JP2018517150A - Fviiiインヒビター検出のための新規な自動化スクリーニング法の開発 - Google Patents

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Abstract

本明細書に開示されるのは、患者中の凝固インヒビターの存在を判定するための方法である。患者試料と関連付けられて患者の傾き(Ps)を有する患者曲線、および対照試料と関連付けられて対照の傾き(Cs)を有する標準曲線が作成され、PsおよびCsを比較してPs/Cs平行度比を得る。所定比未満のPs/Cs平行度比は、患者試料における凝固インヒビターの存在指標である。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許仮出願第62/157,709号(2015年5月6日出願)の利益を主張する。
本開示は、全般的には、血液凝固の分野に関し、より詳細には患者試料中の凝固インヒビターの同定に関する。
第VIII因子(FVIII)活性は、患者血漿試料の活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を直接測定すること、およびいくつかの特定希釈ポイントにおける既知の標準活性パーセントに対し片対数目盛に測定された凝固時間(秒)をプロットすることから作成された標準曲線から活性パーセントを求めることによって決定される。次に、患者試料における第VIII因子活性は、測定される因子が欠乏した同量の血漿と混合した患者血漿の希釈物を対象として行われ、患者血漿中因子の割合は、患者試料の特定希釈物において観察された凝固時間をプロットすることにより標準曲線から計算される。本開示に先立っては、標準曲線に対する患者曲線の平行度の主観的評価を行い、活性レベルを過少に報告したり、インヒビターの存在を見落としたりする可能性を最小限にしている。インヒビターの非存在下では、標準曲線および患者曲線はお互いに平行であり、患者曲線の傾き(Ps)と標準曲線の傾き(Cs)は同様である。インヒビターを有する患者では、凝固時間は延長される。さらに、それぞれ後続の希釈物でインヒビター量が希釈除去されるので、後続の希釈物における凝固時間は短くなる。実際には、患者曲線の傾き(Ps)は標準曲線の傾き(Cs)と比較して傾きが小さくなるので、非平行線になる。平行度の判定は、現時点では主観的評価であり、誤報告の増加につながり、インヒビターを見落とす可能性がある評価であり、不必要なインヒビター試験である可能性がある。
本明細書に開示されるのは、現技術の欠点を解決する方法であり、第VIII因子インヒビターの存在を付加的スクリーニングするツールとして、平行度を評価する客観的かつ自動化されたツールを提供するなどの、付加的または選択的利点を提供し得る。
本発明の特定の実施形態としては、患者試料中の第VIII因子インヒビターの存在を判定する方法が挙げられる。方法は、患者試料と関連付けられ、患者の傾き(Ps)を有する患者曲線を作成するステップと;対照試料と関連付けられ、対照の傾き(Cs)を有する標準曲線を作成し、PsおよびCsを比較してPs/Cs平行度比を得るステップであって、ここで0.45未満のPs/Cs平行度比が、患者試料中の第VIII因子インヒビターの存在指標であるステップと、を含む。方法は、PsおよびCs曲線が、FVIII凝固活性に対して患者試料および対照試料の一連の希釈物における複数の凝固時間ポイントをプロットすることによって作成されることをさらに含む。Ps/Cs平行度比は、凝固検出機と電子的に接続したマイクロプロセッサによって判定される。特定の実施形態では、方法は、0.45未満の比を判定すること、および第VIII因子インヒビターの存在を伴う病態治療のために少なくとも1つの薬剤を患者に対して投与することをさらに含む。特定の実施形態では、病態は血友病Aである。特定の実施形態では、病態は自己免疫疾患である。特定の実施形態では、薬剤は下記のうちの1つ以上である:ヒト第VIII因子、ブタ第VIII因子、およびFVIIIバイパス剤。特定の実施形態では、方法は、マイクロプロセッサによる出力を作成することをさらに含み、出力は人間のユーザにより目視でもしくは聞こえるように認識することができるか、またはコンピュータにより読み取り可能なデジタル情報などであり、ここで、出力はPs/Cs比の指標を含む。
本発明の特定の実施形態としては、患者の体液中の凝固インヒビターの存在を判定する方法が挙げられる。方法は、患者試料と関連付けられ、患者の傾き(Ps)を有する患者曲線を作成することと、対照試料と関連付けられ、対照の傾き(Cs)を有する標準曲線を作成することと、により患者試料中に凝固インヒビターが存在するかどうかを検出するステップを含む。PsおよびCs曲線は、凝固活性に対して患者試料および対照試料の一連の希釈物における複数の凝固時間ポイントをプロットすることによって作成される。方法は、PsおよびCsを比較してPs/Cs平行度比を得るステップであって、ここで所定比未満のPs/Cs平行度比が、患者試料中の凝固インヒビターの存在指標であるステップを含む。特定の実施形態では、所定比は約0.45である。特定の実施形態では、凝固インヒビターはダビガトランである。特定の実施形態では、凝固インヒビターは第VIII因子インヒビターである。特定の実施形態では、凝固剤は、哺乳動物の第VIII因子である。
