JP2018529374A - 有蹄動物胚の凍結保存 - Google Patents

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Abstract

レシピエント雌への移植のために有蹄動物胚を凍結保存する技術が記載される。インビトロ産生(IVP)有蹄動物胚を得るステップと、前記胚を凍結保存するステップと、レシピエント有蹄動物における着床のために胚を移植するステップと、を含む、方法であって、前記凍結保存および前記移植が、少なくとも約10%の妊娠率が達成されるように行われる、方法。凍結保存胚であって、インビトロ産生(IVP)有蹄動物胚を得るステップと、前記胚を、前記凍結保存胚がレシピエント有蹄動物に移植される場合、少なくとも約10%の妊娠率が達成されるような条件下で凍結保存するステップと、を含む、方法により産生される、凍結保存胚。

Description

関連出願の相互参照
本発明は、2015年7月14日に出願された、米国仮特許出願第62/192,544号の優先権を主張し、その開示はその全体において本明細書に参照により組み入れられる。
インビトロ胚産生は、牧畜の主要な構成要素である。しばしば、移植されるよりも多くの胚が産生される。ガラス化されたインビトロ産生(IVP)胚の胚移植(ET)において30%超の受胎率が最近達成されたが、ガラス化後にこれらの胚を回収するプロセスの複雑さは、引き続きこの技術の商業的な利用に対する障害となっている。ウシ胚凍結保存のための効率的な新規プロトコルが必要とされている。
本発明は、ウシ胚の凍結保存および/または凍結保存ウシ胚での受精の達成のための技術を提供する。本発明は、凍結保存胚、こうした凍結保存胚群、それらの産生および/または保存システム、等も提供する。
とりわけ、本発明は、凍結保存胚の胚移植のための特定の利用可能な技術での、特に凍結保存胚の回収(例えば、解凍、着床、等)プロセスでの、問題の原因の特定を包含する。例えば、本開示は、多くの標準的な技術に従った生存可能な凍結保存胚の回収に要する人員および時間が、それらの商業的な利用可能性に対して懸念を生じさせていることを理解する。
さらに、本開示は、典型的には新鮮胚で達成されるものよりかなり低い受胎率を達成すると考えられる、凍結保存胚を利用するほとんどの標準的な技術に対して、向上した受胎率を達成する凍結保存胚の移植技術が必要とされていることも理解する。とりわけ、本開示は、凍結保存胚について望ましい(例えば、約10%以上)受胎率を達成する技術を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、インビトロ産生(IVP)有蹄動物胚を得るステップと、その胚を凍結保存するステップと、レシピエント有蹄動物における着床のために胚を移植するステップと、を含む、方法であって、凍結保存および移植が、少なくとも約10%の妊娠率が達成されるように行われる、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、1つ以上のインビトロ産生胚を得ることは、例えば、雌から1つ以上の卵母細胞を回収するステップと、1つ以上の卵母細胞をインビトロで成熟させるステップと、1つ以上の接合子が産生されるように、1つ以上の成熟卵母細胞を、精液または1つ以上の単離精子細胞で受精させるステップと、1つ以上の接合子を剥離および培養するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、利用される精液は性選別されている。いくつかの実施形態では、精液は性選別されていない。
いくつかの実施形態では、卵母細胞をインビトロで成熟させることは、例えば、卵母細胞を、温度、気体の存在または量、湿度、pH、オスモル濃度、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの条件について、生理学的に適切な範囲内でインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、気体の存在または量は、OおよびCOからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、卵母細胞をインビトロで成熟させるステップは、卵母細胞を35〜40℃、3〜9%CO、および飽和湿度でインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、接合子を剥離および培養するステップは、接合子を35〜40℃、空気中5%CO、および飽和湿度でインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、接合子を剥離および培養するステップは、接合子を5%Oでインキュベートすることをさらに含む。
いくつかの実施形態では、胚を凍結保存することは、例えば、胚を、凍結保護剤を含む溶液中でインキュベートするステップと、胚を液体窒素中に浸漬させるステップと、を含む。いくつかの実施形態では、胚を凍結保存するステップは、胚を、1.0〜4Mのエチレングリコールからなる凍結溶液中で、5〜30分間にわたって、約10℃〜約38℃の範囲内の第1の温度でインキュベートするステップと、胚を容器に装填するステップであって、気泡が、胚を、等張希釈剤培地中のエチレングリコールを含む解凍溶液から分離する、装填ステップと、胚を、約−2〜約−10℃の範囲内の温度に、約1分間〜約60分間の範囲内の期間にわたって曝露するステップと、温度を、約−30〜約−36℃の範囲内の第2の温度に到達するまで、毎分約−0.2〜約−0.8℃の範囲内の速度で低下させるステップと、胚を保存のために液体窒素中に浸漬させるステップと、を含む。いくつかの実施形態では、エチレングリコールは、約0.2〜約1.3モルの範囲内の最終濃度で存在する。
いくつかの実施形態では、胚は、レシピエント雌への直接移植のために凍結保存される。
いくつかの実施形態では、胚を移植することは、胚を、鉱物油下、ウシ血清アルブミン(BSA)が補充された培地中で、約5〜約9日間の範囲内の期間にわたって培養するステップと、胚をレシピエント有蹄動物に移植するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、培地は、C4培地、SOF培地、SOFaa培地、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、培地は、血清、ウシ胎児血清、ウシ胎仔血清、ウシ血清アルブミン、および/または1つ以上のアミノ酸のうちの1つ以上で補充される。
いくつかの実施形態では、移植される胚は、桑実胚、初期胚盤胞、胚盤胞、および拡張胚盤胞からなる群から選択される発生段階にある。
いくつかの実施形態では、レシピエント有蹄動物は同期化される。いくつかの実施形態では、レシピエント有蹄動物は自然発情期にある。いくつかの実施形態では、胚は新鮮、ガラス化、または凍結される。いくつかの実施形態では、有蹄動物はウシである。いくつかの実施形態では、胚の種は、ボス・タウラス(Bos Taurus)、ボス・インディカス(Bos indicus)、および交雑種ボス・インディカス−タウラス(Bos indicus−taurus)から選択される。
いくつかの実施形態では、本発明は、凍結保存胚であって、例えば、インビトロ産生(IVP)有蹄動物胚を得るステップと、胚を、凍結保存胚がレシピエント有蹄動物に移植される場合、少なくとも約10%の妊娠率が達成されるような条件下で凍結保存するステップと、を含む、方法により産生された、胚を提供する。いくつかの実施形態では、インビトロ産生胚を得ることは、例えば、雌から卵母細胞を回収するステップと、卵母細胞をインビトロで成熟させるステップと、成熟卵母細胞を精液で受精させるステップと、接合子を剥離および培養するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、卵母細胞をインビトロで成熟させることは、卵母細胞を、温度、気体の存在または量、湿度、pH、オスモル濃度、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの条件について、生理学的に適切な範囲内でインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、胚を移植することは、胚を、鉱物油下、ウシ血清アルブミン(BSA)が補充された培地中で、約5〜約9日の範囲内の期間にわたって培養するステップと、胚をレシピエント有蹄動物に移植するステップと、を含む。
いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される培地は、C4培地、SOF培地、SOFaa培地、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される培地である、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、培地は、血清、ウシ胎児血清、ウシ胎仔血清、ウシ血清アルブミン、および/または1つ以上のアミノ酸のうちの1つ以上で補充される。
いくつかの実施形態では、本開示に従って凍結保存および/または移植される胚は、桑実胚、初期胚盤胞、胚盤胞、および拡張胚盤胞からなる群から選択される発生段階にある。
いくつかの実施形態では、本発明は、容器と、容器の第1の領域内に位置付けられた凍結保存溶液中の凍結保存胚と、を備えるデバイスであって、その第1の領域の横に、各々空気を含有する、第2および第3の領域が配置されており、その第2および第3の領域の横に、各々解凍溶液を含有する、第4および第5の領域が配置されており、その第4および第5の領域の横に、各々空気を含有する、第6および第7の領域が配置されており、その第6および第7の領域の横に、各々解凍溶液を含有する、第8および第9の領域が配置されている、デバイスを提供する。いくつかの実施形態では、領域のうちの1つ以上はチャンバであり、チャンバは、チャンバと少なくとも1つの隣接する他の領域との間に障壁を提供する物理的区画実体により画定される。いくつかの実施形態では、本発明は、複数のデバイスを提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、複数の有蹄動物胚を凍結保存するステップと、複数の胚をレシピエント有蹄動物に移植するステップと、を含む方法であって、凍結保存および移植が、少なくとも30%の受胎率が達成されるように行われる、方法を提供する。いくつかの実施形態では、凍結保存ステップは、容器の第1の領域内に凍結保存溶液中の各胚を位置付け、その第1の領域の横に、各々空気を含有する、第2および第3の領域が配置されており、その第2および第3の領域の横に、各々解凍溶液を含有する、第4および第5の領域が配置されており、その第4および第5の領域の横に、各々空気を含有する、第6および第7の領域が配置されており、その第6および第7の領域の横に、各々解凍溶液を含有する、第8および第9の領域が配置されている。
