5.本発明の詳細な説明
本明細書で提供される方法は、部分的には、CRBNの発現レベルの別のタンパク質に対する比が、免疫調節化合物、例えば、レナリドミドでの治療に対するATL患者の応答性と相関するという発見に基づく。例えば、セクション6.2及び6.5に示されるように、レナリドミド応答性ATL細胞株は、非応答性ATL細胞株及び他の細胞株と比較して、CRBNのIKZF1に対する、及びCRBNのIKZF2に対するmRNA発現レベルの比が高い。
本明細書で提供される方法はまた、部分的には、ある特定のCRBN関連タンパク質の発現レベルが、免疫調節化合物、例えば、レナリドミドでの治療に対するATL患者の応答性と相関するという発見に基づく。例えば、セクション6.5に示されるように、レナリドミド応答性ATL細胞株は、IKZF2のmRNA発現レベルが極めて低い。
イカロスタンパク質ファミリーの3つのメンバー(イカロス、ヘリオス及びアイオロス)は、リンパ球発生の制御に関与する造血特異的転写因子である。これらは全て、クロマチン再構成に関連するジンクフィンガーDNA結合タンパク質に属する。
IKZF1(イカロスジンクフィンガー1、イカロスとも呼ばれる)は、胎児及び成人の造血リンパ系に限定的に発現し、リンパ球分化の制御因子として機能する。この遺伝子については、異なるアイソフォームをコードする、いくつかの選択的スプライシング転写バリアントが記載されている。全てのアイソフォームが、ヘテロまたはホモ二量体化及び他のタンパク質との相互作用に必要な2つのジンクフィンガーモチーフを含有する共通のC末端ドメインを有する。しかし、各アイソフォームは、DNAに結合し、核局在化シグナルを含有するN末端ジンクフィンガーモチーフの数が異なり、これにより、DNA結合特性を有するものと、有さないものが生じる。標的遺伝子プロモーター中の特定のコアDNA配列エレメントに対して高親和性結合を付与するのに必要な3つ以上のN末端ジンクモチーフを含有するアイソフォームはごくわずかである。非DNA結合アイソフォームは、細胞質中に多く認められ、優性阻害因子として機能すると考えられている。いくつかの優性阻害型アイソフォームの過剰発現は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)などのB細胞悪性腫瘍と関連付けられている。
IKZF2(イカロスジンクフィンガー2、ヘリオスとも呼ばれる)は、ホモ二量体または他のイカロスファミリーメンバーとヘテロ二量体を形成し、主に初期の造血発生において機能すると考えられている。
IKZF3(イカロスジンクフィンガー3、アイオロスとも呼ばれる)は、Bリンパ球増殖及び分化の制御において重要な転写因子である。イカロスもアイオロスもクロマチン再構成に関与し得る。Bリンパ球におけるアイオロスによる遺伝子発現の制御は、イカロスホモ二量体、イカロス/アイオロスヘテロ二量体及びアイオロスホモ二量体の連続的形成を必要とすると思われるため、複雑である。
したがって、ある特定の実施形態において、CRBNのIKZF1に対する比及び/またはCRBNのIKZF2に対する比を使用して、レナリドミド応答性ATL患者を選択すること、またはレナリドミドでの治療に対するATL患者の応答性を予測することができる。例えば、図1に示される一実施形態において、まず、患者からATL組織または細胞を単離することができ、次いで、CRBN、IKZF1及びIKZF2のRNA(全RNAまたはmRNA)を抽出及び定量することができ、CRBN/IKZF1及び/またはCRBN/IKZF2の比を算出することができる。上記比に基づいて、より高いCRBN/IKZF1及び/またはCRBN/IKZF2比を示す患者に、レナリドミドを投与することができる。いくつかの実施形態において、細胞は、抗CD4及び抗CD25抗体が結合された磁気ビーズにより単離される。HTLV−1陽性細胞の集団は、HTLV−1プロウイルスのpX領域に関するRT−PCR分析を使用して算出する。
他の実施形態において、IKZF2のmRNA発現レベルを使用して、レナリドミド応答性ATL患者を選択すること、またはレナリドミドでの治療に対するATL患者の応答性を予測することができる。
5.1 定義
本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、患者が特定のがんに罹患している間に行われる行為であって、がんの重症度を軽減するか、またはがんの進行を遅延もしくは減速させる行為を指す。
ある化合物による治療に関して言及される場合の「感受性」または「感受性がある」という用語は、治療対象の腫瘍または疾患の進行を軽減または減少することにおける、当該化合物の有効性の度合いを指す相対的な用語である。例えば、ある化合物と関連した細胞または腫瘍の治療に関して使用される場合の「感受性の増加」という用語は、当該化合物治療の有効性の少なくとも5%またはそれ以上の増加を指す。
本明細書で使用されるとき、「セレブロン関連タンパク質」または「CAP」という用語は、セレブロン(CRBN)自体、または直接的もしくは間接的にCRBNと相互作用するか、もしくはCRBNに結合するタンパク質を指す。例えば、この用語は、CRBNに直接結合する任意のタンパク質、及びCRBN経路の間接的な下流エフェクターである任意のタンパク質を指す。ある特定の実施形態において、「セレブロン関連タンパク質」または「CAP」は、CRBNの基質、例えば、CRBNを伴うE3ユビキチンリガーゼ複合体のタンパク質基質またはその下流基質である。一実施形態において、本明細書中に記載されるCAPとは、「イカロス」としても知られるIKZF1などのCRBNの基質である。別の実施形態において、本明細書中に記載されるCAPとは、「ヘリオス」としても知られるIKZF2などのCRBNの基質である。更に別の実施形態において、本明細書中に記載されるCAPとは、「アイオロス」としても知られるIKZF3などのCRBNの基質である。ある特定の実施形態において、「セレブロン関連タンパク質」または「CAP」は、CRBNが結合するタンパク質である。
本明細書で使用されるとき、「化合物」及び「治療化合物」という用語は、区別なく使用され、免疫調節化合物または免疫調節薬を含む。本明細書で使用されるとき、「免疫調節化合物」または「免疫調節薬」という用語は、通常、何らかの方法で免疫応答を変更することができる分子または作用物質を指す。免疫調節化合物の非限定的な例としては、以下のセクション5.6に記載のものが挙げられる。
本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、化合物の「治療上有効な量」という用語は、がんの治療もしくは管理において治療上の利益をもたらし、またはがんの存在に伴う1つ以上の症状を遅延させ、もしくは最小限にするのに十分な量である。化合物の治療上有効な量は、がんの治療または管理に治療上の利益をもたらす、治療薬単独の量または他の療法と組み合わせた治療薬の量を意味する。「治療上有効な量」という用語は、治療法全体を改善し、がんの症状もしくは原因を軽減もしくは回避し、または別の治療薬の治療有効性を向上させる量を包含し得る。この用語はまた、研究者、獣医、医師または臨床医が追求している、生物学的分子(例えば、タンパク質、酵素、RNAまたはDNA)、細胞、組織、系、動物もしくはヒトの生物学的または医学的応答を誘起するのに十分な化合物の量を指す。
治療に関して使用される場合の「応答性」または「応答する」という用語は、治療対象の疾患、例えば、ATLの症状を軽減または低減することにおける、治療の有効性の度合いを指す。例えば、細胞または対象の治療に関して使用される場合の「応答性の増加」という用語は、当該技術分野において知られている任意の方法を使用して測定したときの、当該疾患の症状を軽減または低減することにおける、当該治療の有効性の増加を指す。ある特定の実施形態において、有効性の増加は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%または少なくとも約50%である。
本明細書で使用されるとき、「有効的な対象応答」、「有効的な患者応答」または「有効的な患者腫瘍応答」という用語は、患者に対する治療上の利益の何らかの増加を指す。「有効的な患者腫瘍応答」は、例えば、約5%、約10%、約25%、約50%または約100%の腫瘍の進行速度の減少であり得る。「有効的な患者腫瘍応答」は、例えば、約5%、約10%、約25%、約50%または約100%の腫瘍の身体的症状の軽減であり得る。「有効的な患者腫瘍応答」はまた、例えば、遺伝子発現、細胞数、アッセイ結果、腫瘍サイズなどの任意の好適な手段によって判断したときの約5%、約10%、約25%、約50%、約100%、約200%またはそれ以上の患者の応答増加であり得る。
がんまたはがん関連疾患の改善は、完全奏効または部分奏効として特徴付けることができる。「完全奏効」は、あらゆる過去の異常なX線撮影検査、骨髄及び脳脊髄液(CSF)または異常なモノクローナルタンパク質の測定値が正常化した状態であり、臨床的に検出可能な疾患がないことを指す。「部分奏効」は、新規病変がなく、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90%の全ての測定可能な腫瘍量(すなわち、対象に存在する悪性細胞の数、腫瘤の測定体積または異常なモノクローナルタンパク質の量)の減少を指す。「治療」という用語は、完全奏効及び部分奏効の両方を企図する。
「可能性」または「可能性がある」という用語は、通常、ある事象の確率の増加を指す。患者腫瘍応答の有効性に関して使用される場合の「可能性」または「可能性がある」という用語は、通常、腫瘍進行または腫瘍細胞成長の速度が減少する確率が増加することを企図する。患者腫瘍応答の有効性に関して使用される場合の「可能性」または「可能性がある」という用語はまた、通常、腫瘍治療における進展の増大の証拠となり得る、mRNAまたはタンパク質発現などの指標の増加を意味し得る。
「予測する」という用語は、通常、事前に決定または言及することを意味する。例えば、がん治療の有効性を「予測する」ために使用されるとき、「予測する」という用語は、がん治療の転帰の可能性について、治療が開始される前、または治療期間が実質的に進行する前に、最初に決定することができることを意味する。
「モニタリングする」という用語は、本明細書で使用されるとき、通常、ある活性の監視、監督、管理、観察、追跡または注視することを指す。例えば、「化合物の有効性をモニタリングする」という用語は、患者または腫瘍細胞培養物におけるがん治療の有効性を追跡することを指す。同様に、「モニタリング」という用語は、個人または臨床試験のいずれかにおいて、患者コンプライアンスに関連して使用される場合、患者が実際に試験薬物を処方のとおりに服用していることを追跡または確認することを指す。モニタリングは、例えば、バイオマーカーのmRNAまたはタンパク質の発現を追跡することによって、実施することができる。
「腫瘍」という用語は、本明細書で使用されるとき、悪性か良性かを問わず、全ての新生物性細胞の成長及び増殖、ならびに全ての前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。「新生物性」は、本明細書で使用されるとき、悪性か良性かを問わず、異常な組織成長をもたらす、あらゆる形態の調節不全または無秩序な細胞成長を指す。したがって、「新生物性細胞」には、調節不全または無秩序な細胞成長を有する、悪性細胞及び良性細胞が含まれる。
本明細書で使用される「制御する」という用語は、分子の活性または生物学的機能を制御すること、例えば、当該活性または機能を向上させ、または低減させることを指す。
「がん」及び「がん性」という用語は、典型的に、無秩序な細胞成長を特徴とする哺乳動物の生理学的状態を指すか、または当該状態を記載するものである。がんの例には、血液性腫瘍(例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫及び白血病)及び固形腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
「難治性または抵抗性」という用語は、患者が、集中的な治療の後でさえ、そのリンパ系、血液及び/または造血組織(例えば、骨髄)中に残存するがん細胞(例えば、リンパ腫細胞)を有する状況を指す。
「生物学的マーカー」または「バイオマーカー」は、その検出が、例えば、がんの存在などの特定の生物学的状態を示す物質である。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、個別に決定することができる。他の実施形態において、いくつかのバイオマーカーは、同時に測定することができる。
いくつかの実施形態において、「バイオマーカー」は、疾患のリスクもしくは進行、または所与の治療に対する疾患の感受性と相関し得る、mRNA発現のレベルにおける変化を示す。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、mRNAまたはcDNAなどの核酸である。
更なる実施形態において、「バイオマーカー」は、疾患のリスクもしくは進行、または治療に対する患者の感受性と相関し得る、ポリペプチドまたはタンパク質発現のレベルの変化を示す。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、ポリペプチドもしくはタンパク質またはその断片であり得る。特定のタンパク質の相対レベルは、当該技術分野において知られている方法によって決定することができる。例えば、免疫ブロット、酵素結合免疫吸着法(ELISA)などの抗体による方法または他の方法を使用することができる。
本明細書中で区別なく使用される「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、ペプチド結合を介して連結された、一続きの3つ以上のアミノ酸の重合体を指す。「ポリペプチド」という用語は、タンパク質、タンパク質断片、タンパク質類似体及びオリゴペプチドなどを含む。本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語はまた、ペプチドも指し得る。ポリペプチドを構成するアミノ酸は、天然由来であってもよいし、合成されたものであってもよい。ポリペプチドは、生体試料から精製することができる。ポリペプチド、タンパク質またはペプチドは、修飾されたポリペプチド、タンパク質及びペプチド、例えば、糖ポリペプチド、糖タンパク質もしくは糖ペプチド、またはリポポリペプチド、リポタンパク質もしくはリポペプチドも包含する。
本明細書中で区別なく使用される「抗体」、「免疫グロブリン」または「Ig」という用語は、完全に組み立てられた抗体、及び抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体断片を包含する。本明細書中に記載される抗体は、合成抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え産生された抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、単鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、ラクダ化抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体及び上記のいずれかのエピトープ結合断片が挙げられるが、これらに限定されない。特に、本明細書中に記載される抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位(例えば、抗CRBN抗体の1つ以上の相補性決定領域(CDR))を含有する抗原結合ドメインまたは分子を含む。本明細書中に記載される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)または任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)のものであってよい。いくつかの実施形態において、抗CRBN抗体は、完全ヒト抗体、例えば、完全ヒトモノクローナルCRBN抗体である。ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される抗体は、IgG抗体またはそのサブクラス(例えば、ヒトIgG1またはIgG4)である。
「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、「抗原結合断片」という用語及び類似の用語は、抗原と相互作用し、かつ抗原に対する特異性及び親和性を結合因子に付与するアミノ酸残基を含む抗体の部分(例えば、CDR)を指す。抗原結合領域は、齧歯類(例えば、ウサギ、ラットまたはハムスター)及びヒトなどの任意の動物種に由来し得る。いくつかの実施形態において、抗原結合領域は、ヒト起源である。
抗体の「定常領域」または「定常ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、Fc受容体との相互作用などの種々のエフェクター機能を呈する軽鎖及び重鎖のカルボキシ末端部分を指す。この用語は、免疫グロブリンのもう一方の部分である、抗原結合部位を含有する可変ドメインと比べて、より保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の部分を指す。定常ドメインは、重鎖のCH1、CH2及びCH3ドメインと、軽鎖のCLドメインとを含有する。
本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、抗体の1つ以上の抗原結合領域に結合することができ、哺乳動物(例えば、ヒト)などの動物において抗原性または免疫原性活性を有し、かつ免疫応答を惹起することができる、抗原の表面上に局在する領域を指す。免疫原性活性を有するエピトープは、動物において抗体応答を惹起するポリペプチドの部分である。抗原性活性を有するエピトープは、当該技術分野においてよく知られている任意の方法によって、例えば、本明細書に記載される免疫測定法によって決定したとき、抗体が免疫特異的に結合するポリペプチドの部分である。抗原性エピトープは、必ずしも免疫原性である必要はない。エピトープは、通常、アミノ酸または糖側鎖などの化学的に活性な分子の表面群からなり、特定の三次元構造特性及び特定の電荷特性を有する。エピトープに寄与するポリペプチドの領域は、ポリペプチドの連続するアミノ酸である場合もあれば、エピトープは、ポリペプチドの2つ以上の非連続領域から生じる場合もある。エピトープは、抗原の三次元表面特徴であってもよいし、そうでなくてもよい。
「完全ヒト抗体」及び「ヒト抗体」という用語は、本明細書中で区別なく使用され、ヒト可変領域、いくつかの実施形態においてはヒト定常領域を含む抗体を指す。具体的な実施形態において、これらの用語は、ヒト起源の可変領域及び定常領域を含む抗体を指す。「完全ヒト抗体」という用語は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242(5th ed.1991)に記載されているようなヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に相当する可変領域及び定常領域を有する抗体を含む。
「組換えヒト抗体」という語句は、組換え手段によって調製、発現、作製もしくは単離されたヒト抗体、例えば、宿主細胞にトランスフェクトした組換え発現ベクターを使用して発現された抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関して遺伝子導入及び/もしくは染色体導入された動物(例えば、マウスまたはウシ)から単離された抗体(例えば、Taylor et al.,Nucl.Acids Res.1992,20:6287−6295参照)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライスすることを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作製もしくは単離された抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有し得る。Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242(5th ed.1991)を参照されたい。しかしながら、ある特定の実施形態において、このような組換えヒト抗体は、in vitro変異導入(あるいは、ヒトIg配列を遺伝子導入した動物が使用される場合はin vivo体細胞変異導入)を受けるため、組換え抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系重鎖可変配列及び軽鎖可変配列に由来し、かつ関連する場合でも、in vivoのヒト抗体生殖細胞系レパートリー内に天然に存在しない可能性がある配列である。
抗体に関して使用される場合の「重鎖」という用語は、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)及びミュー(μ)と呼ばれる5つの異なるタイプを指す。これらの重鎖の異なるタイプは、よく知られており、それぞれIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つのクラスの抗体を生じ、IgGの4つのサブクラス、すなわち、IgG1、IgG1、IgG3及びIgG4を含む。いくつかの実施形態において、重鎖は、ヒト重鎖である。
「Kabatナンバリング」という用語及び類似の用語は、当該技術分野において認識されており、抗体の重鎖及び軽鎖可変領域またはその抗原結合部分中の他のアミノ酸残基よりも可変性(すなわち、超可変)であるアミノ酸残基をナンバリングするシステムを指す。Kabat et al.,Ann.NY Acad.Sci.1971,190:382−391、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242(5th ed.1991)。重鎖可変領域の場合、超可変領域は、典型的に、CDR1がアミノ酸位置31〜35、CDR2がアミノ酸位置50〜65、CDR3がアミノ酸位置95〜102の範囲に及ぶ。軽鎖可変領域の場合、超可変領域は、典型的に、CDR1がアミノ酸位置24〜34、CDR2がアミノ酸位置50〜56、CDR3がアミノ酸位置89〜97の範囲に及ぶ。当業者であれば、他のナンバリングスキームを容易に理解するであろう。
抗体に関して使用される場合の「軽鎖」という用語は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)またはラムダ(λ)と呼ばれる2つの異なるタイプを指す。軽鎖アミノ酸配列は、当該技術分野においてよく知られている。ある特定の実施形態において、軽鎖は、ヒト軽鎖である。
「モノクローナル抗体」という用語は、均一または実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、各モノクローナル抗体は、典型的に、抗原上の単一のエピトープを認識する。いくつかの実施形態において、本明細書で使用される「モノクローナル抗体」は、単一のハイブリドーマまたは他の細胞によって産生される抗体であり、この抗体は、例えば、ELISA、または当該技術分野において知られているもしくは本明細書中に記載される実施例中の他の抗原結合アッセイもしくは競合結合アッセイによって決定されるエピトープにのみ免疫特異的に結合する。「モノクローナル」という用語は、任意の特定の抗体作製方法に限定されない。例えば、本明細書中に記載されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature 1975,256:495−497に記載されているようなハイブリドーマ方法によって作製されてもよいし、本明細書に記載される技術を使用してファージライブラリから単離されてもよい。クローン細胞株及びこれにより発現されるモノクローナル抗体の他の調製方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、Short Protocols in Molecular Biology,Chapter 11(Ausubel et al.,eds.,John Wiley and Sons,New York,5th ed.2002)を参照されたい。他のモノクローナル抗体を作製する他の例示的な方法については、本明細書中の実施例に記載される。
