JP2018524069A - 通気性バックシート、吸収性物品、および方法 - Google Patents

Abstract

本開示は、疎水性サイジングを有するセルロース繊維バリア層であって、該疎水性サイジングによって疎水性を呈する、セルロース繊維バリア層を含む。例えば、本発明のセルロース繊維バリア層は、高い空気透過性（例えば、0.5ft3/分-ft2）を維持しつつ高い静水頭（例えば、200mm H2Oを超える）を有するように構成され得る。本開示はまた、本発明のセルロース繊維バリア層のうちの1つと、該バリア層の下方に位置し該バリア層に結合（例えば、接着）している不織布支持層とを含む積層体（例えば、通気性バックシートアセンブリ）であって、所望の液体バリア性能（例えば、400mm H2Oで10分間ピンホールがない性能など）を呈するよう構成されているような前記積層体を含む。本開示はまた、本発明のセルロース繊維層および積層体のうちの少なくとも1つを含む（例えば、使い捨て吸収性衣料用のバックシートとして本発明の積層体のうちの1つを含む）使い捨て吸収性衣料を含む。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2015年6月8日に出願の米国仮特許出願第62/172,572号の優先権を主張し、該出願はその全体において参照により組み入れられる。

発明の分野
本発明は、概して、空気透過性および液体不透過性であるセルロース繊維バリア材料；ならびに、より具体的には、限定するものではないが、乳児用オムツ、成人用失禁ブリーフ、パンツ型下着および尿取りパッド、ベッドパッド、女性用衛生用品、ならびに手術用ガウン、ドレープ、およびマスクなどの使い捨ての吸収性製品における使用のために確実な液体バリア性能および高い空気透過性の両方を呈する積層体に関する。

背景
使い捨ての吸収性製品は、そのような製品が着用者にとって適度なレベルの心地よさを維持しつつ効果的かつ簡便な液体の吸収および保持を提供することができるという様式に鑑み、乳児および成人用失禁ケアを含む様々な用途向けに市場で広く受け入れられている。しかしながら、意図した用途に十分な液体バリア性能を維持しつつ従来の衣類の織布のようなレベルの空気透過性を提供し得るバックシート材料のニーズが存在する。空気透過性バックシートを備えた吸収性製品は、身体の閉塞部分の加熱および発汗を低減するための皮膚の自然な蒸散作用を維持しやすくすることにより、着用者の快適性を高め得る。衛生産業で現在用いられているいわゆる「通気性」バックシートフィルムは、水分子のゆっくりとした拡散を可能にするが、空気透過性はごく僅かである。

不織布が十分に小さな孔を含む場合には、前進水接触角が90°未満の繊維で、特定の最終用途に適した布および不織布の液体バリア性能を達成し得る。例えば、スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(SMS)ポリプロピレン不織布のメルトブロー成分が乳児用オムツにおけるレッグギャザーの液体バリア性能を向上させるのに必要な細孔を提供する。前記孔はある程度の液体バリア性能を提供するのに十分に小さいが、高レベルの空気透過性を維持するにはなお十分に大きい。不織布の液体バリア性能をさらに向上させるためおよび性能に必要な不織布の坪量を低減するための最近の試みは、さらに小さな孔径分布をもたらし得るより細かい繊維を備えた不織布を作製することに注目してきた。例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,885,909号（特許文献1）は、高い空気透過性と共に高い静水頭を達成するための不織布構造用のサブデニール繊維の使用を教示している。参照により本明細書に組み入れられる、別の例である米国特許第7,195,621号（特許文献2）は、通気性を高めるために使い捨ての衣料のためにメルトブロー不織布バックシートを用いている。

参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2005/0245159号（特許文献3）は、エアレイド疎水性セルロース繊維および熱接着ポリオレフィン繊維の圧縮マットを含む通気性バリア複合材を開示している。しかしながら、このタイプの繊維複合材では十分に小さな孔の均一な分布をもたらすことはできない。

米国特許第5,885,909号 米国特許第7,195,621号 米国特許出願公開第2005/0245159号

概要
本開示は、セルロース繊維に疎水性を付与する疎水性サイジングを伴うセルロース繊維層（例えば、紙またはティッシュペーパー）を含み、ここでセルロース繊維層は、疎水性サイジングがない場合はむしろ親水性を呈すると予想される。疎水性により、本発明のセルロース繊維層は、様々な使い捨て吸収性物品（例えば、乳児用オムツ、成人用失禁ブリーフ、パンツ型下着および尿取りパッド、ベッドパッド、女性用衛生用品、ならびに手術用ガウン、ドレープ、およびマスク）におけるバリア層としての使用に好適なものになる。例えば、このようなセルロースバリア層は、予想されるよりも高いレベルの通気性も呈しつつ、低いまたは所望の液体透過性を呈するように構成され得る。低いまたは所望の液体透過性は、例えば、最少の表記した静水頭によって示されることがある。いくつかの態様では、セルロース繊維層は、例えば、約17〜45グラム/平方メートル（この単位は、gsmまたはg/m²とも表記され得る）の坪量を有する低空隙率セルロース繊維材料のシートを含む。いくつかの態様では、本発明のセルロース繊維層はクレープ加工されていてもよく；例えば、本発明のセルロース繊維層は、クレープ加工された紙またはクレープ加工されたティッシュペーパーの1つまたは複数のシートを含み得る。

本開示は、合成不織布を含む支持層に結合している本発明のセルロースバリア層のうちの1つを含む多層積層体、および多層積層体の生産方法も含む。本発明のセルロースバリア層は、例えば、接着剤、超音波接着、または別のタイプの接着のうちの1つまたは複数などによって支持層に直接または間接的に接着されてもよい。

本発明の積層体は、良好なまたは所望の液体バリア性能を呈するように構成され得る。良好なまたは所望の液体バリア性能は、例えば、最小の表記した静水頭を有するように、および/または表記した静水頭の下で表記した期間ピンホールがない状態を維持するように構成されている積層体によって示されてもよい。本発明の積層体はまた、予想よりも高いレベルの空気透過性を呈するように構成され得る。例えば、本発明の積層体は、ピンホールの無い液体バリア性能およびポリエステル/綿布と同等の空気透過性の両方を提供するように構成され得る。これらの特性は、使い捨て吸収性製品においてバックシート材料としてしばしば用いられるポリフィルムなどの通気性が劣るかまたは通気性でないバックシート材料の代わりに本発明の積層体の態様を通気性バックシートとしての使用に好適かつ所望のものにする。本発明の積層体が、吸収性コアを含むそのような使い捨て吸収性製品に用いられるかまたは組み込まれる場合、上側または内側のセルロースバリア層が従来のポリフィルムと比べて通気性を向上させる一方で、下側または外側の支持層が構造的な支持および液体の漏出に対するさらなる防護を提供するように、支持層は典型的にはコアから見て外側を向き、セルロースバリア層は典型的にはコアの方を向き、使用時には、より着用者の肌に近くなる。

本発明の積層体の少なくともいくつかの態様は、バックシートに従来用いられているよりも低い坪量の不織布の積層体における使用を可能にする機械方向および/または横方向の引張強度などの機械的特性も呈する。例えば、本発明の積層体の支持層は、使用時に十分な機械的完全性をなおも呈しつつ、不織布バックシートに典型的に用いられるよりも低い17gsmもの低さの坪量を有する不織布材料を含み得る。いくつかの態様では、支持層は、約17〜42gsmの坪量を有する高水頭SMS不織布材料のシートを含む。

いくつかの態様では、疎水性サイジングは、不織布支持層にセルロースバリア層を結合する前にセルロース繊維層のみに組み込まれる。例えば、サイジング剤は、セルロース繊維材料のシートを形成する前にパルプスラリーに加えられ得、または形成されたセルロース繊維材料のシートの乾燥後であるが不織布への積層前に、例えばサイズプレスまたはコーターにおける、仕上げ工程で塗布し得る。セルロースバリア層が支持層に結合される前に疎水性サイジングが加えられる態様では、積層体は、セルロースバリア層および不織布支持層という2層しか含んでいなくてもよい。疎水性の紙は他の用途向けには製造されているが、そのような疎水性の紙はクレープ加工されているかクレープ加工されていないかに関わらず吸収性製品におけるバリア層としての使用のためにこれまで不織布と積層されてきたとは考えられない。

別の態様では、セルロースバリア層が支持層に結合された後に疎水性サイジングがセルロースバリア層に組み込まれる。例えば、積層体は、サイジング剤の水溶液で仕上げ加工し乾燥させてセルロースバリア層を疎水性にしてもよい。アルキルケテン二量体(AKD)がそのようなサイジング剤の一例である。セルロースバリア層が支持層に結合された後に疎水性サイジングが加えられる態様では、積層体はサイジングプロセス時にセルロース繊維を安定化するように構成されている第三層を含んでもよい。そのような安定化層は、例えば、スパンボンド不織布材料のシートを含んでもよくかつ/または約8〜12gsmの坪量を有してもよい。そのような態様では、これらのタイプの多層積層体の大規模商業生産は、層の積層に続いて、例えば、紙の仕上げ加工用のサイズプレスまたは布地の仕上げ加工用のパダーにおける水溶液による処理を含む2工程プロセスを伴ってもよい。積層は、例えば、フィラメント状接着剤などの接着剤を介するかまたは熱接着を介してもよい。これらの積層プロセスおよびサイジングプロセスの各々は当技術分野では個々に公知であるが、これらのプロセスは疎水性積層体を製造するためにこれまで一緒に用いられてきたとは考えられない。積層後に疎水性サイジングが加えられるいくつかの態様では、セルロース繊維層はクレープ加工されるので、例えば、クレープ加工されたティッシュペーパーの1つまたは複数の層を含む。繊維層は、例えば、各シートがまずオンマシンクレープ加工を介して形成された際またはシートがオフマシンクレープ加工を介して形成された後にクレープ加工されてもよい。

本発明の通気性バックシートアセンブリのいくつかの態様は、0.5ft³/分-ft²を超える空気透過性を有し、200mm H₂Oを超える静水頭を保持するように構成されている、疎水性サイジングを有するセルロース繊維バリア層と、不織布を含み、繊維層の下方に位置し繊維層に結合している支持層とを含み、該バリア層および該支持層が積層体を画成する。

本発明の通気性バックシートアセンブリのいくつかの態様では、積層体は、液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法を用いた場合に400mm H₂Oで10分間ピンホールが無い状態を維持するように構成される。

本発明の通気性バックシートアセンブリのいくつかの態様では、バリア層は、15グラム/平方メートル(gsm)〜45gsmの坪量を有する。

本発明の通気性バックシートアセンブリのいくつかの態様では、バリア層は、セルロース繊維材料のシートを2枚含み、各シートは、15gsm〜20gsmの坪量を有する。

本発明の通気性バックシートアセンブリのいくつかの態様では、バリア層は、クレープ加工されている。いくつかのそのような態様では、バリア層は、伸び率5%〜55%を有する。

本発明の通気性バックシートアセンブリのいくつかの態様では、バリア層は、フィラメント状接着剤または熱接着によって支持層に接着される。

本発明の通気性バックシートアセンブリのいくつかの態様では、支持層は、20gsm以下の坪量を有する。そのような態様では、支持層は、150mm H₂Oを超える静水頭を保持するように構成されているスパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(SMS)不織布を含む。

本発明の使い捨て吸収性物品のいくつかの態様は、本発明の通気性バックシートアセンブリの態様と；液体透過性トップシートと；セルロース繊維材料および/または超吸収性ポリマー(SAP)粒子を含む、該トップシートと該通気性バックシートアセンブリの間に位置する吸収性コアとを含み；該通気性バックシートアセンブリがトップシートに結合している。

本発明の使い捨て吸収性物品のいくつかの態様では、吸収性物品は、トップシートを通過してバリア層へと流れる生理食塩水または尿の表面張力を実質的に低減しないように構成されている。いくつかのそのような態様では、吸収性物品は、吸収性コアとトップシートの間に配置されている捕捉分配層(ADL)であって、該ADLを通ってバリア層へと進む生理食塩水または尿の表面張力を実質的に低減しないように構成されているADLをさらに含む。

本発明の使い捨て吸収性物品のいくつかの態様は、バリア層とコアの間またはバリア層と支持層の間に配置されている、厚さを有し、その厚さの方向に圧縮可能である材料のシートを含む圧縮可能層をさらに含む。いくつかのそのような態様では、圧縮可能層は、通気性バックシートアセンブリと同一の広がりを持たない。

本発明の使い捨て吸収性物品のいくつかの態様では、物品は、失禁ブリーフを含み、バリア層は、0.5ft³/分-ft²を超える空気透過性を有し、600mm H₂Oを超える静水頭を保持するように構成されており、積層体は、液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法を用いた場合に800mm H₂Oで10分間ピンホールが無い状態を維持するように構成されている。

本発明の使い捨て吸収性物品のいくつかの態様では、物品は、パンツ型下着または尿取りパッドを含み、バリア層は、1.5ft³/分-ft²を超える空気透過性を有し、400mm H₂Oを超える静水頭を保持するように構成されており、積層体は、液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法を用いた場合に600mm H₂Oで10分間ピンホールが無い状態を維持するように構成されている。

