49までのいずれかに記載の方法。
51.前記デンプンを、化学的な処理、機械的な処理、熱処理、酸処理、酸化、誘導、または酵素処理によって処理する、実施形態25から49までのいずれかに記載の方法。
52.前記熱処理が、5〜60分にわたる60〜100℃の温度を含む、実施形態51に記載の方法。
53.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを不活性化することを含む、実施形態25から52までのいずれかに記載の方法。
54.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを加熱により不活性化することを含む、実施形態53に記載の方法。
55.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、100℃超の温度に加熱する、実施形態54に記載の方法。
56.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、110℃超の温度に加熱する、実施形態54に記載の方法。
57.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、114℃超の温度に加熱する、実施形態54に記載の方法。
58.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、120℃超の温度に加熱する、実施形態54に記載の方法。
59.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、過飽和蒸気を用いた直接熱噴射により不活性化することを含む、実施形態53に記載の方法。
60.水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムもしくはアンモニア水溶液、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)、水酸化カルシウムもしくは消石灰、次亜塩素酸ナトリウムもしくは次亜塩素酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、過炭酸ナトリウムもしくは過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウムもしくは過ホウ酸カリウム、ほう砂、多官能性カルボン酸、カルボジイミド、グリオキサール、アルデヒド、キメン(Kymene)、G−PAM、ペルオキシ有機酸、過硫酸塩、オキソンに基づく架橋剤、AKDサイズ剤、ASAサイズ剤、カチオン性ポリマー、第四級アミン、ポリビニルアミン、アジド、またはこれらの組み合わせを用いた化学的な不活性化によって、アミラーゼ活性を有するポリペプチドを不活性化することを含む、実施形態53に記載の方法。
61.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、紫外線/過酸化物、X線、γ線、および電子ビームから成る群から選択される照射により不活性化することを含む、実施形態53に記載の方法。
62.(a)アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する酵素調製物を用意する工程、
(b)デンプンを用意する工程、および
(c)酵素調製物をデンプンと接触させ、これによってデンプンを加水分解して、質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である分解デンプンを含有する紙表面処理組成物を製造する工程、
を含む方法によって得られる分解デンプンを含有する、紙または板紙表面処理組成物。
63.前記紙表面処理組成物が、フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、厚紙、段ボール紙、または紙に基づく包装材料を処理するためのものである、実施形態62に記載の紙表面処理組成物。
64.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを1〜40質量%含有する、実施形態62または63に記載の紙表面処理組成物。
65.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、実施形態62から64までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
66.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態62から65までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
67.前記分解デンプンが、45未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態62から66までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
68.前記分解デンプンが、40未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態62から67までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
69.前記分解デンプンが、35未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態62から67までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
70.前記分解デンプンが、30未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態62から67までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
71.25未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを含有する、実施形態62から67までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
72.20未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを含有する、実施形態62から67までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
73.15未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを含有する、実施形態62から67までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
74.10未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを含有する、実施形態62から67までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
75.7.5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを含有する、実施形態62から67までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
76.5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを含有する、実施形態62から67までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
77.80℃、100rpmで3〜2,000mPa・sの粘度を有する分解デンプンを含有する、実施形態62から76までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
78.架橋剤で変性された、実施形態62から77までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
79.前記架橋剤が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(BTCA)、ポリ(マレイン酸)(PMA)、ポリ(イタコン酸)、クエン酸、1,6−ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,8−オクタメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,10デカメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,12ドデカメチレンビス(エチルカルボジイミド);PEG−ビス(プロピル(エチルカルボジイミド));2,2’−ジチオエチルビス(エチルカルボジイミド);1,1’−ジチオ−p−フェニレンビス(エチルカルボジイミド);および1,1’−ジチオ−m−フェニレンビス(エチルカルボジイミド)から成る群から選択される、実施形態78に記載の紙表面処理組成物。
80.前記架橋剤が、ほう砂およびグリオキサールから成る群から選択される、実施形態78に記載の紙表面処理組成物。
81.鉱物、無機顔料、粘土、カオリン、PCC、GCC、ケイ酸カルシウム、シリカ、中空球状顔料を含むプラスチック球状顔料、発泡性プラスチック球体、微結晶性セルロース、ナノ結晶性セルロース、ナノレベルでひだ付けされたセルロース、コロイド状MCC、TiO2、タルク、アルミナ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、実施形態62から80までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
82.ヘミセルロースまたはリグニンを含有する、実施形態62から81までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
83.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)に対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態62から82までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
84.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態62から82までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
85.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、実施形態62から82までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
86.(a)がさらに、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有する、実施形態62から85までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
87.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、実施形態86に記載の紙表面処理組成物。
88.前記方法がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせの使用を含む、実施形態62から87までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
89.(a)1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを含有する紙表面処理組成物を用意する工程、
(b)ウェブ材料を用意する工程、および
(c)前記紙表面処理組成物をウェブ材料に適用する工程、これによって、改善された表面品質を有する紙製品が製造される
を含む、紙製品の製造方法。
90.前記紙製品が、フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、板紙、厚紙、段ボール紙、紙に基づく包装材料、または紙に基づく印刷材料および筆記材料である、実施形態89に記載の方法。
91.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを1〜40質量%含有する、実施形態89から90までのいずれかに記載の方法。
92.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、実施形態89から91までのいずれかに記載の方法。
93.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態89から92までのいずれかに記載の方法。
94.前記分解デンプンが、45未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態89から93までのいずれかに記載の方法。
95.前記分解デンプンが、40未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態89から93までのいずれかに記載の方法。
96.前記分解デンプンが、35未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態89から93までのいずれかに記載の方法。
97.前記分解デンプンが、30未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態89から93までのいずれかに記載の方法。
98.前記分解デンプンが、25未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態89から93までのいずれかに記載の方法。
99.前記分解デンプンが、20未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態89から93までのいずれかに記載の方法。
100.前記分解デンプンが、15未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態89から93までのいずれかに記載の方法。
101.前記分解デンプンが、10未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態89から93までのいずれかに記載の方法。
102.前記分解デンプンが、7.5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態89から93までのいずれかに記載の方法。
103.前記分解デンプンが、5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態89から93までのいずれかに記載の方法。
104.前記分解デンプンが、80℃、100rpmで3〜2,000mPa・sの粘度を有する、実施形態89から103までのいずれかに記載の方法。
105.前記ウェブ材料が、合成ポリマー、プラスチック、バイオポリマー、または生分解性ポリマー製である、実施形態89から104までのいずれかに記載の方法。
106.前記ウェブ材料が、被覆されていないもしくは被覆されたペーパーウェブ、ロール、シート、ペレット、チューブ、パッド、ラップ、不織布、布状印刷表面、紙包装材料、箱、プレート、カップ、カード、パネル、トレイ、クッション、ティッシュ、タオル、ナプキン、ワイプ、おむつ、衛生パッド/ウェブ、段ボール箱、ライナー、媒体、ならびにプラスチック繊維、ガラス繊維、バイオポリマー繊維、植物繊維、野菜繊維、海藻繊維、藻類繊維、木質繊維、非木質繊維、バガス繊維、竹繊維、麻繊維、ラミー繊維、ケナフ繊維、パーム繊維、サイザル麻繊維、アバカ繊維、農業繊維、ラッカセイ殻繊維、ケラチン(羽毛)繊維、獣毛繊維、毛皮、トウモロコシの芯繊維、ワラ繊維、木綿繊維、鉱物繊維、金属繊維、セラミック繊維、絹繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ、または黒鉛シートを含有する繊維ウェブである、実施形態89から105までのいずれかに記載の方法。
107.前記紙製品の表面品質が、耐水性、水分、蒸気、酸素、油または脂肪に対する遮蔽性、耐毛羽立ち性、低減された摩耗性、印刷特性、表面荷電特性、インク/色/染料固定、および結合強度または表面強度から成る群から選択されている、実施形態89から106までのいずれかに記載の方法。
108.前記ウェブ材料がペーパーウェブである、実施形態89から107までのいずれかに記載の方法。
109.前記紙表面処理組成物を、サイズ剤、ウェットエンド適用、被覆バインダー/キャリア、または接着剤としてペーパーウェブに適用する、実施形態89から108までのいずれかに記載の方法。
110.前記紙表面処理組成物を、サイズプレス、秤量サイズプレス、フィルムプレス、ロールコート、ブレードコート、バーコート、キャストコート、スプレーコート、カーテンコート、シャワーコート、噴射、トランスファーコーティング、ウォーターボックス含浸(water-box pick-up)、またはヘッドボックスによってペーパーウェブに適用する、実施形態89から108までのいずれかに記載の方法。
111.サイズ剤を、抄紙機のウェットエンド部によってペーパーウェブに適用する、実施形態109に記載の方法。
112.質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である分解デンプンを含有する紙表面処理組成物を用いて製造された、改善された表面品質を有する紙製品。
113.フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、板紙、厚紙、段ボール紙、紙に基づく包装材料、または紙に基づく印刷材料および筆記材料である、実施形態112に記載の紙製品。
114.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを1〜40質量%含有する、実施形態112または113に記載の紙製品。
115.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、実施形態112から114までのいずれかに記載の紙製品。
116.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から115までのいずれかに記載の紙製品。
117.前記分解デンプンが、45未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から116までのいずれかに記載の紙製品。
118.前記分解デンプンが、40未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から116までのいずれかに記載の紙製品。
119.前記分解デンプンが、35未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から116までのいずれかに記載の紙製品。
120.前記分解デンプンが、30未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から116までのいずれかに記載の紙製品。
121.前記分解デンプンが、25未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から116までのいずれかに記載の紙製品。