本明細書で使用される「ポリクローナル抗体」は、多数のエピトープを有するタンパク質に対する免疫原性応答で生成された抗体集団を指し、そのため、タンパク質中の同じエピトープまたは異なるエピトープを指向する種々の異なる抗体を含む。ポリクローナル抗体を作製するための方法は、当該技術分野において知られている。例えば、Short Protocols in Molecular Biology,Chapter 11(Ausubel et al.,eds.,John Wiley and Sons,New York,5th ed.2002)を参照されたい。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体間で配列が大幅に異なり、かつ特定の抗原に対する各抗体の結合特異性を付与する、典型的に、重鎖のアミノ末端の約120〜約130アミノ酸及び軽鎖のアミノ末端の約100〜約110アミノ酸の範囲に及ぶ、抗体の軽鎖または重鎖の一部を指す。配列の可変性は相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中しており、一方、可変ドメイン中のより保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。軽鎖及び重鎖のCDRは、主に、抗体と抗原との相互作用を担う。本明細書で使用されるアミノ酸位置のナンバリングは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242(5th ed.1991)に記載のKabatナンバリングに従う。いくつかの実施形態において、可変領域は、ヒト可変領域である。
本明細書で使用される「発現される」または「発現」という用語は、遺伝子の2本の核酸鎖のうちの一方の領域と少なくとも部分的に相補的であるRNA核酸分子を与える、遺伝子からの転写を指す。本明細書で使用される「発現される」または「発現」という用語はまた、タンパク質、ポリペプチドまたはその部分を与える、RNA分子からの翻訳も指す。
「レベル」という用語は、バイオマーカー分子の量、蓄積または割合を指す。レベルは、例えば、遺伝子によってコードされたメッセンジャーRNA(mRNA)の合成量もしくは合成率、遺伝子によってコードされたポリペプチドもしくはタンパク質の合成量もしくは合成率、または細胞もしくは生体液中に蓄積された生物学的分子の合成量もしくは合成率によって表すことができる。「レベル」という用語は、定常状態または非定常状態の条件下で決定される、試料中の分子の絶対量または分子の相対量を指す。
「上方制御」されるmRNAは、通常、所与の治療または条件下で増加する。「下方制御」されるmRNAは、通常、所与の治療または条件に応答して、mRNAの発現レベルが減少することを指す。場合によっては、mRNAレベルは、所与の治療または条件によって変化しないままである場合もある。患者試料由来のmRNAは、薬物で治療したとき、非治療対照群と比較して、「上方制御」され得る。この上方制御は、例えば、比較対照mRNAレベルに対して、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約500%、約1,000%、約5,000%またはそれ以上の増加であり得る。あるいは、mRNAは、ある特定の化合物または他の作用物質の投与に応答して、「下方制御」され得、すなわち、より低いレベルで発現され得る。下方制御されたmRNAは、例えば、比較対照mRNAレベルに対して、約99%、約95%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約1%またはそれ以下のレベルで存在し得る。
同様に、患者試料由来のポリペプチドまたはタンパク質バイオマーカーのレベルについても、薬物で治療したとき、非治療対照群と比較して、増加し得る。この増加は、比較対照タンパク質レベルに対して、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約500%、約1,000%、約5,000%またはそれ以上であり得る。あるいは、タンパク質バイオマーカーのレベルは、ある特定の化合物または他の作用物質の投与に応答して、減少し得る。この減少は、例えば、比較対照タンパク質レベルに対して、約99%、約95%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約1%またはそれ以下のレベルで存在し得る。
本明細書で使用される「決定する」、「測定する」、「evaluating(評価する)」、「assessing(評価する)」及び「アッセイする」という用語は、通常、任意の形態の測定を指し、ある要素が存在するか否かを決定することを含む。これらの用語は、定量的決定及び/または定性的決定を含む。評価は、相対的であっても絶対的であってもよい。「〜の存在を評価する」とは、それが存在するか存在しないかを決定するだけでなく、存在する何らかの量を決定することも含み得る。
「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、または合成的に作製された化合物から構成される任意の長さの重合体を記述するために本明細書で区別なく使用され、2つの天然核酸がハイブリダイズするのと同様に、天然核酸と配列特異的にハイブリダイズし得、例えば、ワトソンクリック塩基対相互作用に関与することができる。ポリヌクレオチド配列との関係で本明細書で使用されるとき、「複数の塩基」(または「塩基」)という用語は、「複数のヌクレオチド」(または「ヌクレオチド」)、すなわち、ポリヌクレオチドの単量体サブユニットと同義である。「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語は、既知のプリン塩基及びピリミジン塩基を含有する部分だけでなく、修飾を受けた他の複素環式塩基を含有する部分も包含することが意図される。このような修飾には、メチル化されたプリンまたはピリミジン、アシル化されたプリンまたはピリミジン、アルキル化されたリボースまたは他の複素環が含まれる。加えて、「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語は、従来のリボース及びデオキシリボースの糖を含有する部分だけでなく、同様に他の糖を含有する部分も包含する。修飾されたヌクレオシドまたはヌクレオチドはまた、糖部分に対する修飾、例えば、ヒドロキシル基のうちの1つ以上がハロゲン原子もしくは脂肪族基で置き換えられているもの、またはエーテルもしくはアミンなどのように官能化されているものも含む。「類似体」は、文献中において模倣体、誘導体、類似の構造を有するものまたは他の同様の用語で認識される、構造的特徴を有する分子を指し、例えば、非天然ヌクレオチドを組み込んだポリヌクレオチド、2’−修飾ヌクレオシドなどのヌクレオチド模倣体、ペプチド核酸、オリゴマーヌクレオシドホスホネート、及び保護基または連結部分などの付加置換基を有する任意のポリヌクレオチドを含む。
本明細書で使用される「発現される」または「発現」という用語は、遺伝子の2本の核酸鎖のうちの一方の領域と少なくとも部分的に相補的であるRNA核酸分子を与える、遺伝子からの転写を指す。本明細書で使用される「発現される」または「発現」という用語はまた、タンパク質、ポリペプチドまたはその部分を与える、RNA分子からの翻訳も指す。
「レベル」という用語は、バイオマーカー分子の量、蓄積または割合を指す。レベルは、例えば、遺伝子によってコードされたメッセンジャーRNA(mRNA)の合成量もしくは合成率、遺伝子によってコードされたポリペプチドもしくはタンパク質の合成量もしくは合成率、または細胞もしくは生体液中に蓄積された生物学的分子の合成量もしくは合成率によって表すことができる。「レベル」という用語は、定常状態または非定常状態の条件下で決定される、試料中の分子の絶対量または分子の相対量を指す。
「上方制御」されるmRNAは、通常、所与の治療または条件下で増加する。「下方制御」されるmRNAは、通常、所与の治療または条件に応答して、mRNAの発現レベルが減少することを指す。場合によっては、mRNAレベルは、所与の治療または条件によって変化しないままである場合もある。患者試料由来のmRNAは、薬物で治療したとき、非治療対照群と比較して、「上方制御」され得る。この上方制御は、例えば、比較対照mRNAレベルに対して、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約500%、約1,000%、約5,000%またはそれ以上の増加であり得る。あるいは、mRNAは、ある特定の化合物または他の作用物質の投与に応答して、「下方制御」され得、すなわち、より低いレベルで発現され得る。下方制御されたmRNAは、例えば、比較対照mRNAレベルに対して、約99%、約95%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約1%またはそれ以下のレベルで存在し得る。
同様に、患者試料由来のポリペプチドまたはタンパク質バイオマーカーのレベルについても、薬物で治療したとき、非治療対照群と比較して、増加し得る。この増加は、比較対照タンパク質レベルに対して、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約500%、約1,000%、約5,000%またはそれ以上であり得る。あるいは、タンパク質バイオマーカーのレベルは、ある特定の化合物または他の作用物質の投与に応答して、減少し得る。この減少は、例えば、比較対照タンパク質レベルに対して、約99%、約95%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約1%またはそれ以下のレベルで存在し得る。
本明細書で使用される「決定する」、「測定する」、「evaluating(評価する)」、「assessing(評価する)」及び「アッセイする」という用語は、通常、任意の形態の測定を指し、ある要素が存在するか否かを決定することを含む。これらの用語は、定量的決定及び/または定性的決定を含む。評価は、相対的であっても絶対的であってもよい。「〜の存在を評価する」とは、それが存在するか存在しないかを決定するだけでなく、存在する何らかの量を決定することも含み得る。
「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、または合成的に作製された化合物から構成される任意の長さの重合体を記述するために本明細書で区別なく使用され、2つの天然核酸がハイブリダイズするのと同様に、天然核酸と配列特異的にハイブリダイズし得、例えば、ワトソンクリック塩基対相互作用に関与することができる。ポリヌクレオチド配列との関係で本明細書で使用されるとき、「複数の塩基」(または「塩基」)という用語は、「複数のヌクレオチド」(または「ヌクレオチド」)、すなわち、ポリヌクレオチドの単量体サブユニットと同義である。「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語は、既知のプリン塩基及びピリミジン塩基を含有する部分だけでなく、修飾を受けた他の複素環式塩基を含有する部分も包含することが意図される。このような修飾には、メチル化されたプリンまたはピリミジン、アシル化されたプリンまたはピリミジン、アルキル化されたリボースまたは他の複素環が含まれる。加えて、「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語は、従来のリボース及びデオキシリボースの糖を含有する部分だけでなく、同様に他の糖を含有する部分も包含する。修飾されたヌクレオシドまたはヌクレオチドはまた、糖部分に対する修飾、例えば、ヒドロキシル基のうちの1つ以上がハロゲン原子もしくは脂肪族基で置き換えられているもの、またはエーテルもしくはアミンなどのように官能化されているものも含む。「類似体」は、文献中において模倣体、誘導体、類似の構造を有するものまたは他の同様の用語で認識される、構造的特徴を有する分子を指し、例えば、非天然ヌクレオチドを組み込んだポリヌクレオチド、2’−修飾ヌクレオシドなどのヌクレオチド模倣体、ペプチド核酸、オリゴマーヌクレオシドホスホネート、及び保護基または連結部分などの付加置換基を有する任意のポリヌクレオチドを含む。
5.2 バイオマーカー及びその使用方法
本明細書で提供される方法は、部分的には、レナリドミド応答性ATL細胞株では、非応答性ATL細胞株及び他の細胞株と比較して、CRBNのIKZF1に対する、及びCRBNのIKZF2に対するmRNA発現レベルの比が高いという発見に基づく。したがって、一態様において、本明細書で提供されるのは、2つのバイオマーカーのレベル及び/またはその比を使用して、治療化合物(例えば、レナリドミド)に応答する可能性のあるがん患者(例えば、ATL患者)を特定し、または治療化合物(例えば、レナリドミド)に対するがん患者(例えば、ATL患者)の応答性を予測もしくはモニタリングするための方法である。
いくつかの実施形態において、2つのバイオマーカーの各々のレベルを決定し、一方のバイオマーカーのレベルが参照レベルよりも高く、かつ他方のバイオマーカーのレベルが参照レベルより低い場合、その患者を治療化合物に応答する可能性があると決定する。より具体的な実施形態において、2つのバイオマーカーの比を決定し、その2つのバイオマーカーの比が参照比と異なる場合、その患者を治療化合物に応答する可能性があると決定する。
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、治療化合物に応答する可能性がある、がんを有する対象を特定する方法であり、この方法は、
(a)対象から試料を得ることと、
(b)対象から得た試料中の第1のバイオマーカーレベルの第2のバイオマーカーレベルに対する比を決定することであって、バイオマーカーのうちの少なくとも1つがCRBN関連タンパク質である、決定することと、
(c)対象の試料中のバイオマーカーレベルの比がバイオマーカーレベルの参照比と異なる場合、対象を治療化合物に応答する可能性があると診断することとを含む。
別の態様において、本明細書で提供されるのは、がんを有するか、またはがんを有する疑いのある対象の治療化合物に対する応答性を予測する方法であり、この方法は、
(a)対象から試料を得ることと、
(b)対象から得た試料中の第1のバイオマーカーレベルの第2のバイオマーカーレベルに対する比を決定することであって、バイオマーカーのうちの少なくとも1つがCRBN関連タンパク質である、決定することと、
(c)試料中のバイオマーカーレベルの比が、参照試料から得たバイオマーカーレベルの比と異なる場合、対象を治療化合物によるがんの治療に応答する可能性があると診断することとを含む。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法は、治療化合物に応答する可能性があると診断された対象に治療上有効な量の治療化合物を投与することを更に含む。
別の態様において、本明細書で提供されるのは、がんを治療する方法であり、この方法は、
(a)がんを有する対象から試料を得ることと、
(b)対象から得た試料中の第1のバイオマーカーレベルの第2のバイオマーカーレベルに対する比を決定することであって、バイオマーカーのうちの少なくとも1つがCRBN関連タンパク質である、決定することと、
(c)対象の試料中のバイオマーカーレベルの比がバイオマーカーレベルの参照比と異なる場合、対象を治療化合物に応答する可能性があると診断することと、
(d)治療化合物に応答する可能性があると診断された対象に治療上有効な量の治療化合物を投与することとを含む。
いくつかの実施形態において、ステップ(c)では、対象の試料中のバイオマーカーレベルの比がバイオマーカーレベルの参照比よりも高い場合、対象を治療化合物に応答する可能性があると診断する。他の実施形態において、ステップ(c)では、対象の試料中のバイオマーカーレベルの比がバイオマーカーレベルの参照比よりも低い場合、対象を治療化合物に応答する可能性があると診断する。
更に別の態様において、本明細書で提供されるのは、治療化合物による対象のがんの治療の有効性をモニタリングする方法であり、この方法は、
(a)がんを有する対象に治療化合物を投与することと、
(b)対象から試料を得ることと、
(c)対象から得た試料中の第1のバイオマーカーレベルの第2のバイオマーカーレベルに対する比を決定することであって、バイオマーカーのうちの少なくとも1つがCRBN関連タンパク質である、決定することと、
(d)試料中のバイオマーカーレベルの比を、参照試料から得たバイオマーカーレベルの比と比較することであって、参照と比較したときの比における変化が、対象のがんを治療することにおける治療化合物の有効性を示す、比較することとを含む。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態において、がんを有する対象から得た試料に治療化合物を投与することは、in vitroでなされる。他の実施形態において、がんを有する対象から得た試料に治療化合物を投与することは、in vivoで実施される。一実施形態において、細胞を、ある期間、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50もしくは55分間、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24時間、または2もしくは3日以上、化合物と接触させる。一実施形態において、細胞は、細胞株から得られる。他の実施形態において、細胞は、がんを有する(またはがんを有する疑いのある)対象から得られる。
いくつかの実施形態において、参照と比較したときの比の増大は、対象のがんを治療することにおける治療化合物の有効性を示す。他の実施形態において、参照と比較したときの比の減少は、対象のがんを治療することにおける治療化合物の有効性を示す。
いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーは、CRBN、IKZF1及びIKZF2を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、第2のバイオマーカーは、CRBN、IKZF1及びIKZF2を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーは、CRBN、IKZF1及びIKZF2を含む群から選択され、バイオマーカーレベルの比は、参照と比較して変化する。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーレベルの比は、参照と比較して増大する。他の実施形態において、バイオマーカーレベルの比は、参照と比較して減少する。
いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーは、CRBNである。いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーがCRBNである場合、第2のバイオマーカーはCRBNの基質である。他の実施形態において、第1のバイオマーカーがCRBNである場合、第2のバイオマーカーはCRBNの基質でない。
いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーはCRBNであり、第2のバイオマーカーはIKZF1である。いくつかの実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF1の発現レベルに対する比は、2より高い。いくつかの実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF1の発現レベルに対する比は、3より高い。他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF1の発現レベルに対する比は、4より高い。更に他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF1の発現レベルに対する比は、5より高い。更に他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF1の発現レベルに対する比は、6より高い。
他の実施形態において、第1のバイオマーカーはCRBNであり、第2のバイオマーカーはIKZF2である。いくつかの実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、250〜5000である。いくつかの実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、500〜5000である。他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、250より高い。他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、500より高い。他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、800より高い。他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、1000より高い。更に他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、1500より高い。更に他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、2000より高い。更に他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、2500より高い。
本明細書で提供される方法はまた、部分的には、レナリドミド応答性ATL細胞株では、IKZF2のmRNA発現レベルが極めて低いという発見に基づく。したがって、別の態様において、本明細書で提供されるのは、IKZF2のレベルを使用して、治療化合物(例えば、レナリドミド)に応答する可能性のあるがん患者(例えば、ATL患者)を特定し、または治療化合物(例えば、レナリドミド)に対するがん患者(例えば、ATL患者)の応答性を予測もしくはモニタリングするための方法である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、治療化合物に応答する可能性がある、がんを有する対象を特定する方法であり、この方法は、
(a)がんを有する対象から試料を得ることと、
(b)対象から得た試料中のバイオマーカーのレベルを決定することであって、バイオマーカーはIKZF2である、決定することと、
(c)対象の試料中のバイオマーカーレベルがバイオマーカーの参照レベルよりも低い場合、対象を治療化合物に応答する可能性があると診断することとを含む。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、がんを有するか、またはがんを有する疑いのある対象の治療化合物に対する応答性を予測する方法であり、この方法は、
(a)がんを有する対象から試料を得ることと、
(b)対象から得た試料中のバイオマーカーのレベルを決定することであって、バイオマーカーはIKZF2である、決定することと、
(c)対象の試料中のバイオマーカーレベルがバイオマーカーの参照レベルよりも低い場合、対象を、がんを治療することにおける治療化合物に応答する可能性があると診断することとを含む。
他の実施形態において、本明細書で提供されるのは、がんを治療する方法であり、この方法は、
(a)がんを有する対象から試料を得ることと、
(b)対象から得た試料中のバイオマーカーのレベルを決定することであって、バイオマーカーはIKZF2である、決定することと、
(c)対象の試料中のバイオマーカーレベルがバイオマーカーの参照レベルよりも低い場合、対象を治療化合物に応答する可能性があると診断することと、
(d)治療化合物に応答する可能性があると診断された対象に治療上有効な量の治療化合物を投与することとを含む。
更に他の実施形態において、本明細書で提供されるのは、対象のがんを治療することにおける治療化合物の有効性をモニタリングする方法であり、この方法は、
(a)がんを有する対象に治療化合物を投与することと、
(b)対象から試料を得ることと、
(c)対象から得た試料中のバイオマーカーのレベルを決定することであって、バイオマーカーはIKZF2である、決定することと、
(d)試料中のバイオマーカーレベルをバイオマーカーの参照レベルと比較することであって、参照と比較したときのバイオマーカーレベルの低下が対象のがんを治療することにおける治療化合物の有効性を示す、比較することとを含む。
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態において、がんを有する対象から得た試料に治療化合物を投与することは、in vitroでなされる。他の実施形態において、がんを有する対象から得た試料に治療化合物を投与することは、in vivoで実施される。一実施形態において、細胞を、ある期間、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50もしくは55分間、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24時間、または2もしくは3日以上、化合物と接触させる。一実施形態において、細胞は、細胞株から得られる。他の実施形態において、細胞は、がんを有する(またはがんを有する疑いのある)対象から得られる。