本発明の使い捨て吸収性物品のいくつかの態様では、物品は、ベッドパッドを含み、バリア層は、1.5ft³/分-ft²を超える空気透過性を有し、400mm H₂Oを超える静水頭を保持するように構成されており、積層体は、液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法を用いた場合に400mm H₂Oで10分間ピンホールが無い状態を維持するように構成されている。

本発明の使い捨て吸収性物品のいくつかの態様は、バリア層に面するスペーサ層の少なくとも1つの表面に複数の空隙または隙間を含む、バリア層と支持層の間に配置されているスペーサ層をさらに含む。いくつかのそのような態様では、スぺ−サ層は、通気性バックシートアセンブリと同一の広がりを持たない。

使い捨て吸収性製品を作製する本発明の方法のいくつかの態様では、方法は、液体透過性トップシート、吸収性コア、不織布支持層、および疎水性サイジングを有するセルロース繊維層を準備する工程；および吸収性コアがトップシートとバリア層の間に保持され、バリア層がコアと支持層の間に保持されるように、トップシート、バリア層、および支持層を1つに結合する工程を含む。

本発明の方法のいくつかの態様は、捕捉分配層(ADL)を準備する工程；およびADLがトップシートと吸収性コアとの間に保持されるようにADLをトップシートに結合する工程をさらに含む。

本発明の方法のいくつかの態様では、トップシートおよびADLは、トップシートおよびADLを通ってバリア層へと進む生理食塩水または尿の表面張力を実質的に低減しないように構成されている。

「超吸収剤」または「超吸収性材料」または「SAP」は、最も好ましい条件下では、塩化ナトリウムを0.9重量パーセント含有する水溶液においてその重量の少なくとも約15倍、より望ましくは少なくとも約30倍を吸収することができる、水膨潤性で水不溶性の有機または無機材料を指す。SAP材料は、天然の、合成の、および変性した天然のポリマーならびに材料であり得る。さらに、SAP材料は、シリカゲルなどの無機材料または架橋ポリマーなどの有機化合物であり得る。

「使い捨て」とは、洗浄されるかまたはそうでなければ再使用のために回復されるというよりはむしろ限定的な使用後に廃棄されるように設計された物品を指す。

「吸収性コア」とは、典型的には吸収性物品のトップシートとバックシートとの間に配置され、吸収性物品において液体を吸収するように構成されている、SAPおよび/またはセルロース繊維のような材料を含有する構造物を意味する。吸収性コアはまた、被覆層または外被材を含んでもよい。被覆層または外被は、不織布、SAP、セルロースまたは非セルロース材料、フィルム、繊維、あるいはこれらの組み合わせ材料のいずれか1つ、2つまたは全てからなる基材を含んでもよい。

単数形で用いられた際の「層」は、単一の要素または複数の要素であり得る。例えば、複数のシートが1つになって単一の層（例えば、特定の機能を有する一つの層であって、複数のシートからなる当該層が当該機能に寄与する、層）を画成し得る。

INDAの定義によれば「不織」布とは、繊維またはフィラメントを機械的、熱的、または化学的に絡み合わせることによって1つに接着したシートまたはウェブ構造物として広く規定される。それらは、別個の繊維からあるいは溶融プラスチックまたはプラスチックフィルムから直接的に作製された平らな多孔性シートである。それらは、織ることまたは編むことによって作製されず、繊維を糸に変換することを必要としない。不織布の坪量は通常は、gsmすなわち1平方メートル当たりのグラム数として表される。

「不織布バックシート」は、外側カバーにおける裏打ち基材層である。不織布バックシートは、ほとんどの場合は着用者の反対を向いた不織布層である。

「フィルム」は、繊維のウェブ状構造および/または他の繊維から主になる形態を有していない、1つまたは複数のポリマーから形成された材料の膜状の層を意味する。本開示において「ポリフィルム」と呼ばれるフィルムは、外側カバー積層体内に配置されているフィルムである。ポリフィルムは、通気性フィルムまたは非通気性であり得る。

「液体不透過性」とは、層または多層積層体を記載するときに用いられる場合には、通常の使用条件下では液体との接触点で層または積層体の平面に概して垂直の方向には尿などの液体が層または積層体を通過しないことを意味する。

「積層」とは多層に材料を生産する技法であり、複合材料は全ての組み合わせた層の利点、例えば、向上した機械的強度または耐久性、向上した安定性、より低い水の透過性、および/または他の特性などを有する。積層体は、熱、圧力、溶着、または接着剤によって永続的に集成した物体である。

「接着している」とは、2つの要素の接合、付着、接続、取り付けなどを指す。2つの要素は、互いに直接的にまたは互いに間接的に接着している場合、例えばそれぞれが中間要素に直接接着している場合には、接着しているとみなされる。

不織布ウェブ材料の作製に関して「機械方向」または「MD」とは、材料または積層体が生産される生産ラインを通る材料または積層体の前進方向に実質的に平行な材料または積層体に沿った方向を指す。不織布または積層体の作製に関して「横方向」または「CD」とは、材料および/または物品が生産される生産ラインを通る材料の前進方向に実質的に垂直の材料に沿った方向を指す。「Z方向」とは、機械および横方向に沿ったウェブによって近似される面に対して垂直であることを意味する。

本開示で用いられるように、「フィラメント状接着剤」とは、接合すべき2つの要素間にフィラメントの形態で堆積される接着剤である。フィラメント状接着剤は、例えば、ホットメルト熱可塑性接着剤を含み得る。接合すべき表面にわたり比較的均一な層状に噴霧されることがある他のタイプの接着剤とは対照的に、フィラメント状接着剤のフィラメントは、フィラメント状接着剤で2つの層を積層することが典型的にはフィラメント間に接着剤の無い領域を残しつつ2つの層を接着する、例えば、接着剤のない領域における層の性能が、例えば孔を埋めるまたは覆うことによって接着剤が付与し得る変化によって影響されるまたは晒されることがないように、細長いものであり、かつ不連続な経路に沿って堆積される。フィラメント状接着剤を塗布するための装置の例は、例えば、ITW Dynatechから入手可能なUFD Fiberized Spray technology、Nordsonから入手可能なControl Coat Applicatorや他のサプライヤーからの装置を含む。

「結合している」という用語は、必ずしも直接的ではなく、かつ必ずしも力学的にではないが接続していると規定され；「結合している」2つのものは互いに一体化していてもよい。「a」および「an」という用語は、本開示がそうでないことを明示的に要求している場合を除いて1つまたは複数と規定される。「実質的に」という用語は、当業者に理解されるように、特定されたものの必ずしも全部ではないが大部分であると規定され、特定されたものを含む；例えば、実質的に90度とは90度を含み、実質的に平行とは平行を含む。どのような開示の態様でも、「実質的に」という用語は、特定されたもの「の[パーセント]以内」と言い換えてもよく、ここでパーセントとは0.1、1、5、および10パーセントを含む。

さらに、特定の様式で構成されたデバイスまたはシステムは、少なくともその様式で構成されるが、具体的に記載されたもの以外の様式でも構成され得る。

「含む(comprise)」という用語ならびに「comprises」および「comprising」などのそのあらゆる形態、「有する(have)」ならびに「has」および「having」などのそのあらゆる形態、「含む(include)」ならびに「includes」および「including」などのそのあらゆる形態は、オープンエンドな連結動詞である。その結果、1つまたは複数の要素を「含む(comprises)」、「有する(has)」、または「含む(includes)」装置は、それら1つまたは複数の要素を保有するが、それら要素のみを保有するということに限定されない。同様に、1つまたは複数の工程を「含む(comprises)」、「有する(has)」、または「含む(includes)」方法は、それら1つまたは複数の工程を保有するが、それら1つまたは複数の工程のみを保有するということに限定されない。

いずれの装置、システム、および方法のどのような態様も、いずれの記載の工程、要素、および/または特徴、を含む(comprise)/含む(include)/有する(have)というよりもむしろ、からなり得るまたは実質的になり得る。したがって、いずれの請求項においても、「からなる」または「から実質的になる」という用語は、所与の請求項の範囲をオープンエンドな連結動詞を用いたものから変更するために上に記載のオープンエンドな連結動詞のいずれにも置き換えられ得る。

記載または図示されていなくとも、1つの態様の特徴は、本開示または態様の性質によって明示的に禁じられていなければ他の態様に適用されてもよい。

上に記載の態様およびその他に関連するいくつかの詳細を以下に記載する。

下側の層が吸収性物品の底部バックシート不織布としての使用に適している、本発明の積層体の第1の二層態様の概略断面図を示す。 下側の層が吸収性物品の底部バックシート不織布としての使用に適している、本発明の積層体の第2の二層態様の概略断面図を示す。 下側の層が吸収性物品の底部バックシート不織布としての使用に適している、本発明の積層体の第3の三層態様の概略断面図を示す。 積層体が、吸収性物品におけるさらなる底部バックシート不織布と共に用いられるかまたはそれを含む、本発明の積層体の第4の態様の概略断面図を示す。 メルトブローおよび市販の不織布製品の液体静水頭および空気透過性の対数-対数関係を表すグラフを示す。 不織布材料および本発明の積層体の態様の液体静水頭および空気透過性の関係を表すグラフを示す。 本発明の積層体の態様または市販のバックシートを含む試作品ベッドパッドのピンホール試験性能の差異を表す表を示す。 本発明の使い捨て吸収性物品の一態様の上面図を示す。 本発明の使い捨て吸収性物品の一態様の断面図を示す。 本発明の使い捨て吸収性物品の別の態様の上面図を示す。 本発明の使い捨て吸収性物品の別の態様の断面図を示す。

例示的な態様の詳細な説明
本開示は、疎水性を呈するように疎水性サイジングで処理されたセルロース繊維層、およびそのようなセルロース繊維層を含有する多層積層体を指向する。セルロース繊維層は主にまたは専らセルロース繊維を含む。そのようなセルロース繊維層の例は、例えば、紙および低空隙率ウエットレイドティッシュペーパーなどのティッシュペーパーを含む。いくつかの態様では、セルロース繊維層はクレープ加工されている。本発明の積層体は、高い液体バリア性能および高い空気透過性の両方を提供し、吸収性衛生用品、ベッドパッド、手術用ガウンおよびドレープ、ならびにマスクに有用であり得る。以下により詳細に記載するように、セルロース繊維シートの繊維組成や、坪量、伸び率を含むシートの物理的特性は、高い液体静水頭および高い空気透過性の両方を提供し得る孔径分布を達成するように選択され得ることが見出された。

本発明の積層体の例を図1A、1B、1C、および2に示す。図1Aは、少なくともいくつかの使い捨て吸収性物品における液体バリアとしての使用に適した本発明の積層体の第1の態様10を示す。例えば、積層体10は、使い捨て吸収性物品において、不織布バックシート上方のポリフィルムまたは他のタイプのバリア層の代わりに、あるいはポリフィルムバリア層および不織布バックシートの両方の代わりに用いられてもよい。示した態様では、積層体10は、層14を液体バリアとして機能させる疎水性サイジングを有するセルロース繊維層14と、セルロースバリア層に結合している支持層18とを含む。この態様では、支持層18は、不織布のシートを含み、バリア層14の下方に位置してバリア層14に接着されている。示した態様では、支持層18は、例えばフィラメント状接着剤を含んでもよい接着剤22を介してバリア層14に接着されている。ここで示し、以下により詳細に記載するように、セルロースバリア層14と不織布支持層18との組み合わせは、空気が透過可能であり、水が実質的に透過不可能である、積層体を画成する。積層体10は、2つの主要な機能層、具体的にはバリア層14および支持層18を含むので、二層態様として記載されてもよい。

本開示において、使い捨て物品であるかまたは使い捨て物品における使用に適した層を記載する文脈で用いられるように、「下方」、「上方」、「内方」、および「外方」という用語は、使用時の吸収性物品のユーザーを共通の基準点として、一方の層の、他方の層または構成要素に対する位置を記載するために用いられる。例えば、図1Aに示す態様では、バリア層14はトップシートにより近くかつ吸収性コアにより近くなるように構成されており、支持層18はバリア層の「下方」および「外方」になるように構成されており、これは、積層体10がバックシートまたは下側の液体バリアとして使い捨て物品に組み込まれ、物品が使用される場合に、支持層18がバリア層14よりもユーザーから遠くなるように意図されているからである。同様に、この態様には、バリア層14は、支持層の「上方」および「内方」になるように構成されており、これは、積層体10がバックシートまたは下側の液体バリアとして使い捨て物品に組み込まれ、物品が使用される場合に、バリア層14が支持層18よりもユーザーに近くなるように意図されているからである。

図1Bは、本発明の積層体の第2の態様10aを示す。積層体10aは、積層体10aも、疎水性サイジングを有するセルロースバリア層14aと、繊維層に結合している支持層18とを含む点で、積層体10と構造的に類似している。しかしながら、積層体10aは、積層体10aのバリア層14aが、1つに結合された紙またはティッシュペーパーなどのセルロース繊維材料のシート26を2枚含む点で、積層体10とは異なっている。例えば、いくつかの態様では、シート26はフィラメント状接着剤などの接着剤を介して互いに接着される。積層体10のバリア層14について上に記載したように、シート26の一方または両方はクレープ加工されていてもよく；例えば、本発明のセルロース繊維層は、クレープ加工された紙またはクレープ加工されたティッシュペーパーの1つまたは複数のシートを含み得る。この態様では、シート26はそれぞれ、図1Aの積層体10における支持層14を画成する材料の単一のシートよりも低い坪量を有し得る。例えば、いくつかの態様では、シート26はそれぞれ、15gsm〜20gsmの坪量、例えば、17gsmと実質的に等しい坪量を有し得る。積層体10と同様に、積層体10aは、二層態様として記載されてもよく、これは2つの主要な機能層、具体的には、バリア層14aがシート26の組み合わせによって画成された状態で、バリア層14aおよび支持層18を含むためである。