122.前記分解デンプンが、25未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から116までのいずれかに記載の紙製品。
123.前記分解デンプンが、20未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から116までのいずれかに記載の紙製品。
124.前記分解デンプンが、15未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から116までのいずれかに記載の紙製品。
125.前記分解デンプンが、10未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から116までのいずれかに記載の紙製品。
126.前記分解デンプンが、7.5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から116までのいずれかに記載の紙製品。
127.前記分解デンプンが、5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態112から116までのいずれかに記載の紙製品。
128.前記分解デンプンが、80℃、100rpmで3〜2,000mPa・sの粘度を有する、実施形態112から127までのいずれかに記載の紙製品。
129.前記紙製品の表面品質が、耐水性、水分、蒸気、酸素、油または脂肪に対する遮蔽性、耐毛羽立ち性、低減された摩耗性、印刷特性、表面荷電特性、インク/色/染料固定、および結合強度または表面強度から成る群から選択されている、実施形態112から128までのいずれかに記載の紙製品。
130.10,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量(Mw)、および1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを含有する、紙または板紙製品。
131.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態130に記載の紙製品。
132.少なくとも10%〜90%の二糖類を含有する、実施形態130または131の紙製品。
133.少なくとも10%〜90%の三糖類を含有する、実施形態130から133までのいずれかに記載の紙製品。
134.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する紙製品を製造するための低分量酵素調製物であって、アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、デンプンの質量を基準として0.01ppm〜1000ppmでデンプンに適用されている、前記低分量酵素調製物。
135.前記紙製品が、フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、板紙、厚紙、段ボール紙、紙に基づく包装材料、または紙に基づく印刷材料および筆記材料である、実施形態134に記載の低分量酵素調製物。
136.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、デンプンの質量を基準として0.05ppm〜500ppmで適用されている、実施形態134または135に記載の低分量酵素調製物。
137.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、デンプンの質量を基準として0.1ppm〜250ppmで適用されている、実施形態134または135に記載の低分量酵素調製物。
138.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、デンプンの質量を基準として0.15ppm〜150ppmで適用されている、実施形態134または135に記載の低分量酵素調製物。
139.前記酵素調製物が、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有する、実施形態134から138までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
140v前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、実施形態139に記載の低分量酵素調製物。
141.前記酵素調製物がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、実施形態134から140までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
142.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)に対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態134から141までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
143.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態134から141までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
144.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、実施形態134から141までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
145.(a)アミラーゼ活性、グルコアミラーゼ活性および/または脱分枝酵素活性を有するポリペプチドを含有する酵素調製物、
(b)紙、または紙パルプ、またはバイオマス材料
を含有する、紙製品を製造するための組成物。
146.前記紙製品が、フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、板紙、厚紙、段ボール紙、紙に基づく包装材料、または紙に基づく印刷材料および筆記材料である、実施形態145に記載の組成物。
147.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)に対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態145から146までのいずれかに記載の組成物。
148.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態145から146までのいずれかに記載の組成物。
149.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、実施形態145から146までのいずれかに記載の組成物。
150.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、実施形態145から149までのいずれかに記載の組成物。
151.前記酵素調製物がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、実施形態145から150までのいずれかに記載の組成物。
152.前記バイオマス材料が、農業作物、食料もしくは飼料の副生成物、リグノセルロース廃棄物、植物残渣、古紙、または古紙製品を含有するか、またはこれらに由来する、実施形態145から151までのいずれかに記載の組成物。
153.前記植物残渣が、茎、葉、殻、さや、穂軸、木材、木材チップ、木材パルプもしくはおがくずを含有するか、または前記古紙が、廃棄されたもしくは使用済みのフォトコピー紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、厚紙、紙に基づく包装材料を含有する、実施形態152に記載の方法。
154.(a)紙料を、製紙助剤および/または填料で処理する工程、
(b)(a)で処理した紙料をシート形成しながら脱水して、ペーパーウェブを得る工程、
(c)10,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量(Mw)、および1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを含有する紙表面処理組成物を用意する工程、
(d)ペーパーウェブを、(c)の紙表面処理組成物と接触させる工程、および
(e)(d)で接触させたペーパーウェブを乾燥させる工程、これによって紙製品が製造される
を有する、紙製品の製造方法。
155.前記紙製品が、フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、板紙、厚紙、段ボール紙、紙に基づく包装材料、または紙に基づく印刷材料および筆記材料である、実施形態154に記載の方法。
156.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを1〜40質量%含有する、実施形態154または155に記載の方法。
157.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、実施形態154から156までのいずれかに記載の方法。
158.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態154から157までのいずれかに記載の方法。
159.前記分解デンプンが、45未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態154から157までのいずれかに記載の方法。
160.前記分解デンプンが、40未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態154から157までのいずれかに記載の方法。
161.前記分解デンプンが、35未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態154から157までのいずれかに記載の方法。
162.前記分解デンプンが、30未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態154から157までのいずれかに記載の方法。
163.前記分解デンプンが、25未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態154から157までのいずれかに記載の方法。
164.前記分解デンプンが、20未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態154から157までのいずれかに記載の方法。
165.前記分解デンプンが、15未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態154から157までのいずれかに記載の方法。
166.前記分解デンプンが、10未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態154から157までのいずれかに記載の方法。
167.前記分解デンプンが、7.5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態154から157までのいずれかに記載の方法。
168.前記分解デンプンが、5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態154から157までのいずれかに記載の方法。
169.前記紙料が、ポリビニルアルコール繊維を含有しない、実施形態154から168までのいずれかに記載の方法。
170.前記紙表面処理組成物が、架橋剤で変性されている、実施形態154から169までのいずれかに記載の方法。
171.前記架橋剤が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(BTCA)、ポリ(マレイン酸)(PMA)、ポリ(イタコン酸)、クエン酸、1,6−ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,8−オクタメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,10デカメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,12ドデカメチレンビス(エチルカルボジイミド);PEG−ビス(プロピル(エチルカルボジイミド));2,2’−ジチオエチルビス(エチルカルボジイミド);1,1’−ジチオ−p−フェニレンビス(エチルカルボジイミド);および1,1’−ジチオ−m−フェニレンビス(エチルカルボジイミド)から成る群から選択される、実施形態に記載170の方法。
172.前記架橋剤が、ほう砂およびグリオキサールから成る群から選択される、実施形態170に記載の方法。
173.前記紙表面処理組成物が、鉱物、無機顔料、粘土、カオリン、PCC、GCC、ケイ酸カルシウム、シリカ、中空球状顔料を含むプラスチック球状顔料、発泡性プラスチック球体、微結晶性セルロース、ナノ結晶性セルロース、ナノレベルでひだ付けされたセルロース、コロイド状MCC、TiO2、タルク、アルミナ、またはこれらの組み合わせを含有する、実施形態154から172までのいずれかに記載の方法。
174.前記紙表面処理組成物が、ヘミセルロースまたはリグニンを含有する、実施形態154から173までのいずれかに記載の方法。
175.前記方法がさらに濾過プロセスを含み、場合によっては濾液が発生する、実施形態154から174までのいずれかに記載の方法。
176.前記方法がさらに濾液の再利用を含み、場合によっては微細物質を、濾液から収集する、実施形態175に記載の方法。
177.前記方法がさらに混合プロセスを含む、実施形態154から176までのいずれかに記載の方法。
178.前記方法がさらに漂白プロセスを含む、実施形態154から177までのいずれかに記載の方法。
179.場合によって前記方法がさらに、付加的な酵素の添加を含み、場合によってさらなる酵素を、複数の時点で、または段階的に方法に添加する、実施形態154から178までのいずれかに記載の方法。
180.前記方法がさらに、予備洗浄プロセスまたは前処理プロセスを含む、実施形態154から179までのいずれかに記載の方法。
181.前記紙表面処理組成物を、サイズ剤、ウェットエンド適用、被覆バインダー/キャリア、または接着剤としてペーパーウェブに適用する、実施形態154から180までのいずれかに記載の方法。
182.前記紙表面処理組成物を、サイズプレス、秤量サイズプレス、フィルムプレス、ロールコート、ブレードコート、バーコート、キャストコート、スプレーコート、カーテンコート、シャワーコート、噴射、トランスファーコーティング、ウォーターボックス含浸、またはヘッドボックスによってペーパーウェブに適用する、実施形態154から180までのいずれかに記載の方法。
183.サイズ剤を、抄紙機のウェットエンド部によってペーパーウェブに適用する、実施形態181に記載の方法。
184.実施形態1から183までのいずれかに記載の方法によって得られる、紙製品。
185.10,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量(Mw)、および1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有するデンプンを含有する、組成物。
186.400,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを1〜40質量%含有する、紙および板紙用の水性表面処理組成物。
187.デンプンを、アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する酵素調製物により、デンプンが400,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量を有するまで処理することによって得られる分解デンプンを1〜40質量%含有する、紙および板紙用の水性表面処理組成物。
188.分解デンプンを得るために、デンプンの質量を基準として0.0001質量%〜1質量%の配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)のポリペプチドを使用する、実施形態186または187に記載の水性表面処理組成物。
189.前記酵素調製物が、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有する、実施形態186から188までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
190.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、実施形態186から189までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
191.前記酵素調製物がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、実施形態186から190までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
192.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3の配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態186から191までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
193.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、実施形態186から192までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
194.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、実施形態186から193までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
195.前記分解デンプンが、
a)水およびデンプンの懸濁液を調製する工程、
b)配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)に対して少なくとも80%の同一性を有するアミラーゼ活性を有するポリペプチドを0.0001〜1%添加する工程、および
c)デンプンおよび酵素を含有する混合物を、5〜60分にわたって60〜100℃の温度に加熱する工程、
を含む方法によって得られる、実施形態186から194までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
196.前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、実施形態186から195までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
197.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性を有する、実施形態186から196までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
198.a)紙料を、製紙助剤および/または填料で処理する工程、
b)a)で処理した紙料をシート形成しながら脱水する工程、および
c)b)で得られたペーパーウェブを、実施形態186から197までのいずれかに記載の表面処理組成物で処理する工程、および