いくつかの実施形態では、本発明は、胚を凍結する方法であって、例えば、有蹄動物胚を、1.0〜4Mのエチレングリコールからなる凍結溶液(SC)に、10分間にわたって35℃で曝露することと、解凍溶液(SD)の4つのカラムに取り囲まれた凍結溶液中の各胚がそれらの間に空気のカラムによって交互配置されるように、凍結溶液(SC)中の胚を、ストローのように外形形成された容器内に位置付けることであって、解凍溶液が0.75Mのエチレングリコールを含む、位置付けることと、容器を、約0℃〜約−10℃の範囲内の温度で安定した温度条件に曝露することと、胚の上および下のカラムを、凍結装置内に設置された2分後に結晶化することと、胚を、1〜60分間にわたって、約0℃〜約−10℃の範囲内の温度で維持することと、温度を、約−30℃〜約−36℃の範囲内の第2の温度に到達するまで、毎分約−0.2℃〜約−0.8℃の範囲内の速度で低下させることと、凍結胚を液体窒素中に浸漬させることと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、凍結胚を含有する容器は、約−30℃〜約−36℃の範囲内の第2の温度に到達した後、液体窒素中に浸漬される。
いくつかの実施形態では、本発明は、凍結保存胚を解凍する方法であって、容器の第1の領域内に位置付けられた凍結保存溶液中の凍結保存胚を収容する容器を、室温空気に、凍結胚の解凍を開始するのに十分な第1の期間にわたって曝露することであって、その第1の領域の横に、各々空気を含有する、第2および第3の領域が配置されており、その第2および第3の領域の横に、各々解凍溶液を含有する、第4および第5の領域が配置されており、その第4および第5の領域の横に、各々空気を含有する、第6および第7の領域が配置されており、その第6および第7の領域の横に、各々解凍溶液を含有する、第8および第9の領域が配置されている、曝露することと、容器を、室温空気に、凍結胚の解凍を開始するのに十分な第1の期間にわたって曝露することと、容器を、約10℃〜約38℃の範囲内の解凍温度を特徴とする解凍環境に、凍結溶液を解凍するのに十分な第2の期間にわたって曝露することと、容器内で解凍溶液、凍結溶液、および胚を混合することと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、第1の期間は約10℃〜約38℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、第2の期間は約20℃〜約38℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、解凍環境は液体浴であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、解凍温度は約10℃〜約38℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、混合ステップは、容器の穏やかな撹拌により達成される。いくつかの実施形態では、解凍方法は、胚をレシピエント有蹄動物に移植するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、移植は、曝露ステップもしくは混合ステップと同時に、またはその後に行われる。いくつかの実施形態では、移植ステップは、胚をレシピエント有蹄動物の子宮角に移植することを含む。
図1は、胚の直接移植において凍結胚を使用するためのスキームを示す。この図に示されているように、デバイスに凍結溶液中の胚(例えば、デバイス1つ当たり1つの胚)が配置されてもよく、溶液の領域は空気の領域により分離される。例えば、図1に示されているように、凍結溶液200中の胚100は、円柱状デバイス400(例えば、ストロー)の第1の領域300(図1では灰色)内に局限される。その第1の領域のすぐ横には、空気を含有する2つの領域(第2の領域305および第3の領域315、図1では各々点描)があり、その横には、解凍溶液を含有する2つの領域(第4の領域310および第5の領域320、図1では各々縞状)があり、その横には、同様に空気を含有するさらに2つの領域(第6の領域325および第7の領域335、図1では各々点描)があり、その横には、同様に解凍溶液を含有するさらに2つの領域(第8の領域330、第9の領域340、図1では各々縞状)がある。図1に示されている特定のデバイスは0.25mLストローであり、中央カラムに配置される凍結溶液は1.5Mのエチレングリコールであり、解凍溶液は、DPBS中0.75Mのエチレングリコールとなるような、DPBS中での解凍溶液の1:1希釈物である。
2AおよびB(共に図2を構成する)は、本開示の例示において概説されている、凍結(図2A)および解凍(図2B)スキームの概略を示す。
定義
本発明がより容易に理解されるために、特定の用語を下に定義する。当業者であれば、特定の用語の定義が、本明細書の別の場所で提供され得る、および/または文脈から明らかとなることを理解するだろう。
約:本明細書において使用されている「約(approximatelyまたはabout」」という用語は、1つ以上の対象の値に適用される場合、所定の基準値と類似した値を指す。特定の実施形態では、「約」という用語は、特に記述がない限り、または特に文脈から明白でない限り(こうした数字が可能値の100%を超える場合を除き)、所定の基準値とのいずれかの方向の(基準値より大きいまたは小さい)差が、その25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下に該当する範囲の値を指す。
人工授精(AI):本明細書において使用されている「人工授精(AI)」という用語は、妊娠を達成するための精液の雌ウシの子宮への人の手による導入を指す。多くの実施形態では、AIは繁殖において、例えば、もたらされた妊娠によって出産するように(またはそれを意図して)、利用される。いくつかの実施形態では、AIは、回収された精液で実施される。いくつかの実施形態では、AIは、抽出された精液で実施される。いくつかの実施形態では、AIは、処理された精液で実施され、例えば、いくつかの実施形態では、精液は一方の性のみの精子を多く含むように、性分別されている。当業者であればそれを理解するだろう。特に明らかな指示がない限り、「AI」という用語は、例えば、移植のための胚を産生するために精液が雌ウシに導入され得る、胚移植手順を包含しない。
胚盤胞:本明細書において使用されている「胚盤胞」という用語は、哺乳類の発生初期において形成される構造を指す。これはその後胚を形成する内部細胞塊(ICM)を有する。栄養膜は胚盤胞の細胞の外層である。この層は、内部細胞塊(胚幹細胞の供給源)および胞胚腔として知られる流体で満たされた空洞を囲む。栄養膜は胎盤をもたらす。インビトロ受精(IVF)のための胚盤胞の使用は、受精卵を、ウシ子宮に着床させる前に、培養することを含む。
種:本明細書において使用されている「種」という用語は、共通祖先を有する、および/または他の種の共有される有蹄動物ではない特定の区別可能な特性を共有する有蹄動物(例えば、ウシ)の群を指す。当業者であれば、種の標準および/または特徴に精通している。多くの実施形態では、特定の種は、特定の識別された親を(例えば、特定の雄親を特定の雌親と、または特定の雌親系統を有するものからのいずれか一頭の雌と)互いに交配させることにより産生および/または維持される。
相当する:「相当する」という用語は、本明細書において、得られた結果または観察された現象の比較を可能にするほど互いに十分に類似した条件、状況、個体、または群の2つ(以上)のセットを表すのに使用されている。いくつかの実施形態では、条件、状況、個体、または群の相当するセットは、複数の実質的に同じ特質および1つまたは少数の様々な特質により特徴付けられる。当業者であれば、状況、個体、または群のセットが、十分な数およびタイプの実質的に同じ特質により特徴付けられる場合、互いに相当することを理解し、状況、個体、または群の異なるセットで得られた結果または観察された現象における違いが、それらの様々な特質の多様性により引き起こされる、またはこれを示しているという合理的な結論を支持するだろう。当業者であれば、本明細書において使用されている相対的な表現(例えば、向上した、活性化した、低減した、阻害した、等)が、典型的には相当する条件下で行われた比較を指すことを理解するだろう。
交雑種:本明細書において使用されている「交雑種」という用語は、異なる種または品種の有蹄動物(例えば、ウシ)である個々の動物の配偶子から産生された有蹄動物(例えば、ウシ)を指す。交雑育種は、酪農において、親種と比較してより健康でより生産性の高いウシを産生するために、しばしば実施される。交雑育種とは、異なる種または株からの動物の意図的な交配であり、多くの実施形態では、交雑育種は、生産性、繁殖性、および寿命のような特徴についてのヘテローシス(雑種強勢)をうまく利用するように設計されている。いくつかの実施形態では、本開示は、酪農産業では典型的には使用されない人工授精および/またはインビトロ受精に関する最近の発達を利用し、本明細書において記載されている乳牛の交雑種系統の産生および/または維持に対する特定の利点を可能にする、および/または提供することができるという見識を包含する。本明細書において記載されているように、特に興味深い交雑種の有蹄動物は、動物の体細胞染色体の50%が1つの株または系統に由来し、50%が異なる株または系統に由来する(すなわち、互いに異なる第1および第2の株/系統からのF0個体を交雑することにより形成される、ハイブリッドである。当業者であれば、しかしながら、「交雑種」という用語が、いくつかの実施形態では(文脈から明らかなように)、そのゲノムが、交雑の結果として、100%いずれかの単一の種に由来しない、いずれかの個体を指すのに使用され得ることを理解するだろう。二倍体細胞:本明細書において使用されている「二倍体細胞」という用語は、2コピー(2n)の各常染色体の遺伝子座と共に、その常染色体の各々の相同対を有する細胞を指す。
発生段階:本明細書において使用されている「発生段階」という用語は、胚の発生段階を指す。いくつかの実施形態では、発生段階は、桑実胚、初期胚盤胞、胚盤胞、および拡張胚盤胞を含む。
直接移植:本明細書において使用されている「直接移植」という用語は、胚をゆっくり凍結保存する方法を指す。胚は、エチレングリコールまたはグリセロールのような凍結保護剤を含む凍結溶液中でインキュベートし、胚が凍結され、その後液体窒素中に浸漬されるまで、徐々に低下する温度に曝露する。いくつかの実施形態では、凍結溶液中の胚は、凍結温度に曝露されたストロー上に装填する。凍結保存の直接移植法は、緩慢凍結とも称される。
胚:本明細書において使用されている「胚」という用語は、雌有蹄動物において直ちに着床させることができる、または雌有蹄動物においていずれは着床させるために保存される受精した卵母細胞(卵)を指す。
新鮮移植:本明細書において使用されている「新鮮移植」という用語は、凍結保存を回避して、胚を受精後にレシピエント有蹄動物(例えば、ウシ)において着床させる方法を指すのに使用されている。いくつかの実施形態では、胚は、レシピエント有蹄動物において着床させる前に数日間インビトロで培養される。