図1Aおよび1Bの態様において、および以下により詳細に記載するように、バリア層が支持層18に結合された後に疎水性サイジングが加えられるというよりは、むしろ疎水性サイジングがセルロース繊維材料のみに組み込まれたセルロース繊維材料のシートによってバリア層14および14aが画成されているので、サイジングは支持層18に組み込まれてもいない。例えば、セルロース繊維材料のシートを形成する前に、サイジング剤をパルプスラリーに加えてもよい。あるいは、形成されたセルロース繊維材料シートの乾燥後であるが、複数の層（例えば、14および18）を1つに結合して積層体を画成する前、または、シート（例えば、シート26）を1つに結合してバリア層（例えば、バリア層14a）を画成する前のいずれかである、仕上げ工程（サイズプレスまたはコーター）で、サイジング剤を塗布してもよい。

図1Cは、本発明の積層体の第3の態様10bを示す。積層体10bは、積層体10bも、疎水性サイジングを有するセルロースバリア層14と、バリア層に結合している支持層18とを含む点で、積層体10と構造的に類似している。しかしながら、積層体10bは、バリア層14の上方に配置されかつバリア層14に結合している不織布安定化層30をさらに含む点で、積層体10とは異なる。示した態様では、安定化層30は、フィラメント状接着剤などの接着剤22を介してバリア層14に接着される。積層体10および10aとは対照的に、積層体10bは三層態様として記載されてもよく、これは3つの主要な機能層、具体的には、バリア層14、支持層18、および安定化層30を含むためである。図1Cには示していないが、積層体10bの繊維層は、図1Bにおいてバリア層14aについて示したものと同様のセルロース繊維材料のシート26を2枚以上含み得る。

図1Cに示すもののように上側の安定化層30を含む態様において、および以下により詳細に記載するように、セルロースバリア層が支持層に結合された後に疎水性サイジングをセルロースバリア層に組み込み得る。例えば、積層体は、アルキルケテンダイマー(AKD)などのサイジング剤の水溶液で仕上げ処理し、乾燥させてセルロース繊維層を疎水性にしてもよい。セルロース繊維層が支持層に結合された後に疎水性サイジングが加えられる態様では、積層体は、サイジングプロセス時にセルロース繊維を安定化するように構成されている第3の層を含んでもよい。例えば、いくつかの態様では、安定化層30は、約8〜12gsmの坪量を有する仕上げ処理をしていないスパンボンド不織布材料のシートを含む。

図2は、本発明の積層体の第4の態様100を示す。積層体100は、積層体100も、疎水性サイジングを有するセルロースバリア層14と、バリア層に結合している支持層18とを含む点で、積層体10と構造的に類似している。しかしながら、積層体100は、バリア層14と支持層18の間に配置されている追加のスペーサ層34をさらに含む点で、積層体10とは異なっている。以下により詳細に記載するように、スペーサ層は、望ましくないことにバリア層14を通過することがある液体を受け止めかつ満たされ得る容量を規定しそのような液体が支持層18も通過する可能性を低減する、不織布、開孔フィルム、または他の材料を含み得る。例えば、スペーサ層の自由体積によってバリア層14の下側を満たす液体の容量がもたらされてもよく、液体がバリア層14と支持層18の間に発生させることがある圧力が低減され、よってその圧力が液体に支持層18を通過させる可能性が低減される。

示した態様では、スペーサ層34は接着剤22を介してバリア層14に接着され、支持層18は接着剤22を介してスペーサ層34に接着される。積層体10、10a、および10bについて上に記載したように、積層体100における接着剤層22のうちの一部またはすべてがフィラメント状接着剤を含み得る。図2には示していないが、積層体100の繊維層は、図1Bにおいてバリア層14aについて示しかつ記載したものと同様のセルロース繊維材料のシート26を2枚以上含み得る。さらにまたはあるいは、図2には示していないが、積層体100は、図1Cにおいて安定化層30について示しかつ記載したものと同様の安定化層30をさらに含み得る。

使い捨て吸収性物品における内側のポリフィルムなどの液体バリアおよび不織布バックシートの両方として作用しかつ置き換えるのに適している一方で、本発明の積層体（例えば、10、10a、10b、100）はまた、液体バリアのみとして用いられかつ置き換えられ得、よって積層体の下方または外方の追加のバックシートと共に用いられ得る。

以下により詳細に記載するように、本発明のセルロースバリア層の態様は、0.5ft³/分-ft²を超える空気透過性を有するように構成されており、200mm H₂Oを超える、例えば、200mm、300mm、400mm、600mm、800mm、および/または1000mmのいずれか1つを超えるまたはいずれか2つの間の静水頭を保持するように構成され得る。そのようなセルロースバリア層は、積層体全体が、セルロースバリア層単独のものと同様の空気透過性および/またはセルロースバリア層単独と少なくとも同じ大きさの静水頭を有するような様式で、本発明の積層体10、10a、10b、100のいずれにもさらに組み込まれてもよい。例えば、セルロースバリア層14、14aは、空気透過性または静水頭を実質的に低減しない支持層18および/または安定化層30に結合され得る。さらに、本発明の積層体は、400mm H₂0で10分間ピンホールが無い状態を維持するように構成され得る。いくつかの態様では、本発明の積層体は、セルロースバリア層単独と比較して向上したピンホール試験性能を有する。例えば、本発明のセルロースバリア層14、14aのうちの1つは、組み合わせた積層体のピンホール試験性能を向上させるように選択した不織布材料の支持層18に結合され得る。いくつかのそのような態様では、支持層の不織布は、バリア層の静水頭よりも小さいかまたは実質的に同じ静水頭を有してもよいが、セルロースバリア層と支持層とを組み合わせた場合に形成される積層体のピンホール試験性能をなお向上させる。

A. 液体バリアとしてのセルロース繊維材料
紙およびティッシュペーパーのようなセルロース繊維材料のシートは典型的には、セルロース繊維が親水性を示す傾向、一部の紙およびティッシュペーパーが濡れた際に機械的完全性の低下を呈する傾向、および/またはそのようなものなどの様々な要因のために、使い捨て吸収性衣類における液体バリア材料として用いられてはいない。水への曝露によって機械的完全性が著しくは低下しない紙およびティッシュペーパーであっても、効果的な液体バリアとして作用するには材料が多孔質すぎることがある。紙およびティッシュペーパーのようなセルロース繊維材料の文脈では、多孔性とは孔径分布とみなされることがあり；具体的には、紙またはティッシュペーパーのシートは、シート自体の内部に複数の孔を画成するように互いに交差し重なり合う繊維の格子または集合を画成する複数の繊維によって画成され、したがってシートの多孔性は、個々の孔の大きさおよび数ならびにシートの領域にわたる孔の分布に応じたものである。繊維の大きさが均一でありかつ繊維の空間分布が均一であるシートは、典型的には、繊維の大きさまたは繊維の分布のバラツキが大きいシートよりも、孔の大きさおよび密度のバラツキが少ない。例えば、比較的小さな孔が均一に分布したシートは多孔性が低いことがある一方で、比較的大きな孔が均一に分布したシートは典型的にはより高い多孔性を有すると考えられる。以下により詳細に説明するように、セルロース繊維シートのシートの透過性の指標は、例えば、シートの空気透過性を測定することによって決定してもよい。さらなる例としては、所与の大きさの比較的少ない孔が均一に分布したシートは、同じ大きさでより多くの孔が均一に分布したシートより高い密度を有すると考えられる。空気透過性は、バリア層における孔の数および大きさの両方によって影響されるが、静水頭は主に孔径に左右される。孔径分布は、紙およびティッシュペーパーにおいて繊維の大きさを小さくすることによって低減し得る。坪量を高めると、セルロースバリア層における欠陥つまりピンホールの発生が概して減少する。以下でより詳細に説明するように、セルロース繊維シートの多孔性および孔径分布は、そのようなシートを疎水性サイジングで処理した後に、全体的な水不透過性を示すそれらの静水頭に影響を及ぼす。

液体バリア材料としての紙およびティッシュペーパーの使用を困難にすることがあるさらなる要因は、材料のシート毎の総孔径よりも著しく大きいピンホールなどのより大きな欠陥の存在である。例えば、紙の局所領域における繊維および孔径分布の規則性を妨げるより大きな繊維および/または意図しない異物の混入など、様々な要因が紙またはティッシュペーパーにおける欠陥の形成につながり得る。そのような欠陥は点欠陥とみなされてもよく、これは、紙またはティッシュペーパーのシートが形成されるスラリーにおける繊維の大きさまたは分布を完全には制御できないことに内在される孔径分布の典型的なバラツキの結果というよりもむしろ典型的には局所的なものだからである。坪量を高めることおよび/またはより質の高い生産プロセスを用いてより大きな繊維または異物の偶発的な混入を低減することによって、紙およびティッシュペーパーにおいて点欠陥を低減し得る。以下により詳細に説明するように、セルロース繊維シートの局所的な欠陥の混入は、そのようなシートを疎水性サイジングで処理した後であっても、局所的な個所での水透過性を示すそれらのピンホール性能に影響を及ぼす。

以下により詳細に記載するように、本開示は、セルロース繊維材料を使い捨て吸収性物品向けの効果的なバリア層にするために、セルロース繊維を疎水性にするだけでなく、空気透過性を保ちつつ孔径分布を最小限にし、かつセルロース繊維材料における点欠陥の影響を最小限にするための手法にも対処している。例えば、少なくともいくつかの用途では、0.5ft³/分-ft²を超える空気透過性を維持することが望ましい。孔径分布を低減し、孔分布のバラツキを低減し、点欠陥を低減するための1つの一般的なアプローチは、紙またはティッシュペーパーの坪量を高めることである。坪量を高めることは必ずしも液体バリア性能に影響を及ぼす問題の原因を最小限にすることはないが、それらの問題の影響を低減し得る。例えば、坪量がより高い紙は、典型的には厚さもより大きく、これは、点欠陥またはより高密度の孔がシートの厚さ全体に及ぶ可能性を低減し得、したがってより高密度のそのような欠陥がシート全体の性能に影響する可能性も低減することがある。しかしながら、この方策の欠点は、坪量を高めるとコストも増加することである。かくして、以下の多数のアプローチは、坪量を低くするか、または従来の使い捨て吸収性物品における同様の構成要素に典型的に用いられるシートよりも坪量が低い材料のシートを用いることを図っている。

B. 実験および結果
様々な試作品を開発し実験を実施してセルロース繊維材料および坪量の違い、不織布材料および坪量の違い、疎水性サイジングプロセスおよび塗布プロセス、ならびに本発明の疎水性セルロース繊維層、積層体、および使い捨て吸収性物品の様々な他の特長の効果を決定した。これらのバリエーションおよび液体バリア性能のそれらの影響のいくつかを以下により詳細に記載する。本発明の積層体10、10a、10b、100；疎水性セルロースバリア層14、14a；セルロース繊維材料のシート26；安定化層30；および他の構成要素は、以下に記載するそれぞれの例のいずれかを含み得る。

疎水性仕上げ剤で処理された少なくともいくつかの均一で低多孔性のセルロース繊維材料（例えば、ティッシュペーパーおよび紙）は、高い液体静水頭および高い空気透過性の両方を提供し得る孔径分布を有することが見出された。本発明において有用であることが見出されたティッシュペーパーの例は、Dunn Paper 3207およびErving 3PT222である。製紙技術分野では、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、ならびにシート形成の前にパルプスラリーにおいてまたは形成された紙シートに対するサイズプレスまたはコーターなどの仕上げ工程において塗布し得るロジンサイジングおよび他の反応性または非反応性サイジング剤でセルロース繊維を疎水性にし得ることが周知である。これらのサイジング剤は、セルロースシートを三層積層構造に組み込んだ後にも塗布し得る。セルロースティッシュペーパーを疎水性にする仕上げ剤の他の例は、Pulcra Chemicals製のStantex S6757、Pulcra Chemicals製のSetilon KNL、Solv Inc.製のAquesize 404、およびフルオロケミカル、例えばDaiken製のUnidyne TG-5243である。