d)c)で被覆されたペーパーウェブを乾燥させる工程
を含む、紙および板紙の製造方法。
199.前記分解デンプンが、400,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性を有し、かつ前記表面処理組成物をサイズプレス適用技術によって適用する、実施形態198に記載の方法。
200.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性を有し、かつ前記表面処理組成物をフィルムプレス適用技術によって適用する、実施形態198に記載の方法。
201.実施形態198から200までのいずれかに記載の方法によって得られる、紙および板紙。
202.段ボール紙を製造するための、実施形態201に記載の紙および板紙の使用。
発明の詳細な説明
定義
本明細書で言及する全ての特許、出願、公開公報、およびその他の刊行物は、参照された文献について言及することにより、その全体が組み込まれる。本明細書で使用する用語またはフレーズが、本明細書で参照により組み込まれた先の特許、出願、公開公報およびその他の文献で規定されたものの定義と矛盾、または一貫しない場合、本明細書での使用が、参照により組み込まれた定義に優先する。
本明細書で使用するように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、明示的に、または文脈により特に指示されていなくても、それらの複数形を含む。例えば、「1つの(a)」二量体は、明示的に、または文脈により特に指示されていなくても、1種または複数の二量体を含む。
本明細書で紙料(パルプ完成紙料としても知られる)は、水と繊維材料との混合物を言い、製紙プロセスにおけるステージに応じて、さらに填料を、また製紙助剤を含むことができる。乾燥紙料とは、繊維材料、また任意で填料、任意で製紙助剤から構成される水は含まない紙料全体(固体紙料)を意味すると理解される。
繊維材料から成る成形体についての用語は、単位面積あたりの質量で言い換えることができ、また坪量の俗語のことも言う。以下で紙とは、単位面積あたり質量が7g/m2〜225g/m2のものであり、板紙とは、単位面積あたり質量が225g/m2以上であると理解されるべきである。
この文脈でデンプンとは、あらゆる未加工デンプンまたは変性デンプンであると理解されるべきである。未加工デンプンは、アミロース、アミロペクチン、またはこれらの混合物からなり得る。変性デンプンは、酸化デンプン、デンプンエステル、またはデンプンエーテルを含むことができる。
考慮されるデンプンの種類は、未加工デンプン、例えばジャガイモデンプン、小麦デンプン、トウモロコシデンプン、コメデンプン、またはタピオカデンプンを含み、ジャガイモデンプンが好ましい。これらのデンプンはまた、植物または農業残渣からのデンプン成分を含有するバイオマスであってよく、化学的に変性されたデンプン(例えばヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピルデンプン)、またはさもなくばアニオン基を有するデンプン、例えばホスフェートデンプン、または第四級アンモニウム基を有するカチオン化されたデンプンを使用することもでき、0.01〜0.2の置換度が好ましい。この置換度DSは、グルコース単位あたりのデンプン中に平均で存在するカチオン基の数を示す。特に好ましいのは、両性デンプンであり、これは第四級アンモニウム基のみならず、アニオン基、例えばカルボキシレートおよび/またはホスフェート基も含み、これは任意でまた、化学変性(例えばヒドロキシアルキル化またはアルキルエステル化)を経ていてもよい。デンプンは個別に、またはさもなくば相互のあらゆる所望の混合物で使用することができる。
デンプンは、他のヘミセルロースまたは多糖類(例えばガラクトマンナン、キシラン、アラビノキシラン、グルクロノキシラン、グルコマンナン、キシログルカン(例えばタマリンド種子粉末)、ペクチン/ペクテート、ガラクタン、アラビノガラクタン、これらに限られない)とともに存在していてよい。使用するデンプンが他の多糖類を含有する場合には任意で、ヘミセルロース酵素または多糖類酵素を、本開示の表面デンプン組成物を製造するためのアミラーゼとの組み合わせで使用することができる。1つの選択肢では、BASF社製のキシラナーゼ(Luminase PB-100、Luminase PB-200)を使用することができる。実際には、あらゆる製造元からのヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、およびセルラーゼが包含され、この製造元はNovozymes、Dyadic、DupontおよびBASFを含む。デンプン材料がタンパク質および脂肪を含有する場合、プロテアーゼおよびリパーゼを、アミラーゼを含有する前述の酵素と組み合わせて任意で使用することができる。
本開示で使用されるデンプンは好ましくは、天然デンプン、または実質的に変性されていないデンプンである。1つの例は、Tate and Lyle製のパールスターチである。しかしながら使用するデンプンは、あらゆる変性または部分的に変性されたデンプンであってもよく、例えば熱処理によって、熱的・機械的な処理によって、酸加水分解によって、酸化によって、エステル誘導化によって(例えばデンプンアセテート、デンプンホスフェート)、エーテル変性またはヒドロキシアルキル誘導化(例えばヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、またはエチル化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンホスフェート、カルボキシメチルデンプン、様々なカチオン性デンプン、および事前に酵素変性されたデンプン、および事前にゲル化されたデンプン)によって、変性されている。幾つかの名前を挙げると共通の例は、A.E. Staley、Penford (Ingredion)、Tate and Lyle、ADM、Cargill、Rasio、Roguette、およびAmylum社製の工業的なデンプンを含む。
本明細書で使用するように、「炭化水素」、「多糖類」、または「糖」とは、炭素(C)、水素(H)、および酸素(O)から成るマクロ分子を言い、通常は水素原子:酸素原子の比が、2:1であり(水と同じ)、言い換えれば、実験式Cm(H2O)n(式中、mはnとは異なり得る)を有する。多糖類は、1種以上の糖を有することができ、エネルギー貯蔵のために使用される。単糖類は1つの糖単位のみを有し、その一方で二糖類は、2つの糖単位、または結合した2つの単糖類を有することができる。
本明細書で使用するように「酵素」とは、マクロ分子触媒を言う。これらは、生命を維持する何千という代謝プロセスを担っている。酵素は、高度に選択的な触媒であり、代謝反応の速度と特定性の双方を著しく加速させる。これらの反応は、食べ物の消化、分子の開裂または分解、DNAの合成を含み得るが、これらに限られない。幾つかの触媒RNA分子が特定されているものの、ほとんどの酵素はタンパク質である。酵素は特定の三次元構造を採用し、触媒中で支持するための有機補因子(例えばビオチン)、および無機補因子(例えばマグネシウムイオン)を用いることができる。酵素は通常、触媒作用をもたらす反応、およびこれらの反応に関与する基質について非常に特異的である。酵素の相補性形状、荷電、および親水性/疎水性の特性が、この特異性を担う。酵素はまた、特異性、例えば立体特異性、位置選択性、および化学的選択性を高い水準で示す。その例として、大きな分子(例えばデンプン、ポリグリコシド、糖、タンパク質、分枝糖、リポ糖、APG)を分解するために幾つかの酵素を使用することができるが、これらに限られない。幾つかの実施形態では、ミセルを分解するため、および油を除去するために酵素を使用することができる。
本明細書で使用しているように、「グリコシド加水分解物」、「グリコシダーゼ」、または「グリコシル加水分解物」は、糖錯体におけるグリコシド結合の加水分解において補助可能な酵素である。これらの用語は、互換可能に使用できる。これらの酵素は、バイオマス(例えばセルロース、ヘミセルロース、APG、およびグリコシド)を分解することができる。グリコシダーゼが、グリコシド結合を分解するための主な触媒機構をなす。幾つかの実施形態では、グリコシド加水分解活性を含有する酵素を用意する。幾つかの実施形態において酵素は、ミセルを不安定化させることがある。
本明細書で使用するように、「酵素分解剤」は酵素であり、例えばハイドロフラクチャリング流体のための放出遅延性分解剤として使用可能な、カプセル化された酵素である。例えば、カプセル化された分解剤は、流体に対する活性酵素の放出を遅らせるために使用することができる。この遅れによって、フラクチャリング流体のプロッパント輸送性を犠牲にすることなく、より高い分解剤濃度を使用することが可能になる。幾つかの実施形態では、固体の分解剤をフラクチャ内で濃縮することができ、その構成について流体漏出の間に失われることはない。幾つかの実施形態において酵素分解剤は、流体清浄化を強化することによってフラクチャ伝導性を改善するために使用することができる。
本明細書で使用するように「セルラーゼ」とは、セルロースおよび多糖類を加水分解して単糖類にすることが可能な酵素を言う。幾つかの実施形態では、セルラーゼ活性を有する酵素を用意する。
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、および「核酸分子」という用語は、本明細書では互換可能に使用され、あらゆる長さのヌクレオチドのポリマー形態を言い、これらはリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、これらの類似体、またはこれらの混合物を含むことができる。この用語は、分子の一次構造のみを言う。よってこの用語は、三本鎖、二本鎖、および一本鎖のデオキシリボ核酸(「DNA」)、また三本鎖、二本鎖、および一本鎖のリボ核酸(「RNA」)を含む。これはまた、例えばアルキル化によって、および/またはキャッピングによって変性されたポリヌクレオチドの形態、およびポリヌクレオチドの非変性形態を含む。より具体的には、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、および「核酸分子」は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含有)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含有)(tRNA、rRNA、hRNA、およびmRNAを含む)、スプライシングされた、またはスプライシングされていない、プリン塩基またはピリミジン塩基のN−またはC−グルコシドであるポリヌクレオチドの別の種類、およびヌクレオチド骨格を有するその他のポリマー、例えばポリアミド(例えばペプチド核酸(「PNA」))、およびポリモルホリノポリマー(オレゴン州CorvallisのAnti-Virals, Inc.から、NeuGene(登録商標)として市販で得られる)、およびポリマーが核酸塩基を、例えばDNAおよびRNAに見られるような塩基の対合と塩基のスタッキングを可能にする構成で有する、その他の配列特異的な合成核酸ポリマーである。よってこれらの用語は例えば、3’−デオキシ−2’,5’−DNA、オリゴデオキシリボ核酸N3’〜P5’ホスホルアミダート、2’−O−アルキル置換RNA、DNAとRNAとの混成型、またはPNAとDNAもしくはRNAとの混成型を含み、また公知の種類の変性、例えばラベリング、アルキル化、「キャップ」、類似体による1種以上のヌクレオチドの置換、ヌクレオチド間の変性、例えば非荷電性結合(例えばメチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミダート、カルバメートなど)を有するもの、負に帯電した結合を有するもの(例えばホスホロチオネート、ホスホロジチオエートなど)、および正に帯電した結合を有するもの(例えばアミノアルキルホスホルアミダート、アミノアルキルホスホトリエステル)、ペンダント部分を有するもの、例えばタンパク質(酵素(例えばヌクレアーゼ)、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リシンなどを含む)、インターカレーターを有するもの(例えばアクリジン、ソラレンなど)、キレートを有するもの(例えば金属、ラジオ活性金属、ホウ素、酸化金属などのもの)、アルキル化剤を有するもの、変性された結合を有するもの(例えばα−アノマー核酸など)、またポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの非変性形態を含む。
本明細書で使用するように、2つのタンパク質配列(またはヌクレオチド配列)の文脈において「配列同一性」、または「同一性」、または「相同性」は、特定された比較範囲にわたる最大相当部について並べた場合に同じである2つの配列における残基についての言及を含む。比較範囲におけるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列の部分は、2つの配列を最適に並べた参照配列と比較して、付加または欠失(すなわちギャップ)を含むことができる。配列同一性のパーセンテージを、タンパク質について使用する場合、同一ではない残基部分はしばしば、保存的アミノ酸置換基によって異なると認識されており、ここでアミノ酸は、類似の化学特性(例えば荷電または疎水性)を有する他のアミノ酸残基によって置換されており、このため分子の官能特性を変えない。配列が保存的置換において異なる場合、パーセンテージ的な配列同一性を、置換の保存的性質について修正するために、上方に調整することができる。このような保存的置換により異なる配列は、「配列類似性」または「類似性」を有すると言われる。これらの調整をするための手段は、当業者によく知られている。このパーセンテージは、同一のアミノ酸または核酸塩基残基が、両方の配列において生じる位置の数を特定し、マッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を、比較範囲における位置の合計数で割り、その結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを出すことによって計算される。これは通常、完全なミスマッチというよりは部分的なミスマッチとしての保存的置換のスコア化を伴い、これによってパーセンテージ配列同一性が上昇する。よって例えば、同一のアミノ酸に1のスコアが与えられ、非保存的置換に0のスコアが与えられた場合、保存的置換には、0〜1のスコアが与えられる。保存的置換のスコア化は、例えばMeyersおよびMillerのアルゴリズムに従って算出される(Computer Applic. Biol. Sci.、1998年、4、11〜17)。
本明細書で使用するように、「実質的に相補性の、または実質的にマッチした」とは、2つの核酸配列が、少なくとも約90%の配列同一性を有することを意味する。好ましくは、2つの核酸配列が、少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。あるいは、「実質的に相補性、または実質的にマッチした」とは、2つの核酸配列が、高ストリンジェンド条件下でハイブリダイゼーションし得ることを意味する。
一般的に、ハイブリッドの安定性は、イオン濃度および温度の作用である。通常、ハイブリダイゼーション反応は、低ストリンジェンド条件下で行われ、これに様々な、ただし高ストリンジェンドの洗浄が続く。適度にストリンジェンドなハイブリダイゼーションとは、核酸分子、例えばプローブが、相補的に核酸分子に結合することを可能にする条件を言う。ハイブリダイゼーションされた核酸分子は一般的に、少なくとも60%の同一性を有し、例えば少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を有する。適度なストリンジェンド条件は、50%のホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%のSDS中で42℃でのハイブリダイゼーション、これに続いて0.2×SSPE、0.2%のSDS中で42℃での洗浄に等しい条件である。高ストリンジェンド条件は例えば、50%のホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%のSDS中での42℃でのハイブリダイゼーションと、これに続く0.1×SSPE、および0.1%のSDS中で65℃での洗浄によってもたらすことができる。
低ストリンジェンドハイブリダイゼーションとは、10%のホルムアミド、5×デンハルト溶液、6×SSPE、0.2%のSDS中で22℃でのハイブリダイゼーション、これに続いて1×SSPE、0.2%のSDS中で37℃での洗浄に等しい条件を言う。デンハルト溶液は、1%のフィコール、1%のポリビニルピロリドン、および1%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有する。20×SSPE(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA))は、3Mの塩化ナトリウム、0.2Mのリン酸ナトリウム、および0.025MのEDTAを含有する。その他の適切で適度なストリンジェンドおよび高ストリンジェンドなハイブリダイゼーションバッファおよび条件は、当業者によく知られている。
本明細書で使用するように「多分散性」とは、質量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで割った商である。多分散性指数は、ポリマーの分子量分布の広さを測定するものとして使用される。多分散性指数が大きければ大きいほど、分子量はより広い。質量平均分子量は、光散乱技術によって特定できる。
本明細書に記載された開示の態様および実施形態は、「〜から成る」および/または「実質的に〜から成る」態様および実施形態を含む。
その他の目的、利点、および特徴は、以下の明細書から明らかになる。
アミラーゼ
本明細書に開示される実施形態は、アミラーゼ活性を有するポリペプチド、および紙製品におけるその使用をもたらす。幾つかのアミラーゼは、国際公開第2010088447号(WO 2010088447)、国際公開第2008092919号(WO 2008092919)、国際公開第2013044867号(WO 2013044867)、国際公開第2013034106号(WO 2013034106)に記載されており、これらの内容は、参照によって本明細書にその全体が組み込まれる。
幾つかの実施形態においてアミラーゼは、熱安定性のα−アミラーゼ、例えば細菌(例えばバチルス)または真菌由来の熱安定性のα−アミラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせ(混合物)であり得る。