いくつかの実施形態において、治療化合物は、IKZF2のレベルがIKZF2の参照レベルの50%未満である場合、対象のがんを治療することにおいて有効性を有すると決定される。いくつかの実施形態において、治療化合物は、IKZF2のレベルがIKZF2の参照レベルの40%未満である場合、対象のがんを治療することにおいて有効性を有すると決定される。いくつかの実施形態において、治療化合物は、IKZF2のレベルがIKZF2の参照レベルの30%未満である場合、対象のがんを治療することにおいて有効性を有すると決定される。いくつかの実施形態において、治療化合物は、IKZF2のレベルがIKZF2の参照レベルの20%未満である場合、対象のがんを治療することにおいて有効性を有すると決定される。いくつかの実施形態において、治療化合物は、IKZF2のレベルがIKZF2の参照レベルの10%未満である場合、対象のがんを治療することにおいて有効性を有すると決定される。いくつかの実施形態において、治療化合物は、IKZF2のレベルがIKZF2の参照レベルの5%未満である場合、対象のがんを治療することにおいて有効性を有すると決定される。いくつかの実施形態において、治療化合物は、IKZF2のレベルがIKZF2の参照レベルの1%未満である場合、対象のがんを治療することにおいて有効性を有すると決定される。いくつかの実施形態において、治療化合物は、IKZF2のレベルがIKZF2の参照レベルの0.5%未満である場合、対象のがんを治療することにおいて有効性を有すると決定される。いくつかの実施形態において、治療化合物は、IKZF2のレベルがIKZF2の参照レベルの0.1%未満である場合、対象のがんを治療することにおいて有効性を有すると決定される。
いくつかの実施形態において、IKZF2のmRNAレベルがバイオマーカーとして使用される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーのmRNA相対レベルは、ハウスキーピング遺伝子(例えば、GAPDH、β−アクチンなど)のmRNAレベルを基準にしたものである。いくつかの実施形態において、対象は、IKZF2のmRNA相対レベルが1〜0.00001よりも低い場合、治療化合物に応答する可能性があると診断される。一実施形態において、IKZF2のmRNA相対レベルは、1よりも低い。別の実施形態において、IKZF2のmRNA相対レベルは、0.5よりも低い。更に別の実施形態において、IKZF2のmRNA相対レベルは、0.1よりも低い。更に別の実施形態において、IKZF2のmRNA相対レベルは、0.05よりも低い。別の実施形態において、IKZF2のmRNA相対レベルは、0.01よりも低い。一実施形態において、IKZF2のmRNA相対レベルは、0.005よりも低い。別の実施形態において、IKZF2のmRNA相対レベルは、0.004よりも低い。更に別の実施形態において、IKZF2のmRNA相対レベルは、0.003よりも低い。更に別の実施形態において、IKZF2のmRNA相対レベルは、0.002よりも低い。別の実施形態において、IKZF2のmRNA相対レベルは、0.001よりも低い。一実施形態において、IKZF2のmRNA相対レベルは、0.0005よりも低い。
本明細書で提供される種々の方法のいくつかの実施形態において、参照は、がんを有するが当該化合物での治療に応答しない対象から得られた対照試料を使用することによって準備され、対照試料は、試料と同じ由来源である。他の実施形態において、参照は、がんを有しない健常な対象から得られた対照試料を使用することによって準備され、対照試料は、試料と同じ由来源である。
本明細書で提供される種々の方法のいくつかの実施形態において、がんは、白血病である。いくつかの実施形態において、がんは、リンパ腫である。他の実施形態において、がんは、成人T細胞白血病(ATL)である。他の実施形態において、がんは、再発性、難治性または従来の治療法に抵抗性である。他の実施形態において、がんは、再発性または難治性ATLである。
本明細書で提供される種々の方法のいくつかの実施形態において、治療化合物は、免疫調節化合物である。いくつかの実施形態において、治療化合物は、レナリドミドである。
本明細書で提供される種々の方法の具体的な実施形態において、治療化合物はレナリドミドであり、がんはATLである。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのタンパク質レベルを決定することによって測定される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法は、試料中のタンパク質を、バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する第1の抗体と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法は、
(i)第1の抗体に結合したバイオマーカータンパク質を、検出可能な標識を有する第2の抗体と接触させることであって、第2の抗体は、バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合し、かつ、第2の抗体は、バイオマーカータンパク質上の第1の抗体とは異なるエピトープに免疫特異的に結合する、接触させることと、
(ii)タンパク質に結合した第2の抗体の存在を検出することと、
(iii)第2の抗体中の検出可能な標識の量に基づいてバイオマーカータンパク質の量を決定することとを更に含む。
他の実施形態において、本明細書で提供される方法は、
(i)第1の抗体に結合したバイオマーカータンパク質を、検出可能な標識を有する第2の抗体と接触させることであって、第2の抗体が第1の抗体に免疫特異的に結合する、接触させることと、
(ii)タンパク質に結合した第2の抗体の存在を検出することと、
(iii)第2の抗体中の検出可能な標識の量に基づいてバイオマーカータンパク質の量を決定することとを更に含む。
他の実施形態において、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのmRNAレベルを決定することによって測定される。更に他の実施形態において、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのcDNAレベルを決定することによって測定される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーのレベルは、定量的PCR(qPCR)を使用して測定される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーのmRNAレベルは、バイオマーカーのmRNA相対レベルである。いくつかの実施形態において、バイオマーカーのmRNA相対レベルは、ハウスキーピング遺伝子(例えば、GAPDH、β−アクチンなど)のmRNAレベルを基準にしたものである。
本明細書で提供される種々の方法のいくつかの実施形態において、患者は、以前に治療を受けたことがない患者だけでなく、以前にがん治療を受けたが標準療法に不応性である患者も含む。一部の疾患または障害はある特定の年齢群でより一般的であるが、本開示は、患者の年齢に関係なく、患者を治療する方法も包含する。本出願は、問題の疾患または病態を治療するために手術を受けていない患者だけでなく、手術を受けたことのある患者を治療する方法を更に包含する。がん患者の臨床症状は均一でなく、様々な臨床転帰を有するので、患者に施される治療は、その患者の予後に応じて変わり得る。技能のある臨床医であれば、過度な実験を行うことなく、個々のがん患者の治療に有効的に使用することができる、具体的な二次薬剤、手術の種類及び薬物以外の標準治療の種類を容易に決定できるであろう。
ある特定の実施形態において、治療化合物の治療上または予防上有効な量は、約0.005〜約1,000mg/日、約0.01〜約500mg/日、約0.01〜約250mg/日、約0.01〜約100mg/日、約0.1〜約100mg/日、約0.5〜約100mg/日、約1〜約100mg/日、約0.01〜約50mg/日、約0.1〜約50mg/日、約0.5〜約50mg/日、約1〜約50mg/日、約0.02〜約25mg/日、または約0.05〜約10mg/日である。
ある特定の実施形態において、治療上または予防上有効な量は、約0.005〜約1,000mg/日、約0.01〜約500mg/日、約0.01〜約250mg/日、約0.01〜約100mg/日、約0.1〜約100mg/日、約0.5〜約100mg/日、約1〜約100mg/日、約0.01〜約50mg/日、約0.1〜約50mg/日、約0.5〜約50mg/日、約1〜約50mg/日、約0.02〜約25mg/日、または隔日約0.05〜約10mgである。
ある特定の実施形態において、治療上または予防上有効な量は、約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約40、約45、約50、約60、約70、約80、約90、約100または約150mg/日である。
一実施形態において、本明細書に記載される病態のための治療化合物、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体の推奨される1日当たりの用量範囲は、約0.5mg〜約50mg/日の範囲内であり、好ましくは、1日1回の単回用量で投与されるか、または分割用量で1日を通じて投与される。いくつかの実施形態において、用量は、約1mg〜約50mg/日の範囲である。他の実施形態において、用量は、約0.5〜約5mg/日の範囲である。1日当たりの具体的用量としては、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50mg/日が挙げられる。
具体的な実施形態において、推奨される開始用量は、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25または50mg/日であり得る。別の実施形態において、推奨される開始用量は、0.5、1、2、3、4または5mg/日であり得る。この用量は、15、20、25、30、35、40、45及び50mg/日に漸増させてもよい。具体的な実施形態において、化合物は、約25mg/日の量で、リンパ腫、例えば、ATLの患者に投与することができる。特定の実施形態において、化合物は、約10mg/日の量で、ATLを含むリンパ腫の患者に投与することができる。
ある特定の実施形態において、治療上または予防上有効な量は、約0.001〜約100mg/kg/日、約0.01〜約50mg/kg/日、約0.01〜約25mg/kg/日、約0.01〜約10mg/kg/日、約0.01〜約9mg/kg/日、約0.01〜約8mg/kg/日、約0.01〜約7mg/kg/日、約0.01〜約6mg/kg/日、約0.01〜約5mg/kg/日、約0.01〜約4mg/kg/日、約0.01〜約3mg/kg/日、約0.01〜約2mg/kg/日、または約0.01〜約1mg/kg/日である。
投与量は、mg/kg/日以外の単位で表現することもできる。例えば、非経口投与のための用量は、mg/m2/日で表現することができる。当業者は、対象の身長もしくは体重のいずれかまたは両方が与えられれば、mg/kg/日の用量からmg/m2/日の用量にどのように変換するのかが容易にわかるであろう(www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htm参照)。例えば、65kgのヒトの1mg/kg/日の用量は、38mg/m2/日にほぼ等しい。
ある特定の実施形態において、化合物の投与量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.02〜約25μM、約0.05〜約20μM、約0.1〜約20μM、約0.5〜約20μM、または約1〜約20μMの範囲である、定常状態における化合物の血漿中濃度をもたらすのに十分なものである。
他の実施形態において、化合物の投与量は、約5〜約100nM、約5〜約50nM、約10〜約100nM、約10〜約50nM、または約50〜約100nMの範囲である、定常状態における化合物の血漿中濃度をもたらすのに十分なものである。
本明細書で使用されるとき、「定常状態における血漿中濃度」という用語は、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体の投与の一定期間後に到達した濃度である。一旦定常状態に到達すると、化合物の血漿中濃度の時間依存性曲線上には、小さなピークとトラフがみられる。
ある特定の実施形態において、化合物の投与量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.02〜約25μM、約0.05〜約20μM、約0.1〜約20μM、約0.5〜約20μM、または約1〜約20μMの範囲である、化合物の最高血漿中濃度(ピーク濃度)をもたらすのに十分なものである。
ある特定の実施形態において、化合物の投与量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.01〜約25μM、約0.01〜約20μM、約0.02〜約20μM、約0.02〜約20μM、または約0.01〜約20μMの範囲である、化合物の最低血漿中濃度(トラフ濃度)をもたらすのに十分なものである。
ある特定の実施形態において、化合物の投与量は、約100〜約100,000ng*時/mL、約1,000〜約50,000ng*時/mL、約5,000〜約25,000ng*時/mL、または約5,000〜約10,000ng*時/mLの範囲である、化合物の曲線下面積(AUC)をもたらすのに十分なものである。
治療対象の疾患及び対象の病態に応じて、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、持続静注、大槽内注射もしくは注入、皮下注射または埋め込み)、吸入、経鼻、経膣、経直腸、舌下または局所(例えば、経皮的または局部)の投与経路により投与することができる。本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、好適な用量単位で、単独で、または各投与経路に適した薬学的に許容される賦形剤、担体、補助剤及びビヒクルとともに、製剤化され得る。
一実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、経口投与される。別の実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、非経口投与される。更に別の実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、静脈投与される。
本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、例えば、単回ボーラス注射または経口用錠剤もしくは丸剤などの単回投与として、あるいは、時間をかけて、例えば、時間をかけた連続注入または時間をかけた分割ボーラス投与として、送達することができる。化合物は、必要に応じて、例えば、患者が疾患の安定または軽減を感じるまで、あるいは、患者が疾患の進行または許容できない毒性を感じるまで、繰り返し投与することができる。例えば、固形腫瘍に関する疾患の安定とは、一般に、測定可能な病変の垂直方向の直径が、最後の測定から25%以上増大していないことを意味する。Therasse et al.,J.Natl.Cancer Inst.2000,92(3):205−216。疾患の安定またはその欠如は、患者の症状評価、理学的検査、X線、CAT、PETまたはMRIスキャン及び他の一般的に認められている評価モダリティを使用して画像化した腫瘍の視覚化などの当該技術分野において知られている方法によって決定される。
本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、1日1回(QD)で投与してもよいし、1日2回(BID)、1日3回(TID)及び1日4回(QID)などのように1日量を複数回に分けてもよい。更に、投与は、連続的(すなわち、連続した複数日間の毎日(daily)または毎日(every day))であってもよいし、または断続的、例えば、サイクル(すなわち、薬物を使用しない休薬の日、週または月を含める)であってもよい。本明細書で使用されるとき、「daily(毎日)」という用語は、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミドなどの治療用化合物が、例えば、一定期間に、各日1回または2回以上投与されることを意味することが意図される。「連続的」という用語は、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミドなどの治療用化合物が、少なくとも10日〜52週間の中断しない期間に毎日投与されることを意味することが意図される。本明細書で使用される「断続的」または「断続的に」という用語は、一定の間隔または不規則な間隔のいずれかでの停止及び開始を意味することが意図される。例えば、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミドの断続的投与は、1〜6日/週での投与、サイクル投与(例えば、連続する2〜8週間の毎日の投与、次いで最大1週間の投与なしの休薬期間)、または隔日の投与である。本明細書で使用される「サイクル」という用語は、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミドなどの治療用化合物が、毎日または連続的に投与されるが休薬期間を伴うことを意味することが意図される。ある特定の実施形態において、休薬期間は、治療期間と同じ長さである。他の実施形態において、休薬期間は、治療期間とは異なる長さである。
いくつかの実施形態において、投与の頻度は、1日用量前後から月間用量前後までの範囲内である。ある特定の実施形態において、投与は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、2日に1回、週2回、週1回、2週に1回、3週に1回または4週に1回である。一実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、1日1回、投与される。別の実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、1日2回、投与される。更に別の実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、1日3回、投与される。更に別の実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、1日4回、投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、1日1回、1日〜6ヶ月、1週間〜3ヶ月、1週間〜4週間、1週間〜3週間、または1週間〜2週間投与される。ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、1日1回、1週間、2週間、3週間または4週間投与される。一実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、1日1回、1週間投与される。別の実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、1日1回、2週間投与される。更に別の実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、1日1回、3週間投与される。更に別の実施形態において、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミド、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体は、1日1回、4週間投与される。
本明細書で提供される種々の方法のいくつかの実施形態において、方法は、治療上有効な量の第2の活性薬剤または支持療法剤を投与することを更に含む。第2の活性薬剤は、大分子(例えば、タンパク質)または小分子(例えば、合成の無機分子、有機金属分子または有機分子)であり得る。いくつかの実施形態において、第2の活性薬剤は、がん抗原に特異的に結合する治療用抗体、造血成長因子、サイトカイン、抗がん剤、抗生物質、cox−2阻害剤、免疫調節剤、免疫抑制剤、コルチコステロイド、またはその薬理活性変異体もしくは誘導体である。
いくつかの実施形態において、第2の活性薬剤は、本明細書中に記載される化合物、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体の投与に伴う有害作用を軽減することができる小分子である。小分子である第2の活性薬剤の多くは、本明細書中に記載される化合物、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体とともに(例えば、その前、後またはそれと同時に)投与する場合、相乗効果が得られると考えられている。小分子の第2の活性薬剤の例には、抗がん剤、抗生物質、免疫抑制剤及びステロイドが挙げられるが、これらに限定されない。
5.3 バイオマーカーを検出及び定量する方法
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、バイオマーカーを検出及び/または定量する方法であり、この方法は、
(a)対象から試料を得ることと、
(b)対象から得た試料中の第1のバイオマーカーレベルの第2のバイオマーカーレベルに対する比を決定することであって、バイオマーカーのうちの少なくとも1つがCRBN関連タンパク質である、決定することと、
(c)対象の試料中のバイオマーカーレベルの比をバイオマーカーレベルの参照比と比較することとを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、バイオマーカーを検出及び/または定量する方法であり、この方法は、
(a)がんを有する対象に治療化合物を投与することと、
(b)対象から試料を得ることと、
(c)対象から得た試料中の第1のバイオマーカーレベルの第2のバイオマーカーレベルに対する比を決定することであって、バイオマーカーのうちの少なくとも1つがCRBN関連タンパク質である、決定することと、
(d)試料中のバイオマーカーレベルの比を、参照試料から得たバイオマーカーレベルの比と比較することとを含む。
いくつかの実施形態において、参照は、がんを有するが化合物での治療に応答しない対象から得られた対照試料を使用することによって準備され、対照試料は、試料と同じ由来源である。他の実施形態において、参照は、がんを有しない健常な対象から得られた対照試料を使用することによって準備され、対照試料は、試料と同じ由来源である。
いくつかの実施形態において、がんは、白血病である。いくつかの実施形態において、がんは、リンパ腫である。他の実施形態において、がんは、成人T細胞白血病(ATL)である。他の実施形態において、がんは、再発性、難治性または従来の治療法に抵抗性である。他の実施形態において、がんは、再発性または難治性ATLである。
いくつかの実施形態において、治療化合物は、免疫調節化合物である。いくつかの実施形態において、治療化合物は、レナリドミドである。
具体的な実施形態において、治療化合物はレナリドミドであり、がんはATLである。
いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーは、CRBN、IKZF1及びIKZF2を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、第2のバイオマーカーは、CRBN、IKZF1及びIKZF2を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーは、CRBN、IKZF1及びIKZF2を含む群から選択され、バイオマーカーレベルの比は、参照と比較して変化する。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーレベルの比は、参照と比較して増大する。他の実施形態において、バイオマーカーレベルの比は、参照と比較して減少する。
いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーは、CRBNである。いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーがCRBNである場合、第2のバイオマーカーはCRBNの基質である。他の実施形態において、第1のバイオマーカーがCRBNである場合、第2のバイオマーカーはCRBNの基質でない。
いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーはCRBNであり、第2のバイオマーカーはIKZF1である。いくつかの実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF1の発現レベルに対する比は、3より高い。他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF1の発現レベルに対する比は、4より高い。更に他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF1の発現レベルに対する比は、5より高い。