1. 積層体層の坪量のバリエーション
試作品の1つ目のセットは、図1Cに示す積層体10bと構造が類似した三層積層体を含んでいた。ティッシュペーパーをAKD水溶液で処理する前に、ティッシュペーパーの中間層と、ポリプロピレン繊維製のスパンボンドまたはSMS不織布の外層とを有する、接着剤で接着された三層積層体を作製した。接着剤で接着されたスパンボンドまたはSMS不織布層は水には影響されず、AKD溶液での湿潤および乾燥時にティッシュペーパーを安定化した。支持層および安定化層は、積層体を含む吸収性製品の変形時および使用時にティッシュペーパー層に付与される歪みも低減する。そのクレープ加工された構造によって付与されたティッシュペーパーの高い伸長性は、延伸および折り畳まれた積層体におけるピンホール形成を減少させる重要な要素であると考えられる。本発明のセルロースバリア層のためのクレープ加工されたティッシュペーパーの別の重要な特質は、取り扱いの際に紙というよりもむしろ布のような触感および音がすることである。合成繊維不織布の坪量は8〜42gsmの範囲であり、ティッシュペーパーの坪量は17〜36gsmの範囲であった。典型的な接着剤付加量は3〜6gsmの範囲であったが、より低いレベルの接着剤が可能なこともあると考えられる。Savare CB710およびE60W接着剤は、仕上げ工程時に積層体におけるティッシュペーパーを安定化させるのに有効であることが見出された。別の態様では、接着剤の代わりにまたは接着剤に加えて、熱接着または超音波接着などの、接着剤によらない積層方法を用いてもよい。

積層体を作製した後、それらを室温にてAKD水溶液で処理し、乾燥させた。Kemiraによって供給されたFennosize KD 266MBを15.5％の活性濃度で用いて積層体を処理した。AKD固形物の目標付加量は、積層体1g当たりAKD固形分0.01gであった。この値は、Fennosize KD 266MBの50倍希釈液における溶液1000g当たりAKDを3.1g含有する溶液について積層体1g当たりの溶液の含浸量が4gと計算された。下の表1に示すように、50倍希釈液は、20gのFennosize KD 266MB（固形分15.5％）を980gの水で希釈したものとして規定された。データを表1に示す積層体は、溶液で飽和させた後にカレンダー処理しなかった。溶液で飽和させた後に他の積層体をカレンダー処理した場合には、積層体に対する溶液の含浸量は積層体1g当たり溶液約1gの範囲まで減少させ、積層体1g当たりAKD固形分0.01gの目標付加量を維持するためにAKDの希釈度を減少させた。手処理したサンプルを、卓上Emerson Speed Dryer上で4〜10分間、表面温度110〜125℃で乾燥して硬化させた。

（表１）Fennosize KD 266MB溶液の50倍希釈液（すなわち、1000g / 20g ＝ 50倍）を示す例

図4は、17gsmおよび36gsmのティッシュペーパーで作製した積層体毎の空気透過性と液体静水頭の関係を示す。本開示の目的に関しては、空気透過性は、「空気透過性」という標題の項Hに記載されているように、ASTM D737-04「Standard Method for Air Permeability of Textile Fabrics」を用いてFrazier空気透過性として測定される。この試験方法は、平面状の材料の2つの表面間にて所定の空気圧差の下で既知の領域を垂直に通過する空気流の速度を決定するために用いられる。本開示の目的に関しては、「水頭」または「HH」とも呼ばれることがある静水頭は、「静水頭試験」という標題の項Iに記載のようにAATCC Test Method 127-2008「Water Resistance: Hydrostatic Pressure Test」を用いて測定される。この試験方法は、静水圧下での水の透過に対するシート材料の抵抗を測定するために使用される。より坪量が高いティッシュペーパーで作製された積層体についてはより高い静水頭の値が達成されたが、空気透過性は減少した。これらの試作品には、合成不織布の外層の坪量は、積層体の空気透過性に対して測定可能な影響がなかった。図4におけるK-C対照は、手術用ガウンからのSMS不織布であった。それは高い空気透過性を有していたが、静水頭性能ではバラツキが大きかった。図4ではまた、上記の三層積層体と合わせて追加の17gsmのティッシュペーパーを1枚および追加の10gsmの合成不織布層を1層含む5層積層体の結果は、追加の層が空気透過性および静水頭に対してほとんど影響を及ぼさないことを示した。全体として、空気透過性および静水頭は、積層体におけるティッシュペーパーの坪量によって促進された。以下に記述するように、ティッシュペーパー形成の質およびクレープ加工のレベルも空気透過性および静水頭に影響を及ぼし得る要素である。含浸量4g/gでは約100倍〜50倍の希釈まではAKDの付加量が増加するにつれて静水頭が増加し、より高いレベルのAKD付加量に対応するより低い希釈レベルでは静水頭は増加しなかった。AKD付加量レベルは、積層体の空気透過性にほとんど影響を及ぼさなかった。

バックシート積層体のピンホール試験は、積層体の液体バリア性能のさらなる尺度を提供した。ピンホールは、400mm、600mm、または800mmの水圧を加えて所与の時間（通常は10分間）後に液体の破過が起きた積層体上のスポットである。概して、バックシート材料は、約600mmを超える静水圧に少なくとも10分間晒された場合にピンホールがない状態であることが要求されると考えられる。これらの試作品に用いられるピンホール試験法は「ピンホール試験法」という標題の項Eにおいて以下に記載しており、この試験方法は、本開示の目的に関しては、改変ピンホール試験法または液柱ピンホール試験法と明記していない場合に、材料が所与の圧力でピンホールがない状態を維持するかどうかを決定する方法を規定している。表2は、このピンホール試験法を用いた様々な材料の試験の結果をまとめている。表2においてPET/Cotと呼ばれるポリエステル/綿布は、空気透過性が高かったが水を吸収し測定可能な静水頭がなかった。市販されているいわゆる「通気性」の微多孔性ポリフィルムの1つであるMicroPは、その引裂強度まで高い静水頭を呈し、水蒸気の拡散に対して幾分の透過性があることが公知であるが、意味のある空気透過性を有していなかった。これらの微孔性フィルムは、変形時に損傷しない限り欠陥またはピンホールを有さないので、良好なピンホール性能を提供する。市販のKC200手術用ガウンに用いられるSMS不織布は、高い空気透過性および、非常にバラツキはあるが良好な静水頭を有していた。この材料では600mmの水圧でピンホールが発生し、この材料では吸収性製品向けに許容可能なバックシートは恐らく作製されないことが示された。表2におけるAttends、Medline、およびTenaの材料は、特殊なタイプの市販の空気透過性ベッドパッドからの合成不織バックシート不織布であった。該不織布は高い空気透過性を有していたが、これらが得られたベッドパッドは液体がバックシートを通過することが公知であり、ここに示した低いピンホール試験性能と一致している。

表2における4a積層体は、スパンボンド不織布の2つの層と、36gsmのティッシュペーパーの中央層とを含む、接着剤で接着された三層積層体であった。50倍希釈のAKD溶液を用いて積層体を処理して、積層体1g当たりAKD固形分が0.01gの付加量を提供した。積層体は、水で500mmを超える静水頭および測定可能な空気透過性を有していた。この積層体には、800mmの静水圧を加えてもピンホールは観察されなかった。試験により、静水頭試験は、所与の圧力でのピンホール性能の推定値を提供し得るのみであることが明らかになった。これは、これらの試作品に対して用いられたピンホール試験における圧力が、試験されている積層体の端部から液体が出た際に、開放され得るという事実による可能性があるためである。試作品4a積層体は、幾分低いが許容可能なレベルの空気透過性を備えたバックシートとして良好に機能する可能性がある。積層体1aは、秤量がわずか17gsmのティッシュペーパーを用いて作製した以外は4aと同じ方法で作製した。それは、空気透過性は高かったが静水頭の値はより低かった。ピンホールはわずか400mmの水圧を加えて観察された。400mmでのピンホール結果のため、より高い圧力ではピンホール試験は実施しなかった。この1a積層体は、より高い圧力に晒される使い捨て吸収性物品における良好なバックシート材料にはおそらくはならないであろう。

表2における試作品積層体2aについて示すように、液体に接触しない積層体の外側つまり下側の図1Cにおける層18のような支持層の10gsmのスパンボンドが、17gsmのSMS不織布と置き換えられた場合には、予想外の発見があった。ピンホール性能が劇的に向上した。17gsmの不織布材料は、水でわずか約120〜150mmの範囲の静水頭を有することが公知であるが、積層体が800mmの水圧でピンホールがない状態になるように積層体のピンホール性能を増強することが可能であった。59ft³/分-ft²の高い空気透過性を備えたこの2a積層体は、使用時により高い圧力に晒されるものを含む広範な使い捨て吸収性衣類向けの非常に良好なバックシート材料になるであろう。水に対するセルロース繊維の親和性により、ピンホール性能がより長い時間評価される場合には、これらの積層体のピンホール性能はいくらか低下する可能性がある。

（表２）試作品4a、1a、2a、および参照材料についての様々な静圧での静水頭(HH)、空気透過性、およびピンホール試験法性能

2. 疎水性サイジングのバリエーション
様々な化学薬品を用いてセルロース層を疎水性にするための図1Cに示す積層体10bと同様の三層積層体構造の処理も調査した。図1Cにおける層30と同様の10gsmのスパンボンド安定化層と、図1Cにおける層14と同様の17gsmのティッシュペーパーセルロースバリア層と、図1Cにおける層18と同様の42gsmのスパンボンド支持層とからなる積層体を、実験室において異なる化学薬品の溶液で手処理した。処理はすべて0.31%の固形分の溶液濃度で行った。試験した化学薬品は、Kemira社のFennosize KD266 MB、SOLV Inc.のAquesize 404、Pulcra Chemical社のStantex S6767、DAIKEN America, Inc.のUnidyne TG-5243の形態のAKD、およびKemira社のEka DR 28 HFの形態の長鎖AKDを含んでいた。目標付加量は、積層体1グラム当たり0.01グラム(g)の固形分であった。手処理したサンプルを、卓上Emerson Speed Dryer上で4〜10分間、表面温度110〜125℃で乾燥して硬化させた。表3は、化学処理をしていない積層体と比較した処理サンプルに対する水頭試験の結果をまとめたものである。表3に示すように、坪量が17gsmもの低さのティッシュペーパー層であっても、200mm H₂Oに近いかまたはそれを超えさえする水頭を有するように処理され得る。同様の処理に供された場合には、より高い坪量を有するティッシュペーパーおよび紙は、より高い水頭値を有することが多いと考えられる。

（表３）様々な化学薬品で処理された10/17/42(10gsmのスパンボンド不織布/17gsmのティッシュペーパー/42gsmのスパンボンド不織布)積層体の静水頭

3. セルロース繊維シートの特性のバリエーション
本発明のセルロースバリア層のセルロース繊維シートの主要な特性およびそれらが水頭に及ぼす影響も調査した。調査のために確認した主要な特性は、坪量、伸び率、湿潤/乾燥MD引張の比で測定される湿潤強度の程度、および空気透過性であった。この開示全体にわたり検討するように、坪量および空隙率は水頭に影響を及ぼす。伸び率と湿潤引張の間では伸び率のみが顕著であることが示された。伸び率は、ピンホール欠陥を発生することなく伸長または折り畳み時に面内のひずみを収容する伸び率が大きいセルロースバリア層の能力により顕著であったと考えられた。Dunn tissueから商業的に製造されたドライクレープ加工されたティッシュペーパー、具体的にはグレード3207、3495、6327、3423、3335、3429、6407および3283を用いて、10gsmのスパンボンド上層および42gsmのスパンボンドバックシートを備えた積層体構造を製造した。積層体は、実験室においてKemira社のFennosize KD266 MBの形態で50倍希釈AKDで固形分が0.31%の溶液中で手処理した。積層体を卓上Emerson Speed Dryer上で4〜10分間、表面温度110〜125℃で乾燥して硬化させた。水頭試験では、一定割合の水で満たしたシリンダの底部にサンプル積層体を固定する。試験時には、水の圧力により積層体サンプルが水平面の外側に膨らむ。極端な場合には、シリンダの端部でのこの膨らみを原因とする応力は、サンプルが破れる原因となり得る。これは、試験したティッシュペーパーグレードなどの軽量材料に特に当てはまる。静水頭値に及ぼす平面から膨れ出たサンプルの影響を評価するために、試験サンプルの下にメッシュスクリーンを置いてサンプルを支持し面外への膨らみを防止して試験を実施した。表4は、検討した様々なティッシュペーパーグレードについて、サンプルが支持されていない通常の水頭試験と、サンプルが支持された改変水頭試験とにおける、水頭の結果を示す。この開示の目的に関しては、伸び率または%伸びは、「伸び率試験法」という標題の項Jに記載のように「Tensile properties of paper and paperboard (using constant rate of elongation apparatus)」という標題のTAPPI/ANSI Standard T-494 om-13を用いて測定される。伸び率12％以下で測定されたクレープ加工の程度が低いサンプルは、サンプルが支持された場合に、支持されていない場合と比べて水頭の増加を示す。これは、より高い伸び率を与えるのに十分な程度のクレープ加工が、吸収性物品の使用中に積層体が引き伸ばされた場合に耐水性の損失を防止するのに有益であり得ることを示唆している。