本発明の特定の実施形態としては、患者の体液中の抗凝固化合物の存在を判定、およびこのような患者を治療する方法が挙げられる。方法は、体液の患者試料を得るステップと;抗凝固化合物が患者試料中に存在するかどうかを検出するステップと;所定比未満のPs/Cs平行度比に対応して、患者に有効量の凝固剤を投与するステップと、を含む。Ps/Cs平行度比は、患者試料と関連付けられ、患者の傾き(Ps)を有する患者曲線を作成することと;対照試料と関連付けられ、対照の傾き(Cs)を有する標準曲線を作成し、PsおよびCs曲線が、凝固活性に対して患者試料および対照試料の一連の希釈物における複数の凝固時間ポイントをプロットすることによって作成されることと;PsおよびCsを比較してPs/Cs平行度比を得ることと、によって判定される。特定の実施形態では、所定比は約0.45である。特定の実施形態では、抗凝固化合物は第VIII因子インヒビターである。特定の実施形態では、凝固剤は、哺乳動物の第VIII因子である。特定の実施形態では、抗凝固化合物はダビガトランである。特定の実施形態では、抗凝固化合物はリバーロキサバンである。
本開示の多数の他の態様、特徴および利点は、図面とともに以下の詳細な説明から明白となるだろう。本明細書に記載された検出および治療方法としては、本明細書に記載された化合物、その他の構成成分、または所望の予防および治療目標に応じた成分を挙げることができる。さらに、前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、双方とも例示的および解説的なものであり、特許請求される本発明のさらなる説明を提供することを意図することは理解されるべきである。
本開示は、開示の特定の原理を示す以下の図を参照することによってより理解することができる。
インヒビターを有さない患者から入手した生体試料の分析から得られた平行曲線を有する平行度曲線の一例である。
インヒビターを有する患者から入手した生体試料の分析から得られた非平行曲線を有する平行度曲線の一例である。
一実施形態に従って作成されたベルカーブの一例である。
図面で示された例示的実施形態を参照し、特定の言語を本明細書において使用し、説明する。しかし、本発明の範囲がそれにより限定されることは意図していないと理解されるであろう。本明細書で示された本発明の特徴の変更およびさらなる改変、ならびに当業者および本開示技術を所有する者によって見出され得る本明細書で示されたような本発明の原理の追加の適用は、本発明の範囲内であると考えられる。本明細書を解釈するために以下の定義を適用し、適切な場合は単数で使用される単語は複数も含み、逆もまた同様である。以下に記載の任意の定義と、参考として本明細書に組み込まれている任意の文書との間に矛盾がある場合、以下に記載の定義が優先されるものとする。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、そのコンテクストについて別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば「タンパク質(a protein)」または「抗体(antibody)」という場合には、それぞれ複数のタンパク質または抗体が含まれ、「細胞(a cell)」という場合には、細胞の混合物などが含まれる。
試料とは、患者もしくは健康な個体から入手した体液、または本明細書で開示された方法において対照として機能するような液状検体を意味する。試料の非限定的な例としては、血液、血漿、血清、血液抽出物またはその他の血液生成物が挙げられる。
所定比とは、本発明の特定の実施形態のために標準化された平行度比を意味し、多くの場合、試料を評価する試薬、反応条件および計装機器を標準化することによって決定される。
本明細書の開示は、患者試料中の凝固インヒビター、特に第VIII因子(FVIII)インヒビターを同定するための、改善された自動化方法に関する。したがって、本開示は患者試料がFVIIIインヒビターを含有するかどうかを判定するのに使用する方法およびシステムを提供し、よって、FVIII阻害を伴った個体における疾患もしくは他の病態の診断、または診断を補助するのに使用され得る。
簡潔には、第VIII因子は、約0.0007μmol/Lという非常に低い正常な血漿濃度を有するよく知られた凝固因子である。第VIII因子は、フォンヴィレブランド因子と強固に会合した複合体において、多数の異なった細分化種の不活性血漿タンパク質として循環する。第VIII因子活性化は、典型的には、血管傷害に応じて血液中で起こる。FVIIIのA1およびA2ドメイン間を切断して、不安定なヘテロ三量体第VIIIa因子分子を生じることで活性化は構成される。第VIIIa因子は、引き続き第IX因子と相互作用し、これは十分に特性解析された一連の反応であり、血液凝固形成をもたらす。
