JP2018521682A - 細胞培養培地を生成するためのプロセス - Google Patents
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Abstract
Description
水性溶液中の細胞培養培地は、細胞の成長をサポートしかつ維持するか、および/またはある生成物の標的とされる生成に有利な所望とする生理的細胞条件を維持する、環境を提供することができる。
大抵、流加培地は、高度に濃縮されて、バイオリアクターの希釈を回避する。制御された栄養分の添加は、培養の成長速度に直接影響を及ぼす。
化合物の溶解性は、少なくとも1つの他の担体化合物とそれらを共凍結乾燥することによって改良され得ることが、見出された。それらの混合された粒子は、共凍結乾燥によって調製され、その後細胞培養培地の他の構成要素とともに混合され粉砕され得る。難溶性の構成要素の溶解性が、共凍結乾燥によって改良されるにつれて、共凍結乾燥物として難溶性の構成要素を添加することなく構成要素が混合され粉砕されるだけである同じ組成をもつ細胞培養培地と比較して、本発明の方法で処置される細胞培養培地は、より良好な溶解性をもつ。この溶解性の改良は、細胞培養培地の化学組成物を交換することなく達成される。
a)前記細胞培養培地中の1以上の難溶性の構成要素を同定すること、
b)ステップa)において同定された1以上の構成要素を、担体構成要素としての前記細胞培養培地の少なくとも1つの構成要素と、共凍結乾燥すること、
c)ステップb)において生じた1以上の共凍結乾燥物を、細胞培養培地の他の構成要素とともに混合すること、および任意に、結果として生じる混合物を粉砕することによって、該乾燥粉末細胞培養培地を調製すること。
好ましい態様において、1以上担体構成要素は、以下の群から選択される:
− 塩化カルシウム、無水のおよび水和の形態
− リン酸水素二カリウム、無水のおよび水和の形態
− リン酸水素二ナトリウム、無水のおよび水和の形態
− 塩化マグネシウム、無水のおよび水和の形態
− 硫酸マグネシウム、無水のおよび水和の形態
− 塩化カリウム
− リン酸二水素カリウム
− 塩化ナトリウム
− リン酸二水素ナトリウム、無水のおよび水和の形態
− 炭酸水素ナトリウム
− D(−)−フルクトース
− D(−)−マンニトール
− D(+)−ガラクトース
− D(+)−グルコース、無水のおよび水和の形態
− D(+)−マンノース
− グリシン
− グリシル−L−チロシン水和物
− L−アラニン
− L−アラニル−L−グルタミン
− L−アルギニンおよび塩酸塩の形
− L−アスパラギン一水和物
− L−アスパラギン酸
− L−システインおよび塩酸塩/水和の形態
− L−グルタミン酸
− L−グルタミン
− L−ヒスチジンおよび塩酸塩の形
− L−ヒドロキシプロリン
− L−イソロイシン
− L−ロイシン
− L−リシン一水和物および塩酸塩の形
− L−メチオニン
− L−フェニルアラニン
− L−プロリン
− L−セリン
− L−トレオニン
− L−トリプトファン
− L−バリン
− L−アスパラギン酸ナトリウム一水和物
− リン酸チロシン二ナトリウム塩
− L−グルタミン酸ナトリウム一水和物
− HEPES_CCM
− HEPESナトリウム
− MOPS
− 塩化コリン
− ポロクサマー188
− 酢酸ナトリウム三水和物
− ミオイノシトール
− オキサロ酢酸
− コハク酸
− ピルビン酸ナトリウム塩
− アルファ−ケトグルタル酸二ナトリウム塩二水和物
− ベータ−グリセロリン酸二ナトリウム塩五水和物またはそれらの混合物
好ましい態様において、1以上の難溶性の構成要素は、シスチン、クエン酸鉄(III)水和物、塩化鉄(III)六水和物、および/またはチロシンの群から選択される。
本発明は、以下による細胞培養培地を製造するためのプロセスに関する:
a)難溶性の細胞培養培地の少なくとも1つの構成要素を、担体構成要素としての細胞培養培地の少なくとも1つの他の構成要素と共凍結乾燥すること、
b)ステップa)において生じた1以上の共凍結乾燥物を細胞培養培地の他の構成要素とともに混合すること、
c)任意に、ステップb)の混合物を粉砕に供すること。
好ましい態様において、1以上の難溶性の構成要素は、シスチン、クエン酸鉄(III)水和物、塩化鉄(III)六水和物、および/またはチロシンの群から選択される。