（表４）様々なグレードのティッシュペーパーを備えた10gsmのスパンボンド上層および42gsmのスパンボンドバックシートで作製した積層体の静水頭

4. 二層積層体試作品
三層積層体を形成させ該積層体を化学的に処理してセルロース層を疎水性にするプロセスは複雑であるため、セルロース繊維シートの形成時にサイジング化学薬品を加えることを検討した。高い水頭および高い空気透過性の両方を提供するのに必要な孔構造を作成するために異なる組み合わせの繊維完成紙料を用いて市販の長網抄紙機でセルロースシートを調製した。比較的開放的な構造の繊維シートを提供するために、漂白した北部針葉樹クラフトを主な完成紙料成分として用いた。繊維シートの嵩を増やし、空気透過性を増加させる目的で構造をさらに開放するために、苛性処理した針葉樹繊維、具体的にはGP cellulose社のHPZ (L1)の添加を用いた。孔径を減少させピンホール型の欠陥を減少させるのに役立つが空気透過性をもたらすには十分な細孔をなお有するために、シート構造における開放空間を埋め得る微細で均一な繊維源としてユーカリ繊維を用いた。サイジング化学薬品であるKemira社のFennosize KD266 MB AKDをシート形成前に繊維スラリーに加えた。添加速度は、2〜10ドライlb/トンで変動させた。8ドライlb/トンつまり0.004g/gを上回る添加速度では、紙の水接触角は90度を上回っており、繊維シートが疎水性であることが分かった。湿潤紙力増強化学薬品であるKemira社のFennostrength 4063を2ドライlb/トンでシートを形成する前に繊維スラリーに加えた。紙は32.5 gsmの坪量で作製した。同じレベルの化学処理であっても完成紙料組成のバリエーションによって空気透過性および水頭の両方に変化をもたらすことが見出された。

表5は、異なる繊維タイプの5つの異なる混合物で作製した紙のシートの結果を示す。これらの紙はすべて、8 lb/トンのAKDを用いて製造され、90度を超える接触角を有する。反射率65％を用いるTAPPI/ANSI Standard T-530 om-12によって規定されるHerculesサイズ度試験（この規格はその全体において参考により組み入れられる）を用いてサイジングの程度も測定した。試験前に100℃のオーブンで5分間、試験サンプルを熟成させた。HST値は概して1000秒を超え、サイジングの程度が高いことを示した。HPZ繊維の量を増やして使用すると静水頭の低下を伴った空気透過性の増加という予測された影響があった。また予想されるように、HPZ繊維使用量と同様のレベルにユーカリ繊維の量が増加すると、静水頭は増加したが空気透過性は低下した。これらの結果は、ユーカリ繊維が格子構造内のより広い空間を埋める北部針葉樹およびGP cellulose社のHPZ (L1)を伴う開放格子構造を作成した概念モデルと一致している。

（表５）シート形成前に繊維スラリーにAKDを加えた、北部針葉樹クラフト、HPZ、およびユーカリ繊維の種々の組み合わせで作製した紙のサイジングレベル、水頭、および空気透過性

表6は、様々な完成紙料条件で作製した紙に対するピンホール試験の結果をまとめたものであり、このピンホール試験は「液柱ピンホール試験法」という標題の項Fに規定した液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法を用いて完了し、この試験方法は重りというよりもむしろ水柱で圧力を加える。各条件について9回分の試験を行って、ピンホール性能のさらなる全体像を提供した。概して、ピンホールは、材料の孔径または接触角が水の浸透を防止するには不十分であるために発生し得るか、または材料における全体的な孔径分布とは無関係な材料における局所的な欠陥のために発生し得る。複数回分の試験を行うことにより、紙サンプルにおける局在的な欠陥を確認する能力が高まる。全ての紙が非常に良好なピンホール性能を示し、9つのサンプルのうちの少なくとも8つが800mmの水でピンホールがゼロであった。サンプルのうちの1つがピンホールで破損した2つの紙は、400mmの水という低い圧力でそうなったが、これは恐らく紙の局所的な欠陥であり全体的な紙の構造を反映していないことを示している。驚くべきことに、材料は水頭値に基づいて予想されたものよりも高い圧力でピンホールがなかった。濡れた吸収性コアを模倣するために試験で用いた飽和したペーパータオルからの水分の一部は水蒸気の形態で紙の中に拡散し、セルロース繊維によって吸収されて試験の間にわたって膨潤する原因になり、これによって材料の有効孔径が低減すると考えられる。これは、合成材料と比べたセルロース層の潜在的な利点を表している可能性がある。

（表６）北部針葉樹クラフト、HPZ、およびユーカリ繊維の種々の組み合わせで作製した紙についてのピンホール試験結果

表5および表6における試作紙は、オンマシンでのドライクレープ加工をせずに従来の長網抄紙機上で製造した。前述のように、ティッシュペーパーをセルロースシートとして用いる潜在的利点のうちの1つは、市販のティッシュペーパーに付与されたクレープ加工であり、折り畳まれたかまたは伸長された吸収性製品におけるピンホール形成を防止しより布様の触感を有する可能性を有する伸長度をもたらす。オンマシンでのクレープ加工をせずに製造された紙は、三層積層体を製造するときに用いられる市販のティッシュペーパーよりもドレープが少なく顕著に硬く取り扱いの際に音が大きかった。これらの制限を克服するために、30%ユーカリ/20%HPZ/50%北部針葉樹で作製した紙を、49％の伸長および53％の伸長という2つのレベルのクレープ加工までWalpole, MAのMicrexにてオフマシンプロセスでドライクレープ加工した。クレープ加工後の紙は、クレープ加工していない紙よりドレープが顕著に多く取扱い時に音がはるかに小さかった。ドライクレープ加工プロセスは、2つのレベルのクレープ加工についてシート坪量を32.5gsmから42gsmおよび44gsmまで高める結果になった。紙のドライクレープ加工が紙の空気透過性を高めるが、潜在的には静水頭および/またはピンホール性能を低下させることが予測された。

表7は、クレープ加工したおよびクレープ加工していない紙のFrazier空気透過性、水頭およびピンホール性能をまとめたものである。ピンホール試験には、「液柱ピンホール試験法」という標題の項Fに規定した液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法を用いて、先に行ったように、9回分の試験を行った。予想されたように、紙をクレープ加工することによって空気透過性が著しく増加した。意外にも、クレープ加工した紙はクレープ加工していない紙よりも高いレベルの水頭を有していた。さらに、クレープ加工した紙は、1000mmの水のレベルで、クレープ加工されていない紙と同等のピンホール性能を有していた。この結果は、クレープ加工プロセスは、水の浸透を防止する能力を低下させるような様式で紙の構造に顕著なダメージを与えることはないことを示している。クレープ加工による坪量および嵩の増加は、水が紙のシートを横断するにはより蛇行した経路をもたらし、結果として静水頭が増加すると推測される。

（表７）空気透過性、静水頭およびピンホール性能に及ぼす30%Euc/20%HPZ/50%SWで作製した紙のオフラインドライクレープ加工の影響

水頭の増加についての考えられる別の説明は、クレープ加工された紙の伸長性によるということもある。水頭試験では、サンプルは、一定割合の水で満たしたシリンダの底部に固定される。試験時には、水の圧力により紙のサンプルが水平面の外側に膨らむ。極端な場合には、シリンダの端部でのこの膨らみを原因とする応力は、サンプルが破れる原因となり得る。これは、試験した紙などの軽量材料に特に当てはまる。紙の破れの防止に役立つように、各層が水で100mm未満の非常に低い水頭を有する42gsmの不織布の2つの層の間にサンプルを挟むが、不織布で支持してもサンプルはなお面の外側に膨らむと考えられる。表4に関連して上に記載したように、サンプルが支持されていない通常の試験プロトコルおよび試験サンプルの下にメッシュスクリーンを置いてサンプルを支持し面外への膨らみを防止した支持試験プロトコルを用いて、さらなる材料を静水頭試験に供した。表8は、クレープ加工をしていない紙と伸び率49％までクレープ加工した紙の両方についての支持なしの場合および支持ありの場合の静水頭試験の結果を示す。クレープ加工していない紙については、サンプルが支持された場合の水頭値は、サンプルが支持されていない通常の水頭値とは統計的に有意に異なる（P<0.05）。クレープ加工した紙については統計的に有意な差はない。クレープ紙のより大きな伸び率は、水を通過させる開放領域を生じることなく水頭試験の圧力下で膨らむことがある。これは、水頭試験の停止点であるサンプルの濡らしていない側を通過して3滴の水が現われる前に水のmmで測定される水のレベルがより高くなる結果になるであろう。水を通過させることなくある程度の伸長に耐える能力は、使用時に伸長に晒される吸収性製品におけるクレープ加工された材料の漏れの防止において有効性が高いと解釈し得る。

（表８）クレープ加工したおよびクレープ加工していない紙についてサンプル支持のあるおよび無い場合の静水頭試験値の差

C. 使い捨て吸収性物品
上述のように、本発明のセルロース繊維層は、疎水性サイジングを含み、使い捨て吸収性物品において通気性バリア層として機能するように構成され得る。本発明の吸収性物品の一態様200を図6Aおよび6bに示す。この態様では、物品200は成人用ブリーフである。この態様では、物品200は、通気性バックシートアセンブリとして機能するように構成されている本発明の積層体10のうちの1つ、液体透過性トップシート204、トップシート204と積層体10の間に位置する吸収性コア208を含む。この態様では、吸収性コア208は、セルロース繊維材料および/または超吸収性ポリマー(SAP)粒子を含む。示した態様では、物品200は任意の捕捉分配層(ADL)212も含む。

示すように、積層体10は、バリア層14が支持層18の上方および内方にあり、支持層18が物品200の対応する部分の最も下側または最も外側の面を形成するように、トップシート204に結合される。例えば、積層体10は、接着剤、超音波接着、および/または使用時に物品が意図したように機能するのに十分な耐久性がある任意の他の接着方法または構造を介してトップシート204に接着されてもよい。別の態様において、および図2を参照して上に記載したように、物品200は、追加のバックシート層が物品の最外層を形成するように、支持層18の下方に層34のような追加のバックシート層をさらに含んでもよい。

本発明のセルロースバリア層および積層体が液体バリア層および/またはバックシートとして用いられる使い捨て吸収性物品の他の例は、乳児用オムツ、成人用パンツ型下着および尿取りパッド、ベッドパッド、女性用衛生用品、ならびに手術用ガウン、ドレープ、およびマスクを含む。本発明の積層体のいくつかの態様は、特定のタイプの使い捨て吸収性物品毎に特定の特性で構成される。例えば、下の表9に示すように、いくつかのタイプの使い捨て吸収性物品は、最小値の空気透過性、静水頭、およびピンホール性能の異なる組み合わせでより良好に機能することがある。表9に示す最小値のうち、セルロースバリア層自体が最小値の透過性および静水頭を有してもよく、かつ/または組み合わせた積層体が最小値の透過性および静水頭を有してもよい。逆に、表9に列挙する最小ピンホール性能は、より典型的には、少なくともセルロースバリア層および不織布支持層を含み、場合によっては1つまたは複数の追加の層または構成要素、例えば、図1Cの層30のような安定化層、図7Aの層216のような圧縮可能層、および/またはそのようなものを含む組み合わせた積層体のものである。表9のピンホール値は、「液柱ピンホール試験法」という標題の項Fに規定した液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法で得られる値に対応する。表9は、列挙した吸収性物品のいくつかの態様について液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法で得られる値を特定しているが、列挙した吸収性物品の他の態様が本開示に記載の他のピンホール試験方法のいずれか1つの下で特定のピンホール無しの性能値を有し得る。

（表９）吸収性物品タイプ毎の積層体構成

D. 本発明の疎水性セルロース繊維層、積層体、および使い捨て吸収性物品のさらなるバリエーション
吸収性製品における良好な性能のために十分な液体バリア特性を提供するためには、通気性バックシートにおいて比較的高い値の水頭を維持しなければならない。通気性バックシート積層体のためのより高い値の水頭は、概してそのピンホール性能を向上させるが、これらの値は必ずしも単純な様式で相関するものではない。水頭とピンホール性能の間の相関性に影響を及し得る要因を理解しようとする試みが、本発明のセルロースバリア層を含む積層体および吸収性物品の液体バリア特性を向上させるためのさらなるバリエーションにつながった。

1. 追加の圧縮可能層
本態様のいくつかでは、比較的軟質のまたは圧縮可能な層が、本発明のセルロースバリア層の内側または外側のいずれか、例えば、本発明のセルロースバリア層のうちの1つの直上および/または直下に配置される。このような追加の圧縮可能層が本発明のセルロースバリア層の液体バリア性能に影響を与え得る様式を図示するために、図5は、通気性バックシートの水頭と、製品を支持し加圧する表面の柔軟性とに応じて、ピンホール性能がどのように変化したかを、いくつかの吸収性製品、具体的には試作品ベッドパッド毎に示す。図5に示すデータを生成するために、(a)サンプルを軟質ゴム表面によって支持しつつ軟質ゴム表面によって圧力を加えた（「軟質/軟質」）；(b)サンプルを硬質ゴム表面によって支持しつつ軟質ゴム表面によって圧力を加えた（「軟質/硬質」）；および(c)サンプルを硬質ゴム表面によって支持しつつ硬質ゴム表面によって圧力を加えた（「硬質/硬質」）改変ピンホール試験法を用いた。この改変ピンホール試験法は「改変ピンホール試験法」という標題の項Gに記載されており、この試験法は、本開示の目的では、改変ピンホール（軟質-軟質）試験法、改変ピンホール（軟質-硬質）試験法、または改変ピンホール（硬質-硬質）試験法のいずれかを用いて、所与の水圧または水柱の下で材料がピンホールの無い状態を維持するかどうかを決定するための方法を説明している。

