JP2018522033A - ムスカリン作動薬 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ムスカリンM受容体及び/またはM受容体作動薬であり、ムスカリンM/M受容体が関与する疾患の治療に有用な化合物に関する。その化合物を含有する医薬組成物、及び化合物の治療的使用もまた提供する。化合物は、式(1)の化合物またはその塩を含み、式中、q、r、s、Q、R、R2’、R2’’、R及びRは、本明細書に記載のとおりである。

Description

ムスカリン作動薬
本発明は、ムスカリンM受容体及び/またはM受容体作動薬であり、ムスカリンM/M受容体が関与する疾患の治療に有用な化合物に関する。その化合物を含有する医薬組成物、及び化合物の治療的使用もまた提供する。
ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)は、中枢神経系及び末梢神経系の両方において神経伝達物質であるアセチルコリンの作用を媒介する、Gタンパク質共役型受容体スーパーファミリーのメンバーである。5つのmAChRサブタイプ、M〜Mがクローニングされている。MmAChRは、大脳皮質、海馬、線条体、及び視床におけるシナプス後部で主に発現しており、MmAChRは、大脳皮質、海馬、及び線条体におけるコリン作動性シナプス終末にも存在するが、主には、脳幹及び視床に存在している(Langmead et al.,2008 Br J Pharmacol)。しかしながら、MmAChRはまた、心臓組織(そこで、MmAChRが心臓の迷走神経刺激を媒介する)、ならびに、平滑筋及び外分泌腺の周辺部において発現している。MmAChRは、CNSにおいて比較的低濃度で発現しているが、平滑筋及び腺組織(汗腺及び唾液腺など)に広く発現している(Langmead et al.,2008 Br J Pharmacol)。
中枢神経系におけるムスカリン受容体、特にMmAChRは、高度な認知プロセスの媒介に重要な役割を果たしている。認知障害と関連する疾患、例えば、アルツハイマー病は、前脳基底部におけるコリン作動性ニューロンの減少を伴う(Whitehouse et al.,1982 Science)。統合失調症にも同様に認知障害があるが、その認知障害は臨床像における主要な構成要素であり、統合失調症患者の前頭前野、海馬、及び尾状核におけるmAChR濃度の低下によるものである(Dean et al.,2002 Mol Psychiatry)。更に、中枢コリン作動性経路を遮断または損傷させた動物モデルでは、重度の認知欠損がもたらされ、また非選択的mAChR拮抗薬においては、精神病患者における精神異常作用を誘発することが示されている。コリン作動薬による補充療法は一般的に、内因性アセチルコリンの分解を阻害するアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の使用に基づいている。これらの化合物は、臨床において、症候性の認知衰退に対する有効性を示しているが、末梢神経のM及びMmAChRを刺激することによる用量制限有害事象、例えば、胃腸運動障害、徐脈、悪心、及び嘔吐などを誘発する(http://www.drugs.com/pro/donepezil.html;
http://www.drugs.com/pro/rivastigmine.html)。
mAChRに直接作用する作動薬の同定を目標とした更なる発見努力が行われてきており、当該作動薬は、有利な有害事象プロファイルを有しつつ、認知機能の選択的向上を誘導することを目的としている。このような努力が、一連の作動薬の同定につながっているが、それら作動薬としては、例えば、キサノメリン、AF267B、サブコメリン、ミラメリン、及びセビメリンなどの化合物が挙げられる。これら化合物の多くは、げっ歯類及び/または非ヒト霊長類の両方における認知に関する前臨床モデルに対して、極めて有効であることが判明している。ミラメリンは、げっ歯類における作業記憶及び空間記憶のスコポラミン誘発欠損に対する有効性を示し、サブコメリンは、マーモセットにおける視覚による物体識別課題への有効性を示し、またキサノメリンは、受動的回避法における認知性能のmAChR拮抗薬誘発欠損を逆転させる。
アルツハイマー病(AD)は、高齢者がかかる最も一般的な神経変性疾患(2006年において、世界中で2660万人)であり、重度の記憶力低下及び認知機能不全をもたらす。この疾患の病因は複雑ではあるが、脳における2つの特徴的な病態を特徴としており、それらは、アミロイド斑の凝集塊(主にアミロイドβペプチド(Aβ)で構成される)、及び、神経原線維変化(過剰リン酸化タウタンパク質で形成される)である。Aβの蓄積は、AD進行の主要な特徴であると考えられており、それゆえ、ADを処置するために想定されるほとんどの治療法は一般的に、Aβ産生の抑制を目標としている。Aβは、膜結合アミロイド前駆体タンパク質(APP)のタンパク質分解による切断で生成される。APPは、2つの経路、非アミロイド形成経路、及びアミロイド形成経路により処理される。γセクレターゼによるAPPの切断は2つの経路において共通しているが、前者では、APPがαセクレターゼにより切断されて、可溶性APPαが生成される。しかしながら、アミロイド形成経路では、APPがβセクレターゼにより切断されて、可溶性APPβが生成され、Aβもまた生成される。インビトロ研究では、mAChR作動薬が、非アミロイド形成経路での可溶性APPへのAPPの処理を促進し得ることを示している。インビボ研究では、mAChR作動薬であるAF267Bが、3xTgADトランスジェニックマウス(アルツハイマー病の異なる構成要素のモデル)の疾患様病態を変化させることを示した(Caccamo et al.,2006 Neuron)。mAChR作動薬であるセビメリンが、アルツハイマー病患者の髄液中Aβ濃度をわずかではあるが有意に低下させることが判明しており、その結果、潜在的な疾患抑制効果を示している(Nitsch et al.,2000 Neurol)。
前臨床研究は、mAChR作動薬が、一連の前臨床体系において、典型的でない抗精神病様プロファイルを示すことを示唆している。mAChR作動薬であるキサノメリンは、ドパミンが関与する作用の多くを逆転させる(EPS傾向なし)が、当該作用としては、ラットにおけるアンフェタミン誘発運動、マウスにおけるアポモルヒネ誘発クライミング、片側6−OH−DA破壊ラットにおけるドパミン作動薬刺激回転、及び、サルにおけるアンフェタミン誘発運動過多が挙げられる。更に、A10ドパミン細胞(A9ではなく)の発火及び条件回避を阻害し、ラットの前頭前野及び側坐核における(線条体ではない)c−fosの発現を誘導していることも示されている。これらのデータは全て、典型的でない抗精神病様プロファイル(Mirza et al.,1999 CNS Drug Rev)を示唆するものである。ムスカリン受容体はまた、アディシション(addicition)の神経生物学にも関係している。コカイン及びその他習慣性薬物の強化効果には、中脳辺縁系ドパミンシステムが関与しており、行動及び神経化学的研究においては、コリン作動性ムスカリン受容体のサブタイプがドパミン作動性神経伝達の調節に重要な役割を果たしていることを示している。例えば、M(4)(−/−)マウスは、コカイン曝露の結果、著しく亢進した報酬刺激作用を示した(Schmidt et al Psychopharmacology(2011)Aug;216(3):367−78)。更に、キサノメリンは、これらモデルにおけるコカインの影響を遮断することを示している。
ムスカリン受容体は更に、運動の制御に関与しており、運動障害の新規治療法を潜在的に示している。運動障害としては、例えば、パーキンソン病、ADHD、ハンチントン病、トゥレット症候群、及び、基本的な病因が引き起こす疾患である、ドパミン作動性機能障害と関連するその他の症候群、が挙げられる。
キサノメリン、サブコメリン、ミラメリン、及びセビメリンは全て、アルツハイマー病及び/または統合失調症を治療するための臨床開発の様々な段階まで進行している。キサノメリンの第II相臨床試験では、アルツハイマー病と関連する行動障害及び幻覚を含む、様々な認知症状領域に対するその有効性が示されている(Bodick et al.,1997 Arch Neurol)。統合失調症の小規模第II相試験にてこの化合物を更に評価したが、プラセボ対照と比較した場合に、陽性症状及び陰性症状の著しい低減が認められた(Shekhar et al.,2008 Am J Psych)。しかしながら、全ての臨床試験において、キサノメリン及び関連するその他mAChR作動薬は、悪心、胃腸痛、便通異常(diahorrhea)、発汗(多汗)、過流涎(唾液過多)、失神、及び徐脈を含むコリン作動性有害事象という点で容認できない安全域を示した。
ムスカリン受容体は、中枢神経疼痛及び末梢神経疼痛に関与している。痛みは、3つの異なるタイプ、急性、炎症性、及び神経障害性に分類することができる。急性疼痛は、組織損傷をもたらし得る刺激から生物の安全を保つための、重要な保護機能を果たす(しかし、手術後の疼痛管理は必要)。炎症性疼痛は、多くの原因、例えば、組織損傷、自己免疫応答、及び病原体の侵入などによって生じる場合があり、神経ペプチド及びプロスタグランジンなどの炎症伝達物質の作用によって引き起こされ、結果として、神経細胞の炎症及び疼痛となる。神経障害性疼痛は、痛みを伴わない刺激に対する異常な痛みの感覚と関連している。神経障害性疼痛は、多数の異なる疾患/外傷、例えば、脊髄損傷、多発性硬化症、糖尿病(糖尿病性神経症)、ウイルス感染症(HIVまたはヘルペスなど)などと関連している。また、疾患によって生じるがん、または化学療法の副作用によって生じるがんの両方においても一般的である。脊髄、及び脳内の高次痛覚中枢における受容体の活性化を介して、ムスカリン受容体の活性化が、多数の疼痛状態に対して鎮痛性を示すことが分かっている。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を介して内因性アセチルコリン濃度を高めることにより、作動薬またはアロステリックモジュレーターを用いたムスカリン受容体の直接的な活性化が、鎮痛作用を示すようになる。それに対し、拮抗薬を用いて、またはノックアウトマウスを用いて、ムスカリン受容体を遮断することにより、疼痛感受性が高まる。疼痛に対するM受容体の役割の根拠は、D.F.Fiorino、及びM.Garcia−Guzmanによって2012年に確認されている。
ごく最近では、周辺部において発現しているmAChRサブタイプと比較して、MmAChRサブタイプに対して優れた選択性を示す、少数の化合物が同定されている(Bridges et al.,2008 Bioorg Med Chem Lett;Johnson et al.,2010 Bioorg Med Chem Lett;Budzik et al.,2010 ACS Med Chem Lett)。MmAChRサブタイプと比較して選択性レベルが高いにも関わらず、これら化合物のいくつかは、このサブタイプ及びMmAChRサブタイプの両方に対して有意なアゴニスト活性を保持している。本明細書では、M及びM受容体サブタイプと比較して、予想外にM及び/またはMmAChRに対して高い選択性レベルを示す、一連の化合物について記載する。
本発明
本発明は、ムスカリンM及び/またはM受容体作動薬としての作用を有する化合物を提供する。より詳細には、本発明は、M及びM受容体サブタイプと比較して、M受容体及び/またはM受容体に対して選択性を示す化合物を提供する。
それゆえ、一実施形態(実施形態1.1)では、本発明は、式(1)、
Figure 2018522033
の化合物またはその塩を提供し、式中、
qは0、1または2であり、
rは1または2であり、
r及びsの合計が1または2の場合、sは0または1であり、
Qは、0または1個の窒素原子を含む4員環であり、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で、また、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された5または6員環で、置換されていてもよく、
2’及びR2’’は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、C1−6非芳香族炭化水素基から独立して選択され、または、R及びR2’は、共に結合して4〜7員環の縮合環を形成することができ、
は、水素、フッ素、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−9非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個、2個または3個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、
は、水素、または1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基であり、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、
、R及びRは、同一または異なっており、それぞれ、水素、1個または複数個のフッ素原子により任意に置換された非芳香族C1−4炭化水素基、または、式、CHN(R)COORの基から独立して選択され、
は、水素、及び非芳香族C1−4炭化水素基から選択され、
は、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、または、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリールもしくはヘテロアリール基から選択される1つまたは複数の基により任意に置換された非芳香族C1−4炭化水素基であり、
点線は、任意の第2の炭素−炭素結合を示し、第2の炭素−炭素結合が存在する場合、Rは存在しない、
前記式(1)の化合物またはその塩。
式(1)の個々の化合物を、以下で説明する実施形態1.2〜1.104に記載する。
1.2 式中、Qはアゼチジン環である、実施形態1.1に従った化合物。
1.3 式中、Qはシクロブチル環である、実施形態1.1に従った化合物。
1.4 式中、Qは、前記アゼチジン環の炭素原子で、前記隣接する5員環、6員環、または7員環に結合したアゼチジン環である、実施形態1.2に従った化合物。
1.5 式中、Qは、前記アゼチジン環の前記窒素原子で、前記隣接する5員環、6員環、または7員環に結合したアゼチジン環である、実施形態1.2に従った化合物。
1.6 式中、Qは、Qに結合した更なる環を有する二環式である、実施形態1.1から1.5に従った化合物。