本開示は、部分的には、結果的に血液凝固する事象カスケードに関与するFVIIIの能力を制限するインヒビターの検出に関わる。特定の実施形態では、本明細書で使用される用語FVIIIインヒビターとは、先天性FVIII欠乏、または後天性FVIII欠乏を意味し得る。このようなインヒビターとしては、FVIIIおよび/またはFVIIa上に存在する少なくとも1つのエピトープと特異的に結合する抗体が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。本実施形態では、異なる個体から血液または別のFVIII含有組成物を受け取る結果としてFVIII応答抗体を発生させる個体の場合などにおいては、インヒビターはFVIIIに対する同種抗体を含む。これは例えば、先天性血友病A患者にて起こる。一実施形態では、後天性血友病を有しているか、または発症リスクを有している個体の場合などには、インヒビターはFVIIIに対する自己抗体を含み得る。このような個体は、出生以後、多くの場合はかなり後年になってから自己抗体および血友病病態を発生し得る。そのため、本開示は、FVIIIを不活性化する同種抗体を有する個体中のFVIIIインヒビターを判定するのに適していると認識される。典型的にはその濃度(一次速度式)、または典型的には非直線不活性化パターン(タイプIIもしくは二次速度式)を示す後天性インヒビター/自己抗体に正比例して発生する。この技術の追加の用途は、ループスアンチコアグラントの同定および分類を可能にし、試料中の特定の抗凝固剤の迅速な分類を可能にする。本開示に先立って、この試験は、典型的には数日から数週間かかり、追加の副専門的な試験および専門技術が必要である。
凝固に基づく方法を使用してFVIIIインヒビターを判定する既存のアプローチは当該技術分野において周知である。例えば、EllinorらのLaboratory Assessment of Factor VIII Inhibitor Titer,Am J Clin Pathol(2009年);131巻:552−558頁を参照のこと。いわゆるベセスダ凝固アッセイは、患者血漿中のFVIII抗体を定量化するのに最も一般的に使用されている臨床検査である。典型的なベセスダ法は、患者の血漿または患者の血漿の段階希釈物を機能性FVIIIを提供する正常プール血漿(NPP)などの等量の対照血漿と混合した後に存在するFVIII活性を定量化するものである。FVIIIの不安定性を制御するのに使用される陽性対照混合物は、NPPを使用して調製する。患者血漿と1:1での混合物を作るのに使用する緩衝正常プール血漿の原液は、市販されている。混合物を、典型的には37℃にて約120分間インキュベーションするが、その間、インヒビターが患者試料中に存在する場合は、FVIIIを中和する。患者試料および陽性試料から得られる結果を比較する。ベセスダ法の変性バージョン、すなわち、いわゆる「ナイメゲン(Nijmegen)」変法は、患者および対照混合物のpHをイミダゾールで緩衝化し、対照混合物および患者希釈物中でFVIII欠乏血漿を使用することで低力価のFVIIIインヒビター測定において増大した特異性を提供する。
当業者が認識しているように、ベセスダ単位(BU)は、37℃にて120分インキュベーション後の、正常血漿中の第VIII因子:Cの1単位の50%を血漿試料中で中和する抗体またはその他のインヒビターの量として定義される。より詳細には、BUは、1:2〜1:1024の範囲で、イミダゾール含有緩衝液中にて等容積のNPPとともにインキュベーションされる患者血漿の2倍希釈物を使用して計算される。典型的な環境では、NPPは約100IU/dl(1IU/mlまたは100%)の第VIII因子を含むであろう。緩衝液と混合した等容積の正常血漿を含有する対照は、100%値を確立するのに使用されるか、またはナイメゲン変法に関して上述されたように、免疫力を低下させた第VIII因子欠乏血漿が、100%値を確立するのに使用される。2時間の加熱インキュベーション期間の最後に、残存第VIII因子活性を測定する。これは、典型的には、100%標準として対照を用いた標準一段式活性化部分トロンボプラスチン時間(Activated Partial Thromboplastin Time)(APTT)アッセイを使用して実施される。APTTはまた、カオリン・セファリン凝固時間(Kaolin Cephalin Clotting Time)(KCCT)およびカオリンを用いた部分トロンボプラスチン時間(Partial Thromboplastin Time with Kaolin)(PTTK)として当該技術分野において公知である。これらのアッセイは当該技術分野において周知である。一般的に、APTTはリン脂質(セファリン)および接触活性化物質(例えば、カオリン、微粒化シリカまたはエラグ酸)を血小板の乏しい血漿に添加することにより実施され、続いてカルシウムが添加されて、凝固を開始するが、これが凝固のタイミングが開始されるポイントである。APTTは、カルシウムの添加からフィブリン凝塊の形成までに要する時間である。大部分の研究室では、APTTを測定するための自動化方法を使用しており、ここで混合物の光学密度が一定の閾値を超えた場合、凝塊形成が起こっているということになる。次に、インヒビター濃度が作成されたグラフから計算され、インヒビター単位に対する残存第VIII因子活性が明らかになる。