図5における試作品ベッドパッドは異なる通気性バックシートで作製した。製品は全て同じエアレイド吸収性コアを含有した。図中の「0」は、所与の圧力での10分間のピンホール試験において「ピンホール漏れがない」ことを示した。「4P」は、例えば、ピンホールが4つあったことを示し、「CS」は、漏れを確認するためにバックシートの外側に設置したティッシュペーパーの完全な飽和を示した。ピンホール性能は、予想どおり、バックシート積層体の水頭の増加に伴い向上した。驚くべきことに、ピンホール性能は、圧力を加えるために試験で用いた表面の柔軟性によっても影響を受けた。ピンホール性能は、スポンジゴムの2つの柔らかい表面の間で圧力が加えられた場合に最も良好であり、2つの硬いゴム表面の間で圧力が加えられた場合に最も悪かった。これらの群の各々において、ピンホール性能は、400〜800mm H₂Oの範囲にわたる静水頭の増加に伴って概して低下した。これらの所見は、バックシートの不均一な領域においてより硬い表面によって増幅された応力集中の結果である可能性がある。図5に示す例で示されるように、セルロースバリア層の内側または外側のいずれかに軟質の圧縮可能な材料を用いることによって、吸収性製品のピンホール性能が向上し得ることがわかったことは、驚きであった。

図5では、Cairpad（登録商標）およびポリバージョンをセルロースバリア層試作品の基準点として試験した。Cairpadベッドパッドは、気流治療ベッド向けに設計された市販のベッドパッドであり、Attendsによって製造されている。ポリバージョンは、42gsmの不織布バックシートと組み合わせたバリア層として、表2に関連して試験したものと同様の市販のMicroP「通気性」微孔性ポリフィルムを利用していた。試作品1は、図1Cの層30のような10gsmのスパンボンド不織布安定化層、図1Cの層14のような17gsmのクレープ加工されたティッシュペーパーバリア層、および図1Cの層18のような42gsmのスパンボンド不織布支持層を含む図1Cの積層体10bと同様の三層試作品を用いた。試作品2は、図1Cの層30のような10gsmのスパンボンド不織布安定化層、図1Cの層14のような36gsmのクレープ加工された紙バリア層、および図1Cの層18のような42gsmのスパンボンド不織布支持層を含む図1Cの積層体10bと同様の三層試作品を用いた。

積層体の下方に圧縮可能層があるものとないものの両方で、吸収性コアを含まない未処理のトップシートの下方の10/17/42試作品積層体に対して追加の試験を実施し、この結果を表10に示す。未処理のトップシートは、Fitesa（Simpsonville, South Carolina）製の12gsmの疎水性SSSスパンボンド不織布を含んでいた。圧縮可能層は、Texsus SpA（Pistoia, Italy）製の50gsmの高ロフトスルーエアーボンディング不織布、具体的にはATB NW Vortex 50gsmを2層含んでいた。これらの試験では、圧縮可能材料のシートは試験時に適用した液柱全体に及ぶ大きさであった。表10のピンホール試験は、「液柱ピンホール試験法」という標題の項Fに規定した液柱ピンホール（硬質-硬質）試験法を用いて完了した。

（表１０）圧縮可能層および性能に対する効果

追加の圧縮可能層は、ピンホール性能を向上させるのに特に効果的であることが示され、コアから出てきた液体の面内への拡散については、例えば400〜800mm H₂Oの範囲では圧力下では十分な自由体積を維持し得る。追加の圧縮可能層は、液体に通気性バックシートを通過させる吸収性コア内で発生し得る圧力の量を効果的に制限すると現在では考えられている。表10に反映される試験では、10/17/42積層体の不織布支持層の下方に圧縮可能層を設置することは、形成されている積層体に応じたものであり、圧縮可能層が不織布支持層の下方に配置されるということがなんらかの必要条件であるというよりむしろ利用可能である。どちらかといえば、本発明の積層体のいくつかの態様ではむしろ圧縮可能層を支持層とセルロースバリア層の間に配置するのがよい。

図7Aおよび図7Bは、厚さを有しその厚さの方向（図7Bの紙面の左右）に圧縮可能な材料のシートを含むそのような追加の圧縮可能層216を含む吸収性物品200aの例を示す。圧縮可能層216は、例えば、開口フィルム、高密度スルーエアーボンド不織布、第2のセルロース繊維層、および/または他の圧縮可能材料のうちの1つまたは複数を含んでもよい。圧縮可能層が第2のセルロース繊維層を含む場合、第2のセルロース繊維層はクレープ加工されていてもよい。この追加の圧縮可能層は、圧縮可能層がコアと同一の広がりを持たない場合、例えば、圧縮可能材料の小さなパッチのみが吸収性コアの中心の下または近傍に配置されている場合にも有効であり得る。例えば、図7Aに示すように、圧縮可能層216は積層体10の一部分のみおよびトップシート204の一部分のみに及ぶ。この態様では、圧縮可能層216は、使用時に最も高い割合で液体がバリア層に到達すると予想される位置に圧縮可能層が位置するように、尿が最も頻繁にトップシートに導入されることが予想される位置の下方に配置される。別の態様では、圧縮可能層は、バリア層と、コアと、および/またはトップシートと同一の広がりを持つ。圧縮可能層216は積層体10の構成要素として分類されないが、圧縮可能層は、本発明の積層体の構成要素として形成、例えば、吸収性物品の生産に先立ってバリア層14にまたはその上方に接着されてもよく、あるいは吸収性物品の生産時に加えられてもよい。

2. 追加のスペーサ層および/または支持層の特徴
本発明の積層体のいくつかでは、図1Aの層18のような支持層は、セルロースバリア層14、14aより外側に配置される。そのような態様では、支持層は、静水頭が200〜300mm H₂0の範囲である不織布を含み得る。これはバリア層の水頭よりも低いことがあるが、そのような支持層とバリア層との組み合わせは、バリア層のピンホール性能を向上させることが分かった。これは、点欠陥を囲む領域を支持することによってバリア層における点欠陥の影響を最小限にすることによってそうなると考えられる。

図2の積層体100などのいくつかの態様では、スペーサ層34もセルロースバリア層14と支持層（例えば18）の間に配置される。この構成では、スぺ−サ層は、セルロースバリア層における点欠陥またはピンホールを通過する液体を収容するための自由体積を提供するためのバリア層に面するスペーサ層の少なくとも1つの表面に空隙または隙間を備えた材料を含む。そのような空隙または隙間は、スペーサ層の厚さ全体を貫通している必要はない。そのようなスペーサ層は、水頭が僅か200〜300mm H₂Oの範囲のSMS不織布などの従来の不織布によって効果的に含有されるのに十分に低い圧力でスペーサ層に少量の漏れた液体を存在させ得る。例えば、支持層18は、そのような水頭値を備えた不織布を含み得る。いくつかの態様では、このようなスペーサ層は、液体を受け止め得る自由体積を提供するだけでなく、スペーサ層にわたる圧力降下をもたらす、例えば、バリア層の上側に加わる600mm H₂Oをスペーサ層の下側では400mm H₂Oまでに減少するように、材料を通過する液体の流れに対してある程度の抵抗をもたらす。好適なスペーサ層の例は、開口フィルム、スルーエアボンディング不織布、比較的より低い密度の他の不織布、および/または記載の様式で液体を受け止め得る空隙を含むかまたは画成する他の材料を含む。

3. 多シートセルロースバリア層
図1Bの積層体10aのような本態様のいくつかでは、セルロースバリア層は、セルロース繊維材料のシート、例えばシート26を2枚含む。このような態様では、2枚のシートのそれぞれは、例えば17gsmなどの比較的低い坪量を有し得る。セルロース繊維材料の個々のシートがそれぞれ高い水頭を生じさせるのに十分に小さな孔径分布を保有するが良好なピンホール性能には欠陥が多すぎる場合、１つに結合している2つ以上の層が、一方のシートにおける任意の1つの欠陥が他方のシートの欠陥と一直線に並ぶ可能性を低減することによって、ピンホールの無いセルロースバリア層を提供し得る。これらの2つ以上の層は、例えば、フィラメント状接着剤などの接着剤を介して1つに接着され得る。積層体を試作品ベッドパッドに組み込み、次いでサンプルをベッドパッドから取り外して、表11に記載の構成に積み重ねた。表11に示すように、シートが2枚のセルロースバリア層(17gsm-17gsm)を含有する積層体は、試作品ベッドパッドなどの吸収性物品へ層を集積する際に生じる損傷に関連すると現在では考えられているピンホール欠陥を低減するのに特に有効であった。

（表１１）積層体の層の組み合わせおよび性能に対する効果

4. 界面活性剤不含構造
本発明のセルロース繊維層の有効性は、生理食塩水または尿のような液体が吸収性物品を通ってバリア層の方に進むにつれて表面張力を低減しないように構成されている吸収性物品においてさらに向上され得る。オレフィン不織布トップシートや不織布またはフィルムADLを親水性にするために用いられる仕上げ剤は概して半耐久性の表面（界面）活性物質であり、吸収性製品の使用時に尿によって該物質から洗い流され得、尿の表面張力を低減し得る。表面張力が低減した尿は、少なくとも、低減した表面張力がピンホールを通過する流れに対する抵抗を低減するので、通気性バックシートの有効なピンホール性能を低減し得る。表面張力が低い液体は、低い圧力でより容易に疎水性セルロースバリア層を通過し得る。結果として、本発明のセルロースバリア層を備えた吸収性物品は典型的に、そのような物品のトップシートおよびADLが非耐久性または半耐久性の界面活性剤を含まない場合において向上した液体バリア性能を呈する。例えば、本発明の吸収性物品のいくつかの態様は、トップシート、含まれる場合にはADL、含まれる場合にはスペーサ層、または含まれる場合には圧縮可能層のうちの1つまたは複数には非耐久性界面活性剤および/または半耐久性界面活性剤を含まない。そのような態様では、トップシート、含まれる場合にはADL、含まれる場合にはスペーサ層、または含まれる場合には圧縮可能層のうちの1つまたは複数は、耐久性仕上げ剤または表面活性が比較的低い親水性物質を有する仕上げ剤を含み得る。

吸収性コアを含まない未処理のトップシートの下方および様々な処理をしたトップシートの下方の10/17/42試作品積層体に対して追加の試験を実施し、この結果を表12に示す。未処理のトップシートは、Fitesa製の12gsmの疎水性SSSスパンボンド不織布を含んでいた。表12における試作品番号4のトップシートは、同じくFitesa製の12gsmの親水性SSSスパンボンド不織布であり、Zschimmer and Schwartz（Lahnstein, Germany）製のLertisan HD 20/3を用いて不織布1グラム当たり0.003〜0.005グラムの付加量で仕上げ処理した。表12における試作品番号5のトップシートも、Fitesa製の12gsmの親水性SSSスパンボンド不織布であるが、Archer Daniels Midland（Decatur, Illinois）製のClarisoy 100の溶液を用いて不織布1グラム当たり0.012グラムの付加量で仕上げ処理した。これらの試験では、スペーサ層は試験時に適用した液柱全体に及ぶのに十分な大きさであった。表12のピンホール試験は、「液柱ピンホール試験法」という標題の項Fに規定した液柱ピンホール（硬質-硬質）試験法を用いて完了した。

（表１２）トップシート/コア処理の例および性能に対する効果

E. ピンホール試験法
このピンホール試験法は、材料の完全性を試験し他の材料と比較し得る手法の1つである。このピンホール試験法は、様々な力を付与し得る人体の圧力下にある濡れたコアの下方のバックシートを模倣している。

ピンホール試験方法は、次の設備および構成要素を利用する：
a. 5重量%イソプロパノールであり、22℃の温度で50±3mN/mの表面張力を有する、水道水-アルコール溶液；
b. 長さが220mm、幅が100mm、厚さが11mmであり、その2つの最大の表面の周辺端部が丸い、平らなポリカーボネート板；
c. 長さが300mmおよび幅が175mmである、試験する製品のサンプル；
d. 長さが350mmおよび幅が310mmであり、圧縮弾性率が7000±500Paであり、ポリフィルムで包まれている、軟質発泡ゴムパッド；
e. それぞれ長さが200mmおよび幅が75mmである、矩形のペーパータオル片；
f. 長さが少なくとも300mmおよび幅が少なくとも175mmである、ティッシュペーパー片；
g. それぞれ長さが305mmおよび幅が305mmの下面を有する400mm、600mm、および800mmの水頭を模倣する、重り；
h. タイマー；ならびに
i. ペーパータオルを水-アルコール溶液に浸すのに十分な大きさのトレイ。

ピンホール試験法は、以下の工程を、列挙した順序で進める：
a. 発泡パッドを卓上などの平らな水平の表面に置く。
b. ティッシュペーパーを発泡パッドの中央に置く。
c. 試験する製品サンプルをティッシュペーパーの中央に置く。
d. ペーパータオル片を水−アルコール溶液に浸す。
e. ペーパータオルをトレイから持ち上げ、滴下速度が5秒間隔まで遅くなるまで余分な溶液を滴下させる。
f. 濡らしたペーパータオルを、試験する製品サンプルの中央に置く。
g. 平らなポリカーボネート板を、濡らしたペーパータオルの中央に置く。
h. 適切な水頭重りを板の中央に置き、タイマーを10分にセットする。
i. 時間が経過したら、製品サンプルから重りを持ち上げる。
j. ペーパータオルの位置を製品サンプルに対して中央に維持しつつ、ペーパータオル、ポリカーボネート板、および製品サンプルをティッシュペーパーから持ち上げる。
k. 製品サンプルにおけるピンホールの数を示すティッシュペーパー上のウェットスポットの数を数え、結果を記録する。
ティッシュペーパーが完全に飽和する場合、その結果（「CS」）を記録するが、当該サンプルについてはプロセスを終了し、より大きな重りには進めない。工程a.〜k.は、まず400mmの水頭重りを用いて完了し、次いで各重り毎に新たな製品サンプルを用いて600mmの水頭および800mmの水頭重りのそれぞれについて繰り返す。