ステップa)におけるさらなる好ましい態様において、共凍結乾燥は、該構成要素の水性溶液を生じること、混合物を凍結すること、および減圧下で液体を除去することによって実施される。
さらなる好ましい態様において、ステップb)からの混合物は、粉砕に先立って10℃未満の温度に冷却される。
さらなる態様において、ステップa)において、細胞培養培地の少なくとも2つの構成要素を共凍結乾燥することによって、2以上の異なる共凍結乾燥物が、各々製造される。
本発明は、水中で難溶性の少なくとも1構成要素、および少なくとも1つの担体構成要素を含有する1以上の共凍結乾燥物を含む粉末状の細胞培養培地に関する。
好ましくは、水中で難溶性の1つの構成要素、および1つの担体構成要素のみを含有する共凍結乾燥物に関する。
一態様において、粉末状の細胞培養培地は、2以上共凍結乾燥物を含む。
本発明の説明
それは、複合培地または化学的に定義される培地であってもよい。細胞培養培地は、細胞のin vitroで成長の維持および/またはサポートに必要なすべての構成要素、または、その上に構成要素が別に添加されるように、ほんのいくつかの構成要素を含む。本発明に従う細胞培養培地の例は、細胞のin vitroでの成長を維持および/またはサポートするのに必要なすべての構成要素を含む全培地、培地補助剤、または供給物(feeds)である。好ましい態様において、該細胞培養培地は、全培地または供給物である。
哺乳類細胞培養培地は、哺乳類細胞のin vitroでの成長を維持および/またはサポートする構成要素の混合物である。哺乳類細胞の例は、ヒトまたは動物細胞、好ましくはCHO細胞、COS細胞、IVERO細胞、BHK細胞、AK−1細胞、SP2/0細胞、L5.1細胞、ハイブリドーマ細胞またはヒト細胞である。例えば、適切な細胞培養方法は、流加バッチプロセスまたは灌流細胞培養プロセスである。
本発明従う培地により培養されるべき細胞は、細菌細胞のような原核生物細胞、または植物または動物細胞のような真核生物細胞でもよい。細胞は、正常細胞、不死化細胞、異常細胞、形質転換細胞、突然変異細胞、体細胞、生殖細胞、幹細胞、前駆細胞、または胚細胞であることができ、それらのいずれも、確立されまたは形質転換された細胞株であり得、または天然の供給源から得られ得る。
さまざまなタイプの粉砕は、当業者に公知である。
例えばピンミルは、Munson Machinery(USA)、Premium Pulman(India)、Hosokawa Alpine、またはSturtevant(USA)により販売されている。
ジェットミルは圧縮気体を利用して粒子を加速し、それらをプロセスチャンバー中で互いに衝突させる。ジェットミルは、例えばSturtevant(USA)、Hosokawa Alpine、またはPMT(Austria)で販売されている。
Fitzpatrick(USA)によって市販されているフィッツミルは、粉砕するための刃をもつローターを使用する。
本発明の方法に従い製造される細胞培養培地は、典型的には、少なくとも1以上の糖構成要素、1以上のアミノ酸、1以上のビタミンまたはビタミン前駆体、1以上の塩、1以上の緩衝液構成要素、1以上の共因子、および1以上の核酸構成要素を含む。
特に好ましいのは、時にPluronic F 68またはKolliphor P 188またはLutrol F 68と呼ばれるポロクサマー188である。
本発明に従うアミノ酸の例は、タンパク質有機アミノ酸、特に必須アミノ酸、ロイシン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、およびバリン、ならびにD−アミノ酸等の非タンパク質有機アミノ酸である。
緩衝液の例は、CO2/HCO3(炭酸塩)、リン酸塩、HEPES、PIPES、ACES、BES、TES、MOPS、およびTRISである。
本発明に従う核酸構成要素は、核酸塩基、例えばシトシン、グアニン、アデニン、チミン、またはウラシル等、ヌクレオシド、例えばシチジン、ウリジン、アデノシン、グアノシン、およびチミジン等、およびヌクレオチド、例えばアデノシン一リン酸またはアデノシン二リン酸またはアデノシン三リン酸等である。
本発明に従う凍結は、0℃を下回る温度まで冷却することを意味する。