他の実施形態において、第1のバイオマーカーはCRBNであり、第2のバイオマーカーはIKZF2である。いくつかの実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、500〜5000である。他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、500より高い。他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、1000より高い。更に他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、1500より高い。更に他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、2500より高い。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのタンパク質レベルを決定することによって測定される。他の実施形態において、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのmRNAレベルを決定することによって測定される。更に他の実施形態において、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのcDNAレベルを決定することによって測定される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーのレベルは、定量的PCR(qPCR)を使用して測定される。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、試料中のタンパク質を、バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する第1の抗体と接触させる、生体試料から本明細書中に記載されるバイオマーカーのタンパク質レベルを検出及び定量する方法である。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法は、(i)第1の抗体に結合したバイオマーカータンパク質を、検出可能な標識を有する第2の抗体と接触させることであって、第2の抗体は、バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合し、かつ、第2の抗体は、バイオマーカータンパク質上の第1の抗体とは異なるエピトープに免疫特異的に結合する、接触させることと、(ii)タンパク質に結合した第2の抗体の存在を検出することと、(iii)第2の抗体中の検出可能な標識の量に基づいてバイオマーカータンパク質の量を決定することとを更に含む。他の実施形態において、本明細書で提供される方法は、(i)第1の抗体に結合したバイオマーカータンパク質を、検出可能な標識を有する第2の抗体と接触させることであって、第2の抗体が第1の抗体に免疫特異的に結合する、接触させることと、(ii)タンパク質に結合した第2の抗体の存在を検出することと、(iii)第2の抗体中の検出可能な標識の量に基づいてバイオマーカータンパク質の量を決定することとを更に含む。
本明細書で提供される種々の方法のいくつかの実施形態において、方法は、二重染色免疫組織化学を使用して1つ以上のバイオマーカーのレベルを決定することを含む。二重染色免疫組織化学アッセイにおいて、本明細書中に記載される第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーは、本明細書中に記載される第1のバイオマーカーを標的にする第1の標識抗体及び第2のバイオマーカーを標的にする第2の標識抗体を使用して同時に検出される。いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーはCRBNであり、第2のバイオマーカーはIKZF1である。他の実施形態において、第1のバイオマーカーはCRBNであり、第2のバイオマーカーはIKZF2である。
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法は、(i)試料中のタンパク質を、本明細書中に記載される第1のバイオマーカーに免疫特異的に結合し、第1の検出可能な標識が結合されている第1の抗体に接触させることと、(ii)試料中のタンパク質を、第2のバイオマーカーに免疫特異的に結合し、第2の検出可能な標識が結合されている第2の抗体に接触させることと、(iii)タンパク質に結合した第1の抗体及び第2の抗体の存在を検出することと、(iv)第1の抗体及び第2の抗体の検出可能な標識の量に基づいて、本明細書中に記載される2つのバイオマーカーのレベルを決定し、2つのバイオマーカーのレベルの比を決定することとを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、生体試料から本明細書中に記載されるバイオマーカーのRNA(例えば、mRNA)レベルを検出及び定量する方法であり、この方法は、(a)試料からRNAを得ることと、(b)当該RNAを、当該RNAの配列に特異的に結合する配列を含むプライマーと接触させて当該RNAに相補的な配列を有する第1のDNA分子を生成することと、(c)バイオマーカーをコードする遺伝子のセグメントに対応するDNAを増幅させることと、(d)増幅させたDNAの量に基づいて、バイオマーカーのRNAレベルを決定することとを含む。
本明細書で提供される種々の方法のある特定の実施形態において、ステップのうちの2つ以上は、連続的に実施される。本明細書で提供される方法の他の実施形態において、ステップのうちの2つ以上は、並行して(例えば、同時に)実施される。
バイオマーカーのタンパク質レベルを検出及び定量する方法のための本明細書中に記載される例示的なアッセイは、ウェスタンブロット解析及び酵素結合免疫吸着法(ELISA)(例えば、サンドイッチELISA)などの免疫測定法である。本明細書中に記載されるバイオマーカーまたはその組み合わせのRNAレベルを検出及び定量する方法のための本明細書中に記載される例示的なアッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、例えば、定量的PCRまたはqPCRである。
いくつかの実施形態において、RNA転写物またはタンパク質を測定するために利用したアッセイから得たデータに対して、統計解析または他の解析が実施される。ある特定の具体的な実施形態において、示差的に発現されるこれらのRNA転写物またはタンパク質のp値は、0.1、0.5、0.4、0.3、0.2、0.01、0.05、0.001、0.005または0.0001である。具体的な実施形態において、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ以下の偽発見率(FDR)が選択される。
5.3.1 試料中のmRNAレベルを検出する方法
mRNAレベルを検出または定量するいくつかの方法が当該技術分野において知られており、本明細書で提供される方法においてバイオマーカーのレベルを測定するために使用するのに好適である。例示的な方法には、ノーザンブロット、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ及びPCRベースの方法が挙げられるが、これらに限定されない。バイオマーカーがmRNA分子である場合、そのmRNA配列またはその断片を使用して、少なくとも部分的に相補的であるプローブを作製することができる。次いで、そのプローブを使用して、PCRベースの方法、ノーザンブロッティングまたはディップスティックアッセイなどの任意の好適なアッセイを用いて、試料中のmRNA配列を検出することができる。
他の実施形態において、生体試料の免疫調節活性を試験するための核酸アッセイが準備される。アッセイは、典型的に、固体支持体と、当該支持体に接触している少なくとも1つの核酸とを含み、当該核酸は、患者の免疫調節剤治療中に発現が変化したmRNA、例えば、バイオマーカー(例えば、CRBN、IKZF1またはIKZF2)のmRNAの少なくとも一部に対応する。アッセイは、試料中のmRNAの発現変化を検出するための手段も有し得る。
アッセイ法は、所望のmRNA情報の種類に応じて変わり得る。例示的な方法には、ノーザンブロット及びPCRベースの方法(例えば、qRT−PCR)が挙げられるが、これらに限定されない。qRT−PCRなどの方法は、試料中のmRNAの量を正確に定量することもできる。
任意の好適なアッセイプラットフォームを使用して、試料中のmRNAの存在を決定することができる。例えば、アッセイは、ディップスティック、メンブレン、チップ、ディスク、試験ストリップ、フィルター、マイクロスフェア、スライド、マルチウェルプレートまたは光ファイバーの形態であってよい。アッセイシステムは、mRNAに対応する核酸が結合した固体支持体を有し得る。固体支持体は、例えば、プラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、メンブレン、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖、キャピラリー、フィルム、プレートまたはスライドを含み得る。アッセイの構成成分は、mRNAを検出するためのキットとして準備され、一緒にパッケージ化することができる。
核酸は、所望により、標識して、標識されたmRNAの集団を作製することができる。一般に、当該技術分野においてよく知られている方法を使用して(例えば、DNAリガーゼ、ターミナルトランスフェラーゼを使用して、またはRNA骨格を標識することなどによって)、試料を標識することができる。例えば、Ausubel et al.,Short Protocols in Molecular Biology(Wiley&Sons,3rd ed.1995)、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor,N.Y.,3rd ed.2001)を参照されたい。いくつかの実施形態において、試料は、蛍光標識で標識される。例示的な蛍光色素には、キサンテン色素、フルオレセイン色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、6−カルボキシフルオレセイン(FAM)、6カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE))、ローダミン色素(例えば、ローダミン110(R110)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、5−カルボキシローダミン6G(R6G5またはG5)、6−カルボキシローダミン6G(R6G6またはG6))、シアニン色素(例えば、Cy3、Cy5及びCy7)、Alexa色素(例えば、Alexa−fluor−555)、クマリン、ジエチルアミノクマリン、ウンベリフェロン、ベンズイミド色素(例えば、Hoechst 33258)フェナントリジン色素(例えば、Texas Red)、エチジウム色素、アクリジン色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素、BODIPY色素、キノリン色素、ピレン、フルオレセインクロロトリアジニル、エオシン色素、テトラメチルローダミン、リサミン、ナフトフルオレセインなどが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、mRNA配列は、本明細書中に記載されるバイオマーカーの少なくとも1つのmRNAを含む。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、CRBN、IKZF1、IKZF2のmRNAまたはその断片からなる群から選択される。一実施形態において、mRNAは、CRBN mRNAである。別の実施形態において、mRNAは、IKZF1 mRNAである。更に別の実施形態において、mRNAは、IKZF2 mRNAである。
ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される2つ以上のバイオマーカーのmRNAレベルが測定される。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される2つの異なるバイオマーカーのmRNAレベルの比が算出される。一実施形態において、比は、CRBN mRNAレベルのIKZF1 mRNAレベルに対するものである。別の実施形態において、比は、CRBN mRNAレベルのIKZF2 mRNAレベルに対するものである。
核酸は、細胞または患者における免疫調節化合物の治療に際して示差的に発現される各mRNA配列の少なくとも一部にそれぞれ対応する固体支持体上の特定の場所指定が可能な位置に存在し得る。
典型的なmRNAアッセイ法は、1)表面に結合した対象プローブを得るステップと、2)特異的結合をもたらすのに十分な条件下で、mRNA集団を表面結合プローブにハイブリダイズさせるステップと、(3)表面結合プローブに特異的に結合しなかった核酸を除去するために、ハイブリダイゼーション後に洗浄するステップと、(4)ハイブリダイズしたmRNAを検出するステップとを含み得る。これらのステップの各々で使用される試薬及びその使用条件は、特定の用途に応じて変わり得る。
ハイブリダイゼーションは、好適なハイブリダイゼーション条件下で実施することができ、所望されるようにストリンジェンシーが変わり得る。典型的な条件は、相補的結合要素間、すなわち、表面に結合した対象プローブと試料中の相補的mRNAとの間のプローブ/標的複合体を固体表面上にもたらすのに十分なものである。ある特定の実施形態において、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が採用され得る。
ハイブリダイゼーションは、典型的に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で実施される。標準的なハイブリダイゼーション技術(例えば、試料中の標的mRNAのプローブへの特異的結合をもたらすのに十分な条件下におけるもの)は、Kallioniemi et al.,Science 1992,258:818−821及び国際特許出願公開第WO93/18186号に記載されている。一般的な技術のいくつかの指針は、例えば、Tijssen,Hybridization with Nucleic Acid Probes,Parts I and II(Elsevier,Amsterdam 1993)から入手可能である。in situハイブリダイゼーションに好適な技術に関する説明については、Gall et al.,Meth.Enzymol.1981,21:470−480、Angerer et al.,Genetic Engineering:Principles and Methods,Vol 7,pgs 43−65(Plenum Press,New York,Setlow and Hollaender,eds.1985)を参照されたい。温度、塩濃度、ポリヌクレオチド濃度、ハイブリダイゼーション時間、洗浄条件のストリンジェンシーなどを含む適切な条件の選択は、試料の供給源、捕捉剤の性質、予想される相補性の度合いなどを含む実験設計によって異なり、当業者によって通常の実験事項として決定され得る。
当業者であれば、代替的であるが同等のハイブリダイゼーション及び洗浄条件を利用して、類似のストリンジェンシー条件をもたらすことができることを容易に認識するであろう。
mRNAハイブリダイゼーション処理後、通常、未結合の核酸を除去するために、表面に結合したポリヌクレオチドを洗浄する。洗浄は、任意の簡便な洗浄プロトコルを使用して実施することができ、洗浄条件は、典型的に、上述したようにストリンジェントである。次いで、標的mRNAのプローブへのハイブリダイゼーションを標準的技術を使用して検出する。
他の方法、例えば、PCRベースの方法などを使用して、CRBNまたは直接的もしくは間接的にCRBNによる影響を受けるタンパク質の発現を検出することもできる。PCR法の例は、米国特許第6,927,024号に認めることができる(その全体を参照により本明細書に援用する)。RT−PCR法の例は、米国特許第7,122,799号に認めることができる(その全体を参照により本明細書に援用する)。蛍光in situ PCRの方法は、米国特許第7,186,507号に記載されている(その全体を参照により本明細書に援用する)。
いくつかの実施形態において、RNA標的の検出及び定量の両方に、定量的逆転写PCR(qRT−PCR)を使用することができる(Bustin et al.,Clin.Sci.2005,109:365−379)。qRT−PCRによって得られる定量的結果は、一般に、定性的データよりも情報量が多い。したがって、いくつかの実施形態において、qRT−PCRベースアッセイは、セルベースアッセイ中にmRNAレベルを測定するのに有用であり得る。qRT−PCR法はまた、患者治療のモニタリングにも有用である。qRT−PCRベースの方法の例は、例えば、米国特許第7,101,663号に認めることができる(その全体を参照により本明細書に援用する)。
常用の逆転写酵素PCR及びアガロースゲルによる解析とは対照的に、qRT−PCRは、定量的結果を与える。qRT−PCRの更なる利点は、使用の相対的な容易さ及び簡便さである。qRT−PCRの装置は、Applied Biosystems 7500などが市販されており、試薬についても、TaqMan(登録商標)Sequence Detection Chemistryなどが市販されている。例えば、TaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイを製造元の説明書に従って使用することができる。これらのキットは、ヒト、マウス及びラットのmRNA転写物の迅速で信頼性のある検出及び定量のために予め構成された遺伝子発現アッセイである。例示的なqRT−PCRプログラムは、例えば、50℃で2分間、95℃で10分間、95℃で15秒の40サイクル、次いで60℃で1分間である。
特定のアンプリコンの蓄積に伴う蛍光シグナルが閾値と交差するサイクル数(CTとも呼ばれる)を決定するには、データを、例えば、7500 Real−Time PCR System Sequence Detectionソフトウェアv1.3を使用して、比較CT相対定量算出法を用いて解析することができる。この方法を使用する場合、出力は、発現レベルの倍率変化として表される。いくつかの実施形態において、閾値レベルは、ソフトウェアによって自動的に決定されるように選択することができる。いくつかの実施形態において、閾値レベルは、ベースラインを上回るが、増幅曲線の指数関数的増殖領域内に入るように十分低く設定される。
当業者に知られている技術を使用して、RNA転写物(複数可)の量を測定することができる。いくつかの実施形態において、ILLUMINA(登録商標)RNASeq、ILLUMINA(登録商標)次世代シーケンシング(NGS)、ION TORRENT(商標)RNA次世代シーケンシング、454(商標)ピロシーケンシングまたはOligo Ligation Detectionによるシーケンシング(SOLID(商標))などのディープシーケンシングを使用して、1、2、3、4、5以上のRNA転写物の量が測定される。他の実施形態において、マイクロアレイ及び/または遺伝子チップを使用して、多数のRNA転写物の量が測定される。ある特定の実施形態において、RT−PCRによって1、2、3以上のRNA転写物の量が決定される。他の実施形態において、RT−qPCRによって1、2、3以上のRNA転写物の量が測定される。これらのアッセイを実施するための技術は、当業者に知られている。
5.3.2 ポリペプチドまたはタンパク質バイオマーカーを検出する方法
バイオマーカーがタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドである場合、これらのバイオマーカーのレベルを測定するには、いくつかのタンパク質検出及び定量法を使用することができる。任意の好適なタンパク質定量法を本明細書で提供される方法で使用することができる。ある特定の実施形態において、抗体ベースの方法が使用される。使用することができる例示的な方法には、免疫ブロット法(ウェスタンブロット)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、免疫組織化学、フローサイトメトリー、サイトメトリックビーズアレイ及び質量分光法が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、バイオマーカータンパク質は、質量分光法を使用して検出される。直接ELISA、間接ELISA及びサンドイッチELISAを含む、複数種のELISAが一般に使用される。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドまたはタンパク質は、本明細書中に記載されるバイオマーカーのうちの少なくとも1つのポリペプチドまたはタンパク質である。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、CRBN、IKZF1、IKZF2またはその断片のポリペプチドまたはタンパク質からなる群から選択される。一実施形態において、ポリペプチドまたはタンパク質は、CRBNポリペプチドまたはタンパク質である。別の実施形態において、ポリペプチドまたはタンパク質は、IKZF1ポリペプチドまたはタンパク質である。更に別の実施形態において、ポリペプチドまたはタンパク質は、IKZF2ポリペプチドまたはタンパク質である。
ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される2つ以上のバイオマーカーのポリペプチドまたはタンパク質レベルが測定される。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される2つの異なるバイオマーカーのポリペプチドまたはタンパク質レベルの比が算出される。一実施形態において、比は、CRBNポリペプチドまたはタンパク質レベルのIKZF1ポリペプチドまたはタンパク質レベルに対するものである。別の実施形態において、比は、CRBNポリペプチドまたはタンパク質レベルのIKZF2ポリペプチドまたはタンパク質レベルに対するものである。
5.4 対象及び試料
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される種々の方法は、対象または個体(例えば、患者)からの試料(例えば、生体試料)を使用する。対象は、患者、例えば、がん(例えば、ATL)を有する患者であり得る。対象は、哺乳動物、例えば、ヒトであり得る。対象は、男性でも女性でもよく、成人、子どもまたは乳幼児であってよい。試料は、がん(例えば、ATL)の活動期中のある時点、またはがん(例えば、ATL)が不活性であるときに解析され得る。ある特定の実施形態において、対象から2つ以上の試料が採取され得る。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される方法で使用される試料は、対象由来の体液を含む。体液の非限定的な例には、血液(例えば、全血)、血漿、羊水、眼房水、胆汁、耳垢、カウパー腺液、前射精液、乳糜、キームス、女性精液、間質液、リンパ液、月経分泌物、母乳、粘液、胸膜液、膿汁、唾液、皮脂、精液、血清、汗、涙液、尿、膣分泌液、嘔吐物、分泌液、大便、体内液(脳及び脊髄を取り囲む脳脊髄液を含む)、滑液、細胞内液(細胞内部の液体)、及び硝子体液(眼球内の液体)が挙げられる。いくつかの実施形態において、試料は、血液試料である。血液試料は、従来技術、例えば、Innis et al,eds.,PCR Protocols(Academic Press,1990)に記載の技術を使用して得ることができる。従来技術または市販のキット、例えば、RosetteSepキット(Stein Cell Technologies(Vancouver,Canada))を使用して、血液試料から白血球を分離することができる。白血球の亜集団、例えば、単核細胞、B細胞、T細胞、単球、顆粒球またはリンパ球は、従来技術、例えば、磁気活性化細胞分離法(MACS)(Miltenyi Biotec(Auburn,California))または蛍光活性化細胞分取法(FACS)(Becton Dickinson(San Jose,California))を使用して更に単離することができる。
一実施形態において、血液試料は、約0.1mL〜約10.0mL、約0.2mL〜約7mL、約0.3mL〜約5mL、約0.4mL〜約3.5mLまたは約0.5mL〜約3mLである。別の実施形態において、血液試料は、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約6.0、約7.0、約8.0、約9.0または約10.0mLである。
いくつかの実施形態において、本方法で使用される試料は、生検試料(例えば、腫瘍生検試料)を含む。生検試料は、任意の器官または組織、例えば、皮膚、肝臓、肺、心臓、結腸、腎臓、骨髄、歯、リンパ節、毛髪、脾臓、脳、乳房または他の器官に由来し得る。対象から試料を単離するには、当業者に知られている任意の生検技術、例えば、開創生検、非切開生検、コア生検、切開生検、切除生検または微細針吸引生検を使用することができる。