1.7 式中、Rは、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で、また、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された5または6員環で、置換されていてもよく、
式中、前記任意選択的に置換された5または6員環の前記任意の置換基は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基からなる基Rから選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい、実施形態1.1から1.6のいずれか1つに従った化合物。
1.8 式中、Rは、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−5非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で、また、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択される0、1、または2個のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された5または6員環で、置換されていてもよく、
式中、前記任意選択的に置換された5または6員環の前記任意の置換基は、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族炭化水素基からなる基Rから選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい、実施形態1.7に従った化合物。
1.9 式中、Rは、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で、また、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択される0、1、または2個のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された5または6員環のアリール環またはヘテロアリール環で置換されていてもよく、
式中、前記任意選択的に置換された5または6員環のアリール環またはヘテロアリール環における前記任意の置換基は、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族炭化水素基からなる基Rから選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい、実施形態1.8に従った化合物。
1.10 式中、Rは、水素、フッ素、塩素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で、また、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された5または6員環で、置換されていてもよく、式中、前記任意選択的に置換された5または6員環の前記任意の置換基は、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族炭化水素基からなる基Rから選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい、実施形態1.1から1.9のいずれか1つに従った化合物。
1.11 式中、Rは、水素、フッ素、塩素、シアノ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい、実施形態1.10に従った化合物。
1.12 式中、Rは、水素、フッ素、塩素、シアノ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族炭化水素基から選択される、実施形態1.11に従った化合物。
1.13 式中、Rは、水素、フッ素、塩素、シアノ基、NR、COR、COOR、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基から選択される、実施形態1.12に従った化合物。
1.14 式中、Rは、水素、フッ素、塩素、シアノ基、NH、COR、COOR、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族飽和炭化水素基から選択される、実施形態1.13に従った化合物。
1.15 式中、Rは、水素、COR、COOR、CONR、及び、C1−4アルキル基から選択される、実施形態1.14に従った化合物。
1.16 式中、Rは、水素、COR、COOR、及び、C1−3アルキル基から選択される、実施形態1.15に従った化合物。
1.17 式中、Rは、水素、メチル基、エチル基、及びCOORから選択される、実施形態1.16に従った化合物。
1.18 式中、Rは水素である、実施形態1.17に従った化合物。
1.19 式中、Rはメチル基またはエチル基である、実施形態1.17に従った化合物。
1.20 式中、Rは、COOMe、COOEt、COMe、COEt、CONH、CF、CONHMe、CON(Me)、COCF、CO−シクロプロピル、CO−シクロブチル、CONHEt、COH、NH、及びOMeである、実施形態1.7から1.17に従った化合物。
1.21 式中、R2’は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、及び、C1−6非芳香族炭化水素基から選択され、または、Rと共に結合して6員環の縮合芳香族環を形成する、実施形態1.1から1.20のいずれか1つに従った化合物。
1.22 式中、R2’は、水素、フッ素、ヒドロキシ基、メトキシ基、及び、C1−6非芳香族炭化水素基から選択される、実施形態1.21に従った化合物。
1.23 式中、R2’は、水素、フッ素、メトキシ基、及び、C1−4飽和炭化水素基から選択される、実施形態1.22に従った化合物。
1.24 式中、R2’は、水素、フッ素、メトキシ基、及び、C1−4アルキル基から選択される、実施形態1.23に従った化合物。
1.25 式中、R2’は、水素、及びC1−3アルキル基から選択される、実施形態1.24に従った化合物。
1.26 式中、R2’は、水素、及びメチル基から選択される、実施形態1.25に従った化合物。
1.27 式中、R2’は、Rと共に結合して4〜7員環の縮合環を形成する、実施形態1.21に従った化合物。
1.28 式中、R2’は、Rと共に結合して、アリールまたはヘテロアリールであってもよい5〜6員環の縮合芳香族環を形成する、実施形態1.27に従った化合物。
1.29 式中、R2’’は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、及び、C1−6非芳香族炭化水素基から選択され、または、Rと共に結合して6員環の縮合芳香族環を形成する、実施形態1.1から1.28のいずれか1つに従った化合物。
1.30 式中、R2’’は、水素、フッ素、ヒドロキシ基、メトキシ基、及び、C1−6非芳香族炭化水素基から選択される、実施形態1.29に従った化合物。
1.31 式中、R2’’は、水素、フッ素、メトキシ基、及び、C1−4飽和炭化水素基から選択される、実施形態1.30に従った化合物。
1.32 式中、R2’’は、水素、フッ素、メトキシ基、及び、C1−4アルキル基から選択される、実施形態1.31に従った化合物。
1.33 式中、R2’’は、水素、及びC1−3アルキル基から選択される、実施形態1.32に従った化合物。
1.34 式中、R2’’は、水素、及びメチル基から選択される、実施形態1.33に従った化合物。
1.35 式中、前記点線は第2の炭素−炭素結合を示し、Rは存在しない、実施形態1.1から1.34のいずれか1つに従った化合物。
1.36 式中、Rは存在し、前記任意の第2の炭素−炭素結合は存在しない、実施形態1.1から1.34のいずれか1つに従った化合物。
1.37 式中、Rは、水素、フッ素、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい、実施形態1.36に従った化合物。
1.38 式中、Rは、水素、フッ素、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい、実施形態1.37に従った化合物。
1.39 式中、Rは、水素、フッ素、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1−4アルキル基、及びC1−4アルコキシ基から選択され、前記C1−4アルキル基及びC1−4アルコキシ基はそれぞれ、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換される、実施形態1.38に従った化合物。
1.40 式中、Rは、水素、フッ素、ヒドロキシ基、及びメトキシ基から選択される、実施形態1.39に従った化合物。
1.41 式中、Rは水素である、実施形態1.40に従った化合物。
1.42 式中、Rは水素または非環式C1−6炭化水素基である、実施形態1.1から1.41のいずれか1つに従った化合物。
1.43 式中、Rは水素または非環式C1−3炭化水素基である、実施形態1.42に従った化合物。
1.44 式中、Rは、水素、C1−3アルキル基、またはC2−3アルキニル基である、実施形態1.43に従った化合物。
1.45 式中、Rは、水素、メチル基、エチル基、エチニル基、及び1−プロピニル基から選択される、実施形態1.44に従った化合物。
1.46 式中、Rは、水素、及びメチル基から選択される、実施形態1.45に従った化合物。
1.47 式中、Rはメチル基である、実施形態1.46に従った化合物。
1.48 式中、存在する場合、Rは、1個または複数個のフッ素原子により任意に置換された非芳香族C1−4炭化水素基、または式、CHN(R)COORの基である、先行実施形態のいずれか1つに従った化合物。
1.49 式中、前記非芳香族C1−4炭化水素基は飽和C1−4炭化水素基である、実施形態1.48に従った化合物。
1.50 式中、存在する場合、Rは水素である、実施形態1.1から1.49のいずれか1つに従った化合物。
1.51 式中、存在する場合、Rは、水素、及び飽和C1−4炭化水素基から選択される、実施形態1.1から1.48のいずれか1つに従った化合物。
1.52 式中、前記飽和C1−4炭化水素基はC1−4アルキル基である、実施形態1.51に従った化合物。
1.53 式中、前記飽和C1−4炭化水素基はC1−3アルキル基である、実施形態1.52に従った化合物。
1.54 式中、前記C1−3アルキル基は、メチル基、エチル基、及びイソプロピル基から選択される、実施形態1.53に従った化合物。
1.55 式中、前記C1−3アルキル基はエチル基である、実施形態1.54に従った化合物。
1.56 式中、存在する場合、Rは非芳香族C1−4炭化水素基である、先行実施形態のいずれか1つに従った化合物。
1.57 式中、前記非芳香族C1−4炭化水素基は飽和C1−4炭化水素基である、実施形態1.56に従った化合物。
1.58 式中、存在する場合、Rは水素である、実施形態1.1から1.54のいずれか1つに従った化合物。
1.59 式中、前記飽和C1−4炭化水素基はC1−3アルキル基である、実施形態1.57に従った化合物。
1.60 式中、前記C1−3アルキル基は、メチル基、エチル基、及びイソプロピル基から選択される、実施形態1.59に従った化合物。
1.61 式中、存在する場合、Rは非芳香族C1−4炭化水素基である、先行実施形態のいずれか1つに従った化合物。
1.62 式中、前記非芳香族C1−4炭化水素基は飽和C1−4炭化水素基である、実施形態1.61に従った化合物。
1.63 式中、存在する場合、Rは水素である、実施形態1.1から1.60のいずれか1つに従った化合物。
1.64 式中、存在する場合、Rは、水素、及び飽和C1−4炭化水素基から選択される、実施形態1.1から1.60のいずれか1つに従った化合物。
1.65 式中、前記飽和C1−4炭化水素基はC1−4アルキル基である、実施形態1.62または実施形態1.64に従った化合物。
1.66 式中、前記飽和C1−4炭化水素基はC1−3アルキル基である、実施形態1.65に従った化合物。
1.67 式中、前記C1−3アルキル基は、メチル基、エチル基、及びイソプロピル基から選択される、実施形態1.66に従った化合物。
1.68 式中、Rが、任意選択的に置換された5または6員環である場合、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む芳香族環から選択される、先行実施形態のいずれか1つに従った化合物。
1.69 式中、前記芳香族環は炭素環式である、実施形態1.68に従った化合物。
1.70 式中、前記芳香族環は複素環式である、実施形態1.69に従った化合物。
1.71 式中、Rが、任意選択的に置換された5または6員環である場合、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む非芳香族環から選択される、実施形態1.1から1.67のいずれか1つに従った化合物。
1.72 式中、前記非芳香族環は炭素環式である、実施形態1.71に従った化合物。
1.73 式中、前記非芳香族環は複素環式である、実施形態1.72に従った化合物。
1.74 式中、前記環は5員環である、実施形態1.68から1.73のいずれか1つに従った化合物。
1.75 式中、前記環は6員環である、実施形態1.68から1.73のいずれか1つに従った化合物。
1.76 式中、Rが、任意選択的に置換された5または6員環である場合、0、1、2または3個の置換基Rで置換される、先行実施形態のいずれか1つに従った化合物。
1.77 式中、0、1、または2個の置換基Rが存在する、実施形態1.76に従った化合物。
1.78 式中、0個の置換基Rが存在する、実施形態1.77に従った化合物。
1.79 式中、1個の置換基Rが存在する、実施形態1.77に従った化合物。
1.80 式中、2個の置換基Rが存在する、実施形態1.77に従った化合物。
1.81 式中、存在する場合、Rは、フッ素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、SR、SOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい、実施形態1.76、1.77、1.79、及び1.80のいずれか1つに従った化合物。
1.82 式中、Rは、フッ素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい、実施形態1.81に従った化合物。
1.83 式中、Rは、フッ素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族飽和炭化水素基から選択される、実施形態1.82に従った化合物。