さらには、単離された、アミラーゼ活性を有する合成または組換体のポリペプチドがもたらされ、このポリペプチドは、(i)本明細書に記載された例示的なポリペプチドのいずれかに対して、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、100、125、150、175、200、225、または250またはそれより多くの残基の領域にわたって、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより多く、または100%の(完全な)配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、ここで1つの態様では、(任意で)配列同一性が、配列比較アルゴリズムによる分析によって、または視覚的な検査によって特定され、または(ii)少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、100、125、150、175、200、225、250、300、400、500、600、700、800、900、1,000、またはそれより多くのヌクレオチドの領域(例えば、本明細書に例示的に開示された配列を含む)にわたって、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより多く、または100%(完全な)配列同一性を有する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を有する。本開示のポリペプチドまたはペプチド配列は、本開示の抗体(例えばエピトープ)により特異的に結合されたポリペプチドまたはペプチド、または本開示の抗体を生成可能なポリペプチドまたはペプチド(例えばイムノゲン)を含む。
本明細書に開示された方法および組成物での使用に適切なアミラーゼの非限定的な例は、以下のものを含む:Novozymes社製のLpHera(登録商標)、熱安定性のα−アミラーゼであるGammalpha 120L(http://www.hussch.com.pl/Piwowarzy.htmlに記載、Woellner GmbH & Co. KG社製の真菌および細菌由来のアミラーゼ(例えばWarozym A 10、Warozym A 15、Warozym A 152、Warozym A 154、Warozym A 158、Warozym A 162、およびWarozym A 164)、α−アミラーゼ(英国特許出願第871,937号明細書(GB-A-871,937))、および欧州特許出願公開第0690170号明細書(EP0690170A1)に記載されたCGT酵素、CGTase: Lawsonら、J. Mol. Boil. 236:590-500 (1994)に記載されたバチルス・シルクランス251(Bacillus circulans 251)のシクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼ、Amizyme(PMP Fermentation Products, Peoria、米国)、Termamyl(登録商標)、ファンガミル(fungamyl)、BAN(Novozymes、デンマーク)、およびGupta, Rら、B. (2003) Microbial -amylases: a biotechnological perspective. Process Biochem 38, 1599〜1616に記載されたα−アミラーゼG9995†(Enzyme Biosystems、米国)、国際公開第0134784号(WO0134784)に記載され、VuurenおよびWolfaardt、Evaluation of starch hydrolyzing enzymes to improve drainage of recycled pulp、International Convention Centre, Durban、2002年10月8〜11日に記載されたファンガミル(Fungamyl)およびその変異体、Novozyme社製のBAN 480 L、Fungamyl 800 L、およびDuramyl 300 L。
幾つかの実施形態において、アミラーゼ活性を有するポリペプチドは、SPEZYME(登録商標)XTRA、SPEZYME(登録商標)CL、SPEZYME(登録商標)Alpha、SPEZYME(登録商標)RSL、SPEZYME(登録商標)FRED、SPEZYME(登録商標)LT 300、AmyS、AmyL、BAN(登録商標)480L、Liquozyme(登録商標)Supra、Liquozyme(登録商標)SCDS、MAX-LIFE(登録商標)P100、マルトゲナーゼ(Maltogenase) L、CLARASE(登録商標)L、Liquozyme(登録商標)SC、Termamyl(登録商標)SC、ヴェレターゼ(Veretase)、Liqozyme(登録商標)SC4x、Liquozyme(登録商標)Supra 2.8、Liquozyme(登録商標)supra 2、Liquozyme(登録商標)X、Termamyl(登録商標)120L、SPEZYME(登録商標)ALPHA、Clearflow(登録商標)AA、Optitherm(登録商標)、およびTakatherm(登録商標)、Keistase(登録商標)、アバンテック(Avantec)であり得る。本明細書に開示された方法および組成物における使用に適した市販の酵素の非限定的な例は、表1および2に記載されている。
表2:本明細書に開示された方法および組成物における使用に適した市販の酵素の非限定的な例
本明細書に開示されたアミラーゼはさらに、単離された、合成または組み合わせ体のポリペプチドであって、米国特許第7323336号明細書(US Patent 7323336)、米国特許第9062295号明細書(US Patent 9062295)、または国際公開第2008/080093号(WO 2008/080093)で開示または特許請求されたコード配列を有するものを含み、これらの内容は、参照により本明細書にその全体が、明示的に組み込まれる。例えば、これらは配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740))に似た配列を有するアミラーゼ、例えば米国特許第7407677号明細書(US7407677)の例10に記載されたアミラーゼを含み、これらの内容は、参照により本明細書にその全体が、明示的に組み込まれる。
幾つかの実施形態において、アミラーゼ活性を有するペプチドは、Richardsonら、J. Biol. Chem. 277: 26501〜26507 (2002)に開示されたBD5031、BD5063、BD5064およびBD5088であってよく、その内容は、参照により本明細書にその全体が、明示的に組み込まれる。幾つかの実施形態において、アミラーゼ活性を有するポリペプチドは、熱安定性アミラーゼ、例えばAtichokudomchaiら、Carbohydrate Polymers 64:582-588 (2006)に記載されたアミラーゼであってよく、その内容は、参照により本明細書にその全体が、明示的に組み込まれる。幾つかのその他の好ましい実施形態において、アミラーゼ活性を有するポリペプチドは、表3および4に開示されたDNA配列によりコードされたアミラーゼのいずれか、または表3および4に開示されたタンパク質配列を有するものであり得る。
表3:DNAコード配列およびタンパク質配列について、本明細書に開示された方法および組成物で使用可能なアミラーゼの非限定的な例
表4:DNAコード配列およびタンパク質配列について、本明細書に開示された方法および組成物で使用可能なアミラーゼの非限定的な例
広い意味で、あらゆる原料から単離された、誘導された、または組換えされたα−アミラーゼが意図されており、これは細菌、真菌、動物、および植物原料を含む。これらの原料の例は例えば、細菌、アスペルギルス属(Aspergillus)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・サッカロフィラ(Pseudomonas sarccharophilla)などを含むことができる。
紙製品を製造するための低分量酵素調製物
本明細書で開示された実施形態は、紙製品を製造するための低分量酵素調製物をもたらす。幾つかの実施形態において低分量酵素調製物は、アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有することができる。幾つかの実施形態において、アミラーゼ活性を有するポリペプチドは、デンプンの質量を基準として0.01ppm〜1000ppmでデンプンに適用される。
本開示において、表面デンプン処理のための前述のα−アミラーゼの量は、約0.0001質量%(5ppm)〜10質量%の市販品(配列番号12のポリペプチド、すなわち表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)であり、デンプンの質量を基準として好ましくは0.0005質量%〜0.5質量%、好ましくはデンプンの質量を基準として0.001%〜0.1%、より好ましくは0.001%〜0.01%である。
幾つかの実施形態において酵素調製物は、アミラーゼを1%〜50%含有することができる。幾つかの好ましい実施形態において、酵素調製物は3%未満、例えば1%のアミラーゼを含有することができる。幾つかの実施形態において酵素調製物は、デンプンに0.001質量%〜1質量%でもたらされる。
幾つかの実施形態においてアミラーゼは、少なくとも1つの脱分枝酵素を有する、市販の1種または複数種のα−アミラーゼ酵素(例えばBASF、Novozymes社製のアミラーゼ含む)の混合物またはカクテルであってよい。脱分枝機能を有するあらゆるグリコヒドロラーゼが、使用できる。1つの非限定的な例は、γ−アミラーゼ、エキソ−アミラーゼ、プルラナーゼ、またはβ−アミラーゼとγ−アミラーゼとを含有する混合物である。
表面デンプン処理のための前述のα−アミラーゼの量は、デンプンの質量を基準として約0.0005%(5ppm)〜0.5%、好ましくはデンプンの質量を基準として0.01%〜0.1%、より好ましくは0.001%〜0.01%である。デンプン(表面)変性の温度は、70℃〜110℃、好ましくは85℃〜100℃の範囲にあり得る。任意で、酵素デンプン変性は、高速糊炊きに先立ち、デンプンを糊炊きする加熱工程で行うことができる。これは任意で、114℃を下回る温度でデンプン糊炊き工程で行うことができる。酵素処理のpHはまず、pH3〜pH8、好ましくはpH5〜pH7.5で処理することができる。任意で、デンプンを酵素により、pH5〜7で処理し、それからpHをCa(OH)2またはCaOによりアルカリ性の範囲に調整し、この際にアルカリ性のデンプン表面組成物が形成される。
脱分枝酵素
幾つかの実施形態において、本明細書に開示される酵素調製物は、脱分枝酵素との組み合わせで使用することができる。幾つかの代替的な実施形態において、本明細書に開示される酵素調製物は、脱分枝酵素の不在下で使用することができる。幾つかの実施形態では、脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである。
紙製品を製造するための組成物
本明細書に開示される実施形態はさらに、本明細書に開示された酵素調製物と、紙または紙パルプまたはバイオマス材料とを含有する紙製品を製造するための組成物をもたらす。
デンプン変性
本明細書に開示された実施形態は、紙または板紙表面処理組成物を製造するための酵素調製物の使用をもたらし、この使用は、(a)アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する酵素調製物を用意する工程、(b)デンプンを用意する工程、および(c)酵素調製物をデンプンと接触させ、これによってデンプンを加水分解して、質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である変性分解デンプンを含有する紙表面処理組成物を製造する工程、を含む。
本組成物および本方法に従って使用される表面デンプンは、植物界からのあらゆる原料からのデンプンであり得る。一般的な原料は、トウモロコシ/メイズ、ジャガイモ、小麦、コメ、豆果、タピオカ、塊茎、根、ナッツ、種、仁である。デンプンはまた、植物残渣または農業残渣からのあらゆるバイオマス含有デンプン成分であり得る。デンプンは、他のヘミセルロースまたは多糖類(例えばガラクトマンナン、キシラン、アラビノキシラン、グルクロノキシラン、グルコマンナン、キシログルカン(例えばタマリンド種子粉末)、ペクチン/ペクテート、ガラクタン、アラビノガラクタン、これらに限られない)とともに存在していてよい。使用するデンプンが他の多糖類を含有する場合には任意で、ヘミセルロース酵素または多糖類酵素を、表面デンプン組成物を製造するためのアミラーゼとの組み合わせで使用することができる。1つの選択肢では、BASF社製のキシラナーゼ(Luminase、PB-100、PB-200)を使用することができる。実際には、あらゆる製造元からのヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、およびセルラーゼが包含され、この製造元はNovozymes、Dyadic、DupontおよびBASFを含む。デンプン材料がタンパク質および脂肪を含有する場合、プロテアーゼおよびリパーゼを、アミラーゼを含有する前述の酵素と組み合わせて任意で使用することができる。
デンプン(表面)変性の温度は好ましくは、70℃〜110℃、好ましくは85℃〜100℃の範囲にあり得る。任意で、酵素デンプン変性は、高速糊炊きに先立ち、デンプンを糊炊きする予熱工程で行うことができる。これは任意で、114℃を下回る温度でデンプン糊炊き工程で行うことができる。酵素処理のpHはまず、pH3〜pH8、好ましくはpH5〜pH7.5の範囲で処理することができる。任意で、デンプンを酵素により、pH5〜7の範囲で処理し、それからpHをCa(OH)2またはCaOによりアルカリ性の範囲に調整し、この際にアルカリ性のデンプン表面組成物が形成される。
デンプンのアミラーゼ酵素変性は、デンプン製造施設で行うことができ、その中で、表面デンプン調製物において使用するために製紙工場に、例えば高速糊炊き釜に供給される。
あるいは、デンプンのアミラーゼ酵素処理は、製紙工場その場で行うことができ、その場で酵素変性されたデンプンを、さらに高速糊炊き釜で糊炊きする。
表面デンプン組成物を適用するための方法はまた、本明細書に開示された高度に効果的なアミラーゼ酵素によって容易になる。例えば、従来のパドル式サイズプレスでは、デンプン固形物はデンプン溶液の粘度により非常に制限されており、水蒸発負荷の観点で非常に不経済になっており、また表面層に留まるデンプンの質量が比較的少ないため、紙特性が低下していた。粘度が実質的に減少され、かつ均一に生じるため、本アミラーゼの高度に効果的なデンプン変性によって、パドル式サイズプレスにおいてより固形分が高いデンプンを使用することが可能になる。この効果はまた、秤量サイズプレスに、さらには顔料着色された被覆(デンプン)バインダーにおいて適用することができ、さらに表面処理におけるデンプン固形分を改善させる。
別の実施形態において、本明細書に開示された高度に効果的で経済的な低分量アミラーゼデンプン(表面処理)変性により、スプレーコート、またはカーテンコートにおいて天然デンプンを使用することが可能になり、ここでは非常に低い粘度、および一貫した均一なレオロジーが必要とされる。カーテン適用の1つの形態は、Black Clawson(Kadant)により製造されているような、長網抄紙機のウェットエンド成形部の上部におけるシャワーボックスの使用である。高度に効果的なアミラーゼにより可能になる他の適用は、製紙における成形および脱水に否定的な影響を与えることなく、充分に大量なデンプンを抄紙機のヘッドボックスに、好ましくは多層ヘッドボックスの上部層に入れる適用である。
酵素不活性化は、114℃を上回る加圧加熱または高速糊炊きによって行うことができる。高速糊炊き工程の非限定的な例は、欧州特許第1109927号明細書(EP 1109927)に記載されている。不活性化はまた、化学的な手段によって、または熱的な手段と化学的な手段との組み合わせによって行うこともできる。化学的な不活性化の例は、アルカリ性化学物質の使用、例えばNaOH、KOH、Ca(OH)2(消石灰)、水酸化アンモニウム、次亜塩素酸ナトリウムもしくは次亜塩素酸カリウム、炭酸ナトリウム(ソーダ灰)、水酸化マグネシウム、ケイ酸ナトリウム溶液、過酸化物のアルカリ金属塩、例えば過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸一ナトリウム/カリウム(オキソン)、第四級アミン、ポリビニルアミン、架橋剤(これについては以下の段落で記載する)、ほう砂、グリオキサール、キメン(Kymene)、G−PAM、アジ化ナトリウム、AKDサイジング化学物質、アルカリ金属過酸化水素物、触媒作用のある過酸化物、UV過酸化物、ペルオキシギ酸アルカリ金属、過酢酸アルカリ金属、イオン性液体(イミダゾリウムに基づくもの、またはそうではないもの)、MMNOなどの使用を含む。別の選択肢において、デンプン溶液は間接的に、または直接冷却し、それからプロテアーゼ酵素によって処理することができる。
1つの選択肢において、デンプン組成物中に含有されるアミラーゼは、水酸化アンモニウムによってまず不活性化し、それから溶液を中和するためにCO2を添加することができ、この際に発生した炭酸アンモニウムは、気体状生成物(NH3およびCO2)に容易に分解することができ、加熱および/または乾燥の間に除去することができる。
幾つかの実施形態において、表面処理組成物の酵素変性プロセスは、アミラーゼ活性のための安定剤または活性剤を含むことができる。例えば、カルシウム塩、好ましくは可溶性または部分的に可溶性のカルシウム塩を、アミラーゼ酵素変性の間に適用することができる。安定剤または活性剤の非限定的な例は、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、一有機酸のカルシウム塩、または複数のカルボン酸のカルシウム塩を含む。その例は、酢酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、マロン酸カルシウム、酒石酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、カルシウム−EDTA、DTPA、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸/パルミチン酸カルシウム、スルファミン酸カルシウム、スルホン酸カルシウム、またはこれらのあらゆる組み合わせを含む。その他の安定剤は、PEGもしくはPEG誘導体、グリコール、グリコールエーテル、グリセロール、TWEEN、カルボキシメチルセルロース、PVOH、またはこれらのあらゆる組み合わせを含む。
分解デンプン組成物
本明細書に開示される態様は、10,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量(Mw)、および1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有するデンプンを含有する組成物をもたらす。
分解デンプンは好ましくは、500,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性を有し、これは例えば、500,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および20〜45の多分散性を有する分解デンプンである。分解デンプンは、約10,000、約20,000、約30,000、約40,000、約50,000、約100,000、約200,000、約300,000、約400,000、約500,000、約1,000,000、約2,000,000、約3,000,000、約4,000,000、約5,000,000、約10,000,000、約12,000,000であるか、もしくはこれらの値を下回る値、もしくはこれらを上回る値であるか、または前述の値のいずれか2つの間、例えば10,000〜12,000,000、400,000〜1,000,000などの質量平均分子量Mwを有することができる。
モル質量分布の幅は、多分散性についての値(質量平均分子量Mwを、数平均分子量Mnで割った商)によって特徴付けられ、その幅は、10〜49、好ましくは少なくとも15〜45、特に少なくとも20〜42の範囲にある。