第VIII因子活性は、患者血漿試料の活性化部分トロンボプラスチン時間を直接測定すること、およびいくつかの特定希釈ポイントにおける既知の標準活性パーセントに対し片対数目盛上に測定された凝固時間(秒)をプロットすることから作成された標準曲線から活性パーセントを求めることによって判定される。したがって、これは特定の傾きを有する直線を提供する。対照線(Cs)を、患者線(Ps)と比較して、2つの線の間の平行度を判定する。さらに以下の実施例においても記載されているように、本開示以前には、平行度の判定は主観的に行われ、かつ患者を分類する特定のカットオフパラメータを用いることなく行われたが、誤った解釈および結果報告を生じる重大なリスクを含むものであった。しかし、この問題は以下の実施例で記載された本発明の実施形態により解決する。簡潔には、本発明者らは、標準曲線の傾きに対する、検出可能なインヒビターを有さない(疾患ではない状態を表す)患者希釈物から作成された曲線の傾き、および既知のインヒビターを有する(疾患状態を表す)患者希釈物から作成された曲線の傾きの比を比較した。本発明者らは、ナイメゲン変法を利用したベセスダアッセイにより、各患者試料におけるインヒビターの存在を確認した。得られたインヒビターを有するおよび有さないPs/Cs比のパラメータシミュレーションから作成されたベルカーブを使用して、インヒビターの検出用の100%感受性および80%特異性であるカットオフになるように0.45というPs/Cs比を判定した。したがって、本開示は、Ps/Cs曲線比が<0.45である場合、インヒビターが試料中に存在しているという確率が100%であるという統計に基づいて実証する。したがって、特定の実施形態では、<0.45というPs/Cs曲線比であれば、得られた試料が由来する個体が、FVIIIインヒビターの存在を伴った病態のため治療を必要としているという指標を示す。所望であれば、さらにインヒビター種別の特徴付けが実施可能である。実施形態では、さらなる試験により、ヘパリン混入判定および/またはループスアンチコアグラントの存在判定を実施する。薬剤の有無、および存在する薬剤種別の両方を分類するのに用いられる傾きの比を用いて、インヒビター同定分類、および抗凝固剤分類が、同プロセスで追加的に可能となる。本発明の特定の実施形態は、ループスアンチコアグラントなどの非特異的凝固インヒビター、または特異的経口抗凝固薬などの特異的凝固因子インヒビターを区別するために使用することができる。
実施形態では、本開示は、個体において<0.45のPs/Cs曲線比を判定すること、および個体中のインヒビターの存在を伴った疾患または病態を治療するために、個体に対して、少なくとも1つの薬剤を投与することを含む。実施形態では、<0.45のPs/Cs曲線比の判定は、診断または、医師の疾患診断の補助に使用される。実施形態では、疾患は、先天性血友病Aなどの先天疾患、または後天性血友病Aなどの後天性第VIII因子インヒビターの発生を含む。
実施形態では、本開示は<0.45のPs/Cs曲線比を判定すること、少なくとも1つの第VIII因子インヒビターの存在を伴った疾患を有する患者を診断すること、および疾患を治療するために少なくとも1つの外因性薬剤を個体に対して投与することを含む。実施形態では、個体は血友病Aであると診断され、血友病Aを治療するための薬剤が投与される。
実施形態では、本開示に従って個体から得た試料を試験し、<0.45のPs/Cs曲線比を判定し、少なくとも1つの第VIII因子インヒビターの存在を伴った疾患を有する患者を診断し、続いて、疾患を治療するために少なくとも1つの外因性薬剤を個体に対して投与する。実施形態では、薬剤は1−デアミノ−8−d−アルギニンバソプレシン、ヒトもしくはブタ第VIII因子の注入液、活性化プロトロンビン複合濃縮物、XaもしくはVIIa、これらの組み換え型などのFVIIIバイパス剤、インヒビター除去に使用するために個体へ投与される薬剤(もしくはそのプロセスにさらされる)、または免疫抑制に使用される薬剤から選択される。実施形態では、体外アプローチは、例えば血漿交換または免疫吸着アプローチなどを用いて、FVIIIに対する自己抗体を除去するのに使用される。実施形態では、出血している患者、または外科的介入が計画されている患者、ならびにより高い力価のインヒビターを有する、および/もしくはバイパス剤に応答しない患者のために、インヒビターの低減または排除が利用される。特定のアプローチでは、インヒビター(複数可)を低減または排除するための体外アプローチに続き、個体は止血を達成するために有効なFVIIIの量など、FVIII置換される。
特定の実施形態では、本開示に従って個体から得た試料を試験し、<0.45のPs/Cs曲線比を判定し、少なくとも1つの第VIII因子インヒビターの存在を伴った疾患を有する患者を診断し、続いて、プレドニゾロンなどの少なくとも1つの免疫抑制剤を個体に対して投与する。実施形態では、免疫抑制剤は、シクロホスファミド、アザチオプリン、ビンクリスチン、ミコフェノール酸モフェチル、2−クロロデオキシアデノシン、シクロスポリンA、およびこれらの組み合わせなど、その効果を向上することを目的としているその他の薬剤と組み合わせることができる。
特定の実施形態では、本開示に従って個体から得た試料を試験し、<0.45のPs/Cs曲線比を判定し、少なくとも1つの第VIII因子インヒビターの存在を伴った疾患を有する患者を診断し、続いて、静脈内免疫グロブリン(IVIG)を個体に対して投与する。実施形態では、この個体はまた、リツキシマブ単独で、またはリツキシマブと、プレドニゾンおよび/もしくはシクロホスファミドなどのその他の薬剤と組み合わせるなど、ターゲット生物製剤療法によって治療し得る。