1.84 式中、Rは、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、及びC1−4アルキル基から選択される、実施形態1.83に従った化合物。
1.85 式中、qは0である、実施形態1.1から1.84のいずれか1つに従った化合物。
1.86 式中、qは1である、実施形態1.1から1.84のいずれか1つに従った化合物。
1.87 式中、qは2である、実施形態1.1から1.84のいずれか1つに従った化合物。
1.88 式中、rは1である、実施形態1.1から1.87のいずれか1つに従った化合物。
1.89 式中、sは0である、実施形態1.1から1.88のいずれか1つに従った化合物。
1.90 式中、rは1であり、sは1である、実施形態1.1から1.88のいずれか1つに従った化合物。
1.91 式中、rは2であり、sは0である、実施形態1.1から1.87のいずれか1つに従った化合物。
1.92 式中、部分、
Figure 2018522033
は、以下の基A〜F、
Figure 2018522033
から選択される、実施形態1.1から1.91のいずれか1つに従った化合物。
1.92 式中、Qは任意選択的に置換された4員環であり、Rは実施形態1.35から1.40のいずれか1つに記載のとおりである、式(2)、
Figure 2018522033
を有する化合物。
1.93 式中、Qは、1個または複数個の置換基、例えば、(L)−R10、(L)−R11、及び(L)−R12から選択される1個または2個の置換基を有し、Lは結合またはCH基であり、R10、R11、及びR12は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR15、NR1516、COR15、CSR15、COOR15、COSR15、OCOR15、NR17COR15、CONR1516、CSNR1516、NR17CONR1516、R17COOR15、OCONR1516、SR15、SOR15、SO15、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基から独立して選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で、また、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された5または6員環で、置換されていてもよく、
式中、前記任意選択的に置換された5または6員環の前記任意の置換基は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基からなる基Rから選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、
式中、R15、R16、及びR17は同一または異なっており、または、共に結合して環を形成してもよく、それぞれは、水素、及び、1個または複数個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基から独立して選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で、式、CHN(R)COORの基で、または、式、(L)−R18の基で置換されていてもよく、式中、Lは、結合またはCH基であり、R18は、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された5または6員環であり、
式中、前記任意選択的に置換された5または6員環の前記任意の置換基は、基Rから選択される、式(2)に従った化合物。
1.94 式中、q、R、R、及びRは、先行実施形態のいずれか1つに記載されたとおりであり、環Aは、シクロブチルまたはアゼチジンである、式(3)、
Figure 2018522033
を有する実施形態1.1から1.93に従った化合物。
1.95 式中、前記環Aはシクロブチルである、実施形態1.94に従った化合物。
1.96 式中、前記環Aはアゼチジンである、実施形態1.95に従った化合物。
1.97 式中、q、R、R、及びRは、先行実施形態のいずれか1つに記載されたとおりである、式(4)、
Figure 2018522033
を有する実施形態1.96に従った化合物。
1.98 実施例1−1から1−7のいずれか1つに記載の、実施形態1.1に従った化合物。
1.99 550未満の分子量を有する、実施形態1.1から1.97のいずれか1つに従った化合物。
1.100 500未満の分子量を有する、実施形態1.99に従った化合物。
1.101 450の分子量、または450未満の分子量を有する、実施形態1.100に従った化合物。
1.102 塩の形態である、実施形態1.1から1.101のいずれか1つに従った化合物。
1.103 式中、前記塩は酸付加塩である、実施形態1.102に従った化合物。
1.104 式中、前記塩は薬学的に許容可能な塩である、実施形態1.102または実施形態1.103に従った化合物。
定義
本出願では、特に指示がない限り、以下の定義を適用する。
式(1)の化合物の使用に関連して、用語「治療」は、問題の疾患または障害を患っているか、患うリスクを有しているか、または、患うリスクを潜在的に有している患者に化合物を投与する際の、任意の処置様式を説明するために用いられる。したがって、用語「治療」は、予防(preventative)(予防(prophylactic))治療、及び、疾患または障害における測定または検出可能な症状が示されている治療の両方を対象として含む。
本発明で使用する場合、用語「治療有効量」(例えば、疾患または症状に対する治療方法に関連して)とは、望ましい治療効果をもたらすことが可能な化合物の量のことを意味する。そのため、例えば、症状が疼痛である場合、治療有効量は、望ましい程度の疼痛緩和をもたらすのに十分な量である。望ましい程度の疼痛緩和とは、例えば、疼痛の完全除去または疼痛の激しさを緩和させることであってもよい。
「C1−10非芳香族炭化水素基」または「非環式C1−5非芳香族炭化水素基」における、用語「非芳香族炭化水素基」とは、炭素及び水素原子からなり、かつ芳香族環を含有しない基のことを意味する。炭化水素基は、完全に飽和していてもよく、あるいは、1個または複数個の炭素−炭素二重結合、1個または複数個の炭素−炭素三重結合、または、二重結合及び三重結合の組み合わせを含んでいてもよい。炭化水素基は、直鎖基または分枝鎖基であってもよく、あるいは、環状基からなるか、または環状基を含んでいてもよい。したがって、用語、非芳香族炭化水素としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキルなどが挙げられる。
用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「シクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、及び「シクロアルケニル」は、特に指示がない限り、その通常の意味(例えば、IUPAC Gold Bookに記載のとおり)で使用される。
「C1−4飽和炭化水素基」における用語「飽和炭化水素基」とは、炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を含まない炭化水素基のことを意味する。それゆえ、飽和炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキルシクロアルキル基、またはアルキルシクロアルキルアルキル基であってもよい。C1−4飽和炭化水素基の例としては、C1−4アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及びシクロプロピルメチル基が挙げられる。
本発明で使用する場合、用語「シクロアルキル」としては、具体的な炭素原子の数を挙げる場合、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基などの単環式シクロアルキル基、ならびに、二環式基及び三環式基の両方が挙げられる。二環式シクロアルキル基としては、橋かけ環系、例えば、ビシクロヘプタン、ビシクロオクタン及びアダマンタンなどが挙げられる。
上記のR、R、R及びRの定義において明示したが、非芳香族炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態(R及びRの場合)から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。炭素原子がヘテロ原子で置換された場合、炭素と比較して価数の少ないヘテロ原子とは、置換された炭素原子に結合し得る原子よりも少ない原子がヘテロ原子に結合するということを意味すると理解されよう。したがって、例えば、CH基の炭素原子(価数4)を酸素(価数2)で置換することは、得られた分子が2個少ない水素原子を含むことを意味し、またCH基の炭素原子(価数4)を窒素(価数3)で置換することは、得られた分子が1個少ない水素原子を含むことを意味する。
炭素原子をヘテロ原子で置換する例としては、−CH−CH−CH−鎖の炭素原子を酸素または硫黄で置換してエーテル基−CH−O−CH−またはチオエーテル基−CH−S−CH−を得ること、CH−C≡C−H基の炭素原子を窒素で置換してニトリル基(シアノ基)CH−C≡Nを得ること、−CH−CH−CH−基の炭素原子をC=Oで置換してケトン−CH−C(O)−CH−を得ること、−CH−CH−CH−基の炭素原子をS=OまたはSOで置換してスルホキシド−CH−S(O)−CH−またはスルホン−CH−S(O)−CH−を得ること、−CH−CH−CH−鎖の炭素原子をC(O)NHで置換してアミド基−CH−CH−C(O)−NH−を得ること、−CH−CH−CH−鎖の炭素原子を窒素で置換してアミン基−CH−NH−CH−を得ること、及び、−CH−CH−CH−鎖の炭素原子をC(O)Oで置換してエステル基(またはカルボン酸)−CH−CH−C(O)−O−を得ることが挙げられる。このような置換のそれぞれにおいては、少なくとも1個の炭素原子が炭化水素基内に残る必要がある。

式(1)の化合物の多くは、塩の形態で存在することができ、例えば、酸付加塩の形態で、あるいは、特定のケースでは、カルボン酸の塩、スルホン酸の塩、及びリン酸の塩などの有機塩基及び無機塩基の塩の形態で存在することができる。このような塩の全ては本発明の範囲内であり、式(1)の化合物への言及は、実施形態1.102〜1.104に記載の化合物の塩形態を含む。
塩は通常、酸付加塩である。
本発明の塩は、Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.Heinrich Stahl(Editor),Camille G.Wermuth(Editor),ISBN:3−90639−026−8,Hardcover,388 pages,August 2002に記載されている方法などの通常の化学的方法を用いて、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般的に、このような塩は、これら化合物の遊離酸または塩基形態を、水中もしくは有機溶媒中で、またはこれら2種の混合液中で、適切な塩基または酸と反応させることにより調製することができるが、通常、エーテル、エチルアセテート、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体を用いる。
酸付加塩(実施形態1.120に記載)は、多種多様の酸(無機及び有機の両方)を用いて形成してもよい。実施形態1.120に含まれる酸付加塩の例としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、酪酸、(+)樟脳酸、樟脳スルホン酸、(+)−(1S)−樟脳−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、ハロゲン化水素酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸)、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、及び吉草酸、ならびにアシル化アミノ酸からなる群から選択される酸、及び、陽イオン交換樹脂を用いて形成されるモノ塩またはジ塩が挙げられる。
式(1)の化合物がアミン基を含む場合、これらは、例えば、当業者に周知の方法に従った、アルキル化剤との反応によって第四級アンモニウム塩を形成してもよい。このような第四級アンモニア組成物は、式(1)の範囲内である。
本発明の化合物は、それから塩が形成する酸のpKaに応じて、モノ塩またはジ塩として存在していてもよい。
本発明の化合物の塩形態は通常、薬学的に許容可能な塩であり、薬学的に許容可能な塩の例は、Berge et al.,1977,「Pharmaceutically Acceptable Salts,」J.Pharm.Sci.,Vol.66,pp.1−19に記載されている。しかしながら、薬学的に許容可能ではない塩もまた中間体状態として調製してもよく、それから、薬学的に許容可能な塩へと変換してもよい。このような薬学的に許容可能ではない塩の形態は、例えば、本発明の化合物の精製または分離に有用であり得るが、それらもまた本発明の一部を構成する。
立体異性体
立体異性体は、結合原子における同一の分子式及び分子配列を有するが、それら原子の空間における三次元配置のみが異なる異性分子である。立体異性体は、例えば、幾何異性体または光学異性体であることができる。
幾何異性体
幾何異性体では、異性は、二重結合周りにおける原子または基の異なる配置によるが、例えば、炭素−炭素二重結合周りにおけるシス及びトランス(Z及びE)異性、アミド結合周りにおけるシス及びトランス異性体、炭素−窒素二重結合周りにおけるシン及びアンチ異性(例えば、オキシムの)、回転に制限がある結合周りにおける回転異性、または、シクロアルカン環などの環周りにおけるシス及びトランス異性のようなものである。
したがって、別の実施形態(実施形態1.121)では、本発明は、実施形態1.1〜1.104のいずれか1つに従った化合物の幾何異性体を提供する。
光学異性体
本式の化合物が、1つまたは複数のキラル中心を含み、かつ2つ以上の光学異性体の形態で存在することができる場合、化合物への言及は、文脈で特に必要としない限り、個々の光学異性体、混合物(例えば、ラセミ混合物)、または2つ以上の光学異性体のいずれかとして、全てのその光学異性形態(例えば、エナンチオマー、エピマー、及びジアステレオマー)を含む。