幾つかの実施形態において、酵素変性されたデンプン組成物は、ほう砂またはグリオキサール架橋によって変性されていてよく、時には接着用途、および糊付け用途のために用いることもできる。
紙表面処理組成物における前述の架橋剤の多くはまた、アミラーゼ酵素を化学的に不活性化するためにも使用することができる。
幾つかの実施形態では、酵素変性されたデンプン組成物を、あらゆる製紙用または表面サイジング/処理鉱物、無機顔料と組み合わせることができ、これは様々な種類の粘土、カオリン、PCC、GCC、ケイ酸カルシウム、シリカ、中空球状顔料を含むプラスチック球状顔料、発泡性プラスチック球体、微結晶性セルロース、ナノ結晶性セルロース、ナノレベルでひだ付けされたセルロース、コロイド状MCC、TiO2、タルク、アルミナを含む。
幾つかの好ましい実施形態において、デンプンの質量平均分子量(Mw)は、400,000〜5,000,000の範囲にあり、多分散性は、フィルムプレス適用技術のために10〜49である。
幾つかの好ましい実施形態において、デンプンの質量平均分子量(Mw)は、400,000〜12,000,000の範囲にあり、多分散性は、サイズプレス適用技術のために10〜49である。
幾つかの実施形態において、本明細書に開示されたアミラーゼおよび酵素調製物は、国際公開第2006124869号(WO2006124869)、国際公開第2006124871号(WO2006124871)、国際公開第2007055911号(WO2007055911)、国際公開第2007055912号(WO2007055912)、国際公開第2010003054号(WO2010003054)、国際公開第2012076163号(WO2012076163)に記載された組成物、方法および用途で使用することができ、これらの内容は、参照により本明細書にその内容全体が明示的に組み込まれる。幾つかの実施形態では、配列番号12の、すなわち表3の配列番号2のアミラーゼ活性を有するポリペプチドを、これらの組成物、方法および用途で使用することができる。
水性表面処理組成物
さらに、酵素変性されたデンプンまたはデンプン材料を含有する表面処理組成物が開示される。表面処理組成物は主に、ウェブ材料(例えばペーパーウェブ、不織ウェブ、繊維表面)上に、または合成ポリマー、プラスチック、バイオポリマー、または生分解性ポリマーから作製されたあらゆるウェブ表面上に、適用することが意図されているが、これらに限られない。1つの特定の用途は、表面サイジング、被覆、プリコート、ならびに様々な抄紙機ウェットエンド用途および乾燥エンド用途を含むあらゆる手段による、紙表面処理のために使用する表面組成物に関する。本開示はさらに、紙表面処理方法、および表面処理組成物の酵素変性に関する。
本明細書に開示された実施形態は、分解デンプンを含有する紙または板紙表面処理組成物をもたらす。幾つかの実施形態において、紙または板紙表面処理組成物は、a)アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する酵素調製物を用意する工程、(b)デンプンを用意する工程、および(c)酵素調製物をデンプンと接触させ、これによってデンプンを加水分解して、質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である変性分解デンプンを含有する紙表面処理組成物を製造する工程、を含む方法によって得られる。
分解デンプンを2〜30質量%、特に3〜25質量%含有する、紙および板紙のための水性表面処理組成物が好ましい。
本明細書で記載する水性表面処理組成物はさらに、水性分散液に基づく表面サイズ剤を含有することができる。水性分散液は、アニオン性またはカチオン性の電荷を有することができ、この水性分散液は50〜500nmの粒径を有する。
適切な分散液の例は、エチレン系不飽和モノマー、特にアクリロニトリルおよび(メタ)アクリレートを、また任意でさらなるモノマー、例えばスチレンを10質量%まで、ラジカル開始されたエマルジョン重合によって分解デンプンの存在下で、共重合させることにより得られるものである。この際、連鎖延長剤を使用することができる。この種類の水性分散液は、欧州特許第0273770号明細書(EP 0 273 770)、欧州特許第0257412号明細書(EP 0 257 412)、国際公開第99/42490号(WO 99/42490)、国際公開第2002/14393号(WO 2002/14393)、国際公開第2007/000419号(WO 2007/000419)、国際公開第2007/000420号(WO 2007/000420)、および国際公開第2011/039185号(WO 2011/039185)に記載されており、これらの開示内容は、明示的に参照される。
幾つかの実施形態において、表面処理組成物は、あらゆる種類の製紙用の染料または着色剤(有機染料および顔料色素を含む)を含有することができる。
幾つかの実施形態において表面処理組成物は、蛍光増白剤(OBA)を含有する。あらゆる慣用のまたは非慣用的なOBAを、機械パルプまたはクラフトパルプに基づく紙を増白するために使用することができる。言及したあらゆる増白剤は例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, 2000年、Electronic Release, OPTICAL BRIGHTENERS--Chemistry of Technical Productsに記載されており、その内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。その他の有用な蛍光増白剤は、米国特許第5,902,454号明細書、同6,723,846号明細書、同6,890,454号明細書、同5,482,514号明細書、同6,893,473号明細書、同6,723,846号明細書、;同6,890,454号明細書、同6,426,382号明細書、同4,169,810号明細書、および同5,902,454号明細書(U.S. Pat. Nos. 5,902,454; 6,723,846; 6,890,454; 5,482,514; 6,893,473; 6,723,846; 6,890,454; 6,426,382; 4,169,810; 5,902,454)、およびそこで言及された文献が全て、含まれる。蛍光増白剤の有用な例は、4,4’−ビス−(トリアジニルアミノ)−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ビス−(トリアゾール−2−イル)スチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジベンゾフラニル−ビフェニル、4,4’−(ジフェニル)−スチルベン、4,4’−ジスチリル−ビフェニル、4−フェニル−4’−ベンゾキサゾリル−スチルベン、スチルベニル−ナフトトリアゾール、4−スチリル−スチルベン、ビス−(ベンゾキサゾール−2−イル)誘導体、ビス−(ベンズイミダゾール−2−イル)誘導体、クマリン、ピラゾリン、ナフタルイミド、トリアジニル−ピレン、2−スチリル−ベンゾキサゾール、もしくは2−スチリル−ナフトオキサゾール、ベンズイミダゾール−ベンゾフラン、またはオキサニリドである。
市販で得られるスチルベン構造、クマリン構造およびピラゾリン構造に基づく蛍光増白剤が、含まれる。幾つかの好ましい蛍光増白剤は、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸の1,3,5−トリアジニル誘導体、およびその塩を含み、これはさらなるスルホ基を、例えば2位、4位および/または6位に有することができる。Ciba Geigyから「Tinopal」という商標名で市販で手に入るスチルベン誘導体、Clariantから「Leucophor」という商標名で得られるもの、Lanxessから「Blankophor」という商標名で得られるもの、3Vから「Optiblanc」という商標名で得られるもの、例えばジスルホネート、テトラスルホネート、およびヘキサスルホネートのスチルベンに基づく蛍光増白剤は、全て含まれる。市販で手に入るジスルホネートおよびテトラスルホネートのスチルベンに基づく蛍光増白剤は、幾つかの実施形態においてより好ましい。
架橋剤は、酵素デンプン変性後の表面処理組成物に、任意で適用することができる。多官能性カルボン酸、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(BTCA)、ポリ(マレイン酸)(PMA)、ポリ(イタコン酸)、およびクエン酸が、架橋反応のために、好ましくは触媒とともに、使用できる。架橋はまた、水分散性または水溶性の二官能性、多可能性カルボジイミドおよび/またはポリカルボジイミドによって達成することもでき、それは例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(BTCA)、ポリ(マレイン酸)(PMA)、ポリ(イタコン酸)、クエン酸、1,6−ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,8−オクタメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,10デカメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,12ドデカメチレンビス(エチルカルボジイミド);PEG−ビス(プロピル(エチルカルボジイミド));2,2’−ジチオエチルビス(エチルカルボジイミド);1,1’−ジチオ−p−フェニレンビス(エチルカルボジイミド);および1,1’−ジチオ−m−フェニレンビス(エチルカルボジイミド)である。
幾つかの実施形態において、デンプン表面処理組成物は、非反応性サイズ剤を含有することができ、それは例えば、BASF社製のBASOPLAST 335D(非反応性ポリマー表面サイズエマルジョン)、Air Products and Chemicals社製のFLEXBOND 325(酢酸ビニルと、酢酸ブチルとのコポリマーのエマルジョン)、およびAshland (Hercules, Solenis)社製のPENTAPRINT(国際公開第97/45590号(WO97/45590)に開示された非反応性サイズ剤)であるが、これらに限られない。
本明細書に開示されたアミラーゼ酵素変性は、表面組成物におけるデンプン分子から新たなヒドロキシ基をもたらし、これは酵素変性後に、カチオン処理、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、または架橋剤と、相互作用をもたらすことができる。製紙産業で一般的に使用されるあらゆる湿潤紙力増強剤および乾燥紙力増強剤が、組み込まれる。ポリアクリルアミドに基づく乾燥紙力増強剤が、含まれる。湿潤紙力増強剤、例えばポリアミノアミドエピクロロヒドリン(PAE)、またはキメンが含まれ、またジアルデヒドデンプンも含まれる。1つの特別な例は、BASFの化学物質であるG−PAM(グリオキシ化ポリアクリルアミド)であり、これは優れた乾燥紙力強度であり、また一時的な湿潤紙力増強剤でもある。
カチオン化は、反応によって、または会合によって反応によらずに達成できる。カチオン化剤は例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)、ヘキサジメトリンブロミド、ポリエチレンイミン(直鎖状のもの、および分枝鎖状のものの双方)ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ビニルピロリドン(VP)と、四級化されたジエチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー(DEAMEMA)、ポリアミド、カチオン性ポリウレタンラテックス、カチオン性ポリビニルアルコール、ポリアルキルアミン、ジシアンジアミドコポリマー、アミングリシジル付加ポリマー、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレン]ジクロリド、ポリアリルアミン(PAH)、ポリ(ヘキサメチレンビグアニドヒドロクロリド)(すなわちPHMB)、ポリアミドアミン(またはポリエチレンイミン);カチオン性金属イオン、例えば水溶性のアルミニウム塩、カルシウム塩、およびジルコニウム塩;カチオン性デンドリマー(アミノ表面基を有するPAMAM(ポリアミドアミン)デンドリマーを含む)、およびアミノ表面基を有するポリプロピレンイミンデンドリマーを含む。1つの特別なカチオン化剤は、BASF社製の電荷密度が高いポリビニルアミン(PVAM)である。
抽出された木質ヘミセルロース、または抽出されたリグニン粒子は、紙、板紙、または包装用途のために、本明細書に開示されたデンプン表面処理組成物にブレンドすることができる。この場合には任意で、ヘミセルロース酵素、グリシルトランスフェラーゼ酵素を、オキシドレダクターゼ酵素を(ラッカーゼ、ペルオキシダーゼなど)、エンドセルラーゼ、および/またはエキソ−セルラーゼ酵素を、前述のアミラーゼ酵素に加えて適用することができる。
幾つかの実施形態において、本開示の水性表面処理組成物は、1〜200mPa・sの範囲の粘度を有する(固体含分12%、ブルックフィールドの2スピンドル、100rpmで(ブルックフィールドLV粘度、4スピンドル、6rpm、室温での固体含分で)。
本明細書に開示された表面処理組成物は、原紙を処理するために適している。したがって得られる紙は、高い強度によって区別される。
本明細書に開示された表面処理組成物は、表面サイズの文脈に適した全ての方法によって加工することができる。
本開示の表面処理組成物による適用は、フィルムプレスおよび/またはサイズプレスで、またはスプレーロッドもしくはカーテン処理プロセスによる非接触式適用技術で行うことができる。処理は、ドクターブレードまたはノズルによって達成することができる。幾つかの実施形態では、フィルムプレス適用技術が好ましい。サイズプレス適用技術が、さらに好ましい。
幾つかの実施形態において、水性表面処理組成物は、以下の工程を含む方法によって得られる:
a)水およびデンプンの懸濁液を調製する工程、
b)配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを0.0001〜1%添加する工程、
c)デンプンおよび酵素を含有する混合物を、5〜60分にわたって60〜100℃の温度に加熱する工程。
紙製品を製造するための方法
本明細書に開示される実施形態はさらに、紙製品を製造するための方法をもたらす。幾つかの実施形態において、紙製品の製造方法は、(a)1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する変性分解デンプンを含有する紙表面処理組成物を用意する工程、(b)ウェブ材料を用意する工程、および(c)前記紙表面処理組成物をウェブ材料に適用する工程、これによって、改善された表面品質を有する紙製品が製造される
を含む。
適用はそれぞれの場合において、慣用の量で行われる。使用するために、表面処理組成物は通常、仕上げる紙のサイジングの所望の度合いに応じて、固形物を基準として0.05〜37質量%の量で、サイズプレス液に添加される。
本開示はさらに、
a)紙料を、製紙助剤および/または填料で処理する工程、
b)a)で処理した紙料をシート形成しながら脱水する工程、および
c)b)で得られたペーパーウェブを、本明細書で開示された表面処理組成物で処理する工程、および
d)c)で被覆されたペーパーウェブを乾燥させる工程
を含む、紙および板紙を製造する方法に関する。
本開示の態様に従って使用される繊維材料は、バージン繊維および/または再生繊維を含有することができる。製紙産業で通常使用されるあらゆる種類の軟材または硬材の木質繊維を使用することができ、その例は、漂白されていない化学パルプ、またあらゆる一年生植物から得られる繊維材料である。機械パルプは例えば、砕木パルプ、サーモ・メカニカルパルプ(TMP)、ケミ・サーモ・メカニカルパルプ(CTMP)、加圧砕木パルプ、セミケミカルパルプ、高収率パルプ、およびリファイナーメカニカルパルプ(RMP)を含む。例えば、硫酸塩パルプ、亜硫酸塩パルプ、およびソーダケミカルパルプが考慮される。繊維材料を製造するために適切な一年生植物は例えば、コメ、小麦、サトウキビ、およびケナフである。
パルプ完成紙料は好ましくは、古紙を用いて製造され、これを単独で、または他の繊維材料との混合物で使用する。
紙および板紙を製造するための1つの方法は、
a)紙料を、製紙助剤および/または填料で処理する工程、
b)a)で処理した紙料をシート形成しながら脱水する工程、および
c)b)で得られたペーパーウェブを、本明細書で開示された表面処理組成物で処理する工程、および
d)c)で被覆されたペーパーウェブを乾燥させる工程
を含むが、ただしポリビニルアルコール繊維は、パルプの一部ではない。
古紙の場合、20〜50SRの濾水度を有する繊維材料を使用することができる。一般的には、約40SRの濾水度を有する繊維材料を使用し、これをパルプ完成紙料の製造の間に粉砕する。≦40SRの濾水度を有する繊維材料を用いることが好ましい。
開示された方法は、填料含有紙を製造するために役立ち得る。紙の填料含分は一般的に、乾燥紙料の合計、または紙料を基準として1〜20質量%、好ましくは5〜20質量%、特に10〜15質量%である。ここで填料とは、製紙において一般的なように、無機顔料を意味する。
填料と同様、一般的には5〜15g/lの繊維材料濃度で、任意で慣用の製紙助剤を、紙料に添加混合することができる。慣用の製紙助剤の例は、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、合成ポリマーに基づくカチオン性もしくはアニオン性の歩留まり剤、またデュアルシステム、脱水剤、蛍光増白剤、消泡剤、殺菌剤、および紙用染料である。これらの慣用の製紙添加剤は、公知の量で使用することができる。
紙料サイズ剤は、アルキルケトン二量体(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、およびロジンサイズ剤を含む。
湿潤紙力増強剤は、合成の乾燥紙力増強剤、例えばポリビニルアミン、または天然の乾燥紙力増強剤、例えばデンプンである。
適切な歩留まり助剤は例えば、アニオン性マイクロ粒子(コロイダルシリカ、ベントナイト)、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性デンプン、カチオン性ポリエチレンイミン、またはカチオン性ポリビニルアミンを含む。さらに考えられるのは、これらのあらゆる所望の組み合わせであり、その例は、アニオン性マイクロ粒子を有するカチオン性ポリマーから、またはカチオン性マイクロ粒子を有するアニオン性ポリマーから成る、デュアルシステムである。高い填料歩留まりを達成するために、このような歩留まり助剤を添加することが賢明であり、例えば薄い原材料に、また濃い原材料にも添加することができる。
排水は抄紙機のワイヤ上で、シート形成とともに行う。こうして得られるペーパーウェブを、それからプレス部に通過させ、ここでペーパーウェブは一般的に<40質量%の固体含分に乾燥させる。これに、乾燥によるさらなる脱水が続く。
処理工程は、乾燥フェーズの間に行う。抄紙機に応じて、乾燥ユニット、好ましくはサイズプレスが、既に被覆装置の上流にあってもよい。
本開示はさらに、開示された表面被覆組成物により処理された紙に関する。この紙を使用して製造された段ボール紙は、強度特性が向上している。