一実施形態において、本明細書で提供される方法にて使用される試料は、対象が疾患または障害のための治療を受ける前に、対象から得られる。別の実施形態において、試料は、対象が疾患または障害のための治療を受けている最中に、対象から得られる。別の実施形態において、試料は、対象が疾患または障害のための治療を受けた後に、対象から得られる。種々の実施形態において、治療は、化合物(例えば、以下のセクション5.6に記載される化合物)を対象に投与することを含む。
5.5 細胞の種類
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される方法で使用される試料は、複数の細胞、例えば、がん(例えば、ATL)細胞などを含む。このような細胞には、任意の種類の細胞、例えば、幹細胞、血液細胞(例えば、末梢血単核細胞)、リンパ球、B細胞、T細胞、単球、顆粒球、免疫細胞またはがん細胞が含まれ得る。
表1に示されるように、ある特定の実施形態において、本明細書で提供される方法における細胞は、細胞株から得ることができる。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法における細胞は、ATL患者由来細胞株である。他の実施形態において、本明細書で提供される方法における細胞は、HTLV−1形質転換細胞株である。更に他の実施形態において、本明細書で提供される方法における細胞は、HTLV−1陰性T細胞または悪性細胞株である。更に他の実施形態において、本明細書で提供される方法における細胞は、非ATLがん由来細胞株(例えば、多発性骨髄腫細胞株)である。ある特定の実施形態において、ATL患者由来細胞株は、Hut102、ED40515、Su9T1、OATL4、OATL9、S1T、ST1、KOB、KK1及びSO4細胞株からなる群から選択される。他の実施形態において、HTLV−1形質転換細胞株は、MT−2、MT−4及びC8166細胞株からなる群から選択される。更に他の実施形態において、HTLV−1陰性T細胞または悪性細胞株は、HuT78、MOLT4、Jurkat、K562及びHL60細胞株からなる群から選択される。更に他の実施形態において、非ATLがん由来細胞株(例えば、多発性骨髄腫細胞株)は、レナリドミド応答性細胞株(例えば、NCI−H929)及びレナリドミド非応答性細胞株(例えば、RPML−8226)からなる群から選択される。
具体的な一実施形態において、細胞株は、Hut102細胞株である。別の実施形態において、細胞株は、ED40515細胞株である。更に別の実施形態において、細胞株は、Su9T1細胞株である。更に別の実施形態において、細胞株は、OATL4細胞株である。ある特定の実施形態において、細胞株は、OATL9細胞株である。いくつかの実施形態において、細胞株は、S1T細胞株である。他の実施形態において、細胞株は、ST1細胞株である。更に他の実施形態において、細胞株は、KOB細胞株である。更に他の実施形態において、細胞株は、KK1細胞株である。ある特定の実施形態において、細胞株は、SO4細胞株である。具体的な一実施形態において、細胞株は、MT−2細胞株である。別の実施形態において、細胞株は、MT−4細胞株である。更に別の実施形態において、細胞株は、C8166細胞株である。更に別の実施形態において、細胞株は、HuT78細胞株である。ある特定の実施形態において、細胞株は、MOLT4細胞株である。いくつかの実施形態において、細胞株は、Jurkat細胞株である。他の実施形態において、細胞株は、K562細胞株である。更に他の実施形態において、細胞株は、HL60細胞株である。更に他の実施形態において、細胞株は、NCI−H929細胞株である。ある特定の実施形態において、細胞株は、RPMI−8226細胞株である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される方法で使用される試料は、例えば、がん(例えば、ATL)を有する個体の罹患組織に由来する。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される方法は、健常な個体に由来する細胞の遺伝子再構成を検出するのに有用である。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される方法で使用される細胞の数は、1細胞〜約109細胞の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法で使用される細胞の数は、約1×104、約5×104、約1×105、約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1×108、約5×108または約1×109である。
対象から採取した細胞の数及び種類については、例えば、フローサイトメトリー、セルソーティング、免疫細胞化学(例えば、組織特異的抗体または細胞マーカー特異的抗体による染色)、蛍光活性化細胞分取法(FACS)、磁気活性化細胞分離法(MACS)などの標準的な細胞検出技術を使用して細胞表面マーカーの変化を測定することによって、光学顕微鏡もしくは共焦点顕微鏡を使用して細胞の形態を調べることによって、かつ/またはPCR及び遺伝子発現プロファイリングなどの当該技術分野においてよく知られている技術を使用して遺伝子発現の変化を測定することによって、モニタリングすることができる。これらの技術は、1つ以上の特定のマーカーについて陽性である細胞を特定することにも使用することができる。
ある特定の実施形態において、細胞のサブセットが本明細書で提供される方法で使用される。細胞の特定集団を分取及び分離する方法は、当該技術分野においてよく知られており、細胞の大きさ、形態または細胞内もしくは細胞外マーカーを基準にすることができる。このような方法には、フローサイトメトリー、フローソーティング、FACS、磁気細胞分取などのビーズによる分離、サイズによる分離(例えば、ふるい、障害物のアレイまたはフィルター)、マイクロ流体装置での分取、抗体による分離、沈降、親和性吸着、親和性抽出、密度勾配遠心分離、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションなどが挙げられるが、これらに限定されない。蛍光活性化細胞分取法(FACS)は、粒子の蛍光特性に基づいて、粒子(細胞を含む)を分離するための既知の方法である(Kamarch,Methods Enzymol.1987,151:150−165)。個々の粒子における蛍光部分のレーザー励起によって小さな電荷が生じ、混合物からの陽性粒子及び陰性粒子の電磁的分離が可能となる。一実施形態において、細胞表面マーカー特異的抗体またはリガンドは、異なる蛍光標識で標識される。細胞はセルソーターを通して処理され、使用抗体に結合する能力に基づいた細胞分離が可能となる。FACS分取された粒子は、分離及びクローニングを簡便にするために、96ウェルプレートまたは384ウェルプレートの個々のウェルに直接入れてもよい。
一実施形態において、RNA(例えば、mRNA)またはタンパク質が腫瘍から精製され、バイオマーカーの有無が遺伝子またはタンパク質発現解析によって測定される。ある特定の実施形態において、バイオマーカーの有無は、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)、マイクロアレイ、フローサイトメトリーまたは免疫蛍光法によって測定される。他の実施形態において、バイオマーカーの有無は、ELISAまたは当該技術分野において知られている他の類似の方法によって測定される。
5.6 化合物
いくつかの実施形態において、治療化合物(または化合物)は、免疫調節化合物である。
本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、「免疫調節化合物」という用語は、LPS誘導による単球のTNF−α、IL−1β、IL−12、IL−6、MIP−1α、MCP−1、GM−CSF、G−CSF及びCOX−2産生を阻害するある特定の有機小分子を包含する。特定の免疫調節化合物が本明細書中に記載される。
TNF−αは、急性炎症時にマクロファージ及び単球によって産生される炎症性サイトカインである。TNF−αは、細胞内の多様なシグナル伝達イベントに関与する。特定の理論に限定されるものではないが、本明細書中に記載される免疫調節化合物によって発揮される生物学的作用のうちの1つは、骨髄細胞によるTNF−α産生の減少である。ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される免疫調節化合物は、TNF−α mRNAの分解を促進する。
本明細書中に記載される免疫調節化合物の例には、置換スチレンのシアノ及びカルボキシ誘導体、例えば、米国特許第5,929,117号に開示されているもの、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−イソインドリン及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)−イソインドリン、例えば、米国特許第5,874,448号及び同第5,955,476号に記載されているもの、テトラ置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン、例えば、米国特許第5,798,368号に記載されているもの、1−オキソ−及び1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−イソインドリン(例えば、サリドマイドの4−メチル誘導体)、置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)フタルイミド及び置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドール、限定するものではないが、米国特許第5,635,517号、同第6,281,230号、同第6,316,471号、同第6,403,613号、同第6,476,052号及び同第6,555,554号に開示されているもの、米国特許第6,380,239号に記載のインドリン環の4位または5位が置換された1−オキソ−及び1,3−ジオキソイソインドリン(例えば、4−(4−アミノ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−4−カルバモイルブタン酸)、米国特許第6,458,810号に記載の2位が2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシピペリジン−5−イルで置換されたイソインドリン−1−オン及びイソインドリン−1,3−ジオン(例えば、2−(2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシ−5−フルオロピペリジン−5−イル)−4−アミノイソインドリン−1−オン)、米国特許第5,698,579号及び第5,877,200号に開示の非ポリペプチド環式アミドのクラス、ならびにイソインドール−イミド化合物、例えば、米国特許出願公開第2003/0045552号及び同第2003/0096841号、及び国際特許出願公開第WO02/059106号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で特定される特許及び特許出願公開のそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
種々の本明細書中に記載される免疫調節化合物は、1つ以上のキラル中心を含有し、エナンチオマーの混合物(例えば、ラセミ混合物)またはジアステレオマーの混合物として存在し得る。本明細書で提供される方法は、かかる化合物の立体異性体的に純粋な形態及びこれらの形態の混合物の使用を包含する。例えば、特定の免疫調節化合物のエナンチオマーを等量または不等量で含む混合物を本明細書で提供される方法で使用してもよい。これらの異性体は、不斉合成することもできるし、キラルカラムまたはキラル分割剤などの標準的な技術を使用して分割することもできる。Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley−Interscience,New York,1981)、Wilen et al.,Tetrahedron 1977,33:2725−2736、Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill,NY,1962)、Wilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions,p.268(Eliel,ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN,1972)を参照されたい。
ある特定の実施形態において、免疫調節化合物は、ベンゾ環においてアミノで置換された1−オキソ−または1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−イソインドリンであり、米国特許第5,635,517号に記載されているものを含む(その開示全体を参照により本明細書に援用する)。
ある特定の実施形態において、免疫調節化合物は、式I:
の構造を有し、式中、X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=OまたはCH
2であり、R
2は水素または低級アルキルであり、一実施形態において、メチルである。
ある特定の実施形態において、免疫調節化合物は、
1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン(レナリドミド)、
1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン(ポマリドミド)、もしくは
1,3−ジオキソ−2−(3−メチル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドールまたはその光学的に純粋な異性体である。免疫調節化合物は、標準的な合成法によって得ることができる。米国特許第5,635,517号を参照されたい(その開示全体を参照により本明細書に援用する)。免疫調節化合物は、Celgene Corporation(Warren,NJ)からも入手可能である。
ある特定の実施形態において、免疫調節化合物は、レナリドミドである。ある特定の実施形態において、免疫調節化合物は、ポマリドミドである。
ある特定の実施形態において、免疫調節化合物は、置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−フタルイミドまたは置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドールであり、米国特許第6,281,230号、同第6,316,471号、同第6,335,349号、同第6,476,052号、及び国際出願公開第WO98/03502号に記載されているものを含む(各開示の全体を参照により本明細書に援用する)。
ある特定の実施形態において、免疫調節化合物は、式:
のものであり、
式中、
X及びYの一方はC=Oであり、X及びYの他方はC=OまたはCH
2であり、
(i)R
1、R
2、R
3及びR
4のそれぞれは、互いに独立して、ハロ、C
1〜4アルキルまたはC
1〜4アルコキシであるか、あるいは(ii)R
1、R
2、R
3及びR
4のうちの1つは−NHR
5であり、R
1、R
2、R
3及びR
4のうちの残りは水素であり、
R
5は、水素またはC
1〜8アルキルであり、
R
6は、水素、C
1〜8アルキル、ベンジルまたはハロであり、
ただし、X及びYがC=Oである場合、また(i)R
1、R
2、R
3及びR
4のそれぞれがフルオロであるか、あるいは(ii)R
1、R
2、R
3またはR
4のうちの1つがアミノである場合、R
6は水素以外である。
ある特定の実施形態において、免疫調節化合物は、式
のものであり、式中、R
1は、水素またはメチルである。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される方法にて使用される免疫調節化合物は、エナンチオマー的に純粋である(例えば、光学的に純粋な(R)−または(S)−エナンチオマーである)。
別の実施形態において、治療化合物は、サリドマイド、すなわち、2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンである。
他の実施形態において、治療化合物は、5−置換キナゾリノンであり、米国特許第7,635,700号に記載されているものを含む(その開示全体を参照により本明細書に援用する)。
ある特定の実施形態において、治療化合物は、式IV:
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体であり、式中、
R
1は、
水素、
ハロ、
−(CH
2)
nOH、
1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキル、
1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルコキシ、または
−(CH
2)
nNHR
aであり、式中、R
aは、
水素、
1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキル、
−(CH
2)
n−(6〜10員アリール)、
−C(O)−(CH
2)
n−(6〜10員アリール)または−C(O)−(CH
2)
n−(5〜10員ヘテロアリール)(ここで、アリールまたはヘテロアリールは、ハロ、−SCF
3、1つ以上のハロでそれ自体任意に置換されたC
1〜6アルキル、または1つ以上のハロでそれ自体任意に置換されたC
1〜6アルコキシのうちの1つ以上で任意に置換される)、
−C(O)−C
1〜8アルキル(ここで、アルキルは、1つ以上のハロで任意に置換される)、
−C(O)−(CH
2)
n−(C
3〜C
10−シクロアルキル)、
−C(O)−(CH
2)n−NR
bR
c(式中、R
b及びR
cは、それぞれ独立して、
水素、
1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキル、
1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルコキシ、または
ハロ、1つ以上のハロでそれ自体任意に置換されたC
1〜6アルキルもしくは1つ以上のハロでそれ自体任意に置換されたC
1〜6アルコキシのうちの1つ以上で任意に置換された6〜10員アリールである)、
−C(O)−(CH
2)
n−O−C
1〜6アルキル、または
−C(O)−(CH
2)
n−O−(CH
2)
n−(6〜10員アリール)であり、
R
2は、水素、−(CH
2)
nOH、フェニル、−O−C
1〜6アルキル、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキルであり、
R
3は、水素、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキルであり、
nは、0、1または2である。
ある特定の実施形態において、治療化合物は、式V:
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体であり、式中、
R
4は、水素、ハロ、−(CH
2)
nOH、1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキル、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルコキシであり、
R
5は、水素、−(CH
2)
nOH、フェニル、−O−C
1〜6アルキル、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキルであり、
R
6は、水素、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキルであり、
nは、0、1または2である。
ある特定の実施形態において、治療化合物は、
である。
ある特定の実施形態において、治療化合物は、式VI:
の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体であり、式中、
R
dは、水素、
1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキル、
−C(O)−C
1〜8アルキル(ここで、アルキルは、1つ以上のハロで任意に置換される)、
−C(O)−(CH
2)
n−C
3〜10シクロアルキル、
−C(O)−(CH
2)
n−NR
eR
f(式中、R
e及びR
fは、それぞれ独立して、
水素、
1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキル、または
1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルコキシ、または
−C(O)−(CH
2)
n−O−C
1〜6アルキルである。
R
7は、水素、−(CH
2)
nOH、フェニル、−O−C
1〜6アルキル、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキルであり、
R
8は、水素、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキルであり、
nは、0、1または2である。
ある特定の実施形態において、治療化合物は、
である。
ある特定の実施形態において、治療化合物は、3−(5−アミノ−2−メチル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン、またはその立体異性体、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは多形体である。
ある特定の実施形態において、治療化合物は、式VII:
の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体であり、式中、
R
gは、−(CH
2)
n−(6〜10員アリール)、
−C(O)−(CH
2)
n−(6〜10員アリール)または−C(O)−(CH
2)
n−(5〜10員ヘテロアリール)(ここで、アリールまたはヘテロアリールは、ハロ、−SCF
3、1つ以上のハロでそれ自体任意に置換された(C
1〜C
6)アルキル、または1つ以上のハロでそれ自体任意に置換されたC
1〜6アルコキシのうちの1つ以上で任意に置換される)、
−C(O)−(CH
2)
n−NHR
h(式中、R
hは、ハロ、1つ以上のハロでそれ自体任意に置換されたC
1〜6アルキルもしくは1つ以上のハロでそれ自体任意に置換されたC
1〜6アルコキシのうちの1つ以上で任意に置換された6〜10員アリールである)、または
−C(O)−(CH
2)
n−O−(CH
2)
n−(6〜10員アリール)であり、
R
9は、水素、−(CH
2)
nOH、フェニル、−O−C
1〜6アルキル、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキルであり、
R
10は、水素、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1〜6アルキルであり、
nは、0、1または2である。
ある特定の実施形態において、治療化合物は、
である。
本明細書に記載される化合物の全ては、商業的に購入することができ、または本明細書中に開示される特許もしくは特許公報に記載の方法に従って調製することができる。更に、光学的に純粋な化合物は、不斉合成することができ、または既知の分割剤もしくはキラルカラム及び他の標準的な有機合成化学技術を使用して分割することができる。
本明細書中に記載される化合物は、約1,000g/mol未満の分子量を有する有機小分子であり得、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖または他の高分子ではない。
図示された構造とその構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合、図示された構造のほうにより重きが置かれることに留意されたい。更に、構造または構造の一部の立体化学が、例えば、太線または破線で示されていない場合、当該構造または構造の一部は、その全ての立体異性体を包含するものと解釈されるものとする。
5.7 医薬組成物
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、本明細書中に記載される化合物、例えば、レナリドミドを含む医薬組成物である。本明細書で提供される医薬組成物は、治療上有効な量の本明細書中に記載される化合物のうちの1つ以上と、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含有する。いくつかの実施形態において、化合物は、組成物中の唯一の薬学的活性成分として製剤化されてもよいし、他の活性成分と合わせてもよい。