本開示の方法は、アッセイ系または血液分析装置で実施し得る。このような装置は、アッセイまたはその他の測定を実施し、情報をデータ処理装置に送り、情報を分析し、および表示し、プリントし、または他の方法で結果もしくはその他の分析中に測定された情報を送り得る。方法を実施してよい装置の例としては、非限定的な例として、STA−R Evolution(Diagnostica Stago製造)またはCA−1500、CA−660、CS−2011iもしくはCS−5100などの血液凝固分析器(Sysmex UK LTD製造)が挙げられる。例示的な系は、米国特許第7,720,880号、同第7,085,669号にて記載されており、それぞれの開示は全て本明細書に参照として組み込まれる。
実施形態では、本開示の方法は、Ps/Cs曲線比を作成するようにプログラムされたマイクロプロセッサと電子的に接続した装置を使用して実施され、本明細書に記載された閾値である0.45のどちらか側に分類される試料なのかを同定する。実施形態では、本開示は、少なくとも1つの患者試料および少なくとも1つの対照試料におけるBUに対応したデジタル化データの入力を受け取ることと;デジタル化されたデータをプロットして、PsおよびCs曲線を得ることと;デジタル化されたデータからPs/Cs比を計算し、ユーザ認識可能な出力としてPs/Cs比の指標を提供することと、を含む。実施形態では、ユーザ認識可能な出力は、視覚的表示装置、プリンタ、出力データポート、RF送信器、およびデジタル媒体記憶装置からなる群から選択される装置により提供される。
各種実施形態では、本開示は有形媒体中でPs/Cs曲線比を固定することを含む。有形媒体は、任意のタイプのデジタル媒体などの任意のタイプの有形媒体であることができ、DVD、CD−ROM、携帯フラッシュメモリデバイス、または表計算もしくワープロ文書などの印刷もしくはデジタル化された情報などが挙げられるがこれらに限定されない。本開示は、有形媒体をヘルスケア供給者へ提供し、診断の発展、ならびに/またはFVIIIインヒビター(複数可)の存在を伴った血友病もしくは任意の他の疾患を治療するためなどの個体治療、および/もしくは個体における予後診断の発展のための提案を支援することを含む。
特定の実施形態では、本開示は、FVIIIインヒビター(複数可)の存在を伴った血友病もしくは任意の他の疾患を治療することを意図した治療的アプローチの進行をモニタリングするために、および/または個体におけるインヒビターの量が任意の特定治療の過程において低減および/または中和されているかどうかを判定するために、一定期間、例えば治療期間にわたって個体由来の試料を逐次試験することを含む。
血友病A治療の最も重度で有害な合併症の1つは、第VIII因子に対する抗体の発生であり、その抗体とは、既知の第VIII因子欠乏を有する患者に注入された第VIII因子に対する最も一般的な同種抗体である。重度の血友病Aを有する患者の最大25〜30%、および軽度の血友病を有する患者の3〜13%で、インヒビターは発生する。第VIII因子インヒビターの大部分は、重度の血友病患者に発生する一方で、診断される新規インヒビターの30%近くは、軽度の血友病患者に発生し、重度の血友病に特徴的な出血症状につながることがますます懸念されている。
重度血友病Aの個人におけるほとんどのインヒビターは、治療初期の暴露50日に早期発生し、重度疾患の個人の全体的リスクは初期の暴露18日で36%と推定される。対照的に、軽度血友病の個人におけるほとんどのインヒビターは、後年になってから、一般には、手術または外傷のためのFVIII濃縮物を用いた集中治療後に発生する。
インヒビターを発生する重度血友病患者では、注入された因子に応答して一次臨床症状が減少する。予防的に因子注入した場合の臨床症状には、一層多くの破綻出血を発生する場合や、急性出血事象に対する注入にほとんど応答しない場合がある。軽度血友病患者では、インヒビターの発生は内因性因子に対する応答を減少させ、より重度な表現型の発生を引き起こすことにつながり得る。
インヒビターが疑われる場合、臨床検査は、確認のために面倒で時間を要するアッセイを実施しなくてはならない。元来、これはベセスダアッセイによってなされてきた。インヒビターを検出するこのアッセイの複雑さと血友病を有する患者におけるインヒビター発生の影響は、新たに開発した自動化スクリーニングアッセイの価値を強調するものであり、これは一段階aPTTをベースとしたFVIIIアッセイに容易に適用され得る。本明細書に記載された方法は、FVIII以外の凝固因子に対する内因性および外因性インヒビターの双方の存在を検出できる。
本発明の臨床的利点に加えて、本明細書に記載のアッセイが、ルーチンな因子凝固アッセイを活用して、任意の凝固系プラットフォームに容易に適用することができるインヒビター存在用の客観的スクリーニング方法を提供するという事実により、ロジスティクスな影響が強調される。本発明の実施形態は、その他の特異的凝固因子に対するインヒビターまたはループスアンチコアグラントの検出をスクリーニングすることもできる。本発明の実施形態は、第Xa因子およびトロンビンを直接阻害するより新しい経口抗凝固剤投与中に出血または再発性静脈血栓塞栓症を有する患者に有効なインヒビターの存在をスクリーニングすることもできる。