したがって、別の実施形態(実施形態1.132)では、本発明は、キラル中心を含む実施形態1.1〜1.121のいずれか1つに従った化合物を提供する。
光学異性体は、その光学活性で(つまり、+異性体及び−異性体、すなわち、d異性体及びl異性体で)キャラクタライズまたは同定してもよく、あるいは、Cahn、Ingold及びPrelogが制定した「RS」命名法を用いて、その絶対立体化学を基準にして、光学異性体をキャラクタライズしてもよい(Advanced Organic Chemistry by Jerry March,4th Edition,John Wiley & Sons,New York,1992,pages 109−114、及びCahn,Ingold & Prelog,Angew.Chem.Int. Ed. Engl.,1966,5,385−415もまた参照のこと)。キラルクロマトグラフィー(キラル担体を用いたクロマトグラフィー)を含む多数の技術を用いて、光学異性体を分離することができ、またこのような技術は、当業者によく知られている。キラルクロマトグラフィーの代わりに、(+)−酒石酸、(−)−ピログルタミン酸、(−)−ジ−トルオイル−L−酒石酸、(+)−マンデル酸、(−)−リンゴ酸、及び(−)−樟脳スルホン酸などのキラル酸でジアステレオマー塩を形成することで、光学異性体を分離することができ、優先晶出によりジアステレオマーを分離してから塩を解離して、遊離塩基の個々のエナンチオマーを得ることができる。
本発明の化合物が2つ以上の光学異性形態として存在する場合、一対のエナンチオマーのうち一方のエナンチオマーは、もう一方のエナンチオマーに優る利点、例えば、生物学的活性を基準とした利点を示していてもよい。そのため、特定の状況においては、一対のエナンチオマーの一方のみを、または複数のジアステレオマーの一方のみを、治療薬として用いることが望ましい場合がある。
したがって、別の実施形態(実施形態1.133)では、本発明は、1つまたは複数のキラル中心を有する、実施形態1.132に従った化合物を含有する組成物を提供し、実施形態1.108における化合物の少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)は、単一の光学異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体)として存在する。
一般的な一実施形態(実施形態1.134)では、実施形態1.132における化合物(または用いる化合物)の総量の99%以上(例えば、事実上全て)は、単一の光学異性体として存在する。
例えば、一実施形態(実施形態1.135)では、化合物は、単一のエナンチオマーとして存在する。
別の実施形態(実施形態1.136)では、化合物は、単一のジアステレオマーとして存在する。
本発明は光学異性体の混合物もまた提供し、当該光学異性体は、ラセミ体または非ラセミ体であってもよい。したがって、本発明は、以下の化合物を提供する。
1.137 光学異性体のラセミ混合物の形態である、実施形態1.132に従った化合物。
1.138 光学異性体の非ラセミ混合物の形態である、実施形態1.132に従った化合物。
同位体
実施形態1.1〜1.138に記載の本発明の化合物は、1ヵ所または複数ヵ所の同位体置換を含んでいてもよく、特定の元素への言及は、その範囲内において、元素の全ての同位体を含む。例えば、水素への言及は、その範囲内において、H、H(D)、及びH(T)を含む。同様に、炭素及び酸素への言及は、その範囲内において、それぞれ、12C、13C及び14C、16O及び18Oを含む。
類似の様式で、特定の官能基への言及はまた、文脈で特に示さない限り、その範囲内において、同位体のバリエーションを含む。例えば、エチル基などのアルキル基への言及はまた、基における1個または複数個の水素原子が重水素同位体または三重水素同位体の形態であるバリエーションを対象として含み、例えば、5個の水素原子全てが重水素同位体形態であるエチル基(ペル重水素化エチル基)のようなものである。
同位体は、放射性または非放射性であってもよい。本発明の一実施形態(実施形態1.140)では、実施形態1.1〜1.138のいずれか1つにおける化合物は、放射性同位体を含まない。このような化合物は、治療的使用に好ましい。しかしながら、別の実施形態(実施形態1.141)では、実施形態1.1〜1.138のいずれか1つにおける化合物は、1つまたは複数の放射性同位体を含んでいてもよい。このような放射性同位体を含む化合物は、診断の関係上、有用であり得る。
溶媒和物
実施形態1.1〜1.141のいずれか1つに記載の式(1)の化合物は、溶媒和物を形成していてもよい。好ましい溶媒和物は、本発明の化合物の固体構造体(例えば、結晶構造体)を、無害で薬学的に許容可能な溶媒の分子と混和させることにより形成された溶媒和物である(以下の溶媒和性溶媒を参照のこと)。このような溶媒の例としては、水、アルコール(エタノール、イソプロパノール、及びブタノールなど)、及び、ジメチルスルホキシドが挙げられる。溶媒和物は、溶媒和性溶媒を含有する溶媒または溶媒混合液を用いて、本発明の化合物を再結晶させることにより調製することができる。任意の実施形態において溶媒和物が形成されたかどうかに関わらず、化合物の結晶を、周知かつ標準的な技術を用いた分析、例えば、熱重量分析(TGE)、示差走査熱量測定(DSC)、及びX線結晶構造解析などにかけることによって、当該溶媒和物を同定することができる。溶媒和物は、定比溶媒和物、または不定比溶媒和物であってもよい。特に好ましい溶媒和物は水和物であり、水和物の例としては、半水和物、一水和物、及び二水和物が挙げられる。
したがって、更なる実施形態1.150及び1.151では、本発明は、以下の化合物を提供する。
1.151 溶媒和物の形態である、実施形態1.1から1.141のいずれか1つに従った化合物。
1.152 前記溶媒和物は水和物である、実施形態1.151に従った化合物。
溶媒和物のより詳細な記述、ならびに、それらの調製方法及び特性決定法については、Bryn et al.,Solid−State Chemistry of Drugs,Second Edition,published by SSCI,Inc of West Lafayette,IN,USA,1999,ISBN 0−967−06710−3を参照されたい。
あるいは、本発明の化合物は、水和物として存在するのではなく、無水物であってもよい。したがって、別の実施形態(実施形態1.153)では、本発明は、実施形態1.1〜1.141のいずれか1つに記載の、無水物形態(例えば、無水物結晶形態)の化合物を提供する。
結晶形態及び非晶質形態
実施形態1.1〜1.153のいずれか1つにおける化合物は、結晶状態または非結晶(例えば、非晶質)状態で存在していてもよい。化合物が結晶状態で存在するかどうかに関わらず、粉末X線回折測定法(XRPD)などの標準的な技術を用いることにより、当該化合物を容易に同定することができる。単結晶X線結晶構造解析、粉末X線回折測定法(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、及び赤外分光法(例えば、フーリエ変換赤外分光法(FTIR))を含む多数の技術を用いて、結晶及びその結晶構造をキャラクタライズすることができる。重力測定による水蒸気収着試験により、またXRPDにより、様々な湿度条件下における結晶の挙動を分析することができる。本明細書に記載する方法などの常法に従って実施可能なX線結晶構造解析、及び、Fundamentals of Crystallography,C.Giacovazzo,H.L.Monaco,D.Viterbo,F.Scordari,G.Gilli,G.Zanotti and M.Catti,(International Union of Crystallography/Oxford University Press,1992 ISBN 0−19−855578−4(p/b),0−19−85579−2(h/b))に記載の方法により、化合物における結晶構造の同定を行うことができる。この技術は、単結晶におけるX線回折の分析及び解釈を含む。結晶形態において通常存在する三次元構造は、非晶質固体においては存在せず、また非晶質形態における互いに対する分子配置は、事実上ランダムである。例えば、Hancock et al.J.Pharm.Sci.(1997),86,1)を参照されたい。
したがって、更なる実施形態では、本発明は以下の化合物を提供する。
1.160 結晶形態である、実施形態1.1から1.153のいずれか1つに従った化合物。
1.161 (a)50%〜100%が結晶、より詳細には、少なくとも50%が結晶、少なくとも60%が結晶、少なくとも70%が結晶、少なくとも80%が結晶、少なくとも90%が結晶、少なくとも95%が結晶、少なくとも98%が結晶、少なくとも99%が結晶、少なくとも99.5%が結晶、または、少なくとも99.9%が結晶、例えば、100%が結晶である、実施形態1.1〜1.153のいずれか1つに従った化合物。
1.162 非晶質形態である、実施形態1.1から1.153のいずれか1つに従った化合物。
プロドラッグ
実施形態1.1〜1.162のいずれか1つに記載の式(1)の化合物は、プロドラッグの形態で存在していてもよい。「プロドラッグ」とは、例えば、インビボで、実施形態1.1〜1.162のいずれか1つに記載の式(1)の生物学的に活性な化合物へと変換される任意の化合物のことを意味する。
例えば、一部のプロドラッグは、活性化合物のエステルである(例えば、生理学的に許容可能で代謝的に不安定なエステル)。代謝中、エステル基(−C(=O)OR)が開裂して活性薬物を生成する。このようなエステルは、例えば、親化合物中に存在する任意のヒドロキシル基と、親化合物中に存在する任意のその他反応性基とのエステル化により形成されてもよく(適切には、反応性基の保護前に)、続いて、必要に応じ脱保護を行う。
同様に、一部のプロドラッグは、酵素的に活性化されて、活性化合物、または、更なる化学反応を受けて活性化合物を生成する化合物(例えば、ADEPT、GDEPT、及びLIDEPTなどに用いるような)を生成する。例えば、本プロドラッグは、糖誘導体またはその他グリコシド複合体であってもよく、あるいは、アミノ酸エステル誘導体であってもよい。
したがって、別の実施形態(実施形態1.170)では、本発明は、実施形態1.1〜1.170のいずれか1つに記載の化合物のプロドラッグを提供し、当該化合物は、生理学的条件下において変換可能でありヒドロキシル基またはアミノ基を形成する官能基を含む。
錯体及び包接化合物
実施形態1.1〜1.170の化合物の複合体(例えば、シクロデキストリンまたは金属を含む錯体などの化合物を含む包接錯体または包接化合物)は、実施形態1.1〜1.170の式(1)に更に包含される。
したがって、別の実施形態(実施形態1.180)では、本発明は、実施形態1.1〜1.170のいずれか1つに従った、錯体または包接化合物の形態の化合物を提供する。
生物学的活性及び治療的使用
本発明の化合物は、ムスカリンM及び/またはM受容体作動薬としての作用を有する。本化合物のムスカリン様作用は、以下の実施例Aに記載するリン酸化ERK1/2アッセイを用いて測定することができる。
本発明の化合物における大きな利点は、本化合物が、M及びM受容体サブタイプと比較して、M受容体及び/またはM受容体に対して高い選択性を示すことである。本発明の化合物は、M及びM受容体サブタイプの作動薬ではない。例えば、本発明の化合物が通常、実施例Aに記載の機能アッセイにおいて、M及び/またはM受容体に対して少なくとも6(好ましくは少なくとも6.5)のpEC50値、及び、80超の(好ましくは95超の)Emax値を示すのに対し、実施例Aの機能アッセイにおいて、M及びMサブタイプに対して試験した際、5未満のpEC50値、及び、20%未満のEmax値を示す場合がある。
したがって、実施形態2.1〜2.9では、本発明は、以下の化合物を提供する。
2.1 薬物に使用する、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物。
2.2 ムスカリンM及び/またはM受容体作動薬として使用する、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物。
2.3 本明細書の実施例Aのアッセイまたはそれとほぼ同様のアッセイにおいて、M受容体に対して、6.0〜7.5の範囲で変動するpEC50、及び、少なくとも90のEmaxを示すムスカリンM受容体作動薬である、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物。
2.4 6.5〜7.5の範囲で変動するpEC50を示すムスカリンM1受容体作動薬である、実施形態2.3に従った化合物。
2.5 前記M受容体に対して、少なくとも95のEmaxを示す、実施形態2.3または実施形態2.4に従った化合物。
2.6 本明細書の実施例Aの前記アッセイまたはそれとほぼ同様のアッセイにおいて、M受容体に対して、6.0〜8.0の範囲で変動するpEC50、及び、少なくとも90のEmaxを示すムスカリンM受容体作動薬である、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物。
2.7 6.5〜8.0の範囲で変動するpEC50を示すムスカリンM受容体作動薬である、実施形態2.6に従った化合物。
2.8 前記M受容体に対して、少なくとも95のEmaxを示す、実施形態2.6または実施形態2.7に従った化合物。
2.9 ムスカリンM及びM受容体と比較して、前記M及び/またはM受容体に対して選択性を示す、実施形態2.3から2.8のいずれか1つに従った化合物。
2.10 前記ムスカリンM及びM受容体と比較して、前記M受容体に対して選択性を示す、実施形態2.9に従った化合物。
2.11 前記ムスカリンM及びM受容体と比較して、前記M受容体に対して選択性を示す、実施形態2.9に従った化合物。
2.12 前記ムスカリンM、M、及びM受容体と比較して、前記M受容体に対して選択性を示す、実施形態2.3から2.5のいずれか1つに従った化合物。
2.13 前記ムスカリンM、M、及びM受容体と比較して、前記M受容体に対して選択性を示す、実施形態2.6から2.8のいずれか1つに従った化合物。
2.14 前記ムスカリンM及びM受容体と比較して、前記M及びM受容体に対して選択性を示す、実施形態2.3から2.8のいずれか1つに従った化合物。
2.15 前記ムスカリンM及びM受容体サブタイプに対して、5未満のpEC50、及び50未満のEmaxを示す、実施形態2.3から2.14のいずれか1つに従った化合物。
2.16 前記ムスカリンM及びM受容体サブタイプに対して、4.5未満のpEC50、及び/または30未満のEmaxを示す、実施形態2.15に従った化合物。