これは、与えられた細胞培養培地組成物中で、難溶性の、および乾燥粉末培地の易溶性を妨げる1以上の構成要素を同定することによってなされる。
細胞培養培地の当業者は、典型的には、細胞培養培地の典型的な内容物の溶解性を認識しており、与えられた内容物のリスト中の難溶性の構成要素を同定することができる。
結果として、本発明に従う難溶性の物質は、好ましくは、10g未満、特に1g未満が、25℃で1リットルのDMEM F12細胞培養培地に溶解されることができる物質である。DMEM F12細胞培養培地の組成物(Sigma Aldrichの製品、物品番号D2906)は、例に示される。典型的には、溶解は、2時間後、好ましくは45分後に、完了されるべきである。
担体構成要素は、塩化ナトリウム等の塩、グルコース等の糖質、アルギニン等のアミノ酸、またはHEPESもしくはMOPS等の緩衝液、または塩化コリンまたはポロクサマーのような他のものであることができる。
表1は、適切な担体構成要素のリストを示す:
好ましい担体構成要素は、塩化ナトリウム、D(−)−フルクトース、D(−)−マンニトール、D(+)−ガラクトース、D(+)−マンノース、グルコース無水和物ならびにグルコースの水和の形態、グリシン、L−アラニン、L−アルギニン、およびその塩酸塩の形態、L−アスパラギン一水和物、L−アスパラギン酸、L−システインおよび塩酸塩/水和の形態、L−グルタミン酸、L−グルタミン、L−ヒスチジンおよび塩酸塩の形態、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン一水和物および塩酸塩の形態、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−バリン、L−アスパラギン酸ナトリウム一水和物、グルタミン酸ナトリウム一水和物、HEPESおよびナトリウム塩の形態、MOPS、塩化コリン、ポロクサマー188のようなポロクサマー、または該構成要素の1以上の混合物である。
構成要素は、1つの溶媒中で一緒に可溶化されることができる。あるいは、各構成要素は、別々の溶媒に溶解されることができ、結果として2以上の異なる構成要素の溶液が、その後混合されることができる。典型的には、混合されるすべての溶液は、同じ溶媒を有する。
適切な溶媒は、すべての構成要素が可溶性であるものである。適切な溶媒の例は、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、三級ブタノール、イソプロパノール、DMSO、または水、またはそれらの混合物等の有機溶媒である。好ましくは、水である。
一旦溶媒が選択され、構成要素が溶解されると、結果として生じる混合物は凍結され、乾燥へと凍結乾燥される。時に、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、三級ブタノール、イソプロパノール、またはDMSO等の追加の溶媒が、凍結乾燥を促進するために混合物に添加される。
典型的には、凍結乾燥は、−20℃を下回る、好ましくはおよそ−80℃の温度で実施される。液体は、典型的には、減圧を適用することによって取り除かれる。結果として生じる共凍結乾燥物は、混合された粒子または混合された固体とも呼ばれることができる。好ましくは、共凍結乾燥物は、難溶性の構成要素および担体構成要素のみを含有する。
粉砕された共凍結乾燥物は、その後分析方法に供され、共凍結乾燥物中の構成要素の濃度が決定される。適切な方法の例は、ICP−OES、UPLC(例えばアミノ酸のための)、NMR、IC、またはLC−MSである。
後者に関して、適切な量の共凍結乾燥物は、細胞培養培地の他の構成要素とともに混合される。2以上の共凍結乾燥物を生成し、そして、2以上の凍結乾燥物を細胞培養培地の他の構成要素とともに混合することも、可能である。構成要素を混合することは、乾燥粉末の細胞培養培地を製造する当業者に周知である。好ましくは、混合物のすべての部分がほとんど同じ組成物を有するように、すべての構成要素は完全に混合される。均質な細胞成長に関して、組成物の均一性がより高いほど、結果として生じる培地の質は、より良好である。