方法の特定の実施形態は、患者の体液中の抗凝固化合物の存在を判定すること、およびこのような患者を治療することを含む。方法は、体液の患者試料を得るステップ、および抗凝固化合物が患者試料にて存在するかどうかを検出するステップを含む。抗凝固化合物の存在は、患者試料と関連付けられ、患者の傾き(Ps)を有する患者曲線を作成することと;対照試料と関連付けられ、対照の傾き(Cs)を有する標準曲線を作成し、PsおよびCsを比較してPs/Cs平行度比を得ることと、により判定される。PsおよびCs曲線は、FVIII凝固活性に対して患者試料および対照試料の一連の希釈物における複数の凝固時間ポイントをプロットすることによって作成される。所定比未満のPs/Cs平行度比は、患者における抗凝固化合物の存在の指標である。その後、有効量の凝固剤を患者に投与する。方法の実施形態はまた、新規なターゲット特異的経口抗凝固薬で患者をスクリーニングするのに使用され得る。
肺塞栓症を有すると診断された症例において、1ヶ月以内に最大で12%の死亡率を有する新規症例が毎年300,000〜600,000あるという事実により、アメリカ合衆国における静脈血栓塞栓症の影響が強調される。これは、直接的にトロンビン(ダビガトラン)または第Xa因子(リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)をターゲットとするターゲット特異的経口抗凝固薬のための市場を作り出している。最近の研究では、PTおよびAPTTでは増大を示し、第II、第V、第VII、第VIII、第IX、第Xおよび第XI因子では活性の低下を示す。ダビガトランにおいて、トロンビン時間は用量依存的に長引くことが分っているが、過度に感受性がある。現在存在するアッセイは、これらの薬剤の任意の一つの存在を素早くスクリーニングできない。例えば、緊急処置および手術が必要な直接作用経口抗凝固剤を与えた患者は、どんな抗凝固剤であるのか、および/もしくは最終投与がいつなされたのかを知らないか、または伝えることはできない場合がある。本発明の実施形態は、患者試料中のこれらの抗凝固剤のいずれかの存在を迅速にスクリーニングする自動化スクリーニングアッセイを含むことができる。例えば、ダビガトランと同一であるとみなされ、出血の拮抗が必要であれば、イダルシズマブなどの特異的凝固剤を使用できる。患者の必要性および特異的な治療プロトコルに応じて、活性化プロトロンビン複合濃縮物(FEIBA)を使用することもできる。特定の状況では、抗線維素溶解剤を含有または非含有である血液透析などの治療プロトコルを伴ってもよい。別の例では、リバーロキサバン、アピキサバンまたはエドキサバン(第Xa因子インヒビター)と同一であるとみなされ、出血の拮抗が必要であれば、非活性化プロトロンビン複合濃縮物(Kcentra)を使用することができる。患者の必要性および特異的な治療プロトコルに応じて、抗線維素溶解剤またはアンデキサネットなどのターゲット化抗凝固剤をさらに使用してもよい。
血小板機能の検出および測定は、血小板機能障害または機能亢進を有する患者を同定することにとって、および抗血小板療法をモニタリングすることにとってもまた重要である。本発明の実施形態は、血小板機能および抗血小板剤の存在を評価することにおいて展開されてもよい。方法の特定の実施形態は、患者の体液中の抗血小板剤の存在を判定することを含む。方法は、体液の患者試料を得るステップ、および抗血小板剤が患者試料にて存在するかどうかを検出するステップを含む。抗血小板剤の存在は、患者試料と関連付けられ、患者の傾き(Ps)を有する患者曲線を作成することと;対照試料と関連付けられ、対照の傾き(Cs)を有する標準曲線を作成し、PsおよびCsを比較してPs/Cs平行度比を得ることと、により検出される。PsおよびCs曲線は、血小板機能検査を実施することによって作成される。血小板機能検査は、血小板凝集調査(PFT)または血小板機能アッセイ(PFA)の1種以上を含んでもよい。血小板機能検査の例としては、限定されるものではないが、以下の1種以上が挙げられる:凝血時間アッセイ、粘弾性測定、出血時間、血小板凝集調査、またはフローサイトメトリー。
抗血小板薬の部類としては、不可逆的シクロオキシゲナーゼインヒビター、アデノシン二リン酸(ADP)受容体インヒビター、ホスホジエステラーゼインヒビター、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR−1)アンタゴニスト、グリコプロテインIIB/IIIAインヒビター、アデノシン再取り込みインヒビターおよびトロンボキサンインヒビターが挙げられる。不可逆的シクロオキシゲナーゼインヒビターの例としては、アスピリンおよびトリフルサール(Disgren)が挙げられる。アデノシン二リン酸(ADP)受容体インヒビターの例としては、クロピドグレル(Plavix)、プラスグレル(Effient)、チカグレロル(Brilinta)およびチクロピジン(Ticlid)が挙げられる。ホスホジエステラーゼインヒビターの例としては、シロスタゾール(Pletal)が挙げられる。プロテアーゼ活性化受容体1(PAR−1)アンタゴニストの例としては、ボラパクサール(Zontivity)が挙げられる。グリコプロテインIIB/IIIAインヒビター(静脈内使用のみ)の例としては、アブシキシマブ(ReoPro)、エプチフィバチド(Integrilin)、およびチロフィバン(Aggrastat)が挙げられる。アデノシン再取り込みインヒビターの例としては、ジピリダモール(Persantine)が挙げられる。トロンボキサンインヒビターの例としては、トロンボキサン合成酵素インヒビターおよびトロンボキサン受容体アンタゴニスト(Terutroban)が挙げられる。