化合物は、経口、注射、舌下及び頬側、経直腸、経膣、経眼、経耳、経鼻、吸入、噴霧、皮膚適用または経皮などの異なる投与経路に好適な医薬組成物に製剤化することができる。典型的には、上記の化合物は、当該技術分野においてよく知られている技術及び手順を使用して、医薬組成物に製剤化される(例えば、Ansel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms(7th ed.1999)参照)。
化合物は、経口、注射、舌下及び頬側、経直腸、経膣、経眼、経耳、経鼻、吸入、噴霧、皮膚適用または経皮などの異なる投与経路に好適な医薬組成物に製剤化することができる。典型的には、上記の化合物は、当該技術分野においてよく知られている技術及び手順を使用して、医薬組成物に製剤化される(例えば、Ansel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms(7th ed.1999)参照)。
組成物において、有効濃度の1つ以上の化合物または薬学的に許容される塩が好適な薬学的担体またはビヒクルとともに混合される。ある特定の実施形態において、組成物中の化合物の濃度は、投与すると、固形がん及び血液性がんを含む、がんの症状及び/または進行のうちの1つ以上を治療し、予防し、または改善する量を送達するのに有効なものである。
活性化合物は、治療患者に対して、望ましくない副作用がなく、治療上有用な作用を示すのに十分な量である。治療的上有効な濃度は、本明細書に記載されるin vitro系及びin vivo系で化合物を試験することによって実験的に決定し、次いで、そこからヒトに対する用量を推定することができる。医薬組成物中の活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収、組織分布、失活及び排泄速度、化合物の物理化学的特性、投薬スケジュール及び投与量、ならびに当業者に知られている他の要因によって決まるであろう。
薬学的に治療上活性のある化合物及びその塩は、単位用量形態または複数用量形態に製剤化され、投与される。本明細書で使用される単位用量形態とは、ヒト及び動物対象に適し、当該技術分野において知られているように個別に包装された、物理的に別個の単位を指す。それぞれの単位用量は、必要とされる薬学的担体、ビヒクルまたは希釈剤とともに、所望の治療効果をもたらすのに十分な所定の量の治療的活性化合物を含有する。単位用量形態の例には、アンプルとシリンジ及び個別包装された錠剤またはカプセル剤が挙げられる。単位用量形態は、その分数または倍数で投与することができる。多用量形態は、分離した単位用量形態で投与される、1つの容器中に包装された複数の同一単位剤形である。多用量形態の例には、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤の瓶、またはパイントもしくはガロンの瓶が挙げられる。したがって、多用量形態は、包装で分離されていない複数の単位用量である。
正確な用量及び治療期間は、治療対象の疾患に応じて変化し、既知の試験プロトコルを用いて実験的に、またはin vivoもしくはin vitroでの試験データからの推定によって決定され得ることを理解されたい。濃度及び用量の値もまた、緩和すべき病態の重症度によって変わり得ることに留意されたい。いかなる特定の対象に関しても、具体的な投薬レジメンは、個々の必要性及び組成物の投与を管理または指示する人の専門的判断に従って経時的に調整されるべきであり、また、本明細書に記載される濃度範囲は、単なる例示であり、特許請求する組成物の範囲または実施を制限することを意図しないことも更に理解されたい。
経口投与の場合、薬学的に許容される無毒性組成物は、一般的に利用される賦形剤、例えば、製薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムまたはサッカリンナトリウムなどのいずれかを組み込むことによって形成される。このような組成物には、液剤、懸濁剤、錠剤、カプセル剤、散剤及び徐放性製剤(例えば、限定するものではないが、インプラント及びマイクロカプセル化送達系)、及び生分解性生体適合性ポリマー(コラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸など)が含まれる。これらの組成物の調製方法は、当業者に知られている。
非経口、皮内、皮下または局所適用に使用される液剤または懸濁剤には、次の成分:滅菌希釈液(水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジメチルアセトアミドまたは他の合成溶媒など)、抗菌剤(ベンジルアルコール及びメチルパラベンなど)、抗酸化剤(アスコルビン酸及び硫酸水素ナトリウムなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)、緩衝剤(酢酸塩、クエン酸塩及びリン酸塩など)、及び張度調節のための剤(塩化ナトリウムまたはデキストロースなど)のいずれかを含めることができる。非経口製剤は、ガラス、プラスチックまたは他の好適な材料で作られたアンプル、ペン、使い捨てシリンジまたは単回もしくは多用量バイアル中に封入することができる。
化合物が十分な溶解性を示さない場合、化合物を可溶化するための方法を用いてもよい。このような方法は、当業者に知られており、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの共溶媒の使用、TWEEN(登録商標)などの界面活性剤の使用、または化合物の水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液もしくは塩酸中への溶解が挙げられるが、これらに限定されない。
徐放性製剤もまた調製することができる。徐放性製剤の好適な例には、本明細書中に記載される化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、成形物品の形態、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルである。徐放性マトリックスの例には、イオン導入パッチ、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド、L−グルタミン酸とL−グルタミン酸エチルのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマー及びリュープロレリン酢酸塩からなる注入可能なマイクロスフェア)などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマー及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン−酢酸ビニル及び乳酸−グリコール酸などのポリマーは、100日を超えて分子を放出することができるのに対し、ある特定のヒドロゲルは、より短い期間でタンパク質を放出する。封入された化合物は、体内に長期間留まると、37℃の水分に曝される結果として変性または凝集することがあり、これにより、生物活性を失い、その構造が変化する場合がある。関係する作用機序に応じて、安定化のための合理的な手法を考案することができる。例えば、凝集の機序がチオ−ジスルフィド交換による分子間のS−S結合形成であることが明らかであれば、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、含水量を調整し、適切な添加剤を使用し、特定のポリマーマトリックス組成物を作ることによって安定化することができる。
本明細書中に記載されるラクトース不含組成物は、当該技術分野においてよく知られている、例えば、The U.S.Pharmacopia(USP)に列挙されている賦形剤を含有し得る。一般に、ラクトース不含組成物は、活性成分、結合剤/充填剤及び滑沢剤を、薬学的に適合性があり、かつ薬学的に許容される量で含有する。例示的なラクトース不含剤形は、活性成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン及びステアリン酸マグネシウムを含有する。
更に、本明細書中に記載される化合物を含有する無水の医薬組成物及び剤形も包含される。本明細書中に記載される無水の医薬組成物及び剤形は、当業者に知られているように、無水または低水分含有成分及び低水分または低湿度条件を用いて調製することができる。無水医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように調製され、保存する必要がある。したがって、無水組成物は、水への曝露を防ぐことが知られている材料を使用して包装され、これを好適な処方キット中に含めることができる。好適な包装の例には、密封したホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
活性成分を0.001%〜100%の範囲で含有し、残部が無毒性担体から構成される剤形または組成物を調製することができる。いくつかの実施形態において、企図される組成物は、約0.005%〜約95%の活性成分を含有する。他の実施形態において、企図される組成物は、約0.01%〜約90%の活性成分を含有する。ある特定の実施形態において、企図される組成物は、約0.1%〜約85%の活性成分を含有する。他の実施形態において、企図される組成物は、約0.1%から約75〜95%の活性成分を含有する。
組成物は、所望の特性の組み合わせを得るために、他の活性化合物を含んでもよい。本明細書中に記載される化合物または本明細書に記載されるその薬学的に許容される塩はまた、治療または予防目的で、固形がんまたは血液性がんなどの上述した疾患または医学的状態のうちの1つ以上を治療するのに有用である一般的な技術分野で知られている別の薬理学的物質とともに有利に投与することができる。このような併用療法は、本明細書で提供される組成物及び治療方法の更なる態様を構成することを理解されたい。
5.7.1 経口剤形
経口医薬剤形は、固体、ゲルまたは液体のいずれかである。固形剤形は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び混合散剤である。経口錠剤の種類には、圧縮された、咀嚼可能なトローチ剤及び錠剤が含まれ、これらは、腸溶性コーティング、糖衣またはフィルムコーティングされていてもよい。カプセル剤は、硬質または軟質のゼラチンカプセル剤であってよく、顆粒剤及び散剤は、当業者に知られている他の成分と組み合わせて、非発泡性または発泡性形態で提供され得る。
ある特定の実施形態において、製剤は、カプセル剤または錠剤などの固形剤形である。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、結合剤、希釈剤、滑沢剤、流動化剤、崩壊剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、湿潤剤及びコーティング剤(例えば、腸溶性コーティング剤またはフィルムコーティング剤)の成分または類似の性質の化合物の任意のいずれか1つまたは組み合わせを含有し得る。
結合剤の例には、微結晶セルロース、トラガカントゴム、グルコース溶液、アカシアゴム漿、ゼラチン溶液、スクロース及びデンプン糊が挙げられる。希釈剤には、例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトール及びリン酸二カルシウムが挙げられる。滑沢剤には、例えば、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、石松子及びステアリン酸が挙げられる。流動化剤には、コロイド状二酸化ケイ素が挙げられるが、これに限定されない。崩壊剤には、例えば、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。着色剤には、例えば、認定許可された水溶性FD及びC色素、その混合物、ならびにアルミナ水和物に懸濁させた非水溶性FD及びC色素のいずれかが含まれる。甘味剤には、例えば、スクロース、ラクトース、マンニトール、サッカリンなどの人工甘味剤及び多くの噴霧乾燥フレーバーが挙げられる。矯味剤には、例えば、果実などの植物から抽出した天然フレーバーならびに好ましい感覚をもたらす化合物、限定するものではないが、ペパーミント及びサリチル酸メチルなどの合成ブレンドが挙げられる。湿潤剤には、例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコール及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。腸溶性コーティング剤には、例えば、脂肪酸、脂肪、ワックス、セラック、アンモニア化セラック及び酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。フィルムコーティング剤には、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000及び酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。
経口投与が望ましい場合、化合物は、胃の酸性環境から化合物を保護する組成物中に提供され得る。例えば、組成物は、胃中ではその完全な状態を維持し、腸内で活性化合物を放出する腸溶性コーティング中に製剤化することができる。組成物はまた、制酸剤または他の同様の成分と組み合わせて製剤化してもよい。
液体経口剤形には、非発泡性顆粒剤から再構成された水性液剤、乳剤、懸濁剤、液剤及び/または懸濁剤、ならびに発泡性顆粒剤から再構成された発泡性製剤が含まれる。水性液剤には、例えば、エリキシル剤及びシロップ剤が挙げられる。乳剤は、水中油型または油中水型のいずれかである。エリキシル剤は、甘味のある澄明な水アルコール性製剤である。エリキシル剤に使用される薬学的に許容される担体には、溶媒が含まれる。シロップ剤は、糖、例えば、スクロースの濃縮水溶液であり、保存剤を含み得る。乳剤は、二相系であり、一方の液体が他方の液体全体に小さな球の形で分散しているものである。乳剤に使用される薬学的に許容される担体は、非水性液体、乳化剤及び保存剤である。懸濁剤は、薬学的に許容される懸濁化剤及び保存剤を使用する。液体経口剤形に再構成される非発泡性顆粒剤中に使用される薬学的に許容される物質には、希釈剤、甘味剤及び湿潤剤が含まれる。液体経口剤形に再構成される発泡性顆粒剤中に使用される薬学的に許容される物質には、有機酸及び二酸化炭素源が含まれる。着色剤及び矯味剤は、上述剤形の全てに使用される。
溶媒には、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール及びシロップが含まれる。保存剤の例には、グリセリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム及びアルコールが挙げられる。乳剤に使用される非水性液体の例には、鉱油及び綿実油が挙げられる。乳化剤の例には、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの界面活性剤が挙げられる。懸濁化剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ビーガム及びアカシアが挙げられる。希釈剤には、ラクトース及びスクロースが含まれる。甘味剤には、スクロース、シロップ、グリセリン及びサッカリンなどの人工甘味剤が含まれる。湿潤剤には、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコール及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが含まれる。有機酸には、クエン酸及び酒石酸が含まれる。二酸化炭素源には、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムが含まれる。
固形剤形の場合、例えば、炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリド中の溶液または懸濁液がゼラチンカプセルに封入される。このような溶液ならびにその調製及びカプセル化については、米国特許第4,328,245号、同第4,409,239号及び同第4,410,545号に開示されている。液体剤形の場合、例えば、ポリエチレングリコール中の溶液が、投与のために簡単に計量される十分な量の薬学的に許容される液体担体、例えば、水で希釈され得る。
あるいは、活性化合物または塩を植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、炭酸プロピレン)及び他の類似の担体中に溶解または分散させ、これらの溶液または懸濁液を硬質または軟質ゼラチンカプセルシェル中に封入することによって、液体または半固形の経口製剤を調製することができる。他の有用な製剤には、本明細書中に記載される化合物と、限定するものではないが、1,2−ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール−350−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテル(350、550及び750は、ポリエチレングリコールのおおよその平均分子量を示す)を含むジアルキル化モノ−またはポリ−アルキレングリコールと、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、ケファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸及びそのエステルならびにジチオカルバメートなどの1つ以上の抗酸化剤とを含むものが挙げられるが、これらに限定されない。
他の製剤には、薬学的に許容されるアセタールを含む水性アルコール溶液が挙げられるが、これらに限定されない。これらの製剤に使用されるアルコールは、1つ以上のヒドロキシル基を有する、任意の薬学的に許容される水混和性溶媒であり、限定するものではないが、プロピレングリコール及びエタノールが挙げられる。アセタールには、アセトアルデヒドジエチルアセタールなどの低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタールが挙げられるが、これらに限定されない。
5.7.2 注射剤、液剤及び乳剤
組成物の非経口投与には、静脈内、皮下及び筋肉内投与が含まれる。非経口投与のための組成物には、すぐに注射可能な滅菌溶液、凍結乾燥粉末などの使用直前に溶媒と合わせればすぐに注射可能となる滅菌乾燥可溶性製品、すぐに注射可能な滅菌懸濁液及び滅菌乳濁液が含まれる。溶液は、水性または非水性のいずれでもよい。単位用量の非経口製剤は、アンプル、バイアルまたは針付きシリンジ中に包装される。非経口投与用の全ての製剤は、当該技術分野において知られ実施されているように、滅菌状態でなければならない。
非経口製剤に使用される薬学的に許容される担体には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁化剤、分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤及び他の薬学的に許容される物質が含まれる。
水性ビヒクルの例には、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張ブドウ糖注射液、滅菌水注射液、ブドウ糖加乳酸リンゲル注射液が挙げられる。非水性非経口ビヒクルには、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油及びピーナッツ油などの植物由来の不揮発性油が含まれる。多用量容器中に包装される非経口製剤には、静菌または静真菌濃度の抗菌剤を添加しなければならず、これらには、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムならびに塩化ベンゼトニウムが含まれる。等張化剤には、塩化ナトリウム及びデキストロースが含まれる。緩衝剤には、リン酸塩及びクエン酸塩が含まれる。抗酸化剤には、硫酸水素ナトリウムが含まれる。局所麻酔剤には、プロカイン塩酸塩が含まれる。懸濁化剤及び分散剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが含まれる。乳化剤には、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が含まれる。金属イオン封鎖剤または金属イオンキレート剤には、EDTAが含まれる。薬学的担体にはまた、水混和性ビヒクルのためのエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールならびにpH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸も含まれる。
注射剤は、局所投与用及び全身投与用に設計される。典型的には、治療上有効な用量は、治療される組織(複数可)に対して、少なくとも約0.1%w/w〜約90%w/wまでまたはそれ以上、例えば1%w/wを超える濃度の活性化合物を含有するように処方される。活性成分は、一度に投与されてもよいし、時間間隔で投与されるいくつかの小用量に分割することもできる。正確な用量及び治療期間は、治療対象の組織に応じて変化し、既知の試験プロトコルを用いて実験的に、またはin vivoもしくはin vitroでの試験データからの推定によって決定され得ることを理解されたい。濃度及び用量の値もまた、治療される個体の年齢によって変動し得ることに留意されたい。いかなる特定の対象に関しても、具体的な投薬レジメンは、個々の必要性及び製剤の投与を管理または指示する人の専門的判断に従って経時的に調整されるべきであり、また、本明細書に記載される濃度範囲は、単なる例示であり、特許請求する製剤の範囲または実施を制限することを意図しないことも更に理解されたい。
5.7.3 凍結乾燥粉末
溶液、乳濁液及び他の混合物として投与するために再構成することができる、凍結乾燥粉末もまた本明細書の対象である。これらは、再構成され、固体またはゲルとして処方されてもよい。
滅菌凍結乾燥粉末は、本明細書中に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩を好適な溶媒中に溶解することによって調製される。溶媒は、粉末またはその粉末から調製して再構成される溶液の安定性または他の薬理学的成分を改善する賦形剤を含有してもよい。使用することができる賦形剤には、デキストロース、ソルビタール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたは他の好適な剤が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒は、クエン酸、リン酸などの緩衝液または当業者に知られている他の緩衝液を含有してもよい。一実施形態において、緩衝液は、ほぼ中性のpHを有する。その後、溶液を滅菌濾過し、次いで、当業者に知られている標準条件下で凍結乾燥すると、所望の製剤が得られる。一般に、得られた溶液は、凍結乾燥用のバイアル中に分配される。各バイアルは、一回用量(限定するものではないが、10〜1000mgまたは100〜500mg)または複数回用量の化合物を含有する。凍結乾燥粉末は、約4℃〜室温などの適切な条件下で保存することができる。
この凍結乾燥粉末を注射用水で再構成すると、非経口投与にて使用される製剤が得られる。再構成には、滅菌水または他の好適な担体1mL当たり約1〜50mg、約5〜35mgまたは約9〜30mgの凍結乾燥粉末が添加される。正確な量は、選択する化合物による。かかる量は、実験的に決定することができる。
5.7.4 局所投与
局所用混合物は、局所投与及び全身投与に関する記載のとおりに調製することができる。得られる混合物は、溶液、懸濁液、乳濁液などであり得、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、乳剤、液剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁剤、チンキ剤、パスタ剤、発泡剤、エアゾール剤、洗浄剤、噴霧剤、坐剤、絆創膏、経皮パッチ剤または局所投与に適した任意の他の製剤として製剤化される。
化合物またはその薬学的に許容される塩は、吸入などの局所適用のためのエアゾール剤として製剤化され得る(例えば、米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号及び同第4,364,923号参照、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドを送達するためのエアゾール剤について記載されている)。気道に投与するためのこれらの製剤は、単独でまたはラクトースなどの不活性担体と組み合わせた、エアゾール剤もしくはネブライザのための液剤の形態または吸入のための超微粒子粉末
であってよい。このような場合、製剤の粒子の直径は、50マイクロメートル未満または10マイクロメートル未満である。
これらの溶液、特に眼科用途が意図される溶液は、適切な塩との0.01%〜10%等張溶液(pH約5〜7)として製剤化され得る。