粉砕は、細胞培養培地の製造のために適切なミルのいかなるタイプによっても、実施することができる。典型的な例は、ボールミル、ピンミル、フィッツミル、またはジェットミルである。好ましくは、ピンミル、フィッツミル、またはジェットミル、非常に好ましくは、ピンミルである。
当業者は、かかるミルの実行の仕方を知っている。
粉砕は、標準的な粉砕条件の下で行われることができ、10と300μmとの間、もっとも好ましくは、25と100μmとの間の粒子サイズをもつ粉末に、結果としてなる。
好ましい態様において、粉砕は、不活性雰囲気中で実施される。好ましい不活性保護気体は、窒素である。
好ましくは、内容物の冷却は、ミルに入るすべての内容物が、10℃を下回る、もっとも好ましくは−20℃を下回る温度であるやり方で、なされる。
メータリングスクリューフィーダー(軽量スネールとも呼ばれる)は、典型的には、1分当たり10〜200回転、好ましくは40〜60回転の速度で実行される。
粉砕する間の酸素レベルは、好ましくは10%(v/v)未満である。
プロセスは、例えばバッチ毎にまたは連続的に実行されることができる。好ましい態様において、本発明に従うプロセスは、ある時間にわたって、冷却のために内容物の混合物をフィーダーに永続的に満たし、そして、フィーダーからの冷却した混合物をミルに永続的に満たすことによって、連続的になされる。
本発明は、その上、少なくとも1つの共凍結乾燥物乾燥を含む乾燥細胞培養培地に関する。このような培地は、本発明に従うプロセスによって得ることができる。
粉末培地の使用のために、溶媒、好ましくは水(もっとも特別には、蒸留されおよび/または脱イオン水または精製水または注射用蒸留水)または水性緩衝液が、培地に添加され、および構成要素は、培地が溶媒中に完全に溶解されるまで混合される。
溶媒は、食塩水または、1.0〜14.0のpH範囲を提供する可溶性酸および塩基イオン、安定剤、界面活性剤、防腐剤、およびアルコールまたはその他の極性有機溶媒を含んでいてもよい。
a)本発明に従う細胞培養培地を提供すること、
b)該細胞培養培地を水または水性緩衝液とともに混合すること、
c)バイオリアクター中で、培養されるべき細胞を、細胞ステップb)の細胞培養培地とともに混合すること、
d)ステップc)の混合物をインキュベートすること。
担体化合物は、溶解性が改良されるであろう難溶性の化合物のその上の使用に、負に影響しない化合物でなければならない。
典型的には、1と50%との間の難溶性の化合物が、99〜50%の担体化合物(w/w)と共凍結乾燥される。最も好ましくは、10と50%との間の難溶性の化合物が、90〜50%の担体化合物(w/w)と共凍結乾燥される。
上記および下記に引用されるすべての出願、特許、および刊行物の、および2015年8月5日に出願された対応するEP 15179817.0の全開示は、本願明細書に参照により組み込まれる。
以下の例は、本発明の実際的な適用を表す。
DMEM F12細胞培養培地(Sigma Aldric 物品番号D2906)の組成物、[g/L]での以下の乾燥粉末、組成物:
無機塩
CaCl2: 0.1166
CuSO4・5H2O 0.0000013
Fe(NO3)3・9H2O 0.00005
FeSO4・7H2O 0.000417
MgCl2・6H2O 0.0612
MgSO4 0.04884
KCl 0.3118
NaCl 6.996
Na2HPO4 0.07102
NaH2PO4 0.0543
ZnSO4・7H2O 0.000432
L−アラニン 0.00445
L−アルギニン・HCl 0.1475
L−アスパラギン・H2O 0.0075
L−アスパラギン酸 0.00665
L−シスチン・2HCl 0.01756
L−システイン・HCl・H2O 0.03129
L−グルタミン酸 0.00735
L−グルタミン 0.365
グリシン 0.01875
L−ヒスチジン・HCl・H2O 0.03148
L−イソロイシン 0.05447
L−ロイシン 0.05905
L−リシン・HCl 0.09125
L−メチオニン 0.01724
L−フェニルアラニン 0.03548
L−プロリン 0.01725
L−セリン 0.02625
L−トレオニン 0.05345
L−トリプトファン 0.00902
L−チロシン・2Na・2H2O 0.05579
L−バリン 0.05285
D−ビオチン 0.0000035
塩化コリン 0.00898