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるものであるが、いかなる方法によっても限定することを意図するものではない。
上述のように、典型的な第VIII因子アッセイは、標準曲線から第VIII因子活性(百分率で)を測定する。標準曲線は、いくつかの希釈ポイントでの標準における既知の活性パーセントに対して、測定した凝固時間(秒)をプロットすることで作成する。次に、患者試料における第VIII因子活性は、既知の因子が欠乏した血漿と同量で混合した患者血漿の希釈物を対象として行われ、患者血漿中因子の割合は、患者試料の特定希釈物において観察された凝固時間をプロットすることにより標準曲線から計算される。活性濃度を過小報告またはインヒビター物質の存在を見落とす可能性を最小化するために、患者血漿希釈物の凝固時間により得られる直線は、対照血漿系希釈物により得られるものと、対数目盛でプロットした場合に平行であるべきである。
インヒビターの非存在下(疾患ではない状態)では、標準および患者曲線はお互いに平行であり、患者の傾き(Ps)と標準曲線の傾き(Cs)は同様である(図1)。インヒビターを有する(疾患状態)患者では、凝固時間は延長される。それぞれ後続の希釈物でインヒビター量が希釈除去されるので、後続の希釈物における凝固時間は短くなる。実際には、これにより、傾き(Ps)は標準曲線の傾き(Cs)と比較して傾きが小さくなる(図2)。本開示に先行する「平行度」の判定は、報告の際に誤りの増加につながる主観的評価であり、インヒビターを見落とす可能性がある評価であり、不必要なインヒビター試験の可能性がある。
本発明者らは、第VIII因子アッセイ(1:6、1:15および1:30希釈(STA欠乏VIII、STAによる第VIII因子:Cアッセイのための免疫低下血漿)における低カーブキャリブレーションを使用したSTA Compact上の低第VIII因子アッセイ変法)を、第VIII因子欠乏血友病患者において適切な希釈物で実施した。本発明者らは、標準曲線の傾きに対する、検出可能なインヒビターを有さない(疾患ではない状態)患者希釈物から作成された曲線の傾きおよび既知のインヒビターを有する(疾患状態)患者希釈物から作成された曲線の傾きの比を比較することにより、平行度に対する曲線を確かめた。本発明者らは、ナイメゲン変法を利用したベセスダアッセイにより、各患者試料におけるインヒビターの存在を確認した。
インヒビターを有するおよび有さない21個の試料をスクリーニングすることから得られたPs/Cs比のパラメータシミュレーションから作成されたベルカーブを使用して、本発明者らは、インヒビターの検出用の100%感受性および80%特異性であるカットオフになるように0.45というPs/Cs比を決定した。(図3)。したがって、曲線の比が<0.45の場合(図3のバーティカルバー参照)、インヒビターが試料中に存在しているという確率は100%である。しかし、本発明者らは、インヒビターを有する患者のごく一部が、より大きな試料サイズで見落とされ得ることを、これらのベルカーブに基づいて認識した。したがって、このカットオフの妥当性を確認するために、NHLBI(国立心肺血液研究所(米))の生物学的検体およびデータリポジトリから入手した、低FVIIIインヒビター(ベセスダ力価<5)を含有するならびに含有しない48の非特定化試料をスクリーニングした。このより大きな試料集合では、FVIIIに対するインヒビター検出においての<0.45というカットオフ比が、100%の感受性および91.6%の特異性であり、92.3%の陽性適中率および100%の陰性適中率を有するものであった。(表1および表2)。
表1:48の非特定化試料における平行度曲線から得た、患者傾きの対照傾きに対する比(Ps/Cs)を使用したインヒビタースクリーニングの結果
表2:バリデーション試験:平行度曲線から得た、<0.45という患者傾きの対照傾きに対する比を使用したインヒビタースクリーニング統計解析
したがって、前述から、本明細書における開示により、ルーチンなFVIII因子アッセイの間に、第VIII因子に対するインヒビターの存在を検出するための検証済スクリーニングツールを提供することが認識されるであろう。本方法は、FIXなどのその他の特異的凝固因子に対するインヒビター、ループスアンチコアグラント、および第Xa因子またはトロンビンを直接阻害するより新しい経口抗凝固剤の存在を検出するためのスクリーニングに適用可能である。
より簡潔な説明を提供するために、本明細書の量的表現のいくつかは、約量X〜約量Yの範囲として列挙される。範囲が列挙されている場合、範囲は、列挙された上限および下限に限定されるものではなく、約量X〜約量Yの全範囲、またはその中の任意の量もしくは範囲を含むと理解される。より簡潔な説明を提供するために、本明細書に示す量的表現のいくつかには用語「約(about)」による制限を受けさせていない。用語「約」が明確に使用されていてもされてなくても、本明細書で与える各量は、実際に与えられる量を指し、そしてそのように与えられた値に関する実験的および/または測定条件による近似も含め、当該技術分野の通例の技術に基づき合理的に推定されるそのように与えられた値の近似を指すことも意味すると理解される。場合によっては、近似する文言は、値を測定するための機器の精度、または試験の状態に対応することができる。