配偶子:本明細書において使用されている「配偶子」という用語は、一倍体の染色体数を有する生殖細胞(例えば、精子または卵母細胞)、特に異性の配偶子と融合し、受精卵を産生することができる成熟精子または卵を指すのに使用されている。配偶子は減数分裂のプロセスを通して産生される。
性選別精液:本明細書において使用されている「性選別精液」という用語は、一方の好ましい性のみの精母細胞を選択するように操作した精液を指す。いくつかの実施形態では、性選別精液は、性分別精液としても知られている。いくつかの実施形態では、性選別精液は、一方の好ましい性のみの精母細胞を多く含むように操作した精液を指す「性富化精液」である。いくつかの実施形態では、性富化精液は、少なくとも約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%の一方の好ましい性のみの精母細胞を含む。
ゲノムプロファイル:本明細書において使用されている「ゲノムプロファイル」という用語は、ゲノム内に含有される情報全体の代表的なサブセットを指す。典型的には、ゲノムプロファイルは、特定のセットの多型遺伝子座の遺伝子型を含有する。いくつかの実施形態では、ゲノムプロファイルは、例えば、特定の動物、系統、種、または交雑種群の特定の特質、特性、またはこれらの特徴のセットと相関し得る。
遺伝子型:本明細書において使用されている「遺伝子型」という用語は、所定の細胞または有機体における、所定の遺伝子座、または関連遺伝子座のセットの対立遺伝子の二倍体の組み合わせを指す。ホモ接合体は2コピーの同じ対立遺伝子を有し、ヘテロ接合体は2つの異なる対立遺伝子を有する。2つの対立遺伝子「A」および「a」を有する遺伝子座の最も単純な例では、3つの遺伝子型、A/A、A/a、およびa/aが形成され得る。
遺伝子型決定:本明細書において使用されている「遺伝子型決定」という用語は、1つ以上の明確に定義された遺伝子座の個体の遺伝子型を区別するための、実験、計算、または観察プロトコルを指す。当業者であれば、遺伝子型決定を有用かつ効果的に実施することができる様々な技術について認識しているだろう。いくつかの実施形態では、遺伝子型決定は、核酸または核酸配列の直接検出を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子型決定は、例えば、核酸または核酸配列の存在と相関する代理マーカーまたはイベントの検出または分析を通した、核酸または核酸配列の間接検出を含む。
一倍体(半数体)細胞:本明細書において使用されている「一倍体細胞」という用語は、体細胞の半数の染色体の単一のセット(1n)の染色体を有する細胞を指す。
未経産雌牛:本明細書において使用されている「未経産雌牛」という用語は、まだ一頭も子ウシを産んだことがない雌ウシを指す。
ハイブリッド:本明細書において使用されている「ハイブリッド」という用語は、異なる種または系統の有蹄動物からの雄および雌配偶子の交雑の結果として産生される有蹄動物(例えば、ウシ)を指す。よって、典型的には、ハイブリッドの常染色体ゲノム(例えば、体細胞ゲノム)の50%は第1の種/系統に由来し、50%は第2の種/系統に由来する。特に興味深いものは、本明細書において記載されているように、その体細胞染色体の50%が第1の種に由来し、50%が第2の種に由来するハイブリッドである。
インビトロ受精(IVF):本明細書において使用されている「インビトロ受精」という用語は、生きた動物の体外で卵を受精させる方法を指す。IVFとは、体外で精子により卵を受精させるプロセスである(すなわち、インビトロであり、これは直訳すると「ガラスの中で」だが、当該技術分野では、例えば、実験室または他の人工的な環境において実施されるプロセスを指すと理解されている)。いくつかの実施形態では、IVFプロセスは、雌の排卵プロセスを監視および/もしくは刺激すること、雌の卵巣から卵母細胞(卵)を取り出すこと、ならびに/または実験室において(例えば、流体培地中で)精子および卵母細胞を互いに接触させ、受精を達成することを含む。いくつかの実施形態では、IVFは、成長培地中で受精卵(接合子)を培養すること、ならびに/または雌の子宮において着床させるか、その後の分析および/もしくは着床のために保存することを含む。いくつかの実施形態では、IVFは、受精卵を特定の望ましい属性(例えば、性別)について選別することを含み得る。
系統:本明細書において使用されている「系統」という用語は、選択的な繁殖により発達および維持される共通祖先の親から受け継がれるウシの株を指す。
交配:本明細書において使用されている「交配」という用語は、典型的には2つの異性の配偶子から、胚の形成をもたらすプロセスを指す。いくつかの実施形態では、交配は自然交配を含む。いくつかの実施形態では、交配は人工授精を含む。いくつかの実施形態では、交配はIVFを含む。本明細書において記載されている多くの実施形態では、交配は、ハイブリッド子孫を産生するのに利用されている。多くの実施形態では、交配は、交雑子孫を産生するのに利用されている。
桑実胚:本明細書において使用されている「桑実胚」という用語は、胚の発生段階を指す。桑実胚、透明帯内に含有される細胞の球(割球と称される)からなる初期段階の胚は、一連の開裂により単細胞の接合子から産生される。細胞分化およびキャビテーションを通して、桑実胚は胚盤胞をもたらす。桑実胚において流体で満たされた空洞が開き始めると、胚発生の胚盤胞段階が開始する。胚盤胞の形成中、桑実胚の細胞は、外部で成長する胞胚腔および栄養膜細胞の内部で成長する内部細胞塊に分化する。
自然交配:本明細書において使用されている「自然交配」という用語は、人工授精またはIVFベースの技術なしに雄と雌とを対合させる伝統的な牧畜を指す。
容器:本明細書において使用されている「容器」という用語は、1つ以上の凍結保存胚を含有するためのデバイスを指す。容器は、空気、解凍溶液、または凍結保存溶液中の胚を保持するための、一連の領域、またはチャンバを含有し得る。いくつかの実施形態では、容器はストローである、またはこれを含む。
実質的に:本明細書において使用されている「実質的に」という用語は、対象の特徴または特性の完全またはほぼ完全な範囲または程度を示す質的条件を指す。生物学分野における当業者であれば、生物学的および化学的現象が、完了すること、および/もしくは完全性まで進むこと、または絶対的な結果を達成もしくは回避することは、たとえあるとしても、ほとんどないことを理解するだろう。「実質的に」という用語は、したがって、本明細書において、多くの生物学的および化学的現象における固有の潜在的な不完全性を表すのに使用されている。
特性:本明細書において使用されている「特性」という用語は、個体の検出可能な属性を指す。典型的には、特定の特性の発現は、個体の遺伝子構成により完全または部分的に影響され得る。いくつかの実施形態では、特性は、特定の個体、系統、種、または交雑種の特徴であり、例えば、その個体、系統、種、または交雑種を他と区別するのに(個別に、またはセットの一部として)依存され得る。
有蹄動物:本明細書において使用されている「有蹄動物」という用語は、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、バッファロー、ヒツジ、キリン、ラクダ、シカ、およびカバを含む、多様な大型哺乳類の群を指す。ほとんどの陸生有蹄動物は、移動する際、通常は蹄になっている、爪の先を使って全体重を支えている。いくつかの実施形態では、この用語は、大まかに「蹄を持っていること」または「蹄のある動物」を意味する。
ガラス化:本明細書において使用されている「ガラス化」という用語は、卵細胞(卵母細胞)および胚を凍結保存する方法を指す。いくつかの実施形態では、胚は、エチレングリコールまたはグリセロールのような凍結保護剤を含む平衡化およびガラス化溶液に曝露され、凍結保存プロセスの一部として液体窒素中に浸漬される。
接合子:本明細書において使用されている「接合子」という用語は、2つの配偶子細胞が有性生殖により接合される際に形成される細胞を指す。これは胚の最初期の発生段階である。接合子は、2つの配偶子の合体から合成され、特有の有機体の発生における第1の段階を表す。接合子は、組み合わされて単一の二倍体細胞を形成する、2つの一倍体細胞、卵子(雌性配偶子)と、精子細胞(雄性配偶子)との間の受精により産生される。
特定の実施形態の詳細な説明
本発明は、部分的に、その受胎率が典型的には新鮮胚で達成されるものよりかなり低い、ほとんどの標準的な技術に対して、受胎率を向上させながら有蹄動物胚を凍結保存することが可能であるという発見に基づく。
いくつかの実施形態では、本発明は、インビトロ産生胚を得るステップと、その胚を凍結保存するステップと、レシピエント有蹄動物における着床のために胚を移植するステップと、を含む、方法であって、凍結保存および移植が、少なくとも約10%の妊娠率が達成されるように行われる、方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、開示されている方法により凍結保存された胚を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、凍結保存胚を凍結、保存、および解凍するための容器を提供する。
インビトロ産生胚
インビトロ産生胚(IVP)の使用は、過去10年にわたり大幅に増加している(Hasler、2014)。この増加の多くは主にブラジルで発生した。2013年には、393,000を超えるIVP胚がレシピエントに移植され、この総数のうち、78%が南米で産生された。同年、この総移植数から、わずか8.9%のIVP胚が凍結され、インビボ胚についてのこの割合は59%であった(Perry,2013)。
IVP胚は、インビボ胚より凍結保存に対して耐性が低く、胚の培地に添加されるウシ胎児血清(FBS)は、細胞質内脂質胚の大きな蓄積をもたらし得(Mucci et al.、2006)、これは凍結に対するIVP胚の感受性の増加の原因の1つである。
現在、IVP胚について最も一般的に用いられている凍結保存技術は、その簡易性、スピード、および低コストのために、ガラス化である(Dode et al.、2013)。しかしながら、この技術は、高濃度の凍結保護剤を使用し、移植前の胚の回収のための訓練された人員および実験室構造を要し(Vajta et al.、1998)、当該技術分野における大規模なその使用を制限している。
一方、その後の直接移植のための胚の緩慢凍結は、やや大きな作業コストを有するにもかかわらず、より低濃度の凍結保護剤の使用、よってより低毒性の胚を可能にする(Voelkel and Hu、1992)。