2.17 前記ムスカリンM受容体が関与する疾患または症状の治療に使用する、実施形態1.1から1.180及び実施形態2.3から2.16のいずれか1つに従った化合物。
本発明の化合物は、ムスカリンM及び/またはM受容体に対するそのアゴニスト活性により、アルツハイマー病、統合失調症、その他の精神障害、認知障害、及び、ムスカリンM及び/またはM受容体が関与するその他の疾患の治療に使用することができ、 また様々な種類の疼痛の治療にも使用することができる。
したがって、実施形態2.18〜2.37では、本発明は、以下の化合物を提供する。
2.18 認知障害または精神障害の治療に使用する、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物。
2.19 実施形態2.18に従って使用する化合物であって、認知障害または精神障害は、認知障害、軽度認知障害、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、初老期認知症、老年認知症、フリードリッヒ運動失調、ダウン症候群、ハンチントン舞踏病、運動過剰症、躁病、トゥレット症候群、アルツハイマー病、進行性核上麻痺;注意力障害、見当識障害、学習障害、記憶機能(すなわち、記憶障害、健忘症、記憶喪失障害、一過性全健忘症候群、及び加齢関連記憶障害)及び言語機能を含む認知機能障害;脳卒中、ハンチントン舞踏病、ピック病、エイズ関連認知症、または、多発脳梗塞性認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下関連認知症などのその他の認知症状態、及び、小脳萎縮及び筋萎縮性側索硬化症など、その他の変性疾患に関連する認知症によって生じる認知障害;譫妄またはうつ病(仮性認知症状態)、外傷、頭部外傷、加齢関連認知衰退、脳卒中、神経変性、薬物誘発性状態、神経毒性物質、加齢関連認知障害、自閉症関連認知障害、ダウン症候群、精神障害に関連する認知欠損、及び電気痙攣療法後に関連する認知障害などの、認知衰退をもたらし得るその他の急性症状または亜急性症状;ニコチン、大麻、アンフェタミン、コカインを含む薬物乱用または休薬による認知障害;注意欠陥多動性障害(ADHD)、及び、パーキンソン病、神経遮断薬誘発性パーキンソン症候群、及び遅発性ジスキネジアなどの運動障害疾患;統合失調症、統合失調症様疾患、精神病性うつ病、躁病、急性躁病、偏執症、幻覚誘発性及び妄想性障害、人格障害、強迫性障害、統合失調型障害、妄想性障害、悪性腫瘍による精神障害、代謝性疾患、内分泌腺疾患または睡眠発作、薬物乱用または休薬による精神障害、双極性障害、てんかん、及び統合失調感情障害から選択される症状を含むか、症状から生じるか、または症状と関連する、前記化合物。
2.20 アルツハイマー病の治療に使用する、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物。
2.21 統合失調症の治療に使用する、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物。
2.22 アルツハイマー病及び/またはレビー小体型認知症の治療に使用する、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物。
2.23 対象(例えば、ヒトなどの哺乳類の患者、例えば、このような治療を必要とするヒト)における認知障害の治療方法であって、前記方法は、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物を治療有効量で投与することを含む、前記方法。
2.24 前記認知障害は、実施形態2.19に記載の症状を含むか、症状から生じるか、または症状と関連する、実施形態2.20に従った方法。
2.25 前記認知障害は、アルツハイマー病から生じるか、またはアルツハイマー病と関連する、実施形態2.24に従った方法。
2.26 前記認知障害は統合失調症である、実施形態2.24に従った方法。
2.27 認知障害の治療用の薬剤を製造するための、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物の使用。
2.28 前記認知障害は、実施形態2.11に記載の症状を含むか、症状から生じるか、または症状と関連する、実施形態2.27に従った使用。
2.29 前記認知障害は、アルツハイマー病から生じるか、またはアルツハイマー病と関連する、実施形態2.28に従った使用。
2.30 前記認知障害は統合失調症である、実施形態2.28に従った使用。
2.31 急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、または炎症性疼痛、関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、全身神経痛、内臓痛、変形性関節症痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、背部痛、頭部痛または頸部痛、激痛または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、手術後疼痛、またはがん性疼痛の治療または重症度を軽減させるための、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物。
2.32 急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、または炎症性疼痛、関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、全身神経痛、内臓痛、変形性関節症痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、背部痛、頭部痛または頸部痛、激痛または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、手術後疼痛、またはがん性疼痛の治療または重症度を軽減させるための方法であって、前記方法は、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物を治療有効量で投与することを含む、前記方法。
2.33 緑内障において眼圧を下げることなど、末梢神経疾患を治療するための、また眼乾燥症、及びシェーグレン症候群を含む口腔乾燥症を治療するための、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物。
2.34 緑内障において眼圧を下げることなど、末梢神経疾患を治療するための、また眼乾燥症、及びシェーグレン症候群を含む口腔乾燥症を治療するための方法であって、前記方法は、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物を治療有効量で投与することを含む、前記方法。
2.35 急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、または炎症性疼痛、関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、全身神経痛、内臓痛、変形性関節症痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、背部痛、頭部痛または頸部痛、激痛または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、手術後疼痛、またはがん性疼痛の治療または重症度を軽減させるための、または、緑内障において眼圧を下げることなど、末梢神経疾患を治療するための、また眼乾燥症、及びシェーグレン症候群を含む口腔乾燥症を治療するための薬剤を製造するための、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物の使用。
2.36 アディシション(addicition)を治療するための、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物の使用。
2.37 パーキンソン病、ADHD、ハンチントン病、トゥレット症候群、及び、基本的な病因が引き起こす疾患である、ドパミン作動性機能障害と関連するその他の症候群などの運動障害の治療のための、実施形態1.1から1.180のいずれか1つに従った化合物の使用。
式(1)の化合物の調製方法
式(1)の化合物は、当業者に周知の合成方法及び本明細書に記載の合成方法に従い調製することができる。
したがって、別の実施形態(実施形態3.1)では、本発明は、実施形態1.1〜1.180のいずれか1つに記載の化合物を調製するためのプロセスを提供し、プロセスは以下のプロセスを含む。
(A)式(10)、
Figure 2018522033
の化合物を、還元的アミノ化条件下で、式(11)、
Figure 2018522033
の化合物と反応させること(式中、R、R、R、R、及びQは、実施形態1.1〜1.180のいずれか1つに記載のとおり)、
(B)式(12)、
Figure 2018522033
の化合物を、塩基の存在下にて、式、Cl−C(=O)−CH2−Rの化合物と反応させること、または、
(C)式(10)、
Figure 2018522033
の化合物を、求核置換条件下で、式(13)、
Figure 2018522033
の化合物と反応させること(式中、R、R、R、R、及びQは、実施形態1.1〜1.180のいずれか1つに記載のとおり)、及び任意選択的に、
(D)式(1)の化合物の1つを、式(1)の別の化合物に変換すること。
プロセス(A)の変形例では、ピペリジン複素環(10)を、還元的アミノ化条件下で、置換ケトン(11)と反応させる。還元的アミノ化反応は通常、ホウ化水素還元剤、例えば、酢酸を含有するジクロロメタンまたはジクロロエタンなどの溶媒中のトリアセトキシ−ホウ化水素ナトリウムを用いて、周囲温度にて行われる。
プロセス(C)の変形例では、ピペリジン複素環(10)を、求核置換反応を用いて、スルホン酸エステル(13)(R=メチル基、トリフルオロメチル基、または4−メチルフェニル基)と反応させるが、求核置換反応は通常、緩やかな加熱(例えば、約40℃〜約70℃の温度まで)下、溶媒を用いず未希釈で、またはテトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはジメチルアセトアミドなどの適切な溶媒中でのいずれかで行われる。
式(12)の中間化合物は、以下のスキーム1に示す一連の反応により調製することができる。
Figure 2018522033
スキーム1の反応では、ピペリジン複素環(10)を、還元的アミノ化条件下で、Boc保護スピロケトン(14)と反応させる。中間ピペリジン化合物(15)を得るための還元的アミノ化反応は通常、緩やかな加熱(例えば、約40℃〜約70℃の温度まで)下、塩化亜鉛を混合したシアノ水素化ホウ素ナトリウムの存在下、または、酢酸を含有するジクロロメタンまたはジクロロエタンなどの溶媒中でチタンイソプロポキシドを混合した、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムの存在下のいずれかで行われ、その後、中間ピペリジン化合物を、酸(例えば、ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸)で処理することにより、Boc基を除去して脱保護し、化合物(12)を得る。
式(12)の化合物はまた、以下のスキーム2に示す一連の反応によっても調製することができる。
Figure 2018522033
スキーム2では、メタノール中のホウ化水素ナトリウムを用いて、Boc保護スピロケトン(14)をアルコール(16)に還元する。それから、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの第三級アミンの存在下で、対応するジクロロメタン中の塩化スルホニルを用いて、アルコール(16)をスルホン酸エステル(17)(R=メチル基、トリフルオロメチル基、または4メチルフェニル基)として活性化させる。化合物(15)を得るための求核置換反応は通常、緩やかな加熱(例えば、約40℃〜約70℃の温度まで)下、溶媒を用いず未希釈で、またはテトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはジメチルアセトアミドなどの適切な溶媒中でのいずれかで、スルホン酸エステル(17)をピペリジン複素環(10)と反応させることにより行われ、その後、当該化合物を、酸(例えば、ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸)で処理することにより、Boc基を除去して脱保護し、化合物(12)を得る。
生成後、当業者に周知の方法を用いて、式(1)の化合物の1つまたはその保護誘導体を、式(1)の別の化合物へと変換することができる。1つの官能基を別の官能基へと変換するための合成手順の例は、Advanced Organic Chemistry及びOrganic Syntheses(上記参考文献を参照のこと)、またはFiesers’ Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1−17,John Wiley,edited by Mary Fieser(ISBN:0−471−58283−2)などの標準的な教科書に詳述されている。これら変換の例としては、アミド結合形成、尿素形成、カルバメート形成、アルキル化反応、N−アリール化反応、及びC−C結合カップリング反応が挙げられる。
上記反応のほとんどにおいては、分子上の望ましくない位置で反応が生じるのを防止するため、1つまたは複数の基の保護が必要となる場合がある。保護基の例、及び、官能基の保護及び脱保護方法は、Protective Groups in Organic Synthesis(T.Greene and P.Wuts;3rd Edition;John Wiley and Sons,1999)に記載されている。
上記の方法で調製した化合物を、当業者に周知の様々な方法のいずれかを用いて単離及び精製してもよく、このような方法の例としては、再結晶化技術、及びカラムクロマトグラフィー(例えば、フラッシュクロマトグラフィー)及びHPLCなどのクロマトグラフィー技術が挙げられる。
医薬品製剤
本活性化合物を単独で投与することも可能ではあるが、医薬組成物(例えば、製剤)として提供することが好ましい。
したがって、本発明の別の実施形態(実施形態4.1)では、少なくとも1種の薬学的に許容可能な添加剤と共に、実施形態1.1〜1.180のいずれか1つに記載の式(1)の化合物の少なくとも1つを含む医薬組成物が提供される。