葉酸 0.00266
ミオイノシトール 0.0126
ナイアシンアミド 0.00202
D−パントテン酸・1/2Ca 0.00224
ピリドキサール・HCl 0.002
ピリドキシン・HCl 0.000031
リボフラビン 0.000219
チアミン・HCl 0.00217
ビタミンB12 0.00068
D−グルコース 3.15
HEPES 3.5745
ヒポキサンチン 0.0021
リノール酸 0.000042
プトレッシン・2HCl 0.000081
ピルビン酸ナトリウム・2HCl 0.055
DL−チオクト酸 0.000105
チミジン 0.000365
追加
NaHCO3 1.2
変形1:
難溶性の構成要素は、必要に応じて高温で、撹拌しながら、超純水(例えばMilli-Q水)中で溶解される。
担体構成要素も、超純水(例えばMilli-Q水)中で溶解される。
撹拌下で、両方の溶液は、組み合わせられる。
変形2:
担体構成要素は、超純水(例えばMilli-Q水)中で溶解される。
難溶性の構成要素は、撹拌しながら添加される。混合物は、撹拌され、必要に応じて難溶性の構成要素が溶解するまで、加熱もされる。
両方の変形において、該構成要素の濃度、溶解時間、および温度は、溶解されるべき構成要素へ調整されることが必要である。当業者は、そうすることが可能である。
その後、乾燥との間、温度は、約24時間−30℃に、さらに24時間−20℃に、最終的にさらに12時間約0℃に調整される。最終的な乾燥は、4〜12時間約20℃の温度にて、最低限度の真空度(0.003mbar)の下で、実施される。
時間および温度傾斜は、乾燥されるべき溶液の量に応じて調整されることができる。
以下の共凍結乾燥物が、調製される:
a)塩化ナトリウムを伴うクエン酸鉄(III)水和物
クエン酸鉄(III)水和物(CAS 207399-12-0)
溶解性:25℃で5g/l、ただし溶解は非常に遅い。
クエン酸鉄(III)水和物および塩化ナトリウムの共凍結乾燥物は、10%(w/w)のクエン酸鉄(III)水和物および90%の塩化ナトリウムを含有する。
b)アルギニンを伴うシスチン
L−シスチン(CAS 56-89-3)
溶解性:25℃の水にほとんど溶解しない
以下の共凍結乾燥物が、調製された:
− 23%(w/w)のシスチンおよび77%(w/w)のアルギニン
− 10%(w/w)のシスチン、30%(w/w)のアルギニン、および60%(w/w)の塩化ナトリウム
− 25%(w/w)のシスチンおよび75%(w/w)のアルギニン
上記の共凍結乾燥物が、チャイニーズハムスター卵巣細胞のための、化学的に定義された細胞培養培地の調製のために、使用される。
共凍結乾燥物を使用することにより、全体量の構成要素が、まだ配合表に概括されるのと同様に残っている。
共凍結乾燥物を包含する培地のすべての内容物は、計量スネールおよびピンミルを使用して、混合されそして粉砕される。計量スネールの中で、内容物は、液体窒素によって処置される。
粉砕は、以下の条件の下で実施される:
温度−ミル:絶対の10℃未満
酸素レベル:絶対の10%未満
Rpm−ミル:2800l/分まで
配合時間:30分
Rpm計量スネール:40l/分
結果として生じる細胞培養培地は、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞の培養のために適切である。
a)クエン酸鉄(III)水和物の溶解性
クエン酸鉄(III)水和物および塩化ナトリウムの共凍結乾燥物(調製は上記参照)が、DMEM−F12と組み合わせて使用される。
共凍結乾燥物によらず(添加されたクエン酸鉄(III)水和物−原材料によって)当該技術に従い生成された乾燥粉末DMEM−F12と、塩化ナトリウムを伴う共凍結乾燥物の形態の、添加されたクエン酸鉄(III)水和物によるそれとの溶解性が、比較される。結果は、表2に示される。標準原材料として、クエン酸鉄(III)水和物は、DMEM−F12中で、最大濃度0.002g/lまでにのみ、存在することができる。より多くのクエン酸鉄(II)水和物の添加は、培地の不完全な溶解に繋がる。これとは対照的に、クエン酸鉄(III)水和物が共凍結乾燥物の形態で添加される場合、30g/lまでのクエン酸鉄(III)水和物を含むDMEM−F12が、水中に完全に溶解できる。