本明細書に開示された酵素デンプン変性からの表面処理組成物はまた、表面処理戦略の改善された方法を容易にする。例えばこれは、固体分の幅、および従来のサイズプレスの稼動性、および被覆用途にわたる。酵素変性されたこの種類のデンプンを、スプレー表面処理のため、またはスプレー被覆調製物のために使用することもできる。開示された酵素変性デンプンは、粘度が低下していること、またはより高い固体分を取り扱えることにより、ウェットエンド形成またはドライエンドで「シャワーコート」または「カーテンコート」でも使用することができる。可能になるその他の用途は、ほんの一例を挙げれば、多層抄紙機ヘッドボックスの上部層(または目的層)での、カレンダーの「ウォーターボックス」中での、および紙包装のための接着成分としての添加を含む。
被覆および表面サイジング
一般的に言って、別個のフィルムプレスおよび/またはサイズプレスにおいて原紙を被覆することができる。フィルムプレスおよび/またはサイズプレスは好ましくは、抄紙機にインラインで配置されている。一般的には、これを乾燥ユニット内へとインキュベートする。適用の時に、紙のシートは好ましくは、≦60質量%の水含分を有する。
開示された表面処理組成物は、原紙に適用することができる。処理組成物の量は、0.1〜10g/m2の被覆質量で適用する。
本明細書に開示された表面処理組成物は、あらゆるウェブ材料、特にペーパーウェブ材料に適用することができる。ペーパーウェブ材料は、あらゆる紙の品質、被覆されていない、もしくは被覆された、漂白された、一部漂白された、もしくは完全に漂白された紙品質、あらゆる種類の印刷用および筆記用の紙、被覆されていない上質紙、表面サイジングされた紙、高収率紙(機械パルプまたはセミケミカルパルプを含む)、新聞用紙、LWC、フィルムコートされた機械的な品質、表面処理された機械的な品質、あらゆる種類の板紙、被覆されていない板紙、被覆された板紙、白い板紙、茶色い板紙、SUS、SBS、多層板紙、板紙、段ボールライナー、クラフト紙、亜硫酸紙、普通紙(medium papers)、および段ボール紙、ティッシュ、タオル、ナプキン、ワイプ、不織布、ガラス繊維、プラスチック繊維および印刷またはデジタル印刷媒体として使用される特定のテキスタイル繊維を含有するペーパーウェブを含む。
製紙顧客における表面適用のためのデンプン糊炊き工程は通常、3つの工程段階で行われる。まず、固体含分が20〜35%であるデンプンの懸濁液を、室温で用意する。このスラリーに酵素を通常の濃度で添加し、その懸濁液をデンプン糊炊き容器に移す。輸送パイプ中でスラリーを任意で、ジェット流中で加熱し、デンプン顆粒をゼラチン化する。デンプン糊炊き釜において、デンプン懸濁液および酵素を60〜90℃に加熱して、デンプンを迅速に酵素分解させ、低分子量のデンプンにする。デンプン糊炊き釜における滞留時間は通常、5〜60分、より好ましくは20〜30分である。スラリーの固体含分は、スラリーを加熱するために使用した流れにより希釈する。固体含分は通常、10〜30質量%の範囲、より好ましくは20〜25質量%の範囲である。目標とする粘度は通常、85℃で100〜300mPa・s(2スピンドル)である。しかしながら、より短い、およびより長い滞留時間、およびデンプン糊炊き温度も可能だが、商業上はそれほど一般的ではない。デンプンを不活性化するために、糊炊きされたデンプン溶液を、溶液に蒸気ジェットを供給することによって、120〜130℃に加熱する。蒸気ジェット中での滞留時間は非常に短くてよく、すなわち1〜60秒であり得る。その後、デンプン溶液を60〜90℃の高温で貯蔵する。適用に先立ち、デンプンを6〜12%の、80℃でスピンドルIIで20〜90mPa・sの粘度を有するものに希釈する。
国際公開第2014 003556号(WO2014 003556)は、脱分枝酵素(例えばイソアミラーゼ)により製造される高度に分岐したデンプンを用いたコート紙を開示しており、その内容は参照によって本願にその全体が組み込まれる。欧州特許第1214442号明細書(EP1214442)は、紙の被覆および/またはサイジングのための、マルトース生成型アミラーゼの使用を開示しており、その内容は参照によって本願にその全体が組み込まれる。
本開示の1つの態様は、酵素変性されたデンプンを含有する調製物を用いた紙表面処理に関し、ここで独特のアミラーゼ酵素によって、以下のことが可能になる:
投与効果の実質的な改善、および現在市販のアミラーゼ酵素に対する、酵素デンプン変性の経済的な利点。
粘度が効果的に減少されたことにより、同じ固形分で、またはより多い固形分および取り扱い可能な固形分で、デンプン含有表面処理について改善された含浸率(pick up)。
そのためこれにより、多くの表面処理戦略の最も効果的な使用にとって、目標の製紙化学物質のほとんどの量または効率をもたらすことが可能になる。例えば、これによって表面上でのより多くの蛍光増白剤(OBA)または染料/着色剤が可能になる。その他の効果の中でも、強度または曲げ剛性(すなわち、I型効果)のために、表面上により多くの量のデンプンをもたらすこともできる。
理論に縛られるものではないが、表面処理組成物におけるこれらの意想外な利点は部分的には、この種類のアミラーゼ酵素または酵素による、デンプン分子へのランダムな、および均一な作用の独特な形式にもよるものであり得ると考える。例えば、シロップのため、またはバイオ燃料/バイオ産生物のためのデンプン液化において、このアミラーゼは、実質的に改善された熱安定性、pH安定性、迅速でより効果的な作用を有することが知られている。細菌から誘導される他の酵素と比較してよりランダムでより均一にデンプン分子を攻撃する独特な様式を有することが判明しており、これは例えば、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定されるようなこの独特のアミラーゼ群のいずれかからのデンプン加水分解物が、より狭い多分散性を有することによって示される(前述のRichardsonら、前述のAtichokudomchaiら)。市販の酵素(例えばTermamyl(登録商標)LCおよびTermamyl(登録商標)SC)からのこれらの参考文献に開示されたアミラーゼの著しい相違が、明確に示された。
酵素デンプン変性からの表面処理組成物はまた、表面処理戦略の改善された方法を容易にする。例えばこれは、固体分の幅、および従来のサイズプレスの稼動性、および被覆用途にわたる。酵素変性されたこの種類のデンプンを、スプレー表面処理のため、またはスプレー被覆調製物のために使用することもできる。開示された酵素変性デンプンは、粘度が低下していること、またはより高い固体分を取り扱えることにより、ウェットエンド形成またはドライエンドで「シャワーコート」または「カーテンコート」でも使用することができる。可能になるその他の用途は、ほんの一例を挙げれば、多層抄紙機ヘッドボックスの上部層(または目的層)での、カレンダーの「ウォーターボックス」中での、および紙包装のための接着成分としての添加を含む。
さらに、開示されたデンプン表面処理組成物は、他の製紙化学物質系と良好な適合性(または時には相乗効果)をもたらし、それは例えば、蛍光増白剤、着色剤/染料、架橋剤、強化剤、填料、顔料、従来のものではない表面処理バインダー、ラテックス、分散剤、表面特性(荷電、摩擦、バリア、光沢、平滑性)剤、およびその他の酵素系であるが、これらに限られない。
改善された表面品質を有する紙製品
本明細書に開示された実施形態はさらに、改善された表面品質を有する紙製品をもたらす。幾つかの実施形態において、改善された表面品質を有する紙製品は、本明細書に開示された紙表面処理組成物を用いて製造される。幾つかの実施形態において、紙表面処理組成物は、10,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量(Mw)、および1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを含有する。
幾つかの実施形態において紙製品は、耐水性、水分、蒸気、酸素、油または脂肪に対する遮蔽性、耐毛羽立ち性、低減された摩耗性、印刷特性、表面荷電特性、インク/色/染色固定、および結合強度または表面強度から成る群から選択されている改善された表面品質を有する。幾つかの実施形態において紙製品は、粘度が低下した高い固形分により、強化されたデンプン含浸率を有する。幾つかの実施形態において、紙製品の含浸率は、1平方メートルあたり0.2gから1平方メートルあたり50gまでにわたる。幾つかの実施形態において、紙製品の蛍光増白剤含浸率は、未処理の紙に比べて5%強化される。幾つかの実施形態において、紙製品の段ボールライナー圧縮強度は、未処理の紙に比べて、1メーターあたり3キロニュートン(SCT(CD))強化される。
何らかの特定の理論に縛られるものではないが、アミラーゼ酵素安定剤の多くは、紙特性に対して相乗的に貢献し得ると考えられ、それは例えば色の向上、OBA強化、印刷またはインクの改善、表面電荷発現などである。
分解デンプンを有する紙製品
本明細書に開示された実施形態はさらに、分解デンプンを含有する紙または板紙製品をもたらす。幾つかの実施形態において分解デンプンは、10,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量(Mw)、および1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する。
実施例
以下の例は、本開示の態様を説明する。これらの例におけるパーセンテージは、特に言及しない限り、質量%である。
固体含分は、製品の試料(約3g)を温度調整することによって確認した。つまり、予熱した空気強制循環棚において120℃で、質量が一定になるまで乾燥する。
本発明による例、および比較例で使用するポリマーは、以下の通りであった。
一般的な実験手順
デンプンに対するα−アミラーゼ処理の手順
デンプンを、目標とする固体濃度、通常は40g/L〜100g/Lでスラリーにした。
デンプンスラリーを、88℃の高温に加熱し、撹拌しながらα−アミラーゼ酵素を特定の分量で添加した。この系をそれから88℃で40分間加熱して、酵素変性反応を行い、その後この系をさらに130℃に加熱して、酵素を不活性化した。
デンプン溶液の調製:
Merizet(登録商標)120メイズデンプン(Tate & Lyle社製)を使用し、以下のように酵素分解した:12%のMerizet 120のスラリーを、65℃の湯中で撹拌しながら1000Lの容器内に用意し、0.012%のPL 120酵素(Novozyme社製)を添加した。20分後、酢酸100mlを秤量してデンプン溶液に入れ、デンプン分解のプロセスを終わらせた。このデンプン溶液は、100rpmで55mPa・sの粘度を有していた(2スピンドル)。
デンプン溶液の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の特定
水性デンプン水溶液をDNSOで希釈し、これによって安定化させた。モル質量分布は、GPC-MALLS(多角レーザ光散乱によるゲルクロマトグラフィー)により特定した。GPC-MALLSは、Waters 515ポンプモジュール、揮発分除去装置、Waters 717オートサンプラー、GPCカラム加熱(ジェット流)から成る。MALLS検出器は、Dawn-Heleos(Wyatt Technology, Santa Barbara、米国)であり、これはK5フローセル、および10〜658nmのHe−Neレーザmを備え、かつ15〜162°の角度の16個の検出器を備えるものである。以下のGPCカラムを直列で使用した:Suprema S 30000、S 1000、およびS 10(PSS, Mainz、ドイツ)。これらの試料を、DMSOを含有する0.09MのNaNO3溶液により、0.5ml/分の流速およびGPCカラム内で70℃の温度で抽出した。ソフトウェア分析のために、ASTRA 5.3.0.18を使用した。
紙の被覆および紙の試験
以下の実施例および比較例では、Thur Papier(120g/m2)製の被覆されていない標準的な試験用ライナーを、実験室用サイズプレス(Company Mattis, Type SP)を用いて被覆した。被覆された紙を引き続き、加熱されたシリンダー(120℃)を用いて接触式で5分間、乾燥させ、被覆された紙シートのために湿分を5%にした。充分な含浸率を達成するため、乾燥前に紙をサイズプレスに二回、通した。
紙試験
紙の試験に先立ち、紙を24時間、湿度50%で貯蔵し、続いて強度パラメータを試験した。
・DIN ISO 2758(600 kPaまで)およびDIN ISO 2759(600 kPa超)に従った破裂、
・DIN 54518に従ったSCT(ショートスパン圧縮試験)
・DIN EN 23035に従ったCMT(コロナ媒体試験)。
例1:小麦デンプン変性に対するアミラーゼの投与効果
Propapier(ドイツ)社製の工業用の小麦デンプンを、100g/Lでスラリー中に分散させ、実験部に記載した手順により酵素で処理する。この例では、配列番号12、すなわち表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2を、デンプンの質量に対して0.01%、0.02%、0.03%、および0.06%の分量で使用した。比較で、市販のアミラーゼ酵素のGammalpha 120Lを、0.06%の分量で使用した。
その結果が、以下の表にまとめてある。粘度は、ブルックフィールド粘度計(1スピンドル、20rpm)で測定した。
配列番号12のポリペプチドを含有する酵素調製物が、デンプン粘度を減少させる点において、50℃および80℃の両方で測定して、市販のアミラーゼGよりもずっと効果的なことは明らかである。これは、実質的な経済的利点を示す。
例2 表面処理組成物に対するサイズプレス適用:粘度およびデンプン含浸率
サイズプレス適用実験を、例1に記載したアミラーゼ酵素により変性されたデンプン表面組成物を用いて、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)のポリペプチドを含有する酵素調製物0.06%と、0.06%のGammalpha 120Lとの比較で行った。サイズプレス溶液を55℃に維持し、サイズプレスを2m/分の速度、2適用サイクルで、1barのニップ圧で動かした。131.2および133.7g/m
2の連量を有する紙のライナー品質を、原紙として使用し、同時にサイズプレスを、100g/Lのデンプン固形物で行った。湿潤含浸率、およびデンプン含浸率を測定し、以下にまとめた。
デンプン表面処理溶液の粘度が実質的に減少していることにより、スプレー、シャワー、またはカーテン適用による適用が容易になることは興味深いと言える。
例3 デンプン表面サイジングにおいて実質的に減少した酵素分量で、実質的に同じ特性を維持しながら、市販のアミラーゼを、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)のポリペプチドで置き換える戦略
この戦略は、デンプン表面サイジングで現在使用される市販のアミラーゼ酵素を、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)のより効果的なポリペプチドで、経済性、稼動性、および低下したタンパク質キャリーオーバーのために実質的に減少された分量で、置き換えるためのものである。この例では、Merizet 120(Tate and Lyle社製の天然トウモロコシデンプン)を使用したのだが、ここで我々は、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)のポリペプチドを含有する酵素調製物0.005%を、0.1%のGammalphaアミラーゼと比較する。デンプン表面サイジング溶液の粘度および含浸率は、できる限り近い範囲に保った。その結果が、以下に示されている。
現在市販のアミラーゼ(Gammalpha)と比較して、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)のポリペプチドの分量の20分の1であるにも拘わらず、デンプンの粘度も、紙強度特性も、極めて類似の範囲に維持されることは明らかである。
例4:配列番号12(すなわち、表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)のポリペプチドを有する酵素調製物0.01%で変性されたジャガイモデンプンの表面サイジング組成物
表面サイジング組成物として使用するために、天然ジャガイモデンプンを、配列番号12(すなわち、表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)を含有する酵素調製物0.01%で変性した。デンプン粘度は、表面サイジング取り扱いのために効果的に減少された。対照的に、市販のアミラーゼWarozym A10は、表面サイジング取り扱いのために天然デンプンを変性するためには、ほとんど効果が無かった。実際、0.26%のWarozym A10の投与でも、100g/Lでのデンプン粘度は、66.6mPa・sであり、これはなおも、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)のポリペプチドを含有する酵素調製物0.01%で変性されたデンプン溶液の2倍の高さである。
表面サイズ処理実験は、本明細書に開示された表面処理組成物の実用性を説明するために、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)のポリペプチドを含有する酵素調製物0.01%で処理されたジャガイモデンプンによって段ボール用ライナー上で行った。その結果を、以下に示す。
以下の条項1〜106は、本発明の技術的教示の様々な態様を説明する:
1.紙または板紙用の表面処理組成物を製造するための酵素調製物の使用であって、
(a)アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する酵素調製物を用意する工程、
(b)デンプンを用意する工程、および
(c)酵素調製物をデンプンと接触させ、これによってデンプンを加水分解して、質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である分解デンプンを含有する紙表面処理組成物を製造する工程、
を含む、前記使用。
2.紙製品を製造するための、条項1に記載の使用。
3.改善された表面品質を有する紙製品を製造するための、条項1に記載の使用。
4.前記酵素調製物が、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有する、条項1から3までのいずれかに記載の使用。
5.前記酵素調製物が、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有しない、条項1から3までのいずれかに記載の使用。
6.前記酵素調製物がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、条項1から5までのいずれかに記載の使用。
7.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを1〜40質量%含有する、条項1から6までのいずれかに記載の使用。
8.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、条項1から7までのいずれかに記載の使用。
9.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)に対して少なくとも80%の同一性を有する、条項1から21までのいずれかに記載の使用。
10.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、条項1から8までのいずれかに記載の使用。
11.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、条項1から8までのいずれかに記載の使用。
12.紙または板紙用の表面処理組成物を製造する方法であって、
(a)アミラーゼ活性を有するポリペプチドを用意する工程、