一実施形態(実施形態4.2)では、組成物は錠剤組成物である。
別の実施形態(実施形態4.3)では、組成物はカプセル剤組成物である。
薬学的に許容可能な添加剤(複数可)は、例えば、以下から選択することができる。担体(例えば、固体担体、液体担体、または半固体担体)、補助剤、希釈剤(例えば、充填剤または増量剤などの固体希釈剤、及び、溶媒及び共溶媒などの液体希釈剤)、造粒剤、バインダー、流動助剤、コーティング剤、放出制御剤(例えば、放出遅延(release retarding)または放出遅延(release delaying)型のポリマーまたはワックス)、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、潤滑剤、防腐剤、抗菌剤及び抗菌薬、酸化防止剤、緩衝剤、等張化剤、増粘剤、着香剤、甘味剤、顔料、可塑剤、味覚マスキング剤、安定化剤、または、医薬組成物に通常用いられる任意のその他添加剤類。
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容可能な」とは、適切な医学的良識の範囲内において、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症を伴わずに、妥当な利益/リスク比に見合った、対象(例えば、ヒト対象)の組織との接触に用いるのに適切な化合物、物質、組成物、及び/または剤形のことを意味する。それぞれの添加剤はまた、製剤中のその他成分と相溶性があるという意味で「許容可能」である必要がある。
式(1)の化合物を含有する医薬組成物は、周知の技術に従い調製することができるが、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PA,USAを参照されたい。
医薬組成物は、経口投与、非経口投与、局所投与、経鼻投与、気管支内投与、舌下投与、点眼投与、点耳投与、直腸投与、膣内投与、または経皮投与に適した任意の形態であってもよい。
経口投与に適した医薬品剤形としては、錠剤(コーティングまたは非コーティング)、カプセル剤(ハードシェルまたはソフトシェル)、カプレット剤、丸剤、トローチ剤、シロップ剤、液剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤及び懸濁剤、舌下錠、カシェ剤、または口腔内貼付剤などの貼付剤が挙げられる。
錠剤組成物は、不活性希釈剤または担体と共に、単位用量の活性化合物を含有していてもよく、不活性希釈剤または担体としては、糖または糖アルコール、例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトール、またはマンニトール、及び/または、非糖由来の希釈剤、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム;または、セルロースまたはその誘導体、例えば、微結晶セルロース(MCC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び、コーンスターチなどのデンプンが挙げられる。錠剤はまた、ポリビニルピロリドンなどの結合剤及び造粒剤、崩壊剤(例えば、架橋カルボキシメチルセルロースなどの膨潤可能な架橋ポリマー)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸)、防腐剤(例えば、パラベン)、酸化防止剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤またはクエン酸緩衝剤)、及び、クエン酸塩/重炭酸塩混合物などの発泡剤のような、標準的な成分を含有していてもよい。このような添加剤は周知であるため、本明細書では詳細に記載する必要はない。
錠剤は、胃液と接触する際に(即時放出錠)、あるいは、長期間にわたりまたはGI管の特定領域において制御された状態で(放出制御錠)、のいずれかで薬物を放出するように設計されていてもよい。
医薬組成物は通常、約1%(重量/重量)〜約95%の、好ましくは、%(重量/重量)の活性成分、及び、99%(重量/重量)〜5%(重量/重量)の薬学的に許容可能な添加剤(例えば、上記のような)またはこのような添加剤の組み合わせを含む。好ましくは、組成物は、約20%(重量/重量)〜約90%(重量/重量)の活性成分、及び、80%(重量/重量)〜10%の医薬用添加剤または添加剤の組み合わせを含む。医薬組成物は、約1%〜約95%の、好ましくは、約20%〜約90%の活性成分を含む。本発明の医薬組成物は、例えば、アンプル、バイアル瓶、坐剤、プレフィルドシリンジ、糖衣錠、散剤、錠剤、またはカプセル剤などの単位投与剤形であってもよい。
錠剤及びカプセル剤は、例えば、0〜20%の崩壊剤、0〜5%の潤滑剤、0〜5%の流動助剤及び/または0〜99%(重量/重量)の充填剤または増量剤を含有していてもよい(薬剤投与量による)。それらはまた、0〜10%(重量/重量)の高分子結合剤、0〜5%(重量/重量)の酸化防止剤、及び0〜5%(重量/重量)の顔料を含有していてもよい。更に、持続放出錠は通常、0〜99%(重量/重量)の放出制御(例えば、遅延)ポリマーを含有している(投与量による)。錠剤またはカプセル剤のフィルムコーティングは通常、0〜10%(重量/重量)のポリマー、0〜3%(重量/重量)の顔料、及び/または、0〜2%(重量/重量)の可塑剤を含有している。
非経口製剤は通常、0〜20%(重量/重量)の緩衝剤、0〜50%(重量/重量)の共溶媒、及び/または、0〜99%(重量/重量)の注射用蒸留水(WFI)を含有している(投与量、及び凍結乾燥されているかによる)。筋肉内デポー製剤はまた、0〜99%(重量/重量)の油を含有していてもよい。
医薬品製剤は、全治療期間分の単一パッケージ、通常はブリスターパックを入れた「患者用パック」で患者に提供されてもよい。
式(1)の化合物は通常、単位投与剤形で提供され、それ自体が一般的に、望ましい程度の生物学的活性を提供するのに十分な化合物を含有している。例えば、製剤は、1ナノグラム〜2グラムの活性成分、例えば、1ナノグラム〜2ミリグラムの活性成分を含有していてもよい。これらの範囲内における化合物の個々の下位範囲は、0.1ミリグラム〜2グラムの活性成分(より一般的には、10ミリグラム〜1グラム、例えば、50ミリグラム〜500ミリグラム)、または、1マイクログラム〜20ミリグラム(例えば、1マイクログラム〜10ミリグラム、例えば、0.1ミリグラム〜2ミリグラムの活性成分)である。
経口組成物では、単位投与剤形は、1ミリグラム〜2グラムの、より一般的には、10ミリグラム〜1グラムの、例えば、50ミリグラム〜1グラムの、例えば、100ミリグラム〜1グラムの活性化合物を含有していてもよい。
本活性化合物は、望ましい治療効果を得るのに十分な量(有効量)で、当該化合物を必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物の患者)に投与される。投与する化合物の正確な量は、標準的な方法に従い、監督医師が決定してもよい。
以下の実施例に記載される特定の実施形態を参照しながら、本発明をこれから説明するが、本発明はそれらに制限されるものではない。
実施例1−1〜1−9
以下の表1に示す実施例1−1〜1−9の化合物を調製した。それらのNMR特性及びLCMS特性、ならびに、それらの調製に用いた方法については、表3に詳述する。
Figure 2018522033
基本手順
調製経路が含まれない場合、市販品として適切な中間体が入手可能である。市販の試薬を更に精製することなく利用した。室温(rt)とは、約20〜27℃のことを意味する。Bruker製またはJeol製のいずれかの装置を用いて、400MHzのH NMRスペクトルを記録した。化学シフト値を、百万分率(ppm)、すなわち、(δ:)値で表す。NMR信号の多重度には、以下の略語を用いる。S=シングレット、br=ブロード、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、quint=クインテット、td=トリプルダブレット、tt=トリプルトリプレット、qd=カルテットダブレット、ddd=ダブルダブルダブレット、ddt=ダブルダブルトリプレット、m=マルチプレット。結合定数は、Hzで測定したJ値を記載する。NMRの結果及び質量分析の結果に対して、バックグラウンドピークの補正を行った。クロマトグラフィーとは、60〜120メッシュシリカゲルを用い、窒素圧力下(フラッシュクロマトグラフィー)条件で行うカラムクロマトグラフィーのことを意味する。反応モニタリング用TLCとは、特定の移動相、及び固定相としてのシリカゲルF254(Merck)を用いて行うTLCのことを意味する。マイクロ波リアクターの、Biotage InitiatorまたはCEM Discoverを用いて、マイクロ波による反応を行った。
それぞれの化合物に応じたエレクトロスプレー条件を採用し、LCMS試験を通常どおりに下記条件下で行った。
LCMS法A
装置:Waters 2695、Photo Diode Array、ZQ−2000 Detector、カラム:X−Bridge C18、3.5マイクロメートル、150 x 4.6mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中の溶媒B(%)]:0.00/5、5.00/90、5.80/95、10/95、溶媒:溶媒A=HO中0.1%アンモニア、溶媒B=MeCN中0.1%アンモニア、注入量:10μL、UV検出:200〜400nM、質量検出:60〜1000AMU(+veエレクトロスプレー)、カラム温度:周囲温度、流速:1.0mL/分。
LCMS法B
装置:Waters 2695、Photo Diode Array、ZQ−2000 Detector、カラム:X−Bridge C18、3.5マイクロメートル、50 x 4.6mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中の溶媒B(%)]:0.01/0、0.20/0、5.00/90、5.80/95、7.20/95、7.21/100、10.00/100、溶媒:溶媒A=HO中0.1%アンモニア、溶媒B=MeCN中0.1%アンモニア、注入量:10μL、UV検出:200〜400nM、質量検出:60〜1000AMU(+veエレクトロスプレー)、カラム温度:周囲温度、流速:1.0mL/分。
LCMS法C
装置:Agilent 1260 Infinity LC with Diode Array Detector、Agilent 6120B Single Quadrupole MS with API−ES Source、カラム:Phenomenex Gemini−NX C−18、3マイクロメートル、2.0 x 30mm、グラジエント[時間(分)/溶媒A中の溶媒B(%)]:方法:0.00/5、2.00/95、2.50/95、2.60/5、3.00/5、溶媒:溶媒A=HO(2.5L)+(HO中28%NH)(2.5mL)、溶媒B=MeCN(2.5L)+HO(129mL)+(HO中28%NH)(2.7mL)、注入量:0.5μL、UV検出:190〜400nM、カラム温度:40℃、流速:1.5mL/分。
LCMS法D及びE
装置:HP 1100 with G1315A DAD、Micromass ZQ、カラム:Waters X−Bridge C−18、2.5マイクロメートル、2.1 x 20mm、または、Phenomenex Gemini−NX C−18、3マイクロメートル、2.0 x 30mm、グラジエント[時間(分)/溶媒C中の溶媒D(%)]:方法D:0.00/2、0.10/2、2.50/95、3.50/95、3.55/2、4.00/2、または、方法E:0.00/2、0.10/2、8.40/95、9.40/95、9.50/2、10.00/2、溶媒:溶媒C=HO(2.5L)+(HO中28%アンモニア溶液)(2.5mL)、溶媒D=MeCN(2.5L)+HO(135mL)+(HO中28%アンモニア溶液)(2.5mL)、注入量:1μL、UV検出:230〜400nM、質量検出:130〜800AMU(+ve及び−veエレクトロスプレー)、カラム温度:45℃、流速:1.5mL/分。
試験セクションのLCMSデータを、フォーマット(質量イオン、保持時間、UV活性)で示す。
略語
AcOH = 酢酸
CDI = 1,1’−カルボニルジイミダゾール
d = 日(複数可)
DAST = ジエチルアミノ硫黄三フッ化物
DCE = ジクロロエタン
DCM = ジクロロメタン
DIPEA = ジイソプロピルエチルアミン
DIAD = ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
DMF = ジメチルホルムアミド
DMP = デス−マーチンペルヨージナン
DMSO = ジメチルスルホキシド
ES = エレクトロスプレーイオン化
EtOAc = エチルアセテート
h = 時間(複数可)
HATU = 1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシドヘキサフルオロホスフェート
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー
LC = 液体クロマトグラフィー
LiAlH / LAH = 水素化アルミニウムリチウム
MeCN = アセトニトリル
MeOH = メタノール
min = 分(複数可)
MS = 質量分析
EtN = トリエチルアミン
NMR = 核磁気共鳴
rt = 室温
sat. = 飽和
sol. = 溶液
STAB = トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム
THF = テトラヒドロフラン
TLC = 薄層クロマトグラフィー
接頭辞n−、s−、i−、t−、及びtert−は、それらの通常の意味、ノルマル、第二級、イソ、及び第三級である。
中間体の基本合成手順
経路1
中間体2、エチル2−オキソ−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレートの調製手順
Figure 2018522033