いくつかの実施形態では、本発明は、血清中で培養されたウシ胚を着床させる改良された方法を提供する。ウシ胎児血清(FBS)中で予めインキュベートされた受精胚を受け取るウシは、FBSへの予備曝露なしで胚を受け取ったウシと同様の受胎率を有していた。いくつかの実施形態では、本発明は、レシピエントのウシが新鮮移植胚と同様の受胎率を有するように、ウシ胚を凍結保存する方法である。新鮮な状態で受精した胚を受け取ったウシは、ガラス化胚および直接移植/緩慢凍結胚と同様の受胎率を有していた。これは、胚凍結保存の直接移植/緩慢凍結法が、ガラス化法と同じくらい有望であることを明示する。利便性のために、直接移植/緩慢凍結は、ガラス化法の適切な代替である。
いくつかの実施形態では、受精および凍結保存の前に、卵母細胞にはインビトロ成熟が行われ得る。いくつかの実施形態では、卵母細胞は、酸素(O)の存在下でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、卵母細胞は、二酸化炭素(CO)の存在下でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、卵母細胞は、3〜9%COの存在下でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、卵母細胞は、5%COの存在下でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、卵母細胞は、5%Oの存在下でインキュベートされる。
従来の畜産
畜産とは、営利目的での人間による家畜の管理および世話であり、この中では、人間にとって有益であると考えられる遺伝的な品質および挙動をさらに発達させる。この用語は、実利、スポーツ、娯楽、または研究のための動物における望ましい特性を促進するように家畜を選択的に繁殖および飼育する業務を指すことができる。
畜産は、昔からの慣行と現代の科学的知識とを融合することにより、動物飼育の理論と実践とを組み合わせ、動物の健康をもたらし、動物の安全かつ効率的な管理および飼育をもたらすシステムを構築している。畜産業務は、科学者、農業専門家、および他の動物関係者による新たな技術の習得に応じて変化するか、不要または不適切となったものを廃止する。畜産業務は、群れの仲間や農場労働者のけがを防止するためのウシの除角から、家畜を収容し、適切な栄養を供給し、繁殖戦略を立案するための方法までに及ぶ。
人工授精および胚移植のような技術が開発され、繁殖を促進するのに使用することができる。例えば、こうした技術は雌が自身のもの以外の胚を保有することを可能にするので、それらを使用し、特に高品質の雌(または雌系統)からの多数の胚を、より低品質の代理において着床させ、これにより高品質の雌から産生することができる子孫の数を確実に増やすことができる。この実践は、少数の選ばれた最高品質の親動物により産生され得る子孫の数を大幅に増加させることができる。しかしながら、本明細書において議論されているように、こうした技術は典型的には乳牛では利用されていない。とりわけ、それらはしばしば、乳牛での使用を是認するには高価すぎると考えられている。また、それらが群れ内で特定の遺伝的な特性を増幅する傾向があるという程度まで、それらは群れ内の遺伝的な多様性を減少させ、他のリスクの中でも特定の疾患の集団発生の深刻度を増大させる。とりわけ、本発明は、こうした技術が、特に交雑育種戦略と組み合わされる場合、畜産において従来のアプローチと比較して顕著な利点を提供することができるという見識を包含する。
胚形成および受精技術
人間が動物の交配を、任意で動物の交尾(例えば、自然交配)または動物の接触すらなしに、制御および/または達成することを可能にする、様々な技術が開発され、改良されている。代表的なこうした技術としては、例えば、インビトロ受精、人工授精、配偶子または胚の凍結保存(凍結)、多排卵の誘発、胚移植、精子または胚の性決定、核移植、クローニング、等が挙げられる。
反芻動物胚のインビトロ産生は、卵母細胞成熟、卵母細胞受精、およびインビトロ培養を含む三段階プロセスである。こうした卵母細胞の30〜40%のみが胚盤胞段階に到達し、そこでそれらはレシピエントに移植またはその後の使用のために保存することができる。卵母細胞の品質は、胚盤胞を形成する未成熟卵母細胞の割合に劇的な影響を及ぼし得、受精後培養環境は、胚盤胞の品質に大きな影響を与える。いくつかの実施形態では、インビトロ胚産生と併せた特定の性の精子の使用は、望ましい性の子孫を得る潜在的に効率的な手段である。性分別精液技術の使用に関する懸念としては、選別精子の明らかに低い繁殖性、凍結保存後の選別精子の低い生存性、および特定の期間に選別することができた精子数の低減が挙げられる。胚品質の評価は課題である。形態的評価が、現在、移植前の胚選別のための最も一般的な方法である。他の非侵襲的な評価方法は、発生能に関連している最初の卵割分裂のタイミングを含む。遺伝子発現の定量的試験は、培養胚の生存性を評価する追加の有益な手段である。特に受精後期間において、胚が曝露される培養条件が、潜在的に重要な長期的結果と共に、胚における遺伝子発現のパターンに混乱効果をもたらし得ることを明示するのに十分な量の証拠が存在する。
IVFとは、生殖器からの吸引法によりドナーのウシから卵母細胞を抽出する技術である。選択された卵母細胞は、次に24時間の期間にわたってインキュベートされ、これは成熟期間と称される。成熟後、卵は共培養物が作製された18〜22時間後に受精させる。胚は、移植できるようになる7日目まで、培地に滞留する。この技術は、従来のインビボ胚回収に対して3つの主な利点を有する。IVFでは、ウシに過排卵させる必要もなく、彼らを同期化させる必要もない。ドナーのウシは、動物の生殖健全性を低下させ得るホルモンに曝露されず、手順のための事前準備なしで処置することができるので、これは大きな進歩である。胚産生は平均すると採取された卵母細胞の約30%であるが、この量は、種、ドナーのウシ、およびまた交配に応じて変動する。IVFの別の利点は、動物を、インビボ胚回収のように60日毎ではなく、20日毎に吸引することができることである。IVFの他の利点は、動物を非常に若齢で採取することができることであり、これは、特定の望ましい特性を有する動物についての世代間隔を低減するので、繁殖選択に大きな影響をもたらすだろう。
人工授精(AI)は、200年より長い間、遺伝的に優れた雄から子孫を得るために使用されている。精液を凍結保存(凍結)および保存する周知の方法によって、AIは、より多くの家畜生産者にとって利用しやすくなっている。精液の凍結保存と同様に、胚凍結は、遺伝的な品質の高い動物の世界的な商業化を可能にした。雄ウシからの精液は、特に凍結および長期保存を受け入れられる。多数の乳牛が厳しく管理される酪農乳業において、AIは、簡単、経済的、かつ好結果である。米国では60パーセントを超える乳牛がAIにより繁殖されている。しかしながら、繁殖集団が通常は放牧条件で維持される肉牛では状況は異なる。米国の牛肉産業において、AIが占めるのは授精の5パーセント未満である。
ET技術の発達は、生産者が、遺伝的に優れた雌から多数の子孫を得ることを可能にする。受精胚は、外科的または非外科的技術により、優れた遺伝的メリットを有する雌(胚ドナーとも称される)から回収することができる。遺伝的に優れた胚は次に遺伝的メリットの少ない雌(胚レシピエントとも称される)に移植される。ウシにおいて、効率的な技術は、受精胚を外科手術なしで回収することができるが、各々の正常な生殖周期中に産生される胚は1つまたは時に2つのみである。遺伝的に優れた雌から回収することができる胚の数を増加させるために、胚ドナーは、多排卵、または過排卵を誘発するホルモン処置を受ける。
米国における牛肉産業は、肉生産の発育および仕上げ段階のために飼育場に入れる場合、より体重が多く、より飼料効率が高い(雌または未経産の子牛と比較して)傾向がある雄の子牛を好む。対照的に、酪農乳業は、いずれは子孫および人間消費用の牛乳を産生する未経産の子牛を好む。よって、生産者が彼らの家畜の子孫の性を制御することができるように、精子または胚の性を決定する方法が必要とされている。
1980年代中期から、割球(初期、おそらく未分化の卵割段階の胚からの細胞)または体細胞(線維芽細胞、皮膚、心臓、神経、または他の体細胞)のいずれかからの核を除核卵母細胞(核を除去した未受精の雌の卵細胞)に移植する技術が開発されている。この「核移植」は、それ自身が他の動物(トランスジェニック動物、遺伝的に優れた動物、または多量のミルクを産生する、もしくは他の望ましい特性を有する動物、等)のほぼ同一のコピーである動物の多数のコピーを産生する。このプロセスはクローニングとも称される。現在まで、体細胞核移植を使用し、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、ラバ、ネコ、ウサギ、ラット、およびマウスのクローンが作製されている。
この技術は、クローンを作製する動物からの適切な組織からの体細胞(線維芽細胞)を培養することを含む。培養された体細胞からの核は、次に同じまたは近縁種の別の個体から得られた除核卵母細胞に顕微注入される。まだ理解されていないプロセスを通して、体細胞からの核は、胚の正常発生を誘導するのに適した遺伝子発現のパターンにリプログラミングされる。インビトロでのさらなる培養および発生後、胚はレシピエント雌に移植され、最終的には正常な子孫の出産をもたらす。核移植による動物の繁殖の成功率は、10パーセント未満であることが多く、種、レシピエント卵の供給源、ドナー核の細胞型、核移植前のドナー細胞の処理、核移植に用いられる技術、等を含む、多くの要因に依存する。
本開示は、有蹄動物胚を凍結および解凍するための改良された凍結保存技術の有効性を明示する。本開示は、こうした技術が畜産業に顕著な利点もたらすことができることを明示する。
いくつかの実施形態では、保存胚は、例えば、ハイブリッドの子孫および/または群れの産生を可能にするために、他の農場およびビジネスに供給することができる。いくつかの実施形態では、本発明は、ハイブリッドウシをスクリーニングし、彼らの親のF0配偶子を使用する選択的な繁殖により高性能なハイブリッドウシを再現するビジネス方法を可能にする。
凍結保護剤
本明細書において記載されているように、本発明は、ウシ胚を凍結保存および/または凍結保存ウシ胚で受精を達成するための技術を提供する。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される凍結保護剤は、細胞内凍結保護剤である、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される凍結保護剤は、細胞外凍結保護剤である、またはこれを含む。いくつかの実施形態では、例となる凍結保護剤(例えば、細胞内凍結保護剤として使用される)は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、およびこれらの組み合わせであり、またはこれを含み得る。いくつかの実施形態では、例となる凍結保護剤(例えば、細胞外凍結保護剤として使用される)は、スクロース、トレハロース、デキストロース、およびこれらの組み合わせであり、またはこれを含み得る。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される凍結保護剤は、プロピレングリコールであり、またはこれを含み得る。