シスチンとアルギニンおよびシスチンとアルギニン/塩化ナトリウム(調製は上記参照)の共凍結乾燥物が、Cellvento(登録商標)CHO 200(Merck KGaA、Germany)と組み合わせて使用される。共凍結乾燥物によらず(添加されたシスチン−原材料によって)当該技術に従い生成された乾燥粉末Cellvento(登録商標)CHO 200と、アルギニンおよびアルギニン/塩化ナトリウムを伴う共凍結乾燥物の形態の、添加されたシスチンによるそれとの溶解性が、比較される。結果は、表3に示される。標準原材料として、シスチンは、Cellvento(登録商標)CHO 200中で、0.1g/l未満の最大濃度までのみ存在することができる。シスチンのより多い添加は、培地の不完全な溶解に繋がる。これとは対照的に、シスチンが、共凍結乾燥物の形態で添加された場合、0.5g/lまでのシスチンを含むCellvento(登録商標)CHO 200は、水中に依然として完全に溶解されていることができる。
シスチンを共凍結乾燥物の形態で含むDMEM F12細胞培養培地(25%(w/w)シスチンおよび75%(w/w)アルギニン)は、溶解の、中で、標準調製インストラクションに従って水中に溶解される。
液体培地は、2〜8℃で保存される。シスチン含量は、2および4週後に、UPLCによって決定される。結果は、図1に示される。シスチン含量の著しい減少は観察されることができず、シスチンが液体培地中に、時間の経過とともに溶解されたまま残ることを示す。
Claims (13)
- 乾燥粉末細胞培養培地の溶解性を、以下のステップによって改良するための方法:
a)該細胞培養培地中の1以上の難溶性の構成要素を同定すること、
b)ステップa)において同定された構成要素を、担体構成要素としての該細胞培養培地の少なくとも1つの他の構成要素とともに、共凍結乾燥すること、
c)ステップb)において生じた1以上の共凍結乾燥物を、細胞培養培地の他の構成要素とともに混合すること、および任意に、結果として生じる混合物を粉砕することによって、該乾燥粉末細胞培養培地を調製すること。 - 1以上の難溶性の構成要素が、25℃の水中で10g/l未満の溶解性をもつ化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 1以上の難溶性の構成要素が、シスチン、クエン酸鉄(III)水和物、塩化鉄(III)六水和物、および/またはチロシンの群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- 1以上担体構成要素が、以下の群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法:
− 塩化カルシウム、無水のおよび水和の形態
− リン酸水素二カリウム、無水のおよび水和の形態
− リン酸水素二ナトリウム、無水のおよび水和の形態
− 塩化マグネシウム、無水のおよび水和の形態
− 硫酸マグネシウム、無水のおよび水和の形態
− 塩化カリウム
− リン酸二水素カリウム
− 塩化ナトリウム
− リン酸二水素ナトリウム、無水のおよび水和の形態
− 炭酸水素ナトリウム
− D(−)−フルクトース
− D(−)−マンニトール
− D(+)−ガラクトース
− D(+)−グルコース、無水のおよび水和の形態
− D(+)−マンノース
− グリシン
− グリシル−L−チロシン水和物
− L−アラニン
− L−アラニル−L−グルタミン
− L−アルギニンおよび塩酸塩の形態
− L−アスパラギン一水和物
− L−アスパラギン酸
− L−システインおよび塩酸塩/水和の形態
− L−グルタミン酸
− L−グルタミン
− L−ヒスチジンおよび塩酸塩の形態
− L−ヒドロキシプロリン
− L−イソロイシン
− L−ロイシン
− L−リシン一水和物および塩酸塩の形態
− L−メチオニン
− L−フェニルアラニン
− L−プロリン
− L−セリン
− L−トレオニン
− L−トリプトファン
− L−バリン
− L−アスパラギン酸一ナトリウム一水和物
− リン酸チロシン二ナトリウム塩
− L−グルタミン酸ナトリウム一水和物
− HEPES_CCM
− HEPESナトリウム
− MOPS
− 塩化コリン
− ポロクサマー188
− 酢酸ナトリウム三水和物
− ミオイノシトール