5.7.5 他の投与経路のための組成物
経皮パッチ剤及び直腸投与などの他の投与経路もまた本明細書にて企図される。
例えば、直腸投与のための医薬剤形は、全身作用のための肛門坐剤、カプセル剤及び錠剤である。本明細書で使用される肛門坐剤とは、直腸へ挿入するための固形体であって、体温で溶融するか、または軟化し、1つ以上の薬理活性または治療活性成分を放出するものを意味する。肛門坐剤に使用される薬学的に許容される物質は、基剤(またはビヒクル)及び融点を上げる剤を含む。基剤の例には、例えば、カカオバター(カカオ脂)、グリセリンゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)ならびに脂肪酸のモノ、ジ及びトリグリセリドの適切な混合物が挙げられる。様々な基剤の組み合わせを用いることができる。坐剤の融点を上げるための剤には、例えば、鯨蝋及びワックスが挙げられる。肛門坐剤は、圧縮方法または成形のいずれかにより調製することができる。直腸坐剤の例示的な重量は、約2〜3グラムである。
直腸投与のための錠剤及びカプセル剤は、経口投与用製剤と同じ薬学的に許容される物質を使用して、経口投与用製剤と同じ方法によって製造される。
5.7.6 徐放性組成物
本明細書中に記載される活性成分は、当業者によく知られている制御放出手段または送達デバイスによって投与することができる。例としては、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、同第5,639,480号、同第5,733,566号、同第5,739,108号、同第5,891,474号、同第5,922,356号、同第5,972,891号、同第5,980,945号、同第5,993,855号、同第6,045,830号、同第6,087,324号、同第6,113,943号、同第6,197,350号、同第6,248,363号、同第6,264,970号、同第6,267,981号、同第6,376,461号、同第6,419,961号、同第6,589,548号、同第6,613,358号、同第6,699,500号及び同第6,740,634号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。これらの各特許を参照により本明細書に援用する。このような剤形は、1つ以上の活性成分の徐放または制御放出を提供するために使用することができ、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、マイクロスフェアまたはこれらの組み合わせを使用して、様々な比率の所望の放出プロファイルをもたらすことができる。本明細書中に記載される活性成分とともに使用するために、本明細書に記載のものも含む、当業者に知られている好適な制御放出製剤を容易に選択することができる。
全ての制御放出医薬品は、制御されていない同等物を上回るように薬物療法を改善するという共通の目標を持つ。一実施形態において、医療処置における最適に設計された制御放出製剤の使用は、最少量の薬剤物質を使用して最小限の時間で病態を治療または制御することを特徴とする。ある特定の実施形態において、制御放出製剤の利点には、薬物活性の延長、投薬頻度の減少及び患者コンプライアンスの向上が含まれる。加えて、制御放出製剤を使用すると、作用の開始時間または薬物の血中濃度などの他の特徴に変化をもたらすことができ、これにより、副作用(例えば、有害作用)の発現に影響を与えることができる。
ほとんどの制御放出製剤は、まず、所望の治療効果を速やかに生じる量の薬物(活性成分)を放出した後、この治療または予防効果レベルを長期間にわたって維持する異なる量の薬物を徐々にかつ絶えず放出するように設計される。この薬物の一定濃度を体内で維持するために、代謝されて体内から排出される薬物の量を置き換える速度で、剤形から薬物が放出される必要がある。活性成分の制御放出は、限定するものではないが、pH、温度、酵素、水、他の生理学的条件または化合物を含む、様々な条件によって刺激することができる。
ある特定の実施形態において、薬剤は、静脈内注入、埋め込み可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ剤、リポソームまたは他の投与方法を使用して投与してもよい。一実施形態において、ポンプを使用することができる。Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.1987,14:201−240、Buchwald et al.,Surgery 1980,88:507−516、Saudek et al.,N.Engl.J.Med.1989,321:574−579を参照されたい。別の実施形態において、ポリマー材料を使用することができる。更に別の実施態様において、制御放出系を治療標的の近傍に置くことができ、これにより、必要とされる用量が全身投与用量の何分の1のみとなる。例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,vol.2,pp.115−138(1984)を参照されたい。
いくつかの実施形態において、制御放出デバイスは、不適切な免疫活性化または腫瘍の部位の近傍で、対象に導入される。他の制御放出系については、Langerによる概説にて考察されている(Science 1990,249:1527−1533)。活性成分を固体の内側マトリックス(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化されたまたは可塑化されていないポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコールならびに部分的に加水分解した架橋ポリ酸酢ビニル)中に分散することができる。いくつかの実施形態において、内側マトリックスは、外側のポリマー膜(例えば、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレンとの塩化ビニルコポリマー、アイオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマーならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー)によって取り囲まれる。ある特定の実施形態において、外側のポリマー膜は、体液に不溶である。これにより、放出速度が制御される段階で、活性成分が外側のポリマー膜を通って拡散する。このような非経口組成物中に含有される活性成分のパーセンテージは、その具体的な性質のみならず、対象の必要性に依存する。
5.7.7 標的化製剤
本明細書中で記載される化合物またはその薬学的に許容される塩はまた、治療がなされる対象の特定の組織、受容体または身体の他の領域に対して標的化するように製剤化することもできる。このような標的化方法は、多数、当業者によく知られている。このような標的化方法は全て、本組成物で使用するために、本明細書で企図される。標的化方法の非限定的な例は、例えば、米国特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751号、同第6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号及び同第5,709,874号を参照されたい。
一実施形態において、腫瘍標的リポソームなどの組織標的リポソームを含むリポソーム懸濁液もまた、薬学的に許容される担体として好適であり得る。これらは、当業者に知られている方法に従って調製することができる。例えば、リポソーム製剤は、米国特許第4,522,811号の記載に従って調製することができる。簡潔に述べれば、多重層小胞(MLV)などのリポソームは、卵由来ホスファチジルコリンと脳由来ホスファチジルセリン(7:3のモル比)を乾燥させることによって、フラスコの内側に形成することができる。二価カチオンを含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の本明細書中に記載される化合物の溶液を加え、脂質膜が分散するまでフラスコを振盪させる。得られた小胞を洗浄して封入されなかった化合物を除去し、遠心分離によりペレット化し、次いで、PBS中に再懸濁させる。
5.7.8 製造品
化合物または薬学的に許容される塩は、パッケージ材料と、固形がん及び血液性がんを含むがんの1つ以上の症状または進行の治療、予防または改善のために使用される、本明細書中に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩と、この化合物またはその薬学的に許容される塩が固形がん及び血液性がんを含むがんの1つ以上の症状または進行の治療、予防または改善のために使用されることを示すラベルとを含有する、製造品としてパッケージ化することができる。
本明細書中に記載される製造品は、パッケージ材料を含有する。医薬品を包装するのに使用されるパッケージ材料は、当業者によく知られている。例えば、米国特許第5,323,907号、同第5,052,558号及び同第5,033,252号を参照されたい。医薬品パッケージ材料の例には、ブリスターパック、瓶、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ペン、瓶、ならびに選択された製剤及び目的の投与方法及び治療方法に好適な任意のパッケージ材料が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中に記載される化合物及び組成物の幅広い製剤が企図される。
5.8 バイオマーカーレベルを検出するためのキット
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される種々の方法を実施するためのキットである。
例えば、いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、治療化合物に応答する可能性がある、がんを有する対象を特定するためのキットであり、このキットは、
(a)第1のバイオマーカーのレベルを決定するための剤と、
(b)第2のバイオマーカーのレベルを決定するための剤とを含み、
バイオマーカーのうちの少なくとも1つはCRBN関連タンパク質である。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、がんを有するか、またはがんを有する疑いのある対象の治療化合物に対する応答性を予測するためのキットであり、このキットは、
(a)第1のバイオマーカーのレベルを決定するための剤と、
(b)第2のバイオマーカーのレベルを決定するための剤とを含み、
バイオマーカーのうちの少なくとも1つはCRBN関連タンパク質である。
他の態様において、本明細書で提供されるのは、治療化合物による対象のがんの治療の有効性をモニタリングするためのキットであり、このキットは、
(a)第1のバイオマーカーのレベルを決定するための剤と、
(b)第2のバイオマーカーのレベルを決定するための剤とを含み、
バイオマーカーのうちの少なくとも1つはCRBN関連タンパク質である。
いくつかの実施形態において、がんは、白血病である。いくつかの実施形態において、がんは、リンパ腫である。他の実施形態において、がんは、成人T細胞白血病(ATL)である。他の実施形態において、がんは、再発性、難治性または従来の治療法に抵抗性である。他の実施形態において、がんは、再発性または難治性ATLである。
いくつかの実施形態において、治療化合物は、免疫調節化合物である。いくつかの実施形態において、治療化合物は、レナリドミドである。
具体的な実施形態において、治療化合物はレナリドミドであり、がんはATLである。
いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーは、CRBN、IKZF1及びIKZF2を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、第2のバイオマーカーは、CRBN、IKZF1及びIKZF2を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーは、CRBN、IKZF1及びIKZF2を含む群から選択される。
いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーは、CRBNである。いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーがCRBNである場合、第2のバイオマーカーはCRBNの基質である。他の実施形態において、第1のバイオマーカーがCRBNである場合、第2のバイオマーカーはCRBNの基質でない。
いくつかの実施形態において、第1のバイオマーカーはCRBNであり、第2のバイオマーカーはIKZF1である。いくつかの実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF1の発現レベルに対する比は、3より高い。他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF1の発現レベルに対する比は、4より高い。更に他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF1の発現レベルに対する比は、5より高い。
他の実施形態において、第1のバイオマーカーはCRBNであり、第2のバイオマーカーはIKZF2である。いくつかの実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、500〜5000である。他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、500より高い。他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、1000より高い。更に他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、1500より高い。更に他の実施形態において、CRBNの発現レベルのIKZF2の発現レベルに対する比は、2500より高い。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、1つ以上のバイオマーカーのmRNAレベルを検出するためのキットである。ある特定の実施形態において、キットは、1つ以上のバイオマーカーのmRNAに特異的に結合する1つ以上のプローブを含む。ある特定の実施形態において、キットは、洗浄溶液を更に含む。ある特定の実施形態において、キットは、ハイブリダイゼーションアッセイを実施するための試薬、mRNAの単離または精製手段、検出手段ならびに陽性及び陰性対照を更に含む。ある特定の実施形態において、キットは、当該キットを使用するための説明書を更に含む。キットは、家庭使用、臨床使用または研究使用に合わせて作ることができる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、1つ以上のバイオマーカーのタンパク質レベルを検出するためのキットである。ある特定の実施形態において、キットは、タンパク質バイオマーカーを認識する抗体をコーティングしたディップスティック、洗浄溶液、アッセイを実施するための試薬、タンパク質の単離または精製手段、検出手段ならびに陽性及び陰性対照を含む。ある特定の実施形態において、キットは、当該キットを使用するための説明書を更に含む。キットは、家庭使用、臨床使用または研究使用に合わせて作ることができる。
このようなキットは、例えば、ディップスティック、メンブレン、チップ、ディスク、試験ストリップ、フィルター、マイクロスフェア、スライド、マルチウェルプレートまたは光ファイバーを利用することができる。キットの固体支持体は、例えば、プラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、メンブレン、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖、キャピラリー、フィルム、プレートまたはスライドであってよい。生体試料は、例えば、細胞培養物、細胞株、組織、器官、オルガネラ、生体液、血液試料、尿試料または皮膚試料であり得る。
別の実施形態において、キットは、固体支持体、当該固体支持体に結合した核酸(当該核酸は、mRNAの少なくとも20、50、100、200、350またはそれ以上の塩基と相補的である)及び生体試料中のmRNAの発現を検出するための手段を含む。
具体的な実施形態において、医薬キットまたはアッセイキットは、1つの容器中に化合物またはその医薬組成物を含み、1つ以上の容器中にRNAを単離するための構成成分を更に含む。別の具体的な実施形態において、医薬キットまたはアッセイキットは、1つの容器中に化合物または医薬組成物を含み、1つ以上の容器中にRT−PCR、qRT−PCR、ディープシーケンシングまたはマイクロアレイを実施するための構成成分を更に含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるキットは、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)、マイクロアレイ、フローサイトメトリーまたは免疫蛍光法による、バイオマーカーの発現を検出するための手段を利用する。他の実施形態において、バイオマーカーの発現は、ELISAベースの方法または当該技術分野において知られている他の類似の方法によって測定される。
別の具体的な実施形態において、医薬キットまたはアッセイキットは、1つの容器中に化合物またはその医薬組成物を含み、1つ以上の容器中にタンパク質を単離するための構成成分を更に含む。別の具体的な実施形態において、医薬キットまたはアッセイキットは、1つの容器中に化合物または医薬組成物を含み、1つ以上の容器中にフローサイトメトリーまたはELISAを実施するための構成成分を更に含む。
別の態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書中に記載されるバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセット(例えば、1、2、3、4、5以上のバイオマーカー)の1つ以上の遺伝子産物の存在量を測定するのに必要な材料を提供する、バイオマーカーを測定するためのキットである。このようなキットは、RNAまたはタンパク質を測定するのに必要な材料及び試薬を含み得る。いくつかの実施形態において、このようなキットは、マイクロアレイを含み、当該マイクロアレイは、本明細書中に記載されるバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットの1つ以上の遺伝子産物にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド及び/もしくはDNA及び/もしくはRNA断片またはこれらの任意の組み合わせから構成される。いくつかの実施形態において、このようなキットは、バイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットのRNA産物もしくはRNA産物のcDNAコピーのいずれかまたはその両方のPCRのためのプライマーを含み得る。いくつかの実施形態において、このようなキットは、PCR用プライマー及びqPCR用プローブを含み得る。いくつかの実施形態において、このようなキットは、複数のプライマー及び複数のプローブを含み得、当該プローブのいくつかは、本明細書中に記載されるバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットの複数の遺伝子産物を同時に測定することを可能にするように、異なるフルオロフォアを有する。いくつかの実施形態において、このようなキットは、RNAからcDNAを作製するための物質及び試薬を更に含み得る。いくつかの実施形態において、このようなキットは、本明細書中に記載されるバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットのタンパク質産物に特異的な抗体を含み得る。このようなキットは、生体試料からRNA及び/またはタンパク質を単離するための材料及び試薬を更に含み得る。更に、このようなキットは、生体試料から単離されたRNAからcDNAを合成するための材料及び試薬を含み得る。いくつかの実施形態において、このようなキットは、患者が化合物に対して臨床的に感受性であるかどうかを予測するためのコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム製品を含み得る。いくつかの実施形態において、キットは、コンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム製品を説明書とともに含み得る。
いくつかの実施形態において、このようなキットは、本明細書中に記載されるバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットの1つ以上の核酸産物の発現を測定する。本実施形態によれば、キットは、本明細書中に記載されるバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットの特定の核酸産物の発現を測定するために必要な材料及び試薬を含み得る。例えば、マイクロアレイまたはRT−PCRキットは、特定の条件に合わせて作製することができ、本明細書中に記載されるバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットの特定のRNA転写産物のレベルを測定し、患者の血液性がんが化合物に対して臨床的に感受性であるかどうかを予測するために必要な試薬及び材料のみを含有し得る。あるいは、いくつかの実施形態において、キットは、本明細書中に記載されるバイオマーカー以外の遺伝子の特定の核酸産物の発現を測定するために必要な材料及び試薬を含み得る。例えば、ある特定の実施形態において、キットは、本明細書中に記載されるバイオマーカー以外の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50またはそれ以上の遺伝子の発現レベルを測定するために必要な試薬及び材料に加えて、本明細書中に記載されるバイオマーカーの遺伝子のうちの1、2、3またはそれ以上の発現レベルを測定するために必要な材料及び試薬を含む。他の実施形態において、キットは、本明細書中に記載されるバイオマーカーのうちの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3またはそれ以上の発現レベル、及び本明細書中に記載されるバイオマーカーではない1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400、450またはそれ以上の遺伝子の発現レベルを測定するために必要な試薬及び材料を含有する。ある特定の実施形態において、キットは、本明細書中に記載されるバイオマーカーのうちの遺伝子の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3またはそれ以上の発現レベル、及び本明細書中に記載されるバイオマーカーではない1〜10、1〜100、1〜150、1〜200、1〜300、1〜400、1〜500、1〜1000、25〜100、25〜200、25〜300、25〜400、25〜500、25〜1000、100〜150、100〜200、100〜300、100〜400、100〜500、100〜1000または500〜1000の遺伝子の発現レベルを測定するために必要な試薬及び材料を含有する。
核酸マイクロアレイキットの場合、キットは、通常、固体支持体表面に結合されたプローブを含む。このような一実施形態において、プローブは、オリゴヌクレオチドまたはより長いプローブ(150ヌクレオチド長〜800ヌクレオチド長の範囲であるプローブを含む)のいずれかであり得る。プローブは、検出可能な標識で標識されていてもよい。具体的な実施形態において、プローブは、本明細書中に記載されるバイオマーカーの遺伝子産物のうちの1つ以上に特異的である。マイクロアレイキットは、アッセイを実施するための説明書と、アッセイの実施から得られるデータを解釈及び解析するための方法とを含み得る。具体的な実施形態において、キットは、患者の血液性がんが化合物に対して臨床的に感受性であるかどうかを予測するための説明書を含む。キットはまた、ハイブリダイゼーション試薬及び/またはプローブが標的核酸配列にハイブリダイズしたときに生成されるシグナルを検出するために必要な試薬を含み得る。通常、マイクロアレイキットのための材料及び試薬は、1つ以上の容器中に入っている。キットの各構成成分は、通常、好適な容器中に入っている。