F. 液柱ピンホール試験法
この液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法および液柱ピンホール（硬質-硬質）試験法は、材料の完全性を試験し他の材料と比較し得るさらなる手法である。これらの液柱ピンホール試験法は、様々な力を付与し得る人体の圧力下にある濡れたコアの下方のバックシートを模倣している。

液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法は、次の設備および構成要素を利用する：
a. 5重量%イソプロパノールであり、22℃の温度で50±3mN/mの表面張力を有する、水道水-アルコール溶液；
b. 長さが305mmおよび幅が305mmおよびショアA硬度が30±3である、硬質ネオプレンゴムパッド；
c. 長さが150mm、幅が150mm、および厚さが11mmである、試験する製品のサンプル；
d. それぞれ直径が75mmである、円形のペーパータオル片2枚；
e. 長さが少なくとも160mmおよび幅が少なくとも160mmである、低多孔性ティッシュペーパー片；
f. 水道水の容器；
g. タイマー;
h. ペーパータオル片を水-アルコール溶液に浸すのに十分な大きさの小型トレイ；
i. ラボジャッキ；
j. リングスタンド2個；
k. 公称長が120cm(4フィート)および内径が10.5cmの水頭管；
l. 弾性があり、1000mmの水柱を支持するのに十分な引張強度および200〜600mmの範囲にわたって100mmの各水圧毎に水頭管の中央から3.25±0.3mm膨張するのに十分な弾性を有する、大型のゴム手袋からのような柔軟性のあるゴム袋；
m. 水頭管の端部にゴム袋を固定するために水頭管の周りに装着するのに十分な大きさのホースクランプ；
n. ポンプおよび、容器から水頭管まで達するのに十分な長さの配管；ならびに
o. チューブクランプ2個；ならびに
p. 大型のゴムバンド2個。

液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法は、以下の工程を、列挙した順序で進める：
a. リングスタンドを、それらが互いに平行になるように平面に置く。
b. チューブクランプを、それぞれ各リングスタンドの最上部に取り付ける。
c. 1つ目のゴムバンドを、水頭管の縁の周りに付ける。次いでゴム袋を、皺がないように確実にぴったりと管の端部に付け、次いで2つ目のゴムバンドを、管の縁の端部でゴム袋の外側の周りに付ける。次いでホースクランプを、ゴムバンド、ゴム袋、および縁の周りに締めつける。
d. 袋側を下にした水頭管を、水頭管の底部とリングスタンド土台の上部の間の隙間を20cmにして、ホースクランプ内に設置する。
e. ペーパータオル片を完全に沈ませるのに十分な量で、小型トレイにアルコール溶液を注ぐ。ペーパータオル片2枚を、一方がもう一方の上になるように重ね合わせて、完全に飽和するまで溶液に浸す。次いで、ペーパータオル片をトレイから持ち上げ、滴下速度が5秒間隔まで遅くなるまで、ペーパータオル片から余分な溶液を滴下させる。
f. 完全に下げたラボジャッキの中央に硬質ゴムパッドを置き、ティッシュペーパーを硬質ゴムパッドの中央に置き、製品サンプルの湿れたかまたは身体を向く側（もしあれば）を上に向けて製品サンプルをティッシュペーパーの中央に置き、飽和させたペーパータオル片を製品サンプルの中央に置く。
g. 硬質ゴムパッド、ティッシュペーパー、製品サンプル、及びペーパータオル片と共にラボジャッキを、サンプルおよびペーパータオルを管の下方の中央にした状態で水頭管アセンブリの直下に置く。
h. 一番上のペーパータオル片が水頭管の縁から1〜2mm下になるまでラボジャッキを上げる。ピンチポイントを避けるために、一番上のペーパータオル片および水頭管を接触させるべきではない。
i. 次いで、ポンプおよび管を用いて、水頭管における液柱の高さを毎秒100mmの速度で増加させるのに十分な流速で容器から水頭管に、水頭管における水位が400mmになるまで水道水を移動させる。
j. タイマーを10分にセットする。
k. 時間が経過したら、ラボジャッキを下げ、ペーパータオル片の位置を製品サンプルに対して中央に維持しつつ、ペーパータオル片および製品サンプルをティッシュペーパーから持ち上げる。
l. 製品サンプルにおけるピンホールの数を示すティッシュペーパー上のウェットスポットの数を数え、結果を記録する。
数える際にティッシュペーパーが完全に飽和している場合、その結果（「CS」）を記録するが、当該サンプルについてはプロセスを終了し、より大きな重りには進めない。工程a.〜l.を水頭管中の400mmの水を用いてまず完了し、次いで工程lでピンホールがない場合、製品サンプルおよびペーパータオル片を互いに対しておよび硬質ゴムパッドに対して中央にしてティッシュペーパー上に戻し、工程h.〜l.を水頭管中で600mm、800mm、および1000mmの各水位毎に繰り返す。600mmを超える高さには、水頭における水位を600mm以下にまで下げた後にラボジャッキを下げて製品サンプルおよびペーパータオル片を取り出してピンホールを数える。

液柱ピンホール（硬質-硬質）試験法は、以下を除いて液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法と同じ設備および構成要素を利用する：
a. 硬質ネオプレンゴムパッドの代わりに、長さが150mmおよび幅が150mmであるポリカーボネート板を用いる；
b. 直径が120mmである、円形ガラスフリット；および
c. 長さが少なくとも150mmおよび幅が少なくとも150mmである、プラスチックシートまたはポリフィルム。

液柱ピンホール（硬質-硬質）試験法は、以下の工程を、列挙した順序で進める:
a. リングスタンドをそれらが互いに平行になるように平面に置く。
b. チューブクランプをそれぞれ各リングスタンドの最上部に取り付ける。
c. 1つ目のゴムバンドを、水頭管の縁の周りに付ける。次いでゴム袋を、皺がないように確実にぴったりと管の端部に付け、次いで2つ目のゴムバンドを、管の縁の端部でゴム袋の外側の周りに付ける。次いでホースクランプを、ゴムバンド、ゴム袋、および縁の周りに締めつける。
d. 袋側を下にした水頭管を、水頭管の底部とリングスタンド土台の上部の間の隙間を20cmにして、ホースクランプ内に設置する。
e. ペーパータオル片を完全に沈ませるのに十分な量で小型トレイにアルコール溶液を注ぐ。ペーパータオル片2枚を、一方がもう一方の上になるように重ね合わせて、完全に飽和するまで溶液に浸す。次いで、ペーパータオル片をトレイから持ち上げ、滴下速度が5秒間隔まで遅くなるまでペーパータオル片から余分な溶液を滴下させる。
f. 完全に下げたラボジャッキの中央にポリカーボネート板を置き、ティッシュペーパーをポリカーボネート板の中央に置き、製品サンプルの湿れたかまたは身体を向く面（もしあれば）を上に向けて製品サンプルをティッシュペーパーの中央に置き、飽和させたペーパータオル片を製品サンプルの中央に置き、プラスチックシートをペーパータオル片の中央に置き、ガラスフリットをプラスチックシートの中央に置く。
g. ポリカーボネート板、ティッシュペーパー、製品サンプル、及びペーパータオル片と共にラボジャッキを、サンプルおよびペーパータオルを管の下方の中央にした状態で水頭管アセンブリの直下に置く。
h. ガラスフリットが水頭管の縁から1〜2mm下になるまでラボジャッキを上げる。ピンチポイントを避けるために、ガラスフリットおよび水頭管を接触させるべきではない。
i. 次いで、ポンプと管を用いて、液柱の高さを毎秒100mmの速度で増加させるのに十分な流速で容器から水頭管に水頭管内の水位が400mmになるまで水道水を移動させる。
j. タイマーを10分にセットする。
k. 時間が経過したら、ラボジャッキを下げ、製品サンプルに対してペーパータオル片、プラスチックシート、およびガラスフリットの位置を中央に維持しつつペーパータオル片、製品サンプル、プラスチックシート、およびガラスフリットをティッシュペーパーから持ち上げる。
l. 製品サンプルにおけるピンホールの数を示すティッシュペーパー上のウェットスポットの数を数え、結果を記録する。
数える際にティッシュペーパーが完全に飽和している場合、その結果（「CS」）を記録するが、当該サンプルについてはプロセスを終了し、より大きな重りには進めない。工程a.〜l.を水頭管中の400mmの水を用いてまず完了し、工程l.でピンホールがない場合、製品サンプル、ペーパータオル片、プラスチックシート、およびガラスフリットを次いで互いに対しておよびポリカーボネート板に対して中央にしてティッシュペーパー上に戻し、工程h.〜l.を水頭管中で600mm、800mm、および1000mmの各水位毎に繰り返す。600mmを超える高さには、水頭における水位を600mm以下にまで下げた後にラボジャッキを下げて製品サンプル、ペーパータオル片、プラスチックシート、およびガラスフリットを取り出してピンホールを数える。

G. 改変ピンホール試験法
この改変ピンホール試験法は、材料の完全性を試験し他の材料と比較し得る手法の1つである。この改変ピンホール試験法は、様々な力を付与し得る人体の圧力下にある濡れたコアの下方のバックシートを模倣している。

改変ピンホール試験法は、次の設備および構成要素を利用する：
a. 5重量%イソプロパノールであり、22℃の温度で50±3mN/mの表面張力を有する、水道水-アルコール溶液;
b. 長さが220mm、幅が100mm、厚さが11mmであり、その2つの最大の表面の周辺端部が丸い、平らなポリカーボネート板;
c. 長さが300mmおよび幅が175mmである、試験する製品のサンプル;
d. 長さが350mmおよび幅が310mmであり、圧縮弾性率が7000±500Paであり、ポリフィルムで包まれている、大型の軟質発泡ゴムパッド;
e. 長さが100mmおよび幅が225mmであり、圧縮弾性率が7000±500Paであり、ポリフィルムで包まれている、小型の軟質発泡ゴムパッド;
f. それぞれ長さが305mmおよび幅が305mmおよびショアA硬度が30±3である、硬質ネオプレンゴムパッド2個;
g. それぞれ長さが200mmおよび幅が75mmである、矩形のペーパータオル片;
h. 長さが少なくとも300mmおよび幅が少なくとも175mmである、ティッシュペーパー片;
i. それぞれ長さが305mmおよび幅が305mmの下面を有する400mm、600mm、および800mmの水頭を模倣する、重り;
j. タイマー;ならびに
k. ペーパータオルを水-アルコール溶液に浸すのに十分な大きさのトレイ。

改変ピンホール（軟質-軟質）試験法は、以下の工程を、列挙した順序で進める：
a. ポリフィルムに包まれた大型の発泡ゴムパッドを、卓上などの平らな水平の表面に置く。
b. ティッシュペーパーを発泡パッドの中央に置く。
c. 試験する製品サンプルをティッシュペーパーの中央に置く。
d. ペーパータオル片を水-アルコール溶液に浸す。
e. ペーパータオルをトレイから持ち上げ、滴下速度が5秒間隔まで遅くなるまで余分な溶液を滴下させる。
f. 濡らしたペーパータオルを、試験する製品サンプルの中央に置く。
g. ポリフィルムに包まれた小型の発泡ゴムパッドを、濡らしたペーパータオルの中央に置く。
h. 平らなポリカーボネート板を、小型の発泡ゴムパッドの中央に置く。
i. 適切な水頭重りをポリカーボネート板の中央に置き、タイマーを10分にセットする。
j. 時間が経過したら、製品サンプルから重りを持ち上げる。
k. ペーパータオル、小型の発泡ゴムパッド、ポリカーボネート板、および製品サンプルをティッシュペーパーから持ち上げる。
l. 製品サンプルにおけるピンホールの数を示すティッシュペーパー上のウェットスポットの数を数え、結果を記録する。
ティッシュペーパーが完全に飽和する場合、その結果（「CS」）を記録するが、当該サンプルについてはプロセスを終了し、より大きな重りには進めない。工程a.〜l.は、まず400mmの水頭重りを用いて完了し、次いで各重り毎に新たな製品サンプルを用いて600mmの水頭および800mmの水頭重りのそれぞれについて繰り返す。