− オキサロ酢酸
− コハク酸
− ピルビン酸ナトリウム塩
− アルファ−ケトグルタル酸二ナトリウム塩二水和物
− ベータ−グリセロリン酸二ナトリウム塩五水和物
またはそれらの混合物。 - 1以上の担体構成要素は、塩化ナトリウム、D(−)−フルクトース、D(−)−マンニトール、D(+)−ガラクトース、D(+)−マンノース、グルコース無水和物ならびにグルコースの水和の形態、グリシン、L−アラニン、L−アルギニンおよびその塩酸塩の形態、L−アスパラギン一水和物、L−アスパラギン酸、L−システインおよび塩酸塩/水和の形態、L−グルタミン酸、L−グルタミン、L−ヒスチジンおよび塩酸塩の形態、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン一水和物および塩酸塩の形態、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−バリン、L−アスパラギン酸一ナトリウム一水和物、グルタミン酸ナトリウム一水和物、HEPESおよびナトリウムの形態、MOPS、塩化コリン、ポロクサマー、またはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 共凍結乾燥物における難溶性の構成要素の量が、担体構成要素の量の1と50%(w/w)との間であることを特徴とする、請求1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- ステップb)において、共凍結乾燥が、構成要素の水性溶液を生じること、混合物を凍結すること、および減圧下で液体を除去することによって実施されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 以下のステップにより細胞培養培地を製造するためのプロセス:
a)難溶性の該細胞培養培地の1以上の構成要素を、細胞培養培地の1以上の他の構成要素とともに共凍結乾燥すること、
b)ステップa)において生じた1以上の共凍結乾燥物を、細胞培養培地の他の構成要素とともに混合すること、
c)任意に、ステップb)の混合物を粉砕に供すること。 - 1以上の難溶性の構成要素が、25℃の水中で10g/l未満の溶解性をもつ化合物であることを特徴とする、請求項8に記載のプロセス。
- 1以上の難溶性の構成要素が、シスチン、クエン酸鉄(III)水和物、塩化鉄(III)六水和物、および/またはチロシンの群から選択されることを特徴とする、請求項8または9に記載のプロセス。
- 1以上の担体構成要素が、塩化ナトリウム、D(−)−フルクトース、D(−)−マンニトール、D(+)−ガラクトース、D(+)−マンノース、グルコース無水和物ならびにグルコースの水和の形態、グリシン、L−アラニン、L−アルギニンおよびその塩酸塩の形態、L−アスパラギン一水和物、L−アスパラギン酸、L−システインおよび塩酸塩/水和の形態、L−グルタミン酸、L−グルタミン、L−ヒスチジンおよび塩酸塩の形態、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン一水和物および塩酸塩の形態、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−バリン、L−アスパラギン酸一ナトリウム一水和物、グルタミン酸ナトリウム一水和物、HEPESおよびナトリウムの形態、MOPS、塩化コリン、ポロクサマー、またはそれらの混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
- 共凍結乾燥物における難溶性の構成要素の量が、担体構成要素の量の1と50%(w/w)との間であることを特徴とする、請求8〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
- ステップa)において、共凍結乾燥が、構成要素の水性溶液を生じること、混合物を凍結すること、および減圧下で液体を除去することによって実施されることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか一項に記載のプロセス。
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