胚の発生段階
いくつかの実施形態では、胚は、様々な発生段階で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、胚は、桑実胚、初期胚盤胞、胚盤胞、および拡張胚盤胞からなる群から選択される発生段階で凍結保存され得る。胚盤胞の形成後、胚は、子宮壁に着床することができる。いくつかの実施形態では、初期胚盤胞段階は、空洞が形成され始めたばかりであり、胚盤胞細胞がまだ判別できないと特徴付けられる。いくつかの実施形態では、拡張胚盤胞段階は、完全に形成された空洞により特徴付けられる。
凍結保存のためのデバイス
本発明は、胚を凍結保存するためのデバイスを提供する。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイス内の第1の領域内に位置付けられた凍結保存溶液中の凍結保存胚を含み、その第1の領域の横に、各々空気からなる、第2および第3の領域が配置されており、その第2および第3の領域の横に、各々解凍溶液からなる、第4および第5の領域が配置されており、その第4および第5の領域の横に、各々空気からなる、第6および第7の領域が配置されており、その第6および第7の領域の横に、各々解凍溶液からなる、第8および第9の領域が配置されている。いくつかの実施形態では、デバイスの1つ以上の領域はチャンバである。
いくつかの実施形態では、本発明は、胚を凍結保存するための複数のデバイスを提供する。いくつかの実施形態では、各々の複数のデバイスは、単一の交配からの胚を含有する。
いくつかの実施形態では、本発明は、複数の胚を作製するステップと、複数の胚を凍結保存するステップと、胚を約40%の受胎率で移植するステップと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、胚は任意で凍結保存とレシピエントのウシへの移植との間の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、凍結保存とレシピエントのウシへの移植との間の期間は、数分間、数時間、数日間、数週間、数か月間、数年間、またはそれ以上(例えば、その数倍)とすることができる。いくつかの実施形態では、胚は、約40年、約35年、約30年、約25年、約20年、約15年、約10年、約9年、約8年、約7年、約6年、約5年、約4年、約3年、約2年、または約1年未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、または約1か月未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約6週間、約5週間、約4週間、約3週間、約2週間、約1週間未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、または約1日未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約24時間、約20時間、約16時間、約12時間、約8時間、約4時間、約3時間、約2時間、または約1時間未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約60分、約50分、約40分、約30分、約20分、約10分、約5分、約4分、約3分、約2分、または約1分未満の期間にわたって保存される。
いくつかの実施形態では、胚は、レシピエントのウシに移植される前に、数分間、数日間、または数年間にわたって保存することができる。いくつかの実施形態では、胚を保存することができる期間は、数分間、数時間、数日間、数週間、数か月間、数年間、またはそれ以上(例えば、その数倍)とすることができる。いくつかの実施形態では、胚は、約40年、約35年、約30年、約25年、約20年、約15年、約10年、約9年、約8年、約7年、約6年、約5年、約4年、約3年、約2年、または約1年未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、約1か月未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約6週間、約5週間、約4週間、約3週間、約2週間、約1週間未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、または約1日未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約24時間、約20時間、約16時間、約12時間、約8時間、約4時間、約3時間、約2時間、または約1時間未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約60分、約50分、約40分、約30分、約20分、約10分、約5分、約4分、約3分、約2分、または約1分未満の期間にわたって保存される。
いくつかの実施形態では、凍結保存するステップは、これをデバイスにおいて行うことを含む。胚は、本明細書において開示されている方法に従って、デバイス内で凍結保存することができる。いくつかの実施形態では、凍結保存するステップは、複数の胚を、各々その独自のデバイスにおいて、デバイスのセットが産生されるように、凍結保存することを含む。いくつかの実施形態では、複数のデバイスは第1の期間にわたって維持される。いくつかの実施形態では、第1の期間後、少なくとも1つの胚がレシピエントのウシに移植され、任意で残った胚が第2の期間にわたって維持される。いくつかの実施形態では、その期間は最大40年とすることができる。いくつかの実施形態では、胚は、レシピエントのウシに移植される前に、数分間、数日間、または数年日間にわたって保存することができる。いくつかの実施形態では、胚を保存することができる第2の期間は、数分間、数時間、数日間、数週間、数か月間、数年間、またはそれ以上(例えば、その数倍)とすることができる。いくつかの実施形態では、胚は、約40年、約35年、約30年、約25年、約20年、約15年、約10年、約9年、約8年、約7年、約6年、約5年、約4年、約3年、約2年、または約1年未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、約1か月未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約6週間、約5週間、約4週間、約3週間、約2週間、約1週間未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、または約1日未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約24時間、約20時間、約16時間、約12時間、約8時間、約4時間、約3時間、約2時間、または約1時間未満の期間にわたって保存される。いくつかの実施形態では、胚は、約60分、約50分、約40分、約30分、約20分、約10分、約5分、約4分、約3分、約2分、または約1分未満の期間にわたって保存される。
いくつかの実施形態では、デバイスは、1つ以上の凍結保存胚を含有するための容器を含む。いくつかの実施形態では、容器は、気泡により隣接される溶液中の胚を含有するための領域またはチャンバを含む。いくつかの実施形態では、容器は、胚を他の胚から分離するための領域またはチャンバを含む。いくつかの実施形態では、容器はストローを含む。
例証
この研究の目的は、新鮮、ガラス化、または直接移植のために凍結されたIVPウシ胚ET後に得られる妊娠率を比較することであった。ジロランド雌OPUにより回収された卵母細胞(n=3171)を選択し、24時間、38.5℃、空気中5%CO、および飽和湿度でIVMを行った。解凍された性分別精液でIVFを行い、5頭のホルスタイン牛で実施した。IVF後、予定接合子を、7日間、IVMおよびIVFの温度および湿度の同じ条件下だが、5%COおよび5%Oで、剥離および培養した。BLまたはBXの段階にあるグレードIの胚を、新鮮、ガラス化、または直接移植(DT)のために凍結移植した。胚は予め同期化されたレシピエントに移植した。得られた受胎率は、新鮮胚において51.35%(133/259)、ガラス化胚において34.62%(84/234)、直接移植胚において42.11%(96/228)であった。p<0.05の確率レベルを有意とみなした。ガラス化および直接移植IVP胚から得られた割合は、IVP胚の凍結保存が、新鮮IVP胚の移植後に得られたものと同様の結果をもたらすことを示す。直接移植の利便性を有するIVP胚の凍結保存の可能性の有用な態様が強調される。
実施例1:材料および方法
特に記載がある場合を除き、すべての試薬をSigma(ミズーリ州セントルイス、米国)から購入した。実施例1〜3において記載されている卵胞吸引手順、インビトロ成熟、およびインビトロ受精を、実施例4および5に使用した。
実施例2:卵母細胞の回収およびインビトロ成熟
ギル−ホルスタイン1/2交雑種からの36の雌ドナーにおいて超音波誘導による112の卵子吸引(OPU)の完了によって研究を行った。吸引セッション後、卵母細胞(n=3171)を、10%ウシ胎児血清(FBS)(GIBCO BRL、ニューヨーク州グランドアイランド)、0.20mMのピルビン酸ナトリウム、および83.4mg/mLのアミカシン(BIOCHIMICO Institute、リオデジャネイロ、ブラジル)が補充されたヘペスで緩衝されたTCM−199培地(GIBCO BRL、ニューヨーク州グランドアイランド)で洗浄した。卵母細胞を予め選択し、農場の移動式実験室装置において分類した。卵母細胞の選択後、それらを実験室の、350μLの鉱物油で覆われた、10%FBS、1mg/mLのFSH(Folltropin(商標)、Bioniche Animal Health、オンタリオ州ベルビル、カナダ)、50mg/mLのhCG(Profasi(商標)、Serono、ブラジル、サンパウロ)およびエラストラジオール(1mg/mL)、ピルビン酸ナトリウム0.20mm、ならびに83.4mg/mLのアミカシンが補充された400μLのTCM−199培地を含有するBD Falconチューブ5mLポリスチレン上に移した。回収された卵母細胞を、モギミリム/サンパウロに位置する実験室に移し、成熟培地を含む同じ輸送チューブに、OPU時から数えて24時間にわたって保持した。
実施例3:精液の調製およびインビトロ受精(IVF)
ホルスタイン牛(n=5)雌分別精液でIVFを行った。精液を解凍(35℃で30秒)し、0.2mMのピルピン酸塩および83.4g/mLのアミカシンが補充され、10mMのヘペスで緩衝された、1mLのTALPにおいて、遠心分離(6000rpmで5分)により2回洗浄した。精液の濃度を2×10個の運動精子(sptz)/mLに調節した。授精用量は10マイクロリットル(10sptz)であり、鉱物油下、50μLのTALP−FIV(10g/mLのヘパリン、18Mのペニシラミン、10Mおよび8Mのヒポタウリン、エピネフリンが補充されたTALP)の各滴に添加した。その後、各滴に25〜30個の卵母細胞を添加した。20〜24時間、38.5℃、5%CO、および空気中最高湿度のインキュベータでインキュベーションを行った。