本発明は、特定の実施形態を通して説明されてきたが、通常の修正は当業者にとって明らかであり、このような修正は本発明の範囲内であることを意図するものとする。

Claims (20)

  1. 患者試料中の第VIII因子インヒビターの存在を判定する方法であって、前記方法は、
    患者試料と関連付けられ、患者の傾き(Ps)を有する患者曲線を作成することと;
    対照試料と関連付けられ、対照の傾き(Cs)を有する標準曲線を作成し、
    前記PsおよびCs曲線が、前記FVIII凝固活性に対して前記患者試料および前記対照試料の一連の希釈物における複数の凝固時間ポイントをプロットすることによって作成されることと;
    前記PsおよびCsを比較してPs/Cs平行度比を得ることであって、ここで約0.45未満のPs/Cs平行度比が、前記患者試料中の第VIII因子インヒビターの存在の指標であることと、を含む方法。
  2. 前記Ps/Cs平行度比が、凝固検出機と電子的に接続したマイクロプロセッサによって判定される、請求項1に記載の方法。
  3. 0.45未満の前記比を決定すること、および前記第VIII因子インヒビターの前記存在を伴う病態の治療のために少なくとも1つの薬剤を前記患者に対して投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記病態が血友病Aである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記病態が自己免疫疾患である、請求項3に記載の方法。
  6. 前記薬剤が下記:ヒト第VIII因子、ブタ第VIII因子、およびFVIIIバイパス剤のうちの1つ以上である、請求項3に記載の方法。
  7. 前記マイクロプロセッサによる出力を作成することであって、前記出力は人間のユーザにより目視でもしくは聞こえるように認識することができるか、またはコンピュータにより読み取り可能なデジタル情報などであり、ここで、前記出力は前記Ps/Cs比の指標を含む出力であることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  8. 患者試料中の凝固インヒビターの存在を判定する方法であって、前記方法は、
    凝固インヒビターが患者試料中に存在するかどうかを、
    前記患者試料と関連付けられ、患者の傾き(Ps)を有する患者曲線を作成することと;
    対照試料と関連付けられ、対照の傾き(Cs)を有する標準曲線を作成し、
    前記PsおよびCs曲線が、前記凝固活性に対して前記患者試料および前記対照試料の一連の希釈物における複数の凝固時間ポイントをプロットすることによって作成されることと;
    前記Psおよび前記Csを比較してPs/Cs平行度比を得ることであって、ここで所定比未満のPs/Cs平行度比が、前記患者試料中の凝固インヒビターの存在指標であることと、によって検出することを含む方法。
  9. 前記所定比が約0.45である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記凝固インヒビターがダビガトランである、請求項8に記載の方法。
  11. 前記凝固インヒビターが第VIII因子インヒビターである、請求項8に記載の方法。
  12. 前記凝固剤が哺乳動物の第VIII因子である、請求項8に記載の方法。
  13. 患者試料中の抗凝固化合物の存在を判定、およびこのような患者を治療する方法であって、前記方法は、
    前記体液の患者試料を得ることと;
    抗凝固化合物が前記患者試料中に存在するかどうかを、
    前記患者試料と関連付けられ、患者の傾き(Ps)を有する患者曲線を作成することと;
    対照試料と関連付けられ、対照の傾き(Cs)を有する標準曲線を作成し、前記PsおよびCs曲線が、前記凝固活性に対して前記患者試料および前記対照試料の一連の希釈物における複数の凝固時間ポイントをプロットすることによって作成されることと;
    前記Psおよび前記Csを比較してPs/Cs平行度比を得ることと;により検出することと:
    所定比未満のPs/Cs平行度比に対応して、前記患者に有効量の凝固剤を投与することと、を含む方法。
  14. 前記所定比が約0.45である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記抗凝固化合物が第VIII因子インヒビターである、請求項13に記載の方法。
  16. 前記凝固剤が哺乳動物の第VIII因子である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記抗凝固化合物がダビガトランである、請求項13に記載の方法。
  18. 前記凝固剤がイダルシズマブである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記抗凝固化合物がリバーロキサバンである、請求項13に記載の方法。
  20. 前記凝固剤が非活性化プロトロンビン複合濃縮物である、請求項19に記載の方法。

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