6−Boc−2−オキソ−6−アザスピロ[3,4]オクタン(3.37g、15mmol)を、塩化水素(4Mジオキサン溶液、50mL、210mmol)へと少量ずつ添加した(泡立ちに注意)。24h後、反応液を減圧下で濃縮し、残存固体をEtN(4.18ml、30mmol)及びDCM(66mL)の混合液中に溶解させた。溶解が完了次第、溶液を直ちに0℃まで冷却し、その後、エチルクロロホルメート(1.57mL、16.5mmol)を滴加した。18h後、混合液を、ジクロロメタン(100mL)内、及びNaHCO(水溶液)(100mL)内へと注ぎ、抽出した(2 x 100mL)。有機層を回収し、食塩水(20mL)で洗浄してから、MgSO上で乾燥させ、その後、蒸発後の残分をカラムクロマトグラフィー(順相、[Biotage SNAP cartridge KP−sil 100g、40〜63μm、60Å、50mL/min、グラジエント:DCM中0%〜4%MeOH])を用いて精製し、中間体2、エチル2−オキソ−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート(2.47g、83%)を無色油状物として得た。表題化合物のデータを表2に示す。
経路2
中間体8、(4S)−4−エチル−1−(ピペリジン−4−イル)アゼチジン−2−オンの調製手順
Figure 2018522033
−10℃のMeOH(60mL)溶液へと、塩化チオニル(1.25mL、17.1mmol)を滴加し、得られた混合液を−10℃で1h攪拌した。次に、(3S)−3−アミノペンタン酸(1.0g、8.5mmol)を一度に添加し、得られた混合液をrtで20h攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、メチル(3S)−3−アミノペンタン酸 HCl(1.69g)を薄茶色の油状物として得た(次のステップにて粗原料として使用した)。
LC/MS(方法C):m/z 132(M+H)+(ES+)、0.56min、UV不活性。
DMF(15mL)中のメチル(3S)−3−アミノペンタン酸 HCl(250mg、推定1.3mmol)へと、DIPEA(1.30mL、7.5mmol)、AcOH(0.13mL、2.3mmol)、tert−ブチル4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(297mg、1.5mmol)、及び、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(632mg、3.0mmol)を添加し、得られた混合液をrtで24h攪拌した。次に、減圧下で溶媒を除去し、残分をシリカ(Biotage Isolera,SNAP 25g cartridge,MeOH/DCM中0〜10% 0.7M NH)上で精製してから、適切な画分と混ぜ合わせて、tert−ブチル4−{[(3S)−1−メトキシ−1−オキソペンタン−3−イル]アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(1.14g)を黄色の油状物として得た。それから、その油状物を、rtで静置して白色固体へと結晶化させた(次のステップにて粗原料として使用した)。
LC/MS(方法C):m/z 315(M+H)+(ES+)、1.40min、UV活性。
THF(30mL)中の粗tert−ブチル4−{[(3S)−1−メトキシ−1−オキソペンタン−3−イル]アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(1.14g、推定1.3mmol)溶液へと、LiOH(313mg、7.5mmol)及びHO(7.5mL)を添加してから、その混合液をrtで65h攪拌した。次に、その混合液を還流状態に2h加熱した後、更なるLiOH(313mg、7.5mmol)を添加し、還流状態にて更に2h加熱した。それから、減圧下で揮発分を除去し、1MのHCl水溶液を用いて水層をpH3まで酸性化させてから、EtOAcを用いて抽出した。減圧下で、水層を無色油状物になるまで濃縮し、シリカ(Biotage Isolera,SNAP 50g cartridge,MeOH/DCM,4:1中0.7M NH)上で精製し、(3S)−3−{[1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル]アミノ}ペンタン酸(0.91g)を白色粉末として得た(次のステップにて粗原料として使用した)。
LC/MS(方法C):m/z 301(M+H)+(ES+)、0.62min、UV活性。
tert−ブチル4−{[(3S)−1−メトキシ−1−オキソペンタン−3−イル]アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(624mg、推定0.9mmol)、1−メチル−2−クロロピリジニウムヨウ化物(584mg、2.3mmol)、及び、MeCN(40mL)中のEtN(0.64mL、4.6mmol)を、還流状態に22h加熱した。その混合液をシリカ(Biotage isolera,SNAP 50g cartridgeに、EtOAc/イソヘキサン,1;1〜100% EtOAcを5CV以上流してから、100% EtOAcを10CV以上流す)上で精製し、tert−ブチル4−[(2S)−2−エチル−4−オキソアゼチジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(194mg、80%)を無色油状物として得た。
LC/MS(方法C):m/z 305(M+Na)+(ES+)、1.26min、UV活性。
DCM(3mL)中のtert−ブチル4−[(2S)−2−エチル−4−オキソアゼチジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(194mg、0.7mmol)へと、TFA(3mL)を添加し、その混合液をrtで30min攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、中間体8、(4S)−4−エチル−1−(ピペリジン−4−イル)アゼチジン−2−オン TFA塩(374mg)を茶色の油状物として得た(次のステップにて粗原料として使用した)。表題化合物のデータを表2に示す。
経路3
中間体9、4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)ピペリジンの調製手順
Figure 2018522033
DMF(6mL)中の3,3−ジフルオロアゼチジン塩酸塩(300mg、2.3mmol)、tert−ブチル4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(461mg、2.3mmol)、及びDIPEA(0.40mL、2.3mmol)の溶液を、50℃に16h加熱した後、rtまで冷まし、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.23g、5.8mmol)及びAcOH(0.13mL、2.3mmol)を添加し、その後、更に40℃で16h加熱した。混合液をrtまで冷まし、sat.NaHCO水溶液(3mL)を加えることにより反応を停止させてから、減圧下で濃縮した。残分をDCM(15mL)で希釈し、sat.NaHCO水溶液(15mL)及び食塩水(15mL)で洗浄した。水を除去(Biotage phase separator)した有機層を減圧下で濃縮した。粗残渣をシリカ(Biotage Isolera,SNAP 25g cartridge、0〜10% MeOH/DCMに続き、SNAP 25g cartridge、0〜5% MeOH/DCM)上で精製し、tert−ブチル4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(273mg、43%)を白色結晶性固体として得た(次のステップにて直接使用した)。
0℃のDCM(8mL)中のtert−ブチル4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(273mg、1.0mmol)へと、TFA(2mL)を添加し、その混合液をrtで16h攪拌した。その後、減圧下で反応混合液を濃縮し、中間体9、4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)ピペリジン 2TFAを桃色油状物として得た(次のステップにて直接使用した)。表題化合物のデータを表2に示す。
ステップ1:別のワークアップ手順
反応液をHO(0.5mL)で処理し、減圧下で濃縮した。25g SNAP chromatography cartridgeに粗残渣を直接加え、グラジエント0〜10% MeOH/DCM(Biotage Isolera)で溶出した。
経路4
中間体15、1−(ピペリジン−4−イル)アゼチジン−2−オン TFAの調製手順
Figure 2018522033
MeOH(50mL)中のtert−ブチル4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(5.0g、25.1mmol)へと、メチル3−アミノプロピオン酸(3.5g、25.1mmol)及びEtN(10.7mL、75.3mmol)を添加し、その混合液を50℃で7h攪拌した。次に、混合液をrtまで冷ました後、NaBHCN(4.75g、75.1mmol)を少量ずつ添加し、rtで更に17h攪拌した。それから、溶媒を減圧下で除去し、残分を、HO(250mL)とEtOAc(200mL)とに分画した。層を分離させてから、EtOAc(2 x 200mL)で水層を抽出した。次に、混合有機層を乾燥させ(NaSO)、減圧下で溶媒を除去してから、カラムクロマトグラフィー(標準的な塩基性活性アルミナ、10〜13% EtOAc/ヘキサン)を用いて残分を精製し、tert−ブチル4−((3−メトキシ−3−オキソプロピル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(3.30g、47%)を黄色のゴム状物として得た。
LC/MS(方法A):m/z 287(M+H)+(ES+)、3.82min、UV活性。
THF(20mL)中のtert−ブチル4−((3−メトキシ−3−オキソプロピル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(2.0g、7.0mmol)の溶液(0℃)へと、メチルマグネシウムブロミド(3.5mL、10.5mmol)を滴加し、得られた混合液をrtで50h攪拌した。それから、sat.NHCl水溶液を用いて反応を停止させてから、減圧下で溶媒を除去し、残分を、HO(150mL)とEtOAc(120mL)とに分画した。層を分離させてから、EtOAc(2 x 120mL)で水層を更に抽出した。次に、混合有機層を乾燥させ(NaSO)、減圧下で溶媒を除去してから、カラムクロマトグラフィー(標準的な塩基性活性アルミナ、8〜10% EtOAc/ヘキサン)を用いて残分を精製し、tert−ブチル4−(2−オキソアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(600mg、35%)を黄色のゴム状物として得た。
LC/MS(方法B):m/z 255(M+H)+(ES+)、3.63min、UV活性。
DCM(5mL)中のtert−ブチル4−(2−オキソアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(600mg、2.4mmol)(0℃)へと、トリフルオロ酢酸(0.4mL、4.7mmol)を滴加し、得られた混合液をrtで8h攪拌した。次に、減圧下で溶媒を除去し、残分を粉砕してから、エーテル(3 x 2mL)で精製し、中間体15、1−(ピペリジン−4−イル)アゼチジン−2−オン TFA(510mg、81%)を黄色のゴム状物として得た。表題化合物のデータを表2に示す。
実施例の基本合成手順
経路a
実施例1−1、エチル2−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレートの調製に例示される、還元的アミノ化によるピペリジンの標準的な調製手順
Figure 2018522033
DMF(6mL)中の粗4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)ピペリジン(推定1.0mmol)、エチル2−オキソ−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート(183mg、0.9mmol)、及びDIPEA(0.34mL、2.0mmol)の溶液を、40℃で2h攪拌した。その溶液をrtまで冷ました後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(522mg、2.5mmol)及びAcOH(60μL、1.0mmol)を添加し、40℃で更に16h攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、残分をsat.NaHCO水溶液(15mL)で希釈し、DCM(2 x 15mL)で抽出した。混合有機層を乾燥し(Biotage phase separator cartridge)、減圧下で濃縮した。粗残渣をシリカ(Biotage Isolera,SNAP 25g cartridge、0〜10% MeOH/DCM)上で精製し、その後、prep HPLC[逆相(Gemini−NX、C18、5μ、100 x 30 mm)、30mL/min、MeCN/水中0.2%NH、グラジエント 30%(0.3min)、30〜60%(8.7min超)、60%(0.5min)、60〜100%(0.2min超)、100%(1min)、30%(0.8min)]にかけ、エチル2−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート異性体1(29mg、9%)を無色油状物として、また、実施例1−1、エチル2−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート異性体2(30mg、9%)を無色油状物として得た。表題化合物のデータを表3に示す。
経路aにおける別のワークアップ手順
反応液をrtまで冷まし、HO(0.5mL)で処理してから、減圧下で濃縮した。10g SNAP chromatography cartridgeに粗残渣を直接加え、グラジエント0〜10% MeOH/DCM(Biotage Isolera)で溶出した。次に、適切な画分と混ぜ合わせてから、逆相prep HPLCを用いて更に精製した。
経路b
実施例1−3、エチル2−[4−(2−オキソアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレートの調製に例示される、還元的アミノ化によるピペリジンの標準的な調製手順
Figure 2018522033