ある特定の実施形態において、核酸マイクロアレイキットは、本明細書中に記載されるバイオマーカーのもの以外の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50またはそれ以上の遺伝子の発現レベルを測定するために必要な試薬及び材料に加えて、本明細書中に記載されるバイオマーカーの遺伝子またはその組み合わせのうちの1、2、3またはそれ以上の発現レベルを測定するために必要な材料及び試薬を含む。他の実施形態において、核酸マイクロアレイキットは、本明細書中に記載されるバイオマーカーの遺伝子またはその任意の組み合わせの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3つまたはそれ以上の発現レベル、及び本明細書中に記載されるバイオマーカーではない1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400、450またはそれ以上の遺伝子の発現レベルを測定するために必要な試薬及び材料を含有する。別の実施形態において、核酸マイクロアレイキットは、本明細書中に記載されるバイオマーカーの遺伝子またはその任意の組み合わせの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3またはそれ以上の発現レベル、及び本明細書中に記載されるバイオマーカーのものではない1〜10、1〜100、1〜150、1〜200、1〜300、1〜400、1〜500、1〜1000、25〜100、25〜200、25〜300、25〜400、25〜500、25〜1000、100〜150、100〜200、100〜300、100〜400、100〜500、100〜1000または500〜1000の遺伝子の発現レベルを測定するために必要な試薬及び材料を含有する。
定量的PCRの場合、キットは、通常、特定の核酸配列に特異的な予め選択されたプライマーを含む。定量的PCRキットはまた、核酸を増幅するのに好適な酵素(例えば、Taqポリメラーゼなどのポリメラーゼ)、増幅反応に必要とされるデオキシヌクレオチド及び緩衝剤を含み得る。定量的PCRキットはまた、ある状態に関連するか、またはその指標となる核酸配列に特異的なプローブを含み得る。プローブは、フルオロフォアで標識されていても標識されていなくてもよい。プローブは、クエンチャー分子で標識されていても標識されていなくてもよい。いくつかの実施形態において、定量的PCRキットはまた、RNAを逆転写するのに好適な構成成分、例えば、酵素(例えば、AMV、MMLVなどの逆転写酵素)及び逆転写用プライマーを、逆転写反応に必要とされるデオキシヌクレオチド及び緩衝剤とともに含む。定量的PCRキットの各構成成分は、通常、それぞれに好適な容器中に入っている。したがって、これらのキットは、通常、それぞれ個々の試薬、酵素、プライマー及びプローブに好適な別個の容器を含む。更に、定量的PCRキットは、反応を実施するための説明書と、反応の実施から得られるデータを解釈及び解析するための方法とを含み得る。具体的な実施形態において、キットは、患者の血液性がんが化合物に対して臨床的に感受性であるかどうかを予測するための説明書を含有する。
抗体ベースのキットの場合、キットは、例えば、(1)目的とするペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に結合する第1の抗体(固体支持体に結合していても結合していなくてもよい)と、任意に、(2)第1の抗体または当該ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質のいずれかに結合し、かつ検出可能な標識(例えば、蛍光標識、放射性同位体または酵素)に連結されている第2の異なる抗体とを含み得る。具体的な実施形態において、目的とするペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、ある状態(例えば、疾患)に関連するか、その指標となる。抗体ベースのキットはまた、免疫沈降を実施するためのビーズを含み得る。抗体ベースのキットの各構成成分は、通常、それぞれに好適な容器中に入っている。したがって、これらのキットは、通常、各抗体及び試薬に好適な別個の容器を含む。更に、抗体ベースのキットは、アッセイを実施するための説明書と、アッセイの実施から得られるデータを解釈及び解析するための方法とを含み得る。具体的な実施形態において、キットは、患者の血液性がんが化合物に対して臨床的に感受性であるかどうかを予測するための説明書を含有する。
一実施形態において、本明細書で提供されるキットは、本明細書中に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を含む。キットは、限定するものではないが、本明細書中に開示されるものを含む、追加の活性成分を更に含み得る。
本明細書で提供されるキットは、活性成分を投与するために使用されるデバイスを更に含み得る。このようなデバイスの例には、シリンジ、点滴袋、パッチ及び吸入器が挙げられるが、これらに限定されない。
キットは、1つ以上の活性成分を投与するために使用することができる薬学的に許容されるビヒクルとともに、移植用の細胞または血液を更に含み得る。例えば、活性成分が非経口投与用に再構成する必要のある固体形態で提供される場合、キットは、当該活性成分を溶解することができ、これにより非経口投与に適した微粒子を含まない滅菌溶液を形成する、好適なビヒクルが入った密封容器を含み得る。薬学的に許容されるビヒクルの例には、USP注射用水、水性ビヒクル(限定するものではないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖塩化ナトリウム注射液及び加乳酸リンゲル注射液)、水混和性ビヒクル(限定するものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール)、及び非水溶性ビヒクル(限定するものではないが、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で提供される方法及びキットのある特定の実施形態において、固相支持体は、タンパク質の精製、試料の標識、または固相アッセイの実施に使用される。本明細書に開示される方法を実施するのに好適な固相の例には、ビーズ、粒子、コロイド、単一表面、チューブ、マルチウェルプレート、マイクロタイタープレート、スライド、メンブレン、ゲル及び電極が挙げられる。固相が粒子材料(例えば、ビーズ)である場合、一実施形態において、それをマルチウェルプレートの各ウェル中に分配すると、固相支持体の並行処理が可能になる。
上に列挙した実施形態の任意の組み合わせ、例えば、限定するものではないが、核酸プライマー、固体支持体などの1つ以上の試薬に関する組み合わせも、本明細書で提供される種々の方法及び/またはキットのいずれかに関して企図されることを留意されたい。
本発明のある特定の実施形態について、以下の非限定的な実施例により説明する。
6.実施例
以下の実施例は、別途詳述される場合を除き、当業者によく知られ、慣用となっている標準的な技術を使用して実施される。実施例は、単なる例示であることが意図される。
6.1 実施例1 3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン(レナリドミド)の調製
2−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸メチル
四塩化炭素(200mL)中の2−メチル−3−ニトロ安息香酸メチル(14.0g、71.7mmol)及びN−ブロモスクシンイミド(15.3g、86.1mmol)の攪拌混合物を、2cm離れた位置にある100W電球でフラスコを照らしながら、穏やかな還流下で15時間加熱した。混合物を濾過し、固体を塩化メチレン(50mL)で洗浄した。濾液を水(2×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、8/2)によって精製して、19g(96%)の生成物を黄色固体として得た。融点70.0〜71.5℃;1H NMR (CDCl3) δ 8.12−8.09(dd, J=1.3及び7.8 Hz, 1H), 7.97−7.94(dd, J=1.3及び8.2 Hz, 1H), 7.54(t, J=8.0 Hz, 1H). 5.15(s, 2H), 4.00(s, 3H);13C NMR (CDCl3) δ 165.85, 150.58, 134.68, 132.38, 129.08, 127.80, 53.06, 22.69;HPLC Water Nove−Pak/C18、3.9×150mm、4マイクロメートル、1mL/分、240nm、40/60 CH3CN/0.1%H3PO4(aq)7.27分(98.92%);C9H8NO4Brの分析計算値: C 39.44; H 2.94; N 5.11; Br 29.15。実測値: C 39.46; H 3.00; N 5.00; Br 29.11。
N−(1−オキソ−4−ニトロイソインドリン−2−イル)−L−グルタミンt−ブチル
テトラヒドロフラン(90mL)中の2−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸メチル(3.5g、13.0mmol)及びL−グルタミン t−ブチルエステル塩酸塩(3.1g、13.0mmol)の攪拌混合物に、トリエチルアミン(2.9g、28.6mmol)を滴加した。24時間、混合物を加熱還流した。冷却した混合物に塩化メチレン(150mL)を加え、混合物を水(2×40mL)、ブライン(40mL)で洗浄し、乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン中3%CH3OH)によって精製して、2.84g(60%)の粗生成物を得、これを次の反応に直接使用した。1H NMR (CDCl3) δ 8.40(d, J=8.1 Hz, 1H), 8.15(d, J=7.5 Hz, 1H), 7.71(t, J=7.8 Hz, 1H), 5.83(s, 1H), 5.61(s, 1H), 5.12(d, J=19.4 Hz, 1H), 5.04−4.98(m, 1H), 4.92(d, J=19.4 Hz, 1H), 2.49−2.22(m, 4H). 1.46(s, 9H);HPLC Waters Nova−Pak C18、3.9×150mm、4マイクロメートル、1mL/分、240nm、25/75 CH3CN/0.1%H3PO4(aq)6.75分(99.94%)。
N−(1−オキソ−4−ニトロイソインドリン−2−イル)−L−グルタミン
N−(1−オキソ−4−ニトロ−イソインドリン−2−イル)−L−グルタミンt−ブチル(3.6g、9.9mmol)の塩化メチレン(60mL)の5℃攪拌溶液中に、塩化水素ガスを1時間バブリングした。次いで、混合物を室温で更に1時間攪拌した。エーテル(40mL)を加え、得られた混合物を30分間攪拌した。スラリーを濾過し、エーテルで洗浄し、乾燥させて、3.3gの生成物を得た。1H NMR (DMSO−d6) δ 8.45(d, J=8.1 Hz, 1H), 8.15(d, J=7.5 Hz, 1H), 7.83(t, J=7.9 Hz. 1H), 7.24(s, 1H), 6.76(s, 1H), 4.93(s, 2H), 4.84−4.78(dd, J=4.8及び10.4 Hz, 1H), 2.34−2.10(m, 4H);13C NMR (DMSO−d6) δ 173.03, 171.88, 165.96, 143.35, 137.49, 134.77, 130.10, 129.61, 126.95, 53.65, 48.13, 31.50, 24.69;C13H13N3O6の分析計算値: C 50.82; H 4.26; N 13.68。実測値: C 50.53; H 4.37; N 13.22。
(S)−3−(1−オキソ−4−ニトロイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン
無水塩化メチレン(150mL)中のN−(1−オキソ−4−ニトロイソインドリン−2−イル)−L−グルタミン(3.2g、10.5mmol)の攪拌懸濁混合物をイソプロパノール/ドライアイス浴で−40℃まで冷却した。冷却した混合物に、塩化チオニル(0.82mL、11.3mmol)、続いてピリジン(0.9g.11.3mmol)を滴加した。30分後、トリエチルアミン(1.2g、11.5mmol)を加え、混合物を−30〜−40℃で3時間攪拌した。氷水(200mL)中に混合物を注ぎ入れ、水層を塩化メチレン(40mL)で抽出した。この塩化メチレン溶液を水(2×60mL)、ブライン(60mL)で洗浄し、乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、固体残渣を酢酸エチル(20mL)でスラリー化させて、2.2g(75%)の生成物を白色固体として得た。融点285℃;1H NMR (DMSO−d6) δ : 1.04(s, 1H), 8.49−8.45(dd, J=0.8及び8.2 Hz, 1H), 8.21−8.17(dd, J=7.3 Hz, 1H), 7.84(t, J=7.6 Hz, 1H), 5.23−5.15(dd, J=4.9及び13.0 Hz, 1H), 4.96(dd, J=19.3及び32.4 Hz, 2H), 3.00−2.85(m, 1H), 2.64−2.49(m, 2H), 2.08−1.98(m, 1H);13C NMR (DMSO− d6) δ 172.79, 170.69, 165.93, 143.33, 137.40, 134.68, 130.15, 129.60, 127.02, 51.82, 48.43, 31.16. 22.23;HPLC Waters Nove−Pak/C18、3.9×150mm、4マイクロメートル、1mL/分、240nm、20/80 CH3CN/0.1%H3PO4(aq)3.67分(100%);C13HnN3O5の分析計算値:C 53.98;H 3.83;N 14.53。実測値:C 53.92;H 3.70;N 14.10。
3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン
メタノール(600mL)中の(S)−3−(1−オキソ−4−ニトロイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン(1.0g、3.5mmol)及び10%Pd/C(0.3g)の混合物を、Parr−Shaker装置中、50psiの水素で5時間水素化した。混合物をセライトに通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。固体を温酢酸エチル中で30分間スラリー化させ、濾過し、乾燥させて、0.46g(51%)の生成物を白色固体として得た。融点235.5〜239℃;1H NMR (DMSO−d6) δ 11.01 (s, 1H). 7.19(t, J=7.6 Hz, 1H). 6.90(d. J=7.3 Hz, 1H), 6.78(d, J=7.8 Hz, 1H), 5.42(s, 2H). 5.12(dd. J=5.1及び13.1 Hz, 1H), 4.17(dd, J=17.0及び28.8 Hz, 2H), 2.92−2.85(m, 1H). 2.64−2.49(m, 1H). 2.34−2.27(m, 1H), 2.06−1.99(m, 1H);13C NMR (DMSO−d6) δ 172.85, 171.19, 168.84, 143.58, 132.22. 128.79, 125.56, 1 16.37, 1 10.39, 51.48, 45.49, 31.20, 22.74;HPLC Waters Nova−Pak/C18、3.9×150mm、4マイクロメートル、1mL/分、240nm、10/90 CH3CN/0.1%H3PO4(aq)0.96分(100%);キラル分析 Daicel Chiral Pak AD、40/60 ヘキサン/IPA、6.60分(99.42%);C13H13N3O3の分析計算値: C 60.23; H 5.05; N 16.21。実測値: C 59.96; H 4.98; N 15.84。
3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは、当該技術分野において知られている方法、例えば、Treatment compounds of the Future 2003,28(5):425−431(その全体を参照により援用する)に記載の方法によって調製してもよい。
6.2 実施例2 CRBNのIKZF1またはIKZF2に対する高mRNA発現レベル比は、レナリドミド応答性ATL細胞と相関する。
本実施例では、23種の細胞、例えば、ATL細胞株、リンパ腫細胞株、白血病細胞株、健常な末梢血単核細胞(PBMC)及びヒトTリンパ球指向性ウイルス1型(HTLV−1)キャリアのPBMCに由来する細胞が用いられる。これらの種類の細胞のうち、細胞株5はレナリドミド高感受性ATL細胞株であり、細胞株6及び12はレナリドミド弱/中感受性ATL細胞株であり、他の細胞株(細胞株1〜4、7、10〜11及び13〜23)はレナリドミドに対して強力な耐性を示す。
各種の細胞からCRBN、IKZF1(イカロス)、IKZF2(ヘリオス)及びIKZF3(アイオロス)のmRNAを抽出し、qPCRによって定量し、CRBN mRNA発現レベルのIKZF1 mRNA発現レベルに対する比と、CRBN mRNA発現レベルのIKZF2 mRNA発現レベルに対する比を算出した。結果を図2A(CRBN/IKZF1)及び図2B(CRBN/IKZF2)に示す。
図2A〜2Bに示されるように、レナリドミド高感受性ATL細胞株(細胞株5)は、極めて高いCRBN:IKZF1及びCRBN:IKZF2の比を示す。IKZF2は、IKZFファミリーの1クラスであるが、CRBN基質ではないことが興味深い。これらの結果に基づくと、レナリドミド応答性ATL患者を検出するために、CRBN/IKZF1比及び/またはCRBN/IKZF2比の検査を使用することができる。
6.3 実施例3 レナリドミドは、種々のATL細胞株に対して様々な増殖抑制効果を示す。
ATL患者由来細胞株10種、HTLV−1形質転換細胞株3種、HTLV−1陰性T細胞または単球悪性細胞株5種、及び多発性骨髄腫細胞株2種(NCI−H929は応答性の対照、RPMI−8226は非応答性の対照)をレナリドミド有効性試験に選択した。ATL細胞株Hut102、ED40515、S1T、OATL4及びOATL9、HTLV−1形質転換細胞株MT−2、MT−4及びC8166、PTCL細胞株Hut78、他のT細胞Jurkat、MOLT4、HL60、ならびに単球細胞株K562は、実験室用ストック(大分大学伊波英克博士及び宮崎大学森下和広教授)である。ATL細胞株ST1、KOB、KK1及びSO4は、長崎大学の長谷川寛雄博士からの寄贈である。NCI−H929及びRPMI−8226は、米国培養細胞系統保存機関(ATCC)(Manassas,VA)から購入した。各細胞株を、15%ウシ胎児血清(FBS:Equitech−Bio Inc.(Kerrville,TX))、ペニシリンG(50U/ml)及びストレプトマイシン(50μg/ml)を添加したRPMI−1640培地で維持した。抗生物質は、Sigma−Aldrich Co.LLC.(St.Louis,MO)から購入した。本試験に使用した細胞株の特徴を以下の表1に示す。
細胞をRPMI1640 1.5mLあたり5×10
4細胞で24ウェルプレートに播種し、5%CO
2インキュベータ中で24時間維持した(細胞数が1×10
5に達するはずである)。レナリドミド(それぞれ7.5μL、濃度200×)を培地に添加する前(0日目)または添加後(1、2、3日目)に、培地12.5μL中約800個の細胞を回収し、各アッセイ(三連)について等量のCellTiter溶液(Promega)と混合した。室温での10分間のインキュベーション後、96ウェルプレート中の反応混合物をGlomaxルミノメーター(Promega)で読み取った。平均値及び標準偏差を4つの独立した試験から得た。
表1.本試験に使用した細胞株の特徴
CellTiterの相対値を0日目の無処置対照細胞と比較してプロットした。図3に示されるように、2つの多発性骨髄腫対照細胞株NCI−H929及びRPMI−8226がそれぞれレナリドミド処置に対して感受性及び非感受性の応答を示している。ATL関連細胞株13種のうち、Hut102細胞は、細胞増殖活性の有意な減少を示している(残存活性は、0.1μMレナリドミド処置で64.2%(p=0.0468)、1μMレナリドミド処置で68.3%(p=0.2443)、10μMレナリドミド処置で46.0%(p=0.0285)、及び100μMレナリドミド処置で53.0%(p=0.0307))。加えて、OATL4及びKOBは、30%を超える減少を示している(表2参照)。
表2.レナリドミド処置から3日後の残存細胞増殖活性
6.4 実施例4 感受性ATL細胞株に対するレナリドミドの増殖抑制効果は時間依存性である。
用量依存的な効果に加えて、レナリドミドはまた、時間依存的にHut102細胞の増殖を抑制する。10μM レナリドミドで3日間処置したHuT102(レナリドミド感受性)とHuT78(レナリドミド非感受性)との間で残存成長活性を比較した。CellTiterアッセイをセクション6.3の実施例3と同じように実施した。4つの実験から標準偏差を算出した。図4に示されるように、HuT102は3日の期間にわたって顕著な細胞増殖減少を示すのに対し、HuT78の値はほとんど変わらないままである。
6.5 実施例5 CRBNのIKZF1に対する、及びCRBNのIKZF2に対するmRNA発現レベル比は、レナリドミドに対するATL細胞株の感受性と相関する。
上述の試験細胞株(セクション6.3の実施例3)における潜在的なレナリドミド標的遺伝子のmRNA発現プロファイルを、リアルタイムPCRを使用して測定した。レナリドミド処置ありまたはなしの細胞を回収し、リアルタイムPCR解析のために、全RNAをRNeasyキット(QIAGEN)によって調製した。定量的mRNA発現解析には、Universal Probe Library及びLight Cycler 480システムを採用した(Roche)。
CRBN、IKZF1、IKZF2及びIKZF3のレベルを解析した。1)レナリドミド感受性細胞における高CRBN発現及びレナリドミド非感受性細胞における低CRBN発現と、2)レナリドミド感受性細胞におけるIKZFファミリーの低発現及びレナリドミド非感受性細胞におけるIKZFファミリーの高発現という予想されていた発現プロファイルが観察された(図5A〜5C)。図5Aは、各細胞におけるCRBNとIKZF1の相対発現比(CRBN/IKZF1)を表す。図5Aに示されるように、レナリドミド感受性であるNCI−H929及びHuT102の両細胞は、レナリドミドに対する感受性が低い他の細胞よりも高いCRBN/IKZF1比を示している。レナリドミドに対する感受性が中程度であるKOB及びMOLT−4細胞(30%の成長抑制、表2参照)もまた、比較的高いCRBN/IKZF1比を示している。これらの比は全て、健常またはキャリアCD4対照よりも高い。図5Bは、各細胞におけるCRBNとIKZF3の相対発現比(CRBN/IKZF3)を表す。CRBN/IKZF3の比とレナリドミド感受性との間に、有意な相関関係は観察されなかった。特に、HL60細胞で示された高い比は、これらの細胞でIKZF3発現が顕著に減少したことに起因する(図5B)。図5Cは、各細胞におけるCRBNとIKZF2の相対発現比(CRBN/IKZF2)を表す。レナリドミド感受性HuT102細胞は、他の細胞よりも高いCRBN/IKZF2比を示している。加えて、レナリドミド感受性HuT102及び中感受性MT−4において、IKZF2発現の顕著な減少が観察された(図5C)。
6.6 実施例6 レナリドミドは、レナリドミド感受性HuT102細胞においてIKZFファミリータンパク質の分解を誘導する。
レナリドミド処置ありまたはなしのHuT102(レナリドミド感受性)細胞及びHuT78(レナリドミド非感受性)細胞のタンパク質発現プロファイルを、ウェスタンブロッティングを使用して分析した。300〜500万個の細胞を調製し、プロテアーゼ阻害剤ミックス(Roche Diagnostics(Indianapolis,IN))を添加した、HEPES(pH7.3)/NP40 0.5%細胞溶解バッファーで溶解した。CRBN、IKZF1、IKZF2及びIKZF3に対するウサギモノクローナル抗体はCell Signaling Technology(Danvers,MA)から購入し、マウスモノクローナル抗チューブリン抗体はSigma(St.Louis,MO)から購入した。
図6に示されるように、CRBNの基礎タンパク質量はHuT78よりもHuT102でかなり高く、IKZF1及びIKZF2基礎タンパク質レベルはHuT78よりもHuT102でより低い。レナリドミドによる3日の処置後、レナリドミド感受性HuT102細胞では、IKZF1は完全に消失し、IKZF3は有意に減少するのに対し、レナリドミド非感受性HuT78細胞では、IKZF2及びIKZF3は変化しないままであり、IKZF1は減少するが依然として検知可能である。
* * * *
前述のことから、本明細書では具体的な実施形態が例示目的で記載されているが、本明細書で提供されるものの趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の改変がなされ得ることが理解されるであろう。上で言及されている参考文献は全て、その全体が参照により本明細書に援用される。