実施例4:実験I−ウシ胎児血清(FBS)の存在または非存在下での培養後に移植された新鮮IVP胚
インビトロ培養(IVC)胚
ジロランド牛ドナー(n=25)から、超音波誘導による卵胞吸引により、卵母細胞(n=665)を回収した。卵母細胞を群に偶然的に振り分けて、これらに同じホルスタイン牛からの性分別精液でのインビトロ受精を行った。
FBSありの群−予定接合子(n=303)を、鉱物油下、2.5%FBS+0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)が補充されたSOF(合成卵管流体)(Wells et al.、1999)の100μL液滴において培養した。IVCの3日目(D3)および5日目(D5)に、液滴の体積の50%の新しい培地での置換(「フィーディング」)を行った。同じ培地を「フィーディング」する培地を、初期胚発生において使用した。
FBSなしの群−予定接合子(n=362)を、鉱物油下、FBSを使用せずに改変され、0.5%ウシ胎児血清(BSA)+10μMのEDTAのみが補充されたSOFの100μL液滴において培養した。IVCの3日目(D3)および5日目(D5)に、液滴の体積の50%の新しい培地での置換(「フィーディング」)を行った。同じ培地を「フィーディング」する培地を、初期胚発生において使用した。
培養の7日後、FBSあり(n=82)またはなし(n=88)群の胚を、予め同期化されたレシピエントのウシに新鮮移植した。授乳期の最初の3分の1にある雌をレシピエントとして使用した。レシピエントの同期化には、下記のプロトコルを使用した。
−0日目(D0)−2mgの安息香酸エストラジオール(Sincrodiol(登録商標))+膣内インプラント埋植(CIDR(登録商標))
−7日目(D7)−5mLプロスタグランジンF2a’(Lutalyse(登録商標))
−9日目(D9)−インプラント除去および1mgのシピオン酸エストラジオール(ECP(登録商標))の適用
−18日目(D18)−胚移植
実験1では、FBSが補充された、またはされていない、2つの異なる培地で培養された胚において、受胎率を比較した。表1からわかるように、2つの群の間に差はなかった。この例は、FBS補充培地で成長させた新鮮胚が、FBSで成長させていない胚と同様の生存率および受胎率を有することを明示する。
実施例5:新鮮、ガラス化、または直接移植のために凍結移植したIVP胚の受胎率の比較
胚のインビトロ培養(IVC)
実施例2および3に記載されている手順に従って、予定接合子をインキュベータ(38.5℃、5%CO、および空気中最高湿度)において、顆粒膜細胞と共培養した(各滴25個の卵母細胞の偶然的な群)。新鮮またはガラス化移植のための胚を、鉱物油下、2.5%FBS+0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)が補充されたSOF(Wells et al.、1999)の100μL液滴において培養した。IVCの3日目(D3)および5日目(D5)に、液滴の体積の50%の新しい培地での置換(「フィーディング」)を行った。「フィーディング」する培地は、初期胚発生において使用したものと同じであった。培養の3日目(D3)に卵割率を評価した。
直接移植凍結のための胚を、鉱物油下、FBSなしで改変され、0.5%ウシ胎児血清(BSA)+EDTA10μMのみが補充されたSOFの100μL液滴において培養した。IVCの3日目(D3)および5日目(D5)に、液滴の体積の50%の新しい培地での置換(「フィーディング」)を行った。「フィーディング」する培地は、初期胚発生において使用したものと同じであった。培養の3日目(D3)に卵割率を評価した。
培養期間の終わり(D7)に、グレード1に分類される拡張胚盤胞を、予め同期化されたレシピエントに、装填および新鮮移植した。すべての産生胚に対するレシピエントが入手可能ではない場合、余剰胚を、SANCHES et al.(2013)により記載されているプロトコルに従ってガラス化、またはその後の直接移植のために凍結した。
胚ガラス化
この研究では、SANCHES et al.、2013により以前記載されているプロトコルに従ったガラス化法のために、胚を凍結保存した。
簡潔に、胚(Bx、n=234)を、平衡化溶液(SE=10%EG)+10%ジメチルスルホキシド(DMSO)において1分、次にガラス化溶液(VS=20%EG+20%DMSO)において20秒曝露した。ガラス化溶液への曝露の20秒中、胚をCryotop(登録商標)(北里、静岡、日本)に、Cryotop毎に3〜5個収容し、直ちに液体窒素に入れた。胚ガラス化は、KUWAYAMA et al.(2005)により記載されている、Cryotopという技術に基づいていた。この方法は、胚を、取り扱いやすくするために使用されるプラスチックロッドに付着した非常に薄いプラスチック膜に配置する、最小体積の概念を用いる。使用されるガラス化溶液は、4ウェルプレートにおいて調製した(NUNC S/A、ロスキルド、デンマーク)。TCM−HEPES培地(TCM−199+25mMヘペス+10%FBS)を、EGおよびDMSOを含有する溶液の調製の基本とし、これらを使用時にのみ添加した。両群において、平衡溶液(ES)を20%FBSで補充し、ガラス化溶液(VS)を0.5Mスクロースに添加した。まず、胚を維持培地(TCM−HEPES)に入れ、それらを取り出し(3〜5個ずつ)、ESを含有するウェル1に移した。この溶液中に、胚を1分間滞留させた後、VSを含有するウェル2にすぐに移し、20秒間にわたって曝露した。こうして、胚を直ちにピペットで取り、Cryotop先端にあるプラスチック膜上に収容し、試料を液体窒素中に浸漬させた。
ガラス化胚の解凍
ガラス化胚の解凍のために、胚を含有するCryotopを空気に4秒間にわたって曝露した後、35℃の近似温度を有する加温溶液(TCM−ヘペス+スクロース0.3モル)中に浸漬させた。ガラス化溶液の除去は、維持培地TCM−ヘペスに移す前に、それぞれ0.3および0.15Mスクロースの勾配において2回の曝露(各5分)で行った(Vieira et al.、2002、Mezzalira et al.、2004)。
胚の緩慢凍結
全体として、インビボで得られた胚について以前記載されている緩慢凍結法(Voelkel and Hu、1992)により、胚(n=228)を凍結保存した。胚盤胞および拡張胚盤胞を、1.5Mのエチレングリコールからなる凍結溶液(SC−solucao de congelacao)に10分間にわたって曝露した。この期間中、SCおよび胚を含有する皿を35℃に加熱したプレート上に残した。胚を0.25mlストロー中に装填し、胚を、空気カラムを挿入して互いを離した4つの解凍溶液(SD−solucao de descongelacao)カラムに囲まれた、エチレングリコールの1.5M溶液からなる、中央カラム上に配置した(図1)。解凍溶液(SD)は0.75MのEGからなり、EG1.5MはDPBS(Nutricell、カンピーナス、ブラジル)に1:1の比で希釈した。装填後、胚を、−6℃で予め安定させた凍結装置(TK1000(登録商標)、ウベラバ、ブラジル)に入れた。装置に入れた2分後、胚カラムのすぐ上および下にあるカラムの結晶化(「シーディング」)を行った。胚を10分間−6℃で維持した。
凍結曲線は、開始後、−32℃のレベルに到達するまで0.5℃/分で温度を低下させる。凍結曲折の終わりに、胚を液体窒素中に直接浸漬させ、レシピエントに移植されるまでそこで保存する。概要については図2Aも参照されたい。
解凍および直接移植
直接移植のための凍結保存胚の移植時、胚を液体窒素容器から取り出し、室温の空気に10秒間にわたって曝露した後、35℃の温水中に30秒間にわたって浸漬させた。ストローをペーパータオルで乾燥させ、内部の5つのカラムが混合されるまで穏やかに撹拌した。その目的は、4つの解凍溶液カラムを、ストロー内で既に開始された再水和まで、凍結溶液カラムと混合することであった。カラムの混合後、胚をレシピエントの子宮角に移植した。概要については図2Bも参照されたい。
新鮮胚、ガラス化、または直接移植のためにレシピエントとして用いられる雌は、授乳期の最初の3分の1にあった。同期化プロトコルは実施例4において使用したものと同じであった。
統計分析
30および60日での受胎率を、同期化プロトコル変数、レシピエントの年齢、動物カテゴリー(授乳期または非授乳期)、およびIVFに使用される雄ウシを固定効果として考慮しながら、IBM SPSS Statisticsバージョン22(IBM Inc.、ニューヨーク州アーモンク)の二項ロジスティック回帰により分析した。確率レベルp<0.05を有意とみなした。
結果
実施例5では、新鮮、ガラス化、または直接移植のための凍結移植胚の、30および60日での受胎率を比較した(表2)。この例では、凍結保存胚での両群と比較して、新鮮移植胚の受胎率51.35%(133/259)との間に差があった。しかしながら、直接移植胚42.11%(96/228)と比較して、ガラス化胚34.62%(84/234)についての受胎率には差はなかった(p<0.05)。
考察
新鮮、ガラス化、または直接移植のための凍結移植IVP胚の受胎率の比較について詳述する。これは、特にインディカス−タウラス牛における移植胚の一貫性のある数ついての、初めての研究である。
Perry(2014)により提示された2013年のデータは、全世界で移植されたIVP胚のわずか8.9%が凍結保存されたことを示した。いかなる特定の理論にも縛られることを望まず、我々は、この低い割合は、新鮮胚と比較して、これらの凍結保存胚のより高い感受性および/またはより低い生存性(例えば、胚再生および/または移植技術に曝露される場合)によるものであり得、この低い割合は、ほとんどの商業用実験室にとって、この技術の使用における制限態様である(George、2008)と提言する。しかしながら、IVP胚の産生数の増大を考慮すれば、インビトロ胚の凍結保存のための適切な戦略を見出すことは極めて重要となっている。
世界では、インビトロ産生胚の90%超が廃棄され(Perry、2014)、これは、遺伝物質、消耗品、材料、および技量を考慮する場合、より膨大な損失を表している。さらに、胚のレシピエントへの投与の補給業務は、新鮮胚のみを扱うという要件がある場合、より重要となっている。すべてのこれらの不利点について、余剰胚の廃棄は、技術のコストを増加させ、利益および競争力を減少させる。PONTES(2013)によると、In Vitro Brazil Companyは、十分に構築された凍結保存プロトコルがなかったために、2002年〜2008年までの間に約25,000のIVP胚を処分した。