MeOH(10mL)中の1−(ピペリジン−4−イル)アゼチジン−2−オン TFA(200mg、0.8mmol)、エチル2−オキソ−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート(254mg、1.3mmol)、及びEtN(0.6mL、3.9mmol)の溶液を、55℃で5h攪拌した。次に、反応混合液を0℃まで冷却した後、NaBHCN(246mg、3.9mmol)を少量ずつ添加し、25℃で更に17h攪拌した。それから、溶媒を減圧下で除去し、残分を、HO(100mL)とDCM(80mL)とに分画して、層を分離させた。水層をDCM(2 x 80mL)で抽出し、混合有機層を乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。prep HPLC[逆相(X−BRIDGE C−18、150 x 19mm、5μm)、17mL/min、MeCN/水中0.1%NH、グラジエント 20%(30.0min超)、100%(2.0min超)、20%(2.0min超)]用いて残分を精製し、エチル2−(4−(2−オキソアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート異性体1(45mg、18%)を黄色のゴム状物として、また、実施例1−3、エチル2−(4−(2−オキソアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート異性体2(28mg、11%)を黄色のゴム状物として得た。表題化合物のデータを表3に示す。
経路c
実施例1−5、エチル2−{4−[(2S)−2−エチル−4−オキソアゼチジン−1−イル]ピペリジン−1−イル}−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレートの調製に例示される、還元的アミノ化によるピペリジンの標準的な調製手順
Figure 2018522033
DMF(5mL)中の粗(4S)−4−エチル−1−(ピペリジン−4−イル)アゼチジン−2−オン TFA塩(374mg、推定0.7mmol)へと、DIPEA(0.60mL、3.4mmol)、AcOH(60μL、1.1mmol)、エチル2−オキソ−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート(136mg、0.7mmol)、及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(437mg、2.1mmol)を添加し、その混合液をrtで65h攪拌した。反応混合液を濃縮してDMFを除去し、シリカ(Biotage Isolera,SNAP 25g cartridgeに、MeOH/DCM中0〜10% 0.7M NHを10CV以上流す)上で残分を精製し、2つの異性体の混合物を黄色の残分として得た。この残分を、prep HPLC[逆相(Gemini−NX、C18、5μ、100 x 30mm)、30mL/min、MeCN/水中0.2%NH、グラジエント 30%(0.3min)、30〜60%(8.7min超)、60%(0.5min)、60〜100%(0.2min超)、100%(1min)、30%(0.8min)]を用いて更に精製し、エチル2−{4−[(2S)−2−エチル−4−オキソアゼチジン−1−イル]ピペリジン−1−イル}−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート異性体1(100mg、40%)をゴム状物として、また、実施例1−5、エチル2−{4−[(2S)−2−エチル−4−オキソアゼチジン−1−イル]ピペリジン−1−イル}−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート異性体2(76mg、30%)をゴム状物として得た。表題化合物のデータを表3に示す。
Figure 2018522033
Figure 2018522033
Figure 2018522033
Figure 2018522033
生物学的活性
実施例A
リン酸化ERK1/2アッセイ
Alphascreen Surefireリン酸化ERK1/2アッセイを用いて、機能アッセイを行った(Crouch & Osmond,Comb.Chem.High Throughput Screen,2008)。ERK1/2リン酸化は、Gq/11タンパク質及びGi/oタンパク質の両方が結合した受容体の活性化における下流の結果であるため、異なる受容体サブタイプに対して異なるアッセイ方式を用いるよりも、M、M受容体(Gq/11が結合)、及びM、M受容体(Gi/oが結合)の評価に非常に適している。ヒトムスカリンM、M、MまたはM受容体を安定的に発現するCHO細胞を、MEM−alpha+10%透析FBS中、96ウェル組織培養プレート上で培養した(25K/ウェル)。付着後、細胞を一晩血清飢餓培養した。5μLの作動薬を細胞へと添加することにより、5min(37℃)、作動薬刺激を行った。培地を除去し、50μLの溶解緩衝液を添加した。15min後、4μLのサンプルを384ウェルプレートに移してから、7μLの検出用混合液を添加した。穏やかに攪拌しながらプレートを暗黒下で2hインキュベートし、その後、PHERAstarプレートリーダを用いて測定した。
それぞれの受容体サブタイプに対して得られたデータから、pEC50値及びEmax値を算出した。
結果を以下の表4に詳述する。
特に指示しない限り、4−5スピロ系を有するそれぞれの実施例において、分離された2つのジアステレオマーが存在し、LCMS微量分析におけるそれらの保持時間に基づいて指定した。ほとんどの実施例において、異性体1は活性ではない。活性異性体の分析データは、表3に記載されている。絶対立体化学の優先性を強調するために、わずかに活性を示すいくつかの化合物のデータを表4に記載している。
Figure 2018522033
実施例B
医薬品製剤
(i)錠製剤
式(1)の化合物を含有する錠剤組成物は、本化合物(50mg)を、希釈剤のラクトース(BP)(197mg)及び潤滑剤のステアリン酸マグネシウム(3mg)と混合し、周知の方法で圧縮して錠剤を形成することにより調製される。
(ii)カプセル製剤
カプセル製剤は、式(1)の化合物(100mg)を、ラクトース(100mg)及び任意選択的にステアリン酸マグネシウム(1重量%)と混合し、得られた混合物を標準的な不透明硬質ゼラチンカプセルへと充填することにより調製される。
等価物
上記の実施例は、本発明の例示を行う目的で提供されており、本発明の範囲を制限することを意味すると解釈されるべきではない。本発明の基礎をなす原理から逸脱することなく、上記し、実施例において説明される本発明の特定の実施形態に対して、多数の改良及び変更を行うことが可能であることは容易に明白となるであろう。このような改良及び変更の全ては、本出願により包含されることを意味している。

Claims (21)

  1. 式(1)、
    Figure 2018522033
    の化合物またはその塩であって、式中、
    qは0、1または2であり、
    rは1または2であり、
    r及びsの合計が1または2の場合、sは0または1であり、
    Qは、0または1個の窒素原子を含む4員環であり、
    は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で、また、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む任意選択的に置換された5または6員環で、置換されていてもよく、
    2’及びR2’’は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO、及び、C1−6非芳香族炭化水素基から独立して選択され、または、R及びR2’は、共に結合して4〜7員環の縮合環を形成することができ、
    は、水素、フッ素、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−9非芳香族炭化水素基から選択され、式中、前記炭化水素基の1個、2個または3個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、
    は、水素、または1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−6非芳香族炭化水素基であり、式中、前記炭化水素基の1個または2個の、全てではない炭素原子は、任意選択的に、O、N、及びS、ならびにそれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、
    、R及びRは、同一または異なっており、それぞれ、水素、1個または複数個のフッ素原子により任意に置換された非芳香族C1−4炭化水素基、または、式、CHN(R)COORの基から独立して選択され、
    は、水素、及び非芳香族C1−4炭化水素基から選択され、
    は、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、または、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリールもしくはヘテロアリール基から選択される1つまたは複数の基により任意に置換された非芳香族C1−4炭化水素基であり、
    点線は、任意の第2の炭素−炭素結合を示し、第2の炭素−炭素結合が存在する場合、Rは存在しない、前記式(1)の化合物またはその塩。
  2. 式中、Qはシクロブチルである、請求項1に記載の化合物。
  3. 式中、Qはアゼチジンである、請求項1に記載の化合物。
  4. 式中、部分、
    Figure 2018522033
    は、基A〜Fから選択される、請求項1に記載の化合物。
  5. 式中、Rは、水素、フッ素、シアノ基、ヒドロキシ基、OR、NR、COR、COOR、OCOR、NRCOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、SO、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族炭化水素基から選択される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化合物。
  6. 式中、Rは、水素、フッ素、NH、COR、COOR、及び、1個〜6個のフッ素原子により任意に置換されたC1−4非芳香族飽和炭化水素基から選択され、式中、Rは、C1−4アルキルから選択される、請求項5に記載の化合物。
  7. 式中、Rは、水素、フッ素、メチル基、エチル基、COOMe、COOEt、COMe、COEt、CONH、CF、CONHMe、CON(Me)、COCF、CO−シクロプロピル、CO−シクロブチル、CONHEt、COH、NH、及びOMeから選択される、請求項6に記載の化合物。
  8. 式中、R2’及びR2’’は、両方とも水素である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物。
  9. 式中、R2’はフッ素である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物。
  10. 式中、Rは存在し、前記任意の第2の炭素−炭素結合は存在しない、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物。
  11. 式中、Rは、水素、フッ素、ヒドロキシル基、メトキシ基、及びシアノ基から選択される、請求項10に記載の化合物。
  12. 式中、Rは水素である、請求項11に記載の化合物。
  13. 式中、Rは、水素及びメチル基から選択される、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の化合物。
  14. 実施例1−2、実施例1−5、及び実施例1−7から選択される、請求項1に記載の化合物。
  15. エチル2−[4−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート、
    エチル2−{4−[(2R)−2−(メトキシカルボニル)アゼチジン−1−イル]ピペリジン−1−イル}−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート、
    エチル2−[4−(2−オキソアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート、
    エチル2−{4−[(2S)−2−メチル−4−オキソアゼチジン−1−イル]ピペリジン−1−イル}−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート、
    エチル2−{4−[(2S)−2−エチル−4−オキソアゼチジン−1−イル]ピペリジン−1−イル}−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート、
    エチル2−{4−[(2R)−2−メチル−4−オキソアゼチジン−1−イル]ピペリジン−1−イル}−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート、及び、
    エチル2−{4−[(2R)−2−エチル−4−オキソアゼチジン−1−イル]ピペリジン−1−イル}−6−アザスピロ[3,4]オクタン−6−カルボキシレート、
    である、請求項1に記載の化合物。
  16. 薬物に使用する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の化合物。
  17. 請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の化合物、及び薬学的に許容可能な添加剤を含む医薬組成物。
  18. ムスカリンM受容体及び/またはM受容体アゴニスト活性を有する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の化合物。
  19. 認知障害または精神障害の治療、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、または炎症性疼痛の治療または重症度の軽減、中毒の治療、または、運動障害の治療に使用する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の化合物。
  20. アルツハイマー病またはレビー小体型認知症の治療に使用する、請求項1から請求項15に記載の化合物。
  21. 統合失調症またはその他精神障害の治療に使用する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の化合物。
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