(b)デンプンを用意する工程、および
(c)(a)のポリペプチドを(b)のデンプンと接触させ、これによってデンプンを加水分解して、質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である分解デンプンを1〜40質量%含有する紙表面処理組成物を製造する工程、
を含む、前記方法。
13.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、条項12に記載の方法。
14.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、条項12から13までのいずれかに記載の方法。
15.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12に対して少なくとも80%の同一性を有する、条項12から14までのいずれかに記載の方法。
16.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、条項12から14までのいずれかに記載の方法。
17.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、条項12から14までのいずれかに記載の方法。
18.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、デンプンの質量を基準として0.01ppm〜1000ppmで用意する、条項12から17までのいずれかに記載の方法。
19.前記方法がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせの使用を含む、条項12から18までのいずれかに記載の方法。
20.前記方法がさらに、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素の使用を含む、条項12から18までのいずれかに記載の方法。
21.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、条項20に記載の方法。
22.デンプンが、コメ、トウモロコシ、大麦、小麦、豆果、ジャガイモ、タピオカ、大豆、燕麦、ライ麦、ビーツ、またはサトウキビに由来する、条項12から21までのいずれかに記載の方法。
23.デンプンを、化学的な処理、機械的な処理、熱処理、酸処理、酸化、誘導、または酵素処理によって処理する、条項12から22までのいずれかに記載の方法。
24.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを不活性化することを含む、条項12から23までのいずれかに記載の方法。
25.(a)アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する酵素調製物を用意する工程、
(b)デンプンを用意する工程、および
(c)酵素調製物をデンプンと接触させ、これによってデンプンを加水分解して、質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である分解デンプンを1〜40質量%含有する紙表面処理組成物を製造する工程、
を含む方法によって得られる分解デンプンを含有する、紙または板紙表面処理組成物。
26.前記紙表面処理組成物が、フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、厚紙、段ボール紙、または紙に基づく包装材料を処理するためのものである、条項25に記載の紙表面処理組成物。
27.前記紙表面処理組成物が、分解デンプンを2〜30質量%含有する、条項25から26までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
28.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、条項25から27までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
29.80℃、100rpmで3〜2,000mPa・sの粘度を有する分解デンプンを含有する、条項25から28までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
30.架橋剤で変性された、条項25から29までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
31.鉱物、無機顔料、粘土、カオリン、PCC、GCC、ケイ酸カルシウム、シリカ、中空球状顔料を含むプラスチック球状顔料、発泡性プラスチック球体、微結晶性セルロース、ナノ結晶性セルロース、ナノレベルでひだ付けされたセルロース、コロイド状MCC、TiO2、タルク、アルミナ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、条項25から30までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
32.ヘミセルロースまたはリグニンを含有する、条項25から31までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
33.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12に対して少なくとも80%の同一性を有する、条項25から31までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
34.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、条項25から31までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
35.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、条項25から31までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
36.(a)がさらに、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有する、条項25から31までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
37.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、条項36に記載の紙表面処理組成物。
38.前記方法がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせの使用を含む条項25から37までのいずれかに記載の紙表面処理組成物。
39.(a)1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを1〜40質量%含有する紙表面処理組成物を用意する工程、
(b)ウェブ材料を用意する工程、および
(c)前記紙表面処理組成物をウェブ材料に適用する工程、これによって、改善された表面品質を有する紙製品が製造される、
を含む、紙製品の製造方法。
40.前記紙製品が、フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、板紙、厚紙、段ボール紙、紙に基づく包装材料、または紙に基づく印刷材料および筆記材料である、条項39に記載の方法。
41.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、条項39から40までのいずれかに記載の方法。
42.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、条項39から41までのいずれかに記載の方法。
43.前記分解デンプンが、80℃、100rpmで3〜2,000mPa・sの粘度を有する、条項39から42までのいずれかに記載の方法。
44.前記ウェブ材料が、合成ポリマー、プラスチック、バイオポリマー、または生分解性ポリマー製である、条項39から43までのいずれかに記載の方法。
45.前記紙製品の表面品質が、耐水性、水分、蒸気、酸素、油または脂肪に対する遮蔽性、耐毛羽立ち性、低減された摩耗性、印刷特性、表面荷電特性、インク/色/染料固定、および結合強度または表面強度から成る群から選択されている、条項39から44までのいずれかに記載の方法。
46.前記ウェブ材料がペーパーウェブである、条項39から45までのいずれかに記載の方法。
47.前記紙表面処理組成物を、サイズ剤、ウェットエンド適用、被覆バインダー/キャリア、または接着剤としてペーパーウェブに適用する、条項39から46までのいずれかに記載の方法。
48.前記紙表面処理組成物を、サイズプレス、秤量サイズプレス、フィルムプレス、ロールコート、ブレードコート、バーコート、キャストコート、スプレーコート、カーテンコート、シャワーコート、噴射、トランスファーコーティング、ウォーターボックス含浸、またはヘッドボックスによって紙ウェブに適用する、条項39から47までのいずれかに記載の方法。
49.サイズ剤を、抄紙機のウェットエンド部によってペーパーウェブに適用する、条項48に記載の方法。
50.質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である分解デンプンを1〜40質量%含有する紙表面処理組成物を用いて製造された、改善された表面品質を有する紙製品。
51.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、条項50に記載の紙製品。
52.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、条項50から51までのいずれかに記載の紙製品。
53.前記分解デンプンが、80℃、100rpmで3〜2,000mPa・sの粘度を有する、条項50から52までのいずれかに記載の紙製品。
54.前記紙製品の表面品質が、耐水性、水分、蒸気、酸素、油または脂肪に対する遮蔽性、耐毛羽立ち性、低減された摩耗性、印刷特性、表面荷電特性、インク/色/染料固定、および結合強度または表面強度から成る群から選択されている、条項50から53までのいずれかに記載の紙製品。
55.10,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量(Mw)、および1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを含有する、紙または板紙製品。
56.少なくとも10%〜90%の二糖類を含有する、条項55に記載の紙製品。
57.少なくとも10%〜90%の三糖類を含有する、条項55から56までのいずれかに記載の紙製品。
58.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する紙製品を製造するための低分量酵素調製物であって、アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、デンプンの質量を基準として0.01ppm〜1000ppmでデンプンに適用されている、前記低分量酵素調製物。
59.前記紙製品が、フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、板紙、厚紙、段ボール紙、紙に基づく包装材料、または紙に基づく印刷材料および筆記材料である、条項58に記載の低分量酵素調製物。
60.前記酵素調製物が、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有する、条項58から59までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
61.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、条項60に記載の低分量酵素調製物。
62.前記酵素調製物がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、条項58から61までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
63.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12に対して少なくとも80%の同一性を有する、条項58から62までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
64.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、条項58から62までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
65.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、条項58から62までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
66.(a)アミラーゼ活性、グルコアミラーゼ活性および/または脱分枝酵素活性を有するポリペプチドを含有する酵素調製物、
(b)紙、または紙パルプ、またはバイオマス材料
を含有する、紙製品を製造するための組成物。
67.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12に対して少なくとも80%の同一性を有する、条項66に記載の組成物。
68.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、条項66から67までのいずれかに記載の組成物。
69.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、条項66から68までのいずれかに記載の組成物。
70.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、条項66から69までのいずれかに記載の組成物。
71.前記酵素調製物がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、条項66から70までのいずれかに記載の組成物。
72.前記バイオマス材料が、農業作物、食料もしくは飼料の副生成物、リグノセルロース廃棄物、植物残渣、古紙、または古紙製品を含有するか、またはこれらに由来する、条項66から71までのいずれかに記載の組成物。
73.前記植物残渣が、茎、葉、殻、さや、穂軸、木材、木材チップ、木材パルプもしくはおがくずを含有するか、または前記古紙が、廃棄されたもしくは使用済みのフォトコピー紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、厚紙、紙に基づく包装材料を含有する、条項72に記載の方法。
74.(a)紙料を、製紙助剤および/または填料で処理する工程、
(b)(a)で処理した紙料をシート形成しながら脱水して、ペーパーウェブを得る工程、
(c)10,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量(Mw)、および1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを1〜40質量%含有する紙表面処理組成物を用意する工程、
(d)ペーパーウェブを、(c)の紙表面処理組成物と接触させる工程、および
(e)工程(d)で接触させたペーパーウェブを乾燥させる工程、これにより紙製品が製造される、
を含む、紙製品の製造方法。
75.前記紙表面処理組成物が、分解デンプンを2〜30質量%含有する、条項74に記載の方法。
76.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、条項74から75までのいずれかに記載の方法。
77.前記紙料が、ポリビニルアルコール繊維を含有しない、条項74から76までのいずれかに記載の方法。
78.前記紙表面処理組成物が、架橋剤で変性されている、条項74から77までのいずれかに記載の方法。
79.前記紙表面処理組成物が、鉱物、無機顔料、粘土、カオリン、PCC、GCC、ケイ酸カルシウム、シリカ、中空球状顔料を含むプラスチック球状顔料、発泡性プラスチック球体、微結晶性セルロース、ナノ結晶性セルロース、ナノレベルでひだ付けされたセルロース、コロイド状MCC、TiO2、タルク、アルミナ、またはこれらの組み合わせを含有する、条項74から78までのいずれかに記載の方法。
80.前記紙表面処理組成物が、ヘミセルロースまたはリグニンを含有する、条項74から79までのいずれかに記載の方法。
81.前記方法がさらに濾過プロセスを含み、場合によっては濾液が発生する、条項74から80までのいずれかに記載の方法。
82.前記方法がさらに濾液の再利用を含み、場合によっては微細物質を、濾液から収集する、条項81に記載の方法。
83.前記方法がさらに混合プロセスを含む、条項74から82までのいずれかに記載の方法。
84.前記方法がさらに漂白プロセスを含む、条項74から83までのいずれかに記載の方法。
85.場合によって前記方法がさらに、付加的な酵素の添加を含み、場合によってさらなる酵素を、複数の時点で、または段階的に方法に添加する、条項74から84までのいずれかに記載の方法。
86.前記方法がさらに、予備洗浄プロセスまたは前処理プロセスを含む、条項74から85までのいずれかに記載の方法。
87.紙表面処理組成物を、サイズ剤、ウェットエンド適用、被覆バインダー/キャリア、または接着剤としてペーパーウェブに適用する、条項74から86までのいずれかに記載の方法。
88.前記紙表面処理組成物を、サイズプレス、秤量サイズプレス、フィルムプレス、ロールコート、ブレードコート、バーコート、キャストコート、スプレーコート、カーテンコート、シャワーコート、噴射、トランスファーコーティング、ウォーターボックス含浸、またはヘッドボックスによって紙ウェブに適用する、条項74から87までのいずれかに記載の方法。
89.条項1から88までのいずれか、特に条項39から49までのいずれかまたは74から88までのいずれかに記載の方法により得られる紙製品。
90.10,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量(Mw)、および1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有するデンプンを含有する、組成物。
91.400,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および1.3〜49の多分散性指数を有する分解デンプンを1〜40質量%含有する、紙および板紙用の水性表面処理組成物。
92.前記分解デンプンを得るために、デンプンの質量を基準として0.0001質量%〜1質量%の配列番号12のポリペプチドを使用する、条項91に記載の水性表面処理組成物。
93.前記酵素調製物が、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有する、条項91から92までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
94.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、条項91から93までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