凍結保存および/または凍結保存胚の使用に関連する課題に加えて、ウシ属動物の異なる種型に適合させた技術にはかなりの違いがあるように思われる。タウラスおよびインディカスの動物間には様々な生殖上の違いがあることは知られている。例えば、1つの違いは、細胞小器官の特徴である。インビボ胚を研究するVISINTIN et al.(2002)は、ボス・インディカスおよびボス・タウラスの胚間の特定の特徴、特に細胞質内脂質の量について説明した。ブラジルにおける気候および地理的条件を考慮し、ジロランドのドナーからなるタウラス−インディカス乳牛群からの胚を使用して、この研究の目的を達成した。この交雑種は、放牧およびより低コストでの乳生産へのその良好な適応性によって、ブラジルにおける乳生産の80%を担っている(Girolando、2015)。
ジロランド雌の胚産生における関心は、近年いくつかの刊行物をもたらしている。PONTES et al.(2010)は、ホルスタイン、ジル、およびジルのドナーで行われた卵胞吸引において胚産生を比較した。この研究において、我々は、ギル牛においてホルスタインより高い胚産生/吸引(それぞれ、3.2対2.2)を観察した。しかしながら、胚の産生は、ジロランドにおいて、他の2つの種と比較した場合、平均で2倍も高かった(5.5胚盤胞)。本開示は、例えば、実現可能性実験および妊娠の達成における豊富な試料に照らして、IVPタウラス−インディカス胚におけるこうした優れた性能が、改良された胚の凍結保存技術の開発を可能にすることを認識している。
IVP胚は、インビボ胚と比較した場合、凍結耐性が低く(Abe et al.、2002)、この感受性増強の原因は、主にIVP胚の細胞質において見られる細胞内脂質の蓄積の大きさに起因していた(Abe et al、2002、Rizos et al、2002、Sudano et al、2011)。この文脈において、培養に使用される培地へのサプリメントとしてのウシ胎児血清(FBS)が、凍結後の胚生存率の低さの原因として特定された(Diez et al.、2001、Abe et al、2002、Lonergan et al 2003)。しかしながら、最も高濃度の細胞質内脂質液滴が凍結保存に対する唯一の有害因子とは考えられず、1つの問題は多因子的であり、凍結保存するための胚品質の達成における、IVPのすべての段階での厳しい品質管理を含む(Sudano et al.、2013)。
実施例4では、同じ群のドナーにおいて卵胞吸引を行い、FBSの非存在または存在下で胚を培養した。その目的は、新鮮移植胚における両群(FBSあり、またはなし)の妊娠率を比較することであった。FCS(ウシ胎仔血清)で培養された胚と比較して、BSAで培養されたIVP胚において、胎児および胚盤のより大きな伸長がより明らかであったという報告(George et al.、2008)がいくつかある。
例えば、ほとんどの他の研究は胚の再拡張率および孵化率のみを評価し、産生胚の移植には至っていないので、これらの研究間の直接比較は貴重であった。また、これらの研究の各々において、培地の組成および培養条件の間には多くの違いがある。
実施例4において記載されている研究では、群間で妊娠における差は観察されず(P<0.05)、これにより我々は、インビトロ培養のためのFBSの分注が、FBSを使用しない場合と一貫した、多数の妊娠をもたらしたと結論付けた。
本開示は、FBSおよび培養条件の考慮とは別に、もう1つの考慮すべき重要な態様として凍結保護剤があることを理解している。凍結保存プロトコルは、細胞内氷晶の形成を防止し、凍結中の細胞に対する毒性および浸透ストレスの最小化を試みるべきである(Campos−Chillon et al.、2006)。こうして、グリセロールおよびエチレングリコール(EG)のような凍結保護剤の多くは、胚に対して毒性である(Dochi et al.、1988)。凍結前および解凍後に、胚がこれらの凍結保護剤に曝露される時間を減少させることは、毒性効果を低減し、よってより高い解凍後胚生存率を達成することができる(Sommerfield and Niemann、1999)。
1990年代初期に、Voelkel and Hu(1992)は、凍結保護剤としてのエチレングリコールの使用が、新鮮胚で達成されるものよりわずかに低い受胎率で、凍結−解凍胚の直接移植の代替となり得ることを説明した(Voelkel Hu、1992、Leibo and Mapletoft、1998)。直接移植法は、解凍後の胚細胞における再水和ステップを可能にし、簡易化することができ、これによってより利用しやすく、当該技術分野において実施される簡単な技術となっている。それ以来、直接移植は、過排卵処置を受けたドナーから回収されたインビボ産生胚の凍結について、広く受け入れられている。
しかしながら、IVP胚について、IVP胚凍結に最も幅広く使用されている方法は、主に凍結のスピードおよび低コストによって、ガラス化である(Morato and Mogas、2014)。これにより胚移植は、同期化されたレシピエントの入手可能性に依存しない、さらにより効率的な技術となった。凍結法、ガラス化、または直接移植のいずれも、受胎率は、新鮮胚で得られるものより低い(Leibo and Mapletoft、1998)。ガラス化の不利点は、資格を持ったエンブリオロジストが胚の再加熱を行う必要があることであり、これは実験室に必要な最小構造を越えており、この技術の当該技術分野における大規模な適用をさらに複雑化している(Morato and Mogas、2014)。
本研究において、我々は、胚の凍結保護剤として1.5Mのエチレングリコールを用いる、胚の緩慢凍結(直接移植)のプロトコルを使用した。しかしながら、我々のグループによって実施された以前の実験では、我々は、胚が中央カラムにおいて1.5Mのエチレングリコール中で凍結され、サイドカラムがDPBSのみからなっていた場合、胚は解凍後より低い孵化率を有したことを見出した。いかなる特定の理論にも縛られることを望まず、我々は、我々の観察の1つの説明が、胚が、解凍後DPBSと直接接触した場合、非常に迅速に再水和されたことであったと提言する。
我々は、胚の両サイドにある4つのカラム中に配置された、0.75Mのメチレングリコールからなる解凍溶液の使用について考察することにした。この方法では、胚細胞への水の流入がよりゆっくりと起こり、完全性を維持することができた。インビボ胚凍結には、0.37Mのエチレングリコールからなる、「保持培地」と称される溶液からなる、胚の側方にあるカラムを使用する同様の戦略が提示された(Voekel and Hu,1992)。その研究では、実験群の妊娠率は対照群と同じであった(50%)。約40%と比較的低い妊娠率にかかわらず、インビボ胚がそれらの発生のためのストレスサポートを低下させ、より高い妊娠率をもたらすことを考察することは重要である。インビトロで産生されたインディカス−タウラス胚をパッケージする戦略は、したがって、成功とみなすことができる。
こうした研究において観察された別の重要な点は、胚盤胞および拡張胚盤胞に分類される胚と比較して、それらが小さな桑実胚段階の凍結保存IVP胚である場合の最も低い胚生存率である。緩慢法による凍結保存後の胚生存率の指標として、桑実胚および胚盤胞の孵化率を評価した著者によって同様の結果が見出された(Pollard and Leibo、1993)が、胚凍結保存にとってより良い段階については意見の一致をみない(Saragusty and Arav,2011)。
IVP新鮮移植胚の30日での受胎率(51.4%)は、ガラス化(34.6%)および直接移植(40.19%)により凍結保存されたIVP胚で得られたものより高かった(P>0.05)。これらの結果は、LIM et al.(2008)により、FBSの非存在下で培養され、緩慢凍結により凍結保存されたIVP胚の移植で得られたもの(22.9%)より高く、またオープン・プルド・ストロー技術(Vajta et al.、1998)でのガラス化により凍結保存されたIVP胚より高かった。
いかなる特定の理論にも縛られることを望まず、我々は、FBSなしでの培養と、胚をストローデバイス内に位置付けるための装填戦略との組み合わせが、我々のプロトコルが成功した理由であり得ると提言する。移植後60日での受胎率も評価し、結果と比較した場合、新鮮移植胚(43.2%)においてより高く(P>0.05)、受精後7日目に移植されたIVPタウラス胚の42%の受胎率設計を得たHasler et al.(1995)により発表されたものと同様であった。
本明細書における発見は、本明細書において実施されているガラス化と比較した、特定の直接移植(例えば、緩慢凍結)法の優位性を明示する。本発明のいくつかの実施形態では、胚バンクを作製する(例えば、直接移植/緩慢凍結技術を使用して)ことが望ましく、例えば、第1の場所(例えば、産生場所)で維持され得る。いくつかの実施形態では、こうして維持された胚の移植は、ガラス化技術の使用よりより実用的であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書において記載されている技術は性選別精液を使用し、IVPは一般的には、酪農において特に有用な、性選別精液の最も効率的な使用を可能にする方法であると考えられている。
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書において記載されている特定の研究(例えば、30および60日での妊娠を比較する場合)において観察される初期胚喪失率を低減するために、1つ以上の変形または改良が行われ得る。
とりわけ、本開示は、IVP胚の凍結保存を通した妊娠の達成において、成果および進歩を提供する。我々は、タウラス−インディカスのインビトロ産生胚が、ガラス化法または緩慢凍結/直接移植による凍結保存後に約40%の妊娠率をもたらすことができると結論付ける。当業者であれば、本開示を読み、その教示の異なる文脈(例えば、異なる品種、異なる種、異なる亜種、異なる交雑種、および/または異なるハイブリッド、等)への適用が、各例において、現行技術で典型的に観察されるもの(例えば、約9%)より著しく高い、少なくとも約10%、約11%、約12%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%の妊娠率を達成することが合理的に予想されると理解するだろう。
特に注目に値する点は、本明細書において記載されている技術が、効果的な緩慢凍結/直接移植戦略を特に改良および/または可能にすることにより(例えば、少なくとも30%の妊娠率の達成を可能にすることにより)、胚のインビトロ産生が家畜により広く使用されるバイオ技術となる重要な一歩を表していることである。
同等物
当業者であれば、本明細書において記載されている本発明の特定の実施形態の多くの同等物を、認識する、またはごく日常的な実験を用いて確認することができるだろう。本発明の範囲は、上記の説明に限定されることを意図しておらず、むしろ下記の特許請求の範囲に記載のとおりである。

Claims (42)

  1. インビトロ産生(IVP)有蹄動物胚を得るステップと、
    前記胚を凍結保存するステップと、
    レシピエント有蹄動物における着床のために胚を移植するステップと、を含む、方法であって、前記凍結保存および前記移植が、少なくとも約10%の妊娠率が達成されるように行われる、方法。