改変ピンホール（軟質-硬質）試験法は、以下の工程を、列挙した順序で進める:
a. 1つ目の硬質ネオプレンゴムパッドを、卓上などの平らな水平の表面に置く。
b. ティッシュペーパーを1つ目の硬質ネオプレンゴムパッドの中央に置く。
c. 試験する製品サンプルをティッシュペーパーの中央に置く。
d. ペーパータオル片を水-アルコール溶液に浸す。
e. ペーパータオルをトレイから持ち上げ、滴下速度が5秒間隔まで遅くなるまで余分な溶液をペーパータオルから滴下させる。
f. 濡らしたペーパータオルを、試験する製品サンプルの中央に置く。
g. ポリフィルムに包まれた小型の発泡ゴムパッドを、濡らしたペーパータオルの中央に置く。
h. 平らなポリカーボネート板を小型の発泡ゴムパッドの中央に置く。
i. 適切な水頭重りをポリカーボネート板の中央に置き、タイマーを10分にセットする。
j. 時間が経過したら、製品サンプルから重りを持ち上げる。
k. ペーパータオル、小型の発泡ゴムパッド、ポリカーボネート板、および製品サンプルをティッシュペーパーから持ち上げる。
l. 製品サンプルにおけるピンホールの数を示すティッシュペーパー上のウェットスポットの数を数え、結果を記録する。
ティッシュペーパーが完全に飽和する場合、その結果（「CS」）を記録するが、当該サンプルについてはプロセスを終了し、より大きな重りには進めない。工程a.〜l.は、まず400mmの水頭重りを用いて完了し、次いで各重り毎に新たな製品サンプルを用いて600mmの水頭および800mmの水頭重りのそれぞれについて繰り返す。

改変ピンホール（硬質-硬質）試験法は、以下の工程を、列挙した順序で進める：
a. 硬質ネオプレンゴムパッドのうちの1つを、卓上などの平らな水平の表面に置く。
b. ティッシュペーパーを1つ目の硬質ネオプレンゴムパッドの中央に置く。
c. 試験する製品サンプルをティッシュペーパーの中央に置く。
d. ペーパータオル片を水-アルコール溶液に浸す。
e. ペーパータオルをトレイから持ち上げ、滴下速度が5秒間隔まで遅くなるまで余分な溶液を滴下させる。
f. 濡らしたペーパータオルを、試験する製品サンプルの中央に置く。
g. 2つ目の硬質ネオプレンゴムパッドを、濡らしたペーパータオルの中央に置く。
h. 平らなポリカーボネート板を、2つ目の硬質ネオプレンゴムパッドの中央に置く。
i. 適切な水頭重りを板の中央に置き、タイマーを10分にセットする。
j. 時間が経過したら、製品サンプルから重りを持ち上げる。
k. ペーパータオル、2つ目の硬質ネオプレンゴムパッド、ポリカーボネート板、および製品サンプルをティッシュペーパーから持ち上げる。
l. 製品サンプルにおけるピンホールの数を示すティッシュペーパー上のウェットスポットの数を数え、結果を記録する。
ティッシュペーパーが完全に飽和する場合、その結果（「CS」）を記録するが、当該サンプルについてはプロセスを終了し、より大きな重りには進めない。工程a.〜l.は、まず400mmの水頭重りを用いて完了し、次いで各重り毎に新たな製品サンプルを用いて600mmの水頭および800mmの水頭重りのそれぞれについて繰り返す。

H. 空気透過性試験法
本開示の目的に関しては、空気透過性は、ASTM D737-04「Standard Method for Air Permeability of Textile Fabrics」を用いてFrazier空気透過性として測定され、この規格はその全体において参考により組み入れられる。この試験方法は、平面状の材料の2つの表面間で所定の空気圧差の下で既知の領域を垂直に通過する空気流の速度を決定するために用いられる。この試験方法は、以下の工程を、列挙した順序で進める：
a. 製品サンプルを、試験前に温度が71±2°Fおよび相対湿度が65±2％の環境に少なくとも4時間置いて前処理する。
b. 端部からの漏れを最小限にするクランプおよび/またはシールで製品サンプルがテストヘッドに固定されるように、製品サンプルを市販の空気透過性試験機のテストヘッドに配置する。
c. 試験機をオンにし、製品サンプルにわたって125Paの圧力降下で製品サンプルを通じかつ垂直に安定的に空気を吸い込む。
d. 製品サンプルの空気透過性を試験機から読み取るかまたは流量計で測定する。

I. 静水頭試験法
本開示の目的に関しては、「水頭」または「HH」とも呼ばれることがある静水頭は、AATCC Test Method 127-2008「Water Resistance: Hydrostatic Pressure Test」を用いて測定され、この規格はその全体において参考により組み入れられる。この試験方法は、以下の工程を、列挙した順序で進める:
a. 試験する製品を、試験前に温度が71±2°Fおよび相対湿度が65±2%の環境に少なくとも4時間置いて前処理する。
b. 幅が200mmおよび長さが200mmの製品サンプルを、特定の試験機に合うように、市販の静水頭試験器に固定する。例えば、公称長が1200mmおよび内径が10.5cmである水頭管には、項Fに記載の様式で製品サンプルをゴムバンド2個およびホースクランプを介して管の下端に固定し得る。
c. 水をサンプルの上方に、例えば水頭管に、毎秒10mmの速度で、3滴の水がサンプルを通過し下方に滴下するまで加え、その時点での水柱の高さを記録する。

J. 伸び率試験法
この開示の目的に関しては、伸び率または%伸びは、「Tensile properties of paper and paperboard (using constant rate of elongation apparatus)」という標題のTAPPI/ANSI Standard T-494 om-13 を用いて測定し、この規格はその全体において参考により組み入れられる。この試験方法は、以下の工程を、列挙した順序で進める:
a. 幅が25±1mmおよび長さが、支点間距離が180±5mmの市販の引張り試験機の線接触クランプあご部でクランプされるのに十分な大きさである、製品サンプル。サンプルの長さは、例えば、230mmであってもよい。線接触あご部は、平面と円筒面との間または2つの円筒面の間にサンプルをクランプするものである。あご部のそれぞれの接触線は、±1°の角度内で互いに平行であり、サンプルの伸長時に0.5°を超えて変化せず、±1°の角度内で伸長または延伸方向にも垂直である。
b. 製品サンプルは、試験時にあご部に対する製品サンプルの滑りを抑えるのに十分なクランプ力を備えた市販の引張試験機の線接触クランプあご部の間でクランプされる。製品サンプルは、クランプされている間は製品サンプルに何ら目立ったたるみがないがひずみが生じないように、180±5mmの支点間距離でクランプされる。
c. あご部は、製品サンプルが破れるまで毎分25mmの速度で製品サンプルを伸長するように離間される。
d. 伸び率、すなわち開始長に対する長さの変化、を引張り試験機から読み取り記録する。

上記の明細書および実施例は、例示的な態様の構造および使用の完全な説明を提供する。ある程度の具体性と共に、または1つまたは複数の個別の態様を参照して特定の態様を記載したが、当業者であれば本発明の範囲から逸脱することなく開示の態様に多数の変更を加え得るであろう。よって、方法およびシステムの様々な例示的な態様は、開示した特定の形態に対する限定を意図するものではない。むしろ、それらは請求項の範囲内に入るすべての変形および選択肢を含み、示した以外の態様が図示した態様の特徴の一部またはすべてを含むことがある。例えば、要素は省略されるかまたは単一の構造物として組み合わされてもよく、かつ/または連結部が代用されてもよい。さらなる例として、請求項が特定のピンホール試験方法で得られるべきピンホール性能の値を特定していることがあるが、請求項に係る層、積層体、または物品の別の態様が、本開示に記載された別のピンホール試験方法のいずれか1つの下でピンホール無しの性能に関し請求項に係る値を有し得る。さらに、適切であれば、上に記載のいずれかの例の局面が記載のいずれか別の例の局面と組み合わされて、同等または異なる特性および/または機能を有し同じまたは異なる課題を解決するさらなる例を形成してもよい。同様に、上に記載の恩典および利点が1つの態様に関連することがあり、またはいくつかの態様に関連することがあると理解されるであろう。

請求項は、ミーンズ・プラス・ファンクションまたはステップ・プラス・ファンクションの限定を、そのような限定が「〜のための手段(means for)」または「〜のための工程(step for)」という表現を用いて所与の請求項において明示されていない限り、含むことを意図しておらず、また含むと解釈すべきではない。

Claims (22)

1. 通気性バックシートアセンブリであって、
   0.5ft³/分-ft²を超える空気透過性を有し、かつ、200mm H₂Oを超える静水頭を保持するように構成されている、疎水性サイジングを有するセルロース繊維バリア層；ならびに
   該バリア層の下方に位置し該バリア層に結合している、不織布を含む支持層
   を含み、
   該バリア層および該支持層が積層体を画成する、
   通気性バックシートアセンブリ。
2. 前記積層体が、液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法を用いた場合に400mm H₂Oで10分間ピンホールが無い状態を維持するように構成されている、請求項1記載の通気性バックシートアセンブリ。
3. 前記バリア層が、15グラム/平方メートル(gsm)〜45gsmの坪量を有する、請求項1記載の通気性バックシートアセンブリ。
4. 前記バリア層が、クレープ加工されている、請求項1記載の通気性バックシートアセンブリ。
5. 前記バリア層が、5%〜55%の伸び率を有する、請求項4記載の通気性バックシートアセンブリ。
6. 前記バリア層が、セルロース繊維材料のシートを2枚含み、各シートが15gsm〜20gsmの坪量を有する、請求項1記載の通気性バックシートアセンブリ。
7. 前記バリア層が、フィラメント状接着剤または熱接着によって前記支持層に接着されている、請求項1記載の通気性バックシートアセンブリ。
8. 前記支持層が、20gsm以下の坪量を有する、請求項1記載の通気性バックシートアセンブリ。
9. 前記支持層が、150mm H₂Oを超える静水頭を保持するように構成されているスパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(SMS)不織布を含む、請求項8記載の通気性バックシートアセンブリ。
10. 使い捨て吸収性物品であって、
    請求項1記載の通気性バックシートアセンブリ；
    液体透過性トップシート；ならびに
    セルロース繊維材料および/または超吸収性ポリマー(SAP)粒子を含む、該トップシートと該通気性バックシートアセンブリの間に位置する吸収性コア
    を含み、
    該通気性バックシートアセンブリが該トップシートに結合している、
    使い捨て吸収性物品。
11. 前記トップシートを通って前記バリア層へと進む生理食塩水または尿の表面張力を実質的に低減しないように構成されている、請求項10記載の使い捨て吸収性製品。
12. 前記吸収性物品が、前記吸収性コアと前記トップシートの間に配置されている捕捉分配層(ADL)をさらに含み、
    該ADLが、該ADLを通って前記バリア層へと進む生理食塩水または尿の表面張力を実質的に低減しないように構成されている、
    請求項11記載の使い捨て吸収性製品。
13. 前記通気性バックシートアセンブリが、厚さを有しかつその厚さの方向に圧縮可能である材料のシートを含む圧縮可能層をさらに含み、
    該圧縮可能層が、前記バリア層と前記コアの間または前記バリア層と前記支持層の間に配置されている、
    請求項10記載の使い捨て吸収性製品。
14. 前記圧縮可能層が、前記通気性バックシートアセンブリと同一の広がりを持たない、請求項13記載の使い捨て吸収性物品。
15. 前記物品が、失禁ブリーフを含み、
    前記バリア層が、0.5ft³/分-ft²を超える空気透過性を有し、かつ、600mm H₂Oを超える静水頭を保持するように構成されており、
    前記積層体が、液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法を用いた場合に800mm H₂Oで10分間ピンホールが無い状態を維持するように構成されている
    請求項10記載の使い捨て吸収性物品。
16. 前記物品が、パンツ型下着または尿取りパッドを含み、
    前記バリア層が、1.5ft³/分-ft²を超える空気透過性を有し、かつ、400mm H₂Oを超える静水頭を保持するように構成されており、
    前記積層体が、液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法を用いた場合に600mm H₂Oで10分間ピンホールが無い状態を維持するように構成されている
    請求項10記載の使い捨て吸収性物品。
17. 前記物品が、ベッドパッドを含み、
    前記バリア層が、1.5ft³/分-ft²を超える空気透過性を有し、かつ、400mm H₂Oを超える静水頭を保持するように構成されており、
    前記積層体が、液柱ピンホール（軟質-硬質）試験法を用いた場合に400mm H₂Oで10分間ピンホールが無い状態を維持するように構成されている
    請求項10記載の使い捨て吸収性物品。
18. 前記物品が、前記バリア層と前記支持層の間に配置されているスペーサ層をさらに含み、該スペーサ層が、該バリア層に面する該スペーサ層の少なくとも1つの表面に複数の空隙または隙間を含む、請求項10記載の使い捨て吸収性物品。
19. 前記スペーサ層が、前記通気性バックシートアセンブリと同一の広がりを持たない、請求項13記載の使い捨て吸収性物品。
20. 以下の工程を含む、使い捨て吸収性製品を作製する方法：
    液体透過性トップシートと、吸収性コアと、不織布支持層と、疎水性サイジングを有するセルロース繊維バリア層とを準備する工程；
    該吸収性コアが該トップシートと該バリア層の間に保持され、かつ該バリア層が該コアと該支持層の間に保持されるように、該トップシート、該バリア層、および該支持層を1つに結合する工程。
21. 捕捉分配層(ADL)を準備する工程；および
    該ADLが前記トップシートと前記吸収性コアの間に保持されるように、該ADLを該トップシートに結合する工程
    をさらに含む、請求項20記載の方法。
22. 前記トップシートおよび前記ADLが、該トップシートおよび該ADLを通って前記バリア層へと進む生理食塩水または尿の表面張力を実質的に低減しないように構成されている、請求項21記載の方法。

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