95.前記酵素調製物がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、条項91から94までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
96.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12に対して少なくとも80%の同一性を有する、条項91から95までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
97.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、条項91から96までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
98.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、条項91から97までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
99.前記分解デンプンが、
a)水およびデンプンの懸濁液を調製する工程、
b)配列番号12に対して少なくとも80%の同一性を有するアミラーゼ活性を有するポリペプチドを0.0001〜1%添加する工程、および
c)デンプンおよび酵素を含有する混合物を、5〜60分にわたって60〜100℃の温度に加熱する工程、
を含む方法によって得られる、条項91から98までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
100.分解デンプンを2〜30質量%含有する、条項91から99までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
101.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数を有する、条項91から100までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
102.a)紙料を、製紙助剤および/または填料で処理する工程、
b)a)で処理した紙料をシート形成しながら脱水する工程、および
c)b)で得られたペーパーウェブを、条項91から101までのいずれかに記載の表面処理組成物で処理する工程、および
d)c)で被覆されたペーパーウェブを乾燥させる工程
を含む、紙および板紙を製造する方法。
103.前記分解デンプンが、400,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数を有し、かつ前記表面処理組成物をサイズプレス適用技術によって適用する、条項102に記載の方法。
104.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数を有し、かつ表面処理組成物をフィルムプレス適用技術によって適用する、条項102に記載の方法。
105.条項91から104までのいずれか、特に条項102から104までのいずれかに記載の方法により得られる紙および板紙。
106.段ボール紙を製造するための、条項105に記載の紙および板紙の使用。
以下の条項1’〜47’はまた、本発明の技術的教示のさらなる態様を説明する:
1’.10,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを1〜40質量%含有する、紙および板紙用の水性表面処理組成物。
2’.前記分解デンプンが、400,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、条項1’に記載の水性表面処理組成物。
3’.前記分解デンプンが、デンプンを、アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する酵素調製物で処理することによって得られる、条項1’または2’に記載の水性表面処理組成物。
4’.前記酵素調製物が、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有する、条項3’に記載の水性表面処理組成物。
5’.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、条項4’に記載の水性表面処理組成物。
6’.前記酵素調製物がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、条項3’に記載の水性表面処理組成物。
7’.前記分解デンプンを得るために、アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、デンプンの質量を基準として0.0001質量%〜1質量%使用する、条項1’から6’までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
8’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)に対して少なくとも80%の同一性を有する、条項1’から7’までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
9’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、条項1’から8’までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
10’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、条項1’から7’までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
11’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12のポリペプチドである、条項1’から9’までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
12’.前記分解デンプンが、
a)水およびデンプンの懸濁液を調製する工程、
b)配列番号12に対して少なくとも80%の同一性を有するアミラーゼ活性を有するポリペプチドを0.0001〜1%添加する工程、および
c)デンプンおよび酵素を含有する混合物を、5〜60分にわたって60〜100℃の温度に加熱する工程、
を含む方法によって得られる、条項1’から9’までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
13’.分解デンプンを2〜30質量%含有する、条項1’から12’までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
14’.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、条項1’から13’までのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
15’.a)紙料を、製紙助剤および/または填料で処理する工程、
b)a)で処理した紙料をシート形成しながら脱水する工程、および
c)b)で得られたペーパーウェブを、条項1’から14’までのいずれかに記載の表面処理組成物で処理する工程、および
d)c)で被覆されたペーパーウェブを乾燥させる工程
を含む、紙および板紙を製造する方法。
16’.前記分解デンプンが、400,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有し、かつ表面処理組成物をサイズプレス適用技術によって適用する、条項15’に記載の方法。
17’.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有し、かつ表面処理組成物をフィルムプレス適用技術によって適用する、条項16’に記載の方法。
18’.条項15’から17’までのいずれかに記載の方法によって得られる、紙および板紙。
19’.段ボール紙を製造するための、条項18’に記載の紙および板紙の使用。
20’.(a)アミラーゼ活性を有するポリペプチドを用意する工程、
(b)デンプンを用意する工程、および
(c)(a)のポリペプチドを(b)のデンプンと接触させ、これによってデンプンを加水分解して、質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である分解デンプンを1〜40質量%含有する紙表面処理組成物を製造する工程、
を含む、紙または板紙用の表面処理組成物を製造する方法。
21’.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、条項20’に記載の方法。
22’.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、条項20’から21’までのいずれかに記載の方法。
23’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12に対して少なくとも80%の同一性を有する、条項20’から22’までのいずれかに記載の方法。
24’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、条項20’から23’までのいずれかに記載の方法。
25’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、条項20’から22’までのいずれかに記載の方法。
26’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、デンプンの質量を基準として0.01ppm〜1000ppmで用意する、条項20’から25’までのいずれかに記載の方法。
27’.前記方法がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせの使用を含む、条項20’から26’までのいずれかに記載の方法。
28’.前記方法がさらに、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素の使用を含む、条項20’から26’までのいずれかに記載の方法。
29’.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、条項28’に記載の方法。
30’.前記デンプンが、コメ、トウモロコシ、大麦、小麦、豆果、ジャガイモ、タピオカ、大豆、燕麦、ライ麦、ビーツ、またはサトウキビに由来する、条項20’から29’のいずれかに記載の方法。
31’.前記デンプンを、化学的な処理、機械的な処理、熱処理、酸処理、酸化、誘導、または酵素処理によって処理する、条項20’から30’までのいずれかに記載の方法。
32’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドの不活性化を含む、条項20’から31’までのいずれかに記載の方法。
33’.質量平均分子量(Mw)が10,000〜12,000,000の範囲にあり、かつ多分散性指数(Mw/Mn)が1.3〜49である分解デンプンを1〜40質量%含有する紙表面処理組成物を用いて製造された、改善された表面品質を有する紙製品。
34’.前記紙表面処理組成物が、前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、条項33’に記載の紙製品。
35’.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、条項33’から34’までのいずれかに記載の紙製品。
36’.前記分解デンプンが、80℃、100rpmで3〜2,000mPa・sの粘度を有する、条項33’から35’までのいずれかに記載の紙製品。
37’.紙製品の表面品質が、耐水性、水分、蒸気、酸素、油または脂肪に対する遮蔽性、耐毛羽立ち性、低減された摩耗性、印刷特性、表面荷電特性、インク/色/染料固定、および結合強度または表面強度から成る群から選択されている、条項33’から36’までのいずれかに記載の紙製品。
38’.少なくとも10%〜90%の二糖類を含有する、条項33’から37’までのいずれかに記載の紙製品。
39’.少なくとも10%〜90%の三糖類を含有する、条項33’から38’までのいずれかに記載の紙製品。
40’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する紙製品を製造するための低分量酵素調製物であって、アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、デンプンの質量を基準として0.01ppm〜1000ppmでデンプンに適用されている、前記低分量酵素調製物。
41’.前記紙製品が、フォトコピー用紙、コンピュータ印刷用紙、ノート用紙、メモ帳用紙、タイプライター用紙、新聞紙、雑誌、板紙、厚紙、段ボール紙、紙に基づく包装材料、または紙に基づく印刷材料および筆記材料である、条項40’に記載の低分量酵素調製物。
42’.前記酵素調製物が、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有する、条項40’または41’に記載の低分量酵素調製物。
43’.前記脱分枝酵素が、ヘミセルラーゼ、イソアミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、エキソアミラーゼ、プルラナーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、α−グルコナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせである、条項42’に記載の低分量酵素調製物。
44’.前記酵素調製物がさらに、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、セルビオヒドロラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、セロビオースオキシドレダクターゼ、グリオキサルオキシダーゼ、エピメラーゼ、インベルターゼ、クロロフィラーゼ、またはこれらのあらゆる組み合わせを含有する、条項40’から43’までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
45’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12に対して少なくとも80%の同一性を有する、条項40’から44’までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
46’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、条項40’から45’までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
47’.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、条項40’から46’までのいずれかに記載の低分量酵素調製物。
以下の条項I〜XVIはまた、本発明の技術的教示の別の態様を説明する:
I.10,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および1.3〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する分解デンプンを1〜40質量%含有する、紙および板紙用の水性表面処理組成物。
II.前記分解デンプンが、400,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、条項Iに記載の水性表面処理組成物。
III.前記分解デンプンが、デンプンを、アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含有する酵素調製物で処理することによって得られる、条項IまたはIIに記載の水性表面処理組成物。
IV.前記酵素調製物が、グルコアミラーゼおよび/または脱分枝酵素を含有する、条項IIIに記載の水性表面処理組成物。
V.前記分解デンプンを得るために、アミラーゼ活性を有するポリペプチドを、デンプンの質量を基準として0.0001質量%〜1質量%使用し、かつアミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12(表3の米国特許第7273740号明細書(US 7273740)の配列番号2)に対して少なくとも80%の同一性を有する、条項IからIVまでのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
VI.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表3および4に開示されたアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性を有する、条項IからVまでのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
VII.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、表1および2に記載のもののいずれかである、条項IからVIまでのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
VIII.アミラーゼ活性を有するポリペプチドが、配列番号12のポリペプチドである、条項IからVIIまでのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
IX.前記分解デンプンが、
a)水およびデンプンの懸濁液を調製する工程、
b)配列番号12に対して少なくとも80%の同一性を有するアミラーゼ活性を有するポリペプチドを0.0001〜1%添加する工程、および
c)デンプンおよび酵素を含有する混合物を、5〜60分にわたって60〜100℃の温度に加熱する工程、
を含む方法によって得られる、条項IからVIIIまでのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
X.前記分解デンプンを2〜30質量%含有する、条項IからIXまでのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
XI.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、条項IからXまでのいずれかに記載の水性表面処理組成物。
XII.a)紙料を、製紙助剤および/または填料で処理する工程、
b)a)で処理した紙料をシート形成しながら脱水する工程、および
c)b)で得られたペーパーウェブを、条項IからIXまでのいずれかに記載の表面処理組成物で処理する工程、および
d)c)で被覆されたペーパーウェブを乾燥させる工程
を含む、紙および板紙を製造する方法。
XIII.前記分解デンプンが、400,000〜12,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有し、かつ表面処理組成物をサイズプレス適用技術によって適用する、条項XIIに記載の方法。
XIV.前記分解デンプンが、400,000〜5,000,000の範囲の質量平均分子量Mw、および10〜49の多分散性指数(Mw/Mn)を有し、かつ表面処理組成物をフィルムプレス適用技術によって適用する、条項XIIIに記載の方法。
XV.条項XIIからXIVまでのいずれかに記載の方法によって得られる、紙および板紙。
XVI.段ボール紙を製造するための、条項XVに記載の紙および板紙の使用。