  2. インビトロ産生胚を得る前記ステップが、
    雌から卵母細胞を回収するステップと、
    卵母細胞をインビトロで成熟させるステップと、
    接合子が産生されるように成熟卵母細胞を精液で受精させるステップと、
    前記接合子を剥離および培養するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記精液が性選別されている、請求項2に記載の方法。
  4. 前記精液が性選別されていない、請求項2に記載の方法。
  5. 卵母細胞をインビトロで成熟させる前記ステップが、
    卵母細胞を、温度、気体の存在または量、湿度、pH、オスモル濃度、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの条件について、生理学的に適切な範囲内でインキュベートすることを含む、請求項2に記載の方法。
  6. 気体の前記存在または前記量がOおよびCOからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 卵母細胞をインビトロで成熟させる前記ステップが、卵母細胞を35〜40℃、3〜9%CO、および飽和湿度でインキュベートすることを含む、請求項2に記載の方法。
  8. 接合子を剥離および培養する前記ステップが、前記接合子を35〜40℃、空気中5%CO、および飽和湿度でインキュベートすることを含む、請求項2に記載の方法。
  9. 接合子を剥離および培養する前記ステップが、前記接合子を5%Oでインキュベートすることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. 胚を凍結保存する前記ステップが、
    胚を、凍結保護剤を含む溶液中でインキュベートするステップと、
    前記胚を液体窒素中に浸漬させるステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記胚を凍結保存する前記ステップが、
    胚を、1.0〜4Mのエチレングリコールからなる凍結溶液中で、5〜30分間にわたって、約10℃〜約38℃の範囲内の第1の温度でインキュベートするステップと、
    前記胚を容器に装填するステップであって、気泡が、胚を、等張希釈剤培地中のエチレングリコールを含む解凍溶液から分離する、装填するステップと、
    前記胚を、約−2〜約−10℃の範囲内の温度に、約1分間〜約60分間の範囲内の期間にわたって曝露するステップと、
    前記温度を、約−30〜約−36℃の範囲内の第2の温度に到達するまで、毎分約−0.2〜約−0.8℃の範囲内の速度で低下させるステップと、
    前記胚を保存のために液体窒素中に浸漬させるステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記エチレングリコールが、約0.2〜約1.3モルの範囲内の最終濃度で存在する、請求項11に記載の方法。
  13. 胚がレシピエント雌への直接移植のために凍結保存される、請求項10に記載の方法。
  14. 胚を移植することが、
    胚を、鉱物油下、ウシ血清アルブミン(BSA)が補充された培地中で、約5〜約9日間の範囲内の期間にわたって培養するステップと、
    前記胚をレシピエント有蹄動物に移植するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記培地が、C4培地、SOF培地、SOFaa培地、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記胚が、桑実胚、初期胚盤胞、胚盤胞、および拡張胚盤胞からなる群から選択される発生段階にある、請求項14に記載の方法。
  17. 前記レシピエント有蹄動物が同期化される、請求項1に記載の方法。
  18. 前記レシピエント有蹄動物が自然発情期にある、請求項1に記載の方法。
  19. 前記胚が新鮮なもの、ガラス化されたもの、または凍結されたものである、請求項1に記載の方法。
  20. 前記有蹄動物がウシである、請求項1に記載の方法。
  21. 前記胚が、ボス・タウラス(Bos Taurus)、ボス・インディカス(Bos indicus)、および交雑種ボス・インディカス−タウラス(Bos indicus−taurus)を含むウシの種から選択される、請求項20に記載の方法。
  22. 凍結保存胚であって、
    インビトロ産生(IVP)有蹄動物胚を得るステップと、
    前記胚を、前記凍結保存胚がレシピエント有蹄動物に移植される場合、少なくとも約10%の妊娠率が達成されるような条件下で凍結保存するステップと、を含む、方法により産生される、凍結保存胚。
  23. インビトロ産生胚を得ることが、
    雌から卵母細胞を回収するステップと、
    卵母細胞をインビトロで成熟させるステップと、
    成熟卵母細胞を精液で受精させるステップと、
    接合子を剥離および培養するステップと、を含む、請求項22に記載の胚。
  24. 卵母細胞をインビトロで成熟させることが、卵母細胞を、温度、気体の存在または量、湿度、pH、オスモル濃度、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの条件について、生理学的に適切な範囲内でインキュベートすることを含む、請求項23に記載の胚。
  25. 胚を移植することが、
    胚を、鉱物油下、ウシ血清アルブミン(BSA)が補充された培地中で、約5〜約9日間の範囲内の期間にわたって培養するステップと、
    前記胚をレシピエント有蹄動物に移植するステップと、を含む、請求項22に記載の胚。
  26. 前記培地が、C4培地、SOF培地、SOFaa培地、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の胚。
  27. 前記胚が、桑実胚、初期胚盤胞、胚盤胞、および拡張胚盤胞からなる群から選択される発生段階にある、請求項25に記載の胚。
  28. 容器を含むデバイスであって、
    容器と、
    前記容器の第1の領域内に位置付けられた凍結保存溶液中の凍結保存胚と、を備えるデバイスであって、
    前記第1の領域の横に、各々空気を含有する、第2および第3の領域が配置されており、
    前記第2および第3の領域の横に、各々解凍溶液を含有する、第4および第5の領域が配置されており、
    前記第4および第5の領域の横に、各々空気を含有する、第6および第7の領域が配置されており、
    前記第6および第7の領域の横に、各々解凍溶液を含有する、第8および第9の領域が配置されている、デバイス。
  29. 前記領域のうちの1つ以上がチャンバであり、前記チャンバが、前記チャンバと少なくとも1つの隣接する他の領域との間に障壁を提供する物理的区画実体により画定される、請求項28に記載のデバイス。
  30. 複数の請求項28に記載のデバイス。
  31. 複数の有蹄動物胚を凍結保存するステップと、
    前記複数の胚をレシピエント有蹄動物に移植するステップと、を含む方法であって、前記凍結保存および前記移植が、少なくとも30%の受胎率が達成されるように行われる、方法。
  32. 前記凍結保存ステップが、容器の第1の領域内に凍結保存溶液中の各胚を位置付け、
    前記第1の領域の横に、各々空気を含有する、第2および第3の領域が配置されており、
    前記第2および第3の領域の横に、各々解凍溶液を含有する、第4および第5の領域が配置されており、
    前記第4および第5の領域の横に、 各々空気を含有する、第6および第7の領域が配置されており、
    前記第6および第7の領域の横に、 各々解凍溶液を含有する、第8および第9の領域が配置されている、請求項31に記載の方法。
  33. 胚を凍結する方法であって、
    有蹄動物胚を、1.0〜4Mのエチレングリコールからなる凍結溶液(SC)に、10分間にわたって35℃で曝露することと、
    解凍溶液(SD)の4つのカラムに取り囲まれた凍結溶液中の各胚がそれらの間に空気のカラムによって交互配置されるように、凍結溶液(SC)中の前記胚を、ストローのように外形形成された容器内に位置付けることであって、前記解凍溶液が0.75Mのエチレングリコールを含む、位置付けることと、
    前記容器を、約0℃〜約−10℃の範囲内の温度で安定した温度条件に曝露することと、
    前記胚の上および下の前記カラムを、前記凍結装置内に設置された2分後に結晶化することと、
    前記胚を、1〜60分間にわたって、約0℃〜約−10℃の範囲内の温度で維持することと、
    前記温度を、約−30〜約−36℃の範囲内の第2の温度に到達するまで、毎分約−0.2〜約−0.8℃の範囲内の速度で低下させることと、
    前記凍結胚を液体窒素中に浸漬させることと、を含む、方法。
  34. 胚を解凍する方法であって、
    容器の第1の領域内に位置付けられた凍結保存溶液中の凍結保存胚を収容する前記容器を、室温空気に、前記凍結胚の解凍を開始するのに十分な第1の期間にわたって曝露することであって、
    前記第1の領域の横に、各々空気を含有する、第2および第3の領域が配置されており、
    前記第2および第3の領域の横に、各々解凍溶液を含有する、第4および第5の領域が配置されており、
    前記第4および第5の領域の横に、各々空気を含有する、第6および第7の領域が配置されており、
    前記第6および第7の領域の横に、各々解凍溶液を含有する、第8および第9の領域が配置されている、曝露することと、
    前記容器を、約10℃〜約38℃の範囲内の解凍温度を特徴とする解凍環境に、前記凍結溶液を解凍するのに十分な第2の期間にわたって曝露することと、
    前記容器内で前記解凍溶液、前記凍結溶液、および前記胚を混合することと、を含む、方法。
  35. 前記第1の期間が約10℃〜約38℃の範囲内である、請求項34に記載の方法。
  36. 前記第2の期間が約20℃〜約38℃の範囲内である、請求項34または請求項35に記載の方法。
  37. 前記解凍環境が液体浴であるか、またはそれを含む、請求項34に記載の方法。
  38. 前記解凍温度が約10℃〜約38℃の範囲内である、請求項34に記載の方法。
  39. 前記混合ステップが、前記容器の穏やかな撹拌により達成される、請求項34に記載の方法。
  40. 前記胚をレシピエント有蹄動物に移植するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
  41. 前記移植が、前記曝露ステップもしくは前記混合ステップと同時に、またはその後に行われる、請求項40に記載の方法。
  42. 前記移植ステップが、前記レシピエント有蹄動物の子宮角を移植することを含む、請求項40に記載の方法。
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